JP2004016856A - 排煙脱硫方法と装置 - Google Patents
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A50/00—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
- Y02A50/20—Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters
Abstract
【課題】液中のアンモニア濃度を吸収液のpHから推定可能な特徴を活かし、吸収塔pH信号から液の温度及びpHの最適量を求め調整することによってユーティリティーの低減を計ること。
【解決手段】予め求められている吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係及び吸収液中のアンモニア濃度と吸収液の温度の関係に基づき、吸収液中のアンモニア濃度を吸収液のpHから推定し、吸収液のpH値から吸収液中のアンモニアを除去するために必要な吸収液の温度及びpHを決定し、当該温度とpHにより脱硫装置内の吸収液中のアンモニア濃度を低減させる排煙脱硫方法である。アンモニアが溶け込んだ吸収液の温度及びpHを調節することにより吸収液中のアンモニア濃度を容易にコントロールすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】予め求められている吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係及び吸収液中のアンモニア濃度と吸収液の温度の関係に基づき、吸収液中のアンモニア濃度を吸収液のpHから推定し、吸収液のpH値から吸収液中のアンモニアを除去するために必要な吸収液の温度及びpHを決定し、当該温度とpHにより脱硫装置内の吸収液中のアンモニア濃度を低減させる排煙脱硫方法である。アンモニアが溶け込んだ吸収液の温度及びpHを調節することにより吸収液中のアンモニア濃度を容易にコントロールすることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラ等の排ガス中に含まれる硫黄酸化物を低減する排煙脱硫方法と装置に係り、特に液中のアンモニアを除去する設備を設置している排煙脱硫方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排煙脱硫装置の概略系統図を図8に示す。
ボイラ等の排ガスは煙道から入口ダクト1により吸収塔2に導かれるが、また、吸収塔2の下部にある吸収液タンク3内の石灰石等の吸収剤スラリを含む吸収液が吸収塔循環ポンプ5の動力によりスプレ配管6内を通り、吸収塔2内のスプレノズルから噴霧され、吸収剤と排ガスとの気液接触により排ガス中に含まれている硫黄酸化物が除去され、浄化された排ガスは出口ダクト7を経て煙突から排出される。
【0003】
吸収塔2には、排ガス中に含まれている硫黄酸化物を吸収するのに必要な石灰石をスラリ化した石灰石スラリが吸収液のpHにより制御されて供給され、排ガス中の硫黄酸化物を吸収し、生成した亜硫酸カルシウムを酸化させて石膏とするために酸化空気ブロワ9により酸化用空気が吸収液タンク内の亜硫酸カルシウム含有液に供給され、硫黄酸化物を除去して生成された石膏スラリと石灰石スラリが吸収液タンク3内に蓄えられている。また、吸収液タンク3内の吸収液の一部は、吸収抜き出し流路に設けた吸収塔ブリードポンプ11により石膏回収系8を経て排水処理系25に送られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記排煙脱硫装置では、石灰石スラリを含む吸収液を吸収塔循環ポンプ5により循環し、吸収液との気液接触により排ガス中の硫黄酸化物を除去するが、排ガス中には硫黄酸化物以外にアンモニア等が含まれており、排ガスが吸収液と気液接触することによりアンモニアも吸収液中に吸収され、高いアンモニア濃度のまま系外へ排出されている。
【0005】
従来技術では、吸収液に溶け込んだアンモニアの濃度を推定することができないために過剰な苛性ソーダや蒸気を吸収液に供給し、アンモニアを除去する必要があったため、ユーティリティーを多く使用するという問題があった。
【0006】
吸収液に溶け込んだアンモニアを除去する方法として、特開平7−108131号公報にはpHを10以上にすることと温度を上げる方法を用いることが記載されている。しかしこの方法はpHを単に10以上にすることとpH値との関連性もなく、吸収液の温度を上げる方法であるため、運転状態によってはアンモニアを吸収液から除去できないことがあり、また余計な量のpH調整剤を添加したり、あるいは吸収液の温度を上げ過ぎたりすることがある。
【0007】
本発明の課題は、液中のアンモニア濃度を吸収液のpHから推定可能な特徴を活かし、吸収塔pH信号から液の温度及びpHの最適量を求め調整することによってユーティリティーの低減を計るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の課題は、次の構成により解決される。
請求項1の発明は、燃焼装置からの燃焼排ガス中の硫黄酸化物を脱硫用の吸収剤を含む吸収液により吸収除去する排煙脱硫方法において、予め求められている吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係及び吸収液中のアンモニア濃度と吸収液の温度の関係に基づき、吸収液中のアンモニア濃度を吸収液のpHから推定し、吸収液のpH値から吸収液中のアンモニアを除去するために必要な吸収液の温度及びpHを決定し、当該温度とpHにより吸収液中のアンモニア濃度を低減させる排煙脱硫方法である。
【0009】
請求項2記載の発明は、吸収液の温度は吸収液中への蒸気の供給量で調整し、吸収液のpHは吸収液中へのアルカリ剤の供給量で調整する請求項1記載の排煙脱硫方法である。
【0010】
請求項3記載の発明は、燃焼装置からの燃焼排ガスを導入し、脱硫用の吸収剤を含む吸収液と接触させる吸収塔と、該吸収塔内で排ガス中の硫黄酸化物の吸収除去に用いられた吸収液を貯める吸収液タンクと、吸収液タンク内のpH計測用のpH計と、吸収液タンク内の吸収液の一部を抜き出して貯め、かつpH調整用アルカリ剤及び吸収液加温用蒸気の供給部を備えたアンモニア放散塔と、予め求められている吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係及び吸収液中のアンモニア濃度と吸収液の温度の関係に基づき、吸収液タンクのpH計から得られた吸収液のpH値から、吸収液中のアンモニア濃度を推定し、また、前記吸収液のpH値に基づき吸収液中のアンモニアを除去するために必要なアンモニア放散塔へ供給するアルカリ剤の量と蒸気量を共に調整する制御装置とを備えた排煙脱硫装置である。
【0011】
【作用】
本発明の請求項1〜3記載の発明によれば、アンモニアを系内の温度を上昇させるための補助蒸気量及び液のpHを高めるための苛性ソーダ量の制御指令を出力する。それによって、液に溶け込んでいるアンモニアを気化させ、液中のアンモニアを低減させることができる。
排煙脱硫装置から排出されるアンモニアを低減できることにより、脱硫排水を処理する排水処理装置のユーティリティーの低減も可能となる。
このように、アンモニアが溶け込んだ吸収液の温度及びpHを調節することにより吸収液中のアンモニア濃度を容易にコントロールすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面とともに説明する。
図1に本実施の形態の排煙脱硫システムの系統図を示す。ボイラ等の排ガスは煙道により入口ダクト1から吸収塔2内に導かれる。一方、吸収塔2の下部に設けられた吸収液タンク3内の石灰石等の吸収剤スラリを含む吸収液が吸収塔循環ポンプ5の動力によりスプレ配管6内を通り、吸収塔2内のスプレノズルから噴霧され、吸収剤と排ガスとの気液接触により排ガス中に含まれている硫黄酸化物が除去され、浄化された排ガスは出口ダクト7を経て煙突から排出される。
【0013】
吸収塔2には、排ガス中に含まれている硫黄酸化物を吸収するのに必要な石灰石をスラリ化した石灰石スラリが新たに補給されるが、その補給量は吸収液pHにより制御されている。
【0014】
また、排ガス中の硫黄酸化物を吸収した吸収液は吸収液タンク3内に落下するが、排ガス中の硫黄酸化物を吸収して生成した亜硫酸カルシウムを酸化させて石膏とするために吸収液タンク3内に吸収液には酸化空気ブロワ9により酸化用空気が供給される。こうして吸収液タンク3内には硫黄酸化物を除去して生成された石膏スラリと石灰石スラリが蓄えられる。
【0015】
吸収液タンク3内の吸収液の一部は、吸収液抜き出し流路に設けた吸収塔ブリードポンプ11により石膏回収系8を経てアンモニア放散塔10に供給される。アンモニア放散塔10には蒸気の供給設備及び苛性ソーダの供給設備12が設けられている。また、アンモニア放散塔10には、液の温度を計測する温度計13と液のpHを測定するpH計14も設置されている。
【0016】
次に本実施の形態の吸収液中に溶け込んだアンモニア濃度コントロールについて説明する。
脱硫装置内の吸収液中のアンモニア濃度は、図4の相関図に示す通り、吸収液中のpHにより推定することができる。また図5に示すように、吸収液中に溶け込んだアンモニア濃度は吸収液の温度にも依存するので、吸収液中に溶け込んだアンモニアを除去するのは液のpH及び温度を変化させることで可能である。
【0017】
図2にはアンモニア放散塔10に供給する液のpH制御系統図を示す。
排煙脱硫装置内の吸収液から除去するアンモニアの量は、排煙脱硫装置内の吸収液で保有しているアンモニア濃度により決定される。
【0018】
図4の相関図に示すように、吸収液タンク3内の吸収液中のアンモニア濃度は吸収液pHにより把握することができるため、アンモニア放散塔10へ供給される吸収液のpH制御方法は、吸収液タンク3からの吸収液流出流路18に設けられるpH計15により測定される吸収液pH信号から関数発生器16によりアンモニア放散塔10へ供給する吸収液のpH設定値を決定し、アンモニア放散塔10のpH計14による計測信号であるアンモニア放散塔pH信号からpH調節計17によりpHを上昇させる苛性ソーダ量を演算し、苛性ソーダの供給設備12の調節弁19によりアンモニア放散塔10へ所定量の苛性ソーダを供給する。
【0019】
図3は、アンモニア放散塔10の液温度制御系統図を示す。
アンモニア放散塔10の液の温度を上昇させるのは、最終段のアンモニア除去工程であり、図2に示すpH制御系統で除去できなかったアンモニア放散塔10内のアンモニアを除去するものである。従って、その制御方法は、アンモニア放散塔10のpH計14による求められるpH信号から関数発生器20にてアンモニア放散塔10からアンモニアを放散するために必要なアンモニア放散塔10内の温度設定値を演算し、アンモニア放散塔10の温度計13による計測信号であるアンモニア放散塔10内の液の温度信号から温度調節計21により温度上昇させるために必要な蒸気量を演算し、調節弁22によりアンモニア放散塔10に供給する補助蒸気量を調節する。
【0020】
このように、アンモニア放散塔10へ供給する苛性ソーダ量と蒸気量を共に調整することで、常に適切な量の苛性ソーダ量と蒸気量をアンモニア放散塔10に供給でき、しかも吸収液中に溶け込んだアンモニア濃度をコントロールすることができる。
【0021】
図7に図1の排煙脱硫システムの吸収液中のアンモニア濃度制御のフローの一例を示す。
予め求められている吸収塔タンク3内の吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係(図4)に基づき、吸収塔タンク3内の吸収液中のアンモニア濃度を吸収液のpHの測定値から推定し、吸収塔タンク3内の吸収液のpHが所定値より高いとアンモニア放散塔10の吸収液pHを所定値に下げるように苛性ソーダの補給は止めておく。また吸収塔タンク3内の吸収液のpHが所定値より低いとアンモニア放散塔10の吸収液pHを所定値に上げるように苛性ソーダをアンモニア放散塔10へ供給する。
【0022】
吸収塔タンク3内の吸収液のpHとアンモニア放散塔10の吸収液pHの関係は予め求めておくことで、吸収塔タンク3内の吸収液のpHの測定値からアンモニア放散塔10のpHの所定値およびアンモニア放散塔10へ供給する苛性ソーダの量を決めることができる。
【0023】
次いで予め求められるアンモニア放散10内のpHとアンモニア放散塔10内の吸収液の温度の関係から、アンモニア放散塔10内の吸収液のpHが所定値より高いとアンモニア放散塔10への補助蒸気の供給を停止することで吸収液温度を低くする。またアンモニア放散塔10内の吸収液のpHが所定値より低いとアンモニア放散塔10へ蒸気を供給して温度を上げる。
【0024】
こうして、アンモニア放散塔10内の吸収液のpHが所定の値になるようにアンモニア放散塔10への苛性ソーダと補助蒸気の供給量を制御することで図5および図6に示す関係から、アンモニア放散塔10内の液中のアンモニア濃度を所定値以下に低減することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、吸収液中のアンモニア濃度を低減させることができるのでアンモニ規定値を満足した排煙脱硫装置の運転ができるだけでなく、脱硫排水を処理する排水処理装置の設備の縮小及びユーティリティーの低減の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる排煙脱硫システムの系統図である。
【図2】図1の排煙脱硫システムのアンモニア放散塔内の吸収液のpH制御系統図である。
【図3】図1の排煙脱硫システムのアンモニア放散塔の吸収液温度制御系統図である。
【図4】図1の排煙脱硫システムの吸収塔内の吸収液pHと液中アンモニア濃度の相関図である。
【図5】図1の排煙脱硫システムのアンモニア放散塔内の吸収液温度と液中アンモニア濃度の相関図である。
【図6】図1の排煙脱硫システムのアンモニア放散塔の吸収液のpHと液中アンモニアの相関図である。
【図7】図1の排煙脱硫システムの吸収液中のアンモニア濃度制御のフロー図である。
【図8】従来の排煙脱硫システムの系統図である。
【符号の説明】
1 入口ダクト 2 吸収塔
3 吸収液タンク 5 吸収塔循環ポンプ
6 スプレ配管 7 出口ダクト
8 石膏回収系 9 酸化空気ブロワ
10 アンモニア放散塔 11 吸収塔ブリードポンプ
12 苛性ソーダの供給設備 13 温度計
14、15 pH計 16、20 関数発生器
17 pH調節計 19、22 調節弁
21 温度調節計 25 排水処理系
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラ等の排ガス中に含まれる硫黄酸化物を低減する排煙脱硫方法と装置に係り、特に液中のアンモニアを除去する設備を設置している排煙脱硫方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
排煙脱硫装置の概略系統図を図8に示す。
ボイラ等の排ガスは煙道から入口ダクト1により吸収塔2に導かれるが、また、吸収塔2の下部にある吸収液タンク3内の石灰石等の吸収剤スラリを含む吸収液が吸収塔循環ポンプ5の動力によりスプレ配管6内を通り、吸収塔2内のスプレノズルから噴霧され、吸収剤と排ガスとの気液接触により排ガス中に含まれている硫黄酸化物が除去され、浄化された排ガスは出口ダクト7を経て煙突から排出される。
【0003】
吸収塔2には、排ガス中に含まれている硫黄酸化物を吸収するのに必要な石灰石をスラリ化した石灰石スラリが吸収液のpHにより制御されて供給され、排ガス中の硫黄酸化物を吸収し、生成した亜硫酸カルシウムを酸化させて石膏とするために酸化空気ブロワ9により酸化用空気が吸収液タンク内の亜硫酸カルシウム含有液に供給され、硫黄酸化物を除去して生成された石膏スラリと石灰石スラリが吸収液タンク3内に蓄えられている。また、吸収液タンク3内の吸収液の一部は、吸収抜き出し流路に設けた吸収塔ブリードポンプ11により石膏回収系8を経て排水処理系25に送られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記排煙脱硫装置では、石灰石スラリを含む吸収液を吸収塔循環ポンプ5により循環し、吸収液との気液接触により排ガス中の硫黄酸化物を除去するが、排ガス中には硫黄酸化物以外にアンモニア等が含まれており、排ガスが吸収液と気液接触することによりアンモニアも吸収液中に吸収され、高いアンモニア濃度のまま系外へ排出されている。
【0005】
従来技術では、吸収液に溶け込んだアンモニアの濃度を推定することができないために過剰な苛性ソーダや蒸気を吸収液に供給し、アンモニアを除去する必要があったため、ユーティリティーを多く使用するという問題があった。
【0006】
吸収液に溶け込んだアンモニアを除去する方法として、特開平7−108131号公報にはpHを10以上にすることと温度を上げる方法を用いることが記載されている。しかしこの方法はpHを単に10以上にすることとpH値との関連性もなく、吸収液の温度を上げる方法であるため、運転状態によってはアンモニアを吸収液から除去できないことがあり、また余計な量のpH調整剤を添加したり、あるいは吸収液の温度を上げ過ぎたりすることがある。
【0007】
本発明の課題は、液中のアンモニア濃度を吸収液のpHから推定可能な特徴を活かし、吸収塔pH信号から液の温度及びpHの最適量を求め調整することによってユーティリティーの低減を計るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の課題は、次の構成により解決される。
請求項1の発明は、燃焼装置からの燃焼排ガス中の硫黄酸化物を脱硫用の吸収剤を含む吸収液により吸収除去する排煙脱硫方法において、予め求められている吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係及び吸収液中のアンモニア濃度と吸収液の温度の関係に基づき、吸収液中のアンモニア濃度を吸収液のpHから推定し、吸収液のpH値から吸収液中のアンモニアを除去するために必要な吸収液の温度及びpHを決定し、当該温度とpHにより吸収液中のアンモニア濃度を低減させる排煙脱硫方法である。
【0009】
請求項2記載の発明は、吸収液の温度は吸収液中への蒸気の供給量で調整し、吸収液のpHは吸収液中へのアルカリ剤の供給量で調整する請求項1記載の排煙脱硫方法である。
【0010】
請求項3記載の発明は、燃焼装置からの燃焼排ガスを導入し、脱硫用の吸収剤を含む吸収液と接触させる吸収塔と、該吸収塔内で排ガス中の硫黄酸化物の吸収除去に用いられた吸収液を貯める吸収液タンクと、吸収液タンク内のpH計測用のpH計と、吸収液タンク内の吸収液の一部を抜き出して貯め、かつpH調整用アルカリ剤及び吸収液加温用蒸気の供給部を備えたアンモニア放散塔と、予め求められている吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係及び吸収液中のアンモニア濃度と吸収液の温度の関係に基づき、吸収液タンクのpH計から得られた吸収液のpH値から、吸収液中のアンモニア濃度を推定し、また、前記吸収液のpH値に基づき吸収液中のアンモニアを除去するために必要なアンモニア放散塔へ供給するアルカリ剤の量と蒸気量を共に調整する制御装置とを備えた排煙脱硫装置である。
【0011】
【作用】
本発明の請求項1〜3記載の発明によれば、アンモニアを系内の温度を上昇させるための補助蒸気量及び液のpHを高めるための苛性ソーダ量の制御指令を出力する。それによって、液に溶け込んでいるアンモニアを気化させ、液中のアンモニアを低減させることができる。
排煙脱硫装置から排出されるアンモニアを低減できることにより、脱硫排水を処理する排水処理装置のユーティリティーの低減も可能となる。
このように、アンモニアが溶け込んだ吸収液の温度及びpHを調節することにより吸収液中のアンモニア濃度を容易にコントロールすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面とともに説明する。
図1に本実施の形態の排煙脱硫システムの系統図を示す。ボイラ等の排ガスは煙道により入口ダクト1から吸収塔2内に導かれる。一方、吸収塔2の下部に設けられた吸収液タンク3内の石灰石等の吸収剤スラリを含む吸収液が吸収塔循環ポンプ5の動力によりスプレ配管6内を通り、吸収塔2内のスプレノズルから噴霧され、吸収剤と排ガスとの気液接触により排ガス中に含まれている硫黄酸化物が除去され、浄化された排ガスは出口ダクト7を経て煙突から排出される。
【0013】
吸収塔2には、排ガス中に含まれている硫黄酸化物を吸収するのに必要な石灰石をスラリ化した石灰石スラリが新たに補給されるが、その補給量は吸収液pHにより制御されている。
【0014】
また、排ガス中の硫黄酸化物を吸収した吸収液は吸収液タンク3内に落下するが、排ガス中の硫黄酸化物を吸収して生成した亜硫酸カルシウムを酸化させて石膏とするために吸収液タンク3内に吸収液には酸化空気ブロワ9により酸化用空気が供給される。こうして吸収液タンク3内には硫黄酸化物を除去して生成された石膏スラリと石灰石スラリが蓄えられる。
【0015】
吸収液タンク3内の吸収液の一部は、吸収液抜き出し流路に設けた吸収塔ブリードポンプ11により石膏回収系8を経てアンモニア放散塔10に供給される。アンモニア放散塔10には蒸気の供給設備及び苛性ソーダの供給設備12が設けられている。また、アンモニア放散塔10には、液の温度を計測する温度計13と液のpHを測定するpH計14も設置されている。
【0016】
次に本実施の形態の吸収液中に溶け込んだアンモニア濃度コントロールについて説明する。
脱硫装置内の吸収液中のアンモニア濃度は、図4の相関図に示す通り、吸収液中のpHにより推定することができる。また図5に示すように、吸収液中に溶け込んだアンモニア濃度は吸収液の温度にも依存するので、吸収液中に溶け込んだアンモニアを除去するのは液のpH及び温度を変化させることで可能である。
【0017】
図2にはアンモニア放散塔10に供給する液のpH制御系統図を示す。
排煙脱硫装置内の吸収液から除去するアンモニアの量は、排煙脱硫装置内の吸収液で保有しているアンモニア濃度により決定される。
【0018】
図4の相関図に示すように、吸収液タンク3内の吸収液中のアンモニア濃度は吸収液pHにより把握することができるため、アンモニア放散塔10へ供給される吸収液のpH制御方法は、吸収液タンク3からの吸収液流出流路18に設けられるpH計15により測定される吸収液pH信号から関数発生器16によりアンモニア放散塔10へ供給する吸収液のpH設定値を決定し、アンモニア放散塔10のpH計14による計測信号であるアンモニア放散塔pH信号からpH調節計17によりpHを上昇させる苛性ソーダ量を演算し、苛性ソーダの供給設備12の調節弁19によりアンモニア放散塔10へ所定量の苛性ソーダを供給する。
【0019】
図3は、アンモニア放散塔10の液温度制御系統図を示す。
アンモニア放散塔10の液の温度を上昇させるのは、最終段のアンモニア除去工程であり、図2に示すpH制御系統で除去できなかったアンモニア放散塔10内のアンモニアを除去するものである。従って、その制御方法は、アンモニア放散塔10のpH計14による求められるpH信号から関数発生器20にてアンモニア放散塔10からアンモニアを放散するために必要なアンモニア放散塔10内の温度設定値を演算し、アンモニア放散塔10の温度計13による計測信号であるアンモニア放散塔10内の液の温度信号から温度調節計21により温度上昇させるために必要な蒸気量を演算し、調節弁22によりアンモニア放散塔10に供給する補助蒸気量を調節する。
【0020】
このように、アンモニア放散塔10へ供給する苛性ソーダ量と蒸気量を共に調整することで、常に適切な量の苛性ソーダ量と蒸気量をアンモニア放散塔10に供給でき、しかも吸収液中に溶け込んだアンモニア濃度をコントロールすることができる。
【0021】
図7に図1の排煙脱硫システムの吸収液中のアンモニア濃度制御のフローの一例を示す。
予め求められている吸収塔タンク3内の吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係(図4)に基づき、吸収塔タンク3内の吸収液中のアンモニア濃度を吸収液のpHの測定値から推定し、吸収塔タンク3内の吸収液のpHが所定値より高いとアンモニア放散塔10の吸収液pHを所定値に下げるように苛性ソーダの補給は止めておく。また吸収塔タンク3内の吸収液のpHが所定値より低いとアンモニア放散塔10の吸収液pHを所定値に上げるように苛性ソーダをアンモニア放散塔10へ供給する。
【0022】
吸収塔タンク3内の吸収液のpHとアンモニア放散塔10の吸収液pHの関係は予め求めておくことで、吸収塔タンク3内の吸収液のpHの測定値からアンモニア放散塔10のpHの所定値およびアンモニア放散塔10へ供給する苛性ソーダの量を決めることができる。
【0023】
次いで予め求められるアンモニア放散10内のpHとアンモニア放散塔10内の吸収液の温度の関係から、アンモニア放散塔10内の吸収液のpHが所定値より高いとアンモニア放散塔10への補助蒸気の供給を停止することで吸収液温度を低くする。またアンモニア放散塔10内の吸収液のpHが所定値より低いとアンモニア放散塔10へ蒸気を供給して温度を上げる。
【0024】
こうして、アンモニア放散塔10内の吸収液のpHが所定の値になるようにアンモニア放散塔10への苛性ソーダと補助蒸気の供給量を制御することで図5および図6に示す関係から、アンモニア放散塔10内の液中のアンモニア濃度を所定値以下に低減することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、吸収液中のアンモニア濃度を低減させることができるのでアンモニ規定値を満足した排煙脱硫装置の運転ができるだけでなく、脱硫排水を処理する排水処理装置の設備の縮小及びユーティリティーの低減の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係わる排煙脱硫システムの系統図である。
【図2】図1の排煙脱硫システムのアンモニア放散塔内の吸収液のpH制御系統図である。
【図3】図1の排煙脱硫システムのアンモニア放散塔の吸収液温度制御系統図である。
【図4】図1の排煙脱硫システムの吸収塔内の吸収液pHと液中アンモニア濃度の相関図である。
【図5】図1の排煙脱硫システムのアンモニア放散塔内の吸収液温度と液中アンモニア濃度の相関図である。
【図6】図1の排煙脱硫システムのアンモニア放散塔の吸収液のpHと液中アンモニアの相関図である。
【図7】図1の排煙脱硫システムの吸収液中のアンモニア濃度制御のフロー図である。
【図8】従来の排煙脱硫システムの系統図である。
【符号の説明】
1 入口ダクト 2 吸収塔
3 吸収液タンク 5 吸収塔循環ポンプ
6 スプレ配管 7 出口ダクト
8 石膏回収系 9 酸化空気ブロワ
10 アンモニア放散塔 11 吸収塔ブリードポンプ
12 苛性ソーダの供給設備 13 温度計
14、15 pH計 16、20 関数発生器
17 pH調節計 19、22 調節弁
21 温度調節計 25 排水処理系
Claims (3)
- 燃焼装置からの燃焼排ガス中の硫黄酸化物を脱硫用の吸収剤を含む吸収液により吸収除去する排煙脱硫方法において、
予め求められている吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係及び吸収液中のアンモニア濃度と吸収液の温度の関係に基づき、吸収液中のアンモニア濃度を吸収液のpHから推定し、吸収液のpH値から吸収液中のアンモニアを除去するために必要な吸収液の温度及びpHを決定し、当該温度とpHにより吸収液中のアンモニア濃度を低減させることを特徴とする排煙脱硫方法。 - 吸収液の温度は吸収液中への蒸気の供給量で調整し、吸収液のpHは吸収液中へのアルカリ剤の供給量で調整することを特徴とする請求項1記載の排煙脱硫方法。
- 燃焼装置からの燃焼排ガスを導入し、脱硫用の吸収剤を含む吸収液と接触させる吸収塔と、
該吸収塔内で排ガス中の硫黄酸化物の吸収除去に用いられた吸収液を貯める吸収液タンクと、
吸収液タンク内のpH計測用のpH計と、
吸収液タンク内の吸収液の一部を抜き出して貯め、かつpH調整用アルカリ剤及び吸収液加温用蒸気の供給部を備えたアンモニア放散塔と、
予め求められている吸収液中のアンモニア濃度と吸収液のpHの関係及び吸収液中のアンモニア濃度と吸収液の温度の関係に基づき、吸収液タンクのpH計から得られた吸収液のpH値から、吸収液中のアンモニア濃度を推定し、また、前記吸収液のpH値に基づき吸収液中のアンモニアを除去するために必要なアンモニア放散塔へ供給するアルカリ剤の量と蒸気量を共に調整する制御装置と
を備えたことを特徴とする排煙脱硫装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002172248A JP2004016856A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 排煙脱硫方法と装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002172248A JP2004016856A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 排煙脱硫方法と装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004016856A true JP2004016856A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31171863
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002172248A Pending JP2004016856A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 排煙脱硫方法と装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004016856A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013144851A3 (en) * | 2012-03-29 | 2014-04-03 | Alstom Technology Ltd | System and method for control of a stripper tower |
CN104147913A (zh) * | 2013-09-13 | 2014-11-19 | 上海大学 | 一种湿式氨法脱硫工艺的两相加氨法 |
CN116099334A (zh) * | 2022-12-22 | 2023-05-12 | 秦皇岛信能能源设备有限公司 | 一种二次铝灰湿法处理中的氨气吸收系统及方法 |
-
2002
- 2002-06-13 JP JP2002172248A patent/JP2004016856A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013144851A3 (en) * | 2012-03-29 | 2014-04-03 | Alstom Technology Ltd | System and method for control of a stripper tower |
CN104147913A (zh) * | 2013-09-13 | 2014-11-19 | 上海大学 | 一种湿式氨法脱硫工艺的两相加氨法 |
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A621 | Written request for application examination |
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