JP2004017264A - ドリルビット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】切刃チップ3に、複数の切刃部3a、3b、3cを形設し、各切刃部3a、3b、3cに形成した切削面6と逃げ面7の接合エッジを切刃4とし、各切刃4の内端を刃先頂点8で突き合わせたドリルビットにおいて、各切刃4に、切欠き凹部5a,5b,5cを形成した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビット本体先端に超硬合金製の切刃チップをろう付けや溶接等で固着したドリルビットに関するものであり、さらに詳しくは、剛性が高くコンクリートや石材等に対する穿孔に好適するドリルビットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートや石材等に対する穿孔には、回転ハンマードリルに専用のドリルビットを取着して用い、ドリルビットに対して軸心方向の振動的な打撃力と回転トルクの両作用を同時に与えての穿孔(穴明け)が行われている。この種の穿孔作業の高能率化に対する要求に応えるために、ドリルビットとしては、鋼製のビット本体の先端に、耐摩耗性に優れた超硬合金製の切刃チップをろう付けや溶接等で固着したものが多い。
【0003】
この種のドリルビットとして、本出願人は、先に、ビット本体の先端に固着したブロック体からなる超硬合金製の切刃チップに、複数の切刃部を形設し、各切刃部上に形成した切削面と逃げ面の接合エッジを切刃とし、これらの切刃の内端を刃先頂点で接合させて刃先頂点をチゼルポイントのない尖端形状にし、各切刃部間に形成した凹部を、ビット本体の外周に設けた切り屑排出溝に連続させた構成のドリルビットを提案した(特願2000−377082号公報参照)。
【0004】
この構成のドリルビットによれば、コンクリートや石材等に対する穿孔で、切刃がドリル孔切削面を衝撃的に打当する打撃切削と、打撃切削に続き切刃をドリル孔切削面に食い込ませて回転する回転切削で穿孔は行われ、ドリル孔切削面に生じる切り屑を、ドリルビットの軸心方向の動きに伴ってドリル孔切削面から浮上させて各切刃部の間からビット本体外周の切り屑排出溝を経てドリル孔外に円滑に排出されるので、刃先頂点をチゼルポイントのない尖端形状にしたので、穿孔に際して回転バランスがよく、常に、尖端形状の刃先頂点がドリル孔切削面中心に対応して精度の高い定径孔の穿孔を可能にしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記するようなチゼルポイントのないドリルビットを回転ハンマードリルに取着し、コンクリートや石材等に穿孔する際の穿孔作用について考察すると、軸心方向の振動的な打撃力による切削、すなわち、切刃がドリル孔切削面を衝撃的に打当してドリル孔切削面を破砕する打撃切削の際には、各切刃による破砕の程度は、切刃の内端が集中する尖端形状をなす刃先頂点部が大きくなる。
【0006】
また、打撃切削に続き切刃がドリル孔切削面に食い込んで回転を伴う回転切削の際には、各切刃による切削量は切刃周縁部で多くなる。
【0007】
こうして、繰り返し穿孔に使用した後の各切刃の損耗を観察すると、必ずしも、切刃各部の損耗は一様には進行しておらず、回転切削の際に切削量を多くする切刃の外端部の損耗が大きく、切刃の中間部から刃先頂点に掛けては、各切刃とも、損耗の程度にさほど大きな差は見られない。このことは、切刃の中間部から刃先頂点に掛けては、隣り合う各切刃が互いに接近していて、回転切削の際に、各切刃がそれぞれにドリル孔切削面に食い込んで回転切削するにも、切刃の外端部に比べて周速も小さいために、大きな切削抵抗が掛からず、切刃外端部ほどの有効な回転切削ができないのに起因しているものと考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、ドリル孔切削面に対する回転切削時に、切刃各部に掛かる切削抵抗のむらをなくし、複数の切刃の各部が協同して効率よく円滑にドリル孔切削面の回転切削が行われるようにし、切刃の偏摩耗を軽減して耐用寿命を延長できるドリルビットを提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するするために、本発明に係るドリルビットは、超硬合金製のブロック体からなる切刃チップに、複数の切刃部を形設し、各切刃部に形成した切削面と逃げ面の接合エッジを切刃とし、各切刃の内端を刃先頂点で突き合わせたドリルビットにおいて、各切刃に、切欠き凹部を形成したことを特徴とする。
【0010】
ここで、隣り合う切刃で、切欠き凹部の位置をずらし、全ての切欠き凹部は、切刃の外端部を残して形成し、また、隣り合う切刃の切欠き凹部は、その一部を回転方向にオーバーラップさせ、切欠き凹部の長さを変えた構成とするのが好ましい。
【0011】
このように構成されたドリルビットによれば、ドリル孔切削面に切刃を食い込ませて回転切削する際に、切欠き凹部のところでは切削作用がなくなり、切削抵抗が軽減され、ドリル孔切削面には切り残しを生じるが、この切り残し分は、他の切刃が適切に切削し、複数の切刃の各部が分担してドリル孔切削面を回転切削するので、各切刃とも切刃に掛かる切削抵抗にむらがなく、回転トルクを有効利用して効率よく円滑にドリル孔切削面の回転切削を行い、切刃の偏摩耗を軽減してドリルビットの耐用寿命を延長できる。
【0012】
また、切欠き凹部の深さについては、特に、制約はないが、コンクリートや石材等を穿孔対象とするドリルビットの場合、実用的には、切欠き凹部の深さを
0.2mm〜1mmに設定するのが好ましい。
【0013】
また、切刃に切欠き凹部を形成するには、切欠き凹部を、対応する逃げ面から切欠き凹部に掛けて、平底構成の浅溝状に形成することができる。この場合、ドリルビットの加工性がよくなり、生産コストを安くできる。
【0014】
また、本発明において、超硬合金製のブロック体からなる切刃チップに形設される複数の切刃部の内、少なくとも2つの切刃部の切刃の内端を、刃先頂点で突き合わせた構成にすると、刃先頂点をチゼルポイントのない尖端形状にできるので、穿孔に際して刃先頂点の尖端がドリル孔切削面中心に凹部を刻設し、ドリル孔切削面を打撃切削するに際し、常に、刃先頂点の尖端が、このドリル孔切削面中心の凹部に嵌合してガイド機能を発揮するので、ドリルビットの芯振れ防止効果が高められて精度の高い定径孔の穿孔ができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態を示すドリルビットの一部を省略した要部の正面図、図2はドリルビットの下端面図、図3は図2に対応する切刃チップの斜視図、図4はドリル孔切削面に対する各切欠き凹部の位置関係を説明するための説明図である。
【0017】
図において、1は鋼製のビット本体で、その上部に回転ハンマードリルの駆動軸に連結するシャンク(図示せず)を延設し、ビット本体外周に切屑排出溝2を設け、ビット本体先端に超硬合金製のブロック体からなる切刃チップ3をろう付けや溶接等で固着し、この切刃チップ3に対し、実施の形態では、周方向に3つの切刃部3a,3b,3cを形設している。
【0018】
各切刃部3a,3b,3cには、切削面6と逃げ面7を形成して両面の接合エッジを切刃4とし、各切刃4の内端を突き合わせて刃先頂点8をチゼルポイントのない尖端形状にしている。
【0019】
本発明においては、各切刃部3a,3b,3cの切刃4に、切欠き凹部5a,5b,5cを形成している。実施の形態では、これらの切欠き凹部5a,5b,5cを、対応する逃げ面7から切刃4に掛けて平底構成の浅溝状に形成しており、実用的な切欠き凹部5a,5b,5cの深さは、0.2mm〜1mmに設定している。 また、各切欠き凹部5a,5b,5cの底部は、切削面6に対して切刃4同様に、接合エッジを形成して接合するので、この接合部は補助切刃としての機能を発揮する。
【0020】
また、全ての切欠き凹部5a,5b,5cは、切刃4の外端部を残して形成されており、また、各切欠き凹部5a,5b,5cは、切刃4における位置と長さを変えている。すなわち、図2及び図3に示すように、切刃部3aの切刃4の切欠き凹部5aは、切刃4の外端寄りに位置し、切刃4の外端部を残して最も短くしている。切刃部3bの切刃4の切欠き凹部5bは、切刃4の中間部に位置して最も長くしている。切刃部3cの切刃4の切欠き凹部5cは、切刃4の内端寄りに位置し、この切欠き凹部5c自体は、切欠き凹部5aとほぼ同じ長さではあるが、その内端側から刃先頂点8に掛けて傾斜状に切欠き部5dを形成して、実質的には、切欠き凹部5bとほぼ同じ長さに設定している。
【0021】
また、実施の形態では、各切欠き凹部5a,5b,5cを形成するに当たって、図4に示すように、切刃4によって切削されるドリル孔切削面を、同心円状に4つの範囲A1,A2,A3,A4に等分し、切刃部3aの切刃4には、範囲A2を切り残す長さの切欠き凹部5aを形成し、切刃部3bの切刃4には、範囲A2〜A3を切り残す長さの切欠き凹部5bを形成するとともに、切刃部3cの切刃4には、範囲A3を切り残す長さの切欠き凹部5cを形成し、この切欠き凹部5cの内端側に、刃先頂点8に達する傾斜状の切欠き部5dを形成して範囲A3〜A4を切り残すようにしている。
【0022】
上記構成において、本発明においては、ドリル孔切削面に対して回転切削が行われる際に、切刃4に対して最も大きな切削負担が掛かるドリル孔切削面の周縁部の切削は、3つの切刃4の外端部が協同して行い、各切刃4に形成した各切欠き凹部5a,5b,5c及び切欠き部5dのところで、ドリル孔切削面に切り残しを生じるが、ドリル孔切削面の中間部の切り残し分の切削は、切刃部3aと切刃部3cの切刃4が協同して切削し、ドリル孔切削面の中心部の切り残し分は、刃先頂点8で接合する2つの切刃4が協同して切削するようにしている。こうして、各切刃4に形成した切欠き凹部5a,5b,5c及び切欠き部5dのところで生じるドリル孔切削面の切り残し分は、後続の他の切刃4によって適切に切削されるので、一つ一つの切刃4に掛かる切削抵抗のむらをなくし、3つの切刃4の各部が協同して効率よくドリル孔切削面の回転切削ができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、本発明によれば、ドリルビットの基本構成は、周知のこの種のドリルビットと同じくするので、その使用に当たっては、周知のドリルビットと交換してそのまま使用できる。
【0024】
しかして、本発明のドリルビットでは、刃先を構成する複数の切刃に、切欠き凹部を形成し、刃先が衝撃的にドリル孔切削面を打当する切削(打撃切削)に続き、刃先がドリル孔切削面に食い込んで回転切削するに際し、切刃の各部が分担してドリル孔切削面を回転切削するので、各切刃とも切刃に掛かる切削抵抗にむらがなく、回転トルクを有効利用して効率よく円滑に回転切削を行い、切刃の偏摩耗を軽減してドリルビットの耐用寿命を延長できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すドリルビットの一部を省略した要部の正面図である。
【図2】ドリルビットの下端面図である。
【図3】図2に対応する切刃チップの斜視図である。
【図4】ドリル孔切削面に対する各切欠き凹部の位置関係を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 ビット本体
2 切屑排出溝
3 切刃チップ
3a、3b、3c 切刃部
4 切刃
5a、5b、5c 切欠き凹部
5d 切欠き部
6 切削面
7 逃げ面
8 刃先頂点
A1,A2,A3,A4 範囲
Claims (8)
- 超硬合金製のブロック体からなる切刃チップに、複数の切刃部を形設し、各切刃部に形成した切削面と逃げ面の接合エッジを切刃とし、各切刃の内端を刃先頂点で突き合わせたドリルビットにおいて、各切刃に、切欠き凹部を形成したことを特徴とするドリルビット。
- 隣り合う切刃で、切欠き凹部の位置をずらしたことを特徴とする請求項1記載のドリルビット。
- 全ての切欠き凹部は、切刃の外端部を残して形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のドリルビット。
- 隣り合う切刃の切欠き凹部は、その一部を回転方向にオーバーラップさせたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のドリルビット。
- 隣り合う切刃で、切欠き凹部の長さを変えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のドリルビット。
- 切欠き凹部の深さを0.2mm〜1mmに設定したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のドリルビット。
- 切欠き凹部を、対応する逃げ面から切欠き凹部に掛けて、平底構成の浅溝状に形成した請求項1〜6のいずれか1項に記載のドリルビット。
- 少なくとも2つの切刃部の切刃の内端を、刃先頂点で突き合わせたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のドリルビット。
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WO2022054829A1 (ja) * | 2020-09-09 | 2022-03-17 | 京セラ株式会社 | 切削インサート、回転工具および切削加工物の製造方法 |
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