JP2004018489A - Acat−1阻害剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホン酸ジエステル誘導体を含有するACAT−1阻害剤(acyl−coenzyme A: cholesterol acyltransferase−1阻害剤)に関する。
【0002】
【従来の技術】
ACATは、コレステロールの3位の水酸基にアシルコエンザイムAから長鎖脂肪酸を転移し、コレステロールエステルを生成する反応を触媒する細胞内酵素である(Chang, T.Y., et al., Annu. Rev. Biochem., 66, 613−638 (1997))。この酵素の一般的な役割は、過剰の細胞内遊離コレステロールをエステル化し、遊離コレステロールレベルを一定に保つことであり、臓器によって異なる役割を持っている。例えば小腸では、腸管からコレステロールが小腸上皮に吸収され、ACATによってコレステロールエステルに変換された後、カイナミクロンの構成脂質として組み込まれる。肝臓においては、ACATによって合成されたコレステロールエステルがVLDLのコアに存在する構成脂質として組み込まれ、血中に放出される。副腎皮質などのステロイドホルモン産生細胞や動脈硬化病変のマクロファージにおいては、ACATの作用によりコレステロールエステルが顕著に蓄積される。
【0003】
従って、ACATの阻害活性を有する薬物の投与によれば、小腸においては小腸上皮のコレステロールのエステル化が抑制され、小腸上皮の遊離コレステロールレベルが高くなることにより、腸管腔との間のコレステロール勾配が失われ、コレステロールの吸収が阻害され、かくして血中コレステロールレベルの低下が期待できる。肝臓においては、ACAT阻害によってコレステロールエステルの合成を阻害すると、VLDLの肝細胞内分解が促進され、該VLDLの細胞外への分泌が抑制され、かくして血中LDLレベルの低下が期待できる。また、動脈硬化病変部位においては、ACAT阻害によって病変部位のコレステロールエステルの蓄積が抑制され、直接的な抗動脈硬化作用が期待できる。
【0004】
上記ACAT阻害活性を有する薬物(ACAT阻害剤)として、現在、FR145237 (NipponRinsho, 2001 Mar; 59 Suppl.3: 675−680), F−1394 (Nippon Yakurigaku Zasshi, 2001 Dec; 118(6): 389−395), Dup128 (Nippon Rinsho, 2001 Mar; 59 Suppl.3: 675−680), E5324 (Jpn. J. Pharmacol., 1999 Feb; 79(2): 151−158), CL277082 (Metabolism, 1998 Mar; 47(3): 325−332), NTE−122 (Jpn. J. Pharmacol., 2001 May; 86(1): 120−123)などの尿素(H2N−CO−NH2)に由来する構造を持つウレア剤と、58−035 (J. Pharm. Sci., 2001 Nov; 90(11): 1859−1867), CI−976 (J. Pharm. Sci., 2001 Nov; 90(11): 1859−1867), CI−1011 (Biochem. Pharmacol., 2002 Feb 1; 63(3): 349−360)などのアミド(−NH−CO−)の構造を持つアミド剤とが知られている。
【0005】
しかしながら、これまでの多くのACAT阻害剤は、抗高脂血症剤としてコレステロール吸収阻害作用に重点を置いて研究、開発されたものであった。
【0006】
最近、ACATには小腸のみに存在するタイプ(ACAT−2)と、肝臓、マクロファージ、副腎および小腸に存在するタイプ(ACAT−1)の2つのサブタイプが存在することが報告された。このサブタイプに従うと、これまで開発されたACAT阻害剤の多くは、上記ACAT−2の阻害を目指したものであることが明らかにされた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来知られていない新しい構造を持つACAT−1阻害剤を提供することを目的とする。
【0008】
本願人は、医薬品分野で利用できる有効成分化合物につき鋭意研究、開発を続ける過程において、先に、脂質低下作用、血糖降下作用などを有するホスホン酸ジエステル誘導体を開発した(特許第2926273号およびWO97/24360号公開公報参照)。
【0009】
引き続く研究の結果、本発明者らは上記ホスホン酸ジエステル誘導体中に、上記目的に合致するACAT−1阻害活性を有する化合物が存在することを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)および(2)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするACAT−1阻害剤を提供する。
【0011】
【化4】
【0012】
〔式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なって水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン置換低級アルキル基、ニトロ基、シアノ基、フェニルチオ基、フェニルスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェニル低級アルキルチオ基またはジ低級アルコキシホスホリル低級アルキル基を有するベンゾイルオキシ基を示す。またR3およびR4は互いに結合して基−CH=CH−CH=CH−を形成してもよい。R5は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を示す。R6およびR7は同一または異なって低級アルコキシ基、フェニル基またはフェニル低級アルコキシ基を示す。Aは、基
【0013】
【化5】
【0014】
(上記基においてRは低級アルキル基またはフェニル低級アルコキシ基である)を示す。また、−Z−Y−は、−CH2−、−CH(Ph)−(Ph:フェニル基)、−C2H4−、−CH(CH3)CH2−、−O−CH2−、−O−CH(CH3)−、−O−CH(Ph)−(Ph:フェニル基)、−CH=CH−または−C3H6−を示す。〕
【0015】
【化6】
【0016】
〔式中、R6およびR7は前記に同じ。〕
また本発明は、有効成分が一般式(1)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体である上記ACAT−1阻害剤および有効成分が一般式(2)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体である上記ACAT−1阻害剤を提供する。
【0017】
本発明の一般式(1)および(2)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体は、動脈硬化症予防剤およびコレステロール吸収阻害剤として有用である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明ACAT−1阻害剤の有効成分であるホスホン酸ジエステル誘導体を表す前記一般式(1)および(2)並びにその他の本明細書中に用いられている各基は、それらが各式に示される基として用いられる場合および該基の置換基として用いられる場合のいずれの場合も、具体的にはそれぞれ次の通りである。本明細書において炭素を含む各基につき用いられる「低級」なる語は、「炭素数1−6の」なる意味で用いられるものとする。
【0019】
低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭素数1−6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基を例示することができる。
【0020】
低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1−6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基を例示することができる。
【0021】
ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができる。
【0022】
ハロゲン置換低級アルキル基としては、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、ウンデカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル基などのハロゲン原子で置換された炭素数1−6の直鎖状または分枝鎖状アルキル基を例示することができる。
【0023】
フェニル低級アルキルチオ基としては、ベンジルチオ、1−フェニルエチルチオ、2−フェニルエチルチオ、3−フェニルプロピルチオ、4−フェニルブチルチオ、5−フェニルペンチルチオ、6−フェニルヘキシルチオ基などのフェニル基を置換基として有する炭素数1−6の直鎖状または分枝鎖状アルキルチオ基を例示することができる。
【0024】
ジ低級アルコキシホスホリル低級アルキル基を有するベンゾイルオキシ基としては、4−[(ジメトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジプロポキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジイソプロポキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジブトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジイソブトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジtert−ブトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジペンチルオキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジヘキシルオキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[2−(ジメトキシホスホリル)エチル]ベンゾイルオキシ、4−[3−(ジメトキシホスホリル)プロピル]ベンゾイルオキシ、4−[4−(ジメトキシホスホリル)ブチル]ベンゾイルオキシ、4−[5−(ジメトキシホスホリル)ペンチル]ベンゾイルオキシ、4−[6−(ジメトキシホスホリル)ヘキシル]ベンゾイルオキシ、2−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、3−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ基などの、アルコキシ部分およびアルキル部分がそれぞれ炭素数1−6の直鎖状または分枝鎖状アルコキシ基およびアルキル基であるジアルコキシホスホリルアルキル基をフェニル基上に有するベンゾイルオキシ基を例示することができる。
【0025】
フェニル低級アルコキシ基としては、ベンジルオキシ、1−フェニルエチルオキシ、2−フェニルエチルオキシ、3−フェニルプロピルオキシ、4−フェニルブチルオキシ、5−フェニルペンチルオキシ、6−フェニルヘキシルオキシ基などのフェニル基を置換基として有する炭素数1−6のアルコキシ基を例示することができる。
【0026】
一般式(1)および(2)で表される各誘導体は、優れたACAT−1阻害活性を有しており、ACAT−1阻害剤として有用である。また、この活性に基づいて、動脈硬化症予防剤、コレステロール吸収阻害剤などとして、医薬品分野で有用である。
【0027】
本発明ACAT−1阻害剤において有効成分とする上記一般式(1)および(2)で表される各誘導体は、本願人の先の出願にかかる前記各公報に記載の方法に従い製造することができる。その詳細は、後記参考例に詳述するとおりである。
【0028】
得られる目的化合物は、通常の分離、精製手段、例えば、吸着クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出などにより容易に単離、精製できる。
【0029】
本発明ACAT−1阻害剤は、一般式(1)および(2)で表される少なくとも1種の化合物とともに、製剤学的に許容される担体を用いて、一般的な医薬組成物の形態に調製されて実用される。
【0030】
本発明医薬組成物に利用される製剤学的に許容される担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される希釈剤または賦形剤、例えば充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などを例示できる。これらは調整される医薬製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0031】
医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて適宜選択できる。その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤など)、軟膏剤などが挙げられる。
【0032】
錠剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなどの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ナミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどの崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、デンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベンナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などを使用できる。更に、錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠または二重錠、多層錠とすることができる。
【0033】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用できる。
【0034】
坐剤の形態に形成するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライドなどを使用できる。
【0035】
カプセル剤は、常法に従い、通常本発明化合物を上記で例示した各種の製剤学的に許容される担体と混合して、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセルなどの充填して調製される。
【0036】
液剤、乳剤、懸濁剤などの注射剤として調製される場合、これらは殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましい。これらの形態にするに際しては、希釈剤として、例えば、水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを使用できる。尚、この場合、等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医薬製剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを添加してもよい。
【0037】
ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の形態に調製するに際しては、希釈剤として、例えば、白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベンナイトなどを使用できる。
【0038】
更に、本発明医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有させることもできる。
【0039】
本発明医薬組成物中に配合される本発明化合物(有効成分化合物)の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択される。通常医薬組成物中に、約0.5−90重量%、好ましくは約1−85重量%程度配合されるのがよい。
【0040】
本発明医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内に、或いは筋肉内、皮内、皮下または腹腔内に投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0041】
本発明医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択される。通常有効成分である本発明化合物の量が1日成人1人当たり体重1kg当たり約0.5−20mg程度、好ましくは1−10mg程度とするのがよい。該製剤は1日に1回または2−4回に分けて投与することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明化合物の製造例を参考例として挙げ、次いで本発明化合物につき行われた薬理試験例および本発明化合物を有効成分とする医薬の製剤例を挙げる。
【0043】
【参考例1】
(1) 2−アミノ−8H−インデノ[1,2−d]チアゾール(臭化水素酸塩)の製造
1−インダノン6.61gをクロロホルム80mLとメタノール20mLの混合溶媒に溶解させ、室温撹拌下、この溶液中にフェニルトリメチルアンモニウム トリブロミド20.35gを加えた。室温で5時間撹拌後、反応混合物中に水100mLを加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をエタノール100mLに溶解した後チオ尿素3.81gを加え2時間加熱還流した。反応混合物を室温に放冷し、析出した沈殿を濾取した。得られた粗結晶をエタノール−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物(融点:257−260℃)7.03gを得た。
(2) ジエチル 4−[N−(8H−インデノ[1,2−d]チアゾール−2−イル)カモバモイル]ベンジルホスホナートの製造
2−アミノ−8H−インデノ[1,2−d]チアゾール(臭化水素酸塩)3.76gとピリジン10mLを乾燥ジクロロメタン30mLに溶かし、氷冷撹拌下、この混合物中に4−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイル クロリド5.81gの乾燥ジクロロメタン10mL溶液をゆっくり滴下した。室温で10時間撹拌した後、反応混合物中に、10%炭酸水素ナトリウム水溶液30mLを加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を10%塩酸30mLおよび水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒…クロロホルム:酢酸エチル=1:10)に付し、得られた粗結晶をエタノール−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物の無色結晶3.79g(化合物1、融点:191−193℃)を得た。
【0044】
上記(1)および(2)と同様にして表1に化合物101−109として示す各化合物を製造した。各化合物の構造および融点を表1に併記する。
【0045】
【表1】
【0046】
【薬理試験例1】ACAT−1阻害作用試験1
上記表1に記載の各化合物および下記表2−7に記載の化合物(化合物1−83)を被験物質として利用し、これらの各化合物の有するACAT−1阻害作用を以下のとおり試験した。なお、表においてPhはフェニル基を示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
ACAT−1酵素活性の測定は、再構成法(reconstituted vesicle assay) [J. Lipid Res., 29, 1683−1692 (1988)、Biochem. Biophys. Acta, 982, 187−195 (1989)、J. Biol. Chem., 270, 29532−29540 (1995)]に従った。
【0054】
I. Broken Homoginate の作製
SW−13細胞(ヒト副腎皮質癌由来細胞)を、10%ウシ胎児血清(FBS)含有L−15培地中、炭酸ガスインキュベーター内で、培養プレートにコンフレントになるまで培養した。
【0055】
文献記載の方法[hypotonic shock and scrapping method, Anal. Biochem., 1 16, 298−302 (1981)]に従い、Broken Homoginateを採取した。蛋白定量(Bradford法)を行い、使用するまで、−80℃で保存した。
【0056】
II. Cholesterol/Phosphatidylcholine (Chol/PC) vesicle の作製
チャンらの方法[Chang, T.Y., et al., Anal. Biochem., 157, 323−330 (1986)]に従い、Chol/PC vesicle (Chol/PC=3.9 mM/12.8mM)を作製した。
【0057】
III. 5 × DOC/PC の作製
ホスファチジルコリン(phosphatidylcholine)50mgを50mg/mL sodium deoxycholate−Buffer A (50mM Tris−HCl, 5mM EDTA, 0.05mM PMSF(phenylmethyl sulfonyl fluoride, 和光純薬株式会社、pH 7.8) 5mLに溶解した。
【0058】
IV. 酵素液の作製
蛋白濃度2.5mg/mLのBroken Homoginate 2.6mLに、5×DOC/PC 0.65mLを加え、攪拌後、氷中で20分放置した。これに、Chol/PC vesicle 22mLを加え、攪拌し、さらに氷中で20分放置した。遠心後、浮遊物を除去し、これを酵素液とした。
【0059】
V. アッセイ
被験物質は、1×10−2mol/Lの濃度となるようにDMSOに溶解した。
【0060】
ネジ口ガラス試験管に、被験物質またはDMSO(コントロールとして)2.5μL、酵素液200μLおよび基質溶液(150 mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、15mg/mL BSA (FFA free)、2mM DTTおよび0.1mM [1−14C]oleoyl coenzyme A (8.0Ci/mol)]50μLを加えた。37℃で30分間反応させた。ヘキサン4mL、2M NaCl 1mLおよび[3H]−cholesteryl oleate添加エタノール1mL(約10,000 dpm)を加えて反応を停止させた。5分間振盪後、遠心し、上層のヘキサン相のうちの2mLをガラス試験管に移し、また1mLをシンチレションバイアルに移した。
【0061】
ガラス試験管中のヘキサン相は、窒素ガス気流下で溶媒を除去し、得られた脂質抽出物をクロロホルム/メタノール(2:1)混合液100μLに再溶解後、TLCプレートへスポットした。TLC プレートを、ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(73:25:2)で展開し、バイオイメージアナライザー(BAS2000II, 富士フィルム株式会社製)で、コレステロールエステル画分の14Cを定量した。
【0062】
また、シンチレーションバイアル中のヘキサン相は、シンチレーションカクテルを加え、3Hをカウントし、加えた[3H]−cholesteryl oleate添加エタノールの3H量より抽出効率を計算した。抽出効率より生成した全コレステロールエステル量を計算した。コントロールの場合と比べ、被験物質添加時に減少する生成全コレステロールエステル量を、パーセント表示したものを、ACAT−1酵素阻害率とした。
【0063】
VI. 結果
結果を、下記表8−11に示す。
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
【表11】
【0068】
VII. 考察
表8−11に示される結果より、本発明において有効成分とする一般式(1)および(2)に属する各化合物は、いずれも優れたACAT−1阻害活性を有することが明らかである。
【0069】
このようなACAT−1阻害活性を有する化合物が、動脈硬化予防剤およびコレステロール吸収阻害剤として有効であることは、例えばThe Journal of Biological Chemistry, Vol.276, No.28, July 14, pp.21324−21330, 2000およびThe Journal of Biological Chemistry, Vol.275, No.36, September 8, pp.28083−28092, 2000の記載から明らかである。
【0070】
【薬理試験例2】ACAT−1阻害作用試験2(THP−1細胞泡沫化抑制作用試験)
表1−6に示される被験物質のTHP−1細胞泡沫化抑制作用(ACAT−1阻害作用)を以下のとおり試験した。
【0071】
I. 試験方法
24ウェルプレートに、1ウェルあたり7.5×105細胞となるように200 nM フォルボール 12−ミリステート 13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate, PMA)添加10% FBS−RPMI1640培養液で調整したTHP−1細胞を播種し、炭酸ガスインキュベーター内で3日間培養して、マクロファージ様細胞へと分化させた。RPMI1640培養液で1回洗浄した後、培養液を5% Lipoprotein Deficient Serum (LPDS; R.J. Mayer, et al., J. Biol. Chem., 266, 20070 (1991): D. E. Vance, et al., Biochem. Biophys. Acta, 792, 39 (1984))−RPMI1640 1mL/ウェルに変更して、更に8時間培養した。8時間後、蛋白濃度50μg/mLのアセチルLDL (Ac LDL; 袴田秀樹ら、「動脈硬化+高脂血症研究ストラテジー」、pp36−41(1996)秀潤社)、BSA−[14C] oleate complex(J. L. Goldstein, et al, Method. Enzymol., 98, 241 (1983))2.5μLおよび被験物質(最終濃度:1×10−5mol/L)を加えた5% LPDS−RPMI1640培養液500μLに培養液を交換した。16時間培養した後、細胞を0.3% BSA−PBS(−)で1回、PBS(−)で2回洗浄した。細胞内の脂質成分を抽出するために、1ウェルあたりヘキサン/2−プロパノール(3:2) 0.5mLを加えて静置した。30分後、抽出液をガラス試験管にプールした。同じ抽出操作をもう一度繰り返し、先の抽出液と合わせ、窒素ガス気流下で溶媒を除去した。得られた脂質抽出物をクロロホルム/メタノール(2:1)100μLで再溶解し、TLCプレートにスポットした。TLCプレートは、ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(73:25:2)で展開し、オートラジオグラフィーにより、コレステロールエステル画分の14Cを定量した。定量には、バイオイメージアナライザーBAS2000II(富士フィルム株式会社製) を用いた。また、脂質抽出の終わった各ウェルに0.1N NaOH−0.1% SDS 0.3mLを加え、ラバーポリスマンでプレートに付着している細胞を剥がし回収した。この細胞可溶化液中の蛋白量をBCA Protein Assayキット(PIERCE社)にて定量した。
【0072】
定量したコレステロールエステル量(pmol)を蛋白量(mg)で割った値と、被験物質を加えなかった場合のそれとを比較して減少率(%)を算出し、これを被験物質のTHP−1細胞泡沫化抑制率(%)として、被験物質のACAT−1活性の指標とした。
【0073】
II. 結果
試験の結果を、下記表12に示す。
【0074】
【表12】
【0075】
III. 考察
表12に示される結果からも、表8−11に示される結果からと同様に、一般式(1)および一般式(2)に示される本発明有効成分化合物は、優れたACAT−1阻害活性を有することが明らかである。
【0076】
このようなACAT−1阻害活性を有する化合物が、動脈硬化予防剤およびコレステロール吸収阻害剤として有効であることは、例えばThe Journal of Biological Chemistry, Vol.276, No.28, July 14, pp.21324−21330, 2000およびThe Journal of Biological Chemistry, Vol.275, No.36, September 8, pp.28083−28092, 2000の記載から明らかである。
【0077】
【製剤例1】
有効成分として、参考例1で得た本発明化合物を用いて、1錠当りその300mgを含有する錠剤(2000錠)を、次の処方により調製した。
参考例1で得た本発明化合物 600g
乳糖(日本薬局方品) 67g
コーンスターチ(日本薬局方品) 33g
カルボキシメチルセルロースカルシウム(日本薬局方品) 25g
メチルセルロース(日本薬局方品) 12g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 3g
即ち、上記処方に従い、参考例1で得た本発明化合物、乳糖、コーンスターチおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分混合し、メチルセルロース水溶液を用いて混合物を顆粒化し、24メッシュの篩を通し、これをステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤にプレスして、目的の錠剤を得た。
【0078】
【製剤例2】
有効成分として、参考例1で得た本発明化合物を用いて、1カプセル当りその200mgを含有する硬質ゼラチンカプセル剤(2000カプセル)を、次の処方により調製した。
参考例1で得た本発明化合物 400g
結晶セルロース(日本薬局方品) 60g
コーンスターチ(日本薬局方品) 34g
タルク(日本薬局方品) 4g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 2g
即ち、上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混和した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセル剤を得た。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホン酸ジエステル誘導体を含有するACAT−1阻害剤(acyl−coenzyme A: cholesterol acyltransferase−1阻害剤)に関する。
【0002】
【従来の技術】
ACATは、コレステロールの3位の水酸基にアシルコエンザイムAから長鎖脂肪酸を転移し、コレステロールエステルを生成する反応を触媒する細胞内酵素である(Chang, T.Y., et al., Annu. Rev. Biochem., 66, 613−638 (1997))。この酵素の一般的な役割は、過剰の細胞内遊離コレステロールをエステル化し、遊離コレステロールレベルを一定に保つことであり、臓器によって異なる役割を持っている。例えば小腸では、腸管からコレステロールが小腸上皮に吸収され、ACATによってコレステロールエステルに変換された後、カイナミクロンの構成脂質として組み込まれる。肝臓においては、ACATによって合成されたコレステロールエステルがVLDLのコアに存在する構成脂質として組み込まれ、血中に放出される。副腎皮質などのステロイドホルモン産生細胞や動脈硬化病変のマクロファージにおいては、ACATの作用によりコレステロールエステルが顕著に蓄積される。
【0003】
従って、ACATの阻害活性を有する薬物の投与によれば、小腸においては小腸上皮のコレステロールのエステル化が抑制され、小腸上皮の遊離コレステロールレベルが高くなることにより、腸管腔との間のコレステロール勾配が失われ、コレステロールの吸収が阻害され、かくして血中コレステロールレベルの低下が期待できる。肝臓においては、ACAT阻害によってコレステロールエステルの合成を阻害すると、VLDLの肝細胞内分解が促進され、該VLDLの細胞外への分泌が抑制され、かくして血中LDLレベルの低下が期待できる。また、動脈硬化病変部位においては、ACAT阻害によって病変部位のコレステロールエステルの蓄積が抑制され、直接的な抗動脈硬化作用が期待できる。
【0004】
上記ACAT阻害活性を有する薬物(ACAT阻害剤)として、現在、FR145237 (NipponRinsho, 2001 Mar; 59 Suppl.3: 675−680), F−1394 (Nippon Yakurigaku Zasshi, 2001 Dec; 118(6): 389−395), Dup128 (Nippon Rinsho, 2001 Mar; 59 Suppl.3: 675−680), E5324 (Jpn. J. Pharmacol., 1999 Feb; 79(2): 151−158), CL277082 (Metabolism, 1998 Mar; 47(3): 325−332), NTE−122 (Jpn. J. Pharmacol., 2001 May; 86(1): 120−123)などの尿素(H2N−CO−NH2)に由来する構造を持つウレア剤と、58−035 (J. Pharm. Sci., 2001 Nov; 90(11): 1859−1867), CI−976 (J. Pharm. Sci., 2001 Nov; 90(11): 1859−1867), CI−1011 (Biochem. Pharmacol., 2002 Feb 1; 63(3): 349−360)などのアミド(−NH−CO−)の構造を持つアミド剤とが知られている。
【0005】
しかしながら、これまでの多くのACAT阻害剤は、抗高脂血症剤としてコレステロール吸収阻害作用に重点を置いて研究、開発されたものであった。
【0006】
最近、ACATには小腸のみに存在するタイプ(ACAT−2)と、肝臓、マクロファージ、副腎および小腸に存在するタイプ(ACAT−1)の2つのサブタイプが存在することが報告された。このサブタイプに従うと、これまで開発されたACAT阻害剤の多くは、上記ACAT−2の阻害を目指したものであることが明らかにされた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来知られていない新しい構造を持つACAT−1阻害剤を提供することを目的とする。
【0008】
本願人は、医薬品分野で利用できる有効成分化合物につき鋭意研究、開発を続ける過程において、先に、脂質低下作用、血糖降下作用などを有するホスホン酸ジエステル誘導体を開発した(特許第2926273号およびWO97/24360号公開公報参照)。
【0009】
引き続く研究の結果、本発明者らは上記ホスホン酸ジエステル誘導体中に、上記目的に合致するACAT−1阻害活性を有する化合物が存在することを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)および(2)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするACAT−1阻害剤を提供する。
【0011】
【化4】
【0012】
〔式中、R1、R2、R3およびR4は、同一または異なって水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン置換低級アルキル基、ニトロ基、シアノ基、フェニルチオ基、フェニルスルフィニル基、フェニルスルホニル基、フェニル低級アルキルチオ基またはジ低級アルコキシホスホリル低級アルキル基を有するベンゾイルオキシ基を示す。またR3およびR4は互いに結合して基−CH=CH−CH=CH−を形成してもよい。R5は、水素原子、低級アルキル基またはフェニル基を示す。R6およびR7は同一または異なって低級アルコキシ基、フェニル基またはフェニル低級アルコキシ基を示す。Aは、基
【0013】
【化5】
【0014】
(上記基においてRは低級アルキル基またはフェニル低級アルコキシ基である)を示す。また、−Z−Y−は、−CH2−、−CH(Ph)−(Ph:フェニル基)、−C2H4−、−CH(CH3)CH2−、−O−CH2−、−O−CH(CH3)−、−O−CH(Ph)−(Ph:フェニル基)、−CH=CH−または−C3H6−を示す。〕
【0015】
【化6】
【0016】
〔式中、R6およびR7は前記に同じ。〕
また本発明は、有効成分が一般式(1)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体である上記ACAT−1阻害剤および有効成分が一般式(2)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体である上記ACAT−1阻害剤を提供する。
【0017】
本発明の一般式(1)および(2)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体は、動脈硬化症予防剤およびコレステロール吸収阻害剤として有用である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明ACAT−1阻害剤の有効成分であるホスホン酸ジエステル誘導体を表す前記一般式(1)および(2)並びにその他の本明細書中に用いられている各基は、それらが各式に示される基として用いられる場合および該基の置換基として用いられる場合のいずれの場合も、具体的にはそれぞれ次の通りである。本明細書において炭素を含む各基につき用いられる「低級」なる語は、「炭素数1−6の」なる意味で用いられるものとする。
【0019】
低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭素数1−6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基を例示することができる。
【0020】
低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1−6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基を例示することができる。
【0021】
ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示することができる。
【0022】
ハロゲン置換低級アルキル基としては、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、ウンデカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル基などのハロゲン原子で置換された炭素数1−6の直鎖状または分枝鎖状アルキル基を例示することができる。
【0023】
フェニル低級アルキルチオ基としては、ベンジルチオ、1−フェニルエチルチオ、2−フェニルエチルチオ、3−フェニルプロピルチオ、4−フェニルブチルチオ、5−フェニルペンチルチオ、6−フェニルヘキシルチオ基などのフェニル基を置換基として有する炭素数1−6の直鎖状または分枝鎖状アルキルチオ基を例示することができる。
【0024】
ジ低級アルコキシホスホリル低級アルキル基を有するベンゾイルオキシ基としては、4−[(ジメトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジプロポキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジイソプロポキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジブトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジイソブトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジtert−ブトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジペンチルオキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[(ジヘキシルオキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、4−[2−(ジメトキシホスホリル)エチル]ベンゾイルオキシ、4−[3−(ジメトキシホスホリル)プロピル]ベンゾイルオキシ、4−[4−(ジメトキシホスホリル)ブチル]ベンゾイルオキシ、4−[5−(ジメトキシホスホリル)ペンチル]ベンゾイルオキシ、4−[6−(ジメトキシホスホリル)ヘキシル]ベンゾイルオキシ、2−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ、3−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイルオキシ基などの、アルコキシ部分およびアルキル部分がそれぞれ炭素数1−6の直鎖状または分枝鎖状アルコキシ基およびアルキル基であるジアルコキシホスホリルアルキル基をフェニル基上に有するベンゾイルオキシ基を例示することができる。
【0025】
フェニル低級アルコキシ基としては、ベンジルオキシ、1−フェニルエチルオキシ、2−フェニルエチルオキシ、3−フェニルプロピルオキシ、4−フェニルブチルオキシ、5−フェニルペンチルオキシ、6−フェニルヘキシルオキシ基などのフェニル基を置換基として有する炭素数1−6のアルコキシ基を例示することができる。
【0026】
一般式(1)および(2)で表される各誘導体は、優れたACAT−1阻害活性を有しており、ACAT−1阻害剤として有用である。また、この活性に基づいて、動脈硬化症予防剤、コレステロール吸収阻害剤などとして、医薬品分野で有用である。
【0027】
本発明ACAT−1阻害剤において有効成分とする上記一般式(1)および(2)で表される各誘導体は、本願人の先の出願にかかる前記各公報に記載の方法に従い製造することができる。その詳細は、後記参考例に詳述するとおりである。
【0028】
得られる目的化合物は、通常の分離、精製手段、例えば、吸着クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出などにより容易に単離、精製できる。
【0029】
本発明ACAT−1阻害剤は、一般式(1)および(2)で表される少なくとも1種の化合物とともに、製剤学的に許容される担体を用いて、一般的な医薬組成物の形態に調製されて実用される。
【0030】
本発明医薬組成物に利用される製剤学的に許容される担体としては、製剤の使用形態に応じて通常使用される希釈剤または賦形剤、例えば充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などを例示できる。これらは調整される医薬製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0031】
医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて適宜選択できる。その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤など)、軟膏剤などが挙げられる。
【0032】
錠剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなどの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ナミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどの崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、デンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベンナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などを使用できる。更に、錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠または二重錠、多層錠とすることができる。
【0033】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用できる。
【0034】
坐剤の形態に形成するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライドなどを使用できる。
【0035】
カプセル剤は、常法に従い、通常本発明化合物を上記で例示した各種の製剤学的に許容される担体と混合して、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセルなどの充填して調製される。
【0036】
液剤、乳剤、懸濁剤などの注射剤として調製される場合、これらは殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましい。これらの形態にするに際しては、希釈剤として、例えば、水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを使用できる。尚、この場合、等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医薬製剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを添加してもよい。
【0037】
ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の形態に調製するに際しては、希釈剤として、例えば、白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベンナイトなどを使用できる。
【0038】
更に、本発明医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有させることもできる。
【0039】
本発明医薬組成物中に配合される本発明化合物(有効成分化合物)の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択される。通常医薬組成物中に、約0.5−90重量%、好ましくは約1−85重量%程度配合されるのがよい。
【0040】
本発明医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内に、或いは筋肉内、皮内、皮下または腹腔内に投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0041】
本発明医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択される。通常有効成分である本発明化合物の量が1日成人1人当たり体重1kg当たり約0.5−20mg程度、好ましくは1−10mg程度とするのがよい。該製剤は1日に1回または2−4回に分けて投与することができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明化合物の製造例を参考例として挙げ、次いで本発明化合物につき行われた薬理試験例および本発明化合物を有効成分とする医薬の製剤例を挙げる。
【0043】
【参考例1】
(1) 2−アミノ−8H−インデノ[1,2−d]チアゾール(臭化水素酸塩)の製造
1−インダノン6.61gをクロロホルム80mLとメタノール20mLの混合溶媒に溶解させ、室温撹拌下、この溶液中にフェニルトリメチルアンモニウム トリブロミド20.35gを加えた。室温で5時間撹拌後、反応混合物中に水100mLを加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をエタノール100mLに溶解した後チオ尿素3.81gを加え2時間加熱還流した。反応混合物を室温に放冷し、析出した沈殿を濾取した。得られた粗結晶をエタノール−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物(融点:257−260℃)7.03gを得た。
(2) ジエチル 4−[N−(8H−インデノ[1,2−d]チアゾール−2−イル)カモバモイル]ベンジルホスホナートの製造
2−アミノ−8H−インデノ[1,2−d]チアゾール(臭化水素酸塩)3.76gとピリジン10mLを乾燥ジクロロメタン30mLに溶かし、氷冷撹拌下、この混合物中に4−[(ジエトキシホスホリル)メチル]ベンゾイル クロリド5.81gの乾燥ジクロロメタン10mL溶液をゆっくり滴下した。室温で10時間撹拌した後、反応混合物中に、10%炭酸水素ナトリウム水溶液30mLを加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を10%塩酸30mLおよび水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒…クロロホルム:酢酸エチル=1:10)に付し、得られた粗結晶をエタノール−n−ヘキサンより再結晶して、目的化合物の無色結晶3.79g(化合物1、融点:191−193℃)を得た。
【0044】
上記(1)および(2)と同様にして表1に化合物101−109として示す各化合物を製造した。各化合物の構造および融点を表1に併記する。
【0045】
【表1】
【0046】
【薬理試験例1】ACAT−1阻害作用試験1
上記表1に記載の各化合物および下記表2−7に記載の化合物(化合物1−83)を被験物質として利用し、これらの各化合物の有するACAT−1阻害作用を以下のとおり試験した。なお、表においてPhはフェニル基を示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
ACAT−1酵素活性の測定は、再構成法(reconstituted vesicle assay) [J. Lipid Res., 29, 1683−1692 (1988)、Biochem. Biophys. Acta, 982, 187−195 (1989)、J. Biol. Chem., 270, 29532−29540 (1995)]に従った。
【0054】
I. Broken Homoginate の作製
SW−13細胞(ヒト副腎皮質癌由来細胞)を、10%ウシ胎児血清(FBS)含有L−15培地中、炭酸ガスインキュベーター内で、培養プレートにコンフレントになるまで培養した。
【0055】
文献記載の方法[hypotonic shock and scrapping method, Anal. Biochem., 1 16, 298−302 (1981)]に従い、Broken Homoginateを採取した。蛋白定量(Bradford法)を行い、使用するまで、−80℃で保存した。
【0056】
II. Cholesterol/Phosphatidylcholine (Chol/PC) vesicle の作製
チャンらの方法[Chang, T.Y., et al., Anal. Biochem., 157, 323−330 (1986)]に従い、Chol/PC vesicle (Chol/PC=3.9 mM/12.8mM)を作製した。
【0057】
III. 5 × DOC/PC の作製
ホスファチジルコリン(phosphatidylcholine)50mgを50mg/mL sodium deoxycholate−Buffer A (50mM Tris−HCl, 5mM EDTA, 0.05mM PMSF(phenylmethyl sulfonyl fluoride, 和光純薬株式会社、pH 7.8) 5mLに溶解した。
【0058】
IV. 酵素液の作製
蛋白濃度2.5mg/mLのBroken Homoginate 2.6mLに、5×DOC/PC 0.65mLを加え、攪拌後、氷中で20分放置した。これに、Chol/PC vesicle 22mLを加え、攪拌し、さらに氷中で20分放置した。遠心後、浮遊物を除去し、これを酵素液とした。
【0059】
V. アッセイ
被験物質は、1×10−2mol/Lの濃度となるようにDMSOに溶解した。
【0060】
ネジ口ガラス試験管に、被験物質またはDMSO(コントロールとして)2.5μL、酵素液200μLおよび基質溶液(150 mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)、15mg/mL BSA (FFA free)、2mM DTTおよび0.1mM [1−14C]oleoyl coenzyme A (8.0Ci/mol)]50μLを加えた。37℃で30分間反応させた。ヘキサン4mL、2M NaCl 1mLおよび[3H]−cholesteryl oleate添加エタノール1mL(約10,000 dpm)を加えて反応を停止させた。5分間振盪後、遠心し、上層のヘキサン相のうちの2mLをガラス試験管に移し、また1mLをシンチレションバイアルに移した。
【0061】
ガラス試験管中のヘキサン相は、窒素ガス気流下で溶媒を除去し、得られた脂質抽出物をクロロホルム/メタノール(2:1)混合液100μLに再溶解後、TLCプレートへスポットした。TLC プレートを、ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(73:25:2)で展開し、バイオイメージアナライザー(BAS2000II, 富士フィルム株式会社製)で、コレステロールエステル画分の14Cを定量した。
【0062】
また、シンチレーションバイアル中のヘキサン相は、シンチレーションカクテルを加え、3Hをカウントし、加えた[3H]−cholesteryl oleate添加エタノールの3H量より抽出効率を計算した。抽出効率より生成した全コレステロールエステル量を計算した。コントロールの場合と比べ、被験物質添加時に減少する生成全コレステロールエステル量を、パーセント表示したものを、ACAT−1酵素阻害率とした。
【0063】
VI. 結果
結果を、下記表8−11に示す。
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
【表11】
【0068】
VII. 考察
表8−11に示される結果より、本発明において有効成分とする一般式(1)および(2)に属する各化合物は、いずれも優れたACAT−1阻害活性を有することが明らかである。
【0069】
このようなACAT−1阻害活性を有する化合物が、動脈硬化予防剤およびコレステロール吸収阻害剤として有効であることは、例えばThe Journal of Biological Chemistry, Vol.276, No.28, July 14, pp.21324−21330, 2000およびThe Journal of Biological Chemistry, Vol.275, No.36, September 8, pp.28083−28092, 2000の記載から明らかである。
【0070】
【薬理試験例2】ACAT−1阻害作用試験2(THP−1細胞泡沫化抑制作用試験)
表1−6に示される被験物質のTHP−1細胞泡沫化抑制作用(ACAT−1阻害作用)を以下のとおり試験した。
【0071】
I. 試験方法
24ウェルプレートに、1ウェルあたり7.5×105細胞となるように200 nM フォルボール 12−ミリステート 13−アセテート(phorbol 12−myristate 13−acetate, PMA)添加10% FBS−RPMI1640培養液で調整したTHP−1細胞を播種し、炭酸ガスインキュベーター内で3日間培養して、マクロファージ様細胞へと分化させた。RPMI1640培養液で1回洗浄した後、培養液を5% Lipoprotein Deficient Serum (LPDS; R.J. Mayer, et al., J. Biol. Chem., 266, 20070 (1991): D. E. Vance, et al., Biochem. Biophys. Acta, 792, 39 (1984))−RPMI1640 1mL/ウェルに変更して、更に8時間培養した。8時間後、蛋白濃度50μg/mLのアセチルLDL (Ac LDL; 袴田秀樹ら、「動脈硬化+高脂血症研究ストラテジー」、pp36−41(1996)秀潤社)、BSA−[14C] oleate complex(J. L. Goldstein, et al, Method. Enzymol., 98, 241 (1983))2.5μLおよび被験物質(最終濃度:1×10−5mol/L)を加えた5% LPDS−RPMI1640培養液500μLに培養液を交換した。16時間培養した後、細胞を0.3% BSA−PBS(−)で1回、PBS(−)で2回洗浄した。細胞内の脂質成分を抽出するために、1ウェルあたりヘキサン/2−プロパノール(3:2) 0.5mLを加えて静置した。30分後、抽出液をガラス試験管にプールした。同じ抽出操作をもう一度繰り返し、先の抽出液と合わせ、窒素ガス気流下で溶媒を除去した。得られた脂質抽出物をクロロホルム/メタノール(2:1)100μLで再溶解し、TLCプレートにスポットした。TLCプレートは、ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(73:25:2)で展開し、オートラジオグラフィーにより、コレステロールエステル画分の14Cを定量した。定量には、バイオイメージアナライザーBAS2000II(富士フィルム株式会社製) を用いた。また、脂質抽出の終わった各ウェルに0.1N NaOH−0.1% SDS 0.3mLを加え、ラバーポリスマンでプレートに付着している細胞を剥がし回収した。この細胞可溶化液中の蛋白量をBCA Protein Assayキット(PIERCE社)にて定量した。
【0072】
定量したコレステロールエステル量(pmol)を蛋白量(mg)で割った値と、被験物質を加えなかった場合のそれとを比較して減少率(%)を算出し、これを被験物質のTHP−1細胞泡沫化抑制率(%)として、被験物質のACAT−1活性の指標とした。
【0073】
II. 結果
試験の結果を、下記表12に示す。
【0074】
【表12】
【0075】
III. 考察
表12に示される結果からも、表8−11に示される結果からと同様に、一般式(1)および一般式(2)に示される本発明有効成分化合物は、優れたACAT−1阻害活性を有することが明らかである。
【0076】
このようなACAT−1阻害活性を有する化合物が、動脈硬化予防剤およびコレステロール吸収阻害剤として有効であることは、例えばThe Journal of Biological Chemistry, Vol.276, No.28, July 14, pp.21324−21330, 2000およびThe Journal of Biological Chemistry, Vol.275, No.36, September 8, pp.28083−28092, 2000の記載から明らかである。
【0077】
【製剤例1】
有効成分として、参考例1で得た本発明化合物を用いて、1錠当りその300mgを含有する錠剤(2000錠)を、次の処方により調製した。
参考例1で得た本発明化合物 600g
乳糖(日本薬局方品) 67g
コーンスターチ(日本薬局方品) 33g
カルボキシメチルセルロースカルシウム(日本薬局方品) 25g
メチルセルロース(日本薬局方品) 12g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 3g
即ち、上記処方に従い、参考例1で得た本発明化合物、乳糖、コーンスターチおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分混合し、メチルセルロース水溶液を用いて混合物を顆粒化し、24メッシュの篩を通し、これをステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤にプレスして、目的の錠剤を得た。
【0078】
【製剤例2】
有効成分として、参考例1で得た本発明化合物を用いて、1カプセル当りその200mgを含有する硬質ゼラチンカプセル剤(2000カプセル)を、次の処方により調製した。
参考例1で得た本発明化合物 400g
結晶セルロース(日本薬局方品) 60g
コーンスターチ(日本薬局方品) 34g
タルク(日本薬局方品) 4g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 2g
即ち、上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように混和した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセル剤を得た。
Claims (3)
- 一般式(1):
Aは、基
一般式(2):
から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするACAT−1阻害剤。 - 有効成分が一般式(1)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体である請求項1に記載のACAT−1阻害剤。
- 有効成分が一般式(2)で表されるホスホン酸ジエステル誘導体である請求項1に記載のACAT−1阻害剤。
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