JP2004017201A - パターン形成方法および該方法で使用される記録シートおよび転写シート - Google Patents

パターン形成方法および該方法で使用される記録シートおよび転写シート Download PDF

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上田 隆正
Naoya Suzuki
鈴木 直也
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Abstract

【課題】微細なパターンであっても、大掛かりな装置を用いることなく、簡便に、高精度かつ低コストで被処理体に形成できるパターン形成方法、および該方法で使用される記録シートおよび転写シートを提供すること。
【解決手段】剥離用シート2上に順次、サンドブラスト性を有する親水性接着層3と非水溶性保持層4とが形成された記録シート1。支持体シート上に耐サンドブラスト層が形成された転写シート。記録シートの非水溶性保持層4上に所望のパターンで像5を形成し、該像上に選択的に耐サンドブラスト層6aを形成してマスキングボード7を得、該マスキングボードに水性媒体を付与することにより剥離用シートを剥離・除去してマスキングシート10を得、該マスキングシートを被処理体11に接着してサンドブラスト処理を行い、該被処理体に水性媒体を付与することにより残留マスキングシート10aを除去するパターン形成方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスキングシートを介して被処理体にサンドブラスト法によりパターニングを行うパターン形成方法、および該方法で使用される記録シートおよび転写シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、金属、ガラス、セラミック、プラスチック、石材、陶磁器、木材等の被処理体の表面に所定の文字や図柄等を形成する加工方法の一つとしてサンドブラスト法が知られている。サンドブラスト法は、被処理体の表面にマスキングシート(マスク)を介して研磨材を吹き付けることにより所定の文字や図柄等を彫食刻・形成する加工方法である。
【0003】
詳しくは、現行のサンドブラスト方法では、▲1▼裏面に接着剤を着けたゴム等の弾性体をカッティングマシンで図案に基づいて切り出し、それを被処理体に接着させサンドブラスト処理を行い、その後弾性体を剥離することで被処理体に彫刻を施している。また、▲2▼IC製造のフオトレジスト技術を応用した感光性樹脂膜をサンドブラスト用のマスクとして用いている(例えば、特許第3167812号、特開2000−66391号公報、特開平11−42562号公報、特開平11−90827号公報)。
【0004】
しかしながら、上記▲1▼の手段では比較的微細なパターンを彫食刻することは著しく困難であった。
また上記▲1▼および▲2▼の手段では、カッティングマシンや露光装置といった大掛かりな装置が必要であり、特により微細なパターンを形成しようとするほど、高価なマシンや装置が必要であり、設備のコストが高かった。また作製時間が長くなるという問題があった。
また上記▲2▼の手段では、マスクを除去するためにアルカリや有機溶剤などの剥離液を付与する必要があり、剥離や洗浄等に時間を要していた。特に、複数回続けて彫食刻を行う場合に非常に手間と時間がかかるという問題があった。さらに被処理体にパターンを形成するためのマスクは感光性樹脂からなっているため、使用前のマスクやマスク形成用樹脂組成物は遮光かつ冷凍で保存される必要があり、取り扱いが困難であった。また遮光かつ冷凍で保存したとしても、それらの寿命(約3ヶ月)は著しく短かく、そのため被処理体へのパターン形成には比較的高いコストを要した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、微細なパターンであっても、大掛かりな装置を用いることなく、簡便に、高精度かつ低コストで被処理体に形成できるパターン形成方法、および該方法で使用される記録シートおよび転写シートを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マスキングシートを介して被処理体にサンドブラスト法によりパターニングを行うパターン形成方法であって、
(A)剥離用シート上に順次、サンドブラスト性を有する親水性接着層と非水溶性保持層とが形成されてなる記録シートの非水溶性保持層上に所望のパターンで像を形成する工程;
(B)選択的に記録シートの像上に耐サンドブラスト層を形成してマスキングボードを得る工程;
(C)マスキングボードに水性媒体を付与することにより剥離用シートを親水性接着層から剥離・除去してマスキングシートを得る工程;
(D)マスキングシートを親水性接着層により被処理体に接着し、サンドブラスト処理を行う工程;および
(E)被処理体に水性媒体を付与することにより被処理体から残留マスキングシートを除去する工程
からなることを特徴とするパターン形成方法、および該方法で使用される記録シートおよび転写シートに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のパターン形成方法では、マスキングシートを介して被処理体にサンドブラスト法によりパターニングを行う。すなわちマスキングシートを介して被処理体に研磨材を吹き付けることにより、被処理体の表面に所定の文字や図柄等を彫食刻・形成する。以下、図1を用いて本発明を詳しく説明する。
【0008】
本発明の方法においてまず、記録シート1の非水溶性保持層4上に所望のパターンで像5を形成する(工程(A))。所望パターンは被処理体に彫食刻・形成したい図柄等であればよい。
【0009】
像5を形成する材料としては、記録シートへの像形成の容易性とコスト性の観点から、トナーが好ましく使用される。トナーはポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等の樹脂をバインダーとして含有する従来から公知のものを使用することができる。トナーによって像を形成する場合には、電子写真方式の画像形成装置(複写機やプリンタ)を用いて像形成を行うことが好ましい。電子写真方式の画像形成装置は汎用性に富み、より微細なパターン像を簡便に、高精度かつ低コストで形成できるためである。
【0010】
本発明において像5を形成する材料はトナーに限定されるものではなく、上記トナーに含有される樹脂と同様の樹脂を含有するペイント、インク等であってもよい。この場合、像5はそのようなペイント、インク等によって絵筆やインクジェットプリンター等を用いて記録シート1の非水溶性保持層4上に所望のパターンで形成されればよい。
【0011】
像が形成される記録シート1は剥離用シート2上に順次、サンドブラスト性を有する親水性接着層3と非水溶性保持層4とが形成されてなるものであり、好ましくは電子写真方式の画像形成装置で複写または印字される記録シートとして使用可能である。すなわち、本発明で好ましい記録シート1は画像形成装置で通紙可能な程度に適度な平面性と可撓性とを有している。親水性接着層3および非水溶性保持層4はサンドブラスト性を有するため、これらの層の上に後述の耐サンドブラスト性を有する耐サンドブラスト層6aが形成されない領域はサンドブラスト処理によって磨耗されて消失し、当該領域直下の被処理体の彫食刻が可能となる。
【0012】
本明細書中、サンドブラスト性とは、サンドブラスト処理によって比較的早期に磨耗されて消失する性質をいう。そのようなサンドブラスト性はサンドブラスト処理条件、層の厚み、層のバインダー樹脂の性質等に依存するため、一概に規定できないが、本発明においては、例えば、アランダム(溶融アルミナ)#100を使用し距離200mm、ブラスト圧6kg/cmの条件でサンドブラスト処理したとき、120秒間以内で消失すればよい。
一方、耐サンドブラスト性とは、サンドブラスト処理によっても比較的長期にわたって消失しない性質をいう。そのような耐サンドブラスト性はサンドブラスト処理条件、層の厚み、層のバインダー樹脂の性質等に依存するため、一概に規定できないが、本発明においては、例えば、アランダム(溶融アルミナ)#100を使用し距離200mm、ブラスト圧6kg/cmの条件でサンドブラスト処理したとき、少なくとも180秒間消失しなければよい。
【0013】
剥離用シート2は記録シート1の平面性と可撓性を確保して、親水性接着層3と非水溶性保持層4と像5、さらには工程(B)で形成される耐サンドブラスト層6aを保持するものであり、後述の工程(C)で親水性接着層3から剥離される。剥離用シート2は好ましくは工程(C)で水性媒体によって親水性接着層3から容易に剥離され得る適度な吸水性と離型性を有している。そのような好ましい剥離用シート2を構成する材料としては、例えば、紙、樹脂、繊維材料などが使用可能であるが、これらに限定されるものではない。特に好適なものとしては、坪量50〜150g/mの上質紙にアクリル樹脂、シリコーン樹脂等で適度な表面コートを施し、ある程度の撥水性(親水性接着層の保持)とある程度の吸水性(水剥離時に必要)を持たせたものが挙げられる。
【0014】
親水性接着層3は、剥離用シート2と非水溶性保持層4とを非水系環境下で接着させる機能と、後述の工程(C)で水性媒体によって溶解または膨潤して剥離用シート2を剥離させ得る程度の親水性(水溶性または水膨潤性、好ましくは水溶性)と、サンドブラスト性とを有するものである。そのような親水性接着層(特に、水溶性接着層)3を構成する材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンブン及び膠などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記例示の材料の中でも、ポリビニルアルコール、アラビアゴムが好ましい。
【0015】
親水性接着層3の構成材料は工程(C)での剥離用シート2の剥離を容易にする観点から、25℃、100gの水に対する最大溶解量が1g以上のものが好ましい。
親水性接着層の構成材料は上記のいかなる種類の樹脂であっても、親水性接着層のサンドブラスト性のさらなる向上の観点からは、ヤング率が100〜300kgf/mmの樹脂を使用することがより好ましい。ヤング率は超微小硬度計/DUH−W201(島津製作所社製)を用い、JIS K6781から得られる値に基づいて算出したものである。しかし、ヤング率は上記装置によって測定されなければならないわけではなく、上記装置と同様の原理に従って測定できる装置であれば、いかなる装置によって測定されてもよい。
【0016】
好ましい親水性接着層の構成材料として、市販のポリビニルアルコール(日本合成化学社製GH−17R)およびアラビアゴム(和光純薬社製)の1:1(重量比)混合物が使用可能である。
【0017】
親水性接着層3は上記構成材料の濃度が5〜25重量%の水溶液をアプリケーター、バーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター等を用いて乾燥膜厚5〜15μmになるように塗布することにより得られる。この厚さが5μm未満では接着不良を生じる場合がある。厚さが15μmを超えると所望のサンドブラスト性が得られず、サンドブラスト処理時にブラスト(消失)されない恐れがある。水溶液には、液の粘度・表面張力調整、消泡効果を目的として、水溶性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルセルソルブ、ブチルセロソルブ、アセトン等を添加してもよい。親水性接着層の構成材料は2種類以上組み合わされて使用されてもよく、その場合、それらの合計濃度が上記範囲内であればよい。
【0018】
非水溶性保持層4は、工程(C)で水性媒体が付与されても、溶解することなく像5と耐サンドブラスト層6aとを継続して保持できる非水溶性と、サンドブラスト性とを有するものである。そのような非水溶性保持層を構成する材料の種類として、例えば、非水溶性のポリアクリレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン及び酢酸セルロース等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ここで非水溶性とは25℃、100gの水に対する最大溶解量が0.001g以下である性質をいう。
【0019】
非水溶性保持層上に耐ブラスト層を転写させない観点、すなわち工程(B)で選択的に像上に耐ブラスト層を形成する観点から、非水溶性保持層の構成材料は、像形成材料の含有樹脂がポリエステル樹脂の場合はポリアクリレート、像形成材料の含有樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合はポリエステルが好ましい。
【0020】
非水溶性保持層の構成材料は上記のいかなる種類の樹脂であっても、非水溶性保持層のサンドブラスト性のさらなる向上の観点からは、ヤング率が100〜200kgf/mmの樹脂を使用することがより好ましい。ヤング率は親水性接着層について測定されたヤング率と同様である。
【0021】
好ましい非水溶性保持層の構成材料として、市販のポリアクリレート(三井化学社製アルマッテス;L−1043)が使用可能である。
【0022】
非水溶性保持層4は上記構成材料の濃度が5〜15重量%のトルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の有機溶剤溶液をアプリケーター、バーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター等を用いて乾燥膜厚5〜15μmになるように親水性接着層3の上に塗布することにより得られる。この厚さが5μm未満では接着不良を生じる場合がある。厚さが15μmを超えると所望のサンドブラスト性が得られず、サンドブラスト処理時にブラスト(消失)されない恐れがある。非水溶性保持層の構成材料は2種類以上組み合わされて使用されてもよく、その場合、それらの合計濃度が上記範囲内であればよい。
【0023】
非水溶性保持層4には、記録シートの画像形成装置内での通紙性向上を目的として、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の微粒子を含有させてもよい。その場合、微粒子の粒径は1〜15μm程度が好ましい。微粒子は上記溶液中、樹脂成分に対して0.01〜1重量%添加されることが好ましい。
【0024】
記録シート1の非水溶性保持層4上に像5を形成した後は、当該像に対応して選択的に記録シートの像5上に耐サンドブラスト層6aを形成し、マスキングボード7を得る(工程(B))。耐サンドブラスト層6aを形成する方法は、耐サンドブラスト層6aを選択的に像5上に形成できれば特に制限されず、通常、転写シートを使用する方法を採用する。
【0025】
転写シート9は、図2に概略的に示すように、支持体シート8上に耐サンドブラスト層6b(本明細書中、単に「耐ブラスト層」ということがある)を有してなる。転写シート9の使用に際しては、図2のように、転写シート9の耐サンドブラスト層6bを記録シート1の像形成面に対向させ、熱及び圧力を付与することにより、転写シート9の耐サンドブラスト層6bを選択的に像5上に転写させ、耐サンドブラスト層6a(図1(B)参照)を形成する。このように転写シート9を使用することにより、像5が比較的微細なパターンで形成されている場合であっても、耐サンドブラスト層6a(本明細書中、単に「耐ブラスト層」ということがある)を選択的に当該像5上に簡便に、高精度かつ低コストで形成できる。
【0026】
温度、圧力および時間等の転写条件は、耐ブラスト層6aが選択的に像5上に形成される限り特に制限されず、耐ブラスト層6bおよび像5を構成する材料等によって異なる。通常、温度140〜160℃、圧力1〜2kg/cm、時間1〜3分間が一般的である。
【0027】
転写シート9の支持シート8は転写時の取り扱いを容易にする観点から適度な可撓性を有する限り特に制限されないが、好ましくは耐ブラスト層6bの像5上への転写が円滑に行われ得るものを使用する。そのような支持シート8を構成する材料として、例えば、15〜150μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましいが、この他にもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂フィルム等種々の材料が使用できる。
【0028】
耐ブラスト層6bは像5を形成する材料(例えば、トナー)に含有される樹脂と相溶性のある樹脂から構成され、耐サンドブラスト性を有するものである。ここで相溶性とは、熱と圧力によって耐ブラスト層を像5上に転写させたとき、耐ブラスト層が選択的に像上に転写され得る程度に、耐ブラスト層の構成樹脂と像形成材料の含有樹脂とが有効に接着する性質をいう。耐ブラスト層6bをそのような相溶性のある樹脂から構成させることによって、耐ブラスト層を記録シート1上の像(例えば、トナー像)5に選択的に転写・接着させることができる。耐サンドブラスト性を有することによって、転写された耐ブラスト層6aが存在する領域下の被処理体のサンドブラスト処理時の彫食刻が防止され得る。
【0029】
そのような耐ブラスト層を構成する樹脂の種類として、例えば、水溶性の酢酸ビニル・エチレン共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルウレタン、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、ポリアミド、有機シリコーン樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ここで水溶性とは25℃、100gの水に対する最大溶解量が0.01g以上である性質をいう。なお、耐ブラスト層は工程(C)で水性媒体の付与によってほとんど溶解されないことが好ましいため、耐ブラスト層を構成する樹脂は、上記最大溶解量が0.01〜0.1gの水溶性を有することが好ましい。
【0030】
耐ブラスト層の像に対する転写・接着性の観点から、耐ブラスト層の構成樹脂は、像形成材料の含有樹脂がポリエステル樹脂の場合は酢酸ビニル・エチレン共重合体、ポリエステル、ポリエステルウレタン、ポリアクリレート、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、ポリアミド、有機シリコーン樹脂、特にポリエステル、像形成材料の含有樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合はポリアクリレートが好ましい。
【0031】
耐ブラスト層の構成樹脂は上記のいかなる種類の樹脂であっても、耐ブラスト層の像に対する転写・接着性(像への密着性)のさらなる向上の観点から、軟化点が80〜120℃のものを使用することがより好ましい。軟化点はDSC/6200(セイコー電子工業社製)によって測定された値を用いている。しかし、軟化点は上記装置によって測定されなければならないわけではなく、上記装置と同様の原理に従って測定できる装置であれば、いかなる装置によって測定されてもよい。
また、耐ブラスト層の耐サンドブラスト性(弾性、柔軟性および研磨材に対する耐磨耗性)のさらなる向上の観点からは、ヤング率が50〜100の樹脂を使用することがより好ましい。ヤング率は親水性接着層について測定されたヤング率と同様である。
【0032】
耐ブラスト層を構成するより好ましいポリエステルは、例えば、ペスレジンA−120(高松油脂社製)として入手可能である。より好ましい酢酸ビニル・エチレン共重合体は、例えば、ソアレックスR−CH(日本合成化学社製)として入手可能である。より好ましいポリエステルウレタンは、例えば、バイロンUR−8700(東洋紡績社製)として入手可能である。より好ましいポリアクリレートは、例えば、アルマテックスL−1043(三井化学社製)として入手可能である。より好ましい酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体としては、例えば、ソルバインA(積水化学工業社製)として入手可能である。より好ましいポリアミドは、例えば、アミランCM8000(東レ社製)として入手可能である。より好ましい有機シリコーン樹脂は、例えば、信越シリコーンSコート56(信越化学工業社製)として入手可能である。
【0033】
転写シート9は上記耐ブラスト層構成樹脂の濃度が5〜40重量%の水溶液を、アプリケーター、バーコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター等を用いて乾燥膜厚40〜100μmになるように支持シート8の上に塗布することにより得られる。水溶液には、液の粘度・表面張力調整、消泡効果を目的として、親水性接着層3の形成で使用可能な水溶性有機溶剤と同様の溶剤を添加してもよい。耐ブラスト層の厚さが40μm未満では耐サンドブラスト性が十分でない。厚さが100μmを超える成膜は解像性と非印字領域への転写性が悪くなる傾向がある。すなわち、耐ブラスト層が厚すぎると、像が形成されていない領域に耐ブラスト層が転写されたり、または像が微細パターンのとき耐ブラスト層を高精度に転写できなかったりする。
【0034】
耐ブラスト層6aを選択的に記録シートの像5上に形成した後は、得られたマスキングボード7に水性媒体を付与することにより剥離用シート2を親水性接着層3から剥離・除去し、マスキングシート10を得る(工程(C))。詳しくは、例えば、マスキングボード7を水性媒体に浸漬し、親水性接着層3を溶解または膨潤させて剥離用シート2の親水性接着層3に対する接着力を低減した後、剥離用シート2を剥離させる。
【0035】
水性媒体としては通常、水を用い、親水性接着層3の溶解または膨潤を促進する観点から、水にメタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールを添加したものを使用してもよい。
水性媒体の温度および水性媒体のマスキングボードへの付与時間(浸漬時間)は、剥離用シートを剥離できる限り特に制限されない。
【0036】
剥離用シート2を親水性接着層3から剥離・除去した後は、得られたマスキングシート10を親水性接着層3により被処理体11に接着し、当該被処理体に対してサンドブラスト処理を行う(工程(D))。詳しくは、親水性接着層3は前記工程(C)で一部溶解または膨潤され、湿潤状態にあり、接着機能を未だ有しているので、剥離用シートを剥離後、マスキングシート10をそのまま被処理体11に接着・乾燥し、サンドブラスト処理を行う。マスキングシート10と被処理体11との接着(密着)が不十分な場合には、新たな接着手段によってマスキングシート10を被処理体11に接着すればよい。接着手段は、サンドブラスト処理時にマスキングシートの剥離が起こらず、かつ後述の工程(E)でマスキングシートを被処理体11から除去できる限り特に制限されず、例えば、公知の水溶性樹脂の水溶液を接着剤として用いれば良い。
【0037】
被処理体の材質は、従来からサンドブラスト処理の対象として使用されているものであれば特に制限されず、例えば、金属、ガラス、セラミック、プラスチック、石材、陶磁器、木材等が挙げられる。
被処理体の形状は特に制限されない。被処理体はサンドブラスト処理面が通常、平面であるが、曲面であってもよい。非水溶性保持層の構成材料および層厚等を選択することによって当該層をより柔軟な層とし、マスキングシートの非処理体に対する密着性を向上させることができるためである。
【0038】
サンドブラスト処理に際しては、例えば、図1(D)中、上方より研磨材を、被処理体11におけるマスキングシート10の接着面に対して吹き付け、被処理体の彫食刻を行う。マスキングシート10における耐ブラスト層6aが存在しない水平面領域(図1(D)中、「X」で示す)の親水性接着層3および非水溶性保持層4は処理によって磨耗して消失し、その後継続して処理を行うことによって当該領域直下の被処理体は彫食刻される。マスキングシート10における耐ブラスト層6aが存在する水平面領域(図1(D)中、「Y」で示す)の親水性接着層3および非水溶性保持層4は、耐ブラスト層6aの存在のため、処理によっても消失せず、結果として当該領域直下の被処理体は彫食刻されずに残る。
【0039】
研磨材の種類および大きさ、吹き付け距離、ブラスト圧、吹き付け時間等の処理条件は特に制限されるものではなく、従来からのサンドブラスト処理で使用されている条件が使用され、被処理体11の材質および所望の彫食刻深さ、耐ブラスト層6a、親水性接着層3および非水溶性保持層4の構成材料の種類および厚み等に依存して決定される。例えば、下記条件でサンドブラスト処理を行った場合には、一般に0.1〜1mmの彫食刻深さが達成される。処理中、ガラスは固いがもろいのでエッチングされ、耐ブラスト層はヤング率の低い弾性体なのでエッチングされず残る。
・非処理体;ガラス
・研磨材;アランダム(溶融アルミナ)#100
・吹き付け距離;200mm
・ブラスト圧;6kg/cm
・吹き付け時間;60〜120秒
・耐ブラスト層6a;ポリエステル樹脂(高松油脂社製;ペスレジンA−120)、60μm厚
・親水性接着層3;ポリビニルアルコール(日本合成化学社製GH−17R):アラビアゴム(和光純薬社製)=1:1(重量比)、10μm厚
・非水溶性保持層4;ポリアクリレート(三井化学社製アルマッテス;L−1043)、10μm厚
【0040】
サンドブラスト処理を行った後は、得られた被処理体に水性媒体を付与することにより彫食刻被処理体12から残留したマスキングシート10aを除去して、彫食刻された製品13を得る(工程(E))。詳しくは、工程(C)に準じて、被処理体12を水性媒体に浸漬し、残留した親水性接着層3aを溶解または膨潤させて、残留マスキングシート10aを剥離させる。
水性媒体、その温度および付与時間(浸漬時間)は、工程(C)においてと同様である。
【0041】
【実施例】
(マスキングシートの作製)
実験例1
下記の成分を混合溶解し水溶性接着層形成用溶液を得た。
ポリビニルアルコール(日本合成化学社製GH−17R)    6重量%
アラビアゴム(和光純薬社製)             6重量%
水                         88重量%
次に上記溶液を、坪量125g/mのある程度の撥水性と吸水性の両方を有する上質紙(紀州製紙製)(剥離用シート)上に、バーコーターを使用し乾燥膜厚が10μmになるように塗布し水溶性接着層を形成した。
【0042】
更にこの上に、下記の成分を混合溶解して得られた非水溶性保持層形成用溶液を、アプリケーターを用いて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し非水溶性保持層を形成し、記録シートを得た。
ポリアクリレート(三井化学社製アルマッテス;L−1043)  10重量%
テトラヒドロフラン                  89.9重量%
シリカ微粒子(富士シリシア社製サイリシア440;6μm)  0.1重量%
次に、上記のシートの非水溶性保持層上にミノルタ社製電子写真プリンタ(magicolor 2200)により所定の図案を印字しマスキングボードの原図を得た(図1(A))。上記プリンタに搭載のトナーを構成する結着樹脂はポリエステル樹脂からなっていた。
【0043】
また別途に下記の組成の耐ブラスト層形成用溶液を調製し、該溶液を75μm厚のPETフィルム(支持体シート)上に乾燥膜厚が60μmになるように塗布し、転写シートを得た。
ポリエステル樹脂(高松油脂社製ペスレジンA−120)  25重量%
ブチルセロソルブ                  12重量%
水                         63重量%
【0044】
得られたマスキングボードの原図の上に転写シートを、耐ブラスト層を原図に対向させて重ね合わせ、アイロンにて熱圧着(温度;140〜160℃、1〜3分)し(図2)、耐ブラスト層を相互に相溶性のある図案印字領域(非印字領域には転写しない)に選択的に転写させ、マスキングボードを得た(図1(B))。
更に、作成されたマスキングボードを水に漬け、水溶性接着層を溶解させ剥離用シートを剥離・除去してマスキングシートを得た(図1(C))。マスキングシートを水溶性接着層により被ブラスト材(ガラス面)へ密着させた(図1(D))。
【0045】
実験例2
耐ブラスト層樹脂を酢酸ビニル・エチレン共重合体(ソアレックスR−CH;日本合成化学社製)に変更した以外は実験例1と同様にして、図1(A)〜(D)に対応する工程を行った。
実験例3
耐ブラスト層樹脂をポリエステルウレタン(バイロンUR−8700;東洋紡績社製)に変更した以外は実験例1と同様にして、図1(A)〜(D)に対応する工程を行った。
【0046】
実験例4
耐ブラスト層樹脂をポリアクリレート(アルマテックスL−1043;三井化学社製)に変更した以外は実験例1と同様にして、図1(A)〜(D)に対応する工程を行った。
実験例5
耐ブラスト層樹脂を酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体(ソルバインA;積水化学工業社製)に変更した以外は実験例1と同様にして、図1(A)〜(D)に対応する工程を行った。
【0047】
実験例6
耐ブラスト層樹脂をポリアミド(アミランCM8000;東レ社製)に変更した以外は実験例1と同様にして、図1(A)〜(D)に対応する工程を行った。
実験例7
耐ブラスト層樹脂を有機シリコーン樹脂(信越シリコーンSコート56;信越化学工業社製)に変更した以外は実験例1と同様にして、図1(A)〜(D)に対応する工程を行った。
【0048】
実験例8
転写シートにおける耐ブラスト層の乾燥膜厚を80μmに変更した以外は実験例1と同様にして、図1(A)〜(D)に対応する工程を行った。
実験例9
転写シートにおける耐ブラスト層の乾燥膜厚を45μmに変更した以外は実験例1と同様にして、図1(A)〜(D)に対応する工程を行った。
【0049】
(評価)
下記の評価を行った。
密着性
乾燥後、皮膜(マスキングシート)のセロテープによる剥離テストを行い、以下の基準で評価した。
○;剥離無し、
△;一部剥離、
×;ほとんど剥離。
【0050】
解像性
200、150、125、100、80、60、40μmの線間隔の試験用図案を印字し耐ブラスト層を転写した。得られたマスキングボードにおいて、隣接する線と接触しない最も狭い線間隔の値を測定した。数値が小さいほど解像度が高いことを示している。
【0051】
非印字領域への耐ブラスト層の転写性
得られたマスキングボードにおいて、非印字領域への耐ブラスト層の転写の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○;転写無し、
△;一部転写、
×;ほとんど転写。
【0052】
耐ブラスト性
マスキングシートを密着させた被ブラスト材(ガラス面)に対してサンドブラスト処理を行った(図1(E))。詳しくは、アランダム(溶融アルミナ)#100を使用し距離200mm、ブラスト圧6kg/cmの条件で、サンドブラストのノズル位置を固定しサンドブラストした。これは、被処理体としてのガラスに対して、浅い彫りで60秒間程度、深い彫りで120秒間程度の時間で彫食刻を実施できるレベルの条件である。そして、耐ブラスト層が磨耗し消失するまでの時間を測定した。数値は大きいほど耐ブラスト性が高い。
【0053】
評価結果を下記の表に示す。なお、各実験例では、転写シートから記録シート上の図案印字領域への耐ブラスト層の転写を140℃−3分および160℃−1分の条件で行い、いずれの条件で得られたマスキングシートも共通の評価結果を得た。
【0054】
【表1】
Figure 2004017201
【0055】
【発明の効果】
本発明の方法により以下の効果を奏する;
・簡便にオンデマンドにガラス等の被処理体への精度の高い彫食刻が可能となる。
・サンドブラスト処理後すぐに耐ブラスト層を水剥離し除去できる。従って、直ちに次の彫食刻ができ重複した彫食刻がオンデマンドで実施できる。
・マスキングシートは密着性に優れているため、精度の高い彫食刻が可能となる。
・パターニング後の耐ブラスト層は弾性・柔軟性が高く耐サンドブラスト性に優れている。
・電子写真方式を用いた場合は、図案印字のオンデマンド性がさらに高まる。
【0056】
・本発明のマスキングシートは定型サイズ(A4、B5など)でも供給でき、製品寿命は比較的長く半永久であるので、低コスト化が可能である。
・本発明のマスキングシートは保存時、遮光や冷凍(冷蔵)の必要がないので、取り扱いが容易である。
・本発明のマスキングシートを用いて被処理体にパターニングを行うとき、露光装置等の大掛かりな装置は必要ないので、設備コストを抑えることが可能である。また作製時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン形成方法の各工程を概略的に表すフローチャートを示す。
【図2】耐ブラスト層の形成方法の一例を表す概略説明図を示す。
【符号の説明】
1:記録シート、2:剥離用シート、3:親水性接着層、3a:残留親水性接着層、4:非水溶性保持層、4a:残留非水溶性保持層、5:像、6a、6b:耐ブラスト層、7:マスキングボード、8:支持シート、9:転写シート、10:マスキングシート、10a:残留マスキングシート、11:被処理体、12:被処理体、13:製品。

Claims (5)

  1. マスキングシートを介して被処理体にサンドブラスト法によりパターニングを行うパターン形成方法であって、
    (A)剥離用シート上に順次、サンドブラスト性を有する親水性接着層と非水溶性保持層とが形成されてなる記録シートの非水溶性保持層上に所望のパターンで像を形成する工程;
    (B)選択的に記録シートの像上に耐サンドブラスト層を形成してマスキングボードを得る工程;
    (C)マスキングボードに水性媒体を付与することにより剥離用シートを親水性接着層から剥離・除去してマスキングシートを得る工程;
    (D)マスキングシートを親水性接着層により被処理体に接着し、サンドブラスト処理を行う工程;および
    (E)被処理体に水性媒体を付与することにより被処理体から残留マスキングシートを除去する工程
    からなることを特徴とするパターン形成方法。
  2. 工程(B)において、支持体シート上に耐サンドブラスト層を有する転写シートの耐サンドブラスト層を記録シートの像形成面に対向させて熱及び圧力を付与することにより、選択的に像上に転写シートの耐サンドブラスト層を転写させることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 工程(A)において、電子写真方式の画像形成装置を用いて、記録シートの非水溶性保持層上に所望のパターンでトナー像を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のパターン形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のパターン形成方法に使用される記録シートであって、剥離用シート上に順次、サンドブラスト性を有する親水性接着層と非水溶性保持層とが形成されてなり、電子写真方式の画像形成装置の記録シートとして使用可能であることを特徴とする記録シート。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のパターン形成方法に使用され、選択的に記録シートの像上に耐サンドブラスト層を形成するための転写シートであって、支持体シートとこの支持体シート上に形成された耐サンドブラスト層とを有してなり、転写シートの耐サンドブラスト層を記録シートの像形成面に対向させて熱及び圧力を付与することにより、耐サンドブラスト層を選択的に像上に転写させることを特徴とする転写シート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100761821B1 (ko) * 2006-07-24 2007-09-28 다이섹(주) 웨이퍼 스테이지의 제조방법
KR100988011B1 (ko) * 2008-05-27 2010-10-18 정금택 샌드 브라스트 처리 방법 및 그 방법에 의하여 처리된물품, 그리고 상기 샌드 브라스트 처리 방법을 이용한도자기 제조 방법 및 이 제조방법에 의하여 제조된 도자기

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