JP2004024423A - 注射器用樹脂製ガスケットとその製造金型およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】従来のゴム製ガスケットに代えて無菌のクリーンルームで連続的に大量生産することができ、しかも前述のような液漏れを発生せず、樹脂製シリンダはもとより精度の悪いガラス製シリンダにも問題なく適用することができ更にはピストンの滑りも非常に優れた樹脂製のガスケットを開発することにある。
【解決手段】注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接外鍔(5)がピストン用ガスケット本体(4)の外周面(6)に形成されている注射器用樹脂製ガスケット(1)において、
摺接外鍔(5)の注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)がパーティングラインのない平坦面に形成されている事を特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接外鍔(5)がピストン用ガスケット本体(4)の外周面(6)に形成されている注射器用樹脂製ガスケット(1)において、
摺接外鍔(5)の注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)がパーティングラインのない平坦面に形成されている事を特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、注射器の樹脂製シリンダは勿論、ガラス製シリンダにも適用することができる適用範囲の非常に広い樹脂製ガスケットおよび当該ガスケットを製造するための金型ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
注射器のシリンダ(2’)は一般的にガラス製であり、そのピストン(8’)に装着されるガスケット(1’)はゴム製である。ガラス製のシリンダ(2’)の内径精度は著しく悪く、0.1〜0.2mm程度の誤差は普通であり、その断面形状も真円でなく、楕円となっている場合がある。このような精度の悪いガラス製シリンダ(2’)の内周面(3’)に液漏れなく摺接する材料としては柔軟性且つ弾力性に優れたゴムしかないと考えられていた。
【0003】
ところが、ゴムはガスケット(1’)としての機械的性質に優れているものの、数多くの好ましくない素材が構成成分として含まれていること、製造工程が汚染されやすく(換言すれば、ゴム製ガスケット(1’)の製造工程は人手を多数必要とし且つ製造工程において多量の不純物ガスが発生するため、無菌クリーンルームにおいて製造することができない。)、注射器の部材として使用されるには数多くの洗浄工程を経なければならないことからコストがかかるという問題がある。
【0004】
そこで、ゴム製ガスケット(1’)に代えて同一形状の樹脂性ガスケット(1’)を使用することも試みられたが、外周面(6’)全周にシリンダ(2’)の内周面(3’)に摺接する摺接突条(13’)が複数本形成されている従来形状のガスケット(1’)にあっては、前記摺接突条(13’)を金型から離脱させるために図12に示すようなガスケット(1’)の半分を形成するキャビティ(34’)を割型(33a’)(33b’)に形成し、この割型(33a’)(33b’)を使用して製造しなければならなかった。このような割型(33a’)(33b’)によって製造されたガスケット(1’)は図16に示すようにガスケット(1’)の側面全体にパーティングライン(微細突条=P2’)が形成されるので、シリンダ(2’)の内周面(3’)にこの部分が接触するとそのパーティングライン(P2’)の部分から液漏れが発生する。
【0005】
それ故、このようなガスケット(1’)にあっては必要以上の接触圧を必要とするのでピストン(8’)の滑りが悪くなるという問題があった。特に、粘度の高い薬液を正確な量だけ注射する場合、ピストン(8’)の滑りは非常に重要であり、このような用途には到底使用することができなかった。加えて、このような樹脂製ガスケット(1’)にあってはゴムと異なりシリンダ(2’)の製造誤差を吸収するための弾力性がなく、精度の高い樹脂製シリンダ(2’)の場合は兎も角(ただしこの場合、接触圧が大きいため滑りが悪く、シリンダ(2’)の内周面に多量のシリコン樹脂を塗着しなければならない。)、精度の低いガラス製シリンダ(2’)には到底使用することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来のゴム製ガスケットに代えて無菌のクリーンルームで連続的に大量生産することができ、しかも前述のような液漏れを発生せず、樹脂製シリンダはもとより精度の悪いガラス製シリンダにも問題なく適用することができ更にはピストンの滑りも非常に優れた樹脂製のガスケットを開発すること、前記ガスケットの製造金型を開発することおよびその製造方法を開発することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
『請求項1』は本発明にかかる注射器用樹脂製ガスケット(1)に関し、「注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接外鍔(5)がピストン用ガスケット本体(4)の外周面(6)に形成されている注射器用樹脂製ガスケット(1)において、
摺接外鍔(5)の注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)がパーティングラインのない平坦面に形成されている」事を特徴とする。
【0008】
このように(特に先端部分の)摺接外鍔(5)の注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)がパーティングラインのない平坦面に形成されているので、摺接部分(7)全体が注射器用シリンダ(2)の内周面(3)全面に均一に接触することになり、従来例ように先端部分の摺接外鍔(13a’)のパーティングライン(P2’)から液漏れを発生するというようなことがない。
【0009】
『請求項2』は請求項1に記載の注射器用樹脂製ガスケット(1)の限定に関し「摺接外鍔(5)の先端がガスケット本体(4)の先端側に向くように摺接外鍔(5)を湾曲あるいは傾斜するように形成されている」事を特徴とするもので、このように摺接外鍔(5)を形成することで、ピストン(8)を押圧して前進させたとき、シリンダ(2)内に充填された薬液(9)が内側から外側に向けて摺接外鍔(5)を押し広げるように圧力をかけ、摺接外鍔(5)の前記パーティングラインのない平坦な摺接部分(7)をシリンダ(2)の内周面に均一に押圧することになり、液漏れが防止される。
【0010】
『請求項3』は請求項1又は2に記載の注射器用ガスケット(1)の摺接外鍔(5)の外面(5a)とスライド面(P1)との角度(θ)に関し「摺接外鍔(5)の外面(5a)のスライド面(P1)と交差する点(Q)における接線(T)と前記スライド面(P1)とのなす角(θ)が30°以上である」ことを特徴とする。前記角度(θ)が30°以下の場合、脱型の時に注射器用ガスケット(1)の摺接外鍔(5)を成形するための外鍔形成金型部(31)に形成された外鍔形成用キャビティ(32)から摺接外鍔(5)が抜けにくく、せん断によって摺接外鍔(5)が破損する。
【0011】
『請求項4』は請求項1〜3のいずれかに記載の注射器用ガスケット(1)に於ける摺接外鍔(5)の補強方法の第1例で「摺接外鍔(5)の内側に放射方向の補強リブ(51)が形成されて」いる事を特徴とする。ピストン(8)を引いたとき、摺接外鍔(5)が引き圧(ピストン(8)を引いたとき、シリンダ(2)の後端開口(10)側の気圧(T1)が(9)側の圧力(T2)より大きくなって摺接外鍔(5)を僅かに撓ませて摺接部分(7)がシリンダ(2)の内周面(3)から僅かに離間し、ここから空気が薬液室(11)内に侵入する。補強リブ(51)を摺接外鍔(5)の内側にて放射方向に設けることで、ピストン(8)の引きに対する内外気圧差(T1>T2)に対して摺接外鍔(5)の強度を補強することができ、ピストン(8)を引いたときに空気の侵入を防止することができる。加えて、シリンダ(2)にガスケット(1)を取り付けたピストン(8)を装着した状態で殺菌加熱を行うが、殺菌加熱時に発生するクリープ変形(加熱により摺接外鍔(5)がシリンダ(2)の内周形状に合わせて変形し、内周面(3)に対する接触力がなくなってしまう状態)を防止することもできる。
【0012】
『請求項5』は摺接外鍔(5)の補強方法の第2例で「摺接外鍔(5)の内面に補強ゴム層(52)が形成されている」事を特徴とする。この補強ゴム層(52)が前記補強リブ(51)と同様な働きをする。
【0013】
『請求項6』は摺接外鍔(5)の補強方法の第3例で「少なくとも摺接外鍔(5)が架橋処理されている」事を特徴とする。摺接外鍔(5)が架橋処理されておれば、補強リブ(51)や補強ゴム層(52)と同様、摺接外鍔(5)により大きな弾性や耐クリープ強度が付与され、補強リブ(51)や補強ゴム層(52)と同様となる。
【0014】
架橋方法としては、過酸化物架橋(成形樹脂に過酸化物を添加し、低温条件で可塑化し、高温の金型(30)に射出して架橋する方法)、電子線架橋(電子線を照射して架橋する方法)及び化学反応架橋(例えば、オレフィン樹脂に架橋形シリコンを混入し、水分或いは加熱により成形品を架橋する方法)などがある。
【0015】
『請求項7』は摺接外鍔(5)の補強方法の第4例で「少なくとも摺接外鍔(5)が収縮処理されている」事を特徴とするもので、これにより高温殺菌処理時の摺接外鍔(5)のクリープを解消することが出来る。なお、収縮処理は成形品を二次転移点以下の温度で加熱することで行う。設定温度は歪み取りの必要度、時間によって決定する。
【0016】
『請求項8』は摺接外鍔(5)の補強方法の第4例で「請求項7の注射器用樹脂製ガスケット(1)において、収縮処理されてがなされた後、架橋処理されている」事を特徴とするもので、このようにすることで完全にクリープ現象を克服することが出来る。
【0017】
『請求項9』は請求項1〜8に記載の注射器用ガスケット製造用の金型(30)に関し、「少なくとも摺接外鍔(5)の先端部分(5b)を形成するための摺接外鍔形成用キャビティ(32)を有する外鍔形成金型部(31)と、前記摺接外鍔形成用キャビティ(32)にて形成される先端部分(5b)以外のガスケット本体部分(5c)を形成する、ガスケット本体部分(5c)の中心軸方向にパーティングライン(P2)を有する割型(33a)(33b)と、ガスケット本体部分(5c)の内面を形成するためのコア型(38)とで構成されている」ことを特徴とする。
【0018】
この金型(30)を使用することによって、摺接外鍔(5)の先端部分(5b)の外周面(すなわち、シリンダ(2)の内周面(3)との摺接部分全面)を平坦面に形成することができる。その結果、樹脂製シリンダは勿論、寸法精度の悪いガラス製シリンダに対しても対応することができる。
【0019】
『請求項10』は『請求項9』に記載の注射器用ガスケット製造用の金型(30)を使用して『請求項1〜8』のいずれかに記載の注射器用ガスケットを製造する方法であって、「請求項9に記載の金型(30)を型締した後、外鍔形成金型部(31)と割型(33a)(33b)とで形成されるピストン成形用キャビティ(34)に樹脂を射出充填し、保圧・冷却した後、型開し、ガスケット成形体(1)の摺接外鍔(5)を外鍔形成金型部(31)の摺接外鍔形成用キャビティ(32)から引き抜く」事を特徴とする。このようにすることで、シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接外鍔(5)の外周面全面にパーティングラインのない平坦な摺接面が形成されることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。本発明にかかるガスケット(1)は図1に示すようにピストン(8)の先端部分に螺着され、シリンダ(2)内に挿入され、その摺接外鍔(5)がシリンダ(2)の内周面(3)に液密状に接触し、ピストン(8)の移動にあわせて摺接するようになっている。ガスケット(1)の形状は、有低円筒状のもので、その内周面に雌ねじ(12)が螺設され、その外周面に2条のガイドリング(13)が形成され、更にその先端部分に摺接外鍔(5)が突設されている。
【0021】
本発明にかかるガスケット(1)は、ガスケット(1)全体(或いはその補強用として使用されている補強ゴム(51)以外の部分)が耐医薬品性に優れた熱可塑性樹脂、更に具体的には、オレフィン系単独重合樹脂或いは同共重合樹脂又はポリマーアロイ、各種フッ素樹脂から選択される材料にて形成され、前記樹脂において引っ張り弾性率が例えば2.0〜0.1×104kgf/cm2の範囲のものが好ましい。
【0022】
更に具体的に言えば、オレフィン系樹脂では低圧法ポリエチレン、中圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチレン、プロピレン共重合体、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、エラストマ変性ポリプロピレンなど)あるいはフッ素樹脂では、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン等があげられる。
【0023】
そして、成形は通常の射出成形で、先端部分の摺接外鍔(5)の形状、特に、前記摺接外鍔(5)の注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)がパーティングラインのない平坦面に形成されている点に特徴がある。その他の形状は従来のゴムガスケットと同じである。
【0024】
まず、本発明にかかるガスケット(1)の摺接外鍔(5)の形状(第1実施例=図5)について説明する。摺接外鍔(5)は有低円筒状のガスケット本体部分(5c)の先端角部からリング状に突設されており、その先端が先端方向を向き、その断面が先端方向に湾曲している。(53)は摺接外鍔(5)の内側湾曲面である。摺接外鍔(5)は全体が薄いリング片で構成されているので、ある程度硬い樹脂であったとしても弾力性を有しある程度の変形能を示す。摺接外鍔(5)の先端部分(5b)は外鍔形成金型部(31)の摺接外鍔形成用キャビティ(32)にて形成されるので、注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)が全周にわたってパーティングラインのない平坦面に形成されることになる。
【0025】
次に本発明にかかるガスケット(1)の製造金型(30)について簡単に説明する。図2〜4は当該金型(30)の主要部分のみを示すもので、少なくとも摺接外鍔(5)の先端部分(5b)を形成するための摺接外鍔形成用キャビティ(32)を有する外鍔形成金型部(31)と、前記摺接外鍔形成用キャビティ(32)にて形成される先端部分(5b)以外のガスケット本体部分(5c)を形成する、ガスケット本体部分(5c)の中心軸方向にパーティングライン(P2)を有する割型(33a)(33b)と、ガスケット本体部分(5c)の内面を形成するコア型(38)とで構成されている。
【0026】
外鍔形成金型部(31)と割型(33a)(33b)とで構成されるガスケット用キャビティ(34)に樹脂を射出充填するためのランナー(36)が外鍔形成金型部(31)に穿設されており、ゲート(37)を介してこれが前記ガスケット用キャビティ(34)に連通している。摺接外鍔形成用キャビティ(32)は前記ゲート(37)を中心にその周囲に凹設されている。本実施例ではガスケット本体の先端部分が摺接外鍔(5)の内面基部より若干先端側に突出しているので、その部分だけ外鍔形成金型部(31)が彫り込まれている。
【0027】
なお、実際の外鍔形成金型部(31)は外鍔内側面形成金型部(31a)と外鍔外側面形成金型部(31b)とで構成されており、外鍔内側面形成金型部(31a)に外鍔外側面形成金型部(31b)を嵌め込むようになっており、外鍔外側面形成金型部(31b)を交換する事で摺接外鍔(5)の外面の形状を自在に変える事が出来る。この場合、外鍔内側面形成金型部(31a)と外鍔外側面形成金型部(31b)との合わせ面に接合ライン(P4)が発生し、これが摺接外鍔(5)の先端全周にパーティングライン(図示せず)が発生するが、この部分は摺接部分(7)でないので、液密性が損なわれる事がない。
【0028】
割型(33a)(33b)は外鍔形成金型部(31)のスライド面(P1)に沿って左右に移動し、摺接外鍔形成用キャビティ(32)および前記掘り込まれた先端部分以外の部分を形成するキャビティ(34)が形成されている。
【0029】
コア型(38)には、割型(33a)(33b)のスライド面(P3)が摺接しており、前記コア型(38)から突設したコア(39)は前記ガスケット本体部分(5c)を構成するキャビティ(34)の中心に位置するようになっている。そして、コア(39)の外周面には雄ねじ(40)が螺設されており、ガスケット(1)の内周面に雌ねじ(5d)を形成するようになっている。
【0030】
本発明にかかるガスケット(1)と製造方法は通常の射出成形で、簡単に説明すれば、図2に示すように金型(30)を型締し、ゲート(37)を介して樹脂をキャビティ(34)内に射出充填する。充填された樹脂は摺接外鍔形成用キャビティ(32)を含むキャビティ(34)全体を満たし、その状態で保圧・冷却される。冷却工程が終了すると、割型(33a)(33b)が図3のように左右に開き、ガスケット本体部分(5c)が離型される。続いてコア型(38)が外鍔形成金型部(31)から離間すると、コア(39)に螺着されたガスケット(1)がコア型(38)と共に離間し、外鍔形成用キャビティ(32)から摺接外鍔(5)の先端部分(5b)が引き抜かれる。
【0031】
このとき、図5に示すようにスライド面(P1)と摺接外鍔(5)の先端部分(5b)との交点(Q)における先端部分(5b)の外面の接線(T)と、スライド面(P1)との間の角度(θ)が30°以上(好ましくは45°〜80°)であるので、摺接外鍔(5)が変形しながら先端部分(5b)の外面が外鍔形成用キャビティ(32)の内面を滑り、スムーズに先端部分(5b)が外鍔形成用キャビティ(32)から滑り出す。その結果、外鍔形成用キャビティ(32)にて形成される前記先端部分(5b)の内外面は全周にわたってパーティングラインの形成されていない平坦面となる。
【0032】
コア型(38)と共に取り出されたガスケット(1)はコア(39)から自動的に螺脱され、ピストン(8)の先端部に螺装される。続いて、ガスケット(1)を装着したピストン(8)をシリンダ(2)内に挿入し、且つシリンダ(2)の先端の注射針装着筒部(15)にキャップ(16)「本実施例では樹脂製であるが、勿論、これに限られずゴム製でもよい。」を取り付け、この状態(図1の薬液室(11)内に薬液(9)が入っていない状態)で滅菌処理を行う。薬液室(11)内に薬液(9)が充填されているプレフィル型注射器の場合は、それぞれのパーツ(1)(2)(8)(16)をそれぞれ滅菌処理しておき、そのシリンダ(2)の先端に前記キャップ(16)を装着し、続いて無菌状態でシリンダ(2)内に薬液(9)を充填し、然る後、シリンダ(2)内を真空状態にしてシリンダ(2)の後端開口にガスケット(1)を嵌め込み、シリンダ(2)を大気中に戻すと内外の気圧差でガスケット(1)がシリンダ(2)内に吸い込まれ、気泡を発生させることなく薬液(9)に接する。そして最後にピストン(8)をガスケット(1)に装着する。
【0033】
滅菌処理は、121℃で加熱する加熱方法、電子線照射方法、ガンマー線照射方法など各種の方法があるが、加熱方法の場合、摺接外鍔(5)がシリンダ(2)の内周面(3)に接触して押し縮められている状態の前記組立状態でシリンジ(A)を加熱すると摺接外鍔(5)がクリープを起こして変形してしまい、摺接外鍔(5)がシリンダ(2)の内周面(3)に弾接しなくなり、後述する使用時に液漏れを起こす。そこで、その解決法の第1として、ガスケット(1)の製造に使用する樹脂に前述の架橋処理(過酸化物架橋、電子線架橋、化学反応架橋)を行ってガスケット(1)の耐クリープ強度の向上を図る方法があげられる。
【0034】
第2の方法としては、図7に示すように摺接外鍔(5)の内側に放射方向の補強リブ(51)を形成する場合で、このようにすることによりクリープ変形を緩和することができる。
【0035】
第3の方法としては図8に示すように摺接外鍔(5)の内面に補強ゴム層(52)を形成する場合(補強ゴム層(52)の形成は2色成形[=ゴムの充填と樹脂の充填とを同時に行い、所定の位置に補強ゴム層(52)を形成する方法])で、補強ゴム層(52)の存在により摺接外鍔(5)の加熱滅菌処理時のクリープ変形を防止することができる。なお、前述の電子線照射滅菌処理やガンマ線照射滅菌処理にあっては高温に加熱されることがないので、クリープ変形はないが、後述する使用時の問題点により架橋処理、補強リブ(51)および補強ゴム層(52)の存在は有効である。
【0036】
第4の方法としては収縮処理(加熱による成形歪みを取る方法)で、成形品の2次移転点近傍(一般的には2次移転点の±20℃程度)の温度で加熱することで成形品の耐クリープ強度を向上させる。具体的加熱温度と時間は歪み取り処理の必要度に応じて個別に設定される。前記収縮処理を行った後、前記の架橋処理を施せば、更に耐クリープ強度を向上させることが出来る。
【0037】
なお、図6、9、10は摺接外鍔(5)のその他の例で、図6の場合は直線状に先端方向にて斜め方向に突出している例であり、図9は従来のガスケット(1’)同様、ガスケット(1)のパーティングライン(P2)に直角に摺接外鍔(5)が突設しているが、外鍔形成金型部(31)と割型(33a)(33b)とのスライド面(P1)が摺接外鍔(5)の先端円弧部分(54)の内側(図中、下側)に位置する場合である。この場合、外鍔形成金型部(31)内に入り込む部分は(T)で示す先端円弧部分(54)だけであるから、従来例のようにせん断破損することなく外鍔形成金型部(31)から抜き出すことが出来る。ただし、ピストン(8)を作動させた場合の外鍔形成金型部(31)に加わる押し広げ力は働かない。
【0038】
図10は図9の実施例に薄肉鍔部(55)が延出している例で、図9に加えてピストン(8)を作動させた場合、薄肉鍔部(55)に圧力が加わりこれを押し広げることが出来、この部分で液漏れを防止する。
【0039】
このようにして組み立てられ、滅菌状態にあるシリンジ(A)の薬液室(11)に所定の薬液を充填し、図1に示すプレフィル型シリンジにとする。勿論、プレフィル型でなく、バイアル瓶にはアンプルから薬液を吸引する一般的な注射器として使用することもできる。ここではプレフィル型シリンジを代表例として説明する。
【0040】
図1は本発明にかかるガスケット(1)がピストン(8)の先端部に装着され、シリンダ(2)内にスライド自在に挿入され、薬液室(11)内に薬液が充填されたプレフィル型樹脂(或いはガラス)製シリンジ(A)の断面図である。シリンダ(2)の注射針装着筒部(15)にはキャップ(16)が取り付けられている。このシリンジ(A)を使用して注射する場合、まず先端のキャップ(16)を外し、注射針装着筒部(15)に注射針(図示せず)を装着し、必要部位に注射針を刺した後、ピストン(8)を押圧して前進させる。
【0041】
これにより薬液室(11)内の圧力が高くなり、薬液室(11)内に充填された薬液(9)が内側湾曲面(53)を加圧して内側から外側に向けて摺接外鍔(5)を押し広げ、摺接外鍔(5)の前記パーティングラインのない平坦な摺接部分(7)をシリンダ(2)の内周面に均一に押圧する。そして、前記押圧力は薬液室(11)内の圧力と比例して高くなり、その結果、極めて高い圧力が薬液室(11)に加わったとしても液漏れが生じない。通常は、薬液室(11)内の圧力はさほど高くないので、ガスケット(1)は極めて小さな力で(換言すれば、従来のゴムガスケットに比べて小さな力で)液漏れを生ずることなく滑動する。
【0042】
また、この摺接外鍔(5)は樹脂製でありながら前述のように弾力性を持ち、薬液室(11)内の圧力によって内側から外側に向けて押し広げられるため、且つシリンダ(2)の内周面(3)との液密的接触に優れるため、0.1〜0.2mm程度の寸法誤差を有し、場合によっては断面が楕円形となっているようなガラス製シリンダ(2)に対しても問題なく液密的摺接状態を達成することができる。
【0043】
なお、血管注射のような場合、注射針が血管内に確実に差し込まれているかどうかを確認するために、注射針を刺した後、一度ピストン(8)を引き、薬液室(11)内に血液が流入するかどうかを確認するが、このとき摺接外鍔(5)のピストン(8)の引き対する強度が低い場合、内外気圧差により薬液室(11)内に空気が入る恐れがあるが、前述のように架橋処理などを施しておけばこのような問題も解消される。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、ピストンの先端に装着されるガスケットの摺接外鍔の注射器用シリンダの内周面に摺接する摺接部分がパーティングラインのない平坦面に形成されているので、前記摺接部分全体が注射器用シリンダの内周面全面に均一に接触することになり液漏れを発生するというようなことがない。
【0045】
また、前記摺接外鍔の先端がガスケット本体の先端側に向くように摺接外鍔が湾曲あるいは傾斜するように形成されているので、ピストンを押圧して前進させたとき、シリンダ内に充填された薬液が内側から外側に向けて摺接外鍔を押し広げるように圧力をかけることになり液漏れが防止される。
【0046】
更に、摺接外鍔の外面とスライド面との間に30°以上の角度を受けておくことで、脱型の時に摺接外鍔が外鍔形成用キャビティから抜けにくく、せん断によって摺接外鍔が破損するようなことがない。
【0047】
加えて、摺接外鍔の内側に放射方向の補強リブを形成したり、摺接外鍔の内面に補強ゴム層を形成したり或いは架橋処理することで、摺接外鍔の耐クリープ強度を高めることができ、これにより加熱殺菌時のクリープ変形の防止やピストンを引いて注射針が血管内に確実に入っているがどうかを調べるような時、内外気圧による空気の薬液室への混入などを排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプレフィル型樹脂製シリンジの断面図
【図2】本発明にかかるガスケット製造用の金型の型締時の断面図
【図3】図2における金型の割型を型開きしたときの断面図
【図4】図2における金型のコア型を離間させたときの断面図
【図5】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分の拡大断面図
【図6】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分の他の拡大断面図
【図7】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分に補強リブを設けた時の拡大断面図
【図8】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分に補強ゴム層を設けた時の拡大断面図
【図9】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分の第4例の拡大断面図
【図10】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分の第5例の拡大断面図
【図11】従来のプレフィル型樹脂製シリンジの断面図
【図12】従来例の金型(型締)の断面図
【図13】従来の金型のガスケットの拡大断面図
【図14】従来の金型から無理にガスケット取りだそうとした場合の破断状態を示す拡大断面図
【図15】本発明のガスケットの斜視図
【図16】従来のガスケットの斜視図
【符号の説明】
(1)ガスケット
(2)注射器用シリンダ
(3)内周面
(4)ピストン用ガスケット本体
(5)摺接外鍔
(6)外周面
(7)摺接部分
(8)ピストン
【産業上の利用分野】
本発明は、注射器の樹脂製シリンダは勿論、ガラス製シリンダにも適用することができる適用範囲の非常に広い樹脂製ガスケットおよび当該ガスケットを製造するための金型ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
注射器のシリンダ(2’)は一般的にガラス製であり、そのピストン(8’)に装着されるガスケット(1’)はゴム製である。ガラス製のシリンダ(2’)の内径精度は著しく悪く、0.1〜0.2mm程度の誤差は普通であり、その断面形状も真円でなく、楕円となっている場合がある。このような精度の悪いガラス製シリンダ(2’)の内周面(3’)に液漏れなく摺接する材料としては柔軟性且つ弾力性に優れたゴムしかないと考えられていた。
【0003】
ところが、ゴムはガスケット(1’)としての機械的性質に優れているものの、数多くの好ましくない素材が構成成分として含まれていること、製造工程が汚染されやすく(換言すれば、ゴム製ガスケット(1’)の製造工程は人手を多数必要とし且つ製造工程において多量の不純物ガスが発生するため、無菌クリーンルームにおいて製造することができない。)、注射器の部材として使用されるには数多くの洗浄工程を経なければならないことからコストがかかるという問題がある。
【0004】
そこで、ゴム製ガスケット(1’)に代えて同一形状の樹脂性ガスケット(1’)を使用することも試みられたが、外周面(6’)全周にシリンダ(2’)の内周面(3’)に摺接する摺接突条(13’)が複数本形成されている従来形状のガスケット(1’)にあっては、前記摺接突条(13’)を金型から離脱させるために図12に示すようなガスケット(1’)の半分を形成するキャビティ(34’)を割型(33a’)(33b’)に形成し、この割型(33a’)(33b’)を使用して製造しなければならなかった。このような割型(33a’)(33b’)によって製造されたガスケット(1’)は図16に示すようにガスケット(1’)の側面全体にパーティングライン(微細突条=P2’)が形成されるので、シリンダ(2’)の内周面(3’)にこの部分が接触するとそのパーティングライン(P2’)の部分から液漏れが発生する。
【0005】
それ故、このようなガスケット(1’)にあっては必要以上の接触圧を必要とするのでピストン(8’)の滑りが悪くなるという問題があった。特に、粘度の高い薬液を正確な量だけ注射する場合、ピストン(8’)の滑りは非常に重要であり、このような用途には到底使用することができなかった。加えて、このような樹脂製ガスケット(1’)にあってはゴムと異なりシリンダ(2’)の製造誤差を吸収するための弾力性がなく、精度の高い樹脂製シリンダ(2’)の場合は兎も角(ただしこの場合、接触圧が大きいため滑りが悪く、シリンダ(2’)の内周面に多量のシリコン樹脂を塗着しなければならない。)、精度の低いガラス製シリンダ(2’)には到底使用することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来のゴム製ガスケットに代えて無菌のクリーンルームで連続的に大量生産することができ、しかも前述のような液漏れを発生せず、樹脂製シリンダはもとより精度の悪いガラス製シリンダにも問題なく適用することができ更にはピストンの滑りも非常に優れた樹脂製のガスケットを開発すること、前記ガスケットの製造金型を開発することおよびその製造方法を開発することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
『請求項1』は本発明にかかる注射器用樹脂製ガスケット(1)に関し、「注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接外鍔(5)がピストン用ガスケット本体(4)の外周面(6)に形成されている注射器用樹脂製ガスケット(1)において、
摺接外鍔(5)の注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)がパーティングラインのない平坦面に形成されている」事を特徴とする。
【0008】
このように(特に先端部分の)摺接外鍔(5)の注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)がパーティングラインのない平坦面に形成されているので、摺接部分(7)全体が注射器用シリンダ(2)の内周面(3)全面に均一に接触することになり、従来例ように先端部分の摺接外鍔(13a’)のパーティングライン(P2’)から液漏れを発生するというようなことがない。
【0009】
『請求項2』は請求項1に記載の注射器用樹脂製ガスケット(1)の限定に関し「摺接外鍔(5)の先端がガスケット本体(4)の先端側に向くように摺接外鍔(5)を湾曲あるいは傾斜するように形成されている」事を特徴とするもので、このように摺接外鍔(5)を形成することで、ピストン(8)を押圧して前進させたとき、シリンダ(2)内に充填された薬液(9)が内側から外側に向けて摺接外鍔(5)を押し広げるように圧力をかけ、摺接外鍔(5)の前記パーティングラインのない平坦な摺接部分(7)をシリンダ(2)の内周面に均一に押圧することになり、液漏れが防止される。
【0010】
『請求項3』は請求項1又は2に記載の注射器用ガスケット(1)の摺接外鍔(5)の外面(5a)とスライド面(P1)との角度(θ)に関し「摺接外鍔(5)の外面(5a)のスライド面(P1)と交差する点(Q)における接線(T)と前記スライド面(P1)とのなす角(θ)が30°以上である」ことを特徴とする。前記角度(θ)が30°以下の場合、脱型の時に注射器用ガスケット(1)の摺接外鍔(5)を成形するための外鍔形成金型部(31)に形成された外鍔形成用キャビティ(32)から摺接外鍔(5)が抜けにくく、せん断によって摺接外鍔(5)が破損する。
【0011】
『請求項4』は請求項1〜3のいずれかに記載の注射器用ガスケット(1)に於ける摺接外鍔(5)の補強方法の第1例で「摺接外鍔(5)の内側に放射方向の補強リブ(51)が形成されて」いる事を特徴とする。ピストン(8)を引いたとき、摺接外鍔(5)が引き圧(ピストン(8)を引いたとき、シリンダ(2)の後端開口(10)側の気圧(T1)が(9)側の圧力(T2)より大きくなって摺接外鍔(5)を僅かに撓ませて摺接部分(7)がシリンダ(2)の内周面(3)から僅かに離間し、ここから空気が薬液室(11)内に侵入する。補強リブ(51)を摺接外鍔(5)の内側にて放射方向に設けることで、ピストン(8)の引きに対する内外気圧差(T1>T2)に対して摺接外鍔(5)の強度を補強することができ、ピストン(8)を引いたときに空気の侵入を防止することができる。加えて、シリンダ(2)にガスケット(1)を取り付けたピストン(8)を装着した状態で殺菌加熱を行うが、殺菌加熱時に発生するクリープ変形(加熱により摺接外鍔(5)がシリンダ(2)の内周形状に合わせて変形し、内周面(3)に対する接触力がなくなってしまう状態)を防止することもできる。
【0012】
『請求項5』は摺接外鍔(5)の補強方法の第2例で「摺接外鍔(5)の内面に補強ゴム層(52)が形成されている」事を特徴とする。この補強ゴム層(52)が前記補強リブ(51)と同様な働きをする。
【0013】
『請求項6』は摺接外鍔(5)の補強方法の第3例で「少なくとも摺接外鍔(5)が架橋処理されている」事を特徴とする。摺接外鍔(5)が架橋処理されておれば、補強リブ(51)や補強ゴム層(52)と同様、摺接外鍔(5)により大きな弾性や耐クリープ強度が付与され、補強リブ(51)や補強ゴム層(52)と同様となる。
【0014】
架橋方法としては、過酸化物架橋(成形樹脂に過酸化物を添加し、低温条件で可塑化し、高温の金型(30)に射出して架橋する方法)、電子線架橋(電子線を照射して架橋する方法)及び化学反応架橋(例えば、オレフィン樹脂に架橋形シリコンを混入し、水分或いは加熱により成形品を架橋する方法)などがある。
【0015】
『請求項7』は摺接外鍔(5)の補強方法の第4例で「少なくとも摺接外鍔(5)が収縮処理されている」事を特徴とするもので、これにより高温殺菌処理時の摺接外鍔(5)のクリープを解消することが出来る。なお、収縮処理は成形品を二次転移点以下の温度で加熱することで行う。設定温度は歪み取りの必要度、時間によって決定する。
【0016】
『請求項8』は摺接外鍔(5)の補強方法の第4例で「請求項7の注射器用樹脂製ガスケット(1)において、収縮処理されてがなされた後、架橋処理されている」事を特徴とするもので、このようにすることで完全にクリープ現象を克服することが出来る。
【0017】
『請求項9』は請求項1〜8に記載の注射器用ガスケット製造用の金型(30)に関し、「少なくとも摺接外鍔(5)の先端部分(5b)を形成するための摺接外鍔形成用キャビティ(32)を有する外鍔形成金型部(31)と、前記摺接外鍔形成用キャビティ(32)にて形成される先端部分(5b)以外のガスケット本体部分(5c)を形成する、ガスケット本体部分(5c)の中心軸方向にパーティングライン(P2)を有する割型(33a)(33b)と、ガスケット本体部分(5c)の内面を形成するためのコア型(38)とで構成されている」ことを特徴とする。
【0018】
この金型(30)を使用することによって、摺接外鍔(5)の先端部分(5b)の外周面(すなわち、シリンダ(2)の内周面(3)との摺接部分全面)を平坦面に形成することができる。その結果、樹脂製シリンダは勿論、寸法精度の悪いガラス製シリンダに対しても対応することができる。
【0019】
『請求項10』は『請求項9』に記載の注射器用ガスケット製造用の金型(30)を使用して『請求項1〜8』のいずれかに記載の注射器用ガスケットを製造する方法であって、「請求項9に記載の金型(30)を型締した後、外鍔形成金型部(31)と割型(33a)(33b)とで形成されるピストン成形用キャビティ(34)に樹脂を射出充填し、保圧・冷却した後、型開し、ガスケット成形体(1)の摺接外鍔(5)を外鍔形成金型部(31)の摺接外鍔形成用キャビティ(32)から引き抜く」事を特徴とする。このようにすることで、シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接外鍔(5)の外周面全面にパーティングラインのない平坦な摺接面が形成されることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。本発明にかかるガスケット(1)は図1に示すようにピストン(8)の先端部分に螺着され、シリンダ(2)内に挿入され、その摺接外鍔(5)がシリンダ(2)の内周面(3)に液密状に接触し、ピストン(8)の移動にあわせて摺接するようになっている。ガスケット(1)の形状は、有低円筒状のもので、その内周面に雌ねじ(12)が螺設され、その外周面に2条のガイドリング(13)が形成され、更にその先端部分に摺接外鍔(5)が突設されている。
【0021】
本発明にかかるガスケット(1)は、ガスケット(1)全体(或いはその補強用として使用されている補強ゴム(51)以外の部分)が耐医薬品性に優れた熱可塑性樹脂、更に具体的には、オレフィン系単独重合樹脂或いは同共重合樹脂又はポリマーアロイ、各種フッ素樹脂から選択される材料にて形成され、前記樹脂において引っ張り弾性率が例えば2.0〜0.1×104kgf/cm2の範囲のものが好ましい。
【0022】
更に具体的に言えば、オレフィン系樹脂では低圧法ポリエチレン、中圧法ポリエチレン、高圧法ポリエチレン、プロピレン共重合体、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン樹脂、エラストマ変性ポリプロピレンなど)あるいはフッ素樹脂では、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン等があげられる。
【0023】
そして、成形は通常の射出成形で、先端部分の摺接外鍔(5)の形状、特に、前記摺接外鍔(5)の注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)がパーティングラインのない平坦面に形成されている点に特徴がある。その他の形状は従来のゴムガスケットと同じである。
【0024】
まず、本発明にかかるガスケット(1)の摺接外鍔(5)の形状(第1実施例=図5)について説明する。摺接外鍔(5)は有低円筒状のガスケット本体部分(5c)の先端角部からリング状に突設されており、その先端が先端方向を向き、その断面が先端方向に湾曲している。(53)は摺接外鍔(5)の内側湾曲面である。摺接外鍔(5)は全体が薄いリング片で構成されているので、ある程度硬い樹脂であったとしても弾力性を有しある程度の変形能を示す。摺接外鍔(5)の先端部分(5b)は外鍔形成金型部(31)の摺接外鍔形成用キャビティ(32)にて形成されるので、注射器用シリンダ(2)の内周面(3)に摺接する摺接部分(7)が全周にわたってパーティングラインのない平坦面に形成されることになる。
【0025】
次に本発明にかかるガスケット(1)の製造金型(30)について簡単に説明する。図2〜4は当該金型(30)の主要部分のみを示すもので、少なくとも摺接外鍔(5)の先端部分(5b)を形成するための摺接外鍔形成用キャビティ(32)を有する外鍔形成金型部(31)と、前記摺接外鍔形成用キャビティ(32)にて形成される先端部分(5b)以外のガスケット本体部分(5c)を形成する、ガスケット本体部分(5c)の中心軸方向にパーティングライン(P2)を有する割型(33a)(33b)と、ガスケット本体部分(5c)の内面を形成するコア型(38)とで構成されている。
【0026】
外鍔形成金型部(31)と割型(33a)(33b)とで構成されるガスケット用キャビティ(34)に樹脂を射出充填するためのランナー(36)が外鍔形成金型部(31)に穿設されており、ゲート(37)を介してこれが前記ガスケット用キャビティ(34)に連通している。摺接外鍔形成用キャビティ(32)は前記ゲート(37)を中心にその周囲に凹設されている。本実施例ではガスケット本体の先端部分が摺接外鍔(5)の内面基部より若干先端側に突出しているので、その部分だけ外鍔形成金型部(31)が彫り込まれている。
【0027】
なお、実際の外鍔形成金型部(31)は外鍔内側面形成金型部(31a)と外鍔外側面形成金型部(31b)とで構成されており、外鍔内側面形成金型部(31a)に外鍔外側面形成金型部(31b)を嵌め込むようになっており、外鍔外側面形成金型部(31b)を交換する事で摺接外鍔(5)の外面の形状を自在に変える事が出来る。この場合、外鍔内側面形成金型部(31a)と外鍔外側面形成金型部(31b)との合わせ面に接合ライン(P4)が発生し、これが摺接外鍔(5)の先端全周にパーティングライン(図示せず)が発生するが、この部分は摺接部分(7)でないので、液密性が損なわれる事がない。
【0028】
割型(33a)(33b)は外鍔形成金型部(31)のスライド面(P1)に沿って左右に移動し、摺接外鍔形成用キャビティ(32)および前記掘り込まれた先端部分以外の部分を形成するキャビティ(34)が形成されている。
【0029】
コア型(38)には、割型(33a)(33b)のスライド面(P3)が摺接しており、前記コア型(38)から突設したコア(39)は前記ガスケット本体部分(5c)を構成するキャビティ(34)の中心に位置するようになっている。そして、コア(39)の外周面には雄ねじ(40)が螺設されており、ガスケット(1)の内周面に雌ねじ(5d)を形成するようになっている。
【0030】
本発明にかかるガスケット(1)と製造方法は通常の射出成形で、簡単に説明すれば、図2に示すように金型(30)を型締し、ゲート(37)を介して樹脂をキャビティ(34)内に射出充填する。充填された樹脂は摺接外鍔形成用キャビティ(32)を含むキャビティ(34)全体を満たし、その状態で保圧・冷却される。冷却工程が終了すると、割型(33a)(33b)が図3のように左右に開き、ガスケット本体部分(5c)が離型される。続いてコア型(38)が外鍔形成金型部(31)から離間すると、コア(39)に螺着されたガスケット(1)がコア型(38)と共に離間し、外鍔形成用キャビティ(32)から摺接外鍔(5)の先端部分(5b)が引き抜かれる。
【0031】
このとき、図5に示すようにスライド面(P1)と摺接外鍔(5)の先端部分(5b)との交点(Q)における先端部分(5b)の外面の接線(T)と、スライド面(P1)との間の角度(θ)が30°以上(好ましくは45°〜80°)であるので、摺接外鍔(5)が変形しながら先端部分(5b)の外面が外鍔形成用キャビティ(32)の内面を滑り、スムーズに先端部分(5b)が外鍔形成用キャビティ(32)から滑り出す。その結果、外鍔形成用キャビティ(32)にて形成される前記先端部分(5b)の内外面は全周にわたってパーティングラインの形成されていない平坦面となる。
【0032】
コア型(38)と共に取り出されたガスケット(1)はコア(39)から自動的に螺脱され、ピストン(8)の先端部に螺装される。続いて、ガスケット(1)を装着したピストン(8)をシリンダ(2)内に挿入し、且つシリンダ(2)の先端の注射針装着筒部(15)にキャップ(16)「本実施例では樹脂製であるが、勿論、これに限られずゴム製でもよい。」を取り付け、この状態(図1の薬液室(11)内に薬液(9)が入っていない状態)で滅菌処理を行う。薬液室(11)内に薬液(9)が充填されているプレフィル型注射器の場合は、それぞれのパーツ(1)(2)(8)(16)をそれぞれ滅菌処理しておき、そのシリンダ(2)の先端に前記キャップ(16)を装着し、続いて無菌状態でシリンダ(2)内に薬液(9)を充填し、然る後、シリンダ(2)内を真空状態にしてシリンダ(2)の後端開口にガスケット(1)を嵌め込み、シリンダ(2)を大気中に戻すと内外の気圧差でガスケット(1)がシリンダ(2)内に吸い込まれ、気泡を発生させることなく薬液(9)に接する。そして最後にピストン(8)をガスケット(1)に装着する。
【0033】
滅菌処理は、121℃で加熱する加熱方法、電子線照射方法、ガンマー線照射方法など各種の方法があるが、加熱方法の場合、摺接外鍔(5)がシリンダ(2)の内周面(3)に接触して押し縮められている状態の前記組立状態でシリンジ(A)を加熱すると摺接外鍔(5)がクリープを起こして変形してしまい、摺接外鍔(5)がシリンダ(2)の内周面(3)に弾接しなくなり、後述する使用時に液漏れを起こす。そこで、その解決法の第1として、ガスケット(1)の製造に使用する樹脂に前述の架橋処理(過酸化物架橋、電子線架橋、化学反応架橋)を行ってガスケット(1)の耐クリープ強度の向上を図る方法があげられる。
【0034】
第2の方法としては、図7に示すように摺接外鍔(5)の内側に放射方向の補強リブ(51)を形成する場合で、このようにすることによりクリープ変形を緩和することができる。
【0035】
第3の方法としては図8に示すように摺接外鍔(5)の内面に補強ゴム層(52)を形成する場合(補強ゴム層(52)の形成は2色成形[=ゴムの充填と樹脂の充填とを同時に行い、所定の位置に補強ゴム層(52)を形成する方法])で、補強ゴム層(52)の存在により摺接外鍔(5)の加熱滅菌処理時のクリープ変形を防止することができる。なお、前述の電子線照射滅菌処理やガンマ線照射滅菌処理にあっては高温に加熱されることがないので、クリープ変形はないが、後述する使用時の問題点により架橋処理、補強リブ(51)および補強ゴム層(52)の存在は有効である。
【0036】
第4の方法としては収縮処理(加熱による成形歪みを取る方法)で、成形品の2次移転点近傍(一般的には2次移転点の±20℃程度)の温度で加熱することで成形品の耐クリープ強度を向上させる。具体的加熱温度と時間は歪み取り処理の必要度に応じて個別に設定される。前記収縮処理を行った後、前記の架橋処理を施せば、更に耐クリープ強度を向上させることが出来る。
【0037】
なお、図6、9、10は摺接外鍔(5)のその他の例で、図6の場合は直線状に先端方向にて斜め方向に突出している例であり、図9は従来のガスケット(1’)同様、ガスケット(1)のパーティングライン(P2)に直角に摺接外鍔(5)が突設しているが、外鍔形成金型部(31)と割型(33a)(33b)とのスライド面(P1)が摺接外鍔(5)の先端円弧部分(54)の内側(図中、下側)に位置する場合である。この場合、外鍔形成金型部(31)内に入り込む部分は(T)で示す先端円弧部分(54)だけであるから、従来例のようにせん断破損することなく外鍔形成金型部(31)から抜き出すことが出来る。ただし、ピストン(8)を作動させた場合の外鍔形成金型部(31)に加わる押し広げ力は働かない。
【0038】
図10は図9の実施例に薄肉鍔部(55)が延出している例で、図9に加えてピストン(8)を作動させた場合、薄肉鍔部(55)に圧力が加わりこれを押し広げることが出来、この部分で液漏れを防止する。
【0039】
このようにして組み立てられ、滅菌状態にあるシリンジ(A)の薬液室(11)に所定の薬液を充填し、図1に示すプレフィル型シリンジにとする。勿論、プレフィル型でなく、バイアル瓶にはアンプルから薬液を吸引する一般的な注射器として使用することもできる。ここではプレフィル型シリンジを代表例として説明する。
【0040】
図1は本発明にかかるガスケット(1)がピストン(8)の先端部に装着され、シリンダ(2)内にスライド自在に挿入され、薬液室(11)内に薬液が充填されたプレフィル型樹脂(或いはガラス)製シリンジ(A)の断面図である。シリンダ(2)の注射針装着筒部(15)にはキャップ(16)が取り付けられている。このシリンジ(A)を使用して注射する場合、まず先端のキャップ(16)を外し、注射針装着筒部(15)に注射針(図示せず)を装着し、必要部位に注射針を刺した後、ピストン(8)を押圧して前進させる。
【0041】
これにより薬液室(11)内の圧力が高くなり、薬液室(11)内に充填された薬液(9)が内側湾曲面(53)を加圧して内側から外側に向けて摺接外鍔(5)を押し広げ、摺接外鍔(5)の前記パーティングラインのない平坦な摺接部分(7)をシリンダ(2)の内周面に均一に押圧する。そして、前記押圧力は薬液室(11)内の圧力と比例して高くなり、その結果、極めて高い圧力が薬液室(11)に加わったとしても液漏れが生じない。通常は、薬液室(11)内の圧力はさほど高くないので、ガスケット(1)は極めて小さな力で(換言すれば、従来のゴムガスケットに比べて小さな力で)液漏れを生ずることなく滑動する。
【0042】
また、この摺接外鍔(5)は樹脂製でありながら前述のように弾力性を持ち、薬液室(11)内の圧力によって内側から外側に向けて押し広げられるため、且つシリンダ(2)の内周面(3)との液密的接触に優れるため、0.1〜0.2mm程度の寸法誤差を有し、場合によっては断面が楕円形となっているようなガラス製シリンダ(2)に対しても問題なく液密的摺接状態を達成することができる。
【0043】
なお、血管注射のような場合、注射針が血管内に確実に差し込まれているかどうかを確認するために、注射針を刺した後、一度ピストン(8)を引き、薬液室(11)内に血液が流入するかどうかを確認するが、このとき摺接外鍔(5)のピストン(8)の引き対する強度が低い場合、内外気圧差により薬液室(11)内に空気が入る恐れがあるが、前述のように架橋処理などを施しておけばこのような問題も解消される。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、ピストンの先端に装着されるガスケットの摺接外鍔の注射器用シリンダの内周面に摺接する摺接部分がパーティングラインのない平坦面に形成されているので、前記摺接部分全体が注射器用シリンダの内周面全面に均一に接触することになり液漏れを発生するというようなことがない。
【0045】
また、前記摺接外鍔の先端がガスケット本体の先端側に向くように摺接外鍔が湾曲あるいは傾斜するように形成されているので、ピストンを押圧して前進させたとき、シリンダ内に充填された薬液が内側から外側に向けて摺接外鍔を押し広げるように圧力をかけることになり液漏れが防止される。
【0046】
更に、摺接外鍔の外面とスライド面との間に30°以上の角度を受けておくことで、脱型の時に摺接外鍔が外鍔形成用キャビティから抜けにくく、せん断によって摺接外鍔が破損するようなことがない。
【0047】
加えて、摺接外鍔の内側に放射方向の補強リブを形成したり、摺接外鍔の内面に補強ゴム層を形成したり或いは架橋処理することで、摺接外鍔の耐クリープ強度を高めることができ、これにより加熱殺菌時のクリープ変形の防止やピストンを引いて注射針が血管内に確実に入っているがどうかを調べるような時、内外気圧による空気の薬液室への混入などを排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるプレフィル型樹脂製シリンジの断面図
【図2】本発明にかかるガスケット製造用の金型の型締時の断面図
【図3】図2における金型の割型を型開きしたときの断面図
【図4】図2における金型のコア型を離間させたときの断面図
【図5】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分の拡大断面図
【図6】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分の他の拡大断面図
【図7】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分に補強リブを設けた時の拡大断面図
【図8】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分に補強ゴム層を設けた時の拡大断面図
【図9】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分の第4例の拡大断面図
【図10】本発明にかかるガスケットの摺接外鍔部分の第5例の拡大断面図
【図11】従来のプレフィル型樹脂製シリンジの断面図
【図12】従来例の金型(型締)の断面図
【図13】従来の金型のガスケットの拡大断面図
【図14】従来の金型から無理にガスケット取りだそうとした場合の破断状態を示す拡大断面図
【図15】本発明のガスケットの斜視図
【図16】従来のガスケットの斜視図
【符号の説明】
(1)ガスケット
(2)注射器用シリンダ
(3)内周面
(4)ピストン用ガスケット本体
(5)摺接外鍔
(6)外周面
(7)摺接部分
(8)ピストン
Claims (10)
- 注射器用シリンダの内周面に摺接する摺接外鍔が、ピストン用ガスケット本体の外周面に形成されている注射器用樹脂製ガスケットにおいて、
摺接外鍔の注射器用シリンダの内周面に摺接する摺接部分がパーティングラインのない平坦面に形成されている事を特徴とする注射器用樹脂製ガスケット。 - 摺接外鍔の先端がガスケット本体の先端側に向くように摺接外鍔を湾曲あるいは傾斜するように形成されている事を特徴とする請求項1に記載の注射器用樹脂製ガスケット。
- 摺接外鍔の外面のパーティングラインと交差する点における接線と前記パーティングラインとのなす角が30°以上とした事を特徴とする請求項1又は2に記載の注射器用樹脂製ガスケット。
- 摺接外鍔の内側に放射方向の補強リブが形成されている事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注射器用樹脂製ガスケット。
- 摺接外鍔の内面に補強ゴム層が形成されている事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注射器用樹脂製ガスケット。
- 少なくとも摺接外鍔が架橋処理されている事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注射器用樹脂製ガスケット。
- 少なくとも摺接外鍔が収縮処理されている事を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注射器用樹脂製ガスケット。
- 請求項7の注射器用樹脂製ガスケットにおいて、収縮処理されてがなされた後、架橋処理されている事を特徴とする注射器用樹脂製ガスケット。
- 請求項1〜8に記載の注射器用樹脂製ガスケット製造用の金型であって、
(a) 少なくとも摺接外鍔の先端部を形成するための摺接外鍔形成用キャビティを有する外鍔形成金型部と、
(b) 前記摺接外鍔形成用キャビティにて形成される先端部以外のガスケット本体部分を形成する、ガスケット本体の中心軸方向にパーティングラインを有する割型と、
(c) ガスケット本体の内面を形成するためのコア型とで構成されている注射器用ガスケット製造用の金型。 - 請求項9に記載の金型を用いて請求項1〜8のいずれかに記載の注射器用樹脂製ガスケットを製造する方法であって、
(a) 請求項7に記載の金型を型締した後、外鍔形成金型部と割型とで形成されるガスケット成形用キャビティに樹脂を射出充填し、
(b) 保圧・冷却した後、型開し、ガスケット成形体の摺接外鍔を外鍔形成金型部の摺接外鍔形成用キャビティから引き抜く事を特徴とする注射器用樹脂製ガスケットの製造方法。
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-
2002
- 2002-06-24 JP JP2002183244A patent/JP2004024423A/ja active Pending
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