JP2004025651A - 段ボールシート - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の段ボールシートより圧縮強度が大きく、かつ軽量であり、また厚さがかさばらず、しかも緩衝性、熱遮断性に優れた段ボールシートを得る。
【解決手段】30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の薄い段ボールを、従来の段ボールのライナー原紙の代わりとして用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の薄い段ボールを、従来の段ボールのライナー原紙の代わりとして用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にパッケージ材料として、また建築用資材または自動車の天井材等としても好適に使用できる段ボールシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
段ボールシートは、包装材に使われるほか、家具、建材、車両内装材、パレット、広告用ディスプレイ材等に広く用いられているが、中でも段ボール箱に用いる両面段ボールシートの消費が多い。両面段ボールシートは、通常シングルフェーサーで片面段ボールを形成し、続いてダブルフェーサーでもう一方の表側となるライナー原紙を貼合し、この後熱板にて加圧乾燥後、所定寸法に裁断して生産される。この後、両面段ボールシートは、製函工程で所定のブランクサイズに裁断、罫線を入れ、接合して段ボール箱に組み立てる。この段ボール箱は、野菜、果物などの生鮮食品、缶詰、菓子、調味料などの加工食品、缶や瓶などにパッケージされた飲料品、家電品、精密機械、生活雑貨、印刷・出版物、事務用品など多種多様の製品の保管や輸送に用いられる。
これらの製品が輸送・荷役・販売等の物流に供される際には、製品が入った段ボール箱を積み上げ、荷重のかかった状態で積み重ねることが多いため、段ボール箱はその積み上げ荷重に耐え得る圧縮強度が要求される。もしも所定の圧縮強度に満たない場合には、段ボール箱が座屈したり、内部の製品が変形したり、破損してしまう恐れがある。
したがって、段ボール箱において圧縮強度は最も重要視される品質の一つである。
【0003】
両面段ボールシートから段ボール箱を製造した場合、箱の上下方向の圧縮により、箱の側面は両面段ボールシートの幅方向が圧縮方向と一致するため、垂直圧縮の方向への圧縮をより受けやすい。また、箱の上下面は箱の内容物や箱を何層にも積載したときの荷重により平面圧縮をより受けやすい。
以上から両面段ボールシートの平面圧縮強度、および垂直圧縮強度は箱強度に影響する重要な力学的品質である。
【0004】
より圧縮強度の大きな段ボール箱を製造するためには、段ボール箱に使用される段ボールシートの圧縮強度が大きいものでなくてはならない。段ボールシートの圧縮強度を向上させる方法としては、該シートに用いられる中芯やライナーの原紙の坪量を上げる方法が特開平9−156002号公報に開示されている。しかしながらここで提案されている方法では、単位面積当たりの段ボールシートに使用する原紙の量が増加することによるコストアップや重量増加につながるため、段ボールシートの安価で軽量という特徴を失ってしまう。
他の方法としては、原紙の古紙の配合率を下げ、出来るだけバージンパルプの使用率を上げる方法などが知られている。しかしながらこの方法では、古紙のリサイクル率が下がるため環境資源保護の見地から好ましくない。
また、中芯を強化して圧縮強度を上げる方法が特公昭47−17354、特開昭51−131791号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法では、製造工程がより複雑になることや、コストアップにつながるため好ましくない。
その他、重量物梱包用の高強度段ボールシートを得る方法としては、複両面段ボールや複々両面段ボールを用いる方法があり、特開平10−128888号公報に開示されている。しかしながら、複両面段ボールシートや複々両面段ボールシートはその構造上どうしてもシート厚さが厚くなってしまい、印刷性や段ボール箱の組立性などの面で加工しづらいといった問題がある。
以上のように、段ボールシートの強度を強化するには、厚い原紙を使用するか、多層化する方法があるが、これらには、重量の増加や、コストの増加という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に鑑み、本発明は、従来の段ボールシートより圧縮強度が大きく、かつ軽量であり、また厚さがかさばらず、しかも緩衝性、熱遮断性に優れた段ボールシートを提案することを課題とするものである。
【0006】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を行った結果、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の薄い段ボールを、従来の段ボールのライナー原紙の代わりとして用いると、圧縮強度が向上し、重量は従来の段ボールシート並みになることを見出して、本発明をなすに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の第1は、段成形された中芯の段高が2.0mm以上であり、その中芯の片面もしくはその両面に、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の両面段ボールが貼合されてなる段ボールシートである。
【0008】
本発明の第2は、段成形された中芯の段高が2.0mm以上の両面段ボールと、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の片面段ボールが貼合されてなる段ボールシートである。
【0009】
本発明の第3は、段成形された中芯の段高が2.0mm以上の片面段ボールシートと、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の両面段ボールが貼合されてなる段ボールシートである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、中芯の段高が2.0mm以上の両面または片面段ボールシートとは、JIS(Z1516)で規定されている段数が34±2個/30cmであるA段、50±2個/30cmであるB段、40±2個/30cmであるC段に相当する段高を持つ両面段ボールシートまたは片面段ボールシートが挙げられるが、これに限るものではない。段高は望ましくは2.5mm以上、さらに望ましくは3.6mm以上、最も望ましくは4.5mm以上である。段高が2mm未満の場合は、十分な圧縮強度の段ボールシートを得ることができない。
ここで使用するライナーは通常の段ボールと同様で米坪150〜300g/m2程度の厚手の紙であり、中芯は米坪110〜210g/m2程度の厚手の紙である。
【0011】
また、本発明でいう段高1.5mm以下の両面段ボールシートまたは片面段ボールシートとは、一般にいうE段のほか、F段、G段、N段、ミニ段、マイクロフルートと呼ばれる段ボールシートを包含する。すなわち30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の両面または片面段ボールが対象である。
この段ボールは、通常の段ボールシートにおいてはライナー部分に相当するものであるから、段高が1.5mmを超える場合には、得られた段ボールシートの厚さが厚くなり、印刷性や組立性の面で問題が生じる。段高は望ましくは1.2mm以下、最も望ましくは1mm以下である。
また段数は、望ましくは120以上、最も望ましくは150以上である。段数が90未満の場合には、十分な圧縮強度を有する段ボールシートを得ることができない。
ここで使用するライナーは、米坪50〜110g/m2程度の薄手の紙であり、中芯は米坪40〜100g/m2程度の薄手の紙である。
このような片面段ボールは、中芯やライナーに薄い原紙を使用してもフルート構造を有することにより、軽量かつ高強度なシート状素材となる。
【0012】
本発明の段ボールシートに使用されるライナー原紙、中芯原紙は、特に制限されるものではなく、用途に応じて適当に選択することができる。すなわち米坪、厚さ、耐水性、その他の特性により、必要に応じて選ぶことが出来る。
【0013】
本発明の段ボールシートの具体的な積層例は次の通りである。
第一に、シングルフェーサーにより段高が2.0mm以上になるように厚手の中芯原紙を段成形し、薄手のライナーと貼合して片面段ボールを形成し、そのライナー面1aに段高が1.5mm以下である片面段ボールシート2を互いの段目が並行になるように貼合してなる段ボールシートである(図1)。
以上の構成からなる段ボールシートは、通常のライナーの代わりに段高が1.5mm以下の両面段ボールシートを貼合した形になっているため、従来の片面段ボールシートと比較して、圧縮強度が大きく、軽量であり、厚さがかさばらず、緩衝性、保温性、熱遮断性に優れた段ボールシートとなる。
【0014】
第二に、上記第一の片面段ボールシートの中芯段頂に、段高が1.5mm以下である両面段ボールシート3を互いの段目が並行になるように貼合してなる段ボールシートである(図2)。
以上の構成からなる段ボールシートは、通常の両面ライナーの代わりに段高が1.5mm以下の両面段ボールシートを用いた形になっているため、従来の両面段ボールシートと比較して、圧縮強度が大きく、軽量であり、厚さがかさばらず、緩衝性、保温性、熱遮断性に優れた段ボールシートとなる。
【0015】
第三に、段高が2.0mm以上である両面段ボールシート5と、段高が1.5mm以下である片面段ボールシート2を互いの段目が並行になるように貼合してなる段ボールシートである(図3)。
以上の構成の段ボールシートは両面段ボールの片側ライナーの上に段高が1.5mm以下の片面段ボールシート2を貼合しているため、従来の両面段ボールシートと比較して、圧縮強度が大きく、軽量であり、厚さがかさばらず、緩衝性、保温性、熱遮断性,印刷性に優れた段ボールシートとなる。
【0016】
第四に、通常のシングルフェーサーで形成された段高が2.0mm以上である片面段ボールシート4の段頂側に、段高が1.5mm以下である両面段ボールシートを互いの段目が並行になるように貼合してなる段ボールシートである(図4)。
第五に、通常のシングルフェーサーで形成された段高が2.0mm以上である片面段ボールシートの段頂に薄手のライナーをダブルフェーサーで貼合し、同時にその上に段高が1.5mm以下の片面段ボールを貼合した形態である。
段高が1.5mm以上の片面段ボールは、片面段ボールの巻取りから繰出しても良いし、別のシングルフェーサーで貼合しながら供給しても良い。この第五の形態は、単位重量当たりの強度が強く、工業的製造もし易いので最も好ましい形態である。
以上の構成の第四または第五の段ボールシートは、ライナーの代わりに段高が1.5mm以下の段ボールシートを用いているため、従来の両面段ボールシートと比較して、圧縮強度が大きく、軽量であり、厚さがかさばらず、緩衝性、保温性、熱遮断性に優れた段ボールシートとなる。
【0017】
なお、互いの段目が並行となるように貼合するとは、積層される各段ボールシートの形成された段目の方向が一致することを意味する。
上に述べた各積層方法により貼合された本発明の段ボールシートは、各両面段ボール及び片面段ボールをあらかじめ貼合したものを裁断し、さらに積層、貼合して製造することもできるが、段目の方向が一致していることから、複数対の段ロールを有するコルゲーターを用いることによって連続的に貼合することが可能となり、生産性に優れている。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
<実施例1>
表ライナ原紙として片艶晒しクラフト(坪量80g/m2)を、中芯原紙、及び裏ライナ原紙として両更晒しクラフト(坪量80g/m2)を使用し、これらをコルゲーターにより貼合して、段高0.56mm、段数165/30cmの両面段ボールシート(A)を製造した。
ライナー原紙として両更晒しクラフト(80g/m2)を、中芯原紙としてD120(坪量120g/m2)を使用し、これらをシングルフェーサーにより貼合し、段高が4.8mm、段数33/30cmの片面段ボールシート(B)を製造した。
ライナー原紙として片艶晒しクラフト(80g/m2)、中芯原紙として両更晒しクラフト(坪量80g/m2)を使用し、これらをシングルフェーサーにより貼合し、段高0.56mm、段数165/30cmの片面段ボールシート(C)を製造した。
上記両面段ボールシート(A)と、片面段ボール(B)と、片面段ボール(C)について、これらを所定サイズに裁断した上、(A)の裏ライナ原紙側と(B)の中芯段頂部を、(B)のライナー側と(C)の中芯段頂部を、各々の段目が並行となるようにして貼合し、本発明の段ボールシートを得た。
【0019】
<実施例2>
シングルフェーサーを2台有する複両面段ボールシート用コルゲーターで以下のように製造した。
第一のシングルフェーサーで、ライナー原紙としてNRK280(坪量280g/m2)、中芯原紙としてD120(坪量120g/m2)を使用し、段高4.8mm、段数33/30cmの片面段ボールシートを製造した。続いて、ダブルフェーサーにおいて、前記片面段ボールシートの中芯段頂に両更晒しクラフト(坪量80g/m2)を貼合し、更に同じダブルフェーサーにおいて、同時に前記両更晒しクラフトの表面に、第二のシングルフェーサーで製造した下記の片面段ボールを貼合した。
なお、第二のシングルフェーサーでは、ライナーとして片艶晒しクラフト(坪量80g/m2)、中芯として両更晒しクラフト(坪量80g/m2)を使用し、段高0.56mm、段数165/30cmの片面段ボールシートを製造した。
【0020】
<比較例1>
中芯用原紙としてD120(坪量120g/m2)を用いて、段高4.8mm、段数33段/30cmになるように段成形し、この両面にライナー原紙としてNRK280(坪量280g/m2)を用いて貼合して、両面段ボールシートを作製した。
【0021】
上記実施例及び比較例で得た段ボールシートの平面圧縮強度、垂直圧縮強度、単位面積当たり重量を測定した結果を、以下の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
段ボールシートの垂直圧縮強度、平面圧縮強度は以下のようにして測定した。段ボールシートの垂直圧縮強度は、JIS Z0403−2 B法に準拠し、サンプルエッジ部には、ワックスを塗布してエッジ部の影響を無くした。
段ボールシートの平面圧縮強度は、JIS Z0403−1に準拠した方法で行った。
【0024】
【発明の効果】
本発明によって、従来の段ボールシートと比較して軽量化されたシートを得ることが可能であり、また単位重量あたりの平面圧縮強度と垂直圧縮強度が向上する。また使用する原紙の古紙配合比率を高めることができ、環境対応の点でも優れ段ボールシートを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】段高が2.0mm以上の片面段ボールに、段高1.5mm以下の片面段ボールが貼合されてなる段ボールシートの断面図である。
【図2】図1の片面段ボールシートの段頂側に、段高1.5mm以下の両面段ボールが貼合されてなる段ボールシートの断面図である。
【図3】段高が2.0mm以上である両面段ボールシートと、段高が1.5mm以下の片面段ボールシートを貼合してなる段ボールシートの断面図である。
【図4】段高が2.0mm以上である片面段ボールシートの段頂側に、段高が1.5mm以下の両面段ボールシートを貼合してなる段ボールシートの断面図である。
【符号の説明】
1 段高が2.0mm以上の中芯
1a 薄手のライナー
2 段高が1.5mm以下の片面段ボールシート
3 段高が1.5mm以下の両面段ボールシート
4 段高が2.0mm以上の片面段ボールシート
5 段高が2.0mm以上の両面段ボールシート
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にパッケージ材料として、また建築用資材または自動車の天井材等としても好適に使用できる段ボールシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
段ボールシートは、包装材に使われるほか、家具、建材、車両内装材、パレット、広告用ディスプレイ材等に広く用いられているが、中でも段ボール箱に用いる両面段ボールシートの消費が多い。両面段ボールシートは、通常シングルフェーサーで片面段ボールを形成し、続いてダブルフェーサーでもう一方の表側となるライナー原紙を貼合し、この後熱板にて加圧乾燥後、所定寸法に裁断して生産される。この後、両面段ボールシートは、製函工程で所定のブランクサイズに裁断、罫線を入れ、接合して段ボール箱に組み立てる。この段ボール箱は、野菜、果物などの生鮮食品、缶詰、菓子、調味料などの加工食品、缶や瓶などにパッケージされた飲料品、家電品、精密機械、生活雑貨、印刷・出版物、事務用品など多種多様の製品の保管や輸送に用いられる。
これらの製品が輸送・荷役・販売等の物流に供される際には、製品が入った段ボール箱を積み上げ、荷重のかかった状態で積み重ねることが多いため、段ボール箱はその積み上げ荷重に耐え得る圧縮強度が要求される。もしも所定の圧縮強度に満たない場合には、段ボール箱が座屈したり、内部の製品が変形したり、破損してしまう恐れがある。
したがって、段ボール箱において圧縮強度は最も重要視される品質の一つである。
【0003】
両面段ボールシートから段ボール箱を製造した場合、箱の上下方向の圧縮により、箱の側面は両面段ボールシートの幅方向が圧縮方向と一致するため、垂直圧縮の方向への圧縮をより受けやすい。また、箱の上下面は箱の内容物や箱を何層にも積載したときの荷重により平面圧縮をより受けやすい。
以上から両面段ボールシートの平面圧縮強度、および垂直圧縮強度は箱強度に影響する重要な力学的品質である。
【0004】
より圧縮強度の大きな段ボール箱を製造するためには、段ボール箱に使用される段ボールシートの圧縮強度が大きいものでなくてはならない。段ボールシートの圧縮強度を向上させる方法としては、該シートに用いられる中芯やライナーの原紙の坪量を上げる方法が特開平9−156002号公報に開示されている。しかしながらここで提案されている方法では、単位面積当たりの段ボールシートに使用する原紙の量が増加することによるコストアップや重量増加につながるため、段ボールシートの安価で軽量という特徴を失ってしまう。
他の方法としては、原紙の古紙の配合率を下げ、出来るだけバージンパルプの使用率を上げる方法などが知られている。しかしながらこの方法では、古紙のリサイクル率が下がるため環境資源保護の見地から好ましくない。
また、中芯を強化して圧縮強度を上げる方法が特公昭47−17354、特開昭51−131791号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法では、製造工程がより複雑になることや、コストアップにつながるため好ましくない。
その他、重量物梱包用の高強度段ボールシートを得る方法としては、複両面段ボールや複々両面段ボールを用いる方法があり、特開平10−128888号公報に開示されている。しかしながら、複両面段ボールシートや複々両面段ボールシートはその構造上どうしてもシート厚さが厚くなってしまい、印刷性や段ボール箱の組立性などの面で加工しづらいといった問題がある。
以上のように、段ボールシートの強度を強化するには、厚い原紙を使用するか、多層化する方法があるが、これらには、重量の増加や、コストの増加という問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に鑑み、本発明は、従来の段ボールシートより圧縮強度が大きく、かつ軽量であり、また厚さがかさばらず、しかも緩衝性、熱遮断性に優れた段ボールシートを提案することを課題とするものである。
【0006】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を行った結果、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の薄い段ボールを、従来の段ボールのライナー原紙の代わりとして用いると、圧縮強度が向上し、重量は従来の段ボールシート並みになることを見出して、本発明をなすに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の第1は、段成形された中芯の段高が2.0mm以上であり、その中芯の片面もしくはその両面に、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の両面段ボールが貼合されてなる段ボールシートである。
【0008】
本発明の第2は、段成形された中芯の段高が2.0mm以上の両面段ボールと、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の片面段ボールが貼合されてなる段ボールシートである。
【0009】
本発明の第3は、段成形された中芯の段高が2.0mm以上の片面段ボールシートと、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の両面段ボールが貼合されてなる段ボールシートである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、中芯の段高が2.0mm以上の両面または片面段ボールシートとは、JIS(Z1516)で規定されている段数が34±2個/30cmであるA段、50±2個/30cmであるB段、40±2個/30cmであるC段に相当する段高を持つ両面段ボールシートまたは片面段ボールシートが挙げられるが、これに限るものではない。段高は望ましくは2.5mm以上、さらに望ましくは3.6mm以上、最も望ましくは4.5mm以上である。段高が2mm未満の場合は、十分な圧縮強度の段ボールシートを得ることができない。
ここで使用するライナーは通常の段ボールと同様で米坪150〜300g/m2程度の厚手の紙であり、中芯は米坪110〜210g/m2程度の厚手の紙である。
【0011】
また、本発明でいう段高1.5mm以下の両面段ボールシートまたは片面段ボールシートとは、一般にいうE段のほか、F段、G段、N段、ミニ段、マイクロフルートと呼ばれる段ボールシートを包含する。すなわち30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の両面または片面段ボールが対象である。
この段ボールは、通常の段ボールシートにおいてはライナー部分に相当するものであるから、段高が1.5mmを超える場合には、得られた段ボールシートの厚さが厚くなり、印刷性や組立性の面で問題が生じる。段高は望ましくは1.2mm以下、最も望ましくは1mm以下である。
また段数は、望ましくは120以上、最も望ましくは150以上である。段数が90未満の場合には、十分な圧縮強度を有する段ボールシートを得ることができない。
ここで使用するライナーは、米坪50〜110g/m2程度の薄手の紙であり、中芯は米坪40〜100g/m2程度の薄手の紙である。
このような片面段ボールは、中芯やライナーに薄い原紙を使用してもフルート構造を有することにより、軽量かつ高強度なシート状素材となる。
【0012】
本発明の段ボールシートに使用されるライナー原紙、中芯原紙は、特に制限されるものではなく、用途に応じて適当に選択することができる。すなわち米坪、厚さ、耐水性、その他の特性により、必要に応じて選ぶことが出来る。
【0013】
本発明の段ボールシートの具体的な積層例は次の通りである。
第一に、シングルフェーサーにより段高が2.0mm以上になるように厚手の中芯原紙を段成形し、薄手のライナーと貼合して片面段ボールを形成し、そのライナー面1aに段高が1.5mm以下である片面段ボールシート2を互いの段目が並行になるように貼合してなる段ボールシートである(図1)。
以上の構成からなる段ボールシートは、通常のライナーの代わりに段高が1.5mm以下の両面段ボールシートを貼合した形になっているため、従来の片面段ボールシートと比較して、圧縮強度が大きく、軽量であり、厚さがかさばらず、緩衝性、保温性、熱遮断性に優れた段ボールシートとなる。
【0014】
第二に、上記第一の片面段ボールシートの中芯段頂に、段高が1.5mm以下である両面段ボールシート3を互いの段目が並行になるように貼合してなる段ボールシートである(図2)。
以上の構成からなる段ボールシートは、通常の両面ライナーの代わりに段高が1.5mm以下の両面段ボールシートを用いた形になっているため、従来の両面段ボールシートと比較して、圧縮強度が大きく、軽量であり、厚さがかさばらず、緩衝性、保温性、熱遮断性に優れた段ボールシートとなる。
【0015】
第三に、段高が2.0mm以上である両面段ボールシート5と、段高が1.5mm以下である片面段ボールシート2を互いの段目が並行になるように貼合してなる段ボールシートである(図3)。
以上の構成の段ボールシートは両面段ボールの片側ライナーの上に段高が1.5mm以下の片面段ボールシート2を貼合しているため、従来の両面段ボールシートと比較して、圧縮強度が大きく、軽量であり、厚さがかさばらず、緩衝性、保温性、熱遮断性,印刷性に優れた段ボールシートとなる。
【0016】
第四に、通常のシングルフェーサーで形成された段高が2.0mm以上である片面段ボールシート4の段頂側に、段高が1.5mm以下である両面段ボールシートを互いの段目が並行になるように貼合してなる段ボールシートである(図4)。
第五に、通常のシングルフェーサーで形成された段高が2.0mm以上である片面段ボールシートの段頂に薄手のライナーをダブルフェーサーで貼合し、同時にその上に段高が1.5mm以下の片面段ボールを貼合した形態である。
段高が1.5mm以上の片面段ボールは、片面段ボールの巻取りから繰出しても良いし、別のシングルフェーサーで貼合しながら供給しても良い。この第五の形態は、単位重量当たりの強度が強く、工業的製造もし易いので最も好ましい形態である。
以上の構成の第四または第五の段ボールシートは、ライナーの代わりに段高が1.5mm以下の段ボールシートを用いているため、従来の両面段ボールシートと比較して、圧縮強度が大きく、軽量であり、厚さがかさばらず、緩衝性、保温性、熱遮断性に優れた段ボールシートとなる。
【0017】
なお、互いの段目が並行となるように貼合するとは、積層される各段ボールシートの形成された段目の方向が一致することを意味する。
上に述べた各積層方法により貼合された本発明の段ボールシートは、各両面段ボール及び片面段ボールをあらかじめ貼合したものを裁断し、さらに積層、貼合して製造することもできるが、段目の方向が一致していることから、複数対の段ロールを有するコルゲーターを用いることによって連続的に貼合することが可能となり、生産性に優れている。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
<実施例1>
表ライナ原紙として片艶晒しクラフト(坪量80g/m2)を、中芯原紙、及び裏ライナ原紙として両更晒しクラフト(坪量80g/m2)を使用し、これらをコルゲーターにより貼合して、段高0.56mm、段数165/30cmの両面段ボールシート(A)を製造した。
ライナー原紙として両更晒しクラフト(80g/m2)を、中芯原紙としてD120(坪量120g/m2)を使用し、これらをシングルフェーサーにより貼合し、段高が4.8mm、段数33/30cmの片面段ボールシート(B)を製造した。
ライナー原紙として片艶晒しクラフト(80g/m2)、中芯原紙として両更晒しクラフト(坪量80g/m2)を使用し、これらをシングルフェーサーにより貼合し、段高0.56mm、段数165/30cmの片面段ボールシート(C)を製造した。
上記両面段ボールシート(A)と、片面段ボール(B)と、片面段ボール(C)について、これらを所定サイズに裁断した上、(A)の裏ライナ原紙側と(B)の中芯段頂部を、(B)のライナー側と(C)の中芯段頂部を、各々の段目が並行となるようにして貼合し、本発明の段ボールシートを得た。
【0019】
<実施例2>
シングルフェーサーを2台有する複両面段ボールシート用コルゲーターで以下のように製造した。
第一のシングルフェーサーで、ライナー原紙としてNRK280(坪量280g/m2)、中芯原紙としてD120(坪量120g/m2)を使用し、段高4.8mm、段数33/30cmの片面段ボールシートを製造した。続いて、ダブルフェーサーにおいて、前記片面段ボールシートの中芯段頂に両更晒しクラフト(坪量80g/m2)を貼合し、更に同じダブルフェーサーにおいて、同時に前記両更晒しクラフトの表面に、第二のシングルフェーサーで製造した下記の片面段ボールを貼合した。
なお、第二のシングルフェーサーでは、ライナーとして片艶晒しクラフト(坪量80g/m2)、中芯として両更晒しクラフト(坪量80g/m2)を使用し、段高0.56mm、段数165/30cmの片面段ボールシートを製造した。
【0020】
<比較例1>
中芯用原紙としてD120(坪量120g/m2)を用いて、段高4.8mm、段数33段/30cmになるように段成形し、この両面にライナー原紙としてNRK280(坪量280g/m2)を用いて貼合して、両面段ボールシートを作製した。
【0021】
上記実施例及び比較例で得た段ボールシートの平面圧縮強度、垂直圧縮強度、単位面積当たり重量を測定した結果を、以下の表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
段ボールシートの垂直圧縮強度、平面圧縮強度は以下のようにして測定した。段ボールシートの垂直圧縮強度は、JIS Z0403−2 B法に準拠し、サンプルエッジ部には、ワックスを塗布してエッジ部の影響を無くした。
段ボールシートの平面圧縮強度は、JIS Z0403−1に準拠した方法で行った。
【0024】
【発明の効果】
本発明によって、従来の段ボールシートと比較して軽量化されたシートを得ることが可能であり、また単位重量あたりの平面圧縮強度と垂直圧縮強度が向上する。また使用する原紙の古紙配合比率を高めることができ、環境対応の点でも優れ段ボールシートを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】段高が2.0mm以上の片面段ボールに、段高1.5mm以下の片面段ボールが貼合されてなる段ボールシートの断面図である。
【図2】図1の片面段ボールシートの段頂側に、段高1.5mm以下の両面段ボールが貼合されてなる段ボールシートの断面図である。
【図3】段高が2.0mm以上である両面段ボールシートと、段高が1.5mm以下の片面段ボールシートを貼合してなる段ボールシートの断面図である。
【図4】段高が2.0mm以上である片面段ボールシートの段頂側に、段高が1.5mm以下の両面段ボールシートを貼合してなる段ボールシートの断面図である。
【符号の説明】
1 段高が2.0mm以上の中芯
1a 薄手のライナー
2 段高が1.5mm以下の片面段ボールシート
3 段高が1.5mm以下の両面段ボールシート
4 段高が2.0mm以上の片面段ボールシート
5 段高が2.0mm以上の両面段ボールシート
Claims (3)
- 段成形された中芯の段高が2.0mm以上であり、その中芯の片面もしくはその両面に、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の両面段ボールが貼合されてなる段ボールシート。
- 段成形された中芯の段高が2.0mm以上の両面段ボールと、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の片面段ボールが貼合されてなる段ボールシート。
- 段成形された中芯の段高が2.0mm以上の片面段ボールシートと、30cmあたりの段の段数が90以上であり、段高1.5mm以下の両面段ボールが貼合されてなる段ボールシート。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-06-26 JP JP2002185950A patent/JP2004025651A/ja active Pending
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