JP2004022683A - 冷却装置、電子機器装置、表示装置及び冷却装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型薄型化が可能で、かつ温調性能が高い冷却装置、電子機器装置、表示装置及び冷却装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】冷却装置1はポリジメチルシロキサン樹脂からなる矩形状の流路基板10及び中間基板30とを有し、ニッケル等の熱伝導性の高い金属からなり、各表面に10a及び20aには溝が形成されている矩形状のコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40とが、中間基板30の穴31、32に組み込まれており、熱圧着により固定されている。
【選択図】 図1
【解決手段】冷却装置1はポリジメチルシロキサン樹脂からなる矩形状の流路基板10及び中間基板30とを有し、ニッケル等の熱伝導性の高い金属からなり、各表面に10a及び20aには溝が形成されている矩形状のコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40とが、中間基板30の穴31、32に組み込まれており、熱圧着により固定されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパソコンやディジタルカメラ等に用いられるカード型の記憶媒体のドライバから発せられる熱を冷却するために用いられる冷却装置及びその製造方法に関する。また、本発明は、このような冷却装置を搭載するパソコンやディジタルカメラ等の電子機器装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メモリスティック(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の記憶媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク等の従来のもと比べて小型かつ薄型であり、しかも記憶容量も非常に大きくすることが可能であることから、パソコンやディジタルカメラ等の電子機器装置に汎用されるようになってきている。これらの記憶媒体はフラッシュメモリとドライバとを一体的に有するものや、ドライバが装置本体や別のカード等に搭載されたものがあるが、いずれにしても最近では相当大容量化してきている。このように記憶媒体の記憶容量が大容量化してくると、上記のドライバから多大な熱が発生し、動作不良等の問題を生じる。
【0003】
そこで、このような装置の発熱源に冷却装置を設けることが考えられ、そのような冷却方法としてヒートパイプを用いた冷却方法が挙げられる。
【0004】
ヒートパイプとは、管の内壁に毛細管構造を持たせた金属製パイプであり、内部は真空で、少量の水もしくは代替フロンなどが封入されている。ヒートパイプの一端を熱源に接触させて加熱すると、内部の液体が蒸発して気化し、このとき潜熱(気化熱)として、熱が取り込まれる。そして、低温部へ高速に(ほぼ音速で)移動し、そこで、冷やされてまた液体に戻り、熱を放出する(凝縮潜熱による熱放出)。液体は毛細管構造を通って(もしくは重力によって)元の場所へ戻るので、連続的に効率よく熱を移動させることができる。
【0005】
しかしながら、従来のヒートパイプは管状であり空間的に大掛かりな装置となるので、小型薄型化が求められるパソコンやディジタルカメラ等の電子機器装置等の冷却装置としては不向きである。
【0006】
そこで、ヒートパイプを小型化するために、シリコン基板とガラス基板との各接合面上に溝を形成し、これらの基板を接合することによってヒートパイプを構成する流路を基板間に形成した冷却装置が提案されている。なお、上記の接合の際には、少量の水もしくは代替フロンなどが封入され、それらが、ヒートパイプ内で状態変化を起こすことによって、ヒートパイプとしての役割を果たすものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにシリコン基板を用いてヒートパイプを構成すると、シリコン自体の熱伝導性がよいため、冷却すべき対象物からの熱が拡散してしまい、内部の液体の気化が不十分であったり、或いは全く気化せず、ヒートパイプとしての機能が十分に発揮しないという問題がある。
【0008】
また、シリコン基板を用いた場合、基板同士を接合する際に接着剤等を用いるが、該接着剤により流路が詰まってしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型薄型化が可能で、冷却性能が高い冷却装置、電子機器装置、表示装置及び冷却装置の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る冷却装置は、ヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝が表面に形成された第1の基板と、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝が表面に形成され、該表面が前記第1の基板と接合された第2の基板と、前記第2の基板が表面に組み込まれ、該表面が前記第1の基板と接合された第3の基板とを具備し、少なくとも第1の基板及び第3の基板のうち一方はポリジメチルシロキサン樹脂からなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、ウイックの溝が表面に形成された第2の基板が金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなるので、熱源からの熱をウイックの溝に効率よく伝達することが可能であり、その一方で第1の基板等がポリジメチルシロキサン樹脂からなるので、熱伝導性が低く、ウイックに蓄積された熱の拡散が小さい。従って、ウイックに熱を封じ込めることになり、実質的に潜熱の量を多くすることが可能となり、ヒートパイプとしての冷却性能を高めることができる。加えて、本発明では、第1の基板と第3の基板を接合させる際には、ポリジメチルシロキサン樹脂を加熱して融着させるので、接合の際の接着剤等が不要になる。従って、接着剤等を用いた場合と比較して、接合時に流路を詰まらせることも無く、安定して液体及び気体を輸送することができる。更に、ポリジメチルシロキサン樹脂は柔軟性があるため強度の点で優れ、それにより冷却装置の寿命を長期化させることも可能となる。
【0012】
本発明は、ノートパソコンの中央処理部や外部記憶装置の装着用のスロット、あるいは液晶表示装置等の駆動ドライバの冷却装置として用いることが可能である。これにより、これらの機器における冷却性能を向上させつつ、小型軽量化を図ることが可能となる。
【0013】
本発明の第3の観点に係る冷却装置の製造方法は、ポリジメチルシロキサン樹脂からなりヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝を表面に有する第1の基板を形成する工程と、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝を表面に有する第2の基板を形成する工程と、第3の基板の表面に、前記第2の基板を組み込む工程と、前記第1の基板の表面と前記第3の基板の表面とを接合する工程とを具備することを特徴とするものである。本発明は、上記構成の冷却装置を効率よく確実に製造することが可能となる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、上記の冷却装置の製造方法において、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、前記第3の基板の表面に、前記第4の基板を組み込む工程とを更に具備することを特徴とするものである。このような構成によれば、コンデンサ部分においても、熱伝導率の高い材料で形成される。これによって、熱の移動をさらに効果的にすることができる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、第1の基板の表面と第3の基板の表面とは、第1の基板及び第3の基板に熱を加えて融着させることにより接合することを特徴とするものである。このような構成によれば、かつ確実に接合することが可能となる。また、接合工程簡略化によるコスト削減を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
(冷却装置)
図1は本発明の冷却装置を分解した斜視図であり、図2は冷却装置の組み立てた状態の断面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、冷却装置1は4枚の基板10、20、30、40からなる。流路基板10はポリジメチルシロキサン樹脂からなる矩形状の基板であり、下側に配置される。コンデンサ基板20、エバポレータ基板40は例えばニッケル等の金属からなる矩形状の基板である。中間基板30はポリジメチルシロキサン樹脂からなる矩形状の基板であり、上側に配置される。コンデンサ基板20、エバポレータ基板40はそれぞれ中間基板30の孔31、32に組み込まれる。これら4枚の基板10、20、30、40は100〜180℃の範囲の温度、例えばここでは120℃の熱を加え、熱圧着により固定される。流路基板10の表面10a、コンデンサ基板20の表面20a、及びエバポレータ基板の表面40aには溝11、21及び41が、また中間基板30には孔31、32がそれぞれ形成されている。これらの溝及び孔は4枚の基板が接着する際にループ状のヒートパイプとして機能するように形成されている。
【0019】
次に、図3、図4及び図5を用いて各基板10、20、30及び40に形成された溝の構成について説明する。
【0020】
図3に示すように、流路基板10の表面10aには溝11が形成されている。この溝11は、液体及び気体が流れる流路と、液を供給する貯蔵タンクとから主要部を構成されている。より詳細な構造については、水などの液体が流れる流路12があり、液体はその流路12から後述のエバポレータ基板40へ導入される。導入された液体はエバポレータ基板40により気体になり、蒸発部14へ導入される。その気体は、流路15からコンデンサ基板20へ導入され、凝縮されて液体に変化し低温部16へ移動する。さらに、また流路12へ戻る。このようにして液体と気体の循環が行われる。リザーバ13には、液体が貯蔵される。リザーバ13内の液体は、蒸発部14内に液量がある一定以下になったときに流入するようになっている。つまり、リザーバ13は、ヒートパイプ内がドライアウトしないようにするために液体を貯蔵してあり、必要に応じて液体がこのリザーバ13内に流入するようになっている。
【0021】
図4は、中間基板30を示したものである。この中間基板30に設けられた孔31、32はそれぞれ、中間基板を貫通するように形成されている。
【0022】
図5は、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40を示したものである。
【0023】
コンデンサ基板20の表面20a上には溝21が形成されている。この溝21は、流路15から導入された気体を液体へ凝縮させるコンデンサとして機能し、凝縮した液体を低温部16へ循環させる。
【0024】
エバポレータ基板40の表面40a上には溝41が形成される。この溝41は、冷却部として機能するもので、流路12またはリザーバ13から導入された液体を気化し、気化した気体を蒸発部14へ流入させる。
【0025】
図6は、上記の各基板10、20、30及び40を接合した状態を示している。
【0026】
これら各基板10、20、30及び40との接合により構成されるヒートパイプの内部には液体が封入されている。封入された液体はヒートパイプ内で液体から気体または気体から液体へと状態変化しながら循環する。これにより熱移動を行わせ、冷却装置1として機能する。
【0027】
以下、その液体/気体の循環の様子を便宜的に流路12を始点として説明する。
【0028】
まず、液体が流路12から蒸発部14へ流入する。その際に蒸発部14に流入する液体の量が所定以下であるときにはドライアウトを回避するために、リザーバ13から不足分の液体が供給されるようになっている。
【0029】
蒸発部14に流入した液体は、加熱され沸騰する。沸騰することによって気化した気体は、流路15を介して低温部16へ流入し、液体に凝縮される。このとき凝縮された液体は、低温部16から流路12へ再度循環される。
【0030】
なお、本実施形態では、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40の材料としてニッケルからなるものとしたが、他に材料、例えば銅を用いても良い。
【0031】
図7は基板上をある一定時間で熱が拡散した領域を模式的に図に示したもので、図7(a)はシリコン基板を用いた場合を示し、図7(b)はポリジメチルシロキサン樹脂基板を用いた場合を示し、図7(c)はポリジメチルシロキサン樹脂基板にニッケル等の金属を組み込んだポリジメチルシロキサン樹脂・金属複合基板を示している。
【0032】
図7(a)に示すように、シリコン基板の熱源A−1の熱は矢印に示すように熱が広域にわたり拡散する(A−2)。これに対して図7(b)に示すようにポリジメチルシロキサン樹脂基板の熱源B−1の熱は矢印に示すように熱がそれほど広い領域まで拡散しない(B−2)。
【0033】
ヒートパイプとして機能するためには、エバポレータに一定以上の熱が集中しなければならないが、図7(a)に示したように基板の材料がシリコンからなる場合には熱の拡散が大きくその機能を十分に果たさない。
【0034】
また、ヒートパイプとして機能するためには、エバポレータに一定以上の熱伝導性がなければならないが、図7(b)に示したようにポリジメチルシロキサン樹脂基板のみの場合には熱伝導性がほとんどなくその機能を十分に果たさない。
【0035】
以上の点に対し、本発明では、図7(c)に示したように、ポリジメチルシロキサン樹脂・金属複合基板の熱源C−1の熱は金属部については高い拡散性を有し、その周りのポリジメチルシロキサン樹脂領域にはほとんど拡散せず(C−2)、エバポレータにおいては熱が十分に伝わり、周囲のポリジメチルシロキサン樹脂の部分に熱が拡散しにくいので、つまり熱がエバポレータに集中し、ヒートパイプとしての機能を十分に果たすことになる。
【0036】
(冷却装置の製造方法)
図8は冷却装置の製造工程を示したものである。
【0037】
まず、ヒートパイプとして機能するための流路基板10及び中間基板30の溝及び孔を形成する(ステップ801)。ポリジメチルシロキサン樹脂からなる流路基板10の表面10aには、流路、リザーバ、蒸発部及び低温部として機能する溝11を形成する。プラスチックからなる中間基板30には、中間基板30を貫通するように孔31、32を形成する。
【0038】
図9は流路基板10及び中間基板30の形成工程を示したものである。
【0039】
溝を有する流路基板10及び中間基板30は例えばUV−LIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)と呼ばれる方法によって形成される。図9に基づきUV−LIGAの工程について具体的に説明する。
【0040】
まず、図9(a)に示すように、プレート92上例えば有機材料であるSU−8からなるレジスト層91を形成し、その上にパターンニングされたレジスト膜93を形成する。これをパターン基板90と呼ぶ。
【0041】
次に、図9(b)に示すように、パターン基板90の上方からUVを照射し、レジスト層91のエッチングを行う。
【0042】
次に、図9(c)に示すように、このパターン基板90からレジスト膜93を剥離し、この表面にポリジメチルシロキサンの電鋳でポリジメチルシロキサン層94を形成する。
【0043】
そして、図9(d)に示すように、パターン基板90からポリジメチルシロキサン層94を剥離する。剥離したポリジメチルシロキサン層94が溝を有する流路基板10及び中間基板30となる。
【0044】
なお、本実施例において、流路基板10及び中間基板30はUV−LIGA法により形成されているが、例えば反応性イオンエッチング法により形成しても良く、また、型として、SU−8を用いる代わりに反応性イオンエッチング法を用いて加工したシリコンや、切削加工した金属、プラスチック、又はガラス材料を用いてもよい。
【0045】
次に、コンデンサ又はエバポレータとして機能するコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40を形成する(ステップ802)。溝を有するコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40は、上述したUV−LIGA法によって形成される。
【0046】
図10の各工程は、図9に示した各工程と比較して、ポリジメチルシロキサン層94を形成するのではなくニッケル層104を形成する点では異なるが、他の工程に関しては同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0047】
冷却装置製造の次の工程として、図11に示すように、流路基板10と中間基板30との接合を熱圧着により行う(ステップ803)。
【0048】
まず、ポリジメチルシロキサン樹脂で形成されている流路基板10と中間基板30とのそれぞれ貼り合わせる表面を、例えば酸素プラズマで表面処理し、表面の化学結合を切断したり、不純物の除去を行う。
【0049】
次に、ポリジメチルシロキサン樹脂の軟化温度近傍(100〜180℃の範囲、ここでは120℃)まで加熱し、熱圧着によって互いに融着させて接合する。
【0050】
冷却装置製造の次の工程として、図12に示すように、前工程で接合した中間基板30の孔31、32に対し、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40の接合を行う(ステップ804)。
【0051】
まず、ポリジメチルシロキサン樹脂からなる中間基板30と例えばニッケルからなるコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40の貼り合わせる表面を、ステップ803と同様に例えば酸素プラズマで表面処理する。
【0052】
次に、上述したポリジメチルシロキサン樹脂の軟化温度近傍まで加熱し、熱圧着で中間基板30を融着させることにより、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40と接合する。これにより、接合工程を簡略化することができ、確実な接合が可能となる。
【0053】
この実施形態において、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40の材質としてニッケルNiを用いているが、銅やシリコンなどの材料を用いることもできる。
【0054】
上に述べた製造方法により、ヒートパイプを効率よく製造できる。
【0055】
(冷却装置の他の例)
図13はコンデンサ基材132とエバポレータ基材134とをフレキシブル基板131で繋げているフレキシブル冷却装置130を示したものである。
【0056】
コンデンサ基材132、エバポレータ基材134はそれぞれポリジメチルシロキサン樹脂からなり、上述した方法によってコンデンサ基板20、エバポレータ基板40が組み込まれたものである。
【0057】
フレキシブル基板131はプラスチックからなり、内部にヒートパイプの流路133を含んでいる。これらの基材又は基板が一体となってヒートパイプを構成する。
【0058】
フレキシブル基板131は自由な変形が可能である。例えば電子機器の発熱部にエバポレータ基材134を装着させ、電子機器の外部表面の形状に沿うようにフレキシブル基板を密着させることができる。
【0059】
このような構成の冷却装置によれば、狭い空間にも効率的にヒートパイプを装着させることができ、電子機器等の小型薄型化が図れる。
【0060】
(電子機器装置)
図14は本発明に係る冷却装置が搭載されたパソコンの概略斜視図である。
【0061】
パソコン140は、フラッシュメモリ143とドライバ142とを有する記録媒体144を着脱するためのスロット141、及び演算処理部(CentralProcessing Unit、CPU)145を有する。本発明に係る冷却装置1はスロット141を介して装着された記録媒体144の例えばドライバ142の直下にウイックが位置するようにパソコン140内に配置されている。
【0062】
また、本発明に係る冷却装置1は、エバポレータが処理部145に隣接するように配置されてもよい。この場合、コンデンサは図示しない例えば冷却ファンなどに隣接するように設置するのが好ましい。これにより、処理部145から発せられた熱はエバポレータで吸収され、冷却ファンの働きによってコンデンサから放出されるため、処理部145を冷却することができる。
【0063】
なお、ここでは、電子機器装置としてパソコンを例にとり説明したが、本発明に係る冷却装置はディジタルカメラやビデオカメラ等の他の電子機器装置にも搭載することが可能である。
【0064】
(表示装置)
図15は本発明に係る冷却装置が搭載された液晶ディスプレイの概略斜視図である。
【0065】
液晶ディスプレイ150は、駆動ドライバ151、表示部152、冷却ファン153とを有する。本発明に係る冷却装置1はドライバ152に隣接してエバポレータが位置するように、さらに冷却ファン153に隣接してコンデンサが位置するように液晶ディスプレイ内に配置されている。液晶ディスプレイ150の起動によってドライバ151から発生した熱は、エバポレータに吸収され、この吸収熱により冷却装置1の内部の液体が気化し、流路を通ってコンデンサに流れる。冷却ファン153はコンデンサを冷却し、コンデンサに流れてきた気体の熱を放出させ、この気体を再び液化させる。コンデンサで液化された液体は流路を通ってエバポレータに流れ、ドライバ151から発生した熱を吸収して再び気化する。このように冷却装置1内部の液体の循環によってドライバ151を冷却することができる。同様にして、エバポレータを表示部153に隣接して設置することにより、表示部153を冷却することも可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、小型薄型化が可能で、温調性能が高い冷却装置、電子機器装置、表示装置及び冷却装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の形態に係る冷却装置の構成を表す分解した斜視図である。
【図2】本発明の一の形態に係る冷却装置の組み立てた状態の断面図である。
【図3】本発明の一の形態に係る冷却装置の流路基板を示す平面図である。
【図4】本発明の一の形態に係る冷却装置の中間基板を示す平面図である。
【図5】本発明の一の形態に係る冷却装置のコンデンサ基板及びエバポレータ基板を示す平面図である。
【図6】本発明の一の形態に係る冷却装置の流路基板、中間基板、コンデンサ基板及びエバポレータ基板を組み立てた状態を示した平面図である。
【図7】シリコン基板、ポリジメチルシロキサン樹脂基板及び本発明のポリジメチルシロキサン樹脂・金属複合基板に対して熱拡散性の観点から比較した図である。
【図8】本発明の冷却装置の製造工程を示した図である。
【図9】本発明の冷却装置に用いる流路基板及び中間基板を形成する工程を示した概略図である。
【図10】本発明の冷却装置に用いるコンデンサ基板及びエバポレータ基板を形成する工程を示した概略図である。
【図11】本発明の冷却装置の用いる流路基板と中間基板とを接合する工程を示した概略図である。
【図12】本発明の冷却装置に用いる中間基板にコンデンサ基板及びエバポレータ基板を組み込む工程を示した概略図である。
【図13】本発明の他の形態に係る冷却装置を示した概略図である。
【図14】本発明の冷却装置を搭載したパソコンの概略斜視図である。
【図15】本発明の冷却装置を搭載した液晶ディスプレイの概略斜視図である。
【符号の説明】
1…冷却装置
10…流路基板
11…溝
12…流路
13…リザーバ
14…蒸発部
15…流路
16…低温部
20…コンデンサ基板
30…中間基板
40…エバポレータ基板
50…接着層
130…フレキシブル冷却装置
140…パソコン
150…液晶ディスプレイ
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパソコンやディジタルカメラ等に用いられるカード型の記憶媒体のドライバから発せられる熱を冷却するために用いられる冷却装置及びその製造方法に関する。また、本発明は、このような冷却装置を搭載するパソコンやディジタルカメラ等の電子機器装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メモリスティック(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の記憶媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク等の従来のもと比べて小型かつ薄型であり、しかも記憶容量も非常に大きくすることが可能であることから、パソコンやディジタルカメラ等の電子機器装置に汎用されるようになってきている。これらの記憶媒体はフラッシュメモリとドライバとを一体的に有するものや、ドライバが装置本体や別のカード等に搭載されたものがあるが、いずれにしても最近では相当大容量化してきている。このように記憶媒体の記憶容量が大容量化してくると、上記のドライバから多大な熱が発生し、動作不良等の問題を生じる。
【0003】
そこで、このような装置の発熱源に冷却装置を設けることが考えられ、そのような冷却方法としてヒートパイプを用いた冷却方法が挙げられる。
【0004】
ヒートパイプとは、管の内壁に毛細管構造を持たせた金属製パイプであり、内部は真空で、少量の水もしくは代替フロンなどが封入されている。ヒートパイプの一端を熱源に接触させて加熱すると、内部の液体が蒸発して気化し、このとき潜熱(気化熱)として、熱が取り込まれる。そして、低温部へ高速に(ほぼ音速で)移動し、そこで、冷やされてまた液体に戻り、熱を放出する(凝縮潜熱による熱放出)。液体は毛細管構造を通って(もしくは重力によって)元の場所へ戻るので、連続的に効率よく熱を移動させることができる。
【0005】
しかしながら、従来のヒートパイプは管状であり空間的に大掛かりな装置となるので、小型薄型化が求められるパソコンやディジタルカメラ等の電子機器装置等の冷却装置としては不向きである。
【0006】
そこで、ヒートパイプを小型化するために、シリコン基板とガラス基板との各接合面上に溝を形成し、これらの基板を接合することによってヒートパイプを構成する流路を基板間に形成した冷却装置が提案されている。なお、上記の接合の際には、少量の水もしくは代替フロンなどが封入され、それらが、ヒートパイプ内で状態変化を起こすことによって、ヒートパイプとしての役割を果たすものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにシリコン基板を用いてヒートパイプを構成すると、シリコン自体の熱伝導性がよいため、冷却すべき対象物からの熱が拡散してしまい、内部の液体の気化が不十分であったり、或いは全く気化せず、ヒートパイプとしての機能が十分に発揮しないという問題がある。
【0008】
また、シリコン基板を用いた場合、基板同士を接合する際に接着剤等を用いるが、該接着剤により流路が詰まってしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、小型薄型化が可能で、冷却性能が高い冷却装置、電子機器装置、表示装置及び冷却装置の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る冷却装置は、ヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝が表面に形成された第1の基板と、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝が表面に形成され、該表面が前記第1の基板と接合された第2の基板と、前記第2の基板が表面に組み込まれ、該表面が前記第1の基板と接合された第3の基板とを具備し、少なくとも第1の基板及び第3の基板のうち一方はポリジメチルシロキサン樹脂からなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、ウイックの溝が表面に形成された第2の基板が金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなるので、熱源からの熱をウイックの溝に効率よく伝達することが可能であり、その一方で第1の基板等がポリジメチルシロキサン樹脂からなるので、熱伝導性が低く、ウイックに蓄積された熱の拡散が小さい。従って、ウイックに熱を封じ込めることになり、実質的に潜熱の量を多くすることが可能となり、ヒートパイプとしての冷却性能を高めることができる。加えて、本発明では、第1の基板と第3の基板を接合させる際には、ポリジメチルシロキサン樹脂を加熱して融着させるので、接合の際の接着剤等が不要になる。従って、接着剤等を用いた場合と比較して、接合時に流路を詰まらせることも無く、安定して液体及び気体を輸送することができる。更に、ポリジメチルシロキサン樹脂は柔軟性があるため強度の点で優れ、それにより冷却装置の寿命を長期化させることも可能となる。
【0012】
本発明は、ノートパソコンの中央処理部や外部記憶装置の装着用のスロット、あるいは液晶表示装置等の駆動ドライバの冷却装置として用いることが可能である。これにより、これらの機器における冷却性能を向上させつつ、小型軽量化を図ることが可能となる。
【0013】
本発明の第3の観点に係る冷却装置の製造方法は、ポリジメチルシロキサン樹脂からなりヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝を表面に有する第1の基板を形成する工程と、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝を表面に有する第2の基板を形成する工程と、第3の基板の表面に、前記第2の基板を組み込む工程と、前記第1の基板の表面と前記第3の基板の表面とを接合する工程とを具備することを特徴とするものである。本発明は、上記構成の冷却装置を効率よく確実に製造することが可能となる。
【0014】
本発明の一の形態によれば、上記の冷却装置の製造方法において、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、前記第3の基板の表面に、前記第4の基板を組み込む工程とを更に具備することを特徴とするものである。このような構成によれば、コンデンサ部分においても、熱伝導率の高い材料で形成される。これによって、熱の移動をさらに効果的にすることができる。
【0015】
本発明の一の形態によれば、第1の基板の表面と第3の基板の表面とは、第1の基板及び第3の基板に熱を加えて融着させることにより接合することを特徴とするものである。このような構成によれば、かつ確実に接合することが可能となる。また、接合工程簡略化によるコスト削減を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0017】
(冷却装置)
図1は本発明の冷却装置を分解した斜視図であり、図2は冷却装置の組み立てた状態の断面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、冷却装置1は4枚の基板10、20、30、40からなる。流路基板10はポリジメチルシロキサン樹脂からなる矩形状の基板であり、下側に配置される。コンデンサ基板20、エバポレータ基板40は例えばニッケル等の金属からなる矩形状の基板である。中間基板30はポリジメチルシロキサン樹脂からなる矩形状の基板であり、上側に配置される。コンデンサ基板20、エバポレータ基板40はそれぞれ中間基板30の孔31、32に組み込まれる。これら4枚の基板10、20、30、40は100〜180℃の範囲の温度、例えばここでは120℃の熱を加え、熱圧着により固定される。流路基板10の表面10a、コンデンサ基板20の表面20a、及びエバポレータ基板の表面40aには溝11、21及び41が、また中間基板30には孔31、32がそれぞれ形成されている。これらの溝及び孔は4枚の基板が接着する際にループ状のヒートパイプとして機能するように形成されている。
【0019】
次に、図3、図4及び図5を用いて各基板10、20、30及び40に形成された溝の構成について説明する。
【0020】
図3に示すように、流路基板10の表面10aには溝11が形成されている。この溝11は、液体及び気体が流れる流路と、液を供給する貯蔵タンクとから主要部を構成されている。より詳細な構造については、水などの液体が流れる流路12があり、液体はその流路12から後述のエバポレータ基板40へ導入される。導入された液体はエバポレータ基板40により気体になり、蒸発部14へ導入される。その気体は、流路15からコンデンサ基板20へ導入され、凝縮されて液体に変化し低温部16へ移動する。さらに、また流路12へ戻る。このようにして液体と気体の循環が行われる。リザーバ13には、液体が貯蔵される。リザーバ13内の液体は、蒸発部14内に液量がある一定以下になったときに流入するようになっている。つまり、リザーバ13は、ヒートパイプ内がドライアウトしないようにするために液体を貯蔵してあり、必要に応じて液体がこのリザーバ13内に流入するようになっている。
【0021】
図4は、中間基板30を示したものである。この中間基板30に設けられた孔31、32はそれぞれ、中間基板を貫通するように形成されている。
【0022】
図5は、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40を示したものである。
【0023】
コンデンサ基板20の表面20a上には溝21が形成されている。この溝21は、流路15から導入された気体を液体へ凝縮させるコンデンサとして機能し、凝縮した液体を低温部16へ循環させる。
【0024】
エバポレータ基板40の表面40a上には溝41が形成される。この溝41は、冷却部として機能するもので、流路12またはリザーバ13から導入された液体を気化し、気化した気体を蒸発部14へ流入させる。
【0025】
図6は、上記の各基板10、20、30及び40を接合した状態を示している。
【0026】
これら各基板10、20、30及び40との接合により構成されるヒートパイプの内部には液体が封入されている。封入された液体はヒートパイプ内で液体から気体または気体から液体へと状態変化しながら循環する。これにより熱移動を行わせ、冷却装置1として機能する。
【0027】
以下、その液体/気体の循環の様子を便宜的に流路12を始点として説明する。
【0028】
まず、液体が流路12から蒸発部14へ流入する。その際に蒸発部14に流入する液体の量が所定以下であるときにはドライアウトを回避するために、リザーバ13から不足分の液体が供給されるようになっている。
【0029】
蒸発部14に流入した液体は、加熱され沸騰する。沸騰することによって気化した気体は、流路15を介して低温部16へ流入し、液体に凝縮される。このとき凝縮された液体は、低温部16から流路12へ再度循環される。
【0030】
なお、本実施形態では、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40の材料としてニッケルからなるものとしたが、他に材料、例えば銅を用いても良い。
【0031】
図7は基板上をある一定時間で熱が拡散した領域を模式的に図に示したもので、図7(a)はシリコン基板を用いた場合を示し、図7(b)はポリジメチルシロキサン樹脂基板を用いた場合を示し、図7(c)はポリジメチルシロキサン樹脂基板にニッケル等の金属を組み込んだポリジメチルシロキサン樹脂・金属複合基板を示している。
【0032】
図7(a)に示すように、シリコン基板の熱源A−1の熱は矢印に示すように熱が広域にわたり拡散する(A−2)。これに対して図7(b)に示すようにポリジメチルシロキサン樹脂基板の熱源B−1の熱は矢印に示すように熱がそれほど広い領域まで拡散しない(B−2)。
【0033】
ヒートパイプとして機能するためには、エバポレータに一定以上の熱が集中しなければならないが、図7(a)に示したように基板の材料がシリコンからなる場合には熱の拡散が大きくその機能を十分に果たさない。
【0034】
また、ヒートパイプとして機能するためには、エバポレータに一定以上の熱伝導性がなければならないが、図7(b)に示したようにポリジメチルシロキサン樹脂基板のみの場合には熱伝導性がほとんどなくその機能を十分に果たさない。
【0035】
以上の点に対し、本発明では、図7(c)に示したように、ポリジメチルシロキサン樹脂・金属複合基板の熱源C−1の熱は金属部については高い拡散性を有し、その周りのポリジメチルシロキサン樹脂領域にはほとんど拡散せず(C−2)、エバポレータにおいては熱が十分に伝わり、周囲のポリジメチルシロキサン樹脂の部分に熱が拡散しにくいので、つまり熱がエバポレータに集中し、ヒートパイプとしての機能を十分に果たすことになる。
【0036】
(冷却装置の製造方法)
図8は冷却装置の製造工程を示したものである。
【0037】
まず、ヒートパイプとして機能するための流路基板10及び中間基板30の溝及び孔を形成する(ステップ801)。ポリジメチルシロキサン樹脂からなる流路基板10の表面10aには、流路、リザーバ、蒸発部及び低温部として機能する溝11を形成する。プラスチックからなる中間基板30には、中間基板30を貫通するように孔31、32を形成する。
【0038】
図9は流路基板10及び中間基板30の形成工程を示したものである。
【0039】
溝を有する流路基板10及び中間基板30は例えばUV−LIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)と呼ばれる方法によって形成される。図9に基づきUV−LIGAの工程について具体的に説明する。
【0040】
まず、図9(a)に示すように、プレート92上例えば有機材料であるSU−8からなるレジスト層91を形成し、その上にパターンニングされたレジスト膜93を形成する。これをパターン基板90と呼ぶ。
【0041】
次に、図9(b)に示すように、パターン基板90の上方からUVを照射し、レジスト層91のエッチングを行う。
【0042】
次に、図9(c)に示すように、このパターン基板90からレジスト膜93を剥離し、この表面にポリジメチルシロキサンの電鋳でポリジメチルシロキサン層94を形成する。
【0043】
そして、図9(d)に示すように、パターン基板90からポリジメチルシロキサン層94を剥離する。剥離したポリジメチルシロキサン層94が溝を有する流路基板10及び中間基板30となる。
【0044】
なお、本実施例において、流路基板10及び中間基板30はUV−LIGA法により形成されているが、例えば反応性イオンエッチング法により形成しても良く、また、型として、SU−8を用いる代わりに反応性イオンエッチング法を用いて加工したシリコンや、切削加工した金属、プラスチック、又はガラス材料を用いてもよい。
【0045】
次に、コンデンサ又はエバポレータとして機能するコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40を形成する(ステップ802)。溝を有するコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40は、上述したUV−LIGA法によって形成される。
【0046】
図10の各工程は、図9に示した各工程と比較して、ポリジメチルシロキサン層94を形成するのではなくニッケル層104を形成する点では異なるが、他の工程に関しては同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0047】
冷却装置製造の次の工程として、図11に示すように、流路基板10と中間基板30との接合を熱圧着により行う(ステップ803)。
【0048】
まず、ポリジメチルシロキサン樹脂で形成されている流路基板10と中間基板30とのそれぞれ貼り合わせる表面を、例えば酸素プラズマで表面処理し、表面の化学結合を切断したり、不純物の除去を行う。
【0049】
次に、ポリジメチルシロキサン樹脂の軟化温度近傍(100〜180℃の範囲、ここでは120℃)まで加熱し、熱圧着によって互いに融着させて接合する。
【0050】
冷却装置製造の次の工程として、図12に示すように、前工程で接合した中間基板30の孔31、32に対し、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40の接合を行う(ステップ804)。
【0051】
まず、ポリジメチルシロキサン樹脂からなる中間基板30と例えばニッケルからなるコンデンサ基板20及びエバポレータ基板40の貼り合わせる表面を、ステップ803と同様に例えば酸素プラズマで表面処理する。
【0052】
次に、上述したポリジメチルシロキサン樹脂の軟化温度近傍まで加熱し、熱圧着で中間基板30を融着させることにより、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40と接合する。これにより、接合工程を簡略化することができ、確実な接合が可能となる。
【0053】
この実施形態において、コンデンサ基板20及びエバポレータ基板40の材質としてニッケルNiを用いているが、銅やシリコンなどの材料を用いることもできる。
【0054】
上に述べた製造方法により、ヒートパイプを効率よく製造できる。
【0055】
(冷却装置の他の例)
図13はコンデンサ基材132とエバポレータ基材134とをフレキシブル基板131で繋げているフレキシブル冷却装置130を示したものである。
【0056】
コンデンサ基材132、エバポレータ基材134はそれぞれポリジメチルシロキサン樹脂からなり、上述した方法によってコンデンサ基板20、エバポレータ基板40が組み込まれたものである。
【0057】
フレキシブル基板131はプラスチックからなり、内部にヒートパイプの流路133を含んでいる。これらの基材又は基板が一体となってヒートパイプを構成する。
【0058】
フレキシブル基板131は自由な変形が可能である。例えば電子機器の発熱部にエバポレータ基材134を装着させ、電子機器の外部表面の形状に沿うようにフレキシブル基板を密着させることができる。
【0059】
このような構成の冷却装置によれば、狭い空間にも効率的にヒートパイプを装着させることができ、電子機器等の小型薄型化が図れる。
【0060】
(電子機器装置)
図14は本発明に係る冷却装置が搭載されたパソコンの概略斜視図である。
【0061】
パソコン140は、フラッシュメモリ143とドライバ142とを有する記録媒体144を着脱するためのスロット141、及び演算処理部(CentralProcessing Unit、CPU)145を有する。本発明に係る冷却装置1はスロット141を介して装着された記録媒体144の例えばドライバ142の直下にウイックが位置するようにパソコン140内に配置されている。
【0062】
また、本発明に係る冷却装置1は、エバポレータが処理部145に隣接するように配置されてもよい。この場合、コンデンサは図示しない例えば冷却ファンなどに隣接するように設置するのが好ましい。これにより、処理部145から発せられた熱はエバポレータで吸収され、冷却ファンの働きによってコンデンサから放出されるため、処理部145を冷却することができる。
【0063】
なお、ここでは、電子機器装置としてパソコンを例にとり説明したが、本発明に係る冷却装置はディジタルカメラやビデオカメラ等の他の電子機器装置にも搭載することが可能である。
【0064】
(表示装置)
図15は本発明に係る冷却装置が搭載された液晶ディスプレイの概略斜視図である。
【0065】
液晶ディスプレイ150は、駆動ドライバ151、表示部152、冷却ファン153とを有する。本発明に係る冷却装置1はドライバ152に隣接してエバポレータが位置するように、さらに冷却ファン153に隣接してコンデンサが位置するように液晶ディスプレイ内に配置されている。液晶ディスプレイ150の起動によってドライバ151から発生した熱は、エバポレータに吸収され、この吸収熱により冷却装置1の内部の液体が気化し、流路を通ってコンデンサに流れる。冷却ファン153はコンデンサを冷却し、コンデンサに流れてきた気体の熱を放出させ、この気体を再び液化させる。コンデンサで液化された液体は流路を通ってエバポレータに流れ、ドライバ151から発生した熱を吸収して再び気化する。このように冷却装置1内部の液体の循環によってドライバ151を冷却することができる。同様にして、エバポレータを表示部153に隣接して設置することにより、表示部153を冷却することも可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、小型薄型化が可能で、温調性能が高い冷却装置、電子機器装置、表示装置及び冷却装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の形態に係る冷却装置の構成を表す分解した斜視図である。
【図2】本発明の一の形態に係る冷却装置の組み立てた状態の断面図である。
【図3】本発明の一の形態に係る冷却装置の流路基板を示す平面図である。
【図4】本発明の一の形態に係る冷却装置の中間基板を示す平面図である。
【図5】本発明の一の形態に係る冷却装置のコンデンサ基板及びエバポレータ基板を示す平面図である。
【図6】本発明の一の形態に係る冷却装置の流路基板、中間基板、コンデンサ基板及びエバポレータ基板を組み立てた状態を示した平面図である。
【図7】シリコン基板、ポリジメチルシロキサン樹脂基板及び本発明のポリジメチルシロキサン樹脂・金属複合基板に対して熱拡散性の観点から比較した図である。
【図8】本発明の冷却装置の製造工程を示した図である。
【図9】本発明の冷却装置に用いる流路基板及び中間基板を形成する工程を示した概略図である。
【図10】本発明の冷却装置に用いるコンデンサ基板及びエバポレータ基板を形成する工程を示した概略図である。
【図11】本発明の冷却装置の用いる流路基板と中間基板とを接合する工程を示した概略図である。
【図12】本発明の冷却装置に用いる中間基板にコンデンサ基板及びエバポレータ基板を組み込む工程を示した概略図である。
【図13】本発明の他の形態に係る冷却装置を示した概略図である。
【図14】本発明の冷却装置を搭載したパソコンの概略斜視図である。
【図15】本発明の冷却装置を搭載した液晶ディスプレイの概略斜視図である。
【符号の説明】
1…冷却装置
10…流路基板
11…溝
12…流路
13…リザーバ
14…蒸発部
15…流路
16…低温部
20…コンデンサ基板
30…中間基板
40…エバポレータ基板
50…接着層
130…フレキシブル冷却装置
140…パソコン
150…液晶ディスプレイ
Claims (12)
- ヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝が表面に形成された第1の基板と、
金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝が表面に形成され、該表面が前記第1の基板と接合された第2の基板と、
前記第2の基板が表面に組み込まれ、該表面が前記第1の基板と接合された第3の基板と
を具備し、
前記第1の基板及び前記第3の基板のうち少なくとも一方がポリジメチルシロキサン樹脂からなる
ことを特徴とする冷却装置。 - 請求項1に記載の冷却装置において、
金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくともコンデンサの溝が表面に形成され、該表面が前記第1の基板と接合され、かつ、前記第3の基板の表面に組み込まれた第4の基板を更に具備することを特徴とする冷却装置。 - 請求項2に記載の冷却装置において、
前記第2及び前記第4の基板のうち少なくとも一方は、銅又はニッケルを含む金属からなることを特徴とする冷却装置。 - 請求項3に記載の冷却装置において、
前記第1の基板の表面と前記第3の基板の表面とは、熱を加えて融着させることにより接合されていることを特徴とする冷却装置。 - 請求項4に記載の冷却装置において、
接合された前記第1の基板と第3の基板とは、前記第2の基板を含む領域とヒートパイプを構成するコンデンサを含む領域とに物理的に分離され、
これら分離された領域間に介挿され、前記ウイックと前記コンデンサとを繋ぐための流路が内部に形成されたフレキシブル基板
を更に具備することを特徴とする冷却装置。 - ヒートパイプを構成する少なくともウイックが設けられた第1の基材と、
前記第1の基材と物理的に分離され、ヒートパイプを構成する少なくともコンデンサが設けられた第2の基材と、
前記第1の基材と前記第2の基材との間に介挿され、前記ウイックと前記コンデンサとを繋ぐための流路が内部に形成されたフレキシブル基板と
を具備し、
前記第1の基材及び前記第2の基材のうち少なくとも一方が、ポリジメチルシロキサン樹脂からなる
ことを特徴とする冷却装置。 - フラッシュメモリとドライバとを有するカード型の記憶装置が着脱可能なスロットを有する電子機器装置であって、
前記スロットに近接するように配置された冷却装置を有し、
前記冷却装置が、ヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝が表面に形成された第1の基板と、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝が表面に形成され、該表面が前記第1の基板と接合された第2の基板と、前記第2の基板が表面に組み込まれ、該表面が前記第1の基板と接合された第3の基板とを具備し、第1の基板及び第3の基板がポリジメチルシロキサン樹脂からなる
ことを特徴とする電子機器装置。 - 表示部と表示用のドライバとを有する表示装置であって、
前記ドライバに近接するように配置された冷却装置を有し、
前記冷却装置が、ヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝が表面に形成された第1の基板と、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝が表面に形成され、該表面が前記第1の基板と接合された第2の基板と、前記第2の基板が表面に組み込まれ、該表面が前記第1の基板と接合された第3の基板とを具備し、第1の基板及び第3の基板がポリジメチルシロキサン樹脂からなる
ことを特徴とする表示装置。 - 中央演算処理部と、
前記中央演算処理部に近接するように配置された冷却装置とを有し、
前記冷却装置が、ヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝が表面に形成された第1の基板と、金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝が表面に形成され、該表面が前記第1の基板と接合された第2の基板と、前記第2の基板が表面に組み込まれ、該表面が前記第1の基板と接合された第3の基板とを具備し、第1の基板及び第3の基板がポリジメチルシロキサン樹脂からなる
ことを特徴とする電子機器装置。 - ポリジメチルシロキサン樹脂からなりヒートパイプを構成する少なくともウイックを除く部位の溝を表面に有する第1の基板を形成する工程と、
金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくとも前記ウイックの溝を表面に有する第2の基板を形成する工程と、
第3の基板の表面に、前記第2の基板を組み込む工程と、
前記第1の基板の表面と前記第3の基板の表面とを接合する工程と
を具備することを特徴とする冷却装置の製造方法。 - 請求項10に記載の冷却装置の製造方法において、
金属又は金属にほぼ相当する熱伝導率を有する材料からなり、少なくともコンデンサの溝を表面に有する第4の基板を形成する工程と、
前記第3の基板の表面に、前記第4の基板を組み込む工程と
を更に具備することを特徴とする冷却装置の製造方法。 - 請求項11に記載の冷却装置の製造方法において、
前記第1の基板の表面と前記第3の基板の表面とは、前記第1の基板及び前記第3の基板に熱を加えて融着させることにより接合する
ことを特徴とする冷却装置の製造方法。
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