JP2004014639A - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下面に陽極リードワイヤを植立した直方体状陽極部材の上下面及び側面に、誘電体皮膜層及び固体電解質層を順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層を形成した固体電解コンデンサにおいて、陽極リードフレーム及び陰極リードフレームの引き回し経路を短くすることにより、tanδ、ESRを低減するとともに、コンデンサ完成品としての長さ方向に関するモールド層の厚さを従来に比べて薄くすることができる。
【解決手段】前記陽極リードワイヤを、前記陽極部材の下面の中央からずれた位置に植立させ、前記コンデンサ素子の下面において、該下面の中央から前記リードワイヤの植立位置と反対方向に片寄った領域に、前記陰極引出層を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】前記陽極リードワイヤを、前記陽極部材の下面の中央からずれた位置に植立させ、前記コンデンサ素子の下面において、該下面の中央から前記リードワイヤの植立位置と反対方向に片寄った領域に、前記陰極引出層を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、プリント配線基板等への表面実装に適したチップ形の固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板等への表面実装に適したチップ形の固体電解コンデンサとして、図6 に示すような構成のものが知られている。
【0003】
この固体電解コンデンサは、弁作用金属(タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム等)の焼結体からなる陽極体(1)の外側に、該陽極体(1)の表面を電解酸化させた誘電体皮膜層(2)と、二酸化マンガン、TCNQ錯塩、導電性ポリマー等からなる固体電解質層(3)とを順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の外側に、導電性炭素、銀等からなる陰極引出層(4)を形成し、前記陽極体(1)の一端面に図7のように植立された陽極リードワイヤ(15)に、陽極リードフレーム(50)を溶接し、前記陰極引出層(4)に、陰極リードフレーム(60)をろう接し、前記陰極引出層(4)が形成されたコンデンサ素子の外側に、エポキシ樹脂等からなるモールド層(7)を形成したものである。
【0004】
陽極リードフレーム及び陰極リードフレームの一端は、前述の如く陽極リードワイヤ(15)及び陰極引出層(4)にそれぞれ接続され、他端は、モールド層(7)を貫通して外側へ引き出された後、該モールド層(7)の外周に沿って折り曲げられ、プリント配線基板等への表面実装に供される。
【0005】
誘電体皮膜層(2)及び固体電解質層(3)は、陽極体の外周のみならず陽極リードワイヤの根元部分にも形成されるが、陽極リードワイヤの陽極リードフレームとの接続部には形成されない。
【0006】
陰極引出層(4)は、固体電解質層(3)の外側に、有機溶媒に溶かした導電性炭素を塗布して乾燥させ、更にその外側に、有機溶媒に溶かした銀(所謂銀ペースト)を塗布して乾燥させることにより、導電性炭素を含む層と銀を含む層とを順次積層した構成として形成される。
【0007】
但し、陰極引出層(4)が陽極リードワイヤ(15)の幹部(誘電体被膜層(2)が形成されていないか、その形成が不十分な部分)に接触して、コンデンサ完成品としてのLC(漏れ電流)が増大するのを防ぐため、コンデンサ素子の陽極リードワイヤ(15)植立面には、陰極引出層(4)が形成されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下面に陽極リードワイヤ(15)を植立した直方体状陽極体(1)の上下面及び側面に、誘電体皮膜層(2)及び固体電解質層(3)を順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層(4)を形成した固体電解コンデンサにおいて、
陽極リードフレームおよび陰極リードフレームの引き出し経路を短くすることにより、コンデンサ完成品としてのESRを低減し、更に、モールド層(7)まで含めたコンデンサ完成品の外形寸法を小さくするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による固体電解コンデンサは、図1のように下面に陽極リードワイヤ(15)を植立した直方体状陽極体(1)の上下面及び側面に、誘電体皮膜層(2)及び固体電解質層(3)を順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層(4)を形成した固体電解コンデンサにおいて、
図2のように前記陽極リードワイヤ(15)を、前記陽極体(1)の下面の中央からずれた位置に植立させ、
図3のように前記コンデンサ素子の下面において、該下面の中央から前記陽極リードワイヤ(15)の植立位置と反対方向に片寄った領域に、前記陰極引出層(4)を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
陽極リードワイヤ(15)を陽極体(1)の下面の中央からずれた位置に植立させることにより、コンデンサ素子の下面すなわち、陽極リードワイヤ(15)植立面と同一面に陰極引出層を形成しやすくなる。
【0011】
また、上記本発明の基本構成に加えて、前記コンデンサ素子の下面に形成された前記陽極リードワイヤ(15)に陽極リードフレーム(50)の一端を接続し、前記陽極リードワイヤ(15)と同一面に形成された陰極引出層(4)に陰極リードフレーム(60)の一端を接続し、前記陰極引出層(4)が形成されたコンデンサ素子の外側をモールド層(7)にて被覆密封し、前記陽極リードフレーム(50)及び陰極リードフレーム(60)の他端を、前記コンデンサ素子の下方において前記モールド層(7)の外側へ露出させた構造とする。
【0012】
この構造により陽極リードフレーム(50)及び陰極リードフレーム(60)を、それぞれコンデンサ素子の側方に引き出して下方へ折り曲げた従来の構成に比べて、陽極リードフレーム(50)及び陰極リードフレーム(60)の引き回し経路を短くすることができ、コンデンサ完成品としてのESRが低減すると共に、コンデンサ素子の側方のモールド層(7)を薄くすることができるので、コンデンサ完成品としての外形も小さくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に従った固体電解コンデンサは、図1に示すような断面構成を有する。(1)は、弁作用金属(タンタル、ニオブ、アルミニウム等)の焼結体で、下面に陽極リードワイヤ(15)を植立した直方体状の陽極体である。
【0014】
ここで前記陽極リードワイヤ(15)は図2のように、前記陽極体(1)の下面の中央からずれた位置に植立させる。(2)は該陽極体(1)の上下面及び側面の表面を電解酸化処理にて形成した誘電体皮膜層である。(3)は、該誘電酸化皮膜(2)上に形成された二酸化マンガンの無機固体電解質或いは、TCNQ錯塩、導電性ポリマー等からなる有機固体電解質からなる固体電解質層である。前記固体電解質層(3)としての二酸化マンガン層は、硝酸マンガンの熱分解法等により形成され、TCNQ錯塩層は、TCNQ錯塩の溶融含浸法等により形成され、導電性ポリマー層は、ピロール、チオフェン、アニリン、或いはそれらの誘導体等を化学酸化重合又は電解酸化重合させることにより形成される。(4)は該固体電解質層上に形成した導電性炭素、銀等からなる陰極引出層である。前記陰極引出層(4)は、前記固体電解質層(3)の外側に水、有機溶媒等に分散させた導電性炭素を塗布して乾燥させ、更にその外側に、有機溶媒に分散させた銀(所謂銀ペースト)を塗布して乾燥させることにより、導電性炭素を含む層と銀を含む層とを順次積層した構成として形成される。これらを順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層(4)を形成した固体電解コンデンサである。
【0015】
前記コンデンサ素子の下面において、該下面の中央から前記陽極リードワイヤ(15)植立位置と反対方向に片寄った領域にも、前記陰極引出層(4)を形成した。
【0016】
ここで、前記陰極引出層(4)の形成方法として、特開平11−121284に開示された技術がある。この方法は、図5のように銀ペーストを塗布する際、銀ペーストとコンデンサ素子を相対的に振動させつつ、銀ペーストにコンデンサ素子を浸漬し、前記振動の方向にコンデンサ素子を引き抜いて行うものがある。
【0017】
この方法をそのまま用いると前記コンデンサ素子の下方において前記陽極リードワイヤ(15)の根元部分にも前記陰極引出層(4)が接触してしまい、コンデンサ完成品としてのLCが増大したり、ショート不良が発生する恐れがある。
【0018】
そこで本発明では、図4のように前記陰極引出層(4)となる導電性材料を溶解した溶液の液面に対して、前記コンデンサ素子の上下面を傾けた状態に保持しながら、前記陽極リードワイヤ(15)を前記溶液に浸漬することなく、前記コンデンサ素子を前記溶液に浸漬することにより、図3のように前記コンデンサ素子の下面の中央から前記陽極リードワイヤ(15)の植立位置と反対方向に片寄った領域に、前記陰極引出層(4)を形成する。
【0019】
更にこの固体電解コンデンサにおいては、前記コンデンサ素子の下面に形成された前記陽極リードワイヤ(15)に陽極リードフレーム(50)の一端が接続され、前記陽極リードワイヤ(15)と同一面に形成された陰極引出層(4)に陰極リードフレーム(60)の一端が接続され、前記陰極引出層(4)が形成されたコンデンサ素子の外側が絶縁樹脂からなるモールド層(7)にて被覆密封されており、
前記陽極リードフレーム(50)及び陰極リードフレーム(60)の他端は、前記コンデンサ素子の下方において前記モールド層(7)の外側に露出している。
【0020】
以下、更に具体的な実施例について、比較例と対照して説明する。
【0021】
【実施例】
3.3mm×2.5mm×1.9mmの直方体状タンタル焼結体素子の3.3mm×2.5mmである片面に面の角から図2の如く1.25mm×0.825mmの位置に陽極リードワイヤーをとりつけた。そして従来どおり電解酸化処理による誘電体皮膜形成、電解質の形成を行い、陰極電解質面に銀ペイントを施す際、銀ペースト容器に素子を浸し超音波振動させ、10度傾けることによって図5の如く陽極リードワイヤーのとりつけられていない面と、陽極リードワイヤーのとりつけられている面の陽極リードワイヤーのない反対側の4分の1の面に銀ペイントを施し、陽極と陰極を同一面から引き出せるようにした。さらに陽極と陰極にリードをとりつけ、エポキシ樹脂により外装しコンデンサを製作した。このコンデンサの断面図を図1に示す。このコンデンサの特性を表1に示す。
【0022】
【比較例】
実施例と同等のサイズを持ったタンタル焼結体素子の1.9mm×2.5mmである片面の中心位置に図8の如く陽極リードワイヤーをとりつけ実施例と同一条件により化電解酸化処理よる誘電体皮膜形成、電解質の形成を行い、陰極電解質面に陽極リードワイヤのとりつけられている面に銀ペイントがつかないように銀ペイント容器に浸して超音波振動させ銀ペイントを施した。さらに陽極と陰極にリードをとりつけエポキシ樹脂により外装しコンデンサを製作した。このコンデンサの断面図は図6に示してある。このコンデンサの特性を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
以上表1のように従来の方法と比べて、本発明を用いたコンデンサ素子は陽極リードワイヤーと陰極引出層を同一面に作製することにより陽極リードフレーム及び陰極リードフレームの引き回し経路を短くすることができ、ESRとtanδ減少させることができた。またコンデンサ完成品の長さ方向に関するモールド層の厚さを、従来に比べて薄くすることができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、陽極リードワイヤを記陽極体の下面の中央からずれた位置に植立させ、陰極引出層となる導電性材料を溶解した溶液の液面に対して、コンデンサ素子の上下面を傾けた状態に保持しながら、陽極リードワイヤを溶液に浸漬することなく、コンデンサ素子を溶液に浸漬し、陽極リードワイヤーのとりつけられている面の陽極リードワイヤーのない反対側の部分に、図3のように銀ペイントを施すことにより
1、陽極と陰極を同一面から引き出せるようになり、陽極リードフレーム及び陰極リードフレームを、それぞれコンデンサ素子の側方に引き出して下方へ折り曲げた従来の構成に比べて、陽極端子及び陰極端子の引き回し経路が短くなり実効的な抵抗成分が減少する。
【0026】
2、そしてコンデンサ完成品の長さ方向に関するモールド層の厚さを、従来に比べて薄くすることができ、その結果、コンデンサ完成品の占有体積に対するコンデンサ素子の体積比率を大きくすることができ、小型で大容量のチップ型固体電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による固体電解コンデンサの断面図である。
【図2】本発明で用いる陽極体に陽極リードワイヤーを取り付けた図である。
【図3】本発明により陰極電解質に銀ペイント層を付けた図である。
【図4】本発明による導電ペースト層の塗布の一工程図である。
【図5】従来の方法による導電ペースト層の塗布の一工程図である。
【図6】従来の固体電解コンデンサの図である。
【図7】従来の方法により陽極体に陽極リードワイヤーを取り付けた図である。
【符号の説明】
1 陽極体
2 誘電体皮膜層
3 固体電解質層
4 陰極引出層
7 モールド層
15 陽極リードワイヤー
50 陽極リードフレーム
60 陰極リードフレーム
【発明の属する分野】
本発明は、プリント配線基板等への表面実装に適したチップ形の固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板等への表面実装に適したチップ形の固体電解コンデンサとして、図6 に示すような構成のものが知られている。
【0003】
この固体電解コンデンサは、弁作用金属(タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム等)の焼結体からなる陽極体(1)の外側に、該陽極体(1)の表面を電解酸化させた誘電体皮膜層(2)と、二酸化マンガン、TCNQ錯塩、導電性ポリマー等からなる固体電解質層(3)とを順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の外側に、導電性炭素、銀等からなる陰極引出層(4)を形成し、前記陽極体(1)の一端面に図7のように植立された陽極リードワイヤ(15)に、陽極リードフレーム(50)を溶接し、前記陰極引出層(4)に、陰極リードフレーム(60)をろう接し、前記陰極引出層(4)が形成されたコンデンサ素子の外側に、エポキシ樹脂等からなるモールド層(7)を形成したものである。
【0004】
陽極リードフレーム及び陰極リードフレームの一端は、前述の如く陽極リードワイヤ(15)及び陰極引出層(4)にそれぞれ接続され、他端は、モールド層(7)を貫通して外側へ引き出された後、該モールド層(7)の外周に沿って折り曲げられ、プリント配線基板等への表面実装に供される。
【0005】
誘電体皮膜層(2)及び固体電解質層(3)は、陽極体の外周のみならず陽極リードワイヤの根元部分にも形成されるが、陽極リードワイヤの陽極リードフレームとの接続部には形成されない。
【0006】
陰極引出層(4)は、固体電解質層(3)の外側に、有機溶媒に溶かした導電性炭素を塗布して乾燥させ、更にその外側に、有機溶媒に溶かした銀(所謂銀ペースト)を塗布して乾燥させることにより、導電性炭素を含む層と銀を含む層とを順次積層した構成として形成される。
【0007】
但し、陰極引出層(4)が陽極リードワイヤ(15)の幹部(誘電体被膜層(2)が形成されていないか、その形成が不十分な部分)に接触して、コンデンサ完成品としてのLC(漏れ電流)が増大するのを防ぐため、コンデンサ素子の陽極リードワイヤ(15)植立面には、陰極引出層(4)が形成されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、下面に陽極リードワイヤ(15)を植立した直方体状陽極体(1)の上下面及び側面に、誘電体皮膜層(2)及び固体電解質層(3)を順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層(4)を形成した固体電解コンデンサにおいて、
陽極リードフレームおよび陰極リードフレームの引き出し経路を短くすることにより、コンデンサ完成品としてのESRを低減し、更に、モールド層(7)まで含めたコンデンサ完成品の外形寸法を小さくするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による固体電解コンデンサは、図1のように下面に陽極リードワイヤ(15)を植立した直方体状陽極体(1)の上下面及び側面に、誘電体皮膜層(2)及び固体電解質層(3)を順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層(4)を形成した固体電解コンデンサにおいて、
図2のように前記陽極リードワイヤ(15)を、前記陽極体(1)の下面の中央からずれた位置に植立させ、
図3のように前記コンデンサ素子の下面において、該下面の中央から前記陽極リードワイヤ(15)の植立位置と反対方向に片寄った領域に、前記陰極引出層(4)を形成したことを特徴とするものである。
【0010】
陽極リードワイヤ(15)を陽極体(1)の下面の中央からずれた位置に植立させることにより、コンデンサ素子の下面すなわち、陽極リードワイヤ(15)植立面と同一面に陰極引出層を形成しやすくなる。
【0011】
また、上記本発明の基本構成に加えて、前記コンデンサ素子の下面に形成された前記陽極リードワイヤ(15)に陽極リードフレーム(50)の一端を接続し、前記陽極リードワイヤ(15)と同一面に形成された陰極引出層(4)に陰極リードフレーム(60)の一端を接続し、前記陰極引出層(4)が形成されたコンデンサ素子の外側をモールド層(7)にて被覆密封し、前記陽極リードフレーム(50)及び陰極リードフレーム(60)の他端を、前記コンデンサ素子の下方において前記モールド層(7)の外側へ露出させた構造とする。
【0012】
この構造により陽極リードフレーム(50)及び陰極リードフレーム(60)を、それぞれコンデンサ素子の側方に引き出して下方へ折り曲げた従来の構成に比べて、陽極リードフレーム(50)及び陰極リードフレーム(60)の引き回し経路を短くすることができ、コンデンサ完成品としてのESRが低減すると共に、コンデンサ素子の側方のモールド層(7)を薄くすることができるので、コンデンサ完成品としての外形も小さくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に従った固体電解コンデンサは、図1に示すような断面構成を有する。(1)は、弁作用金属(タンタル、ニオブ、アルミニウム等)の焼結体で、下面に陽極リードワイヤ(15)を植立した直方体状の陽極体である。
【0014】
ここで前記陽極リードワイヤ(15)は図2のように、前記陽極体(1)の下面の中央からずれた位置に植立させる。(2)は該陽極体(1)の上下面及び側面の表面を電解酸化処理にて形成した誘電体皮膜層である。(3)は、該誘電酸化皮膜(2)上に形成された二酸化マンガンの無機固体電解質或いは、TCNQ錯塩、導電性ポリマー等からなる有機固体電解質からなる固体電解質層である。前記固体電解質層(3)としての二酸化マンガン層は、硝酸マンガンの熱分解法等により形成され、TCNQ錯塩層は、TCNQ錯塩の溶融含浸法等により形成され、導電性ポリマー層は、ピロール、チオフェン、アニリン、或いはそれらの誘導体等を化学酸化重合又は電解酸化重合させることにより形成される。(4)は該固体電解質層上に形成した導電性炭素、銀等からなる陰極引出層である。前記陰極引出層(4)は、前記固体電解質層(3)の外側に水、有機溶媒等に分散させた導電性炭素を塗布して乾燥させ、更にその外側に、有機溶媒に分散させた銀(所謂銀ペースト)を塗布して乾燥させることにより、導電性炭素を含む層と銀を含む層とを順次積層した構成として形成される。これらを順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層(4)を形成した固体電解コンデンサである。
【0015】
前記コンデンサ素子の下面において、該下面の中央から前記陽極リードワイヤ(15)植立位置と反対方向に片寄った領域にも、前記陰極引出層(4)を形成した。
【0016】
ここで、前記陰極引出層(4)の形成方法として、特開平11−121284に開示された技術がある。この方法は、図5のように銀ペーストを塗布する際、銀ペーストとコンデンサ素子を相対的に振動させつつ、銀ペーストにコンデンサ素子を浸漬し、前記振動の方向にコンデンサ素子を引き抜いて行うものがある。
【0017】
この方法をそのまま用いると前記コンデンサ素子の下方において前記陽極リードワイヤ(15)の根元部分にも前記陰極引出層(4)が接触してしまい、コンデンサ完成品としてのLCが増大したり、ショート不良が発生する恐れがある。
【0018】
そこで本発明では、図4のように前記陰極引出層(4)となる導電性材料を溶解した溶液の液面に対して、前記コンデンサ素子の上下面を傾けた状態に保持しながら、前記陽極リードワイヤ(15)を前記溶液に浸漬することなく、前記コンデンサ素子を前記溶液に浸漬することにより、図3のように前記コンデンサ素子の下面の中央から前記陽極リードワイヤ(15)の植立位置と反対方向に片寄った領域に、前記陰極引出層(4)を形成する。
【0019】
更にこの固体電解コンデンサにおいては、前記コンデンサ素子の下面に形成された前記陽極リードワイヤ(15)に陽極リードフレーム(50)の一端が接続され、前記陽極リードワイヤ(15)と同一面に形成された陰極引出層(4)に陰極リードフレーム(60)の一端が接続され、前記陰極引出層(4)が形成されたコンデンサ素子の外側が絶縁樹脂からなるモールド層(7)にて被覆密封されており、
前記陽極リードフレーム(50)及び陰極リードフレーム(60)の他端は、前記コンデンサ素子の下方において前記モールド層(7)の外側に露出している。
【0020】
以下、更に具体的な実施例について、比較例と対照して説明する。
【0021】
【実施例】
3.3mm×2.5mm×1.9mmの直方体状タンタル焼結体素子の3.3mm×2.5mmである片面に面の角から図2の如く1.25mm×0.825mmの位置に陽極リードワイヤーをとりつけた。そして従来どおり電解酸化処理による誘電体皮膜形成、電解質の形成を行い、陰極電解質面に銀ペイントを施す際、銀ペースト容器に素子を浸し超音波振動させ、10度傾けることによって図5の如く陽極リードワイヤーのとりつけられていない面と、陽極リードワイヤーのとりつけられている面の陽極リードワイヤーのない反対側の4分の1の面に銀ペイントを施し、陽極と陰極を同一面から引き出せるようにした。さらに陽極と陰極にリードをとりつけ、エポキシ樹脂により外装しコンデンサを製作した。このコンデンサの断面図を図1に示す。このコンデンサの特性を表1に示す。
【0022】
【比較例】
実施例と同等のサイズを持ったタンタル焼結体素子の1.9mm×2.5mmである片面の中心位置に図8の如く陽極リードワイヤーをとりつけ実施例と同一条件により化電解酸化処理よる誘電体皮膜形成、電解質の形成を行い、陰極電解質面に陽極リードワイヤのとりつけられている面に銀ペイントがつかないように銀ペイント容器に浸して超音波振動させ銀ペイントを施した。さらに陽極と陰極にリードをとりつけエポキシ樹脂により外装しコンデンサを製作した。このコンデンサの断面図は図6に示してある。このコンデンサの特性を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
以上表1のように従来の方法と比べて、本発明を用いたコンデンサ素子は陽極リードワイヤーと陰極引出層を同一面に作製することにより陽極リードフレーム及び陰極リードフレームの引き回し経路を短くすることができ、ESRとtanδ減少させることができた。またコンデンサ完成品の長さ方向に関するモールド層の厚さを、従来に比べて薄くすることができた。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、陽極リードワイヤを記陽極体の下面の中央からずれた位置に植立させ、陰極引出層となる導電性材料を溶解した溶液の液面に対して、コンデンサ素子の上下面を傾けた状態に保持しながら、陽極リードワイヤを溶液に浸漬することなく、コンデンサ素子を溶液に浸漬し、陽極リードワイヤーのとりつけられている面の陽極リードワイヤーのない反対側の部分に、図3のように銀ペイントを施すことにより
1、陽極と陰極を同一面から引き出せるようになり、陽極リードフレーム及び陰極リードフレームを、それぞれコンデンサ素子の側方に引き出して下方へ折り曲げた従来の構成に比べて、陽極端子及び陰極端子の引き回し経路が短くなり実効的な抵抗成分が減少する。
【0026】
2、そしてコンデンサ完成品の長さ方向に関するモールド層の厚さを、従来に比べて薄くすることができ、その結果、コンデンサ完成品の占有体積に対するコンデンサ素子の体積比率を大きくすることができ、小型で大容量のチップ型固体電解コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による固体電解コンデンサの断面図である。
【図2】本発明で用いる陽極体に陽極リードワイヤーを取り付けた図である。
【図3】本発明により陰極電解質に銀ペイント層を付けた図である。
【図4】本発明による導電ペースト層の塗布の一工程図である。
【図5】従来の方法による導電ペースト層の塗布の一工程図である。
【図6】従来の固体電解コンデンサの図である。
【図7】従来の方法により陽極体に陽極リードワイヤーを取り付けた図である。
【符号の説明】
1 陽極体
2 誘電体皮膜層
3 固体電解質層
4 陰極引出層
7 モールド層
15 陽極リードワイヤー
50 陽極リードフレーム
60 陰極リードフレーム
Claims (3)
- 下面に陽極リードワイヤを植立した直方体状陽極体の上下面及び側面に、誘電体皮膜層及び固体電解質層を順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層を形成した固体電解コンデンサにおいて、
前記陽極リードワイヤを、前記陽極体の下面の中央からずれた位置に植立させ、
前記コンデンサ素子の下面において、該下面の中央から前記リードワイヤの植立位置と反対方向に片寄った領域に、前記陰極引出層を形成したことを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記陽極リードワイヤに陽極リードフレームの一端を接続し、前記コンデンサ素子の下面に形成された陰極引出層に陰極リードフレームの一端を接続し、前記陰極引出層が形成されたコンデンサ素子の外側を絶縁樹脂からなるモールド層にて被覆密封し、
前記陽極リードフレーム及び陰極リードフレームの他端を、前記コンデンサ素子の下方において前記モールド層の外側へ露出させたことを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。 - 下面に陽極リードワイヤを植立した直方体状陽極体の上下面及び側面に、誘電体皮膜層及び固体電解質層を順次形成してコンデンサ素子を構成し、該コンデンサ素子の上下面及び側面に、選択的に陰極引出層を形成した固体電解コンデンサの製造方法において、
前記陽極リードワイヤを、前記陽極体の下面の中央からずれた位置に植立させ、
前記陰極引出層となる導電性材料を分散させた溶液の液面に対して、前記コンデンサ素子の上下面を傾けた状態に保持しながら、前記陽極リードワイヤを前記溶液に浸漬することなく、前記コンデンサ素子を前記溶液に浸漬することにより、
前記コンデンサ素子の下面の中央から前記リードワイヤの植立位置と反対方向に片寄った領域に、前記陰極引出層を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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-
2002
- 2002-06-04 JP JP2002163337A patent/JP2004014639A/ja active Pending
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