JP2004014313A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】水蒸気改質反応により水素を製造する改質装置と燃料電池を組み合わせた燃料電池システムにおいて、その発電効率を向上させる。
【解決手段】固体高分子電解質型の燃料電池(10)は、水素ガスと空気を供給されて発電を行う。燃料電池(10)での電池反応により生成した水蒸気は、その一部が電解質膜を透過して水素極側ガス通路(12)へ移動する。水蒸気を含んだ水素極排ガスは、第2圧縮機(32)で圧縮され、その後に第1圧縮機(31)で圧縮された原料ガスと混合される。水素極排ガスが混入された原料ガスは、改質部(23)へ導入される。改質部(23)では、水蒸気改質反応が行われ、メタン(CH4)と水蒸気(H2O)から水素(H2)と一酸化炭素(CO)が生成する。そして、改質部(23)で生成した水素だけが水素分離膜(25)を透過し、水素供給管(42)を通じて燃料電池(10)へ供給される。
【選択図】 図1
【解決手段】固体高分子電解質型の燃料電池(10)は、水素ガスと空気を供給されて発電を行う。燃料電池(10)での電池反応により生成した水蒸気は、その一部が電解質膜を透過して水素極側ガス通路(12)へ移動する。水蒸気を含んだ水素極排ガスは、第2圧縮機(32)で圧縮され、その後に第1圧縮機(31)で圧縮された原料ガスと混合される。水素極排ガスが混入された原料ガスは、改質部(23)へ導入される。改質部(23)では、水蒸気改質反応が行われ、メタン(CH4)と水蒸気(H2O)から水素(H2)と一酸化炭素(CO)が生成する。そして、改質部(23)で生成した水素だけが水素分離膜(25)を透過し、水素供給管(42)を通じて燃料電池(10)へ供給される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原燃料の改質により得られた水素を燃料電池へ供給して発電を行う燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平1−186570号公報に開示されているような燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムは、燃料電池と改質装置とによって構成されている。この燃料電池システムにおいて、改質装置は、メタン等の炭化水素系の原料ガスの改質によって水素を製造している。具体的には、水蒸気改質反応によって水素を生成させている。水蒸気改質反応の反応式は、下記の通りである。
CnHm+nH2O→nCO+(n+m/2)H2… 水蒸気改質反応
【0003】
改質装置での水蒸気改質反応に供されるH2Oは、水蒸気の状態でなければならない。このため、上記燃料電池システムでは、改質装置に蒸気発生器を設けている。そして、蒸気発生器において、液体の状態のH2O、即ち水を蒸発させて水蒸気を生成し、得られた水蒸気を原燃料へ供給している。
【0004】
ここで、水蒸気改質反応では水素と共に一酸化炭素が生成するが、この一酸化炭素は、燃料電池の電極触媒として用いられる白金触媒の触媒毒となる。このため、燃料電池へ送られる改質ガスに含まれる一酸化炭素の量は、出来るだけ少ない方がよい。そこで、例えば特開平8−78039号公報に開示されているような水素分離膜を用い、改質ガスから水素だけを取り出して燃料電池へ供給するという対策が提案されている。この場合、改質ガス中の水素だけが水素分離膜を透過し、ほぼ純粋な水素ガスが燃料電池へと送られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水蒸気改質反応のための水蒸気を蒸気発生器で生成させる場合には、蒸気発生器に対して水を蒸発させるための熱を供給する必要がある。つまり、改質装置に対しては、水蒸気改質反応による水素の製造に用いられる原料ガスに加え、蒸気発生器で水を蒸発させるための燃料をも供給する必要が生じる。そして、この燃料を燃焼させることで、蒸気発生器に対してH2Oの蒸発潜熱を供給しなければならない。このため、H2Oの蒸発潜熱の分だけ水素の製造に要する燃料の量が嵩み、燃料電池システムの発電効率が低下するという問題があった。
【0006】
特に、水素分離膜を用いて改質ガスから水素を取り出す構成を採る場合には、この発電効率の低下の問題が深刻であった。この点について説明する。改質ガス中の水素が水素分離膜を透過するには、水素分離膜の両側で水素分圧に差がなければならず、そのためには改質ガスの圧力をある程度高めておく必要がある。そのためには、原料ガスを圧縮機等で加圧してから改質装置へ供給しなければならず、原料ガスの圧縮に要する動力が必要となる。そして、燃料電池で得られた電力の一部を原料ガスの圧縮に利用すると、その分だけ燃料電池システムからの出力が減少する。このため、燃料電池システムの出力が減少する上に、燃料電池システムに対する燃料の供給量が増大し、燃料電池システムの発電効率が大幅に低下してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水蒸気改質反応により水素を製造する改質装置と燃料電池を組み合わせた燃料電池システムにおいて、その発電効率を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、燃料電池システムを対象とするものである。そして、燃料電池(10)と、原料ガスを圧縮する第1圧縮機(31)と、上記燃料電池(10)の水素極側のガス通路(12)から排出された水素極排ガスを圧縮する第2圧縮機(32)と、上記第1圧縮機(31)で圧縮された原料ガス及び上記第2圧縮機(32)で圧縮された水素極排ガスから水蒸気改質反応によって改質ガスを生成すると共に、水素分離膜(25)を用いて上記改質ガスから分離した水素ガスを上記燃料電池(10)の水素極側のガス通路(12)へ供給する改質装置(20)とを備えるものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)から排出された酸素極排ガスに含まれる水蒸気を該酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気へ移動させる湿度交換器(60)を備えるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気を排熱で加熱された水によって加湿する加湿器(65)を備えるものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気を上記燃料電池(10)の冷却水によって加湿する加湿器(65)を備えるものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1,2,3又は4に記載の燃料電池システムにおいて、第1圧縮機(31)で圧縮されて改質装置(20)へ供給される原料ガスを上記改質装置(20)から燃料電池(10)へ供給される水素ガスと熱交換させる熱交換器(30)を備えるものである。
【0013】
−作用−
請求項1の発明では、燃料電池(10)へ改質装置(20)から水素ガスが供給される。燃料電池(10)は供給された水素を消費しながら発電を行い、それに伴って水蒸気が生成する。生成した水蒸気の一部は、未利用の水素と共に水素極排ガスとして燃料電池(10)から排出される。水蒸気を含んだ水素極排ガスは、第2圧縮機(32)で圧縮され、その後に第1圧縮機(31)で圧縮された原料ガスと共に改質装置(20)へ供給される。改質装置(20)では、水蒸気改質反応が行われ、水素極排ガス中の水蒸気と原料ガスから改質ガスする。この改質ガスには、水素と一酸化炭素とが含まれている。そして、水素分離膜(25)を透過した改質ガス中の水素だけが、燃料電池(10)に対して供給される。
【0014】
請求項2の発明では、燃料電池システムに湿度交換器(60)が設けられる。湿度交換器(60)では、燃料電池(10)へ供給される空気に対して酸素極排ガス中の水蒸気が付与される。そして、燃料電池(10)へ向かって流れる空気は、湿度交換器(60)において予め加湿されてから酸素極側のガス通路(11)へ導入される。
【0015】
請求項3の発明では、燃料電池システムに加湿器(65)が設けられる。この加湿器(65)は、排熱によって加熱された水を利用して空気を加湿する。この水を加熱するための排熱は、燃料電池(10)や改質装置(20)の排熱であってもよいし、燃料電池システムとは別の機器の排熱であってもよい。そして、燃料電池(10)へ向かって流れる空気は、加湿器(65)において予め加湿されてから酸素極側のガス通路(11)へ導入される。
【0016】
請求項4の発明では、燃料電池システムに加湿器(65)が設けられる。この加湿器(65)は、燃料電池(10)の冷却水を利用して空気を加湿する。つまり、加湿器(65)は、燃料電池(10)の排熱により暖められた冷却水を利用して、空気の加熱を行う。そして、燃料電池(10)へ向かって流れる空気は、加湿器(65)において予め加湿されてから酸素極側のガス通路(11)へ導入される。
【0017】
請求項5の発明では、燃料電池システムに熱交換器(30)が設けられる。この熱交換器(30)では、改質装置(20)へ供給される原料ガスと、改質装置(20)から燃料電池(10)へ供給される水素ガスとが熱交換する。そして、燃料電池(10)へ向かう水素ガスが冷却されると同時に、改質装置(20)へ向かう原料ガスが予熱される。尚、この熱交換器(30)は、原料ガスを改質装置(20)から出た水素ガスだけと熱交換させるものである必要はない。
【0018】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態1に係る燃料電池システムは、燃料電池(10)と改質装置(20)を備えている。
【0020】
上記燃料電池(10)は、固体高分子電解質型に構成されている。この燃料電池(10)では、フッ素系の高分子フィルムからなる電解質膜の両面に白金触媒の微粒子を分散させて電極を形成することで、単電池が構成されている。電解質膜表面の電極は、一方が水素極(アノード)となり、他方が酸素極(カソード)となる。上記燃料電池(10)は、バイポーラ板を介して単電池が積層されたスタック(集合電池)を構成している。尚、上述した燃料電池(10)の構造についは、図1において図示を省略する。
【0021】
上記燃料電池(10)では、バイポーラ板と電解質膜の酸素極とによって酸素極側ガス通路(11)が形成され、バイポーラ板と電解質膜の水素極とによって水素極側ガス通路(12)が形成されている。酸素極側ガス通路(11)には、その入口側に空気供給管(44)が接続され、その出口側に酸素極排気管(45)が接続されている。また、空気供給管(44)には、図示しないが、ブロワが設けられている。一方、水素極側ガス通路(12)には、その入口側に水素供給管(42)が接続され、その出口側に水素極排気管(43)が接続されている。
【0022】
更に、上記燃料電池(10)には、冷却水回路(50)が接続されている。この冷却水回路(50)で冷却水を循環させることによって、燃料電池(10)が所定の作動温度に保たれる。
【0023】
上記改質装置(20)は、本体容器(21)と、熱交換器(30)と、第1圧縮機(31)と、第2圧縮機(32)とを備えている。
【0024】
本体容器(21)は、密閉容器状に形成され、その内部が燃焼部(22)と改質部(23)と分離部(24)とに区画されている。燃焼部(22)と改質部(23)の間はパンチングメタル等によって仕切られ、両者は互いに連通している。また、改質部(23)と分離部(24)との間は、水素分離膜(25)によって仕切られている。この水素分離膜(25)としては、例えば、多孔質担体の表面にパラジウム合金の薄膜を形成したものが用いられる。
【0025】
燃焼部(22)には、燃焼用の触媒が充填されている。また、燃焼部(22)には、その入口側に燃焼用給気管(46)が、その出口側に燃焼ガス管(47)がそれぞれ接続されている。一方、改質部(23)には、水蒸気改質反応に対して活性を呈する触媒が充填されている。この改質部(23)には、原料ガス管(41)が接続されている。この原料ガス管(41)には、第1圧縮機(31)が設けられている。
【0026】
分離部(24)には、水素供給管(42)が接続されている。つまり、分離部(24)は、水素供給管(42)を介して燃料電池の水素極側ガス通路(12)に接続されている。
【0027】
上記熱交換器(30)は、原料ガス管(41)と燃焼ガス管(47)と水素供給管(42)とに跨って配置されている。この熱交換器(30)は、原料ガス管(41)を流れる原料ガスを、燃焼ガス管(47)を流れる燃焼ガス及び水素供給管(42)を流れる水素ガスと熱交換させ、この熱交換によって原料ガスを予熱するためのものである。
【0028】
上述のように、燃料電池の水素極側ガス通路(12)には、水素極排気管(43)が接続されている。この水素極排気管(43)は、その終端が原料ガス管(41)における第1圧縮機(31)と熱交換器(30)の間に接続されている。また、水素極排気管(43)には、第2圧縮機(32)が設けられている。更に、水素極排気管(43)には、第2圧縮機(32)の下流に給水管(55)が接続されている。この給水管(55)には、ポンプ(56)が設けられている。
【0029】
−運転動作−
上記燃料電池システムの運転動作を説明する。
【0030】
燃料電池(10)には、改質装置(20)で生成した水素ガスが供給される。具体的に、燃料電池(10)へは、その水素極側ガス通路(12)へ水素ガスが供給され、その酸素極側ガス通路(11)へ酸化剤ガスとしての空気が供給される。
【0031】
燃料電池(10)は、水素ガスを燃料とし、空気中の酸素を酸化剤として発電を行う。具体的に、燃料電池(10)では、水素極及び酸素極の電極表面において下記の電池反応が行われる。
水素極:2H2→4H++4e−
酸素極:O2+4H++4e−→2H2O
【0032】
この電池反応により、水素の燃焼反応の化学エネルギが電気エネルギに変換される。また、酸素極での反応により生成した水蒸気は、その一部が電解質膜を透過して水素極側ガス通路(12)へ移動する。このように水蒸気が移動することで、酸素極側ガス通路(11)における水蒸気分圧と、水素極側ガス通路(12)における水蒸気分圧とが概ね等しくなる。
【0033】
酸素極側ガス通路(11)から流出した酸素極排ガスは、酸素極排気管(45)を通って屋外へ排気される。一方、水素極側ガス通路(12)から水素極排気管(43)へ流入した水素極排ガスは、第2圧縮機(32)で圧縮された後に原料ガス管(41)へ導入される。尚、水素極排ガスは、主として、電池反応により生成した水蒸気と電池反応で消費されなかった水素とによって構成されている。
【0034】
本体容器(21)の改質部(23)へは、原料ガス管(41)を通じて原料ガスが供給される。この原料ガスは、メタン(CH4)を主成分とする天然ガスである。第1圧縮機(31)では、原料ガスが例えば1MPa程度にまでで圧縮される。
【0035】
圧縮された原料ガスには、水蒸気を含んだ水素極排ガスが混入される。また、この原料ガスには、給水管(55)を通じて液体状態のH2O(即ち、水)も供給される。水素極排気管(43)からの水素極排ガスと給水管(55)からの水とが混入された原料ガスは、熱交換器(30)で予熱される。その際、原料ガスへ供給された水は、蒸発して水蒸気となる。そして、熱交換器(30)で予熱されて水蒸気を含んだ原料ガスが、改質部(23)へ送り込まれる。
【0036】
改質部(23)へ導入された原料ガスは、その一部が燃焼部(22)へ流入する。燃焼部(22)では、燃焼用給気管(46)からの空気が原料ガスと混合され、原料ガスが燃焼する。そして、原料ガスの燃焼熱が、吸熱反応である水蒸気改質反応の反応熱として改質部(23)へ供給される。また、燃焼部(22)で発生した約800℃の燃焼ガスは、燃焼ガス管(47)へ流入し、熱交換器(30)で原料ガスへ放熱してから屋外へ排気される。
【0037】
改質部(23)では、水蒸気改質反応が行われて改質ガスが生成する。この改質ガスは、水蒸気改質反応により生成した水素(H2)及び一酸化炭素(CO)を主成分とするものである。そして、改質ガス中の水素だけが水素分離膜(25)を透過して分離部(24)へ移動する。分離部(24)から流出した約600℃の水素ガスは、熱交換器(30)へ流入して原料ガスへ放熱し、その後に燃料電池の水素極側ガス通路(12)へ送られる。
【0038】
上述のように、本実施形態の改質装置(20)では、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気を、水素極排ガスに含まれる水蒸気と、給水管(55)を通じて供給された水を蒸発させたものとの両方によって賄っている。具体的に、水蒸気改質に必要な水蒸気量は、その約70%が水素極排ガス中の水蒸気で占められ、残りの約30%が給水管(55)からの水を蒸発させたもので占められている。
【0039】
この点について、図5を参照しながら説明する。尚、同図において、「水循環率」とは、原料ガスに混入される水素極排ガス中の水蒸気量を、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気量で除して得られた値を表している。また、「発電効率」とは、燃料電池での発電量から第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(32)の駆動に要する電力を差し引いたものを、原料ガスに含まれるメタンの低位発熱量で除して得られた値を表している。
【0040】
本実施形態の改質装置(20)では、図5に一点鎖線で示すように、水循環率が約0.7の場合に発電効率が最高となる。そして、水循環率が小さすぎる場合はもちろん、水循環率が大きすぎても発電効率は低下してしまう。
【0041】
その理由について説明する。水素極排ガス中の水蒸気量を増やすには、電解質膜を透過して水素極側ガス通路(12)へ移動する水蒸気の量を増大させる必要がある。そして、そのためには、水素極側ガス通路(12)の水蒸気分圧を低下させなければならない。
【0042】
ところが、水素極側ガス通路(12)の水蒸気分圧を下げると、第2圧縮機(32)の吸入圧力が低くなる。このため、第2圧縮機(32)における圧縮比を大きくする必要が生じ、第2圧縮機(32)の駆動に要する電力が増大してしまう。従って、水素極排ガス中の水蒸気量をある程度以上にまで増大させようとすると、第2圧縮機(32)の消費電力が嵩み、むしろ発電効率の低下を招く。そこで、本実施形態の改質装置(20)では、最も高い発電効率を得るべく、水循環率が約0.7となるように第2圧縮機(32)の圧縮比を設定している。
【0043】
−実施形態1の効果−
本実施形態の改質装置(20)では、水蒸気を含んだ水素極排ガスを原料ガスと共に改質部(23)へ供給している。このため、燃料電池(10)で生成した水蒸気を、改質部(23)における水蒸気改質反応に利用することが可能となる。つまり、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気の一部又は全部を、燃料電池(10)で生成した水蒸気によって賄うことができる。
【0044】
この結果、水を加熱し蒸発させることで水蒸気改質反応に必要な水蒸気の全てを賄っていた従来のものに比べ、改質装置(20)で水素を生成させるのに必要な燃料を削減することができる。従って、本実施形態によれば、燃料電池システムの出力を維持しながら燃料電池システムへ供給すべき燃料の量を削減でき、燃料電池システムの発電効率を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、熱交換器(30)を設けることで、分離部(24)から送出された水素ガスの熱を、改質部(23)へ供給される原料ガスへ回収することができる。このため、本体容器(21)からの放熱ロスを削減することができ、燃料電池システムの発電効率を一層向上させることができる。
【0046】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1の燃料電池システムに湿度交換器(60)を追加したものである。ここでは、本実施形態の燃料電池システムについて、上記実施形態1と異なる点を説明する。
【0047】
図示しないが、湿度交換器(60)には、放湿側の空気通路と吸湿側の空気通路とが形成されている。放湿側の空気通路と吸湿側の空気通路との間は、水蒸気分離膜によって仕切られている。この水蒸気分離膜は、複数の成分から成る混合ガスに含まれた水蒸気だけを透過させる。
【0048】
図2に示すように、湿度交換器(60)は、空気供給管(44)と酸素極排気管(45)とに跨って配置されている。具体的に、湿度交換器(60)では、その放湿側の空気通路に酸素極排気管(45)が接続され、その吸湿側の空気通路に空気供給管(44)が接続されている。湿度交換器(60)において、酸素極排ガスに含まれる水蒸気は、水蒸気分離膜を透過し、空気供給管(44)から送り込まれた空気に付与される。また、湿度交換器(60)において、空気と酸素極排ガスは水蒸気分離膜を介して熱交換し、空気が予熱される。そして、空気供給管(44)を流れる空気は、湿度交換器(60)で加湿され、更には予熱されてから燃料電池(10)の酸素極側ガス通路(11)へ導入される。
【0049】
このように、本実施形態の改質装置(20)では、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気を、水素極排ガスに含まれる水蒸気と、給水管(55)を通じて供給された水を蒸発させたものとの両方によって賄っている。具体的に、水蒸気改質に必要な水蒸気量は、その約80%が水素極排ガス中の水蒸気で占められ、残りの約20%が給水管(55)からの水を蒸発させたもので占められている。
【0050】
この点について、再び図5を参照しながら説明する。本実施形態の改質装置(20)では、図5に破線で示すように、水循環率が約0.8の場合に発電効率が最高となる。そして、水循環率が小さすぎる場合はもちろん、水循環率が大きすぎても発電効率は低下してしまう。その理由は、上記実施形態1の説明で述べた通りである。
【0051】
ただし、本実施形態では、湿度交換器(60)において酸素極側ガス通路(11)へ導入される空気を予め加湿している。このため、上記実施形態1のように空気を予め加湿しない場合に比べ、酸素極側ガス通路(11)での水蒸気分圧が高くなり、それに伴って水素極側ガス通路(12)での水蒸気分圧も上昇する。水素極側のガス通路(12)から排出される水素極排ガスの大部分は水蒸気であるため、水蒸気分圧が上昇することによって水素極排ガスの圧力も上昇する。そして、水素極排ガスの圧力が上昇すると、第2圧縮機(32)の吸入圧力が高くなって第2圧縮機(32)での圧縮比が小さくなり、第2圧縮機(32)の駆動に要する電力が削減される。従って、本実施形態によれば、同図に一点鎖線で示す上記実施形態1の場合に比べ、より高い水循環率において、より高い発電効率が得られる。
【0052】
【発明の実施の形態3】
本発明の実施形態3は、上記実施形態1の燃料電池システムに加湿器(65)を追加したものである。ここでは、本実施形態の燃料電池システムについて、上記実施形態1と異なる点を説明する。
【0053】
図示しないが、加湿器(65)には、冷却水の通路と空気の通路とが形成されている。冷却水の通路と空気の通路との間は、透湿膜によって仕切られている。この透湿膜は、液体である水は透過させずに水蒸気だけを透過させる。
【0054】
図3に示すように、加湿器(65)は、空気供給管(44)と冷却水回路(50)とに跨って配置されている。具体的に、加湿器(65)には、冷却水の通路に冷却水回路(50)が接続され、空気の通路に空気供給管(44)が接続されている。また、加湿器(65)は、冷却水回路(50)における燃料電池(10)の下流に配置されている。加湿器(65)において、冷却水から蒸発した水蒸気は、透湿膜を透過し、空気供給管(44)から送り込まれた空気に付与される。そして、空気供給管(44)を流れる空気は、加湿器(65)で加湿されてから燃料電池(10)の酸素極側ガス通路(11)へ導入される。
【0055】
本実施形態の改質装置(20)では、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気を、水素極排ガスに含まれる水蒸気だけで賄っている。つまり、給水管(55)のポンプ(56)は停止され、給水管(55)を通じた水の供給は行われない。ただし、燃料電池システムの起動時だけは、外部から水を供給する必要がある。そこで、この改質装置(20)では、起動時にだけポンプ(56)の運転を行うようにしている。
【0056】
本実施形態の加湿器(65)は、燃料電池システムから送出された比較的高温(約60℃程度)の冷却水を利用して空気の加湿を行っている。このため、上記実施形態2のように酸素極排ガス中の水蒸気を利用して空気を加湿するものに比べ、酸素極側ガス通路(11)での水蒸気分圧が高くなり、それに伴って水素極側ガス通路(12)での水蒸気分圧も上昇する。そして、第2圧縮機(32)の吸入圧力をそれ程低くしなくても、充分な量の水蒸気が電解質膜を透過して水素極側ガス通路(12)へ移動する。従って、本実施形態の燃料電池システムでは、図5に実線で示すように、水循環率が高いほど発電効率も高くなる。
【0057】
−実施形態3の変形例−
本実施形態では、上記実施形態1の燃料電池システムに加湿器(65)だけを追加しているが、この加湿器(65)に加えて湿度交換器(60)を更に追加してもよい。
【0058】
この湿度交換器(60)は、上記実施形態2のものと同様に構成されている。また、図4に示すように、湿度交換器(60)は、空気供給管(44)における加湿器(65)の上流に配置されている。尚、湿度交換器(60)が空気供給管(44)と酸素極排気管(45)とに跨って配置されている点は、上記実施形態2の場合と同様である。そして、本実施形態の燃料電池システムにおいて、空気供給管(44)を流れる空気は、先ず湿度交換器(60)において加湿され、その後に加湿器(65)で更に加湿されてから燃料電池(10)の酸素極側ガス通路(11)へ導入される。
【0059】
【発明のその他の実施の形態】
−第1変形例−
上記の各実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池(10)を固体高分子電解質型に構成しているが、燃料電池(10)の形式はこれに限定されるものではなく、例えば燃料電池(10)をリン酸型に構成してもよい。
【0060】
−第2変形例−
上記実施形態2の燃料電池システムでは、水蒸気分離膜を用いて湿度交換器(60)を構成しているが、この湿度交換器(60)を次のように構成してもよい。
【0061】
つまり、湿度交換器(60)に吸着剤を設け、この吸着剤に水蒸気を吸脱着させることで、酸素極排ガス中の水蒸気を酸素極側ガス通路(11)に向かう空気へ移動させるようにしてもよい。例えば、本変形例の湿度交換器(60)では、空気供給管(44)と酸素極排気管(45)とに跨って配置されたロータの表面に吸着剤が設けられ、このロータが回転駆動される。そして、酸素極排ガスがロータに接触すると酸素極排ガス中の水蒸気が吸着剤に吸着され、空気供給管(44)を流れる空気がロータに接触すると吸着剤から水蒸気が脱離して空気に付与される。
【0062】
−第3変形例−
上記実施形態3の燃料電池システムでは、加湿器(65)に冷却水回路(50)を接続し、燃料電池(10)の排熱で暖められた冷却水によって空気を加湿しているが、これに代えて、次のような構成を採ってもよい。
【0063】
つまり、改質装置(20)の排熱により暖められた水を加湿器(65)へ導入し、この温水によって空気を加湿するようにしてもよい。この場合には、例えば、熱交換器(30)を通過した後の燃焼ガスや水素ガスを水と熱交換させ、これら燃焼ガスや水素ガスによって温められた水を加湿器(65)へ導入すればよい。更に、燃料電池システムとは別個の機器からの排熱が利用できる場合は、その機器の排熱で暖められた水を加湿器(65)へ導入して空気の加湿を行ってもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明では、燃料電池(10)で生成した水蒸気の含まれた水素極排ガスを原料ガスと共に改質装置(20)へ供給している。このため、燃料電池(10)において生成した水蒸気を、改質装置(20)における水蒸気改質反応に利用することが可能となる。つまり、改質装置(20)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気の一部又は全部を、燃料電池(10)で生成した水蒸気によって賄うことができる。この結果、水を加熱し蒸発させることで水蒸気改質反応に必要な水蒸気の全てを賄っていた従来のものに比べ、改質装置(20)で水素を生成させるのに必要な燃料を削減することができる。従って、本発明によれば、燃料電池システムの出力を維持しながら燃料電池システムへ供給すべき燃料の量を削減でき、燃料電池システムの発電効率を向上させることができる。
【0065】
請求項2,3,4の発明では、湿度交換器(60)や加湿器(65)において、酸素極側のガス通路(11)へ導入される空気を予め加湿している。このため、空気を予め加湿しない場合に比べ、酸素極側のガス通路(11)での水蒸気分圧が高くなり、それに伴って水素極側のガス通路(12)での水蒸気分圧も上昇する。水素極側のガス通路(12)から排出される水素極排ガスの大部分は水蒸気であるため、水蒸気分圧が上昇することによって水素極排ガスの圧力も上昇する。従って、これら請求項2,3,4の発明によれば、第2圧縮機(32)が吸入する水素極排ガスの圧力を高めることができ、第2圧縮機(32)での圧縮比を小さくして水素極排ガスの圧縮に要する動力を削減できる。この結果、第2圧縮機(32)を駆動するのに必要な動力を削減でき、それによっても燃料電池システムの発電効率を向上させることができる。
【0066】
請求項5の発明によれば、熱交換器(30)を設けることで、改質装置(20)から送出された水素ガスの熱を、改質装置(20)へ供給される原料ガスへ回収することができる。従って、この発明によれば、改質装置(20)からの放熱ロスを削減することができ、燃料電池システムの発電効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における燃料電池システムの概略構成図である。
【図2】実施形態2における燃料電池システムの概略構成図である。
【図3】実施形態3における燃料電池システムの概略構成図である。
【図4】実施形態3の変形例における燃料電池システムの概略構成図である。
【図5】実施形態1,2,3の燃料電池システムにおける水循環率と発電効率の関係図である。
【符号の説明】
(10) 燃料電池
(11) 酸素極側ガス通路
(12) 水素極側ガス通路
(20) 改質装置
(25) 水素分離膜
(30) 熱交換器
(31) 第1圧縮機
(32) 第2圧縮機
(60) 湿度交換器
(65) 加湿器
【発明の属する技術分野】
本発明は、原燃料の改質により得られた水素を燃料電池へ供給して発電を行う燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特開平1−186570号公報に開示されているような燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムは、燃料電池と改質装置とによって構成されている。この燃料電池システムにおいて、改質装置は、メタン等の炭化水素系の原料ガスの改質によって水素を製造している。具体的には、水蒸気改質反応によって水素を生成させている。水蒸気改質反応の反応式は、下記の通りである。
CnHm+nH2O→nCO+(n+m/2)H2… 水蒸気改質反応
【0003】
改質装置での水蒸気改質反応に供されるH2Oは、水蒸気の状態でなければならない。このため、上記燃料電池システムでは、改質装置に蒸気発生器を設けている。そして、蒸気発生器において、液体の状態のH2O、即ち水を蒸発させて水蒸気を生成し、得られた水蒸気を原燃料へ供給している。
【0004】
ここで、水蒸気改質反応では水素と共に一酸化炭素が生成するが、この一酸化炭素は、燃料電池の電極触媒として用いられる白金触媒の触媒毒となる。このため、燃料電池へ送られる改質ガスに含まれる一酸化炭素の量は、出来るだけ少ない方がよい。そこで、例えば特開平8−78039号公報に開示されているような水素分離膜を用い、改質ガスから水素だけを取り出して燃料電池へ供給するという対策が提案されている。この場合、改質ガス中の水素だけが水素分離膜を透過し、ほぼ純粋な水素ガスが燃料電池へと送られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水蒸気改質反応のための水蒸気を蒸気発生器で生成させる場合には、蒸気発生器に対して水を蒸発させるための熱を供給する必要がある。つまり、改質装置に対しては、水蒸気改質反応による水素の製造に用いられる原料ガスに加え、蒸気発生器で水を蒸発させるための燃料をも供給する必要が生じる。そして、この燃料を燃焼させることで、蒸気発生器に対してH2Oの蒸発潜熱を供給しなければならない。このため、H2Oの蒸発潜熱の分だけ水素の製造に要する燃料の量が嵩み、燃料電池システムの発電効率が低下するという問題があった。
【0006】
特に、水素分離膜を用いて改質ガスから水素を取り出す構成を採る場合には、この発電効率の低下の問題が深刻であった。この点について説明する。改質ガス中の水素が水素分離膜を透過するには、水素分離膜の両側で水素分圧に差がなければならず、そのためには改質ガスの圧力をある程度高めておく必要がある。そのためには、原料ガスを圧縮機等で加圧してから改質装置へ供給しなければならず、原料ガスの圧縮に要する動力が必要となる。そして、燃料電池で得られた電力の一部を原料ガスの圧縮に利用すると、その分だけ燃料電池システムからの出力が減少する。このため、燃料電池システムの出力が減少する上に、燃料電池システムに対する燃料の供給量が増大し、燃料電池システムの発電効率が大幅に低下してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水蒸気改質反応により水素を製造する改質装置と燃料電池を組み合わせた燃料電池システムにおいて、その発電効率を向上させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、燃料電池システムを対象とするものである。そして、燃料電池(10)と、原料ガスを圧縮する第1圧縮機(31)と、上記燃料電池(10)の水素極側のガス通路(12)から排出された水素極排ガスを圧縮する第2圧縮機(32)と、上記第1圧縮機(31)で圧縮された原料ガス及び上記第2圧縮機(32)で圧縮された水素極排ガスから水蒸気改質反応によって改質ガスを生成すると共に、水素分離膜(25)を用いて上記改質ガスから分離した水素ガスを上記燃料電池(10)の水素極側のガス通路(12)へ供給する改質装置(20)とを備えるものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)から排出された酸素極排ガスに含まれる水蒸気を該酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気へ移動させる湿度交換器(60)を備えるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気を排熱で加熱された水によって加湿する加湿器(65)を備えるものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気を上記燃料電池(10)の冷却水によって加湿する加湿器(65)を備えるものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1,2,3又は4に記載の燃料電池システムにおいて、第1圧縮機(31)で圧縮されて改質装置(20)へ供給される原料ガスを上記改質装置(20)から燃料電池(10)へ供給される水素ガスと熱交換させる熱交換器(30)を備えるものである。
【0013】
−作用−
請求項1の発明では、燃料電池(10)へ改質装置(20)から水素ガスが供給される。燃料電池(10)は供給された水素を消費しながら発電を行い、それに伴って水蒸気が生成する。生成した水蒸気の一部は、未利用の水素と共に水素極排ガスとして燃料電池(10)から排出される。水蒸気を含んだ水素極排ガスは、第2圧縮機(32)で圧縮され、その後に第1圧縮機(31)で圧縮された原料ガスと共に改質装置(20)へ供給される。改質装置(20)では、水蒸気改質反応が行われ、水素極排ガス中の水蒸気と原料ガスから改質ガスする。この改質ガスには、水素と一酸化炭素とが含まれている。そして、水素分離膜(25)を透過した改質ガス中の水素だけが、燃料電池(10)に対して供給される。
【0014】
請求項2の発明では、燃料電池システムに湿度交換器(60)が設けられる。湿度交換器(60)では、燃料電池(10)へ供給される空気に対して酸素極排ガス中の水蒸気が付与される。そして、燃料電池(10)へ向かって流れる空気は、湿度交換器(60)において予め加湿されてから酸素極側のガス通路(11)へ導入される。
【0015】
請求項3の発明では、燃料電池システムに加湿器(65)が設けられる。この加湿器(65)は、排熱によって加熱された水を利用して空気を加湿する。この水を加熱するための排熱は、燃料電池(10)や改質装置(20)の排熱であってもよいし、燃料電池システムとは別の機器の排熱であってもよい。そして、燃料電池(10)へ向かって流れる空気は、加湿器(65)において予め加湿されてから酸素極側のガス通路(11)へ導入される。
【0016】
請求項4の発明では、燃料電池システムに加湿器(65)が設けられる。この加湿器(65)は、燃料電池(10)の冷却水を利用して空気を加湿する。つまり、加湿器(65)は、燃料電池(10)の排熱により暖められた冷却水を利用して、空気の加熱を行う。そして、燃料電池(10)へ向かって流れる空気は、加湿器(65)において予め加湿されてから酸素極側のガス通路(11)へ導入される。
【0017】
請求項5の発明では、燃料電池システムに熱交換器(30)が設けられる。この熱交換器(30)では、改質装置(20)へ供給される原料ガスと、改質装置(20)から燃料電池(10)へ供給される水素ガスとが熱交換する。そして、燃料電池(10)へ向かう水素ガスが冷却されると同時に、改質装置(20)へ向かう原料ガスが予熱される。尚、この熱交換器(30)は、原料ガスを改質装置(20)から出た水素ガスだけと熱交換させるものである必要はない。
【0018】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態1に係る燃料電池システムは、燃料電池(10)と改質装置(20)を備えている。
【0020】
上記燃料電池(10)は、固体高分子電解質型に構成されている。この燃料電池(10)では、フッ素系の高分子フィルムからなる電解質膜の両面に白金触媒の微粒子を分散させて電極を形成することで、単電池が構成されている。電解質膜表面の電極は、一方が水素極(アノード)となり、他方が酸素極(カソード)となる。上記燃料電池(10)は、バイポーラ板を介して単電池が積層されたスタック(集合電池)を構成している。尚、上述した燃料電池(10)の構造についは、図1において図示を省略する。
【0021】
上記燃料電池(10)では、バイポーラ板と電解質膜の酸素極とによって酸素極側ガス通路(11)が形成され、バイポーラ板と電解質膜の水素極とによって水素極側ガス通路(12)が形成されている。酸素極側ガス通路(11)には、その入口側に空気供給管(44)が接続され、その出口側に酸素極排気管(45)が接続されている。また、空気供給管(44)には、図示しないが、ブロワが設けられている。一方、水素極側ガス通路(12)には、その入口側に水素供給管(42)が接続され、その出口側に水素極排気管(43)が接続されている。
【0022】
更に、上記燃料電池(10)には、冷却水回路(50)が接続されている。この冷却水回路(50)で冷却水を循環させることによって、燃料電池(10)が所定の作動温度に保たれる。
【0023】
上記改質装置(20)は、本体容器(21)と、熱交換器(30)と、第1圧縮機(31)と、第2圧縮機(32)とを備えている。
【0024】
本体容器(21)は、密閉容器状に形成され、その内部が燃焼部(22)と改質部(23)と分離部(24)とに区画されている。燃焼部(22)と改質部(23)の間はパンチングメタル等によって仕切られ、両者は互いに連通している。また、改質部(23)と分離部(24)との間は、水素分離膜(25)によって仕切られている。この水素分離膜(25)としては、例えば、多孔質担体の表面にパラジウム合金の薄膜を形成したものが用いられる。
【0025】
燃焼部(22)には、燃焼用の触媒が充填されている。また、燃焼部(22)には、その入口側に燃焼用給気管(46)が、その出口側に燃焼ガス管(47)がそれぞれ接続されている。一方、改質部(23)には、水蒸気改質反応に対して活性を呈する触媒が充填されている。この改質部(23)には、原料ガス管(41)が接続されている。この原料ガス管(41)には、第1圧縮機(31)が設けられている。
【0026】
分離部(24)には、水素供給管(42)が接続されている。つまり、分離部(24)は、水素供給管(42)を介して燃料電池の水素極側ガス通路(12)に接続されている。
【0027】
上記熱交換器(30)は、原料ガス管(41)と燃焼ガス管(47)と水素供給管(42)とに跨って配置されている。この熱交換器(30)は、原料ガス管(41)を流れる原料ガスを、燃焼ガス管(47)を流れる燃焼ガス及び水素供給管(42)を流れる水素ガスと熱交換させ、この熱交換によって原料ガスを予熱するためのものである。
【0028】
上述のように、燃料電池の水素極側ガス通路(12)には、水素極排気管(43)が接続されている。この水素極排気管(43)は、その終端が原料ガス管(41)における第1圧縮機(31)と熱交換器(30)の間に接続されている。また、水素極排気管(43)には、第2圧縮機(32)が設けられている。更に、水素極排気管(43)には、第2圧縮機(32)の下流に給水管(55)が接続されている。この給水管(55)には、ポンプ(56)が設けられている。
【0029】
−運転動作−
上記燃料電池システムの運転動作を説明する。
【0030】
燃料電池(10)には、改質装置(20)で生成した水素ガスが供給される。具体的に、燃料電池(10)へは、その水素極側ガス通路(12)へ水素ガスが供給され、その酸素極側ガス通路(11)へ酸化剤ガスとしての空気が供給される。
【0031】
燃料電池(10)は、水素ガスを燃料とし、空気中の酸素を酸化剤として発電を行う。具体的に、燃料電池(10)では、水素極及び酸素極の電極表面において下記の電池反応が行われる。
水素極:2H2→4H++4e−
酸素極:O2+4H++4e−→2H2O
【0032】
この電池反応により、水素の燃焼反応の化学エネルギが電気エネルギに変換される。また、酸素極での反応により生成した水蒸気は、その一部が電解質膜を透過して水素極側ガス通路(12)へ移動する。このように水蒸気が移動することで、酸素極側ガス通路(11)における水蒸気分圧と、水素極側ガス通路(12)における水蒸気分圧とが概ね等しくなる。
【0033】
酸素極側ガス通路(11)から流出した酸素極排ガスは、酸素極排気管(45)を通って屋外へ排気される。一方、水素極側ガス通路(12)から水素極排気管(43)へ流入した水素極排ガスは、第2圧縮機(32)で圧縮された後に原料ガス管(41)へ導入される。尚、水素極排ガスは、主として、電池反応により生成した水蒸気と電池反応で消費されなかった水素とによって構成されている。
【0034】
本体容器(21)の改質部(23)へは、原料ガス管(41)を通じて原料ガスが供給される。この原料ガスは、メタン(CH4)を主成分とする天然ガスである。第1圧縮機(31)では、原料ガスが例えば1MPa程度にまでで圧縮される。
【0035】
圧縮された原料ガスには、水蒸気を含んだ水素極排ガスが混入される。また、この原料ガスには、給水管(55)を通じて液体状態のH2O(即ち、水)も供給される。水素極排気管(43)からの水素極排ガスと給水管(55)からの水とが混入された原料ガスは、熱交換器(30)で予熱される。その際、原料ガスへ供給された水は、蒸発して水蒸気となる。そして、熱交換器(30)で予熱されて水蒸気を含んだ原料ガスが、改質部(23)へ送り込まれる。
【0036】
改質部(23)へ導入された原料ガスは、その一部が燃焼部(22)へ流入する。燃焼部(22)では、燃焼用給気管(46)からの空気が原料ガスと混合され、原料ガスが燃焼する。そして、原料ガスの燃焼熱が、吸熱反応である水蒸気改質反応の反応熱として改質部(23)へ供給される。また、燃焼部(22)で発生した約800℃の燃焼ガスは、燃焼ガス管(47)へ流入し、熱交換器(30)で原料ガスへ放熱してから屋外へ排気される。
【0037】
改質部(23)では、水蒸気改質反応が行われて改質ガスが生成する。この改質ガスは、水蒸気改質反応により生成した水素(H2)及び一酸化炭素(CO)を主成分とするものである。そして、改質ガス中の水素だけが水素分離膜(25)を透過して分離部(24)へ移動する。分離部(24)から流出した約600℃の水素ガスは、熱交換器(30)へ流入して原料ガスへ放熱し、その後に燃料電池の水素極側ガス通路(12)へ送られる。
【0038】
上述のように、本実施形態の改質装置(20)では、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気を、水素極排ガスに含まれる水蒸気と、給水管(55)を通じて供給された水を蒸発させたものとの両方によって賄っている。具体的に、水蒸気改質に必要な水蒸気量は、その約70%が水素極排ガス中の水蒸気で占められ、残りの約30%が給水管(55)からの水を蒸発させたもので占められている。
【0039】
この点について、図5を参照しながら説明する。尚、同図において、「水循環率」とは、原料ガスに混入される水素極排ガス中の水蒸気量を、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気量で除して得られた値を表している。また、「発電効率」とは、燃料電池での発電量から第1圧縮機(31)及び第2圧縮機(32)の駆動に要する電力を差し引いたものを、原料ガスに含まれるメタンの低位発熱量で除して得られた値を表している。
【0040】
本実施形態の改質装置(20)では、図5に一点鎖線で示すように、水循環率が約0.7の場合に発電効率が最高となる。そして、水循環率が小さすぎる場合はもちろん、水循環率が大きすぎても発電効率は低下してしまう。
【0041】
その理由について説明する。水素極排ガス中の水蒸気量を増やすには、電解質膜を透過して水素極側ガス通路(12)へ移動する水蒸気の量を増大させる必要がある。そして、そのためには、水素極側ガス通路(12)の水蒸気分圧を低下させなければならない。
【0042】
ところが、水素極側ガス通路(12)の水蒸気分圧を下げると、第2圧縮機(32)の吸入圧力が低くなる。このため、第2圧縮機(32)における圧縮比を大きくする必要が生じ、第2圧縮機(32)の駆動に要する電力が増大してしまう。従って、水素極排ガス中の水蒸気量をある程度以上にまで増大させようとすると、第2圧縮機(32)の消費電力が嵩み、むしろ発電効率の低下を招く。そこで、本実施形態の改質装置(20)では、最も高い発電効率を得るべく、水循環率が約0.7となるように第2圧縮機(32)の圧縮比を設定している。
【0043】
−実施形態1の効果−
本実施形態の改質装置(20)では、水蒸気を含んだ水素極排ガスを原料ガスと共に改質部(23)へ供給している。このため、燃料電池(10)で生成した水蒸気を、改質部(23)における水蒸気改質反応に利用することが可能となる。つまり、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気の一部又は全部を、燃料電池(10)で生成した水蒸気によって賄うことができる。
【0044】
この結果、水を加熱し蒸発させることで水蒸気改質反応に必要な水蒸気の全てを賄っていた従来のものに比べ、改質装置(20)で水素を生成させるのに必要な燃料を削減することができる。従って、本実施形態によれば、燃料電池システムの出力を維持しながら燃料電池システムへ供給すべき燃料の量を削減でき、燃料電池システムの発電効率を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、熱交換器(30)を設けることで、分離部(24)から送出された水素ガスの熱を、改質部(23)へ供給される原料ガスへ回収することができる。このため、本体容器(21)からの放熱ロスを削減することができ、燃料電池システムの発電効率を一層向上させることができる。
【0046】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1の燃料電池システムに湿度交換器(60)を追加したものである。ここでは、本実施形態の燃料電池システムについて、上記実施形態1と異なる点を説明する。
【0047】
図示しないが、湿度交換器(60)には、放湿側の空気通路と吸湿側の空気通路とが形成されている。放湿側の空気通路と吸湿側の空気通路との間は、水蒸気分離膜によって仕切られている。この水蒸気分離膜は、複数の成分から成る混合ガスに含まれた水蒸気だけを透過させる。
【0048】
図2に示すように、湿度交換器(60)は、空気供給管(44)と酸素極排気管(45)とに跨って配置されている。具体的に、湿度交換器(60)では、その放湿側の空気通路に酸素極排気管(45)が接続され、その吸湿側の空気通路に空気供給管(44)が接続されている。湿度交換器(60)において、酸素極排ガスに含まれる水蒸気は、水蒸気分離膜を透過し、空気供給管(44)から送り込まれた空気に付与される。また、湿度交換器(60)において、空気と酸素極排ガスは水蒸気分離膜を介して熱交換し、空気が予熱される。そして、空気供給管(44)を流れる空気は、湿度交換器(60)で加湿され、更には予熱されてから燃料電池(10)の酸素極側ガス通路(11)へ導入される。
【0049】
このように、本実施形態の改質装置(20)では、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気を、水素極排ガスに含まれる水蒸気と、給水管(55)を通じて供給された水を蒸発させたものとの両方によって賄っている。具体的に、水蒸気改質に必要な水蒸気量は、その約80%が水素極排ガス中の水蒸気で占められ、残りの約20%が給水管(55)からの水を蒸発させたもので占められている。
【0050】
この点について、再び図5を参照しながら説明する。本実施形態の改質装置(20)では、図5に破線で示すように、水循環率が約0.8の場合に発電効率が最高となる。そして、水循環率が小さすぎる場合はもちろん、水循環率が大きすぎても発電効率は低下してしまう。その理由は、上記実施形態1の説明で述べた通りである。
【0051】
ただし、本実施形態では、湿度交換器(60)において酸素極側ガス通路(11)へ導入される空気を予め加湿している。このため、上記実施形態1のように空気を予め加湿しない場合に比べ、酸素極側ガス通路(11)での水蒸気分圧が高くなり、それに伴って水素極側ガス通路(12)での水蒸気分圧も上昇する。水素極側のガス通路(12)から排出される水素極排ガスの大部分は水蒸気であるため、水蒸気分圧が上昇することによって水素極排ガスの圧力も上昇する。そして、水素極排ガスの圧力が上昇すると、第2圧縮機(32)の吸入圧力が高くなって第2圧縮機(32)での圧縮比が小さくなり、第2圧縮機(32)の駆動に要する電力が削減される。従って、本実施形態によれば、同図に一点鎖線で示す上記実施形態1の場合に比べ、より高い水循環率において、より高い発電効率が得られる。
【0052】
【発明の実施の形態3】
本発明の実施形態3は、上記実施形態1の燃料電池システムに加湿器(65)を追加したものである。ここでは、本実施形態の燃料電池システムについて、上記実施形態1と異なる点を説明する。
【0053】
図示しないが、加湿器(65)には、冷却水の通路と空気の通路とが形成されている。冷却水の通路と空気の通路との間は、透湿膜によって仕切られている。この透湿膜は、液体である水は透過させずに水蒸気だけを透過させる。
【0054】
図3に示すように、加湿器(65)は、空気供給管(44)と冷却水回路(50)とに跨って配置されている。具体的に、加湿器(65)には、冷却水の通路に冷却水回路(50)が接続され、空気の通路に空気供給管(44)が接続されている。また、加湿器(65)は、冷却水回路(50)における燃料電池(10)の下流に配置されている。加湿器(65)において、冷却水から蒸発した水蒸気は、透湿膜を透過し、空気供給管(44)から送り込まれた空気に付与される。そして、空気供給管(44)を流れる空気は、加湿器(65)で加湿されてから燃料電池(10)の酸素極側ガス通路(11)へ導入される。
【0055】
本実施形態の改質装置(20)では、改質部(23)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気を、水素極排ガスに含まれる水蒸気だけで賄っている。つまり、給水管(55)のポンプ(56)は停止され、給水管(55)を通じた水の供給は行われない。ただし、燃料電池システムの起動時だけは、外部から水を供給する必要がある。そこで、この改質装置(20)では、起動時にだけポンプ(56)の運転を行うようにしている。
【0056】
本実施形態の加湿器(65)は、燃料電池システムから送出された比較的高温(約60℃程度)の冷却水を利用して空気の加湿を行っている。このため、上記実施形態2のように酸素極排ガス中の水蒸気を利用して空気を加湿するものに比べ、酸素極側ガス通路(11)での水蒸気分圧が高くなり、それに伴って水素極側ガス通路(12)での水蒸気分圧も上昇する。そして、第2圧縮機(32)の吸入圧力をそれ程低くしなくても、充分な量の水蒸気が電解質膜を透過して水素極側ガス通路(12)へ移動する。従って、本実施形態の燃料電池システムでは、図5に実線で示すように、水循環率が高いほど発電効率も高くなる。
【0057】
−実施形態3の変形例−
本実施形態では、上記実施形態1の燃料電池システムに加湿器(65)だけを追加しているが、この加湿器(65)に加えて湿度交換器(60)を更に追加してもよい。
【0058】
この湿度交換器(60)は、上記実施形態2のものと同様に構成されている。また、図4に示すように、湿度交換器(60)は、空気供給管(44)における加湿器(65)の上流に配置されている。尚、湿度交換器(60)が空気供給管(44)と酸素極排気管(45)とに跨って配置されている点は、上記実施形態2の場合と同様である。そして、本実施形態の燃料電池システムにおいて、空気供給管(44)を流れる空気は、先ず湿度交換器(60)において加湿され、その後に加湿器(65)で更に加湿されてから燃料電池(10)の酸素極側ガス通路(11)へ導入される。
【0059】
【発明のその他の実施の形態】
−第1変形例−
上記の各実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池(10)を固体高分子電解質型に構成しているが、燃料電池(10)の形式はこれに限定されるものではなく、例えば燃料電池(10)をリン酸型に構成してもよい。
【0060】
−第2変形例−
上記実施形態2の燃料電池システムでは、水蒸気分離膜を用いて湿度交換器(60)を構成しているが、この湿度交換器(60)を次のように構成してもよい。
【0061】
つまり、湿度交換器(60)に吸着剤を設け、この吸着剤に水蒸気を吸脱着させることで、酸素極排ガス中の水蒸気を酸素極側ガス通路(11)に向かう空気へ移動させるようにしてもよい。例えば、本変形例の湿度交換器(60)では、空気供給管(44)と酸素極排気管(45)とに跨って配置されたロータの表面に吸着剤が設けられ、このロータが回転駆動される。そして、酸素極排ガスがロータに接触すると酸素極排ガス中の水蒸気が吸着剤に吸着され、空気供給管(44)を流れる空気がロータに接触すると吸着剤から水蒸気が脱離して空気に付与される。
【0062】
−第3変形例−
上記実施形態3の燃料電池システムでは、加湿器(65)に冷却水回路(50)を接続し、燃料電池(10)の排熱で暖められた冷却水によって空気を加湿しているが、これに代えて、次のような構成を採ってもよい。
【0063】
つまり、改質装置(20)の排熱により暖められた水を加湿器(65)へ導入し、この温水によって空気を加湿するようにしてもよい。この場合には、例えば、熱交換器(30)を通過した後の燃焼ガスや水素ガスを水と熱交換させ、これら燃焼ガスや水素ガスによって温められた水を加湿器(65)へ導入すればよい。更に、燃料電池システムとは別個の機器からの排熱が利用できる場合は、その機器の排熱で暖められた水を加湿器(65)へ導入して空気の加湿を行ってもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明では、燃料電池(10)で生成した水蒸気の含まれた水素極排ガスを原料ガスと共に改質装置(20)へ供給している。このため、燃料電池(10)において生成した水蒸気を、改質装置(20)における水蒸気改質反応に利用することが可能となる。つまり、改質装置(20)での水蒸気改質反応に必要な水蒸気の一部又は全部を、燃料電池(10)で生成した水蒸気によって賄うことができる。この結果、水を加熱し蒸発させることで水蒸気改質反応に必要な水蒸気の全てを賄っていた従来のものに比べ、改質装置(20)で水素を生成させるのに必要な燃料を削減することができる。従って、本発明によれば、燃料電池システムの出力を維持しながら燃料電池システムへ供給すべき燃料の量を削減でき、燃料電池システムの発電効率を向上させることができる。
【0065】
請求項2,3,4の発明では、湿度交換器(60)や加湿器(65)において、酸素極側のガス通路(11)へ導入される空気を予め加湿している。このため、空気を予め加湿しない場合に比べ、酸素極側のガス通路(11)での水蒸気分圧が高くなり、それに伴って水素極側のガス通路(12)での水蒸気分圧も上昇する。水素極側のガス通路(12)から排出される水素極排ガスの大部分は水蒸気であるため、水蒸気分圧が上昇することによって水素極排ガスの圧力も上昇する。従って、これら請求項2,3,4の発明によれば、第2圧縮機(32)が吸入する水素極排ガスの圧力を高めることができ、第2圧縮機(32)での圧縮比を小さくして水素極排ガスの圧縮に要する動力を削減できる。この結果、第2圧縮機(32)を駆動するのに必要な動力を削減でき、それによっても燃料電池システムの発電効率を向上させることができる。
【0066】
請求項5の発明によれば、熱交換器(30)を設けることで、改質装置(20)から送出された水素ガスの熱を、改質装置(20)へ供給される原料ガスへ回収することができる。従って、この発明によれば、改質装置(20)からの放熱ロスを削減することができ、燃料電池システムの発電効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における燃料電池システムの概略構成図である。
【図2】実施形態2における燃料電池システムの概略構成図である。
【図3】実施形態3における燃料電池システムの概略構成図である。
【図4】実施形態3の変形例における燃料電池システムの概略構成図である。
【図5】実施形態1,2,3の燃料電池システムにおける水循環率と発電効率の関係図である。
【符号の説明】
(10) 燃料電池
(11) 酸素極側ガス通路
(12) 水素極側ガス通路
(20) 改質装置
(25) 水素分離膜
(30) 熱交換器
(31) 第1圧縮機
(32) 第2圧縮機
(60) 湿度交換器
(65) 加湿器
Claims (5)
- 燃料電池(10)と、
原料ガスを圧縮する第1圧縮機(31)と、
上記燃料電池(10)の水素極側のガス通路(12)から排出された水素極排ガスを圧縮する第2圧縮機(32)と、
上記第1圧縮機(31)で圧縮された原料ガス及び上記第2圧縮機(32)で圧縮された水素極排ガスから水蒸気改質反応によって改質ガスを生成すると共に、水素分離膜(25)を用いて上記改質ガスから分離した水素ガスを上記燃料電池(10)の水素極側のガス通路(12)へ供給する改質装置(20)と
を備えている燃料電池システム。 - 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)から排出された酸素極排ガスに含まれる水蒸気を該酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気へ移動させる湿度交換器(60)を備えている燃料電池システム。 - 請求項1又は2に記載の燃料電池システムにおいて、
燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気を排熱で加熱された水によって加湿する加湿器(65)を備えている燃料電池システム。 - 請求項1又は2に記載の燃料電池システムにおいて、
燃料電池(10)の酸素極側のガス通路(11)へ供給される空気を上記燃料電池(10)の冷却水によって加湿する加湿器(65)を備えている燃料電池システム。 - 請求項1,2,3又は4に記載の燃料電池システムにおいて、
第1圧縮機(31)で圧縮されて改質装置(20)へ供給される原料ガスを上記改質装置(20)から燃料電池(10)へ供給される水素ガスと熱交換させる熱交換器(30)を備えている燃料電池システム。
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