JP2004017682A - 自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化効果や設計通りのルーフパネル曲率を出せるアルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法を提供することである。
【解決手段】アルミニウム合金製自動車ルーフパネル1であって、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足することである。
【選択図】 図3
【解決手段】アルミニウム合金製自動車ルーフパネル1であって、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足することである。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、現状の自動車のルーフ (屋根) の多くは、鋼板製パネルからなっている。しかし、近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。したがって、自動車のルーフパネルに対しても、より軽量なアルミニウム合金板の適用が開始されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、自動車のルーフパネルに対してアルミニウム合金板を適用する場合、ルーフに要求される剛性のうちで特に重要な張り剛性と、これに必要なルーフパネルの板厚t(mm) 、更に、ルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b との関係はこれまで必ずしも明確ではなかった。
【0004】
これは、自動車のルーフパネルに対するアルミニウム合金板の適用例が今だ少ないためである。したがって、特開平7−132855号公報などで、アルミニウム合金製のルーフパネルの取り付け構造などは一部で提案されているものの、ルーフパネル自体の設計に必要な、ルーフの張り剛性と、これに必要なルーフパネルの板厚t(mm) やルーフパネル曲率などとの関係に関する公知例はあまりなかった。したがって、車体の設計上、一定の曲率を有することが多いルーフパネルでは、この曲率が影響した下での、ルーフの張り剛性と、これに必要なルーフパネルの板厚t(mm) との関係は、上記した通り、これまで特に明確ではなかったのが実情である。
【0005】
このため、折角アルミニウム合金板をルーフパネルへの適用しても、要求される張り剛性を高くするために、アルミニウム合金板の板厚を厚くしすぎる場合やデザインしたルーフパネル曲率の設計変更を余儀なくされる場合、などが生じる。特に最近では、鋼板の側でも、高張力鋼板 (ハイテン) などを用いて、例えば0.8mm 以下に薄肉化したルーフパネルもあり、これら薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対して、アルミニウム合金板製のルーフパネルによる軽量化効果や設計通りのルーフパネル曲率を実現することは、かなり困難であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対してでも、軽量化効果や設計通りのルーフパネル曲率を出せる、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明自動車ルーフパネルの要旨は、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足することである。
【0008】
また、同じく、本発明自動車ルーフパネルの設計方法の要旨は、張り剛性K を5 kgf/mm以上とするとともに板厚t を1.5mm 未満とし、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足するように設計することである。
【0009】
本発明者らは、先ず、自動車のルーフパネルに対してアルミニウム合金板を適用するに際し、ルーフに要求される張り剛性と、これに必要なルーフパネルの板厚t(mm) 、更に、ルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b との関係を後述する解析によって明確化した。
【0010】
通常、曲率を有さない平板状のパネルでは、張り剛性K は板厚t の3 乗となること(K=E×t3) が公知である。したがって、自動車のルーフなどの曲率を有するパネルにおいても、常識的に乃至便宜的に、この式にもとづいて、張り剛性が等価となるように(K乃至E ×t3を一定にするように) 設計することが常であった。しかし、これでは板厚を厚くしすぎる、張り剛性を大きくしすぎるなどの過剰設計になりやすく、前記した通り、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに比して、アルミニウム合金板製のルーフパネルによる軽量化効果や、設計通りのルーフパネル曲率を実現することは、かなり困難であった。
【0011】
これに対し、本発明者らの解析によれば、曲率を有する自動車のルーフパネルでは、張り剛性K は板厚t の2 乗およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b との各々の−0.5乗となることが判明した。言い換えると、曲率を有する自動車のルーフパネルでは、前記張り剛性K は、平板状のパネルのような板厚t の3 乗となるとなるのではなく、板厚t およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b との関係で捉える必要がある。
【0012】
したがって、本発明では、上記薄肉化した鋼板製ルーフパネルの張り剛性K を基準とし、この張り剛性K 以上となるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつ、上記 K= 2.32×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 の式を満足するように、アルミニウム合金製ルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b とを設計する。この結果、上記薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対しても軽量化効果を出せ、設計通りのルーフパネル曲率を実現できる、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法を提供できる。
【0013】
この際、基準となる上記薄肉化した鋼板製ルーフパネルの張り剛性K として、現状で最も薄肉化した0.8mm 厚みの鋼板を選択し、更に、鋼板製ルーフパネルとして最も一般的な前記 R aとR b とが6000mmである曲率を選択した。そして、この条件での鋼板製ルーフパネルの張り剛性の実測値5.26kgf/mmを基準とし、この基準値に近似する5kgf/mm を有すれば、アルミニウム合金ルーフパネルにおいても、前記鋼板製ルーフパネルと同等の張り剛性を有すると見なせるので、5kgf/mm 以上の張り剛性を満足することを前提とする。
【0014】
また、請求項2 の要旨のように、前記ルーフパネルに車体前後方向に延在するビードを設ければ、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルの張り剛性を更に向上させることができる。
【0015】
本発明は、このような効果を有するため、請求項3 の要旨のように、前記曲率R aと曲率R b とが6000mm以下であるような曲率が小さく (湾曲度が大きく) 、曲率の影響を受けて、張り剛性が低くなりやすい、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルに適用されて好ましい。
【0016】
本発明は、請求項4 の要旨のように、板厚t が0.8 〜1.4mm と薄く、張り剛性が低くなりやすい、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルに適用されて好ましい。
【0017】
本発明は、請求項5 の要旨のように、リサイクル性に優れた6000系アルミニウム合金板を使用することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明アルミニウム合金製ルーフパネルの実施態様について具体的に説明する。
【0019】
図3 は自動車車体における代表的なルーフパネル1 の構造を示し、図3(a)はルーフパネル全体の斜視図、図3(b)は(a) のR a 方向の断面図、図3(c)は(a) のR b 方向の断面図である。ルーフパネル1 は、通常、ルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b を有するよう、図3(b)や図3(c)に示した略箱型で一定の曲率を持った形状に設計される。そして、図3(a)に示すように、ルーフパネルリインフォースメント2a、2b、2cなどのルーフ補強材を介し、また、ウインドシールドヘッダパネル3 やバックウインドウフレームアッパ4 などの付属フレームやパネルが設けられた上で、車体側に取り付けられる。なお、本発明で言うルーフパネル中央部とは、ルーフパネル平面における中心点のことであり、図3 において矢印で示している R aとR b との矢印交差部である。
【0020】
図4 の自動車車体5 の斜視図、図5 、6 、7 の断面図を用いて、ルーフパネル1(図1)の自動車車体側への取り付け構造を説明する。図4 におけるルーフパネル1 の両側面G−G 部やH−H 部は、一例として、図5(a)に断面図で示すように、サイドメンバアウタ6 やサイドメンバインナ7 を介して、ルーフサイドレール8 と、図の点線で囲んだ部分10で溶接接合 (スポット溶接等) されている。また、他の例として、図5(b)に断面図で示すように、ルーフドリップチャンネル9 を介して、サイドメンバアウタ6 やサイドメンバインナ7 と、図の点線で囲んだ部分10で溶接接合 (スポット溶接等) されている。
【0021】
図4 におけるルーフパネル1 の車体前後側のK−K 部は、一例として、図6 に断面図で示すように、ウインドシールドヘッダパネル3 と、図の点線で囲んだ部分10で溶接接合あるいは図の点線で囲んだ部分11で接着剤で接合されている。また、ルーフパネル1 の中央部は、一例として、図7 に断面図で示すように、ルーフパネルリインフォースメント2 と図の点線で囲んだ部分11で接着剤で接合されている。
【0022】
本発明において、ルーフパネル1 はアルミニウム合金板よりなる。但し、ルーフパネル本体以外の、上記リインフォースメント2 などのルーフ補強材や付属フレームやパネルは、必ずしもアルミニウム合金材でなくとも、従来から使用されている鋼材などから適宜構成されて良い。
【0023】
素材である平板状のアルミニウム合金板は、プレス成形 (絞り) されて、ルーフパネル形状とされる。そして、余分な四周囲周辺部をトリム後、前後、左右から寄せ曲げされて、前記図1(b)や図1(c)に示した略箱型で一定の曲率を持ったルーフパネルとされる。前記プレス成形の加工率は小さいため、素材であるアルミニウム合金板は、あまり加工硬化しない。したがって、ルーフパネルでは、プレス成形時の加工硬化による剛性向上効果は期待できない。
【0024】
このため、ルーフパネルにとって重要な張り剛性K を向上させるためには、通常、
(1) ルーフパネルの板厚t を向上させる、
(2) ルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b とを小さくする、
(3) 意匠ビード等の凹凸を設ける、
(4) 自動車車体側への取り付け部の接合剛性を、点溶接から線溶接や面接着に変更して、向上させる、
などの方法がある。
【0025】
本発明でも、当然、これら張り剛性K の向上手段は踏襲する。しかし、本発明では、以下に導出過程を説明する、K=2.32×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 の関係を用いて、ルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b とを設計し、前記薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対しての軽量化効果を出す点が特徴的である。
【0026】
この式の導出過程を以下に説明する。先ず、以下のように、張り剛性K と、ヤング率E 、板厚t との相関を解析によって求める。即ち、図3 に示したルーフパネル1 を、パネルの四隅を拘束し、パネルの大きさ (サイズ) とパネル曲率R a 、R b 、かつヤング率E などを一定にしたモデル化を行う。なお、ルーフパネル中央部とは、図3 におけるルーフパネル中央部の部位であり、R a とR b とが交差する点である。また、R a とR b とも、ルーフパネル中央部を通過する (中央部は外さない) 曲率である。
【0027】
次に、このモデルにおいて、板厚t を変化させた時の荷重変位曲線を公知のFEM 解析によって図1 に例示するように求める。図1 の荷重変位曲線は、菱形印は板厚1.0mm のアルミニウム合金製ルーフパネル、丸印は板厚1.4mm のアルミニウム合金製ルーフパネルの例のみを示している。そして、図1 に例示したあるいは例示した以外の板厚の場合の各荷重変位曲線の立ち上がり時の傾きを、各板厚のルーフパネルの張り剛性K として求め、ヤング率E 、板厚t との相関を求めた。この結果、K は、E ×t1.95 に比例すること(K∝E ×t1.95)が分かった。
【0028】
この際、パネルの大きさは、R a 方向 (車体左右方向) 長さL a が1600mm、R b 方向 (車体前後方向) 長さL b が1000mmとし、パネル曲率R a は6000mm、R b は6000mm、ヤング率E は7000と一定にした。また、板厚t は1.0 、1.2 、1.3 、1.4 の各mmで変化させた。
【0029】
ここで、本発明で言う張り剛性K について説明する。通常、張り剛性は、前記荷重変位曲線から、一定荷重時における変位量、即ち、荷重(kgf)/変位量(mm)で求められる。しかし、本発明では、張り剛性に与える他の要因や因子の影響を排除して、ルーフパネルの板厚t やルーフパネル中央部の曲率 R a、曲率R b と、張り剛性K との関係に絞って、特定するために、図1 に例示するように、敢えて、荷重変位曲線の立ち上がり時の傾き、言い換えると、パネル変形初めの張り剛性値 (kgf/mmの単位は同じ) を、張り剛性K とした。
【0030】
次に、以下のように、張り剛性K とパネル曲率R a 、R b との相関を求めた。即ち、図3 に示したルーフパネル1 を、パネルの四隅を拘束し、パネルの大きさ(サイズ) と板厚t 、かつヤング率E などを一定にしたモデル化を行う。次に、このモデルにおいて、パネル曲率R a 、R b のいずれか一方を一定とし、他方を変化させた時の荷重変位曲線をFEM 解析によって、各々図1 と同様に求めた。
【0031】
そして、各パネル曲率R a 、R b の荷重変位曲線の立ち上がり時の傾きを、各板厚のルーフパネルの張り剛性K として求め、パネル曲率R a 、R b との相関を求めた。この結果、R b = 4500mmと一定とし、R a を3000〜6000mmと変化させた時のK は、K/ ( E×t1.95)∝R a −0.50 、一方、R a = 4500mmと一定とし、R b を3000〜6000mmと変化させた時のK は、K/ ( E×t1.95)∝R b −0.50 であり、更に、K/ ( E×t1.95)∝(R a×R b ) −0.50 であることが分かった。
【0032】
この際、パネルの大きさは、R a 方向 (車体左右方向) 長さL a が1600mm、R b 方向 (車体前後方向) 長さL b が1000mmとし、板厚t は1.2mm 、ヤング率E は7000と一定にした。
【0033】
したがって、これら張り剛性K とヤング率E 、板厚t との相関、および張り剛性K とパネル曲率R a 、R b との相関から、張り剛性K はE ×t1.95 や(R a×R b ) −0.50 に比例し、K ∝E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 であることが分かった。ここで、パネルの大きさによる影響を係数αとすれば、張り剛性K は、次式、K=α×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 で整理できる。
【0034】
更に、前記パネルの大きさによる係数αを求めた。即ち、他の条件を一定にした上で、ルーフパネルの汎用されるサイズ範囲を参考にして、R a 方向 (車体左右方向) 長さL a を800 〜1200mm、R b 方向 (車体前後方向) 長さL b を1350〜1800mm、と各々変化させた場合について、上記K=α×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 式から係数αを各々求めた。この結果、係数αは2.31〜2.40の範囲であった。ただ、この係数αの数値範囲では、算出される板厚の変化は最大でも数% の範囲であったので、係数αをこの範囲で変化させても、上記式を用いて算出される板厚やパネル曲率R a 、R b は概ね同じとなる。したがって、本発明では便宜的に係数αを2.32と一定にした。
【0035】
このようにして得られた本発明の式を図2 に示す。この図2 において、横軸x はR a ×R b 、縦軸y はK/(E×t1.95)であり、四角印の各点をつなぎ、y=2.32x −0.5で示される2 次曲線が、本発明における式、K= 2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 である。
【0036】
一方、本発明では、上記式を満足する前提として、アルミニウム合金ルーフパネルとして、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であることを前提とする。そして、この前提のもとに、上記式を満足するように、アルミニウム合金製ルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b とを設計すれば、上記薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対しても軽量化効果を出せることとなる。
【0037】
この式を満たさない場合、要求される張り剛性を高くするために、アルミニウム合金板の板厚を必要以上に厚くしすぎる場合などには、K <α×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 となり、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対して、アルミニウム合金製ルーフパネルによる軽量化効果が出なくなる。なお、この軽量化効果は、前記薄肉化した鋼板製ルーフパネルの重量に対するアルミニウム合金製ルーフパネルの軽量化率で示した場合、鋼板製ルーフパネルの軽量化率を0%とした場合の% で言うと、軽量化効果が40% 以上あることが、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対して、アルミニウム合金製ルーフパネルを代替する場合に必要と言える。
【0038】
一方、アルミニウム合金板の板厚を必要以上に薄くしすぎた場合など、K >α×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 となった場合には、ルーフパネルにとって必要な張り剛性である5kgf/mm が確保できなくなる。
【0039】
因みに、上記前提条件としての張り剛性K を5 kgf/mm以上とする理由は、現状で最も薄肉化した0.8mm 厚みの鋼板製ルーフパネルに対する軽量化効果が無い限り、アルミニウム合金製のルーフパネルを採用する意味が大きく失われるからである。この0.8mm 厚みの鋼板製ルーフパネル (最も一般的な前記 R aとR b とが6000mmの条件) での張り剛性の実測値は、前記した通り、5.26kgf/mmであり、上記軽量化効果はこのレベルの剛性を満たした上でないと意味が無い。したがって、本発明では、この値を5kgf/mm と近似させて、張り剛性の下限の基準としている。
【0040】
また、アルミニウム合金ルーフパネルの前提条件としてとして、板厚t が1.5mm 未満とする理由は、板厚t が1.5mm 以上の場合、鋼よりも軽量なアルミニウム合金であっても、前記薄肉化した0.8mm 厚みの鋼板製ルーフパネルに対する軽量化効果が大きく失われるからである。言い換えると、本発明では、前記式に基づき、ルーフパネルを設計するため、要求される張り剛性を満たした上で、1.5mm 未満に薄肉化できる効果も有する。但し、薄肉化した場合には、張り剛性が低くなり、張り剛性の下限5kgf/mm を満足させるのが困難となるので、板厚t の下限は0.8mm とすることが好ましい。
【0041】
更に、本発明の別の実施態様として、前記張り剛性K 式を満足するよう、ルーフパネルの板厚t やパネル曲率 R a、R b を設計した上で、図8(a) に斜視図で例示するような車体前後方向に延在するビード (凸条、畝)12 を、前記図3 のルーフパネル1 に設ければ、アルミニウム合金製ルーフパネル1 の張り剛性を更に向上させることができる。なお、図8(a) では、ルーフパネル1 の幅方向を5 等分するような間隔で、ビード12を設けている。張り剛性の向上要求に応じて、ビード12の設け方 (間隔、本数等) は自由である。また、図8(b) には、図8(a) のビード12として、断面が台形状のビード形状を示す。しかし、このような形状に限らず、張り剛性の向上要求やデザイン設計に応じて、ビード12の断面形状は、その高さと幅などの諸条件を含めて、半円状、波型などの種々の形状が採用可能である。
【0042】
本発明で用いるルーフパネル用のアルミニウム合金板は、通常、板の製造がしやすく、ルーフパネルへの成形が容易で、強度にも優れたAA乃至JIS 3000系、5000系、6000系等のアルミニウム合金が適宜選択して用いられる。特に、6000系アルミニウム合金は、自動車車体の塗装焼き付け処理条件での人工時効硬化性を有する。このため、高強度を得るのに合金元素量が少なくて済み、そのスクラップを元の6000系アルミニウム合金の溶解原料としてリサイクルできる利点がある。但し、前記張り剛性K の式におけるヤング率E は、アルミニウム合金の種類が違っても同じである。したがって、前記張り剛性K の式を満足させる観点からは、上記以外のアルミニウム合金を適用しても良い。
【0043】
【実施例】
次に、本発明ルーフパネルの軽量化効果を解析した結果を表1 に示す。表1 の参考例1 は張り剛性K の基準および軽量化効果の基準とした薄肉化した鋼板製ルーフパネルである。これに対し、2 〜13は、ルーフパネルの板厚t (mm)、R a (mm)、R b (mm)を種々変えた、発明例と比較例のアルミニウム合金製ルーフパネルである。
【0044】
各発明例のアルミニウム合金ルーフパネルは、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足する。その内、発明例7 、9 、11は、パネルの曲率R a 、R b と板厚とを変化させ、鋼板製ルーフパネル例1 に対し、張り剛性K が5.26kgf/mmと等価となるような板厚、曲率と設計した発明例である。このように、本発明では、所望の張り剛性K を満たす、アルミニウム合金ルーフパネル例を複数例設計でき、その中から適宜選択できる効果も有する。
【0045】
一方、各比較例は、従来の曲率を有さない平板状のパネルの、張り剛性K の式(K=E×t3) を用い、張り剛性が等価となるように設計したアルミニウム合金製ルーフパネルである。
【0046】
なお、表1 では、パネルの曲率R a 、R b ごとに発明例と比較例とを示している。また、軽量化効果は、参考例の鋼板製ルーフパネルの重量に対するアルミニウム合金ルーフパネルの軽量化率を示し、参考例の鋼板製ルーフパネルの軽量化率を0%とした場合の% で表示している。
【0047】
表1 の発明例3 、4 、6 、7 、9 、11、12から明らかな通り、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつ上記張り剛性K の式を満たすよう設計されたアルミニウム合金ルーフパネルは、必要張り剛性を満たした上で、鋼板製ルーフパネルに対する軽量化効果が40% 以上と高い。
【0048】
これに対し、上記張り剛性K の式を下限に満たしていない、表1 の各比較例5 、8 、10は、パネルの曲率R a 、R b が同じ各発明例に比して、張り剛性が著しく劣っている。
【0049】
また、板厚が大きすぎる表1 の比較例2 は、上記張り剛性K の式を満たしているものの、パネルの曲率R a 、R b が、参考例の鋼板製ルーフパネルや同じ各発明例3 、4 に比して、剛性が大きすぎる過剰設計となっており、軽量化率が40% 未満の36% 程度であり、軽量化効果が劣っている。なお、この意味では、発明例11と発明例12とを比較した場合、参考例の鋼板製ルーフパネルにに対しては、発明例12の方が剛性が大きすぎる過剰設計気味になっていると言える。
【0050】
以上の実施例の結果から、本発明アルミニウム合金製ルーフパネルの効果と、本発明における上記張り剛性K の式を含めた各条件の臨海的な意義が裏付けられる。
【0051】
【表1】
【0052】
次に、前記図8(a) 、(b) で示したビード12を設けた発明例の張り剛性K の向上効果について、前記実施例と同様に解析した。即ち、ビード12を設けた板厚t が1.20mmのアルミニウム合金ルーフパネルの荷重変位曲線から、張り剛性K が5.0kgf/mm の場合の変位量(mm)を求め、この変位量の大きさで、張り剛性を評価した。この際、R a 、R b が大きいほど、ビード12による張り剛性K の向上効果があるので、R a 、R b を共に8000mmと大きくして、張り剛性を評価した。
【0053】
この結果、ビード12を設けた発明例13の変位量は2.4mm であり、ビード12を設けない以外は発明例13と同じ条件とした比較例14の変位量は6.4mm であり、発明例13の変位量の方が少なく、ビード12の効果が裏付けられた。
【0054】
因みに、参考までに、曲率を設けない平坦なアルミニウム合金ルーフパネルでの、板厚t を1.20mmとして、ビード12を設けた比較例15の変位量と、ビード12を設けない比較例16の変位量との差は、同じく張り剛性K が5.0kgf/mm の場合には0.2mm 程度しかなく、ほとんど変わり無かった。したがって、ビード12の効果は、曲率を設けたアルミニウム合金ルーフパネルでの特有の効果と言える。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対してでも軽量化効果や設計通りのルーフパネル曲率を出せる、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法を提供できる。このため、自動車の軽量化が図れ、自動車へのアルミニウム合金板の用途を大きく拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るルーフパネルの張り剛性K を示す荷重変位曲線図である。
【図2】本発明に係る張り剛性K と各影響因子との関係式を示す説明図である。
【図3】代表的なルーフパネルの構造を示し、図3(a)はルーフパネル全体の斜視図、図3(b)は(a) のR a 方向の断面図、図3(c)は(a) のR b 方向の断面図である。
【図4】自動車車体5 の斜視図である。
【図5】ルーフパネルの自動車車体側への取り付け構造例を示す断面図である。
【図6】ルーフパネルの自動車車体側への取り付け構造例を示す断面図である。
【図7】ルーフパネルの自動車車体側への取り付け構造例を示す断面図である。
【図8】ルーフパネルに設けたビード形状を示し、図8(a) はビードを設けたルーフパネル全体の斜視図、図8(b)はビードの断面図である。
【符号の説明】
1:ルーフパネル、2:ルーフパネルリインフォースメント、
3:ウインドシールドヘッダパネル、4:バックウインドウフレームアッパ、
5:自動車車体、6:サイドメンバアウタ、7:サイドメンバインナ、
8:ルーフサイドレール、9:ルーフドリップチャンネル、
10: 溶接部、11: 接着部、12: ビード
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、現状の自動車のルーフ (屋根) の多くは、鋼板製パネルからなっている。しかし、近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、特に、自動車の車体に対し、従来から使用されている鋼材に代わって、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。したがって、自動車のルーフパネルに対しても、より軽量なアルミニウム合金板の適用が開始されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、自動車のルーフパネルに対してアルミニウム合金板を適用する場合、ルーフに要求される剛性のうちで特に重要な張り剛性と、これに必要なルーフパネルの板厚t(mm) 、更に、ルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b との関係はこれまで必ずしも明確ではなかった。
【0004】
これは、自動車のルーフパネルに対するアルミニウム合金板の適用例が今だ少ないためである。したがって、特開平7−132855号公報などで、アルミニウム合金製のルーフパネルの取り付け構造などは一部で提案されているものの、ルーフパネル自体の設計に必要な、ルーフの張り剛性と、これに必要なルーフパネルの板厚t(mm) やルーフパネル曲率などとの関係に関する公知例はあまりなかった。したがって、車体の設計上、一定の曲率を有することが多いルーフパネルでは、この曲率が影響した下での、ルーフの張り剛性と、これに必要なルーフパネルの板厚t(mm) との関係は、上記した通り、これまで特に明確ではなかったのが実情である。
【0005】
このため、折角アルミニウム合金板をルーフパネルへの適用しても、要求される張り剛性を高くするために、アルミニウム合金板の板厚を厚くしすぎる場合やデザインしたルーフパネル曲率の設計変更を余儀なくされる場合、などが生じる。特に最近では、鋼板の側でも、高張力鋼板 (ハイテン) などを用いて、例えば0.8mm 以下に薄肉化したルーフパネルもあり、これら薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対して、アルミニウム合金板製のルーフパネルによる軽量化効果や設計通りのルーフパネル曲率を実現することは、かなり困難であった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対してでも、軽量化効果や設計通りのルーフパネル曲率を出せる、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明自動車ルーフパネルの要旨は、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足することである。
【0008】
また、同じく、本発明自動車ルーフパネルの設計方法の要旨は、張り剛性K を5 kgf/mm以上とするとともに板厚t を1.5mm 未満とし、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足するように設計することである。
【0009】
本発明者らは、先ず、自動車のルーフパネルに対してアルミニウム合金板を適用するに際し、ルーフに要求される張り剛性と、これに必要なルーフパネルの板厚t(mm) 、更に、ルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b との関係を後述する解析によって明確化した。
【0010】
通常、曲率を有さない平板状のパネルでは、張り剛性K は板厚t の3 乗となること(K=E×t3) が公知である。したがって、自動車のルーフなどの曲率を有するパネルにおいても、常識的に乃至便宜的に、この式にもとづいて、張り剛性が等価となるように(K乃至E ×t3を一定にするように) 設計することが常であった。しかし、これでは板厚を厚くしすぎる、張り剛性を大きくしすぎるなどの過剰設計になりやすく、前記した通り、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに比して、アルミニウム合金板製のルーフパネルによる軽量化効果や、設計通りのルーフパネル曲率を実現することは、かなり困難であった。
【0011】
これに対し、本発明者らの解析によれば、曲率を有する自動車のルーフパネルでは、張り剛性K は板厚t の2 乗およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b との各々の−0.5乗となることが判明した。言い換えると、曲率を有する自動車のルーフパネルでは、前記張り剛性K は、平板状のパネルのような板厚t の3 乗となるとなるのではなく、板厚t およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b との関係で捉える必要がある。
【0012】
したがって、本発明では、上記薄肉化した鋼板製ルーフパネルの張り剛性K を基準とし、この張り剛性K 以上となるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつ、上記 K= 2.32×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 の式を満足するように、アルミニウム合金製ルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b とを設計する。この結果、上記薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対しても軽量化効果を出せ、設計通りのルーフパネル曲率を実現できる、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法を提供できる。
【0013】
この際、基準となる上記薄肉化した鋼板製ルーフパネルの張り剛性K として、現状で最も薄肉化した0.8mm 厚みの鋼板を選択し、更に、鋼板製ルーフパネルとして最も一般的な前記 R aとR b とが6000mmである曲率を選択した。そして、この条件での鋼板製ルーフパネルの張り剛性の実測値5.26kgf/mmを基準とし、この基準値に近似する5kgf/mm を有すれば、アルミニウム合金ルーフパネルにおいても、前記鋼板製ルーフパネルと同等の張り剛性を有すると見なせるので、5kgf/mm 以上の張り剛性を満足することを前提とする。
【0014】
また、請求項2 の要旨のように、前記ルーフパネルに車体前後方向に延在するビードを設ければ、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルの張り剛性を更に向上させることができる。
【0015】
本発明は、このような効果を有するため、請求項3 の要旨のように、前記曲率R aと曲率R b とが6000mm以下であるような曲率が小さく (湾曲度が大きく) 、曲率の影響を受けて、張り剛性が低くなりやすい、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルに適用されて好ましい。
【0016】
本発明は、請求項4 の要旨のように、板厚t が0.8 〜1.4mm と薄く、張り剛性が低くなりやすい、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルに適用されて好ましい。
【0017】
本発明は、請求項5 の要旨のように、リサイクル性に優れた6000系アルミニウム合金板を使用することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明アルミニウム合金製ルーフパネルの実施態様について具体的に説明する。
【0019】
図3 は自動車車体における代表的なルーフパネル1 の構造を示し、図3(a)はルーフパネル全体の斜視図、図3(b)は(a) のR a 方向の断面図、図3(c)は(a) のR b 方向の断面図である。ルーフパネル1 は、通常、ルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b を有するよう、図3(b)や図3(c)に示した略箱型で一定の曲率を持った形状に設計される。そして、図3(a)に示すように、ルーフパネルリインフォースメント2a、2b、2cなどのルーフ補強材を介し、また、ウインドシールドヘッダパネル3 やバックウインドウフレームアッパ4 などの付属フレームやパネルが設けられた上で、車体側に取り付けられる。なお、本発明で言うルーフパネル中央部とは、ルーフパネル平面における中心点のことであり、図3 において矢印で示している R aとR b との矢印交差部である。
【0020】
図4 の自動車車体5 の斜視図、図5 、6 、7 の断面図を用いて、ルーフパネル1(図1)の自動車車体側への取り付け構造を説明する。図4 におけるルーフパネル1 の両側面G−G 部やH−H 部は、一例として、図5(a)に断面図で示すように、サイドメンバアウタ6 やサイドメンバインナ7 を介して、ルーフサイドレール8 と、図の点線で囲んだ部分10で溶接接合 (スポット溶接等) されている。また、他の例として、図5(b)に断面図で示すように、ルーフドリップチャンネル9 を介して、サイドメンバアウタ6 やサイドメンバインナ7 と、図の点線で囲んだ部分10で溶接接合 (スポット溶接等) されている。
【0021】
図4 におけるルーフパネル1 の車体前後側のK−K 部は、一例として、図6 に断面図で示すように、ウインドシールドヘッダパネル3 と、図の点線で囲んだ部分10で溶接接合あるいは図の点線で囲んだ部分11で接着剤で接合されている。また、ルーフパネル1 の中央部は、一例として、図7 に断面図で示すように、ルーフパネルリインフォースメント2 と図の点線で囲んだ部分11で接着剤で接合されている。
【0022】
本発明において、ルーフパネル1 はアルミニウム合金板よりなる。但し、ルーフパネル本体以外の、上記リインフォースメント2 などのルーフ補強材や付属フレームやパネルは、必ずしもアルミニウム合金材でなくとも、従来から使用されている鋼材などから適宜構成されて良い。
【0023】
素材である平板状のアルミニウム合金板は、プレス成形 (絞り) されて、ルーフパネル形状とされる。そして、余分な四周囲周辺部をトリム後、前後、左右から寄せ曲げされて、前記図1(b)や図1(c)に示した略箱型で一定の曲率を持ったルーフパネルとされる。前記プレス成形の加工率は小さいため、素材であるアルミニウム合金板は、あまり加工硬化しない。したがって、ルーフパネルでは、プレス成形時の加工硬化による剛性向上効果は期待できない。
【0024】
このため、ルーフパネルにとって重要な張り剛性K を向上させるためには、通常、
(1) ルーフパネルの板厚t を向上させる、
(2) ルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b とを小さくする、
(3) 意匠ビード等の凹凸を設ける、
(4) 自動車車体側への取り付け部の接合剛性を、点溶接から線溶接や面接着に変更して、向上させる、
などの方法がある。
【0025】
本発明でも、当然、これら張り剛性K の向上手段は踏襲する。しかし、本発明では、以下に導出過程を説明する、K=2.32×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 の関係を用いて、ルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b とを設計し、前記薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対しての軽量化効果を出す点が特徴的である。
【0026】
この式の導出過程を以下に説明する。先ず、以下のように、張り剛性K と、ヤング率E 、板厚t との相関を解析によって求める。即ち、図3 に示したルーフパネル1 を、パネルの四隅を拘束し、パネルの大きさ (サイズ) とパネル曲率R a 、R b 、かつヤング率E などを一定にしたモデル化を行う。なお、ルーフパネル中央部とは、図3 におけるルーフパネル中央部の部位であり、R a とR b とが交差する点である。また、R a とR b とも、ルーフパネル中央部を通過する (中央部は外さない) 曲率である。
【0027】
次に、このモデルにおいて、板厚t を変化させた時の荷重変位曲線を公知のFEM 解析によって図1 に例示するように求める。図1 の荷重変位曲線は、菱形印は板厚1.0mm のアルミニウム合金製ルーフパネル、丸印は板厚1.4mm のアルミニウム合金製ルーフパネルの例のみを示している。そして、図1 に例示したあるいは例示した以外の板厚の場合の各荷重変位曲線の立ち上がり時の傾きを、各板厚のルーフパネルの張り剛性K として求め、ヤング率E 、板厚t との相関を求めた。この結果、K は、E ×t1.95 に比例すること(K∝E ×t1.95)が分かった。
【0028】
この際、パネルの大きさは、R a 方向 (車体左右方向) 長さL a が1600mm、R b 方向 (車体前後方向) 長さL b が1000mmとし、パネル曲率R a は6000mm、R b は6000mm、ヤング率E は7000と一定にした。また、板厚t は1.0 、1.2 、1.3 、1.4 の各mmで変化させた。
【0029】
ここで、本発明で言う張り剛性K について説明する。通常、張り剛性は、前記荷重変位曲線から、一定荷重時における変位量、即ち、荷重(kgf)/変位量(mm)で求められる。しかし、本発明では、張り剛性に与える他の要因や因子の影響を排除して、ルーフパネルの板厚t やルーフパネル中央部の曲率 R a、曲率R b と、張り剛性K との関係に絞って、特定するために、図1 に例示するように、敢えて、荷重変位曲線の立ち上がり時の傾き、言い換えると、パネル変形初めの張り剛性値 (kgf/mmの単位は同じ) を、張り剛性K とした。
【0030】
次に、以下のように、張り剛性K とパネル曲率R a 、R b との相関を求めた。即ち、図3 に示したルーフパネル1 を、パネルの四隅を拘束し、パネルの大きさ(サイズ) と板厚t 、かつヤング率E などを一定にしたモデル化を行う。次に、このモデルにおいて、パネル曲率R a 、R b のいずれか一方を一定とし、他方を変化させた時の荷重変位曲線をFEM 解析によって、各々図1 と同様に求めた。
【0031】
そして、各パネル曲率R a 、R b の荷重変位曲線の立ち上がり時の傾きを、各板厚のルーフパネルの張り剛性K として求め、パネル曲率R a 、R b との相関を求めた。この結果、R b = 4500mmと一定とし、R a を3000〜6000mmと変化させた時のK は、K/ ( E×t1.95)∝R a −0.50 、一方、R a = 4500mmと一定とし、R b を3000〜6000mmと変化させた時のK は、K/ ( E×t1.95)∝R b −0.50 であり、更に、K/ ( E×t1.95)∝(R a×R b ) −0.50 であることが分かった。
【0032】
この際、パネルの大きさは、R a 方向 (車体左右方向) 長さL a が1600mm、R b 方向 (車体前後方向) 長さL b が1000mmとし、板厚t は1.2mm 、ヤング率E は7000と一定にした。
【0033】
したがって、これら張り剛性K とヤング率E 、板厚t との相関、および張り剛性K とパネル曲率R a 、R b との相関から、張り剛性K はE ×t1.95 や(R a×R b ) −0.50 に比例し、K ∝E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 であることが分かった。ここで、パネルの大きさによる影響を係数αとすれば、張り剛性K は、次式、K=α×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 で整理できる。
【0034】
更に、前記パネルの大きさによる係数αを求めた。即ち、他の条件を一定にした上で、ルーフパネルの汎用されるサイズ範囲を参考にして、R a 方向 (車体左右方向) 長さL a を800 〜1200mm、R b 方向 (車体前後方向) 長さL b を1350〜1800mm、と各々変化させた場合について、上記K=α×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 式から係数αを各々求めた。この結果、係数αは2.31〜2.40の範囲であった。ただ、この係数αの数値範囲では、算出される板厚の変化は最大でも数% の範囲であったので、係数αをこの範囲で変化させても、上記式を用いて算出される板厚やパネル曲率R a 、R b は概ね同じとなる。したがって、本発明では便宜的に係数αを2.32と一定にした。
【0035】
このようにして得られた本発明の式を図2 に示す。この図2 において、横軸x はR a ×R b 、縦軸y はK/(E×t1.95)であり、四角印の各点をつなぎ、y=2.32x −0.5で示される2 次曲線が、本発明における式、K= 2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 である。
【0036】
一方、本発明では、上記式を満足する前提として、アルミニウム合金ルーフパネルとして、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であることを前提とする。そして、この前提のもとに、上記式を満足するように、アルミニウム合金製ルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R aと車体前後方向の曲率R b とを設計すれば、上記薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対しても軽量化効果を出せることとなる。
【0037】
この式を満たさない場合、要求される張り剛性を高くするために、アルミニウム合金板の板厚を必要以上に厚くしすぎる場合などには、K <α×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 となり、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対して、アルミニウム合金製ルーフパネルによる軽量化効果が出なくなる。なお、この軽量化効果は、前記薄肉化した鋼板製ルーフパネルの重量に対するアルミニウム合金製ルーフパネルの軽量化率で示した場合、鋼板製ルーフパネルの軽量化率を0%とした場合の% で言うと、軽量化効果が40% 以上あることが、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対して、アルミニウム合金製ルーフパネルを代替する場合に必要と言える。
【0038】
一方、アルミニウム合金板の板厚を必要以上に薄くしすぎた場合など、K >α×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 となった場合には、ルーフパネルにとって必要な張り剛性である5kgf/mm が確保できなくなる。
【0039】
因みに、上記前提条件としての張り剛性K を5 kgf/mm以上とする理由は、現状で最も薄肉化した0.8mm 厚みの鋼板製ルーフパネルに対する軽量化効果が無い限り、アルミニウム合金製のルーフパネルを採用する意味が大きく失われるからである。この0.8mm 厚みの鋼板製ルーフパネル (最も一般的な前記 R aとR b とが6000mmの条件) での張り剛性の実測値は、前記した通り、5.26kgf/mmであり、上記軽量化効果はこのレベルの剛性を満たした上でないと意味が無い。したがって、本発明では、この値を5kgf/mm と近似させて、張り剛性の下限の基準としている。
【0040】
また、アルミニウム合金ルーフパネルの前提条件としてとして、板厚t が1.5mm 未満とする理由は、板厚t が1.5mm 以上の場合、鋼よりも軽量なアルミニウム合金であっても、前記薄肉化した0.8mm 厚みの鋼板製ルーフパネルに対する軽量化効果が大きく失われるからである。言い換えると、本発明では、前記式に基づき、ルーフパネルを設計するため、要求される張り剛性を満たした上で、1.5mm 未満に薄肉化できる効果も有する。但し、薄肉化した場合には、張り剛性が低くなり、張り剛性の下限5kgf/mm を満足させるのが困難となるので、板厚t の下限は0.8mm とすることが好ましい。
【0041】
更に、本発明の別の実施態様として、前記張り剛性K 式を満足するよう、ルーフパネルの板厚t やパネル曲率 R a、R b を設計した上で、図8(a) に斜視図で例示するような車体前後方向に延在するビード (凸条、畝)12 を、前記図3 のルーフパネル1 に設ければ、アルミニウム合金製ルーフパネル1 の張り剛性を更に向上させることができる。なお、図8(a) では、ルーフパネル1 の幅方向を5 等分するような間隔で、ビード12を設けている。張り剛性の向上要求に応じて、ビード12の設け方 (間隔、本数等) は自由である。また、図8(b) には、図8(a) のビード12として、断面が台形状のビード形状を示す。しかし、このような形状に限らず、張り剛性の向上要求やデザイン設計に応じて、ビード12の断面形状は、その高さと幅などの諸条件を含めて、半円状、波型などの種々の形状が採用可能である。
【0042】
本発明で用いるルーフパネル用のアルミニウム合金板は、通常、板の製造がしやすく、ルーフパネルへの成形が容易で、強度にも優れたAA乃至JIS 3000系、5000系、6000系等のアルミニウム合金が適宜選択して用いられる。特に、6000系アルミニウム合金は、自動車車体の塗装焼き付け処理条件での人工時効硬化性を有する。このため、高強度を得るのに合金元素量が少なくて済み、そのスクラップを元の6000系アルミニウム合金の溶解原料としてリサイクルできる利点がある。但し、前記張り剛性K の式におけるヤング率E は、アルミニウム合金の種類が違っても同じである。したがって、前記張り剛性K の式を満足させる観点からは、上記以外のアルミニウム合金を適用しても良い。
【0043】
【実施例】
次に、本発明ルーフパネルの軽量化効果を解析した結果を表1 に示す。表1 の参考例1 は張り剛性K の基準および軽量化効果の基準とした薄肉化した鋼板製ルーフパネルである。これに対し、2 〜13は、ルーフパネルの板厚t (mm)、R a (mm)、R b (mm)を種々変えた、発明例と比較例のアルミニウム合金製ルーフパネルである。
【0044】
各発明例のアルミニウム合金ルーフパネルは、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足する。その内、発明例7 、9 、11は、パネルの曲率R a 、R b と板厚とを変化させ、鋼板製ルーフパネル例1 に対し、張り剛性K が5.26kgf/mmと等価となるような板厚、曲率と設計した発明例である。このように、本発明では、所望の張り剛性K を満たす、アルミニウム合金ルーフパネル例を複数例設計でき、その中から適宜選択できる効果も有する。
【0045】
一方、各比較例は、従来の曲率を有さない平板状のパネルの、張り剛性K の式(K=E×t3) を用い、張り剛性が等価となるように設計したアルミニウム合金製ルーフパネルである。
【0046】
なお、表1 では、パネルの曲率R a 、R b ごとに発明例と比較例とを示している。また、軽量化効果は、参考例の鋼板製ルーフパネルの重量に対するアルミニウム合金ルーフパネルの軽量化率を示し、参考例の鋼板製ルーフパネルの軽量化率を0%とした場合の% で表示している。
【0047】
表1 の発明例3 、4 、6 、7 、9 、11、12から明らかな通り、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつ上記張り剛性K の式を満たすよう設計されたアルミニウム合金ルーフパネルは、必要張り剛性を満たした上で、鋼板製ルーフパネルに対する軽量化効果が40% 以上と高い。
【0048】
これに対し、上記張り剛性K の式を下限に満たしていない、表1 の各比較例5 、8 、10は、パネルの曲率R a 、R b が同じ各発明例に比して、張り剛性が著しく劣っている。
【0049】
また、板厚が大きすぎる表1 の比較例2 は、上記張り剛性K の式を満たしているものの、パネルの曲率R a 、R b が、参考例の鋼板製ルーフパネルや同じ各発明例3 、4 に比して、剛性が大きすぎる過剰設計となっており、軽量化率が40% 未満の36% 程度であり、軽量化効果が劣っている。なお、この意味では、発明例11と発明例12とを比較した場合、参考例の鋼板製ルーフパネルにに対しては、発明例12の方が剛性が大きすぎる過剰設計気味になっていると言える。
【0050】
以上の実施例の結果から、本発明アルミニウム合金製ルーフパネルの効果と、本発明における上記張り剛性K の式を含めた各条件の臨海的な意義が裏付けられる。
【0051】
【表1】
【0052】
次に、前記図8(a) 、(b) で示したビード12を設けた発明例の張り剛性K の向上効果について、前記実施例と同様に解析した。即ち、ビード12を設けた板厚t が1.20mmのアルミニウム合金ルーフパネルの荷重変位曲線から、張り剛性K が5.0kgf/mm の場合の変位量(mm)を求め、この変位量の大きさで、張り剛性を評価した。この際、R a 、R b が大きいほど、ビード12による張り剛性K の向上効果があるので、R a 、R b を共に8000mmと大きくして、張り剛性を評価した。
【0053】
この結果、ビード12を設けた発明例13の変位量は2.4mm であり、ビード12を設けない以外は発明例13と同じ条件とした比較例14の変位量は6.4mm であり、発明例13の変位量の方が少なく、ビード12の効果が裏付けられた。
【0054】
因みに、参考までに、曲率を設けない平坦なアルミニウム合金ルーフパネルでの、板厚t を1.20mmとして、ビード12を設けた比較例15の変位量と、ビード12を設けない比較例16の変位量との差は、同じく張り剛性K が5.0kgf/mm の場合には0.2mm 程度しかなく、ほとんど変わり無かった。したがって、ビード12の効果は、曲率を設けたアルミニウム合金ルーフパネルでの特有の効果と言える。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、薄肉化した鋼板製ルーフパネルに対してでも軽量化効果や設計通りのルーフパネル曲率を出せる、アルミニウム合金製自動車ルーフパネルおよび自動車ルーフパネルの設計方法を提供できる。このため、自動車の軽量化が図れ、自動車へのアルミニウム合金板の用途を大きく拡大するものであり、工業的な価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るルーフパネルの張り剛性K を示す荷重変位曲線図である。
【図2】本発明に係る張り剛性K と各影響因子との関係式を示す説明図である。
【図3】代表的なルーフパネルの構造を示し、図3(a)はルーフパネル全体の斜視図、図3(b)は(a) のR a 方向の断面図、図3(c)は(a) のR b 方向の断面図である。
【図4】自動車車体5 の斜視図である。
【図5】ルーフパネルの自動車車体側への取り付け構造例を示す断面図である。
【図6】ルーフパネルの自動車車体側への取り付け構造例を示す断面図である。
【図7】ルーフパネルの自動車車体側への取り付け構造例を示す断面図である。
【図8】ルーフパネルに設けたビード形状を示し、図8(a) はビードを設けたルーフパネル全体の斜視図、図8(b)はビードの断面図である。
【符号の説明】
1:ルーフパネル、2:ルーフパネルリインフォースメント、
3:ウインドシールドヘッダパネル、4:バックウインドウフレームアッパ、
5:自動車車体、6:サイドメンバアウタ、7:サイドメンバインナ、
8:ルーフサイドレール、9:ルーフドリップチャンネル、
10: 溶接部、11: 接着部、12: ビード
Claims (6)
- アルミニウム合金製自動車ルーフパネルであって、張り剛性K が5 kgf/mm以上であるとともに板厚t が1.5mm 未満であり、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足することを特徴とするアルミニウム合金製自動車ルーフパネル。
- 前記ルーフパネルに車体前後方向に延在するビードが設けられている請求項1に記載のアルミニウム合金製自動車ルーフパネル。
- 前記曲率 R aと曲率R b とが6000mm以下である請求項1または2に記載のアルミニウム合金製自動車ルーフパネル。
- 前記ルーフパネルの板厚が0.8 〜1.4mm の範囲である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製自動車ルーフパネル。
- 前記ルーフパネルが6000系アルミニウム合金板からなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製自動車ルーフパネル。
- アルミニウム合金製自動車ルーフパネルの、張り剛性K を5 kgf/mm以上とするとともに板厚t を1.5mm 未満とし、かつルーフパネルの板厚t(mm) およびルーフパネル中央部の車体左右方向の曲率 R a(mm)と車体前後方向の曲率R b (mm)とが、前記張り剛性K との関係で次式、 K=2.32 ×E ×t1.95 ×(R a×R b ) −0.50 (但し、E はヤング率) を満足するように設計することを特徴とするアルミニウム合金製自動車ルーフパネルの設計方法。
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