JP2004015508A - 消磁回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】100V系と200V系のいずれの電源電圧に対しても、消磁コイルに等しい電流を流す消磁回路を提供する。
【解決手段】減衰交流電流が供給される一対の消磁コイル6、7から減衰交流磁界を発生させる消磁回路であって、一対の消磁コイル6、7の接続を、直列または並列に切り替える切り替え器50と、消磁コイル6、7に直列に接続され、一対の消磁コイル6、7の接続が直列と並列の場合とで、消磁回路のインピーダンスを変えるインピーダンス調整器8とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】減衰交流電流が供給される一対の消磁コイル6、7から減衰交流磁界を発生させる消磁回路であって、一対の消磁コイル6、7の接続を、直列または並列に切り替える切り替え器50と、消磁コイル6、7に直列に接続され、一対の消磁コイル6、7の接続が直列と並列の場合とで、消磁回路のインピーダンスを変えるインピーダンス調整器8とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管の消磁回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管のミスランディングの発生を防止するために、消磁回路が用いられている。図5に示すように、電子銃12から出た電子ビーム11は、それぞれ対応する色の蛍光体ドット9にあたるように、シャドウマスク10の色選別機能で制御されているが、電子ビーム11の軌道が何らかの原因で外れると、シャドウマスク10は正確に蛍光体9を色選別できなくなる。この現象がミスランディングであり、主な原因は地磁気や陰極線管周辺の磁性体による磁界の影響で、電子ビーム11に電磁力が働き、軌道が変化するためである。
【0003】
図6に、陰極線管の概略断面を示す。シャドウマスク10、マスクフレーム16、内部磁気シールド15は、鉄などの強磁性体の合金で構成される。地磁気その他の外部からの磁界は、これらの強磁性体の磁気シールド効果により、陰極線管内部の空間から遮蔽されるが、一部は内部に浸透してミスランディングの原因となる。このため、図6、7に示すように、前面パネルと偏向ヨーク14との間にファンネルの外側に沿うようにして上下一対の消磁コイル13が設けられている。
【0004】
図8は、磁気シールド15が周辺の磁束24を吸収して、電子ビーム11を磁界から保護している様子を視覚的に表現したものである。磁束24の一部は、電子ビーム11が通過する内部空間に浸透する。ここで消磁を行うと、図9に示す極性に磁気シールド15が着磁する。この着磁の向き17は、磁気シールドされた空間18では、外部磁界24を打ち消す方向である。このようにして地磁気その他の外部磁界24から電子ビーム11を保護できる。
【0005】
また、一時的に外部磁界を加えると、前記強磁性体に永久着磁を起こして、陰極線管内部に磁界を形成するのでミスランディングの原因となる。消磁は、そのような着磁も消してミスランディングを防止する。
【0006】
図10に示す回路は、消磁コイル13に減衰交流電流を流して減衰交流磁界を作るために、従来から用いられている回路である。PTC内のR1はポジスタ(正特性サーミスタ)で、R2はR1を加熱するヒータであり、ポジスタまたは抵抗器が使われる。スイッチを投入すると、電源V、ヒータR1、消磁コイル13の回路で次式の電流Iが流れる。I=V/Zであり、ZはR1と消磁コイルを含む回路インピーダンスである。R1がポジスタの抵抗なので、電源投入時のポジスタの温度が低い間Zは小さく、この回路の最大電流が流れる。その後電流による自己発熱でポジスタが温度上昇するにしたがってR1は抵抗値を増やし、Zが大きくなり、電流が減少していく。R1は、以後R2のジュール熱により高抵抗に保たれる。このように、電源を投入するたびに減衰電流を消磁コイルに供給して消磁が行われる。
【0007】
この回路の問題点は、電源電圧が変わるときに発生する。電源電圧は各国によって様々であるが、主に100V系の地域と200V系の地域がある。100Vについて最適な起磁力で設計された図10の消磁回路を200Vで使用すると、2倍の起磁力が発生する。逆に、200Vで最適な起磁力で設計した場合、100Vでは起磁力が不足して消磁できないという問題があった。消磁コイルには電源電圧に関わらず、同じ消磁起磁力を発生させなければならない。
【0008】
特開平6−70330号公報には、電源電圧が100Vであるか200Vであるかを検出して、消磁回路の構成を切り替えて起磁力の差を少なくする消磁回路が開示されている。図11、12は、この公報に記載の技術の等価回路である。100V系の地域と200V系の地域に両対応するように、消磁回路構成を電源電圧に応じて切り替えるようにした回路である。図11に示す100V系の電源電圧のときは、電源25に対して並列にPTC20、21が接続され、PTC20、21に消磁コイル22、23がそれぞれ直列に接続される。図12に示す200V系の電源電圧のときは、100V系のときに使用したPTC20と消磁コイル22、23とを、電源25に直列に接続する。このように、スイッチで回路構成を切り替えることによって消磁起磁力を得ていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
100V系、200V系それぞれの電源電圧の場合に消磁コイルに同じ消磁起磁力を発生させるには、消磁コイル22、23に流れる電流の実効値I(100)=I(200)である必要がある。しかし、両回路ではインピーダンスが異なるために、消磁コイル22、23に流れる電流が異なり、100V系と200V系の両方で最適な消磁起磁力を得ることができなかった。
【0010】
また、200V系のときPTCを1つ使用しないために、効率的ではなく、近年の陰極線管装置に要求される低コスト化に追随できなかった。
【0011】
そこで本発明は、100V系と200V系のいずれの電源電圧に対しても、PTCを共有しながら、調整抵抗器を用いて、消磁コイルに等しい電流を流す消磁回路を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の消磁回路は、減衰交流電流が供給される一対の消磁コイルから減衰交流磁界を発生させる消磁回路であって、前記一対の消磁コイルの接続を、直列または並列に切り替える切り替え器と、前記消磁コイルに直列に接続され、前記一対の消磁コイルの接続が直列と並列の場合とで、前記消磁回路のインピーダンスを変えるインピーダンス調整器とを有することを特徴とする(請求項1)。
【0013】
この構成により、電源電圧が変化しても安定した消磁電流及び消磁起磁力を消磁コイルに生じさせることができる。なお、切り替え器としては、一般に汎用されているリレー等の低コストのスイッチ素子を用いることができ、電源電圧の変化に対して消磁回路の切換を行い、安定した消磁電流および、消磁起磁力を得ることができる。切り替え器として、半導体素子を用いることもできる。
【0014】
また、前記一対の消磁コイルに直列に接続された少なくとも1つのPTCを有することを特徴とする(請求項2)。
【0015】
この構成により、消磁電流および、消磁起磁力を必要とされる減衰率で減衰させることができる。
【0016】
また、前記PTCが、前記一対の消磁コイルの接続が直列と並列のいずれの場合にも、常に電流の経路中に存在していることを特徴とする請求項1または2に記載の消磁回路(請求項3)。
【0017】
この構成により、切り替え器によって回路構成が変わっても、PTCが常に共有して使用される。電源電圧の変化に依存せずPTCを常に共有でき、低コストで効率的な消磁回路を実現できる。
【0018】
また、前記インピーダンス調整器が抵抗であることを特徴とする(請求項4)。
【0019】
この構成により、電源電圧の変化に対して、低コストでインピーダンス整合ができ、安定した消磁電流および消磁起磁力を得ることができる。インピーダンス調整器としては、抵抗の他にコイルやコンデンサを用いることができる。交流回路であることや、インピーダンスの設定の容易さ等を考慮すると、抵抗が好ましい。可変抵抗器を用いれば、電源電圧に応じて抵抗値を調整することができるので、世界の100V系地域と200V系地域の両地域(交流電源の電圧が実効値で90Vから264Vの範囲)において電源電圧の変動分を見込んでなお、安定した消磁電流を消磁コイルに供給することができる。
【0020】
また、本発明の消磁回路は、一対の消磁コイルと、前記一対の消磁コイルと直列に接続されたPTCと、前記一対の消磁コイルの内の一方の消磁コイルと直列に接続された抵抗と、前記一対の消磁コイルの接続を直列または並列に切り替えるスイッチ素子とを有し、前記一対の消磁コイルが直列接続されたときには、前記PTCと前記一対の消磁コイルの直列接続体と前記抵抗とが直列に接続され、前記一対の消磁コイルが並列接続されたときには、前記抵抗を除き、前記PTCと前記一対の消磁コイルの並列接続体とが直列に接続されることが好ましい(請求項5)。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
図1に、本発明の消磁回路を示す。消磁回路は、交流電源1と、スイッチ2と、PTC3と、一対の消磁コイル6、7と、切り替え器50と、調整抵抗器(請求項にいう「インピーダンス調整器」に相当)8とを有する。スイッチ2は、消磁をON、OFFする。PTC3は、減衰交流電流を作る。消磁コイル6、7は、減衰交流磁界を発生して消磁を行うものであり、図6および図7に示したように、陰極線管のファンネルの外側に沿うように上下に一対配置される。切り替え器50は、2経路のスイッチ4および5からなり、消磁コイル6、7の接続を直列または並列に変えて、消磁回路の構成を切り替える。調整抵抗器8は、消磁コイル6、7が直列接続の場合と並列接続の場合とで、消磁回路のインピーダンスを変える働きをする。
【0023】
交流電源1が100V系電源のときは、図1に示すように、切り替え器50のスイッチ4は端子51に接続され、スイッチ5は端子53に接続される。等価回路は図2に示すように、調整抵抗器8を除き、PTC3と一対の消磁コイル6、7の並列接続体とが直列に接続された回路になる。交流電源1が200V系の電源のときは、スイッチ4は端子52に接続され、スイッチ5は端子54に接続される。等価回路は図3に示すように、PTC3と一対の消磁コイル6、7の直列接続体と抵抗8とが直列に接続された回路になる。スイッチ4および5にはリレー等のスイッチ素子を用い、交流電源1の電圧に応じて切り替え動作を行う。
【0024】
このような回路構成とすることにより、交流電源1の電圧が変化しても安定した消磁電流が消磁コイルに供給される。この作用は、調整抵抗器8の存在により実現される。
【0025】
次に、調整抵抗器8の抵抗値の設定方法について説明する。100V系電源の場合に、所望の消磁電流I(A)を消磁コイル6、7に得るために、PTC3の抵抗値をR(Ω)、消磁コイル6、7の抵抗値をRL(Ω)、消磁コイル6、7のインダクタンスをL(H)として設定する。
【0026】
200V系電源の場合にも最適な消磁効果を得るためには、同じ消磁電流I(A)を200V系の回路の消磁コイルに流さなければならない。200V系電源のとき、消磁コイル6、7は交流電源1に対し直列接続となるので、消磁電流I(A)を得るために、Z=V(200)/IとなるようにインピーダンスZを設定する。ここで、調整抵抗器8の抵抗値をRadとすると、Z=√[(2ωL)2+(Rad+R+2RL)2]であり、実抵抗をZRとすると、ZR=√[Z2−(2ωL)2]である。そのため、調整抵抗器の抵抗値Rad(Ω)=ZR−R−2RLに設定することによって、100V系、200V系電源において、同じ所望の消磁電流を得ることができる。
【0027】
次に、本発明の実施例について説明する。100V、50Hzおよび、240V、50Hzの各々の電源において、消磁コイル6、7に流す消磁電流19Ap−p、消磁起磁力2500ATp−p、PTC3の抵抗値1.5Ωの消磁回路を設計する。
【0028】
100V、50Hzのとき、等価回路は図2に示すものである。電源電流は消磁コイルが並列のためi=19×2=38Ap−pであるので、消磁コイル6、7の巻数Nは、N=2500/38=65.79より、66Tに設定する。このとき、消磁コイル6、7の抵抗値RLはRL=11.66Ω、インダクタンスLはL=8mHとなる。回路インピーダンスZ100はZ100=√2×2×100/38=7.44Ωであり、リアクタンスXL=1.26Ωである。
【0029】
次に、240V、50Hzで19Ap−pの消磁電流を流すように、調整抵抗値8の抵抗値Radを設定する。等価回路は図3に示すものである。消磁コイル6、7の直列抵抗値=2×RL=23.32Ωで、直列インダクタンス=2×L=16mHであり、リアクタンスXL=5.03Ωとなる。全回路インピーダンスZはZ=√2×2×240/19=35.73Ωであるから、実抵抗ZR=√(35.732−5.032)=35.37Ωとなる。したがって調整抵抗=35.37−1.5−23.32=10.55Ωに設定する。
【0030】
図4は、消磁電流波形を示す。図4(a)は電源100Vの場合を、図4(b)は電源240Vの場合をそれぞれ示す。消磁ピーク電流は、いずれの場合にも19Ap−pとなっている。
【0031】
本発明によれば、1つのPTCを常に共有し、電源電圧が変化しても調整抵抗器の抵抗値を設定することで、所望の消磁電流を流すことができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、電源電圧に関わらず同じ消磁電流を消磁コイルに流すことができ、しかも1つのPTCを、回路構成を切り替えながら常に共有できるために、効率的でしかも最適な消磁効果を得ることができ、1つの陰極線管を世界各国において使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消磁回路の回路図
【図2】本発明の消磁回路の等価回路図(100V系)
【図3】本発明の消磁回路の等価回路図(200V系)
【図4】(a)本発明の消磁回路に流れる消磁電流波形図(100V系)
(b)本発明の消磁回路に流れる消磁電流波形図(200V系)
【図5】電子ビームのランディングの概念図
【図6】消磁コイルを備えた陰極線管装置の側面断面図
【図7】消磁コイルを備えた陰極線管装置の背面図
【図8】磁気シールドの概念図
【図9】磁気シールドの概念図
【図10】従来の消磁回路の回路図
【図11】従来の消磁回路の等価回路図(100V系)
【図12】従来の消磁回路の等価回路図(200V系)
【符号の説明】
3 PTC
4、5スイッチ
6、7消磁コイル
8 調整抵抗器
50 切り替え器
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管の消磁回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管のミスランディングの発生を防止するために、消磁回路が用いられている。図5に示すように、電子銃12から出た電子ビーム11は、それぞれ対応する色の蛍光体ドット9にあたるように、シャドウマスク10の色選別機能で制御されているが、電子ビーム11の軌道が何らかの原因で外れると、シャドウマスク10は正確に蛍光体9を色選別できなくなる。この現象がミスランディングであり、主な原因は地磁気や陰極線管周辺の磁性体による磁界の影響で、電子ビーム11に電磁力が働き、軌道が変化するためである。
【0003】
図6に、陰極線管の概略断面を示す。シャドウマスク10、マスクフレーム16、内部磁気シールド15は、鉄などの強磁性体の合金で構成される。地磁気その他の外部からの磁界は、これらの強磁性体の磁気シールド効果により、陰極線管内部の空間から遮蔽されるが、一部は内部に浸透してミスランディングの原因となる。このため、図6、7に示すように、前面パネルと偏向ヨーク14との間にファンネルの外側に沿うようにして上下一対の消磁コイル13が設けられている。
【0004】
図8は、磁気シールド15が周辺の磁束24を吸収して、電子ビーム11を磁界から保護している様子を視覚的に表現したものである。磁束24の一部は、電子ビーム11が通過する内部空間に浸透する。ここで消磁を行うと、図9に示す極性に磁気シールド15が着磁する。この着磁の向き17は、磁気シールドされた空間18では、外部磁界24を打ち消す方向である。このようにして地磁気その他の外部磁界24から電子ビーム11を保護できる。
【0005】
また、一時的に外部磁界を加えると、前記強磁性体に永久着磁を起こして、陰極線管内部に磁界を形成するのでミスランディングの原因となる。消磁は、そのような着磁も消してミスランディングを防止する。
【0006】
図10に示す回路は、消磁コイル13に減衰交流電流を流して減衰交流磁界を作るために、従来から用いられている回路である。PTC内のR1はポジスタ(正特性サーミスタ)で、R2はR1を加熱するヒータであり、ポジスタまたは抵抗器が使われる。スイッチを投入すると、電源V、ヒータR1、消磁コイル13の回路で次式の電流Iが流れる。I=V/Zであり、ZはR1と消磁コイルを含む回路インピーダンスである。R1がポジスタの抵抗なので、電源投入時のポジスタの温度が低い間Zは小さく、この回路の最大電流が流れる。その後電流による自己発熱でポジスタが温度上昇するにしたがってR1は抵抗値を増やし、Zが大きくなり、電流が減少していく。R1は、以後R2のジュール熱により高抵抗に保たれる。このように、電源を投入するたびに減衰電流を消磁コイルに供給して消磁が行われる。
【0007】
この回路の問題点は、電源電圧が変わるときに発生する。電源電圧は各国によって様々であるが、主に100V系の地域と200V系の地域がある。100Vについて最適な起磁力で設計された図10の消磁回路を200Vで使用すると、2倍の起磁力が発生する。逆に、200Vで最適な起磁力で設計した場合、100Vでは起磁力が不足して消磁できないという問題があった。消磁コイルには電源電圧に関わらず、同じ消磁起磁力を発生させなければならない。
【0008】
特開平6−70330号公報には、電源電圧が100Vであるか200Vであるかを検出して、消磁回路の構成を切り替えて起磁力の差を少なくする消磁回路が開示されている。図11、12は、この公報に記載の技術の等価回路である。100V系の地域と200V系の地域に両対応するように、消磁回路構成を電源電圧に応じて切り替えるようにした回路である。図11に示す100V系の電源電圧のときは、電源25に対して並列にPTC20、21が接続され、PTC20、21に消磁コイル22、23がそれぞれ直列に接続される。図12に示す200V系の電源電圧のときは、100V系のときに使用したPTC20と消磁コイル22、23とを、電源25に直列に接続する。このように、スイッチで回路構成を切り替えることによって消磁起磁力を得ていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
100V系、200V系それぞれの電源電圧の場合に消磁コイルに同じ消磁起磁力を発生させるには、消磁コイル22、23に流れる電流の実効値I(100)=I(200)である必要がある。しかし、両回路ではインピーダンスが異なるために、消磁コイル22、23に流れる電流が異なり、100V系と200V系の両方で最適な消磁起磁力を得ることができなかった。
【0010】
また、200V系のときPTCを1つ使用しないために、効率的ではなく、近年の陰極線管装置に要求される低コスト化に追随できなかった。
【0011】
そこで本発明は、100V系と200V系のいずれの電源電圧に対しても、PTCを共有しながら、調整抵抗器を用いて、消磁コイルに等しい電流を流す消磁回路を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の消磁回路は、減衰交流電流が供給される一対の消磁コイルから減衰交流磁界を発生させる消磁回路であって、前記一対の消磁コイルの接続を、直列または並列に切り替える切り替え器と、前記消磁コイルに直列に接続され、前記一対の消磁コイルの接続が直列と並列の場合とで、前記消磁回路のインピーダンスを変えるインピーダンス調整器とを有することを特徴とする(請求項1)。
【0013】
この構成により、電源電圧が変化しても安定した消磁電流及び消磁起磁力を消磁コイルに生じさせることができる。なお、切り替え器としては、一般に汎用されているリレー等の低コストのスイッチ素子を用いることができ、電源電圧の変化に対して消磁回路の切換を行い、安定した消磁電流および、消磁起磁力を得ることができる。切り替え器として、半導体素子を用いることもできる。
【0014】
また、前記一対の消磁コイルに直列に接続された少なくとも1つのPTCを有することを特徴とする(請求項2)。
【0015】
この構成により、消磁電流および、消磁起磁力を必要とされる減衰率で減衰させることができる。
【0016】
また、前記PTCが、前記一対の消磁コイルの接続が直列と並列のいずれの場合にも、常に電流の経路中に存在していることを特徴とする請求項1または2に記載の消磁回路(請求項3)。
【0017】
この構成により、切り替え器によって回路構成が変わっても、PTCが常に共有して使用される。電源電圧の変化に依存せずPTCを常に共有でき、低コストで効率的な消磁回路を実現できる。
【0018】
また、前記インピーダンス調整器が抵抗であることを特徴とする(請求項4)。
【0019】
この構成により、電源電圧の変化に対して、低コストでインピーダンス整合ができ、安定した消磁電流および消磁起磁力を得ることができる。インピーダンス調整器としては、抵抗の他にコイルやコンデンサを用いることができる。交流回路であることや、インピーダンスの設定の容易さ等を考慮すると、抵抗が好ましい。可変抵抗器を用いれば、電源電圧に応じて抵抗値を調整することができるので、世界の100V系地域と200V系地域の両地域(交流電源の電圧が実効値で90Vから264Vの範囲)において電源電圧の変動分を見込んでなお、安定した消磁電流を消磁コイルに供給することができる。
【0020】
また、本発明の消磁回路は、一対の消磁コイルと、前記一対の消磁コイルと直列に接続されたPTCと、前記一対の消磁コイルの内の一方の消磁コイルと直列に接続された抵抗と、前記一対の消磁コイルの接続を直列または並列に切り替えるスイッチ素子とを有し、前記一対の消磁コイルが直列接続されたときには、前記PTCと前記一対の消磁コイルの直列接続体と前記抵抗とが直列に接続され、前記一対の消磁コイルが並列接続されたときには、前記抵抗を除き、前記PTCと前記一対の消磁コイルの並列接続体とが直列に接続されることが好ましい(請求項5)。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
図1に、本発明の消磁回路を示す。消磁回路は、交流電源1と、スイッチ2と、PTC3と、一対の消磁コイル6、7と、切り替え器50と、調整抵抗器(請求項にいう「インピーダンス調整器」に相当)8とを有する。スイッチ2は、消磁をON、OFFする。PTC3は、減衰交流電流を作る。消磁コイル6、7は、減衰交流磁界を発生して消磁を行うものであり、図6および図7に示したように、陰極線管のファンネルの外側に沿うように上下に一対配置される。切り替え器50は、2経路のスイッチ4および5からなり、消磁コイル6、7の接続を直列または並列に変えて、消磁回路の構成を切り替える。調整抵抗器8は、消磁コイル6、7が直列接続の場合と並列接続の場合とで、消磁回路のインピーダンスを変える働きをする。
【0023】
交流電源1が100V系電源のときは、図1に示すように、切り替え器50のスイッチ4は端子51に接続され、スイッチ5は端子53に接続される。等価回路は図2に示すように、調整抵抗器8を除き、PTC3と一対の消磁コイル6、7の並列接続体とが直列に接続された回路になる。交流電源1が200V系の電源のときは、スイッチ4は端子52に接続され、スイッチ5は端子54に接続される。等価回路は図3に示すように、PTC3と一対の消磁コイル6、7の直列接続体と抵抗8とが直列に接続された回路になる。スイッチ4および5にはリレー等のスイッチ素子を用い、交流電源1の電圧に応じて切り替え動作を行う。
【0024】
このような回路構成とすることにより、交流電源1の電圧が変化しても安定した消磁電流が消磁コイルに供給される。この作用は、調整抵抗器8の存在により実現される。
【0025】
次に、調整抵抗器8の抵抗値の設定方法について説明する。100V系電源の場合に、所望の消磁電流I(A)を消磁コイル6、7に得るために、PTC3の抵抗値をR(Ω)、消磁コイル6、7の抵抗値をRL(Ω)、消磁コイル6、7のインダクタンスをL(H)として設定する。
【0026】
200V系電源の場合にも最適な消磁効果を得るためには、同じ消磁電流I(A)を200V系の回路の消磁コイルに流さなければならない。200V系電源のとき、消磁コイル6、7は交流電源1に対し直列接続となるので、消磁電流I(A)を得るために、Z=V(200)/IとなるようにインピーダンスZを設定する。ここで、調整抵抗器8の抵抗値をRadとすると、Z=√[(2ωL)2+(Rad+R+2RL)2]であり、実抵抗をZRとすると、ZR=√[Z2−(2ωL)2]である。そのため、調整抵抗器の抵抗値Rad(Ω)=ZR−R−2RLに設定することによって、100V系、200V系電源において、同じ所望の消磁電流を得ることができる。
【0027】
次に、本発明の実施例について説明する。100V、50Hzおよび、240V、50Hzの各々の電源において、消磁コイル6、7に流す消磁電流19Ap−p、消磁起磁力2500ATp−p、PTC3の抵抗値1.5Ωの消磁回路を設計する。
【0028】
100V、50Hzのとき、等価回路は図2に示すものである。電源電流は消磁コイルが並列のためi=19×2=38Ap−pであるので、消磁コイル6、7の巻数Nは、N=2500/38=65.79より、66Tに設定する。このとき、消磁コイル6、7の抵抗値RLはRL=11.66Ω、インダクタンスLはL=8mHとなる。回路インピーダンスZ100はZ100=√2×2×100/38=7.44Ωであり、リアクタンスXL=1.26Ωである。
【0029】
次に、240V、50Hzで19Ap−pの消磁電流を流すように、調整抵抗値8の抵抗値Radを設定する。等価回路は図3に示すものである。消磁コイル6、7の直列抵抗値=2×RL=23.32Ωで、直列インダクタンス=2×L=16mHであり、リアクタンスXL=5.03Ωとなる。全回路インピーダンスZはZ=√2×2×240/19=35.73Ωであるから、実抵抗ZR=√(35.732−5.032)=35.37Ωとなる。したがって調整抵抗=35.37−1.5−23.32=10.55Ωに設定する。
【0030】
図4は、消磁電流波形を示す。図4(a)は電源100Vの場合を、図4(b)は電源240Vの場合をそれぞれ示す。消磁ピーク電流は、いずれの場合にも19Ap−pとなっている。
【0031】
本発明によれば、1つのPTCを常に共有し、電源電圧が変化しても調整抵抗器の抵抗値を設定することで、所望の消磁電流を流すことができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、電源電圧に関わらず同じ消磁電流を消磁コイルに流すことができ、しかも1つのPTCを、回路構成を切り替えながら常に共有できるために、効率的でしかも最適な消磁効果を得ることができ、1つの陰極線管を世界各国において使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消磁回路の回路図
【図2】本発明の消磁回路の等価回路図(100V系)
【図3】本発明の消磁回路の等価回路図(200V系)
【図4】(a)本発明の消磁回路に流れる消磁電流波形図(100V系)
(b)本発明の消磁回路に流れる消磁電流波形図(200V系)
【図5】電子ビームのランディングの概念図
【図6】消磁コイルを備えた陰極線管装置の側面断面図
【図7】消磁コイルを備えた陰極線管装置の背面図
【図8】磁気シールドの概念図
【図9】磁気シールドの概念図
【図10】従来の消磁回路の回路図
【図11】従来の消磁回路の等価回路図(100V系)
【図12】従来の消磁回路の等価回路図(200V系)
【符号の説明】
3 PTC
4、5スイッチ
6、7消磁コイル
8 調整抵抗器
50 切り替え器
Claims (5)
- 減衰交流電流が供給される一対の消磁コイルから減衰交流磁界を発生させる消磁回路であって、
前記一対の消磁コイルの接続を、直列または並列に切り替える切り替え器と、
前記消磁コイルに直列に接続され、前記一対の消磁コイルの接続が直列と並列の場合とで、前記消磁回路のインピーダンスを変えるインピーダンス調整器とを有することを特徴とする消磁回路。 - 前記一対の消磁コイルに直列に接続された少なくとも1つのPTCを有することを特徴とする、請求項1に記載の消磁回路。
- 前記PTCが、前記一対の消磁コイルの接続が直列と並列のいずれの場合にも、常に電流の経路中に存在していることを特徴とする請求項1または2に記載の消磁回路。
- 前記インピーダンス調整器が抵抗であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の消磁回路。
- 一対の消磁コイルと、前記一対の消磁コイルと直列に接続されたPTCと、前記一対の消磁コイルの内の一方の消磁コイルと直列に接続された抵抗と、前記一対の消磁コイルの接続を直列または並列に切り替えるスイッチ素子とを有し、
前記一対の消磁コイルが直列接続されたときには、前記PTCと前記一対の消磁コイルの直列接続体と前記抵抗とが直列に接続され、
前記一対の消磁コイルが並列接続されたときには、前記抵抗を除き、前記PTCと前記一対の消磁コイルの並列接続体とが直列に接続されることを特徴とする消磁回路。
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- 2002-06-07 JP JP2002167265A patent/JP2004015508A/ja active Pending
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