JP2004024834A - 耐傷性ゴルフボールおよびその製造方法 - Google Patents

耐傷性ゴルフボールおよびその製造方法 Download PDF

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JP2004024834A
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二宮 徳数
Kenji Onoda
小野田 健次
Masao Ogawa
小川 雅央
Hirosato Naka
中 裕里
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Abstract

【課題】ソフトフィーリングと飛距離とを兼ね備えるとともに、耐傷性に優れるゴルフボール及びその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】コア、カバーおよびコアとカバーとの間の1または複数の中間層を有し、カバーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンを主成分として含むとともに、少なくとも1種の多官能性モノマーからなる架橋助剤を含み、カバーの表面部分が電子線又はγ線照射架橋層で形成されている耐傷性ゴルフボール、及び、その製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐傷性の改善されたマルチピースゴルフボールおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ツーピースソリッドゴルフボールとしては、ブタジエンゴム製のコアとアイオノマー樹脂製のカバーとからなるものが主流である。アイオノマー樹脂製のカバーを有するゴルフボールは、優れた飛距離及び耐久性を有する一方、打球感が硬く、また打撃時の球離れが速いためにコントロール性に劣る傾向にある。
【0003】
そこで、近年は、打撃時のソフトフィーリングおよびコントロール性を向上させるために、コアとカバーとの間に柔らかい材料からなる中間層を設けたり、カバーを柔らかい材料からなるものとしたマルチピースソリッドゴルフボールも用いられている。
【0004】
ここで、ゴルフボールにおいては、ソフトフィーリングおよびコントロール性と飛距離とを兼ね備えることが求められる。カバー又は中間層材料として柔らかい材料を用いるとフィーリングは柔らかくなるが、飛距離が伸びず、逆に硬い材料を用いると飛距離は伸びるが、フィーリングが硬くなる。相反するこれらの性質を全て満足するゴルフボールの実現は困難である。
【0005】
ソフトフィーリングおよびコントロール性と飛距離とを兼ね備えるゴルフボールとして、高い反発弾性を有するポリウレタン系樹脂を中間層材料またはカバー材料として用いたマルチピースソリッドゴルフボールが提案されている。例えば、特開平11−253580号公報は、中間層またはカバーが、所定硬度および所定反発弾性率を有する熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材として形成されたマルチピースソリッドゴルフボールを開示している。特に、ポリウレタン系樹脂をカバー材料として用いたゴルフボールは、ソフトフィーリングおよびコントロール性に優れていながら長い飛距離も達成できる。
【0006】
しかし、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは比較的柔らかいために、ポリウレタン系樹脂をカバー材料として用いたゴルフボールは、特にアイアンショット時に、使用によりボール表面が毛羽立ったり、傷がついたり、ディンプルが削られたりし易い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ソフトフィーリングと飛距離とを兼ね備えるとともに、耐傷性に優れるゴルフボール及びその効率的な製造方法を提供することを主目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明者は研究を重ね、以下の知見を見出した。
▲1▼ マルチピースゴルフボールにおいて、カバーを高い反発弾性を有する熱可塑性ポリウレタンエラストマーで形成するとともに、カバー表面に電子線又はγ線を照射することによりカバー表面部分を架橋させる場合には、熱可塑性ポリウレタンエラストマー製カバー独特のソフトフィーリングを損なうことなく、耐傷性を向上させることができ、その結果、ソフトフィーリング、飛距離及び耐傷性を兼ね備えたゴルフボールが得られる。
▲2▼ 熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主成分として含むカバーにおいて、表面架橋層のゲル分率を40%以上とすることにより、アイアンによる激しい打撃に対しても傷が付き難いゴルフボールが得られる。
▲3▼ 熱可塑性ポリウレタンエラストマーに電子線又はγ線を照射すると、通常、架橋せずに高分子鎖が崩壊するが、熱可塑性ポリウレタンエラストマーに多官能性モノマーからなる架橋助剤を含ませておくとともに、吸収線量が3〜50Mrad程度になるように電子線又はγ線を照射することにより、高分子鎖を崩壊させることなく、熱可塑性ポリウレタンエラストマーを架橋させることができる。
▲4▼ 熱可塑性ポリウレタンエラストマーに代えて、熱硬化性ポリウレタンを用いる場合も▲1▼及び▲3▼と同様の効果が得られる。また、熱可塑性ポリウレタンエラストマーに代えて熱硬化性ポリウレタンを用いる場合は、表面架橋層のゲル分率を70%以上にすることにより▲2▼と同様の効果が得られる。
▲5▼ 球状に成形されたボールに電子線又はγ線を照射する場合には、ボール表面の吸収線量を均一にするために、照射中、ボールを回転させる必要があり、装置構造が複雑になるという難点がある。これに対して、カバーとなるシートに電子線又はγ線を照射した後、該シートを用いてコアを含む芯材の周囲にカバーを形成する場合には、均一な電子線又はγ線照射層を有するカバーで被覆されたゴルフボールを簡単に製造することができる。
【0009】
本発明は、前記知見に基づきさらに研究を重ねて完成されたものであり、以下の耐傷性ゴルフボールおよびその製造方法を提供するものである。
【0010】
項1. コア、カバーおよびコアとカバーとの間の1または複数の中間層を有し、カバーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンを主成分として含むとともに、少なくとも1種の多官能性モノマーからなる架橋助剤を含み、カバーの表面部分が電子線又はγ線照射架橋層で形成されていることを特徴とする耐傷性ゴルフボール。
【0011】
項2. 電子線又はγ線照射架橋層のゲル分率が、カバー主成分として熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる場合は40%以上であり、カバー主成分として熱硬化性ポリウレタンを用いる場合は70%以上である項1に記載の耐傷性ゴルフボール。
【0012】
項3. 電子線又はγ線照射架橋層の厚さが、0.2〜1.5mmである項1又は2に記載の耐傷性ゴルフボール。
【0013】
項4. カバー中の架橋助剤の配合量が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して、0.1〜50重量部である項1、2又は3に記載の耐傷性ゴルフボール。
【0014】
項5. カバー主成分として熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる項1から4のいずれかに記載の耐傷性ゴルフボール。
【0015】
項6. 熱可塑性ポリウレタンエラストマーがシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーである項5に記載の耐傷性ゴルフボール。
【0016】
項7. シリコーン変性ポリウレタンエラストマーがポリシロキサンを8〜40重量%含む項6に記載の耐傷性ゴルフボール。
【0017】
項8. カバーとなるシートを成形した後、該シートの一方の面に電子線又はγ線を照射することにより電子線又はγ線照射架橋層を形成する工程と、
該シートの電子線又はγ線照射架橋層で凸面を形成するようにして、該シートを用いて半球状のカバーピースを成形する工程と、
別途成形された芯材を一対のカバーピース間に挿入し、両カバーピースの開口縁部を当接させた後、加熱することにより、芯材表面上にカバーを有するゴルフボールを得る工程と
を含むことを特徴とする耐傷性ゴルフボールの製造方法。
【0018】
項9. カバーとなるシートに吸収線量が、3〜50Mradとなるように電子線又はγ線を照射する項8に記載の耐傷性ゴルフボールの製造方法。
【0019】
項10. カバーとなるシートを成形した後、該シートの一方の面に電子線又はγ線を照射することにより電子線又はγ線照射架橋層を形成する工程と、
中間層となる1又は複数のシートを成型する工程と、
カバーとなるシートの電子線又はγ線非照射面と中間層となるシートとが接するように、カバーとなるシートと1又は複数の中間層となるシートとを圧接して多層シートを形成する工程と、
該多層シートの電子線又はγ線照射架橋層で凸面を形成するようにして、該多層シートを用いて半球状の外層ピースを成形する工程と、
別途成形されたコアを一対の外層ピース間に挿入し、両外層ピースの開口縁部を当接させた後、加熱することにより、コア、カバーおよびコアとカバーとの間の1または複数の中間層を有するゴルフボールを得る工程と
を含むことを特徴とする耐傷性ゴルフボールの製造方法。
【0020】
項11. カバーとなるシートに吸収線量が、3〜50Mradとなるように電子線又はγ線を照射する項10に記載の耐傷性ゴルフボールの製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴルフボール
本発明のゴルフボールは、コア、カバーおよびコアとカバーとの間の1または複数の中間層を有する。また、そのカバーは、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンを主成分として含むとともに、少なくとも1種の多官能性モノマーからなる架橋助剤を含む。
【0022】
このカバーの表面部分は、電子線又はγ線を照射することにより架橋された層で形成されている。すなわち、カバーの表面部分は、主成分である熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンと、少なくとも1種の多官能性モノマーからなる架橋助剤とを含むカバーに、電子線又はγ線を照射することによりポリマー鎖を架橋させて形成された層からなる。
【0023】
本明細書において、「カバー」とは、ゴルフボールの最外層をいう。
(A)コア
コアは、マルチピースソリッドゴルフボールのコア材料として公知のゴム組成物からなるものを用いることができる。
【0024】
基材ゴムとしては、天然ゴムおよび合成ゴムの双方を用いることができる。中でも、シス−1,4−結合を40%以上、特に80%以上含むハイシスポリブタジエンゴムが好ましい。必要であれば、ハイシスポリブタジエンゴムには、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを配合してもよい。
【0025】
ゴム組成物には、このほか、架橋剤、共架橋剤、充填剤、酸化防止剤、しゃく解剤などが含まれていてよい。
【0026】
架橋剤としては、ゴムの架橋剤として公知の化合物を使用できる。このような架橋剤として、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイドのような有機過酸化物などを例示できる。特に、ジクミルパーオキサイドが好ましい。架橋剤の配合量は、特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、基材ゴム100重量部に対して、通常0.5〜3重量部程度、特に0.7〜2.2重量部程度が好ましい。この範囲内であれば、得られるゴルフボールについて、十分な反発性能ひいては十分な飛距離が得られるとともに、十分なソフトフィーリングが得られる。
【0027】
共架橋剤としては、特に限定されず、ゴムの共架橋剤として公知の化合物を広い範囲から選択して使用できる。このような架橋剤として、不飽和カルボン酸の金属塩、特にアクリル酸またはメタクリル酸のような炭素数3〜8程度の1価または2価の不飽和カルボン酸の金属塩を例示できる。高い反発性能を得る上で、アクリル酸の亜鉛塩が好ましい。
【0028】
共架橋剤の配合量は、特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、基材ゴム100重量部に対して、通常20〜50重量部程度、特に25〜45重量部程度が好ましい。この範囲内であれば、得られるゴルフボールについて、十分な反発性能ひいては十分な飛距離が得られるとともに、十分なソフトフィーリングが得られる。
【0029】
充填剤としては、この分野で用いられているものを広い範囲から使用でき、例えば酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末および有機質充填剤などが挙げられる。充填剤の配合量は、特に限定されず、広い範囲から適宜選択できるが、基材ゴム100重量部に対して、通常10〜30重量部程度、特に15〜25重量部程度が好ましい。この範囲内であれば、得られるゴルフボールの重量が適正なものとなる。
【0030】
コアは、前記コア用ゴム組成物を用いて、圧縮成型などの公知の方法で成型することができる。
【0031】
コアの直径は、通常29〜39mm程度、特に33〜37mm程度が好ましい。なお、コアの直径は、コアが突起やリブなどを有する場合にも、突起やリブを除外した球体部分の直径を指す。コアの硬度は、JIS−C硬度で、通常60〜80程度、特に65〜75程度が好ましい。また、コアは、通常単層構造に形成されるが、必要に応じて、2層以上の多層構造とすることもできる。
(B)中間層
本発明の第1のゴルフボールは、1層又は2層以上、特に1層又は2層の中間層を有する。
【0032】
中間層は、マルチピースソリッドゴルフボールの中間層材料として従来公知のアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマー等またはそれらの混合物を主成分とする組成物で構成することができる。特に、アイオノマー樹脂組成物が好ましい。
【0033】
アイオノマー樹脂としては、エチレンとα,β‐不飽和カルボン酸との共重合体においてカルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンで中和されたもの、またはエチレンとα,β‐不飽和カルボン酸とα,β‐不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体においてカルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンで中和されたもの等が挙げられる。α,β‐不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられる。また、α,β‐不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n‐ブチル、イソブチルエステル等が挙げられる。金属イオンとしては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、アルミニウム、錫、ジルコニウム、カドミウム等のイオンが挙げられる。特にナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオンが反発性、耐久性等の点で好ましい。
【0034】
アイオノマー樹脂の具体例としては、ハイミラン1555、1557、1605、1702、1705、1706、1707、1855(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリン8945、サーリン9945、サーリン6320、サーリン8320、サーリン9320(デュポン社製)、アイオテック(IOTEK)7010、8000(エクソン(Exxon)社製)等を例示することができる。
【0035】
これらのアイオノマー樹脂は単独でまたは2以上組み合わせて使用することができる。前記例示したアイオノマーの中では、ナトリウムイオンで中和されたエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、亜鉛イオンで中和されたエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ナトリウムイオンで中和されたエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体及び亜鉛イオンで中和されたエチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル三元共重合体等が好ましく、これらのうちナトリウムイオンで中和された重合体と亜鉛イオンで中和された重合体との混合物がより好ましい。
【0036】
また、熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系、アミド系、ポリエステル系、スチレン系、オレフィン系等の従来公知のものを広く使用できる。熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリアミド系熱可塑性エラストマーのペバックス2533(東レ社製)、ポリエステル系熱可塑性エラストマーのハイトレル3548、ハイトレル4047(東レ・デュポン社製)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーのエラストランET880(武田バーディシェウレタン工業社製)、パンデックスT‐8180、T‐7298、T‐7895、T‐7890(大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0037】
中間層を構成する材料には、主成分のアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーに加えて、充填剤、顔料、酸化防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0038】
中間層は、例えば射出成型等の公知の方法で形成することができる。また、後述する本発明の第2の方法の中間層形成方法により形成することもできる。
【0039】
中間層の厚さは、全体として、通常0.5〜3mm程度、特に1〜2mm程度が好ましい。また、各中間層の硬度は、通常JIS−C硬度70〜90程度、特に75〜85程度が好ましい。
(C)カバー
カバーは、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンを主成分として含む。また、カバーには、この他にポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーまたはアイオノマー樹脂等が、主成分である樹脂100重量部に対して50重量部以下、より好ましくは20重量部以下の比率で配合されていてもよい。
【0040】
主成分は、他の成分との混合が容易であるために、配合設計が容易で生産効率がよい点で、特に熱可塑性ポリウレタンエラストマーであることが好ましい。
【0041】
また、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンとしては、特に変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は変性熱硬化性ポリウレタンが好ましく、シリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー又はシリコーン変性熱硬化性ポリウレタンがより好ましい。シリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー又はシリコーン変性熱硬化性ポリウレタンをカバー基材とするゴルフボールは、非変性の熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンをカバー基材とするゴルフボールに比べて一層反発係数が高いために、一層長い飛距離が得られる。また、温度低下に伴う反発係数の低下が抑制されることから、低温下で使用する場合にも飛距離が低下し難い。さらに、温度低下に伴う反発係数の低下が抑制されていることから、ボールのコントロールが容易である。
▲1▼熱可塑性ポリウレタンエラストマー
熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート、高分子ポリオールおよび鎖延長剤を反応させることにより得られるものである。
<ポリイソシアネート>
ポリイソシアネートとしては、特に限定されず、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの原料として公知のポリイソシアネートを広い範囲から選択して使用できる。
【0042】
このようなポリイソシアネートとして、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添加MDI、トリデンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、L−リジンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネートなどを例示できる。
【0043】
ポリイソシアネートは1種を単独でまたは2種以上混合して用いることができる。ポリイソシアネートの中では、MDI、水添加MDI、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネートが好ましく、MDIが特に好ましい。
<高分子ポリオール>
高分子ポリオールとしては、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの原料として公知の高分子ポリオールを広い範囲から選択して使用できる。このような高分子ポリオールとして、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオールまたはポリカーボネートジオール等を使用できる。
【0044】
ポリエーテルジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール(1,3−または1,4−ブチレングリコール)、テトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールAなどの重合体または共重合体、またはこれらの低分子グリコールの1種又は2種以上にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシドなどの1種又は2種以上を付加することにより得られるものなどを例示できる。
【0045】
ポリエステルジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール(1,3−または1,4−ブチレングリコール)、テトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、あるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等の1種又は2種以上と、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、シュウ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などの1種又は2種以上を反応させることにより得られるポリエステルジオール;プロピオラクトン、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの環状エステルを開環重合させることにより得られるポリエステルジオール;前記グリコールと環状エステルとから得られるポリエステルジオール;あるいは前記グリコール、二塩基酸および環状エステルを反応させることにより得られるポリエステルジオールなどを例示できる。
【0046】
ポリカーボネートジオールは、下記の式
【0047】
【式1】
Figure 2004024834
【0048】
で表される化合物において、式中のRがグリコール又は2価のフェノールに由来する化合物である。グリコール又は2価のフェノールとしてはトリメチレングリコール、デカメチレングリコール、p−キシリレングリコール、1,2−ポリブタジエンジオール、1,4−ポリブタジエンジオール、ポリクロロプレンジオール、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどを例示できる。
【0049】
高分子ポリオールは1種を単独でまたは2種以上混合して用いることができる。高分子ポリオールとしては、反発弾性が高くかつ温度低下に伴う反発弾性の低下が小さい点で、エーテル系ポリオールが好ましい。エーテル系ポリオールの中ではポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが好ましく、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが特に好ましい。
【0050】
高分子ポリオールは、数平均分子量が、通常300〜5000程度、特に1000〜4000程度のものが好ましい。
<鎖延長剤>
鎖延長剤は、特に限定されず、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの鎖延長剤として公知の低分子ジオールや低分子ジアミンなどを広い範囲から選択して使用できる。
【0051】
このような低分子ジオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、p−キシリレングリコール、トリメチロールプロパン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、あるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等の脂肪族ジオール類;ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフチレンジオール、あるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等の芳香族ジオール類などを例示できる。
【0052】
また、低分子ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、エタンジアミン、ヒドラジンなどを例示できる。
【0053】
鎖延長剤は1種を単独でまたは2種以上混合して用いることができる。また、1種または2種以上の低分子ジオールと1種または2種以上の低分子ジアミンとを混合して用いることもできる。
【0054】
特に、エチレングリコール、ブタンジオール(1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール)、ヘキサンジオール(1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール)、ペンタンジオール(1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール)などが好ましい。さらに特に、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどが好ましい。
<材料の好ましい組み合わせ>
好ましい熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、以下の表1に示すポリイソシアネートとポリオールと鎖延長剤との組み合わせからなるものが挙げられる。
【0055】
【表1】
Figure 2004024834
【0056】
特に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)又はポリカプロラクトンポリオールとエチレングリコールとの組み合わせ、MDIとPTMG又はポリカプロラクトンポリオールと1,4−ブタンジオールとの組み合わせ、MDIとPTMG又はポリカプロラクトンポリオールと1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせで得られるものが好ましい。
【0057】
さらに、MDIとPTMGとエチレングリコールとから得られるもの、MDIとPTMGと1,4−ブタンジオールとから得られるものがより好ましい。
【0058】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの分子量は、80000〜200000程度、特に80000〜150000程度が好ましい。分子量が余りに低いとカバー表面の耐摩耗性が低下し、分子量が余りに高いと低温時の衝撃強度が低下する。上記分子量の範囲であれば、実用上十分な耐摩耗性と低温時衝撃強度を有するカバーが得られる。
【0059】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの全体量に対するハードセグメント(鎖延長剤とポリイソシアネートとからなる。)の含有量は、特に限定されず、広い範囲から選択することができるが、通常15〜65重量%程度、特に25〜50重量%程度とするのが好ましい。ハードセグメントの含有量が上記の範囲であれば、傷付き難いとともに打球時にソフトフィーリングが得られるゴルフボールとなる。
<製造方法>
本発明において使用する熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネートに、高分子ポリオールおよび鎖伸長剤を重付加させる公知の合成方法で製造することができる。また、原料の全ポリオール(ジオールを含む)とポリイソシアネートとの比は、特に限定されず、広い範囲から選択できるが、NCO/OH当量比で、通常0.9〜1.1程度、特に0.95〜1.05程度が好ましい。
【0060】
熱可塑性ポリウレタンエラストマーの市販品の例としては、BASFジャパン社製のエラストランET858D、エラストランC60D、エラストラン1154D、エラストランNY97等が挙げられる。
▲2▼シリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー
本発明におけるシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネート、ポリシロキサン、高分子ポリオールおよび鎖延長剤を反応させることにより得られるものである。
<ポリイソシアネート><高分子ポリオール><鎖延長剤>
ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖延長剤は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーについて説明したものと同様である。
<ポリシロキサン>
ポリシロキサンは、特に制限されず、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、チオール基、イソシアネート基などの官能基を有するものを広い範囲から選んで使用できる。ポリシロキサンは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。このような使用可能なポリシロキサンとして、例えば下記の式2〜29で表されるものが挙げられる。特に、下記の式15〜21で表されるアルコール変性ポリシロキサンが好ましい。
【0061】
【式2】
Figure 2004024834
【0062】
【式3】
Figure 2004024834
【0063】
【式4】
Figure 2004024834
【0064】
【式5】
Figure 2004024834
【0065】
【式6】
Figure 2004024834
【0066】
【式7】
Figure 2004024834
【0067】
【式8】
Figure 2004024834
【0068】
【式9】
Figure 2004024834
【0069】
【式10】
Figure 2004024834
【0070】
【式11】
Figure 2004024834
【0071】
【式12】
Figure 2004024834
【0072】
【式13】
Figure 2004024834
【0073】
【式14】
Figure 2004024834
【0074】
【式15】
Figure 2004024834
【0075】
【式16】
Figure 2004024834
【0076】
【式17】
Figure 2004024834
【0077】
【式18】
Figure 2004024834
【0078】
【式19】
Figure 2004024834
【0079】
【式20】
Figure 2004024834
【0080】
【式21】
Figure 2004024834
【0081】
【式22】
Figure 2004024834
【0082】
【式23】
Figure 2004024834
【0083】
【式24】
Figure 2004024834
【0084】
【式25】
Figure 2004024834
【0085】
【式26】
Figure 2004024834
【0086】
【式27】
Figure 2004024834
【0087】
【式28】
Figure 2004024834
【0088】
【式29】
Figure 2004024834
【0089】
また、ポリシロキサン1分子当たりのシリコン原子数は、特に限定されず、広い範囲から選択できるが、通常1〜650程度、特に2〜200程度、さらに特に20〜60程度が好ましい。
【0090】
また、ポリシロキサン1分子当たりの数平均分子量は、特に限定されず、広い範囲から選択できるが、通常100〜150000程度、特に200〜20000程度、さらに特に1000〜5000程度が好ましい。
【0091】
シリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーの分子量は、80000〜200000程度、特に80000〜150000程度が好ましい。分子量が余りに低いとカバー表面の耐摩耗性が低下し、分子量が余りに高いと低温時の衝撃強度が低下する。上記分子量の範囲であれば、実用上十分な耐摩耗性と低温時の衝撃強度を有するカバーが得られる。
【0092】
シリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーの全体量に対するポリシロキサンの含有量は、特に限定されず、広い範囲から選択できるが、通常8〜40重量%程度、特に8〜12重量%程度が好ましい。この範囲内であれば、温度変化による反発弾性の低下を抑制できるとともに、コスト高になりすぎることがない。<材料の好ましい組み合わせ>
好ましいシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、上記の表1に挙げたポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖延長剤の組み合わせに、さらにアルコール変性ポリシロキサンをそれぞれ組み合わせたものが挙げられる。
【0093】
特に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とアルコール変性ポリシロキサンとポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)又はポリカプロラクトンポリオールとエチレングリコールとの組み合わせ、MDIとアルコール変性ポリシロキサンとPTMG又はポリカプロラクトンポリオールと1,4−ブタンジオールとの組み合わせ、MDIとアルコール変性ポリシロキサンとPTMG又はポリカプロラクトンポリオールと1,6−ヘキサンジオールとの組み合わせで得られるものが好ましい。
【0094】
MDIとアルコール変性ポリシロキサンとε−カプロラクトンを開環重合させて得られるポリエステルジオールと1,4−ブタンジオールとから得られるもの、MDIとアルコール変性ポリシロキサンとPTMGと1,4−ブタンジオールとから得られるものがより好ましい。
【0095】
シリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーの全体量に対するハードセグメント(鎖延長剤とポリイソシアネートとからなる。)の含有量は、特に限定されず、広い範囲から選択することができるが、通常30〜75重量%程度、特に15〜65重量%程度、さらに特に25〜50重量%程度とするのが好ましい。ハードセグメントの含有量が上記の範囲であれば、傷付き難いとともに打球時にソフトフィーリングが得られるゴルフボールとなる。
<製造方法>
本発明において使用するシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、ポリイソシアネートに、高分子ポリオール、ポリシロキサンおよび鎖伸長剤を重付加させる公知の合成方法で製造することができる。また、原料の全ポリオール(ジオールを含む)とポリイソシアネートとの比は、特に限定されず、広い範囲から選択できるが、NCO/OH当量比で、通常0.9〜1.1程度、特に0.95〜1.05程度が好ましい。
【0096】
また、本発明において使用するシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、例えば、大日精化工業株式会社から、レザミンPSの商品名で種々のグレードのものを容易に入手できる。
▲3▼熱硬化性ポリウレタン
熱硬化性ポリウレタンは、架橋したポリウレタンであり、ポリイソシアネートと高分子ポリオールとの反応により得られるもの、ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖延長剤の反応により得られるもの、これらのポリウレタンについて硬化剤(高分子ポリオール以外の硬化剤)を別途用いて得られるもの等が挙げられる。
<ポリイソシアネート><高分子ポリオール><鎖延長剤>
ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖延長剤の種類については、熱可塑性ポリウレタンエラストマーについて説明したものと同様である。
<硬化剤>
硬化剤としては、熱硬化性ポリウレタンの硬化剤として公知のものを制限なく使用できる。このような硬化剤として、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、DBU、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエチルエーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン等のアミン触媒や、1分子中に水酸基を1個以上含有するアミン化合物、具体的にはジメチルアミノヘキサノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、4級アンモニウム塩類等の反応型アミン触媒等が挙げられる。
【0097】
また、このような公知の硬化剤として、例えばジブチル錫ジラウリレート、ラウリン酸錫ジクロリド、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、オクチル酸カリウム、酢酸カリウム、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケルなどの有機金属系触媒も挙げられる。
【0098】
硬化剤は1種を単独で又は2種以上を混合して使用できる。
<材料の好ましい組み合わせ>
好ましい熱硬化性ポリウレタンとしては、トリレンジイソシアネート、PTMG、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、PTMG、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの; MDI、PTMG、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;
トリレンジイソシアネート、PTMG及び1,4−ブタンジオールからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、PTMG及び1,4−ブタンジオールからなるもの; MDI、PTMG及び1,4−ブタンジオールからなるもの;
トリレンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;MDI、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;
トリレンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;MDI、ポリプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;
トリレンジイソシアネート、ポリエチレンアジペート又はポリブチレンアジペート又はポリヘキサメチレンアジペート、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、ポリエチレンアジペート又はポリブチレンアジペート又はポリヘキサメチレンアジペート、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;MDI、ポリエチレンアジペート又はポリブチレンアジペート又はポリヘキサメチレンアジペート、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;
トリレンジイソシアネート、ポリエチレンアジペート又はポリブチレンアジペート又はポリヘキサメチレンアジペート及び1,4−ブタンジオールからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、ポリエチレンアジペート又はポリブチレンアジペート又はポリヘキサメチレンアジペート及び1,4−ブタンジオールからなるもの;MDI、ポリエチレンアジペート又はポリブチレンアジペート又はポリヘキサメチレンアジペート及び1,4−ブタンジオールからなるもの;
トリレンジイソシアネート、ポリカプロラクトンポリオール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、ポリカプロラクトンポリオール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;MDI、ポリカプロラクトンポリオール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;
トリレンジイソシアネート、ポリカプロラクトンポリオール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、ポリカプロラクトンポリオール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;MDI、ポリカプロラクトンポリオール及び1,4−ブタンジオールからなるもの
等が挙げられる。
【0099】
特に、MDIとPTMG又はポリカプロラクトンポリオールと1,4−ブタンジオールとから得られるもの、MDIとPTMG又はポリカプロラクトンポリオールと1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンとから得られるものが好ましい。
【0100】
熱硬化性ポリウレタンの分子量は、通常80000〜150000程度、特に80000〜120000程度が好ましい。
【0101】
本発明で使用する熱硬化性ポリウレタンは公知の方法で製造できる。原料のポリオールとポリイソシアネートとの比率は、特に限定されないが、NCO/OH当量比で、通常0.9〜1.1程度、特に0.95〜1.05程度が好ましい。熱硬化性ポリウレタンとするためには、通常は、NCO/OH当量比を1より高くするが、本発明のゴルフボールでは、NCO/OH当量比を1前後(0.9〜1.1程度)にすることにより表面架橋層以外の架橋度を比較的低くしておく。電子線又はγ線照射によりカバー表面部分をさらに架橋することにより、表面部分のみ硬質の層とする。これにより、傷付き難いとともに、打球時にソフトフィーリングが得られるゴルフボールとなる。
【0102】
本発明で使用する熱硬化性ポリウレタンの市販品としては、ユニロイヤルケミカル社製のアジプレン、バイブラセン等が挙げられる。
▲4▼シリコーン変性熱硬化性ポリウレタン
シリコーン変性熱硬化性ポリウレタンは、非変性の熱硬化性ポリウレタンの製造においてさらにポリシロキサンを添加することにより得られる。ポリシロキサンおよびその使用量については、熱可塑性ポリウレタンエラストマーについて説明した通りである。
【0103】
シリコーン変性熱硬化性ポリウレタンとしては、トリレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの; MDI、アルコール変性ポリシロキサン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;
トリレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの; MDI、アルコール変性ポリシロキサン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;
トリレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;MDI、アルコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;
トリレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;MDI、アルコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコール及び1,4−ブタンジオールからなるもの;
トリレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、アジペート、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、アジペート、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;MDI、アルコール変性ポリシロキサン、アジペート、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;トリレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、アジペート及び1,4−ブタンジオールからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、アジペート及び1,4−ブタンジオールからなるもの;MDI、アルコール変性ポリシロキサン、アジペート及び1,4−ブタンジオールからなるもの;トリレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;MDI、アルコール変性ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンからなるもの;
トリレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及び1,4−ブタンジオールからなるもの;ナフタレンジイソシアネート、アルコール変性ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及び1,4−ブタンジオールからなるもの;MDI、アルコール変性ポリシロキサン、ポリカプロラクトン及び1,4−ブタンジオールからなるもの
等が挙げられる。
【0104】
特に、MDIとアルコール変性ポリシロキサンとPTMG又はポリカプロラクトンポリオールと1,4−ブタンジオールとから得られるもの、MDIとアルコール変性ポリシロキサンとPTMG又はポリカプロラクトンポリオールと1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパンとから得られるものが好ましい。
【0105】
シリコーン変性熱硬化性ポリウレタンの分子量は、通常80000〜150000程度、特に80000〜120000程度が好ましい。
【0106】
本発明で使用するシリコーン変性熱硬化性ポリウレタンは、公知の方法で製造できる。原料のポリオールとポリイソシアネートとの比率は、特に限定されないが、NCO/OH当量比で、通常0.9〜1.1程度、特に0.95〜1.05程度が好ましい。
【0107】
本発明で使用するシリコーン変性熱硬化性ポリウレタンは、例えば信越化学工業社から入手できる。
【0108】
カバーの主成分としては、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンに代えて、ポリエーテルウレアを使用することもできる。ポリエーテルウレアは、熱硬化性ポリウレタンに較べて耐熱性が良好でかつ生産性がよく、熱可塑性ポリウレタンエラストマーに較べて耐熱性がよい。ポリエーテルウレアとしては、例えばイハラケミカル社製ポレアなどが挙げられる。
▲5▼架橋助剤
カバーは、主成分に加えて少なくとも1種の多官能性モノマーからなる架橋助剤を含む。多官能性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベン、ジアリルフタレートのような2官能性モノマー;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートのような3官能性モノマー;テトラメチロールメタンテトラメタクリレートのような4官能性モノマー;デカブロモジフェニルエーテル;三酸化アンチモン等が挙げられる。このような架橋助剤を配合することにより、電子線又はγ線照射によるカバー表面部分の架橋が効率よく進行する。
【0109】
特に3官能性モノマーが好ましい。電子線照射による樹脂の崩壊を抑制し架橋効率を高める上では、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアクリルホルマール、デカブロモジフェニルエーテル、三酸化アンチモンが好ましく、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートがより好ましい。
【0110】
架橋助剤の配合比率は、主成分(熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱硬化性ポリウレタン又はポリエーテルウレア)100重量部に対して、通常0.1〜50重量部程度、特に0.5〜10重量部程度、さらに特に3〜8重量部程度が好ましい。この範囲内であれば、後述する電子線又はγ線照射によって熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱硬化性ポリウレタン又はポリエーテルウレアが崩壊することなく架橋を進行させることができるとともに、電子線又はγ線を照射した部分の機械的強度が低下することもない。また、この範囲内であれば、余りにカバー表面部分が硬くなることにより打撃時のソフトフィーリングを損なうこともない。
【0111】
架橋助剤は、射出成形などの方法でカバーを形成する際に、カバー材料に添加すればよい。カバーの主成分として熱硬化性ポリウレタンを使用する場合は、架橋助剤を予めポリオールに混合しておき、さらにポリイソシアネートと反応させることにより、架橋助剤によりカバー全体の架橋が進行し過ぎることを回避できる。
▲6▼その他
カバーには、この他、ゴルフボールのカバーに通常添加される充填剤、二酸化チタンのような着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0112】
カバーの厚さは、特に限定されないが、通常0.5〜2mm程度、特に0.8〜2mm程度が好ましい。また、電子線又はγ線照射架橋層を除くカバーの硬度は、特に限定されないが、通常ショアD硬度50〜75程度、特に50〜60程度が好ましい。
【0113】
また、カバー表面には、通常ディンプルが形成される。ディンプルの幾何学的配列は特に制限されず、8面体、20面体などの公知の配列を採用できる。また、ディンプルの形状も特に制限されず、スクウェアー型、ヘキサゴン型、ペンタゴン型、トライアングル型などの公知の形状を採用できる。
【0114】
カバーは、例えば射出成型などの公知の方法で形成することができる。また、後述する本発明の方法により形成することもできる。
▲7▼電子線又はγ線照射架橋層
カバーの表面部分は、電子線又はγ線照射架橋層(以下、「架橋層」と略する。)、すなわち電子線又はγ線を照射することにより架橋された層で形成されている。詳述すれば、カバーの表面部分は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱硬化性ポリウレタン(又はポリエーテルウレア)からなる主成分と、少なくとも1種の多官能性モノマーからなる架橋助剤とを含むカバーに、電子線又はγ線を照射することより得られた架橋層により形成されている。特に、比較的安全であること、及びそのために比較的小規模な設備で照射できることから、電子線照射により得られる架橋層であることが好ましい。
【0115】
架橋層のゲル分率は、カバーの主成分として熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる場合は、40%以上、特に45〜60%程度であることが好ましい。また、カバーの主成分として熱硬化性ポリウレタン又はポリエーテルウレアを用いる場合は70%以上、特に80〜100%程度であることが好ましい。この範囲内であれば、カバーが実用上十分な耐傷性及び耐摩耗性を有するものとなるとともに、ソフトフィーリングを有するものとなる。
【0116】
本明細書において、「ゲル分率」は、溶剤中に試験片を室温で8時間浸漬した後、不溶部分をさらにキシレンに120℃、8時間浸漬し、次式により算出した値である。溶剤としては、カバーの主成分として熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる場合は、テトラヒドロフランを用い、カバーの主成分として熱硬化性ポリウレタン又はポリエーテルウレアを用いる場合はジメチルフォルムアミドを用いる。
【0117】
ゲル分率=(キシレン浸漬後の不溶部分重量/初期重量)×100(%)
架橋層の厚さは、ゲル分率40%以上又は70%以上の層の厚さが0.2〜1.5mm程度、特に0.3〜1.0mm程度が好ましい。この範囲であれば、カバーの耐傷性を実用上十分なものにできるとともに、打撃時のソフトフィーリングを損なうこともない。
【0118】
カバー主成分が熱可塑性ポリウレタンエラストマーである場合は、架橋層の引張強度は、通常30〜70MPa程度、特に40〜60MPa程度が好ましい。また、100%モデュラスは、通常5.5〜30MPa程度、特に8〜25MPa程度が好ましい。カバー主成分が熱硬化性ポリウレタンである場合は、架橋層の引張強度は、通常25〜70MPa程度、特に30〜60MPa程度が好ましい。また、100%モデュラスは、通常7〜15MPa程度、特に8〜13MPa程度が好ましい。カバー主成分がポリエーテルウレアである場合は、架橋層の引張強度は、通常35〜50MPa程度、特に38〜45MPa程度が好ましい。また、100%モデュラスは、通常10〜35MPa程度、特に12〜30MPa程度が好ましい。
【0119】
架橋層は、中間層表面上にカバーを形成した後に、カバー表面に電子線又はγ線を均一に照射することにより形成することができる。また、後述する本発明方法、すなわちカバーとなるシートに電子線又はγ線を均一に照射した後、該シートを用いて中間層表面上にカバーを形成する方法によっても形成することができる。
【0120】
電子線又はγ線は、250KeV〜1MeV程度のエネルギーのものを、吸収線量が3〜50Mrad程度になるように照射する。250KeV〜1MeV程度のエネルギーのものを、3〜30Mrad程度、特に4〜20Mrad程度、さらに特に5〜10Mrad程度になるように照射することが好ましい。最も好ましくは、400KeV〜750KeV程度のエネルギーの電子線又はγ線を、吸収線量が5〜10Mrad程度になるように照射すればよい。吸収線量、電子線又はγ線のエネルギー及びカバー材料により有効飛程距離が定まるため、架橋層の厚さが0.2〜1.5mm程度の範囲内で所望の厚さになるように、吸収線量を定めればよい。
【0121】
カバーに含まれる架橋助剤の種類、その量、電子線又はγ線の照射量、雰囲気、照射時の温度などを適宜設定することにより、ゲル分率40%以上又は70%以上の部分の厚さが0.2〜1.5mm程度の架橋層を形成することができる。
【0122】
電子線又はγ線照射は、従来公知の電子線又はγ線照射装置を用いて、ボールを回転させつつ行い、カバー表面に均一に電子線又はγ線が照射されるようにする。
本発明の耐傷性ゴルフボールの第 の製造方法
本発明の第1の耐傷性ゴルフボールの製造方法は、カバーとなるシートを成形した後、該シートの一方の面に電子線又はγ線を照射することにより電子線又はγ線照射架橋層を形成する工程Aと、該シートの電子線又はγ線照射架橋層で凸面を形成するようにして、該シートを用いて半球状のカバーピースを成形する工程Bと、別途成形された芯材を一対のカバーピース間に挿入し、両カバーピースの開口縁部を当接させた後、加熱することにより、芯材表面上にカバーを有するゴルフボールを得る工程Cとを含む方法である。
(1)工程
工程Aでは、カバーとなるシートを成形した後、該シートの一方の面に電子線又はγ線を照射することにより架橋層を形成する。
【0123】
カバーとなるシートの材料は、特に制限されず、ゴルフボールのカバー材料として従来用いられている熱可塑性エラストマー、アイオノマー樹脂などを基材とする組成物を使用できる。特に、本発明の耐傷性ゴルフボールのカバー材料として説明した熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物又は変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物(特にシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー組成物)が好適に用いられる。
【0124】
シートの形成方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂の成形方法として通常用いられる押し出し成形、射出成形などの方法を採用できる。特に、押し出し成形により連続的にシートを形成することが好ましい。
【0125】
次いで、成型したシートに電子線又はγ線を照射する。電子線又はγ線の照射量は、本発明の耐傷性ゴルフボールについて説明したと同じである。電子線又はγ線の照射は、連続的に形成されたシートに対して連続的に行えばよい。
(2)工程
工程Bでは、工程Aで形成されたカバー用シートの架橋層で凸面を形成するようにして、該シートを用いて半球状のカバーピースを成形する。
【0126】
半球状カバーピースを形成方法するにあたっては、例えば熱成型法を採用できる。すなわち例えば、図1に示すように、半球状の凹部11を有するキャビティ型1の該凹面に接するようにカバー用シートSを配置し、凹部11に嵌め合わされる半球状凸部21を有するコア型2の凸部21でシートSを押圧することにより、シートSの形状を凹部11形状に合致させることができる。カバー用シートSは、架橋層S1が凹面に接するようにして凹部11内に配置する。キャビティ型1は、その凹部11にディンプルを形成するための印象型が形成されたものを使用することができる。
【0127】
また、シートSに半球状部分を形成するために、真空成型法を採用することもできる。すなわち例えば図2に示す金型を用いることもできる。図2の金型は、図1の金型において、キャビティ型1に凹部11内を真空引きするための吸引口12が設けられたものである。その他の部品は図1の金型と同様であり、同じ部品には同じ符号を付している。この金型を用い、キャビティ型1の凹部11内にシートSを配置した後、吸引口12を通じて凹部11とシートSとの間の空間を真空引きすることによりシートを凹部11形状に合致させることもできる。この場合も、カバー用シートSは、架橋層S1が凹面に接するようにして凹部11内に配置する。
【0128】
シートSをキャビティ型1内に配置する前には、シートSを加熱することにより軟化させることが好ましい。加熱温度は、シートSの基材の種類によっても異なるが、シートS基材樹脂のビカット軟化温度(JIS  K−7206)より30〜60℃程度高い温度とすることが好ましい。カバー基材が熱可塑性ポリウレタンエラストマーである場合には、通常120〜190℃程度、特に130〜170℃程度が好ましい。また、カバー基材がシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーである場合には、通常130〜200℃程度、特に140〜180℃程度が好ましい。
【0129】
この他、高周波誘導加熱法により凹部形状に合致したシートを形成することもできる。
【0130】
凹部形状に合致したシートを形成した後、図1及び図2に示すように、ナイフ、ウオータージェット、レーザーなどを用いて、例えばX−X線部分で半球状シートを残余の部分から切り離せばよい。これにより半球状カバーピースが得られる。
(3)工程C
工程Cでは、別途成形された芯材を一対の半球状カバーピース間に挿入し、両カバーピースの開口縁部を当接させた後、加熱することにより、芯材表面上にカバーを有するゴルフボールを得る。本明細書において「芯材」には、コア及びコア表面に1層若しくは2層以上の中間層が形成されたものの双方が含まれる。
【0131】
詳述すれば、例えば図3(A)に示すように、一対の半球状カバーピースS’を各凹型1の凹部11に密着させた状態で、一対のカバーピースS’間に芯材3を挿入し、両凹型1で一対の半球状カバーピースS’及び芯材3を加熱及び押圧することにより、カバーピースの開口縁部間が融着し、図3(B)に示すように、芯材3表面上にカバー4が形成されたゴルフボールが得られる。加熱は、カバー及び中間層を構成する基材樹脂の種類によっても異なるが、金型を通常カバーを構成する基材樹脂のビカット軟化温度(JIS  DK−7206)より20〜50℃程度、特に30〜40℃程度高い温度の温度に加熱することにより行うことができる。カバー基材が熱可塑性ポリウレタンエラストマーである場合には110〜180℃程度、特に120〜160℃程度の温度に加熱することにより行うことが好ましい。また、カバー基材がシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーである場合には120〜190℃程度、特に130〜170℃程度の温度に加熱することにより行うことが好ましい。さらに、金型を80℃程度まで冷却後、脱型する。
【0132】
カバーが形成された後は、通常、成型継ぎ目を除去するとともに塗料の付着性を向上させるためにカバー表面が研磨され、塗装され、透明コーティングが施されてゴルフボールが完成する。
本発明の耐傷性ゴルフボールの第2の製造方法
本発明の第2の耐傷性ゴルフボールの製造方法は、カバーとなるシートを成形した後、該シートの一方の面に電子線又はγ線を照射することにより電子線又はγ線照射架橋層を形成する工程Aと、中間層となる1又は複数のシートを成型する工程Dと、カバーとなるシートの電子線又はγ線非照射面と1又は複数の中間層となるシートとが接するように、カバーとなるシートと中間層となるシートとを圧接して多層シートを形成する工程Eと、該多層シートの電子線又はγ線照射架橋層で凸面を形成するようにして、該多層シートを用いて半球状の外層ピースを成形する工程B’と、別途成形されたコアを一対の外層ピース間に挿入し、両外層ピースの開口縁部を当接させた後、加熱することにより、コア、カバーおよびコアとカバーとの間の1または複数の中間層を有するゴルフボールを得る工程C’とを含む。
工程
カバー用シートを成型し電子線又はγ線照射する工程Aは、本発明の第1の耐傷性ゴルフボールにおいて説明した通りである。
工程
工程Dでは、中間層となる1層又は複数層のシートを形成する。中間層の数は特に制限されないが、特に1層または2層が好ましい。
【0133】
中間層となるシートの材料は特に制限されず、ゴルフボールの中間層材料として従来用いられている熱可塑性エラストマーまたはアイオノマー樹脂などを基材とする組成物を使用できる。
【0134】
中間層用シートの形成方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂の成形方法として通常用いられる押し出し成形、射出成形などの方法を採用できる。特に、押し出し成形により連続的にシートを形成することが好ましい。1又は2以上の中間層用シートは、順次形成してもよいが、同時に形成してもよい。中間層用シートの厚さは、合計で、通常0.5〜3mm程度、特に1〜2mm程度とするのが好ましい。
工程
工程Eでは、カバーとなるシートの電子線又はγ線非照射面と中間層となるシートとが接するように、カバーとなるシートと中間層となるシートとを圧接して多層シートを形成する。
【0135】
詳述すれば、例えば、カバー用シートの電子線又はγ線非照射面と中間層となるシートとが接するように、カバー用シートと1又は2以上の中間層用シートとを重ねた状態で一対の圧接ローラ間を通過させることにより多層シートを形成することができる。圧接ローラは、各シートを構成する基材樹脂の種類によっても異なるが、各シートが十分軟化する温度に加熱することが好ましい。
【0136】
カバー用シートを成型する工程Aと、中間層を成型する工程Bとは、順次行ってもよいが、併行して行えば生産効率が向上する。カバー用シートの成型と中間層用シートの成型とを併行して行った後、多層シートを形成する方法の1例を図4に示す。
【0137】
図4の装置は、押し出し成型機61、62と、成型機61から押し出し成型されるカバー用シートに電子線又はγ線照射するための電子線又はγ線照射装置7と、それぞれ押し出されたカバー用シート及び中間層用シートを案内するガイドローラ81及び82と、カバー用シート及び中間層用シートを熱圧接することにより多層シートを形成するための一対の熱圧接ローラ83、83’とを備えている。
【0138】
この装置を用いて、多層シートを形成するにあたっては、成型機61からカバー用シートSが押し出し成型され、このシートSが電子線又はγ線照射装置7の下を通過して電子線又はγ線が照射されることによりシートS表面に架橋層S1が形成される。また、併行して成型機62から中間層用シートFが押し出し成型される。シートS及びFは、それぞれガイドローラ81及び82により案内されて、加熱された熱圧接ローラ83及び83’間を通過することにより互いに融着され、その結果多層シートSFが得られる。
工程 B’
工程B’では、多層シートの電子線又はγ線架橋層で凸面を形成するようにして、該多層シートを用いて半球状の外層ピースを形成する。本明細書において、「外層」には、カバー及び1又は2以上の中間層からなる層の双方が含まれる。半球状外層ピースの形成方法は、第1の耐傷性ゴルフボールの製造方法の工程Bと同様である。
工程 C’
工程C’では、別途成型されたコアを一対の外層ピース間に挿入し、両外層ピースの開口縁部を当接させた後、加熱することにより、コア、カバー及びコアとカバーとの間に1層又は複数層の中間層を有するゴルフボールを得る。本工程は、第1の耐傷性ゴルフボールの製造方法の工程Cと同様である。
【0139】
【発明の効果】
本発明によると、ソフトフィーリングと飛距離とを兼ね備えるとともに、耐傷性に優れるゴルフボール及びその効率的な製造方法が提供される。
【0140】
さらにいえば、カバー基材として、高い反発弾性を有する熱可塑性ポリウレタンエラストマー、変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱硬化性ポリウレタン又は変性熱硬化性ポリウレタンを採用することにより、ソフトフィーリング及び飛距離を兼ね備えたゴルフボールが得られるところ、これらの樹脂は比較的柔らかいために耐傷性に劣る傾向にある。カバーの耐傷性を向上させるために、カバー表面部分を硬い材料からなる薄層で形成することも考えられるが、この場合には打撃時のフィーリングが硬くなる。本発明のゴルフボールは、カバーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱硬化性ポリウレタン又は変性熱硬化性ポリウレタンを基材とする材料で構成されているとともに、その表面部分が電子線又はγ線照射架橋層で形成されているため、ソフトフィーリング、飛距離及び耐傷性を兼ね備えたものとなる。
【0141】
また、すでにカバーで被覆されたゴルフボールのカバー表面に均一に電子線又はγ線を照射するには、照射中にボールを回転させる必要があり、装置構造が複雑になるという難点がある。本発明方法では、カバーとなるシートに電子線又はγ線照射した後、該シートでカバーを形成するため、均一な電子線又はγ線照射架橋層を容易に形成することができる。
【0142】
【実施例】
以下、本発明を、実施例および試験例を示して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0143】
電子線量及び架橋助剤量の検討>
エーテル系熱可塑性ポリウレタンエラストマー(レザミン2288、大日精化工業社製)にトリメチロールプロパントリメタクリレートを、レザミン2288 100重量部に対して4〜7重量部添加して成形された100mm×100mm×厚さ2mmの試験片に、電子線照射装置を用いて、10MeVの電子線を3〜24Mrad照射した。
【0144】
電子線照射により架橋した部分のJIS−A硬度、引張強度(JIS K7311)、伸び(JIS K7311)、10%モデュラス(JIS K7311)、100%モデュラス(JIS K7311)、DIN摩耗(JIS K6264)及びゲル分率を測定した。引張強度及び伸びは500mm/秒の速度で試験片を伸長させつつ測定した。結果を以下の表2に示す。
【0145】
【表2】
Figure 2004024834
【0146】
表2の結果、トリメチロールプロパントリメタクリレートの添加量が熱可塑性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して5〜7重量部の場合に、特に、DIN摩耗が少なく、ゲル分率も高いことが分かる。また電子線の照射量が3Mrad以上でゲル分率40%以上となり、また引張強度、伸び、10%モデュラス及びゲル100%モデュラスのいずれもが大きくなり好ましいことが分かる。また、架橋助剤の添加量が少ない場合は、吸収線量が12Mradでは強度が低下する場合がある。また、架橋助剤の添加量4〜7重量部の範囲で、電子線の照射線量が3〜12Mradの場合にDIN摩耗が少なくなり好ましいことが分かる。
【0147】
実施例1
・芯材の形成
ブタジエンゴム(BR−11、JSR社製)を用いて、圧縮成型により直径36.7mmのコアを形成した。
【0148】
コアの外側に、アイオノマー樹脂(ハイミラン1605とハイミラン1705とを50重量%づつ配合したもの、いずれも三井デュポンポリケミカル社製)を用いて射出成型により厚さ15mmの中間層を形成することにより芯材3を成型した。中間層硬度は、JIS−C硬度81であった。
・カバーの形成
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(レザミン2597、大日精化工業社製)100重量部とトリメチロールプロパントリアクリレート5重量部とを配合したエラストマー組成物を用いて厚さ1.5mmのカバー用シートを押し出し成型により形成した。また、押し出し成型されたシートに電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製)を用いて連続的に500KeVの電子線を5Mrad照射した。電子線照射は大気中で行った。これにより、ゲル分率55%の電子線照射架橋層が0.5mm形成された。
【0149】
次いで、シートSを160℃に加熱することにより軟化させた後、図1の金型の凹型1の凹部11内に配置し、凸部21を凹部11に嵌合させた状態で10秒間押圧することによりシートSを凹部11の形状に合致させた。
【0150】
次いで、シートSをX−X線部分で切断することにより半球状カバーピースS’を形成した。さらに、図3に示すように、凹型1の凹部11内に密着された状態の一対の半球状カバーピースS’、S’間に芯材3を挿入し、150℃に加熱した凹型1を閉じることにより半球状カバーピースS’及び芯材3を10秒間押圧した。さらに金型を80℃程度まで冷却し、脱型した。
【0151】
これにより芯材表面に厚さ1.5mmのカバーが形成された。架橋層を除くカバーの硬度はショアD硬度55であった。また架橋層の硬度はショアD硬度66であった。
【0152】
実施例2
実施例1において、カバー基材として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーに代えてシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマー(55D品(グレードなし)、大日精化工業社製)を用いた他は、実施例1と同様にしてスリーピースゴルフボールを製造した。架橋層を除くカバーの硬度は、ショアD硬度54であった。また架橋層の硬度はショアD硬度66であった。
【0153】
実施例3
実施例1において、カバー基材として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーに代えて熱硬化性ポリウレタン(52D品、商品名バイブラセンB635、ユニロイヤルケミカル社製)を用いた他は、実施例1と同様にしてスリーピースゴルフボールを製造した。電子線照射によりゲル分率95%の電子線照射架橋層が0.5mm形成された。電子線照射架橋層を除くカバーの硬度は、ショアD硬度50Dであった。また架橋層の硬度はショアD硬度55Dであった。
【0154】
比較例1
実施例1において、中間層材料として熱可塑性ポリウレタンエラストマー(レザミン2597、大日精化工業社製)を用い、カバー材料としてアイオノマー樹脂(ハイミラン1605とハイミラン1705とを50重量%づつ配合したもの、いずれも三井デュポンポリケミカル社製)を用いた。また、架橋助剤のトリメチロールプロパントリアクリレートは添加せず、電子線照射も行わなかった。その他は、実施例1と同様にしてスリーピースゴルフボールを製造した。中間層硬度は、JIS−C硬度55であり、カバー硬度はショアD硬度68であった。
【0155】
比較例2
実施例1において、カバーに電子線を照射しなかった他は、実施例1と同様にしてスリーピースゴルフボールを製造した。中間層の硬度は、JIS−C硬度81であり、架橋層の硬度はショアD硬度55であった。
【0156】
比較例3
実施例1において、カバーへの電子線の照射量を60Mradとした他は、実施例1と同様にしてスリーピースゴルフボールを製造した。中間層の硬度は、JIS−C硬度81であった。架橋層を除くカバーの硬度は、ショアD硬度55であり、架橋層の硬度はショアD硬度60であった。
【0157】
比較例4
実施例1において、カバー中の架橋助剤であるトリメチロールプロパントリアクリレートを配合しない他は、実施例1と同様にしてスリーピースゴルフボールを製造した。中間層の硬度は、JIS−C硬度81であった。架橋層を除くカバーの硬度は、ショアD硬度55であり、架橋層の硬度はショアD硬度56であった。
【0158】
比較例5
実施例1において、カバー中の架橋助剤であるトリメチロールプロパントリアクリレートの配合量を熱可塑性ポリウレタンエラストマー100重量部に対して60重量部とした他は、実施例1と同様にしてスリーピースゴルフボールを製造した。中間層の硬度は、JIS−C硬度81であった。架橋層を除くカバーの硬度は、ショアD硬度55であり、架橋層の硬度はショアD硬度70であった。
比較例6
実施例3において、架橋助剤のトリメチロールプロパントリアクリレートを添加せず、電子線を照射しなかった他は、実施例3と同様にしてスリーピースゴルフボールを製造した。カバーの硬度は、ショアD硬度52Dであった。
反発係数>
実施例1〜3及び比較例1〜6により得られた各ボールの0℃および23℃における反発係数を求めた。反発係数は、予め設定温度下に24時間以上放置しておいたボールをフリーの薄い鉄板に当て、衝突前のボールスピードVinと、衝突後のボールスピードVoutとを測定し、下記の式に当てはめることにより求めた。VinおよびVoutの測定は、各例5個づつ行い、平均値を求めた。
【0159】
Vout/Vin=(eM−m)/(M+m)
Vout:衝突後のボールスピード
Vin:衝突前のボールスピード
e:反発係数
M:鉄板の重量(g)
m:ボールの重量(g)
飛距離試験・バックスピン速度試験>
実施例1〜3、比較例1〜6の各ボールを、スウィングロボットを用いてドライバー(ヘッドスピード44m/秒)及び5番アイアン(ヘッドスピード33m/秒)で打撃し、キャリー(着弾点までの距離)及びバックスピン速度を測定した。バックスピン速度は、打撃直後のボールの挙動を高速度カメラで写真撮影し、画像処理計測により求めた。各ボール5回づつ行い、平均値を求めた。
【0160】
<フィーリング>
実施例1〜3、比較例1〜6の各ボールを、トップアマチュアゴルファー3名が、1番ウッド及び5番アイアンを用いて打撃し、フィーリングを評価した。多数の結果を採用した。
【0161】
<耐擦り傷性試験>
実施例1〜3、比較例1〜6の各ボールを、スウィングロボットを用いてピッチングウェッジ(ヘッドスピード37m/秒)で打撃し、打撃後のボールについて、目視によりカバー表面の擦り傷を評価した。各例5個づつ試験を行った。また、以下の評価基準に従い耐擦傷性を数値化し、平均値を求めた。
【0162】
1点:ボール表面に全く損傷がない。
【0163】
2点:小さな切り傷やフェース痕が少しある。
【0164】
3点:表面が毛羽立ち、ささくれが目立つ。
【0165】
4点:亀裂やディンプルの削れがある。
【0166】
<耐切り傷性試験>
実施例1〜3、比較例1〜6の各ボールのトップを、スウィングロボットを用いてピッチングウェッジ(ヘッドスピード33m/秒)で打撃し、打撃後のボールについて、目視によりカバー表面の切り傷の有無を評価した。各例5個づつ試験を行った。また、以下の評価基準に従い耐切り傷性を数値化し、平均値を求めた。
【0167】
1点:ボール表面に全く切り傷がない。
【0168】
2点:小さな切り傷が少しある。
【0169】
3点:切り傷が目立つ。
【0170】
4点:亀裂やディンプルの削れがある。
【0171】
各ボールの層構成、反発係数、飛距離(キャリー)、バックスピン速度、フィーリング、耐擦り傷性試験及び耐切り傷性試験の結果を以下の表3にまとめて示す。
【0172】
【表3】
Figure 2004024834
【0173】
表3から、カバーがアイオノマー樹脂からなる比較例1のボール、カバーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるが架橋助剤の添加量が多い比較例5のボールでは、飛距離が長く、耐擦り傷性及び耐切り傷性に優れるが、フィーリングが硬く、バックスピン速度が低かった。一方、カバーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるが電子線照射していない比較例2のボール、カバーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるが電子線照射量が多い比較例3のボール、カバーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなるが架橋助剤を添加していない比較例4のボール及びカバーが熱硬化性ポリウレタンからなるが架橋補助剤を添加せず電子線照射しなかった比較例6のボールでは、フィーリングが良く、バックスピン速度も高いが、飛距離が短く、耐擦り傷性及び耐切り傷性が劣っていた。
【0174】
これに対して、本発明の実施例1〜3のボールでは、フィーリングが良く、バックスピン速度も高いとともに、飛距離が長く、耐擦り傷性及び耐切り傷性が優れていた。また、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとして特にシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーを使用した実施例2のボールでは、特に温度低下に伴う反発係数の低下が抑制されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】半球状カバーシートを形成する工程の1例を示す図である。
【図2】半球状カバーシートを形成する工程の他の例を示す図である。
【図3】半球状カバーシートを用いて芯材表面にカバーを形成する工程を説明する図である。
【図4】カバー及び中間層からなる多層シートを形成する工程を説明する図である。
【符号の説明】
1 キャビティ型
11凹部
2 コア型
21凸部
3 芯材
4 カバー
61、62押し出し成形機
7 電子線又はγ線照射装置
81、82 ガイドローラ
83、83’  熱圧接ローラ
S  シート
S1 架橋層
S’ カバーピース
F  中間層用シート
SF 多層シート

Claims (11)

  1. コア、カバーおよびコアとカバーとの間の1または複数の中間層を有し、カバーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタンを主成分として含むとともに、少なくとも1種の多官能性モノマーからなる架橋助剤を含み、カバーの表面部分が電子線又はγ線照射架橋層で形成されていることを特徴とする耐傷性ゴルフボール。
  2. 電子線又はγ線照射架橋層のゲル分率が、カバー主成分として熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる場合は40%以上であり、カバー主成分として熱硬化性ポリウレタンを用いる場合は70%以上である請求項1に記載の耐傷性ゴルフボール。
  3. 電子線又はγ線照射架橋層の厚さが、0.2〜1.5mmである請求項1又は2に記載の耐傷性ゴルフボール。
  4. カバー中の架橋助剤の配合量が、熱可塑性ポリウレタンエラストマー又は熱硬化性ポリウレタン100重量部に対して、0.1〜50重量部である請求項1、2又は3に記載の耐傷性ゴルフボール。
  5. カバー主成分として熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる請求項1から4のいずれかに記載の耐傷性ゴルフボール。
  6. 熱可塑性ポリウレタンエラストマーがシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーである請求項5に記載の耐傷性ゴルフボール。
  7. シリコーン変性ポリウレタンエラストマーがポリシロキサンを8〜40重量%含む請求項6に記載の耐傷性ゴルフボール。
  8. カバーとなるシートを成形した後、該シートの一方の面に電子線又はγ線を照射することにより電子線又はγ線照射架橋層を形成する工程と、
    該シートの電子線又はγ線照射架橋層で凸面を形成するようにして、該シートを用いて半球状のカバーピースを成形する工程と、
    別途成形された芯材を一対のカバーピース間に挿入し、両カバーピースの開口縁部を当接させた後、加熱することにより、芯材表面上にカバーを有するゴルフボールを得る工程と
    を含むことを特徴とする耐傷性ゴルフボールの製造方法。
  9. カバーとなるシートに吸収線量が、3〜50Mradとなるように電子線又はγ線を照射する請求項8に記載の耐傷性ゴルフボールの製造方法。
  10. カバーとなるシートを成形した後、該シートの一方の面に電子線又はγ線を照射することにより電子線又はγ線照射架橋層を形成する工程と、
    中間層となる1又は複数のシートを成型する工程と、
    カバーとなるシートの電子線又はγ線非照射面と中間層となるシートとが接するように、カバーとなるシートと1又は複数の中間層となるシートとを圧接して多層シートを形成する工程と、
    該多層シートの電子線又はγ線照射架橋層で凸面を形成するようにして、該多層シートを用いて半球状の外層ピースを成形する工程と、
    別途成形されたコアを一対の外層ピース間に挿入し、両外層ピースの開口縁部を当接させた後、加熱することにより、コア、カバーおよびコアとカバーとの間の1または複数の中間層を有するゴルフボールを得る工程と
    を含むことを特徴とする耐傷性ゴルフボールの製造方法。
  11. カバーとなるシートに吸収線量が、3〜50Mradとなるように電子線又はγ線を照射する請求項10に記載の耐傷性ゴルフボールの製造方法。
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