JP2004023771A - 画像データ処理装置及びその処理装置を備えた画像形成機 - Google Patents
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Abstract
【課題】読み取った原稿画像データを補正処理するに際し、記録用紙の下地色に応じた画像データ処理を行うことにより、記録用紙に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に得ることができる画像データ処理装置及びその処理装置を備えた画像形成機を提供する。
【解決手段】原稿Mの画像データを読み取るための画像読取部3によって記録用紙Pの下地色を読み取り可能に構成する。読み取られた記録用紙Pの下地色を考慮して原稿画像データを補正する。原稿画像データがテキストデータである場合で記録用紙Pの下地色と文字の色とが同系色である場合には、文字の色の彩度を高くする方向に色補正する。原稿画像データがイメージデータである場合で記録用紙Pの下地色と画像の色とが同系色である場合には、記録用紙Pの下地色に対して補色となる方向へ色補正する。
【選択図】 図1
【解決手段】原稿Mの画像データを読み取るための画像読取部3によって記録用紙Pの下地色を読み取り可能に構成する。読み取られた記録用紙Pの下地色を考慮して原稿画像データを補正する。原稿画像データがテキストデータである場合で記録用紙Pの下地色と文字の色とが同系色である場合には、文字の色の彩度を高くする方向に色補正する。原稿画像データがイメージデータである場合で記録用紙Pの下地色と画像の色とが同系色である場合には、記録用紙Pの下地色に対して補色となる方向へ色補正する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、読み取った原稿画像データに対して処理を行う画像データ処理装置及びその処理装置を備えた複写機等の画像形成機に係る。特に、本発明は、画像形成を行う用紙(記録媒体)の下地色の影響による画像再現性の悪化を回避できる画像データを生成するための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平2−302167号公報に開示されている複写機などの画像形成機にあっては、原稿の画像をスキャナ部によって読み取って原稿画像データを作成し、この原稿画像データに対して各種の処理を行い、その処理後の画像データを画像形成部に送信する。そして、画像形成部では、この画像データに基づいて記録用紙への画像形成(印字等)が行われる。
【0003】
この画像形成部のタイプの一つとしてインクジェット方式を採用したものでは、インクヘッド及びインクカートリッジを搭載したキャリッジを備えており、このキャリッジが記録用紙の搬送方向に直交する主走査方向に移動しながらインクヘッドから記録用紙の表面にインク滴を吐出して上記画像データに応じた画像を記録用紙上に形成する。そして、このキャリッジの主走査方向の移動に伴うインク滴の吐出動作と記録用紙の搬送動作とが交互に行われることによって記録用紙全体に画像を形成していく。
【0004】
一方、画像形成部のタイプとして電子写真方式を採用したものでは、画像データに基づいて感光体ドラム上に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させて、画像データを顕像化させる。その後、このトナーを感光体ドラムから記録用紙に転写した後、この記録用紙を定着ローラに通過させる。この際、トナーは定着ローラによって加熱及び加圧されて記録用紙上に定着され、これによって所定の印刷物が得られることになる。
【0005】
また、画像形成機として、特開平9−69960号公報に開示されているように、記録用紙上に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に確保することに鑑みられたものが知られている。
【0006】
この公報に開示されている画像形成機は、インクジェット方式の画像形成部を備えたものであって、記録用紙の種類を識別する専用のセンサを設けておき、このセンサによって識別された記録用紙の種類(普通紙、上質紙、OHP用紙、専用コート紙の別)に応じて、予め作成された色変換テーブルを使用して画像データの色変換処理を行うようにしている。例えば、一般に専用コート紙を使用した場合には、用紙表面に対するインクの乗りが良好であるため、普通紙を使用した場合に比べてインク量を少量にすることで良好な色再現性を得ることができる。このため、上記センサによって識別された記録用紙の種類が専用コート紙である場合には、出力画像データとしては、原稿画像データに対して少し薄い色調となるようにデータ変換したものを使用する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平9−69960号公報に開示されている画像形成機にあっては、記録用紙の種類を識別する専用のセンサを設けておく必要があり、部品点数の増大及びそれに伴う製造コストの高騰を招いてしまうといった不具合があった。
【0008】
一方、本発明の発明者らは、記録用紙上に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に確保するための技術について考察を行った。その結果、記録用紙の種類(材質)よりも記録用紙の下地色の方が画像のコントラストや色再現性に与える影響度合いが大きいことを見出した。更に、同色の画像を記録用紙上に形成した場合であっても、その記録用紙の下地色が異なれば、人間の視覚としては、その画像の再現性が大きく異なってしまうことを見出した。そこで、本発明の発明者らは、記録用紙に形成される画像のコントラストや色再現性と用紙の下地色との関係について研究を行い本発明に至った。
【0009】
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、読み取った原稿画像データを補正処理するに際し、記録用紙の下地色に応じた画像データ処理を行うことにより、記録用紙に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に得ることができる画像データ処理装置及びその処理装置を備えた画像形成機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、画像形成が行われる記録媒体(記録用紙)の下地色を把握しておき、この下地色を考慮して原稿画像データを補正するようにしている。具体的には、下地色に対して彩度を高くする方向に色補正を行ったり、逆に、下地色に対して補色となる方向に色補正を行ったりすることで、記録媒体に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に得ることができる補正処理が行われる。また、必要に応じて色補正をキャンセル(非実行)する場合もある。
【0011】
−解決手段−
具体的には、原稿の画像データを読み取る画像読取手段を備えた画像データ処理装置を前提とする。この画像データ処理装置において、上記画像読取手段が、画像形成対象物である記録媒体の下地色も読み取り可能となる構成とする。つまり、この画像読取手段が、原稿画像読み取り機能と記録媒体下地色読み取り機能とを兼ね備えた構成とする。そして、この画像読取手段によって読み取られた記録媒体の下地色に基づいて上記画像データを補正するデータ補正手段を備えさせている。
【0012】
この特定事項により、記録媒体の下地色に基づいて画像データを補正する場合に必要となる記録媒体下地色データを取得するための手段として、既存の画像読取手段を流用することができる。このため、記録媒体の下地色データを取得するための専用のセンサを設ける必要はなく、部品点数の増大が回避でき、これに伴って製造コストの高騰を回避することができる。
【0013】
また、本解決手段では、記録媒体の下地色に基づいて画像データを補正しているため、記録媒体に形成される画像のコントラストや色再現性が記録媒体の下地色の悪影響を受けることが抑制でき、ユーザが望む良好な色調の印刷物を得ることができる。
【0014】
この解決手段における具体的な動作としては、例えば、先ず、画像読取手段を画像形成機の記録媒体搬送系に対向させ、この記録媒体搬送系に搬送されているまたは搬送前である記録媒体の下地色を認識し、これにより下地色データを取得する。その直後に、画像読取手段を原稿読み取り可能位置まで移動させることで、その原稿画像データを読み取る。このようにして、記録媒体下地色データと原稿画像データとの取得を連続して行うことで、読み取った原稿画像データの処理動作を実行する際には既に記録媒体下地色データが取得されていることになり、画像データ処理動作を迅速に行うことができる。
【0015】
上記解決手段に加えて、記録媒体の下地色と原稿の下地色とに基づいた画像データの補正をデータ補正手段が実行できる構成とする。
【0016】
例えば、原稿の下地色が黄色みを帯びており、記録媒体の下地色が赤みを帯びている場合、原稿の画像の色をそのまま記録媒体上に再現したのでは、それぞれの下地色の影響によって画像の色調が人の視覚上で異なったものとなってしまい、ユーザが望む色調の印刷物を得ることができなくなる可能性がある。この点を考慮したのが本解決手段である。つまり、上記の場合、例えば、データ補正手段による色補正の方向として、黄色及び赤それぞれの補色となる青み及び緑色を帯びる方向に設定すれば、下地色の影響は殆どなくなって所望の色調の画像を得ることができる。
【0017】
また、この手法を用いれば、原稿の状態ではユーザが望む色調の印刷物(原稿)でなかったとしても、上記データ補正により、記録媒体上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることも可能になる。言い換えると、ユーザが望む色調ではなかった原稿を複写することで、ユーザが望む色調の印刷物(画像形成後の記録媒体)を得ることが可能になる。
【0018】
また、記録媒体の下地色のみに基づいて画像データを補正する第1の補正モードと、記録媒体の下地色と原稿の下地色とに基づいて画像データを補正する第2の補正モードとが任意に選択可能に構成されている。
【0019】
これによれば、記録媒体に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に得ることを優先とするモード(第1の補正モード)と、原稿の状態ではユーザが望む色調の印刷物でなかったとしても記録媒体上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることが可能なモード(第2の補正モード)とを任意に設定することができる。このため、画像形成機の利用範囲の拡大を図ることが可能になる。
【0020】
具体的に、第1の補正モードでは、原稿の下地色に拘わりなく記録媒体の下地色のみに基づいて画像データを補正しているので、この記録媒体の下地色の影響のみを考慮した画像データの補正が行われる。例えば、画像データがテキストデータの場合に下地色に対して彩度の高くなる方向への補正を行ったり、画像データがイメージデータの場合に下地色に対して補色となる方向への補正を行ったりする。これに対し、第2の補正モードでは、原稿の下地色と記録媒体の下地色との両方を考慮して画像データを補正しているので、原稿上では表現できていなかった画像を記録媒体上に形成するといったように、ユーザが求めていた本来の画像を記録媒体上に表現することが可能になる。
【0021】
加えて、画像読取手段によって読み取った原稿の画像データに対して領域分離処理を行う領域分離手段を備えさせる。そして、データ補正手段が、領域分離手段の出力を受け、原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の画像データに対する色補正と、その他の領域の画像データに対する色補正とが互いに異なるよう構成されている。
【0022】
文字領域及び線図領域の画像データに対する色補正と、その他の領域(例えば写真などのイメージデータ)の画像データに対する色補正とを互いに異ならせることで、画像の種類に応じた適切な色補正を行うことが可能になる。
【0023】
例えば、記録媒体の下地色と文字及び線図の色とが同系色である場合には、文字及び線図の色の彩度を高くする方向に設定される。これによれば、記録媒体の下地に対する文字や線図のコントラストを高く得ることができ、形成画像が明瞭になる。つまり、記録媒体の下地色の影響で文字や線図が見え難くなることを回避できる。
【0024】
逆に、原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の何れにも属さない領域の画像データ(イメージデータ等)に対する色補正の方向は、記録媒体の下地色に対して補色となる色調方向に設定される。これによれば、イメージデータによって形成される画像が記録媒体の下地色の影響によって画質が悪化するといった状況を回避できる。
【0025】
具体的には、下地色が黄色みを帯びた記録媒体に対してイメージデータの画像を形成する場合、原稿画像データの色データをそのまま再現したのでは記録媒体上の画像が黄色っぽくなってしまう可能性がある。この場合、上述した文字及び線図に対する色補正の場合と同様に彩度を高くする方向に補正したのでは、記録媒体上の画像の黄色っぽさがいっそう助長されてしまう。このため、本解決手段では、記録媒体の下地色に対して補色となる色調方向に色補正を行う。記録媒体の下地色が黄色みを帯びている場合には、色補正の方向は青色方向となる。この色補正により、イメージデータ等によって形成される画像が記録媒体の下地色の影響によって画質が悪化するといった状況を回避できる。
【0026】
また、原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の画像データのみに対しては色補正を実行しないよう構成してもよい。これによれば、色補正を実行しなくても、記録媒体の下地と文字や線図とのコントラストが良好に得られている場合に、必要以上にコントラストが高くなってしまったり、逆にコントラストが低くなる方向への補正が行われてしまうといったことが回避できる。
【0027】
具体的には、記録媒体の下地色と文字及び線図の色とが異系色である場合にのみ文字領域及び線図領域の画像データに対しては色補正を実行しないようにする。つまり、記録媒体の下地色が黄色みを帯びている場合、文字及び線図のうち黄色系の色合いの文字及び線図に対しては彩度を高くする方向に色補正を行って、記録媒体の下地と文字や線図とのコントラストを良好に確保する。これに対し、文字及び線図のうち青色系の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しないようにする。これにより、必要以上にコントラストが高くなってしまったり、逆にコントラストが低くなる方向への補正が行われてしまうといったことが回避できる。
【0028】
加えて、上記各解決手段に係る画像データ処理装置を備えた画像形成機も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、上記画像データ処理装置に備えられたデータ補正手段によって補正された画像データを受信する画像形成部を備えており、この画像形成部が受信した画像データに応じて記録用紙上に画像形成動作を行うよう構成された画像形成機である。この画像形成部としては、例えばインクジェット方式のものや電子写真方式のものなどが採用可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、インクジェット方式の画像形成部を備えたカラー複写機に本発明を適用した場合について説明する。
【0030】
−カラー複写機の全体構成の説明−
図1は本形態に係る画像形成機としてのカラー複写機1の内部の概略構成を示している。この図1のように、本カラー複写機1は、自動原稿送り部2、画像読取手段としての画像読取部3、画像形成部4を備えている。以下、各部について説明する。
【0031】
<自動原稿送り部2の説明>
自動原稿送り部2は、透明なガラス等で成る原稿載置台21と、原稿Mを1枚ずつ原稿載置台21上に自動給紙するためのベルト駆動機構22とを備えている。
【0032】
ベルト駆動機構22は、水平軸回りに回転自在に支持された複数個のローラ22a,22a,…に無端の原稿搬送用ベルト22bが架け渡されて構成されている。そして、上記ローラ22a,22a,…のうちの一つが駆動ローラとされ、この駆動ローラ22aの駆動に伴う原稿搬送用ベルト22bの走行により1枚の原稿Mが原稿載置台21上に自動給紙されるようになっている。また、この自動原稿送り部2は、画像が読み取られた後の原稿Mを複写機1から排出するための図示しない排出機構も備えている。
【0033】
<画像読取部3の説明>
画像読取部3は、原稿載置台21上に給紙された原稿Mの画像を読み取って原稿画像データを作成する部分であって、原稿載置台21の下方に設けられている。この画像読取部3は、露光光源31、第1〜第3反射鏡32,33,34、結像レンズ35、光電変換素子(CCD)36を備えている。この場合、露光光源31及び第1反射鏡32によって第1の走査ユニット37が構成されている一方、第2及び第3反射鏡33,34によって第2の走査ユニット38が構成されている。
【0034】
上記露光光源31は、原稿載置台21上に搬送された原稿Mの画像面(下面)に対して光を照射するものである。各反射鏡32,33,34は、図1に一点鎖線で光路を示すように、原稿Mからの反射光像を一旦所定方向(図1では左方向)に偏向(反射)させた後、下方に偏向させ、その後、結像レンズ35に向かうように図中右方向に偏向させるようになっている。
【0035】
第1の走査ユニット37(露光光源31及び第1反射鏡32)は、一定の速度を保ちながら所定の走査速度で水平方向(原稿載置台21に沿う方向)に往復動(図1では左右方向移動)するものである。第2の走査ユニット38(第2及び第3反射鏡33,34)は、第1の走査ユニット37と一定の速度関係を保って水平方向に往復動(図1では左右方向移動)するものである。
【0036】
結像レンズ35は、第2の走査ユニット38の第3反射鏡34により偏向された反射光像を縮小し、この縮小された光像を光電変換素子36上の所定位置に結像させるものである。
【0037】
光電変換素子36は、結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力するものである。光電変換素子36は、白黒画像またはカラー画像を読み取り、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することができる3ラインのカラーCCDである。この光電変換素子36により電気信号に変換された原稿画像データは、後述する画像処理部5へ送信され、ここで各種処理が行われた後、この画像処理部5のメモリに一旦記憶される。その後、出力指示に応じてメモリ内の画像データが読み出され、この画像データは後述の画像形成部4による画像形成動作に利用される。
【0038】
また、この画像読取部3の特徴として、第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38の走査範囲としては、原稿載置台21に対向する範囲だけではなく、図1に仮想線で示すように、後述する画像形成部4の用紙搬送系41に対向する位置も走査範囲となっている。
【0039】
つまり、用紙搬送系41によって搬送される記録用紙Pに対して露光光源31から光を照射することにより、この記録用紙Pの表面の認識が可能となっている。この用紙搬送系41によって搬送される記録用紙Pの表面には未だ画像形成が行われていないので、ここでの記録用紙Pの表面の認識は、この記録用紙Pの下地色を認識する動作となる。この用紙搬送系42の構成及び記録用紙Pの下地色の認識動作については後述する。
【0040】
<画像形成部4の説明>
画像形成部4は、用紙搬送系41と画像形成系42とを備えている。
【0041】
用紙搬送系41は、1枚の記録用紙Pを画像形成系42に向けて給紙するためのベルト駆動機構43を備えている。このベルト駆動機構43は、水平軸回りに回転自在に支持された複数個のローラ43a,43a,…に無端の用紙搬送用ベルト43bが架け渡されて構成されている。そして、上記ローラ43a,43a,…のうちの一つが駆動ローラとされ、この駆動ローラ43aの駆動に伴う用紙搬送用ベルト43bの走行により1枚の記録用紙Pが画像形成系42に向けて給紙されるようになっている。
【0042】
この画像形成系42に供給される記録用紙Pは、カットシート状の紙であり、用紙搬送系41を構成する複数個のローラ43a,43a,…のうち画像形成系42の直上流側に設けられたレジストローラ43aによって、画像形成系42への給紙タイミングが制御される。
【0043】
また、用紙搬送系41の特徴として、用紙搬送用ベルト43bの下面に対向する位置には透明の用紙色透過ガラス44が配設されている。つまり、この用紙色透過ガラス44の配設部分にあっては、図1に仮想線で示す位置に第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38が位置している場合に、用紙搬送系41によって搬送されている記録用紙Pの下地色が用紙色透過ガラス44を透過して画像読取部3が認識できるようになっている。
【0044】
具体的には、このように第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38が用紙色透過ガラス44の配設部分まで走査された場合には、搬送されている記録用紙Pに対して露光光源31が光を照射し、その反射光を各反射鏡32,33,34によって結像レンズ35に導き、その光像が光電変換素子36上の所定位置に結像されることになる。このため、記録用紙Pの下地色を画像読取部3によって認識することが可能となる。
【0045】
画像形成系42は、用紙搬送系41によって供給される記録用紙Pに対して画像形成を行うためのものであり、図示しない複数のインクカートリッジ、インクヘッドを搭載したキャリッジ45を備えている。このキャリッジ45は図1の紙面に直交する方向に延びるガイドシャフトに支持されていると共に、図示しない走査駆動機構に連結されている。そして、この走査駆動機構の駆動に伴い、キャリッジ45はガイドシャフトに案内されて主走査方向に移動可能となっている。
【0046】
また、このキャリッジ45に対向して、画像形成時における記録用紙Pの支持部材となるプラテンローラ46が備えられている。このプラテンローラ46の外周囲には、このプラテンローラ46との間で記録用紙Pを挟持搬送するための複数の搬送ローラ47が配設されている。
【0047】
尚、上記インクカートリッジは、Bk(ブラック),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各インク毎に個別にキャリッジ45上に搭載されており、それぞれが独立して交換可能となっている。
【0048】
この画像形成系42での画像形成動作としては、用紙搬送系41によってキャリッジ45とプラテンローラ46との間へ送られた記録用紙Pに対し、インクヘッドのインクノズルより画像データに対応してインク滴が吹き付けられることで画像形成が行われる。この時、記録用紙Pはプラテンローラ46上で一旦停止されている。インク滴を吹き付けつつ、キャリッジ45は、ガイドシャフトに案内されて、主走査方向(図1において紙面に直交する方向)に一ライン分走査される。それが終了すると、記録用紙Pは、プラテンローラ46の回転に伴って副走査方向(図1における矢印D方向)に一定の幅だけ移動する。画像形成系42において、上記処理が画像情報に対応し継続して実施されることにより、記録用紙Pの全面に画像形成がなされる。このようにして画像形成が行われた記録用紙Pは、複写機1から排出され、これにより、記録用紙Pは印刷物としてユーザに提供されることになる。
【0049】
<画像処理部5の説明>
次に、本形態の特徴部分である画像データ処理装置を構成する画像処理部5について説明する。図2は、本画像処理部5の概略構成を示すブロック図である。
【0050】
この図2示すように、画像処理部5は、領域分離手段としての領域分離処理部51、データ補正手段としての色補正・黒生成処理部52、空間フィルタ処理部53、中間調処理部54、色補正データベース55、設定部56を備えている。
【0051】
上記画像読取部3から入力されるRGBに分解された原稿画像データは領域分離処理部51へ送信される。ここで行われる領域分離処理としては、入力された画像データを用いて、各画素が、文字等のテキスト画像領域(線図領域も含む)であるのか写真等のイメージ画像領域であるのかを領域分離処理により判別し、各画素のデータに対応して、この各画素のデータに付加するための領域識別信号を作成する。そして、この領域識別信号は、領域分離処理部51から色補正・黒生成処理部52、空間フィルタ処理部53、中間調処理部54等の各処理部へ出力されるようになっている。
【0052】
色補正・黒生成処理部52には、原稿Mから取得された原稿画像データ及び記録用紙Pから取得された記録用紙下地色データがそれぞれ入力される。この色補正・黒生成処理部52に入力されたデータのうち原稿画像データは、色再現の忠実化実現のために不要吸収成分を含むCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理がなされ、色補正後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理が行われ、CMYの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。
【0053】
本発明は、この色補正・黒生成処理部52における原稿画像データの色補正動作にある。この色補正動作は、色補正データベース55に基づいて実行される。以下、この色補正データベース55の生成動作及びその色補正データベース55に基づいて実行される色補正動作について説明する。
【0054】
−色補正データベース55の生成動作−
色補正データベース55内には2つの「補正テーブル」が備えられている。一つは、記録用紙Pの下地色のみに基づいて画像データを色補正する第1の補正モードを実行するための「補正テーブル1」である。もう一つは、記録用紙Pの下地色と原稿の下地色との両方に基づいて画像データを色補正する第2の補正モードを実行するための「補正テーブル2」である。
【0055】
これら「補正テーブル」は、本カラー複写機1の複写動作開始時に生成され、複写動作は、この「補正テーブル」に基づいて色補正された画像データを利用して実行される。
【0056】
(補正テーブル1の生成動作)
先ず、第1の補正モードを実行するための「補正テーブル1」の生成について説明する。図3は、所謂カラーダイヤグラムである。このダイヤグラムの周方向は「色合い」を示している。図中のRは「赤」、Yは「黄」、Bは「青」、Gは「緑」をそれぞれ示している。また、図中の半径方向は「彩度」を示しており、外周側ほど「彩度」が高くなっている。更に、図中の紙面に直交する方向は色の「明度」を示しており、図面の手前側ほど「明度」が高くなっている。従って、図3は、ある特定の「明度」において「色合い」及び「彩度」を二次元的に表現したカラーダイヤグラムとなっている。
【0057】
今、原稿Mの下地色が「白」であると仮定する。この場合の原稿Mの下地色は図3中の点(無彩色点)xである。一方、記録用紙(印字紙)Pの下地色が「橙」であると仮定する。この場合の記録用紙Pの下地色は図3中の点pである。つまり、この場合、下地色が「白」である原稿Mの画像を読み取って、下地色が「橙」である記録用紙Pに対して画像形成動作を行う。
【0058】
この際の色補正としては、記録用紙Pの下地色である「橙」が、原稿Mの下地色である「白」つまり無彩色として視認されるような方向への色補正を行う。つまり、図3に矢印Aで示す補正方向及び補正量での色補正を行うことになる。この補正方向及び補正量で原稿画像データの各画素を色補正する(図3中における各矢印参照)。
【0059】
この色補正により、原稿M上における下地色と画像との間のコントラストと、記録用紙P上における下地色と画像との間のコントラストとを略一致させることができ、良好な色再現性を確保することが可能になる。
【0060】
「補正テーブル1」は、このような手法により、記録用紙Pの下地色のみに基づいて画像データを色補正する第1の補正モードを実行するための補正テーブルとして作成される。言い換えると、上記設定部56に入力されるユーザの選択信号として第1の補正モードが選択されている場合にのみこの「補正テーブル1」が作成される。このユーザからの選択信号は、複写機1に備えられた操作部6をユーザが手動操作することにより入力される。
【0061】
但し、この「補正テーブル1」の作成にあたって、彩度の高い領域と彩度の低い領域とで同一の補正量に設定したのでは、彩度の高い領域で過度に彩度が高くなってしまう可能性がある。このため、彩度の高い領域ほど補正量を小さく設定したり、彩度がある一定値以上であるものに対してのみ補正量を小さく設定してもよい。
【0062】
加えて、この「補正テーブル1」の作成と共に、「修正補正テーブル1」を作成する場合もある。この「修正補正テーブル1」とは、記録用紙Pの下地色と文字及び線図の色とが同系色である場合にのみ文字領域及び線図領域の画像データに対しては色補正を実行する一方、記録用紙Pの下地色と文字及び線図の色とが異系色である場合には文字領域及び線図領域の画像データに対しては色補正を実行しないように設定するものである。
【0063】
例えば、記録用紙Pの下地色が橙色を帯びている場合、図4に破線で囲む領域の如く、文字及び線図のうち黄色系から赤系の色合いの文字及び線図に対しては彩度を高くする方向に色補正を行う(図4中の矢印B参照)。これにより、記録用紙Pの下地と文字や線図とのコントラストが高くなる方向への色補正が行われ、文字や線図の視認性を良好に確保する。
【0064】
これに対し、上記以外の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しない(図4中の「非補正域」参照)。例えば、文字及び線図のうち青色系の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しないようにする。これにより、必要以上にコントラストが高くなってしまったり、逆にコントラストが低くなる方向への補正が行われてしまうといったことが回避できる。
【0065】
(補正テーブル2の生成動作)
次に、記録用紙Pの下地色と原稿Mの下地色との両方に基づいて画像データを色補正する第2の補正モードを実行するための「補正テーブル2」の生成について説明する。
【0066】
今、原稿Mの下地色が「黄」であると仮定する。この場合の原稿Mの下地色は図5中の点oである。一方、記録用紙Pの下地色が「赤」であると仮定する。この場合の記録用紙Pの下地色は図5中の点pである。つまり、この場合、下地色が「黄」である原稿Mの画像を読み取って、下地色が「赤」である記録用紙Pに対して画像形成動作を行う。この際の色補正としては、原稿Mの下地色である「黄」が「白」つまり無彩色として視認されるような方向への色補正と、記録用紙Pの下地色である「赤」が「白」つまり無彩色として視認されるような方向への色補正とを合成した色補正を行う。図5における矢印Cは原稿Mの下地色に関する色補正に係る補正方向及び補正量を示している。一方、図5における矢印Dは記録用紙Pの下地色に関する色補正に係る補正方向及び補正量を示している。これらの矢印(ベクトル)を合成した矢印Eが、この場合の色補正に係る補正方向及び補正量である。この補正方向及び補正量で原稿画像データの各画素を色補正する。つまり、この場合には原稿画像データを青緑方向へ色補正することになる。
【0067】
この色補正により、特に写真などのイメージ画像の場合、記録用紙Pの下地色の影響を殆ど受けることなく良好な画像を形成することが可能になる。また、原稿Mの状態ではユーザが望む色調の印刷物でなかったとしても、上記データ補正により、記録用紙P上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることも可能になる。
【0068】
「補正テーブル2」は、このような手法により、記録用紙Pの下地色と原稿の下地色との両方に基づいて画像データを色補正する第2の補正モードを実行するための補正テーブルとして作成される。言い換えると、上記設定部56に入力されるユーザの選択信号として第2の補正モードが選択されている場合にのみこの「補正テーブル2」が作成される。
【0069】
但し、この「補正テーブル2」の作成にあたっても、彩度の高い領域と彩度の低い領域とで同一の補正量に設定したのでは、彩度の高い領域で過度に彩度が高くなってしまう可能性がある。このため、彩度の高い領域ほど補正量を小さく設定したり、彩度がある一定値以上であるものに対してのみ補正量を小さく設定してもよい。
【0070】
図6は、本カラー複写機1の複写動作開始時における「補正テーブル」の生成動作を示すフローチャートである。先ず、ステップST1において、記録用紙Pの下地色の読み取り動作を実行する。この動作は、上述した如く、図1に仮想線で示す位置に第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38が走査され、用紙搬送系41によって搬送されている記録用紙Pの下地色が用紙色透過ガラス44を透過して画像読取部3が認識することになる。
【0071】
その後、ユーザにより設定されたモード選択は第1の補正モードであるのか第2の補正モードであるのかを判別する(ステップST2)。つまり、設定部56に入力されるユーザの選択信号としては第1の補正モードの選択信号であるのか、第2の補正モードの選択信号であるのかを判別する。
【0072】
この判別で、第1の補正モードに選択されている場合には、ステップST3に移り、記録用紙Pの下地色に基づいて補正量を算出した後、ステップST4においてその補正量に基づく「補正テーブル1」を生成する。
【0073】
また、必要に応じて部分的に色補正を実行しない領域を設定するための上記「修正補正テーブル1」を生成する(ステップST5)。
【0074】
一方、ステップST2の判別で、第2の補正モードに選択されている場合には、ステップST6において、原稿画像データから原稿Mの下地色データを抽出する。この動作は、第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38が原稿載置台21に沿って走査して原稿Mの画像データを読み取った際、そのデータ中から下地色データのみを抽出することにより行われる。
【0075】
その後、ステップST7に移り、原稿Mの下地色及び記録用紙Pの下地色に基づいて補正量を算出する。その後、ステップST8においてその補正量に基づく「補正テーブル2」を生成する。
【0076】
以上が、「補正テーブル」の生成動作である。このようにして作成された「補正テーブル」は色補正データベース55に格納される。
【0077】
−色補正動作−
次に、色補正データベース55に格納されている「補正テーブル」を使用した色補正動作について図7のフローチャートに沿って説明する。
【0078】
先ず、ステップST11において、読み取った原稿画像データの一つの画素データを抽出する。そして、ステップST12において、その画素データに対するRGB情報をLab情報に変換する。この変換動作はRGB情報を数値情報に変換するものである。
【0079】
その後、ステップST13において、ユーザにより設定されたモード選択は第1の補正モードであるのか第2の補正モードであるのかを判別する。
【0080】
この判別で、第1の補正モードに選択されている場合には、ステップST14に移って、上記領域分離処理部51で分離された情報から補正対象とする画素は、「文字及び線図領域」、「イメージ画像領域」、「下地領域」の何れであるのかを判別する。
【0081】
補正対象とする画素が「文字及び線図領域」である場合には、ステップST15において上記「修正補正テーブル1」に基づいて色補正を行う。つまり、例えば、記録用紙Pの下地色が橙色を帯びている場合、図4に破線で囲む領域の如く、文字及び線図のうち黄色系から赤系の色合いの文字及び線図に対しては彩度を高くする方向に色補正を行う(図4中の矢印B参照)。これにより、記録用紙Pの下地と文字や線図とのコントラストが高くなる方向への色補正が行われ、文字や線図の視認性を良好に確保する。これに対し、上記以外の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しない(図4中の「非補正域」参照)。例えば、文字及び線図のうち青色系の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しないようにする。これにより、必要以上にコントラストが高くなってしまったり、逆にコントラストが低くなる方向への補正が行われてしまうといったことが回避できる。
【0082】
補正対象とする画素が「イメージ画像領域」である場合には、ステップST16において「補正テーブル1」に基づいて色補正を行う。つまり、記録用紙Pの下地色である「橙」が、原稿Mの下地色である「白」つまり無彩色として視認されるような方向への色補正を行う。即ち、図3に矢印Aで示す補正方向及び補正量での色補正を行うことになる。この補正方向及び補正量で原稿画像データの各画素を色補正する(図3中における各矢印参照)。この色補正により、原稿M上における下地色と画像との間のコントラストと、記録用紙P上における下地色と画像との間のコントラストとを略一致させることができ、良好な色再現性を確保することが可能になる。
【0083】
また、補正対象とする画素が「下地領域」である場合には、色補正を実行しない。
【0084】
一方、ステップST13の判別で、第2の補正モードに選択されている場合には、ステップST17に移って、「補正テーブル2」に基づいて色補正を行う。
【0085】
以上の補正動作の後、ステップST18に移り、Lab情報をRGB情報に変換し、ステップST19で次の画素に対する色補正動作に移る。
【0086】
以上の動作を全ての画素に対して順に行っていき、これによって生成された補正後の画像データを空間フィルタ処理部53に送信する。
【0087】
この空間フィルタ処理部53においては空間周波数特性を補正するデジタルフィルタによって出力画像のボヤケや粒状性劣化を防ぐための空間フィルタ処理がなされる。
【0088】
そして、中間調処理部54で、濃度信号などの信号を画像形成部4の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理が行われ、最終的に画像を画素に分割してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)がなされる。
【0089】
上述した各処理が施された画像データは、図示しない記憶手段に一旦記憶され、所定のタイミングで読出されて画像形成部4に出力される。
【0090】
以上の動作により画像形成部4では、色補正された画像データに基づいた画像形成動作が実行される。
【0091】
以上、説明したように、本形態では、記録用紙Pの下地色に基づいて画像データを補正する場合に必要となる記録用紙下地色データを取得するための手段として、既存の画像読取部3を流用している。このため、記録用紙下地色データを取得するための専用のセンサを設ける必要はなく、部品点数の増大が回避でき、これに伴って製造コストの高騰を回避することができる。
【0092】
また、記録用紙Pの下地色に基づいて画像データを補正しているため、記録用紙Pに形成される画像のコントラストや色再現性が記録用紙Pの下地色の悪影響を受けることが抑制でき、ユーザが望む良好な色調の印刷物を得ることができる。
【0093】
更に、記録用紙Pの下地色と原稿Mの下地色とに基づいた画像データの補正を実行することも可能である。例えば、原稿の下地色が黄色みを帯びており、記録用紙Pの下地色が赤みを帯びている場合、原稿の画像の色をそのまま記録用紙P上に再現したのでは、それぞれの下地色の影響によって画像の色調が人の視覚上で異なったものとなってしまい、ユーザが望む色調の印刷物を得ることができなくなる可能性がある。本実施形態によれば、上記の場合、例えば、色補正の方向として、黄色及び赤それぞれの補色となる青み及び緑色を帯びる方向に設定すれば、下地色の影響は殆どなくなって所望の色調の画像を得ることができる。
【0094】
また、この手法を用いれば、原稿の状態ではユーザが望む色調の印刷物(原稿)でなかったとしても、上記データ補正により、記録用紙P上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることも可能になる。言い換えると、ユーザが望む色調ではなかった原稿Mを複写することで、ユーザが望む色調の印刷物(画像形成後の記録用紙P)を得ることが可能になる。
【0095】
−その他の実施形態−
上記実施形態では、キャリッジ45の走査に伴って画像形成を行うシリアルタイプのインクジェット方式の画像形成部4を備えたカラー複写機に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、キャリッジの走査を伴わないラインタイプのインクジェット方式の画像形成部4を備えたカラー複写機や、電子写真方式の画像形成部を備えたカラー複写機に適用することも可能である。
【0096】
また、複写機に限らず、スキャナ装置やファクシミリ装置等の各種装置への適用も可能である。
【0097】
また、本発明に係る画像形成機で使用可能な原稿M及び記録用紙Pとしては、普通紙に限らず、上質紙、OHP用紙、専用コート紙等も掲げられる。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、画像形成が行われる記録媒体の下地色を把握しておき、この下地色を考慮して原稿画像データを補正するようにしている。また、記録媒体の下地色に基づいて画像データを補正する場合に必要となる記録媒体下地色データを取得するための手段として、既存の画像読取手段を流用している。このため、記録媒体の下地色データを取得するための専用のセンサを設ける必要はなく、部品点数の増大が回避でき、これに伴って製造コストの高騰を回避することができる。また、記録媒体に形成される画像のコントラストや色再現性が記録媒体の下地色の悪影響を受けることが抑制でき、ユーザが望む良好な色調の印刷物を得ることができる。
【0099】
特に、記録媒体の下地色と原稿の下地色とに基づいた画像データの補正を実行する構成とした場合には、原稿の状態ではユーザが望む色調の印刷物(原稿)でなかったとしても、上記データ補正により、記録媒体上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることも可能になる。言い換えると、ユーザが望む色調ではなかった原稿を複写することで、ユーザが望む色調の印刷物(画像形成後の記録媒体)を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るカラー複写機内部の概略構成を示す図である。
【図2】画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】補正テーブル1の生成動作を説明するためのカラーダイヤグラムを示す図である。
【図4】補正テーブル1から修正された補正テーブルの生成動作を説明するためのカラーダイヤグラムを示す図である。
【図5】補正テーブル2の生成動作を説明するためのカラーダイヤグラムを示す図である。
【図6】各補正テーブルの生成動作を示すフローチャート図である。
【図7】各補正テーブルを使用した色補正動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 カラー複写機(画像形成機)
3 画像読取部(画像読取手段)
5 画像処理部(画像データ処理装置)
51 領域分離処理部(領域分離手段)
52 色補正・黒生成処理部(データ補正手段)
M 原稿
P 記録用紙(記録媒体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、読み取った原稿画像データに対して処理を行う画像データ処理装置及びその処理装置を備えた複写機等の画像形成機に係る。特に、本発明は、画像形成を行う用紙(記録媒体)の下地色の影響による画像再現性の悪化を回避できる画像データを生成するための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平2−302167号公報に開示されている複写機などの画像形成機にあっては、原稿の画像をスキャナ部によって読み取って原稿画像データを作成し、この原稿画像データに対して各種の処理を行い、その処理後の画像データを画像形成部に送信する。そして、画像形成部では、この画像データに基づいて記録用紙への画像形成(印字等)が行われる。
【0003】
この画像形成部のタイプの一つとしてインクジェット方式を採用したものでは、インクヘッド及びインクカートリッジを搭載したキャリッジを備えており、このキャリッジが記録用紙の搬送方向に直交する主走査方向に移動しながらインクヘッドから記録用紙の表面にインク滴を吐出して上記画像データに応じた画像を記録用紙上に形成する。そして、このキャリッジの主走査方向の移動に伴うインク滴の吐出動作と記録用紙の搬送動作とが交互に行われることによって記録用紙全体に画像を形成していく。
【0004】
一方、画像形成部のタイプとして電子写真方式を採用したものでは、画像データに基づいて感光体ドラム上に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させて、画像データを顕像化させる。その後、このトナーを感光体ドラムから記録用紙に転写した後、この記録用紙を定着ローラに通過させる。この際、トナーは定着ローラによって加熱及び加圧されて記録用紙上に定着され、これによって所定の印刷物が得られることになる。
【0005】
また、画像形成機として、特開平9−69960号公報に開示されているように、記録用紙上に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に確保することに鑑みられたものが知られている。
【0006】
この公報に開示されている画像形成機は、インクジェット方式の画像形成部を備えたものであって、記録用紙の種類を識別する専用のセンサを設けておき、このセンサによって識別された記録用紙の種類(普通紙、上質紙、OHP用紙、専用コート紙の別)に応じて、予め作成された色変換テーブルを使用して画像データの色変換処理を行うようにしている。例えば、一般に専用コート紙を使用した場合には、用紙表面に対するインクの乗りが良好であるため、普通紙を使用した場合に比べてインク量を少量にすることで良好な色再現性を得ることができる。このため、上記センサによって識別された記録用紙の種類が専用コート紙である場合には、出力画像データとしては、原稿画像データに対して少し薄い色調となるようにデータ変換したものを使用する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平9−69960号公報に開示されている画像形成機にあっては、記録用紙の種類を識別する専用のセンサを設けておく必要があり、部品点数の増大及びそれに伴う製造コストの高騰を招いてしまうといった不具合があった。
【0008】
一方、本発明の発明者らは、記録用紙上に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に確保するための技術について考察を行った。その結果、記録用紙の種類(材質)よりも記録用紙の下地色の方が画像のコントラストや色再現性に与える影響度合いが大きいことを見出した。更に、同色の画像を記録用紙上に形成した場合であっても、その記録用紙の下地色が異なれば、人間の視覚としては、その画像の再現性が大きく異なってしまうことを見出した。そこで、本発明の発明者らは、記録用紙に形成される画像のコントラストや色再現性と用紙の下地色との関係について研究を行い本発明に至った。
【0009】
本発明は、この点に鑑みてなされたものであり、読み取った原稿画像データを補正処理するに際し、記録用紙の下地色に応じた画像データ処理を行うことにより、記録用紙に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に得ることができる画像データ処理装置及びその処理装置を備えた画像形成機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、画像形成が行われる記録媒体(記録用紙)の下地色を把握しておき、この下地色を考慮して原稿画像データを補正するようにしている。具体的には、下地色に対して彩度を高くする方向に色補正を行ったり、逆に、下地色に対して補色となる方向に色補正を行ったりすることで、記録媒体に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に得ることができる補正処理が行われる。また、必要に応じて色補正をキャンセル(非実行)する場合もある。
【0011】
−解決手段−
具体的には、原稿の画像データを読み取る画像読取手段を備えた画像データ処理装置を前提とする。この画像データ処理装置において、上記画像読取手段が、画像形成対象物である記録媒体の下地色も読み取り可能となる構成とする。つまり、この画像読取手段が、原稿画像読み取り機能と記録媒体下地色読み取り機能とを兼ね備えた構成とする。そして、この画像読取手段によって読み取られた記録媒体の下地色に基づいて上記画像データを補正するデータ補正手段を備えさせている。
【0012】
この特定事項により、記録媒体の下地色に基づいて画像データを補正する場合に必要となる記録媒体下地色データを取得するための手段として、既存の画像読取手段を流用することができる。このため、記録媒体の下地色データを取得するための専用のセンサを設ける必要はなく、部品点数の増大が回避でき、これに伴って製造コストの高騰を回避することができる。
【0013】
また、本解決手段では、記録媒体の下地色に基づいて画像データを補正しているため、記録媒体に形成される画像のコントラストや色再現性が記録媒体の下地色の悪影響を受けることが抑制でき、ユーザが望む良好な色調の印刷物を得ることができる。
【0014】
この解決手段における具体的な動作としては、例えば、先ず、画像読取手段を画像形成機の記録媒体搬送系に対向させ、この記録媒体搬送系に搬送されているまたは搬送前である記録媒体の下地色を認識し、これにより下地色データを取得する。その直後に、画像読取手段を原稿読み取り可能位置まで移動させることで、その原稿画像データを読み取る。このようにして、記録媒体下地色データと原稿画像データとの取得を連続して行うことで、読み取った原稿画像データの処理動作を実行する際には既に記録媒体下地色データが取得されていることになり、画像データ処理動作を迅速に行うことができる。
【0015】
上記解決手段に加えて、記録媒体の下地色と原稿の下地色とに基づいた画像データの補正をデータ補正手段が実行できる構成とする。
【0016】
例えば、原稿の下地色が黄色みを帯びており、記録媒体の下地色が赤みを帯びている場合、原稿の画像の色をそのまま記録媒体上に再現したのでは、それぞれの下地色の影響によって画像の色調が人の視覚上で異なったものとなってしまい、ユーザが望む色調の印刷物を得ることができなくなる可能性がある。この点を考慮したのが本解決手段である。つまり、上記の場合、例えば、データ補正手段による色補正の方向として、黄色及び赤それぞれの補色となる青み及び緑色を帯びる方向に設定すれば、下地色の影響は殆どなくなって所望の色調の画像を得ることができる。
【0017】
また、この手法を用いれば、原稿の状態ではユーザが望む色調の印刷物(原稿)でなかったとしても、上記データ補正により、記録媒体上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることも可能になる。言い換えると、ユーザが望む色調ではなかった原稿を複写することで、ユーザが望む色調の印刷物(画像形成後の記録媒体)を得ることが可能になる。
【0018】
また、記録媒体の下地色のみに基づいて画像データを補正する第1の補正モードと、記録媒体の下地色と原稿の下地色とに基づいて画像データを補正する第2の補正モードとが任意に選択可能に構成されている。
【0019】
これによれば、記録媒体に形成される画像のコントラストや色再現性を良好に得ることを優先とするモード(第1の補正モード)と、原稿の状態ではユーザが望む色調の印刷物でなかったとしても記録媒体上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることが可能なモード(第2の補正モード)とを任意に設定することができる。このため、画像形成機の利用範囲の拡大を図ることが可能になる。
【0020】
具体的に、第1の補正モードでは、原稿の下地色に拘わりなく記録媒体の下地色のみに基づいて画像データを補正しているので、この記録媒体の下地色の影響のみを考慮した画像データの補正が行われる。例えば、画像データがテキストデータの場合に下地色に対して彩度の高くなる方向への補正を行ったり、画像データがイメージデータの場合に下地色に対して補色となる方向への補正を行ったりする。これに対し、第2の補正モードでは、原稿の下地色と記録媒体の下地色との両方を考慮して画像データを補正しているので、原稿上では表現できていなかった画像を記録媒体上に形成するといったように、ユーザが求めていた本来の画像を記録媒体上に表現することが可能になる。
【0021】
加えて、画像読取手段によって読み取った原稿の画像データに対して領域分離処理を行う領域分離手段を備えさせる。そして、データ補正手段が、領域分離手段の出力を受け、原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の画像データに対する色補正と、その他の領域の画像データに対する色補正とが互いに異なるよう構成されている。
【0022】
文字領域及び線図領域の画像データに対する色補正と、その他の領域(例えば写真などのイメージデータ)の画像データに対する色補正とを互いに異ならせることで、画像の種類に応じた適切な色補正を行うことが可能になる。
【0023】
例えば、記録媒体の下地色と文字及び線図の色とが同系色である場合には、文字及び線図の色の彩度を高くする方向に設定される。これによれば、記録媒体の下地に対する文字や線図のコントラストを高く得ることができ、形成画像が明瞭になる。つまり、記録媒体の下地色の影響で文字や線図が見え難くなることを回避できる。
【0024】
逆に、原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の何れにも属さない領域の画像データ(イメージデータ等)に対する色補正の方向は、記録媒体の下地色に対して補色となる色調方向に設定される。これによれば、イメージデータによって形成される画像が記録媒体の下地色の影響によって画質が悪化するといった状況を回避できる。
【0025】
具体的には、下地色が黄色みを帯びた記録媒体に対してイメージデータの画像を形成する場合、原稿画像データの色データをそのまま再現したのでは記録媒体上の画像が黄色っぽくなってしまう可能性がある。この場合、上述した文字及び線図に対する色補正の場合と同様に彩度を高くする方向に補正したのでは、記録媒体上の画像の黄色っぽさがいっそう助長されてしまう。このため、本解決手段では、記録媒体の下地色に対して補色となる色調方向に色補正を行う。記録媒体の下地色が黄色みを帯びている場合には、色補正の方向は青色方向となる。この色補正により、イメージデータ等によって形成される画像が記録媒体の下地色の影響によって画質が悪化するといった状況を回避できる。
【0026】
また、原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の画像データのみに対しては色補正を実行しないよう構成してもよい。これによれば、色補正を実行しなくても、記録媒体の下地と文字や線図とのコントラストが良好に得られている場合に、必要以上にコントラストが高くなってしまったり、逆にコントラストが低くなる方向への補正が行われてしまうといったことが回避できる。
【0027】
具体的には、記録媒体の下地色と文字及び線図の色とが異系色である場合にのみ文字領域及び線図領域の画像データに対しては色補正を実行しないようにする。つまり、記録媒体の下地色が黄色みを帯びている場合、文字及び線図のうち黄色系の色合いの文字及び線図に対しては彩度を高くする方向に色補正を行って、記録媒体の下地と文字や線図とのコントラストを良好に確保する。これに対し、文字及び線図のうち青色系の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しないようにする。これにより、必要以上にコントラストが高くなってしまったり、逆にコントラストが低くなる方向への補正が行われてしまうといったことが回避できる。
【0028】
加えて、上記各解決手段に係る画像データ処理装置を備えた画像形成機も本発明の技術的思想の範疇である。つまり、上記画像データ処理装置に備えられたデータ補正手段によって補正された画像データを受信する画像形成部を備えており、この画像形成部が受信した画像データに応じて記録用紙上に画像形成動作を行うよう構成された画像形成機である。この画像形成部としては、例えばインクジェット方式のものや電子写真方式のものなどが採用可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、インクジェット方式の画像形成部を備えたカラー複写機に本発明を適用した場合について説明する。
【0030】
−カラー複写機の全体構成の説明−
図1は本形態に係る画像形成機としてのカラー複写機1の内部の概略構成を示している。この図1のように、本カラー複写機1は、自動原稿送り部2、画像読取手段としての画像読取部3、画像形成部4を備えている。以下、各部について説明する。
【0031】
<自動原稿送り部2の説明>
自動原稿送り部2は、透明なガラス等で成る原稿載置台21と、原稿Mを1枚ずつ原稿載置台21上に自動給紙するためのベルト駆動機構22とを備えている。
【0032】
ベルト駆動機構22は、水平軸回りに回転自在に支持された複数個のローラ22a,22a,…に無端の原稿搬送用ベルト22bが架け渡されて構成されている。そして、上記ローラ22a,22a,…のうちの一つが駆動ローラとされ、この駆動ローラ22aの駆動に伴う原稿搬送用ベルト22bの走行により1枚の原稿Mが原稿載置台21上に自動給紙されるようになっている。また、この自動原稿送り部2は、画像が読み取られた後の原稿Mを複写機1から排出するための図示しない排出機構も備えている。
【0033】
<画像読取部3の説明>
画像読取部3は、原稿載置台21上に給紙された原稿Mの画像を読み取って原稿画像データを作成する部分であって、原稿載置台21の下方に設けられている。この画像読取部3は、露光光源31、第1〜第3反射鏡32,33,34、結像レンズ35、光電変換素子(CCD)36を備えている。この場合、露光光源31及び第1反射鏡32によって第1の走査ユニット37が構成されている一方、第2及び第3反射鏡33,34によって第2の走査ユニット38が構成されている。
【0034】
上記露光光源31は、原稿載置台21上に搬送された原稿Mの画像面(下面)に対して光を照射するものである。各反射鏡32,33,34は、図1に一点鎖線で光路を示すように、原稿Mからの反射光像を一旦所定方向(図1では左方向)に偏向(反射)させた後、下方に偏向させ、その後、結像レンズ35に向かうように図中右方向に偏向させるようになっている。
【0035】
第1の走査ユニット37(露光光源31及び第1反射鏡32)は、一定の速度を保ちながら所定の走査速度で水平方向(原稿載置台21に沿う方向)に往復動(図1では左右方向移動)するものである。第2の走査ユニット38(第2及び第3反射鏡33,34)は、第1の走査ユニット37と一定の速度関係を保って水平方向に往復動(図1では左右方向移動)するものである。
【0036】
結像レンズ35は、第2の走査ユニット38の第3反射鏡34により偏向された反射光像を縮小し、この縮小された光像を光電変換素子36上の所定位置に結像させるものである。
【0037】
光電変換素子36は、結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力するものである。光電変換素子36は、白黒画像またはカラー画像を読み取り、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することができる3ラインのカラーCCDである。この光電変換素子36により電気信号に変換された原稿画像データは、後述する画像処理部5へ送信され、ここで各種処理が行われた後、この画像処理部5のメモリに一旦記憶される。その後、出力指示に応じてメモリ内の画像データが読み出され、この画像データは後述の画像形成部4による画像形成動作に利用される。
【0038】
また、この画像読取部3の特徴として、第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38の走査範囲としては、原稿載置台21に対向する範囲だけではなく、図1に仮想線で示すように、後述する画像形成部4の用紙搬送系41に対向する位置も走査範囲となっている。
【0039】
つまり、用紙搬送系41によって搬送される記録用紙Pに対して露光光源31から光を照射することにより、この記録用紙Pの表面の認識が可能となっている。この用紙搬送系41によって搬送される記録用紙Pの表面には未だ画像形成が行われていないので、ここでの記録用紙Pの表面の認識は、この記録用紙Pの下地色を認識する動作となる。この用紙搬送系42の構成及び記録用紙Pの下地色の認識動作については後述する。
【0040】
<画像形成部4の説明>
画像形成部4は、用紙搬送系41と画像形成系42とを備えている。
【0041】
用紙搬送系41は、1枚の記録用紙Pを画像形成系42に向けて給紙するためのベルト駆動機構43を備えている。このベルト駆動機構43は、水平軸回りに回転自在に支持された複数個のローラ43a,43a,…に無端の用紙搬送用ベルト43bが架け渡されて構成されている。そして、上記ローラ43a,43a,…のうちの一つが駆動ローラとされ、この駆動ローラ43aの駆動に伴う用紙搬送用ベルト43bの走行により1枚の記録用紙Pが画像形成系42に向けて給紙されるようになっている。
【0042】
この画像形成系42に供給される記録用紙Pは、カットシート状の紙であり、用紙搬送系41を構成する複数個のローラ43a,43a,…のうち画像形成系42の直上流側に設けられたレジストローラ43aによって、画像形成系42への給紙タイミングが制御される。
【0043】
また、用紙搬送系41の特徴として、用紙搬送用ベルト43bの下面に対向する位置には透明の用紙色透過ガラス44が配設されている。つまり、この用紙色透過ガラス44の配設部分にあっては、図1に仮想線で示す位置に第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38が位置している場合に、用紙搬送系41によって搬送されている記録用紙Pの下地色が用紙色透過ガラス44を透過して画像読取部3が認識できるようになっている。
【0044】
具体的には、このように第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38が用紙色透過ガラス44の配設部分まで走査された場合には、搬送されている記録用紙Pに対して露光光源31が光を照射し、その反射光を各反射鏡32,33,34によって結像レンズ35に導き、その光像が光電変換素子36上の所定位置に結像されることになる。このため、記録用紙Pの下地色を画像読取部3によって認識することが可能となる。
【0045】
画像形成系42は、用紙搬送系41によって供給される記録用紙Pに対して画像形成を行うためのものであり、図示しない複数のインクカートリッジ、インクヘッドを搭載したキャリッジ45を備えている。このキャリッジ45は図1の紙面に直交する方向に延びるガイドシャフトに支持されていると共に、図示しない走査駆動機構に連結されている。そして、この走査駆動機構の駆動に伴い、キャリッジ45はガイドシャフトに案内されて主走査方向に移動可能となっている。
【0046】
また、このキャリッジ45に対向して、画像形成時における記録用紙Pの支持部材となるプラテンローラ46が備えられている。このプラテンローラ46の外周囲には、このプラテンローラ46との間で記録用紙Pを挟持搬送するための複数の搬送ローラ47が配設されている。
【0047】
尚、上記インクカートリッジは、Bk(ブラック),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の各インク毎に個別にキャリッジ45上に搭載されており、それぞれが独立して交換可能となっている。
【0048】
この画像形成系42での画像形成動作としては、用紙搬送系41によってキャリッジ45とプラテンローラ46との間へ送られた記録用紙Pに対し、インクヘッドのインクノズルより画像データに対応してインク滴が吹き付けられることで画像形成が行われる。この時、記録用紙Pはプラテンローラ46上で一旦停止されている。インク滴を吹き付けつつ、キャリッジ45は、ガイドシャフトに案内されて、主走査方向(図1において紙面に直交する方向)に一ライン分走査される。それが終了すると、記録用紙Pは、プラテンローラ46の回転に伴って副走査方向(図1における矢印D方向)に一定の幅だけ移動する。画像形成系42において、上記処理が画像情報に対応し継続して実施されることにより、記録用紙Pの全面に画像形成がなされる。このようにして画像形成が行われた記録用紙Pは、複写機1から排出され、これにより、記録用紙Pは印刷物としてユーザに提供されることになる。
【0049】
<画像処理部5の説明>
次に、本形態の特徴部分である画像データ処理装置を構成する画像処理部5について説明する。図2は、本画像処理部5の概略構成を示すブロック図である。
【0050】
この図2示すように、画像処理部5は、領域分離手段としての領域分離処理部51、データ補正手段としての色補正・黒生成処理部52、空間フィルタ処理部53、中間調処理部54、色補正データベース55、設定部56を備えている。
【0051】
上記画像読取部3から入力されるRGBに分解された原稿画像データは領域分離処理部51へ送信される。ここで行われる領域分離処理としては、入力された画像データを用いて、各画素が、文字等のテキスト画像領域(線図領域も含む)であるのか写真等のイメージ画像領域であるのかを領域分離処理により判別し、各画素のデータに対応して、この各画素のデータに付加するための領域識別信号を作成する。そして、この領域識別信号は、領域分離処理部51から色補正・黒生成処理部52、空間フィルタ処理部53、中間調処理部54等の各処理部へ出力されるようになっている。
【0052】
色補正・黒生成処理部52には、原稿Mから取得された原稿画像データ及び記録用紙Pから取得された記録用紙下地色データがそれぞれ入力される。この色補正・黒生成処理部52に入力されたデータのうち原稿画像データは、色再現の忠実化実現のために不要吸収成分を含むCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理がなされ、色補正後のCMYの3色信号から黒(K)信号を生成する黒生成、元のCMY信号から黒生成で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理が行われ、CMYの3色信号はCMYKの4色信号に変換される。
【0053】
本発明は、この色補正・黒生成処理部52における原稿画像データの色補正動作にある。この色補正動作は、色補正データベース55に基づいて実行される。以下、この色補正データベース55の生成動作及びその色補正データベース55に基づいて実行される色補正動作について説明する。
【0054】
−色補正データベース55の生成動作−
色補正データベース55内には2つの「補正テーブル」が備えられている。一つは、記録用紙Pの下地色のみに基づいて画像データを色補正する第1の補正モードを実行するための「補正テーブル1」である。もう一つは、記録用紙Pの下地色と原稿の下地色との両方に基づいて画像データを色補正する第2の補正モードを実行するための「補正テーブル2」である。
【0055】
これら「補正テーブル」は、本カラー複写機1の複写動作開始時に生成され、複写動作は、この「補正テーブル」に基づいて色補正された画像データを利用して実行される。
【0056】
(補正テーブル1の生成動作)
先ず、第1の補正モードを実行するための「補正テーブル1」の生成について説明する。図3は、所謂カラーダイヤグラムである。このダイヤグラムの周方向は「色合い」を示している。図中のRは「赤」、Yは「黄」、Bは「青」、Gは「緑」をそれぞれ示している。また、図中の半径方向は「彩度」を示しており、外周側ほど「彩度」が高くなっている。更に、図中の紙面に直交する方向は色の「明度」を示しており、図面の手前側ほど「明度」が高くなっている。従って、図3は、ある特定の「明度」において「色合い」及び「彩度」を二次元的に表現したカラーダイヤグラムとなっている。
【0057】
今、原稿Mの下地色が「白」であると仮定する。この場合の原稿Mの下地色は図3中の点(無彩色点)xである。一方、記録用紙(印字紙)Pの下地色が「橙」であると仮定する。この場合の記録用紙Pの下地色は図3中の点pである。つまり、この場合、下地色が「白」である原稿Mの画像を読み取って、下地色が「橙」である記録用紙Pに対して画像形成動作を行う。
【0058】
この際の色補正としては、記録用紙Pの下地色である「橙」が、原稿Mの下地色である「白」つまり無彩色として視認されるような方向への色補正を行う。つまり、図3に矢印Aで示す補正方向及び補正量での色補正を行うことになる。この補正方向及び補正量で原稿画像データの各画素を色補正する(図3中における各矢印参照)。
【0059】
この色補正により、原稿M上における下地色と画像との間のコントラストと、記録用紙P上における下地色と画像との間のコントラストとを略一致させることができ、良好な色再現性を確保することが可能になる。
【0060】
「補正テーブル1」は、このような手法により、記録用紙Pの下地色のみに基づいて画像データを色補正する第1の補正モードを実行するための補正テーブルとして作成される。言い換えると、上記設定部56に入力されるユーザの選択信号として第1の補正モードが選択されている場合にのみこの「補正テーブル1」が作成される。このユーザからの選択信号は、複写機1に備えられた操作部6をユーザが手動操作することにより入力される。
【0061】
但し、この「補正テーブル1」の作成にあたって、彩度の高い領域と彩度の低い領域とで同一の補正量に設定したのでは、彩度の高い領域で過度に彩度が高くなってしまう可能性がある。このため、彩度の高い領域ほど補正量を小さく設定したり、彩度がある一定値以上であるものに対してのみ補正量を小さく設定してもよい。
【0062】
加えて、この「補正テーブル1」の作成と共に、「修正補正テーブル1」を作成する場合もある。この「修正補正テーブル1」とは、記録用紙Pの下地色と文字及び線図の色とが同系色である場合にのみ文字領域及び線図領域の画像データに対しては色補正を実行する一方、記録用紙Pの下地色と文字及び線図の色とが異系色である場合には文字領域及び線図領域の画像データに対しては色補正を実行しないように設定するものである。
【0063】
例えば、記録用紙Pの下地色が橙色を帯びている場合、図4に破線で囲む領域の如く、文字及び線図のうち黄色系から赤系の色合いの文字及び線図に対しては彩度を高くする方向に色補正を行う(図4中の矢印B参照)。これにより、記録用紙Pの下地と文字や線図とのコントラストが高くなる方向への色補正が行われ、文字や線図の視認性を良好に確保する。
【0064】
これに対し、上記以外の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しない(図4中の「非補正域」参照)。例えば、文字及び線図のうち青色系の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しないようにする。これにより、必要以上にコントラストが高くなってしまったり、逆にコントラストが低くなる方向への補正が行われてしまうといったことが回避できる。
【0065】
(補正テーブル2の生成動作)
次に、記録用紙Pの下地色と原稿Mの下地色との両方に基づいて画像データを色補正する第2の補正モードを実行するための「補正テーブル2」の生成について説明する。
【0066】
今、原稿Mの下地色が「黄」であると仮定する。この場合の原稿Mの下地色は図5中の点oである。一方、記録用紙Pの下地色が「赤」であると仮定する。この場合の記録用紙Pの下地色は図5中の点pである。つまり、この場合、下地色が「黄」である原稿Mの画像を読み取って、下地色が「赤」である記録用紙Pに対して画像形成動作を行う。この際の色補正としては、原稿Mの下地色である「黄」が「白」つまり無彩色として視認されるような方向への色補正と、記録用紙Pの下地色である「赤」が「白」つまり無彩色として視認されるような方向への色補正とを合成した色補正を行う。図5における矢印Cは原稿Mの下地色に関する色補正に係る補正方向及び補正量を示している。一方、図5における矢印Dは記録用紙Pの下地色に関する色補正に係る補正方向及び補正量を示している。これらの矢印(ベクトル)を合成した矢印Eが、この場合の色補正に係る補正方向及び補正量である。この補正方向及び補正量で原稿画像データの各画素を色補正する。つまり、この場合には原稿画像データを青緑方向へ色補正することになる。
【0067】
この色補正により、特に写真などのイメージ画像の場合、記録用紙Pの下地色の影響を殆ど受けることなく良好な画像を形成することが可能になる。また、原稿Mの状態ではユーザが望む色調の印刷物でなかったとしても、上記データ補正により、記録用紙P上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることも可能になる。
【0068】
「補正テーブル2」は、このような手法により、記録用紙Pの下地色と原稿の下地色との両方に基づいて画像データを色補正する第2の補正モードを実行するための補正テーブルとして作成される。言い換えると、上記設定部56に入力されるユーザの選択信号として第2の補正モードが選択されている場合にのみこの「補正テーブル2」が作成される。
【0069】
但し、この「補正テーブル2」の作成にあたっても、彩度の高い領域と彩度の低い領域とで同一の補正量に設定したのでは、彩度の高い領域で過度に彩度が高くなってしまう可能性がある。このため、彩度の高い領域ほど補正量を小さく設定したり、彩度がある一定値以上であるものに対してのみ補正量を小さく設定してもよい。
【0070】
図6は、本カラー複写機1の複写動作開始時における「補正テーブル」の生成動作を示すフローチャートである。先ず、ステップST1において、記録用紙Pの下地色の読み取り動作を実行する。この動作は、上述した如く、図1に仮想線で示す位置に第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38が走査され、用紙搬送系41によって搬送されている記録用紙Pの下地色が用紙色透過ガラス44を透過して画像読取部3が認識することになる。
【0071】
その後、ユーザにより設定されたモード選択は第1の補正モードであるのか第2の補正モードであるのかを判別する(ステップST2)。つまり、設定部56に入力されるユーザの選択信号としては第1の補正モードの選択信号であるのか、第2の補正モードの選択信号であるのかを判別する。
【0072】
この判別で、第1の補正モードに選択されている場合には、ステップST3に移り、記録用紙Pの下地色に基づいて補正量を算出した後、ステップST4においてその補正量に基づく「補正テーブル1」を生成する。
【0073】
また、必要に応じて部分的に色補正を実行しない領域を設定するための上記「修正補正テーブル1」を生成する(ステップST5)。
【0074】
一方、ステップST2の判別で、第2の補正モードに選択されている場合には、ステップST6において、原稿画像データから原稿Mの下地色データを抽出する。この動作は、第1の走査ユニット37及び第2の走査ユニット38が原稿載置台21に沿って走査して原稿Mの画像データを読み取った際、そのデータ中から下地色データのみを抽出することにより行われる。
【0075】
その後、ステップST7に移り、原稿Mの下地色及び記録用紙Pの下地色に基づいて補正量を算出する。その後、ステップST8においてその補正量に基づく「補正テーブル2」を生成する。
【0076】
以上が、「補正テーブル」の生成動作である。このようにして作成された「補正テーブル」は色補正データベース55に格納される。
【0077】
−色補正動作−
次に、色補正データベース55に格納されている「補正テーブル」を使用した色補正動作について図7のフローチャートに沿って説明する。
【0078】
先ず、ステップST11において、読み取った原稿画像データの一つの画素データを抽出する。そして、ステップST12において、その画素データに対するRGB情報をLab情報に変換する。この変換動作はRGB情報を数値情報に変換するものである。
【0079】
その後、ステップST13において、ユーザにより設定されたモード選択は第1の補正モードであるのか第2の補正モードであるのかを判別する。
【0080】
この判別で、第1の補正モードに選択されている場合には、ステップST14に移って、上記領域分離処理部51で分離された情報から補正対象とする画素は、「文字及び線図領域」、「イメージ画像領域」、「下地領域」の何れであるのかを判別する。
【0081】
補正対象とする画素が「文字及び線図領域」である場合には、ステップST15において上記「修正補正テーブル1」に基づいて色補正を行う。つまり、例えば、記録用紙Pの下地色が橙色を帯びている場合、図4に破線で囲む領域の如く、文字及び線図のうち黄色系から赤系の色合いの文字及び線図に対しては彩度を高くする方向に色補正を行う(図4中の矢印B参照)。これにより、記録用紙Pの下地と文字や線図とのコントラストが高くなる方向への色補正が行われ、文字や線図の視認性を良好に確保する。これに対し、上記以外の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しない(図4中の「非補正域」参照)。例えば、文字及び線図のうち青色系の色合いの文字及び線図に対しては色補正を実行しないようにする。これにより、必要以上にコントラストが高くなってしまったり、逆にコントラストが低くなる方向への補正が行われてしまうといったことが回避できる。
【0082】
補正対象とする画素が「イメージ画像領域」である場合には、ステップST16において「補正テーブル1」に基づいて色補正を行う。つまり、記録用紙Pの下地色である「橙」が、原稿Mの下地色である「白」つまり無彩色として視認されるような方向への色補正を行う。即ち、図3に矢印Aで示す補正方向及び補正量での色補正を行うことになる。この補正方向及び補正量で原稿画像データの各画素を色補正する(図3中における各矢印参照)。この色補正により、原稿M上における下地色と画像との間のコントラストと、記録用紙P上における下地色と画像との間のコントラストとを略一致させることができ、良好な色再現性を確保することが可能になる。
【0083】
また、補正対象とする画素が「下地領域」である場合には、色補正を実行しない。
【0084】
一方、ステップST13の判別で、第2の補正モードに選択されている場合には、ステップST17に移って、「補正テーブル2」に基づいて色補正を行う。
【0085】
以上の補正動作の後、ステップST18に移り、Lab情報をRGB情報に変換し、ステップST19で次の画素に対する色補正動作に移る。
【0086】
以上の動作を全ての画素に対して順に行っていき、これによって生成された補正後の画像データを空間フィルタ処理部53に送信する。
【0087】
この空間フィルタ処理部53においては空間周波数特性を補正するデジタルフィルタによって出力画像のボヤケや粒状性劣化を防ぐための空間フィルタ処理がなされる。
【0088】
そして、中間調処理部54で、濃度信号などの信号を画像形成部4の特性値である網点面積率に変換する出力階調補正処理が行われ、最終的に画像を画素に分割してそれぞれの階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)がなされる。
【0089】
上述した各処理が施された画像データは、図示しない記憶手段に一旦記憶され、所定のタイミングで読出されて画像形成部4に出力される。
【0090】
以上の動作により画像形成部4では、色補正された画像データに基づいた画像形成動作が実行される。
【0091】
以上、説明したように、本形態では、記録用紙Pの下地色に基づいて画像データを補正する場合に必要となる記録用紙下地色データを取得するための手段として、既存の画像読取部3を流用している。このため、記録用紙下地色データを取得するための専用のセンサを設ける必要はなく、部品点数の増大が回避でき、これに伴って製造コストの高騰を回避することができる。
【0092】
また、記録用紙Pの下地色に基づいて画像データを補正しているため、記録用紙Pに形成される画像のコントラストや色再現性が記録用紙Pの下地色の悪影響を受けることが抑制でき、ユーザが望む良好な色調の印刷物を得ることができる。
【0093】
更に、記録用紙Pの下地色と原稿Mの下地色とに基づいた画像データの補正を実行することも可能である。例えば、原稿の下地色が黄色みを帯びており、記録用紙Pの下地色が赤みを帯びている場合、原稿の画像の色をそのまま記録用紙P上に再現したのでは、それぞれの下地色の影響によって画像の色調が人の視覚上で異なったものとなってしまい、ユーザが望む色調の印刷物を得ることができなくなる可能性がある。本実施形態によれば、上記の場合、例えば、色補正の方向として、黄色及び赤それぞれの補色となる青み及び緑色を帯びる方向に設定すれば、下地色の影響は殆どなくなって所望の色調の画像を得ることができる。
【0094】
また、この手法を用いれば、原稿の状態ではユーザが望む色調の印刷物(原稿)でなかったとしても、上記データ補正により、記録用紙P上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることも可能になる。言い換えると、ユーザが望む色調ではなかった原稿Mを複写することで、ユーザが望む色調の印刷物(画像形成後の記録用紙P)を得ることが可能になる。
【0095】
−その他の実施形態−
上記実施形態では、キャリッジ45の走査に伴って画像形成を行うシリアルタイプのインクジェット方式の画像形成部4を備えたカラー複写機に本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、キャリッジの走査を伴わないラインタイプのインクジェット方式の画像形成部4を備えたカラー複写機や、電子写真方式の画像形成部を備えたカラー複写機に適用することも可能である。
【0096】
また、複写機に限らず、スキャナ装置やファクシミリ装置等の各種装置への適用も可能である。
【0097】
また、本発明に係る画像形成機で使用可能な原稿M及び記録用紙Pとしては、普通紙に限らず、上質紙、OHP用紙、専用コート紙等も掲げられる。
【0098】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、画像形成が行われる記録媒体の下地色を把握しておき、この下地色を考慮して原稿画像データを補正するようにしている。また、記録媒体の下地色に基づいて画像データを補正する場合に必要となる記録媒体下地色データを取得するための手段として、既存の画像読取手段を流用している。このため、記録媒体の下地色データを取得するための専用のセンサを設ける必要はなく、部品点数の増大が回避でき、これに伴って製造コストの高騰を回避することができる。また、記録媒体に形成される画像のコントラストや色再現性が記録媒体の下地色の悪影響を受けることが抑制でき、ユーザが望む良好な色調の印刷物を得ることができる。
【0099】
特に、記録媒体の下地色と原稿の下地色とに基づいた画像データの補正を実行する構成とした場合には、原稿の状態ではユーザが望む色調の印刷物(原稿)でなかったとしても、上記データ補正により、記録媒体上に形成された画像の状態ではユーザが望む色調を得ることも可能になる。言い換えると、ユーザが望む色調ではなかった原稿を複写することで、ユーザが望む色調の印刷物(画像形成後の記録媒体)を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るカラー複写機内部の概略構成を示す図である。
【図2】画像処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】補正テーブル1の生成動作を説明するためのカラーダイヤグラムを示す図である。
【図4】補正テーブル1から修正された補正テーブルの生成動作を説明するためのカラーダイヤグラムを示す図である。
【図5】補正テーブル2の生成動作を説明するためのカラーダイヤグラムを示す図である。
【図6】各補正テーブルの生成動作を示すフローチャート図である。
【図7】各補正テーブルを使用した色補正動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 カラー複写機(画像形成機)
3 画像読取部(画像読取手段)
5 画像処理部(画像データ処理装置)
51 領域分離処理部(領域分離手段)
52 色補正・黒生成処理部(データ補正手段)
M 原稿
P 記録用紙(記録媒体)
Claims (9)
- 原稿の画像を読み取る画像読取手段を備えた画像データ処理装置において、
上記画像読取手段は、画像形成対象物である記録媒体の下地色も読み取り可能に構成されている一方、
この画像読取手段によって読み取られた記録媒体の下地色に基づいて上記画像データを補正するデータ補正手段を備えていることを特徴とする画像データ処理装置。 - 請求項1記載の画像データ処理装置において、
データ補正手段は、記録媒体の下地色と原稿の下地色とに基づいた画像データの補正が可能に構成されていることを特徴とする画像データ処理装置。 - 請求項2記載の画像データ処理装置において、
データ補正手段は、記録媒体の下地色のみに基づいて画像データを補正する第1の補正モードと、記録媒体の下地色と原稿の下地色とに基づいて画像データを補正する第2の補正モードとが任意に選択可能に構成されていることを特徴とする画像データ処理装置。 - 請求項1記載の画像データ処理装置において、
画像読取手段によって読み取った原稿の画像データに対して領域分離処理を行う領域分離手段を備えており、
データ補正手段は、上記領域分離手段の出力を受け、原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の画像データに対する色補正と、その他の領域の画像データに対する色補正とが互いに異なるよう構成されていることを特徴とする画像データ処理装置。 - 請求項4記載の画像データ処理装置において、
原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の画像データに対する色補正の方向は、記録媒体の下地色と文字及び線図の色とが同系色である場合には、文字及び線図の色の彩度を高くする方向に設定されることを特徴とする画像データ処理装置。 - 請求項4記載の画像データ処理装置において、
原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の何れにも属さない領域の画像データに対する色補正の方向は、記録媒体の下地色に対して補色となる色調方向に設定されることを特徴とする画像データ処理装置。 - 請求項4記載の画像データ処理装置において、
データ補正手段は、原稿の画像データのうち文字領域及び線図領域の画像データのみに対しては色補正を実行しないよう構成されていることを特徴とする画像データ処理装置。 - 請求項7記載の画像データ処理装置において、
記録媒体の下地色と文字及び線図の色とが異系色である場合にのみ文字領域及び線図領域の画像データに対しては色補正を実行しないよう構成されていることを特徴とする画像データ処理装置。 - 上記請求項1記載の画像データ処理装置に備えられたデータ補正手段によって補正された画像データを受信する画像形成部を備えており、この画像形成部が受信した画像データに応じて記録用紙上に画像形成動作を行うよう構成されていることを特徴とする画像形成機。
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