JP2004019212A - 床見切 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を少なくし、コスト面での改善を図るとともに、作業効率も向上させ、強度的にも十分なものとし、床材上面と上部部材との隙間の発生を防止する。
【解決手段】床材1の間に設置され床下地100に固着される断面略U字状をなした下部部材10と、この下部部材10に嵌合する上部部材11とからなり、下部部材10の幅方向中央部の下面に軟質なTPEから成る軟質部20を形成し、下部部材10の床材1の端部上面にかぶさる両側部11Aの下面に軟質なTPEから成る密着部22を形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】床材1の間に設置され床下地100に固着される断面略U字状をなした下部部材10と、この下部部材10に嵌合する上部部材11とからなり、下部部材10の幅方向中央部の下面に軟質なTPEから成る軟質部20を形成し、下部部材10の床材1の端部上面にかぶさる両側部11Aの下面に軟質なTPEから成る密着部22を形成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フローリングボード仕上げ等の床に使用される床見切に関する。
【0002】
【従来の技術】
床見切は、通常、部屋の開口部に設けられ、木質床材のように空気中の湿度変化によって伸縮する床材にも十分適用できるようにしたものとしては、特開2002−70302号公報に記載のものが知られている。これは、図4に示すように、下部部材(見切受材)101と、この下部部材101よりも表面が幅広に形成され下部部材101に嵌合する上部部材(見切材)102とから成る。この下部部材101は、床下地100に釘103で固定され、両側から立上った一対の部材104の内側に一対の膨出部104Aが形成され、かつ隙間確保用のスペーサ107が設けられている。上部部材102は、前記2つの膨出部104A間に係合する係合突部105Aを有する中央杆105とこの中央杆105の基部がつながる水平部106とから成る。木質系の床材1の間に上述したような床見切が設けられ、床材1の伸縮にスペーサ107が対応するようになっている。このようなスペーサ107を用いずに、床材1の伸縮に対応させるためには、下部部材101と床材1との間に所定の間隔をとり、上部部材102でこの隙間を蓋をするように隠すこともできる。スペーサ107を用いない例では、下部部材101よりも幅広い上部部材102の水平部106の両側部分を長くして床材1の大きな伸縮差等に対応しようとすると、仕上りの見切幅が広くなり外観上好ましくなく、かつその部分を踏み込んだときに水平部106の両側が破損するおそれもあった。特に、水平部106の厚さは、バリアフリーの要請から薄くする傾向(3mm以下)にあるため、中央杆105よりも左右両側に伸びる水平部106の両側が、下部部材101と床材1との間の隙間に広くかかると、この個所の破損のおそれが大きくなる。前記スペーサ107は、作業者が下部部材101と床材1との間に、適当な隙間(床材1の伸縮に応じた)を均一かつ確実にとりやすいように作業上の目安とするために設けられるが、施工後に床材1が伸びてスペーサ107が床材1に押されたときでも容易に変形するような素材から構成されたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来例では、スペーサを使用するためにその部品のコスト分だけは上昇してしまう。また、床材の長さ方向における伸縮のみならず、床材に反りが生じて端部上面が必ずしも水平ではなくなることもあり、この端部が反った状態では水平部両側と床材上面との間に隙間が生じ、この隙間にゴミがたまるという問題もあった。さらに、上部部材に薄くても強度がある材質のものを用いれば、床材間の隙間を広くしたとき、その隙間を覆う水平部を踏み込んだ場合でも割れたり、折れたりの破損は防止できるので、スペーサを使用しないことも考えられるが、可撓性を要求される下部部材が強度的に向上した上部部材と嵌合するときに下部部材が割れてしまうおそれもあった。
【0004】
そこで、この発明は、部品点数も少なく、安価に提供することができ、施工作業も簡単で、強度的にも十分なものとなり、床材上面と上部部材との隙間が生じにくい床見切を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、この発明は、床材間の挟まれて設置される下部部材にこの下部部材よりも表面が幅広に形成されその両側部下面が隣り合う床材の端部上側に当接する上部部材を嵌合してなる床見切において、前記下部部材を底壁部とこの底壁部両端から立ち上がった一対の立壁部とから成る断面略U字状に形成し、前記上部部材を下部部材の立壁部に嵌合する一対の立下り片とこれら立下り片の基部が連成された水平部とから形成し、前記下部部材の本体部分を立壁部が外方に拡がり戻る可撓性を備えた合成樹脂材料から形成するとともに、底壁部の下面中央部に長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る軟質部を形成し、前記上部部材の本体部分を木粉を混入した合成樹脂材料から成形された合成木材で形成するとともに、水平部の両側部下面に長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る密着部を形成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の好適な実施例を図面を参照にして説明する。
【0007】
図1において、フローリングボードから成る床材1の間に下部部材10を設置し、この下部部材10にこの下部部材10よりも表面が幅広に形成され、その両側部11Aの下面が隣り合う床材1の端部上側に当接する上部部材11を嵌合して床見切を構成している。下部部材10は、底壁部10Aとこの底壁部10Aの両端から立ち上がった一対の立壁部10Bとから成り、断面形状が略U字状に形成されている。前記上部部材11は、下部部材10の立壁部10Bに嵌合する一対の立下り片11Bとこれら立下り片11Bの基部が連成された水平部11Cとから形成され、水平部11Cの両側に前述の両側部11Aが連成されている。両側部11Aの上側端部は面取り加工が施され、緩やかな曲面形状をなす曲面部Rに形成されている。また、この実施例の床見切における上部部材11の水平部11Cの厚さは2.5mmとした。
【0008】
図2は、下部部材10の詳細を示す断面であり、立壁部10Bの上端側の内側面には内側へ膨らんだ膨出部10Cを形成してある。また、底壁部10Aの下面中央部には長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る軟質部20を形成してある。この軟質部20以外の下部部材10の本体部分は、立壁部10Bが外方に拡がり戻る可撓性を備えた合成樹脂材料から形成してある。使用する合成樹脂材料としては、発泡剤を混ぜたABS樹脂ペレットを押出成形したものが好適に使用できる。また、本体部を成形するときに、軟質部20も同時に成形する特殊な押出成形である2色成形法により成形することが好ましい。また、底壁部10Aの中央部の厚さは両側部分の厚さよりも厚く形成してある。この実施例では、この底壁部10Aの厚みのある中央部分の幅を10mmとし、軟質部20の厚さを0.5mm、この軟質部20の厚みを除いた底壁部10Aの中央部分の厚さを3mmとし、両側部分の底壁部10Aの厚さは2.5mmとした。また、全幅は27mmとし、立壁部10Bの高さは11.8mmとした。さらに、膨出部10Cの立壁部10Bからの膨出度合いは1mmとした。そして、膨出部10Cの最大厚み個所は3mmとしてある。前記底壁部10Aの中央部分の上面には釘やビス等の止着具23を打ち込むための溝21を形成してある。図2中における寸法の表示の単位はmmである。
【0009】
図3は上部部材11の詳細を示す断面図であり、立下り片11Bの下端側の外側面に外側へ膨らんだ係合突部11Dが形成されている。この係合突部11Dが下部部材10の膨出部10Cを乗り越えて、このとき立壁部10Bは外側に開き、膨出部10Cの下側の立壁部10B内側面に係合突部11Dが比較的強く当接することにより、上部部材11が下部部材10に係合する。係合突部11Dが膨出部10Cの下側に入り込むと外側に開いていた立壁部10Bが元に戻り、上部部材11の上方への抜け並びに長手方向へのスライドも防止する。また、上部部材11は、その水平部11Cの両側部11Aの下面に長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る密着部22を形成してある。この密着部22を除く上部部材11の本体部は木粉を混入した熱可塑性樹脂材料から成形された低発泡の合成木材で形成され、水平部11Cの両側部11Aの下面に設けた密着部22は、本体部分の成形時に同時に一体成形される(2色成形)。この実施例における上部部材11は、水平部11Cの全体の幅が35mmとし、立下り片11Bは8mmの長さとし、係合突部11Dの突出具合は0.7mmとしてある。この係合突部11Dの最大厚みは3.2mmとした。密着部22の幅は4mm、厚みは0.5mmとした。図3中における寸法の表示の単位はmmである。
【0010】
前記軟質部20や密着部22を形成する熱可塑性エラストマー(TPE)は、常温では加硫ゴムの性質を示すが、高温になると塑性変形が可能となって、プラスチックの加工機で成形できる高分子材料であり、ゴムとプラスチックの中間的な性質を有している。このTPEと呼ばれる材料のうち塩化ビニル系以外のスチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,ウレタン系,エステル系,アミド系,ふっ素系のいずれかを用いるのが望ましい。また、ハロゲン系添加剤は使用しない。ハロゲン化合物は環境への悪影響が懸念されるためである。前記スチレン系TPEには、SBS,SIS,SEBSの3タイプがあり、加硫ゴムに最も近い性質を有しているので、密着部22に向いている。オレフィン系TPEは比重が最も軽く、ウレタン系TPEは耐摩耗性、耐屈曲性に優れているので、前記軟質部20に向いている。また、エステル系TPEは、機械的強度には優れているが、柔軟な製品が得られにくい。アミド系TPEは、強靭性に優れているが、ゴム弾性に乏しく、ふっ素系TPEは、多くの物性に優れているが、最も高価である。したがって、軟質部20や密着部22に適したTPEは、スチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,ウレタン系である。
【0011】
前記上部部材11の本体部分を形成する合成木材は、木粉と発泡剤を混ぜたASA樹脂(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)ペレットを押出成形したものが好適に使用できる。熱可塑性樹脂材料としては、ASA樹脂の他にポリプロピレンやポリエチレンも使用可能である。
【0012】
上部部材11と下部部材10との嵌合手段としては、係合突部11Dが膨出部10Cを乗り越えて嵌合するが、立下り片11Bの外側面に波状の多数の凹凸を形成し、立壁部10Bの内側面にも多数の波状凹凸を形成し、凹凸嵌合にすることもできる。
【0013】
上述したような下部部材10と上部部材11は、図1に示すように下部部材10の幅方向中央個所において適宜間隔を設けて釘等の止着具23で床下地100に固着する。このとき、床材1と立壁部10Bとの間には床材1の伸縮を考えて所定の隙間を開けておくようにする。このようにして床下地100に止着具23で下部部材10を固着したのち、上部部材11を上方から下部部材10に差し込んで嵌合させる。このとき、上部部材11の密着部22は床材1の上面に密着する。さらに、バリアフリーを図るために、水平部11C自体の厚さを薄くするのみならず、両側部11Aの上面側上端を面取り加工し、緩やかな曲面形状をなす曲面部Rに形成してある。止着具23は軟質部20を貫通して床下地100に打ち込まれている。この軟質部20の存在により上部部材11を下部部材10に嵌合させるときに、立壁部10Bが外側に開いたとき或いは止着具23を打ち込んだときに下部部材10の割れ等の破損を防止できる。また、床材1を木質系の材料で形成したとき、その端部に反りが生じたりして、両側部11Aの下面と床材1との間に隙間が生じ、このような隙間にゴミがたまり易いが、この実施例では密着部22を設けてあるために、床材1との密着性が良くなる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、下部部材にはTPEから成る軟質部を設け、上部部材にもTPEから成る密着部を設けたことにより、下部部材の床下地への固着を図る際に下部部材が割れたりするおそれをなくし、さらに上部部材を下部部材に嵌合させるときに下部部材の立壁部が外側に拡がり、下部部材固定個所に割れが生ずるおそれがあるが、このような割れの発生も軟質部の存在により抑制することができる。さらに木質系の床材に反り等が生じた場合でも、上部部材の両側部下面と床材との間に密着部が介在することにより隙間が生じ難くなる。また、上部部材の本体部分は、木粉を混入した熱可塑性樹脂材料から成形された合成木材で形成してあるので、木質系の床材とのマッチングもよく、外観も良好となるとともに、強度的にも優れたものとなり、水平部の厚さを薄くすることができ、バリアフリーに役立つ。また、嵌合手段として、下部部材の立壁部上端側の内側面に内側へ膨らんだ膨出部を形成し、上部部材の立下り片の下端側の外側面に外側へ膨らんだ係合突部を形成し、この係合突部が膨出部を乗り越えて膨出下側の立壁部内側面に当接する構成としてあるので、下部部材に上部部材を嵌合させるだけでよく、床見切を施工する作業効率が向上し、部品点数も少なく、コスト面でも有利である。
【0015】
さらに、下部部材の本体部分と軟質部とは2色成形法により一体成形するので、成形時間の短縮とコストダウンを図ることができ、かつ成形されたものが強固に一体化される。同様のことは上部部材における密着部と本体部分を2色成形法により一体成形することによりコストダウン並びに成形品の一体性が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の好適な実施例を示す断面図。
【図2】下部部材の断面図。
【図3】上部部材の断面図。
【図4】従来例を示す断面図。
【符号の説明】
1 床材
10 下部部材
10A 底壁部
10B 立壁部
10C 膨出部
11 上部部材
11A 両側部
11B 立下り片
11D 係合突部
11C 水平部
20 軟質部
22 密着部
100 床下地
【発明の属する技術分野】
この発明は、フローリングボード仕上げ等の床に使用される床見切に関する。
【0002】
【従来の技術】
床見切は、通常、部屋の開口部に設けられ、木質床材のように空気中の湿度変化によって伸縮する床材にも十分適用できるようにしたものとしては、特開2002−70302号公報に記載のものが知られている。これは、図4に示すように、下部部材(見切受材)101と、この下部部材101よりも表面が幅広に形成され下部部材101に嵌合する上部部材(見切材)102とから成る。この下部部材101は、床下地100に釘103で固定され、両側から立上った一対の部材104の内側に一対の膨出部104Aが形成され、かつ隙間確保用のスペーサ107が設けられている。上部部材102は、前記2つの膨出部104A間に係合する係合突部105Aを有する中央杆105とこの中央杆105の基部がつながる水平部106とから成る。木質系の床材1の間に上述したような床見切が設けられ、床材1の伸縮にスペーサ107が対応するようになっている。このようなスペーサ107を用いずに、床材1の伸縮に対応させるためには、下部部材101と床材1との間に所定の間隔をとり、上部部材102でこの隙間を蓋をするように隠すこともできる。スペーサ107を用いない例では、下部部材101よりも幅広い上部部材102の水平部106の両側部分を長くして床材1の大きな伸縮差等に対応しようとすると、仕上りの見切幅が広くなり外観上好ましくなく、かつその部分を踏み込んだときに水平部106の両側が破損するおそれもあった。特に、水平部106の厚さは、バリアフリーの要請から薄くする傾向(3mm以下)にあるため、中央杆105よりも左右両側に伸びる水平部106の両側が、下部部材101と床材1との間の隙間に広くかかると、この個所の破損のおそれが大きくなる。前記スペーサ107は、作業者が下部部材101と床材1との間に、適当な隙間(床材1の伸縮に応じた)を均一かつ確実にとりやすいように作業上の目安とするために設けられるが、施工後に床材1が伸びてスペーサ107が床材1に押されたときでも容易に変形するような素材から構成されたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来例では、スペーサを使用するためにその部品のコスト分だけは上昇してしまう。また、床材の長さ方向における伸縮のみならず、床材に反りが生じて端部上面が必ずしも水平ではなくなることもあり、この端部が反った状態では水平部両側と床材上面との間に隙間が生じ、この隙間にゴミがたまるという問題もあった。さらに、上部部材に薄くても強度がある材質のものを用いれば、床材間の隙間を広くしたとき、その隙間を覆う水平部を踏み込んだ場合でも割れたり、折れたりの破損は防止できるので、スペーサを使用しないことも考えられるが、可撓性を要求される下部部材が強度的に向上した上部部材と嵌合するときに下部部材が割れてしまうおそれもあった。
【0004】
そこで、この発明は、部品点数も少なく、安価に提供することができ、施工作業も簡単で、強度的にも十分なものとなり、床材上面と上部部材との隙間が生じにくい床見切を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、この発明は、床材間の挟まれて設置される下部部材にこの下部部材よりも表面が幅広に形成されその両側部下面が隣り合う床材の端部上側に当接する上部部材を嵌合してなる床見切において、前記下部部材を底壁部とこの底壁部両端から立ち上がった一対の立壁部とから成る断面略U字状に形成し、前記上部部材を下部部材の立壁部に嵌合する一対の立下り片とこれら立下り片の基部が連成された水平部とから形成し、前記下部部材の本体部分を立壁部が外方に拡がり戻る可撓性を備えた合成樹脂材料から形成するとともに、底壁部の下面中央部に長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る軟質部を形成し、前記上部部材の本体部分を木粉を混入した合成樹脂材料から成形された合成木材で形成するとともに、水平部の両側部下面に長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る密着部を形成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の好適な実施例を図面を参照にして説明する。
【0007】
図1において、フローリングボードから成る床材1の間に下部部材10を設置し、この下部部材10にこの下部部材10よりも表面が幅広に形成され、その両側部11Aの下面が隣り合う床材1の端部上側に当接する上部部材11を嵌合して床見切を構成している。下部部材10は、底壁部10Aとこの底壁部10Aの両端から立ち上がった一対の立壁部10Bとから成り、断面形状が略U字状に形成されている。前記上部部材11は、下部部材10の立壁部10Bに嵌合する一対の立下り片11Bとこれら立下り片11Bの基部が連成された水平部11Cとから形成され、水平部11Cの両側に前述の両側部11Aが連成されている。両側部11Aの上側端部は面取り加工が施され、緩やかな曲面形状をなす曲面部Rに形成されている。また、この実施例の床見切における上部部材11の水平部11Cの厚さは2.5mmとした。
【0008】
図2は、下部部材10の詳細を示す断面であり、立壁部10Bの上端側の内側面には内側へ膨らんだ膨出部10Cを形成してある。また、底壁部10Aの下面中央部には長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る軟質部20を形成してある。この軟質部20以外の下部部材10の本体部分は、立壁部10Bが外方に拡がり戻る可撓性を備えた合成樹脂材料から形成してある。使用する合成樹脂材料としては、発泡剤を混ぜたABS樹脂ペレットを押出成形したものが好適に使用できる。また、本体部を成形するときに、軟質部20も同時に成形する特殊な押出成形である2色成形法により成形することが好ましい。また、底壁部10Aの中央部の厚さは両側部分の厚さよりも厚く形成してある。この実施例では、この底壁部10Aの厚みのある中央部分の幅を10mmとし、軟質部20の厚さを0.5mm、この軟質部20の厚みを除いた底壁部10Aの中央部分の厚さを3mmとし、両側部分の底壁部10Aの厚さは2.5mmとした。また、全幅は27mmとし、立壁部10Bの高さは11.8mmとした。さらに、膨出部10Cの立壁部10Bからの膨出度合いは1mmとした。そして、膨出部10Cの最大厚み個所は3mmとしてある。前記底壁部10Aの中央部分の上面には釘やビス等の止着具23を打ち込むための溝21を形成してある。図2中における寸法の表示の単位はmmである。
【0009】
図3は上部部材11の詳細を示す断面図であり、立下り片11Bの下端側の外側面に外側へ膨らんだ係合突部11Dが形成されている。この係合突部11Dが下部部材10の膨出部10Cを乗り越えて、このとき立壁部10Bは外側に開き、膨出部10Cの下側の立壁部10B内側面に係合突部11Dが比較的強く当接することにより、上部部材11が下部部材10に係合する。係合突部11Dが膨出部10Cの下側に入り込むと外側に開いていた立壁部10Bが元に戻り、上部部材11の上方への抜け並びに長手方向へのスライドも防止する。また、上部部材11は、その水平部11Cの両側部11Aの下面に長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る密着部22を形成してある。この密着部22を除く上部部材11の本体部は木粉を混入した熱可塑性樹脂材料から成形された低発泡の合成木材で形成され、水平部11Cの両側部11Aの下面に設けた密着部22は、本体部分の成形時に同時に一体成形される(2色成形)。この実施例における上部部材11は、水平部11Cの全体の幅が35mmとし、立下り片11Bは8mmの長さとし、係合突部11Dの突出具合は0.7mmとしてある。この係合突部11Dの最大厚みは3.2mmとした。密着部22の幅は4mm、厚みは0.5mmとした。図3中における寸法の表示の単位はmmである。
【0010】
前記軟質部20や密着部22を形成する熱可塑性エラストマー(TPE)は、常温では加硫ゴムの性質を示すが、高温になると塑性変形が可能となって、プラスチックの加工機で成形できる高分子材料であり、ゴムとプラスチックの中間的な性質を有している。このTPEと呼ばれる材料のうち塩化ビニル系以外のスチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,ウレタン系,エステル系,アミド系,ふっ素系のいずれかを用いるのが望ましい。また、ハロゲン系添加剤は使用しない。ハロゲン化合物は環境への悪影響が懸念されるためである。前記スチレン系TPEには、SBS,SIS,SEBSの3タイプがあり、加硫ゴムに最も近い性質を有しているので、密着部22に向いている。オレフィン系TPEは比重が最も軽く、ウレタン系TPEは耐摩耗性、耐屈曲性に優れているので、前記軟質部20に向いている。また、エステル系TPEは、機械的強度には優れているが、柔軟な製品が得られにくい。アミド系TPEは、強靭性に優れているが、ゴム弾性に乏しく、ふっ素系TPEは、多くの物性に優れているが、最も高価である。したがって、軟質部20や密着部22に適したTPEは、スチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,ウレタン系である。
【0011】
前記上部部材11の本体部分を形成する合成木材は、木粉と発泡剤を混ぜたASA樹脂(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)ペレットを押出成形したものが好適に使用できる。熱可塑性樹脂材料としては、ASA樹脂の他にポリプロピレンやポリエチレンも使用可能である。
【0012】
上部部材11と下部部材10との嵌合手段としては、係合突部11Dが膨出部10Cを乗り越えて嵌合するが、立下り片11Bの外側面に波状の多数の凹凸を形成し、立壁部10Bの内側面にも多数の波状凹凸を形成し、凹凸嵌合にすることもできる。
【0013】
上述したような下部部材10と上部部材11は、図1に示すように下部部材10の幅方向中央個所において適宜間隔を設けて釘等の止着具23で床下地100に固着する。このとき、床材1と立壁部10Bとの間には床材1の伸縮を考えて所定の隙間を開けておくようにする。このようにして床下地100に止着具23で下部部材10を固着したのち、上部部材11を上方から下部部材10に差し込んで嵌合させる。このとき、上部部材11の密着部22は床材1の上面に密着する。さらに、バリアフリーを図るために、水平部11C自体の厚さを薄くするのみならず、両側部11Aの上面側上端を面取り加工し、緩やかな曲面形状をなす曲面部Rに形成してある。止着具23は軟質部20を貫通して床下地100に打ち込まれている。この軟質部20の存在により上部部材11を下部部材10に嵌合させるときに、立壁部10Bが外側に開いたとき或いは止着具23を打ち込んだときに下部部材10の割れ等の破損を防止できる。また、床材1を木質系の材料で形成したとき、その端部に反りが生じたりして、両側部11Aの下面と床材1との間に隙間が生じ、このような隙間にゴミがたまり易いが、この実施例では密着部22を設けてあるために、床材1との密着性が良くなる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、下部部材にはTPEから成る軟質部を設け、上部部材にもTPEから成る密着部を設けたことにより、下部部材の床下地への固着を図る際に下部部材が割れたりするおそれをなくし、さらに上部部材を下部部材に嵌合させるときに下部部材の立壁部が外側に拡がり、下部部材固定個所に割れが生ずるおそれがあるが、このような割れの発生も軟質部の存在により抑制することができる。さらに木質系の床材に反り等が生じた場合でも、上部部材の両側部下面と床材との間に密着部が介在することにより隙間が生じ難くなる。また、上部部材の本体部分は、木粉を混入した熱可塑性樹脂材料から成形された合成木材で形成してあるので、木質系の床材とのマッチングもよく、外観も良好となるとともに、強度的にも優れたものとなり、水平部の厚さを薄くすることができ、バリアフリーに役立つ。また、嵌合手段として、下部部材の立壁部上端側の内側面に内側へ膨らんだ膨出部を形成し、上部部材の立下り片の下端側の外側面に外側へ膨らんだ係合突部を形成し、この係合突部が膨出部を乗り越えて膨出下側の立壁部内側面に当接する構成としてあるので、下部部材に上部部材を嵌合させるだけでよく、床見切を施工する作業効率が向上し、部品点数も少なく、コスト面でも有利である。
【0015】
さらに、下部部材の本体部分と軟質部とは2色成形法により一体成形するので、成形時間の短縮とコストダウンを図ることができ、かつ成形されたものが強固に一体化される。同様のことは上部部材における密着部と本体部分を2色成形法により一体成形することによりコストダウン並びに成形品の一体性が確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の好適な実施例を示す断面図。
【図2】下部部材の断面図。
【図3】上部部材の断面図。
【図4】従来例を示す断面図。
【符号の説明】
1 床材
10 下部部材
10A 底壁部
10B 立壁部
10C 膨出部
11 上部部材
11A 両側部
11B 立下り片
11D 係合突部
11C 水平部
20 軟質部
22 密着部
100 床下地
Claims (7)
- 床材間の挟まれて設置される下部部材にこの下部部材よりも表面が幅広に形成されその両側部下面が隣り合う床材の端部上側に当接する上部部材を嵌合してなる床見切において、
前記下部部材を底壁部とこの底壁部両端から立ち上がった一対の立壁部とから成る断面略U字状に形成し、
前記上部部材を下部部材の立壁部に嵌合する一対の立下り片とこれら立下り片の基部が連成された水平部とから形成し、
前記下部部材の本体部分を立壁部が外方に拡がり戻る可撓性を備えた合成樹脂材料から形成するとともに、底壁部の下面中央部に長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る軟質部を形成し、
前記上部部材の本体部分を木粉を混入した合成樹脂材料から成形された合成木材で形成するとともに、水平部の両側部下面に長手方向に沿って軟質な熱可塑性エラストマーから成る密着部を形成したことを特徴とする床見切。 - 前記下部部材と上部部材との嵌合手段は、下部部材の立壁部上端側の内側面に内側へ膨らんだ膨出部を形成し、上部部材の立下り片の下端側の外側面に外側へ膨らんだ係合突部を形成し、この係合突部が膨出部を乗り越えて膨出部下側の立壁部内側面に当接する構成としたことを特徴とした請求項1に記載の床見切。
- 前記下部部材は、本体部分がABS樹脂発泡成形品から形成され、軟質部を形成する熱可塑性エラストマーとしてはスチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,ウレタン系から選択され、2色成形法により一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の床見切。
- 前記上部部材は、本体部分がASA樹脂に木粉と発泡剤を混入した発泡成形品から形成され、密着部を形成する熱可塑性エラストマーとしてはスチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,ウレタン系から選択され、2色成形法により一体成形されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の床見切。
- 前記下部部材の底壁部の軟質部形成個所に釘等の止着具を打ち込んで下部部材を下地材に固定するように構成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の床見切。
- 前記上部部材の水平部の両側部上面側の両端は面取り加工を施して緩やかな曲面形状をなす曲面部に形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の床見切。
- 前記下部部材の底壁部の幅方向における中央部の厚みを他の部分よりも厚くしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の床見切。
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JP2002174520A JP2004019212A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | 床見切 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005188216A (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-14 | Kaidaa Giken:Kk | 敷居見切 |
JP2006265985A (ja) * | 2005-03-25 | 2006-10-05 | Tec:Kk | 巾木 |
JP2011246933A (ja) * | 2010-05-26 | 2011-12-08 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 階段巾木カバー |
-
2002
- 2002-06-14 JP JP2002174520A patent/JP2004019212A/ja active Pending
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