JP2004024514A - 生体信号測定用ピックアップ具及び生体信号測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】センシング部を生体表面に押し当てる操作を一々行なう必要がなく、頻繁な測定でも容易に行なうことができると共に、測定を再現性良く制度高く行なうことができる生体信号測定用ピックアップ具を提供する。
【解決手段】近赤外光を生体14の表面に照射すると共に生体14からの反射光を受光し、受光成分から得られる生体信号に基づいて生体14中の成分濃度を測定する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具に関する。近赤外光の発光部6aと受光部10aを設けて形成されるセンシング部8と、センシング部8を生体14の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部23とから生体信号測定用ピックアップ具を形成する。センシング部8を保持具23で生体14の所定位置に保持することができ、測定を行なう度にセンシング部8を生体14の表面に押し付けるような操作を行う必要がなくなる。
【選択図】 図1
【解決手段】近赤外光を生体14の表面に照射すると共に生体14からの反射光を受光し、受光成分から得られる生体信号に基づいて生体14中の成分濃度を測定する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具に関する。近赤外光の発光部6aと受光部10aを設けて形成されるセンシング部8と、センシング部8を生体14の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部23とから生体信号測定用ピックアップ具を形成する。センシング部8を保持具23で生体14の所定位置に保持することができ、測定を行なう度にセンシング部8を生体14の表面に押し付けるような操作を行う必要がなくなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体の表面に近赤外光を照射すると共に生体からの反射光を受光し、この受光成分から生体信号を測定することによって、血糖値などを非侵襲で計測する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具及び、生体信号測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体の表面に測定光を照射し、生体から受ける測定光の反射光を受光し、この受光成分から生体信号を測定することによって、生体内の種々の情報を得ることができる。例えば、近赤外光の吸収強度はグルコースの存在により大きな影響を受けるので、受光された反射光のスペクトルを生体信号として測定することによって光の吸収強度を検知し、生体内のグルコース濃度を検出することができるものであり、血糖値を知ることができるのである。この方法によれば、被験者から採血する必要がなくなるので、被験者に大きな負担を強いることなく血糖値の測定を行なうことができるものである。
【0003】
このような生体信号を測定するシステムは、従来から特開昭60−236631号公報、特公平3−47099号公報、特開平11−70101号公報などで提供されているが、生体信号測定装置のシステムの一例を図14に示す。
【0004】
図14において1はハロゲンランプなどの光源、2は拡散板、3はピンホール、4はレンズであり、光源1から発光された近赤外光は拡散板2、ピンホール3、レンズ4を通過して光入射体5に入射されるようになっている。光入射体5には発光側光ファイバー6の一端とリファレンス用発光側光ファイバー7の一端が接続してある。発光側光ファイバー6の他端は測定用センシング部8に接続してあり、リファレンス用発光側光ファイバー7の他端はリファレンス用センシング部9に接続してある。また測定用センシング部8には受光側光ファイバー10の一端が接続してあり、リファレンス用センシング部9にはリファレンス用受光側光ファイバー11の一端が接続してある。受光側光ファイバー10の他端は受光側光出射体12に接続してあり、リファレンス用受光側光ファイバー11の他端はリファレンス用受光側光出射体13に接続してある。
【0005】
そして、人体の腕部など生体14の表面に測定用センシング部8の先端面を所定圧力で接触させた状態で、光源1を発光させると、光源1から光入射体5に入射した近赤外光は、発光側光ファイバー6内を伝達され、測定用センシング部8の先端から生体14の表面に照射される。生体14に照射されたこの測定光は生体内で反射や拡散した後に、反射光が測定用センシング部8の先端から受光側光ファイバー10に受光される。受光されたこの光は受光側光ファイバー10を伝達され、受光側光出射体12から出射される。受光側光出射体12から出射された光は、レンズ15を通して回折格子16に入射して分光された後、反射光の検出手段である受光素子17において検出される。そして受光素子17で検出された光信号はA/Dコンバーター18でAD変換された後、パーソナルコンピュータなどの演算装置19に入力され、検出された光信号中の生体信号であるスペクトルを解析することによって、血糖値などを算出することができるようになっている。
【0006】
ここで、周囲の環境温度の変動や光学部品の位置関係などによって、測定される反射光のスペクトルが変動するおそれがあるので、この変動を補正する必要がある。このためにセラミック板など基準板20を反射したリファレンス光を測定し、これを基準光として補正を行なうようにしている。すなわち、光源1から光入射体5に入射した近赤外光をリファレンス用発光側光ファイバー7を通して、リファレンス用センシング部9の先端から基準板20の表面に照射する。基準板に照射された光の反射光がリファレンス用センシング部9の先端からリファレンス用受光側光ファイバー11に受光されると、このリファレンス光はリファレンス用受光側光ファイバー11を通してリファンレス用受光側光出射体13から出射される。上記の受光側光出射体12とレンズ15の間、及びこのリファンレス用受光側光出射体13とレンズ15の間にはそれぞれシャッター21a,21bが配置してあり、シャッター21a,21bが選択的に開閉することによって受光側光出射体12からの光とリファンレス用受光側光出射体13からの光のいずれか一方が選択的に通過するようになっている。そしてリファンレス用受光側光出射体13からのリファレンス光を検出することによって、これを基準光として、周囲の環境温度や光学部品の位置関係などによる変動を補正することができるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、測定用のセンシング部8を人体の腕部など生体14の表面に所定圧力で接触させた状態で、生体14の表面に近赤外光を照射すると共に生体14からの反射光を受光して生体信号の測定を行なうにあたって、その操作は、センシング部8を手に持ち、生体14の表面の一部にセンシング部8を押し当てることによって行なわれるのが一般的である。
【0008】
しかし、血糖値を測定する場合など、生体信号の測定は5〜10分間隔で頻繁に行なう必要のあることがあり、このように頻繁に測定を行なう度に、センシング部8を生体14の表面に押し当てる操作を行なうことは、非常に煩わしいものがある。特に手でセンシング部8を生体14の表面に押し当てて測定を行なう場合、測定を行なう毎に生体14の表面へのセンシング部8の押し当て位置や、接触圧力を一定にすることは難しく、このように生体14の測定位置や、生体14の表面に対するセンシング部8の接触圧力などが異なると、生体14内での近赤外光の吸収のスペクトルが変動するおそれがあり、このために、測定毎に検出結果がばらついて再現性を得ることができず、正確な測定を行なうことが難しいという問題を有するものであった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、センシング部を生体表面に押し当てる操作を一々行なう必要がなく、頻繁な測定でも容易に行なうことができると共に、測定を再現性良く精度高く行なうことができる生体信号測定用ピックアップ具及び生体信号測定装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る生体信号測定用ピックアップ具は、近赤外光を生体の表面に照射すると共に生体からの反射光を受光し、受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を測定する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具であって、近赤外光の発光部と受光部を設けて形成されるセンシング部と、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部とから成ることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項2の発明は、請求項1において、発光部と受光部をそれぞれ発光側光ファイバーと受光側光ファイバーによって形成し、発光側光ファイバーと受光側光ファイバーをその先端面の中心間距離が0.2〜2mmの間隔になるように配置して成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、生体の表面に対するセンシング部の接触圧を294〜588hPaに設定して成ることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、保持部の生体表面に対する接触面からセンシング部の先端部を突出させることによって、生体の表面にセンシング部を所定の接触圧で接触させて成ることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、生体の表面に対するセンシング部の接触面積が1cm2以下であることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、センシング部を保持部にスライド自在に設け、生体信号測定時にセンシング部をスライドさせることによって、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項7の発明は、請求項6において、センシング部の自重で、スライドしたセンシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項8の発明は、請求項6において、センシング部をスライド移動させる駆動手段を具備し、駆動手段でセンシング部をスライドさせると共に生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項9に係る生体信号測定装置は、近赤外光を生体の表面に照射する発光部及び生体からの反射光を受光する受光部を設けて形成されるセンシング部及び、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部から形成される生体信号測定用ピックアップ具と、近赤外光を発光させて発光部に供給する光源と、受光部で受光された近赤外光の反射光を検出する検出手段と、検出手段で検出された受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を算出する演算装置とを具備して成ることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の一例を示すものであり、センシング部8は円柱状のセンシング軸24と円板状のセンシング板25とで形成してある。センシング板25の中央部にセンシング軸24をはめ込んで固定してあり、図1(a)に示すようにセンシング軸24の先端はセンシング板25の下面から突出させてある。
【0021】
センシング軸24にはその上端部から発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10をそれぞれ導入して接続してある。この発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10は既述の図14のように生体信号測定装置に接続されているものである。受光側光ファイバー10の先部はセンシング軸24の中央部に通してあり、図1(b)(c)に示すようにその先端をセンシング軸24の下端の先端面の中央に露出させてある。また受光側光ファイバー6は複数本からなるものであり、センシング軸24内に受光側光ファイバー10を囲むように通して、その各先端をセンシング軸24の下端の先端面に、図1(b)(c)に示すように受光側光ファイバー10の先端を中心とする円周上に等間隔で配置して露出させてある。センシング軸24の先端面に露出する発光側光ファイバー6によって発光部6aが形成されるものであり、またセンシング軸24の先端面に露出する受光側光ファイバー10によって受光部10aが形成されるものである。
【0022】
またセンシング板25の下面にはセンシング軸24を囲むようにリング状の両面粘着テープなどを貼って粘着層26が設けてあり、この粘着層26によって、センシング部8を生体14の表面に保持する保持部23が形成されるようにしてある。センシング軸24の先端はこの保持部23を形成する粘着層26の下面よりも下方へ突出している。
【0023】
上記のようにセンシング部8と保持部23とから形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを装着する。この装着は図1(a)に示すように粘着層26でセンシング部8を生体14の表面に貼り付けることによって行なうことができる。このように粘着層26でセンシング部8を生体14の表面に貼り付けると、センシング部8のセンシング軸24の先端は粘着層26の下面よりも突出しているので、センシング軸24の先端面はその突出寸法hに応じた所定の圧力で生体14の表面に押し当てられることになり、保持部23を形成する粘着層26によってセンシング部8のセンシング軸24を生体14の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持することができるものである。
【0024】
このようにセンシング部8のセンシング軸24の先端を生体14の表面に接触させた状態で、既述のように光源1から近赤外線を発光させて、発光側光ファイバー6を通して生体14の表面に発光部6aから測定光を照射すると共に、生体14からの反射光を受光部10aで受光して受光側光ファイバー10で送ることによって、図14に示すシステムの生体信号測定装置で生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0025】
このとき上記のような生体信号の測定を繰り返して行なうにあたって、センシング部8は生体14の所定位置に貼り付けて保持されているので、測定を行なう度にセンシング部8を生体14の表面に押し付ける操作を行う必要がなく、頻繁に測定を行なうに際にも測定を容易に行なうことができるものである。また就寝したままでも測定を行なうことができ、測定を行なうために眼を覚ますような必要がなくなるものである。そしてセンシング部8はセンシング軸24を生体14の表面に所定の一定の接触圧で接触させた状態で、生体1の所定位置に保持されているので、接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるものであり、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。
【0026】
ここで、既述の図1(c)に示すように、発光部6aを形成する発光側光ファイバー6の先端と、受光部10aを形成する受光側光ファイバー10の先端は、生体14の表面への接触部となるセンシング部8のセンシング軸24の先端面に露出して配置されているが、発光側光ファイバー6の先端と受光側光ファイバー10の先端の中心間距離Lが0.2〜2mmの間隔になるように設定するのが好ましい。この距離Lが大きいと、真皮組織の信号だけでなく、その下層に位置する筋肉組織や脂肪組織の信号も重畳した信号が検出されて外乱信号が多くなるおそれがあるが、この距離Lを0.2〜2mmと小さく設定することによって、真皮部分を選択的に透過させたり真皮部分で選択的に反射した信号のみを検出することができ、精度良くグルコース濃度など生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0027】
また、上記のようにセンシング部8のセンシング軸24の先端を保持部23の生体14表面に対する接触面よりも突出させることによって、その突出寸法hに応じた所定の接触圧でセンシング軸24を生体14の表面に接触させることができるが、この接触圧は294hPa(300gf/cm2)以上、588hPa(600gf/cm2)以下の範囲に設定するのが好ましい。接触圧が294hPa未満であると、生体14の表面に対するセンシング部8の密着性が不足し、光漏れによって近赤外光の吸収スペクトルが安定しなくなり、生体信号の正確な測定ができなくなるおそれがある。逆に接触圧が588hPaを超えると、生体14の表面での痛みを伴なうおそれがあると共に、センシング部8を長時間接触させていると生体14の表面の血流が阻害されて組織にダメージを与えるおそれがある。
【0028】
さらに、センシング部8のセンシング軸24の先端面の面積Sは1cm2以下に設定するのが好ましい。生体14の表面に対するセンシング部8の接触面積が小さいほど、センシング軸24の突出寸法hを小さくしても生体14の表面に対する接触圧を確保することができ、接触の際の痛みや血流阻害を小さくしながら、生体信号の正確な測定を行なうことができるものであり、このためセンシング軸24の先端面の面積Sは1cm2以下であることが好ましいのである。センシング部8のセンシング軸24の先端面の面積Sの下限は特に設定されるものではないが、実用的には0.017cm2程度が下限である。
【0029】
ここで、図1のピックアップ具Aを用い、粘着層26でセンシング部8を生体14の表面に貼り付けて血糖値の測定を行ない、この測定によって得られる血糖値の推定値と、同時に血液を実際に採取して測定した血糖値の実測値とを比較する試験を行なった。被験者は40歳の男性で、測定部位を上腕外側部に設定し、糖負荷量75gの糖負荷のもと、測定間隔5分で17回の試験をおこなった。またピックアップ具Aの構成は、発光側光ファイバー6の先端と受光側光ファイバー10の先端の中心間距離L=0.6mm、リング状の粘着層26の内径=センシング軸24の直径寸法+4mmであり、センシング軸24として直径2mm(S=0.0314cm2)、直径3mm(S=0.07065cm2)、直径6mm(S=0.2826cm2)、直径9mm(S=0.63585cm2)、直径11mm(S=0.94985cm2)、直径13mm(S=1.32665cm2)のものを用い、接触圧が300gf/cm2(294hPa)及び600gf/cm2(588hPa)になるように、センシング軸24の突出寸法を表1のように設定した。
【0030】
そして血糖値の推定値と実測値を比較して相関係数を求めたところ、表1のような結果が得られた。また血糖値の推定値と実測値の経時変化を図2(a)〜(e)に示す。表1にみられるように、センシング軸24の先端面の面積を1cm2以下に設定することによって、センシング軸24の突出寸法hを小さくして、血糖値の推定値と実測値の間に高い相関係数を得ることができ(相関係数0.7以上が合格)、再現性が高い正確な測定を行なうことができることが確認される。
【0031】
【表1】
【0032】
図3は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の他の一例を示すものである。図1の場合と同様にセンシング部8はセンシング軸24とセンシング板25とで形成してあり、センシング軸24の先端はセンシング板25の下面から突出させてある。またセンシング軸24には図1の場合と同様に発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10が接続してあり、発光側光ファイバー6の先端部は発光部6aとして、受光側光ファイバー10の先端部は受光部10aとして、それぞれセンシング軸24の先端面に露出させてある。
【0033】
保持部23は円筒状のガイド筒28と、ガイド筒28の下端部の対向する二箇所の外側に取着されるバンド29とで形成されるものであり、ガイド筒28の上下両面は開口させてある。ガイド筒28の上端の開口の内周には抜け止めフランジ30が設けてあり、ガイド筒28の内周の数カ所には上下方向のガイドリブ31が突設してある。またガイド筒28の外面には中央部で枢支してシーソー回動されるロック具32が取り付けてある。ロック具32の一端にはロック爪33が突設してあると共に他端にはバネ34が設けてあり、ガイド筒28に内外に開口させて形成したロック孔35を通してロック爪33がガイド筒28内に差し込まれる方向にロック具32をバネ34で回動付勢してある。このロック爪33のガイド筒28内に差し込まれる先端部は、ガイド筒28の内方へ向けて斜め上方に傾斜する傾斜面37に形成してある。
【0034】
そしてセンシング部8は保持部23のガイド筒28内に上下方向にスライド自在に内装してあり、センシング板25の外周に設けたガイド溝36がガイドリブ31に噛み合うことによって、センシング部8は周方向に回転することなくスライドするようにしてある。またセンシング部8がガイド筒28の上部に位置する状態で、ロック具32のロック爪33がセンシング板25の下端の外周縁に係止し、センシング部8をガイド筒28の上部内に保持できるようになっている。
【0035】
上記のようにセンシング部8と保持部23とから形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを装着する。この装着は図5に示すように、バンド29を生体14に巻き付けてガイド筒28を生体14の表面に固定することによって行なうことができる。次に、例えば図5(a)のように腕を下げた状態から、図5(b)のように腕を水平にしてピックアップ具Aを装着した部分を上に向けた状態で、バネ34を圧縮させるようにロック具32を回動させて、センシング板25に対するロック爪33の係止を外すと、図4(a)に示すようにセンシング部8は自重でガイド筒28内をスライドし、センシング軸24の先端が生体14の表面に接触する。この状態で、既述と同様にして生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0036】
次に、生体信号の測定を終えた後、ピックアップ具Aを装着した部分が下向きになるように反転させ、ピックアップ具Aの上下を逆にすると、センシング部8は自重でフランジ30の側へガイド筒28内をスライドする。このとき、ロック具32はバネ34で回動されてロック孔35を通してロック爪33がガイド筒28内に差し込まれているが、ロック爪33の傾斜面37がセンシング板25の下端で押圧されて図4(b)の矢印方向にロック具32が回動されることによって、センシング部8はロック爪33を乗り越えて下方へスライドするようになっている。センシング部8が下方へスライドすると、バネ34でロック具32が元の状態に回動してロック爪33がガイド筒28の内方へ差し込まれ、図4(b)に示すようにセンシング板25にロック爪33が係止される。このようにピックアップ具Aを装着した部分を反転させるだけで、センシング部8を図3(a)のようにガイド筒28の上部内に復帰させて、この状態に保持することができるものである。
【0037】
上記のようにして生体信号の測定を行なうにあたって、センシング軸24の先端面はセンシング部8の自重で生体14の表面に接触するものであり、生体14の表面に対するセンシング軸24の接触圧はセンシング部8の自重に応じた一定の圧力になる。またセンシング部8は保持部23によって生体1の所定位置に保持されているので、生体14の表面の一定の箇所にセンシング軸24を接触させることができる。従って接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるので、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。
【0038】
図6は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の他の一例を示すものである。センシング部8は円柱状のセンシング軸24と円板状のセンシング板25とで形成してある。センシング板25の中央に設けた軸状筒部39内にセンシング軸24が挿着してあり、センシング軸24の先端はセンシング板25の下面から突出させてある。またセンシング軸24には図1の場合と同様に発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10が接続してあり、発光側光ファイバー6の先端部は発光部6aとして、受光側光ファイバー10の先端部は受光部10aとして、それぞれセンシング軸24の先端面に露出させてある。
【0039】
保持部23は円筒状のガイド筒28と、ガイド筒28の下端部の対向する二箇所の外側に取着されるバンド29とで形成してある。ガイド筒28は下面が開口し、上面が端板40で閉塞された有底筒として形成してあり、端板40の中央部にスライド孔41が設けてある。またガイド筒28の外面には中央部で枢支してシーソー回動されるロック具32が取り付けてある。ロック具32の一端にはロック爪33が突設してあると共に他端にはバネ34が設けてあり、ガイド筒28に内外に開口させて形成したロック孔35を通してロック爪33がガイド筒28内に差し込まれる方向にロック具32をバネ34で回動付勢してある。このロック爪33のガイド筒28内に差し込まれる先端部は、ガイド筒28の内方へ向けて上方に傾斜する傾斜面37に形成してある。
【0040】
そしてセンシング部8はスライド孔41に軸状筒部39を差しこんだ状態で保持部23のガイド筒28内に上下方向にスライド自在に内装してあり、センシング部8がガイド筒28の上部に位置する状態で、ロック具32のロック爪33がセンシング板25の下端の外周縁に係止することによって、図6(a)のようにセンシング部8をガイド筒28の上部内に保持できるようになっている。またセンシング板25と端板40の間に押圧バネ42が設けてあり、押圧バネ42によってセンシング部8を下方へスライドさせる方向に弾撥付勢してある。この押圧バネ42によってセンシング部8をスライド移動させる駆動手段43が形成されるものである。
【0041】
上記のように形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを既述の図5のように装着する。次に、バネ34を圧縮させるようにロック具32を回動させて、センシング板25に対するロック爪33の係止を外すと、図6(b)に示すようにセンシング部8は押圧バネ42によって押圧されてガイド筒28内をスライドし、センシング軸24の先端が生体14の表面に接触する。そしてこの状態で、既述と同様にして生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0042】
このようにして生体信号の測定を行なうにあたって、センシング軸24の先端面は押圧バネ42による圧力で生体14の表面に接触するものであり、生体14の表面に対するセンシング軸24の接触圧は押圧バネ42のバネ圧に応じた一定の圧力になる。またセンシング部8は保持部23によって生体1の所定位置に保持されているので、生体14の表面の一定の箇所にセンシング軸24を接触させることができる。従ってセンシング部8の接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるので、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。また、センシング部8を押圧バネ42で押圧してセンシング軸24の先端を生体14の表面に接触させるようにしているので、センシング部8の自重を利用する図3や図4の実施の形態の場合のように、ピックアップ具Aを上向きにして測定を行なうような必要はなくなり、自由な姿勢で測定を行なうことが可能になるものである。
【0043】
図7は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の他の一例を示すものである。センシング部8は円柱状のセンシング軸24と円板状のセンシング板25とで形成してある。センシング板25は鉄などの強磁性体あるいは磁石で形成されるものであり、センシング板25の中央に設けた軸状筒部39内にセンシング軸24を挿着すると共に、センシング軸24の先端をセンシング板25の下面から突出させてある。またセンシング軸24には図1の場合と同様に発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10が接続してあり、発光側光ファイバー6の先端部は発光部6aとして、受光側光ファイバー10の先端部は受光部10aとして、それぞれセンシング軸24の先端面に露出させてある。
【0044】
保持部23は円筒状のガイド筒28と、ガイド筒28の下端部の対向する二箇所の外側に取着されるバンド29とで形成してある。ガイド筒28は下面が開口し、上面が端板40で閉塞された有底筒として形成してあり、端板40の中央部にスライド孔41が設けてある。またガイド筒28内には上部と下部にそれぞれ円筒状のコイル45が配置してある。上側のコイル45は引き上げ用コイル45aとして形成してあると共に下側のコイル45は押し付け用コイル45bとして形成してあり、両コイルの45a,45bの内周間に跨って円筒状の固定鉄心46が設けてあり、固定鉄心46の下端の内周には抜け止め鍔片47が設けてある。
【0045】
そしてセンシング部8はスライド孔41に軸状筒部39を差し込んだ状態でガイド筒28内の固定鉄心46の内周に上下方向にスライド自在に内装してあり、センシング板25、一対のコイル45a,45b、固定鉄心46で双方向プランジャ型ソレノイドが形成されるようにしてある。このプランジャ型ソレノイドにあって、引き上げ用コイル45aに通電すると、引き上げ用コイル45aにセンシング板25が吸引されるようにセンシング部8がスライドして引き上げられ、押し付け用コイル45bに通電すると、押し付け用コイル45bにセンシング板25が吸引されるようにセンシング部8がスライドして押し下げられるものであり、従って、このプランジャ型ソレノイドによってセンシング部8をスライド移動させる駆動手段43が形成されるものである。
【0046】
上記のように形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを既述の図5のように装着する。このとき、引き上げ用コイル45aに通電されており、センシング部8は図7(a)のように引き上げられた状態にある。次に押し付け用コイル45bに通電すると、センシング部8がスライドして押し下げられ、図7(b)に示すようにセンシング軸24の先端が生体14の表面に接触する。この状態で、既述と同様にして生体信号の測定を行なうことができるものである。生体信号の測定が終った後は、引き上げ用コイル45aに通電してセンシング部8は引き上げられるものである。
【0047】
このようにして生体信号の測定を行なうにあたって、センシング軸24の先端面は押し付け用コイル45bに対するセンシング板25の吸引力に応じた圧力で生体14の表面に接触するものであり、生体14の表面に対するセンシング軸24の接触圧は押し付け用コイル45bに給電する電力に応じた一定の圧力になる。またセンシング部8は保持部23によって生体14の所定位置に保持されているので、生体14の表面の一定の箇所にセンシング軸24を接触させることができる。従ってセンシング部8の接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるので、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。また、コイル45a,45bに対する通電は自動制御することができるので、測定を自動的に行なうことが可能になり。所定の時間間隔での測定、就寝中の測定、作業中の測定などを自動的に行なうことができるものである。
【0048】
図8は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の他の一例を示すものである。センシング部8は円柱状のセンシング軸24と円板状のセンシング板25とで形成してある。センシング板25の中央に設けた軸状筒部39内にセンシング軸24を挿着して固定してあり、センシング軸24の先端がセンシング板25の下面から突出させてある。センシング板25の外周には全長に亘ってパッキン48が設けてあり、軸状筒部39の上部の外周には係止鍔片49が突設してある。またセンシング軸24には図1の場合と同様に発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10が接続してあり、発光側光ファイバー6の先端部は発光部6aとして、受光側光ファイバー10の先端部は受光部10aとして、それぞれセンシング軸24の先端面に露出させてある。
【0049】
保持部23は円筒状のガイド筒28と、ガイド筒28の下端部の対向する二箇所の外側に取着されるバンド29とで形成してある。ガイド筒28は下面が開口し、上面が端板40で閉塞された有底筒として形成してあり、端板40の中央部にスライド孔41が設けてある。スライド孔41の内周には全周に亘ってパッキン50が設けてある。またガイド筒28の側面には吸気口51が開口させて設けてあり、吸気口51には吸気チューブ52が接続してある。この吸気チューブ52にはポンプや炭酸ガスボンベなどが接続してあり、気体を供給することができるようにしてある。炭酸ガスボンベは小型のものは携帯に便利であり、ガス圧を所定圧力に調整しておけば簡単に使用することができるものである。
【0050】
そしてセンシング部8はスライド孔41に軸状筒部39を差しこんだ状態でガイド筒28の内周に上下方向にスライド自在に内装してある。尚、図8(b)のようにセンシング板25の外周に設けたガイド溝36がガイド筒28の内周に設けたガイドリブ31に噛み合うことによって、センシング部8は周方向に回転することなくスライドするようにしてある。ここで、軸状筒部39はスライド孔41の内周のパッキン50に気密的に密着しており、またセンシング板25は外周のパッキン48によってガイド筒28の内周に気密的に密着しており、センシング板25の上面とガイド筒28の内周との間に気密的なシリンダ室53が形成されるようにしてある。また、センシング部8は軸状筒部39の係止鍔片49が端板40の下面に当接する位置まで引き上げられるが、この最も高い位置においてセンシング板25は吸気口51より下側に位置しており、シリンダ室53には常に吸気口51が開口している。従って、吸気チューブ52を通して吸気口51からシリンダ室53に気体が供給されると、シリンダ室53内が加圧状態になり、センシング部8は下方へ押し下げられるようになっている。このシリンダ機構によってセンシング部8をスライド移動させる駆動手段43が形成されるものである。
【0051】
上記のように形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを既述の図5のように装着する。このとき、シリンダ室53には気体の供給は行なわれていず、センシング部8は図9(a)のように引き上げられた状態にある。次にシリンダ室53に吸気口51から気体を供給すると、センシング部8がスライドして押し下げられ、図9(a)に示すようにセンシング軸24の先端が生体14の表面に接触する。このようにシリンダ室53に一定圧で気体を供給してセンシング軸24の先端を生体14の表面に所定の接触圧で接触させた状態を維持しながら、既述と同様にして生体信号の測定を行なうことができるものである。生体信号の測定が終った後は、シリンダ室53への気体の供給を停止し、センシング軸24の先端が生体14の表面に所定の接触圧で接触する状態を解除する。このとき、ポンプを逆回転させてシリンダ室53内を吸引することによって、図9(b)のようにセンシング部8を引き上げることができる。
【0052】
このようにして生体信号の測定を行なうにあたって、センシング軸24の先端面はシリンダ室53に供給される気体の圧力で生体14の表面に接触するものであり、生体14の表面に対するセンシング軸24の接触圧は気体の圧力に応じた一定の圧力になる。またセンシング部8は保持部23によって生体14の所定位置に保持されているので、生体14の表面の一定の箇所にセンシング軸24を接触させることができる。従ってセンシング部8の接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるので、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。また、シリンダ室53への気体の供給は自動制御することができるので、測定を自動的に行なうことが可能になり。所定の時間間隔での測定、就寝中の測定、作業中の測定などを自動的に行なうことができるものである。
【0053】
上記の各実施の形態のように、センシング部8のセンシング軸24の先端面を生体14の表面に所定接触圧で接触させて生体信号の測定を行なうにあたって、生体14の表面から発汗された水分がセンシング軸24の先端面との間に蒸発せずに残り易い。水分は近赤外光の吸収率が高いので、水分がセンシング軸24の先端の発光部6aと受光部6bの近傍に存在していると、水分率の変化によってスペクトルが大きく変化し、測定の安定性や精度に悪影響が及ぼされる。
【0054】
そこで図10の実施の形態では、センシング軸24の先端面に発光部6aと受光部6bの近傍において溝55が凹設してある。このようにセンシング軸24の先端面に溝55を設けて、毛細管現象で溝55に水分を吸収することによって、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間に水分が余分に残ることを防止し、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間の水分量が一定になるようにしてある。溝55はセンシング軸24の中央部から周端縁に至る放射状に形成してあり、溝55の端部から水分が蒸発され易くなるようにしてある。このような溝55の存在は、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間に泡がかむことによるスペクトルの乱れを防止するうえでも有効である。
【0055】
また図11の実施の形態では、センシング軸24の先端面に発光部6aと受光部6bの近傍において水分吸収体56が設けてある。水分吸収体56としては高吸水性ポリマーなどを用いることができるものであり、センシング軸24の先端面に凹設した凹部64内に水分吸収体56をはめ込んで取り付けることによって、センシング軸24の先端面と水分吸収体56の表面が面一になるようにしてある。このようにセンシング軸24の先端面に水分吸収体56を設けて、水分吸収体56で水分を吸収することによって、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間に水分が余分に残ることを防止し、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間の水分量が一定になるようにすることができるものである。
【0056】
図12の実施の形態は、既述の図3、図6、図7、図8のように、保持部23をガイド筒28で形成し、ガイド筒28内にセンシング部8をスライド自在に装着するようにした場合についての例を示すものであり、ガイド筒28の周囲に複数の通気孔57が設けてある。このように通気孔57を設けることによって、ガイド筒28内の湿気を外部に逃すことができ、生体14の表面の水分量の上昇を抑えることができるものである。ここで、図12(b)に示すように、ガイド筒28に吸引口62を設け、吸引ポンプなどに接続したホース63をこの吸引口62に接続し、ガイド筒28内の空気を強制的に排気して、湿気を強制的に逃すようにしてもよい。
【0057】
また図13の実施の形態は、同様に、既述の図3、図6、図7、図8のように、保持部23をガイド筒28で形成し、ガイド筒28内にセンシング部8をスライド自在に装着するようにした場合についての例を示すものであり、ガイド筒28の下部内に水分吸収ローラー58が設けてある。ガイド筒28の下部は幅広部59として形成してあり、幅広部59の一側面にガイド筒28の下面の開口を横切る方向のガイド長孔60が設けてある。そして水分吸収ローラー58の一端の摘み部61がガイド長孔60から突出させてある。このものでは、摘み部61をガイド長孔60に沿って図13(a)の矢印のように移動させると、水分吸収ローラー58は図13(b)の矢印のようにガイド筒28の下面の開口を横切って移動し、生体14の表面の水分を水分吸収ローラー58で吸収することができ、生体14の表面の水分量の上昇を抑えることができるものである。
【0058】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る生体信号測定用ピックアップ具は、近赤外光を生体の表面に照射すると共に生体からの反射光を受光し、受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を測定する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具であって、近赤外光の発光部と受光部を設けて形成されるセンシング部と、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部とから成るので、センシング部を保持具で生体の所定位置に保持することができ、測定を行なう度にセンシング部を生体の表面に押し付けるような操作を行う必要がなく、頻繁に測定を行なうにあたって測定を容易に行なうことができるものである。しかもセンシング部を生体の表面の一定位置において所定の一定の接触圧で接触させた状態で測定を行なうことができるものであり、近赤外光の吸収のスペクトルの変動を小さくして、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。
【0059】
また請求項2の発明は、請求項1において、発光部と受光部をそれぞれ発光側光ファイバーと受光側光ファイバーによって形成し、発光側光ファイバーと受光側光ファイバーをその先端面の中心間距離が0.2〜2mmの間隔になるように配置したので、真皮部分を選択的に透過し真皮部分で選択的に反射した信号のみを検出することができ、精度良くグルコース濃度など生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0060】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、生体の表面に対するセンシング部の接触圧を294〜588hPaに設定してあるので、痛みを感じたり血流が阻害されたりすることを防止しながら、生体信号の測定を精度高く行なうことができるものである。
【0061】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、保持部の生体表面に対する接触面からセンシング部の先端部を突出させることによって、生体の表面にセンシング部を所定の接触圧で接触させるようにしたので、センシング部の先端部の突出寸法の調整によって、適性な接触圧の設定を容易に行なうことができるものである。
【0062】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、生体の表面に対するセンシング部の接触面積が1cm2以下であるので、センシング部の突出寸法を小さくしても生体の表面に対する接触圧を確保することができ、生体表面に対してセンシング部を接触させる際の痛みや血流阻害を小さくしながら、生体信号の測定を精度高く行なうことができるものである。
【0063】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、センシング部を保持部にスライド自在に設け、生体信号測定時にセンシング部をスライドさせることによって、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにしたので、生体信号の測定時にのみセンシング部を生体表面に接触させるようにすることができ、生体表面に常時センシング部を接触させる場合のような生体に対する負担を小さくすることができるものである。
【0064】
また請求項7の発明は、請求項6において、センシング部の自重で、スライドしたセンシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにしたので、センシング部を生体表面に接触させるための駆動手段を具備する必要が無く、ピックアップ具の構成を簡便なものに形成するとができるものである。
【0065】
また請求項8の発明は、請求項6において、センシング部をスライド移動させる駆動手段を具備し、駆動手段でセンシング部をスライドさせると共に生体の表面に所定の接触圧で接触させるようしたので、駆動手段によって自動的にセンシング部を生体表面に接触させるようにすることができ、生体信号の測定を自動化することが可能になるものである。
【0066】
本発明の請求項9に係る生体信号測定装置は、近赤外光を生体の表面に照射する発光部及び生体からの反射光を受光する受光部を設けて形成されるセンシング部及び、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部から形成される生体信号測定用ピックアップ具と、近赤外光を発光させて発光部に供給する光源と、受光部で受光された近赤外光の反射光を検出する検出手段と、検出手段で検出された受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を算出する演算装置とを具備するので、生体信号測定用ピックアップ具のセンシング部を保持具で生体の所定位置に保持することができ、測定を行なう度にセンシング部を生体の表面に押し付けるような操作を行う必要がなく、頻繁に測定を行なうにあたって測定を容易に行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は底面図、(c)はセンシング部のセンシング軸の底面の拡大図である。
【図2】(a)乃至(e)はそれぞれ血糖値の実測値と推定値の経時変化を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は平面断面図である。
【図4】同上の使用状態を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図5】同上の生体信号測定用ピックアップ具を腕に装着した状態を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a),(b)は断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a),(b)は断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は平面断面図である。
【図9】同上の使用状態を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)はセンシング部のセンシング軸の底面の拡大図、(b)はセンシング部のセンシング軸の拡大断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)はセンシング部のセンシング軸の底面の拡大図、(b)はセンシング部のセンシング軸の拡大断面図である。
【図12】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図13】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図14】生体信号測定装置のシステムを示す概略図である。
【符号の説明】
1 光源
6 発光側光ファイバー
6a 発光部
8 センシング部
10 受光側光ファイバー
10a 受光部
14 生体
17 受光素子
19 演算装置
23 保持部
43 駆動手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体の表面に近赤外光を照射すると共に生体からの反射光を受光し、この受光成分から生体信号を測定することによって、血糖値などを非侵襲で計測する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具及び、生体信号測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体の表面に測定光を照射し、生体から受ける測定光の反射光を受光し、この受光成分から生体信号を測定することによって、生体内の種々の情報を得ることができる。例えば、近赤外光の吸収強度はグルコースの存在により大きな影響を受けるので、受光された反射光のスペクトルを生体信号として測定することによって光の吸収強度を検知し、生体内のグルコース濃度を検出することができるものであり、血糖値を知ることができるのである。この方法によれば、被験者から採血する必要がなくなるので、被験者に大きな負担を強いることなく血糖値の測定を行なうことができるものである。
【0003】
このような生体信号を測定するシステムは、従来から特開昭60−236631号公報、特公平3−47099号公報、特開平11−70101号公報などで提供されているが、生体信号測定装置のシステムの一例を図14に示す。
【0004】
図14において1はハロゲンランプなどの光源、2は拡散板、3はピンホール、4はレンズであり、光源1から発光された近赤外光は拡散板2、ピンホール3、レンズ4を通過して光入射体5に入射されるようになっている。光入射体5には発光側光ファイバー6の一端とリファレンス用発光側光ファイバー7の一端が接続してある。発光側光ファイバー6の他端は測定用センシング部8に接続してあり、リファレンス用発光側光ファイバー7の他端はリファレンス用センシング部9に接続してある。また測定用センシング部8には受光側光ファイバー10の一端が接続してあり、リファレンス用センシング部9にはリファレンス用受光側光ファイバー11の一端が接続してある。受光側光ファイバー10の他端は受光側光出射体12に接続してあり、リファレンス用受光側光ファイバー11の他端はリファレンス用受光側光出射体13に接続してある。
【0005】
そして、人体の腕部など生体14の表面に測定用センシング部8の先端面を所定圧力で接触させた状態で、光源1を発光させると、光源1から光入射体5に入射した近赤外光は、発光側光ファイバー6内を伝達され、測定用センシング部8の先端から生体14の表面に照射される。生体14に照射されたこの測定光は生体内で反射や拡散した後に、反射光が測定用センシング部8の先端から受光側光ファイバー10に受光される。受光されたこの光は受光側光ファイバー10を伝達され、受光側光出射体12から出射される。受光側光出射体12から出射された光は、レンズ15を通して回折格子16に入射して分光された後、反射光の検出手段である受光素子17において検出される。そして受光素子17で検出された光信号はA/Dコンバーター18でAD変換された後、パーソナルコンピュータなどの演算装置19に入力され、検出された光信号中の生体信号であるスペクトルを解析することによって、血糖値などを算出することができるようになっている。
【0006】
ここで、周囲の環境温度の変動や光学部品の位置関係などによって、測定される反射光のスペクトルが変動するおそれがあるので、この変動を補正する必要がある。このためにセラミック板など基準板20を反射したリファレンス光を測定し、これを基準光として補正を行なうようにしている。すなわち、光源1から光入射体5に入射した近赤外光をリファレンス用発光側光ファイバー7を通して、リファレンス用センシング部9の先端から基準板20の表面に照射する。基準板に照射された光の反射光がリファレンス用センシング部9の先端からリファレンス用受光側光ファイバー11に受光されると、このリファレンス光はリファレンス用受光側光ファイバー11を通してリファンレス用受光側光出射体13から出射される。上記の受光側光出射体12とレンズ15の間、及びこのリファンレス用受光側光出射体13とレンズ15の間にはそれぞれシャッター21a,21bが配置してあり、シャッター21a,21bが選択的に開閉することによって受光側光出射体12からの光とリファンレス用受光側光出射体13からの光のいずれか一方が選択的に通過するようになっている。そしてリファンレス用受光側光出射体13からのリファレンス光を検出することによって、これを基準光として、周囲の環境温度や光学部品の位置関係などによる変動を補正することができるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、測定用のセンシング部8を人体の腕部など生体14の表面に所定圧力で接触させた状態で、生体14の表面に近赤外光を照射すると共に生体14からの反射光を受光して生体信号の測定を行なうにあたって、その操作は、センシング部8を手に持ち、生体14の表面の一部にセンシング部8を押し当てることによって行なわれるのが一般的である。
【0008】
しかし、血糖値を測定する場合など、生体信号の測定は5〜10分間隔で頻繁に行なう必要のあることがあり、このように頻繁に測定を行なう度に、センシング部8を生体14の表面に押し当てる操作を行なうことは、非常に煩わしいものがある。特に手でセンシング部8を生体14の表面に押し当てて測定を行なう場合、測定を行なう毎に生体14の表面へのセンシング部8の押し当て位置や、接触圧力を一定にすることは難しく、このように生体14の測定位置や、生体14の表面に対するセンシング部8の接触圧力などが異なると、生体14内での近赤外光の吸収のスペクトルが変動するおそれがあり、このために、測定毎に検出結果がばらついて再現性を得ることができず、正確な測定を行なうことが難しいという問題を有するものであった。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、センシング部を生体表面に押し当てる操作を一々行なう必要がなく、頻繁な測定でも容易に行なうことができると共に、測定を再現性良く精度高く行なうことができる生体信号測定用ピックアップ具及び生体信号測定装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る生体信号測定用ピックアップ具は、近赤外光を生体の表面に照射すると共に生体からの反射光を受光し、受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を測定する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具であって、近赤外光の発光部と受光部を設けて形成されるセンシング部と、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部とから成ることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項2の発明は、請求項1において、発光部と受光部をそれぞれ発光側光ファイバーと受光側光ファイバーによって形成し、発光側光ファイバーと受光側光ファイバーをその先端面の中心間距離が0.2〜2mmの間隔になるように配置して成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、生体の表面に対するセンシング部の接触圧を294〜588hPaに設定して成ることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、保持部の生体表面に対する接触面からセンシング部の先端部を突出させることによって、生体の表面にセンシング部を所定の接触圧で接触させて成ることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、生体の表面に対するセンシング部の接触面積が1cm2以下であることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、センシング部を保持部にスライド自在に設け、生体信号測定時にセンシング部をスライドさせることによって、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項7の発明は、請求項6において、センシング部の自重で、スライドしたセンシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項8の発明は、請求項6において、センシング部をスライド移動させる駆動手段を具備し、駆動手段でセンシング部をスライドさせると共に生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項9に係る生体信号測定装置は、近赤外光を生体の表面に照射する発光部及び生体からの反射光を受光する受光部を設けて形成されるセンシング部及び、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部から形成される生体信号測定用ピックアップ具と、近赤外光を発光させて発光部に供給する光源と、受光部で受光された近赤外光の反射光を検出する検出手段と、検出手段で検出された受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を算出する演算装置とを具備して成ることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の一例を示すものであり、センシング部8は円柱状のセンシング軸24と円板状のセンシング板25とで形成してある。センシング板25の中央部にセンシング軸24をはめ込んで固定してあり、図1(a)に示すようにセンシング軸24の先端はセンシング板25の下面から突出させてある。
【0021】
センシング軸24にはその上端部から発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10をそれぞれ導入して接続してある。この発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10は既述の図14のように生体信号測定装置に接続されているものである。受光側光ファイバー10の先部はセンシング軸24の中央部に通してあり、図1(b)(c)に示すようにその先端をセンシング軸24の下端の先端面の中央に露出させてある。また受光側光ファイバー6は複数本からなるものであり、センシング軸24内に受光側光ファイバー10を囲むように通して、その各先端をセンシング軸24の下端の先端面に、図1(b)(c)に示すように受光側光ファイバー10の先端を中心とする円周上に等間隔で配置して露出させてある。センシング軸24の先端面に露出する発光側光ファイバー6によって発光部6aが形成されるものであり、またセンシング軸24の先端面に露出する受光側光ファイバー10によって受光部10aが形成されるものである。
【0022】
またセンシング板25の下面にはセンシング軸24を囲むようにリング状の両面粘着テープなどを貼って粘着層26が設けてあり、この粘着層26によって、センシング部8を生体14の表面に保持する保持部23が形成されるようにしてある。センシング軸24の先端はこの保持部23を形成する粘着層26の下面よりも下方へ突出している。
【0023】
上記のようにセンシング部8と保持部23とから形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを装着する。この装着は図1(a)に示すように粘着層26でセンシング部8を生体14の表面に貼り付けることによって行なうことができる。このように粘着層26でセンシング部8を生体14の表面に貼り付けると、センシング部8のセンシング軸24の先端は粘着層26の下面よりも突出しているので、センシング軸24の先端面はその突出寸法hに応じた所定の圧力で生体14の表面に押し当てられることになり、保持部23を形成する粘着層26によってセンシング部8のセンシング軸24を生体14の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持することができるものである。
【0024】
このようにセンシング部8のセンシング軸24の先端を生体14の表面に接触させた状態で、既述のように光源1から近赤外線を発光させて、発光側光ファイバー6を通して生体14の表面に発光部6aから測定光を照射すると共に、生体14からの反射光を受光部10aで受光して受光側光ファイバー10で送ることによって、図14に示すシステムの生体信号測定装置で生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0025】
このとき上記のような生体信号の測定を繰り返して行なうにあたって、センシング部8は生体14の所定位置に貼り付けて保持されているので、測定を行なう度にセンシング部8を生体14の表面に押し付ける操作を行う必要がなく、頻繁に測定を行なうに際にも測定を容易に行なうことができるものである。また就寝したままでも測定を行なうことができ、測定を行なうために眼を覚ますような必要がなくなるものである。そしてセンシング部8はセンシング軸24を生体14の表面に所定の一定の接触圧で接触させた状態で、生体1の所定位置に保持されているので、接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるものであり、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。
【0026】
ここで、既述の図1(c)に示すように、発光部6aを形成する発光側光ファイバー6の先端と、受光部10aを形成する受光側光ファイバー10の先端は、生体14の表面への接触部となるセンシング部8のセンシング軸24の先端面に露出して配置されているが、発光側光ファイバー6の先端と受光側光ファイバー10の先端の中心間距離Lが0.2〜2mmの間隔になるように設定するのが好ましい。この距離Lが大きいと、真皮組織の信号だけでなく、その下層に位置する筋肉組織や脂肪組織の信号も重畳した信号が検出されて外乱信号が多くなるおそれがあるが、この距離Lを0.2〜2mmと小さく設定することによって、真皮部分を選択的に透過させたり真皮部分で選択的に反射した信号のみを検出することができ、精度良くグルコース濃度など生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0027】
また、上記のようにセンシング部8のセンシング軸24の先端を保持部23の生体14表面に対する接触面よりも突出させることによって、その突出寸法hに応じた所定の接触圧でセンシング軸24を生体14の表面に接触させることができるが、この接触圧は294hPa(300gf/cm2)以上、588hPa(600gf/cm2)以下の範囲に設定するのが好ましい。接触圧が294hPa未満であると、生体14の表面に対するセンシング部8の密着性が不足し、光漏れによって近赤外光の吸収スペクトルが安定しなくなり、生体信号の正確な測定ができなくなるおそれがある。逆に接触圧が588hPaを超えると、生体14の表面での痛みを伴なうおそれがあると共に、センシング部8を長時間接触させていると生体14の表面の血流が阻害されて組織にダメージを与えるおそれがある。
【0028】
さらに、センシング部8のセンシング軸24の先端面の面積Sは1cm2以下に設定するのが好ましい。生体14の表面に対するセンシング部8の接触面積が小さいほど、センシング軸24の突出寸法hを小さくしても生体14の表面に対する接触圧を確保することができ、接触の際の痛みや血流阻害を小さくしながら、生体信号の正確な測定を行なうことができるものであり、このためセンシング軸24の先端面の面積Sは1cm2以下であることが好ましいのである。センシング部8のセンシング軸24の先端面の面積Sの下限は特に設定されるものではないが、実用的には0.017cm2程度が下限である。
【0029】
ここで、図1のピックアップ具Aを用い、粘着層26でセンシング部8を生体14の表面に貼り付けて血糖値の測定を行ない、この測定によって得られる血糖値の推定値と、同時に血液を実際に採取して測定した血糖値の実測値とを比較する試験を行なった。被験者は40歳の男性で、測定部位を上腕外側部に設定し、糖負荷量75gの糖負荷のもと、測定間隔5分で17回の試験をおこなった。またピックアップ具Aの構成は、発光側光ファイバー6の先端と受光側光ファイバー10の先端の中心間距離L=0.6mm、リング状の粘着層26の内径=センシング軸24の直径寸法+4mmであり、センシング軸24として直径2mm(S=0.0314cm2)、直径3mm(S=0.07065cm2)、直径6mm(S=0.2826cm2)、直径9mm(S=0.63585cm2)、直径11mm(S=0.94985cm2)、直径13mm(S=1.32665cm2)のものを用い、接触圧が300gf/cm2(294hPa)及び600gf/cm2(588hPa)になるように、センシング軸24の突出寸法を表1のように設定した。
【0030】
そして血糖値の推定値と実測値を比較して相関係数を求めたところ、表1のような結果が得られた。また血糖値の推定値と実測値の経時変化を図2(a)〜(e)に示す。表1にみられるように、センシング軸24の先端面の面積を1cm2以下に設定することによって、センシング軸24の突出寸法hを小さくして、血糖値の推定値と実測値の間に高い相関係数を得ることができ(相関係数0.7以上が合格)、再現性が高い正確な測定を行なうことができることが確認される。
【0031】
【表1】
【0032】
図3は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の他の一例を示すものである。図1の場合と同様にセンシング部8はセンシング軸24とセンシング板25とで形成してあり、センシング軸24の先端はセンシング板25の下面から突出させてある。またセンシング軸24には図1の場合と同様に発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10が接続してあり、発光側光ファイバー6の先端部は発光部6aとして、受光側光ファイバー10の先端部は受光部10aとして、それぞれセンシング軸24の先端面に露出させてある。
【0033】
保持部23は円筒状のガイド筒28と、ガイド筒28の下端部の対向する二箇所の外側に取着されるバンド29とで形成されるものであり、ガイド筒28の上下両面は開口させてある。ガイド筒28の上端の開口の内周には抜け止めフランジ30が設けてあり、ガイド筒28の内周の数カ所には上下方向のガイドリブ31が突設してある。またガイド筒28の外面には中央部で枢支してシーソー回動されるロック具32が取り付けてある。ロック具32の一端にはロック爪33が突設してあると共に他端にはバネ34が設けてあり、ガイド筒28に内外に開口させて形成したロック孔35を通してロック爪33がガイド筒28内に差し込まれる方向にロック具32をバネ34で回動付勢してある。このロック爪33のガイド筒28内に差し込まれる先端部は、ガイド筒28の内方へ向けて斜め上方に傾斜する傾斜面37に形成してある。
【0034】
そしてセンシング部8は保持部23のガイド筒28内に上下方向にスライド自在に内装してあり、センシング板25の外周に設けたガイド溝36がガイドリブ31に噛み合うことによって、センシング部8は周方向に回転することなくスライドするようにしてある。またセンシング部8がガイド筒28の上部に位置する状態で、ロック具32のロック爪33がセンシング板25の下端の外周縁に係止し、センシング部8をガイド筒28の上部内に保持できるようになっている。
【0035】
上記のようにセンシング部8と保持部23とから形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを装着する。この装着は図5に示すように、バンド29を生体14に巻き付けてガイド筒28を生体14の表面に固定することによって行なうことができる。次に、例えば図5(a)のように腕を下げた状態から、図5(b)のように腕を水平にしてピックアップ具Aを装着した部分を上に向けた状態で、バネ34を圧縮させるようにロック具32を回動させて、センシング板25に対するロック爪33の係止を外すと、図4(a)に示すようにセンシング部8は自重でガイド筒28内をスライドし、センシング軸24の先端が生体14の表面に接触する。この状態で、既述と同様にして生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0036】
次に、生体信号の測定を終えた後、ピックアップ具Aを装着した部分が下向きになるように反転させ、ピックアップ具Aの上下を逆にすると、センシング部8は自重でフランジ30の側へガイド筒28内をスライドする。このとき、ロック具32はバネ34で回動されてロック孔35を通してロック爪33がガイド筒28内に差し込まれているが、ロック爪33の傾斜面37がセンシング板25の下端で押圧されて図4(b)の矢印方向にロック具32が回動されることによって、センシング部8はロック爪33を乗り越えて下方へスライドするようになっている。センシング部8が下方へスライドすると、バネ34でロック具32が元の状態に回動してロック爪33がガイド筒28の内方へ差し込まれ、図4(b)に示すようにセンシング板25にロック爪33が係止される。このようにピックアップ具Aを装着した部分を反転させるだけで、センシング部8を図3(a)のようにガイド筒28の上部内に復帰させて、この状態に保持することができるものである。
【0037】
上記のようにして生体信号の測定を行なうにあたって、センシング軸24の先端面はセンシング部8の自重で生体14の表面に接触するものであり、生体14の表面に対するセンシング軸24の接触圧はセンシング部8の自重に応じた一定の圧力になる。またセンシング部8は保持部23によって生体1の所定位置に保持されているので、生体14の表面の一定の箇所にセンシング軸24を接触させることができる。従って接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるので、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。
【0038】
図6は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の他の一例を示すものである。センシング部8は円柱状のセンシング軸24と円板状のセンシング板25とで形成してある。センシング板25の中央に設けた軸状筒部39内にセンシング軸24が挿着してあり、センシング軸24の先端はセンシング板25の下面から突出させてある。またセンシング軸24には図1の場合と同様に発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10が接続してあり、発光側光ファイバー6の先端部は発光部6aとして、受光側光ファイバー10の先端部は受光部10aとして、それぞれセンシング軸24の先端面に露出させてある。
【0039】
保持部23は円筒状のガイド筒28と、ガイド筒28の下端部の対向する二箇所の外側に取着されるバンド29とで形成してある。ガイド筒28は下面が開口し、上面が端板40で閉塞された有底筒として形成してあり、端板40の中央部にスライド孔41が設けてある。またガイド筒28の外面には中央部で枢支してシーソー回動されるロック具32が取り付けてある。ロック具32の一端にはロック爪33が突設してあると共に他端にはバネ34が設けてあり、ガイド筒28に内外に開口させて形成したロック孔35を通してロック爪33がガイド筒28内に差し込まれる方向にロック具32をバネ34で回動付勢してある。このロック爪33のガイド筒28内に差し込まれる先端部は、ガイド筒28の内方へ向けて上方に傾斜する傾斜面37に形成してある。
【0040】
そしてセンシング部8はスライド孔41に軸状筒部39を差しこんだ状態で保持部23のガイド筒28内に上下方向にスライド自在に内装してあり、センシング部8がガイド筒28の上部に位置する状態で、ロック具32のロック爪33がセンシング板25の下端の外周縁に係止することによって、図6(a)のようにセンシング部8をガイド筒28の上部内に保持できるようになっている。またセンシング板25と端板40の間に押圧バネ42が設けてあり、押圧バネ42によってセンシング部8を下方へスライドさせる方向に弾撥付勢してある。この押圧バネ42によってセンシング部8をスライド移動させる駆動手段43が形成されるものである。
【0041】
上記のように形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを既述の図5のように装着する。次に、バネ34を圧縮させるようにロック具32を回動させて、センシング板25に対するロック爪33の係止を外すと、図6(b)に示すようにセンシング部8は押圧バネ42によって押圧されてガイド筒28内をスライドし、センシング軸24の先端が生体14の表面に接触する。そしてこの状態で、既述と同様にして生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0042】
このようにして生体信号の測定を行なうにあたって、センシング軸24の先端面は押圧バネ42による圧力で生体14の表面に接触するものであり、生体14の表面に対するセンシング軸24の接触圧は押圧バネ42のバネ圧に応じた一定の圧力になる。またセンシング部8は保持部23によって生体1の所定位置に保持されているので、生体14の表面の一定の箇所にセンシング軸24を接触させることができる。従ってセンシング部8の接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるので、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。また、センシング部8を押圧バネ42で押圧してセンシング軸24の先端を生体14の表面に接触させるようにしているので、センシング部8の自重を利用する図3や図4の実施の形態の場合のように、ピックアップ具Aを上向きにして測定を行なうような必要はなくなり、自由な姿勢で測定を行なうことが可能になるものである。
【0043】
図7は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の他の一例を示すものである。センシング部8は円柱状のセンシング軸24と円板状のセンシング板25とで形成してある。センシング板25は鉄などの強磁性体あるいは磁石で形成されるものであり、センシング板25の中央に設けた軸状筒部39内にセンシング軸24を挿着すると共に、センシング軸24の先端をセンシング板25の下面から突出させてある。またセンシング軸24には図1の場合と同様に発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10が接続してあり、発光側光ファイバー6の先端部は発光部6aとして、受光側光ファイバー10の先端部は受光部10aとして、それぞれセンシング軸24の先端面に露出させてある。
【0044】
保持部23は円筒状のガイド筒28と、ガイド筒28の下端部の対向する二箇所の外側に取着されるバンド29とで形成してある。ガイド筒28は下面が開口し、上面が端板40で閉塞された有底筒として形成してあり、端板40の中央部にスライド孔41が設けてある。またガイド筒28内には上部と下部にそれぞれ円筒状のコイル45が配置してある。上側のコイル45は引き上げ用コイル45aとして形成してあると共に下側のコイル45は押し付け用コイル45bとして形成してあり、両コイルの45a,45bの内周間に跨って円筒状の固定鉄心46が設けてあり、固定鉄心46の下端の内周には抜け止め鍔片47が設けてある。
【0045】
そしてセンシング部8はスライド孔41に軸状筒部39を差し込んだ状態でガイド筒28内の固定鉄心46の内周に上下方向にスライド自在に内装してあり、センシング板25、一対のコイル45a,45b、固定鉄心46で双方向プランジャ型ソレノイドが形成されるようにしてある。このプランジャ型ソレノイドにあって、引き上げ用コイル45aに通電すると、引き上げ用コイル45aにセンシング板25が吸引されるようにセンシング部8がスライドして引き上げられ、押し付け用コイル45bに通電すると、押し付け用コイル45bにセンシング板25が吸引されるようにセンシング部8がスライドして押し下げられるものであり、従って、このプランジャ型ソレノイドによってセンシング部8をスライド移動させる駆動手段43が形成されるものである。
【0046】
上記のように形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを既述の図5のように装着する。このとき、引き上げ用コイル45aに通電されており、センシング部8は図7(a)のように引き上げられた状態にある。次に押し付け用コイル45bに通電すると、センシング部8がスライドして押し下げられ、図7(b)に示すようにセンシング軸24の先端が生体14の表面に接触する。この状態で、既述と同様にして生体信号の測定を行なうことができるものである。生体信号の測定が終った後は、引き上げ用コイル45aに通電してセンシング部8は引き上げられるものである。
【0047】
このようにして生体信号の測定を行なうにあたって、センシング軸24の先端面は押し付け用コイル45bに対するセンシング板25の吸引力に応じた圧力で生体14の表面に接触するものであり、生体14の表面に対するセンシング軸24の接触圧は押し付け用コイル45bに給電する電力に応じた一定の圧力になる。またセンシング部8は保持部23によって生体14の所定位置に保持されているので、生体14の表面の一定の箇所にセンシング軸24を接触させることができる。従ってセンシング部8の接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるので、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。また、コイル45a,45bに対する通電は自動制御することができるので、測定を自動的に行なうことが可能になり。所定の時間間隔での測定、就寝中の測定、作業中の測定などを自動的に行なうことができるものである。
【0048】
図8は本発明に係る生体信号測定用ピックアップ具Aの実施の形態の他の一例を示すものである。センシング部8は円柱状のセンシング軸24と円板状のセンシング板25とで形成してある。センシング板25の中央に設けた軸状筒部39内にセンシング軸24を挿着して固定してあり、センシング軸24の先端がセンシング板25の下面から突出させてある。センシング板25の外周には全長に亘ってパッキン48が設けてあり、軸状筒部39の上部の外周には係止鍔片49が突設してある。またセンシング軸24には図1の場合と同様に発光側光ファイバー6と受光側光ファイバー10が接続してあり、発光側光ファイバー6の先端部は発光部6aとして、受光側光ファイバー10の先端部は受光部10aとして、それぞれセンシング軸24の先端面に露出させてある。
【0049】
保持部23は円筒状のガイド筒28と、ガイド筒28の下端部の対向する二箇所の外側に取着されるバンド29とで形成してある。ガイド筒28は下面が開口し、上面が端板40で閉塞された有底筒として形成してあり、端板40の中央部にスライド孔41が設けてある。スライド孔41の内周には全周に亘ってパッキン50が設けてある。またガイド筒28の側面には吸気口51が開口させて設けてあり、吸気口51には吸気チューブ52が接続してある。この吸気チューブ52にはポンプや炭酸ガスボンベなどが接続してあり、気体を供給することができるようにしてある。炭酸ガスボンベは小型のものは携帯に便利であり、ガス圧を所定圧力に調整しておけば簡単に使用することができるものである。
【0050】
そしてセンシング部8はスライド孔41に軸状筒部39を差しこんだ状態でガイド筒28の内周に上下方向にスライド自在に内装してある。尚、図8(b)のようにセンシング板25の外周に設けたガイド溝36がガイド筒28の内周に設けたガイドリブ31に噛み合うことによって、センシング部8は周方向に回転することなくスライドするようにしてある。ここで、軸状筒部39はスライド孔41の内周のパッキン50に気密的に密着しており、またセンシング板25は外周のパッキン48によってガイド筒28の内周に気密的に密着しており、センシング板25の上面とガイド筒28の内周との間に気密的なシリンダ室53が形成されるようにしてある。また、センシング部8は軸状筒部39の係止鍔片49が端板40の下面に当接する位置まで引き上げられるが、この最も高い位置においてセンシング板25は吸気口51より下側に位置しており、シリンダ室53には常に吸気口51が開口している。従って、吸気チューブ52を通して吸気口51からシリンダ室53に気体が供給されると、シリンダ室53内が加圧状態になり、センシング部8は下方へ押し下げられるようになっている。このシリンダ機構によってセンシング部8をスライド移動させる駆動手段43が形成されるものである。
【0051】
上記のように形成される生体信号測定用ピックアップ具Aを用いて生体信号の測定を行なうにあたっては、まず人の腕など生体14の表面にピックアップ具Aを既述の図5のように装着する。このとき、シリンダ室53には気体の供給は行なわれていず、センシング部8は図9(a)のように引き上げられた状態にある。次にシリンダ室53に吸気口51から気体を供給すると、センシング部8がスライドして押し下げられ、図9(a)に示すようにセンシング軸24の先端が生体14の表面に接触する。このようにシリンダ室53に一定圧で気体を供給してセンシング軸24の先端を生体14の表面に所定の接触圧で接触させた状態を維持しながら、既述と同様にして生体信号の測定を行なうことができるものである。生体信号の測定が終った後は、シリンダ室53への気体の供給を停止し、センシング軸24の先端が生体14の表面に所定の接触圧で接触する状態を解除する。このとき、ポンプを逆回転させてシリンダ室53内を吸引することによって、図9(b)のようにセンシング部8を引き上げることができる。
【0052】
このようにして生体信号の測定を行なうにあたって、センシング軸24の先端面はシリンダ室53に供給される気体の圧力で生体14の表面に接触するものであり、生体14の表面に対するセンシング軸24の接触圧は気体の圧力に応じた一定の圧力になる。またセンシング部8は保持部23によって生体14の所定位置に保持されているので、生体14の表面の一定の箇所にセンシング軸24を接触させることができる。従ってセンシング部8の接触圧を一定に保ちながら生体14の一定の箇所で測定を行なうことができるので、生体14内で近赤外光の吸収のスペクトルが変動することを防ぐことができ、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。また、シリンダ室53への気体の供給は自動制御することができるので、測定を自動的に行なうことが可能になり。所定の時間間隔での測定、就寝中の測定、作業中の測定などを自動的に行なうことができるものである。
【0053】
上記の各実施の形態のように、センシング部8のセンシング軸24の先端面を生体14の表面に所定接触圧で接触させて生体信号の測定を行なうにあたって、生体14の表面から発汗された水分がセンシング軸24の先端面との間に蒸発せずに残り易い。水分は近赤外光の吸収率が高いので、水分がセンシング軸24の先端の発光部6aと受光部6bの近傍に存在していると、水分率の変化によってスペクトルが大きく変化し、測定の安定性や精度に悪影響が及ぼされる。
【0054】
そこで図10の実施の形態では、センシング軸24の先端面に発光部6aと受光部6bの近傍において溝55が凹設してある。このようにセンシング軸24の先端面に溝55を設けて、毛細管現象で溝55に水分を吸収することによって、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間に水分が余分に残ることを防止し、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間の水分量が一定になるようにしてある。溝55はセンシング軸24の中央部から周端縁に至る放射状に形成してあり、溝55の端部から水分が蒸発され易くなるようにしてある。このような溝55の存在は、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間に泡がかむことによるスペクトルの乱れを防止するうえでも有効である。
【0055】
また図11の実施の形態では、センシング軸24の先端面に発光部6aと受光部6bの近傍において水分吸収体56が設けてある。水分吸収体56としては高吸水性ポリマーなどを用いることができるものであり、センシング軸24の先端面に凹設した凹部64内に水分吸収体56をはめ込んで取り付けることによって、センシング軸24の先端面と水分吸収体56の表面が面一になるようにしてある。このようにセンシング軸24の先端面に水分吸収体56を設けて、水分吸収体56で水分を吸収することによって、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間に水分が余分に残ることを防止し、センシング軸24の先端面と生体14の表面との間の水分量が一定になるようにすることができるものである。
【0056】
図12の実施の形態は、既述の図3、図6、図7、図8のように、保持部23をガイド筒28で形成し、ガイド筒28内にセンシング部8をスライド自在に装着するようにした場合についての例を示すものであり、ガイド筒28の周囲に複数の通気孔57が設けてある。このように通気孔57を設けることによって、ガイド筒28内の湿気を外部に逃すことができ、生体14の表面の水分量の上昇を抑えることができるものである。ここで、図12(b)に示すように、ガイド筒28に吸引口62を設け、吸引ポンプなどに接続したホース63をこの吸引口62に接続し、ガイド筒28内の空気を強制的に排気して、湿気を強制的に逃すようにしてもよい。
【0057】
また図13の実施の形態は、同様に、既述の図3、図6、図7、図8のように、保持部23をガイド筒28で形成し、ガイド筒28内にセンシング部8をスライド自在に装着するようにした場合についての例を示すものであり、ガイド筒28の下部内に水分吸収ローラー58が設けてある。ガイド筒28の下部は幅広部59として形成してあり、幅広部59の一側面にガイド筒28の下面の開口を横切る方向のガイド長孔60が設けてある。そして水分吸収ローラー58の一端の摘み部61がガイド長孔60から突出させてある。このものでは、摘み部61をガイド長孔60に沿って図13(a)の矢印のように移動させると、水分吸収ローラー58は図13(b)の矢印のようにガイド筒28の下面の開口を横切って移動し、生体14の表面の水分を水分吸収ローラー58で吸収することができ、生体14の表面の水分量の上昇を抑えることができるものである。
【0058】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る生体信号測定用ピックアップ具は、近赤外光を生体の表面に照射すると共に生体からの反射光を受光し、受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を測定する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具であって、近赤外光の発光部と受光部を設けて形成されるセンシング部と、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部とから成るので、センシング部を保持具で生体の所定位置に保持することができ、測定を行なう度にセンシング部を生体の表面に押し付けるような操作を行う必要がなく、頻繁に測定を行なうにあたって測定を容易に行なうことができるものである。しかもセンシング部を生体の表面の一定位置において所定の一定の接触圧で接触させた状態で測定を行なうことができるものであり、近赤外光の吸収のスペクトルの変動を小さくして、再現性が高い正確な測定を行なうことができるものである。
【0059】
また請求項2の発明は、請求項1において、発光部と受光部をそれぞれ発光側光ファイバーと受光側光ファイバーによって形成し、発光側光ファイバーと受光側光ファイバーをその先端面の中心間距離が0.2〜2mmの間隔になるように配置したので、真皮部分を選択的に透過し真皮部分で選択的に反射した信号のみを検出することができ、精度良くグルコース濃度など生体信号の測定を行なうことができるものである。
【0060】
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、生体の表面に対するセンシング部の接触圧を294〜588hPaに設定してあるので、痛みを感じたり血流が阻害されたりすることを防止しながら、生体信号の測定を精度高く行なうことができるものである。
【0061】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、保持部の生体表面に対する接触面からセンシング部の先端部を突出させることによって、生体の表面にセンシング部を所定の接触圧で接触させるようにしたので、センシング部の先端部の突出寸法の調整によって、適性な接触圧の設定を容易に行なうことができるものである。
【0062】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、生体の表面に対するセンシング部の接触面積が1cm2以下であるので、センシング部の突出寸法を小さくしても生体の表面に対する接触圧を確保することができ、生体表面に対してセンシング部を接触させる際の痛みや血流阻害を小さくしながら、生体信号の測定を精度高く行なうことができるものである。
【0063】
また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、センシング部を保持部にスライド自在に設け、生体信号測定時にセンシング部をスライドさせることによって、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにしたので、生体信号の測定時にのみセンシング部を生体表面に接触させるようにすることができ、生体表面に常時センシング部を接触させる場合のような生体に対する負担を小さくすることができるものである。
【0064】
また請求項7の発明は、請求項6において、センシング部の自重で、スライドしたセンシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにしたので、センシング部を生体表面に接触させるための駆動手段を具備する必要が無く、ピックアップ具の構成を簡便なものに形成するとができるものである。
【0065】
また請求項8の発明は、請求項6において、センシング部をスライド移動させる駆動手段を具備し、駆動手段でセンシング部をスライドさせると共に生体の表面に所定の接触圧で接触させるようしたので、駆動手段によって自動的にセンシング部を生体表面に接触させるようにすることができ、生体信号の測定を自動化することが可能になるものである。
【0066】
本発明の請求項9に係る生体信号測定装置は、近赤外光を生体の表面に照射する発光部及び生体からの反射光を受光する受光部を設けて形成されるセンシング部及び、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部から形成される生体信号測定用ピックアップ具と、近赤外光を発光させて発光部に供給する光源と、受光部で受光された近赤外光の反射光を検出する検出手段と、検出手段で検出された受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を算出する演算装置とを具備するので、生体信号測定用ピックアップ具のセンシング部を保持具で生体の所定位置に保持することができ、測定を行なう度にセンシング部を生体の表面に押し付けるような操作を行う必要がなく、頻繁に測定を行なうにあたって測定を容易に行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は底面図、(c)はセンシング部のセンシング軸の底面の拡大図である。
【図2】(a)乃至(e)はそれぞれ血糖値の実測値と推定値の経時変化を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は平面断面図である。
【図4】同上の使用状態を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図5】同上の生体信号測定用ピックアップ具を腕に装着した状態を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a),(b)は断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a),(b)は断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は平面断面図である。
【図9】同上の使用状態を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)はセンシング部のセンシング軸の底面の拡大図、(b)はセンシング部のセンシング軸の拡大断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)はセンシング部のセンシング軸の底面の拡大図、(b)はセンシング部のセンシング軸の拡大断面図である。
【図12】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図13】本発明の実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図14】生体信号測定装置のシステムを示す概略図である。
【符号の説明】
1 光源
6 発光側光ファイバー
6a 発光部
8 センシング部
10 受光側光ファイバー
10a 受光部
14 生体
17 受光素子
19 演算装置
23 保持部
43 駆動手段
Claims (9)
- 近赤外光を生体の表面に照射すると共に生体からの反射光を受光し、受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を測定する生体信号測定装置に用いられる生体信号測定用ピックアップ具であって、近赤外光の発光部と受光部を設けて形成されるセンシング部と、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部とから成ることを特徴とする生体信号測定用ピックアップ具。
- 発光部と受光部をそれぞれ発光側光ファイバーと受光側光ファイバーによって形成し、発光側光ファイバーと受光側光ファイバーをその先端面の中心間距離が0.2〜2mmの間隔になるように配置して成ることを特徴とする請求項1に記載の生体信号測定用ピックアップ具。
- 生体の表面に対するセンシング部の接触圧を294〜588hPaに設定して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体信号測定用ピックアップ具。
- 保持部の生体表面に対する接触面からセンシング部の先端部を突出させることによって、生体の表面にセンシング部を所定の接触圧で接触させて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の生体信号測定用ピックアップ具。
- 生体の表面に対するセンシング部の接触面積が1cm2以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の生体信号測定用ピックアップ具。
- センシング部を保持部にスライド自在に設け、生体信号測定時にセンシング部をスライドさせることによって、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の生体信号測定用ピックアップ具。
- センシング部の自重で、スライドしたセンシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とする請求項6に記載の生体信号測定用ピックアップ具。
- センシング部をスライド移動させる駆動手段を具備し、駆動手段でセンシング部をスライドさせると共に生体の表面に所定の接触圧で接触させるようにして成ることを特徴とする請求項6に記載の生体信号測定用ピックアップ具。
- 近赤外光を生体の表面に照射する発光部及び生体からの反射光を受光する受光部を設けて形成されるセンシング部と、センシング部を生体の表面に所定の接触圧で接触させた状態で保持する保持部とから形成される生体信号測定用ピックアップ具と、近赤外光を発光させて発光部に供給する光源と、受光部で受光された近赤外光の反射光を検出する検出手段と、検出手段で検出された受光成分から得られる生体信号に基づいて生体中の成分濃度を算出する演算装置とを具備して成ることを特徴とする生体信号測定装置。
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ID=31180706
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007089708A (ja) * | 2005-09-27 | 2007-04-12 | Matsushita Electric Works Ltd | プローブ支持具、プローブ装置、生体内成分測定装置 |
JP2008104838A (ja) * | 2006-09-25 | 2008-05-08 | Matsushita Electric Works Ltd | 生体信号測定具及びこれを用いた生体信号測定方法 |
JP2009507604A (ja) * | 2005-09-13 | 2009-02-26 | グルコスタッツ・システム・プライヴェト・リミテッド | プローブに一定の接触圧を提供する装置 |
CN103596608A (zh) * | 2011-03-31 | 2014-02-19 | 株式会社根本杏林堂 | 泄漏检测传感器和化学液体注射系统 |
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WO2021166491A1 (ja) * | 2020-02-19 | 2021-08-26 | 株式会社ジャパンディスプレイ | 検出装置 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184905A patent/JP2004024514A/ja active Pending
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