JP2004024319A - 顆粒状骨補填材、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒形状の中心基材11(21)と、該中心基材の表面上に形成した領域部12,13(22,23)とを含み、前記中心基材及び前記領域部がリン酸カルシウム系化合物であり、前記中心基材はpH値が中性であり、前記領域部は前記pH値がアルカリである被覆層である。顆粒状骨補填材の製造方法では、pH値が中性な前記中心基材を製作する工程と、前記中心基材の表面に前記pH値が前記アルカリの前記多重のアルカリ領域からなる前記被覆層を形成する工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨の近傍もしくは骨内に充填されたときに、新生骨を作り出す性質をもつ顆粒状骨補填材、及び顆粒状骨補填材の製造方法に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の骨補填材は、歯科医療若しくは成形外科の分野において使用されている。骨補填材は、骨の近傍もしくは骨内に充填されたときに、新生骨を作り出す性質があることが知られている。また、骨補填材は、人体の歯や骨などに対して親和性に優れているという特徴がある。さらに、骨補填材は、pH値が中性あるという特徴を有している。
【0003】
従来の骨補填材の製造方法では、始めに、キチン・キトサンを酸性水溶液によって溶解したキトサン酸性水溶液と顆粒状のアパタイトとを練和してゾルを得る。キチン・キトサンの溶解に使用される酸としては、酢酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、アジピン酸、酒石酸、マロン酸、ステアリン酸、コハク酸、マレイン酸、アスパラギン酸、グリシンなどの一種が用いられる。
【0004】
その後、ゾルは、化合物を含む水溶液によって中和される。中和されたゾルは、3分〜60分で硬化されると、pH7.0〜10.0の範囲の骨補填材が得られる。そして、骨補填材は乾燥される。乾燥された骨補填材は、壊れやすい材質である。したがって、骨補填材は、蒸留水もしくは生理食塩水を骨補填材に吸水させてゴムのような弾性強度をもつ骨補填材に戻される。
【0005】
このようにして作られた骨補填材は、生体の患部の寸法に合わせて所望する寸法に自在に切断される。骨補填材は、歯周病などの手術を行った後、顎骨と歯肉との間に挿入することによって顎骨の再建が行われる。
【0006】
なお、アパタイトを含有している骨補填材は、アパタイトが移動したり排除されることがない。即ち、骨補填材は、ゾルがゲル化されるのでアパタイト顆粒が適度に分散して固定している。したがって、キチン・キトサンが生体に吸収される時期には、類骨基質が認められ骨に置換していく。
【0007】
このようにして作られた骨補填材は、人体の患部の寸法に合わせて所望する寸法に自在に切断される。例えば、骨補填材は、歯周病などの手術を行った後、手術した部分である顎骨と歯肉との間に埋入することによって顎骨の再建が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の骨補填材では、体液が酸性であるために、中性の骨補填材と骨とがなじまず、生体内において新生骨に置換されるまでに長期間を要するという問題がある。
【0009】
それ故に本発明の課題は、骨の形成を促進することができる顆粒状骨補填材、及び顆粒状骨補填材の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、粒形状の中心基材と、該中心基材の表面上を被覆した被覆層とを含み、前記中心基材及び前記被覆層がリン酸カルシウム系化合物である顆粒状骨補填材において、前記中心基材はpH値が中性であり、前記被覆層は前記pH値がアルカリであって該アルカリのpH値がそれぞれ異なる多重のアルカリ領域によって構成されていることを特徴とする顆粒状骨補填材が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、粒形状の中心基材と、該中心基材の表面上を被覆した被覆層とを含み、前記中心基材及び前記被覆層がリン酸カルシウム系化合物である顆粒状骨補填材の製造方法において、pH値が中性な前記中心基材を製作する工程と、アルカリのpH値がそれぞれ異なる多重のアルカリ領域とするよう前記中心基材の表面上に前記被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る顆粒状骨補填材における各実施の形態例を説明する。図1は、第1実施の形態例における顆粒状骨補填材の概略構成を断面で示している。
【0013】
図1を参照して、顆粒状骨補填材は、粒形状の中心基材11と、この中心基材11の表面上に多重のアルカリ領域をもつ被覆層(12,13)とからなる顆粒状骨補填材である。顆粒状骨補填材は、リン酸カルシウム系化合物である。中心基材11はpH値が中性であり、被覆層(12,13)は、pH値がアルカリであり、中心基材11の表面上に形成されている一つのアルカリ領域である第1領域部12と、この第1領域部12上に形成されている一つのアルカリ領域である第2領域部13とを有している。中心基材11のpH値は中性であり、第1領域部12及び第2領域部13のpH値は、互いに異なるアルカリのpH値に設定されているものである。
【0014】
なお、図1によって明らかなように、第1領域部12及び第2領域部13は、これらが各層を構成している。
【0015】
中心基材11は、ハイドロキシアパタイトによって構成されており、粒形寸法を10〜80μmの範囲としている。具体的には、第1及び第2領域部12,13のハイドロキシアパタイト粒子の粒子寸法を2μmとした粒子の粒形寸法を10〜80μmの範囲で集合し固めることによって得られる。
【0016】
第1領域部12は、ハイドロキシアパタイトを主成分している層である。第2領域部13は、ハイドロキシアパタイトを主成分している層である。この場合における第1領域部12の領域厚寸法は2〜10μmの範囲とし、第2領域部13の領域厚寸法を2〜10μmの範囲とする。ここで、領域厚寸法は、中心基材11の表面上から第2領域部13の外面へ向かう方向の寸法である。第1領域部12及び第2領域部13は、中心基材11の粒形寸法よりも微細な粒形状のハイドロキシアパタイト粒子を集合させることによって各領域をもつように構成されている。具体的には、第1及び第2領域部12,13のハイドロキシアパタイト粒子の平均粒子寸法は、2μmとしている。
【0017】
第1及び第2領域部12,13のpH値は、pH8〜10の範囲になるように設定されている。具体的には、第1領域部12のpH値をpH8〜9の範囲とし、第2領域部13のpH値がpH9〜10の範囲に設定されている。pH値は、中心基材11の表面上の第1領域部12から中心基材11の外面における第2領域部13へ向かってpH値が高いpH値となるようにpH値を段階的に傾斜させている。具体的には、第1領域部12のpH値をpH9とした場合には、第2領域部13のpH値をpH10とする。
【0018】
このようにpH値を段階的に傾斜させることよって患部の炎症部分の酸性体液をpH値が高いアルカリから低いpH値のアルカリによって段階的に中和して炎症部分を沈静化させる。
【0019】
なお、実施の形態例では、中心基材11の表面上の第1領域部12から中心基材11の外面における第2領域部13へ向かってpH値が高いpH値となるようにpH値を段階的に傾斜させているが、さらに図示しない第3領域部を第2領域部13上に形成したり、3つの領域以上の領域を形成する場合にも、pH値を段階的に傾斜させるものである。
【0020】
中心基材11のハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム(Ca)/リン(P)の配合比は1.67とし、第1領域部12のハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比を1.71〜1.80の範囲とし、第2被覆層13のハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比を1.90〜2.00の範囲としている。
【0021】
なお、カルシウム/リンの配合比を1.67とした中心基材11のハイドロキシアパタイトは、pH値が中性となる。また、カルシウム/リンの配合比を1.71〜1.80の範囲とした第1領域部12のハイドロキシアパタイトはアルカリとなり、カルシウム/リンの配合比を1.90〜2.00の範囲とした第2領域部13のハイドロキシアパタイトは、アルカリとなる。
【0022】
次に、第1実施の形態例における顆粒状骨補填材の製造方法を、図1を参照しながら説明する。顆粒状骨補填材の製造方法では、pH値を中性とした中心基材11を製作する(工程S1)。中心基材11は、カルシウム/リンの配合比を1.67として合成したハイドロキシアパタイトをスプレードライヤーによって造粒・乾燥してpH値が中性な中心基材11を製作する。
【0023】
次に、中心基材11の表面にpH値をアルカリとした第1領域部12を形成する(工程S2)。第1領域部12のハイドロキシアパタイトは、カルシウム/リンの配合比を1.71〜1.80の範囲で合成したハイドロキシアパタイトの原料スラリーを中心基材11の表面上に形成した後に乾燥し、pH値をアルカリとした第1領域部12とする。
【0024】
さらに、第1領域部12上には、pH値をアルカリとした第2領域部13を形成する(工程S3)。第2領域部13のハイドロキシアパタイトは、カルシウム/リンの配合比を1.90〜2.00の範囲で合成したハイドロキシアパタイトの原料スラリーを第1領域部12上に形成した後に乾燥し、pH値をアルカリとして第2領域部13とする。
【0025】
図2は、顆粒状骨補填材の製造方法によって製作した顆粒状骨補填材を生理食塩水中に浸漬したときのpH値を示している。図2によって明らかなように、pH値は第1週から第8週への時間の経過とともに中性に近づいてくることが理解できるであろう。
【0026】
図3は、顆粒状骨補填材をラットの骨に埋入したときの実験を行った結果を示している。図3において縦軸は骨形成率(%)を表しており、横軸は、週(時間の経過)を示している。図3によって明らかなように、pH値が7.2のハイドロキシアパタイトのみを用いた場合よりも、第2領域部13のpH値を10とした顆粒状骨補填材を採用することによって、新生骨の形成が良好になる結果が得られた。
【0027】
以下、顆粒状骨補填材の第2実施の形態例を説明する。なお、第2実施の形態例を説明するに当り、図1を採用し、図1における( )「カッコ」内に記載した符号を参照して説明する。
【0028】
第2実施の形態例に示した顆粒状骨補填材における粒形状の中心基材21は、ハイドロキシアパタイトである。第1領域部22は第1のキトサンと中心基材21の粒形状寸法よりも微細な粒形寸法のβ型リン酸三カルシウム(β・TPC)とを主成分とする混合物である。第2領域部23は、第2のキトサンと中心基材21の粒形状寸法よりも微細な粒形状寸法のα型リン酸三カルシウム(α・TPC)とを主成分とする混合物である。
【0029】
α型リン酸三カルシウムは、カルシウム・イオン、リン・イオンを溶出しやすい性質をもっていることから、体液中へカルシウム・イオン、リン・イオン溶出しやすく、これらのイオンによってアルカリとなり、酸性の体液を中和させることができる。
【0030】
さらに、第1実施の形態例と同様に、第1の領域部22のβ型リン酸三カルシウム及び第2領域部23のα型リン酸三カルシウムにおける粒子の平均粒形寸法を2μmとし、第1及び第2領域部22,23のpH値を、pH8〜10の範囲に設定する。この場合、第2領域部23のpH値は、第1領域部22のpH値よりも高いpH値とする。即ち、第1領域部22のpH値は、pH8〜9の範囲とし、第2領域部13のpH値はpH9〜10の範囲とする。
【0031】
また、中心基材21のハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比は1.67とし、第1領域部12のβ型リン酸三カルシウムにおけるカルシウム/リンの配合比は、1.71〜1.80の範囲として、第2領域部23のα型リン酸三カルシウムにおけるカルシウム/リンの配合比を、1.90〜2.00の範囲としてもよい。
【0032】
以下、第2実施の形態例における顆粒状骨補填材の製造方法を、図1及び図4を参照しながら説明する。この顆粒状骨補填材の製造方法では、pH値が中性な中心基材21を製作する(工程S11)。この工程S11は、第1実施の形態例における顆粒状骨補填材の製造方法の工程S11と同じ工程である。
【0033】
次に、中心基材11の表面上にpH値をアルカリとした第1領域部22を形成する(工程S12)。中心基材21の表面上にpH値をアルカリとした第1領域部22を形成する工程S12では、第1のキトサンを第1の有機酸及び第1の生理食塩水によって溶解して第1のキトサンゾルとする工程と、第1のキトサンゾル中にβ型リン酸三カルシウムを練り込み第1のペーストとする工程と、第1のペーストを中心基材21の表面に噴霧して中心基材21の表面に第1領域部22とする工程を含む。具体的には、第1のキトサンを10g、第1の有機酸を10g、第1の生理食塩水を50mlによって溶解して第1のキトサンゾルとする。
【0034】
第1領域部22の工程S12では、第1のキトサンゾルの第1のゲル化剤アルカリ水溶液によって第1領域部22をゲル化する。第1のゲル化剤アルカリ水溶液としては、例えば、第1の水酸化カルシウム(3%CaOH)溶液を用い、第1の水酸化カルシウムにてゲル化しアルカリとしてβ型三リン酸カルシウムを固定する。
【0035】
第1のペーストを中心基材21の表面に噴霧して中心基材21の表面に第1領域部22を形成する工程では、図4に示すように、駆動源41によって回転する回転テーブル42上に中心基材21を載せて中心基材21を転がせながらノズル43から噴霧される第1のペースト31によって中心基材21の表面に第1領域部22を形成する。
【0036】
さらに、第1領域部22上にpH値をアルカリとした第2領域部23を形成する(工程S13)。第1領域部22上に第2領域部23を形成する工程S13では、第2のキトサンを第2の有機酸及び第2の生理食塩水によって溶解して第2のキトサンゾルとする工程と、第2のキトサンゾル中にα型リン酸三カルシウムを練り込み第2のペーストとする工程と、第2のペーストを第1領域部22の表面上に噴霧して第1領域部22上に第2領域部23を形成する工程とを含む。具体的には、第2のキトサンを10g、第2の有機酸を10g、第2の生理食塩水を50mlによって溶解して第1のキトサンゾルとする。
【0037】
第2領域部23の工程S13では、第2のキトサンゾルの第2のゲル化剤アルカリ水溶液によって第2領域部23をゲル化する。第2のゲル化剤アルカリ水溶液としては、例えば、第2の水酸化カルシウム(3%CaOH)溶液を用い、第2の水酸化カルシウムにてゲル化しアルカリとしてα型三リン酸カルシウムを固定する。
【0038】
第2のペーストを第1領域部22の表面上に噴霧して第2領域部23とする工程では、図4に示したように、駆動源41によって回転する回転テーブル42上に中心基材21を含む第1領域部22を載せて中心基材21を含む第1領域部22を転がせながらノズル43から噴霧される第2のペースト32(図4における( )「カッコ」内に記載した符号を参照)によって第1領域部22の表面上に第2領域部23を形成する。
【0039】
なお、顆粒状骨補填材の製造方法においては、中心基材11のハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比を1.67とし、第1領域部12のβ型リン酸三カルシウムにおけるカルシウム/リンの配合比を1.71〜1.80の範囲とし、第2領域部23のα型リン酸三カルシウムにおけるカルシウム/リンの配合比を1.90〜2.00の範囲とする。
【0040】
図5は、顆粒状骨補填材の製造方法によって製作した顆粒状骨補填材を生理食塩水中に浸漬したときのpH値を示している。図5によって明らかなように、pH値は第1週から第7週への時間の経過とともに中性に近づいてくることが理解できるであろう。
【0041】
図6は、顆粒状骨補填材をラットの骨に埋入したときの実験を行った結果を示している。図3において縦軸は骨形成率(%)を表しており、横軸は、週(時間)を示している。図3によって明らかなように、pH値が7.2のハイドロキシアパタイトのみを用いた場合よりも、本発明の顆粒状骨補填材(図3においてはM.Hと略称した)を採用することによって、新生骨の形成が良好になる結果が得られた。
【0042】
なお、第2実施の形態例によって説明した駆動源41や回転テーブル42を用いて、第1及び第2領域部22,23を形成する方法は、第1実施の形態例における顆粒状骨補填材の製造方法の過程においても適用することができる。
【0043】
また、第1及び第2の実施の形態例では、第1領域部12(又は21)と第2領域部13(又は23)とによって説明したが、中心基材11(又は21)の表面上に2層以上の領域部の形成するものであってもよい。この場合も、アルカリのpH値を段階的に傾斜したものとする。
【0044】
また、アルカリの領域部に中性の粒子を若干含ませるようにしてもよい。さらに、中心基材11(又は21)の表面に一つの層の領域部を形成し、この一つの領域部中で中心基材11(又は21)の表面側から外側へ高くなるようにpH値が異なる多重のアルカリ領域を含むアルカリ分布を構成してアルカリのpH値を段階的に傾斜するように設定してもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上、各実施の形態例によって説明したように、本発明に係る顆粒状骨補填材によれば、中心基材のpH値が中性であり、領域部のpH値がアルカリであって、アルカリのpH値がそれぞれ異なる多重のアルカリ領域によって構成され、アルカリのpH値を内側から外側へ段階的に傾斜させた構成としたので酸性体液を中和することができ、生体内において新生骨に置換されるまでの時間を短縮することができるので、骨の形成を促進することができる。
【0046】
また、本発明に係る顆粒状骨補填材の製造方法によれば、pH値が中性な中心基材を製作し、アルカリのpH値を内側から外側へ段階的に傾斜させるように領域部をアルカリのpH値がそれぞれ異なる多重のアルカリ領域とするように中心基材の表面上に形成するので、簡易かつ安全な製造方法によって、骨の形成を促進する顆粒状骨補填材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る顆粒状骨補填材を第1及び第2形態例を示しており、顆粒状骨補填材の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した第1実施の形態例における顆粒状骨補填材を生理食塩水中に浸漬したときのpH値を示すグラフである。
【図3】図1に示した第1実施の形態例における顆粒状骨補填材をラットの骨に埋入して、実験を行った結果を示すグラフである。
【図4】図1に示した第2実施の形態例における顆粒状骨補填材の製造方法の一例を示し、回転テーブルを用いて中心基材に第1被覆層を被覆するときの状態を示す側面図である。
【図5】図1に示した第2実施の形態例における顆粒状骨補填材を生理食塩水中に浸漬したときのpH値を示すグラフである。
【図6】図1に示した第2実施の形態例における顆粒状骨補填材をラットの骨に埋入して、実験を行った結果を示すグラフである。
【符号の説明】
11,21 中心基材
12,22 第1領域部
13,23 第2領域部
Claims (18)
- 粒形状の中心基材と、該中心基材の表面上を被覆した被覆層とを含み、前記中心基材及び前記被覆層がリン酸カルシウム系化合物である顆粒状骨補填材において、前記中心基材はpH値が中性であり、前記被覆層は前記pH値がアルカリであって該アルカリのpH値がそれぞれ異なる多重のアルカリ領域によって構成されていることを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 請求項1記載の顆粒状骨補填材において、前記被覆層は、前記中心基材の表面上から前記被覆層の外面へ向かって前記アルカリの前記pH値が高くなるよう前記アルカリ領域が多重に構成されていることを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 請求項2記載の顆粒状骨補填材において、前記アルカリ領域は、前記中心基材の表面上に形成した第1領域部と、該第1領域部上に形成した第2領域部とを有し、前記第1領域部における前記pH値がpH8〜9の範囲であることを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 請求項3記載の顆粒状骨補填材において、前記中心基材はハイドロキシアパタイトであり、前記第1領域部の主成分がハイドロキシアパタイトであり、前記第2領域部の主成分がハイドロキシアパタイトであることを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 請求項4記載の顆粒状骨補填材において、前記中心基材の前記ハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比が1.67であり、前記第1領域部の前記ハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比が1.71〜1.80の範囲であり、前記第2領域部のハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比が1.90〜2.00の範囲であることを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 請求項3記載の顆粒状骨補填材において、前記中心基材はハイドロキシアパタイトであり、前記第1領域部は、主成分として第1のキトサンとβ型リン酸三カルシウムとを含み、前記第2領域部は、主成分として第2のキトサンとα型リン酸三カルシウムとを含むことを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 請求項6記載の顆粒状骨補填材において、前記中心基材のハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比が1.67であり、前記第1領域部の前記β型リン酸三カルシウムにおけるカルシウム/リンの配合比が1.71〜1.80の範囲であり、前記第2領域部のα型リン酸三カルシウムにおけるカルシウム/リンの配合比が1.90〜2.00の範囲であることを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の顆粒状骨補填材において、前記中心基材の粒形寸法が10〜80μmの範囲であり、多重に構成されている前記アルカリ領域の領域厚寸法のそれぞれが2〜10μmの範囲であることを特徴とする顆粒状骨補填材。
- 粒形状の中心基材と、該中心基材の表面上を被覆した被覆層とを含み、前記中心基材及び前記被覆層がリン酸カルシウム系化合物である顆粒状骨補填材の製造方法において、pH値が中性な前記中心基材を製作する工程と、アルカリのpH値がそれぞれ異なる多重のアルカリ領域として前記中心基材の表面上に前記被覆層を形成する工程とを含むことを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項9記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記中心基材の表面上から前記被覆層の外面へ向かって前記アルカリの前記pH値が高くなるよう前記アルカリ領域を多重に形成することを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項10記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記中心基材の表面上に前記アルカリ領域の第1領域部を形成し、該第1領域部上に前記アルカリ領域の第2領域部を形成し、前記第1領域部における前記pH値をpH8〜9の範囲とすることを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項11記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記中心基材をハイドロキシアパタイトとし、前記第1領域部の主成分をハイドロキシアパタイトとし、前記第2領域部の主成分をハイドロキシアパタイトとすることを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項12記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記中心基材の前記ハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比を1.67とし、前記第1領域部の前記ハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比を1.71〜1.80の範囲とし、前記第2領域部の前記ハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比を1.90〜2.00の範囲とすることを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項11記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記中心基材をハイドロキシアパタイトとし、主成分として第1のキトサンとβ型リン酸三カルシウムとを混合することによって前記第1領域部とし、主成分として第2のキトサンとα型リン酸三カルシウムとを混合することによって前記第2領域部とすることを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項14記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記中心基材の前記ハイドロキシアパタイトにおけるカルシウム/リンの配合比を1.67とし、前記第1領域部の前記β型リン酸三カルシウムにおけるカルシウム/リンの配合比を1.71〜1.80の範囲とし、前記第2領域部の前記α型リン酸三カルシウムにおけるカルシウム/リンの配合比を1.90〜2.00の範囲とすることを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項11記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記第1領域部を前記中心基材の表面上に形成する前工程には、前記第1のキトサンを第1の有機酸及び第1の生理食塩水によって溶解して第1のキトサンゾルとする工程と、該第1のキトサンゾル中に前記β型リン酸三カルシウムを練り込み第1のペーストとする工程とを含み、前記第1領域部を前記中心基材の表面上に形成する前記工程は、前記第1のペーストを前記中心基材の表面に噴霧して前記第1領域部を形成する工程と、前記第1領域部を前記第1のキトサンゾルの第1のゲル化剤アルカリ水溶液によってゲル化し、前記第1領域部上に前記β型三リン酸カルシウムを固定する工程とを含むことを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項16記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記第1領域部上に前記第2領域部を形成する前工程には、前記第2のキトサンを第2の有機酸及び第2の生理食塩水によって溶解して第2のキトサンゾルとする工程と、該第2のキトサンゾル中に前記α型リン酸三カルシウムを練り込み第2のペーストとする工程とを含み、前記第1領域部上に前記第2領域部を形成する前記工程には、前記第2のペーストを前記中心基材の表面に噴霧して前記第2領域部を形成する工程と、前記第2領域部を前記第2のキトサンゾルの第2のゲル化剤アルカリ水溶液によってゲル化し、前記第2領域部上に前記α型三リン酸カルシウムを固定する工程とを含むことを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
- 請求項9乃至17のいずれか1項に記載の顆粒状骨補填材の製造方法において、前記中心基材の粒形寸法を10〜80μmの範囲とし、多重に構成されている前記アルカリ領域の領域厚寸法のそれぞれを2〜10μmの範囲とすることを特徴とする顆粒状骨補填材の製造方法。
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