JP2004016236A - 物質のホルモン作用を検査するための方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】物質のホルモン作用に関して、信頼性があり、感度が高く、簡単で廉価かつ迅速に判断を下すことのできる方法を提供する。
【解決手段】物質のホルモン作用、特にアンドロゲン作用または抗アンドロゲン作用を検査するための方法。a)2つのベクターで形質転換した細胞を物質に暴露し、一方のベクターが核内受容体タンパク質またはその断片をコードするDNAを含み、他方のベクターがコモジュレーターFOXG1Cまたはその断片をコードするDNAを含んでおり、b)コモジュレーターまたはその断片の存在下で核内受容体またはその断片が誘発する転写活性を測定し、および/または物質が受容体またはその断片とコモジュレーターまたはその断片との相互作用に与える影響を、タンパク質・タンパク質の相互作用またはタンパク質・タンパク質・DNAの相互作用により測定するようにした。さらに、アンドロゲン受容体とFOXG1Cとの間のコモジュレーション機構の障害を規定する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質のホルモン作用を検査するための方法、およびアンドロゲン受容体とコアクチベーターForkhead Box G1C(FOXG1C)との間のコモジュレーション機構の障害を規定するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質が製薬目的に適しているか判定する際、当該物質がホルモン作用、特にアンドロゲン活性または抗アンドロゲン活性を有していないか調べる方法が一般的に用いられている。薬理作用のある物質を投与するに当たって、多くの場合に当該物質のホルモン作用、特にアンドロゲン作用または抗アンドロゲン作用に関する知見が重要となる。なぜならば、これらの作用は患者に好ましくない副作用を誘発する恐れがあるからである。物質のホルモン作用を調べるためには、特にホルモン受容体を結合して、それらの転写活動を活性化する、物質の能力を測定する方法が用いられる。
【0003】
しかし、物質のホルモン作用に関する知見は、可能な医薬物質においてだけでなく、非医薬物質においても重要である。なぜならば、環境中に存在している多くの物質について、一部の住民の間でアンドロゲン活性もしくは抗アンドロゲン活性またはエストロゲン活性もしくは抗エストロゲン活性を有する可能性が推定されているからである。その結果として好ましくない有害な作用が引き起こされる恐れがある。
【0004】
それゆえ、物質のホルモン作用に関して、信頼性があり、感度が高く、簡単で廉価かつ迅速に判断を下すことのできる方法が非常に強く求められている。従来公知の方法では、この必要性を満たすことができない。
【非特許文献1】
Beato et al., 2000, Human Reproduct. Update, 6, 225−236
【非特許文献2】
Mangelsdorf & Evans, 1995;Cell, 83, 841−850
【非特許文献3】
Robyr et al., 2000, Mol. Endocrinol., 14, 329−347
【非特許文献4】
Brinkmann et al., 1999, J. Steroid Biochem. and Mol. Biol., 69, 307−313
【非特許文献5】
McKenna et al., 1999, Endocr. Rev., 20, 321−347
【非特許文献6】
Ding et al., 1998, Mol. Endocrinol., 12, 302−313
【非特許文献7】
Li&Vogt, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 90, 4490−4494
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、物質のホルモン作用に関して、信頼性があり、感度が高く、簡単で廉価かつ迅速に判断を下すことのできる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は本発明により驚くべきことに、物質のホルモン作用、特にアンドロゲン作用または抗アンドロゲン作用を検査するための方法であって、a)2つのベクターで形質転換した細胞を物質に暴露し、しかも一方のベクターが核内受容体タンパク質またはその断片をコードするDNAを含み、他方のベクターがコモジュレーターFOXG1Cまたはその断片をコードするDNAを含んでおり、b)コモジュレーターまたはその断片の存在下で核内受容体またはその断片が誘発する転写活性を測定し、および/または物質が受容体またはその断片とコモジュレーターまたはその断片との相互作用に与える影響を、タンパク質・タンパク質の相互作用またはタンパク質・タンパク質・DNAの相互作用により測定するようにした、物質のホルモン作用を検査するための方法によって解決される。
【0007】
本発明の方法によって驚くべきことに、たとえば環境に関連して、または薬理学的に関心の対象となり得る物質が、ホルモン作用、特にアンドロゲン作用または抗アンドロゲン作用を発揮するか否かについて、高い信頼性と感度をもって、簡単で廉価かつ迅速にテストできることが分かった。
【0008】
本発明による方法ではベクターで形質転換された細胞を使用するが、ベクターは核内受容体タンパク質またはその断片をコードするDNAを含んでいる。
50種類以上のタンパク質が属している核内受容体(NRs)のスーパーファミリーは、それぞれの標的遺伝子の転写を、特異的なリガンド、たとえばホルモンに対する反応として制御する、類似した転写因子のグループである。このファミリーは、特定の特徴、たとえば二量化状態、リガンドの種類またはDNA応答配列の構造によって幾つかのサブファミリーに区分できる(Beato et al., 2000, Human Reproduct. Update,6,225−236 )。NRsの特徴は機能ドメイン(A〜Fで表示)の構造が、自律的な構成的活性化機能(AF−1)を有する、著しく可変的で保存性の低いN末端可変領域と、特異的なDNA応答配列の認識を受け持ち、2つの亜鉛フィンガーモチーフからなる保存性の高い結合ドメイン(DBD)と、可変なヒンジドメインと、そして二量化およびリガンドに依存したトランス活性化機能(AF−2)を有する、保存された多機能C末端リガンド結合ドメイン(LBD)と一致していることである。この後に最も遠位のC末端領域が続くが、その機能は知られておらず、PR(プロゲステロン受容体)、PPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)およびRXR(レチノイドX受容体)などの受容体には欠如している(Mangelsdorf & Evans, 1995; Cell,83,841−850;Robyr et al.,2000,Mol.Endocrinol.,14,329−347 )。若干のNRs(たとえばアンドロゲン受容体(AR)) について、N末端領域は、C末端領域と相互作用できることが証明された(Brinkmann et al.,1999,J.Steroid Biochem. and Mol.Biol.69,.307−313)。ステロイドホルモン受容体、たとえばエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、グルココルチコイド受容体(GR)、ミネラルコルチコイド受容体(MR)およびアンドロゲン受容体(AR)は、プレグネノロンから導かれるステロイドリガンド、たとえばプロゲスチン、エストロゲン、グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイドおよびアンドロゲンを結合する。リガンド結合は受容体を活性化し、相応の標的遺伝子の発現を制御する。
【0009】
上述したように、本発明の方法の段階a)で使用する細胞は、さらにコモジュレーターFOXG1Cまたはその断片をコードするDNAを含むベクターを有している。
【0010】
いわゆるコモジュレーターは、遺伝子転写の活性化(コアクチベーター)もしくは抑制(コリプレッサー)の際に、転写開始複合体とNRsとの間の橋渡し分子として働くタンパク質のクラスである(McKenna et al., 1999, Endocr.Rev., 20,321−347)。コアクチベーターは受容体機能を強化し、アゴニストの存在下でNRsの活性化ドメインと直接相互作用できなければならない。それはまた基本転写装置とも相互作用しなければならず、最終的にそれ自身で基本転写活性を強化してはならない。ほとんどのコモジュレーターは1つ以上のLXXLLモチーフ(NRボックス)を用いてNRsのAF−2ドメインと相互作用するが、他のNR領域と相互作用する若干のコモジュレーターも記載されている(Ding et al.,1998,Mol.Endocrinol.,12,302−313 )。さらに、類似の仕方で複数の種類のNRsと相互作用する多くのコモジュレーターが同定されており、それぞれのコモジュレーターの特異性を検査することが望ましい。
【0011】
本発明による方法において、FOXG1Cと呼ぶコモジュレーターまたはアミノ酸175〜489を有するFOXG1Cの断片を使用する。cDNA配列が登録され(GenBankアクセス番号XM_007233 )、489アミノ酸がコードされた(Li&Vogt,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,90,4490−4494 )。FOXG1Cのアミノ酸175〜489をコードするプラスミドを含んでいるDH5α大腸菌は、2002年6月5日、ドイツ微生物・培地コレクションにDSM15043の番号で登録された。
【0012】
これらのタンパク質を使用すると、本発明による方法は特に高い信頼性と感度で、簡単かつ廉価にして迅速に実施できる。さらにFOXG1C断片、特にアミノ酸175〜489を有するFOXG1Cの断片は、取り扱いが簡単で、クローン化できるが、それでもなおFOXG1Cの機能的性質を持つという長所を有する。
【0013】
FOXG1Cとは、ヒト・アンドロゲン受容体およびその他の核内受容体に対するコアクチベーターであり、アンドロゲンと受容体との相互作用を強める。FOXG1Cの配列はすでにGenBankアクセス番号XM_007233 に登録されている。しかしここには核内受容体、特にARとの相互作用は記述されてない。本発明は、核内受容体、特にARとFOXG1Cとの間に相互作用が存在し、さらにARに媒介されたトランス活性化の強化を確認できたという驚くべき認識に基づいている。FOXG1Cは、ステロイドを核内受容体に結合した後、転写作用を強化または抑制し、さらには以前ホルモン作用が認められなかった分子への核内受容体の結合および活性化を促進することによって、コメディエーターとして機能するタンパク質である。
【0014】
タンパク質FOXG1Cはアンドロゲン受容体およびその他の核内受容体、たとえばエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β、プロゲステロン受容体A、プロゲステロン受容体B、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、ビタミンD受容体、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体、レチノイン酸受容体、レチノイドX受容体およびオーファン受容体に対するコアクチベーターである。本発明による方法において、これらの受容体を使用することが好ましい。なぜならば、それによって、上述した本発明による方法の利点を特に好都合に達成できるからである。
【0015】
本発明による方法では、上記のタンパク質の断片をコードするベクターも使用できる。上記のタンパク質に関連した「断片」という表現は、全長がタンパク質よりも短い1つ以上のアミノ酸を有しながら、なおも核内受容体またはコモジュレーターの機能的性質を有しているタンパク質を意味する。
【0016】
上述したように、本発明による方法において、段階a)では特殊なタンパク質をコードする2つのベクターで形質転換した細胞を使用する。したがってこれらの細胞は、2種類のタンパク質を発現することができる。
【0017】
細胞が確立された細胞株および/または真核細胞、特に前立腺細胞、神経細胞、グリア細胞、繊維芽細胞、血球、骨芽細胞、砕骨細胞、肝細胞、上皮細胞または筋肉細胞であることが好ましい。本発明による方法は、確立された細胞株により特に廉価かつ迅速に実施できる。本発明による方法で、真核細胞、特に上述した真核細胞を使用すると、好都合にも非常に信憑性の高い結果が得られる。
【0018】
本発明による方法の好ましい実施形態において、真核発現ベクター、たとえばpCMXまたはpSG5を使用する。これらのベクターを使用すると、特に上記の確立された細胞株および/または真核細胞と組み合わせると、本発明による方法は特に有利かつ迅速に実施でき、非常に信憑性の高い結果が得られる。
【0019】
当業者にとって、上記のタンパク質をコードするDNAをベクターに挿入し、次いでこのベクターを細胞内に入れ、こうして得られた細胞を適当な培養条件のもとで培養し、それによってこれらのタンパク質を発現できるようにする方法およびそれに必要な材料は公知である。
【0020】
本発明による段階b)に従い、コモジュレーターまたはその断片の存在下で核内受容体またはその断片が誘発する転写活性を測定できる。これはたとえばレポーター遺伝子の検出によって行うことができる。
【0021】
レポーター遺伝子とは、他の遺伝子または調節配列と結合して、この配列の活性を証明できるようにした遺伝子または遺伝子断片である。レポーター遺伝子は遺伝子生成物を生むが、それらはたとえば測光法を用いた色反応によって極めて簡単に検出可能である。よく用いられるレポーター遺伝子は、βガラクトシダーゼに対する遺伝子、アルカリ性ホスファターゼに対する遺伝子、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼに対する遺伝子、カテコール・ジオキシゲナーゼに対する遺伝子、緑色蛍光タンパク質に対する遺伝子、および細胞を発光させることができる種々のルシフェラーゼ遺伝子である。
【0022】
このようなレポーター遺伝子も同様にベクター、特に真核発現ベクターによって細胞内に導入できる。レポーター遺伝子をコードするDNAを含んでいるベクターの例は、物質のアンドロゲン作用の測定に用いられるベクターMMTVルシフェラーゼである。
【0023】
この場合、ホルモン作用、特にアンドロゲン作用/抗アンドロゲン作用を有する物質は、レポーター遺伝子の活性が増大しているか、または減少しているかによって認識できる。
【0024】
検査物質が受容体またはその断片とコモジュレーターまたはその断片との相互作用に与える影響の測定は、タンパク質・タンパク質の相互作用を、たとえばツーハイブリッド系、免疫沈降、GSTプルダウンアッセイ、FRET分析およびABCDアッセイによって規定することによって、およびまたタンパク質・DNAの相互作用を、たとえばゲル遅延アッセイによって規定することによって行うことができる。
【0025】
さらに、FOXG1Cはアンドロゲン由来疾患の指示薬として非常に効果的に使用できることが分かった。該当するアンドロゲン由来疾患は、たとえば前立腺癌、勃起不全、不妊症、脱毛症、アクネまたは性機能低下、およびアンドロゲン抵抗症候群、たとえば睾丸性女性化症が、リビドー障害、感情障害および認知障害と同じくARとFOXG1Cとのコモジュレーション機構の欠陥に基づいている。そのような障害を持った患者の場合、ARとFOXG1Cの相対的濃度を測定する方法が可能である。この場合、測定は体液、体細胞または体組織において体外的に行うと好都合である。これはそれぞれの患者に、両分子の相対量を測定するための定量法を適用することによって可能であり、たとえばARおよびFOXG1Cに対する抗体、またはそれらのmRNAに対して核酸プローブを患者に使用できる。この比較量を測定するための幾つかの方法は、当業者に公知である。またこれに適した材料および装置、たとえばラジオイムノアッセイ、ELISAテスト、免疫染色、RT−PCR、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、DNAチップまたはタンパク質チップも当業者に知られている。さらに、FOXG1C−cDNAを用いて、PCRアッセイ用のプローブを構成することも可能であり、これにより特定の患者において正常なDNA配列の突然変異を検出したり、ノーザンブロットアッセイ用の転写もしくはin situハイブリダイゼーションアッセイ用のDNAを生成できる。
【0026】
この場合、AR対FOXG1Cの測定比は、健康体におけるよりも高いか、または低いことがある。健康体における正常値は、たとえば多数の健康な被験者でAR対FOXG1Cの比の平均を求めることによって簡単に規定できる。被験患者で求めたAR対FOXG1Cの比と正常値とを比較することによって、求めた比の値が正常値よりも高いか低いかを確認できる。
【0027】
組織中のFOXG1Cおよび/またはARの濃度は、ばらつきがあり得る。たとえば脳と睾丸ではFOXG1Cの濃度は非常に高いが、他の器官、たとえば肝臓、心臓、胸腺および前立腺では非常に低いので、評価する際は組織によって濃度が異なることを考慮しなければならない。すなわち検査値と正常値は、同じ組織のものでなければならない。濃度については種の相違もあり得るので、評価の際はこれも考慮しなければならない。
【0028】
ARとFOXG1Cとのコモジュレーション機構の欠陥を規定する別の可能性は、FOXG1Cの濃度だけを測定することである。この場合、FOXG1C濃度は少なくともほぼ一定であることが前提となっている。もし正常なFOXG1C濃度よりも低い濃度が測定されたら、AR対FOXG1Cの比が変化したことを意味しており、それはまたコモジュレーション機構に障害があることを示唆するものである。
【0029】
FOXG1Cに特異的なプローブを使って、FOXG1C発現における変化、ひいてはARとの比を規定することが可能である。そのような変化は、種々の病像で原因に関与しているか、または随伴症状として生じることがある。
【0030】
AR/FOXG1C比のこのような測定は、FOXG1Cの検出と特性把握に基づく次のような知見を基礎としている。すなわち、たとえばアンドロゲン抵抗症候群はAR優勢とFOXG1C優勢の平衡状態の障害に起因することがある。FOXG1Cが過度に高いと、AR系の過敏症を招き、通常はアンドロゲン作用を有していない分子に反応することがある。反対に、FOXG1Cが欠如しているか、あるいはあらゆるレベルの機能不全の場合にアンドロゲン抵抗を招来する。患者から過度のFOXG1Cが検出されたら、臨床条件下でそれぞれの患者のFOXG1C力価濃度を下げるために、ダウンレギュレーションのための薬剤、たとえばアンチセンス薬やこれに類似の薬剤を使用すべきであろう。同じことは、ARとFOXG1Cとの相互作用を抑制することのできる分子によって達成できる。ある患者のFOXG1Cが不足している場合、それ自体公知の種々の機構を介してFOXG1C−cDNA、FOXG1Cタンパク質またはFOXG1C−DNAを患者に供給することによって、活性FOXG1Cの力価濃度を高めることができる。低分子薬剤により、または特異的なFOXG1Cプロモータータンパク質を用いて自家合成を刺激することによってFOXG1Cの濃度または活性を高めることも可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の例を用いた説明は本発明を制限するものではない。
例1:
胎児の脳から採取したcDNAライブラリー(クローンテク社マッチメーカー)と、アミノ酸325〜919をコードするヒトAR断片をプローブとして使用し(図1)、アンドロゲン10−8M  DHTの存在下で通常のツーハイブリッド酵母系を用いてスクリーニングを行った。メーカー(クローンテク社)の指示に従い、スクリーニングしたクローンの数は2×10であった。独立クローンの数はメーカーの申告によれば、3.5×10であった。このうち300個のポジティブクローンを選別し、βガラクトシダーゼアッセイでテストした結果、40個がlacZポジティブクローンであることが確認された。これらのクローンのインサートをPCRによって増幅した。制限断片分析と配列決定により、少なくとも39種類のクローンを同定した。そのうち1つは1553bp(739bp−2292bp)を含むクローンであった。これはFOXG1CのORF(Open reading Frame)をコードする(GenBankアクセス番号:XM_007233)。
【0032】
FOXG1C−cDNA配列の1255bpからなる断片(963bp−2218bp)は、ヒト・ノーザンブロットに対するプローブとして用いられた。転写(3.2kb)は種々の組織で発見された(図2−4)。場合によってノーザンブロットをβアクチン・プローブによってハイブリダイズして、ゲルの統一的な負荷を確証した。
【0033】
図2−4は、ノーザンブロット分析によりそれ自体公知の仕方で検査したFOXG1Cの組織分布を示している。種々のヒト組織から単離されたポリARNA(2μg)を、ホルムアルデヒド含有アガロースゲルで分離し、ナイロン膜でブロットして、標識したFOXG1C−cDNA断片(963bp−2218bp)でハイブリダイズした。洗浄後、この膜をフィルムに当て露光してから現像した。図2に見られるように、人間の脳と睾丸ではFOXG1Cの非常に強い発現が確認されたが、齧歯類(ラットとマウス)ではFOXG1Cの発現はほぼ脳に限定されていた。さらに、FOXG1Cの発現は人間の脳部位によってばらつきが見られる(図3)。図4では10μgRNA(レーン1−3)または0.2μgポリA+−RNA(レーン4−6)をラットの脳からゲル上で分離し、膜に移し、標識したFOXG1C−cDNA断片(963bp−2218bp)でハイブリダイズした。ラットの脳は生後3週間(レーン1と4)、6週間(レーン2と5)および2年(レーン3と6)の動物から採取した。その結果、FOXG1C遺伝子発現と年齢との間に関係のあることが見いだされた。
【0034】
図5に見られるように、PC3−ARwt細胞においてVp16のトランス活性化ドメインとインフレームで融合したFOXG1C−cDNAの一過性トランスフェクションは、ARシグナル活動の強い共役活性化を招いた。そのために、凹部当たり3×10の細胞が入る細胞培養シャーレに、CMX−Vp16における上記構成物0.43μgもしくはネガティブ対照群として0.32μgCMX−Vp16、またはポジティブ対照群として0.5μgSRC1a−Vp16、対照群プラスミドとして1.0μgMMTVルシフェラーゼプラスミドでトランスフェクションし、24時間後にアンドロゲンとして上記濃度のジヒドロキシテストステロン(DHT)で処理した。さらに24時間後にトランスフェクションされた細胞を収穫し、レポーター遺伝子ルシフェラーゼの活性を測定した。さらに標準化のために全細胞タンパク質量を規定した。トランスフェクションバッチおよび物質濃度当たり、2回の実験と、それぞれ3回の測定を行った。誤差をSDで示した。活性は相対的単位で示した。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、物質のホルモン作用に関して、信頼性があり、感度が高く、簡単で廉価かつ迅速に判断を下すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンドロゲンの存在下でFOXG1Cと相互作用できる、アミノ酸325〜919に達するアンドロゲン受容体ドメイン(AR2)を表示したアンドロゲン受容体の概念図。
【図2】種々の異なる組織(ヒトと齧歯類)におけるFOXG1Cの組織分布を示す図。
【図3】ヒトの種々異なる脳領域におけるFOXG1Cの組織分布を示す図。
【図4】老ラットと若ラットの脳におけるFOXG1Cの組織分布を示す図。
【図5】PC3−ARwt細胞におけるFOXG1CまたはSRC−1aとアンドロゲン受容体との相互作用を示す図。

Claims (8)

  1. 物質のホルモン作用、 特にアンドロゲン作用または抗アンドロゲン作用を検査するための方法であって、
    a)2つのベクターで形質転換した細胞を物質に暴露し、しかも一方のベクターが核内受容体タンパク質またはその断片をコードするDNAを含み、他方のベクターがコモジュレーターFOXG1Cまたはその断片をコードするDNAを含んでおり、
    b)コモジュレーターまたはその断片の存在下で核内受容体またはその断片が誘発する転写活性を測定し、および/または物質が受容体またはその断片とコモジュレーターまたはその断片との相互作用に与える影響を、タンパク質・タンパク質の相互作用またはタンパク質・タンパク質・DNAの相互作用により測定するようにした、物質のホルモン作用を検査するための方法。
  2. コモジュレーターの断片が、FOXG1Cのアミノ酸175〜489を有している、請求項1記載の方法。
  3. 核内受容体を、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体A、プロゲステロン受容体B、グルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、甲状腺ホルモン受容体、ビタミンD受容体、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体、レチノイン酸受容体、レチノイドX受容体およびオーファン受容体の中から選択するようにした、請求項1または2記載の方法。
  4. 細胞が確立された細胞株および/または真核細胞であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 真核細胞を、前立腺細胞、神経細胞、グリア細胞、繊維芽細胞、血球、骨芽細胞、砕骨細胞、肝細胞、上皮細胞または筋肉細胞の中から選択するようにした、請求項4記載の方法。
  6. 前記ベクターが真核ベクターである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. アンドロゲン受容体とFOXG1Cとの間のコモジュレーションの障害を規定するための方法であって、FOXG1Cまたはその断片および/またはアンドロゲン受容体またはその断片の濃度を測定するようにした方法。
  8. 濃度測定が、ラジオイムノアッセイ、ELISAテスト、免疫染色、RT−PCR、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、DNAチップまたはタンパク質チップによって行われることを特徴とする、請求項7記載の方法。
JP2003168262A 2002-06-12 2003-06-12 物質のホルモン作用を検査するための方法 Pending JP2004016236A (ja)

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