JP2004014189A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高エネルギー密度でしかもサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話、携帯用パソコン、携帯用ビデオカメラ等の電子機器が開発され、各種電子機器が携帯可能な程度に小型化されている。それに伴い、内蔵される電池も高エネルギー密度を有し、かつ軽量なものが採用されている。そのような要求を満たす典型的な電池は、特にリチウム金属やリチウム合金等の活物質、またはリチウムイオンをホスト物質(ここでホスト物質とは、リチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質をいう。)である炭素材料に吸蔵させたリチウムインターカレーション化合物を負極材料とし、LiClO4やLiPF6等の電解質塩を溶解した非プロトン性の有機溶媒を電解液とする非水電解質二次電池である。
【0003】
この非水電解質二次電池は、上記の負極材料をその支持体である負極集電体に保持してなる負極板、コバルト酸リチウムのようにリチウムイオンと可逆に電気化学反応をする正極活物質をその支持体である正極集電体に保持してなる正極板、電解液を保持するとともに正極板と負極板との間に介在して両極の短絡を防止するセパレータからなっている。
【0004】
そして、上記正極板および負極板は、いずれも薄いシートないし箔状に成形されたものを、セパレータを介して順に積層又は渦巻き状に巻回した発電要素とする。そしてこの発電要素を、ステンレス、ニッケルめっきを施した鉄、またはアルミニウム等の金属からなる電池容器に収納され、電解液を注液後、蓋板で密封固着して、電池を組み立てられてきた。
【0005】
ところが、金属性電池容器を用いた場合、気密性が高く、かつ機械的強度に優れてはいるものの、電池の軽量化や電池容器の材料、デザインには大きな制約となっていた。
【0006】
その問題を解決するものとして、特開2002−75291号公報に開示されているような、図4に示した発電要素を袋状単電池ケースに収納する方法が提案された。この袋状単電池ケースの材質として、気密構造を有する金属ラミネート樹脂フィルムが使用され、電池の軽量化を図ることが可能となった。図4において、41は発電要素、42は金属ラミネート樹脂フィルム、43は中央熱溶着部、44は端子側熱溶着部、45は端部熱溶着部、46は正極端子、47は負極端子である。
【0007】
また、特開平08−329972号公報に開示されているような、図5に示したフィルムと側板とからなる電池ケースを使用することが提案されている。図5において、51はフィルム、52はフィルムのシール部、53は第1の側板、54は第2の側板、55は第1の側板とフィルムとのシール部、56は第2の側板とフィルムとのシール部、57は端子である。この電池では、積層電極体にフィルム51を巻き付け、両側からポリプロピレン製の側板で挟み、フィルム51と2つの側板53および54とが、55および56でシールされている。端子57は、第2の側板52に設けた端子用孔を通して、Oリングやガスケットを介して固定されている。また、フィルム部分にはハードケースが取り付けられ、このハードケースは側板に超音波溶着されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記金属ラミネート樹脂フィルムを使用した袋状単電池ケースでは、フィルムの内側同士を熱溶着する部分が必要となり、図4で示した、43、44および45のような熱溶着部分が必要であり、この熱溶着部分だけ電池が大きくなり、エネルギー密度が小さくなるという問題があった。そのため熱溶着部を折り曲げることで見かけの体積を小さくする手段がとられてきたが、電池のエネルギー密度が小さくなるという問題を免れることはできなかった。
【0009】
また、上記特開平08−329972に開示されているような、フィルムと側板とからなる電池ケースを使用した場合には、側板から端子を取り出す機構が複雑なため製造工程が複雑となり、さらに、ハードケースが必要なことから、電池のエネルギー密度を大きくすることは困難であった。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高エネルギー密度でしかもサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、前記蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、高エネルギー密度でしかもサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【0013】
請求項2の発明は、上記非水電解質二次電池において、筒状外装体材料が、内側熱可塑性樹脂層、金属箔層、および外側熱可塑性樹脂層の少なくとも3層からなる積層体で、前記筒状外装体材料の内側熱可塑性樹脂と外側熱可塑性樹脂とが接合されて筒状外装体とし、前記筒状外装体の内側熱可塑性樹脂と蓋状外装体とが接合されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明によれば、構造が簡単な、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することができる。
【0015】
請求項3の発明は、上記非水電解質二次電池において、蓋状外装体の形状はカップ状であり、前記蓋状外装体の外側底面は金属層が露出しており、前記蓋状外装体の内側に発電要素の一部が挿入されたことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明によれば、製造工程がより容易な、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、前記蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする。
【0018】
本発明には、正極板と隔離体と負極板とを巻回して製作した巻回型発電要素や、複数の正極板と隔離体と負極板とを順次積層して製作した積層型発電要素を使用することができる。また、発電要素の断面形状は、長円形、長方形、円形、楕円形のいずれであってもよく、他の形状でもよい。好ましくは、長円形、円形に類似する形状である。
【0019】
本発明の単電池ケースは、筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、それらが接合され、その内部に発電要素を収納したものである。本発明による蓋状外装体と筒状外装体との接合は、熱溶着や超音波溶着を用いることができる。蓋状外装体と筒状外装体との接着幅は、1〜10mmとすることができる。しかし接着幅が狭すぎた場合、水分やガスを透過しやすくなり、電池特性に悪影響を及ぼす恐れがある。また、溶着幅が広すぎる場合、エネルギー密度を低下させることになる。接着幅は2〜5mmであることがより好ましい。
【0020】
また蓋状外装体は、樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなるものである。そして、筒状外装体と溶着する部分に樹脂層を備えるものである。蓋状外装体の筒状外装体と溶着する部分の樹脂の材質は、筒状外装体の内側熱可塑性樹脂層と同じ材質であることが好ましい。
【0021】
本発明における、一方の蓋状外装体の金属部分と正極板との接続および他方の蓋状外装体の金属部分と負極板との接続は、正極板に取り付けられた正極集電体と金属部分および負極板に取り付けられた負極集電体と金属部分を直接接続することができる。また、同種金属材料もしくは異種材料からなる接続体を用いて、正極集電体と金属部分および負極集電体と金属部分を接続しても良い。接続方法としては、超音波溶着、スポット溶接、圧着、カシメ溶接、導電性粘着テープなどを用いることができる。
【0022】
本発明の非水電解質二次電池組立の工程を図1〜図3に示す。図1は本発明になる非水電解質二次電池組立の第1の工程を示す図、図2は本発明になる非水電解質二次電池組立の第2の工程を示す図、図3は本発明になる非水電解質二次電池の外観を示す図である。図1〜図3において、1は巻回型発電要素、2は巻回型発電要素の一方の渦巻部、3は巻回型発電要素の他方の渦巻部、4は正極板、5は負極板、6は正極側蓋状外装体、7は負極側蓋状外装体、8は正極接続体、9は負極接続体、10は正極接続体の正極側蓋状外装体との接続部、11は負極接続体の負極側蓋状外装体との接続部、12は金属ラミネート樹脂フィルムである。
【0023】
まず、正極板と隔離体と負極板とを順に重ね合わせて、長方形状の巻芯の周囲に長円渦状に巻回して、発電要素とした。この発電要素1に適量の電解液を浸透させた。この発電要素1、正極側蓋状外装体6および負極側蓋状外装体7を、図1のように配置し、さらに、正極接続体8と負極接続体9とを、矢印の方向から配置した。
【0024】
次に、図2に示すように、発電要素1の一方の渦巻部2と正極接続体8とを、正極側蓋状外装体6の凹部に挿入した。この時、正極接続体の正極側蓋状外装体との接続部10も、正極側蓋状外装体6の凹部の中に入るようにする。そして、正極側蓋状外装体6と正極接続体8および正極3と正極接続体8とを接合した。同様にして、発電要素1の他方の渦巻部3と負極接続体9とを、負極側蓋状外装体7の凹部に挿入し、負極接続体の負極側蓋状外装体との接続部11も、負極側蓋状外装体7の凹部の中に入るように、負極側蓋状外装体7と負極接続体9および負極5と負極接続体9とを接合した。
【0025】
さらに、図3に示すように、発電要素1の周囲を金属ラミネート樹脂フィルム12で覆い、金属ラミネート樹脂フィルムの端部同士を接合して筒状外装体とし、この筒状外装体と、正極側蓋状外装体6および負極側蓋状外装体7とを接合して、本発明になる非水電解質二次電池を得る。
【0026】
本発明の非水電解質二次電池組立の、接続体を用いない工程を図6〜図9に示す。図6は本発明になる接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第1の工程を示す図、図7は本発明になる接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第2の工程を示す図、図8は本発明になる接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第3の工程を示す図、図9は本発明になる接続体を用いない非水電解質二次電池の外観を示す図である。図6〜図9において、記号1〜12は図1〜3と同じものを示し、13は正極リード、14は負極リード、15は正極側蓋状外装体6の延長部、16は負極側蓋状外装体7の延長部である。
【0027】
まず、図1と同様の発電要素1、正極側蓋状外装体6および負極側蓋状外装体7を、図6のように配置した。この時、正極リード13および負極リード14は、発電要素1から端部をはみ出させておく。
【0028】
次に、図7に示すように、発電要素1の一方の渦巻部2を正極側蓋状外装体6の凹部に挿入した。同様にして、発電要素1の他方の渦巻部3を負極側蓋状外装体7の凹部に挿入した。
【0029】
さらに、図8に示すように、正極リード13を折り曲げて、正極側蓋状外装体6の延長部15に接合した。同様に、負極リード14を折り曲げて、負極側蓋状外装体7の延長部16に接合した。
【0030】
最後に、図9に示すように、発電要素1の周囲を金属ラミネート樹脂フィルム12で覆い、金属ラミネート樹脂フィルムの端部同士を接合して筒状外装体とし、この筒状外装体と、正極側蓋状外装体6および負極側蓋状外装体7とを接合して、本発明になる非水電解質二次電池を得る。
【0031】
本発明において、発電要素の形状としては、巻回型発電要素や積層型発電要素を使用することができる。特に巻回型発電要素を使用する場合には、巻回型発電要素の巻回中心軸と筒状外装体の中心軸とを一致させてもよいし、巻回型発電要素の巻回中心軸と筒状外装体の中心軸とを直交させてもよい。後者の場合には、正極接続体または正極リードおよび負極接続体または負極リードを、巻回型発電要素のお互いに反対側に容易に引き出すことができ、一方の蓋状外装体の金属部分と正極板との接続および他方の蓋状外装体の金属部分と負極板との接続が、きわめて容易となり、製造工程が非常により簡単になる。
【0032】
さらに本発明の非水電解質二次電池は、筒状外装体材料が、内側熱可塑性樹脂層、金属箔層、および外側熱可塑性樹脂層の少なくとも3層からなる積層体で、この筒状外装体材料の内側熱可塑性樹脂と外側熱可塑性樹脂とが接合されて筒状外装体とし、さらに、筒状外装体の内側熱可塑性樹脂と蓋状外装体とが接合されていることを特徴とするものである。
【0033】
筒状外装体材料は、少なくとも3層からなる金属ラミネート樹脂フィルムを使用することができる。この金属ラミネート樹脂フィルムの金属箔層としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅などが使用できる。この金属箔層は10〜100μmの厚さのものが使用できる。金属箔層にアルミニウム箔を用いた場合にはベーマイト法、リン酸塩法、クロム酸塩法による表面処理をおこなっても良い。また、金属ラミネート樹脂フィルムの樹脂の材質としては熱可塑性樹脂を用いることができ、ポリプロピレンやポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレンなどを用いてよい。好ましくはポリプロピレンもしくはポリエチレンである。そして、金属箔層の両側から熱可塑性樹脂で挟んだ3層積層体のものを使用する。なお、金箔属層と熱可塑性樹脂層の間に、種類の異なる熱可塑性樹脂層を取り付けて、3層以上の積層体としてもよい。
【0034】
筒状外装体の製作には、長方形に成形した金属ラミネート樹脂フィルムの一つの対向する辺を重ね合わせ、熱溶着することによって製作可能である。重ね合わせの方法として、内側と内側とを重ねても良いし内側と外側、もしくは外側と外側を重ねてよい。好ましくは内側と外側を重ねる方法である。ここで使用する金属ラミネート樹脂フィルムにおいて、内側樹脂層と外側樹脂層の厚さは同じであっても良いし異なってもよい。内側樹脂層の厚さは100〜15μmであることが好ましい。また、外側樹脂層の厚さは100〜15μmであることが好ましい。それぞれの樹脂層は、単層であっても2層以上から構成されていてもよい。また、溶着幅は1〜30mmあればよく、好ましくは2〜15mmである。
【0035】
さらに本発明の非水電解質二次電池において、蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、その形状はカップ状であり、前記蓋状外装体の外側底面は金属層が露出しており、前記蓋状外装体の内側に発電要素の一部が挿入されたことを特徴とする。
【0036】
本発明による蓋状外装体は、筒状外装体の中の発電要素を挟み込むように配置することができて、かつ筒状外装体の内側樹脂層と接着することができる。また、本発明による蓋状外装体はカップ状になっており、内側に発電要素の一部を挿入できる。発電要素と発電要素との間に絶縁が必要な場合には蓋状外装体の内側を樹脂層によって被覆することができる。この樹脂層の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂が使用できる。この樹脂層の厚さは10〜500μmであることが好ましい。また、樹脂層の代わりに酸化物や窒化物などのセラミクスを用いても良い。
【0037】
本発明において、蓋状外装体は正極端子もしくは負極端子とすることができる。また、蓋状外装体の底面は、鏡面処理や文字の刻印や印刷、もしくは金属板の接合処理等の加工を加えてもよい。特に、蓋状外装体を正極もしくは負極の端子として使用する場合には、正極と負極との区別を明確にする加工、すなわち文字の刻印や印刷、もしくは金属板の接合処理等の加工を施すことが好ましい。
【0038】
また、蓋状外装体の切り口、すなわち、カップ状の形状の縁部では、切断加工などによって金属層が露出する場合があるが、好ましくは、樹脂などの絶縁物による被覆が好ましい。特に、蓋状外装体が正極端子もしくは負極端子として使用され、かつ発電要素の極板と短絡する恐れがある場合、特に絶縁物による被覆が好ましい。ただし、蓋状外装体が、正極板もしくは負極板と接続する部分では、絶縁物の被覆は無いことが好ましい。絶縁物の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの樹脂や、酸化物や窒化物などのセラミクスを用いることができる。
【0039】
本発明の非水電解質二次電池に使用する正極板は、正極活物質、導電助剤、結着材、そして金属箔からなる正極集電体とによって製作できる。正極活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、そしてこれらの混合物を用いることができる。導電助剤としてはケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラックなどの導電性微粉末や炭素繊維、金属微粒子を用いることができる。結着材としては、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブチレンゴムを用いることができる。正極集電体としてはアルミ箔、ステンレス箔が使用できる。
【0040】
本発明の非水電解質二次電池に用いる正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出可能な化合物である、組成式LixMO2、またはLiyM2O4(ただしMは遷移金属、0≦x≦1、0≦y≦2)で表される複合酸化物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物を用いることができる。その具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li2Mn2O4、MnO2、FeO2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2等がある。また、ポリアニリン等の導電性ポリマー等の有機化合物を用いることもでき、さらに、これらを混合して用いてもよい。また、粒状の活物質を用いる場合には、例えば、活物質粒子と導電助剤と結着剤とからなる合材をアルミニウム等の金属集電体上に形成することで作製できる。
【0041】
本発明による負極板としては、負極材料、導電助剤、結着材、そして金属箔からなる負極集電体とによって製作できる。負極材料としては、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、低結晶性炭素を用いることができ、これらの混合物を用いても良い。導電助剤としては、炭素繊維や金属微粒子を用いることができる。結着材の材質としてはポリフッ化ビニリデンやスチレンブチレンゴムを用いることができる。負極集電体の材質として銅やステンレス、ニッケルを使用することができる。
【0042】
また、負極活物質としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等とリチウムとの合金、LiFe2O3、WO2、MoO2等の遷移金属酸化物、グラファイト、カーボン等の炭素質材料、Li5(Li3N)等の窒化リチウム、もしくは金属リチウム箔、または、これらの混合物を用いてもよい。また、粒状の炭素質材料を用いる場合には、例えば、活物質粒子と結着剤とからなる合材を銅等の金属集電体上に形成することで作製できる。
【0043】
本発明による隔離体としては、オレフィン系樹脂の有孔性膜を使用できる。オレフィン系樹脂の材質としてポリエチレンやポリプロピレンが使用できる。また、これらの材質が単層で構成されても良いし、2層以上の構成となっても良い。また、有孔性膜の厚さは5〜30マイクロメートルが好ましく、また、多孔度は80〜30%であればよい。さらに、絶縁性微粒子を含む有孔性樹脂により正極板そして/または負極板と接着しても良い。絶縁性微粒子の材質として、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの酸化物やシリコンカーバイド、シリコンナイトライドなどの非酸化物セラミクスを使用できる。有孔性樹脂の材質として、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブチレンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステルを使用できる。金属ラミネートフィルムを外装体として使用する電池は、落下衝撃に対する強度が低いため、発電要素の正極板そして負極板と隔離体とが接着した構成となる電池が好ましい。さらに、発電要素と金属ラミネートフィルムとが接着してある場合、落下衝撃に対する電池の強度は向上するため、発電要素と金属ラミネートフィルムとが接着することが好ましい。また、隔離体として、リチウムイオン伝導性を示す、固体電解質をもちいてもよい。
【0044】
非水電解質の溶媒としては、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート等の非水溶媒を、単独、またはこれらを混合して使用することができる。また、適宜、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン等の重合剤、および1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、グリコールサルフェート等の皮膜形成剤などの添加剤を、適量含有したものでも良い。
【0045】
非水電解質は、これらの非水溶媒に支持塩を溶解して使用する。支持塩としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3CO2、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiCF3CF2CF2SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2、LiN(COCF3)2、LiN(COCF2CF3)2およびLiPF3(CF2CF3)3などの塩、もしくはこれらの混合物を使用することができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明電池の実施例を説明する。本発明になる非水電解質二次電池は正極板と隔離体と負極板とからなる発電要素を筒状外装体と二つの蓋状外装体とにより収納したものであり、一方蓋状外装体の金属部分が正極板と接続し、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続してあるものである。
【0047】
正極活物質にはリチウムコバルト複合酸化物を用いた。正極板は、厚さ18μmのアルミニウム箔からなる集電体に、上記正極活物質を含む正極合剤が保持されたものである。正極板は、結着材であるポリフッ化ビニリデン5.5wt%と導電助剤であるアセチレンブラック2.5wt%とを活物質92wt%とともに混合し、適宜N−メチルピロリドンを加えてペースト状に調整した後、集電体の両面に塗布、乾燥することによって製作した。
【0048】
負極板は、厚さ14μmの銅箔からなる集電体に、負極活物質としてのグラファイト粒子(黒鉛)を含む負極合剤が保持されたものである。負極板は、グラファイト粒子(黒鉛)92wt%と結着材としてのポリフッ化ビニリデン8wt%とを混合し、適宜N−メチルピロリドンを加えてペースト状に調整した後、集電体の両面に塗布、乾燥することによって製作した。
【0049】
隔離体はポリエチレン微多孔膜とし、また、電解液は、LiPF6を1モル/l含むエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=4:6(体積比)の混合液とした。
【0050】
極板寸法は、正極板厚さ175μm、幅49mm、隔離体が厚さ23μm、幅51mm、負極厚さが165μm、幅51mmであり、正極板および負極板にそれぞれリード端子を溶接し、順に重ね合わせて長方形状の巻芯を中心として、長辺が発電要素の巻回中心となるよう、その周囲に長円渦状に巻回して、51×40×3.5mmの大きさの発電要素とした。
【0051】
図1〜図3に示したのと同様の工程を経て、実施例の非水電解質二次電池を作製した。正極用蓋状外装体6は、金属部分がアルミニウムであり、長円形の底面の概形が41×3.9mmであり、高さが6mmのカップ状に成形したものに、カップの底面以外をポリエチレンで被覆したものを使用した。この蓋状外装体には、接続体を溶着する部分に縦横3×3mmのポリエチレンを被覆していない部分を設けた。
【0052】
負極用蓋状外装体7は、金属部分が銅であり、長円形の底面の概形が41×3.9mmであり、高さが6mmのカップ状に成形したものに、カップの底面以外をポリエチレンで被覆したものを使用した。この蓋状外装体には、接続体を溶着する部分に縦横3×3mmのポリエチレンを被覆していない部分を設けた。
【0053】
この長円形発電要素の、一方の巻回部2を正極側蓋状外装体6の凹部に挿入し、他方の巻回部3を負極側蓋状外装体7の凹部に挿入したのち、0.1×3×15mmの正極接続体8であるニッケル板を溶着して、正極板4と正極用蓋状外装体6とを接続した。また、同様にして、負極接続体9としてのニッケル板を溶着して、負極板5と負極用蓋状外装体7とを接続した。
【0054】
つぎに51mm幅の長方形金属ラミネート樹脂フィルム12を、長円形発電要素が収納されるように、外装体と熱溶着した。金属ラミネート樹脂フィルムは、厚さ40μmのアルミ箔の両面に厚さ50μmのポリエチレン層を備えるものを使用した。そして、金属ラミネート樹脂フィルム12同士を重ね合わせる部分から電解液を注液した。最後に、図3に示すように、金属ラミネート樹脂フィルム12同士を熱溶着して、本発明になる実施例の非水電解質二次電池Aを10セル製作した。非水電解質二次電池Aの寸法は53mm×41.3mm×4.3mmであり、体積は9.41cm3であった。なお、ここで体積とは、電池の真の体積ではなく、高さ×幅×厚さで表される概形での体積である。
【0055】
比較例1として、図4に示したのと同じ形状の、金属ラミネート樹脂フィルムケースを使用し、厚さ0.1mmのリードを加えた以外は実施例と同様にして、従来の非水電解質二次電池Bを10セル製作した。非水電解質二次電池Bの寸法は、62mm×43mm×4.0mmであり、体積は10.7cm3であった。
【0056】
また、比較例2として、図5に示したのと同じ形状の、フィルムと2つの側板とからなる電池ケースを使用し、厚さ0.1mmのリードを加えた以外は実施例と同様にして、従来の非水電解質二次電池Cを10セル製作した。ここで、側板の材質としてポリエチレンを使用した。この非水電解質二次電池Cの寸法は、61mm×41mm×4.0mmであり、体積は10.0cm3であった。
【0057】
次に、実施例の電池Aおよび比較例の電池Bの特性について検討した。充放電サイクル条件は、充電は700mA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で、合計3時間おこない、放電は700mA定電流で、終止電圧2.8Vまでとした。充放電サイクル試験は400サイクルおこなった。
【0058】
電池Aおよび電池Bの充放電サイクル試験結果を表1にまとめた。なお表1において、初期放電容量は1サイクル目の放電容量を、また、放電容量保持率は、400サイクル目の放電容量の、1サイクル目の放電容量に対する比率(%)とした。なお、電池Aおよび電池Bとも、10セルの平均値を記載した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1では、400サイクル目の体積当たりエネルギー密度は、本発明の実施例の電池Aでは0.252Wh/cm3であったのに対し、比較例の電池Bでは0.225Wh/cm3となった。また、放電容量保持率は、本発明の実施例の電池Aでは82%であったのに対し、比較例の電池Bでは79%となった。
【0061】
このような結果となった理由は定かではないが、以下のように考えられる。ラミネートフィルムを使用した非水電解質二次電池では、樹脂層を透過して侵入する水分が電池特性を劣化させることが考えられる。このような弊害を小さくするためには、溶着幅を大きくして水分が浸入しにくくすることが有効な策となる。
【0062】
本発明による電池では、溶着幅を大きくしても電池外形に大きく影響しないのに対して、比較例1ならびに比較例2では溶着幅を大きくとると、電池外形に大きく影響を与える。つまり、エネルギー密度を高くしようとすると溶着幅を小さくする必要があり、水分などの影響を受けやすくなると考えられる。
【0063】
そこで、比較例1ならびに比較例2の電池で、溶着幅を大きくとることで水分などの影響を小さくし、容量保持率を高くすることは可能であると考えられるが、電池の外形を大きくするという問題が生じるため、現実的ではない。
【0064】
本発明による電池では、溶着幅を大きくとっても電池外形にほとんど影響を与えないことから、高エネルギー密度と充放電サイクル特性とを両立させる、優れたデザインであるといえる。また、溶着幅を大きくできることから、容量保持率にとどまらず、長期保存特性や高温高湿下での使用においても優れた特性を示すことができるものと考えられる。
【0065】
このように、本発明の非水電解質二次電池は、従来の非水電解質二次電池と比較して、エネルギー密度および充放電サイクル特性とも、きわめて優れたものであることがわかった。
【0066】
【発明の効果】
本発明は、正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする。
【0067】
本発明により、従来の金属ラミネートフィルムを使用した袋状単電池ケースを用いた非水電解質二次電池や、フィルムと2つの側板とからなる電池ケースを使用した非水電解質二次電池と比較して、高いエネルギー密度で充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる非水電解質二次電池組立の第1の工程を示す図。
【図2】本発明になる非水電解質二次電池組立の第2の工程を示す図。
【図3】本発明になる非水電解質二次電池の外観を示す図。
【図4】従来のラミネート樹脂フィルム製ケースを用いた非水電解質二次電池の外観を示す図。
【図5】従来のフィルムと側板を使用した電池ケースを用いた非水電解質二次電池の外観を示す図。
【図6】本発明になる、接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第1の工程を示す図。
【図7】本発明になる、接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第2の工程を示す図。
【図8】本発明になる、接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第3の工程を示す図。
【図9】本発明になる、接続体を用いない非水電解質二次電池の外観を示す図。
【符号の説明】
1 巻回型発電要素
2 巻回型発電要素の一方の渦巻部
3 巻回型発電要素の他方の渦巻部
4 正極板
5 負極板
6 正極側蓋状外装体
7 正極接続体
8 負極側蓋状外装体
9 負極接続体
10 正極接続体と正極側蓋状外装体との接続部
11 負極接続体と負極側蓋状外装体との接続部
12 金属ラミネート樹脂フィルム
13 正極リード
14 負極リード
15 正極側蓋状外装体6の延長部
16 負極側蓋状外装体7の延長部
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解質二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話、携帯用パソコン、携帯用ビデオカメラ等の電子機器が開発され、各種電子機器が携帯可能な程度に小型化されている。それに伴い、内蔵される電池も高エネルギー密度を有し、かつ軽量なものが採用されている。そのような要求を満たす典型的な電池は、特にリチウム金属やリチウム合金等の活物質、またはリチウムイオンをホスト物質(ここでホスト物質とは、リチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質をいう。)である炭素材料に吸蔵させたリチウムインターカレーション化合物を負極材料とし、LiClO4やLiPF6等の電解質塩を溶解した非プロトン性の有機溶媒を電解液とする非水電解質二次電池である。
【0003】
この非水電解質二次電池は、上記の負極材料をその支持体である負極集電体に保持してなる負極板、コバルト酸リチウムのようにリチウムイオンと可逆に電気化学反応をする正極活物質をその支持体である正極集電体に保持してなる正極板、電解液を保持するとともに正極板と負極板との間に介在して両極の短絡を防止するセパレータからなっている。
【0004】
そして、上記正極板および負極板は、いずれも薄いシートないし箔状に成形されたものを、セパレータを介して順に積層又は渦巻き状に巻回した発電要素とする。そしてこの発電要素を、ステンレス、ニッケルめっきを施した鉄、またはアルミニウム等の金属からなる電池容器に収納され、電解液を注液後、蓋板で密封固着して、電池を組み立てられてきた。
【0005】
ところが、金属性電池容器を用いた場合、気密性が高く、かつ機械的強度に優れてはいるものの、電池の軽量化や電池容器の材料、デザインには大きな制約となっていた。
【0006】
その問題を解決するものとして、特開2002−75291号公報に開示されているような、図4に示した発電要素を袋状単電池ケースに収納する方法が提案された。この袋状単電池ケースの材質として、気密構造を有する金属ラミネート樹脂フィルムが使用され、電池の軽量化を図ることが可能となった。図4において、41は発電要素、42は金属ラミネート樹脂フィルム、43は中央熱溶着部、44は端子側熱溶着部、45は端部熱溶着部、46は正極端子、47は負極端子である。
【0007】
また、特開平08−329972号公報に開示されているような、図5に示したフィルムと側板とからなる電池ケースを使用することが提案されている。図5において、51はフィルム、52はフィルムのシール部、53は第1の側板、54は第2の側板、55は第1の側板とフィルムとのシール部、56は第2の側板とフィルムとのシール部、57は端子である。この電池では、積層電極体にフィルム51を巻き付け、両側からポリプロピレン製の側板で挟み、フィルム51と2つの側板53および54とが、55および56でシールされている。端子57は、第2の側板52に設けた端子用孔を通して、Oリングやガスケットを介して固定されている。また、フィルム部分にはハードケースが取り付けられ、このハードケースは側板に超音波溶着されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記金属ラミネート樹脂フィルムを使用した袋状単電池ケースでは、フィルムの内側同士を熱溶着する部分が必要となり、図4で示した、43、44および45のような熱溶着部分が必要であり、この熱溶着部分だけ電池が大きくなり、エネルギー密度が小さくなるという問題があった。そのため熱溶着部を折り曲げることで見かけの体積を小さくする手段がとられてきたが、電池のエネルギー密度が小さくなるという問題を免れることはできなかった。
【0009】
また、上記特開平08−329972に開示されているような、フィルムと側板とからなる電池ケースを使用した場合には、側板から端子を取り出す機構が複雑なため製造工程が複雑となり、さらに、ハードケースが必要なことから、電池のエネルギー密度を大きくすることは困難であった。
【0010】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高エネルギー密度でしかもサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、前記蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、高エネルギー密度でしかもサイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。
【0013】
請求項2の発明は、上記非水電解質二次電池において、筒状外装体材料が、内側熱可塑性樹脂層、金属箔層、および外側熱可塑性樹脂層の少なくとも3層からなる積層体で、前記筒状外装体材料の内側熱可塑性樹脂と外側熱可塑性樹脂とが接合されて筒状外装体とし、前記筒状外装体の内側熱可塑性樹脂と蓋状外装体とが接合されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明によれば、構造が簡単な、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することができる。
【0015】
請求項3の発明は、上記非水電解質二次電池において、蓋状外装体の形状はカップ状であり、前記蓋状外装体の外側底面は金属層が露出しており、前記蓋状外装体の内側に発電要素の一部が挿入されたことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明によれば、製造工程がより容易な、高エネルギー密度の非水電解質二次電池を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、前記蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする。
【0018】
本発明には、正極板と隔離体と負極板とを巻回して製作した巻回型発電要素や、複数の正極板と隔離体と負極板とを順次積層して製作した積層型発電要素を使用することができる。また、発電要素の断面形状は、長円形、長方形、円形、楕円形のいずれであってもよく、他の形状でもよい。好ましくは、長円形、円形に類似する形状である。
【0019】
本発明の単電池ケースは、筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、それらが接合され、その内部に発電要素を収納したものである。本発明による蓋状外装体と筒状外装体との接合は、熱溶着や超音波溶着を用いることができる。蓋状外装体と筒状外装体との接着幅は、1〜10mmとすることができる。しかし接着幅が狭すぎた場合、水分やガスを透過しやすくなり、電池特性に悪影響を及ぼす恐れがある。また、溶着幅が広すぎる場合、エネルギー密度を低下させることになる。接着幅は2〜5mmであることがより好ましい。
【0020】
また蓋状外装体は、樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなるものである。そして、筒状外装体と溶着する部分に樹脂層を備えるものである。蓋状外装体の筒状外装体と溶着する部分の樹脂の材質は、筒状外装体の内側熱可塑性樹脂層と同じ材質であることが好ましい。
【0021】
本発明における、一方の蓋状外装体の金属部分と正極板との接続および他方の蓋状外装体の金属部分と負極板との接続は、正極板に取り付けられた正極集電体と金属部分および負極板に取り付けられた負極集電体と金属部分を直接接続することができる。また、同種金属材料もしくは異種材料からなる接続体を用いて、正極集電体と金属部分および負極集電体と金属部分を接続しても良い。接続方法としては、超音波溶着、スポット溶接、圧着、カシメ溶接、導電性粘着テープなどを用いることができる。
【0022】
本発明の非水電解質二次電池組立の工程を図1〜図3に示す。図1は本発明になる非水電解質二次電池組立の第1の工程を示す図、図2は本発明になる非水電解質二次電池組立の第2の工程を示す図、図3は本発明になる非水電解質二次電池の外観を示す図である。図1〜図3において、1は巻回型発電要素、2は巻回型発電要素の一方の渦巻部、3は巻回型発電要素の他方の渦巻部、4は正極板、5は負極板、6は正極側蓋状外装体、7は負極側蓋状外装体、8は正極接続体、9は負極接続体、10は正極接続体の正極側蓋状外装体との接続部、11は負極接続体の負極側蓋状外装体との接続部、12は金属ラミネート樹脂フィルムである。
【0023】
まず、正極板と隔離体と負極板とを順に重ね合わせて、長方形状の巻芯の周囲に長円渦状に巻回して、発電要素とした。この発電要素1に適量の電解液を浸透させた。この発電要素1、正極側蓋状外装体6および負極側蓋状外装体7を、図1のように配置し、さらに、正極接続体8と負極接続体9とを、矢印の方向から配置した。
【0024】
次に、図2に示すように、発電要素1の一方の渦巻部2と正極接続体8とを、正極側蓋状外装体6の凹部に挿入した。この時、正極接続体の正極側蓋状外装体との接続部10も、正極側蓋状外装体6の凹部の中に入るようにする。そして、正極側蓋状外装体6と正極接続体8および正極3と正極接続体8とを接合した。同様にして、発電要素1の他方の渦巻部3と負極接続体9とを、負極側蓋状外装体7の凹部に挿入し、負極接続体の負極側蓋状外装体との接続部11も、負極側蓋状外装体7の凹部の中に入るように、負極側蓋状外装体7と負極接続体9および負極5と負極接続体9とを接合した。
【0025】
さらに、図3に示すように、発電要素1の周囲を金属ラミネート樹脂フィルム12で覆い、金属ラミネート樹脂フィルムの端部同士を接合して筒状外装体とし、この筒状外装体と、正極側蓋状外装体6および負極側蓋状外装体7とを接合して、本発明になる非水電解質二次電池を得る。
【0026】
本発明の非水電解質二次電池組立の、接続体を用いない工程を図6〜図9に示す。図6は本発明になる接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第1の工程を示す図、図7は本発明になる接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第2の工程を示す図、図8は本発明になる接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第3の工程を示す図、図9は本発明になる接続体を用いない非水電解質二次電池の外観を示す図である。図6〜図9において、記号1〜12は図1〜3と同じものを示し、13は正極リード、14は負極リード、15は正極側蓋状外装体6の延長部、16は負極側蓋状外装体7の延長部である。
【0027】
まず、図1と同様の発電要素1、正極側蓋状外装体6および負極側蓋状外装体7を、図6のように配置した。この時、正極リード13および負極リード14は、発電要素1から端部をはみ出させておく。
【0028】
次に、図7に示すように、発電要素1の一方の渦巻部2を正極側蓋状外装体6の凹部に挿入した。同様にして、発電要素1の他方の渦巻部3を負極側蓋状外装体7の凹部に挿入した。
【0029】
さらに、図8に示すように、正極リード13を折り曲げて、正極側蓋状外装体6の延長部15に接合した。同様に、負極リード14を折り曲げて、負極側蓋状外装体7の延長部16に接合した。
【0030】
最後に、図9に示すように、発電要素1の周囲を金属ラミネート樹脂フィルム12で覆い、金属ラミネート樹脂フィルムの端部同士を接合して筒状外装体とし、この筒状外装体と、正極側蓋状外装体6および負極側蓋状外装体7とを接合して、本発明になる非水電解質二次電池を得る。
【0031】
本発明において、発電要素の形状としては、巻回型発電要素や積層型発電要素を使用することができる。特に巻回型発電要素を使用する場合には、巻回型発電要素の巻回中心軸と筒状外装体の中心軸とを一致させてもよいし、巻回型発電要素の巻回中心軸と筒状外装体の中心軸とを直交させてもよい。後者の場合には、正極接続体または正極リードおよび負極接続体または負極リードを、巻回型発電要素のお互いに反対側に容易に引き出すことができ、一方の蓋状外装体の金属部分と正極板との接続および他方の蓋状外装体の金属部分と負極板との接続が、きわめて容易となり、製造工程が非常により簡単になる。
【0032】
さらに本発明の非水電解質二次電池は、筒状外装体材料が、内側熱可塑性樹脂層、金属箔層、および外側熱可塑性樹脂層の少なくとも3層からなる積層体で、この筒状外装体材料の内側熱可塑性樹脂と外側熱可塑性樹脂とが接合されて筒状外装体とし、さらに、筒状外装体の内側熱可塑性樹脂と蓋状外装体とが接合されていることを特徴とするものである。
【0033】
筒状外装体材料は、少なくとも3層からなる金属ラミネート樹脂フィルムを使用することができる。この金属ラミネート樹脂フィルムの金属箔層としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅などが使用できる。この金属箔層は10〜100μmの厚さのものが使用できる。金属箔層にアルミニウム箔を用いた場合にはベーマイト法、リン酸塩法、クロム酸塩法による表面処理をおこなっても良い。また、金属ラミネート樹脂フィルムの樹脂の材質としては熱可塑性樹脂を用いることができ、ポリプロピレンやポリエチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコール共重合樹脂、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレンなどを用いてよい。好ましくはポリプロピレンもしくはポリエチレンである。そして、金属箔層の両側から熱可塑性樹脂で挟んだ3層積層体のものを使用する。なお、金箔属層と熱可塑性樹脂層の間に、種類の異なる熱可塑性樹脂層を取り付けて、3層以上の積層体としてもよい。
【0034】
筒状外装体の製作には、長方形に成形した金属ラミネート樹脂フィルムの一つの対向する辺を重ね合わせ、熱溶着することによって製作可能である。重ね合わせの方法として、内側と内側とを重ねても良いし内側と外側、もしくは外側と外側を重ねてよい。好ましくは内側と外側を重ねる方法である。ここで使用する金属ラミネート樹脂フィルムにおいて、内側樹脂層と外側樹脂層の厚さは同じであっても良いし異なってもよい。内側樹脂層の厚さは100〜15μmであることが好ましい。また、外側樹脂層の厚さは100〜15μmであることが好ましい。それぞれの樹脂層は、単層であっても2層以上から構成されていてもよい。また、溶着幅は1〜30mmあればよく、好ましくは2〜15mmである。
【0035】
さらに本発明の非水電解質二次電池において、蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、その形状はカップ状であり、前記蓋状外装体の外側底面は金属層が露出しており、前記蓋状外装体の内側に発電要素の一部が挿入されたことを特徴とする。
【0036】
本発明による蓋状外装体は、筒状外装体の中の発電要素を挟み込むように配置することができて、かつ筒状外装体の内側樹脂層と接着することができる。また、本発明による蓋状外装体はカップ状になっており、内側に発電要素の一部を挿入できる。発電要素と発電要素との間に絶縁が必要な場合には蓋状外装体の内側を樹脂層によって被覆することができる。この樹脂層の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂が使用できる。この樹脂層の厚さは10〜500μmであることが好ましい。また、樹脂層の代わりに酸化物や窒化物などのセラミクスを用いても良い。
【0037】
本発明において、蓋状外装体は正極端子もしくは負極端子とすることができる。また、蓋状外装体の底面は、鏡面処理や文字の刻印や印刷、もしくは金属板の接合処理等の加工を加えてもよい。特に、蓋状外装体を正極もしくは負極の端子として使用する場合には、正極と負極との区別を明確にする加工、すなわち文字の刻印や印刷、もしくは金属板の接合処理等の加工を施すことが好ましい。
【0038】
また、蓋状外装体の切り口、すなわち、カップ状の形状の縁部では、切断加工などによって金属層が露出する場合があるが、好ましくは、樹脂などの絶縁物による被覆が好ましい。特に、蓋状外装体が正極端子もしくは負極端子として使用され、かつ発電要素の極板と短絡する恐れがある場合、特に絶縁物による被覆が好ましい。ただし、蓋状外装体が、正極板もしくは負極板と接続する部分では、絶縁物の被覆は無いことが好ましい。絶縁物の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの樹脂や、酸化物や窒化物などのセラミクスを用いることができる。
【0039】
本発明の非水電解質二次電池に使用する正極板は、正極活物質、導電助剤、結着材、そして金属箔からなる正極集電体とによって製作できる。正極活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、そしてこれらの混合物を用いることができる。導電助剤としてはケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラックなどの導電性微粉末や炭素繊維、金属微粒子を用いることができる。結着材としては、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブチレンゴムを用いることができる。正極集電体としてはアルミ箔、ステンレス箔が使用できる。
【0040】
本発明の非水電解質二次電池に用いる正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出可能な化合物である、組成式LixMO2、またはLiyM2O4(ただしMは遷移金属、0≦x≦1、0≦y≦2)で表される複合酸化物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物を用いることができる。その具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li2Mn2O4、MnO2、FeO2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2等がある。また、ポリアニリン等の導電性ポリマー等の有機化合物を用いることもでき、さらに、これらを混合して用いてもよい。また、粒状の活物質を用いる場合には、例えば、活物質粒子と導電助剤と結着剤とからなる合材をアルミニウム等の金属集電体上に形成することで作製できる。
【0041】
本発明による負極板としては、負極材料、導電助剤、結着材、そして金属箔からなる負極集電体とによって製作できる。負極材料としては、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、低結晶性炭素を用いることができ、これらの混合物を用いても良い。導電助剤としては、炭素繊維や金属微粒子を用いることができる。結着材の材質としてはポリフッ化ビニリデンやスチレンブチレンゴムを用いることができる。負極集電体の材質として銅やステンレス、ニッケルを使用することができる。
【0042】
また、負極活物質としては、例えば、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等とリチウムとの合金、LiFe2O3、WO2、MoO2等の遷移金属酸化物、グラファイト、カーボン等の炭素質材料、Li5(Li3N)等の窒化リチウム、もしくは金属リチウム箔、または、これらの混合物を用いてもよい。また、粒状の炭素質材料を用いる場合には、例えば、活物質粒子と結着剤とからなる合材を銅等の金属集電体上に形成することで作製できる。
【0043】
本発明による隔離体としては、オレフィン系樹脂の有孔性膜を使用できる。オレフィン系樹脂の材質としてポリエチレンやポリプロピレンが使用できる。また、これらの材質が単層で構成されても良いし、2層以上の構成となっても良い。また、有孔性膜の厚さは5〜30マイクロメートルが好ましく、また、多孔度は80〜30%であればよい。さらに、絶縁性微粒子を含む有孔性樹脂により正極板そして/または負極板と接着しても良い。絶縁性微粒子の材質として、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの酸化物やシリコンカーバイド、シリコンナイトライドなどの非酸化物セラミクスを使用できる。有孔性樹脂の材質として、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブチレンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステルを使用できる。金属ラミネートフィルムを外装体として使用する電池は、落下衝撃に対する強度が低いため、発電要素の正極板そして負極板と隔離体とが接着した構成となる電池が好ましい。さらに、発電要素と金属ラミネートフィルムとが接着してある場合、落下衝撃に対する電池の強度は向上するため、発電要素と金属ラミネートフィルムとが接着することが好ましい。また、隔離体として、リチウムイオン伝導性を示す、固体電解質をもちいてもよい。
【0044】
非水電解質の溶媒としては、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート等の非水溶媒を、単独、またはこれらを混合して使用することができる。また、適宜、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン等の重合剤、および1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトン、グリコールサルフェート等の皮膜形成剤などの添加剤を、適量含有したものでも良い。
【0045】
非水電解質は、これらの非水溶媒に支持塩を溶解して使用する。支持塩としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3CO2、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiCF3CF2CF2SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2、LiN(COCF3)2、LiN(COCF2CF3)2およびLiPF3(CF2CF3)3などの塩、もしくはこれらの混合物を使用することができる。
【0046】
【実施例】
以下、本発明電池の実施例を説明する。本発明になる非水電解質二次電池は正極板と隔離体と負極板とからなる発電要素を筒状外装体と二つの蓋状外装体とにより収納したものであり、一方蓋状外装体の金属部分が正極板と接続し、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続してあるものである。
【0047】
正極活物質にはリチウムコバルト複合酸化物を用いた。正極板は、厚さ18μmのアルミニウム箔からなる集電体に、上記正極活物質を含む正極合剤が保持されたものである。正極板は、結着材であるポリフッ化ビニリデン5.5wt%と導電助剤であるアセチレンブラック2.5wt%とを活物質92wt%とともに混合し、適宜N−メチルピロリドンを加えてペースト状に調整した後、集電体の両面に塗布、乾燥することによって製作した。
【0048】
負極板は、厚さ14μmの銅箔からなる集電体に、負極活物質としてのグラファイト粒子(黒鉛)を含む負極合剤が保持されたものである。負極板は、グラファイト粒子(黒鉛)92wt%と結着材としてのポリフッ化ビニリデン8wt%とを混合し、適宜N−メチルピロリドンを加えてペースト状に調整した後、集電体の両面に塗布、乾燥することによって製作した。
【0049】
隔離体はポリエチレン微多孔膜とし、また、電解液は、LiPF6を1モル/l含むエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=4:6(体積比)の混合液とした。
【0050】
極板寸法は、正極板厚さ175μm、幅49mm、隔離体が厚さ23μm、幅51mm、負極厚さが165μm、幅51mmであり、正極板および負極板にそれぞれリード端子を溶接し、順に重ね合わせて長方形状の巻芯を中心として、長辺が発電要素の巻回中心となるよう、その周囲に長円渦状に巻回して、51×40×3.5mmの大きさの発電要素とした。
【0051】
図1〜図3に示したのと同様の工程を経て、実施例の非水電解質二次電池を作製した。正極用蓋状外装体6は、金属部分がアルミニウムであり、長円形の底面の概形が41×3.9mmであり、高さが6mmのカップ状に成形したものに、カップの底面以外をポリエチレンで被覆したものを使用した。この蓋状外装体には、接続体を溶着する部分に縦横3×3mmのポリエチレンを被覆していない部分を設けた。
【0052】
負極用蓋状外装体7は、金属部分が銅であり、長円形の底面の概形が41×3.9mmであり、高さが6mmのカップ状に成形したものに、カップの底面以外をポリエチレンで被覆したものを使用した。この蓋状外装体には、接続体を溶着する部分に縦横3×3mmのポリエチレンを被覆していない部分を設けた。
【0053】
この長円形発電要素の、一方の巻回部2を正極側蓋状外装体6の凹部に挿入し、他方の巻回部3を負極側蓋状外装体7の凹部に挿入したのち、0.1×3×15mmの正極接続体8であるニッケル板を溶着して、正極板4と正極用蓋状外装体6とを接続した。また、同様にして、負極接続体9としてのニッケル板を溶着して、負極板5と負極用蓋状外装体7とを接続した。
【0054】
つぎに51mm幅の長方形金属ラミネート樹脂フィルム12を、長円形発電要素が収納されるように、外装体と熱溶着した。金属ラミネート樹脂フィルムは、厚さ40μmのアルミ箔の両面に厚さ50μmのポリエチレン層を備えるものを使用した。そして、金属ラミネート樹脂フィルム12同士を重ね合わせる部分から電解液を注液した。最後に、図3に示すように、金属ラミネート樹脂フィルム12同士を熱溶着して、本発明になる実施例の非水電解質二次電池Aを10セル製作した。非水電解質二次電池Aの寸法は53mm×41.3mm×4.3mmであり、体積は9.41cm3であった。なお、ここで体積とは、電池の真の体積ではなく、高さ×幅×厚さで表される概形での体積である。
【0055】
比較例1として、図4に示したのと同じ形状の、金属ラミネート樹脂フィルムケースを使用し、厚さ0.1mmのリードを加えた以外は実施例と同様にして、従来の非水電解質二次電池Bを10セル製作した。非水電解質二次電池Bの寸法は、62mm×43mm×4.0mmであり、体積は10.7cm3であった。
【0056】
また、比較例2として、図5に示したのと同じ形状の、フィルムと2つの側板とからなる電池ケースを使用し、厚さ0.1mmのリードを加えた以外は実施例と同様にして、従来の非水電解質二次電池Cを10セル製作した。ここで、側板の材質としてポリエチレンを使用した。この非水電解質二次電池Cの寸法は、61mm×41mm×4.0mmであり、体積は10.0cm3であった。
【0057】
次に、実施例の電池Aおよび比較例の電池Bの特性について検討した。充放電サイクル条件は、充電は700mA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で、合計3時間おこない、放電は700mA定電流で、終止電圧2.8Vまでとした。充放電サイクル試験は400サイクルおこなった。
【0058】
電池Aおよび電池Bの充放電サイクル試験結果を表1にまとめた。なお表1において、初期放電容量は1サイクル目の放電容量を、また、放電容量保持率は、400サイクル目の放電容量の、1サイクル目の放電容量に対する比率(%)とした。なお、電池Aおよび電池Bとも、10セルの平均値を記載した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1では、400サイクル目の体積当たりエネルギー密度は、本発明の実施例の電池Aでは0.252Wh/cm3であったのに対し、比較例の電池Bでは0.225Wh/cm3となった。また、放電容量保持率は、本発明の実施例の電池Aでは82%であったのに対し、比較例の電池Bでは79%となった。
【0061】
このような結果となった理由は定かではないが、以下のように考えられる。ラミネートフィルムを使用した非水電解質二次電池では、樹脂層を透過して侵入する水分が電池特性を劣化させることが考えられる。このような弊害を小さくするためには、溶着幅を大きくして水分が浸入しにくくすることが有効な策となる。
【0062】
本発明による電池では、溶着幅を大きくしても電池外形に大きく影響しないのに対して、比較例1ならびに比較例2では溶着幅を大きくとると、電池外形に大きく影響を与える。つまり、エネルギー密度を高くしようとすると溶着幅を小さくする必要があり、水分などの影響を受けやすくなると考えられる。
【0063】
そこで、比較例1ならびに比較例2の電池で、溶着幅を大きくとることで水分などの影響を小さくし、容量保持率を高くすることは可能であると考えられるが、電池の外形を大きくするという問題が生じるため、現実的ではない。
【0064】
本発明による電池では、溶着幅を大きくとっても電池外形にほとんど影響を与えないことから、高エネルギー密度と充放電サイクル特性とを両立させる、優れたデザインであるといえる。また、溶着幅を大きくできることから、容量保持率にとどまらず、長期保存特性や高温高湿下での使用においても優れた特性を示すことができるものと考えられる。
【0065】
このように、本発明の非水電解質二次電池は、従来の非水電解質二次電池と比較して、エネルギー密度および充放電サイクル特性とも、きわめて優れたものであることがわかった。
【0066】
【発明の効果】
本発明は、正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする。
【0067】
本発明により、従来の金属ラミネートフィルムを使用した袋状単電池ケースを用いた非水電解質二次電池や、フィルムと2つの側板とからなる電池ケースを使用した非水電解質二次電池と比較して、高いエネルギー密度で充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる非水電解質二次電池組立の第1の工程を示す図。
【図2】本発明になる非水電解質二次電池組立の第2の工程を示す図。
【図3】本発明になる非水電解質二次電池の外観を示す図。
【図4】従来のラミネート樹脂フィルム製ケースを用いた非水電解質二次電池の外観を示す図。
【図5】従来のフィルムと側板を使用した電池ケースを用いた非水電解質二次電池の外観を示す図。
【図6】本発明になる、接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第1の工程を示す図。
【図7】本発明になる、接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第2の工程を示す図。
【図8】本発明になる、接続体を用いない非水電解質二次電池組立の第3の工程を示す図。
【図9】本発明になる、接続体を用いない非水電解質二次電池の外観を示す図。
【符号の説明】
1 巻回型発電要素
2 巻回型発電要素の一方の渦巻部
3 巻回型発電要素の他方の渦巻部
4 正極板
5 負極板
6 正極側蓋状外装体
7 正極接続体
8 負極側蓋状外装体
9 負極接続体
10 正極接続体と正極側蓋状外装体との接続部
11 負極接続体と負極側蓋状外装体との接続部
12 金属ラミネート樹脂フィルム
13 正極リード
14 負極リード
15 正極側蓋状外装体6の延長部
16 負極側蓋状外装体7の延長部
Claims (3)
- 正極板と隔離体と負極板とを備えた発電要素を単電池ケースに収納した非水電解質二次電池において、前記単電池ケースが筒状外装体と二つの蓋状外装体とからなり、前記蓋状外装体は樹脂層と金属層の少なくとも2層からなる積層体からなり、一方の蓋状外装体の金属部分が正極板と接続され、他方の蓋状外装体の金属部分が負極板と接続されていることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 筒状外装体材料が、内側熱可塑性樹脂層、金属箔層、および外側熱可塑性樹脂層の少なくとも3層からなる積層体で、前記筒状外装体材料の内側熱可塑性樹脂と外側熱可塑性樹脂とが接合されて筒状外装体とし、前記筒状外装体の内側熱可塑性樹脂と蓋状外装体とが接合されていることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
- 蓋状外装体の形状はカップ状であり、前記蓋状外装体の外側底面は金属層が露出しており、前記蓋状外装体の内側に発電要素の一部が挿入されたことを特徴とする請求項1または2記載の非水電解質二次電池。
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JP2014079583A (ja) * | 2013-09-25 | 2014-05-08 | Sanyo Product Co Ltd | 遊技機 |
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2002
- 2002-06-04 JP JP2002163227A patent/JP2004014189A/ja active Pending
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