JP2004018354A - 高い気孔率を有するカーボン多孔体吸着板、その製造方法及びそれを装着した真空チャック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)との混合物を加熱硬化させ、非酸化性雰囲気下での炭化焼成により得られたカーボン多孔体吸着板であって、(i)JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度が、カーボン多孔体吸着板の板厚5mmのとき、1.5〜100秒であり、かつ(ii)曲げ強度が70〜150MPaであることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板、その製造方法、及びそれを装着した真空チャックを提供した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量かつ高強度で、しかも透気抵抗度が低く、均一な気孔と導電性を有する真空チャック用カーボン多孔体吸着板、その製造方法及び真空チャックに関し、さらに詳しくは、熱硬化樹脂粒等とバインダーとしての熱硬化性樹脂との混合物を加熱成形し、焼成することにより、軽量かつ高強度、透気抵抗度が低く、均一な気孔と導電性を有する真空チャック用カーボン多孔体吸着板、その製造方法、及びそれを装着した真空チャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体部品、電子部品などを吸着して、搬送したり、又は所定位置に固定するために、真空チャックが用いられている。特に、シリコンウエハーのような非磁性材料を加工する場合には、電磁チャックではなく、真空チャックが用いられている。真空チャックは、吸引孔を多数設けることにより、高い精度で部品を保持することができる。その真空チャックの吸着部材として、従来からセラミック多孔体、プラスチック多孔体、金属多孔体などが用いられている。
【0003】
しかしながら、セラミック多孔体は、導電性を有しないという問題があり、金属の多孔吸着板は、導電性を有するが重量に問題があり、また、プラスチックの吸着板は、強度が低く、熱、薬品に弱いなどの問題点がある。
さらに、上記の問題点以外に、真空チャックには、例えば、半導体ウエハーなどの用途の場合、ウエハーに対して塵の付着や化学的な汚染がないこと、ウエハーに傷を付けないこと、ウエハー保持面の摩耗が少ないこと、ウエハーを高精度に保持できること等が要求されている。
【0004】
上記の問題点や要求等のため、真空チャックなどについて、種々のものが提案され、例えば、特開昭53−96762号公報では、炭化珪素質セラミックからなるウエハー吸着面を有するウエハー保持具が、また、特開平1−187939号公報では、基板チャックの下部に導電性部材を設けた基板保持装置が、さらに、特開平10−109241号公報では、チャック部が金属材料又は無機材料にて構成されているチャックテーブルなどが開示されている。
しかしながら、これらの提案にも拘わらず、真空チャックの吸着部材として、未だ充分な、軽量で、導電性を有し、優れた強度特性を満足するものは少なかった。
【0005】
一方、従来から、ガラス状カーボンを含めてカーボン多孔体を製造する方法は、種々知られている。例えば、フェノール樹脂やフラン樹脂硬化物を用いる方法、メラミン、ウレタン、フェノール等の樹脂発泡体を焼成する方法、或いはC/C複合材料前駆体から製造する方法などが挙げられる。これらの内、特に、ガラス状カーボン多孔体を製造する方法としては、炭素繊維やウレタンフォーム(発泡体)に、熱硬化性樹脂を含浸させ、乾燥後、不活性ガス雰囲気中の高温で焼成して多孔体を得る方法や、微小球状の熱硬化樹脂を、同種の液状熱硬化性樹脂で混練、成形し、乾燥後、不活性ガス雰囲気中の高温で焼成して多孔体を得る方法などが知られている。
また、カーボン多孔体としては、樹脂発泡体を焼成したものがあり、さらに、シート状繊維に樹脂を含浸して重ね、層状として焼成したものもある。
【0006】
しかしながら、従来から提案されたカーボン多孔体などは、多孔質であっても、微小球状の熱硬化樹脂等を原料としているために、球体の持つ充填性の良さから、隙間が少なくなり易く、気孔率が低い値に留まり、透気抵抗度が高くなってしまい、所望の気孔率や透気抵抗度にならない。また、多数の貫通孔をもつカーボン多孔体は、真空チャックとして用いた場合、対象物を吸着する際に、貫通孔間の距離、孔径から、吸着位置や対象物の面積によっては吸着力のむらを生ずる。さらに、シート状繊維に樹脂を含浸して重ねて硬化した後に、焼成したカーボン多孔体は、気孔の分布に方向性があり、均一な気体透過に適さない。
また、熱硬化性樹脂発泡体は、気孔率が極めて高くなるが、気孔が独立になり易い、すなわち連続気孔率が低く、透気抵抗度が高く、さらにリブが細いことから強度が劣るとの問題がある。
さらに、セルロース等の繊維を用いたものは、気孔率は高くなるが、セルロースそのものの残炭率が低いことから、成形体の強度等に問題がある。また、セルロースに樹脂を混合するものは、積層体であることから平面方向に配向が生じ、特に層間強度の低下が生じ易いとの問題がある。
上記の問題等のため、気孔特性などに優れたカーボン多孔体について、特開平6−32677号公報では、ポリカルボジイミド樹脂が含浸したメラミン樹脂発泡体、ウレタン樹脂発泡体等の樹脂発泡体を炭化して炭素多孔体を得る方法が開示されている。また、特開平8−59360号公報では、セルロース繊維を原料として用いることにより、高い気孔率と高強度特性を有する多孔質カーボン材の製造方法が開示されている。さらに、特開平11−139871号公報では、コークス粒とピッチの炭化物を結合材とする多孔質炭素基材と熱硬化性樹脂を原料とした、気孔特性と強度特性に優れた多孔質炭素材が開示されている。
しかしながら、これらの提案にも拘わらず、カーボン多孔体として、未だ充分な、高い気孔率と低い透気抵抗度、優れた強度特性を満足するものは少なかった。
【0007】
したがって、真空チャック用吸着板に用いることができる、軽量かつ高強度、透気抵抗度が低く、均一な気孔と導電性を有するカーボン多孔体が強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来のセラミック多孔体、プラスチック多孔体、金属多孔体やカーボン多孔体が持つ真空チャック用吸着板としての問題点を解消し、軽量かつ高強度、透気抵抗度が低く、均一な気孔と導電性を有する真空チャック用カーボン多孔体吸着板、及び該カーボン多孔体吸着板を容易且つ経済的に得られる製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み、軽量かつ高強度、透気抵抗度が低く、均一な気孔と導電性を有するカーボン多孔体やその製造方法について鋭意検討を行った結果、特定粒状の熱硬化樹脂をバインダーと混合し、加熱圧縮成形して、非酸化性雰囲気下で焼成したところ、強度と連続気孔率の高いカーボン多孔体を作製できることを、さらに、このカーボン多孔体を真空チャック用吸着板として用いると、対象物を負圧により吸着可能であり、軽量かつ高強度、導電性を有するなど、多孔体吸着板として優れた特性を有していることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)との混合物を加熱硬化させ、非酸化性雰囲気下での炭化焼成により得られたカーボン多孔体吸着板であって、(i)JISP8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度が、カーボン多孔体吸着板の板厚5mmのとき、1.5〜100秒であり、かつ(ii)曲げ強度が70〜150MPaであることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、固体状原料(A)は、更に、平均粒径が20〜500μmであるセラミック粒子(b)及び/又は長径が20〜500μmである繊維状樹脂粉末(c)を含有することを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板が提供される。
【0011】
本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、原料の熱硬化樹脂粒子(a)及び熱硬化性樹脂(B)は、独立してポリカルボジイミド樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリアミドイミド樹脂から選ばれる一種の樹脂であることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2の発明において、セラミック粒子(b)は、シリカ粉末又はアルミナ粉末であり、一方、繊維状樹脂粉末(c)は、フェノール短繊維であることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、原料の混合割合は、固体状原料(A)100重量部に対して、熱硬化性樹脂(B)3〜43重量部であることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板が提供される。
【0012】
一方、本発明の第6の発明によれば、(I)平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)と、所望に応じて溶剤(C)とを混合する工程と、(II)得られた樹脂混合物を、所望形状の成形容器又は金型に入れ予備成形する工程と、(III)予備成形された樹脂混合物を、離型可能な硬さまで熱硬化し、所望形状の多孔性熱硬化物を得る工程と、(IV)得られた多孔性熱硬化物を、不活性ガス雰囲気中にて、800〜2500℃の温度で焼成する工程と、からなることを特徴とする第1の発明に係る真空チャック用カーボン多孔体吸着板の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、更に、(V)所定の形状に成形加工する工程を設けることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第6の発明において、工程(III)の硬化条件は、金型温度が140〜190℃、成形時間が10分以上であり、かつ成形圧力が49〜343N/cm2であることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板の製造方法が提供される。
【0013】
また、本発明の第9の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係る真空チャック用カーボン多孔体吸着板を装着した真空チャックが提供される。
【0014】
本発明は、上記した如く、平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)との混合物を加熱硬化させ、非酸化性雰囲気下での炭化焼成により得られたカーボン多孔体吸着板であって、(i)JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度が、カーボン多孔体吸着板の板厚5mmのとき、1.5〜100秒であり、かつ(ii)曲げ強度が70〜150MPaであることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板などに係わるものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
【0015】
(1)本発明の第1の発明において、炭化焼成温度が800〜2500℃であることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板。
(2)本発明の第6の発明において、工程(III)の硬化条件は、プラスチック製又はステンレス製の成形容器の場合には、成形温度が70〜90℃、成形時間が24〜48時間であり、かつ成形圧力が常圧であることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板の製造方法。
(3)本発明の第6の発明において、工程(IV)の焼成温度が1000〜2500℃であることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板の製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。真空チャック用として好適な、本発明に係る高い気孔率を有するカーボン多孔体吸着板は、平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)との混合物を加熱硬化させ、非酸化性雰囲気下での炭化焼成により得られたカーボン多孔体吸着板であって、(i)JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度が、カーボン多孔体吸着板の板厚5mmのとき、1.5〜100秒であり、かつ(ii)曲げ強度が70〜150MPaであることを特徴とする。
【0017】
このカーボン多孔体吸着板は、対象物を負圧により吸着可能であり、軽量かつ高強度、導電性を有するなど、真空チャック用多孔体吸着板として優れた特性を有している。また、このカーボン多孔体吸着板は、JIS P8117に準拠したガーレデンソメータを使用した透気抵抗度試験の結果が、板厚5mmのとき透気抵抗度が1.5〜100秒の範囲であり、かつ曲げ強度が70〜150MPaの範囲である。
【0018】
上記のガーレデンソメータを使用した透気抵抗度試験について、さらに説明すると、JIS P8117には、「紙及び板紙−透気度試験方法−ガーレー試験機法」が規定されている。この方法によれば、ISO透気度が0.1〜100μm/(Pa・s)、又は透気抵抗度(ガーレー)が1.4〜1300秒の紙及び板紙の透気度を試験する方法を規定するものである。そして、このガーレー試験機法を真空チャック用吸着板に適用し、本発明では、カーボン多孔体吸着板の透気抵抗度(ガーレー)を規定したものである。透気抵抗度(ガーレー)は、面積642mmの試験片(吸着板)を空気100mlが通過する時間(秒)であり、試験片の板厚が5mmのときの測定値である。通過する時間(秒)が短い程、透気抵抗度(ガーレー)は小さく、逆に透気度は大となる。本発明のカーボン多孔体吸着板は、上記で説明した透気抵抗度(ガーレー)が1.5〜100秒の範囲である。
【0019】
本発明のカーボン多孔体吸着板は、下記の製造方法により得ることができる。その高い気孔率を有するカーボン多孔体(吸着板)の製造方法は、図1に示すように次の4(I〜IV)又は5(I〜V)工程からなることを特徴とし、中でも最大の特徴は、原料の一つとして、平均粒径が20〜500μmの熱硬化樹脂粒子(a)を用い、特に、分級して粒度分布を狭くした熱硬化樹脂粒子を用いることである。例えば平均粒径20μmの場合、標準偏差を0.3以下、あるいは平均粒径60μmの場合、標準偏差を20以下、あるいは平均粒径100μmの場合、標準偏差を35以下にする。このように、分級して粒度分布を狭くした熱硬化樹脂粒子が原料であるカーボン多孔体は、未分級の樹脂粒子が原料であるカーボン多孔体と比較して、バインダー量、平均粒径、平均気孔径が同様の場合、透気抵抗度を低くすることができる。また、同様の透気抵抗度の場合、気孔率を小さくすることができ、その結果、強度を高くすることができる。
【0020】
[工程]
(I)混合(又は混練)工程:平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)とを、更に、所望に応じて溶剤(C)とを混合又は混練する工程
(II)予備成形する工程:工程(I)で得られた樹脂混合物を、所望形状の成形容器又は金型に入れ、予備成形する工程
(III)成形(熱硬化)工程:工程(II)の予備成形された樹脂混合物を、離型可能な硬さまで熱硬化し、所望形状の多孔性熱硬化物を得る工程
(IV)焼成工程:工程(III)で得られた多孔性熱硬化物を、不活性ガス雰囲気中にて、800〜2500℃の温度で焼成する工程
(V)成形加工工程:工程(IV)で得られたカーボン多孔体を、所定の形状、例えば円板に成形加工する工程
【0021】
1.混合(又は混練)工程
本発明の高い気孔率を有するカーボン多孔体吸着板の製造方法では、先ず、平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーである熱硬化性樹脂(B)とを、更に、所望に応じて溶剤(C)とを混合又は混練する工程、すなわち混合(又は混練)工程が行われる。
【0022】
(1)固体状原料(A)
高い気孔率を有するカーボン多孔体吸着板の原料の一つとして用いられる固体状原料(A)は、平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有したものである。
本発明においては、前記したように、この平均粒径が20〜500μmの熱硬化樹脂粒子(a)であって、分級して粒度分布を狭くした熱硬化樹脂粒子を用いることにより、高い気孔率を有するカーボン多孔体吸着板が得られることに特徴がある。このように、分級して粒度分布を狭くした熱硬化樹脂粒子が原料であるカーボン多孔体は、未分級の樹脂粒が原料であるカーボン多孔体と比較して、バインダー量、平均粒径、平均気孔径が同様の場合、透気抵抗度を低くすることができる。また、同様の透気抵抗度の場合、気孔率を小さくすることができ、強度を高くすることができる。
また、熱硬化樹脂粒子(a)を用いずに、通常の熱硬化性樹脂のみで製造したカーボン多孔体は、緻密であり、その気孔率が非常に小さくなり、即ち透気度が小、透気抵抗度が大となる。
【0023】
熱硬化樹脂粒子(a)としては、通常ガラス状カーボンの原料として用いられるものであれば、特に限定されず、例えば、ポリカルボジイミド樹脂、フェノール樹脂、フラン系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化物の粒子が挙げられる。熱硬化性樹脂の硬化物は、例えば、フェノール樹脂やフラン樹脂液などを熱硬化させたものであり、熱硬化の方法は、特に限定されずに、通常の熱硬化方法を用いることができる。
【0024】
また、本発明において、固体状原料(A)には、他の成分として、即ち、熱硬化樹脂粒子(a)の一部の代替として、平均粒径が20〜500μmであるシリカやアルミナ等のセラミック粒子(b)、及び/又は長径が20〜500μmであるフェノール短繊維等の繊維状樹脂粉末(c)を用いることができる。
その際には、熱硬化樹脂粒子(a)は、重量割合で20重量%以上が必須である。重量割合が20重量%未満であると、得られたカーボン多孔体吸着板が透気度に優れたものにならない。
また、熱硬化樹脂粒子(a)の一部を、セラミック粒子(b)に代えることにより、カーボン多孔体吸着板の強度が上がり、さらに、熱硬化性樹脂粒子(a)の一部を繊維状樹脂粉末(c)に代えることにより、カーボン多孔体吸着板の透気度が向上する。
セラミック粒子(b)としては、平均粒径が20〜500μmであれば、特に限定されず、例えば、シリカ粉末、アルミナ粉末、シリコンカーバイト粉末などが挙げられ、また、繊維状樹脂粉末(c)としては、長径が20〜500μmであれば、特に限定されず、例えば、フェノール短繊維、ポリアクリロ二トリル短繊維、セルロース短繊維などが挙げられる。
【0025】
(2)熱硬化性樹脂(B)
本発明で得られるカーボン多孔体吸着板において、熱硬化性樹脂(B)は、焼成炭化処理によりガラス状カーボンに転化する炭素源となるものであり、バインダーとして機能するものであって、前記した固体状原料(A)とこの熱硬化性樹脂(B)の構成(種類、量)などを調整することにより、機械的強度が強く、一定の形状を有する高性能のカーボン多孔体吸着板を得ることができる。
【0026】
バインダーとして用いる熱硬化性樹脂(B)としては、焼成炭化処理によりガラス状カーボンに転化する炭素源となるものであれば、特に限定されない。
使用できる熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリカルボジイミド樹脂、フェノール樹脂、フラン系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂などやこれらの混合物或いは可能な共重合体が挙げられ、通常ガラス状カーボンの原料として用いられるポリカルボジイミド樹脂、フェノール樹脂やフラン樹脂或いはフルフラール−フェノール共重合体などが好ましい。また、熱可塑性樹脂に硬化剤を配合して、熱硬化性樹脂の機能をもつものも用いることができ、例えば、ノボラック型フェノール樹脂に硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを配合したものなども用いることができる。さらに、前記した熱硬化樹脂粒子(a)と同じ樹脂でも、異なってもよい。
【0027】
また、固体状原料(A)と熱硬化性樹脂(B)に、更に、所望に応じて溶剤(C)を加え、混合又は混練してもよい。溶剤(C)としては、固体状原料(A)を分散し熱硬化性樹脂(B)を溶解又は分散させ、次工程の成形工程や焼成工程で揮発消失するものであれば、特に限定されず、例えば、イオン交換水、メタノールやエタノール、或いはテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0028】
混合機としては、固体状原料(A)、熱硬化性樹脂(B)、及び更に溶剤(C)を均一に分散、混合できるものであれば、特に限定されない。そのような混合機としては、ボールミル、ペブルミル、リボンミキサー、スーパーミキサーなどが挙げられる。
また、固体状原料(A)、熱硬化性樹脂(B)、及び更に溶剤(C)を均一に分散、混合できるものであれば、混練機を用いてもよく、混練機としては、ミキシングロール、バンバリミキサー、インターナルミキサー、ニ軸連続ミキサーなどが挙げられる。
【0029】
固体状原料(A)とバインダーとしての熱硬化性樹脂(B)との混合時の配合割合は、固体状原料(A)100重量部に対して、熱硬化性樹脂(B)3〜43重量部、好ましくは5〜43重量部であり、また、樹脂混合物基準では、固体状原料(A)が97〜70重量%、熱硬化性樹脂(B)が3〜30重量%である。熱硬化性樹脂(B)の配合割合が30重量%を超えると、吸着板(成形体)は、緻密になり、透気しない恐れがあって真空チャック用として用いることができなくなり、一方、熱硬化性樹脂(B)が3重量%未満であると吸着板(成形体)の強度が不足する恐れがある。
また、所望に応じて配合される溶剤(C)の配合割合は、固体状原料(A)と熱硬化性樹脂(B)とを、うまく混合又は混練させる量が適宜選択され、配合される。
【0030】
2.予備成形工程(II)
次に、前工程(I)で得られた樹脂混合物を所望形状の成形容器又は金型に入れ、予備成形する工程、すなわち予備成形工程が行われる。
本発明においては、得られたカーボン多孔体吸着板の用途に応じて、所望形状、例えば円形や角形などの成形容器又は金型が用いられる。成形容器又は金型としては、特に限定されないが、次の工程を考慮すれば耐熱性のものが好ましい。プラスチック製、例えばポリプロピレン製の成形容器でもよいし、金属製、例えばステンレス製の成形容器でもよいし、又は圧縮成形などに用いられる金型でもよい。
本工程では、成形条件を特に規定せず、熱と圧力をかけて流動化させ、金型や成形容器を用いて所定の形状に賦形すればよい。金型や成形容器に、樹脂混合物を流し込む時には、泡を巻き込まないように注意する必要がある。
【0031】
3.成形(熱硬化)工程(III)
続いて、前工程(II)の金型又は成形容器に入り、予備成形された樹脂混合物を、離型可能な硬さまで熱硬化し、所望形状の多孔性熱硬化物を得る工程、すなわち成形(熱硬化)工程が行われる。
成形(熱硬化)条件としては、樹脂混合物中のバインダーである熱硬化性樹脂(B)成分を硬化させるのであるが、樹脂混合物を金型又は成形容器から離型可能な硬さまで熱硬化するのであれば、特に限定されない。加熱して成形する際には、圧は加えても加えなくとも良いが、加圧する場合は、金型の圧縮成形であり、成形圧力が49〜343N/cm2であり、金型温度は140℃〜190℃、成形時間は10分以上が望ましい。加圧しない場合の熱硬化の温度としては、最大10〜250℃である。通常、プラスチック製の成形容器であれば、例えば70〜90℃の温度で1〜2日かけて熱硬化させ、多孔性の熱硬化物を得る。また、熱硬化物を成形容器から取り外し、すなわち離型し、所望の形状に加工してもよい。
【0032】
4.焼成工程(IV)
次に、前工程(III)で得られた所定形状の多孔性熱硬化物を、非酸化性雰囲気下、例えば不活性ガス雰囲気中にて、800〜2500℃の温度で焼成する工程、すなわち焼成工程が行われる。
不活性ガスとしては、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、一酸化炭素、又は水素が用いられ、非酸化性雰囲気下で焼成される。また、不活性ガス雰囲気に変えて、真空中で焼成してもよい。炭化する温度まで徐々に昇温し、炭化焼成する。昇温の最終温度は、800℃以上の温度が必要で、好ましくは1000〜2500℃である。この時の昇温速度は、特に限定されないが、品質のよいカーボン多孔体吸着板を得るために、10℃/分以下、特に5℃/分以下が望ましい。こうして、固体状原料(A)と熱硬化性樹脂(B)との樹脂混合物が焼成され、その結果、高い気孔率を有するカーボン多孔体吸着板が得られる。
【0033】
5.成形加工工程(V)
また、焼成後、得られた高い気孔率を有するカーボン多孔体吸着板を、必要に応じて、更に、全体の形状を所定の形状に成形したり、溝やくぼみ、貫通孔を設ける工程、すなわち成形加工工程が行われることもある。特に、薄板などの形状に加工することで、連続気孔率などを更に調整することができる。
【0034】
本発明のカーボン多孔体吸着板の製造方法により、得られたカーボン多孔体吸着板は、原料により、球状カーボンの集合体、或いは球状カーボン、繊維状カーボン、アルミナ粒子、シリカ粒子などの集合体である。
また、得られたカーボン多孔体吸着板の物性としては、種々の製造条件、例えば原料としての固体状原料(A)や熱硬化性樹脂(B)の配合割合等により異なるが、例えば、JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度が1.5〜100秒であり、気孔径分布が40〜1200μmの範囲であり、換算気孔率が30〜60%であり、かさ密度が0.75〜1.2Mg/m3であり、曲げ強度が70〜150MPaであり、固有抵抗が25〜1500μΩ・mであり、真空チャック用の吸着板として好適である。また、800℃以上の温度で焼成しているために、純度的に高品質であり、すなわち、耐熱性や耐薬品性に優れており、機械的強度にも優れている。さらに、カーボン多孔体吸着板の製造方法自体も、上述したように、複雑な工程がなく、容易かつ経済的である。
【0035】
得られたカーボン多孔体吸着板を真空チャック用の吸着板として用いることにより、例えば、チャック部の重量減により、装置全体の軽量化ができ、取扱いが容易であり、また、チャック部は低比重かつ強度が高いため、チャック部の大面積化が可能であり、チャック部は強度が高いため、荷重や真空減圧に対して変形が小さく、さらに、チャック部が導電性を有するため、装置全体の部品点数を減じることができ、高気孔率で連続気孔を達成しつつ高強度を維持できるため、平面精度に優れるという効果が得られる。
また、気孔のサイズや気孔率を変えたカーボン多孔体吸着板の作製が可能であり、そのことにより、気体をより均一に流すことができ、吸着時の負圧や真空度を制御できる。さらに、気孔を大きくすることにより、多孔質金属チャックにあるような目詰まりを防止できる。また、樹脂粒とバインダーの混合物を加熱加圧成形し、焼成することにより、さらに高強度のカーボン多孔体吸着板をも作製できる。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明について実施例及び比較例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。
【0037】
[実施例1]
固体状原料(A)として、平均粒子径60μm(標準偏差17.9)のフェノール樹脂のビーズを90重量部と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)として、硬化剤添加ノボラック系フェノール樹脂粉末を10重量部とを十分に混合し、金型で、15N/cm2、160℃,1時間の条件で加熱加圧成形することにより、樹脂多孔体を作製した。その後、この樹脂多孔体を真空中で1000℃まで4℃/時間で昇温して炭化焼成し、カーボン多孔体吸着板を得た。得られたカーボン多孔体吸着板の物性等を測定評価した。JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度は、72.3秒、曲げ強度は、91.7MPaなどであった。樹脂混合物の組成とカーボン多孔体吸着板の物性評価結果を表1に示す。
【0038】
[実施例2]
固体状原料(A)として、平均粒子径60μm(標準偏差17.9)のフェノール樹脂のビーズを45重量部と平均粒子径100μmのシリカ粉末を45重量部と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)として、硬化剤添加ノボラック系フェノール樹脂粉末を10重量部とを十分に混合し、金型で、10N/cm2、160℃,1時間の条件で加熱加圧成形することにより、樹脂多孔体を作製した。その後、実施例1と同様の炭化プロセスを経てカーボン多孔体吸着板を得た。JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度は、87.1秒、曲げ強度は、109.1MPaなどであった。樹脂混合物の組成とカーボン多孔体吸着板の物性評価結果を表1に示す。
【0039】
[実施例3]
固体状原料(A)として、平均粒子径60μm(標準偏差17.9)のフェノール樹脂のビーズを45重量部と、長さ200μm、直径30μmのフェノール短繊維を45重量部と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)として、硬化剤添加ノボラック系フェノール樹脂粉末を10重量部とを十分に混合し、金型で、20N/cm2、160℃,1時間の条件で加熱加圧成形することにより、樹脂多孔体を作製した。その後、実施例1と同様の炭化プロセスを経てカーボン多孔体吸着板を得た。JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度は、25.7秒、曲げ強度は、76.2MPaなどであった。樹脂混合物の組成とカーボン多孔体吸着板の物性評価結果を表1に示す。
【0040】
[実施例4]
固体状原料(A)として、平均粒子径100μm(標準偏差25.3)のフェノール樹脂のビーズを80重量部と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)として、レゾール系フェノール液体樹脂を10重量部と、溶剤(C)としてのイオン交換水30重量部とを十分に混合し、成形容器内で、80℃、48時間の条件で熱硬化成形することで、樹脂多孔体を作製した。その後実施例1と同様の炭化プロセスを経てカーボン多孔体吸着板を得た。JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度は、4.4秒、曲げ強度は、34.9MPaなどであった。樹脂混合物の組成とカーボン多孔体吸着板の物性評価結果を表1に示す。
【0041】
[実施例5]
固体状原料(A)として、平均粒子径75μm(標準偏差16.7)のフェノール樹脂のビーズを80重量部と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)として、レゾール系フェノール液体樹脂を10重量部と、溶剤(C)としてのイオン交換水25重量部とメタノール5重量部とを十分に混合し、成形容器内で、80℃、48時間の条件で熱硬化成形することで、樹脂多孔体を作製した。その後、実施例1と同様の炭化プロセスを経てカーボン多孔体吸着板を得た。JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度は、7.3秒、曲げ強度は、14.8MPaなどであった。樹脂混合物の組成とカーボン多孔体吸着板の物性評価結果を表1に示す。
【0042】
[比較例1]
固体状原料(A)として、平均粒子径75μm(標準偏差16.7)のフェノールビーズを80重量部と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)として、レゾール系フェノール液体樹脂を80重量部と、溶剤(C)としてのイオン交換水10重量部とを十分に混合し、80℃、48時間の条件で熱硬化成形成形することで、樹脂多孔体を作製した。その後実施例1と同様の炭化プロセスを経てカーボン多孔体吸着板を得た。JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度は、181.6秒、曲げ強度は、126MPaなどであった。樹脂混合物の組成とカーボン多孔体吸着板の物性評価結果を表1に示す。
【0043】
[比較例2]
気孔率90%のウレタンフォームに熱硬化性樹脂をコーティングした後、80℃、48時間の条件で熱硬化して、ウレタンフォームの重量に対して5倍の重量をもつ樹脂多孔体を作製した。その後実施例1と同様の炭化プロセスを経てカーボン多孔体吸着板を得た。JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度は、0.5秒未満、曲げ強度は、0.13MPaなどであった。カーボン多孔体吸着板の物性評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示された評価結果から明らかなように、実施例1〜5の加熱加圧成形などにより樹脂原板を作製したカーボン多孔体吸着板は、比較例1〜2の他のカーボン多孔体吸着板と比べて強度、透気度(通気性)に優れ、チャック用吸着板に適している。尚、バインダーの割合が多い比較例1は、実施例と同様の方法で作製したカーボン多孔体吸着板であるが、気孔が少ないため透気抵抗度が高い。また、比較例2は、フォーム系のカーボン多孔体吸着板であるが、強度が低い結果となっており、チャック用吸着板に適していない。
【0046】
[比較例3〜5]
比較例3〜5として、市販のその他素材による多孔体の物性評価結果を、実施例1と対比して表2に示す。尚、評価したその他素材の多孔体は、次のとおりである。
比較例3:セラミックエアスライド用アルミナ(多孔材料P228)
比較例4:金属多孔体であるKuporeX#2129(クボタ株式会社製)
比較例5:プラスチック多孔体(群栄化学製)
【0047】
【表2】
【0048】
表2に示される通り、本発明のカーボン多孔体吸着板は、耐熱性、耐薬品性、導電性などについて、他の素材には無い優れた特徴をもつ。
【0049】
【発明の効果】
本発明のカーボン多孔体吸着板は、平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)との混合物を加熱硬化させ、非酸化性雰囲気下での炭化焼成により得られたカーボン多孔体吸着板であって、(i)JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度が、カーボン多孔体吸着板の板厚5mmのとき、1.5〜100秒であり、かつ(ii)曲げ強度が70〜150MPaであることを特徴とするものであり、真空チャック用吸着板として好適に用いることができる。
本発明のカーボン多孔体吸着板は、真空チャック用の吸着板として用いると、上記の構成により、真空チャック装置全体を軽量化でき、取扱いが容易であり、チャック部の大面積化が可能となり、荷重や真空減圧に対して変形が小さく、装置全体の部品点数を減じることができ、平面精度に優れるという効果が得られる。また、本発明のカーボン多孔体吸着板は、純度的に高品質であり、すなわち、耐熱性や耐薬品性に優れており、機械的強度にも優れている。さらに、カーボン多孔体吸着板の製造方法自体も、複雑な工程がなく、容易かつ経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高い気孔率を有するカーボン多孔体吸着板の製造工程を示す図である。
Claims (9)
- 平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)との混合物を加熱硬化させ、非酸化性雰囲気下での炭化焼成により得られたカーボン多孔体吸着板であって、(i)JIS P8117に準拠したガーレー試験機法による透気抵抗度が、カーボン多孔体吸着板の板厚5mmのとき、1.5〜100秒であり、かつ(ii)曲げ強度が70〜150MPaであることを特徴とする真空チャック用カーボン多孔体吸着板。
- 固体状原料(A)は、更に、平均粒径が20〜500μmであるセラミック粒子(b)及び/又は長径が20〜500μmである繊維状樹脂粉末(c)を含有することを特徴とする請求項1に記載の真空チャック用カーボン多孔体吸着板。
- 原料の熱硬化樹脂粒子(a)及び熱硬化性樹脂(B)は、独立してポリカルボジイミド樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、又はポリアミドイミド樹脂から選ばれる一種の樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空チャック用カーボン多孔体吸着板。
- セラミック粒子(b)は、シリカ粉末又はアルミナ粉末であり、一方、繊維状樹脂粉末(c)は、フェノール短繊維であることを特徴とする請求項2に記載の真空チャック用カーボン多孔体吸着板。
- 原料の混合割合は、固体状原料(A)100重量部に対して、熱硬化性樹脂(B)3〜43重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の真空チャック用カーボン多孔体吸着板。
- (I)平均粒径が20〜500μmである熱硬化樹脂粒子(a)を少なくとも20重量%含有する固体状原料(A)と、バインダーとしての熱硬化性樹脂(B)と、所望に応じて溶剤(C)とを混合する工程と、
(II)得られた樹脂混合物を、所望形状の成形容器又は金型に入れ予備成形する工程と、
(III)予備成形された樹脂混合物を、離型可能な硬さまで熱硬化し、所望形状の多孔性熱硬化物を得る工程と、
(IV)得られた多孔性熱硬化物を、不活性ガス雰囲気中にて、800〜2500℃の温度で焼成する工程と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の真空チャック用カーボン多孔体吸着板の製造方法。 - 更に、(V)所定の形状に成形加工する工程を設けることを特徴とする請求項6に記載の真空チャック用カーボン多孔体吸着板の製造方法。
- 工程(III)の硬化条件は、金型温度が140〜190℃、成形時間が10分以上であり、かつ成形圧力が49〜343N/cm2であることを特徴とする請求項6に記載の真空チャック用カーボン多孔体吸着板の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の真空チャック用カーボン多孔体吸着板を装着した真空チャック。
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2002
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