JP2004019977A - 溶融炉 - Google Patents

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Yasushi Ono
小野 泰史
Katsumi Azuma
東 勝美
Yoshimasa Miyagishi
宮岸 佳正
▲あべ▼松 幸治
Koji Abematsu
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Abstract

【課題】本発明は、被溶融物の制限が少なく、溶融物が排出しやすく、また処理能力と耐久性に優れる溶融炉を提供する。
【解決手段】被溶融物を入れるための、側壁と底部からなる炉体部と、該炉体部に配設され、溶融後の溶融物が排出される貫通孔を有する溶融排出部と、前記炉体部を誘導加熱する誘導加熱部と、を備えた溶融炉であって、前記炉体部の側壁の少なくとも一部が誘導加熱の発熱体で構成され、該発熱体が複数の柱状体からなることを特徴とする溶融炉。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被溶融物に制限が少なく、溶融物が排出しやすく、処理能力と耐久性に優れる溶融炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物の処理方法として、単に廃棄物を焼却するだけではなく、前記焼却により発生する焼却灰を減容、無害化することも求められている。廃棄物の焼却灰には、有害重金属、放射性物質、感染性物質、ダイオキシン類などの環境汚染物質(以下、総称して環境汚染物質という)が含まれていることが多い。環境汚染物質を含む焼却灰は、特別管理廃棄物に指定されており、一般的な管理型最終処分場に埋め立てるには中間処理により所定レベルまで無害化することが要求される。
【0003】
中間処理の方法としては、溶融、セメント固化、薬剤処理、酸抽出の4種類が法的に認められている。なかでも溶融は、減量化、長期安定性またはリサイクル可能性の点から最も有望視されている。これら環境汚染物質を含む焼却灰の溶融処理方式としては、種々の加熱方式が提案されているが、誘導加熱方式は、溶融時に発生する排ガスが少なく、大気への汚染を軽減できる長所がある。
【0004】
誘導加熱方式による溶融炉は、被溶融物(導電性物質を多く含む)自身を誘導加熱して溶融する方式、被溶融物(非導電性物質を多く含む)の周囲に誘導加熱発熱体を設置する方式(以下、単に発熱体方式という)、前の2つの方式を混合した方式に大別される。
【0005】
これらの中で発熱体方式は、被溶融物の材料構成に関係なく溶融できるという長所を有する。しかし、発熱体方式では、誘導加熱で発熱する発熱体(以下、単に発熱体という)自身が被溶融物による侵食や、誘導加熱時に発生する熱応力、熱衝撃による劣化を受けるため、発熱体の耐久性が非常に短いなどの問題がある。また、環境汚染物質を含む焼却灰を溶融により無害化するためには溶融時間、溶融温度などの溶融条件を充分に管理する必要があり、そのためにも発熱体の耐久性確保が重要である。
【0006】
誘導加熱方式の溶融炉として、特開2001−242290には放射性廃棄物の焼却溶融処理装置および焼却溶融処理方法が開示されている。すなわち、誘導加熱可能なC−SiC系、またはC−Al系発熱体をルツボ本体に使用し、併設する加熱バーナーで対象廃棄物を直接加熱して焼却溶融することにより、ルツボ本体の加熱温度を低くしルツボ本体の酸化や溶湯により浸食の速度を抑制し、ルツボ本体の耐用寿命を改善することが開示されている。
【0007】
しかし、いわゆるC−SiC、C−Al系発熱体は、基本的にカーボンの耐酸化性が低いために耐久性が非常に短いという問題があるほか、加熱バーナーの使用により排気ガス量が増加し、環境負荷が増加するなどの問題もある。
【0008】
また、特開平9−206797には誘導加熱方式の溶融炉を用いた汚泥の溶融固化方法および装置が開示されている。すなわち、乾燥した汚泥や汚泥の焼却灰(以下、汚泥等と略す)を高強度で、高耐食性を有する導電性セラミックス(ホウ化ジルコニウム)からなるルツボに投入し、高周波誘導加熱コイルにより誘導加熱して前記汚泥等を溶融し、前記汚泥等中に含まれる有害重金属をスラグ中に封じ込めることを特徴とする汚泥の溶融固化方法が開示されている。
【0009】
しかし、開示された装置では導電性ルツボが有底一体型形状であって、熱衝撃により損傷を受けやすいばかりか、大型のルツボをセラミックスで一体成形するのは難しく、製作費用が高いなどの問題があった。さらには、提案された装置には溶融物の排出口がないため溶融物の排出が不完全で残留物が多い問題もある。また、連続的に溶融処理ができないので、処理量などに大きな制約があるほか、作業性が悪いなどの問題もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、被溶融物の制限が少なく、溶融物が排出しやすく、また処理能力と耐久性に優れる溶融炉の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被溶融物を入れるための、側壁と底部からなる炉体部と、該炉体部に配設され、溶融後の溶融物が排出される貫通孔を有する溶融排出部と、前記炉体部を誘導加熱する誘導加熱部と、を備えた溶融炉であって、前記炉体部の側壁の少なくとも一部が誘導加熱の発熱体で構成され、該発熱体が複数の柱状体からなることを特徴とする溶融炉を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の溶融炉(以下、本溶融炉という)は、炉体部と、該炉体部に配設され、溶融後の溶融物が排出される貫通孔を有する溶融排出部と、前記炉体部を誘導加熱する誘導加熱部とを備えている。なお、本溶融炉は、必要に応じてさらに炉体部用蓋や溶融排出部用誘導加熱部を備えてもよい。
【0013】
本溶融炉の実施形態の一例を図1に示す。図1は本溶融炉100の縦断面図を示す。本溶融炉100は、被溶融物を入れる炉体部10と、該炉体部10に配設され、溶融後の溶融物が排出される貫通孔を有する溶融排出部20と、前記炉体部10を誘導加熱する誘導加熱部(以下、誘導加熱部と略す)30とを備える。また、図2は炉体部10のA−A横断面図を示す。
【0014】
炉体部10は、側壁1と底部2からなるものであれば特に形状に制限がなく、代表的な形状としてはルツボ形状がある。側壁1と底部2は一体物としてもよいが、サイズが大きい場合は、別部品とすると製作が容易で経済的であるので好ましい。また、本発明において、炉体部10の側壁1は、少なくともその一部が誘導加熱部30により発熱する発熱体4で構成される。発熱体4は側壁1の周方向に長軸がおおむね上下方向になるように配置されると被溶融物が溶融されやすいため好ましい。さらに好ましくは発熱体4が側壁1の周方向のほぼ全周に渡って長軸がおおむね上下方向になるように配置されていると好ましい。
【0015】
本発明において発熱体4は、複数の柱状体4aからなる。発熱体4が複数の柱状体4aからなっていないとなんらかの原因で発熱体で破損が発生すると、誘導電流が流れなくなり発熱しないおそれがある。また、発熱体4を複数の柱状体4aで構成することにより加熱時に発生する熱応力を低くし、発熱体の割れや亀裂を防止できる利点もある。なお、発熱体4を複数の柱状体4aで構成し、該柱状体4aを高さ方向にさらに分割してもよい。
【0016】
柱状体4aの大きさは、誘導電流の周波数、材料の比抵抗、材料の比透磁率などにより最適な範囲が異なる。ZrB100質量%(以下、%と略す)では概略、20〜50mm角または直径20〜50mm位の断面積を有する柱状体とすると効率のよい発熱ができ好ましい。これより面積が小さすぎると誘導電流が干渉してうまく流れず発熱できない。逆に面積が大きすぎると発熱体4を分割した効果が得られにくい。柱状体4aの断面形状はできるだけ円に近い方が好ましいが、正方形に近い台形であると発熱体4を迫り出し構造で組み立てられるためさらに好ましい。柱状体4aの個数は、少なくとも2個以上、好ましくは6個以上、さらに好ましくは12個以上である。
【0017】
柱状体4aが筒状であると、誘導電流の干渉を極めて少なくでき、発熱効率を落とすことなく軽量化でき、さらに原材料を節約できるため好ましい。筒状の形状としては特に限定されないが、高さ方向に孔を有するものが好ましく、さらには高さ方向に貫通孔を有するものが好ましい。この場合、筒状の柱状体の肉厚を誘導加熱時の浸透深さより大きくすると効率の点で好ましい。ZrBの場合、8mm以上とするのがさらに好ましい。筒状の柱状体4aの一例を図3に示す。図3中、4bは貫通孔を示す。
【0018】
本発明において、柱状体4aと柱状体4aと隙間には図示しない電気絶縁部材を有する。このような電気絶縁部材としては耐熱性、耐食性なども要求されることから、炭化ケイ素系、ジルコニア系、アルミナ系、マグネシア系、ムライト系、ホウ化ジルコニウム系などのモルタルが好ましく使用される。柱状体4a同士の間隔としては、0.1〜5mm程度が好ましく、0.5〜2mmであるとさらに好ましい。間隔が0.1mmより狭いと高温で電気絶縁性が低下するおそれがある。一方、間隔が5mmより離れると柱状体4aが小さくなりすぎ発熱量を大きくできず、また耐食性も低下するので好ましくない。
【0019】
発熱体4としては、耐食性、耐熱性、導電性を有するセラミックスであれば特に制限されないが、ZrBを90〜100%含む焼結体であると、耐食性、耐熱性、導電性のバランスがよいため好ましい。
【0020】
発熱体4は、直接、溶融物と接触してもよいが、発熱体4に内接するように保護層3を環装すると、発熱体4を溶融物からの浸食、酸化から防止することができ、発熱体4の耐久性が向上するため好ましい。このような保護層3としては、耐食性、耐熱性があり、発熱体より簡単に製作でき、交換しやすいセラミックスであればよい。例えば、50〜100%のZrBを含む不定形耐火物を鋳込み施工して一体物とすると溶融物との耐食性に優れ、しかも溶融物の湯面など、特に浸食され減肉する部位を部分的に解体し、鋳込み施工するなどの補修が容易にでき溶融炉の維持費用が低減できるなど経済性もあるため好ましい。
【0021】
本溶融炉100において、発熱体4に外接するように断熱層5を環装すると発熱体4で発生する熱を溶融炉外に対して断熱できるため好ましい。このような断熱層5としては、発熱体4の酸化を抑制し、かつ耐熱性がある、炭化ケイ素質や黒鉛質の粉体を単に充填した充填層などが使用できる。断熱層5を複層構成、例えば2層構成とし、発熱体4側の内層を炭化ケイ素質充填層とし、誘導加熱部30側の外層を実質的にアルミナファイバーなどのセラミックスファイバーからなる層とすると断熱性に優れるため好ましい。なお、充填層の充填に際しては適宜、バインダー等の接着手段を併用してもよい。
【0022】
したがって、本溶融炉100において側壁1は、溶融物と接する側から順に保護層3、発熱体4、断熱層5の3層を有すること、すなわち保護層3に外接するように発熱体4を環装し、さらに該発熱体4に外接するように断熱層5を環装すると好ましい。特に、ZrBを50〜100%含む不定形耐火物で保護層3を構成し、該保護層3に外接するように、ZrBを90〜100%含む複数の焼結体からなる柱状体4aと該柱状体間にはモルタルを狭装した発熱体4を構成し、該発熱体4に外接するように複層で構成された断熱層5を環装すると熱効率が高く、耐食性もあり、耐久性に優れ、しかもメンテナンス性のよい溶融炉が提供できる。
【0023】
また、本溶融炉100において炉体部10の底部2は、側壁1と一体構造であっても、図1のような分割構造でもよい。分割構造の場合は不定形耐火物のプレキャストブロックを組み合わせる方法などがある。底部2は、溶融物と直接接触するので耐食性に優れるものが好ましく、ZrBを含む不定形耐火物、焼結体などが挙げられる。例えば、ZrBを50〜100%含む不定形耐火物とすると、底部2での直接の発熱はあまり期待できないが、耐食性に優れ、複雑形状の成形も容易で、経済性もあるため好ましい。
【0024】
また、底部2が、ZrBを含む焼結体で発熱体とし、側壁1で前述したような保護層や断熱層を伴うような複層構成であると、底部2も発熱し効率的な溶融ができ、耐久性も向上するので好ましい。このような複層構成の一例としては、側壁1で例示したような、溶融物と接触する側から順に、ZrBを50〜100%含む不定形耐火物からなる保護層3、ZrBを90〜100%含む焼結体、炭化ケイ素質や黒鉛質の粉体を単に充填した保護層3の3層構造が挙げられる。特に不定形耐火物からなる保護層3を設けると、溶融物により浸食された場合でも減肉した部位を部分的に解体して簡単に補修でき、溶融炉の維持費用が低減できる効果も期待される。
【0025】
なお、炉体部10は図示しないケーシングにより保持・支持される。ケーシングとしては特に制限されないが通常の溶融炉のケーシングが使用される。なお、ケーシングが誘導加熱部30の外周部で空気断熱するための構造を有するとさらに好ましい。
【0026】
本溶融炉100において、貫通孔26を有する溶融排出部20は前記炉体部10に配設されるが、配設される位置が下部であると溶融物の排出性の点で好ましい。ここで、炉体部10の下部に配設とは、おおむね炉体部10の側壁1の下半分か底部2に溶融物排出口として貫通孔6を設け、その貫通孔6と溶融排出部20の貫通孔26とをおおむね一致させるように配設することをいう。被溶融物をできるだけ残さずに排出するためには溶融排出部20を底部2に配設するのが好ましい。さらに、溶融排出部20を底部2のほぼ中央に配設すると残留物を少なくできるほかに、底部2内の熱分布や応力分布が対象になるため壊れにくくなり耐久性も向上する。また溶融排出部を炉体部の側壁に配設すると、溶融物が組成差に起因する比重差で層を形成する場合に、選択的に特定の層を排出できる利点がある。
【0027】
溶融排出部20としては、貫通孔26が形成されていれば特に制限されるものではないが、耐熱性、耐食性があって、概略筒状であればよい。なお、貫通孔26の途中または出入口部に溶融物を一時的にせき止めるように図示しない開閉機構を設けてもよい。溶融排出部20としては、少なくとも一部が誘導加熱の発熱体24で構成されていると、溶融排出部20で冷却固化している溶融物を任意に再溶融できるため溶融物を一時的にせき止めておく開閉機構を設けなくてもよいという利点がある。そのための発熱体24としては、側壁1と同様に耐食性と導電性がある、ZrBを90〜100%含む焼結体またはZrBを50〜100%含む不定形耐火物が好ましい。前記焼結体や前記不定形耐火物は、必ずしも一体物である必要はなく、複数の柱状体に分割して構成してもよい。分割した場合の目地材には側壁1で述べたような材料が使用できる。
【0028】
また、より好ましくは発熱体24に外接するように断熱層25を設けると好ましい。断熱層25としては、側壁1で述べたような材料を使用すると、溶融排出部20の耐久性が向上し結果として溶融炉100の耐久性も向上する。必要に応じて発熱体24に内接するように保護層を環装させてもよい。
【0029】
本溶融炉100において、炉体部10用誘導加熱部30としては、周知の誘導コイルを巻回し、この誘導コイルは、図示しない誘導加熱電源に接続される。誘導コイルは通常銅パイプなどからなり、内部に冷却水を流す構造であるが、これらパイプの周りにアルミナ質などの不定形耐火物、もしくは耐火性のモルタル等を塗りこむことで、誘導コイルを熱的に保護するのが好ましい。
【0030】
なお、本溶融炉100において、前記溶融排出部20が発熱体24を含むときは、溶融排出部20にも誘導加熱部31を設けることが好ましい。この場合、炉体部10の誘導加熱部30の誘導加熱電源と溶融排出部の誘導加熱部31の誘導加熱電源とが別であると制御しやすいため好ましい。
【0031】
【実施例】
[例1]
概略円筒で炉内寸法が直径184mm、高さ240mmであるルツボ形状の溶融炉100を準備した。溶融炉100の炉体部10の側壁1は、溶融物と接する側から順に保護層3、発熱体4、2層構成の断熱層5の合計4層から構成される。それぞれの層厚さは、保護層3が40mm、発熱体4が30mm、内側の断熱層(以下、断熱内層という)が35mm、外側の断熱層(以下、断熱外層という)が25mmである。
【0032】
保護層3はZrBを94%と、アルミナセメントを含有するホウ化ジルコニウム質不定形耐火物に対して外掛で3%の水を添加して流し込み成形で施工した。成形後の保護層の物性は、110℃×24時間乾燥後で、JIS R2655に準拠したかさ比重4.61、見掛気孔率11.3%、またJIS R2553に準拠した圧縮強度が49MPaであった。
【0033】
発熱体4は断面が台形(上底27.7mm、下底34.1mm、高さ30mm)で長さ80mmで中心部に直径16mmの貫通孔4bが形成されている、筒状の柱状体4aを円周方向に30個組み合わせてリング形状とし、かつ、これを高さ方向に3段組み合わせた。前記柱状体4aはZrBを98%含むホウ化ジルコニウム質焼結体の中実体からなり、同様方法で測定した、かさ比重5.6、圧縮強度が343MPaであった。柱状体4aの間の目地としてホウ化ジルコニウム質モルタルを各柱状体4aに塗布した。柱状体4aと柱状体4aとの間隔は、約1mmとした。断熱内層としては純度98%で、粒径5mm以下の炭化ケイ素粒子を充填して使用した。断熱外層としては純度95%のアルミナファイバーを使用した。
【0034】
炉体部10の底部2は直径440mm×厚さ60mmの略円板状で、保護層3と同組成のホウ化ジルコニウム質不定形耐火物を施工して製作した。底部2の中央には直径25mmの貫通孔6を設け、底部2の溶融物と接する面には溶融物が排出しやすいように貫通孔6に対してゆるやかな下り勾配を設けた。また底部2のホウ化ジルコニウム質不定形耐火物の炉外側に断熱レンガを配置した。
【0035】
底部2の貫通孔6に接するようにパイプ状の溶融排出部20を設けた。溶融排出部20は、内径25mm、外径225mm、高さ180mmの概略円筒パイプである。溶融排出部20は、溶融物と接する側から順に発熱体24、断熱層25とし、断熱層25はさらに断熱内層と断熱外層の2層に分けた。それぞれの層厚さは、発熱体24が25mm、断熱内層が50mm、断熱外層が25mmである。
【0036】
発熱体24は図示しない柱状体24aを組み合わせた。柱状体24aは、断面が台形(上底13.9mm、下底42.7mm、高さ25mm)で長さ60mmである。これを円周方向に6個組み合わせてリング形状とし、かつ、これを高さ方向に3段組み合わせた。柱状体24aの材質や、柱状体24a間の目地は、炉体部10の側壁1と同材質を使用した。断熱内層としてはAl78%、SiO20%、少量のアルミナセメントからなる不定形耐火物に外掛で水を5.5%添加して流し込み成形で施工した。不定形耐火物施工体の110℃で24時間乾燥後の特性は、前述した方法で測定して、かさ比重2.65、見掛気孔率12%、圧縮強度48MPaであった。断熱外層としては純度95%のアルミナファイバーを使用した。
【0037】
炉体部10の側壁1の発熱体用誘導加熱部30としては、内径450mm、高さ240mmの誘導コイルを使用し、この誘導コイル用に出力50kW、周波数3kHzの誘導加熱電源を用意した。また、誘導加熱部20の発熱体用誘導加熱部としては、内径240mm、高さ180mmの誘導コイルを使用し、この誘導コイル用に出力30kW、周波数2.6kHzの誘導加熱電源を別途用意した。また、保温用に溶融炉上部には蓋として厚さ75mmのアルミナファイバーを設置した。
【0038】
上記の構成を有する溶融炉100に、SiO56.5%、CaO10.7%、Al7.9%、NaO6.3%、B4.1%、Fe1.9%を含む医療廃棄物の焼却灰10kgを被溶融物として入れ、溶融試験を実施した。溶融条件は、加熱処理開始から4時間後に1400℃まで昇温し、さらに1400℃で1時間保持した。なお、溶融排出部20の貫通孔26にはあらかじめ上記医療廃棄物の焼却灰を溶融固化させて栓をしておいた。
【0039】
一方、炉体部を加熱すると同時に溶融排出部20を誘導加熱し4時間後に1000℃まで昇温させた。1000℃で1時間保持して溶融排出部20から溶融した焼却灰が貫通孔26からでてこないことを確認した。この後、さらに約10分かけて1250℃まで昇温させたところ貫通孔26から溶融物がでてきたので、炉体部10と溶融排出部20の両方の誘導加熱を停止した。誘導加熱停止後、約2分間で炉体部10内の溶融物はすべて排出された。そのままの状態で10分間放置したところ溶融排出部20の貫通孔26は冷却固化した溶融物で閉塞されていた。
【0040】
さらに、炉体部10内に前記焼却灰10kgを再度投入して上記の溶融処理を46回繰り返し、1400℃での保持時間は合計46時間となった。46時間保持後の炉体部10と溶融排出部20を目視で観察したが亀裂、剥離などの欠陥はみつからなかった。さらに炉体部10の保護層3を切断し溶融物による浸食深さを測定したところ、溶融時の湯面付近で約1.6mmの浸食が確認された。この浸食量1.6mmを溶融時間46時間で除した単位時間当りの浸食量、すなわち、浸食速度として0.035mm/時間が算出される。この浸食速度をもとに運転可能時間として40mm厚の保護層が浸食されてなくなるまでの時間を求めたところ約1140時間となり、実用的な耐久性があることがわかった。また、貫通孔26から排出された溶融物の組成を環境庁告示第46号に準拠した溶融固化物溶出試験により調べたところ、カドミウム、鉛またはその化合物、六価クロム化合物、ヒ素、水銀、セレンのいずれも定量下限以下であり無害化されていることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
本溶融炉は、被溶融物の制限が少なく、溶融物が排出しやすく、また処理能力と耐久性に優れる溶融炉を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本溶融炉の縦断面図。
【図2】図1のA−A横断面図。
【図3】筒状の柱状体の概略図。
【符号の簡単な説明】
1:側壁。
2:底部。
3:保護層。
4:発熱体。
4a:柱状体。
4b:柱状体に形成された貫通孔。
5:断熱層。
6:貫通孔。
10:炉体部。
20:溶融排出部。
24:溶融排出部の発熱体。
25:溶融排出部の断熱層。
26:溶融排出部の貫通孔。
30:炉体部用誘導加熱部。
31:溶融排出部用誘導加熱部。
100:本溶融炉。

Claims (7)

  1. 被溶融物を入れるための、側壁と底部からなる炉体部と、該炉体部に配設され、溶融後の溶融物が排出される貫通孔を有する溶融排出部と、前記炉体部を誘導加熱する誘導加熱部と、を備えた溶融炉であって、前記炉体部の側壁の少なくとも一部が誘導加熱の発熱体で構成され、該発熱体が複数の柱状体からなることを特徴とする溶融炉。
  2. 前記発熱体が前記側壁の周方向に長軸がおおむね上下方向になるように配置されている請求項1記載の溶融炉。
  3. 前記柱状体が筒状である請求項1または2記載の溶融炉。
  4. 前記柱状体がZrBを90〜100質量%含む焼結体である請求項1、2または3記載の溶融炉。
  5. 前記炉体部の側壁は、溶融物と接する側から順に保護層、発熱体、断熱層の3層を有する請求項1、2、3または4記載の溶融炉。
  6. 前記保護層は、ZrBを50〜100質量%含む不定形耐火物である請求項5記載の溶融炉。
  7. 前記溶融排出部を誘導加熱する誘導加熱部を備え、溶融排出部の少なくとも一部が誘導加熱の発熱体で構成され、該発熱体がZrBを90〜100質量%含む焼結体である請求項1〜6のいずれか記載の溶融炉。
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WO2013042778A1 (ja) * 2011-09-22 2013-03-28 旭硝子株式会社 二次電池用正極材料の製造方法

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