JP2004020876A - 強誘電体結晶の分極形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】設計した分極構造を作製した際に生じた所望でない分極構造や、所望の分極方向に変化せずに残留している分極構造を除去し、より高性能な素子を作製する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】自発分極を持つ強誘電体単結晶に対して所望の分極構造を形成した後、強誘電体結晶の全表面を導電物質で覆い、これを熱処理することにより強誘電体結集内に残存する所望でない分極構造を取り除くことを特徴とする強誘電体結晶の分極形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】自発分極を持つ強誘電体単結晶に対して所望の分極構造を形成した後、強誘電体結晶の全表面を導電物質で覆い、これを熱処理することにより強誘電体結集内に残存する所望でない分極構造を取り除くことを特徴とする強誘電体結晶の分極形成方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば非線形光学効果の大きい強誘電性を利用した波長変換素子や第二高調波発生(SHG)素子、および90°分極構造などを用いた偏波変調器などの光学素子に用いられる強誘電体結晶の作製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、酸化物単結晶の非線形光学効果を用いた波長変換素子やSHG用素子が実用化されている。例えば緑色発生用のKTiPO4(KTP)、LiBO4(LBO)、KNbO3(KN)などがある。これらの素子は、バルク型SHG素子とよばれ、単結晶から所望の変換を行うために、ある特定の角度に切り出すことにより作製される。
【0003】
しかしながら、バルク型SHG素子はその特性上SHG変換効率が比較的低い。そこで、廉価で高品質な単結晶が得られるニオブ酸リチウム(LN)やタンタル酸リチウム(LT)のデバイス開発が急速に行われている。さらに、高い変換効率のデバイスを実現するために、基本波と第二高調波の位相伝播速度を等しくしたほうがよい。これを擬似的に行う方法として非線形光学定数の+−を周期的に配列する方法が提案されている(A.Armstrong, N.Bloembergen,他、Phys.Rev.,127,1918(1962))。これを実現するために、結晶の分極方向を180°反転させた領域を周期的にもつ構造(以下、180°周期分極反転構造)をもちいる方法がある。これを容易に行う方法として、サンプル表面に電極を作製し、電界を印加して180°周期分極反転構造を作製する方法が提案されている(特開平5−210132)。しかし、LN、LTの場合、その反転させるために必要な電界(反転電界)が20kV/mm以上と非常に大きく、作製時に破壊が起こることが多い。さらに、LN、LTでは光の出力形状が長時間たつと変化してしまう光損傷という問題があり、デバイス動作においても問題がある。
【0004】
一方、同じ強誘電体のなかで斜方晶であるKNやKTPは比較的反転電界が低く(KTPで4kV/mm以下、KNにおいては250V/mm以下)、かつ光損傷を生じないことから、180°周期分極反転構造をもつ波長変換素子、SHG素子として非常に有用である。しかしながら、これらの斜方晶や正方晶は、元の分極と符号が逆の分極方向(180°分極)以外にも、90°分極、60°分極などが存在し、これら所望でない分極領域の発生のために変換時に基本波や第二高調波の散乱が生じるという問題がある。
【0005】
一方、本発明者らは前記180°分極構造とはことなる分極構造を利用した素子が検討している。たとえば、KNbO3などに周期的な90°分極構造を形成し、これを用いた偏波変調器、波長フィルタ、光強度変調器等の電気光学素子を提案している。前記90°分極構造を用いた素子を作製する場合においても、制御して作製した90°分極構造の一部に元の分極の状態から反転していない数μm程度の微小な領域が残留する場合がある。
【0006】
一つ目の例として、180°周期分極構造について説明する。本発明において取り扱う従来方法で作製した素子の構造を図1に示す。図1(a)は従来法で作製する前の基板4の構造を示したものである。結晶軸の+c軸方向が分極方向11であり、作製前の結晶軸であるa,b,c軸の方向をそれぞれx,y,z座標にとる。基板4は単結晶は各結晶軸に垂直に切り出す。図1(b)は従来方法のひとつである電界印加法を用いて作製した180°周期分極反転構造23を有する基板4の模式図である。図1(c)にx軸断面から見た180°周期分極構造23の図を示す。図1(c)に示す180°周期分極構造23は、+z面、または−z面のいずれかまたは両方に所望の電極構造を作製し、+z面に高電圧を印加することにより得られる。ここではx軸方向に平行な周期分極構造23を取り上げる。
【0007】
図1(d)は従来法で作製した前記180°周期分極反転構造23を有する基板4を座標軸のy方向から見たときの模式図である。図1(d)に示すように、従来法で作製した場合、y軸方向から光学顕微鏡で観察すると、多くの場合a軸、c軸からそれぞれ45°傾きb軸と平行な方向に90°分極構造16が生じる。90°分極構造16は元の分極方向11(+z軸方向)、180°の分極方向12(−z軸方向)、いずれに対しても分極方向13が90°異なることから境界面(分域壁17)で屈折率の差が存在し、そのため分域壁17が光学顕微鏡などにより容易に観察される。これら所望でない90°分域構造16は、座標軸でz軸方向、x軸方向に貫通していないものが多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決し、上述したKNbO3等の複数の分極軸をもつ酸化物単結晶に、設計した分極構造を作製した際に生じた所望でない分極構造や、所望の分極方向に変化せずに残留している分極構造を除去し、より高性能な素子を作製する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自発分極を持つ強誘電体単結晶に対して所望の分極構造を形成した後、強誘電体結晶の全表面を導電物質で覆い、これを熱処理することにより強誘電体結集内に残存する所望でない分極構造を取り除くことを特徴とする強誘電体結晶の分極形成方法である。
【0010】
前記熱処理の温度が強誘電体結晶の相転移温度の直下であることが好ましい。
【0011】
また本発明で用いられる前記強誘電体基板は斜方晶または正方晶であることが好ましい。なぜなら、斜方晶、正方晶の場合、相転移温度がキュリー温度より十分低いため、所望の分極構造が消失する恐れなしに不要な分極構造を除去することが可能だからである。
【0012】
さらには強誘電体がニオブ酸カリウムであることが好ましい。なぜなら、正方晶からへ斜方晶の相転移温度が215℃程度、斜方晶から三方晶への相転移温度が−50℃程度であり、常温できわめて安定な状態が作りやすいためである。前述の通り、電界印加法等によりKNbO3等の複数の分極軸をもつ酸化物単結晶に設計した分極構造を作製する場合、所望の分極構造以外に所望でない分極を有する構造が生じたり、所望の分極方向に変化せず残留している分極構造が存在することがある。
【0013】
本発明では、これまでの方法により作製した素子に対して、前記所望でない分極構造や所望の分極方向に変化せずに残留している分極構造を取り除いて高性能な素子となるように、熱処理による後工程を行うことを特徴とする。以下、KNbO3単結晶を例にとり説明する。
【0014】
次に、本発明によるこれら所望でない90°分極構造16を除去する方法(熱処理による方法)について説明する。はじめに、図2(a)および図2(b)に示すように前記180°分極構造23を有し、かつ所望でない90°分極構造を有する基板4を導電体15で覆う。これは、熱処理時の温度上昇する際、および熱処理後の温度を降下させる際に強誘電体の焦電効果による電界の発生を抑えるためである。強誘電体の焦電効果とは、基板4の自発分極の大きさが、温度上昇および温度降下により変化し、基板4間の座標軸のz軸方向に電界が生じる現象である。焦電効果で発生した電界により、基板4の分極状態を所望でない方向に変化する場合がおおい。そのため、基板4の表面を導電体15で覆うことで表面を等電位に保ち、焦電効果による基板4間での電界の発生を抑えることができる。
【0015】
次に導電体15で覆った前記180°分極構造23を有する基板4をオーブンなどにいれ熱処理を行う。熱処理の温度は任意であるが、相転移温度以下でできるだけに相転移温度に近いほうが望ましい。具体的には相転移温度〜相転移温度−25℃の範囲が好ましい。 二つ目の例として、90°分極構造について取り上げる。本発明において取り扱う従来方法で作製した基板4の構造を図3に示す。図3(a)は従来法で作製する前の基板4の構造を示したものである。結晶軸の+c軸方向が分極方向41であり、作製前の結晶軸であるb軸をy座標、a軸c軸と45°をなす方向をそれぞれx,z座標にとる。基板4は単結晶はb軸に垂直、a軸c軸からそれぞれ45°傾いた面に切り出す。図3(b)は従来方法のひとつである電界印加法を用いて作製した90°分極構造45を有する基板4の模式図である。図3(b)に示す90°分極構造45は、+z面、または−z面のいずれかまたは両方に所望の電極構造を作製し、+z面に高電圧を印加することにより得られる。ここではy軸方向に平行な周期分極構造を取り上げる。そして、図3(c)は従来法で作製した前記90°分極構造45を有する基板4を座標軸のy方向から見たときの模式図である。図3(c)に示すように、従来法で作製した場合、y軸方向から光学顕微鏡などで観察すると、多くの場合、所望の90°分極壁44以外にz軸、y軸と平行な方向に所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43が存在する。90°分極構造45は元の分極方向41対して分極方向42が90°異なることから境界部(分域壁44および46)屈折率の差が存在し、分域壁44および46が光学顕微鏡などにより容易に観察される。これら所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43は、座標軸でz軸方向、x軸方向に貫通していない。
【0016】
次に、本発明によるこれら所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43を除去する方法(熱処理による方法)について説明する。はじめに、図4に示すように前記90°分極構造45を有する基板4を導電体15で覆う。これは、熱処理時の温度上昇する際、および熱処理後の温度を降下させる際に強誘電体の焦電効果による電界の発生を抑えるためである。次に導電体15で覆った前記90°分極構造45を有する基板4をオーブンなどにいれ熱処理を行う。熱処理の温度は任意であるが、相転移温度以下でできるだけに相転移温度に近いほうが望ましい。具体的には相転移温度〜相転移温度−25℃の範囲が好ましい。
【0017】
上述の、本発明による熱処理を用いた方法により、図1(d)に示す180°周期分極構造23を有する構造作製時に発生した所望でない90°分極構造16や、図3(a)に示す90°分極構造45を作製する際に所望の分極方向に変化せず残留している分極構造43を除去することができる。
【0018】
これにより、図1(d)に示すようなこれまで問題となっていた180°周期分極構造23による波長変換素子における基本波や第二高調波などの光の90°分極壁17による散乱が低減され、より高性能な素子を実現できる。また、図3に示す90°分極構造45を用いた素子においても、従来障害となっていた所望の分極方向に変化せず残留している分極構造43が無くなることにより、設計通りの90°分極構造45を構成することが可能となり、その機能を実現できるようになる。
【0019】
【実施例1】
図5の略線的拡大模式図を参照して説明する。ここでは、強誘電体基板4としてKNbO3を用い、分極方向(+c軸方向)と垂直にカットし、その分極の片方の主面に絶縁層5としてフォトレシ゛ストを塗布してフォトリソク゛ラフィーにより作製したハ゜ターンとLiCl飽和水溶液の第一の電極1、およびLiCl飽和水溶液のみを基板4に接触させた第二の電極2よりなる。
【0020】
この例では、光の伝播方向を座標のy方向(b軸方向)にするため、図1(d)に示すような周期分極反転などの微細分極構造23を作製するための電極のパターンをy方向と垂直、x方向と平行に配置した。対向する電極は全面電極とした。
【0021】
この例では、周期分極反転などの微細分極構造23を作製するための電極のパターンは、電極パターンの電極部の幅が15μm、フォトレシ゛ストによる絶縁層5部の幅が15μm、合わせて30μm周期となる形状とした。
【0022】
そして、この例では基板4をシリコーンゴムを介してアクリル板ではさみ、アクリル板と基板4の間をLiCl飽和水溶液で充填する。充填する際、脱気処理をすることにより基板4の表面に気泡が残らないように調節する。
【0023】
次に、基板4の間に電源6により電界を印加することにより図7(a)に示す180度分極構造による周期分極反転構造などの微細分極構造23の作製を行った。この場合、基板4の厚さを1mm、フォトレシ゛ストの厚みを8μmとし、電極1を正電位、電極2が負電位となるようにし、約300V/mmの電界を約50ms、約350V/mmの電界を約9ms、約400V/mmの電界を約5msの3通りの電界の印加方法により上述の構造の作製を試みた。
【0024】
電界印加後、はじめに180°分極構造による周期分極反転構造などの微細分極構造23の形成状況を確認した。その結果の一例を図3に示す。図3は作製した基板4をフッ酸で10分間エッチングした後のz軸に垂直な面の光学顕微鏡写真である。図3の写真に示すように、いずれの印加方法でも、周期30μmの180°分極構造による周期分極反転構造23が作製できていることがわかる。
【0025】
一方、同じ基板4をy面(b軸断面)から観察した光学顕微鏡写真を図7(a)に示す。図7(a)の写真に示すように、いずれの印加方法でも、図1(d)のように所望でない90°分極領域16が基板4のz軸方向に対して貫通または途中まで発生している。
【0026】
そこで、図7(a)に示す所望でない90°分域構造16を除去するために、熱処理を行った。はじめに、図2に示すように基板4の全面をエタノールで溶いたカーボンペーストを塗り、数分放置してエタノールを蒸発させることにより、基板4をカーボンペーストによる導電体15で覆った。
【0027】
次に、基板4をオーブンにいれ熱処理を行った。熱処理ははじめに180℃で4時間、続いて215℃で約4時間行った。それぞれ終了後はオーブンを閉じたまま約3時間かけて常温まで冷却し基板4を取り出した。
【0028】
熱処理後のy面(b軸断面)から観察した光学顕微鏡写真を図7(b)(c)に示す。いずれの基板4も熱処理により、途中までできていた90°分極壁17の一部が消失していることが確認できる。特に図7(c)に示す215℃で行った基板4はその効果が顕著である。なお図7でAで示した点はすべて同じ点である。
【0029】
【実施例2】
図8の略線的拡大模式図を参照して説明する。ここでは、強誘電体基板4としてKNbO3単結晶を用い、分極方向(+c軸方向)からa軸方向に45°にの面でカットし、両面研磨した基板4と、それぞれの面に第一の電極1、第二の電極2を設けている。
【0030】
この例では、基板4の大きさは厚さ(z軸方向)2mm、幅(y軸方向)4.5mmで、第一の電極1、第二の電極2はともに幅(x軸方向)は約3.6mmの銀ペースト製のものを用いた。
【0031】
次に、基板4の間に電源6により電界を印加することにより図7(a)に示す90°分極構造の作製を行った。この場合、基板4の厚さ(z軸方向)を2mm、電極1を正電位、電極2が負電位となるようにし、約170V/mmの電界を約1000s、約200V/mmの電界を約1000sの2通りの電界の印加方法により上述の構造の作製を試みた。
【0032】
電界印加後の基板4をy面(b軸断面)から観察した光学顕微鏡写真の一例を図9(a)に示す。図9(a)の写真に示す様にほぼ全域が90°分極領域45になっているが、一部にb軸と平行な所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43による分域壁46が存在することがわかる。これらはほとんどが基板4断面方向に貫通はしておらず、途中で止まっている。
【0033】
そこで、図4に示す所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43を除去するために、熱処理を行った。はじめに、図4に示すように基板4の全面をエタノールで溶いたカーボンペーストを塗り、数分放置してエタノールを蒸発させることにより、基板4をカーボンペーストによる導電体15で覆った。
【0034】
次に、基板4をオーブンにいれ熱処理を行った。熱処理ははじめに215℃で約1時間行い、次に215℃で32時間行った。終了後はオーブンを閉じたまま約3時間かけて常温まで冷却し基板4を取り出した。
【0035】
熱処理後のy面(b軸断面)から観察した光学顕微鏡写真を図9(b)(c)に示す。図9(b)に示すように一回目(215℃で1時間)の熱処理では、大部分の所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43が短くなっているのが確認できる。さらに二回目の熱処理(215℃で32時間)後の写真(図9(b))では所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43のほとんどが極めて短くなっていることがわかる。このように熱処理を行うことにより所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43を取り除き、設計通りの90°分極領域45を得ることができた。
【0036】
以上の結果から、180°周期分極構造などの微細構造作製時、および90°分極構造作製時に生じてしまった所望でない分極構造を、熱処理を行うことにより減少、消失することが可能となり、より高性能な素子を実現するころができるようになった。
【0037】
以上の説明は主にKNbO3結晶を例に説明したが、斜方晶、正方晶であるKTiOPO4、BaTiO3,RbTiOPO4、LiB3O5などにも適用できることは言うまでもない。
【0038】
また単結晶材料に限定して説明したが、基板4上にエピタキシャル成長した材料でも適応できることも言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、KNbO3等の複数の分極軸をもつ酸化物単結晶に、設計した分極構造を作製した際に生じた所望でない分極を除去することが可能となり、従来作製された素子をより高性能にすることが可能となった。本発明の実用上かつ産業上効果は、これらデバイス特性の向上において甚大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】180°周期分極構造の模式図
(a)180°周期分極構造用の基板の分極構造作製前の状態を示した図
(b)180°周期分極反転構造を有する基板の立体図
(c)180°周期分極構造を有する基板をx面から見たときの図
(d)180°周期分極構造を有する基板をy面から見たときの図
【図2】本発明における熱処理時の180°周期分極反転構造を有する基板の状態を示した図
(a)基板をx面から見たときの図
(b)基板をy面から見たときの図
【図3】従来の90°分極構造の模式図
(a)90°分極構造用の基板分極構造作製前の状態を示した図
(b)90°分極構造を有する基板の立体図
(c)90°分極構造を有する基板をy面から見たときの図
【図4】本発明における熱処理時の90°分極構造を有する基板の状態を示した図
【図5】従来の電界印加法による180°周期分極反転構造作製法を示した模式図
【図6】従来の電界印加法により作製した180°周期分極構造を示した図
【図7】180°周期分極構造を有する基板のy軸方向からの断面写真
(a)熱処理前(b)200℃60分熱処理後 (c)215℃60分熱処理後
【図8】従来の電界印加法による90°分極構造作製法を示した模式図
【図9】90°分極構造を有する基板のy軸方向からの断面写真
(a)熱処理前(b)215℃1時間熱処理後(c)215℃32時間熱処理後
【符号の説明】
1 第1の電極
2 第2の電極
4 基板
5 絶縁層
6 電源
11 元の分極方向
12 180°の分極方向
13 90°の分極方向
15 導電体
16 90°分極領域
17 分極壁
23 周期分極構造などの微細分極構造
41 元の分極方向
42 90°の分極方向
43 残留した分極領域
44 設計した分極壁
45 90°分極構造
46 残留した分極領域による分極壁
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば非線形光学効果の大きい強誘電性を利用した波長変換素子や第二高調波発生(SHG)素子、および90°分極構造などを用いた偏波変調器などの光学素子に用いられる強誘電体結晶の作製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、酸化物単結晶の非線形光学効果を用いた波長変換素子やSHG用素子が実用化されている。例えば緑色発生用のKTiPO4(KTP)、LiBO4(LBO)、KNbO3(KN)などがある。これらの素子は、バルク型SHG素子とよばれ、単結晶から所望の変換を行うために、ある特定の角度に切り出すことにより作製される。
【0003】
しかしながら、バルク型SHG素子はその特性上SHG変換効率が比較的低い。そこで、廉価で高品質な単結晶が得られるニオブ酸リチウム(LN)やタンタル酸リチウム(LT)のデバイス開発が急速に行われている。さらに、高い変換効率のデバイスを実現するために、基本波と第二高調波の位相伝播速度を等しくしたほうがよい。これを擬似的に行う方法として非線形光学定数の+−を周期的に配列する方法が提案されている(A.Armstrong, N.Bloembergen,他、Phys.Rev.,127,1918(1962))。これを実現するために、結晶の分極方向を180°反転させた領域を周期的にもつ構造(以下、180°周期分極反転構造)をもちいる方法がある。これを容易に行う方法として、サンプル表面に電極を作製し、電界を印加して180°周期分極反転構造を作製する方法が提案されている(特開平5−210132)。しかし、LN、LTの場合、その反転させるために必要な電界(反転電界)が20kV/mm以上と非常に大きく、作製時に破壊が起こることが多い。さらに、LN、LTでは光の出力形状が長時間たつと変化してしまう光損傷という問題があり、デバイス動作においても問題がある。
【0004】
一方、同じ強誘電体のなかで斜方晶であるKNやKTPは比較的反転電界が低く(KTPで4kV/mm以下、KNにおいては250V/mm以下)、かつ光損傷を生じないことから、180°周期分極反転構造をもつ波長変換素子、SHG素子として非常に有用である。しかしながら、これらの斜方晶や正方晶は、元の分極と符号が逆の分極方向(180°分極)以外にも、90°分極、60°分極などが存在し、これら所望でない分極領域の発生のために変換時に基本波や第二高調波の散乱が生じるという問題がある。
【0005】
一方、本発明者らは前記180°分極構造とはことなる分極構造を利用した素子が検討している。たとえば、KNbO3などに周期的な90°分極構造を形成し、これを用いた偏波変調器、波長フィルタ、光強度変調器等の電気光学素子を提案している。前記90°分極構造を用いた素子を作製する場合においても、制御して作製した90°分極構造の一部に元の分極の状態から反転していない数μm程度の微小な領域が残留する場合がある。
【0006】
一つ目の例として、180°周期分極構造について説明する。本発明において取り扱う従来方法で作製した素子の構造を図1に示す。図1(a)は従来法で作製する前の基板4の構造を示したものである。結晶軸の+c軸方向が分極方向11であり、作製前の結晶軸であるa,b,c軸の方向をそれぞれx,y,z座標にとる。基板4は単結晶は各結晶軸に垂直に切り出す。図1(b)は従来方法のひとつである電界印加法を用いて作製した180°周期分極反転構造23を有する基板4の模式図である。図1(c)にx軸断面から見た180°周期分極構造23の図を示す。図1(c)に示す180°周期分極構造23は、+z面、または−z面のいずれかまたは両方に所望の電極構造を作製し、+z面に高電圧を印加することにより得られる。ここではx軸方向に平行な周期分極構造23を取り上げる。
【0007】
図1(d)は従来法で作製した前記180°周期分極反転構造23を有する基板4を座標軸のy方向から見たときの模式図である。図1(d)に示すように、従来法で作製した場合、y軸方向から光学顕微鏡で観察すると、多くの場合a軸、c軸からそれぞれ45°傾きb軸と平行な方向に90°分極構造16が生じる。90°分極構造16は元の分極方向11(+z軸方向)、180°の分極方向12(−z軸方向)、いずれに対しても分極方向13が90°異なることから境界面(分域壁17)で屈折率の差が存在し、そのため分域壁17が光学顕微鏡などにより容易に観察される。これら所望でない90°分域構造16は、座標軸でz軸方向、x軸方向に貫通していないものが多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決し、上述したKNbO3等の複数の分極軸をもつ酸化物単結晶に、設計した分極構造を作製した際に生じた所望でない分極構造や、所望の分極方向に変化せずに残留している分極構造を除去し、より高性能な素子を作製する方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自発分極を持つ強誘電体単結晶に対して所望の分極構造を形成した後、強誘電体結晶の全表面を導電物質で覆い、これを熱処理することにより強誘電体結集内に残存する所望でない分極構造を取り除くことを特徴とする強誘電体結晶の分極形成方法である。
【0010】
前記熱処理の温度が強誘電体結晶の相転移温度の直下であることが好ましい。
【0011】
また本発明で用いられる前記強誘電体基板は斜方晶または正方晶であることが好ましい。なぜなら、斜方晶、正方晶の場合、相転移温度がキュリー温度より十分低いため、所望の分極構造が消失する恐れなしに不要な分極構造を除去することが可能だからである。
【0012】
さらには強誘電体がニオブ酸カリウムであることが好ましい。なぜなら、正方晶からへ斜方晶の相転移温度が215℃程度、斜方晶から三方晶への相転移温度が−50℃程度であり、常温できわめて安定な状態が作りやすいためである。前述の通り、電界印加法等によりKNbO3等の複数の分極軸をもつ酸化物単結晶に設計した分極構造を作製する場合、所望の分極構造以外に所望でない分極を有する構造が生じたり、所望の分極方向に変化せず残留している分極構造が存在することがある。
【0013】
本発明では、これまでの方法により作製した素子に対して、前記所望でない分極構造や所望の分極方向に変化せずに残留している分極構造を取り除いて高性能な素子となるように、熱処理による後工程を行うことを特徴とする。以下、KNbO3単結晶を例にとり説明する。
【0014】
次に、本発明によるこれら所望でない90°分極構造16を除去する方法(熱処理による方法)について説明する。はじめに、図2(a)および図2(b)に示すように前記180°分極構造23を有し、かつ所望でない90°分極構造を有する基板4を導電体15で覆う。これは、熱処理時の温度上昇する際、および熱処理後の温度を降下させる際に強誘電体の焦電効果による電界の発生を抑えるためである。強誘電体の焦電効果とは、基板4の自発分極の大きさが、温度上昇および温度降下により変化し、基板4間の座標軸のz軸方向に電界が生じる現象である。焦電効果で発生した電界により、基板4の分極状態を所望でない方向に変化する場合がおおい。そのため、基板4の表面を導電体15で覆うことで表面を等電位に保ち、焦電効果による基板4間での電界の発生を抑えることができる。
【0015】
次に導電体15で覆った前記180°分極構造23を有する基板4をオーブンなどにいれ熱処理を行う。熱処理の温度は任意であるが、相転移温度以下でできるだけに相転移温度に近いほうが望ましい。具体的には相転移温度〜相転移温度−25℃の範囲が好ましい。 二つ目の例として、90°分極構造について取り上げる。本発明において取り扱う従来方法で作製した基板4の構造を図3に示す。図3(a)は従来法で作製する前の基板4の構造を示したものである。結晶軸の+c軸方向が分極方向41であり、作製前の結晶軸であるb軸をy座標、a軸c軸と45°をなす方向をそれぞれx,z座標にとる。基板4は単結晶はb軸に垂直、a軸c軸からそれぞれ45°傾いた面に切り出す。図3(b)は従来方法のひとつである電界印加法を用いて作製した90°分極構造45を有する基板4の模式図である。図3(b)に示す90°分極構造45は、+z面、または−z面のいずれかまたは両方に所望の電極構造を作製し、+z面に高電圧を印加することにより得られる。ここではy軸方向に平行な周期分極構造を取り上げる。そして、図3(c)は従来法で作製した前記90°分極構造45を有する基板4を座標軸のy方向から見たときの模式図である。図3(c)に示すように、従来法で作製した場合、y軸方向から光学顕微鏡などで観察すると、多くの場合、所望の90°分極壁44以外にz軸、y軸と平行な方向に所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43が存在する。90°分極構造45は元の分極方向41対して分極方向42が90°異なることから境界部(分域壁44および46)屈折率の差が存在し、分域壁44および46が光学顕微鏡などにより容易に観察される。これら所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43は、座標軸でz軸方向、x軸方向に貫通していない。
【0016】
次に、本発明によるこれら所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43を除去する方法(熱処理による方法)について説明する。はじめに、図4に示すように前記90°分極構造45を有する基板4を導電体15で覆う。これは、熱処理時の温度上昇する際、および熱処理後の温度を降下させる際に強誘電体の焦電効果による電界の発生を抑えるためである。次に導電体15で覆った前記90°分極構造45を有する基板4をオーブンなどにいれ熱処理を行う。熱処理の温度は任意であるが、相転移温度以下でできるだけに相転移温度に近いほうが望ましい。具体的には相転移温度〜相転移温度−25℃の範囲が好ましい。
【0017】
上述の、本発明による熱処理を用いた方法により、図1(d)に示す180°周期分極構造23を有する構造作製時に発生した所望でない90°分極構造16や、図3(a)に示す90°分極構造45を作製する際に所望の分極方向に変化せず残留している分極構造43を除去することができる。
【0018】
これにより、図1(d)に示すようなこれまで問題となっていた180°周期分極構造23による波長変換素子における基本波や第二高調波などの光の90°分極壁17による散乱が低減され、より高性能な素子を実現できる。また、図3に示す90°分極構造45を用いた素子においても、従来障害となっていた所望の分極方向に変化せず残留している分極構造43が無くなることにより、設計通りの90°分極構造45を構成することが可能となり、その機能を実現できるようになる。
【0019】
【実施例1】
図5の略線的拡大模式図を参照して説明する。ここでは、強誘電体基板4としてKNbO3を用い、分極方向(+c軸方向)と垂直にカットし、その分極の片方の主面に絶縁層5としてフォトレシ゛ストを塗布してフォトリソク゛ラフィーにより作製したハ゜ターンとLiCl飽和水溶液の第一の電極1、およびLiCl飽和水溶液のみを基板4に接触させた第二の電極2よりなる。
【0020】
この例では、光の伝播方向を座標のy方向(b軸方向)にするため、図1(d)に示すような周期分極反転などの微細分極構造23を作製するための電極のパターンをy方向と垂直、x方向と平行に配置した。対向する電極は全面電極とした。
【0021】
この例では、周期分極反転などの微細分極構造23を作製するための電極のパターンは、電極パターンの電極部の幅が15μm、フォトレシ゛ストによる絶縁層5部の幅が15μm、合わせて30μm周期となる形状とした。
【0022】
そして、この例では基板4をシリコーンゴムを介してアクリル板ではさみ、アクリル板と基板4の間をLiCl飽和水溶液で充填する。充填する際、脱気処理をすることにより基板4の表面に気泡が残らないように調節する。
【0023】
次に、基板4の間に電源6により電界を印加することにより図7(a)に示す180度分極構造による周期分極反転構造などの微細分極構造23の作製を行った。この場合、基板4の厚さを1mm、フォトレシ゛ストの厚みを8μmとし、電極1を正電位、電極2が負電位となるようにし、約300V/mmの電界を約50ms、約350V/mmの電界を約9ms、約400V/mmの電界を約5msの3通りの電界の印加方法により上述の構造の作製を試みた。
【0024】
電界印加後、はじめに180°分極構造による周期分極反転構造などの微細分極構造23の形成状況を確認した。その結果の一例を図3に示す。図3は作製した基板4をフッ酸で10分間エッチングした後のz軸に垂直な面の光学顕微鏡写真である。図3の写真に示すように、いずれの印加方法でも、周期30μmの180°分極構造による周期分極反転構造23が作製できていることがわかる。
【0025】
一方、同じ基板4をy面(b軸断面)から観察した光学顕微鏡写真を図7(a)に示す。図7(a)の写真に示すように、いずれの印加方法でも、図1(d)のように所望でない90°分極領域16が基板4のz軸方向に対して貫通または途中まで発生している。
【0026】
そこで、図7(a)に示す所望でない90°分域構造16を除去するために、熱処理を行った。はじめに、図2に示すように基板4の全面をエタノールで溶いたカーボンペーストを塗り、数分放置してエタノールを蒸発させることにより、基板4をカーボンペーストによる導電体15で覆った。
【0027】
次に、基板4をオーブンにいれ熱処理を行った。熱処理ははじめに180℃で4時間、続いて215℃で約4時間行った。それぞれ終了後はオーブンを閉じたまま約3時間かけて常温まで冷却し基板4を取り出した。
【0028】
熱処理後のy面(b軸断面)から観察した光学顕微鏡写真を図7(b)(c)に示す。いずれの基板4も熱処理により、途中までできていた90°分極壁17の一部が消失していることが確認できる。特に図7(c)に示す215℃で行った基板4はその効果が顕著である。なお図7でAで示した点はすべて同じ点である。
【0029】
【実施例2】
図8の略線的拡大模式図を参照して説明する。ここでは、強誘電体基板4としてKNbO3単結晶を用い、分極方向(+c軸方向)からa軸方向に45°にの面でカットし、両面研磨した基板4と、それぞれの面に第一の電極1、第二の電極2を設けている。
【0030】
この例では、基板4の大きさは厚さ(z軸方向)2mm、幅(y軸方向)4.5mmで、第一の電極1、第二の電極2はともに幅(x軸方向)は約3.6mmの銀ペースト製のものを用いた。
【0031】
次に、基板4の間に電源6により電界を印加することにより図7(a)に示す90°分極構造の作製を行った。この場合、基板4の厚さ(z軸方向)を2mm、電極1を正電位、電極2が負電位となるようにし、約170V/mmの電界を約1000s、約200V/mmの電界を約1000sの2通りの電界の印加方法により上述の構造の作製を試みた。
【0032】
電界印加後の基板4をy面(b軸断面)から観察した光学顕微鏡写真の一例を図9(a)に示す。図9(a)の写真に示す様にほぼ全域が90°分極領域45になっているが、一部にb軸と平行な所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43による分域壁46が存在することがわかる。これらはほとんどが基板4断面方向に貫通はしておらず、途中で止まっている。
【0033】
そこで、図4に示す所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43を除去するために、熱処理を行った。はじめに、図4に示すように基板4の全面をエタノールで溶いたカーボンペーストを塗り、数分放置してエタノールを蒸発させることにより、基板4をカーボンペーストによる導電体15で覆った。
【0034】
次に、基板4をオーブンにいれ熱処理を行った。熱処理ははじめに215℃で約1時間行い、次に215℃で32時間行った。終了後はオーブンを閉じたまま約3時間かけて常温まで冷却し基板4を取り出した。
【0035】
熱処理後のy面(b軸断面)から観察した光学顕微鏡写真を図9(b)(c)に示す。図9(b)に示すように一回目(215℃で1時間)の熱処理では、大部分の所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43が短くなっているのが確認できる。さらに二回目の熱処理(215℃で32時間)後の写真(図9(b))では所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43のほとんどが極めて短くなっていることがわかる。このように熱処理を行うことにより所望の分極構造に変化せずに残留している分極構造43を取り除き、設計通りの90°分極領域45を得ることができた。
【0036】
以上の結果から、180°周期分極構造などの微細構造作製時、および90°分極構造作製時に生じてしまった所望でない分極構造を、熱処理を行うことにより減少、消失することが可能となり、より高性能な素子を実現するころができるようになった。
【0037】
以上の説明は主にKNbO3結晶を例に説明したが、斜方晶、正方晶であるKTiOPO4、BaTiO3,RbTiOPO4、LiB3O5などにも適用できることは言うまでもない。
【0038】
また単結晶材料に限定して説明したが、基板4上にエピタキシャル成長した材料でも適応できることも言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、KNbO3等の複数の分極軸をもつ酸化物単結晶に、設計した分極構造を作製した際に生じた所望でない分極を除去することが可能となり、従来作製された素子をより高性能にすることが可能となった。本発明の実用上かつ産業上効果は、これらデバイス特性の向上において甚大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】180°周期分極構造の模式図
(a)180°周期分極構造用の基板の分極構造作製前の状態を示した図
(b)180°周期分極反転構造を有する基板の立体図
(c)180°周期分極構造を有する基板をx面から見たときの図
(d)180°周期分極構造を有する基板をy面から見たときの図
【図2】本発明における熱処理時の180°周期分極反転構造を有する基板の状態を示した図
(a)基板をx面から見たときの図
(b)基板をy面から見たときの図
【図3】従来の90°分極構造の模式図
(a)90°分極構造用の基板分極構造作製前の状態を示した図
(b)90°分極構造を有する基板の立体図
(c)90°分極構造を有する基板をy面から見たときの図
【図4】本発明における熱処理時の90°分極構造を有する基板の状態を示した図
【図5】従来の電界印加法による180°周期分極反転構造作製法を示した模式図
【図6】従来の電界印加法により作製した180°周期分極構造を示した図
【図7】180°周期分極構造を有する基板のy軸方向からの断面写真
(a)熱処理前(b)200℃60分熱処理後 (c)215℃60分熱処理後
【図8】従来の電界印加法による90°分極構造作製法を示した模式図
【図9】90°分極構造を有する基板のy軸方向からの断面写真
(a)熱処理前(b)215℃1時間熱処理後(c)215℃32時間熱処理後
【符号の説明】
1 第1の電極
2 第2の電極
4 基板
5 絶縁層
6 電源
11 元の分極方向
12 180°の分極方向
13 90°の分極方向
15 導電体
16 90°分極領域
17 分極壁
23 周期分極構造などの微細分極構造
41 元の分極方向
42 90°の分極方向
43 残留した分極領域
44 設計した分極壁
45 90°分極構造
46 残留した分極領域による分極壁
Claims (4)
- 自発分極を持つ強誘電体単結晶に対して所望の分極構造を形成した後、強誘電体結晶の全表面を導電物質で覆い、これを熱処理することにより強誘電体結晶内に残存する所望でない分極構造を取り除くことを特徴とする強誘電体結晶の分極形成方法。
- 前記熱処理の温度が強誘電体結晶の相転移温度の直下であることを特徴とする請求項1に記載の強誘電体結晶の分極形成方法。
- 前記強誘電体基板が斜方晶または正方晶であることを特徴とする請求項1または2に記載の強誘電体結晶の分極形成方法。
- 前記強誘電体がニオブ酸カリウムであることを特徴とする請求項3に記載の強誘電体結晶の分極形成方法。
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JP2002175088A JP2004020876A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | 強誘電体結晶の分極形成方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004049055A1 (ja) * | 2002-11-25 | 2004-06-10 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 分極反転構造の形成方法および分極反転構造を有する光学素子 |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002175088A patent/JP2004020876A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2004049055A1 (ja) * | 2002-11-25 | 2004-06-10 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 分極反転構造の形成方法および分極反転構造を有する光学素子 |
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