JP2004024784A - プレス仕上げ装置 - Google Patents

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Washiyuku Nishio
西尾 和淑
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Abstract

【課題】生地を全面にわたって均一な力で加圧することができ、また、襟・カフス部の縮みや表生地のたるみを解消でき、しかも、構造が簡単で、仕上げ時間も短くて済むプレス仕上げ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】プレス面を有するプレス体と、受け面を有するプレス台と、前記プレス体又は前記プレス台の昇降手段とを備え、前記プレス面と前記受け面とで生地を挟持してプレス仕上げするプレス仕上げ装置において、
前記プレス面又は前記受け面を弾性膜により形成し、流体で前記弾性膜を膨張及び収縮させる膨縮手段を設け、膨張した前記弾性膜を前記生地に押圧してプレス仕上げすることを特徴とする。
【選択図】  図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばワイシャツやブラウスの襟部やカフス部のようなシャツ類の湾曲仕上げ部をプレス仕上げするための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プレス仕上げ装置は、凹曲状のプレス面を有するプレス体と、凸曲状の受け面を有するプレス台とを備え、プレス体若しくはプレス台を昇降させて前記プレス面と前記受け面とを合致させることにより前記受け面上のワイシャツの襟部及びカフス部のプレス仕上げを行うようになっている。
【0003】
ところで、ワイシャツの襟部及びカフス部は、表生地と裏生地との間に接着芯地を挟んだサンドイッチ構造になっており、洗濯により接着芯地が収縮した状態でプレス仕上げした場合には、襟部及びカフス部の寸法が小さくなったり、また、表生地と接着芯地とは接着されていることにより、表生地にたるみが生じるという問題があった。
【0004】
そこで、特開2001―190900号公報に記載されるように、上鏝(プレス体)及び下鏝(プレス台)をそれぞれ3分割し、本体部材の両側に位置する可動部材で襟・カフス部の両端を挟んで襟・カフス部を引っ張った状態でプレス仕上げする装置は提案されるに至った。
【0005】
かかる装置によれば、襟部及びカフス部の縮みや表生地のたるみは解消されるものの、単にプレス体若しくはプレス台を昇降させるだけでプレス仕上げを行うのに較べて、構造や制御が複雑化し、仕上げ時間も長くなるという問題があった。
【0006】
また、従来のプレス仕上げ装置は、プレス時の上鏝と下鏝との隙間が均一になるので、テカリやシワが生じる等の問題があった。
【0007】
すなわち、共縫い等で生地に厚み差があると、厚みのある部分ではテカリが生じる。また、共縫いの生地の素材が異なる場合等には、生地の収縮差等によってシワが生じ、加圧された部分と加圧されない部分との間でもシワが生じる。更に、ボタンのめり込みによってもシワが生じ、芯材の挿入部分では該芯材が生地にくっきりと浮き出てしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、縫合生地に厚み差などがあっても、生地を全面にわたって均一な力で加圧することができ、また、襟・カフス部の縮みや表生地のたるみを解消でき、しかも、構造が簡単で、仕上げ時間も長くならないプレス仕上げ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のプレス仕上げ装置は、前記課題を解決するために、プレス面を有するプレス体と、受け面を有するプレス台と、前記プレス体又は前記プレス台の昇降手段とを備え、前記プレス面と前記受け面とで生地を挟持してプレス仕上げするプレス仕上げ装置において、前記プレス面又は前記受け面を弾性膜により形成し、前記弾性膜を流体で膨張及び収縮させる膨縮手段を設け、膨張した前記弾性膜を前記生地に押圧してプレス仕上げするように構成したことを特徴とする。
【0010】
また、前記プレス体の前記プレス面を凹曲状に形成し、前記流体の流入及び流出で膨張及び収縮する前記弾性膜により前記受け面を形成し、前記弾性膜の上に載せられるシャツ類の湾曲仕上げ部の両端を挟持する挟持手段を設け、収縮した前記弾性膜の上に位置する前記湾曲仕上げ部の両端を前記挟持手段で挟持した状態で、前記弾性膜を膨張させて該弾性膜を前記プレス面に合致させるように構成するのが望ましい。
【0011】
また、凸曲状に膨張する前記弾性膜により前記受け面を形成し、前記プレス体又は前記プレス台を昇降させて前記プレス体のプレス面に、膨張した前記弾性膜を押圧することにより、前記プレス面への前記弾性膜の接触部分を前記弾性膜の頂上部から裾野部分に向けて拡げるように構成するのが望ましい。
【0012】
また、前記弾性膜は前記プレス台上面を覆い、前記流体を前記プレス台上面と前記弾性膜との間に給排して前記弾性膜を膨張及び収縮させるのが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
第1の実施の形態
図1乃至図7は第1の実施の形態を示している。
【0015】
図1に示すように、プレス仕上げ装置は、プレス体1と、プレス台2と、装置フレーム3と、流体圧シリンダ4aから成る昇降手段4と、弾性膜9と、弾性膜9を膨張及び収縮させるための加圧・吸引部10を有する膨縮手段、湾曲仕上げ部の左右両端を挟持する挟持手段11と、これらを総括的に制御する図外の制御手段とを備え、シャツ類の湾曲仕上げ部である襟部A及びカフス部Bを同時にプレス仕上げできるようになっている。
【0016】
プレス体1は装置フレーム3の上フレーム3aに固定され、プレス台2は昇降手段4により昇降し、プレス台2を上昇させてプレス体1とプレス台2とを合致させることによりワイシャツの襟部A及びカフス部Bをプレス仕上げするものである。
【0017】
プレス体1は、凹曲状の襟プレス面5aを有する襟プレス体5と、襟プレス体5の両側に配設される凹曲状のカフスプレス面6aを有するカフスプレス体6と、襟プレス体5及びカフスプレス体6が固定される固定板1aとを備えている。
【0018】
プレス台2は、襟台7とこの襟台7の両側に配設される一対のカフス台8とを基台2aに取り付けて構成されている。
【0019】
図1に示すように、襟台7は中空体であって、襟台7の上面側には襟プレス面5aの曲率よりも小さな曲率を有する凸曲状の襟受け面7aが形成され、襟台7には複数の給排孔7bが均一な密度で形成され、襟台7の底部には流通孔7cが設けられている。
【0020】
また、カフス台8は中空体であって、カフス台8の上面側にはカフスプレス面6aの曲率よりも小さな曲率を有する凸曲状のカフス受け面8aが形成され、カフス台8には複数の給排孔8bが均一な密度で形成されている。カフス台8の底部には流通孔8cが設けられている。
【0021】
カフス受け面8aは弾性膜9で覆われ、弾性膜9の周縁部はカフス台8の底部の周縁部に固定されている。また、
弾性膜9は、例えば、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性を有する材質の成形体であり、プレス仕上げが可能な程度の厚みに設定されている。
【0022】
襟受け面7a及びカフス受け面8aの上には弾性膜9がそれぞれ配設され、弾性膜9の周縁部は襟台7及びカフス台8の底部の周縁部にそれぞれ付着されている。
【0023】
挟持手段11は、襟プレス面5a及びカフスプレス面6aのそれぞれの両側部に設けられる上挟持部11aと、襟台7及びカフス台8のそれぞれの両側部に設けられる下挟持部11bとで構成され、プレス台2を上昇させることにより、上挟持部11aと下挟持部11bとにより襟部A及びカフス部Bのそれぞれの左右両端を挟持するものである。
【0024】
基台2aには流通路12が設けられ、該流通路12の先端側は分岐して襟台7の流通孔7c及びカフス台8の流通孔8cに接続されている。また、流通路12の後端部は可撓管13を介して流体の加圧・吸引部10に接続されている。
【0025】
加圧・吸引部10は、ピストン10aが装着されたシリンダー10bにより構成され、可撓管13、流通路12、襟台7、カフス台8及びシリンダー10b内に満たされた流体(空気、オイル等)を、ピストン10aで圧送することにより、襟台7の給排孔7bから弾性膜9と襟台7との間に流体が流入すると共に、カフス台8の給排孔8bから弾性膜9とカフス台8との間に流体が流入し、それぞれの弾性膜9を膨張させる。逆に、ピストン10aで流体を吸引することにより、弾性膜9と襟台7との間及び弾性膜9とカフス台8との間から流体が抜け、弾性膜9が収縮して元の形に戻る。なお、弾性膜9をプレストレス(引張応力)を与えた状態で襟台7及びカフス台8に張設するようにしても良い。
【0026】
また、襟台7及びカフス台8の内部を蒸気又は電熱ヒーターで加熱して襟台7及びカフス台8の表面温度を上昇させる図外の加熱・加湿手段がプレス台2に備わり、襟部A及びカフス部Bの加熱加湿するようになっている。
【0027】
次に、プレス仕上げ装置によるワイシャツの襟部Aの仕上げ動作について説明する。
(1)まず、図3及び図4に示すように、プレス台2を降下させた状態で、襟部Aをプレス台2の弾性膜9の上に拡げて載置する。
(2)次に、流体圧シリンダ4aのロッド4bを伸ばしてプレス台2を上昇させることにより、図5のように、プレス台2を上昇させて、襟部Aの左右両端を上挟持部11aと下挟持部11bとで挟持する。この状態では襟プレス面5aと弾性膜9との間には隙間Qが形成される。
(3)次に、図6のように弾性膜9を膨張させて襟部Aを引き伸す(シワ取り)。そして、図7のように襟部Aが伸び切ったときに弾性膜9が襟プレス面5aに合致し、パスカルの原理により襟部Aに均等な流体圧が加わった状態でプレス仕上げされる。
【0028】
また、襟部Aは加熱・加湿手段による加熱加湿により、襟部Aの生地及び接着芯地が緩んで襟部Aが伸張され易くなる。
(4)プレス仕上げ後は、流体圧シリンダ4aのロッド4bを縮めてプレス台2を降下させる。そして、襟部Aを弾性膜9の上の取り去った後に、弾性膜9を収縮させて元の形に戻す。
【0029】
カフス部Bのプレス仕上げは、上述の襟部Aのプレス仕上げと同じ動作で、襟部Aと同時にプレス仕上げされる。即ち、プレス台2の上昇により、カフス台8の弾性膜9上に拡げられたカフス部Bの左右両端部を、挟持手段11で挟持し、弾性膜9を膨張させてカフス部をプレス仕上げする。
また、挟持手段11は、上述のように構成されているので、襟部A及びカフス部Bのそれぞれの左右両端を挟持するための特別の操作が不要となり、プレス台2の昇降のみで襟部A及びカフス部Bの挟持及び解除が可能になる。
【0030】
第2の実施の形態
図8乃至図13は第2の実施の形態を示している。
【0031】
本実施の形態では、襟プレス面5a及び図外のカフスプレス面は平坦面に形成されている。なお、それ以外の構造は第1の実施の形態とほぼ同じであるので、同一若しくは類似部分のうち符号を付したものについては同一符号を付してその部分の説明を省略する。
【0032】
次に、かかるプレス仕上げ装置によるワイシャツの襟部Aの仕上げ動作について説明する。
(1)まず、図8及び図9に示すように、プレス台2を降下させた状態で、襟部Aをプレス台2の弾性膜9の上に拡げて載置する。
(2)次に、図10に示すように、プレス台2を上昇させて、襟プレス面5aを弾性膜9に近づけた後、弾性膜9を加圧・吸引部10によって凸曲状に膨張させ、図11のように、弾性膜9の頂上部を襟部Aを介して襟プレス面に接触させる。弾性膜9を更に膨張させ、図12及び図13のように、弾性膜9の接触部分が頂上部から裾野部分に向けて拡げる。これにより、襟部は中央から左右両側に向けて引き延ばしながらプレス仕上げする。また、加熱・加湿手段による加熱加湿により襟部Aの生地及び接着芯地を緩ませて襟部Aの伸張を容易にする。
【0033】
カフス部の仕上げについても、襟部Aのプレス仕上げと同じ動作で行われる。即ち、プレス台2を上昇により、弾性膜9の上に拡げられたカフス部は中央から左右両側に向けて引き延ばされてプレス仕上げする。
【0034】
なお、本発明のプレス仕上げ装置は、襟部Aやカフス部B以外のプレス仕上げにも利用することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明のプレス仕上げ装置によれば、前記プレス面又は前記受け面を弾性膜により形成し、流体で前記弾性膜を膨張及び収縮させる膨縮手段を設け、膨張した前記弾性膜を前記生地に押圧してプレス仕上げするので、生地の厚み差に応じて弾性膜が弾性変形してテカリやシワの発生を防止でき、また、弾性膜はボタンの形に適合して変形してボタンのめり込みによるシワの発生を防止でき、しかも、生地には均等なプレス力を作用させることができるので、高品質なプレス仕上げが可能になる。
【0036】
また、収縮した前記弾性膜の上に位置する前記湾曲仕上げ部の両端を前記挟持手段で挟持した状態で、前記弾性膜を膨張させて該弾性膜を凹曲状の前記プレス面に合致させれば、シャツ類の湾曲仕上げ部を伸張させることができ、更に高品質なプレス仕上げが可能になる。
また、凸曲状に膨張する前記弾性膜の前記プレス面への接触部分を、前記弾性膜の頂上部から裾野部分に向けて拡げることによりシャツ類の湾曲仕上げ部をプレス仕上げすれば、前記プレス体若しくは前記プレス台を昇降させる動作のみでシャツ類の湾曲仕上げ部を伸張させることができ、シャツ類の湾曲仕上げ部を伸張させるために特別の動作をする必要がなくなり、プレス仕上げ時間を短縮化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のプレス仕上げ装置の縦断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】本発明の第1実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態のプレス仕上げ装置に一部分を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態のプレス仕上げ動作を示す縦断面図である。
【符号の説明】
A   ワイシャツの襟部(湾曲仕上げ部)
B   ワイシャツのカフス部(湾曲仕上げ部)
1   プレス体
2   プレス台
4   昇降手段
5   襟プレス体
5a  襟プレス面
6   カフスプレス体
6a  カフスプレス面
7   襟台
7a  襟受け面
8   カフス台
8a  カフス受け面
9   弾性膜

Claims (4)

  1. プレス面を有するプレス体と、受け面を有するプレス台と、前記プレス体又は前記プレス台の昇降手段とを備え、前記プレス面と前記受け面とで生地を挟持してプレス仕上げするプレス仕上げ装置において、
    前記プレス面又は前記受け面を弾性膜により構成し、前記弾性膜を流体で膨張及び収縮させる膨縮手段を設け、膨張した前記弾性膜を前記生地に押圧してプレス仕上げすることを特徴とするプレス仕上げ装置。
  2. 前記プレス体の前記プレス面を凹曲状に形成し、
    前記流体の流入及び流出で膨張及び収縮する前記弾性膜により前記受け面を形成し、
    前記弾性膜の上に載せられるシャツ類の湾曲仕上げ部の両端を挟持する挟持手段を設け、
    収縮した前記弾性膜の上に位置する前記湾曲仕上げ部の両端を前記挟持手段で挟持した状態で、前記弾性膜を膨張させて該弾性膜を前記プレス面に合致させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のプレス仕上げ装置。
  3. 凸曲状に膨張する前記弾性膜により前記受け面を形成し、
    前記プレス体又は前記プレス台を昇降させて前記プレス体のプレス面に、膨張した前記弾性膜を押圧することにより、前記プレス面への前記弾性膜の接触部分を前記弾性膜の頂上部から裾野部分に向けて拡げるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のプレス仕上げ装置。
  4. 前記弾性膜は前記プレス台上面を覆い、前記流体を前記プレス台上面と前記弾性膜との間に給排して前記弾性膜を膨張及び収縮させるように構成したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプレス仕上げ装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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