JP2004018714A - ポリアミド樹脂組成物及びフィルム - Google Patents

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大山 一
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角田 守男
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Abstract

【課題】極めて透明性に優れたポリアミド樹脂組成物およびポリアミド樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)中に、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)を、数平均直径0.01〜1μmで分散してなり、かつ該(A)100重量部に対し、該(B)の量が0.01〜5重量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物および該組成物からなるフィルムである。また、ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)と、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)を、該ポリアミド(B)の融点よりも高温で2軸押出機にて溶融混練し、ペレット化した後、製膜してなることを特徴とするポリアミド樹脂フィルムである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂組成物、及びそれからなるフィルムに関し、詳しくは空冷インフレーション法で成形された場合にも、透明性と滑り性に優れたポリアミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は強度、柔軟性、透明性、耐熱性、耐薬品性、ガスバリアー性等に優れ、フィルムに成形され、食品包材、医療用包材などの包装用途や容器用途に広く利用されている。該フィルムの成形方法としては、比較的低コストで生産されるので空冷インフレーション法が多く用いられている。しかしながら、一般に空冷インフレーション法により成形されたフィルムは、水冷インフレーション法にて成形されたフィルムに比べて、透明性が劣るという大きな欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、極めて透明性に優れたポリアミド樹脂組成物およびポリアミド樹脂フィルムを提供することにあり、特に空冷インフレーション法で成形された場合に、その効果が顕著なポリアミド樹脂フィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題を解決すべく様々な検討を行った結果、ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)に、融点の高いポリアミド(B)を所定の分散粒径となるように含有させ、更に必要に応じて特定の粒径のフィラーと組み合わせることで、極めて高い透明性と十分な滑り性に富んだポリアミド樹脂フィルムが得られることを見出したものである。
すなわち、本発明の要旨は、ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)中に、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)を、数平均直径0.01〜1μmで分散してなり、且つ該(A)100重量部に対し、該(B)の量が0.01〜5重量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物からなるポリアミド樹脂フィルムに存する。
【0005】
また、別の観点から、本発明によって、ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)と、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)とを、該ポリアミド(B)の融点よりも高温で2軸押出機にて溶融混練し、ペレット化した後、製膜してなることを特徴とするポリアミド樹脂フィルム;およびε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)と、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)とを、該ポリアミド(B)の融点よりも高温で2軸押出機にて溶融混練する工程と、前記溶融混練物をペレット化する工程と、前記ペレットを製膜する(好ましくは空冷インフレーションにより製膜する)工程とを有するポリアミド樹脂フィルムの製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリアミド(A)は、少なくともε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミドである。ここで「ε−カプロラクタムを主構成単位とする」とは、−[NH−(CH−CO]−で表されるε−カプロラクタム由来の構成単位が、全構成単位の50mol%以上であることを意味する。全構成単位の60mol%以上が前記構成単位であるのが好ましい。すなわち、本発明におけるポリアミド(A)は、ε−カプロラクタムの開環重合体であるポリアミド6の他、ε−カプロラクタム由来の構成単位を前記範囲で含む限り、共重縮合体であってもよい。
【0007】
前記ポリアミド(A)の構成単位となり得る、ε−カプロラクタム由来以外の構成単位としては、3員環以上の他のラクタム、重合可能なアミノカルボン酸、または、二塩基酸とジアミンなどからの由来の構成単位が挙げられる。より具体的には、プロピオラクタム、α−ピロリドン、ω−カプリルラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム類、アミノカプロン酸、7ーアミノヘプタン酸、11ーアミノウンデカン酸、9ーアミノノナン酸などのアミノカルボン酸、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸などからの由来の構成単位が挙げられる。
前記ポリアミド(A)としては、ポリアミド6、共重合ポリアミド6/6−6、6/12、6/6T等が好ましく用いられる。
【0008】
また、本発明において、ポリアミド(A)としては、複数種のポリアミドの混合物であってもよい。この場合、少なくとも1つのポリアミドがε−カプロラクタムを構成単位とする樹脂であって、該樹脂の割合が、ポリアミド(A)として使用される樹脂全体の量の60重量%以上、好ましくは70重量%以上であればよい。
このような混合物の場合に組み合わせるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミド7、8、11、12、6−6、6−9、6−10、6−11、6−12、MXD6などが挙げられる。
本発明において、ポリアミド(A)としては、好ましくは、ポリアミド6、共重合ポリアミド6/6−6、ポリアミド6と共重合ポリアミド6/6−6の混合物が挙げられる。
【0009】
また、ポリアミド(B)としては、Tm≧270℃(TmはDSCで昇温速度20℃/minで測定した融解曲線のピーク温度であるポリアミド融点をいう)のポリアミド樹脂であれば特に限定されないが、好ましくはポリアミド46(Tm=290℃)、ポリアミド6T/6I(Tm=320℃)、ポリアミド6T/6I/6−6(Tm=310℃)が挙げられる。
これらポリアミド(A)又は(B)は、その末端が、カルボン酸またはアミンで封止されていてもよい。封止する場合は炭素数6〜22のカルボン酸またはアミンを用いるのが好ましい。封止に用いるカルボン酸としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。封止に用いるアミンとしては、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミンなどの脂肪族第一級アミンが挙げられる。封止に使用するカルボン酸またはアミンの量は、20〜40μeq/g程度が好ましい。
【0010】
ポリアミド(A)の相対粘度は、JIS K6810に従って98%硫酸中濃度1重量%、温度25℃で測定した値で、好ましくは2.0〜6.5である。相対粘度が2.0未満であると溶融粘度が小さいため成形が困難になり、6.5を越えると溶融流動性が不十分である。ポリアミド樹脂の相対粘度は、JIS K6810に従って98%硫酸中濃度1重量%、温度25℃で測定した値で、より好ましくは2.5〜6.0である。
【0011】
本発明の組成物およびフィルムの一態様においては、ポリアミド(B)がポリアミド(A)中に分散し、その分散径の数平均直径が0.01〜1μmの範囲で存在することが必要である。該ポリアミド(B)の分散径は、成形品又はフィルムをリンタングステン酸で染色した場合、ポリアミド(B)の分散粒子は染色されないでドメインとして存在するため、透過型電子顕微鏡により観察することにより求めることができる。該ポリアミド(B)の分散径が所定の範囲より大きいと光拡散が大きくなり、透明性は悪化する。ポリアミド(B)の分散径の数平均直径好は、好ましくは0.01〜0.3μmである。この分散径は、ポリアミド(A)とポリアミド(B)とを溶融混練して組成物とした状態(ペレット)で測定しても、前記組成物をフィルム成形した状態で測定しても、このような分散状態を変化させるような条件、例えばポリアミド(B)の融点温度を越えるような成形温度で製膜しなければ、この分散状態が維持されるので、いずれの状態で測定してもよい。
【0012】
本発明において、ポリアミド(B)の配合量は、ポリアミド(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部であり、好ましくは0.03〜3重量部である。0.01重量部より少ないと、フィルムの透明性が得られない。また、5重量部を超えると安定的なフィルム成形ができなくなる。
【0013】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)中にポリアミド(B)を前記範囲の分散径で分散させることによって製造することができる。ポリアミド(A)中にポリアミド(B)を分散させる方法としては、ポリアミド(B)の分散粒径が0.01〜1μmになっていれば特に制限はないが、ポリアミド(A)とポリアミド(B)とを該ポリアミド(B)の融点(Tm)よりも高温で溶融混練するのがよい。好ましくは295℃より高く320℃以下の温度で溶融混練するのが好ましい。
なお、溶融混練法には、該ポリアミド(A)にポリアミド(B)を所定の量より高濃度で配合し、溶融混練してマスターバッチを作製し、これを成形時にポリアミド(A)で溶融混練あるいはドライブレンドにより希釈する方法も含まれる。この場合、マスターバッチを作製する溶融混練の際、又はマスターバッチをポリアミド(A)で希釈する工程での溶融混練の際のいずれかの温度を、該ポリアミド(B)の融点より高い温度で実施すればよいが、特にマスターバッチを作製する際の溶融混練の温度をポリアミド(B)の融点より高い温度とするのがよい。なお、溶融混練は、上記のように、ポリアミド(B)をポリアミド(A)中に所定の粒径に微分散できる方法であれば、限定されないが、特に溶融混練は、該微分散の方法として適している。本発明では、ポリマーアロイやGF、タルク等の無機フィラー強化材料を、溶融混練する場合に用いられる二軸押出機を使用するのが好ましい。詳しくは、L/Dが27以上あり、スクリュにニーディングゾーンを少なくとも1カ所以上設けた、いわゆるコンパウンド用二軸押出機、例えば日本製鋼所製TEXや東芝機械製TEM等が挙げられる。
【0014】
なお、ポリアミド6等のポリアミドに、ナイロン46の微粉末を配合し、ナイロン46の融点より高い温度で溶融成形して高結晶化したポリアミドの延伸糸を得る方法が特開昭58−201844号公報に記載されている。しかしこの方法では、該微粉末の大きさとして、50メッシュ(目開き約0.3mm)や100メッシュ(目開き約0.15mm)通過のものを、ポリアミド6等の樹脂にドライブレンドし、ナイロン46の融点より高い温度で成形している。該公報で、成形時に用いられている成形機や紡糸用押出機は、いわゆる可塑化を目的としたものであり、たとえナイロン46の融点より高い温度で成形したとしても、ナイロン46の分散粒径として、本願発明で規定するポリアミド(B)の数値範囲の分散粒径である0.01〜1μmを得ることは通常は不可能であり、本発明とは別異の技術であると言える。
【0015】
本発明のポリアミド樹脂製フィルムが、フィラーを含有していると、表面の滑り性に優れたフィルムとなるので好ましい。本発明においては、フィラー(C)として、無機化合物、有機化合物およびこれらの混合物を用いることができる。無機化合物としては、ゼオライト、タルク、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、酸化亜鉛、ハイドロタルサイトなどの各種天然鉱物や合成物が挙げられ、好ましくはゼオライト及びシリカが挙げられる。有機化合物としては、各種ポリマーの粒状物、微粉、解砕品などが挙げられるが、好ましくは架橋ポリメタクリル酸メチル(架橋PMMA)が挙げられる。
【0016】
該フィラー(C)の数平均粒径は、0.5〜15μmであるのが好ましく、3〜13μmであるのがより好ましい。フィラーの粒径が15μmより大きいと、フィラー自体の光散乱が大きくなり、フィルムの透明性が悪化する傾向があり、また、0.5μmより小さいと、フィラー添加による滑り性の効果が得られない場合がある。
フィラーの粒径はコールターカウンター法やレーザー回折法による測定方法や、電子顕微鏡観察により測定することができる。
【0017】
フィラー(C)の添加量は、ポリアミド(A)100重量部に対して、0.001〜1重量部であるのが好ましい。0.001重量部未満ではフィルムの滑り性が得られない場合があり、1重量部を越えるとフィルムの透明性が悪化する傾向がある。
【0018】
本発明におけるポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤や離型剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、染料、顔料、難燃剤、展着剤などの添加剤を含有することができる。ポリアミド樹脂にこのような添加剤を配合する方法としては、ポリアミド樹脂の重合過程で添加したり、重合後のポリアミド樹脂にドライブレンドしたり、ポリアミド樹脂とともに溶融混練したり、高濃度のマスターバッチを作製し、これを成形時に希釈して使用するなど、任意の配合方法に従って行うことができる。
【0019】
本発明のポリアミド樹脂フィルムは、前記ポリアミド樹脂組成物を成形し、製膜してなるポリアミド樹脂フィルムであり、単層フィルムであっても積層フィルムであってもよい。本発明のポリアミド樹脂フィルムの製造方法としては、公知の方法で成形することができる。たとえば前記樹脂原料を溶融したものを連続的にT−ダイより押出し、キャスティングロールにて冷却しながらフィルム状に成形するT−ダイ法、環状のダイスより連続的に押出し、水を接触させて冷却する水冷インフレーション法、同じく環状のダイスより押出し、空気によって冷却する空冷インフレーション法などが用いられる。また、これらの成形法で他の原料を同時に押し出す共押出法で多層のフィルムを得ることもできる。フィルムの製造法では、一般に水冷インフレーション法は透明性が優れているので、本発明の効果は必ずしも顕著ではない。本発明は、特に、空冷インフレーション法を用いたフィルム成形法において、効果を発揮する。
【0020】
更に本発明のポリアミド樹脂フィルムは、延伸処理が施されていてもよい。延伸方法についても工業的には公知の方法が応用でき、例えば、環状ダイより成形したチューブ状フィルムについては、上記の逐次2軸法以外に縦横同時に延伸できるチューブラー延伸法が用いられる。
【0021】
本発明のポリアミド樹脂フィルムが積層フィルムである場合、該フィルムは、少なくとも1層が、本発明のポリアミド樹脂組成物からなるフィルムであればよく、即ち、上述したε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)中に、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)を、数平均直径0.01〜1μmで分散してなり(好ましくは、更に数平均粒径が0.5〜15μmの有機及び/又は無機フィラ―(C)を含有してなり)、且つ該(A)100重量部に対し、該(B)の量が0.01〜5重量部である(更に(C)を含む場合は、(C)の量が(A)100重量部に対して0.001〜1重量部である)ポリアミド樹脂組成物からなるフィルムであればよく、他の層は、上記条件を満足しないポリアミド樹脂組成物の層であったり、ポリアミド樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂からなる層であってもよい。本発明では、上記の条件を満たすポリアミド樹脂組成物の層を最外層に用いるのが好ましい。
【0022】
該積層ポリアミド樹脂フィルムは、任意の成形法により製造でき、前記ポリアミド樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0023】
本発明のフィルムの厚みは、単層フィルムである場合、2〜300μm程度であり、積層フィルムである場合、前記ポリアミド樹脂組成物からなる層の厚みは2〜150μm程度であり、積層フィルムとしての厚みは3〜200μm程度である。フィルムの厚みが厚すぎると透明性が低下し、薄すぎると耐ピンホール性や実用上の強度が低下しやすい。本発明のフィルムは、印刷性の改良や、ラミネート性の改良等のために片面、または両面にコロナ処理した後、使用することもできる。
【0024】
本発明のフィルムにおけるヘーズは、JIS K7105に準じた測定法にて、厚み30μmで7%以下であるのが好ましい。ヘーズが7%を越えると透明性が不十分になり、用途によってはフィルムとしての商品価値が下がる。ヘーズ値はより好ましくは5%以下である。
【0025】
本発明のフィルムにおける静止摩擦係数は、ASTM D1824に準拠した測定法で、23℃、65%RHの条件下において0.6以下であるのが好ましい。静止摩擦係数が3.0を越えると滑り性が不十分となり、フィルム成形以後の工程である印刷、製袋や実際の使用時にフィルムがブロッキングしてしまい、著しく実用性が低下する傾向がある。静止摩擦係数は、より好ましくは0.8以下であり、さらに好ましくは0.6以下である。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
実施例および比較例において用いた原料は次の通りである。
・ポリアミド樹脂
ポリアミド6:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、グレード名 1030J、相対粘度4.5。
ポリアミド6/66:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、グレード名 2030SJ、相対粘度4.5。
ポリアミド46:DSM JSRエンジニアリングプラスチックス(株)製、グレード名 TW300、Tm=290℃。
ポリアミド6T/6I/66:日本ソルベイ(株)製、グレード名 A1000、Tm=310℃。
ポリアミド66:東レ(株)製、グレード名 CM3001N、
Tm=263℃。
・フィラー
水澤化学工業(株)製、ゼオライト、商品名:シルトンAMT−50、平均粒径5.5μm、屈折率1.5。
【0028】
実施例および比較例における評価方法は次の通りである。
▲1▼ 透明性評価方法:東京電色(株)製ヘーズメーターを使用して、JIS K7105に準じて、ヘーズ値を評価した。
▲2▼ 滑り性評価方法:東洋精機(株)製摩擦測定器TR型を用いて、ASTM D1894に準じて、23℃、65%RH条件下にてフィルム外表面同士の静止摩擦係数を評価した。
▲3▼ ポリアミド(B)の数分散粒径評価方法:リンタングステン酸2%溶液でペレットを染色し、日本電子製1200EXII過型電子顕微鏡を用いて観察し、染色されていないドメインとして存在しているポリアミド(B)の粒径を、画像解析ソフトを用いて、検出された約1万個の粒子について数平均粒径を求めた。
【0029】
〔実施例1〕
ポリアミド6の95重量部に対して、ポリアミド46の5重量部を、日本製鋼所製2軸押出機TEX30(L/D=30)を使用し、シリンダ温度:290℃設定、スクリュ回転数:120rpm、吐出量:8kg/hの条件で溶融混練し、ストランドを水冷し、ペレットを得た。このときの、樹脂温度は308℃であった。
得られたペレット2重量部と、ポリアミド6を98重量部(すなわち、ポリアミド46の配合量は、ポリアミド6 100重量部に対して0.1重量部)、フィラーを0.08重量部、エチレンビスステアリルアミド(以下、EBSと称する)0.05重量部をドライブレンドし、プラコー(株)製単層インフレーション製膜機により、250℃で空冷インフレーション成形し、厚さ30μmのポリアミド樹脂製単層フィルムを得た。得られたフィルムのポリアミド46の数平均粒径およびヘーズを測定した。
【0030】
〔実施例2〕
実施例1において、フィラーを使用しなかった以外は同様にして、ポリアミド樹脂製単層フィルムを得た。得られたフィルムのポリアミド46の数平均粒径およびヘーズを測定した。
〔実施例3〕
ポリアミド6の95重量部に対して、ポリアミド6T/6I/66の5重量部を日本製鋼所製2軸押出機TEX30にてシリンダ温度310℃で溶融混練した後、水冷し、ペレットを得た。得られた混練ペレットは実施例1と同様にドライブレンドし、フィルム成形を行い、実施例1と同様に評価を行った。
【0031】
〔実施例4〕
ポリアミド6/66の95重量部に対して、ポリアミド46の5重量部を日本製鋼所製2軸押出機TEX30にてシリンダ温度300℃で溶融混練した後、水冷し、ペレットを得た。得られたペレット2重量部とポリアミド6/66を98重量部(すなわち、ポリアミド46の配合量は0.1重量部)、フィラーを0.08重量部、EBS0.05重量部をドライブレンドし、プラコー(株)製単層インフレーション製膜機により230℃で空冷インフレーション成形し、厚さ30μmのポリアミド樹脂製単層フィルムを得た。得られたフィルムのポリアミド(B)の数平均粒径およびヘーズを測定した。
〔実施例5〕
ポリアミド6/66の95重量部に対して、ポリアミド6T/6I/66の5重量部を日本製鋼所製2軸押出機TEX30にてシリンダ温度310℃で溶融混練した後、水冷し、ペレットを得た。得られた混練ペレットを実施例3と同様にドライブレンドし、フィルム成形を行い、同様に評価した。
〔実施例6〕
実施例5において、フィラーを使用しなかった以外は同様にして、ポリアミド樹脂製単層フィルムを得た。得られたフィルムのポリアミド6T/6I/66の数平均粒径およびヘーズを測定した。
【0032】
〔比較例1〕
ポリアミド6の99.9重量部に対して、予め粉砕処理した平均粒径5.5μmであるポリアミド46を0.1重量部、フィラーを0.08重量部、EBS0.05重量部をドライブレンドし、250℃で空冷インフレーションを行い、厚さ30μmのポリアミド樹脂製単層フィルムを得た。得られたフィルムのポリアミド46の数平均粒径およびヘーズを測定した。
表1に示した結果から明らかな様に、比較例1では、フィルム中のポリアミド46の数平均粒径は、配合時の平均粒径から変化せずに大きいままであり、ヘーズも高く、透明なフィルムは得られなかった。
【0033】
〔比較例2〕
300℃で空冷インフレーションを行う以外は比較例1と同様にして、厚さ
30μmのポリアミド樹脂製単層フィルムを得た。得られたフィルムのポリアミド46の数平均粒径およびヘーズを測定した。
表1に示した結果から明らかな様に、比較例2では、フィルム中のポリアミド46の数平均粒径は、配合時の平均粒径から変化せずに大きいままであり、ヘーズも高く、透明なフィルムは得られなかった。
〔比較例3〕
ポリアミド6の95重量部に対して、ポリアミド66の5重量部を日本製鋼所製2軸押出機TEX30にてシリンダ温度280℃で溶融混練した後、水冷し、ペレットを得た。得られた混練ペレットは実施例1と同様にドライブレンドし、フィルム成形を行った。得られたフィルム中のポリアミド66の数平均分散粒径の測定を試みるも、ポリアミド66はドメインとして確認できなかった。また、ヘーズが高く、透明なフィルムは得られなかった。
【0034】
〔比較例4〕
ポリアミド6/66の99.9重量部に対して、予め粉砕処理した平均粒径5.5μmであるポリアミド46を0.1重量部、フィラーを0.08重量部、EBS0.05重量部をドライブレンドし、230℃にて空冷インフレーション成形を行い、厚さ30μmのポリアミド樹脂製単層フィルムを得た。得られたフィルムのポリアミド46の数平均粒径およびヘーズを測定した。
表1に示す結果から明らかな様に、比較例4では、フィルム中のポリアミド(B)に相当するポリアミド46の数平均粒径は、配合時の粒径から変化せずに大きいままであり、得られたフィルムのヘーズも高くて、透明なフィルムは得られなかった。
〔比較例5〕
ポリアミド6/66の95重量部に対して、ポリアミド66の5重量部を日本製鋼所製2軸押出機TEX30にてシリンダ温度280℃で溶融混練した後、水冷し、ペレットを得た。得られた混練ペレットは実施例3と同様にドライブレンドし、フィルム成形を行った。得られたフィルム中の、ポリアミド66の数平均分散粒径の測定を試みるもポリアミド66はドメインとして確認できなかった。また、ヘーズを測定した。
【0035】
〔比較例6〕
ポリアミド6の100重量部に対して、フィラーを0.08重量部、EBS0.05重量部をドライブレンドしたものを、250℃で空冷インフレーション成形を行いポリアミド単層フィルムを得た。得られたフィルムのヘーズを測定した。
【0036】
以下、実施例1〜6および比較例1〜6の製造条件および測定結果を下記表1にまとめて示す。なお、表1中、ポリアミド(B)の平均粒径の欄の「ND」は、測定を試みたが、ポリアミド(B)のドメインとして確認できず、測定できなかったことを示す。
【表1】
Figure 2004018714
【0037】
表1に示す結果から明らかな様に、実施例1〜6のフィルムは、いずれもヘーズが低く、比較例1〜6のフィルムと比較して透明性が格段に優れていた。
【0038】
図1に実施例1のペレットの、図2に比較例6で用いたポリアミド6のペレットの電子顕微鏡写真を示す。
図1のペレットでは、ポリアミド6のマトリックス中に、ポリアミド46の微粒子が一様に分散していることがわかる。一方、図2のペレットでは、ポリアミド6が部分的に球晶化し、数μmオーダーの径を有する球晶が生じていることがわかる。この球晶によって、比較例6で得られるフィルムでは、透明性が損なわれているものと推定できる。実施例1のフィルムでは、ポリアミド46を、所定の量で且つ所定の平均粒径で、ポリアミド6中に分散させることにより、ポリアミド6が球晶化して不透明化するのを、効果的に抑制しているものと考えられる。
【0039】
次に、実施例1〜6で得られた各フィルムについて、上述の方法により静止摩擦係数を測定した。
結果を下記表2に示す。
【0040】
【表2】
Figure 2004018714
【0041】
表2に示す結果より明らかな様に、フィラーを添加したポリアミド樹脂組成物を用いて製造された実施例1および実施例3〜5の各フィルムは、透明性のみならず、滑り性にも優れていた。
【0042】
【発明の効果】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、透明なポリアミド樹脂フィルムを得るのに適した組成物である。特に、更にフィラーを配合した本発明のポリアミド樹脂組成物から成形されたポリアミド樹脂製フィルムは、透明性のみならず滑り性にも優れている。また、本発明のポリアミド樹脂製フィルムは、空冷インフレーション法等により比較的低コストで製造できるので各種包装材等として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のペレットの電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例6のペレットの電子顕微鏡写真である。

Claims (12)

  1. ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)中に、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)を、数平均直径0.01〜1μmで分散してなり、かつ該(A)100重量部に対し、該(B)の量が0.01〜5重量部であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)中に、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)を、数平均直径0.01〜1μmで分散してなり、かつ該(A)100重量部に対し、該(B)の量が0.01〜5重量部であることを特徴とするポリアミド樹脂フィルム。
  3. 更に数平均粒径が0.5〜15μmの有機及び/又は無機フィラー(C)を含有してなり、かつ該(A)100重量部に対し、(C)の量が0.001〜1重量部であることを特徴とする請求項2に記載のポリアミド樹脂フィルム。
  4. ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)と、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)を、該ポリアミド(B)の融点よりも高温で2軸押出機にて溶融混練し、ペレット化した後、製膜してなることを特徴とするポリアミド樹脂フィルム。
  5. ε−カプロラクタムを主構成単位とするポリアミド(A)と、Tm≧270℃(TmはDSCで測定したポリアミド融点)であるポリアミド(B)を、該ポリアミド(B)の融点よりも高温で溶融混練してペレット化した後、数平均粒径が0.5〜15μmの有機及び/又は無機フィラー(C)を該(A)100重量部に対し、(C)の量が0.001〜1重量部となるように配合した後、製膜してなることを特徴とするポリアミド樹脂フィルム。
  6. ポリアミド(B)の融点以下の成形温度で製膜されてなることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂フィルム。
  7. ポリアミド(A)が、ポリアミド6又は共重合ポリアミド6/6−6であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂フィルム。
  8. ポリアミド(B)が、ポリアミド46、ポリアミド6I/6T又はポリアミド6I/6T/6−6であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂フィルム。
  9. ポリアミド(B)の融点よりも高く、かつ330℃以下の温度で溶融混練されてなることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂フィルム。
  10. JIS K7105に準拠した測定法にて膜厚30μmにおけるヘーズが7%以下であることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂フィルム。
  11. ASTM D1824に準拠した23℃、65%湿度の条件下において静止摩擦係数が0.6以下であることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂フィルム。
  12. 空冷インフレーション法より成形されてなる請求項2〜11のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007069569A (ja) * 2005-09-09 2007-03-22 Idemitsu Unitech Co Ltd 延伸ナイロンフィルム、及びその製造方法

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