JP2004020560A - 電流センサおよびその調整方法 - Google Patents

電流センサおよびその調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電流センサの出力調整を高価で大掛かりなレーザートリミング法を用いることなく簡単で精度良くしかも安価に行えるようにした電流センサとその調整方法を提供する。
【解決手段】ホール素子3と,該ホール素子の出力を演算して検出する演算増幅器5と,前記演算増幅器の増幅度を決定する複数の固定抵抗器R1,R2と,前記演算増幅器のオフセット電圧を決定する複数の固定抵抗器R3,R4とを備えた電流センサSにおいて,
前記演算増幅器と前記各固定抵抗器を配置した回路基板10に前記各固定抵抗器の両端に接続された複数のランド11,12,13,14を設け,該ランドを介して前記演算増幅器の増幅度およびオフセット電圧をそれぞれ補正するための補正用固定抵抗器を必要に応じて前記各固定抵抗器と並列に接続できるようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は産業機器,電化製品等の電子機器,自動車等に使用され,検出電流ラインと絶縁された検出回路により直流電流または交流電流を測定する電流センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8に一般的な電流センサSの構成を示す。この電流センサSは磁束応答タイプのもので,珪素鋼板やフェライト等よりなり、電流検出ライン1が巻回され,ギャップGの形成された磁気コア2と,磁気コア2のギャップGに配設されたホール素子3と,該ホール素子3からの出力を検出してその検出結果に基づく信号Voを出力する検出回路4とにより構成される。
【0003】
ここで,検出電流ライン1と検出回路4とは相互に絶縁されていて検出電流iは検出回路4に直接に流れ込まないようにされている。
また,ここには示さないがこの他,磁気コア2に二次巻線が巻回されて検出回路4の出力信号Voを2次巻線に通電し,磁気コア2内を還流する磁束をゼロにするように制御する磁気平衡タイプのものもある。
【0004】
図8に示した電流センサSの検出回路4としては例えば、簡素化して示される図9や図10のようなものがあり、ホール素子3の出力を演算増幅器5により増幅して検出信号Voを出力する。
【0005】
図8において検出電流ライン1に検出電流iが流れると検出電流iにより生じた磁束が収束されて磁気コア2内を還流し,ギャップGにおいて空間に漏出する。
ギャップGに配設されたホール素子3は図9に示すように入力端子P1,P3と出力端子P2,P4が形成されていて入力端子P1,P3にはホール素子3を動作させる為の電力が供給され,出力端子P2,P4は磁束の大きさに対応した電圧を出力する。
【0006】
ホール素子3は等価的に抵抗Rh1,抵抗Rh2,抵抗Rh3,抵抗Rh4よりなるブリッジとして考えることができ,例えば入力端子P1−P3間に定電流を供給して使用される。そして貫通する磁束の大きさや符号によりそれぞれの抵抗値が変化してそれぞれの等価的ハーフブリッジの中点となる出力端子P2,P4の出力バランスが変化する。
【0007】
図9において出力端子P4はファンクショントリミング抵抗器Rtr1を経て演算増幅器5の反転入力端子に接続され,出力端子P2は固定抵抗器R5を経て演算増幅器5の非反転入力端子に接続される。演算増幅器5の出力はファンクショントリミング抵抗器Rtr2を介して反転入力端子に帰還され,所望の増幅度が得られるように設計される。さらに,演算増幅器5の非反転入力端子は,標準電圧Vrefとアースとの間で直列に接続されたファンクショントリミング抵抗器Rtr4とRtr3との中点に固定抵抗器R6を介して接続され,非反転入力端子の電圧Vsが所望の値になるように設計されている。
【0008】
ここで,磁気コア2の寸法等のばらつきやホール素子3のばらつき,検出回路を構成する上述の各種部品のばらつき等により多くの場合,演算増幅器5が所定の増幅度やオフセットを得られない為,検出回路4をオンにして出力信号Voを監視しながらこれらが規定値の範囲内に収まるようにファンクショントリミング抵抗器Rtr1,Rtr2,Rtr3,Rtr4をトリミング調整する。
これらのファンクショントリミング抵抗器はセラミック基板上に抵抗膜の形で形成されている。
このためこれらの抵抗器の抵抗値の調整にはレーザートリミング法が用いられており,抵抗膜の一部をレーザートリミングにより昇華させて抵抗膜の断面積を小さくすることによって抵抗値を増大させることができる。
【0009】
すなわち,検出電流iを供給したときとしないときの出力信号Voの変化量が所定の値となるように,ファンクショントリミング抵抗器Rtr1とRtr2との何れかをトリミングする。
つまり,検出電流iに対比して出力信号Voの変化量が少ない場合にはRtr2を,多い場合にはRtr1をトリミングする。
【0010】
さらに,検出電流iを供給しないときの出力信号Voすなわちオフセットが所定の値となるように出力信号Voを監視しながら非反転入力端子に供給される電圧Vsを変化させる。
例えばVref>アース電圧のとき,出力信号Voを下げる場合にはRtr4を,上げる場合にはRtr3をトリミングする。
【0011】
また,図10の例においては,前記直列接続されたファンクショントリミング抵抗器Rtr1とRtr2とに相当する部分に可動端が反転入力端子側となるように半固定抵抗器Rvl1を接続し,ファンクショントリミング抵抗器Rtr3とRtr4とに相当する部分に可動端が非反転入力端子側となるように半固定抵抗器Rvl3を接続している。このように半固定抵抗を用いた場合にも,図9の例と同様に検出電流iを供給したときとしないときの出力信号Voを監視しながら半固定抵抗器Rvl1およびRvl3の可動端を移動させて調整する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述のレーザートリミング法による出力信号調整においては,高速トリミングが可能であるので多量生産に適しているが,少量生産や多品種生産においては設備費が高額であるためコストアップとなり,また,作業条件の変更に伴う段取りに時間がかかってしまう等,小刻みな製品の変更に合わせて製造ラインの条件を切替えにくい難点がある。
【0013】
また,半固定抵抗による出力信号調整においては,高額な機械設備を必要としないため,レーザートリミング法に比べて設備費の負担は軽減されるが,半固定抵抗の部品コストが高いことと外力や周囲温度の変化によってこれらの半固定抵抗の設定値が変動しやすい難点がある。
【0014】
この発明の目的は,このような従来の問題点に着目してなされたもので,安価な固定抵抗器を使用し,高額な設備を必要とせずに正確な調整条件が得られ,小刻みな製造条件の変更にも簡単に対応できる調整機能を設けた電流センサとその調整方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、
入力電流を対応する大きさの磁束に変換するホール素子と,該ホール素子の出力を演算して検出する演算増幅器と、前記演算増幅器の
増幅度を決定する複数の固定抵抗器と、前記演算増幅器のオフセット電圧を決定する複数の固定抵抗器とを備えた電流センサにおいて,前記演算増幅器と前記各固定抵抗器を配置した回路基板に前記各固定抵抗器の両端に接続された複数のランドを設け,該ランドを介して前記演算増幅器の増幅度およびオフセット電圧をそれぞれ補正するための補正用固定抵抗器を必要に応じて前記各固定抵抗器と並列に接続できるようにしたことを特徴としている。
また,本発明の第2は,
前記ホール素子に所定の入力電流を与えたときの前記演算増幅器の出力を測定し,前記演算増幅器の増幅度およびオフセット電圧の過不足から増幅度を補正する補正用固定抵抗器の値と接続位置およびオフセット電圧を補正する補正用固定抵抗器の値と接続位置をそれぞれ演算し,前記各補正用固定抵抗器を回路基板に設けた前記ランドを介して所定の固定抵抗器と並列に接続して前記演算増幅器の増幅度およびオフセット電圧がそれぞれ所定の値になるように調整することを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明に使用される検出回路の回路例,図2は図1の検出回路の一部を変更した回路例,図3は前記検出回路の構成部品を取り付けた回路基板の一例を示す平面図、図4は本発明の電流センサの調整時に使用する調整システムのブロック図、図5は本発明の第一の調整方法の手順を示すフローチャート、図6は本発明の第二の調整方法の手順を示すフローチャート、図7は本発明のさらに別の調整方法の手順を示すフローチャートである。
【0017】
本発明の電流センサにおいても従来技術で示した図8と同様に,検出電流ライン1に検出電流iが流れると検出電流iにより生じた磁束が収束されて磁気コア2内を還流し,ギャップGにおいて空間に漏出する。
そして,ギャップGに配設されたホール素子3には図1に示すように入力端子P1,P3と出力端子P2,P4が形成されていて入力端子P1,P3にはホール素子3を動作させる為の電力が供給され,出力端子P2,P4には磁束の大きさに対応した電圧が出力される。
【0018】
ホール素子3は等価的に抵抗Rh1,抵抗Rh2,抵抗Rh3,抵抗Rh4よりなるブリッジとして考えることができ,例えば入力端子P1−P3間に定電流を供給して使用される。そして貫通する磁束の大きさや符号によりそれぞれの抵抗値が変化してそれぞれの等価的ハーフブリッジの中点となる出力端子P2,P4の出力バランスが変化する。
【0019】
図1において出力端子P4は固定抵抗器R1を経て演算増幅器5の反転入力端子に接続され,出力端子P2は固定抵抗器R5を経て演算増幅器5の非反転入力端子に接続される。
演算増幅器5の出力は固定抵抗器R2を介して反転入力端子に帰還され,所望の増幅度が得られるように設計される。さらに,演算増幅器5の非反転入力端子は,標準電圧Vrefとアースとの間で直列に接続された固定抵抗器R4とR3との中点に固定抵抗器R6を介して接続され,非反転入力端子の電圧Vsが所望の値になるように設計されている。
【0020】
図3は、これらの固定抵抗器R1,R2,R3,R4と演算増幅器5を配置した回路基板10の一例を示し、固定抵抗器R1,R2,R3,R4は該回路基板10の裏面に配置されている。
また,回路基板10には,前記固定抵抗器R1,R2,R3,R4のそれぞれの両端に接続された複数のランド11,12,13,14が設けてある。
Rv1,Rv2,Rv3,Rv4は演算増幅器5の増幅度およびオフセット電圧を調整するための補正用固定抵抗であり、該補正用固定抵抗Rv1,Rv2,Rv3,Rv4は必要に応じてランド11,12,13,14を介して前記固定抵抗器R1,R2,R3,R4と並列に接続されるようにしてある。
ここでランド11,12,13,14はたとえば図4に示すように固定抵抗器の後付け作業に障害を生じにくい回路基板10の一方の面に形成するのが良い。
【0021】
次に、上記構成の電流センサの増幅度やオフセット電圧の設計値に対するずれの調整方法について説明する。
いま,調整しようとする電流センサSを図4に示すような調整システムに接続する。
すなわち,電流センサSは検出回路駆動用電源8により駆動され,その入力側は電流測定器7を介して電流検出ライン1に供給される電流iを与える検出電流源6に接続され,出力側は出力電圧Voを測定する出力測定器9に接続される。
そしてこれらの検出回路駆動用電源8,電流測定器7,検出電流源6,および出力測定器9はそれぞれパーソナルコンピュータPCにより動作が制御されるようにしてある。
なお,パーソナルコンピュータPCは電流測定器7,検出電流源6,出力測定器9等から得られたデータを集計し,増幅度やオフセット電圧の演算にも利用することができる。
【0022】
第1の調整方法は,図1の構成の検出回路4を備えた電流センサの調整方法である。
ここで,固定抵抗器R1,R2,R3,R4に誤差があるものと仮定して図5に示す手順で電流センサSの出力調整を行なう。
すなわち,R1,R2の何れか一方が設定値であり,他方が設定値より大きいために増幅度に誤差を生じているものと仮定し,またR3,R4の何れか一方が設定値であり,他方が設定値より大きいためにオフセット電圧に誤差を生じているものと仮定する。
【0023】
R1とR2の組み合わせにおいて,R1とR2のどちらを設定値より大きいと仮定すれば実測値に近い増幅度を算出できるか判断し,実測の増幅度に見合った値となるR1もしくはR2の抵抗値を仮に算出する。さらにその抵抗値を初期設定値に近づけるためにいくつの値の補正用固定抵抗器(Rv1またはRv2)をR1もしくはR2に並列に接続すればよいかを演算する。
【0024】
また、R3とR4の組み合わせにおいて,R3とR4のどちらを設定値より大きいと仮定すれば実測値に近いオフセット電圧を算出できるかを判断し,実測のオフセット電圧に見合った値となるR3もしくはR4の抵抗値を仮に算出し,さらにその抵抗値を初期設定値に近づけるためにいくつの値の補正用固定抵抗器(Rv3またはRv4)をR3もしくはR4に並列に接続すればよいかを演算する。
【0025】
以下,図5の手順に従って説明する。
(1)先ず電流センサSをパーソナルコンピュータPC,検出回路駆動用電源8,電流測定器7,検出電流源6,出力測定器9とで構成される図4の調整システムに接続する。
その際,電流センサSの入力側は検出電流ライン1に流れる電流値iを測定できるように電流測定器7を介して検出回路駆動用電源8に接続し,出力側には出力電圧Voを測定するための出力測定器9を接続する。
(2)検出回路駆動用電源8を駆動させて検出回路4をオンとし,
(3)検出電流を流さないときの検出回路4の出力電圧値Vo(オフセット電圧Voff)を測定する。
(4)検出電流iを検出電流ライン1に供給し,
(5)その値を電流測定器7によって測定しつつ,
(6)そのときの検出回路4の出力電圧値Vo(感度電圧Vsense)を出力測定器9により測定する。
(7)そして検出電流iの供給を止め,
(8)検出回路駆動用電源8による駆動を停止させて検出回路4をオフにした後,
(9)得られたオフセット電圧Voffと感度電圧Vsenseとにより検出感度を求めて増幅度を計算する。そして実測の増幅度に見合った値,すなわち初期設計値に対して誤差のあるR1もしくはR2の抵抗値を仮に算出する。
(10)さらにその抵抗値を初期設定値に近づけるためにいくつの値の補正用固定抵抗器(Rv1またはRv2)をR1もしくはR2に並列に接続すればよいかを算定して,たとえばE24標準数列の固定抵抗器から最も近い抵抗値の補正用固定抵抗器Rv1もしくはRv2を決定する。
(11)この結果に基づいて,ランド11もしくはランド12の何れか所定の側に補正用固定抵抗器Rv1もしくはRv2をハンダ付けする。
(12)この後,再び検出回路駆動用電源8を駆動させて検出回路4をオンとし,
(13)検出電流を流さないときの検出回路4の出力電圧値Vo(オフセット電圧Voff)を測定する。
これは,検出回路4の回路構成が図1に示すような場合,補正用固定抵抗器Rv1もしくはRv2を固定抵抗器R1もしくはR2に接続して増幅度の補正を行うとオフセット電圧Voffも変動するからである。
(14)検出回路駆動用電源8による通電を止めて検出回路4をオフにした後,
(15)測定により得られたオフセット電圧Voffに見合ったオフセット値,すなわち初期設計値に対して誤差のあるR3もしくはR4の抵抗値を仮に算出する。
(16)そしてその抵抗値を初期設定値に近づけるためにいくつの値の補正用固定抵抗器(Rv3またはRv4)をR3もしくはR4に並列に接続すればよいかを演算し,同様にたとえばE24標準数列の固定抵抗器から最も近い抵抗値の補正用固定抵抗器Rv3もしくはRv4を決定する。
(17)この結果に基づいて,ランド13もしくはランド14の何れか所定の側に固定抵抗器Rv3もしくはRv4をハンダ付けする。
(18)最後に電流センサSを調整システムから取り外す。
以上の手順により,電流センサSの検出回路4を所定の増幅度,所定のオフセットに簡単かつ正確に調整することができる。
なお,補正用固定抵抗器Rv1,Rv2,Rv3,Rv4の各抵抗値の算出およびそれぞれの接続位置の決定にあたってはパーソナルコンピュータPCが集計したデータに基づいて自動的にこれらを算出するようにしてもよい。
【0026】
図2は検出回路4において,演算増幅器5の増幅度を決定する固定抵抗器の接続構成を変形させたもので,オフセット電圧を決定する固定抵抗器の接続構成は図1と同じである。
即ち,演算増幅器5の出力を固定抵抗器R8およびR9を介して反転入力端子に帰還させるに際して,固定抵抗器R8とR9との接続部に接続した固定抵抗器R10により帰還信号の一部を分割させた構成である。
この回路構成においても固定抵抗器R9,R10のそれぞれに並列に補正用固定抵抗器Rv9,Rv10が必要に応じて追加接続できるように回路基板10にはランド15,16(図示しない)が形成され,同様の調整が可能である。
【0027】
図6は検出回路4が図2の構成のときの調整方法(第2の調整方法)の手順を示す。
この場合,第1の調整方法と異なり,各固定抵抗器R9,R10,R3,R4は理想値であり,増幅度,オフセットも理想的な出力が得られているものと仮定して調整する方法を示している。
すなわち,増幅度の実測を行なって理想値に比した過不足率を算出し,上記理想値で構成される回路を理想的な増幅度より過不足率に対応した分だけ過不足を与えるのに必要な補正用抵抗器の値を計算する。
同様に,オフセットの実測を行なって理想値に比した過不足量を算出し,上記理想回路のオフセットより過不足量に対応した分だけ過不足を与えるのに必要な補正用抵抗器の値を計算する。
【0028】
以下,第2の調整方法を図6に従って説明する。
(1)第1の調整方法と同様に,電流センサSを図4の調整システムに接続する。
(2)検出回路駆動用電源8を駆動させて検出回路4をオンとし,
(3)検出電流を流さないときの検出回路4の出力電圧値Vo(オフセット電圧Voff)を測定する。
(4)検出電流iを検出電流ライン1に供給し,
(5)その値を電流測定器7によって測定しつつ,
(6)そのときの検出回路4の出力電圧値Vo(感度電圧Vsense)を出力測定器9により測定する。
(7)そして検出電流iの供給を止め,
(8)検出回路駆動用電源8による駆動を止めて検出回路4をオフにした後,
(9)得られたオフセット電圧Voffと感度電圧Vsenseとにより検出感度を求め実測回路の増幅度を計算する。
(10)そして理想的な増幅度に対する過不足率を算出し,検出回路4における理想的な増幅度に対して過不足率分だけ増減させるのに固定抵抗器R9側とR10側のどちら側にいくつの値の固定抵抗器すなわち補正用固定抵抗器Rv10もしくはRv9を追加すれば良いかを求め,たとえばE24標準数列の固定抵抗器から最も近い抵抗値の補正用固定抵抗器Rv10もしくはRv9を決定する。
(11)この結果に基づいて,ランド16もしくはランド15の何れか所定の側に補正用固定抵抗器Rv9もしくはRv10をハンダ付けする。
(12)この後,再び検出回路駆動用電源8を駆動させて検出回路4をオンとし,
(13)検出電流を流さないときの検出回路4の出力電圧値Vo(オフセット電圧Voff)を測定する。
これは,固定抵抗器Rv9もしくはRv10の追加接続による増幅度の補正によりオフセット電圧Voffが変動するためである。
(14)検出回路駆動用電源8による通電を止めて検出回路4をオフにした後,
(15)測定により得られたオフセット電圧Voffから理想的なオフセット値に対する過不足量を求める。
(16)検出回路4における理想的なオフセット電圧Voffに対して上記過不足量だけ増減させるのに固定抵抗器R3側とR4側のどちら側にいくつの値の固定抵抗器すなわち補正用固定抵抗器Rv3もしくはRv10を追加すれば良いかを求め,同様にたとえばE24標準数列の固定抵抗器から最も近い抵抗値の固定抵抗器Rv3もしくはRv4を決定する。
(17)この結果に基づいて,ランド13もしくはランド14の何れか所定の側に固定抵抗器Rv3もしくはRv4をハンダ付けする。
(18)最後に電流センサSを調整システムから取り外す。
以上の手順により,固定抵抗器R9,R10,R3,R4等を逆算して仮想値を得ることをしなくても,電流センサSの検出回路4を所定の増幅度,所定のオフセットをより簡単かつ正確に調整することができる。
【0029】
図11は図2において,固定抵抗器R9=2kオーム,R10=2kオームとして,第二の調整方法の手順に従って固定抵抗器R10と並列にE24標準数列に沿った種々の値の補正用固定抵抗器Rv10を接続したときの計算上の増幅度の増率と実測回路の増率とを対比したものであるが,極めてよい一致を示す。
【0030】
また,図12は図2において,R3=2kオーム,R4=2kオームとしたときの固定抵抗器R3と並列にE24標準数列に沿った種々の値の補正用固定抵抗器Rv3を接続したときの計算上のオフセット調整量と実測回路のオフセット調整量とを対比したものであるが,この場合も極めてよい一致を示す。
【0031】
図7は第三の調整方法の手順である。
ここで,検出回路4はたとえば図1に示すような回路構成とし,固定抵抗器R1,R2,R3,R4のそれぞれには並列に補正用固定抵抗器が追加接続できるように回路基板10にはランド11,12,13,14が形成され,これらの補正用固定抵抗器Rv1,Rv2,Rv3,Rv4は必要に応じて接続できるようになっているものとする。
また、ホール素子3の磁束に対する感度の誤差は抵抗変化率が等価抵抗Rh1と抵抗Rh2と抵抗Rh3と抵抗Rh4とがともに理想値に対して同率の誤差を生じることによるものと仮定し,またオフセット電圧の誤差はホール素子3の等価的な抵抗Rh1,抵抗Rh2,抵抗Rh3,抵抗Rh4の何れかひとつ例えば等価抵抗Rh1の誤差によるものと仮定して電流センサSの出力調整を行なう。
【0032】
すなわち,検出電流iを印加したときの検出回路4の感度を実測してホール素子3の理想の感度に対する誤差率を計算し,R1側とR2側のどちら側にいくつの値の並列抵抗を追加すれば実測値に近い感度を得られるか計算し,オフセット電圧を実測して等価抵抗Rh1における理想値に対する誤差量を計算し,R3側とR4側のどちら側にいくつの値の並列抵抗を追加すれば実測値に近い感度を得られるか計算することによって調整する。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、安価な固定抵抗器を使用し,高額な設備必要とせずに正確な調整条件が得られ,小刻みな製造条件の変更にも簡単に対応できる調整機能を備えた電流センサとその調整方法を提供することができる。なお、上述の実施形態においてはいずれも磁束応答タイプにより説明したが,磁気平衡タイプを用いた場合であっても調整が可能で同様の効果が得られるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に使用される検出回路の回路図
【図2】図1の検出回路の一部を変更した例
【図3】前記検出回路の構成部品を取り付けた回路基板の一例を示す平面図
【図4】本発明の電流センサの調整時に使用する調整システムのブロック図
【図5】本発明の第一の調整方法の手順を示すフローチャート
【図6】本発明の第二の調整方法の手順を示すフローチャート
【図7】本発明の第三の調整方法の手順を示すフローチャート
【図8】一般的な電流センサの説明図
【図9】従来の電流センサにおける検出回路の回路図
【図10】従来の電流センサにおける検出回路の別の回路図
【図11】第二の調整方法における増幅度の実測値と計算値の対比
【図12】第二の調整方法におけるオフセットの実測値と計算値の対比
【符号の説明】
1  電流検出ライン
2  磁気コア
3  ホール素子
4  検出回路
5  演算増幅器
S  電流センサ
6  検出電流源
7  電流測定器
8  検出駆動用電源
9  出力測定器
10 回路基板
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10 固定抵抗器Rv1,Rv2,Rv3,Rv4,Rv9,Rv10 補正用固定抵抗器
11,12,13,14,15,16 ランド

Claims (2)

  1. 入力電流を対応する大きさの磁束に変換するホール素子と,該ホール素子の出力を演算して検出する演算増幅器と,前記演算増幅器の
    増幅度を決定する複数の固定抵抗器と,前記演算増幅器のオフセット電圧を決定する複数の固定抵抗器とを備えた電流センサにおいて,
    前記演算増幅器と前記各固定抵抗器を配置した回路基板に前記各固定抵抗器の両端に接続された複数のランドを設け,該ランドを介して前記演算増幅器の増幅度およびオフセット電圧をそれぞれ補正するための補正用固定抵抗器を必要に応じて前記各固定抵抗器と並列に接続できるようにしたことを特徴とする電流センサ。
  2. 入力電流を対応する大きさの磁束に変換するホール素子と,該ホール素子の出力を演算して検出する演算増幅器と,前記演算増幅器の増幅度を決定する複数の固定抵抗器と,前記演算増幅器のオフセット電圧を決定する複数の固定抵抗器とを備えた電流センサにおいて,前記各固定抵抗器の両端に複数のランドを設け,前記ホール素子に所定の入力電流を与えたときの前記演算増幅器の出力を測定し,前記演算増幅器の増幅度およびオフセット電圧の過不足から,前記増幅度を補正する補正用固定抵抗器の値と接続位置およびオフセット電圧を補正する補正用固定抵抗器の値と接続位置をそれぞれ演算し,演算によって得られた各補正用固定抵抗器を前記ランドを介して所定の固定抵抗器と並列に接続して前記演算増幅器の増幅度およびオフセット電圧が所定の値となるように調整したことを特徴とする電流センサの調整方法。
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