JP2004018401A - 青色発光化合物及び発光素子 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は青色発光化合物及び発光素子に関し、更に詳しくは、色純度が大きく、大きな輝度で発光する、堅牢性の大きな青色発光化合物、及び大きな輝度で発光可能な発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エネルギーの付与により高純度の青色に高輝度で発光する有機化合物は見あたらない。しかも、高輝度で高純度の青色に発光する上に堅牢性のある有機化合物はなおさら見あたらなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、高純度の青色に高輝度で発光する、耐久性のある有機化合物を提供することを目的とする。この発明の他の目的は、高純度の色に高輝度で発光する耐久性のある発光素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(1) 前記課題を解決するための手段は、以下の式(1)で示される構造を有することを特徴とする青色発光化合物であり、
【0005】
【化4】
(ただし、式中、−Ar−は、芳香族基であり、Ar1−は、水素原子又は芳香族置換基である。Ar2−は、Ar1が水素原子であるときには芳香族置換基であり、Ar1が芳香族置換基であるときには、水素原子又は芳香族置換基である。)
前記青色発光化合物の好適な態様において、式(1)中、−Ar−は、下記式(1a)で示される1,4−フェニレン基、下記式(1b1)で示される1,4−ナフチレン基、下記式(1b2)で示される2,6−ナフチレン基、又は下記式(1c)で示される9,10−アントリレン基であり、Ar1は水素原子、又は下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基であり、Ar2は、Ar1が前記芳香族置換基であるときには、水素原子又は下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基であり、また、Ar1が水素原子であるときには、下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基であり、
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
(ただし、式中、R1は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。mは0、1〜5の整数を示す。複数のR1は同一であっても相違していてもよい。R2は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。nは、0、1〜3の整数を示す。複数のR2は同一であっても相違していてもよい。R3は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。pは、0、1〜4の整数を示す。複数のR3は同一であっても相違していてもよい。また、R2とR3とは同一であっても相違していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。R5は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。qは、0、1〜4の整数を示す。複数のR5は同一であっても相違していてもよい。また、R4とR5とは同一であっても相違していてもよい。)
(2) 前記課題を解決するための別の手段は、一対の電極間に、前記一般式(1)で示される青色発光化合物を含有する発光層を設けてなることを特徴とする発光素子である。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明に係る新規な青色発光化合物は、式(1)で示す構造を有する。
【0009】
【化7】
ただし、式(1)中、−Ar−は、芳香族基であり、単環又は縮合環を有すると共に共役するπ電子を有する基である。Ar1−は、水素原子又は芳香族置換基である。Ar2−は、Ar1が水素原子であるときには芳香族置換基であり、Ar1が芳香族置換基であるときには、水素原子又は芳香族置換基である。この芳香族置換基は、単環又は縮合環を有すると共に共役するπ電子を有し、隣接するメチレン基に結合する置換基である。
【0010】
前記芳香族基としては、π電子を有して芳香族性を備えた二価の基(すなわち結合手を二本有する芳香族基)を挙げることができ、フェニレン基、フェナントリレン基、アントリレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、ナフタセニレン基等を好適例として挙げることができる。
【0011】
更に好適な−Ar−としては、式(1a)〜(1c)で示される芳香族基を挙げることができる。
【0012】
【化8】
式(1a)で示される基は1,4−フェニル基であり、式(1b1)で示される基は、1,4−ナフチレン基であり、式(1b2)で示される基は、2,6−ナフチレン基であり、式(1c)で示される基は9,10−アントリレン基である。
【0013】
前記式(1a)〜(1c)で示される四種の芳香族基の中でも、式(1a)及び(1c)で示される芳香族基が好ましい。式(1a)で示される芳香族基を有する青色発光化合物は人体に接触しても人体の皮膚に「かぶれ」を生じさせない。
【0014】
また、好適なAr1−及びAr2−は、式(1d)〜(1f)で示される。
【0015】
【化9】
ただし、式中、R1は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。mは0、1〜5の整数を示す。複数のR1は同一であっても相違していてもよい。R2は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。nは、0、1〜3の整数を示す。複数のR2は同一であっても相違していてもよい。R3は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。pは、0、1〜4の整数を示す。複数のR3は同一であっても相違していてもよい。また、R2とR3とは同一であっても相違していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。R5は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。qは、0、1〜4の整数を示す。複数のR5は同一であっても相違していてもよい。また、R4とR5とは同一であっても相違していてもよい。
【0016】
前記R1、R2、R3、R4及びR5がアルキル基を示す場合、そのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等をあげることができる。好適なアルキル基は、メチル基、エチル基及びプロピル基等の炭素数1〜3の低級アルキル基である。
【0017】
前記R1、R2、R3、R4及びR5がフッ素原子を含有するアルキル基(以下において、フッ素原子含有アルキル基と略称することがある。)を示す場合、そのフッ素原子含有アルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−モノフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、1〜7個のフッ素原子を置換するフッ化プロピル基、1〜9個のフッ素原子を置換するフッ化ブチル基及び1〜11個のフッ素原子を置換するペンチル基等をあげることができる。
【0018】
前記R1、R2、R3、R4及びR5がアルコキシ基を示す場合、そのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びペントキシ基等を挙げることができる。好適なアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜3の低級アルコキシ基である。
【0019】
前記R1、R2、R3、R4及びR5がアルケニル基を示す場合、そのアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等をあげることができる。好適なアルケニル基は、ビニル基である。
【0020】
式(1)で示される青色発光化合物の中でも好適な化合物は、式(2)、式(3)及び式(4)で示すことができる。
【0021】
【化10】
上記式(2)におけるR2及びnは前記と同様の意味を示す。複数のR2は同一であっても、相違していてもよい。上記式(2)で示される青色発光化合物の中でも、R2が水素原子、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基等であり、nが1である青色発光化合物が好ましい。nが1であるときのR2の置換位置は、パラ位であるのが、好ましい。
【0022】
【化11】
上記式(3)におけるR2及びnは前記と同様の意味を示す。n個のR2は同一であっても、相違していてもよい。上記式(3)で示される青色発光化合物の中でも、R2が水素原子、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基、炭素数が2〜4のアルケニル基であり、nが1である青色発光化合物が好ましい。nが1であるときのR2の置換位置は、パラ位であるのが、好ましい。
【0023】
【化12】
上記式(4)において、R4は前記と同様の意味を示す。上記式(4)で示される青色発光化合物の中でも、R4が水素原子、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基を有する青色発光化合物が好ましい。
【0024】
式(1)で示される青色発光化合物は、芳香族基−Ar−を中心にし、この芳香族基−Ar−とメチレン基を介して他の芳香族基−Ar1−及び/又は−Ar2−とが結合した構造を有することが特異的である。特に芳香族基−Ar−と芳香族基−Ar1−及び/又は−Ar2−との何れかがアントリル基である場合には、この発明の目的をよく達成することができる。
【0025】
すなわち、アントラセン自体はエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、蛍光発光)可能な物質として最初に発見された化合物である(W.Helfrich,W.G.Schneider,Phys.Rev.Lett.14,229(1965))。しかしながら、アントラセンによる蛍光は輝度が小さく、また青色発光化合物としては不十分であった。これに対して、この発明に係る青色発光化合物は、アントラセン骨格を代表とする芳香族骨格と他の芳香族骨格とがメチレン結合を介して結合されているので、この青色発光化合物を励起した場合に、メチレン基の両側に位置する芳香族基における励起されたπ電子が膨らみ、芳香環同士が空間的に相互作用を及ぼし合う。それ故に、π電子系はメチレン基で切断された状態ではなくなり、励起したπ電子の励起状態と基底状態とのエネルギー差が小さくなり、高輝度で青色発光可能となるように調整される。更にいうと、この発明の青色発光化合物におけるメチレン結合が結合する両側の芳香環はπ電子共役することがなく、発光する光が長波長側にシフトする。而してメチレン結合における超共役効果によりメチレン基を挟む二種の芳香環におけるπ電子が相互作用することになる。その結果、この青色発光化合物は、発光強度が大きく、高輝度で青色発光を呈するようになり、しかも芳香骨格を有するので耐久性のある発光化合物である。反面、芳香環と芳香環とが単結合で結合していると、π電子系平面がツイストすることがあっても、青色発光より大きく長波長側にシフトし、つまり鮮やかな青色発光を呈しなくなり、また発光輝度も低下して、この発明の目的を達成することができなくなる。
【0026】
前記式(1)で示される青色発光化合物は、H−Ar−HとCH2X−Ar1及び/又はCH2X−Ar2とを反応させることにより製造される。ここで−Ar−、−Ar1、及び−Ar2は前記と同様の意味を示す。また、Xはハロゲン原子、特に塩素原子を示す。また、−Ar1及び−Ar2の何れかが水素原子である青色発光化合物は、H−Ar−CH3とCH2X−Ar1又はCH2X−Ar2とを反応させることにより製造される。
【0027】
前記式(1)で示される青色発光化合物の合成においても、反応は、適宜の溶媒中で加熱することにより進行する。加熱温度は、通常60〜90℃である。反応を促進するために金属等の触媒を使用することもできる。反応は、通常10分〜数時間で終了する。
【0028】
この発明に係る青色発光化合物は、電磁波エネルギーを与えることにより、全体として400〜470nmの領域にわたる可視部発光が見られ、例えば図7及び図10に示されるような蛍光スペクトルを有し、青色発光可能な発光素子例えば有機EL素子に利用することができる。さらに、赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明の青色発光化合物を含有させた発光層を備えた発光素子は、白色に発光させることができる。
【0029】
以下にこの発明に係る発光素子について説明する。
【0030】
図1は、一層型有機EL素子でもある発光素子の断面構造を示す説明図である。図1に示されるように、この発光素子Aは、透明電極2を形成した基板1上に、発光材料を含有する発光層3及び電極層4をこの順に積層して成る。
【0031】
図1に示される発光素子は、その発光層3にこの発明に係る青色発光化合物、赤色発光化合物、及び緑色発光化合物をバランス良く含有していると、透明電極2及び電極層4に電流を通電すると、白色に発光する。また、その発光層3にこの発明に係る青色発光化合物、赤色発光化合物、及び緑色発光化合物を適宜の割合で含有させることにより、所望の色に発光させることができる。発光は、前記透明電極2と前記電極層4との間に電界が印加されると、電極層4側から電子が注入され、透明電極2から正孔が注入され、更に電子が発光層3において正孔と再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0032】
図1に示される発光素子Aは、その全体形状を大面積の平面形状にすると、例えば壁面、あるいは天井に装着して、大面積壁面白色発光素子、及び大面積天井面白色発光素子等の面状発光照明装置とすることができる。つまり、この発光素子は、従来の蛍光灯のような線光源あるいは電球と言った点光源に代えて面光源として利用されることができる。特に、居住のための室内、事務用の室内、車両室内等の壁面、天井面、あるいは床面をこの発光素子により面光源として発光ないし照明することができる。さらに、この発光素子Aをコンピュータにおける表示画面、携帯電話における表示画面、金銭登録機における数字表示画面等のバックライトに使用することができる。その他、この発光素子Aは、直接照明、間接照明等の様々の光源として使用されることができ、また、夜間に発光させることができて視認性が良好である広告装置、道路標識装置、及び発光掲示板、更には自動車等の車両におけるブレーキランプ等の光源に使用されることもできる。しかも、この発光素子Aは、特定の化学構造を有する青色発光化合物を発光層に有するので、発光寿命が長い。したがって、この発光素子Aにより発光が長寿命である光源とすることができる。
【0033】
また、発光素子Aにおける発光層に、この発明に係る青色発光化合物が含有されていて、赤色発光化合物及び緑色発光化合物が含有されていないときには、この発光素子Aは鮮やかな青色に発光する。
【0034】
また、この発光素子Aを、筒状に形成された基板1と、その基板1の内面側に透明電極2、発光層3及び電極層4をこの順に積層してなる管状発光体とすることができる。この発光素子Aは、水銀を使用していないので、従来の水銀を使用する蛍光灯に代替して環境に優しい光源とすることができる。
【0035】
基板1としては、透明電極2をその表面に形成することができる限り、公知の基板を採用することができる。この基板1として、例えばガラス基板、プラスチックシート、セラミック、表面に絶縁塗料層を形成する等の、表面を絶縁性に加工してなる金属板等を挙げることができる。
【0036】
この基板1が不透明であるときには、発光層に赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を含有する発光素子は、基板1とは反対側に白色光を照射することができる片面照明装置である。また、この基板1が透明であるときには、発光素子の基板1側及びその反対側の面から、白色光を照射することができる両面照明装置である。
【0037】
前記透明電極2としては、仕事関数が大きくて透明であり、電圧を印加することにより陽極として作用して前記発光層3にホールを注入することができる限り様々の素材を採用することができる。具体的には、透明電極2は、ITO、In2O3、SnO2、ZnO、CdO等、及びそれらの化合物等の無機透明導電材料、及びポリアニリン等の導電性高分子材料等で形成することができる。
【0038】
この透明電極2は、前記基板1上に、化学気相成長法、スプレーパイロリシス、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、イオンビームスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法、その他の方法により形成されることができる。
【0039】
なお、基板が不透明部材で形成されるときには、基板上に形成される電極は透明電極である必要はない。
【0040】
発光層3は、青色を発光させるときにはこの発明に係る青色発光化合物を含有し、また、白色を発光させるときには赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を含有する層である。この発光層3は、この発明に係る青色発光化合物、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を高分子中に分散してなる高分子膜として形成することができ、また、この発明に係る青色発光化合物、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を前記透明電極2上に蒸着してなる蒸着膜として形成することができる。
【0041】
前記高分子膜における高分子としては、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3−アルキレンチオフェン)、アリールアミンを含有するポリイミド、ポリフルオレイン、ポリフェニレンビニレン、ポリ−α−メチルスチレン、ビニルカルバゾール/α−メチルスチレン共重合体等を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、ポリビニルカルバゾールである。
【0042】
前記高分子膜中におけるこの発明に係る青色発光化合物、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物の含有量は、通常、0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0043】
前記高分子膜の厚みは、通常30〜500nm、好ましくは100〜300nmである。高分子膜の厚みが薄すぎると発光光量が不足することがあり、高分子膜の厚みが大きすぎると、駆動電圧が高くなりすぎて好ましくないことがあり、また、面状体、管状体、湾曲体、環状体とするときの柔軟性に欠けることがある。
【0044】
前記高分子膜は、前記高分子とこの発明に係る青色発光化合物、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を適宜の溶媒に溶解してなる溶液を用いて、塗布法例えばスピンキャスト法、コート法、及びディップ法等により形成することができる。
【0045】
前記発光層3が蒸着膜であるとき、その蒸着膜の厚みは、発光層における層構成等により相違するが、一般的には0.1〜100nmである。蒸着膜の厚みが小さすぎるとき、あるいは大きすぎるときには、前述したのと同様の問題を生じることがある。
【0046】
前記電極層4は、仕事関数の小さな物質が採用され、例えば、MgAg、アルミニウム合金、金属カルシウム等の、金属単体又は金属の合金で形成されることができる。好適な電極層4はアルミニウムと少量のリチウムとの合金電極である。この電極層4は、例えば基板1の上に形成された前記発光層3を含む表面に、蒸着技術により、容易に形成することができる。
【0047】
塗布法及び蒸着法のいずれを採用して発光層を形成するにしても、電極層と発光層との間に、バッファ層を介装するのが好ましい。
【0048】
前記バッファ層を形成することのできる材料として、例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウム等の酸化物、4,4’−ビスカルバゾールビフェニル(Cz−TPD)を挙げることができる。また、例えばITO等の陽極と有機層との間に形成されるバッファ層を形成する材料として、例えばm−MTDATA(4,4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、フタロシアニン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、無機酸化物例えば酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム、フッ化リチウムを挙げることができる。これらのバッファ層は、その材料を適切に選択することにより、発光素子である有機EL素子の駆動電圧を低下させることができ、発光の量子効率を改善することができ、発光輝度の向上を達成することができる。
【0049】
次にこの発明に係る発光素子の第2の例を図に示す。図2は多層型有機EL素子である発光素子の断面を示す説明図である。
【0050】
図2に示すように、この発光素子Bは、基板1の表面に、透明電極2、ホール輸送層5、発光層3a,3b、電子輸送層6及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0051】
基板1、透明電極2、及び電極層4については、図1に示された発光素子Aにおけるのと、同様である。
【0052】
図2に示される発光素子Bにおける発光層は発光層3a及び発光層3bよりなり、発光層3aは発光化合物を蒸着してなる蒸着膜である。発光層3bは、DPVBi層である。このDPVBi層は、ホスト材料的な機能を有する層である。
【0053】
前記ホール輸送層5に含まれるホール輸送物質としては、トリフェニルアミン系化合物例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(TPD)、及びα−NPD等、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、複素環系化合物、π電子系スターバースト正孔輸送物質等を挙げることができる。
【0054】
前記電子輸送層6に含まれる電子輸送物質としては、前記電子輸送性物質としては、例えば、2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体及び2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、並びに2,5−ビス(5’−tert−ブチル−2’−ベンゾキサゾリル)チオフェン等を挙げることができる。また、電子輸送性物質として、例えばキノリノールアルミ錯体(Alq3)、ベンゾキノリノールベリリウム錯体(Bebq2)等の金属錯体系材料を好適に使用することもできる。
【0055】
図2における発光素子Bでは、電子輸送層6はAlq3を含有する。
【0056】
各層の厚みは、従来から公知の多層型有機EL素子におけるのと同様である。
【0057】
図2に示される発光素子Bは、図1に示される発光素子Aと同様に作用し、発光する。したがって、図2に示される発光素子Bは、図1に示される発光素子Aと同様の用途を有する。
【0058】
図3に、この発明に係る発光素子の第3の例を示す。図3は、多層型有機EL素子である発光素子の断面を示す説明図である。
【0059】
図3に示される発光素子Cは、基板1の表面に、透明電極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層8及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0060】
この図3に示す発光素子Cは前記発光素子Bと同様である。
【0061】
図4に発光素子の他の例を示す。この図4に示す発光素子Dは、基板1、電極2、ホール輸送層5、発光層3及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0062】
前記図1〜4に示される発光素子の外に、基板上に形成された透明電極である陽極と電極層である陰極との間に、ホール輸送性物質を含有するホール輸送層と、この発明に係る青色発光化合物含有の電子輸送性発光層とを積層して成る二層型有機低分子発光素子(例えば、陽極と陰極との間に、ホール輸送層と、ゲスト色素としてこの発明に係る青色発光化合物及びホスト色素を含有する発光層とを積層して成る二層型色素ドープ型発光素子)、陽極と陰極との間に、ホール輸送性物質を含有するホール輸送層と、この発明における青色発光化合物と電子輸送性物質とを共蒸着してなる電子輸送性発光層とを積層して成る二層型有機発光素子(例えば、陽極と陰極との間に、ホール輸送層と、ゲスト色素としてこの発明に係る青色発光化合物及びホスト色素とを含有する電子輸送性発光層とを積層して成る二層型色素ドープ型有機発光素子)、陽極と陰極との間に、ホール輸送層、この発明に係る青色発光化合物含有の発光層及び電子輸送層を積層して成る三層型有機発光素子を挙げることができる。
【0063】
この発光素子における電子輸送性発光層は、通常の場合、50〜80%のポリビニルカルバゾール(PVK)と、電子輸送性発光剤5〜40%と、この発明に係る青色発光化合物0.01〜20%(重量)とで形成されていると、青色発光が高輝度で起こる。
【0064】
また、前記発光層中には、増感剤としてルブレンが含有されているのが好ましく、特に、ルブレンとAlq3とが含有されているのが好ましい。
【0065】
この発明に係る青色発光化合物を利用した青色発光素子、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を利用した白色発光素子は、例えば一般に直流駆動型の有機EL素子として使用することができ、また、パルス駆動型の有機EL素子及び交流駆動型の有機EL素子としても使用することができる。
【0066】
【実施例】
(実施例1)
予め混合しておいたアントラセン(分子量=178.23)5.0gと金属亜鉛粉0.55gとを、塩化カルシウム管付き冷却管を付けた200ml三つ口フラスコに投入し、これに1−クロロメチルナフタレン(分子量=176.64)12.4gを加え、オイルバス上で攪拌しながら75℃で1時間加熱した。放冷後反応物をクロロホルムに溶解し、得られたクロロホルム溶液を氷水中に投入した。分液ロートに移し、クロロホルムで抽出した。水洗を2回繰り返した後に、無水硫酸ナトリウムで脱水した。エバポレーターで濃縮乾燥して白黄色粉体14gを得た。これにベンゼン40mlを加え攪拌し不溶分をガラスフィルターで濾別。これを溶解するまでホットベンゼン200mlを加え、更に活性炭を加え加熱し濾過。濾液を一日放置後白黄色の結晶析出。これをキシレンで更に二回再結晶し白色の結晶2gを得た。
【0067】
この白色結晶を昇華精製してから融点を測定したところ、330℃以上で融解した。この白色結晶のIRチャートを図5に、NMRチャートを図6に示した。これらの結果から、この白色結晶は、式(5)で示される9,10−ビス[4−(ナフチル)メチル]アントラセンであると、同定された。
【0068】
【化13】
混合キシレンに9,10−ビス[(4−ナフチル)メチル]アントラセンを10mg/Lの濃度になるように溶解して試料液を調製した。この試料液を、島津製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、以下の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図7に示した。
【0069】
測定条件
測定モード 波長スキャン
励起波長 365nm
蛍光開始波長 365nm
蛍光終了波長 720nm
スキャンスピード 2400nm/分
励起側スリット 5.0nm
蛍光側スリット 5.0nm
ホトマル電圧 700V
図7から判るように、この実施例で得られた青色発光化合物は、400〜500nmに蛍光発光が見られる。
【0070】
(実施例2)
予め混合しておいたアントラセン(分子量=178.23)7.02gと1−メチル−4−クロロメチルナフタレン(分子量=190.5)30gと金属亜鉛粉1.39gとを、塩化カルシウム管付き冷却管を付けた500ml三つ口フラスコ内に投入し、オイルバス上で攪拌しながら70℃で30分加熱し、次いで75℃に昇温してその温度で30分加熱した。放冷後に反応物をクロロホルムで溶解してこれを氷水中に投入した。分液ロートに移してクロロホルムで抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水した。エバポレーターで濃縮乾固することにより、淡褐色ペーストを得た。このペーストをキシレンに溶解し、得られる溶液に活性炭を投入し、濾過してから再結晶を2回行った。白色の結晶1.6gを得た。
【0071】
この結晶のIRチャートを図8に、NMRチャートを図9に示した。この結晶は300℃以上で融解した。これらの結果から、この結晶は、式(6)で示される9,10−ビス[4−(1−メチルナフチル)メチル]アントラセンであると、同定された。
【0072】
【化14】
式(5)で示される青色発光化合物の代わりに式(6)で示される構造を有するこの結晶を用いた外は前記実施例1におけるのと同様にして蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図10に示した。
【0073】
(実施例3)
予め混合しておいた9,10−ビス(クロロメチル)アントラセン(分子量=275)1.0gと1−メトキシナフタレン(分子量=158.2)2.8gと金属亜鉛粉0.12gとの混合物を、塩化カルシウム管付き冷却管を付けた300ml三つ口フラスコに投入し、オイルバス上で攪拌しながら75℃で1時間30分加熱した。放冷した後に反応物をクロロホルムに溶解し、えられたクロロホルム溶液を氷水中に投入した。10%NaOH水溶液でアルカリ性にし、分液ロートに移してクロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水した。エバポレーターで濃縮乾固して暗紫色粉体1.6gを得た。この暗紫色粉体をキシレンに溶解し、活性炭を投入し、濾過してから再結晶を2回行って、淡黄色結晶0.4gを得た。
【0074】
この淡黄色結晶を昇華精製してから融点を測定したところ、330℃以上で融解した。この淡黄色結晶のIRチャートを図11に、NMRチャートを図12に示した。これらの結果から、この淡黄色結晶は、式(7)で示される9,10−ビス[4−(1−メトキシナフチル)メチル]アントラセンであると、同定された。
【0075】
【化15】
式(5)で示される青色発光化合物の代わりに式(7)で示される構造を有するこの結晶を用いた外は前記実施例1におけるのと同様にして蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図13に示した。
【0076】
(実施例4)
発光素子の作製
<発光特性1>
ITO基板(50×50mm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間かけて超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、フォト・サーフェス・プロセッサー(セン特殊光源(株)製、波長254nm)で5分間UVを照射してITO基板の洗浄を行った。
【0077】
洗浄されたITO基板を真空蒸着装置(大亜真空技研(株)、UDS−M2−46型)にセットし、4×10−6torr以下の減圧下に、α−NPD層45nm、前記実施例1で得られた青色発光化合物(式(5))の層40nm、及びAlq3層 15nmをこの順に積層してなる発光層、最後にアルミ合金製電極(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)を150nmの厚みに蒸着して、図1に示される積層構造の青色発光素子を製造した。
【0078】
この青色発光素子につき、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧20V及び電流32.26mAで輝度が836.3Cd/m2、色度Xが0.1863及び色度Yが0.1492の結果が得られた。
【0079】
<発光特性2>
5mlのメスフラスコに、ポリビニルカルバゾール 70mg、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND) 30mg、及び前記実施例1で得られたところの式(5)で示される粉体 0.3mgを秤量し、ジクロロエタンを加えて5mlになるように青色発光化合物含有溶液を調製した。この青色発光化合物含有溶液は、超音波洗浄器((株)エスエヌディ製、US−2)で超音波を20分間照射することにより、十分に均一なものにされた。ITO基板(50×50mm、ITO透明電極の厚み200μm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、前記したフォト・フェイス・プロセッサー(波長254nm)で5分間UVを照射して洗浄した。スピンコータ(ミカサ(株)製、1H−D7)を用いて洗浄乾燥の終了したITO基板に、調製しておいた前記青色発光化合物含有溶液を滴下し、回転数1,500rpm、回転時間3秒にてスピンコートして乾燥厚が100μmとなるように製膜した。製膜した基板を、50℃の恒温槽中で30分乾燥させた後に、真空蒸着装置(大亜真空技研(株)製、VDS−M2−46型)でアルミ合金(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)電極を、4×10−6Torrで約150nmの厚みに蒸着し、図1に示される構造の青色発光素子を製作した。
【0080】
この青色発光素子は、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧20V及び電流28.72mAで輝度が283.0Cd/m2、色度Xが0.1693及び色度Yが0.1078の結果が得られた。
【0081】
(実施例5)
予め混合しておいた9−メチルアントラセン2.5g、金属亜鉛粉0.26gとの混合物を、塩化カルシウム管付き冷却管を備えた500mlの三口フラスコに投入し、更に1−クロロメチルナフタレン2.53gを加え、オイルバス上で撹拌下に70℃で30分、次いで75℃で30分加熱した。塩酸ガスの発生をpH試験紙で確認した。徐冷した後に、反応生成物をクロロホルムで溶解し、これを氷水中に投入した。10%苛性ソーダ水溶液で中和して分液ロートに移し、クロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。エバポレータで濃縮乾固して黄色粉体を得た。これにトルエン200mlと活性炭とを加えて加熱撹拌し、濾紙で濾別した。濾液を濃縮して再結晶し、淡黄色の微結晶0.92gを得た。
【0082】
この結晶のIRチャートを図14に、NMRチャートを図15に、それぞれ示した。前記実施例1におけるのと同様にしてこの結晶につき蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図16に示した。
【0083】
これらのデータから前記結晶の化合物は式(8)に示される構造を有するものと同定した。
【0084】
【化16】
(実施例6)
塩化ナトリウム200gとこれを浸す量の塩酸とを入れた1リットルの三口フラスコに濃硫酸を滴下し、発生した塩化水素ガスを、塩化カルシウム管付き冷却間を装備した500mlの三口フラスコ内に装入された2−ブロモベンゼン(分子量185)34.6gとパラホルムアルデヒド1.4gと塩化亜鉛(分子量136)2.1gとの混合物に、撹拌下に吹き込みながら、オイルバス上で70℃に40分間加熱した。放冷後、反応物を氷水中に投入した。分液ロートに移し、ベンゼンで抽出した。これを2%炭酸水素ナトリウム水溶液で濁りがなくなるまで洗浄した。エバポレータで濃縮乾固し、反応生成物の淡褐色液体30.4gを得た。これを200℃3mmHgの条件で減圧蒸留し、残留分のIRスペクトル及びNMRスペクトルを測定した。これらのデータから得られた物質を1−クロロメチル−4−(2−ブロモエチル)ベンゼン(CH2Cl−C6H4−CH2CH2Br)と、同定した。
【0085】
この1−クロロメチル−4−(2−ブロモエチル)ベンゼン 3.7gと9−メチルアントラセン(分子量192)2.5gと金属亜鉛粉(原子量65.39)0.43gとを、塩化カルシウム管付き冷却管を装備した200mlの三口フラスコに投入し、オイルバス上で撹拌下に170℃で1時間加熱した。酸性ガスの発生をpH試験紙で確認した。徐冷後に、反応物をクロロホルムに溶解し、これを氷水中に投入した。分液ロートに移し替え、クロロホルムで抽出した。水洗を2回繰り返した後に、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥し、エバポレータで濃縮乾固して4.5gの黒褐色固体を得た。少量のクロロホルムに溶解し、500mlのメタノール中に投入した。発生した褐色沈澱をガラスフィルターで濾過して乾燥した。褐色の反応生成物粉末3.6gを得た。この褐色粉末のIRチャートを図17に、NMRチャートを図18に示した。これらのデータからこの褐色粉末を、式(9)に示される構造を有する化合物と、同定した。
【0086】
式(9)で示される構造を有する前記褐色粉末3.6gを200mlビーカに採取し、THF60mlに溶解し、これにエタノール20ml及び水酸化カリウム3gを加えて溶解し、更に無水硫酸ナトリウムを添加し、脱臭化水素反応を行った。
【0087】
【化17】
その後に、無水硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を塩化カルシウム管付き冷却管を備えた200mlのナスフラスコに移し、沸石を加えてオイルバス上で100℃で3時間加熱した。放冷後に反応生成物を氷水中に投入した。分液ロートに移し、クロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返し、その後に、無水硫酸ナトリウムで脱水した。エバポレータで濃縮乾固し、褐色のカルメラ状固形物を得た。ベンゼンを展開的としてカラムで分離し、1.4gの淡褐色生成物を得た。
【0088】
この淡褐色生成物のIRチャートを図19に、NMRチャートを図20に、それぞれ示した。前記実施例1におけるのと同様にしてこの結晶につき蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図21に示した。
【0089】
これらのデータから前記結晶の化合物は式(10)に示される構造を有するものと同定した。
【0090】
【化18】
(実施例7)
予め混合しておいた9−メチルアントラセン2.5g、金属亜鉛粉0.26gとの混合物を、塩化カルシウム管付き冷却管を備えた500mlの三口フラスコに投入し、更に4−トリフロロメチルベンジルブロミド4.05gを加え、オイルバス上で撹拌下に70℃で30分、次いで75℃で30分加熱した。酸性ガスの発生をpH試験紙で確認した。徐冷した後に、反応生成物をクロロホルムで溶解し、これを氷水中に投入した。分液ロートに移し、クロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。エバポレータで濃縮乾固して黄色ペーストを得た。これにトルエン100mlと活性炭とを加えて加熱撹拌し、濾紙で濾別した。濾液を濃縮して一昼夜静置することにより発生した結晶を集めて、石油エーテルで洗浄して淡黄色の微結晶0.9gを得た。
【0091】
この微結晶を昇華精製して0.4gの精製結晶を得た。この精製結晶のIRチャートを図22に示した。前記実施例1におけるのと同様にしてこの結晶につき蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図23に示した。
【0092】
これらのデータから前記結晶の化合物は式(11)に示される構造を有するものと同定した。
【0093】
【化19】
<発光素子の作製>
<発光特性1>
ITO基板(50×50mm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間かけて超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、フォト・サーフェス・プロセッサー(セン特殊光源(株)製、波長254nm)で5分間UVを照射してITO基板の洗浄を行った。
【0094】
洗浄されたITO基板を真空蒸着装置(大亜真空技研(株)、UDS−M2−46型)にセットし、4×10−6torr以下の減圧下に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(TPD)層45nm、前記実施例7で得られた青色発光化合物(式(11))を下記式(12)の黄色発光化合物(Y−320)に3%ドーピングしてなる層40nm、及びAlq3層 20nmをこの順に積層してなる発光層、最後にアルミ合金製電極(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)を150nmの厚みに蒸着して、図1に示される積層構造の発光素子を製造した。
【0095】
【化20】
この発光素子につき、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧12V及び電流23.7mAで輝度が1285Cd/m2、色度Xが0.412及び色度Yが0.557の結果が得られた。
【0096】
この例では、青色発光化合物と黄色発光化合物とを含有する発光層を備えた発光素子が、黄緑の発光を呈したことを、示す。
【0097】
<発光特性2>
5mlのメスフラスコに、ポリビニルカルバゾール 70mg、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND) 30mg、及び前記実施例7で得られたところの式(11)で示される青色発光化合物 1mgを秤量し、ジクロロエタンを加えて5mlになるように青色発光化合物含有溶液を調製した。この青色発光化合物含有溶液は、超音波洗浄器((株)エスエヌディ製、US−2)で超音波を20分間照射することにより、十分に均一なものにされた。ITO基板(50×50mm、ITO透明電極の厚み200μm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、前記したフォト・フェイス・プロセッサー(波長254nm)で5分間UVを照射して洗浄した。スピンコータ(ミカサ(株)製、1H−D7)を用いて洗浄乾燥の終了したITO基板に、調製しておいた前記青色発光化合物含有溶液を滴下し、回転数1,500rpm、回転時間3秒にてスピンコートして乾燥厚が100μmとなるように製膜した。製膜した基板を、50℃の恒温槽中で30分乾燥させた後に、真空蒸着装置(大亜真空技研(株)製、VDS−M2−46型)でアルミ合金(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)電極を、4×10−6Torrで約150nmの厚みに蒸着し、図1に示される構造の青色発光素子を製作した。
【0098】
この青色発光素子は、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧16V及び電流5.89mAで輝度が116.30Cd/m2、色度Xが0.1859及び色度Yが0.1368の結果が得られた。
【0099】
(実施例8)
9−メチルアントラセン(分子量192.26)10gと1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン(分子量175.02)2.27gと亜鉛0.5gとo−ジクロロベンゼン20mlとを、500mlの三口フラスコに収容した。この三口フラスコ内を撹拌しつつ、オイルバス上で85℃で10分、次いで90℃で25分、更に100℃で20分間加熱した。酸性ガスの発生をpH試験紙で確認した。徐冷した後に、反応生成物を氷水中に投入した。分液ロートに移し、クロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。エバポレータで濃縮乾固して黄色ペーストを得た。これにキシレン100mlと活性炭とを加えて加熱撹拌し、濾紙で濾別した。濾液を濃縮して一昼夜静置することにより発生した結晶を集めて、石油エーテルで洗浄して淡黄色の微結晶0.203gを得た。
【0100】
この微結晶のNMRチャートを図24に示した。この微結晶は、式(13)に示す構造を有するものと同定された。
【0101】
【化21】
<発光特性>
ITO基板(50×50mm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間かけて超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、フォト・サーフェス・プロセッサー(セン特殊光源(株)製、波長254nm)で5分間UVを照射してITO基板の洗浄を行った。
【0102】
洗浄されたITO基板を真空蒸着装置(大亜真空技研(株)、UDS−M2−46型)にセットし、4×10−6torr以下の減圧下に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(TPD)層45nm、前記式(13)で示される構造を有する青色発光化合物をメチルベンジルホワイトに1.3%ドーピングしてなる層35nm、及びAlq3層 15nmをこの順に積層してなる発光層、最後にアルミ合金製電極(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)を150nmの厚みに蒸着して、図1に示される積層構造の発光素子を製造した。
【0103】
この発光素子につき、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧12V及び電流27.74mAで輝度が4881.00Cd/m2、色度Xが0.3777及び色度Yが0.4777の結果が得られた。
【0104】
この例は、青色発光化合物と黄色発光化合物とを含有する発光層を備えた発光素子は、黄緑色の発光を呈することを、示す。
【0105】
【発明の効果】
この発明によると、エネルギーを付与することにより高輝度で、高い色純度で青色に発光する耐久性のある新規な化合物を提供することができる。この発明によると、前記新規な青色発光化合物を発光層に含有させることにより高輝度で高い色純度で青色に発光させることができ、また、緑色発光化合物と赤発光化合物とこの発明に係る青色発光化合物とを発光層に含有させることにより高輝度で白色に発光させることができる発光素子、また、この発明に係る青色発光化合物と他の色に発光する発光化合物とにより所定の色に発光する発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係る一例としての発光素子を示す説明図である。
【図2】図2は、この発明に係る他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図3】図3は、この発明に係るその他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図4】図4は、この発明に係る更に他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図5】図5は、実施例1において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートを示すチャート図である。
【図6】図6は、実施例1において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートを示すチャート図である。
【図7】図7は、実施例1において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図8】図8は、実施例2において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートを示すチャート図である。
【図9】図9は、実施例2において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートを示すチャート図である。
【図10】図10は、実施例2において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図11】図11は、実施例3において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートを示すチャート図である。
【図12】図12は、実施例3において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートを示すチャート図である。
【図13】図13は、実施例3において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図14】図14は、実施例5において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートである。
【図15】図15は、実施例5において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートである。
【図16】図16は、実施例5において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図17】図17は、実施例6において合成された1−クロロメチル−4−(2−ブロモエチル)ベンゼンを示すIRチャートである。
【図18】図18は、実施例実施例6において合成された1−クロロメチル−4−(2−ブロモエチル)ベンゼンを示すNMRチャートである。
【図19】図19は、実施例6において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートである。
【図20】図20は、実施例6において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートである。
【図21】図21は、実施例6において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図22】図22は、実施例7において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートである。
【図23】図23は、実施例7において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートである。
【図24】図24は、実施例8において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートである。
【符号の説明】
A,B,C・・・発光素子、1・・・基板、2・・・透明電極、3・・・発光層、4・・・電極層。
【発明の属する技術分野】
この発明は青色発光化合物及び発光素子に関し、更に詳しくは、色純度が大きく、大きな輝度で発光する、堅牢性の大きな青色発光化合物、及び大きな輝度で発光可能な発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エネルギーの付与により高純度の青色に高輝度で発光する有機化合物は見あたらない。しかも、高輝度で高純度の青色に発光する上に堅牢性のある有機化合物はなおさら見あたらなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、高純度の青色に高輝度で発光する、耐久性のある有機化合物を提供することを目的とする。この発明の他の目的は、高純度の色に高輝度で発光する耐久性のある発光素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(1) 前記課題を解決するための手段は、以下の式(1)で示される構造を有することを特徴とする青色発光化合物であり、
【0005】
【化4】
(ただし、式中、−Ar−は、芳香族基であり、Ar1−は、水素原子又は芳香族置換基である。Ar2−は、Ar1が水素原子であるときには芳香族置換基であり、Ar1が芳香族置換基であるときには、水素原子又は芳香族置換基である。)
前記青色発光化合物の好適な態様において、式(1)中、−Ar−は、下記式(1a)で示される1,4−フェニレン基、下記式(1b1)で示される1,4−ナフチレン基、下記式(1b2)で示される2,6−ナフチレン基、又は下記式(1c)で示される9,10−アントリレン基であり、Ar1は水素原子、又は下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基であり、Ar2は、Ar1が前記芳香族置換基であるときには、水素原子又は下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基であり、また、Ar1が水素原子であるときには、下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基であり、
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
(ただし、式中、R1は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。mは0、1〜5の整数を示す。複数のR1は同一であっても相違していてもよい。R2は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。nは、0、1〜3の整数を示す。複数のR2は同一であっても相違していてもよい。R3は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。pは、0、1〜4の整数を示す。複数のR3は同一であっても相違していてもよい。また、R2とR3とは同一であっても相違していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。R5は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。qは、0、1〜4の整数を示す。複数のR5は同一であっても相違していてもよい。また、R4とR5とは同一であっても相違していてもよい。)
(2) 前記課題を解決するための別の手段は、一対の電極間に、前記一般式(1)で示される青色発光化合物を含有する発光層を設けてなることを特徴とする発光素子である。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明に係る新規な青色発光化合物は、式(1)で示す構造を有する。
【0009】
【化7】
ただし、式(1)中、−Ar−は、芳香族基であり、単環又は縮合環を有すると共に共役するπ電子を有する基である。Ar1−は、水素原子又は芳香族置換基である。Ar2−は、Ar1が水素原子であるときには芳香族置換基であり、Ar1が芳香族置換基であるときには、水素原子又は芳香族置換基である。この芳香族置換基は、単環又は縮合環を有すると共に共役するπ電子を有し、隣接するメチレン基に結合する置換基である。
【0010】
前記芳香族基としては、π電子を有して芳香族性を備えた二価の基(すなわち結合手を二本有する芳香族基)を挙げることができ、フェニレン基、フェナントリレン基、アントリレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、ナフタセニレン基等を好適例として挙げることができる。
【0011】
更に好適な−Ar−としては、式(1a)〜(1c)で示される芳香族基を挙げることができる。
【0012】
【化8】
式(1a)で示される基は1,4−フェニル基であり、式(1b1)で示される基は、1,4−ナフチレン基であり、式(1b2)で示される基は、2,6−ナフチレン基であり、式(1c)で示される基は9,10−アントリレン基である。
【0013】
前記式(1a)〜(1c)で示される四種の芳香族基の中でも、式(1a)及び(1c)で示される芳香族基が好ましい。式(1a)で示される芳香族基を有する青色発光化合物は人体に接触しても人体の皮膚に「かぶれ」を生じさせない。
【0014】
また、好適なAr1−及びAr2−は、式(1d)〜(1f)で示される。
【0015】
【化9】
ただし、式中、R1は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。mは0、1〜5の整数を示す。複数のR1は同一であっても相違していてもよい。R2は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。nは、0、1〜3の整数を示す。複数のR2は同一であっても相違していてもよい。R3は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。pは、0、1〜4の整数を示す。複数のR3は同一であっても相違していてもよい。また、R2とR3とは同一であっても相違していてもよい。R4は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。R5は水素原子、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数1〜5のフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基又は炭素数1〜5のアルケニル基を示す。qは、0、1〜4の整数を示す。複数のR5は同一であっても相違していてもよい。また、R4とR5とは同一であっても相違していてもよい。
【0016】
前記R1、R2、R3、R4及びR5がアルキル基を示す場合、そのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基等をあげることができる。好適なアルキル基は、メチル基、エチル基及びプロピル基等の炭素数1〜3の低級アルキル基である。
【0017】
前記R1、R2、R3、R4及びR5がフッ素原子を含有するアルキル基(以下において、フッ素原子含有アルキル基と略称することがある。)を示す場合、そのフッ素原子含有アルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−モノフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、1〜7個のフッ素原子を置換するフッ化プロピル基、1〜9個のフッ素原子を置換するフッ化ブチル基及び1〜11個のフッ素原子を置換するペンチル基等をあげることができる。
【0018】
前記R1、R2、R3、R4及びR5がアルコキシ基を示す場合、そのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基及びペントキシ基等を挙げることができる。好適なアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜3の低級アルコキシ基である。
【0019】
前記R1、R2、R3、R4及びR5がアルケニル基を示す場合、そのアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等をあげることができる。好適なアルケニル基は、ビニル基である。
【0020】
式(1)で示される青色発光化合物の中でも好適な化合物は、式(2)、式(3)及び式(4)で示すことができる。
【0021】
【化10】
上記式(2)におけるR2及びnは前記と同様の意味を示す。複数のR2は同一であっても、相違していてもよい。上記式(2)で示される青色発光化合物の中でも、R2が水素原子、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基等であり、nが1である青色発光化合物が好ましい。nが1であるときのR2の置換位置は、パラ位であるのが、好ましい。
【0022】
【化11】
上記式(3)におけるR2及びnは前記と同様の意味を示す。n個のR2は同一であっても、相違していてもよい。上記式(3)で示される青色発光化合物の中でも、R2が水素原子、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基、炭素数が2〜4のアルケニル基であり、nが1である青色発光化合物が好ましい。nが1であるときのR2の置換位置は、パラ位であるのが、好ましい。
【0023】
【化12】
上記式(4)において、R4は前記と同様の意味を示す。上記式(4)で示される青色発光化合物の中でも、R4が水素原子、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルキル基、炭素数が1〜3でフッ素原子が置換してもよいアルコキシ基を有する青色発光化合物が好ましい。
【0024】
式(1)で示される青色発光化合物は、芳香族基−Ar−を中心にし、この芳香族基−Ar−とメチレン基を介して他の芳香族基−Ar1−及び/又は−Ar2−とが結合した構造を有することが特異的である。特に芳香族基−Ar−と芳香族基−Ar1−及び/又は−Ar2−との何れかがアントリル基である場合には、この発明の目的をよく達成することができる。
【0025】
すなわち、アントラセン自体はエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、蛍光発光)可能な物質として最初に発見された化合物である(W.Helfrich,W.G.Schneider,Phys.Rev.Lett.14,229(1965))。しかしながら、アントラセンによる蛍光は輝度が小さく、また青色発光化合物としては不十分であった。これに対して、この発明に係る青色発光化合物は、アントラセン骨格を代表とする芳香族骨格と他の芳香族骨格とがメチレン結合を介して結合されているので、この青色発光化合物を励起した場合に、メチレン基の両側に位置する芳香族基における励起されたπ電子が膨らみ、芳香環同士が空間的に相互作用を及ぼし合う。それ故に、π電子系はメチレン基で切断された状態ではなくなり、励起したπ電子の励起状態と基底状態とのエネルギー差が小さくなり、高輝度で青色発光可能となるように調整される。更にいうと、この発明の青色発光化合物におけるメチレン結合が結合する両側の芳香環はπ電子共役することがなく、発光する光が長波長側にシフトする。而してメチレン結合における超共役効果によりメチレン基を挟む二種の芳香環におけるπ電子が相互作用することになる。その結果、この青色発光化合物は、発光強度が大きく、高輝度で青色発光を呈するようになり、しかも芳香骨格を有するので耐久性のある発光化合物である。反面、芳香環と芳香環とが単結合で結合していると、π電子系平面がツイストすることがあっても、青色発光より大きく長波長側にシフトし、つまり鮮やかな青色発光を呈しなくなり、また発光輝度も低下して、この発明の目的を達成することができなくなる。
【0026】
前記式(1)で示される青色発光化合物は、H−Ar−HとCH2X−Ar1及び/又はCH2X−Ar2とを反応させることにより製造される。ここで−Ar−、−Ar1、及び−Ar2は前記と同様の意味を示す。また、Xはハロゲン原子、特に塩素原子を示す。また、−Ar1及び−Ar2の何れかが水素原子である青色発光化合物は、H−Ar−CH3とCH2X−Ar1又はCH2X−Ar2とを反応させることにより製造される。
【0027】
前記式(1)で示される青色発光化合物の合成においても、反応は、適宜の溶媒中で加熱することにより進行する。加熱温度は、通常60〜90℃である。反応を促進するために金属等の触媒を使用することもできる。反応は、通常10分〜数時間で終了する。
【0028】
この発明に係る青色発光化合物は、電磁波エネルギーを与えることにより、全体として400〜470nmの領域にわたる可視部発光が見られ、例えば図7及び図10に示されるような蛍光スペクトルを有し、青色発光可能な発光素子例えば有機EL素子に利用することができる。さらに、赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明の青色発光化合物を含有させた発光層を備えた発光素子は、白色に発光させることができる。
【0029】
以下にこの発明に係る発光素子について説明する。
【0030】
図1は、一層型有機EL素子でもある発光素子の断面構造を示す説明図である。図1に示されるように、この発光素子Aは、透明電極2を形成した基板1上に、発光材料を含有する発光層3及び電極層4をこの順に積層して成る。
【0031】
図1に示される発光素子は、その発光層3にこの発明に係る青色発光化合物、赤色発光化合物、及び緑色発光化合物をバランス良く含有していると、透明電極2及び電極層4に電流を通電すると、白色に発光する。また、その発光層3にこの発明に係る青色発光化合物、赤色発光化合物、及び緑色発光化合物を適宜の割合で含有させることにより、所望の色に発光させることができる。発光は、前記透明電極2と前記電極層4との間に電界が印加されると、電極層4側から電子が注入され、透明電極2から正孔が注入され、更に電子が発光層3において正孔と再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出する現象である。
【0032】
図1に示される発光素子Aは、その全体形状を大面積の平面形状にすると、例えば壁面、あるいは天井に装着して、大面積壁面白色発光素子、及び大面積天井面白色発光素子等の面状発光照明装置とすることができる。つまり、この発光素子は、従来の蛍光灯のような線光源あるいは電球と言った点光源に代えて面光源として利用されることができる。特に、居住のための室内、事務用の室内、車両室内等の壁面、天井面、あるいは床面をこの発光素子により面光源として発光ないし照明することができる。さらに、この発光素子Aをコンピュータにおける表示画面、携帯電話における表示画面、金銭登録機における数字表示画面等のバックライトに使用することができる。その他、この発光素子Aは、直接照明、間接照明等の様々の光源として使用されることができ、また、夜間に発光させることができて視認性が良好である広告装置、道路標識装置、及び発光掲示板、更には自動車等の車両におけるブレーキランプ等の光源に使用されることもできる。しかも、この発光素子Aは、特定の化学構造を有する青色発光化合物を発光層に有するので、発光寿命が長い。したがって、この発光素子Aにより発光が長寿命である光源とすることができる。
【0033】
また、発光素子Aにおける発光層に、この発明に係る青色発光化合物が含有されていて、赤色発光化合物及び緑色発光化合物が含有されていないときには、この発光素子Aは鮮やかな青色に発光する。
【0034】
また、この発光素子Aを、筒状に形成された基板1と、その基板1の内面側に透明電極2、発光層3及び電極層4をこの順に積層してなる管状発光体とすることができる。この発光素子Aは、水銀を使用していないので、従来の水銀を使用する蛍光灯に代替して環境に優しい光源とすることができる。
【0035】
基板1としては、透明電極2をその表面に形成することができる限り、公知の基板を採用することができる。この基板1として、例えばガラス基板、プラスチックシート、セラミック、表面に絶縁塗料層を形成する等の、表面を絶縁性に加工してなる金属板等を挙げることができる。
【0036】
この基板1が不透明であるときには、発光層に赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を含有する発光素子は、基板1とは反対側に白色光を照射することができる片面照明装置である。また、この基板1が透明であるときには、発光素子の基板1側及びその反対側の面から、白色光を照射することができる両面照明装置である。
【0037】
前記透明電極2としては、仕事関数が大きくて透明であり、電圧を印加することにより陽極として作用して前記発光層3にホールを注入することができる限り様々の素材を採用することができる。具体的には、透明電極2は、ITO、In2O3、SnO2、ZnO、CdO等、及びそれらの化合物等の無機透明導電材料、及びポリアニリン等の導電性高分子材料等で形成することができる。
【0038】
この透明電極2は、前記基板1上に、化学気相成長法、スプレーパイロリシス、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、イオンビームスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンアシスト蒸着法、その他の方法により形成されることができる。
【0039】
なお、基板が不透明部材で形成されるときには、基板上に形成される電極は透明電極である必要はない。
【0040】
発光層3は、青色を発光させるときにはこの発明に係る青色発光化合物を含有し、また、白色を発光させるときには赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を含有する層である。この発光層3は、この発明に係る青色発光化合物、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を高分子中に分散してなる高分子膜として形成することができ、また、この発明に係る青色発光化合物、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を前記透明電極2上に蒸着してなる蒸着膜として形成することができる。
【0041】
前記高分子膜における高分子としては、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3−アルキレンチオフェン)、アリールアミンを含有するポリイミド、ポリフルオレイン、ポリフェニレンビニレン、ポリ−α−メチルスチレン、ビニルカルバゾール/α−メチルスチレン共重合体等を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、ポリビニルカルバゾールである。
【0042】
前記高分子膜中におけるこの発明に係る青色発光化合物、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物の含有量は、通常、0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0043】
前記高分子膜の厚みは、通常30〜500nm、好ましくは100〜300nmである。高分子膜の厚みが薄すぎると発光光量が不足することがあり、高分子膜の厚みが大きすぎると、駆動電圧が高くなりすぎて好ましくないことがあり、また、面状体、管状体、湾曲体、環状体とするときの柔軟性に欠けることがある。
【0044】
前記高分子膜は、前記高分子とこの発明に係る青色発光化合物、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を適宜の溶媒に溶解してなる溶液を用いて、塗布法例えばスピンキャスト法、コート法、及びディップ法等により形成することができる。
【0045】
前記発光層3が蒸着膜であるとき、その蒸着膜の厚みは、発光層における層構成等により相違するが、一般的には0.1〜100nmである。蒸着膜の厚みが小さすぎるとき、あるいは大きすぎるときには、前述したのと同様の問題を生じることがある。
【0046】
前記電極層4は、仕事関数の小さな物質が採用され、例えば、MgAg、アルミニウム合金、金属カルシウム等の、金属単体又は金属の合金で形成されることができる。好適な電極層4はアルミニウムと少量のリチウムとの合金電極である。この電極層4は、例えば基板1の上に形成された前記発光層3を含む表面に、蒸着技術により、容易に形成することができる。
【0047】
塗布法及び蒸着法のいずれを採用して発光層を形成するにしても、電極層と発光層との間に、バッファ層を介装するのが好ましい。
【0048】
前記バッファ層を形成することのできる材料として、例えば、フッ化リチウム等のアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウム等の酸化物、4,4’−ビスカルバゾールビフェニル(Cz−TPD)を挙げることができる。また、例えばITO等の陽極と有機層との間に形成されるバッファ層を形成する材料として、例えばm−MTDATA(4,4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、フタロシアニン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、無機酸化物例えば酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム、フッ化リチウムを挙げることができる。これらのバッファ層は、その材料を適切に選択することにより、発光素子である有機EL素子の駆動電圧を低下させることができ、発光の量子効率を改善することができ、発光輝度の向上を達成することができる。
【0049】
次にこの発明に係る発光素子の第2の例を図に示す。図2は多層型有機EL素子である発光素子の断面を示す説明図である。
【0050】
図2に示すように、この発光素子Bは、基板1の表面に、透明電極2、ホール輸送層5、発光層3a,3b、電子輸送層6及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0051】
基板1、透明電極2、及び電極層4については、図1に示された発光素子Aにおけるのと、同様である。
【0052】
図2に示される発光素子Bにおける発光層は発光層3a及び発光層3bよりなり、発光層3aは発光化合物を蒸着してなる蒸着膜である。発光層3bは、DPVBi層である。このDPVBi層は、ホスト材料的な機能を有する層である。
【0053】
前記ホール輸送層5に含まれるホール輸送物質としては、トリフェニルアミン系化合物例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(TPD)、及びα−NPD等、ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、複素環系化合物、π電子系スターバースト正孔輸送物質等を挙げることができる。
【0054】
前記電子輸送層6に含まれる電子輸送物質としては、前記電子輸送性物質としては、例えば、2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体及び2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、並びに2,5−ビス(5’−tert−ブチル−2’−ベンゾキサゾリル)チオフェン等を挙げることができる。また、電子輸送性物質として、例えばキノリノールアルミ錯体(Alq3)、ベンゾキノリノールベリリウム錯体(Bebq2)等の金属錯体系材料を好適に使用することもできる。
【0055】
図2における発光素子Bでは、電子輸送層6はAlq3を含有する。
【0056】
各層の厚みは、従来から公知の多層型有機EL素子におけるのと同様である。
【0057】
図2に示される発光素子Bは、図1に示される発光素子Aと同様に作用し、発光する。したがって、図2に示される発光素子Bは、図1に示される発光素子Aと同様の用途を有する。
【0058】
図3に、この発明に係る発光素子の第3の例を示す。図3は、多層型有機EL素子である発光素子の断面を示す説明図である。
【0059】
図3に示される発光素子Cは、基板1の表面に、透明電極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層8及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0060】
この図3に示す発光素子Cは前記発光素子Bと同様である。
【0061】
図4に発光素子の他の例を示す。この図4に示す発光素子Dは、基板1、電極2、ホール輸送層5、発光層3及び電極層4をこの順に積層してなる。
【0062】
前記図1〜4に示される発光素子の外に、基板上に形成された透明電極である陽極と電極層である陰極との間に、ホール輸送性物質を含有するホール輸送層と、この発明に係る青色発光化合物含有の電子輸送性発光層とを積層して成る二層型有機低分子発光素子(例えば、陽極と陰極との間に、ホール輸送層と、ゲスト色素としてこの発明に係る青色発光化合物及びホスト色素を含有する発光層とを積層して成る二層型色素ドープ型発光素子)、陽極と陰極との間に、ホール輸送性物質を含有するホール輸送層と、この発明における青色発光化合物と電子輸送性物質とを共蒸着してなる電子輸送性発光層とを積層して成る二層型有機発光素子(例えば、陽極と陰極との間に、ホール輸送層と、ゲスト色素としてこの発明に係る青色発光化合物及びホスト色素とを含有する電子輸送性発光層とを積層して成る二層型色素ドープ型有機発光素子)、陽極と陰極との間に、ホール輸送層、この発明に係る青色発光化合物含有の発光層及び電子輸送層を積層して成る三層型有機発光素子を挙げることができる。
【0063】
この発光素子における電子輸送性発光層は、通常の場合、50〜80%のポリビニルカルバゾール(PVK)と、電子輸送性発光剤5〜40%と、この発明に係る青色発光化合物0.01〜20%(重量)とで形成されていると、青色発光が高輝度で起こる。
【0064】
また、前記発光層中には、増感剤としてルブレンが含有されているのが好ましく、特に、ルブレンとAlq3とが含有されているのが好ましい。
【0065】
この発明に係る青色発光化合物を利用した青色発光素子、又は赤色発光化合物、緑色発光化合物及びこの発明に係る青色発光化合物を利用した白色発光素子は、例えば一般に直流駆動型の有機EL素子として使用することができ、また、パルス駆動型の有機EL素子及び交流駆動型の有機EL素子としても使用することができる。
【0066】
【実施例】
(実施例1)
予め混合しておいたアントラセン(分子量=178.23)5.0gと金属亜鉛粉0.55gとを、塩化カルシウム管付き冷却管を付けた200ml三つ口フラスコに投入し、これに1−クロロメチルナフタレン(分子量=176.64)12.4gを加え、オイルバス上で攪拌しながら75℃で1時間加熱した。放冷後反応物をクロロホルムに溶解し、得られたクロロホルム溶液を氷水中に投入した。分液ロートに移し、クロロホルムで抽出した。水洗を2回繰り返した後に、無水硫酸ナトリウムで脱水した。エバポレーターで濃縮乾燥して白黄色粉体14gを得た。これにベンゼン40mlを加え攪拌し不溶分をガラスフィルターで濾別。これを溶解するまでホットベンゼン200mlを加え、更に活性炭を加え加熱し濾過。濾液を一日放置後白黄色の結晶析出。これをキシレンで更に二回再結晶し白色の結晶2gを得た。
【0067】
この白色結晶を昇華精製してから融点を測定したところ、330℃以上で融解した。この白色結晶のIRチャートを図5に、NMRチャートを図6に示した。これらの結果から、この白色結晶は、式(5)で示される9,10−ビス[4−(ナフチル)メチル]アントラセンであると、同定された。
【0068】
【化13】
混合キシレンに9,10−ビス[(4−ナフチル)メチル]アントラセンを10mg/Lの濃度になるように溶解して試料液を調製した。この試料液を、島津製作所製のF−4500型分光蛍光光度計に装填して、以下の条件にて蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図7に示した。
【0069】
測定条件
測定モード 波長スキャン
励起波長 365nm
蛍光開始波長 365nm
蛍光終了波長 720nm
スキャンスピード 2400nm/分
励起側スリット 5.0nm
蛍光側スリット 5.0nm
ホトマル電圧 700V
図7から判るように、この実施例で得られた青色発光化合物は、400〜500nmに蛍光発光が見られる。
【0070】
(実施例2)
予め混合しておいたアントラセン(分子量=178.23)7.02gと1−メチル−4−クロロメチルナフタレン(分子量=190.5)30gと金属亜鉛粉1.39gとを、塩化カルシウム管付き冷却管を付けた500ml三つ口フラスコ内に投入し、オイルバス上で攪拌しながら70℃で30分加熱し、次いで75℃に昇温してその温度で30分加熱した。放冷後に反応物をクロロホルムで溶解してこれを氷水中に投入した。分液ロートに移してクロロホルムで抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水した。エバポレーターで濃縮乾固することにより、淡褐色ペーストを得た。このペーストをキシレンに溶解し、得られる溶液に活性炭を投入し、濾過してから再結晶を2回行った。白色の結晶1.6gを得た。
【0071】
この結晶のIRチャートを図8に、NMRチャートを図9に示した。この結晶は300℃以上で融解した。これらの結果から、この結晶は、式(6)で示される9,10−ビス[4−(1−メチルナフチル)メチル]アントラセンであると、同定された。
【0072】
【化14】
式(5)で示される青色発光化合物の代わりに式(6)で示される構造を有するこの結晶を用いた外は前記実施例1におけるのと同様にして蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図10に示した。
【0073】
(実施例3)
予め混合しておいた9,10−ビス(クロロメチル)アントラセン(分子量=275)1.0gと1−メトキシナフタレン(分子量=158.2)2.8gと金属亜鉛粉0.12gとの混合物を、塩化カルシウム管付き冷却管を付けた300ml三つ口フラスコに投入し、オイルバス上で攪拌しながら75℃で1時間30分加熱した。放冷した後に反応物をクロロホルムに溶解し、えられたクロロホルム溶液を氷水中に投入した。10%NaOH水溶液でアルカリ性にし、分液ロートに移してクロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水した。エバポレーターで濃縮乾固して暗紫色粉体1.6gを得た。この暗紫色粉体をキシレンに溶解し、活性炭を投入し、濾過してから再結晶を2回行って、淡黄色結晶0.4gを得た。
【0074】
この淡黄色結晶を昇華精製してから融点を測定したところ、330℃以上で融解した。この淡黄色結晶のIRチャートを図11に、NMRチャートを図12に示した。これらの結果から、この淡黄色結晶は、式(7)で示される9,10−ビス[4−(1−メトキシナフチル)メチル]アントラセンであると、同定された。
【0075】
【化15】
式(5)で示される青色発光化合物の代わりに式(7)で示される構造を有するこの結晶を用いた外は前記実施例1におけるのと同様にして蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図13に示した。
【0076】
(実施例4)
発光素子の作製
<発光特性1>
ITO基板(50×50mm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間かけて超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、フォト・サーフェス・プロセッサー(セン特殊光源(株)製、波長254nm)で5分間UVを照射してITO基板の洗浄を行った。
【0077】
洗浄されたITO基板を真空蒸着装置(大亜真空技研(株)、UDS−M2−46型)にセットし、4×10−6torr以下の減圧下に、α−NPD層45nm、前記実施例1で得られた青色発光化合物(式(5))の層40nm、及びAlq3層 15nmをこの順に積層してなる発光層、最後にアルミ合金製電極(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)を150nmの厚みに蒸着して、図1に示される積層構造の青色発光素子を製造した。
【0078】
この青色発光素子につき、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧20V及び電流32.26mAで輝度が836.3Cd/m2、色度Xが0.1863及び色度Yが0.1492の結果が得られた。
【0079】
<発光特性2>
5mlのメスフラスコに、ポリビニルカルバゾール 70mg、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND) 30mg、及び前記実施例1で得られたところの式(5)で示される粉体 0.3mgを秤量し、ジクロロエタンを加えて5mlになるように青色発光化合物含有溶液を調製した。この青色発光化合物含有溶液は、超音波洗浄器((株)エスエヌディ製、US−2)で超音波を20分間照射することにより、十分に均一なものにされた。ITO基板(50×50mm、ITO透明電極の厚み200μm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、前記したフォト・フェイス・プロセッサー(波長254nm)で5分間UVを照射して洗浄した。スピンコータ(ミカサ(株)製、1H−D7)を用いて洗浄乾燥の終了したITO基板に、調製しておいた前記青色発光化合物含有溶液を滴下し、回転数1,500rpm、回転時間3秒にてスピンコートして乾燥厚が100μmとなるように製膜した。製膜した基板を、50℃の恒温槽中で30分乾燥させた後に、真空蒸着装置(大亜真空技研(株)製、VDS−M2−46型)でアルミ合金(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)電極を、4×10−6Torrで約150nmの厚みに蒸着し、図1に示される構造の青色発光素子を製作した。
【0080】
この青色発光素子は、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧20V及び電流28.72mAで輝度が283.0Cd/m2、色度Xが0.1693及び色度Yが0.1078の結果が得られた。
【0081】
(実施例5)
予め混合しておいた9−メチルアントラセン2.5g、金属亜鉛粉0.26gとの混合物を、塩化カルシウム管付き冷却管を備えた500mlの三口フラスコに投入し、更に1−クロロメチルナフタレン2.53gを加え、オイルバス上で撹拌下に70℃で30分、次いで75℃で30分加熱した。塩酸ガスの発生をpH試験紙で確認した。徐冷した後に、反応生成物をクロロホルムで溶解し、これを氷水中に投入した。10%苛性ソーダ水溶液で中和して分液ロートに移し、クロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。エバポレータで濃縮乾固して黄色粉体を得た。これにトルエン200mlと活性炭とを加えて加熱撹拌し、濾紙で濾別した。濾液を濃縮して再結晶し、淡黄色の微結晶0.92gを得た。
【0082】
この結晶のIRチャートを図14に、NMRチャートを図15に、それぞれ示した。前記実施例1におけるのと同様にしてこの結晶につき蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図16に示した。
【0083】
これらのデータから前記結晶の化合物は式(8)に示される構造を有するものと同定した。
【0084】
【化16】
(実施例6)
塩化ナトリウム200gとこれを浸す量の塩酸とを入れた1リットルの三口フラスコに濃硫酸を滴下し、発生した塩化水素ガスを、塩化カルシウム管付き冷却間を装備した500mlの三口フラスコ内に装入された2−ブロモベンゼン(分子量185)34.6gとパラホルムアルデヒド1.4gと塩化亜鉛(分子量136)2.1gとの混合物に、撹拌下に吹き込みながら、オイルバス上で70℃に40分間加熱した。放冷後、反応物を氷水中に投入した。分液ロートに移し、ベンゼンで抽出した。これを2%炭酸水素ナトリウム水溶液で濁りがなくなるまで洗浄した。エバポレータで濃縮乾固し、反応生成物の淡褐色液体30.4gを得た。これを200℃3mmHgの条件で減圧蒸留し、残留分のIRスペクトル及びNMRスペクトルを測定した。これらのデータから得られた物質を1−クロロメチル−4−(2−ブロモエチル)ベンゼン(CH2Cl−C6H4−CH2CH2Br)と、同定した。
【0085】
この1−クロロメチル−4−(2−ブロモエチル)ベンゼン 3.7gと9−メチルアントラセン(分子量192)2.5gと金属亜鉛粉(原子量65.39)0.43gとを、塩化カルシウム管付き冷却管を装備した200mlの三口フラスコに投入し、オイルバス上で撹拌下に170℃で1時間加熱した。酸性ガスの発生をpH試験紙で確認した。徐冷後に、反応物をクロロホルムに溶解し、これを氷水中に投入した。分液ロートに移し替え、クロロホルムで抽出した。水洗を2回繰り返した後に、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥し、エバポレータで濃縮乾固して4.5gの黒褐色固体を得た。少量のクロロホルムに溶解し、500mlのメタノール中に投入した。発生した褐色沈澱をガラスフィルターで濾過して乾燥した。褐色の反応生成物粉末3.6gを得た。この褐色粉末のIRチャートを図17に、NMRチャートを図18に示した。これらのデータからこの褐色粉末を、式(9)に示される構造を有する化合物と、同定した。
【0086】
式(9)で示される構造を有する前記褐色粉末3.6gを200mlビーカに採取し、THF60mlに溶解し、これにエタノール20ml及び水酸化カリウム3gを加えて溶解し、更に無水硫酸ナトリウムを添加し、脱臭化水素反応を行った。
【0087】
【化17】
その後に、無水硫酸ナトリウムを濾別し、濾液を塩化カルシウム管付き冷却管を備えた200mlのナスフラスコに移し、沸石を加えてオイルバス上で100℃で3時間加熱した。放冷後に反応生成物を氷水中に投入した。分液ロートに移し、クロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返し、その後に、無水硫酸ナトリウムで脱水した。エバポレータで濃縮乾固し、褐色のカルメラ状固形物を得た。ベンゼンを展開的としてカラムで分離し、1.4gの淡褐色生成物を得た。
【0088】
この淡褐色生成物のIRチャートを図19に、NMRチャートを図20に、それぞれ示した。前記実施例1におけるのと同様にしてこの結晶につき蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図21に示した。
【0089】
これらのデータから前記結晶の化合物は式(10)に示される構造を有するものと同定した。
【0090】
【化18】
(実施例7)
予め混合しておいた9−メチルアントラセン2.5g、金属亜鉛粉0.26gとの混合物を、塩化カルシウム管付き冷却管を備えた500mlの三口フラスコに投入し、更に4−トリフロロメチルベンジルブロミド4.05gを加え、オイルバス上で撹拌下に70℃で30分、次いで75℃で30分加熱した。酸性ガスの発生をpH試験紙で確認した。徐冷した後に、反応生成物をクロロホルムで溶解し、これを氷水中に投入した。分液ロートに移し、クロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。エバポレータで濃縮乾固して黄色ペーストを得た。これにトルエン100mlと活性炭とを加えて加熱撹拌し、濾紙で濾別した。濾液を濃縮して一昼夜静置することにより発生した結晶を集めて、石油エーテルで洗浄して淡黄色の微結晶0.9gを得た。
【0091】
この微結晶を昇華精製して0.4gの精製結晶を得た。この精製結晶のIRチャートを図22に示した。前記実施例1におけるのと同様にしてこの結晶につき蛍光スペクトルを測定した。得られた蛍光スペクトルを図23に示した。
【0092】
これらのデータから前記結晶の化合物は式(11)に示される構造を有するものと同定した。
【0093】
【化19】
<発光素子の作製>
<発光特性1>
ITO基板(50×50mm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間かけて超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、フォト・サーフェス・プロセッサー(セン特殊光源(株)製、波長254nm)で5分間UVを照射してITO基板の洗浄を行った。
【0094】
洗浄されたITO基板を真空蒸着装置(大亜真空技研(株)、UDS−M2−46型)にセットし、4×10−6torr以下の減圧下に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(TPD)層45nm、前記実施例7で得られた青色発光化合物(式(11))を下記式(12)の黄色発光化合物(Y−320)に3%ドーピングしてなる層40nm、及びAlq3層 20nmをこの順に積層してなる発光層、最後にアルミ合金製電極(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)を150nmの厚みに蒸着して、図1に示される積層構造の発光素子を製造した。
【0095】
【化20】
この発光素子につき、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧12V及び電流23.7mAで輝度が1285Cd/m2、色度Xが0.412及び色度Yが0.557の結果が得られた。
【0096】
この例では、青色発光化合物と黄色発光化合物とを含有する発光層を備えた発光素子が、黄緑の発光を呈したことを、示す。
【0097】
<発光特性2>
5mlのメスフラスコに、ポリビニルカルバゾール 70mg、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND) 30mg、及び前記実施例7で得られたところの式(11)で示される青色発光化合物 1mgを秤量し、ジクロロエタンを加えて5mlになるように青色発光化合物含有溶液を調製した。この青色発光化合物含有溶液は、超音波洗浄器((株)エスエヌディ製、US−2)で超音波を20分間照射することにより、十分に均一なものにされた。ITO基板(50×50mm、ITO透明電極の厚み200μm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、前記したフォト・フェイス・プロセッサー(波長254nm)で5分間UVを照射して洗浄した。スピンコータ(ミカサ(株)製、1H−D7)を用いて洗浄乾燥の終了したITO基板に、調製しておいた前記青色発光化合物含有溶液を滴下し、回転数1,500rpm、回転時間3秒にてスピンコートして乾燥厚が100μmとなるように製膜した。製膜した基板を、50℃の恒温槽中で30分乾燥させた後に、真空蒸着装置(大亜真空技研(株)製、VDS−M2−46型)でアルミ合金(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)電極を、4×10−6Torrで約150nmの厚みに蒸着し、図1に示される構造の青色発光素子を製作した。
【0098】
この青色発光素子は、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧16V及び電流5.89mAで輝度が116.30Cd/m2、色度Xが0.1859及び色度Yが0.1368の結果が得られた。
【0099】
(実施例8)
9−メチルアントラセン(分子量192.26)10gと1,4−ジ(クロロメチル)ベンゼン(分子量175.02)2.27gと亜鉛0.5gとo−ジクロロベンゼン20mlとを、500mlの三口フラスコに収容した。この三口フラスコ内を撹拌しつつ、オイルバス上で85℃で10分、次いで90℃で25分、更に100℃で20分間加熱した。酸性ガスの発生をpH試験紙で確認した。徐冷した後に、反応生成物を氷水中に投入した。分液ロートに移し、クロロホルムに抽出した。水洗を2回繰り返した後に無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。エバポレータで濃縮乾固して黄色ペーストを得た。これにキシレン100mlと活性炭とを加えて加熱撹拌し、濾紙で濾別した。濾液を濃縮して一昼夜静置することにより発生した結晶を集めて、石油エーテルで洗浄して淡黄色の微結晶0.203gを得た。
【0100】
この微結晶のNMRチャートを図24に示した。この微結晶は、式(13)に示す構造を有するものと同定された。
【0101】
【化21】
<発光特性>
ITO基板(50×50mm、三容真空工業(株)製)をアセトンで10分間かけて超音波洗浄した後に2−プロパノールで10分間超音波洗浄し、窒素でブローして乾燥させた。その後に、フォト・サーフェス・プロセッサー(セン特殊光源(株)製、波長254nm)で5分間UVを照射してITO基板の洗浄を行った。
【0102】
洗浄されたITO基板を真空蒸着装置(大亜真空技研(株)、UDS−M2−46型)にセットし、4×10−6torr以下の減圧下に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)−ベンジジン(TPD)層45nm、前記式(13)で示される構造を有する青色発光化合物をメチルベンジルホワイトに1.3%ドーピングしてなる層35nm、及びAlq3層 15nmをこの順に積層してなる発光層、最後にアルミ合金製電極(Al:Li=99:1重量比、(株)高純度化学研究所製)を150nmの厚みに蒸着して、図1に示される積層構造の発光素子を製造した。
【0103】
この発光素子につき、(株)トプコン製のBM−7 Fastで徐々に電圧を上げながら輝度及び色度を測定した。その結果、電圧12V及び電流27.74mAで輝度が4881.00Cd/m2、色度Xが0.3777及び色度Yが0.4777の結果が得られた。
【0104】
この例は、青色発光化合物と黄色発光化合物とを含有する発光層を備えた発光素子は、黄緑色の発光を呈することを、示す。
【0105】
【発明の効果】
この発明によると、エネルギーを付与することにより高輝度で、高い色純度で青色に発光する耐久性のある新規な化合物を提供することができる。この発明によると、前記新規な青色発光化合物を発光層に含有させることにより高輝度で高い色純度で青色に発光させることができ、また、緑色発光化合物と赤発光化合物とこの発明に係る青色発光化合物とを発光層に含有させることにより高輝度で白色に発光させることができる発光素子、また、この発明に係る青色発光化合物と他の色に発光する発光化合物とにより所定の色に発光する発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明に係る一例としての発光素子を示す説明図である。
【図2】図2は、この発明に係る他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図3】図3は、この発明に係るその他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図4】図4は、この発明に係る更に他の例としての発光素子を示す説明図である。
【図5】図5は、実施例1において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートを示すチャート図である。
【図6】図6は、実施例1において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートを示すチャート図である。
【図7】図7は、実施例1において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図8】図8は、実施例2において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートを示すチャート図である。
【図9】図9は、実施例2において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートを示すチャート図である。
【図10】図10は、実施例2において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図11】図11は、実施例3において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートを示すチャート図である。
【図12】図12は、実施例3において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートを示すチャート図である。
【図13】図13は、実施例3において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図14】図14は、実施例5において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートである。
【図15】図15は、実施例5において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートである。
【図16】図16は、実施例5において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図17】図17は、実施例6において合成された1−クロロメチル−4−(2−ブロモエチル)ベンゼンを示すIRチャートである。
【図18】図18は、実施例実施例6において合成された1−クロロメチル−4−(2−ブロモエチル)ベンゼンを示すNMRチャートである。
【図19】図19は、実施例6において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートである。
【図20】図20は、実施例6において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートである。
【図21】図21は、実施例6において合成されたところの、この発明の一例である青色発光化合物の蛍光スペクトルを示すスペクトル図である。
【図22】図22は、実施例7において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のIRチャートである。
【図23】図23は、実施例7において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートである。
【図24】図24は、実施例8において合成された、この発明の一例である青色発光化合物のNMRチャートである。
【符号の説明】
A,B,C・・・発光素子、1・・・基板、2・・・透明電極、3・・・発光層、4・・・電極層。
Claims (3)
- 前記−Ar−は、下記式(1a)で示される1,4−フェニレン基、下記式(1b1)で示される1,4−ナフチレン基、下記式(1b2)で示される2,6−ナフチレン基、又は下記式(1c)で示される9,10−アントリレン基であり、Ar1は、水素原子、又は下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基であり、Ar2は、Ar1が前記芳香族置換基であるときには、水素原子又は下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基であり、また、Ar1が水素原子であるときには、下記式(1d)〜下記式(1f)の何れかで示される芳香族置換基である前記請求項1に記載の青色発光化合物。
- 一対の電極間に、前記一般式(1)で示される青色発光化合物を含有する発光層を設けてなることを特徴とする発光素子。
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