JP2004026127A - 支持体および空気入りランフラットタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】所定の強度を確保しつつ軽量化が達成された支持体および空気入りランフラットタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】ランフラットタイヤは、タイヤの空気圧が低下した状態でのランフラット走行時にタイヤ内部に配設された支持部26がトレッド部を支持して走行可能とするものである。支持部26には、サイド部30D、30Eにフランジ部30F、30Gから径方向に延在するリブ32A、32Bが形成されているため、軽量化のために支持部26の板厚を低下させてもランフラット走行時に荷重が集中するサイド部30D、30Eの強度が確保されてサイド部30D、30Iの変形が防止される。したがって、支持体(支持部26)を用いた空気入りランフラットタイヤの軽量化を達成することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はパンクした時、その状態のまま相当の距離を走行し得るようにタイヤの内部に配設される環状の支持体と、当該支持体が内部に配設された空気入りランフラットタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
空気入りタイヤでランフラット走行が可能、即ち、パンクしてタイヤ内圧が0kg/cmになっても、ある程度の距離を安心して走行が可能なタイヤ(以後、ランフラットタイヤと呼ぶ。)として、タイヤの空気室内におけるリムの部分に、金属、合成樹脂製の環状の中子(支持体)を取り付けた中子タイプが知られている。
【0003】
この中子タイプでは、リムに組み込む回転中子タイプと、リムに取り付けられるタイヤ径方向断面において2つの凸部を有する形状(二山形状)の中子タイプ(例えば、特許文献1参照)が知られている。回転中子タイプは回転中子を固定するための特殊ホイールが必要とされる点で汎用性に問題がある。一方、二山形状の中子タイプは、従来のリムに取り付けられるため汎用性が高い。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−297226号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車業界では、環境保護の観点や燃費の改善などを目的として車体の軽量化が図られている。中子タイプのランフラットタイヤは、従来のタイヤに対して中子分だけ重量が増加しているため、軽量化が強く望まれている。軽量化を図って中子の板厚を薄肉化すると、タイヤの空気が抜けた状態で走行(以下、ランフラット走行という)した時に、荷重が作用する中子のサイド部分が変形してしまうという不都合があった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、板厚を薄くして軽量化すると共に、所定の耐性を有する支持体および空気入りランフラットタイヤを提供することが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の支持体は、空気入りタイヤの内部に配設され前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体であって、前記支持体の径方向断面において、径方向外側に突出した2つの凸部と、前記凸部の径方向最外位置よりも幅方向外側で径方向内側に延在するサイド部とを含む湾曲した線形状とされた支持部と、前記サイド部の径方向内側端部と一体化された弾性体であり、リム組み時に当該リムに装着される脚部と、を備え、前記支持部のサイド部には周方向に沿って所定間隔をおいて径方向に延在するリブが形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の支持体の作用ついて説明する。
【0009】
支持体は従来の空気入りタイヤの内部(空気室)内に配設して、空気入りタイヤと共にリムに組み付けることができる。このようにして組み立てられたランフラットタイヤを自動車に装着して走行させると、空気入りタイヤの内圧低下時にタイヤ空気室内に配設された支持体がサイドゴム層に替わって荷重を支持し、ランフラット走行が可能になる。
【0010】
ところで、この支持体は、径方向断面において、タイヤのトレッド部を支持する部分(2つの凸部)と、凸部の幅方向外側に設けられ径方向内側に延在するサイド部とを備える支持部と、サイド部の径方向内側端部を内部に含めた弾性体、例えばゴムからなる脚部から形成されている。このように形成された支持体の脚部をリムに組み付けている。
【0011】
したがって、ランフラット走行時には支持部のサイド部に荷重が集中して作用する。ここで、空気入りタイヤの軽量化を図るために支持体の板厚を減少させると、剛性の低下によって応力集中するサイド部が変形するおそれがあった。しかし、本発明に係るランフラットタイヤでは、支持体のサイド部に周方向において所定間隔をおいてリブを設けたためサイド部の強度が増加し、板厚が低減された支持体でもサイド部が変形することなくランラット走行可能となる。すなわち、本発明は、軽量化を達成しつつ、良好なランフラット走行耐性を確保した空気入りランフラットタイヤに適用できる支持体を提供することができる。
【0012】
請求項2記載の支持体は、請求項1記載の支持体において、前記支持部は、前記径方向断面において、前記サイド部の径方向内側端部に幅方向に延在するフランジ部を設けており、当該フランジ部が脚部の内部に配設されることを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の作用について説明する。
【0014】
支持部のサイド部の径方向内側端部に幅方向に延在するフランジ部を設け、フランジ部を脚部の内部に配設しているため、脚部を例えば、ゴム等の弾性体で形成した場合に、ランフラット走行時に作用する荷重によって支持部が脚部の内部で径方向内部に変位することを防止できる。例えば、支持部を構成するサイド部の端部が径方向に移動してゴムに亀裂を生じさせることなどを防止できる。
【0015】
請求項3記載の支持体は、請求項2記載の支持体において、前記リブは、前記フランジ部から前記サイド部にかけて径方向に延在することを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の支持体の作用について説明する。
【0017】
支持体の支持部にフランジ部を設けた場合には、サイド部とフランジ部の接続位置近傍に応力が集中する。そこで、フランジ部からサイド部にかけて径方向に延在するリブを設けることによって支持部の変形を防止する。すなわち、軽量化のために板厚が薄肉化された支持部を所定の強度とすることができる。
【0018】
請求項4に記載の空気入りランフラットタイヤは、一対のビードコア間にわたってトロイド状に形成されたカーカスと、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配置されてタイヤサイド部を構成するサイドゴム層と、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置されてトレッド部を構成するトレッドゴム層とを備え、リムに装着されるタイヤと、前記タイヤの内側に配設され、前記タイヤと共にリムに組み付けられる請求項1〜3のいずれか1項記載の支持体と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の空気入りランフラットタイヤの作用について説明する。
【0020】
空気入りタイヤの内圧低下時には、タイヤ空気室内に配設された支持体がサイドゴム層に替わってトレッド部を支持することによって、ランフラット走行が可能となる。
【0021】
ところで、この支持体は、トレッド部を支持する部分(2つの凸部)とその両端でリム側に延びるサイド部を有し、ランフラット走行時にはサイド部に荷重が集中して作用する。したがって、空気入りタイヤの軽量化を図るために支持体の板厚を減少させると、剛性の低下によって応力集中するサイド部が変形するおそれがあった。しかし、本発明に係るランフラットタイヤでは、支持部の少なくともサイド部に周方向において所定間隔でリブを設けたためサイド部の強度が増加し、板厚が低減された支持体でもサイド部が変形することなくランラット走行可能となる。すなわち、軽量化を達成しつつ、良好なランフラット走行耐性を有する空気入りランフラットタイヤを提供することができる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記支持体は、前記両凸部のタイヤ径方向最外点間のタイヤ軸方向距離が前記タイヤと前記リムの内部にセットされた状態における前記支持体の脚部間のタイヤ軸方向距離に対して25%〜60%であることを特徴とする。
【0023】
請求項5記載の発明の作用について説明する。
【0024】
ランフラット走行時にタイヤのトレッド部が支持体の支持部のうち2つの凸部間で当接されることになる。すなわち、タイヤ幅方向において支持体(支持部)のうち2つの凸部間の部分からトレッド部に荷重が作用する。したがって、支持体の両凸部の頂点(タイヤ径方向最外点)間のタイヤ幅方向距離(頂点間距離)がタイヤとリム内部にセットされた状態における支持体の脚部間のタイヤ軸方向距離(脚部間距離)に対して25%未満であると、トレッド部の狭い部分に荷重が過度に集中して作用してタイヤが破損するおそれが大きい。
【0025】
一方、支持体の両凸部の頂点間距離が脚部間距離に対して60%以上であると、支持体の凸部間に形成される凹部の剛性が不足して支持体が凹みやすいという不都合がある。
【0026】
したがって、本発明に係る空気入りランフラットタイヤは、支持体の両凸部の頂点間距離を脚部間距離に対して25%以上60%未満とすることによって、トレッド部に作用する荷重が局所的に集中してタイヤが破損することを回避しつつ、支持体の変形も回避できる。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項は4または5記載の発明において、前記サイド部と前記フランジ部とのなす角度が50°〜85°であることを特徴とする。
【0028】
請求項6記載の作用について説明する。
【0029】
支持体のタイヤ幅方向断面において、サイド部の端部に連続して形成されるフランジ部とサイド部のなす角度が50°未満であると、ランフラット走行時にサイド部に作用する荷重を支持できず、サイド部が内側に変形して(潰れて)しまう。一方、フランジ部とサイド部のなす角度が85°を超えると、サイド部が外側に変形(倒れて)してしまう。そこで、本発明の空気入りランフラットタイヤでは、サイド部とフランジ部のなす角度を50°以上85°未満、好ましくは60°〜80°とすることによって、ランフラット走行時に作用する荷重を環状の支持体が変形することなく良好に支持できる。
【0030】
なお、ここで、なす「角度」とは、環状とされた支持体の径方向断面において、サイド部とフランジ部の接続部分近傍における各部の法線のなす角度のことである。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る空気入りランフラットタイヤについて図1〜図8を参照して説明する。
【0032】
ここで、ランフラットタイヤ10とは、図1に示すように、リム12に空気入りタイヤ14と支持体16を組み付けたものをいう。リム12は、空気入りタイヤ14のサイズに対応した標準リムである。
【0033】
空気入りタイヤ14は、図1に示すように、一対のビード部18と、両ビード部18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する複数(本実施形態では2枚)のベルト層22と、ベルト層22の上部に形成されたトレッド部24とを備える。
【0034】
空気入りタイヤ14の内部に配設される支持体16は、図1に示す断面形状のものがリング状に形成されたものであり、支持部26と、支持部26の両端に加硫成形されたゴム製の脚部28とを備える。
【0035】
脚部28は、支持体16をリム組み付け時に空気入りタイヤ14の内側でリム12に組み付けられるものであり、高さ(径方向高さ)が20mm〜40mm、好ましくは25mm〜35mmが好適である。
【0036】
一方、支持部26は、1枚のプレートを成形することによって図2に示す断面形状としたものであり、径方向外側に凸となる凸部30A、30Bと、その間に形成された径方向内側に凸となる凹部30C、さらには凸部30A、30Bの幅方向(X方向)外側(凹部30Cと反対側)に荷重を支持するサイド部30D、30Eが形成されている。サイド部30D、30Eの径方向内側の端部(リム側端部)には略タイヤ回転軸方向に延在するフランジ部30F、30Gが形成されている。
【0037】
なお、支持部26の材料に特に制限はないが、軽量化のためにSUS、高張力鋼、アルミニウム、あるいは、カーボン、ケプラー、ガラス繊維のいずれか1つあるいはその組み合わせで補強された熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等から形成するのが好ましい。
【0038】
また、本実施形態では、径方向断面において曲率半径R1の曲面とされた部分を凸部30A、30B(矢印A、Bの領域)、曲率半径R2の曲面とされた部分を凹部30C(矢印Cの領域)、凸部30A、30Bの幅方向外側に位置して直線形状とされた部分をサイド部30D、30E、サイド部30D、30Eよりもさらに幅方向外側に形成され幅方向外側に延びる直線状とされた部分をフランジ部30F、30Gとする。
【0039】
凸部30A、30Bのそれぞれ径方向において最も外側の位置(以下、ピークという)P1、P2の支持体の幅方向(矢印X方向)における間隔(ピーク間距離)L1がタイヤ14とリム12の内部にセットされた状態における支持体16の一対の脚部28間の幅方向距離(脚部間距離)L3(図1参照)に対して25%以上60%以下の範囲、例えば40%とされている。これは、ピーク間距離L1が脚部間距離L3に対して25%未満であると、ランフラット走行時にトレッド部24に接する支持部26の矢印X方向の幅が狭くなり、トレッド部24に狭い範囲に荷重が集中して作用することによって空気入りタイヤ14が破壊されることを防止するためである。また、ピーク間距離L1が脚部間距離L3に対して60%を越えると、凹部30Cの剛性不足のためにランフラット走行時の荷重の作用によって凹部30Cが凹みやすくなるためである。
【0040】
なお、ここで脚部間距離L3とは、ランフラットタイヤ10(空気入りタイヤ14)を標準リム14に組み付けた状態で、標準空気圧とした空気入りタイヤ14に標準荷重を付与した場合の支持体16の一対の脚部28間の幅方向距離(矢印X方向)のことである。
【0041】
ここで、標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版規定のリムであり、標準空気圧とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の最大負荷能力に対応する空気圧であり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
【0042】
日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、内圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”Approved Rim” 、”Recommended Rim”)のことである。
【0043】
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0044】
また、断面形状が略直線状となっているサイド部30D、30Eは、フランジ部30F、30Gに対してなす角度θが50°〜85°の範囲、例えば70°とされている。これは、角度θが50°未満となると、サイド部30D、30Eに荷重が作用した場合にサイド部30D、30Eがリム12側に変形して(潰れて)しまうためである。一方、角度θが85°を超えてしまうと、サイド部30D、30Eが立ちすぎて外側に倒れてしまうためである。
【0045】
ここで、角度θとは、図2に示すように、サイド部30D、30Eとフランジ部30F、30Gの接続位置近傍においてサイド部30D、30Eとフランジ部30F、30Gの法線がなす角度である。
【0046】
一方、環状とされている支持体16では、図3に示すように、サイド部30D、30Eの幅方向外側にフランジ部30F、30Gから延びるリブ32A、32Bが周方向において所定間隔(ピッチP)をおいて形成されている(図3では、脚部28を図示省略している)。ここで、リブ32A、32BのピッチPはフランジ部30F、30Gの周方向長さに対して0.5%〜7%が好ましい。0.5%未満では、板厚を薄くして軽量化を図った効果が抑制されてしまうためである。7%以上ではリブ32の間隔が開きすぎてサイド部30D、30Eに所定の強度を確保する(ランフラット走行時の支持部26の変形を防止する)ことができないためである。
【0047】
また、リブ高さH(径方向断面におけるサイド部30D、30Eの延長線とフランジ部30F、30Gの延長線上の交点からタイヤ軸方向のリブ32A、32Bの高さ)が0.5mm〜10mmであることが好ましい。リブ高さHが0.5mm未満であるとサイド部30D、30Eを強化する作用を達成することができず、リブ高さHが10mm以上であるとリブ32A、32Bの頂部(タイヤ軸方向)が割れてしまうという不都合があるためである。
【0048】
さらに、径方向断面におけるリブ32A、32Bの径方向長さ(リブ長さ)S(図2参照)は、最大限で凸部30A、30BのピークP1、P2までである。これ以上、リブ32A、32Bの長さが延びると、延びた部分がサイド部30D、30Eの補強効果に寄与せず、また重量増加につながるためである。
【0049】
このランフラットタイヤ10の作用について説明する。
【0050】
ランフラットタイヤ10では、空気入りタイヤ14の内圧が低下した場合、空気入りタイヤ14のトレッド部24を支持体16の凸部30A、30Bが支持して走行可能とする。また、この際、路面からの衝撃がトレッド部24、支持体16、リム12を介して車体に伝達されるが、支持体16のリム12と当接する部分にはゴム製の脚部28が設けられているため、路面からの衝撃が緩衝されてランフラット走行時の乗り心地が向上すると共に、路面からの衝撃によって支持体16(支持部26)のサイド部30D、30Eが変形してしまうことを回避できる。
【0051】
また、ランフラット走行時に支持体16に作用する荷重はサイド部30D、30Eに集中して作用する。したがって、ランフラットタイヤ10の軽量化を図るため金属製の支持部26の板厚を薄肉化した場合には、サイド部30D、30Eが変形するおそれがあるが、サイド部30D、30Eにおいて周方向にピッチPでリブ32A、32Bが形成されているため、軽量化のために板厚が低減されたサイド部30D、30Eの剛性が確保され、変形が防止される。
【0052】
なお、リブ32A、32Bの周方向におけるピッチPがフランジ部30F、30Gの周長に対して0.5%以上7%以下に形成するため、所定の剛性を確保することができると共に板厚を薄くした軽量化の作用の減殺を最小限に抑制することができる。
【0053】
すなわち、ランフラットタイヤ10の軽量化を達成しつつ所定の機能を確保することができる。
【0054】
一方、ランフラット走行時、トレッド部24は、支持部26の凸部30A、30BのうちピークP1、P2間の部分と当接する。この結果、支持体16の支持部26のうち2つの凸部30A、30BのピークP1、P2間の部分に当接したトレッド部24の一部に局部的に荷重が作用する。したがって、ピークP1、P2間のタイヤ幅方向距離L1を脚部間距離L3に対して25%以上とすることによって、トレッド部24の一部に集中的に荷重が作用してトレッド部24(タイヤ)が破壊してしまうことを回避できる。また、ピークP1、P2間のタイヤ幅方向距離L1が大きくなり過ぎると、凹部30Cの強度が低下してランフラット走行時に凹部30Cが凹んでしまうおそれがあるが、ピークP1、P2間のタイヤ幅方向距離L1を脚部間距離L3に対して60%以下とすることによって、凹部30Cに所定の強度を確保してランフラット走行時の支持部26の変形を回避できる。
【0055】
すなわち、ランフラットタイヤ10は、支持部26の両凸部30A、30BのピークP1、P2間距離L1を脚部間距離L3の25%以上60%以下とすることによって、ランフラット走行時にトレッド部24の一部に荷重が集中して作用してタイヤが破損することを回避する一方、支持部26の変形も回避できる。
【0056】
支持体16のタイヤ幅方向断面において、支持部26のサイド部30D、30Eと、サイド部30D、30Eの端部に連続して形成されるフランジ部30F、30Gのなす角度が50°未満であると、ランフラット走行時にサイド部30D、30Eが荷重を支持できず、サイド部30D、30Eが内側に変形して(潰れて)しまう。一方、フランジ部30F、30Gとサイド部30D、30Eのなす角度が85°を超えると、サイド部30D、30Eが外側に変形(倒れて)してしまう。そこで、本発明の空気入りランフラットタイヤでは、サイド部30D、30Eとフランジ部30F、30Gのなす角度を50°以上85°以下、好ましくは60°〜80°とすることによって、ランフラット走行時に作用する荷重を支持体が変形することなく良好に支持できる。
(試験例)
上記実施形態の作用を確認するために、以下に示す実施例に係るランフラットタイヤ(以下、単に実施例という)と比較例に係るランフラットタイヤの比較試験(以下、単に比較例という)を行った。
【0057】
実施例は実施形態で説明したランフラットタイヤと同様の構成であり、195/65R15サイズの空気入りタイヤに支持体を挿入したものを、上記タイヤサイズに対応する標準リム(6.5J)に組み付けたものである。実施例の各寸法(図2、図3参照)は以下の通りである。
リブ長さS…10mm
リブ幅W…5mm
リブ高さH…3mm
リブピッチP…20mm
ピーク間距離L1…56mm
角度θ…70°
である。
【0058】
また、支持体16の金属製の支持部26の板厚は0.8mmである。
【0059】
一方、比較例はリブがない点を除いて他の点は全く同じ形状である。
【0060】
このように形成された実施例と比較例に係るランフラットタイヤを乗用車に装着して1つの車輪のみ空気圧ゼロとしてランフラット走行(1輪)した試験結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 2004026127
このように、実施例は200km連続走行してもタイヤに破壊を生じなかったが、比較例は60kmで支持体16のサイド部30Dが座屈した。このようにサイド部30D、30Eにリブを設けることによってランフラット走行耐性が向上することが確認された。
【0062】
なお、本実施形態のランフラットタイヤ10をさらに軽量化するために、支持体16の支持部26に径1mm〜10mmの孔部が形成されたパンチングメタルで形成することも考えられる。
【0063】
また、支持体16(支持部26)の形状は本実施形態に限定されるものではなく、径方向断面形状が2つの凸部30A、30Bを有するものであれば良い。この場合、リブが形成される部位は、最大限で凸部のピークから幅方向外側の部分である。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に係る支持体はサイド部にリブを設けたため、支持体の板厚の低減によって軽量化を達成しつつ所定の強度を確保することができる。
【0065】
請求項2に係る支持体は、支持部にフランジ部を設けたため、ランフラット走行時に弾性体である脚部内部で支持部が変位したり、脚部を破壊することを防止できる。
【0066】
請求項3に係る支持体は、フランジ部からサイドにかけてリブを形成したため、サイド部の一層強化され、支持部の板厚をさらに低減させて軽量化を達成することができる。
【0067】
請求項4に係る空気入りランフラットタイヤでは、軽量化を達成しつつ所定の強度を有するものとすることができた。
【0068】
請求項5に係る空気入りランフラットタイヤでは、ランフラット走行時のタイヤの破壊を防止すると共に、支持体の変形を防止して長距離走行を可能とした。
【0069】
請求項6に係る空気入りランフラットタイヤでは、ランフラット走行時の支持体の変形を防止して長距離走行を可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤのリム装着時の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る支持体の支持部の正面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る支持体の一部省略部分斜視図である。
【符号の説明】
10  空気入りランフラットタイヤ
12  リム
14  空気入りタイヤ
16  支持体
24  トレッド部
26  支持部

Claims (6)

  1. 空気入りタイヤの内部に配設され前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体であって、
    前記支持体の径方向断面において、径方向外側に突出した2つの凸部と、前記凸部の径方向最外位置よりも幅方向外側で径方向内側に延在するサイド部とを含む湾曲した線形状とされた支持部と、
    前記サイド部の径方向内側端部と一体化された弾性体であり、リム組み時に当該リムに装着される脚部と、
    を備え、前記支持部のサイド部には周方向に沿って所定間隔をおいて径方向に延在するリブが形成されていることを特徴とする支持体。
  2. 前記支持部は、前記径方向断面において、前記サイド部の径方向内側端部に幅方向に延在するフランジ部を設けており、当該フランジ部が脚部の内部に配設されることを特徴とする請求項1記載の支持体。
  3. 前記リブは、前記フランジ部から前記サイド部にかけて径方向に延在することを特徴とする請求項2記載の支持体。
  4. 一対のビードコア間にわたってトロイド状に形成されたカーカスと、前記カーカスのタイヤ軸方向外側に配置されてタイヤサイド部を構成するサイドゴム層と、前記カーカスのタイヤ径方向外側に配置されてトレッド部を構成するトレッドゴム層とを備え、リムに装着されるタイヤと、
    前記タイヤの内側に配設され、前記タイヤと共にリムに組み付けられる請求項1〜3のいずれか1項記載の支持体と、
    を備えることを特徴とする空気入りランフラットタイヤ。
  5. 前記支持体は、前記両凸部のタイヤ径方向最外点間のタイヤ軸方向距離が前記タイヤと前記リムの内部にセットされた状態における前記支持体の脚部間のタイヤ軸方向距離に対して25%〜60%であることを特徴とする請求項4記載の空気入りランフラットタイヤ。
  6. 前記サイド部と前記フランジ部とのなす角度が50°〜85°であることを特徴とする請求項4または5記載の空気入りランフラットタイヤ。
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