JP2004015118A - 圧電デバイス、及びこれを利用したicカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型のICカード等の電子機器に実装することができる圧電デバイス、及びこれを利用したICカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造を提供すること。
【解決手段】圧電振動片20と、この圧電振動片20の一部を支持固定して収容するパッケージ36と、このパッケージ36の開放端面34bに接合した蓋体46と、前記パッケージ36に設けた実装端子52とを備える圧電デバイスを、実装基板12に実装する圧電デバイスの実装構造であって、前記実装基板12は、前記圧電デバイスを挿入するための孔12bを有し、この孔の内周に段部である基板側段部12aを設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子13を設け、前記パッケージ36には、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子52を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】圧電振動片20と、この圧電振動片20の一部を支持固定して収容するパッケージ36と、このパッケージ36の開放端面34bに接合した蓋体46と、前記パッケージ36に設けた実装端子52とを備える圧電デバイスを、実装基板12に実装する圧電デバイスの実装構造であって、前記実装基板12は、前記圧電デバイスを挿入するための孔12bを有し、この孔の内周に段部である基板側段部12aを設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子13を設け、前記パッケージ36には、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子52を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電デバイス、及びこれを利用したICカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電デバイスは、従来より、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、あるいはページングシステム等の移動体通信機器などの様々な電子機器に用いられている。
図18は、これらの電子機器の実装基板130上に、圧電デバイスとしての例えば圧電振動子110を実装し、これを縦方向に切断してその内部構造を示した概略縦断面図である。
【0003】
この図において、圧電振動子110は、内側に孔を設けた基板を積層することで内部空間Sを設けたパッケージ112を形成している。このパッケージ112にロウ材114を用いて蓋体116を接合している。
内部空間S内には、圧電振動片118の基部118aが、導電性接着剤120を用いてパッケージ112に設けられた電極122に支持固定されている。
【0004】
この電極122は、効率よく電界を発生させるために、導電性接着剤120を介して、圧電振動片118の表面に設けられた励振電極(図示せず)と電気的に接続されている。また、電極122は、パッケージ112の裏面112aに設けられた実装端子124とも電気的に接続されている。
【0005】
一方、実装基板130の上面130aには、圧電振動子110に駆動電圧を印加するための基板側端子132が載置されており、この基板側端子132と、上述のパッケージ112の裏面112aに設けられた実装端子124とが、導電性接着剤134を介して電気的に接続されている。
そして、基板側端子132から実装端子124に、実装端子124から電極122に、電極122から励振電極を介して圧電振動片118に駆動電圧を印加し、圧電振動子110から所定の振動周波数の信号を取り出すようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、上述のような情報機器や移動体通信機器などの様々な電子機器については、小型薄型化がめざましく、それらに用いられる圧電デバイスも小型薄型化が要求されている。
特に、情報処理のために基準クロックを生成するための圧電デバイスは、メモリカード、I/O(入出力)カード、ISO準拠カードなどの半導体集積回路(IC)を使用した板状の厚みの薄いICカードに組み込まれて利用されることが検討されている。
また、これらICカードは、携帯電話装置に設けられたカードスロットに差し込んで用いられ、加入権情報(電話番号)を書き込んだ所謂SIMカードや、ITS(高速道路情報システム)の一環として、車のETCユニット(車載器)に差し込む所謂ETCカードなどとして、様々な分野で実用化され始められている。このため、圧電振動子110を実装したICカードを、例えば0.8mmと、さらに薄型化することが要求されている。
【0007】
ところが、図18における圧電振動子110の厚みh1は、小型のものでも約0.8mm程度である。そうすると、従来のように、実装基板130の上面130aにある基板側端子132と、パッケージ112の裏面112aに設けられた実装端子124とを、導電性接着剤134等を介して電気的に接続すると、少なくとも、ICカードの厚みh2は1mmを超えてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の課題を解決するためのものであり、ICカード等の電子機器に実装して全体の薄型化を実現できる圧電デバイス、及びこれを利用したICカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明によれば、圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面に接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスを、実装基板に実装する圧電デバイスの実装構造であって、前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とする圧電デバイスの実装構造により達成される。
【0010】
請求項1の構成によれば、実装基板は孔を有し、この孔の内周に段部を設け、この段部に基板側端子が設けられている。一方、パッケージには、上記段部に設けた基板側端子と対向する位置に実装端子を設けている。そうすると、圧電デバイスを、この実装基板の孔の段部の位置まで埋め込んで、基板側端子と実装端子を接続して実装することができる。したがって、孔に埋め込まれた圧電デバイスの厚み分について、実装構造全体の厚みを薄くすることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記パッケージの側壁は、前記基板側段部と対向する位置に段部を有し、この段部に前記実装端子を設けたことを特徴とする。
請求項2の構成によれば、上述のように、圧電デバイスを基板の孔の段部の位置まで埋め込むことができる。さらに、段部は実装基板だけでなく、パッケージにも設けられており、これらの段部は互いに対向する位置に設けられている。そうすると、圧電デバイスを、圧電デバイスの段部の厚み分だけ、より実装基板の孔に深く挿入することができる。
これにより、請求項1と同様の作用を発揮し、さらにより深く実装基板の孔に埋め込まれた圧電デバイスの厚み分について、実装構造全体の厚みを薄くすることができる。
【0012】
また、上記目的は、請求項3の発明によれば、圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面に接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスであって、前記パッケージの側壁は段部を有し、この段部に前記実装端子を設けたことを特徴とする圧電デバイスにより達成される。
【0013】
請求項3の構成によれば、圧電デバイスはパッケージの側壁に段部を有し、この段部に実装端子を設けている。そうすると、この圧電デバイスを実装基板に実装するときには、実装基板側の基板側端子はパッケージの段部がある側壁部分に位置して接続されるため、実装状態で厚み方向の全体の大きさを小さくできる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、前記パッケージは積層された基板からなり、この積層された基板のうち、前記開放端面側の基板により前記段部が形成されるように基板外形を大きくしたことを特徴とする。
【0015】
請求項4の構成によれば、パッケージは複数の基板が積層されることにより形成されている。そして、この複数の基板の内、前記開放端面側の基板について、パッケージの段部が形成されるように、その外形を大きくしている。そうすると、パッケージの開放端面の面積を従来の開放端面の面積よりも大きくすることができ、蓋体を接合する面積も大きくとることができる。
これにより、請求項3と同様の作用を発揮し、さらにパッケージと蓋体との接合強度が増すことになる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項3または4のいずれかの構成において、前記段部および前記実装端子は、前記パッケージの長手方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする。
請求項5の構成によれば、パッケージの段部および実装端子は、パッケージの長手方向に沿って延びるように形成されている。したがって、圧電デバイスを実装基板に実装した場合に、長手方向について実装端子と実装基板とが接続される面積が大きくなるため、実装端子と実装基板との長手方向の接続強度が増すこととなる。
【0017】
また、上記目的は、請求項6の発明によれば、圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面にロウ材を用いて接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスであって、前記開放端面は、前記蓋体と前記パッケージとを接合する接合面とは別に、前記実装端子を設けるための端子配置面を有することを特徴とする圧電デバイスにより達成される。
【0018】
請求項6の構成によれば、パッケージの開放端面に蓋体が接合されているが、この開放端面には、蓋体と接合する接合面とは別に、実装端子を配置するための端子配置面を有する。そうすると、この圧電デバイスを実装基板に実装するに際しては、実装基板側の端子と実装端子とは、この端子配置面で接合されることになる。したがって、少なくとも蓋体の厚み分について、実装状態で厚み方向の全体の大きさを小さくできる。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6の構成において、前記開放端面は、前記接合面と前記端子配置面との間に、前記ロウ材と前記実装端子とが接触することを避けるための絶縁部を設けることを特徴とする。
請求項7の構成によれば、前記開放端面は、前記接合面と前記端子配置面との間に、前記ロウ材と前記実装端子とが接触することを避けるための絶縁部を有するため、請求項6と同様の作用を発揮し、さらに蓋体を接合する際に溶融したロウ材が、絶縁部に阻まれて、実装端子と接触してショートすることを防止することができる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項6または7のいずれかの構成において、前記実装端子は、前記パッケージの長手方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする。
請求項8の構成によれば、実装端子はパッケージの長手方向に沿って延びるように形成されている。したがって、圧電デバイスを実装基板に実装する場合に、長手方向について実装端子と実装基板とが接続する面積は大きくなるため、実装端子と実装基板との長手方向の接続強度が増すこととなる。
【0021】
請求項9の発明は、請求項3ないし8のいずれかの構成において、前記パッケージの底部であって、前記圧電振動片の自由端側に対応する箇所に凹部が形成されているとともに、前記パッケージには封止材を充填するための貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項9の構成によれば、圧電振動片の自由端側に対応する箇所に凹部が形成されているため、圧電振動片の先端部が振れた場合に、この先端部がパッケージの内側底面と当接されることを有効に防止することができる。したがって、圧電振動片の先端側が損傷することを防止し、振動周波数、CI値(クリスタルインピーダンス値)の変化を防止することができる。
【0023】
また、圧電デバイスは、例えばパッケージ内に圧電振動片を導電性接着剤で載置固定した後、ロウ材を用いて蓋体をパッケージと接合して製造する。そうすると、このロウ材を溶融する際の熱が導電性接着剤等にも加わって、導電性接着剤等からガスが発生し、このガスの成分が圧電振動片に付着して振動周波数に悪影響を及ぼすおそれがある。しかし、パッケージの底面に貫通孔が形成されているので、このガスを貫通孔から取り除くことができる。また、蓋体を接合した後に、予め熱処理をして導電性接着剤等からガスを発生させて、このガスを貫通孔から取り除き、再度ガスが発生しないようにすることもできる。そうすると、圧電振動片にガスの成分が付着して振動周波数に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0024】
請求項10の発明は、請求項9の構成において、前記圧電振動片の前記パッケージ側に支持固定するための固定領域を有する基端部から平行に延びる振動腕に、長手方向に沿って延びる長溝を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項10の構成によれば、振動腕には長溝が形成されているため、振動腕内で電界が効率よく発生するため、圧電振動片の電界効率を高めることができる。そして、圧電振動片の電界効率が高まると、CI値(クリスタルインピーダンス値)を低く抑えることができる。また、振動腕に長溝を設けたことで、圧電振動片の質量も低減され、この点においてもCI値は低く抑えられる。
【0026】
また、振動腕には長溝が形成しても、パッケージ内の真空度が低いと、振動腕が空気の分子に衝突し、CI値を思ったように低く抑えられないことがある。しかし、パッケージの底面には、上述のように貫通孔が形成されているので、蓋体を接合するなどの際に、導電性接着材やロウ材などから発生するガスを貫通孔から取り除いて、パッケージ内の真空度を高めることができる。
【0027】
請求項11の発明は、請求項10の構成において、前記基端部は、前記固定領域と前記振動腕との間に、切り欠き部を有することを特徴とする。
請求項11の構成によれば、固定領域と振動腕との間に切り欠き部が有るために、振動腕の振動がこの固定領域に伝達し難くなり、CI値(クリスタルインピーダンス値)を低く抑えることができる。また、基端部を切り欠くことで圧電振動片の質量も低減され、CI値はさらに低く抑えられる。
【0028】
また、上記目的は、請求項12の発明によれば、圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続した実装基板とを備えるICカードであって、前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とするICカードにより達成される。
【0029】
請求項12の構成によれば、実装基板には孔が形成されており、この孔に圧電デバイスを埋め込むことができる。このため、孔に埋め込まれた圧電デバイスの厚み分について、圧電デバイスを実装したICカード全体の厚みを薄くすることができる。
そして、この孔の内周には段部である基板側段部が形成されており、この基板側段部に基板側端子が設けられている。一方、圧電振動子の実装端子はこの基板側段部と対向する位置に設けている。したがって、基板側端子と実装端子とを接続することができる。
【0030】
請求項13の発明は、請求項12の構成において、前記圧電デバイスは、前記ICカードの長手方向に前記圧電デバイスの短手方向が位置するように実装したことを特徴とする。
請求項13の構成によれば、圧電デバイスは、ICカードの長手方向に圧電デバイスの短手方向が位置するように実装されている。ここで、ICカードは、薄板状からなり、ICカードの短手方向よりも長手方向に曲げられやすい特性がある。一方、圧電デバイスのパッケージや蓋体等は、長手方向よりも短手方向に曲げの力が加わった方が強度は高い。したがって、ICカードの長手方向に圧電デバイスの短手方向が位置するように実装することで、ICカードが長手方向に曲げられたとしても、長手方向に働く曲げ強度についてICカードの強度を上げることができる。
【0031】
また、上記目的は、請求項14の発明によれば、圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続した実装基板とを備える携帯電話装置であって、前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とする携帯電話装置により達成される。
【0032】
また、上記目的は、請求項15の発明によれば、圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続する実装基板とを備える電子機器であって、前記実装基板は、前記圧電振動子を挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とする電子機器により達成される。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる圧電デバイス30の概略平面図であり、図2は、この圧電デバイス30を実装基板に実装した場合に、これを縦方向に切断してその内部構造を示した概略縦断面図である。
これらの図において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示しており、圧電デバイス30は、パッケージ36内に圧電振動片20を収容している。
【0035】
パッケージ36は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成型して形成される複数の基板32,34を積層した後に、燒結して形成されている。すなわち、図2に示されるように、この実施形態では、パッケージ36は、下から第1の積層基板32、第2の積層基板34を重ねて形成されている。
この第2の積層基板34は、その内側に所定の孔34aを形成することで、第1の積層基板32に積層した場合に、パッケージ36の内側に所定の内部空間S2を形成するようにされている。すなわち、第1の積層基板32の外形寸法を、第2の積層基板34の内側の孔34aの寸法よりも、大きく形成して、第1の積層基板32と第2の積層基板34とを積層し、内部空間S2を形成している。
【0036】
パッケージ36の第1の積層基板32の内部空間S2内の図において左端部付近32aには、例えば、金または金合金で形成した電極部50,50が設けられている。この電極部50,50の上に導電性接着剤26,26が塗布され、この導電性接着剤26,26の上に圧電振動片20の基部20aが載置されて、導電性接着剤26,26が硬化されるようになっている。なお、導電性接着剤26,26としては、接合力を発揮する接着成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、エポキシ系またはポリイミド系、またはシリコーン系導電性接着剤等を利用する。
【0037】
圧電振動片20は、例えば水晶で形成されており、水晶以外にもタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。本実施形態の場合、圧電振動片20は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図示する形状とされている。
すなわち、圧電振動片20は、パッケージ36側と固定される基部20aと、この基部20aを基端として、図において右方に向けて、二股に別れて平行に延びる1対の振動腕22,23を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂音叉型圧電振動片が利用されている。
【0038】
圧電振動片20の基部20aの導電性接着剤26と触れる部分には、駆動電圧を伝えるための引出電極(図示せず)が形成されており、これにより、圧電振動片20は、引出電極がパッケージ36側の電極部50,50と導電性接着剤26を介して、電気的に接続されている。
この引出電極は、圧電振動片20の表面に形成された励振電極(図示せず)と一体に形成されて、励振電極に駆動電圧を伝える。
【0039】
パッケージ36の開放された上端にある開放端面34bは、例えば、低融点ガラス等のロウ材44を介して、蓋体46が接合されることにより、封止されている。蓋体46は、好ましくは、後述するように、周波数調整を行うために、光を透過する材料、例えばガラスで形成されている。
【0040】
ここで、図2に示すように、開放端面34b側の基板である第2の積層基板34の長手方向の外形寸法W1を、第1の積層基板32の長手方向の外形寸法W2よりも、大きく形成している。
そして、第2の積層基板34の長手方向の孔34aの寸法W3より、第1の積層基板32の長手方向の外形寸法W2を大きくして内部空間S2を形成しつつ、上述のように、外形寸法の異なる第2の積層基板34と、第1の積層基板32とを積層して、パッケージ36を形成している。
このようにして、パッケージ36の短手方向に沿った側壁、すなわち図2で示す右側の側壁および左側の側壁の2箇所に、下向きの段部36a,36aを形成するようになっている。
【0041】
図3は、この段部36a,36aのうち、図2において左側の側壁の段部36aを中心に拡大した部分拡大図である。なお、図2の右側の側壁の段部36a付近については、左側の側壁の段部36a付近と同様であるから、説明を省略する。
図3では、上述のように第2の積層基板34の長手方向の外形寸法を大きくしたことで形成した段部36aに、実装端子52を設けている。この実装端子52は、第1の積層基板32の内部空間内の上面32aに設けられた電極部50と一体に接続することで、圧電振動片20に駆動電圧を伝える。
【0042】
すなわち、第1の積層基板32の上面32aに設けられた電極部50は、段部36aの方向に向かって、第1の積層基板32と第2の積層基板34との間を通って、実装端子52と接続されている。このため、電極部50と実装端子52とは、パッケージ36の厚み方向yと直交する方向xに沿って延長して接続されているため、電極部50は、パッケージ36の厚み方向yに引き回されることがなく、不必要にパッケージ36の厚みが大きくなることはない。
【0043】
また、図3では、実装基板12には、圧電デバイス30が埋め込まれるように、孔12bが形成されている。この孔12bの内周には、上述の圧電デバイス30の段部36aに設けた実装端子52と対向する位置に、基板側段部12aが上向きに設けられている。この基板側段部12aには、圧電デバイス30の実装端子52と電気的に接続するための端子である基板側端子13を設けている。
このようにして、圧電デバイス30を実装基板12に実装した場合に、実装端子52と基板側端子13とは、互いに対向する位置に配置されるようになっている。
そして、圧電デバイス30を、実装基板12の孔12bに埋め込み、互いに対向する位置に設けられた実装端子52と基板側端子13とを、例えば導電性接着剤15を用いて接続している。
【0044】
本発明の第1の実施形態は以上のように構成され、このため、圧電デバイス30を、実装基板12の上端面から基板側端子13に塗布された導電性接着剤15の上面までの厚み分h2について、孔12bに埋め込むことができる。また、上述のように、圧電デバイス30のパッケージ36にも段部36aを設けているので、基板側端子13の上面に塗布された導電性接着剤15から実装基板12の底面までの厚み分h3についても、圧電デバイス30を孔12bに埋め込むことができる。
したがって、実装基板12と圧電デバイス30の実装構造全体の厚みを、孔12bに埋め込んだh2及びh3の厚み分について、薄くすることができる。
【0045】
また、パッケージ36の段部36aを形成するにあたっては、上述のように、第2の積層基板34の長手方向の孔34aの寸法W3より、第1の積層基板32の長手方向の外形寸法W2を大きくして内部空間S2を形成しつつ、すなわち、第2の積層基板34の孔34aの長手方向の寸法W3を従来と変えることなく、第2の積層基板34の長手方向の外形寸法W1のみを大きくしている。このため、パッケージ36の開放端面34bの長手方向の寸法W4を従来より大きくとることができる。したがって、パッケージ36の蓋体46を接合する面積を大きくして、パッケージ36と蓋体46との接合強度を高めることができる。
【0046】
図4は、本発明の第2の実施形態にかかる圧電デバイス60の概略平面図であり、図5は、この圧電デバイス60を実装基板に実装した場合に、図4のA−A線で切断した切断面である概略切断端面図である。
これらの図において、図1ないし図3の圧電デバイス30および実装基板12と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0047】
この圧電デバイス60において、第1の実施形態と異なるのは、圧電デバイス60の長手方向に沿って延びるように、パッケージ62に段部62aが形成されている点である。
すなわち、開放端面62b側の基板である第2の積層基板64の短手方向の外形寸法W5を、底面側の第1の積層基板66の短手方向の外形寸法W6よりも、大きく形成している。
そして、第1の実施形態と同様にして、第1の積層基板66と第2の積層基板64とを積層することで、パッケージ62の長手方向に沿った側壁、すなわち図5で示す右側の側壁および左側の側壁の2箇所に、段部62a,62aが形成されるようになっている。
【0048】
また、実装基板12には、パッケージ62の長手方向に沿った側壁に段部62aを設けた圧電デバイス60が埋め込まれるように、孔12bが形成されている。この孔12bの内周には、圧電デバイス60の段部62aに設けた実装端子54と対向する位置に、基板側段部12aを設けている。この基板側段部12aには、圧電デバイス60の実装端子54と電気的に接続するための基板側端子13を設けている。
このようにして、圧電デバイス60を実装基板12に実装した場合に、実装端子54と基板側端子13とは、互いに対向する位置に配置されるようになっている。
そして、圧電デバイス60を、実装基板12の孔12bに埋め込み、互いに対向する位置に設けられた実装端子54と基板側端子13とを、例えば導電性接着剤15を用いて接続している。
【0049】
本発明の第2の実施形態は以上のように構成され、このため、圧電デバイス60を、実装基板12の上端面から基板側端子13の上面に塗布した導電接着剤15までの厚み分h2について、孔12bに埋め込むことができる。また、上述のように、圧電デバイス60のパッケージ62に段部62aを設けているので、基板側端子13の上面に塗布した導電性接着剤15から実装基板12の底面までの厚み分h3についても、圧電デバイス60を孔12bに埋め込むことができる。したがって、圧電デバイス60の実装構造全体の厚みを、孔12bに埋め込んだh2及びh3の厚み分について、薄くすることができる。
【0050】
また、本発明の第2の実施形態については、上述のように、第2の積層基板64の孔34aの短手方向の寸法W7を従来と変えることなく、第2の積層基板64の短手方向の外形寸法W5のみを大きくして、段部62aを形成している。
このため、パッケージ62の開放端面62bの短手方向の寸法W8を大きくとることができ、しかも、この短手方向の寸法W8は、長手方向に沿って延びている。したがって、パッケージ62の蓋体46を接合する面積を、第1の実施形態に比べてより大きくして、パッケージ62と蓋体46との接合強度を高めることができる。
【0051】
さらに、上述のように、パッケージ62の段部62aに設けた実装端子54と、実装基板12の基板側段部12aに設けた基板側端子13とは、パッケージ62の長手方向に沿って延びるように形成されている。したがって、第1の実施形態の作用効果に加えて、圧電デバイス60を実装基板12に実装した場合に、長手方向について実装端子54と基板側端子13とが接続される面積が大きくなり、実装端子54と基板側端子13との接続強度がより増すこととなる。
【0052】
図6ないし図8は、本発明の第2の実施形態にかかる第1の変形例であり、図6は、圧電デバイス70の概略平面図であり、図7は、図6のB−B線で切断してその内部構造を示す概略断面図であり、図8は、図6のC−C線で切断した切断面である概略切断端面図である。
これらの図において、図4および図5の圧電デバイス60と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0053】
この圧電デバイス70において、第2の実施形態と異なるのは、圧電振動片20の自由端20bがパッケージ62の内側底面に振れた場合に対応するパッケージの箇所に、凹部67aを形成している点、および、パッケージ62に封止材48を充填するための貫通孔69が形成されている点である。
【0054】
これらの図では、パッケージ62は、第2の実施形態において説明した図5の第1の積層基板66がさらに2層に分れている。すなわち、図7では、下から第1の積層基板を構成する積層基板68と第1の積層基板を構成する積層基板67と第2の積層基板64とが積層されて構成されている。
このパッケージ62を構成する積層基板のうち、図7において、積層基板67の右端部付近に孔を形成することにより、積層基板67と積層基板68とを積層することで、この積層基板67の厚みに対応した凹部67aが形成されている。この凹部67aは、圧電振動片20の自由端20bである先端部の下方に位置している。
【0055】
これにより、特に、圧電デバイス70の厚みを小さく形成した場合においても、圧電振動片20の自由端20bが、矢印D方向に変位して振れた際に、パッケージ62の内側底面と当接されることを有効に防止することができる。したがって、圧電振動片の自由端20bが損傷することを防止し、振動周波数、CI値(クリスタルインピーダンス値)の変化を防止することができる。
【0056】
また、パッケージ62の底面ほぼ中央付近には、パッケージ62を構成する2枚の積層基板67,68に連続する貫通孔67b,67cを形成することにより、外部に開口した貫通孔69が設けられている。
この貫通孔69を構成する2つの貫通孔のうち、パッケージ62内部に開口する第1の孔67bに対して、第2の孔である外側の貫通孔67cは、より小さな内径を備えるようにされている。これにより、貫通孔69は、図7および図8において上向きの段部68aを備える段つき開口とされている。この段部68aの表面には、金属被覆(図示せず)がされている。
この貫通孔69は、圧電デバイス70の構成部材から発生し内部空間S2内に滞留する有害なガスを排出するための孔である。
【0057】
具体的には、圧電デバイス70を、以下の工程で製造する際に、貫通孔69からガスを排出する。
図9は、圧電デバイス70の製造方法の一例を示す図である。
この製造方法においては、先ず、パッケージ62を構成するセラミックベースと、圧電振動片20と、蓋体46とを別々に形成してから、これを完成させて、接合固定する。
【0058】
ここで、パッケージ62に関しては、圧電振動片20と蓋体46を除く、上述した構造を所定の工程により形成して、パッケージベースを完成させる。また、蓋体46と、圧電振動片20は、すでに説明したとおりの構成を、それぞれ別々の工程で完成させる。この際、圧電振動片20には、予め励振電極を設けておく(ST1−2)。
【0059】
パッケージ62に、圧電振動片20を接合する(マウント)。この場合、図7の電極部50に、導電性接着剤26を塗布し(ST1−1)、その上から圧電振動片20の基部20aを載せて、僅かに荷重をかけることで、導電性接着剤26を基部20aと電極部50との間で好適に介在させ、導電性接着剤26を乾燥固化させることにより、接合工程が完了する(ST2)。
【0060】
パッケージベースに圧電振動片20を接合したら、例えばパッケージ62の開放端面62bに、低融点ガラスからなるロウ材44を適用し、蓋体46を載せて、加熱によりロウ材44を溶融させて、蓋体46をパッケージ62に対して接合する(ST3)。
この際、このロウ材44を溶融する熱が導電性接着剤26などにも加わって、導電性接着剤26等からガスが発生し、このガスの成分が圧電振動片20に付着して振動周波数に悪影響を及ぼすおそれがある。
しかし、パッケージ62には、上述のように貫通孔69が形成されているので、このガスを貫通孔69から取り除くことができる。
【0061】
続いて、蓋体46が接合されたパッケージ62を加熱する。すなわち、蓋体46を接合した後に、予め熱処理をして導電性接着剤26等からガスを発生させて、このガスを貫通孔69から取り除き、再度ガスが発生しないようにする。そうすると、圧電振動片20にガスの成分が付着して振動周波数に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0062】
次に、例えば、図7のパッケージ62の底部を上にして、つまり、第2の孔である外側の貫通孔67cを上にして、例えば、球形に形成した金属封止材を載置する。
この状態で、例えば、金属製封止材にレーザ光を照射するなどして溶融させる(ST4)。このようにして、溶融された金属製封止材は、図7に示すような形状の封止材48となって貫通孔69を封止する。
すなわち、貫通孔69は、上述のように段つき構造となっており、この段部68aには、金属被覆(図示せず。)がされている。このため、溶融した封止材48が、第2の孔67cに入り込んで、第1の孔67bと連通される段部68aに設けた金属被覆で濡れ広がる。このため、溶融された封止材48は、それ以上パッケージ62内に進入しないようにすることができ、圧電振動片20等に付着して、振動性能を阻害する等の不都合を有効に防止することができる。
【0063】
次に、レーザ照射手段により、蓋体46を透過させてパッケージ62内の圧電振動片20の金属被膜(例えば、励振電極の一部)に対して、レーザ光を照射し、金属の一部を蒸散させることによって、質量削減方式による周波数調整を行う(ST5)。
次いで、所定の検査を行い(ST6)、圧電デバイス70を完成させる。
【0064】
このように、パッケージ62内部に開口する第1の孔67bと、この孔67bより小さな第2の孔である外側の貫通孔67cとで、金属被覆を設けた段部68aを形成した貫通孔69により、パッケージ62内で発生する有害なガスを排出し、かつ、溶融された封止材48が、圧電振動片20等に付着して、振動性能を阻害する等の不都合を有効に防止することができる。
【0065】
図10および図11は、本発明の第2の実施形態にかかる第2の変形例であり、図10は圧電デバイス72の概略平面図であり、図11は図10のJ−J線で圧電振動片20を切断した切断面である概略切断端面図である。
これらの図において、図6の圧電デバイス70と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0066】
この圧電デバイス72において、他の実施形態と異なるのは、圧電振動片20の基部20aから平行に延びる複数の振動腕22,23に長溝90,90を設けた点である。基部20aは、圧電振動片20を導電性接着剤26,26によってパッケージ62側と固定した固定領域20c,20cを有する。
【0067】
長溝90,90は、圧電振動片20の電界効率を高めるための溝である。具体的には、長溝90,90は、振動腕22,23の長手方向に延びるように設けられている。また、長溝90,90は、振動腕22,23の上面および下面に設けられており、図11に示すように、長溝90,90を設けた振動腕22,23の断面形状を略H型としている。なお、長溝90については、溝ではなく貫通孔としたり、或いは振動腕22,23の断面形状をV字状等になるように形成してもよい。
【0068】
このような長溝90,90を設けることで、振動腕22,23に厚みが薄い箇所が形成され、振動腕22,23内の電界が、例えば図11において左右の両端側に形成された縦方向に延びる各壁部の厚み方向Eに沿って、効率よく発生することとなり、圧電振動片20の電界効率を高めることができる。
したがって、長溝90を設けることで、圧電振動片20のCI値(クリスタルインピーダンス値)を他の実施形態のCI値と比べて低く抑えることができる。また、振動腕22,23に長溝90,90を設けたことで、圧電振動片20の質量も低減され、CI値はさらに低く抑えられる。
【0069】
また、図11に示すように、外部からの駆動電圧を電極部50及び導電性接着剤26を介して振動腕22,23に伝えるための図示しない励振電極と接続された電極92を、長溝90の内壁面90bと振動腕22,23の左右の側壁面22aに設けることで、さらに振動腕22,23内の電界を効率よく発生させて、より圧電振動片20のCI値を低く抑えている。
【0070】
そして、このような圧電振動片20のCI値を、他の実施形態と同様のCI値となるように形成した場合には、振動腕22,23の長さを、他の実施形態と比べて短くすることができるため、圧電振動片20を小型化することができる。そして、このように小型化された圧電振動片20は、従来よりも小型のパッケージ62に収容することができる。
【0071】
これにより、第2の実施形態の第2の変形例においては、他の実施形態の作用効果を発揮し、さらにパッケージ62を小型化して、この小型化された圧電デバイス72を実装した圧電デバイス72の実装構造全体の厚みを小さくすることができる。
また、振動腕22,23に長溝90,90を形成しても、パッケージ62内の真空度が低いと、振動腕22,23が空気の分子に衝突し、CI値を思ったように低く抑えられないことがある。しかし、パッケージ62の底面には貫通孔69が形成されているので、上述のように、蓋体46を接合するなどの際に、導電性接着材26やロウ材44などから発生するガスを貫通孔69から取り除いて、パッケージ62内の真空度を高めることができる。
【0072】
図12は、本発明の第2の実施形態にかかる第3の変形例であり、圧電デバイス74の概略平面図である。
この図において、図10の圧電デバイス72と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0073】
この圧電デバイス74において、第2の実施形態にかかる第2の変形例と異なるのは、圧電振動片20の基部20aに切り欠き部若しくはくびれ部20d,20dを設けている点である。
基部20aは、圧電振動片20のうち一対の振動腕22,23を除いた部分であり、導電性接着剤26,26と固定した固定領域20c,20cを有する。
【0074】
そして、この基部20aの固定領域20c,20cと振動腕22,23との間において、両端部(図12における上下部)の2箇所に切り欠き部若しくはくびれ部20d,20dを設けている。例えば、図12においては、圧電振動片20の基部20aの左端部に導電性接着剤26,26と固定した固定領域20c,20cがあり、この固定領域20c,20cよりも振動腕22,23側の基部20aには、基部20aの幅が縮幅されて形成された切り欠き部20d,20dが設けられ、この切り欠き部20d,20dに隣接して、拡径部20e,20eが一体に形成されており、この拡径部20e,20eから、図において右方に向かって振動腕22,23が平行に延びている。
【0075】
第2の実施形態の第3の変形例は以上のように構成されており、このため、圧電デバイス74においては、振動腕22,23からの振動が、導電接着剤26,26で固定された固定領域20c,20cに伝わり難くなるため、振動腕22,23のCI値を、他の実施形態よりも、低くすることができる。
また、基部20aを切り欠くことで圧電振動片20の質量も低減され、CI値はさらに低く抑えられる。
【0076】
そして、このような圧電振動片20のCI値を他の実施形態と同様のCI値となるように形成した場合には、振動腕22,23の長さは他の実施形態と比べて短くすることができるため、圧電振動片20を小型化することができる。そして、このように小型化された圧電振動片20は、従来よりも小型のパッケージ62に収容することができる。
これにより、第2の実施形態にかかる第3の変形例おいては、他の実施形態の作用効果を発揮し、さらにパッケージ62を小型化して、この小型化された圧電デバイス74を実装した圧電デバイス74の実装構造全体の厚みを小さくすることができる。
【0077】
図13は、本発明の第3の実施形態にかかる圧電デバイス80の概略平面図であり、図14は、この圧電デバイス80を実装基板に実装した場合に、図13のF−F線で切断した切断面である概略切断端面図である。
これらの図において、第2の実施形態における図4および図5の圧電デバイス60と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0078】
この圧電デバイス80において、第2の実施形態と異なるのは、パッケージ82の開放端面82aの位置で、圧電デバイス80が実装基板に電気的に接続されている点である。
パッケージ82は、図14において下から第1の積層基板84と第2の積層基板86とを積層してなっている。この第2の積層基板86については、開放端面82aの短手方向の寸法W9を大きくして、蓋体46と接合する接合面86bとは別に、実装基板81と接合するための端子配置面86aが設けられるようになっている。
この端子配置面86aには実装端子56が設けられており、この実装端子56は、パッケージ82の内部空間S2内の第1の基板84の上面に設けられた電極部50と接続されている。
【0079】
また、図13および図14では、開放端面82aに設けられた接合面86bと端子配置面86aとの間に、絶縁部86cを設けている。この絶縁部86cは、ロウ材44が端子配置面86aに進入してこないようにするための絶縁部である。すなわち、図9で示したように、パッケージ82はロウ材44を溶融して蓋体46と接合されるが、接合面86bと端子配置面86aとの間に絶縁部86cを設けることで、溶融したロウ材44が絶縁部86cに阻まれ、実装端子56とロウ材44とが接触してショート等することを防止することができる。
なお、絶縁部86cは凸部としたり、或いはロウ材44の濡れ性が悪い金属膜を塗布するなどしてもよいが、パッケージ82の厚みを小さくするためにも、好ましくは図示するような凹部で形成することが望ましい。
【0080】
また、図14では、実装基板81に、圧電デバイス80を埋め込むことができるように孔81bが形成されている。この孔81bの内周には、圧電デバイス80の実装端子56と対向する位置に、基板側段部81aを設けている。この基板側段部81aには、圧電デバイス80の実装端子56と電気的に接続するための基板側端子83を設けている。
このようにして、圧電デバイス80を実装基板81に実装した場合に、実装端子56と基板側端子83とは、互いに対向する位置に配置されるようになっている。
そして、圧電デバイス80を、実装基板81の孔81bに埋め込んで、実装端子56と基板側端子83とを導電性接着剤15等を用いて接続している。
【0081】
第3の実施形態は以上のように構成され、このため、圧電デバイス80を、実装基板81の底面から基板側端子83に塗布されている導電性接着剤15の下面までの厚み分h4について、孔81bに埋め込むことができる。また、上述のように、基板側端子83と実装端子56とは、開放端面82aに設けられた端子配置面86aの上面で接合されるため、蓋体46の厚み分についても、実装状態で厚み方向の全体の大きさを小さくできる。したがって、圧電デバイス80の実装構造全体の厚みを薄くすることができる。
【0082】
また、図14においては、第2の積層基板86だけでなく、パッケージ82の底部側の第1の積層基板84についても、第2の積層基板86と同様に短手方向の寸法W9を大きくしている。このため、第3の実施形態においては、パッケージ82全体の剛性を強くすることができる。
【0083】
図15は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのICカード2の概略構成を示す図であり、図16は、このICカード2のブロック図である。
これらの図においては、ICカード2は、実装基板12に、電池18、I/O端子14、制御部16、表示部19、および上述した本発明の各実施形態に係る圧電デバイス、例えば図1ないし図3に示す圧電デバイス30を電気的に接続している。
これらの実装基板12、I/O端子14、制御部16、電池18、表示部19、および圧電デバイス30は、樹脂製のラミネートシートなどの保護カバー11で覆われている。
【0084】
実装基板12は、プラスチックなどの合成樹脂又はガラス基板などの比較的薄い板状の絶縁基板である。この実装基板12には、図16に示す複数の配線17が形成されている。この配線17は、I/O端子14、制御部16、電池18、表示部19、及び圧電デバイス30を接続するための各端子、例えば図2における基板側端子13と導通されている。
【0085】
電池18は、制御部16、表示部19、及び圧電デバイス30と接続して、制御部16、表示部19、及び圧電デバイス30に電源を供給している。なお、図15および図16においては、電池18を搭載したICカード2を図示しているが、電源はリーダライタなどの外部インターフェース(図示せず)から供給されても勿論よい。
【0086】
I/O端子14は、リーダライタ(図示せず)などの外部インターフェイスとの間で、データ信号の入出力を行うための端子である。すなわち、このI/O端子14は、配線17を用いて制御部16と導通可能に接続されており、制御部16はI/O端子14を介して外部インターフェイスとの間でデータ信号のやりとりを行っている。なお、このI/O端子14は、外部インターフェイスのコネクタ(図示せず)にICカード2を差し込んでデータ通信を行う接触型であると、外部インターフェイスのコネクタにICカード2を差し込むことなく、アンテナを通じて電波でデータ通信を行う非接触型であるとを問わない。
【0087】
制御部16は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(データ処理用メモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)が搭載されており、データの記憶、読み出し、所定の演算処理などを行っている。なお、制御部16には、電気的に書換え可能なROMである所謂EEPROMが装着されていてもよい。
そして、制御部16は表示部19とも配線17を用いて導通可能に接続されており、表示部19は制御部16の指示データにしたがって所定の表示を行うようになっている。
【0088】
この制御部16は、圧電デバイス30とも配線17を介して導通可能に接続されている。すなわち、制御部16に接続された配線17には、例えば、図2で示した基板側端子13が接続されている。そして、この基板側端子13に、圧電デバイス30の実装端子52を、導電性接着剤15を用いて接続している。このようにして、圧電デバイス30は、制御部16のCPUに基準クロックを付与している。
【0089】
ここで、図2で示したように、圧電デバイス30には、実装端子52を載置した段部36aが設けられている。一方、実装基板12には、この実装端子52と対向する位置に基板側端子13を載置した基板側段部12aを有する孔12bが形成されている。したがって、圧電デバイス30を実装基板12の孔12bに埋め込むことで、上述のようにICカード2全体の厚みを小さくすることができる。
【0090】
また、図15では、圧電デバイス30は、ICカード2の長手方向に圧電デバイス30の短手方向が位置するように、実装基板12に実装されている。
ここで、ICカード2は薄板状からなるため、ICカード2の短手方向よりも長手方向に曲げられやすい特性がある。一方、圧電デバイス30のパッケージや蓋体等は、長手方向よりも短手方向に曲げの力が加わった方が強度は高い。
したがって、上述のように、ICカード2の長手方向に圧電デバイス30の短手方向を位置させることで、ICカード2が長手方向に曲げられたとしても、長手方向に働く曲げ強度についてICカード2の強度を上げることができる。
【0091】
図17は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置300の概略構成を示す図である。
図において、送信者の音声を受信するマイクロフォン308及び受信内容を音声出力とするためのスピーカ309を備えており、さらに、送受信信号の変調及び復調部に接続された制御部としての集積回路等でなるコントローラ301を備えている。
コントローラ301は、送受信信号の変調及び復調の他に画像表示部としてのLCDや情報入力のための操作キー等でなる情報の入出力部302や、RAM,ROM等でなる情報記憶手段303の制御を行うようになっている。このため、コントローラ301には、上述の各実施形態の圧電デバイスが取付けられる。例えば、コントローラ301には、圧電デバイス30が取り付けられて、その出力周波数をコントローラ301に内蔵された所定の分周回路(図示せず)等により、制御内容に適合したクロック信号として利用するようにされている。このコントローラ301に取付けられる圧電デバイス30は、圧電デバイス30単体でなくても、圧電デバイス30と、所定の分周回路等とを組み合わせた発振器でもよい。
【0092】
コントローラ301は、さらに、温度補償水晶発振器(TCXO)305と接続され、温度補償水晶発振器305は、送信部307と受信部306に接続されている。これにより、コントローラ301からの基本クロックが、環境温度が変化した場合に変動しても、温度補償水晶発振器305により修正されて、送信部307及び受信部306に与えられるようになっている。
【0093】
このように、制御部を備えた携帯電話装置300のような電子機器の実装基板に、上述した実施形態に係る圧電デバイスを埋め込むことにより、携帯電話装置全体を小型化することができる。
【0094】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜相互に組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
この発明の圧電デバイスは、パッケージ内に圧電振動片と、これに接続される電子部品を含むものであれば、圧電発信器、圧電振動子、フィルタ等その名称を問わずに適用できるものである。
また、本発明の各実施形態において、パッケージ内に収容される圧電振動片を音叉型圧電振動片に代えて、圧電材料を薄い矩形状としたATカット振動片としてもよく、また、パッケージ内に音叉型圧電振動片とATカット振動片との両方を収容するようにしてもよい。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、薄型のICカード等の電子機器に実装することができる圧電デバイス、及びこれを利用したICカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる圧電デバイスの概略平面図。
【図2】第1の実施形態にかかる圧電デバイスを実装基板に実装した場合に、これを縦方向に切断してその内部構造を示した概略縦断面図。
【図3】図2の左側の側壁の段部を中心とした部分拡大図。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる圧電デバイスの概略平面図。
【図5】第2の実施形態にかかる圧電デバイスを実装基板に実装した場合に、図4のA−A線で切断した切断面である概略切断端面図。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる第1の変形例であり、圧電デバイスの概略平面図。
【図7】図6のB−B線で切断してその内部構造を示す概略断面図。
【図8】図6のC−C線で切断した切断面である概略切断端面図。
【図9】圧電デバイスの製造方法の一例を示す図。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる第2の変形例であり、圧電デバイスの概略平面図。
【図11】図10のJ−J線で圧電振動片を切断した切断面である概略切断端面図。
【図12】本発明の第2の実施形態にかかる第3の変形例であり、圧電デバイスの概略平面図。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかる圧電デバイスの概略平面図。
【図14】第3の実施形態にかかる圧電デバイスを実装基板に実装した場合に、図13のF−F線で切断した切断面である概略切断端面図。
【図15】圧電デバイスを利用したICカードの概略構成を示す図。
【図16】ICカードのブロック図。
【図17】圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図18】電子機器の実装基板上に、圧電デバイスとしての例えば圧電振動子を実装し、これを縦方向に切断してその内部構造を示した概略縦断面図。
【符号の説明】
30,60,70,72,74,80・・・圧電デバイス、36,62,82・・・パッケージ、32,66・・・第1の積層基板、34,64・・・第2の積層基板、36a,62a・・・段部、52,54,56・・・実装端子、44・・・ロウ材、46・・・蓋体、20・・・圧電振動片、50・・・電極部、26・・・導電性接着剤、67a・・・凹部、69・・・貫通孔、48・・・封止材、90・・・長溝、20d・・・切り欠き部、82a・・・開放端面、86b・・・接合面、86a・・・端子配置面、86c・・・絶縁部、12,81・・・実装基板、12a,81a・・・基板側段部、13,83・・・基板側端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電デバイス、及びこれを利用したICカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電デバイスは、従来より、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、あるいはページングシステム等の移動体通信機器などの様々な電子機器に用いられている。
図18は、これらの電子機器の実装基板130上に、圧電デバイスとしての例えば圧電振動子110を実装し、これを縦方向に切断してその内部構造を示した概略縦断面図である。
【0003】
この図において、圧電振動子110は、内側に孔を設けた基板を積層することで内部空間Sを設けたパッケージ112を形成している。このパッケージ112にロウ材114を用いて蓋体116を接合している。
内部空間S内には、圧電振動片118の基部118aが、導電性接着剤120を用いてパッケージ112に設けられた電極122に支持固定されている。
【0004】
この電極122は、効率よく電界を発生させるために、導電性接着剤120を介して、圧電振動片118の表面に設けられた励振電極(図示せず)と電気的に接続されている。また、電極122は、パッケージ112の裏面112aに設けられた実装端子124とも電気的に接続されている。
【0005】
一方、実装基板130の上面130aには、圧電振動子110に駆動電圧を印加するための基板側端子132が載置されており、この基板側端子132と、上述のパッケージ112の裏面112aに設けられた実装端子124とが、導電性接着剤134を介して電気的に接続されている。
そして、基板側端子132から実装端子124に、実装端子124から電極122に、電極122から励振電極を介して圧電振動片118に駆動電圧を印加し、圧電振動子110から所定の振動周波数の信号を取り出すようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、上述のような情報機器や移動体通信機器などの様々な電子機器については、小型薄型化がめざましく、それらに用いられる圧電デバイスも小型薄型化が要求されている。
特に、情報処理のために基準クロックを生成するための圧電デバイスは、メモリカード、I/O(入出力)カード、ISO準拠カードなどの半導体集積回路(IC)を使用した板状の厚みの薄いICカードに組み込まれて利用されることが検討されている。
また、これらICカードは、携帯電話装置に設けられたカードスロットに差し込んで用いられ、加入権情報(電話番号)を書き込んだ所謂SIMカードや、ITS(高速道路情報システム)の一環として、車のETCユニット(車載器)に差し込む所謂ETCカードなどとして、様々な分野で実用化され始められている。このため、圧電振動子110を実装したICカードを、例えば0.8mmと、さらに薄型化することが要求されている。
【0007】
ところが、図18における圧電振動子110の厚みh1は、小型のものでも約0.8mm程度である。そうすると、従来のように、実装基板130の上面130aにある基板側端子132と、パッケージ112の裏面112aに設けられた実装端子124とを、導電性接着剤134等を介して電気的に接続すると、少なくとも、ICカードの厚みh2は1mmを超えてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の課題を解決するためのものであり、ICカード等の電子機器に実装して全体の薄型化を実現できる圧電デバイス、及びこれを利用したICカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明によれば、圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面に接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスを、実装基板に実装する圧電デバイスの実装構造であって、前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とする圧電デバイスの実装構造により達成される。
【0010】
請求項1の構成によれば、実装基板は孔を有し、この孔の内周に段部を設け、この段部に基板側端子が設けられている。一方、パッケージには、上記段部に設けた基板側端子と対向する位置に実装端子を設けている。そうすると、圧電デバイスを、この実装基板の孔の段部の位置まで埋め込んで、基板側端子と実装端子を接続して実装することができる。したがって、孔に埋め込まれた圧電デバイスの厚み分について、実装構造全体の厚みを薄くすることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記パッケージの側壁は、前記基板側段部と対向する位置に段部を有し、この段部に前記実装端子を設けたことを特徴とする。
請求項2の構成によれば、上述のように、圧電デバイスを基板の孔の段部の位置まで埋め込むことができる。さらに、段部は実装基板だけでなく、パッケージにも設けられており、これらの段部は互いに対向する位置に設けられている。そうすると、圧電デバイスを、圧電デバイスの段部の厚み分だけ、より実装基板の孔に深く挿入することができる。
これにより、請求項1と同様の作用を発揮し、さらにより深く実装基板の孔に埋め込まれた圧電デバイスの厚み分について、実装構造全体の厚みを薄くすることができる。
【0012】
また、上記目的は、請求項3の発明によれば、圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面に接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスであって、前記パッケージの側壁は段部を有し、この段部に前記実装端子を設けたことを特徴とする圧電デバイスにより達成される。
【0013】
請求項3の構成によれば、圧電デバイスはパッケージの側壁に段部を有し、この段部に実装端子を設けている。そうすると、この圧電デバイスを実装基板に実装するときには、実装基板側の基板側端子はパッケージの段部がある側壁部分に位置して接続されるため、実装状態で厚み方向の全体の大きさを小さくできる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、前記パッケージは積層された基板からなり、この積層された基板のうち、前記開放端面側の基板により前記段部が形成されるように基板外形を大きくしたことを特徴とする。
【0015】
請求項4の構成によれば、パッケージは複数の基板が積層されることにより形成されている。そして、この複数の基板の内、前記開放端面側の基板について、パッケージの段部が形成されるように、その外形を大きくしている。そうすると、パッケージの開放端面の面積を従来の開放端面の面積よりも大きくすることができ、蓋体を接合する面積も大きくとることができる。
これにより、請求項3と同様の作用を発揮し、さらにパッケージと蓋体との接合強度が増すことになる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項3または4のいずれかの構成において、前記段部および前記実装端子は、前記パッケージの長手方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする。
請求項5の構成によれば、パッケージの段部および実装端子は、パッケージの長手方向に沿って延びるように形成されている。したがって、圧電デバイスを実装基板に実装した場合に、長手方向について実装端子と実装基板とが接続される面積が大きくなるため、実装端子と実装基板との長手方向の接続強度が増すこととなる。
【0017】
また、上記目的は、請求項6の発明によれば、圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面にロウ材を用いて接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスであって、前記開放端面は、前記蓋体と前記パッケージとを接合する接合面とは別に、前記実装端子を設けるための端子配置面を有することを特徴とする圧電デバイスにより達成される。
【0018】
請求項6の構成によれば、パッケージの開放端面に蓋体が接合されているが、この開放端面には、蓋体と接合する接合面とは別に、実装端子を配置するための端子配置面を有する。そうすると、この圧電デバイスを実装基板に実装するに際しては、実装基板側の端子と実装端子とは、この端子配置面で接合されることになる。したがって、少なくとも蓋体の厚み分について、実装状態で厚み方向の全体の大きさを小さくできる。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6の構成において、前記開放端面は、前記接合面と前記端子配置面との間に、前記ロウ材と前記実装端子とが接触することを避けるための絶縁部を設けることを特徴とする。
請求項7の構成によれば、前記開放端面は、前記接合面と前記端子配置面との間に、前記ロウ材と前記実装端子とが接触することを避けるための絶縁部を有するため、請求項6と同様の作用を発揮し、さらに蓋体を接合する際に溶融したロウ材が、絶縁部に阻まれて、実装端子と接触してショートすることを防止することができる。
【0020】
請求項8の発明は、請求項6または7のいずれかの構成において、前記実装端子は、前記パッケージの長手方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする。
請求項8の構成によれば、実装端子はパッケージの長手方向に沿って延びるように形成されている。したがって、圧電デバイスを実装基板に実装する場合に、長手方向について実装端子と実装基板とが接続する面積は大きくなるため、実装端子と実装基板との長手方向の接続強度が増すこととなる。
【0021】
請求項9の発明は、請求項3ないし8のいずれかの構成において、前記パッケージの底部であって、前記圧電振動片の自由端側に対応する箇所に凹部が形成されているとともに、前記パッケージには封止材を充填するための貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項9の構成によれば、圧電振動片の自由端側に対応する箇所に凹部が形成されているため、圧電振動片の先端部が振れた場合に、この先端部がパッケージの内側底面と当接されることを有効に防止することができる。したがって、圧電振動片の先端側が損傷することを防止し、振動周波数、CI値(クリスタルインピーダンス値)の変化を防止することができる。
【0023】
また、圧電デバイスは、例えばパッケージ内に圧電振動片を導電性接着剤で載置固定した後、ロウ材を用いて蓋体をパッケージと接合して製造する。そうすると、このロウ材を溶融する際の熱が導電性接着剤等にも加わって、導電性接着剤等からガスが発生し、このガスの成分が圧電振動片に付着して振動周波数に悪影響を及ぼすおそれがある。しかし、パッケージの底面に貫通孔が形成されているので、このガスを貫通孔から取り除くことができる。また、蓋体を接合した後に、予め熱処理をして導電性接着剤等からガスを発生させて、このガスを貫通孔から取り除き、再度ガスが発生しないようにすることもできる。そうすると、圧電振動片にガスの成分が付着して振動周波数に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0024】
請求項10の発明は、請求項9の構成において、前記圧電振動片の前記パッケージ側に支持固定するための固定領域を有する基端部から平行に延びる振動腕に、長手方向に沿って延びる長溝を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項10の構成によれば、振動腕には長溝が形成されているため、振動腕内で電界が効率よく発生するため、圧電振動片の電界効率を高めることができる。そして、圧電振動片の電界効率が高まると、CI値(クリスタルインピーダンス値)を低く抑えることができる。また、振動腕に長溝を設けたことで、圧電振動片の質量も低減され、この点においてもCI値は低く抑えられる。
【0026】
また、振動腕には長溝が形成しても、パッケージ内の真空度が低いと、振動腕が空気の分子に衝突し、CI値を思ったように低く抑えられないことがある。しかし、パッケージの底面には、上述のように貫通孔が形成されているので、蓋体を接合するなどの際に、導電性接着材やロウ材などから発生するガスを貫通孔から取り除いて、パッケージ内の真空度を高めることができる。
【0027】
請求項11の発明は、請求項10の構成において、前記基端部は、前記固定領域と前記振動腕との間に、切り欠き部を有することを特徴とする。
請求項11の構成によれば、固定領域と振動腕との間に切り欠き部が有るために、振動腕の振動がこの固定領域に伝達し難くなり、CI値(クリスタルインピーダンス値)を低く抑えることができる。また、基端部を切り欠くことで圧電振動片の質量も低減され、CI値はさらに低く抑えられる。
【0028】
また、上記目的は、請求項12の発明によれば、圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続した実装基板とを備えるICカードであって、前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とするICカードにより達成される。
【0029】
請求項12の構成によれば、実装基板には孔が形成されており、この孔に圧電デバイスを埋め込むことができる。このため、孔に埋め込まれた圧電デバイスの厚み分について、圧電デバイスを実装したICカード全体の厚みを薄くすることができる。
そして、この孔の内周には段部である基板側段部が形成されており、この基板側段部に基板側端子が設けられている。一方、圧電振動子の実装端子はこの基板側段部と対向する位置に設けている。したがって、基板側端子と実装端子とを接続することができる。
【0030】
請求項13の発明は、請求項12の構成において、前記圧電デバイスは、前記ICカードの長手方向に前記圧電デバイスの短手方向が位置するように実装したことを特徴とする。
請求項13の構成によれば、圧電デバイスは、ICカードの長手方向に圧電デバイスの短手方向が位置するように実装されている。ここで、ICカードは、薄板状からなり、ICカードの短手方向よりも長手方向に曲げられやすい特性がある。一方、圧電デバイスのパッケージや蓋体等は、長手方向よりも短手方向に曲げの力が加わった方が強度は高い。したがって、ICカードの長手方向に圧電デバイスの短手方向が位置するように実装することで、ICカードが長手方向に曲げられたとしても、長手方向に働く曲げ強度についてICカードの強度を上げることができる。
【0031】
また、上記目的は、請求項14の発明によれば、圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続した実装基板とを備える携帯電話装置であって、前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とする携帯電話装置により達成される。
【0032】
また、上記目的は、請求項15の発明によれば、圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続する実装基板とを備える電子機器であって、前記実装基板は、前記圧電振動子を挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とする電子機器により達成される。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0034】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる圧電デバイス30の概略平面図であり、図2は、この圧電デバイス30を実装基板に実装した場合に、これを縦方向に切断してその内部構造を示した概略縦断面図である。
これらの図において、圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示しており、圧電デバイス30は、パッケージ36内に圧電振動片20を収容している。
【0035】
パッケージ36は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成型して形成される複数の基板32,34を積層した後に、燒結して形成されている。すなわち、図2に示されるように、この実施形態では、パッケージ36は、下から第1の積層基板32、第2の積層基板34を重ねて形成されている。
この第2の積層基板34は、その内側に所定の孔34aを形成することで、第1の積層基板32に積層した場合に、パッケージ36の内側に所定の内部空間S2を形成するようにされている。すなわち、第1の積層基板32の外形寸法を、第2の積層基板34の内側の孔34aの寸法よりも、大きく形成して、第1の積層基板32と第2の積層基板34とを積層し、内部空間S2を形成している。
【0036】
パッケージ36の第1の積層基板32の内部空間S2内の図において左端部付近32aには、例えば、金または金合金で形成した電極部50,50が設けられている。この電極部50,50の上に導電性接着剤26,26が塗布され、この導電性接着剤26,26の上に圧電振動片20の基部20aが載置されて、導電性接着剤26,26が硬化されるようになっている。なお、導電性接着剤26,26としては、接合力を発揮する接着成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、エポキシ系またはポリイミド系、またはシリコーン系導電性接着剤等を利用する。
【0037】
圧電振動片20は、例えば水晶で形成されており、水晶以外にもタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。本実施形態の場合、圧電振動片20は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図示する形状とされている。
すなわち、圧電振動片20は、パッケージ36側と固定される基部20aと、この基部20aを基端として、図において右方に向けて、二股に別れて平行に延びる1対の振動腕22,23を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂音叉型圧電振動片が利用されている。
【0038】
圧電振動片20の基部20aの導電性接着剤26と触れる部分には、駆動電圧を伝えるための引出電極(図示せず)が形成されており、これにより、圧電振動片20は、引出電極がパッケージ36側の電極部50,50と導電性接着剤26を介して、電気的に接続されている。
この引出電極は、圧電振動片20の表面に形成された励振電極(図示せず)と一体に形成されて、励振電極に駆動電圧を伝える。
【0039】
パッケージ36の開放された上端にある開放端面34bは、例えば、低融点ガラス等のロウ材44を介して、蓋体46が接合されることにより、封止されている。蓋体46は、好ましくは、後述するように、周波数調整を行うために、光を透過する材料、例えばガラスで形成されている。
【0040】
ここで、図2に示すように、開放端面34b側の基板である第2の積層基板34の長手方向の外形寸法W1を、第1の積層基板32の長手方向の外形寸法W2よりも、大きく形成している。
そして、第2の積層基板34の長手方向の孔34aの寸法W3より、第1の積層基板32の長手方向の外形寸法W2を大きくして内部空間S2を形成しつつ、上述のように、外形寸法の異なる第2の積層基板34と、第1の積層基板32とを積層して、パッケージ36を形成している。
このようにして、パッケージ36の短手方向に沿った側壁、すなわち図2で示す右側の側壁および左側の側壁の2箇所に、下向きの段部36a,36aを形成するようになっている。
【0041】
図3は、この段部36a,36aのうち、図2において左側の側壁の段部36aを中心に拡大した部分拡大図である。なお、図2の右側の側壁の段部36a付近については、左側の側壁の段部36a付近と同様であるから、説明を省略する。
図3では、上述のように第2の積層基板34の長手方向の外形寸法を大きくしたことで形成した段部36aに、実装端子52を設けている。この実装端子52は、第1の積層基板32の内部空間内の上面32aに設けられた電極部50と一体に接続することで、圧電振動片20に駆動電圧を伝える。
【0042】
すなわち、第1の積層基板32の上面32aに設けられた電極部50は、段部36aの方向に向かって、第1の積層基板32と第2の積層基板34との間を通って、実装端子52と接続されている。このため、電極部50と実装端子52とは、パッケージ36の厚み方向yと直交する方向xに沿って延長して接続されているため、電極部50は、パッケージ36の厚み方向yに引き回されることがなく、不必要にパッケージ36の厚みが大きくなることはない。
【0043】
また、図3では、実装基板12には、圧電デバイス30が埋め込まれるように、孔12bが形成されている。この孔12bの内周には、上述の圧電デバイス30の段部36aに設けた実装端子52と対向する位置に、基板側段部12aが上向きに設けられている。この基板側段部12aには、圧電デバイス30の実装端子52と電気的に接続するための端子である基板側端子13を設けている。
このようにして、圧電デバイス30を実装基板12に実装した場合に、実装端子52と基板側端子13とは、互いに対向する位置に配置されるようになっている。
そして、圧電デバイス30を、実装基板12の孔12bに埋め込み、互いに対向する位置に設けられた実装端子52と基板側端子13とを、例えば導電性接着剤15を用いて接続している。
【0044】
本発明の第1の実施形態は以上のように構成され、このため、圧電デバイス30を、実装基板12の上端面から基板側端子13に塗布された導電性接着剤15の上面までの厚み分h2について、孔12bに埋め込むことができる。また、上述のように、圧電デバイス30のパッケージ36にも段部36aを設けているので、基板側端子13の上面に塗布された導電性接着剤15から実装基板12の底面までの厚み分h3についても、圧電デバイス30を孔12bに埋め込むことができる。
したがって、実装基板12と圧電デバイス30の実装構造全体の厚みを、孔12bに埋め込んだh2及びh3の厚み分について、薄くすることができる。
【0045】
また、パッケージ36の段部36aを形成するにあたっては、上述のように、第2の積層基板34の長手方向の孔34aの寸法W3より、第1の積層基板32の長手方向の外形寸法W2を大きくして内部空間S2を形成しつつ、すなわち、第2の積層基板34の孔34aの長手方向の寸法W3を従来と変えることなく、第2の積層基板34の長手方向の外形寸法W1のみを大きくしている。このため、パッケージ36の開放端面34bの長手方向の寸法W4を従来より大きくとることができる。したがって、パッケージ36の蓋体46を接合する面積を大きくして、パッケージ36と蓋体46との接合強度を高めることができる。
【0046】
図4は、本発明の第2の実施形態にかかる圧電デバイス60の概略平面図であり、図5は、この圧電デバイス60を実装基板に実装した場合に、図4のA−A線で切断した切断面である概略切断端面図である。
これらの図において、図1ないし図3の圧電デバイス30および実装基板12と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0047】
この圧電デバイス60において、第1の実施形態と異なるのは、圧電デバイス60の長手方向に沿って延びるように、パッケージ62に段部62aが形成されている点である。
すなわち、開放端面62b側の基板である第2の積層基板64の短手方向の外形寸法W5を、底面側の第1の積層基板66の短手方向の外形寸法W6よりも、大きく形成している。
そして、第1の実施形態と同様にして、第1の積層基板66と第2の積層基板64とを積層することで、パッケージ62の長手方向に沿った側壁、すなわち図5で示す右側の側壁および左側の側壁の2箇所に、段部62a,62aが形成されるようになっている。
【0048】
また、実装基板12には、パッケージ62の長手方向に沿った側壁に段部62aを設けた圧電デバイス60が埋め込まれるように、孔12bが形成されている。この孔12bの内周には、圧電デバイス60の段部62aに設けた実装端子54と対向する位置に、基板側段部12aを設けている。この基板側段部12aには、圧電デバイス60の実装端子54と電気的に接続するための基板側端子13を設けている。
このようにして、圧電デバイス60を実装基板12に実装した場合に、実装端子54と基板側端子13とは、互いに対向する位置に配置されるようになっている。
そして、圧電デバイス60を、実装基板12の孔12bに埋め込み、互いに対向する位置に設けられた実装端子54と基板側端子13とを、例えば導電性接着剤15を用いて接続している。
【0049】
本発明の第2の実施形態は以上のように構成され、このため、圧電デバイス60を、実装基板12の上端面から基板側端子13の上面に塗布した導電接着剤15までの厚み分h2について、孔12bに埋め込むことができる。また、上述のように、圧電デバイス60のパッケージ62に段部62aを設けているので、基板側端子13の上面に塗布した導電性接着剤15から実装基板12の底面までの厚み分h3についても、圧電デバイス60を孔12bに埋め込むことができる。したがって、圧電デバイス60の実装構造全体の厚みを、孔12bに埋め込んだh2及びh3の厚み分について、薄くすることができる。
【0050】
また、本発明の第2の実施形態については、上述のように、第2の積層基板64の孔34aの短手方向の寸法W7を従来と変えることなく、第2の積層基板64の短手方向の外形寸法W5のみを大きくして、段部62aを形成している。
このため、パッケージ62の開放端面62bの短手方向の寸法W8を大きくとることができ、しかも、この短手方向の寸法W8は、長手方向に沿って延びている。したがって、パッケージ62の蓋体46を接合する面積を、第1の実施形態に比べてより大きくして、パッケージ62と蓋体46との接合強度を高めることができる。
【0051】
さらに、上述のように、パッケージ62の段部62aに設けた実装端子54と、実装基板12の基板側段部12aに設けた基板側端子13とは、パッケージ62の長手方向に沿って延びるように形成されている。したがって、第1の実施形態の作用効果に加えて、圧電デバイス60を実装基板12に実装した場合に、長手方向について実装端子54と基板側端子13とが接続される面積が大きくなり、実装端子54と基板側端子13との接続強度がより増すこととなる。
【0052】
図6ないし図8は、本発明の第2の実施形態にかかる第1の変形例であり、図6は、圧電デバイス70の概略平面図であり、図7は、図6のB−B線で切断してその内部構造を示す概略断面図であり、図8は、図6のC−C線で切断した切断面である概略切断端面図である。
これらの図において、図4および図5の圧電デバイス60と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0053】
この圧電デバイス70において、第2の実施形態と異なるのは、圧電振動片20の自由端20bがパッケージ62の内側底面に振れた場合に対応するパッケージの箇所に、凹部67aを形成している点、および、パッケージ62に封止材48を充填するための貫通孔69が形成されている点である。
【0054】
これらの図では、パッケージ62は、第2の実施形態において説明した図5の第1の積層基板66がさらに2層に分れている。すなわち、図7では、下から第1の積層基板を構成する積層基板68と第1の積層基板を構成する積層基板67と第2の積層基板64とが積層されて構成されている。
このパッケージ62を構成する積層基板のうち、図7において、積層基板67の右端部付近に孔を形成することにより、積層基板67と積層基板68とを積層することで、この積層基板67の厚みに対応した凹部67aが形成されている。この凹部67aは、圧電振動片20の自由端20bである先端部の下方に位置している。
【0055】
これにより、特に、圧電デバイス70の厚みを小さく形成した場合においても、圧電振動片20の自由端20bが、矢印D方向に変位して振れた際に、パッケージ62の内側底面と当接されることを有効に防止することができる。したがって、圧電振動片の自由端20bが損傷することを防止し、振動周波数、CI値(クリスタルインピーダンス値)の変化を防止することができる。
【0056】
また、パッケージ62の底面ほぼ中央付近には、パッケージ62を構成する2枚の積層基板67,68に連続する貫通孔67b,67cを形成することにより、外部に開口した貫通孔69が設けられている。
この貫通孔69を構成する2つの貫通孔のうち、パッケージ62内部に開口する第1の孔67bに対して、第2の孔である外側の貫通孔67cは、より小さな内径を備えるようにされている。これにより、貫通孔69は、図7および図8において上向きの段部68aを備える段つき開口とされている。この段部68aの表面には、金属被覆(図示せず)がされている。
この貫通孔69は、圧電デバイス70の構成部材から発生し内部空間S2内に滞留する有害なガスを排出するための孔である。
【0057】
具体的には、圧電デバイス70を、以下の工程で製造する際に、貫通孔69からガスを排出する。
図9は、圧電デバイス70の製造方法の一例を示す図である。
この製造方法においては、先ず、パッケージ62を構成するセラミックベースと、圧電振動片20と、蓋体46とを別々に形成してから、これを完成させて、接合固定する。
【0058】
ここで、パッケージ62に関しては、圧電振動片20と蓋体46を除く、上述した構造を所定の工程により形成して、パッケージベースを完成させる。また、蓋体46と、圧電振動片20は、すでに説明したとおりの構成を、それぞれ別々の工程で完成させる。この際、圧電振動片20には、予め励振電極を設けておく(ST1−2)。
【0059】
パッケージ62に、圧電振動片20を接合する(マウント)。この場合、図7の電極部50に、導電性接着剤26を塗布し(ST1−1)、その上から圧電振動片20の基部20aを載せて、僅かに荷重をかけることで、導電性接着剤26を基部20aと電極部50との間で好適に介在させ、導電性接着剤26を乾燥固化させることにより、接合工程が完了する(ST2)。
【0060】
パッケージベースに圧電振動片20を接合したら、例えばパッケージ62の開放端面62bに、低融点ガラスからなるロウ材44を適用し、蓋体46を載せて、加熱によりロウ材44を溶融させて、蓋体46をパッケージ62に対して接合する(ST3)。
この際、このロウ材44を溶融する熱が導電性接着剤26などにも加わって、導電性接着剤26等からガスが発生し、このガスの成分が圧電振動片20に付着して振動周波数に悪影響を及ぼすおそれがある。
しかし、パッケージ62には、上述のように貫通孔69が形成されているので、このガスを貫通孔69から取り除くことができる。
【0061】
続いて、蓋体46が接合されたパッケージ62を加熱する。すなわち、蓋体46を接合した後に、予め熱処理をして導電性接着剤26等からガスを発生させて、このガスを貫通孔69から取り除き、再度ガスが発生しないようにする。そうすると、圧電振動片20にガスの成分が付着して振動周波数に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0062】
次に、例えば、図7のパッケージ62の底部を上にして、つまり、第2の孔である外側の貫通孔67cを上にして、例えば、球形に形成した金属封止材を載置する。
この状態で、例えば、金属製封止材にレーザ光を照射するなどして溶融させる(ST4)。このようにして、溶融された金属製封止材は、図7に示すような形状の封止材48となって貫通孔69を封止する。
すなわち、貫通孔69は、上述のように段つき構造となっており、この段部68aには、金属被覆(図示せず。)がされている。このため、溶融した封止材48が、第2の孔67cに入り込んで、第1の孔67bと連通される段部68aに設けた金属被覆で濡れ広がる。このため、溶融された封止材48は、それ以上パッケージ62内に進入しないようにすることができ、圧電振動片20等に付着して、振動性能を阻害する等の不都合を有効に防止することができる。
【0063】
次に、レーザ照射手段により、蓋体46を透過させてパッケージ62内の圧電振動片20の金属被膜(例えば、励振電極の一部)に対して、レーザ光を照射し、金属の一部を蒸散させることによって、質量削減方式による周波数調整を行う(ST5)。
次いで、所定の検査を行い(ST6)、圧電デバイス70を完成させる。
【0064】
このように、パッケージ62内部に開口する第1の孔67bと、この孔67bより小さな第2の孔である外側の貫通孔67cとで、金属被覆を設けた段部68aを形成した貫通孔69により、パッケージ62内で発生する有害なガスを排出し、かつ、溶融された封止材48が、圧電振動片20等に付着して、振動性能を阻害する等の不都合を有効に防止することができる。
【0065】
図10および図11は、本発明の第2の実施形態にかかる第2の変形例であり、図10は圧電デバイス72の概略平面図であり、図11は図10のJ−J線で圧電振動片20を切断した切断面である概略切断端面図である。
これらの図において、図6の圧電デバイス70と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0066】
この圧電デバイス72において、他の実施形態と異なるのは、圧電振動片20の基部20aから平行に延びる複数の振動腕22,23に長溝90,90を設けた点である。基部20aは、圧電振動片20を導電性接着剤26,26によってパッケージ62側と固定した固定領域20c,20cを有する。
【0067】
長溝90,90は、圧電振動片20の電界効率を高めるための溝である。具体的には、長溝90,90は、振動腕22,23の長手方向に延びるように設けられている。また、長溝90,90は、振動腕22,23の上面および下面に設けられており、図11に示すように、長溝90,90を設けた振動腕22,23の断面形状を略H型としている。なお、長溝90については、溝ではなく貫通孔としたり、或いは振動腕22,23の断面形状をV字状等になるように形成してもよい。
【0068】
このような長溝90,90を設けることで、振動腕22,23に厚みが薄い箇所が形成され、振動腕22,23内の電界が、例えば図11において左右の両端側に形成された縦方向に延びる各壁部の厚み方向Eに沿って、効率よく発生することとなり、圧電振動片20の電界効率を高めることができる。
したがって、長溝90を設けることで、圧電振動片20のCI値(クリスタルインピーダンス値)を他の実施形態のCI値と比べて低く抑えることができる。また、振動腕22,23に長溝90,90を設けたことで、圧電振動片20の質量も低減され、CI値はさらに低く抑えられる。
【0069】
また、図11に示すように、外部からの駆動電圧を電極部50及び導電性接着剤26を介して振動腕22,23に伝えるための図示しない励振電極と接続された電極92を、長溝90の内壁面90bと振動腕22,23の左右の側壁面22aに設けることで、さらに振動腕22,23内の電界を効率よく発生させて、より圧電振動片20のCI値を低く抑えている。
【0070】
そして、このような圧電振動片20のCI値を、他の実施形態と同様のCI値となるように形成した場合には、振動腕22,23の長さを、他の実施形態と比べて短くすることができるため、圧電振動片20を小型化することができる。そして、このように小型化された圧電振動片20は、従来よりも小型のパッケージ62に収容することができる。
【0071】
これにより、第2の実施形態の第2の変形例においては、他の実施形態の作用効果を発揮し、さらにパッケージ62を小型化して、この小型化された圧電デバイス72を実装した圧電デバイス72の実装構造全体の厚みを小さくすることができる。
また、振動腕22,23に長溝90,90を形成しても、パッケージ62内の真空度が低いと、振動腕22,23が空気の分子に衝突し、CI値を思ったように低く抑えられないことがある。しかし、パッケージ62の底面には貫通孔69が形成されているので、上述のように、蓋体46を接合するなどの際に、導電性接着材26やロウ材44などから発生するガスを貫通孔69から取り除いて、パッケージ62内の真空度を高めることができる。
【0072】
図12は、本発明の第2の実施形態にかかる第3の変形例であり、圧電デバイス74の概略平面図である。
この図において、図10の圧電デバイス72と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0073】
この圧電デバイス74において、第2の実施形態にかかる第2の変形例と異なるのは、圧電振動片20の基部20aに切り欠き部若しくはくびれ部20d,20dを設けている点である。
基部20aは、圧電振動片20のうち一対の振動腕22,23を除いた部分であり、導電性接着剤26,26と固定した固定領域20c,20cを有する。
【0074】
そして、この基部20aの固定領域20c,20cと振動腕22,23との間において、両端部(図12における上下部)の2箇所に切り欠き部若しくはくびれ部20d,20dを設けている。例えば、図12においては、圧電振動片20の基部20aの左端部に導電性接着剤26,26と固定した固定領域20c,20cがあり、この固定領域20c,20cよりも振動腕22,23側の基部20aには、基部20aの幅が縮幅されて形成された切り欠き部20d,20dが設けられ、この切り欠き部20d,20dに隣接して、拡径部20e,20eが一体に形成されており、この拡径部20e,20eから、図において右方に向かって振動腕22,23が平行に延びている。
【0075】
第2の実施形態の第3の変形例は以上のように構成されており、このため、圧電デバイス74においては、振動腕22,23からの振動が、導電接着剤26,26で固定された固定領域20c,20cに伝わり難くなるため、振動腕22,23のCI値を、他の実施形態よりも、低くすることができる。
また、基部20aを切り欠くことで圧電振動片20の質量も低減され、CI値はさらに低く抑えられる。
【0076】
そして、このような圧電振動片20のCI値を他の実施形態と同様のCI値となるように形成した場合には、振動腕22,23の長さは他の実施形態と比べて短くすることができるため、圧電振動片20を小型化することができる。そして、このように小型化された圧電振動片20は、従来よりも小型のパッケージ62に収容することができる。
これにより、第2の実施形態にかかる第3の変形例おいては、他の実施形態の作用効果を発揮し、さらにパッケージ62を小型化して、この小型化された圧電デバイス74を実装した圧電デバイス74の実装構造全体の厚みを小さくすることができる。
【0077】
図13は、本発明の第3の実施形態にかかる圧電デバイス80の概略平面図であり、図14は、この圧電デバイス80を実装基板に実装した場合に、図13のF−F線で切断した切断面である概略切断端面図である。
これらの図において、第2の実施形態における図4および図5の圧電デバイス60と同一の構成には、共通する符号を付して重複する説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0078】
この圧電デバイス80において、第2の実施形態と異なるのは、パッケージ82の開放端面82aの位置で、圧電デバイス80が実装基板に電気的に接続されている点である。
パッケージ82は、図14において下から第1の積層基板84と第2の積層基板86とを積層してなっている。この第2の積層基板86については、開放端面82aの短手方向の寸法W9を大きくして、蓋体46と接合する接合面86bとは別に、実装基板81と接合するための端子配置面86aが設けられるようになっている。
この端子配置面86aには実装端子56が設けられており、この実装端子56は、パッケージ82の内部空間S2内の第1の基板84の上面に設けられた電極部50と接続されている。
【0079】
また、図13および図14では、開放端面82aに設けられた接合面86bと端子配置面86aとの間に、絶縁部86cを設けている。この絶縁部86cは、ロウ材44が端子配置面86aに進入してこないようにするための絶縁部である。すなわち、図9で示したように、パッケージ82はロウ材44を溶融して蓋体46と接合されるが、接合面86bと端子配置面86aとの間に絶縁部86cを設けることで、溶融したロウ材44が絶縁部86cに阻まれ、実装端子56とロウ材44とが接触してショート等することを防止することができる。
なお、絶縁部86cは凸部としたり、或いはロウ材44の濡れ性が悪い金属膜を塗布するなどしてもよいが、パッケージ82の厚みを小さくするためにも、好ましくは図示するような凹部で形成することが望ましい。
【0080】
また、図14では、実装基板81に、圧電デバイス80を埋め込むことができるように孔81bが形成されている。この孔81bの内周には、圧電デバイス80の実装端子56と対向する位置に、基板側段部81aを設けている。この基板側段部81aには、圧電デバイス80の実装端子56と電気的に接続するための基板側端子83を設けている。
このようにして、圧電デバイス80を実装基板81に実装した場合に、実装端子56と基板側端子83とは、互いに対向する位置に配置されるようになっている。
そして、圧電デバイス80を、実装基板81の孔81bに埋め込んで、実装端子56と基板側端子83とを導電性接着剤15等を用いて接続している。
【0081】
第3の実施形態は以上のように構成され、このため、圧電デバイス80を、実装基板81の底面から基板側端子83に塗布されている導電性接着剤15の下面までの厚み分h4について、孔81bに埋め込むことができる。また、上述のように、基板側端子83と実装端子56とは、開放端面82aに設けられた端子配置面86aの上面で接合されるため、蓋体46の厚み分についても、実装状態で厚み方向の全体の大きさを小さくできる。したがって、圧電デバイス80の実装構造全体の厚みを薄くすることができる。
【0082】
また、図14においては、第2の積層基板86だけでなく、パッケージ82の底部側の第1の積層基板84についても、第2の積層基板86と同様に短手方向の寸法W9を大きくしている。このため、第3の実施形態においては、パッケージ82全体の剛性を強くすることができる。
【0083】
図15は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのICカード2の概略構成を示す図であり、図16は、このICカード2のブロック図である。
これらの図においては、ICカード2は、実装基板12に、電池18、I/O端子14、制御部16、表示部19、および上述した本発明の各実施形態に係る圧電デバイス、例えば図1ないし図3に示す圧電デバイス30を電気的に接続している。
これらの実装基板12、I/O端子14、制御部16、電池18、表示部19、および圧電デバイス30は、樹脂製のラミネートシートなどの保護カバー11で覆われている。
【0084】
実装基板12は、プラスチックなどの合成樹脂又はガラス基板などの比較的薄い板状の絶縁基板である。この実装基板12には、図16に示す複数の配線17が形成されている。この配線17は、I/O端子14、制御部16、電池18、表示部19、及び圧電デバイス30を接続するための各端子、例えば図2における基板側端子13と導通されている。
【0085】
電池18は、制御部16、表示部19、及び圧電デバイス30と接続して、制御部16、表示部19、及び圧電デバイス30に電源を供給している。なお、図15および図16においては、電池18を搭載したICカード2を図示しているが、電源はリーダライタなどの外部インターフェース(図示せず)から供給されても勿論よい。
【0086】
I/O端子14は、リーダライタ(図示せず)などの外部インターフェイスとの間で、データ信号の入出力を行うための端子である。すなわち、このI/O端子14は、配線17を用いて制御部16と導通可能に接続されており、制御部16はI/O端子14を介して外部インターフェイスとの間でデータ信号のやりとりを行っている。なお、このI/O端子14は、外部インターフェイスのコネクタ(図示せず)にICカード2を差し込んでデータ通信を行う接触型であると、外部インターフェイスのコネクタにICカード2を差し込むことなく、アンテナを通じて電波でデータ通信を行う非接触型であるとを問わない。
【0087】
制御部16は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(データ処理用メモリ)、ROM(読み出し専用メモリ)が搭載されており、データの記憶、読み出し、所定の演算処理などを行っている。なお、制御部16には、電気的に書換え可能なROMである所謂EEPROMが装着されていてもよい。
そして、制御部16は表示部19とも配線17を用いて導通可能に接続されており、表示部19は制御部16の指示データにしたがって所定の表示を行うようになっている。
【0088】
この制御部16は、圧電デバイス30とも配線17を介して導通可能に接続されている。すなわち、制御部16に接続された配線17には、例えば、図2で示した基板側端子13が接続されている。そして、この基板側端子13に、圧電デバイス30の実装端子52を、導電性接着剤15を用いて接続している。このようにして、圧電デバイス30は、制御部16のCPUに基準クロックを付与している。
【0089】
ここで、図2で示したように、圧電デバイス30には、実装端子52を載置した段部36aが設けられている。一方、実装基板12には、この実装端子52と対向する位置に基板側端子13を載置した基板側段部12aを有する孔12bが形成されている。したがって、圧電デバイス30を実装基板12の孔12bに埋め込むことで、上述のようにICカード2全体の厚みを小さくすることができる。
【0090】
また、図15では、圧電デバイス30は、ICカード2の長手方向に圧電デバイス30の短手方向が位置するように、実装基板12に実装されている。
ここで、ICカード2は薄板状からなるため、ICカード2の短手方向よりも長手方向に曲げられやすい特性がある。一方、圧電デバイス30のパッケージや蓋体等は、長手方向よりも短手方向に曲げの力が加わった方が強度は高い。
したがって、上述のように、ICカード2の長手方向に圧電デバイス30の短手方向を位置させることで、ICカード2が長手方向に曲げられたとしても、長手方向に働く曲げ強度についてICカード2の強度を上げることができる。
【0091】
図17は、本発明の上述した実施形態に係る圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置300の概略構成を示す図である。
図において、送信者の音声を受信するマイクロフォン308及び受信内容を音声出力とするためのスピーカ309を備えており、さらに、送受信信号の変調及び復調部に接続された制御部としての集積回路等でなるコントローラ301を備えている。
コントローラ301は、送受信信号の変調及び復調の他に画像表示部としてのLCDや情報入力のための操作キー等でなる情報の入出力部302や、RAM,ROM等でなる情報記憶手段303の制御を行うようになっている。このため、コントローラ301には、上述の各実施形態の圧電デバイスが取付けられる。例えば、コントローラ301には、圧電デバイス30が取り付けられて、その出力周波数をコントローラ301に内蔵された所定の分周回路(図示せず)等により、制御内容に適合したクロック信号として利用するようにされている。このコントローラ301に取付けられる圧電デバイス30は、圧電デバイス30単体でなくても、圧電デバイス30と、所定の分周回路等とを組み合わせた発振器でもよい。
【0092】
コントローラ301は、さらに、温度補償水晶発振器(TCXO)305と接続され、温度補償水晶発振器305は、送信部307と受信部306に接続されている。これにより、コントローラ301からの基本クロックが、環境温度が変化した場合に変動しても、温度補償水晶発振器305により修正されて、送信部307及び受信部306に与えられるようになっている。
【0093】
このように、制御部を備えた携帯電話装置300のような電子機器の実装基板に、上述した実施形態に係る圧電デバイスを埋め込むことにより、携帯電話装置全体を小型化することができる。
【0094】
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜相互に組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
この発明の圧電デバイスは、パッケージ内に圧電振動片と、これに接続される電子部品を含むものであれば、圧電発信器、圧電振動子、フィルタ等その名称を問わずに適用できるものである。
また、本発明の各実施形態において、パッケージ内に収容される圧電振動片を音叉型圧電振動片に代えて、圧電材料を薄い矩形状としたATカット振動片としてもよく、また、パッケージ内に音叉型圧電振動片とATカット振動片との両方を収容するようにしてもよい。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、薄型のICカード等の電子機器に実装することができる圧電デバイス、及びこれを利用したICカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる圧電デバイスの概略平面図。
【図2】第1の実施形態にかかる圧電デバイスを実装基板に実装した場合に、これを縦方向に切断してその内部構造を示した概略縦断面図。
【図3】図2の左側の側壁の段部を中心とした部分拡大図。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる圧電デバイスの概略平面図。
【図5】第2の実施形態にかかる圧電デバイスを実装基板に実装した場合に、図4のA−A線で切断した切断面である概略切断端面図。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる第1の変形例であり、圧電デバイスの概略平面図。
【図7】図6のB−B線で切断してその内部構造を示す概略断面図。
【図8】図6のC−C線で切断した切断面である概略切断端面図。
【図9】圧電デバイスの製造方法の一例を示す図。
【図10】本発明の第2の実施形態にかかる第2の変形例であり、圧電デバイスの概略平面図。
【図11】図10のJ−J線で圧電振動片を切断した切断面である概略切断端面図。
【図12】本発明の第2の実施形態にかかる第3の変形例であり、圧電デバイスの概略平面図。
【図13】本発明の第3の実施形態にかかる圧電デバイスの概略平面図。
【図14】第3の実施形態にかかる圧電デバイスを実装基板に実装した場合に、図13のF−F線で切断した切断面である概略切断端面図。
【図15】圧電デバイスを利用したICカードの概略構成を示す図。
【図16】ICカードのブロック図。
【図17】圧電デバイスを利用した電子機器の一例としてのデジタル式携帯電話装置の概略構成を示す図。
【図18】電子機器の実装基板上に、圧電デバイスとしての例えば圧電振動子を実装し、これを縦方向に切断してその内部構造を示した概略縦断面図。
【符号の説明】
30,60,70,72,74,80・・・圧電デバイス、36,62,82・・・パッケージ、32,66・・・第1の積層基板、34,64・・・第2の積層基板、36a,62a・・・段部、52,54,56・・・実装端子、44・・・ロウ材、46・・・蓋体、20・・・圧電振動片、50・・・電極部、26・・・導電性接着剤、67a・・・凹部、69・・・貫通孔、48・・・封止材、90・・・長溝、20d・・・切り欠き部、82a・・・開放端面、86b・・・接合面、86a・・・端子配置面、86c・・・絶縁部、12,81・・・実装基板、12a,81a・・・基板側段部、13,83・・・基板側端子
Claims (15)
- 圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面に接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスを、実装基板に実装する圧電デバイスの実装構造であって、
前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、
前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とする圧電デバイスの実装構造。 - 前記パッケージの側壁は、前記基板側段部と対向する位置に段部を有し、この段部に前記実装端子を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の圧電デバイスの実装構造。
- 圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面に接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスであって、
前記パッケージの側壁は段部を有し、この段部に前記実装端子を設けたことを特徴とする圧電デバイス。 - 前記パッケージは積層された基板からなり、この積層された基板のうち、前記開放端面側の基板により前記段部が形成されるように、基板外形を大きくしたことを特徴とする、請求項3に記載の圧電デバイス。
- 前記段部および前記実装端子は、前記パッケージの長手方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする、請求項3または4のいずれかに記載の圧電デバイス。
- 圧電振動片と、この圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージと、このパッケージの開放端面にロウ材を用いて接合した蓋体と、前記パッケージに設けた実装端子とを備える圧電デバイスであって、
前記開放端面は、前記蓋体と前記パッケージとを接合する接合面とは別に、前記実装端子を設けた端子配置面を有することを特徴とする圧電デバイス。 - 前記開放端面は、前記接合面と前記端子配置面との間に、前記ロウ材と前記実装端子とが接触することを避けるための絶縁部を設けることを特徴とする、請求項6に記載の圧電デバイス。
- 前記実装端子は、前記パッケージの長手方向に沿って延びるように形成されたことを特徴とする、請求項6または7のいずれかに記載の圧電デバイス。
- 前記パッケージの底部であって、前記圧電振動片の自由端側に対応する箇所に凹部が形成されているとともに、前記パッケージには封止材を充填するための貫通孔が形成されていることを特徴とする、請求項3ないし8のいずれかに記載の圧電デバイス。
- 前記圧電振動片の前記パッケージ側に支持固定するための固定領域を有する基端部から平行に延びる振動腕に、長手方向に沿って延びる長溝を備えることを特徴とする、請求項9に記載の圧電デバイス。
- 前記基端部は、前記固定領域と前記振動腕との間に、切り欠き部を有することを特徴とする、請求項10に記載の圧電デバイス。
- 圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続した実装基板とを備えるICカードであって、
前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、
前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とするICカード。 - 前記圧電デバイスは、前記ICカードの短手方向に前記圧電デバイスの長手方向が位置するように実装したことを特徴とする、請求項12に記載のICカード。
- 圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続した実装基板とを備え、前記圧電デバイスにより制御用のクロック信号を得るようにした携帯電話装置であって、
前記実装基板は、前記圧電デバイスを挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、
前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けた
ことを特徴とする携帯電話装置。 - 圧電振動片の一部を支持固定して収容するパッケージに実装端子を有する圧電デバイスと、この圧電デバイスと電気的に接続する実装基板とを備え、前記圧電デバイスにより制御用のクロック信号を得るようにした電子機器であって、
前記実装基板は、前記圧電振動子を挿入するための孔を有し、この孔の内周に段部である基板側段部を設け、この基板側段部に前記圧電デバイスと電気的に接続するための基板側端子を設け、
前記パッケージには、前記基板側端子と対向する位置に前記実装端子を設けたことを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002161991A JP2004015118A (ja) | 2002-06-03 | 2002-06-03 | 圧電デバイス、及びこれを利用したicカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002161991A JP2004015118A (ja) | 2002-06-03 | 2002-06-03 | 圧電デバイス、及びこれを利用したicカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造 |
Publications (1)
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JP2004015118A true JP2004015118A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30430893
Family Applications (1)
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JP2002161991A Withdrawn JP2004015118A (ja) | 2002-06-03 | 2002-06-03 | 圧電デバイス、及びこれを利用したicカード、携帯電話装置、電子機器、並びに圧電デバイスの実装構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004015118A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011233977A (ja) * | 2010-04-23 | 2011-11-17 | Daishinku Corp | 圧電発振器 |
JP2013070313A (ja) * | 2011-09-26 | 2013-04-18 | Seiko Epson Corp | 振動デバイス及び電子機器 |
JP2013528299A (ja) * | 2010-05-27 | 2013-07-08 | ジェムアルト エスアー | 多機能モジュールおよびそれを含むデバイスの製造方法 |
-
2002
- 2002-06-03 JP JP2002161991A patent/JP2004015118A/ja not_active Withdrawn
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