JP2004023593A - 弾性表面波装置及びその製造方法 - Google Patents

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Isao Murase
村瀬 功
Masao Ecchu
越中 昌夫
Koji Murai
村井 康治
Kenji Yoshida
吉田 憲司
Kosaku Yamagata
山縣 浩作
Koichiro Misu
三須 幸一郎
Kouji Ihata
井幡 光詞
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Abstract

【課題】この発明は、低抵抗でかつ容量値精度が高いインタデジタル電極型の容量素子を有する新規な弾性表面波装置及びその製造方法を提供するものである。
【解決手段】この発明の弾性表面波装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って設けられた複数本の第1導電性薄膜、及びこれらの第1導電性薄膜上にそれぞれ積層された前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を具備する複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子とを備え、前記第2導電性薄膜の前記第1導電性薄膜に隣接する部分における線幅を 前記第1導電性薄膜の線幅よりも小さく、かつ、前記第2導電性薄膜の前記第1導電性薄膜に離隔する部分における線幅を前記第1導電性薄膜の線幅と同等又は大きくしたものである。
【選択図】    図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話や基地局等の通信機器に使われる高周波フィルタとして供され、圧電性基板の上に弾性表面波共振子とインタデジタル型の容量素子が設けられた弾性表面波装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種従来における弾性表面波装置及びその製造方法として、例えば特許第3155639号公報に記載されている構成のものがあった。図8は、その公報に記載されたもので、圧電性基板上に弾性表面波共振子とインタデジタル電極型の容量素子とを配置した弾性表面波装置の断面構造図である。図8において、1は圧電性基板、2は弾性表面波共振子のインタデジタル電極、3はボンディングパッド、4はインタデジタル電極型容量素子のインタデジタル電極である。また、図9は、図8の弾性表面波装置の製造方法を説明するための説明図である。図9において、5は第1の導電性薄膜、6は第2の導電性薄膜である。圧電性基板1上には、例えば500nm程度の低抵抗化のための比較的厚い第1の導電性薄膜5が図9(a)に示すようにまず成膜され、次に第1の導電性薄膜5に対して写真製版とエッチングを行うことによりボンディングパッド3と容量素子のインタデジタル電極4が形成される領域が図9(b)に示すように形成される。さらに、弾性表面波共振子のインタデジタル電極2に必要とされる例えば100nm程度の第2の導電性薄膜6が図9(c)のように成膜され、次に、第2の導電性薄膜6に対して写真製版とエッチングを行うことにより弾性表面波共振子のインタデジタル電極2が図9(d)のように形成される。最後に、第1の導電性薄膜5の上に第2の導電性薄膜6が積層された領域に対して写真製版とエッチングを行うことにより容量素子のインタデジタル電極4が図9(e)のように形成される。
【0003】
また、この種従来における弾性表面波装置として、例えば特開2000−77967号公報に記載されているものもあった。図10は、その構成を示したもので、圧電性基板上に弾性表面波共振子とインタデジタル電極型の容量素子を配置した弾性表面波装置を示した構成図である。図10において、4がインタデジタル型の容量素子のインタデジタル電極を示し、そのインタデジタル電極の上に7の誘電体膜で被覆されている。この誘電体膜7は容量素子を小型化するために高誘電率を有するチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)やチタン酸鉛系(PT)やチタン酸バリウム系(BT)などを主成分としていると記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来における弾性表面波装置及びその製造方法に関し、まず、図8及び図9で説明した特許第3155639号に記載された弾性表面波装置のインタデジタル電極型の容量素子は、インタデジタル電極4の圧電性基板1に接する部分が低抵抗化を図るために膜厚の厚い第1の導電性薄膜5を写真製版とエッチングで加工して形成しており、膜厚が薄い場合は写真製版で形成したレジストパターンの寸法精度をほぼ反映して精度良くインタデジタル電極を加工できるのに対して、膜厚が厚い場合は薄い場合に比べて加工寸法精度が劣るという問題があり、一般に圧電性基板の比誘電率は雰囲気(空気、封止窒素等)よりも極めて大きいという点(例えばLiNbO3では44.3、LiTaOでは42.6)からインタデジタル電極型の容量素子の容量がインタデジタル電極と圧電性基板との接触部分の加工寸法精度に強く依存するという特性に基いて、図8に示された容量素子の容量値を高精度で製作することは困難であった。また、圧電性基板がLiNbOやLiTaOである場合、それらの比誘電率の温度係数はいずれも10−4/℃台と大きいにも関わらず、第8図に示されている容量素子においては、如何なる比誘電率の温度特性を考慮した設計が為されておらない上に、温度補償機能も持ち合わせておらず、容量値の温度変動が大きいという問題があった。
【0005】
また、図10に説明した特開2000−77967号公報に記載された弾性表面波装置のインタデジタル型の容量素子は、小型化を目的に高誘電率の誘電体膜がインタデジタル電極を被覆しているが、この誘電体はチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)やチタン酸鉛系(PT)やチタン酸バリウム系(BT)などを主成分としている。通常の携帯電話のフィルタ部品として使用する弾性表面波装置を考えると、例えば、−20〜75℃程度の温度範囲での使用が想定され、圧電性基板としては比誘電率の温度係数が正で、かつ、10−4/℃台と大きいLiNbOやLiTaOである場合に、先に挙げたチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)やチタン酸鉛系(PT)やチタン酸バリウム系(BT)などの高誘電率の材料はこの温度範囲内において全部ないしは少なくとも一部に温度係数が正となる部分があるため、この容量素子の容量値の温度変動が極めて大きいという問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、同一の圧電性基板上に設けた導電性薄膜よりなるインタデジタル電極を有する弾性表面波共振子と導電性薄膜よりなるインタデジタル電極を有する容量素子とを配置し、低抵抗でかつ容量値精度が高いインタデジタル電極型の容量素子を有する新規な弾性表面波装置及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
また、この発明は、容量素子の容量値が温度変動に対して極めて小さいインタデジタル電極型の容量素子を有する新規な弾性表面波装置及びその製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る弾性表面波装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた第1インタデジタル電極と、前記圧電性基板上の前記第1インタデジタル電極と隣合って設けられた第1導電性薄膜、及びこの第1導電性薄膜上に積層された前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を有する第2インタデジタル電極とを備えたものである。
【0009】
この発明の請求項2に係る弾性表面波装置は、前記第2導電性薄膜の膜厚を前記第1導電性薄膜のそれよりも大きくした請求項1に記載のものである。
【0010】
この発明の請求項3に係る弾性表面波装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って設けられた複数本の第1導電性薄膜、及びこれらの第1導電性薄膜上にそれぞれ積層された前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を具備する複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子とを備え、前記第2導電性薄膜の前記第1導電性薄膜に隣接する部分における線幅を 前記第1導電性薄膜の線幅よりも小さく、かつ、前記第2導電性薄膜の前記第1導電性薄膜に離隔する部分における線幅を前記第1導電性薄膜の線幅と同等又は大きくしたものである。
【0011】
この発明の請求項4に係る弾性表面波装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極と、前記圧電性基板上の前記第1インタデジタル電極と隣合って設けられた複数本の第2インタデジタル電極と、この第2インタデジタル電極の全部又は一部を覆い、前記圧電性基板の比誘電率の温度係数と逆符号の温度係数を有する誘電体膜とを備えたものである。
【0012】
この発明の請求項5に係る弾性表面波装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って設けられた複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子とを有し、この容量素子の容量値が所望の容量値よりも大きくなるように前記圧電性基板の比誘電率の温度係数と逆符号の温度係数を有する誘電体膜により、前記第2インタデジタル電極の一部分を覆うようにしたものである。
【0013】
この発明の請求項6に係る弾性表面波装置は、圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って設けられた複数本の第1導電性薄膜、及びこれらの第1導電性薄膜上にそれぞれ積層された前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を具備する複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子とを備え、前記第2インタデジタル電極の電界の向きが前記圧電性基板の比誘電率の温度係数が小さい向きと一致するように配置したものである。
【0014】
この発明の請求項7に係る弾性表面波装置は、前記圧電性基板をLiNbO又はLiTaOとし、前記第2インタデジタル電極の電界の向きがLiNbO又はLiTaOの結晶軸のXY平面内にある請求項6に記載のものである。
【0015】
この発明の請求項8に係る弾性表面波装置は、前記圧電性基板をLiNbO又はLiTaOとし、前記誘電体膜をTiO若しくはCaSr1−xTiO(0≦x≦1)又はこれらを主成分とする材料とした請求項4乃至7のいずれかに記載のものである。
【0016】
この発明の請求項9に係る弾性表面波装置は、前記圧電性基板をLiNbO又はLiTaOとし、前記誘電体膜を使用下限温度よりも低い常誘電キユリー温度(キュリー・ワイス温度)を有する変位形強誘電体とした請求項4乃至7のいずれかに記載のものである。
【0017】
この発明の請求項10に係る弾性表面波装置は、前記変位形強誘電体をBaSr1−xTiO(0<x<1)とした請求項9に記載のものである。
【0018】
この発明の請求項11に係る弾性表面波装置は、前記圧電性基板をLiNbO又はLiTaOとし、前記誘電体膜を無極性高分子とした請求項4乃至7のいずれかに記載のものである。
【0019】
この発明の請求項12に係る弾性表面波装置は、前記無極性高分子をポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンとした請求項11に記載のものである。
【0020】
この発明の請求項13に係る弾性表面波装置の製造方法は、圧電性基板上に複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素を形成する工程と、前記弾性表面波素子と隣合って前記圧電性基板上に所定間隔を隔てて複数本の第1導電性薄膜を形成する工程と、前記第1導電性薄膜における前記圧電性基板上の前記所定間隔にレジストを設け、又は前記圧電性基板上の前記所定間隔及び前記第1導電性薄膜上の端部に跨ってレジストを設け、このレジストを除去して前記第1導電性薄膜上に間隙を設ける工程と、前記第1導電性薄膜上の前記間隙及び前記レジスト上に前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を積層する工程と、前記第2導電性薄膜の前記所定間隔よりも線幅の小さいマスクパターンを前記第2導電性薄膜上の前記所定間隔内に前記線幅が含まれるようにレジストを載置する工程と、前記第2導電性薄膜及び前記レジストを除去し、第2インタデジタル電極を有する容量素子を形成する工程とを備えたものである。
【0021】
この発明の請求項14に係る弾性表面波装置の製造方法は、圧電性基板上に複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子を形成する工程と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子を形成する工程と、前記第2インタデジタル電極のい一部分を前記圧電性基板の比誘電率の温度係数と逆符号の温度係数を有する誘電体膜により被覆する工程と、前記容量素子の容量値を評価し、その評価値が所望の容量値よりも大きくなるように前記第2インタデジタル電極の一部分を除いた他の一部分の第2インタデジタル電極を除去する工程とを備えたものである。
【0022】
この発明の請求項15に係る弾性表面波装置の製造方法は、前記他の一部分の第2インタデジタル電極を異方性ドライエッチングにより除去する請求項14に記載のものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る弾性表面波装置を説明するための構成断面図である。より具体的には、図1において、圧電性基板1上に、第1の導電性薄膜よりなる第1のインタデジタル電極2を設けた弾性表面波共振子と、インタデジタル電極が弾性表面波共振子の第1のインタデジタル電極2と同一の第1の導電性薄膜よりなる第2のインタデジタル電極8とその上に第2の導電性薄膜を積層し加工した第3のインタデジタル電極9とから構成された2層構造のインタデジタル電極10を設けた容量素子とが配置されている。
【0024】
図2は、図1に示した弾性表面波装置の製造方法を説明するための説明図である。例えばLiNbOの圧電性基板1の上に、例えば100nmから200nm程度の厚さ(この厚さは、圧電性基板の材料や結晶方位や弾性表面波共振子の周波数特性の要請から決まる。)の第1の導電性薄膜11を形成する。この導電性薄膜11の材質や構造については、弾性表面波共振子の要求仕様から要請されるものであり、一般的には、寸法精度良く加工することが容易なAlやAl合金膜が用いられる。また、高電力の高周波が弾性表面波装置に印加される場合は、インタデジタル電極のストレスマイグレーションによる断線やショートを抑制するために、AlやAl合金とTiやCu、Cr、Mg、Sc等との複数の異なる材質の組み合わせを積層した多層膜として用いることもある。しかし、これらの材料は、AgやAuやCuのような微細加工の困難な材料に比べると比抵抗の値は決して小さくない。
【0025】
また、携帯電話用の高周波フィルタ部品をとしてこの弾性表面波装置を用いる場合には、周波数として例えば800MHzを想定すると、表皮厚さはおおよそ2μm程度となり、第1の導電性薄膜11の想定している膜厚は表皮厚さよりも4分の1未満とかなり小さいため、第2のインタデジタル電極8をそのまま容量素子の電極として使うとなると、Qの極めて低い容量素子となってしまうという問題がある。
【0026】
そこで、従来例として説明をした特許第3155639号に記載の容量素子では、図9に示すように第1の導電性薄膜5を厚く設定することでインタデジタル電極の抵抗を低減し、容量素子のQの低下を抑制しようとしているが、既に述べたように、第1の導電性薄膜5の膜厚が厚いために、圧電性基板1とインタデジタル電極の接触部分の加工寸法精度が低く、しいては、容量素子の容量値の精度が低下するという問題に至っていた。
【0027】
ここで、あらためてなぜ導電性薄膜5の膜厚が厚いと容量素子の容量値の精度が低下するかを説明する。まずは、なぜ導電性薄膜5の膜厚が厚いと圧電性基板1とインタデジタル電極の接触部分の加工寸法精度が低下するかであるが、ここでは、導電性薄膜5として、加工性に優れることから一般的によく使われるAlやAl合金膜の場合で説明する。最初の問題は写真製版に関するもので、スパッタ蒸着等でAlやAl合金膜を堆積させた場合、膜厚が厚いほど表面粗さが大きくなり、写真製版における露光精度を低下させて、表面粗さの程度のむらに応じてレジストパターンの寸法精度がばらつくことになる。この解決方法の1つとしてレジストの下に有機系の無反射コーティング膜を挟むことで、ある程度改善される。しかし、今度はこの有機系の無反射コーティング膜の存在がドライエッチング時の線幅寸法制御を低下させ、結果的には十分な改善は得られない。
【0028】
次の問題はエッチングに関するもので、通常はBClやClのガスを用いたリーアクティブイオンエッチング等の異方性の強いドライエッチングが使用されるが、AlやAl合金は本来化学反応的にエッチングされる性質があり、高い異方性を確保することが困難な材料で、厚いAlやAl合金をエッチングする場合、加工の既に終わった部分の側壁がエッチング中に侵食されるというサイドエッチの問題からレジストマスク通りの寸法に制御できないという問題がある。そこで、このインタデジタル電極の側壁を保護するために、BClやClのガスに微量のCHFやNを添加し側壁に弗化炭素ポリマーを堆積させたり側壁のAlを窒化させたりして、側壁が侵食されにくくする方法が使われるが、弗化炭素ポリマーの堆積量やAlの窒化の程度を精度良く制御する必要があり、実際的にインタデジタル電極の寸法を高精度で制御することは不可能である。さらに、ドライエッチングでの反応生成物であるAlClはレジストマスクの消耗を促進させる性質を持つため、ドライエッチング中にレジストマスクの寸法も変動してしまう。以上に述べたドライエッチングの問題は、AlやAl合金膜が厚いために長時間のドライエッチングを行う必要から生じており、もし、AlやAl合金膜が薄ければ、側壁の侵食もレジストマスクの消耗もほとんど無視できる。以上では、エッチング方法としてドライエッチングの場合を説明したが、一方、ウェットエチングの場合は言うまでも無く元から側壁の侵食(サイドエッチ)が大きく高精度の寸法制御は望めないことは明らかである。
【0029】
次に、圧電性基板1とインタデジタル電極の接触部分の加工寸法精度が低下するとなぜ容量素子の容量値の精度が低下するかを図3を用いて説明する。図3は、容量素子が2層構造のインタデジタル電極10において、1対の部分のみを抜き出したときの説明図である。1は圧電性基板、8は第1の導電性薄膜よりなる第2のインタデジタル電極、9は第2の導電性薄膜を加工した第3のインタデジタル電極、13は1対のインタデジタル電極10間に生成する圧電性基板内を通過する電気力線、14は1対のインタデジタル電極10間に生成する雰囲気(空気や封止窒素等)を通過する電気力線を意味している。容量素子の容量値は電極間の距離と面積、及びその間における物質の比誘電率の大きさで決まる。圧電性基板1が、例えばLiNbO3の場合には、比誘電率は44.3と極めて大きいために(LiTaOでは42.6)、第2のインタデジタル電極8の間で圧電性基板の部分が容量素子の容量値の大半を占めることとなる。逆に言うと、第2のインタデジタル電極8の寸法精度が容量素子の容量値の精度に大きく影響することを意味している。一方、第3のインタデジタル電極9の寸法精度は雰囲気(空気や封止窒素等)の比誘電率がほぼ1と極めて小さいために、第2のインタデジタル電極8のそれに比べると影響が小さい。
【0030】
さて、再度、図2を用いた実施の形態1における弾性表面波装置の製造方法について説明の続きに戻る。本発明では、図2(c)に示すように、全面にレジストを塗布した上で、写真製版して弾性表面波共振子における第1のインタデジタル電極2の領域は、全面をマスクし容量素子の第2のインタデジタル電極8と同一形状でかつその電極線幅よりも小さい開口パターンのレジストパターンを形成する。どの程度まで小さくするかは、写真製版での第2のインタデジタル電極8と開口レジストパターンの重ね合わせ精度との兼ね合いから決める。次に、図2(d)に示すように、全面に例えば500nmから1500nm程度の範囲の厚い第2の導電性薄膜12を積層する。次に、図2(e)(f)に示すように、写真製版とドライエッチングにより第3のインタデジタル電極を加工する。この際、レジストマスクパターンは第2のインタデジタル電極と同一形状でかつその線幅と同等か大きくすることで、電極の低抵抗化を図ると同時に、写真製版の重ね合わせ精度が低くても良いようにする。また、先にも述べた通り、第3のインタデジタル電極の寸法精度は第2のインタデジタル電極のそれほど高精度を要求されないため、膜厚が厚くても問題とならない。
【0031】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る弾性表面波装置を説明するための説明図である。より具体的には、同一の圧電性基板1上に、第1の導電性薄膜よりなる第1のインタデジタル電極2を設けた弾性表面波共振子と、インタデジタル電極が弾性表面波共振子の第1のインタデジタル電極2と同一の第1の導電性薄膜よりなる第2のインタデジタル電極8において全部ないしは少なくとも一部の領域に圧電性基板1の比誘電率の温度係数と逆符号の温度係数を持った誘電体膜15が被覆された構成となった容量素子17とが配置されている。容量素子17の部分の機能について、図4及び図5を合わせ用いて説明する。図5は、図4の容量素子17の部分を等価的に4つのキャパシタ20、21、22、23の並列接続の形で表している接続構成図である。つまり、図5に示す18は、図4に示す容量素子17のうちの誘電体膜で被覆されていない部分のインタデジタル電極8の領域を表しており、雰囲気を誘電体としたキャパシタが図5の20に相当し、圧電性基板1を誘電体としたキャパシタが図5の21に相当する。
【0032】
同様に、図5に示す19は、図4に示す容量素子17のうちの誘電体膜で被覆された部分のインタデジタル電極8の領域を表しており、誘電体膜を誘電体としたキャパシタが図5の22に相当し、圧電性基板1を誘電体としたキャパシタが図5の23に相当する。圧電性基板1が、例えばLiNbOやLiTaOである場合には、その比誘電率の温度係数は正で、かつ、10−4/℃台と大きいため、容量素子の容量値は使用雰囲気温度の増加とともに増加する。このような容量素子を構成要素とした弾性表面波装置の周波数特性は大きな温度特性を有することとなり、性能上の大きな問題となりうる。そこで、誘電体膜15として負の温度係数を持った材質でインタデジタル電極8の少なくとも一部を被覆することにより、図5に示すキャパシタ22が温度増加とともに容量値が減少するというキャパシタ21や23と温度に関して逆特性を示し、いわゆる温度補償機能として働くこととなる。しかるに、容量素子17の容量値の温度変動は大幅に低減させることが可能となる。
【0033】
そこで、圧電性基板1として、LiNbOやLiTaOである場合には、具体的に負の温度係数を持つ誘電体膜の材料としてどのようなものが使えるかについて、以下に説明する。携帯電話のようなマイクロ波の周波数において、比誘電率が負の温度係数を示す材料として、TiOないしはCaSr1−xTiO(0≦x≦1)がある。これらの材料のマイクロ波帯でのQ値はいずれも高い値を有している。比誘電率については、TiOは104、CaTiOは180、SrTiOは304とかなり大きな値を有している。一方、温度係数としては、TiOは−9x10−4、CaTiOは−2x10−3、SrTiOは−3x10−3と圧電性基板の正の温度係数による影響を打ち消すのに十分な大きさの負の温度係数を持っている。また、他の比誘電率が負の温度係数を有する材料として、弾性表面波装置の使用下限温度よりも低い常誘電キュリー温度(キュリー・ワイス温度)を有する変位形強誘電体がある。この具体的な材料の一例としては、BaSr1−xTiO(0<x<1)がある。この材料の常誘電キュリー温度は、xが0の場合は−269℃でxが1の場合は120℃であり、xが0から1の間の場合はxの値に応じて−269℃から120℃の間の値となる。
【0034】
しかるに、弾性表面波装置の使用下限温度が、例えば−20℃であれば、xとして0.5未満に設定してやればよい。以上に示した誘電体膜の材料は、大きな負の温度係数を持っているのと同時に比誘電率の値も大きいため、LiNbOやLiTaOの圧電性基板の比誘電率が、正の温度係数である影響を打ち消すには、インタデジタル電極8の一部のみをこれらの誘電体膜で被覆してやるだけで十分である。なお、これらの誘電体材料の成膜方法としては、スパッタや溶射などで形成したり、この材料粉体を熱硬化性や紫外線硬化性樹脂等に混合した誘電体ペーストを用いて、塗布硬化して形成する。この他に比誘電率が負の温度係数を有する材料として、無極性高分子がある。具体的には、ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレンである。例えば、ポリエチレンの比誘電率はおよそ2.3で、温度係数は−7x10−4である。温度係数の値は圧電性基板であるLiNbOやLiTaOと比べて符号が逆で大きさが同程度となっているが、比誘電率の値が圧電性基板であるLiNbOやLiTaOと比べて約一桁小さいために、温度補償機能の効果は先に述べた無機の誘電体材料に比べると小さい。
【0035】
ところで、容量素子17の容量値について温度特性を改善するには、これまでに述べた誘電体膜15の適用が有効であるが、高精度の容量値を得る目的に対しては、どうしても誘電体膜15の比誘電率の値の精度を高くすることが難しいことから、別の容量値の調整機構が必要である。そこで、図4に示す構成の容量素子を作成した上で、その容量素子の電気特性評価を行い、その結果を元に所望の容量値とのずれを求め、図4に示す第2のインタデジタル電極の誘電体膜で被覆されていない部分の一部(例えば図4では16がその部分を意味している)を除去することで、容量素子17の容量値を所望の値に精度良く近づけるようにした。第2のインタデジタル電極8の誘電体膜で被覆されていない部分は、幾何的な寸法のみで容量が高精度で決まるので、除去する領域を幾何的に決めるだけで容量値の調整が可能である。ただし、そのための必須事項として、電気特性評価前の容量素子17の容量値は、必ず、所望の容量値と等しいか少なくとも大きくなっていなければならない。
【0036】
そこで、容量値の調整代(しろ)をある程度事前に見積もり、余裕を持たせて電気特性評価前の容量素子17の容量値が所望の容量値よりも大きくなるように設計することとした。また、第2のインタデジタル電極の誘電体膜で被覆されていない部分16の除去の方法としては、写真製版とドライエッチングからなる方法を用いても、レーザ光を照射して削る方法を用いても、寸法精度良く除去できる方法であればいずれでも良い。
【0037】
実施の形態3.
図6は、この発明を実施するための実施の形態3に係る弾性表面波装置を説明するための構成図である。より具体的には、同一の圧電性基板1上に、第1の導電性薄膜よりなる第1のインタデジタル電極2を設けた弾性表面波共振子と、容量素子としては、インタデジタル電極が弾性表面波共振子の第1のインタデジタル電極2と同一の第1の導電性薄膜よりなる第2のインタデジタル電極8の全部の領域に圧電性基板1の比誘電率の温度係数と逆符号の温度係数を持った誘電体膜15が被覆されたインタデジタル電極17の第1の領域と、弾性表面波共振子と同一の第1の導電性薄膜からなる第2のインタデジタル電極の上に積層された第2の導電性薄膜からなる第3のインタデジタル電極の2層構造となったインタデジタル電極10の第2の領域を、同時に有した構成となっている。言い換えれば、同一圧電性基板1上に、実施例2で示した容量素子構造のインタデジタル電極17と実施例1で示した容量素子構造のインタデジタル電極10が同時に配置され、かつ、実施例2で示した容量素子構造のインタデジタル電極は全部が誘電体膜で被覆されてある。
【0038】
実施の形態2で示した図4に記載の容量素子の構造においては、容量素子の低抵抗という観点では配慮がされていなかったが、実施の形態1における低抵抗化が施された容量素子と実施の形態2における容量値の温度変動を温度補償機能の付与により低減した容量素子とを組み合わせることにより、インタデジタル電極の低抵抗化により高いQ値を有し、容量値の温度変動が小さい弾性表面波装置が実現できた。さらに、実施の形態2で説明した容量値の調整機構と同様の考え方で、図6に示す構成の容量素子を作成した上で、その容量素子の電気特性評価を行い、その結果を元に所望の容量値とのずれを求め、図6の低抵抗化されたインタデジタル電極10の一部(例えば図6では24がその部分を意味している)を除去することで、容量素子の容量値を所望の値に精度良く近づけるようにした。この際、低抵抗化されたインタデジタル電極10は、幾何的な寸法のみで容量が高精度で決まるので、除去する領域を幾何的に決めるだけで容量値の調整が可能であるという特徴をもっている。ただし、実施例2の場合と同様に、電気特性評価前の容量素子の容量値は、必ず、所望の容量値と等しいか少なくとも大きくなるように設計しておくことが必要である。
【0039】
実施の形態4.
図7は、この発明を実施するための実施の形態4に係る弾性表面波装置を説明するための説明図である。25は、ある特定の結晶方位を持った圧電性基板で、図7では、36°回転Y−X LiTaO基板の場合を一例として示している。26と27は、それぞれ容量素子を形成するための配置される向きの異なるインタデジタル電極で、主たる電界の向きは、インタデジタル電極26では<12−1>方向であるのに対し、インタデジタル電極27では<100>方向となっている。ところで、LiTaOは結晶方位により比誘電率の値とその温度係数が異なるという異方性を持っている。
【0040】
具体的には、比誘電率ε11は42.6、比誘電率ε33は42.8で、比誘電率の温度係数はそれぞれに対応して3.29x10−4/℃と11.6x10−4/℃という値を有している。これはLiNbOについても同様な傾向を持っており、具体的には、比誘電率ε11は44.3、比誘電率ε33は27.9で、比誘電率の温度係数はそれぞれに対応して3.23x10−4/℃と6.27x10−4/℃という値を有している。つまり、これらの単結晶圧電性基板においては、容量素子であるインタデジタル電極の主たる電界の向きが結晶軸のXY平面内にあると、比誘電率の温度係数が一番小さいこととなっている。
【0041】
しかるに、図7で示した36°回転Y−X LiTaO基板25の場合を例にすると、電界の向きがX方向(<100>方向)であり比誘電率の温度係数の小さい27のインタデジタル電極による容量素子が、電界の向きが<12−1>方向であってXY平面内にない26のインタデジタル電極の容量素子に比べて、容量値の温度変動が小さいという特徴をもっている。このように、単結晶圧電性基板の面内において、容量素子のインタデジタル電極の配置の向きを単結晶圧電性基板の比誘電率の温度係数が一番小さくなる向きに選んでやることにより、容量素子の容量値の温度変動を低減できる。この構成は、圧電性基板が単結晶で比誘電率やその温度係数に異方性がある場合のすべてに適用が可能である。実施例1や実施例2、実施例3で示した弾性表面波装置の容量素子に対して適用できるのは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、Q値が高く容量値の精度が高い弾性表面波装置を提供することができる。
また、別の発明によれば、容量素子に温度補償機能が付与され、温度変動の小さい弾性表面波装置を提供することができる。
また、別の発明によれば、圧電性基板として比誘電率の温度係数に異方性のある単結晶圧電体を用いる場合には、容量素子のインタデジタル電極における電界の向きが、単結晶圧電性基板の比誘電率の温度係数が小さい向きと一致するようにインタデジタル電極の向きを考慮して配置することにより、温度変動の小さい弾性表面波装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る弾性表面波装置を説明するための構成断面図である。
【図2】図2は、図1に示した弾性表面波装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図3】容量素子が2層構造のインタデジタル電極10において、1対の部分のみを抜き出したときの説明図である。
【図4】実施の形態2に係る弾性表面波装置を説明するための説明図である。
【図5】図4に示す容量素子17の部分を等価的にキャパシタ20、21、22、23の並列接続の形で表している接続構成図である。
【図6】実施の形態3に係る弾性表面波装置を説明するための構成図である。
【図7】実施の形態4に係る弾性表面波装置を説明するための説明図である。
【図8】従来における弾性表面波装置の断面構造図である。
【図9】従来における弾性表面波装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図10】従来における弾性表面波装置を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1…圧電性基板、2…弾性表面波共振子のインターディジタル電極、3… ボンディングパッド、4…インタデジタル電極型容量素子のインタデジタル電極、5… 第1の導電性薄膜、6…第2の導電性薄膜、7…誘電体膜、8…第2のインタデジタル電極、9…第3のインタデジタル電極、10…2層構造のインタデジタル電極、11…第1の導電性薄膜、12…第2の導電性薄膜、13,14…電気力線、15…誘電体膜、16…第2のインタデジタル電極の誘電体膜で被覆されていない部分、17…容量素子、18,19…インタデジタル電極8の領域、20,21,22,23…キャパシタ、24…低抵抗化されたインタデジタル電極10の一部、25…単結晶圧電性基板(36°回転Y−X LiTaO)、26…主たる電界の向きが<12−1>方向に配置されたインタデジタル電極、27…主たる電界の向きが<100>方向に配置されたインタデジタル電極。

Claims (15)

  1. 圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた第1インタデジタル電極と、前記圧電性基板上の前記第1インタデジタル電極と隣合って設けられた第1導電性薄膜、及びこの第1導電性薄膜上に積層された前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を有する第2インタデジタル電極とを備えたことを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 前記第2導電性薄膜の膜厚は、前記第1導電性薄膜のそれよりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波装置。
  3. 圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って設けられた複数本の第1導電性薄膜、及びこれらの第1導電性薄膜上にそれぞれ積層された前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を具備する複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子とを備え、前記第2導電性薄膜の前記第1導電性薄膜に隣接する部分における線幅を 前記第1導電性薄膜の線幅よりも小さく、かつ、前記第2導電性薄膜の前記第1導電性薄膜に離隔する部分における線幅を前記第1導電性薄膜の線幅と同等又は大きくしたことを特徴とする弾性表面波装置。
  4. 圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極と、前記圧電性基板上の前記第1インタデジタル電極と隣合って設けられた複数本の第2インタデジタル電極と、この第2インタデジタル電極の全部又は一部を覆い、前記圧電性基板の比誘電率の温度係数と逆符号の温度係数を有する誘電体膜とを備えたことを特徴とする弾性表面波装置。
  5. 圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って設けられた複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子とを有し、この容量素子の容量値が所望の容量値よりも大きくなるように前記圧電性基板の比誘電率の温度係数と逆符号の温度係数を有する誘電体膜により、前記第2インタデジタル電極の一部分を覆うようにしたことを特徴とする弾性表面波装置。
  6. 圧電性基板と、この圧電性基板上に設けられた複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って設けられた複数本の第1導電性薄膜、及びこれらの第1導電性薄膜上にそれぞれ積層された前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を具備する複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子とを備え、前記第2インタデジタル電極の電界の向きが前記圧電性基板の比誘電率の温度係数が小さい向きと一致するように配置したことを特徴とする弾性表面波装置。
  7. 前記圧電性基板はLiNbO又はLiTaOであって、前記第2インタデジタル電極の電界の向きがLiNbO又はLiTaOの結晶軸のXY平面内にあることを特徴とする請求項6に記載の弾性表面波装置。
  8. 前記圧電性基板はLiNbO又はLiTaOであって、前記誘電体膜はTiO若しくはCaSr1−xTiO(0≦x≦1)又はこれらを主成分とする材料であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の弾性表面波装置。
  9. 前記圧電性基板はLiNbO又はLiTaOであって、前記誘電体膜は使用下限温度よりも低い常誘電キユリー温度(キュリー・ワイス温度)を有する変位形強誘電体であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の弾性表面波装置。
  10. 前記変位形強誘電体は、BaSr1−xTiO(0<x<1)であることを特徴とする請求項9に記載の弾性表面波装置。
  11. 前記圧電性基板はLiNbO又はLiTaOであって、前記誘電体膜は無極性高分子であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の弾性表面波装置。
  12. 前記無極性高分子は、ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項11に記載の弾性表面波装置。
  13. 圧電性基板上に複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素を形成する工程と、前記弾性表面波素子と隣合って前記圧電性基板上に所定間隔を隔てて複数本の第1導電性薄膜を形成する工程と、前記第1導電性薄膜における前記圧電性基板上の前記所定間隔にレジストを設け、又は前記圧電性基板上の前記所定間隔及び前記第1導電性薄膜上の端部に跨ってレジストを設け、このレジストを除去して前記第1導電性薄膜上に間隙を設ける工程と、前記第1導電性薄膜上の前記間隙及び前記レジスト上に前記第1導電性薄膜と材料の異なる第2導電性薄膜を積層する工程と、前記第2導電性薄膜の前記所定間隔よりも線幅の小さいマスクパターンを前記第2導電性薄膜上の前記所定間隔内に前記線幅が含まれるようにレジストを載置する工程と、前記第2導電性薄膜及び前記レジストを除去し、第2インタデジタル電極を有する容量素子を形成する工程とを備えたことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  14. 圧電性基板上に複数本の第1インタデジタル電極を有する弾性表面波素子を形成する工程と、前記圧電性基板上の前記弾性表面波素子と隣合って複数本の第2インタデジタル電極を有する容量素子を形成する工程と、前記第2インタデジタル電極のい一部分を前記圧電性基板の比誘電率の温度係数と逆符号の温度係数を有する誘電体膜により被覆する工程と、前記容量素子の容量値を評価し、その評価値が所望の容量値よりも大きくなるように前記第2インタデジタル電極の一部分を除いた他の一部分の第2インタデジタル電極を除去する工程とを備えたことを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  15. 前記他の一部分の第2インタデジタル電極は、異方性ドライエッチングにより除去することを特徴とする請求項14に記載の弾性表面波装置の製造方法。
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