JP2004021735A - 入力装置および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】高齢者や身体障害者であっても簡易に所望の操作を行うことができる入力装置、およびこの入力装置を用いた電子機器を提供する。
【解決手段】入力装置10は、操作者によって操作される操作部20と、操作部20を移動可能に支持する支持体51と、操作部20の位置を検出する位置検出手段と、複数の制御データを記憶する記憶手段と、位置検出手段の検出結果に基づき、操作部20が予め定めた複数位置のいずれかに位置したときに記憶手段から制御データを読み出して出力する出力手段と、操作部20が予め定めた複数位置に位置したことを操作者に報知する報知手段とを備える。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、文字などの入力に用いて好適な入力装置、および、この入力装置を用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、コンピュータにデータ入力を行う入力装置には、キーボード、マウス、タブレット、またはジョイスティックなど様々なものがある。周知のように、キーボードは文字入力に適した入力装置である。また、マウスとタブレットは、位置指定に適した入力装置であり、ジョイスティックは、ゲーム操作(具体的には上下左右操作など)に適した入力装置である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特に高齢者にとっては、キーボードの操作をマスターするのは困難な場合が多かった。その理由は、キーボードには多数のキーがあることと、日本語のキー配列が必ずしも感覚的に分かりやすい配列になっていないためなどである。例えば、一般的なPC/AT互換機向けキーボードでは、109個のキーが配列されている。さらに、キーボードは、両手操作を想定した入力装置であるため、操作姿勢が限定され、体の不自由な高齢者や身体障害者には操作し難かった。
【0004】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、高齢者や身体障害者であっても簡易に所望の操作を行うことができる入力装置、およびこの入力装置を用いた電子機器を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、操作者によって操作される操作部と、前記操作部を移動可能に支持する支持部と、前記操作部の位置を検出する位置検出手段と、複数の制御データを記憶する記憶手段と、前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記操作部が予め定めた複数位置のいずれかに位置したときに前記記憶手段から制御データを読み出して出力する出力手段と、前記操作部が前記予め定めた複数位置に位置したことを前記操作者に報知する報知手段とを備えることを特徴とする入力装置を提供する。この構成によれば、操作部が制御データを出力する位置に位置したことを操作者に報知するので、操作者は、操作データを出力する位置を知ることができる。
【0006】
また、上記構成において、前記報知手段は、前記操作部側または支持部側に取り付けられたノッチ機構と、前記支持部側または操作部側に取り付けられ、前記操作部が前記予め定めた複数位置を通過する際に、前記ノッチ機構のノッチを伸縮方向に移動させてノッチ感を与えるためのノッチ感付与部材とから構成されるラッチ機構を用いればよい。さらに、上記構成において、前記ノッチ機構は、前記ノッチ感の強さを変更するための調整機構を有することが好ましい。
【0007】
また、上記構成において、前記報知手段は、前記支持部側に取り付けられたノッチ機構と、前記操作部側に取り付けられ、前記操作部が前記予め定めた複数位置を通過する際に、前記ノッチ機構のノッチを伸縮方向に移動させるラッチ歯車とから構成されるラッチ機構を用いればよい。その他に、前記報知手段として、前記操作部の移動に連動して軸が回転させられるステッピングモータ、または、前記操作部が前記予め定めた複数位置のいずれかに位置したときに放音する放音手段を用いてもよい。
【0008】
また、前記報知手段として、前記支持部側に取り付けられたノッチ機構と、前記操作部側に取り付けられ、前記ノッチ機構のノッチを伸縮方向に移動させるためのノッチ孔群が複数形成された被ノッチ部材であって、複数の前記ノッチ孔群のうち前記ノッチが接するノッチ孔群を変更することによってラッチ動作量を変更可能な被ノッチ部材とから構成されるラッチ機構を用いてもよい。この場合、このラッチ歯車は、歯のピッチが異なる領域が複数形成され、複数の前記領域のうち前記ノッチが接する領域を変更することによってラッチ動作量を変更可能に形成されることが好ましい。また、前記報知手段として、ステッピングモータまたは放音手段を用いてもよい。
【0009】
また、上記構成において、前記入力装置は、1個または複数の操作ボタンと、前記操作ボタンの操作を検出するボタン操作検出手段とをさらに備え、前記出力手段は、前記ボタン操作検出手段の検出結果に応じて、前記操作部が前記予め定めた複数位置に位置した際に出力する制御データを変更するようにしてもよい。また、前記制御データは、文字を特定可能な文字特定データを含むようにしてもよい。
【0010】
また、この発明は、上記入力装置が接続され、入力装置が出力した制御データに基づいて文字を表示することを特徴とする電子機器といった態様でも実施され得る。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(1) 第1実施形態
本発明の第1実施形態に係る入力装置10は、パーソナルコンピュータ(以下、PCという。)やPDA(Personal Digital Assistants)や携帯電話に接続され、キーボードや文字入力用操作子の代わりとして機能する入力デバイスである。なお、本実施形態においては、入力装置10がこれら装置と分離可能な場合を説明するが、これら装置に内蔵されていてもよい。
【0013】
図1は、入力装置10の斜視図である。入力装置10は、図中矢印A、BおよびCで示す各方向に操作可能な操作部20を有し、この操作部20の操作に応じて異なる操作データを外部に出力する。
【0014】
まず、この入力装置10の機械的構成について説明する。
前掲図1に示すように、この入力装置10は、操作者が手で握って操作する操作部20と、操作部20を矢印Aに示す回転操作ができるように支持する第1支持部30と、第1支持部30を矢印Bに示す前後操作ができるように支持する第2支持部40と、第2支持部40を矢印Cに示す左右操作ができるように支持する第3支持部50を有する支持体51とから構成されている。以下、説明の便宜上、矢印Aに示す回転操作をA操作と表記し、矢印Bに示す前後操作をB操作と表記し、矢印Cに示す左右操作をC操作と表記する。
【0015】
操作部20は、握り21と、握り以外の部分(軸)22とが異なる太さに形成された略棒形状を有しており、また、握り21の上面および側面に操作ボタン25a〜25eが配置される。ここで、これら操作ボタン25a〜25eは、例えば、操作者が右手で握り21を握ったときの各指に一対一で対応する位置に配置される。具体的には、操作ボタン25aは親指に、操作ボタン25bは人差し指に、操作ボタン25cは中指に、操作ボタン25dは薬指に、操作ボタン25eは小指にて操作し易い位置に配置されている。なお、実際には、操作ボタン25a〜25eが各指に一対一で対応している必要は必ずしもない。例えば、操作ボタン25aおよび25bの両方が親指で操作し易い位置に配置されていてもよい。また、図1においては、握り21が真円の円柱形状の場合を示しているが、握り21の形状は、握力が小さい人(高齢者、身体障害者、女性)が握り易い範囲で任意の形状でよい。
【0016】
第1支持部30は、操作部20の軸22を軸受け(図示せず)によって回転可能に支持することにより、操作部20のA操作を可能としている。また、第1支持部30には、ラッチ機構31と、操作部20の回転位置を検出する位置検出センサ32とが配置されている。ここで、図2は、第1支持部30を周辺構成と共に示す斜視図である。以下、図2を参照しながら、ラッチ機構(報知手段)31と位置検出センサ(位置検出手段)32の構成を説明する。
【0017】
第1支持部30には、上方が開口した凹部が形成されており、その凹部内に、操作部20の軸22に固定されたノッチ機構部33と、第1支持部30の凹部の底面から上方に向けて突出させられた複数の円柱部材34とが配置される。ここで、図3に図2のI−I断面図を示す。ノッチ機構部33は、ノッチ35を外側(図3上方向)に付勢するように構成されている。すなわち、ノッチ機構部33は、ノッチ35を上下方向に案内する案内溝36を有し、この案内溝36内に、ノッチ35を付勢する圧縮バネ37と、圧縮バネ37の圧縮量を調整する調整機構38とが配置されて構成される。
【0018】
調整機構38は、外周に溝が切られ、内周にネジ穴が形成された略円板形状のダイヤル41と、ダイヤル41に固定された長ネジ42と、この長ネジ42に回転可能に嵌め込まれたナット状部材43から構成される。さらに詳述すると、図4に調整機構38の分解斜視図を示すように、ナット状部材43には突起が形成されており、この突起が案内溝36に嵌ることによってナット状部材43の回転が規制されるようになっている。この構成により、長ネジ42が回転させられると、部材43は回転しない代わりに紙面上下方向に移動するようになっている。これにより、操作者がダイヤル41を回すことによってナット状部材43の位置を変更し、圧縮バネ37の圧縮量を変更することができる。さらに、案内溝36の表面側には目盛りが入っており、操作者は、突起の目盛り位置を見て圧縮バネ37の圧縮量を知ることができる。
【0019】
また、これら図2および図3に示すように、複数の円柱部材34は、操作部20の軸22を中心とする円周上に一定間隔で配置される。ノッチ機構33のノッチ35は、圧縮バネ37の伸縮によって軸方向に一定量移動可能である。ノッチ35の先端が、円柱部材34、34の間にあるときは、圧縮バネ37は伸長し、ノッチ35の先端は円柱部材34、34の間隙に突出する。また、ノッチ35の先端が円柱部材34の外周に接しているときは、圧縮バネ37はノッチ35の先端の位置に応じて撓む。
【0020】
したがって、操作部20がA操作させられると、ノッチ35の先端は、円柱部材34の外周に接する状態と、円柱部材34、34の間隙に突出する状態のいずれかになる。ここで、ノッチ35の先端が円柱部材34、34の間隙から円柱部材34の外周に接する状態に移動するときは、圧縮バネ37は撓んでゆくので、操作部20の操作者はバネ力に逆らって回さなければならず、抵抗を感じる。一方、ノッチ35の先端が円柱部材34の外周部から、円柱部材34、34の間隙に移動するときは、圧縮バネ37は延びてゆくので、バネ力は回転を付勢する方向に作用し、操作部20の操作者は付勢力を感じる。したがって、操作者は、操作部20を回転させながら、上記のような抵抗感と付勢力を交互に感じる。この感覚が所謂ノッチ感として操作者に認識される。
【0021】
また、このラッチ機構31において、円柱部材34に代えて、角柱部材などの種々の柱部材を用いてもよいし、複数の円柱部材34の配置間隔に対応する凹凸が形成された部材を配置してもよい。要は、操作部20がA操作された場合に、ノッチ35を伸縮方向に移動させてノッチ感を与えるノッチ感付与部材を配置すればよい。
【0022】
また、上述したようにダイヤル41を回すことによって圧縮バネ37の圧縮量を変更することにより、ノッチ35を圧縮バネ37を縮める方向に移動させる際の操作部20の回転に要する力を変更することができ、ノッチ感の強さを変更することが可能である。
【0023】
次に、第1支持部30の位置検出センサ32について説明する。
位置検出センサ32は、前掲図2に示すように、ノッチ機構部33に設けられた発光素子45と、複数の受光素子46とから構成される。複数の受光素子46は、第1支持部30の凹部を閉じる蓋(図示せず)などに軸22を中心とする円周上に略一定間隔で配置され、各々が操作部20の回転操作Aに伴って移動する発光素子45と対向するように配置されている。また、この位置検出センサ32の出力は、後述する情報処理ユニット60に供給され、情報処理ユニット60によっていずれの受光素子46が受光したか否かを検出することができる。
【0024】
したがって、この位置検出センサ32においては、これら受光素子46を、ノッチ35の先端が各円柱部材34、34の間隙に位置するときの発光素子45と対向するように配置しておくことにより、ノッチ35の先端が各円柱部材34、34の間隙に位置すること、つまり、操作者がノッチ感を認識するときの位置を検出することができる。
【0025】
次に、第2支持部40の構成について説明する。
前掲図1に示すように、第2支持部40は、略枠形状に形成され、枠内に位置する第1支持部30と軸48を介して連結される。この軸48は、第1支持部30側がしまりばめ、または、接着などにより第1支持部30に固定される一方、第2支持部40側が転がり軸受け、またはすべり軸受けによって第2支持部40と回転可能に連結される。これにより、第1支持部30を第2支持部40に対して回転することができ、この結果、操作部20のB操作を可能としている。
【0026】
図5は第2支持部40の軸48の周辺構成を示す図である。この第2支持部40にも、第1支持部30と同様にラッチ機構(報知手段)31Aが配置される。ラッチ機構31Aは、軸48に固定されたラッチ歯車70と、このラッチ歯車70と対向するように配置されたノッチ機構部71とから構成される。なお、このノッチ機構部71は、前掲図2に示したノッチ機構部33とほぼ同一の構成であるため、説明を省略し、同一部品に同一符号を付して表記する。
【0027】
このラッチ歯車70は、操作部20(第1支持部30)がB操作された場合にノッチ感を与えるノッチ感付与部材として機能すると共に、操作部20を前後ストロークのほぼ中心位置に保持させるためのものである。
図5に示す例では、ラッチ歯車70は、上記中心位置に対応する溝72に向かって小さな段差が2段設けられた構成を採っており、ノッチ機構部71のバネ力により溝72がノッチ35に接する回転方向への力が常時与えられる。したがって、操作部20が何も操作されていない時は、操作部20は、前後ストロークの中心位置に保持される。
【0028】
さらに、この回転力に逆らって操作部20のB操作が行われると、ラッチ歯車70が回転させられる。このため、操作者は、ラッチ歯車70の段差をノッチ35の先端が越える際に段差の分だけ圧縮バネ37をさらに撓ませる必要が生じ、抵抗感を感じる。したがって、操作者は、操作部20をB操作した場合も所謂ノッチ感を感じると共に、力を抜けば操作部20を前後ストロークの中心位置に戻すことができる。
【0029】
また、このラッチ機構31Aについても、上述したラッチ機構31と同様に、ダイヤル41を回すことによって圧縮バネ37の圧縮量を変更でき、ノッチ感の強さを簡易に変更することが可能である。
【0030】
なお、図示はしていないが、第2支持部40に配置される位置検出センサ(位置検出手段)32Aについても、前掲図2に示した位置検出センサ32と同一の構成を採用する。この第2支持部40の位置検出センサ32Aは、ノッチ35の先端がラッチ歯車70の歯の山に接する直前位置(谷の位置など)のとき、つまり、操作者がノッチ感を認識するときのラッチ歯車70の位置を検出する。
【0031】
次に、第3支持部50について説明する。
前掲図1に示すように、第3支持部50は、支持体51に固定されており、第1支持部30と第2支持部40を連結する軸48に対して直交方向の軸52を介して第2支持部40と連結される。この軸52は、第2支持部40側がしまりばめ、または、接着などにより第2支持部40に固定される一方、第3支持部50側が転がり軸受け、またはすべり軸受けによって第3支持部50と回転可能に連結される。これにより、操作部20のC操作を可能としている。
【0032】
また、第3支持部50についても、上記第1支持部30および第2支持部40とほぼ同様のラッチ機構(報知手段)31Bおよび位置検出センサ(位置検出手段)32Bが配置される。ここで、図6は、第3支持部50の軸52の周辺構成を示す図である。なお、この図において、上述した構成と同一の部品には同一の符号を付して示している。
【0033】
したがって、操作部20(第2支持部40)のC操作によりラッチ歯車73が回転させられると、操作者は、ノッチ35の先端がラッチ歯車73の歯の谷から山に接する状態に移動するときに抵抗感を感じる一方、ノッチ35の先端がラッチ歯車70の歯の山から谷に接する状態に移動するときに付勢力を感じるので、所謂ノッチ感を感じる。また、図示はしていないが、位置検出センサ32Bによって、ノッチ感が認識されるときのラッチ歯車70の回転位置が検出される。
【0034】
このように、この入力装置10においては、操作部20をA操作、B操作およびC操作、つまり、回転操作、前後操作、左右操作のいずれを行っても、操作者にノッチ感を感じさせるように構成されている。
【0035】
次に、支持体51について説明する。
支持体51は、操作部20および各支持部30、40、50を安定に支持する台として機能すると共に、情報処理ユニット60を内蔵している。情報処理ユニット60は、各支持部30、40、50の位置検出センサ32、32A、32Bの検出結果および操作ボタン25a〜25eの操作結果に基づいて、操作データを出力する装置である。また、この情報処理ユニット60からは、本入力装置10をPCなどに接続するための通信ケーブル80が引き出されている。この通信ケーブル80の先端には、PS/2ポート、またはUSB(Universal Serial Bus)ポートなどに対応したコネクタが設けられ、このコネクタによって簡易に入力装置10をPCなどに接続することができる。
【0036】
図7は、情報処理ユニット(出力手段)60のブロック図である。
情報処理ユニット60は、制御部61と、メモリ62とから構成される。メモリ62は、制御部61によって実行されるプログラム、複数の操作データおよび後述する複数のアドレステーブルT1〜T9などが記憶されている。制御部61は、メモリ62に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、位置検出センサ32、32A、32Bの制御処理および各操作スイッチ25a〜25eの操作検出処理を行い、これらの処理結果に応じてメモリ62から操作データを選択的に読み出して通信ケーブル80に出力する処理を行う。なお、この情報処理ユニット60には、駆動電力が通信ケーブル80を介して当該入力装置10の接続機器(PCなど)から供給される。ただし、入力装置10に電池などの電力供給手段を内蔵してもよいことは勿論である。
【0037】
ここで、操作データとは、ひらがな、カタカナ、英数字、記号などの文字や各種指示(ひらがな入力モードやカタカナ入力モードへの変更指示など)に対応するデータである。操作データの具体例としては、106日本語キーボードに対応したキースキャンコードなどを適用すればよい。ここで、キースキャンコードとは、キーボードの各キーが押下または解放されたときにキーボードから接続機器に出力されるデータであり、接続機器にインストールされたデバイスドライバによって接続機器側(OSなど)で解釈可能な文字データやコマンドに変換されるデータである。
【0038】
また、本実施形態の入力装置10のデバイスドライバは、入力装置10から出力された操作データを106日本語キーボードに対応する変換規則で文字データやコマンドに変換する点で、従来の日本語キーボードのデバイスドライバとほぼ共通である。
【0039】
しかし、この入力装置10のデバイスドライバは、文字データに対応する操作データを入力した場合は、図8に例示するように、その文字をPC側で起動されている文書作成ソフトの画面に入力(表示)させるのではなく、所定の領域(図8において右下に設けた領域)ARに表示させる処理を行う。そして、入力装置10のデバイスドライバは、「文字確定指示」に対応する操作データを入力すると、その領域に表示される文字(図8における「は」)を文書作成ソフトの画面に入力(表示)させる処理を行う。
【0040】
このような処理を行う点で、本入力装置10のデバイスドライバは、入力したキースキャンコードに割り当てられた文字を直接文書作成ソフトの画面に入力(表示)させる従来のデバイスドライバと異なる。なお、デバイスドライバ側にて文字データに変換可能なデータであれば、キースキャンコードに限らず任意の文字特定データを使用することができる。
【0041】
次に、情報処理ユニット60の制御部61の動作について説明する。
説明の便宜上、この入力装置10はPCに接続され、PCから情報処理ユニット60に電力が供給されているものとする。また、PCにおいては、文書作成ソフトが起動され、文字を入力可能な状態にあるものとする。
【0042】
情報処理ユニット60において、制御部61がPCから電力が供給される間に常時行う処理としては、各操作ボタン25a〜25eの操作検出処理と、操作部20の位置検出処理とがある。
具体的には、制御部61は、操作ボタン25a〜25eの状態を所定周期で判別(スキャン)することにより、操作ボタン25a〜25eが操作されたか否かを判別する。また、制御部61は、各支持部30、40、50の位置検出センサ32、32A、32Bの発光素子45を発光制御し、所定周期で各受光素子46の受光結果を判別(スキャン)することにより、操作部20の現在位置を検出し、位置が変わったか否かを判別する。
【0043】
また、制御部61は、前掲図1に示す操作ボタン25a〜25eのうち操作ボタンeの操作を検出すると、文字入力モードを変更する。具体的には、制御部61は、操作ボタン25eの操作を検出する毎に、ひらがな入力モード→カタカナ入力モード→英字入力モード→数字入力モード→ひらがな入力モード、といった具合に入力モードを順次循環的に切り替える。なお、このとき、入力装置10において、現在どの入力モードかをランプや液晶表示パネルを用いて表示するようにしてもよい。
【0044】
ここで、図9および図10は、メモリ62に記憶されたアドレステーブルT1〜T9の内容を示す図である。この図において、A1〜A13は、操作部20のA操作で変化する検出位置(以下、A座標という。)を示し、C1〜C9は、操作部20のC操作で変化する検出位置(以下、C座標という。)を示している。なお、これらA座標およびC座標は、ラッチ機構31、31Bによってノッチ感が認識されるときの操作部20の各位置に対応している。
【0045】
また、図8および図9においては、アドレステーブルT1〜T9を(A座標、C座標)から1つの文字を特定するテーブルとして示しているが、実際には、文字のデータが記述されているのではなく、その文字に対応する操作データの格納場所の情報(メモリ62のアドレスなど)が記述されている。以下、この図を参照しながら、制御部61が操作ボタン25a〜25dの操作検出時に行う処理を説明する。また、アドレステーブルT1〜T9を特に区別する必要がないときはアドレステーブルTと表記する。
【0046】
制御部61は、操作ボタン25b〜25dの操作を検出すると、いずれか1つのアドレステーブルTを読み出す。なお、この読み出したアドレステーブルTは、制御部61によって図示しないRAMに展開される。
詳しく説明すると、ひらがな入力モードにおいては、制御部61は、操作ボタン25bの操作を検出すると、「50音+長音文字」を特定するアドレステーブルT1を読み出す。また、制御部61は、操作ボタン25cの操作を検出すると、「濁音文字+拗音文字」を特定するアドレステーブルT2を読み出す一方、操作ボタン25dの操作を検出すると、「半濁音+促音(っ)」を特定するアドレステーブルT3を読み出す。
【0047】
カタカナ入力モードにおいては、制御部61は、操作ボタン25bの操作を検出すると、「50音+長音文字」を特定するアドレステーブルT4を読み出す一方、操作ボタン25cの操作を検出すると、「濁音文字+拗音文字」を特定するアドレステーブルT5を読み出す。また、制御部61は、操作ボタン25dの操作を検出すると、「半濁音+促音(ッ)」を特定するアドレステーブルT6を読み出す。
【0048】
英字入力モードにおいては、制御部61は、操作ボタン25bの操作を検出すると、「小文字+記号」のアドレステーブルT7を読み出す一方、操作ボタン25cの操作を検出すると、「大文字+記号」のアドレステーブルT8を読み出す。
【0049】
数字入力モードにおいては、制御部61は、操作ボタン25bの操作を検出すると、「数字+記号」のアドレステーブルT9を読み出す。なお、数字入力モードが選択された場合、読み出すアドレステーブルTは1つしかないため、操作ボタン25bの操作がなくてもアドレステーブルT9を読み出すようにしてもよい。
【0050】
このように、この入力装置10においては、小指で操作される操作ボタン25eに文字入力モードの切り替え操作を割り当て、人差し指、中指、薬指で操作される操作ボタン25b〜25eにアドレステーブルT1〜T9の選択操作を割り当てている。このとき、人差し指で操作する操作ボタン25bに、50音、英字の小文字、といった頻繁に使用する文字群のアドレステーブルT1、T4、T7、T9の選択操作を割り当てているので、操作者は、各入力モードで最も使用すると予想されるアドレステーブルT1、T4、T7、T9を共通の操作で選択することができる。
【0051】
また、制御部61は、親指で操作される操作ボタン25aの操作を検出すると、上述した「文字確定指示」に対応する操作データをメモリ62から読み出してPCに出力する。
【0052】
次に、制御部61が操作部20の位置検出時に行う処理について説明する。
制御部61は、第1支持部30、第2支持部40および第3支持部50の位置検出センサ32、32A、32Bの受光結果に基づき操作部20のA座標、B座標(操作部20のB操作で変化する検出位置)およびC座標を検出する。より具体的には、制御部61は、位置検出センサ32、32A、32Bが有する複数の受光素子46のうち、受光レベルを所定の閾地と比較し、閾地以上になった受光素子46に基づいてA座標、B座標およびC座標を特定する処理を行う。
【0053】
そして、制御部61は、特定したA座標またはC座標が前回特定した位置と変わっているか否かを判別し、前回特定した位置と変わっている場合は、そのA座標およびC座標に基づいて、現在読み出し済みのアドレステーブルTを参照して、操作データの格納場所を特定する。そして、制御部61は、特定した格納場所に格納された操作データを読み出し、PCに出力する処理を行う。一方、特定したA座標およびC座標が前回特定した位置と変わっていない場合、制御部61は何も処理を行わない。
【0054】
これにより、制御部61は、操作部20がA操作(回転操作)またはC操作(左右操作)されると、特定したA座標およびC座標に基づいて対応する操作データを読み出し、PCに出力する処理を行う。なお、本実施形態では、操作部20のB操作は文字入力操作に関わらない態様であるため、この操作による制御部61の処理は特に説明しない。制御部61がB座標に基づいてどのような処理を行うかは任意に決めればよい。
【0055】
次に、この入力装置10を用いて文字入力を行う場合の操作例を説明する。ここでは、「朝」を入力する場合を説明する。
まず、操作者は、操作スイッチ25eを操作することによって、文字入力モードをひらがな入力モードに設定する。次に、操作者は、操作スイッチ25bを操作する。操作スイッチ25bが操作されると、「50音+長音文字」のアドレステーブルT1が読み出されるため、制御部61によって操作部20のA座標およびC座標に基づいてアドレステーブルT1が参照され、1つの操作データがPCに出力される。したがって、PCの画面の領域ARに操作データに対応する文字が表示されることとなる。これによって、操作者は、「50音+長音文字」の中から文字を選択可能であることを確認することができる。
【0056】
次に、操作者は、操作部20を回転操作(A操作)することによって、PCの画面の領域ARに「あ行」のいずれかの文字(「あいうえお」のいずれか)を表示させる。この場合、操作者は、ノッチ感を認識するタイミングで領域ARに表示される文字が順次切り替わることを確認できる。これにより、操作者は、あと何ノッチだけ操作部20を回転すれば、「あ行」の文字を表示できるかを容易に知ることができる。例えば、「さ行」の文字が表示されていれば、あと2ノッチだけ操作部20を回転させれば「あ行」の文字が表示されることを前もって知ることができる。
【0057】
次に、領域ARに「あ行」の文字が表示されると、操作者は、操作部20を左右操作(C操作)することによって、領域に「あ」を表示させることができる。この場合も、操作者は、ラッチ感を認識するタイミングで領域内の文字が「←。おえういあ、→」の順で順次切り替わることを確認できる(図9参照)。そして、操作者は、領域ARに「あ」を表示させた状態で、操作ボタン25aを操作することにより、入力装置10から「文字確定指示」の操作データがPCに出力され、「あ」を文書作成ソフトの画面に入力することができる。
【0058】
次に、操作者は、領域ARに「あ」を表示させた状態で、操作部20を2ノッチだけ回転操作(A操作)することによって、領域ARの文字を「あ」→「か」→「さ」と順に切り替えることができ、操作ボタン25aを操作することによって、「さ」を文書作成ソフトの画面に入力することができる。
【0059】
次に、操作者は、操作部20の回転操作(A操作)により領域ARに「△」(「スペース(確定)の指示」)を表示させ、操作ボタン25aを操作することにより、「スペース(確定)の指示」の操作データをPCに出力させる。これにより、PCにおいては、入力された「あさ」が「朝」に漢字変換されて表示される。
【0060】
その次に、操作者は、操作部20の回転操作(A操作)により領域ARに「CR」(「改行の指示」)を表示させ、操作ボタン25aを操作することによって、「改行の指示」の操作データをPCに出力させる。これにより、PCにおいては、「朝」が確定入力される。なお、この後(確定入力された後)、「スペース(確定)の指示」の操作データをPCに出力させると、PCにおいては「スペース」が入力される。また、アドレステーブルTにおいて、「←」は「カーソルを戻す指示」を示し、「→」は「カーソルを進める指示」を示し、「BS」は「バックスペースの指示」を示している。
【0061】
このようにして、操作者は、操作部20を片手で持って回転操作および左右操する、といった極めて容易な操作と、指で操作ボタン25a〜25eを操作するという簡単な操作で文字入力を行うことができる。このため、キーボードの操作が不慣れな高齢者や身体障害者でも容易に文字入力を行うことができる。
また、この入力装置10は、キーボードと比較すると、手を離さずに操作できるという利点と、小型なので持ち運びがし易いという利点の他、片手操作で済むため、操作姿勢が限定されず、寝たきりの高齢者や車椅子に乗った人でも操作し易いという利点がある。
【0062】
さらに、この入力装置10は、ラッチ機構31、31A、31Bによって本装置10が操作データを出力するタイミングが操作部20を介して操作者に報知される。これにより、操作者は、表示される文字が切り替わるタイミングを知ることができるだけでなく、操作部20をあと何ノッチ操作すれば希望の文字を表示可能かを事前に知ることができ、文字入力操作を短期間でマスターすることが可能である。
【0063】
以上の記述から明らかなように、本実施形態による入力装置10を使用すれば、高齢者や身体障害者であっても簡易に文字入力操作を行うことができる。
【0064】
(2) 第2実施形態
本発明の第2実施形態に係る入力装置10Aが、第1実施形態に係る入力装置10と異なる点は、文字入力操作を操作部20の前後、左右、回転の操作だけで可能とした点である。
図11および図12は、この入力装置10のメモリ62に記憶されるアドレステーブルT1〜T9の内容を示す図である。この図において、B1〜B3は、操作部20のB操作(前後操作)で変化する検出位置(B座標)を示している。なお、B座標は、ラッチ機構31Aによってノッチ感が認識されるときの位置に対応している。
【0065】
なお、これら図においては、説明を判り易くするため、1つのアドレステーブルTに、(A座標、C座標)から1つの文字(コマンドを含む)を特定するテーブルと、(B座標、C座標)から1つの文字を特定するテーブルを含めた場合を示しているが、あくまで便宜的に示したものであり、別々のテーブルに分けて記憶するようにしてもよい。また、本実施形態では、(B座標、C座標)のテーブルは、実質的にB座標のみから文字を特定するテーブルとしている。このため、このテーブルは、B座標と文字とを対応づけたテーブルとしてもよい。
【0066】
入力モードの選択およびアドレステーブルTの選択時の動作は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。以下、ひらがな入力モードにおいてアドレステーブルT1を読み出した場合を例に制御部61Aの動作を説明する。
【0067】
まず、この制御部61Aが第1実施形態に記載した制御部61と異なる点は、第2支持部40の位置検出処理である。概略的に説明すると、制御部61Aは、操作部20が前後ストロークの中心側へ移動する動作、つまり、操作部230の戻り動作が開始されたときのB座標を検出する処理を行う。例えば、制御部61Aは、位置検出センサ32Aにより特定したB座標を過去数個分記憶しておき、今回特定したB座標が前後ストロークの中心座標(例えば、B座標B1とB2の間にある座標B0)であった場合に、過去数個分のB座標の中から、戻り動作が開始されたときのB座標を特定する処理を行えばよい。要は、制御部61Aが、位置検出センサ32AによりB座標B1〜B3の各々について前後ストロークの中心側の一または複数の座標を検出するようにし、今回と過去のB座標とに基づいて戻り動作があったか否かを判別し、戻り動作があったと判定した場合にこの動作開始時のB座標を特定するようにすればよい。
【0068】
制御部61Aは、このようにして特定したB座標に基づいて、現在読み出し済みのアドレステーブルTから操作データの格納場所を特定することにより、操作データをPCに出力する。
具体的には、操作者が、操作部20を最も前位置であるB座標B1の位置まで移動させた後に力を抜く、という操作を行うと、バネ力により操作部20が前後ストロークの中心位置まで戻るので、制御部61Aにより座標B1が特定され、「BS」の操作データが出力される。同様に、操作者が操作部20をB座標B2の位置まで移動させた後に力を抜くと、制御部61AによりB座標B2が特定され、入力装置10Aから「△」の操作データが出力される。
また、操作者が、操作部20を最も後位置であるB座標B3の位置まで移動させた後に力を抜くと、制御部61AによりB座標B1が特定され、入力装置10Aから「CR」の操作データが出力される。
【0069】
これにより、この入力装置10Aにおいては、漢字変換指示(「△」に対応)や確定指示(「CR」)などについては、操作部20の前後操作(B操作)だけでできるようになっている。したがって、この入力装置10Aは、第1実施形態の入力装置10の効果に加えて、さらに、操作ボタン25aの操作頻度を低減することができ、操作が感覚的に判りやすくなる、という利点がある。
【0070】
(3) 変形例
本願発明は、上述した実施形態に限らず種々の態様にて実施することができる。例えば、以下のような変形実施が可能である。
【0071】
(3.1)
上述の第1実施形態では操作ボタン25aの操作により文字を確定する場合について述べ、一方、第2実施形態では操作部20の前後操作(B操作)のみで確定指示などを行う場合について述べたが、必ずしも一方の方法に限定する必要はなく、操作者がいずれの方法を選択できるようにしてもよい。選択可能にすれば、様々な障害を持った操作者に対応させることができる。同様の観点から、操作ボタン25a〜25eに割り当てる各機能を操作者が変更できるようにしてもよい。例えば、親指対応の操作ボタン25aの機能を人差し指対応の操作ボタン25bに割り当てれば、親指をなくした人でも入力装置10、10Aを使って文字入力を行うことができる。また、アドレステーブルT1〜T9の内容(文字割り当て)を操作者が変更できるようにしてもよい。例えば、英字を特定するアドレステーブルT7またはT9の何も文字が記述されていない領域に数字(0〜9)を割り当てるようにしてもよい。
【0072】
(3.2)
また、上述の第2実施形態では、操作部20を前後操作した場合にのみ操作ボタン25aを使用せずに操作データを選択出力できるようにする場合について述べたが、操作部20の左右または回転操作などに適用してもよいことは言うまでもない。
【0073】
(3.3)
また、上述の実施形態において、ラッチ機構31A、31Bのラッチ歯車70、73の形状は上記のものに限らず、図13および図14のように構成してもよい。ここで、図14に示すラッチ機構31Bのラッチ歯車73には、2段階の段差を有するカム領域74が形成される。このカム領域74は、操作部20を左右ストロークの両端近傍に位置させたときにノッチ35が接する位置に形成され、ノッチ35が接しているときに、ノッチ機構部71のバネ力により操作部20を左右ストロークの中心側へ回転させる力を発生させる。これにより、操作部20が左右ストロークの両端まで操作されると、操作者に反発力が認識される。一方、制御部61は、この反発力が認識される位置を検出すると、操作データを出力するように構成される。これにより、操作者は、反発力を認識することによって、左右ストロークの両端位置に割り当たられた「。」または「、」の操作データを出力したことを感覚的に知ることができる。
【0074】
(3.4)
上述の実施形態では、ノッチ感の強さのみを調整可能なラッチ機構31、31A、31Bを使用する場合について述べたが、図15に示すラッチ機構31Cを使用すれば、さらにラッチ動作量を変更することが可能である。
【0075】
具体的には、図15に示すように、このラッチ機構31Cは、操作部20の軸22に固定されたラッチ機構部33Aと、第1支持部30側に固定配置される円板(被ノッチ部材)90とから構成される。ラッチ機構部33Aは、ノッチ35を円板90側に付勢するように構成され、また、ノッチ35の位置を円板90の半径方向に移動できるように構成されている。一方、円板(被ノッチ部材)90には、軸22を中心とする円周方向に複数のノッチ孔91が形成されている。これにより、操作部20がA操作されると、ノッチ35が同一円周上にあるノッチ孔91に一定間隔で嵌るので、ノッチ感を与えることができる。
【0076】
図16は、円板90の一例を示す平面図である。この円板90には、軸22を中心とする半径r1、r2、r3、r4の円周上に、それぞれ160°、140°、120°、100°の範囲で9個のノッチ孔91が一定間隔で配置されている。これにより、ラッチ機構部33Aのノッチ35が接する位置を、軸22の中心から距離r1、r2、r3、r4の位置のいずれかに変更することによって、ラッチ動作量を変更することができる。
【0077】
また、上記方法以外に、図17に示すように、同一円周上にピッチが異なる複数のノッチ孔群92A、92B、92Cが形成された円板(被ノッチ部材)93を軸22に固定し、その円周上にノッチ35が当接するようにノッチ機構部94が第1支持部30側に固定されたラッチ機構31Dを用いてもよい。これにより、ノッチ機構部94が接する円板93の位置を変更すれば、ラッチ動作量を変更することができる。なお、図17においては、円板93の周面に歯車を形成し、操作部20のA座標(実際には円板93の位置)をロータリーエンコーダ95で検出するようになされている。
【0078】
その他に、図18に示すように、ラッチ歯車70Cに歯のピッチが異なる領域α、β、γを形成することにより、ノッチ35が接するラッチ歯車70Cの位置を変更すれば、ラッチ動作量を変更することができる。
【0079】
なお、ラッチ動作量を変更する場合、制御部61、61Aは、変更後のラッチ位置に応じて操作データを出力するときのA座標を変更する必要がある。この場合、例えば、操作者が、ラッチ動作量の変更後にノッチ35を両端のノッチ孔(またはらった歯車の歯)に嵌る位置まで操作部20を操作するようにし、制御部61、61Aが、この両端のノッチ孔に嵌る位置のA座標を検出することにより、ノッチ位置に対応するA座標(操作データを出力するときのA座標)を再設定するようにすればよい。
【0080】
また、操作部20の移動可能なストローク範囲において、必ずしもラッチ動作量を一定にする必要はなく、操作部20の位置に応じてラッチ動作量が変わるようにしてもよい。例えば、操作部20を左右操作する場合に、操作部20を中心から左右に移動させるときのラッチ動作量を最も大きくし、操作部20を左右の端に移動させるほどラッチ動作量が徐々に小さくなるようにしてもよい。
【0081】
(3.5)
また、位置検出センサ32は、上記構成に限らず、様々な位置検出センサを適用することができる。例えば、ロータリーエンコーダや加速度センサを適用する場合が考えられる。加速度センサを適用する場合は、操作部20に1個または2個の3軸加速度センサを取り付けることによって、操作部20の3軸方向の位置を検出できる。さらに、支持体51に3軸加速度センサを取り付ければ、入力装置32を手で持ったまま、あるいは、移動中の車内であっても支持体51に対する操作部20の位置を検出できる。加速度センサを用いる利点は、取り付け場所が制限されないこと、センサ自体が小型なので入力装置10の小型化および構造の簡略化が可能であることなどである。
【0082】
(3.6)
また、本発明の入力装置10の構成は、上記構成に限らず、操作部20を移動可能な範囲において様々な構成を適用することができる。例えば、図19に示すように、各保持部30、40、50を連結する軸を、それぞれ1つの軸にして全体を小型化するようにしてもよい。また、上記構成では、操作部20を回転可能に構成する場合について述べたが、操作部20を平行移動(スライド移動)するように構成してもよい。
【0083】
(3.7)
また、上述のラッチ機構31、31A〜31Cにおいて、圧縮バネ37に代えて、磁石、圧縮気体を用いるようにしてもよい。なお、磁石を使用する場合は、例えば、ノッチ35にN極(またはS極)の磁石を取り付け、その磁石と対向する位置に、S極(またはN極)の磁石を配置するようにすればよい。
【0084】
(3.8)
上述の実施形態では、操作データを出力する位置を、ラッチ機構31、31A〜31Cによって報知する場合について述べたが、ラッチ機構の代わりにステッピングモータを用いてもよい。すなわち、操作部20の操作に応じてステッピングモータの軸が回転するように構成すると共に、このステッピングモータに電流を供給するように構成する。この構成の下、操作部20が操作されてステッピングモータの軸が回転させられると、所定の回転角毎に電磁誘導による力が軸の回転方向(操作部の操作方向)の抗力として発生するので、この抗力をラッチ感として操作者に認識させることができる。
【0085】
さらに、報知方法として、音声、振動または画像によって報知する方法を適用してもよい。この場合、例えば、入力装置10に放音手段、振動手段、表示手段を設け、操作部20の位置(A座標およびC座標)が操作データを出力する位置になったことを検出したときに、放音手段により音を放音させたり、振動手段により操作部20を振動させたり、表示手段により所定のメッセージを表示させるようにしてもよい。要は、人の五感を利用した報知方法を広く適用することができる。
【0086】
(3.9)
また、上述の実施形態では、デバイスドライバが文字表示領域ARを表示させる機能を備える場合について述べたが、PCのOSが備える文字入力機能にこの機能があってもよい。また、領域ARを必ずしも表示させる必要はなく、操作データに対応する文字が文書作成ソフトの画面にすぐに表示されるようにしてもよい。
【0087】
(3.10)
上述の実施形態では、デバイスドライバは、入力装置10、10Aから出力された操作データを1つの文字データに変換して接続機器に表示させる場合について述べたが、図20に示すように、デバイスドライバが入力した操作データに基づき、複数の文字候補を表示させるようにしてもよい。
【0088】
例えば、デバイスドライバが文字およびコマンドの辞書データを保持し、入力した操作データに基づいて、表示させる複数の文字候補を変更する処理と、その文字候補の中から選択される選択文字(図20においてカーソルで示す文字)を変更する処理とを行うようにすればよい。この場合、図20に示すように、操作部20の前後操作(B操作)により選択文字を上下方向の文字に変更し、操作部20の左右操作(C操作)の操作により選択文字を左右方向の文字に変更するようにすれば、操作者にとって文字の選択が容易となる。このように、デバイスドライバが辞書データに基づいて、接続機器の画面に複数の文字候補を表示するようにすれば、操作者は希望の文字や記号を容易に探すことができる。
【0089】
(3.11)
上述の実施形態では、入力装置10、10Aが1文字に対応する操作データを出力する場合について述べたが、「こんにちは」などの複数文字に対応する操作データを出力するようにしてもよい。この場合、入力装置10の制御部61が、各文字(「こ」「ん」「に」「ち」「は」)に対応する操作データをまとめて1つの操作データとして出力するように構成してもよいし、入力装置10側が「こんにちは」を直接指定する操作データを出力し、デバイスドライバ側がその操作データを、予め定めた変換規則で「こんにちは」の文字データに変換するようにしてもよい。
【0090】
(3.12)
なお、上述の実施形態では、一般のキーボードが備える「TAB」、「F1〜F12などのファンクションキー」、「SHIFT」などの各種コントロールコードを出力する場合を説明していないが、これらのキーについては、操作ボタン25a〜25eの操作と組み合わせて希望のコントロールコードを選択できるようにすればよい。
【0091】
(3.13)
上述の実施形態では、本発明の入力装置10、10Aをキーボードの代わりとなる入力デバイスに適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、マウスやタブレットの代わりとなる入力デバイスに適用してもよい。この場合、入力装置10、10Aが、操作部20の操作に従ってマウスなどと同様の方向や位置を示す信号を出力するようにすればよい。
【0092】
なお、入力装置10、10Aを位置入力デバイスとして使用する際などにラッチ機構31によるラッチ動作を解除できるようにしてもよい。例えば、図21に示すように、電磁プランジャ100によってノッチ機構部33のノッチ35をラッチ歯車70に接する位置と接しない位置とに移動できるように構成すればよい。なお、この図においては、円柱101をラッチ歯車70の同軸上に取り付け、さらに、円柱101の外周半径をラッチ歯車70の最小半径と同寸法にする構成例を示している。これにより、電磁プランジャ100が、ノッチ35が接する位置をラッチ歯車70の最小半径の部分と、円柱101の外周との間で移動させれば、ノッチ35を円滑にスライド移動させることができる。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の入力装置を使用すれば、片手だけで操作することができ、また、操作データを出力するタイミングが操作者に報知されるので、高齢者や身体障害者であっても簡易に文字入力などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る入力装置の斜視図である。
【図2】入力装置の第1支持部を周辺構成と共に示す斜視図である。
【図3】図2のI−I断面図である。
【図4】調整機構の分解斜視図である。
【図5】入力装置の第2支持部の軸の周辺構成を示す図である。
【図6】入力装置の第3支持部の軸の周辺構成を示す図である。
【図7】入力装置の情報処理ユニットのブロック図である。
【図8】デバイスドライバの説明に供する図である。
【図9】アドレステーブルの内容を示す図である。
【図10】アドレステーブルの内容を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る入力装置のアドレステーブルの内容を示す図である。
【図12】アドレステーブルの内容を示す図である。
【図13】変形例に係るラッチ機構を示す図である。
【図14】変形例に係るラッチ機構を示す図である。
【図15】変形例に係るラッチ機構を示す図である。
【図16】変形例に係るラッチ機構の円板の平面図である。
【図17】変形例に係るラッチ機構を示す図である。
【図18】変形例に係るラッチ機構を示す図である。
【図19】変形例に係る入力装置の斜視図である。
【図20】変形例に係るデバイスドライバの説明に供する図である。
【図21】変形例に係る入力装置の斜視図である。
【符号の説明】
10……入力装置、20……操作部、
21……握り、22、48、52……軸、
25a〜25e……操作ボタン、
30……第1支持部、
31、31A、31B、31C、31D……ラッチ機構、
32、32A、32B……位置検出センサ、
40……第2支持部、50……第3支持部、
51……支持体、 60……情報処理ユニット、
61……制御部、62……メモリ
70、70C……ラッチ歯車、80……通信ケーブル、
T1〜T9……アドレステーブル。

Claims (12)

  1. 操作者によって操作される操作部と、
    前記操作部を移動可能に支持する支持部と、
    前記操作部の位置を検出する位置検出手段と、
    複数の制御データを記憶する記憶手段と、
    前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記操作部が予め定めた複数位置のいずれかに位置したときに前記記憶手段から制御データを読み出して出力する出力手段と、
    前記操作部が前記予め定めた複数位置に位置したことを前記操作者に報知する報知手段と
    を備えることを特徴とする入力装置。
  2. 前記報知手段は、
    前記操作部側または支持部側に取り付けられたノッチ機構と、
    前記支持部側または操作部側に取り付けられ、前記操作部が前記予め定めた複数位置を通過する際に、前記ノッチ機構のノッチを伸縮方向に移動させてノッチ感を与えるためのノッチ感付与部材とから構成されるラッチ機構であることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
  3. 前記報知手段は、
    前記支持部側に取り付けられたノッチ機構と、
    前記操作部側に取り付けられ、前記操作部が前記予め定めた複数位置を通過する際に、前記ノッチ機構のノッチを伸縮方向に移動させるラッチ歯車とから構成されるラッチ機構であることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
  4. 前記ノッチ機構は、前記ノッチ感の強さを変更するための調整機構を有することを特徴とする請求項2または3に記載の入力装置。
  5. 前記報知手段は、
    前記支持部側に取り付けられたノッチ機構と、
    前記操作部側に取り付けられ、前記ノッチ機構のノッチを伸縮方向に移動させるためのノッチ孔群が複数形成された被ノッチ部材であって、複数の前記ノッチ孔群のうち前記ノッチが接するノッチ孔群を変更することによってラッチ動作量を変更可能な被ノッチ部材とから構成されるラッチ機構であることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
  6. 前記ラッチ歯車は、歯のピッチが異なる領域が複数形成され、複数の前記領域のうち前記ノッチが接する領域を変更することによってラッチ動作量を変更可能に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
  7. 前記報知手段は、
    前記操作部の移動に連動して軸が回転させられるステッピングモータであることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
  8. 前記報知手段は、
    前記操作部が前記予め定めた複数位置のいずれかに位置したときに放音する放音手段であることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
  9. 前記支持部は、
    前記操作部を少なくとも2方向に移動可能に支持していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の入力装置。
  10. 前記入力装置は、
    1個または複数の操作ボタンと、
    前記操作ボタンの操作を検出するボタン操作検出手段とをさらに備え、
    前記出力手段は、前記ボタン操作検出手段の検出結果に応じて、前記操作部が前記予め定めた複数位置に位置した際に出力する制御データを変更する
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の入力装置。
  11. 前記制御データは、文字を特定可能な文字特定データを含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の入力装置。
  12. 請求項1乃至10のいずれかに記載の入力装置が接続され、前記入力装置が出力した制御データに基づいて文字を表示することを特徴とする電子機器。
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