JP2004012968A - 複合プリズムおよびそれを用いた投射型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】投射型表示装置を小型化するとともに、光源からの光をR光、G光、B光の全ての波長域について損失なく利用して、投射像を高輝度化する。
【解決手段】内部にダイクロイック膜と偏光分離面とを互いに直交するように配置した複合プリズムであって、前記ダイクロイック膜は光学特性の異なる第1ダイクロイック膜と第2ダイクロイック膜とが前記偏光分離面との交差位置を挟んで互いに同一平面を形成するように構成されていることを特徴とする複合プリズムを投射型表示装置の色分解光学系、検光光学系、色合成光学系として用いる。
【選択図】図1
【解決手段】内部にダイクロイック膜と偏光分離面とを互いに直交するように配置した複合プリズムであって、前記ダイクロイック膜は光学特性の異なる第1ダイクロイック膜と第2ダイクロイック膜とが前記偏光分離面との交差位置を挟んで互いに同一平面を形成するように構成されていることを特徴とする複合プリズムを投射型表示装置の色分解光学系、検光光学系、色合成光学系として用いる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源光を色分離し、各色光を反射型ライトバルブに導き、変調、反射させて射出した各色光を検光して色合成する複合プリズム及び、前記プリズムを用いた投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の反射型ライトバルブを用いる投射型表示装置として図11に示す構成の投射型表示装置が知られている。光源101から射出された光源光を色分解光学系によって、R(赤)光成分とG(緑)光成分とB(青)光成分の3成分に色分離する。前記色分離光学系はB(青)光反射特性を有するダイクロイックミラー12Bと、R(赤)光とG(緑)光を反射する特性のダイクロイックミラーとをX型に配置したクロスダイクロイックミラー12と、反射折り曲げミラー13、同ミラー14、G光反射ダイクロイックミラー15とから構成される。
【0003】
前記色分離したR光成分、G光成分、B光成分は、各色光毎に配置された偏光ビームスプリッタ16R、16G、16Bに入射し、前記偏光ビームスプリッタの偏光分離面で検光されて、各色光成分ともS偏光光のみが各光成分毎に配置された反射型ライトバルブ17R、17G、17Bに入射して変調作用を受ける。前記変調作用を受けた各色光成分は前記偏光ビームスプリッタに再度入射して、変調光のうちP偏光光のみを透過光として検光し、色合成光を構成するクロスダイクロイックプリズム18に入射する。前記クロスダイクロイックプリズム18に入射した各色光成分は当該クロスダイクロイックプリズム18で色合成され、前記色合成された光が投射レンズ19で投射される。このような装置においては、色分解と色合成がそれぞれ別の光学系で行われ、各色毎に検光用の偏光ビームスプリッタが配置されるので装置が大型化するといった問題があった。
【0004】
また、例えば特開2001−350132の投射型表示装置では、大型化を抑えた反射型の投射型表示装置の構成が開示されている。しかし、この装置では光源からの光のうち、一部の波長域の光が投射像に寄与できず、光源からの光を効率よく投射できないといった問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、入射した光の全ての波長域に渡って実質的に光の損失なく色分離、検光、色合成ができるプリズム及びこれを用いた反射型の投射型表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の様態は、ダイクロイック膜と偏光分離面とを互いに直交するように配置した複合プリズムであって、前記ダイクロイック膜は光学特性の異なる第1ダイクロイック膜と第2ダイクロイック膜とが前記偏光分離面との交差位置を挟んで互いに同一平面を形成するように構成されていることを特徴とする複合プリズムである。
【0007】
本発明の第2の様態は、前記第1ダイクロイック膜は所定の振動方向を有する直線偏光光に対して第1色と第2色との略境界波長にカットオフ波長が存在する反射特性を有し、前記第2ダイクロイック膜は前記所定の振動方向に対して90°回転した振動方向を有する直線偏光光に対して第1色と第2色との境界波長にカットオフ波長が存在する反射特性を有することを特徴とする請求項1に記載の複合プリズムである。
【0008】
本発明の第3の様態は、光源から射出した第1色光、第2色光、第3色光の3色光を含む光を偏光変換装置に入射して所定の直線偏光光に変換し、前記直線偏光光を波長選択性位相板に入射して所定の色光の偏光方向を90°回転し、前記位相板を射出した光を第1ダイクロイック膜に入射して第1色光と、第2色光と第3色光との混合光とに色分離し、前記第1ダイクロイック膜により分離された第1色光を偏光分離面を経て第1色用反射型ライトバルブで第1色光の像情報に基づいて変調し、前記第1ダイクロイック膜により分離された第2色光と第3色光との混合光を偏光分離面に入射して第2色光と第3色光とに色分離し、それぞれ第2色光用反射型ライトバルブ、第3色光用反射型ライトバルブで各色光の像情報に基づいて変調し、前記第1色光用反射型ライトバルブ、前記第2色光用ライトバルブ、第3色光用ライトバルブによって変調された各色光を、前記偏光分離膜に入射して検光し、前記検光された各色光を第2ダイクロイック膜に入射して色合成し、前記色合成光を投射レンズにて投射する構成の投射型表示装置に用いられる複合プリズムであって、前記第1ダイクロイック膜と前記第2ダイクロイック膜と前記偏光分離面とを形成した請求項1、請求項2に記載の複合プリズムである。
【0009】
本発明の第4の様態は、光源と、前記光源から射出したランダム偏光光を単一偏光光に変換する偏光変換装置と、前記単一偏光光のうち、所定の色光成分の偏光方向を変換する波長選択性位相板と、第1色光を入射して第1色の像情報に基づいて変調し、第1色の変調光を射出する第1色光用反射型ライトバルブと、第2色光を入射して第1色の像情報に基づいて変調し、第2色の変調光を射出する第2色光用反射型ライトバルブと、第3色光を入射して第3色の像情報に基づいて変調し、第3色の変調光を射出する第3色光用反射型ライトバルブとの3つのライトバルブと、第1プリズム部材、第2プリズム部材、第3プリズム部材、第4プリズム部材の4つのプリズム部材から構成され、前記第1プリズム部材と前記第2プリズム部材との間に前記第1ダイクロイック膜、前記第3プリズム部材と前記第4プリズム部材との間に前記第2ダイクロイック膜が配置され、前記第1プリズム部材と前記第3プリズム部材との間及び前記第2プリズム部材と前記第4プリズム部材との間に前記偏光分離面が配置された請求項1乃至2に記載の複合プリズムと、前記複合プリズムから射出した前記第1色光、第2色光、第3色光の色合成光を投射する投影光学系とを有し、前記第1ダイクロイック膜は前記複合プリズムの前記第1プリズム部材側から入射した前記波長選択性位相板からの光を第1色光と、第2色光と第3色光との混合光とに色分離し、前記偏光分離面は前記前記第2色光と第3色光との混合光を第2色光と第3色光とに色分離すると共に、前記3つの反射型ライトバルブからの各色光の変調光を検光し、前記第2ダイクロイック膜は前記偏光分離面で検光した第1色光、第2色光、第3色光を色合成し、前記投影光学系は色合成された前記第1色光と第2色光と第3色光との合成光を投射することを特徴とする投射型表示装置である。
【0010】
本発明の第5の様態は、前記第1色光と前記第2色光はP偏光光、前記第3色はS偏光光で前記複合プリズムに入射し、前記第1色光用ライトバルブは前記第4プリズム部材に相対して配置され、前記第3色光用ライトバルブは前記第2プリズムに相対して配置され、前記第2色光はG光であることを特徴とする投射型表示装置である。
【0011】
本発明の第6の様態は、前記第1色光と前記第2色光はS偏光光、前記第3色はP偏光光で前記複合プリズムに入射し、前記第1色光用ライトバルブは前記第1プリズム部材に相対して配置され、前記第3色光用ライトバルブは前記第4プリズムに相対して配置され、前記第2色光はG光であることを特徴とする投射型表示装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1に示す投射型表示装置の構成図は本発明の第1の実施形態を示すものである。ランプと放物面形状の凹面鏡とから構成される光源101は、R(赤)光成分、G(緑)光成分、B(青)光成分を有したランダム偏光光を略平行な光束で射出する。光源101から射出された平行光は偏光変換装置102Pに入射する。偏光変換装置102Pに入射した光は、偏光変換装置102Pによって紙面に対して平行な方向に振動方向を有するP偏光光に変換された後、特定波長光の偏光方向を90°回転する波長選択性位相変換装置103Bに入射する。波長選択性位相変換装置103BはB光成分のみ紙面に対して垂直な方向に振動するS偏光光に変換し、R光成分とG光成分はP偏光光のままで射出する。
【0013】
波長選択性位相変換装置103Bを射出した光は、色分離、偏光分離、検光、色合成を一部品でおこなう複合プリズム104に入射する。複合プリズム104は、断面形状が略同じ直角2等辺三角形の三角プリズム104a、104b、104c、104dの直角頂角部順次合わせて、このときプリズム104aとプリズム104bの間には図2(A)に示すダイクロイック膜104D−Aが、プリズム104cとプリズム104dの間には図2(B)に示すダイクロイック膜104D−Bがそれぞれ形成されている。また、プリズム104bとプリズム104dの間、及びプリズム104aとプリズム104cの間には偏光分離面104Pが形成されている。
【0014】
図2(A)にダイクロイック膜104D−Aの、図2(B)にダイクロイック膜104D−Bの光学特性をそれぞれ示す。いずれも縦軸は反射率を、横軸は波長を示し、特性図中の実線はP偏光光、点線はS偏光光の特性を示している。図2(A)に示すダイクロイック膜104D−Aは、P偏光光のカットオフ波長λRPAがG光とR光の境界波長に存在し、S偏光光のカットオフ波長λRSAはG光波長域の中に存在する。従って、ダイクロイック膜104D−AはP偏光に関して、R光成分を実質的に反射、B光成分とG光成分を実質的に透過する光学特性を有することになる。
他方、図2(B)に示すダイクロイック膜104D−Bは、G光成分とR光成分との境界波長にS偏光のカットオフ波長λRSBが存在し、P偏光のカットオフ波長λRPBはR光波長域の中に存在する。従って、ダイクロイック膜104D−BはS偏光に関して、R光成分を実質的に反射し、G光成分とB光成分とを透過する光学特性を有することになる。
【0015】
また、偏光分離面104Pの光学特性は、入射するR光成分、G光成分、B光成分のいずれの波長の光に対しても、S偏光を反射し、P偏光を実質的に透過する特性を有する。
【0016】
再び図において、複合プリズム104のプリズム104aに入射したP偏光光のR光成分とG光成分、及びS偏光光のB光成分は、前記図2(A)に示した光学特性を有するダイクロイック膜104D−Aに入射し、P偏光のR光成分はダイクロイック膜104D−Aで実質的に全て反射され、S偏光のB光成分とP偏光のG光成分はダイクロイック膜104D−Aを実質的に全て透過する。
P偏光のR光成分は、ダイクロイック膜D−Aで実質的に全て反射された後、偏光分離面104P、プリズム104cを透過して、R光用反射型ライトバルブ105Rに入射する。
【0017】
S偏光のB光成分とP偏光のG光成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−Aを透過した後、偏光分離面104Pに入射する。S偏光のB光成分は偏光分離面104Pで反射されてプリズム104bを射出し、P偏光のG光成分は偏光分離面104P、プリズム104dを透過し、それぞれ対応するB光用反射型ライトバルブ105B、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射する。
【0018】
各色光用の反射型ライトバルブ105R、105G、105Bにそれぞれ入射した光は、像情報に基づく信号によって変調作用を受け、偏光の振動方向が入射光と異なる方向に変換された変調光成分(R光成分とG光成分はS偏光成分、B光成分はP偏光成分)と、非変調光成分(R光成分とG光成分はP偏光成分、B光成分はS偏光成分)の混合光として各々複合プリズム104に再入射する。プリズム104cに入射したR光成分、プリズム104bに入射したB光成分、プリズム104dに入射したG光成分はそれぞれ偏光分離面104Pに再入射し、B光成分はP偏光の変調光が偏光分離面104Pを透過し、R光成分とG光成分はS偏光の変調光が偏光分離面104Pを反射することによって、各々検光される。
【0019】
このようにして検光されたR光成分、G光成分、B光成分は、それぞれダイクロイック膜104D−Bに入射する。ダイクロイック膜104D−Bは図2(B)に示すような光学特性を有するので、S偏光のR光成分が実質的に全て反射され、P偏光のB光成分とP偏光のG光成分とは実質的に全て透過する。従って、R光成分、G光成分、B光成分の3色光の検光光の色合成は全ての波長域で損失なく達成され、色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0020】
上述の様に、本実施例では、複合プリズムに入射させる成分としてS偏光のB光成分、P偏光のR光成分、P偏光光のG光成分の混合光用い、B光成分とG光成分とを透過し、R光成分を反射する第1ダイクロイック膜104D−AにP偏光光がG光とR光の境界波長にカットオフ波長の存在する膜、B光成分とG光成分とを透過し、R光成分を反射する第2ダイクロイック膜104D−BにS偏光光がG光とR光の境界波長にカットオフ波長の存在する膜を使用することによって、全ての波長域で損失のない投射型表示装置の光学系が提供できる。
【0021】
次に、本発明に係る前述の複合プリズム104の詳細な構成について説明する。図3は複合プリズム104の斜視構成図を示したものである。図3に示すように、複合プリズム104を構成する断面形状が略同一の直角2等辺三角形状の4個のプリズム部材のうち、プリズム104aと104cは略同じ高さL1を有し、プリズム104bと104dは高さL2を有している。ここで、高さL1の方が高さL2より大となっており、プリズム104aと104b、プリズム104cと104dとの間には高さ方向に段差が生じている。本実施形態では、コの段差のために、プリズム104aの一斜面に形成したダイクロイック膜104D−A及びプリズム104cの一斜面に形成したダイクロイック膜104D−Bが露出している。
【0022】
複合プリズム104の製作手順を以下に説明する。まず、高さL1の直角2等辺三角形プリズム104a、104c、高さL2の直角2等辺三角形プリズム104b、104dを用意する。次に、プリズム104aの直角を挟む一斜面に図2(A)の特性を有するダイクロイック膜を、プリズム104cの直角を挟む一斜面に図2(B)の特性を有するダイクロイック膜を形成する。
【0023】
次に、ダイクロイック膜104D−Aを形成したプリズム104aの膜形成面とプリズム104bの直角を挟む一斜面とを高さ方向に段差が生じるように、かつ、プリズム104aの膜を形成しない斜面と、プリズム104bの他方の斜面とが一平面を形成する様に接着剤にて接着し、第1接合プリズムを作製する。同様に、ダイクロイック膜104D−Bを形成したプリズム104cの膜形成面とプリズム104dの直角を挟む一斜面とを高さ方向に段差が生じるように、かつ、プリズム104cの膜を形成しない斜面と、プリズム104bの他方の斜面とが一平面を形成する様に接着剤にて接着し、第2接合プリズムを作製する。
【0024】
次に、第1接合プリズムを構成する2個のプリズム部材(104a,104b)の一平面に偏光分離膜を形成する。
【0025】
そして、前記偏光分離膜を形成した第1接合プリズムの偏光分離面104Pと第2接合プリズムを構成する2個のプリズム部材104c、104dの一平面と接着剤にて接合して複合プリズム104を形成する。この接合行程の際には、両接合プリズムの段差部分を基準平面上に配置することによって両ダイクロイック膜の平面性が確保される。
【0026】
本実施形態においては、光源光をP偏光光に変換する偏光変換装置102Pと、B光成分のみをS偏光に変換する波長選択性位相板103Bを用いたが、光源光をS偏光に変換する偏光変換装置と、R光成分及びG光成分をP偏光光に変換する特性を有する波長選択性位相板を用いても同様の偏光状態の光を調整できる。
【0027】
このように本実施形態では、2つのダイクロイック膜と偏光分離面とを互いに直行するように配置し、前記2つのダイクロイック膜に図2(A)の光学特性を有する第1ダイクロイック膜104−Aと、図2(B)の光学特性を有する第2ダイクロイック膜104−Bとを用いた複合プリズムを用いることによって、色分離、各色光の偏光分離、検光、色合成を達成することができる。このため、投射型表示装置が小型化された場合でも、色合成において実質的に損失の発生しない投射光学系が構成でき、投射像の高輝度化ならびに色の高純度化を達成した投射型表示装置を提供できる。
【0028】
なお、本実施形態ではP偏光光のR光成分が複合プリズムに入射するが、波長選択性位相板によってR光成分をS偏光光とし、S偏光光のR光成分複合プリズムに入射してダイクロイック膜104D−Aと偏光分離面104Pとで反射してライトバルブ105Rに入射する構成も考えられる。この場合はR光用反射型ライトバルブ105Rはプリズム104a側に配置され、当該R光用反射型ライトバルブ105Rを射出したR光成分のうちP偏光光のみが偏光分離面104Pを透過することによって検光され、ダイクロイック膜104D−B面でS偏光光であるG光成分の検光光及びP偏光光であるB光成分の検光光と共に色合成される。このような構成にした場合のダイクロイック膜104D−Aとダイクロイック膜104D−Bの光学特性について以下に考察する。ダイクロイック膜104D−Aに図2(A)の光学特性を有する膜を使用した場合、G光成分とB光成分との混合光とR光成分との色分離はR光成分の光に実質的に損失が無いように行うことができる。しかし、R光成分、G光成分、B光成分のそれぞれの検光光をダイクロイック膜104D−Bで行うときに、図2(B)の光学特性を持つダイクロイック膜を使用すると、R光成分のうち短波長側の光λRSB〜λRPB部は当該ダイクロイック膜104D−Bを透過して光路外に廃棄されてしまうため、投射像に寄与できない。また、ダイクロイック膜104D−Bに図2(A)の光学特性を有するものを使用すると、R光成分については実質的に全ての光成分が当該ダイクロイック膜104D−Bを反射し、P偏光光であるB光成分も当該ダイクロイック膜104D−Bを実質的に全て透過するが、S偏光光であるG光成分のうち長波長成分λRSA〜λRPA部は当該ダイクロイック膜104D−Bを反射して光路外に廃棄されてしまうため、投射像に寄与できない。
【0029】
このような光の損失を防ぐため、R光成分をS偏光光としてR光用ライトバルブに入射させる場合、波長選択性位相変換板103BをG光とR光成分をS偏光光に変換する機能を有するものに替えた。この構成について次に説明する。
(第2の実施形態)
図4に本実施形態の装置構成を示す。本実施形態は第1の実施形態と基本構成は同じであるが、波長選択性位相変換板103Bを入射光のうちR成分及びG成分の偏光方向を90°回転する波長選択性位相変換板103RGに置き換え、ダイクロイック膜104D−A’に図2(B)の光学特性を有するものを、ダイクロイック膜104D−B‘に図2(A)の光学特性を有するものを用いている。これらの変更に伴い、R光用ライトバルブ105Rはプリズム104aに相対する位置に、G光用ライトバルブ105Gはプリズム104bに相対する位置に、B光用ライトバルブ105Bはプリズム104dに相対する位置に配置されることになる。
【0030】
波長選択性位相板103Rを射出したP偏光のB光成分と、S偏光のR光成分とG光成分はダイクロイック膜104D−A‘に入射する。ダイクロイック膜104D−A’は図2(B)に示す光学特性を有するので、S偏光のR光成分はダイクロイック膜104D−A’を実質的に全て反射し、S偏光のG光成分とP偏光のB光成分はダイクロイック膜104D−A’を実質的に全て透過する。
【0031】
S偏光であるR光成分は偏光分離面104Pを反射し、ライトバルブ105Rに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。ここで前記変調作用を受けた光のうちP偏光光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−B’に入射する。
【0032】
前記ダイクロイック膜104D−A‘を透過した前記S偏光のG光成分は前記偏光分離面104Pを反射して、ライトバルブ105Gに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。そして、前記変調作用を受けた光のうちP偏光光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−B’に入射する。
【0033】
ダイクロイック膜104D−A‘を透過した前記P偏光のB光成分は前記偏光分離面104Pを透過して、ライトバルブ104Bに入射し、変調作用を受けてプリズム104に再入射する。そして、前記変調作用を受けた光のうちS偏光光成分が前記偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−B’に入射する。
【0034】
図2(A)の光学特性を有するダイクロイック膜104D−B’に入射するB光成分はS偏光光であり、R光成分とG光成分はP偏光光であるので、R光成分は当該ダイクロイック膜104D−B’を実質的に全て反射し、G光成分とR光成分は当該ダイクロイック膜104D−B‘を実質的に全て透過して、色合成が達成される。色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
本実施形態のように、複合プリズム14に入射するR光成分、G光成分、B光成分のうち、B光成分をP偏光光に、R光成分及びG光成分をS偏光光とし、第1ダイクロイック膜にG光成分とR光成分との境界波長にS偏光光のカットオフ波長の存在する光学特性を有する膜、第2ダイクロイック膜にG光成分とR光成分との境界波長にP偏光光のカットオフ波長の存在する光学特性を有する膜を使用することによって、実質的に損失無く色分離、色合成を達成でき、プリズムへの入射光が全波長域に渡って損失なく色分離及び色合成が行える投射型表示装置の構成が可能になる。
(第3の実施形態)
図5には第3実施形態の投射型表示装置の構成図を示す。本実施形態における投射型表示装置の基本的な構成は、B光用ライトバルブ105BとR光用ライトバルブ105Rの位置を交換し、第1ダイクロイック膜に図6(B)の光学特性を有する膜を用い、第2ダイクロイック膜に図6(A)の光学特性を有する膜を用いた以外は、第1の実施形態の構成と同様である。
ダイクロイック膜104D−Cを図6(A)、104D−Dの光学特性を図6(B)に示す。いずれも縦軸は反射率を、横軸は波長を示し、特性図中の実線はP偏光、点線はS偏光の特性を示す。図6(A)では、P偏光のカットオフ波長λBPCはB光とG光の境界波長に存在し、S偏光のカットオフ波長λBSCはG光波長域の中に存在する。従って、ダイクロイック膜104D−Cは、P偏光光に関してはB光成分を実質的に反射、G光とR光成分を実質的に透過する光学特性を有する。図6(B)ではB光とG光の境界波長にS偏光のカットオフ波長λBSDが存在し、P偏光のカットオフ波長λBPDはB光波長域の中に存在する。従ってダイクロイック膜104D−Bは、S偏光光に関してはB光成分を実質的に反射し、G光とR光成分を透過する光学特性を有する。
【0035】
光源101を射出した光は偏光変換装置102Sによって紙面に垂直な振動方向を有するS偏光光に変換された後、波長選択性位相板103BGによってB光成分とG光成分がP偏光光に変換される。ここで、偏光変換装置は光源光をP偏光光に変換し、波長選択性位相板はR光のみをS偏光光に変換する構成を採用してもよいことはいうまでもない。
【0036】
波長選択性位相板103BGを射出したP偏光光のB光成分とG光成分と、S偏光光のR光成分は複合プリズム104に入射し、ダイクロイック膜104D−Cに入射する。ダイクロイック膜104D−CはP偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するので、P偏光光のB光成分は実質的に当該ダイクロイック膜104D−Cで全て反射され、P偏光光のG光成分とS偏光光のR光成分は実質的に全て当該ダイクロイック膜104D−Cを透過する。P偏光光であるB光成分は偏光分離面104Pを透過し、B光用反射型ライトバルブ105Bに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。ここで前記変調作用を受けた光のうちS偏光成分が前記偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−Dに入射する。
【0037】
ダイクロイック膜104D−Cを透過したP偏光光のG光成分は前記偏光分離面104を透過し、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。そして、前記変調作用を受けた光のうちS偏光成分が前記偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−Dに入射する。
【0038】
ダイクロイック膜104D−Cを透過したS偏光光のR光成分は前記偏光分離面104Pを反射して、R光用反射型ライトバルブ104Rに入射し、変調作用を受けてプリズム104に再入射し、前記変調作用を受けた光のうちP偏光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−Dに入射する。
【0039】
ダイクロイック膜104D−DはS偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するので、S偏光光のB光成分はダイクロイック膜104D−Dを実質的に全て反射し、S偏光光のG光成分とP偏光光のR光成分は実質的に全て透過して色合成が達成される。色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0040】
このようにして、本実施例においては複合プリズムにS偏光のR光成分、P偏光のG光、B光成分を入射し、第1ダイクロイック膜にP偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在する膜を用い、第2ダイクロイック膜にS偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在する膜を用いるので、複合プリズムに入射する光のうち全ての波長域に渡って光の損失のない投射型表示装置の光学系を提供できる。
【0041】
本実施形態において、複合プリズムに入射するB光成分をS偏光光とした構成も考えられるが、この場合光の損失は避けられない。すなわち、ダイクロイック膜104D−Cに図6(B)に示す光学特性を有する膜を用いた場合はダイクロイック膜104D−DにS偏光光で入射するB光成分のうち長波長側のλBPD〜λBSD部がダイクロイック膜104D−Dを透過して光路外へ廃棄され、また、当該ダイクロイック膜104D−Cに図6(A)に示す光学特性を有する膜を用いた場合はダイクロイック膜104D−CにS偏光光で入射するG光成分のうち短波長側のλBPC〜λBSC部がダイクロイック膜104D−Cで反射されて光路外へ廃棄され、投射像に寄与できない。
【0042】
このようにB光成分をS偏光としてR光用ライトバルブに入射させた場合には、波長選択性位相変換板103BGをG光成分とB光成分とをS偏光光に変換する機能を有するものに替えることによって、光の損失を回避することができる。以下この構成について説明する。
(第4の実施形態)
図7に本実施例の実施形態の装置構成を示す。本実施形態は第2実施形態と基本的な構成は同様であるが、波長選択性位相変換板103BGの代わりに入射光のうちR成分のみの偏光方向を90°回転する波長選択性位相変換板103Rを用い、ダイクロイック膜104D−C’に図6(B)の光学特性を有するものを用い、ダイクロイック膜104D−D‘に図6(A)の光学特性を有するものうを用いている。これらの変更に伴い、B光用ライトバルブ105Bはプリズム104aに相対する位置に、G光用ライトバルブ105Gはプリズム104bに相対する位置に、R光用ライトバルブ105Rはプリズム104dに相対する位置に配置されることになる。
【0043】
波長選択性位相板103Rを射出したP偏光光のR光成分と、S偏光光のB光成分とG光成分はダイクロイック膜104D−C‘に入射する。ダイクロイック膜104D−C’はS偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するのでS偏光のB光成分は当該ダイクロイック膜104D−A’で実質的に全て反射され、S偏光光のG光成分とP偏光光のR光成分は実質的に全て当該ダイクロイック膜104D−A’を透過する。S偏光光であるG光成分は偏光分離面104Pを反射し、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。ここで前記変調作用を受けた光のうちP偏光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−D’に入射する。
【0044】
ダイクロイック膜104D−C‘を透過した前記R光成分は前記偏光分離面104Pを透過し、R光用反射型ライトバルブ105Rに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。そして、前記変調作用を受けた光のうちS偏光光が偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−B’に入射する。
【0045】
ダイクロイック膜104D−C‘を透過したS偏光光のB光成分は偏光分離面104Pを反射して、B光用反射型ライトバルブ104Bに入射そ、変調作用を受けてプリズム104に再入射する。変調作用を受けた光のうちP偏光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−D’に入射する。
【0046】
ダイクロイック膜104D−D’はP偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長を有するので、P偏光光のB光成分成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−D’を反射し、P偏光光のG光成分とS偏光光のR光成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−D’を透過して色合成が達成される。色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0047】
本実施形態のように、複合プリズム14に入射するR光、G光、B光のうち、R光成分をP偏光光に、B光、G光成分をS偏光光とすることによって複合プリズムに入射した光の全ての波長域に渡って実質的に損失無く色分離、色合成を達成でき、上記記載の効果を奏する投射型表示装置を提供することが可能となる。(第5の実施形態)
図8に第3の実施形態を示す投射型表示装置の構成図を示す。本実施形態では、B光成分とG光成分がP偏光光で、R光成分がS偏光光で複合プリズムに入射する。
【0048】
図8では偏光変換装置102Pで光源光をP偏光光に変換し、波長選択性位相板103RでR光成分のみをS偏光に変換しているが、偏光変換装置によって光源光をS偏光光に変換し、B光成分とG光成分とをP偏光光に変換する構成を採用してもよいことはいうまでもない。
【0049】
図9(A)にダイクロイック膜104D−Eの光学特性、図9(B)にダイクロイック膜104D−Fの光学特性を示す。いずれも縦軸は反射率を、横軸は波長を示し、特性図中の実線はP偏光、点線はS偏光の特性を示している。ダイクロイック膜104D−Eは、P偏光のカットオフ波長λRPEがB光とG光の境界波長に存在し、S偏光のカットオフ波長λRSEはB光波長域の中に存在する。従って、ダイクロイック膜104D−EはP偏光に関して、G光とR光を実質的に全て反射、B光を実質的に全て透過する。ダイクロイック膜104D−Fは、B光とG光の境界波長に実質的にS偏光のカットオフ波長λRSFが存在し、P偏光のカットオフ波長λRPFはG光波長域の中に存在する。従ってダイクロイック膜104D−FはS偏光に関して、G光とR光を実質的に全て反射し、B光を実質的に全て透過する。
複合プリズム104に入射した光はダイクロイック膜104D−Eに入射して、S偏光光のR光成分とP偏光光のG光成分はダイクロイック膜104D−Eを実質的に全て反射し、P偏光光のB光成分はダイクロイック膜104D−Eを実質的に全て透過する。
【0050】
P偏光光のB光成分は偏光分離面104Pを透過して、B光用反射型ライトバルブ105Bに入射し、変調作用を受けてプリズム104に再入射する。そして変調作用を受けた光のうちS偏光成分が偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−Fに入射する。
【0051】
S偏光光のR光成分は偏光分離面104Pを反射し、R光用反射型ライトバルブ105Rに入射し、変調作用を受けてプリズム104Pに再入射する。そして、変調作用を受けた光のうちP偏光成分が偏光分離膜104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−Fに入射する。
【0052】
P偏光光のGこう成分は、偏光分離面104Pを透過し、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射し、変調作用を受けてプリズム104Pに再入射する。そして、変調作用を受けた光のうちS偏光成分が偏光分離膜104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−Fに入射する。
【0053】
ダイクロイック膜104D−Fは、S偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するため、S偏光光のB光成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−Fを透過し、S偏光光のG光成分とP偏光光のR光成分は実質的に全て反射する。従って、R光、G光、B光の色分離及び色合成は、複合プリズムに入射する光の全ての波長域で損失なく達成され、色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0054】
上述の様に本実施例ではS偏光のR光成分、P偏光のG光、B光成分を複合プリズムに入射し、第1ダイクロイック膜にP偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在する膜、第2ダイクロイック膜にS偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフは長の存在する膜を使用することによって、全ての波長域に光の損失のない投射型表示装置の光学系を提供できる。
【0055】
本実施形態も変形としてB光用ライトバルブに入射する光をP偏光でなくS偏光とする構成が考えられる。しかし、この構成においても、ダイクロイック膜104D−Fに図9(A)を使用した場合には、B光の長波長側λBSE〜λBPE部が、また、図9(B)を使用した場合にはG光の短波長側λBSF〜λBPF部が光路外に廃棄されることになって、色合成において光の損失が発生して投射像の輝度が低下するので、投射型表示装置として望ましい形態とはならない。
しかし、B光成分をS偏光としてR光用ライトバルブに入射させた場合には、波長選択性位相変換板103RをG光とB光成分をS偏光光に変換する機能を有するものに替えることによって、光の損失を回避することができる。以下この構成について説明する。
(第6の実施形態)
図10に本実施例の実施形態の装置構成を示す。前実施例の波長選択性位相変換板103Rに、入射光のうちB成分及びG成分の偏光方向を90°回転する波長選択性位相変換板103BGを用い、ダイクロイック膜104D−E’に光学図9(B)の光学特性を有する膜を用い、ダイクロイック膜104D−F‘に図9(A)の光学特性を有する膜を用いた以外、本実施形態は第5実施形態と基本的な構成は同じである。これらの変更に伴い、B光用ライトバルブ105Bはプリズム104bに相対する位置に、G光用ライトバルブ105Gはプリズム104aに相対する位置に、R光用ライトバルブ105Rはプリズム104cに相対する位置に配置されることになる。
【0056】
波長選択性位相板103BGを射出したP偏光のR光成分と、S偏光のB光成分とG光成分はダイクロイック膜104D−E‘に入射する。当該ダイクロイック膜104D−F’はS偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するので、S偏光のB光成分は実質的に全て当該ダイクロイック膜104D−E’を透過し、S偏光のG光成分とP偏光のR光成分は実質的に全て当該ダイクロイック膜104D−E’を反射する。
S偏光光であるB光成分は偏光分離面104Pを反射し、B光用反射型ライトバルブ105Bに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。ここで前記変調作用を受けた光のうちP偏光成分が偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−F’に入射する。
【0057】
ダイクロイック膜104D−E‘を反射したS偏光のG光成分は偏光分離面104Pを反射して、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。そして、変調作用を受けた光のうちP偏光光が偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−F’に入射する。
【0058】
ダイクロイック膜104D−E‘を反射したP偏光のR光成分は偏光分離面104Pを透過して、ライトバルブ104Rに入射し、変調作用を受けてプリズム104に再入射する。前記変調作用を受けた光のうちS偏光成分が前記偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−F’に入射する。
【0059】
ダイクロイック膜104D−F’はP偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するので、P偏光のB項成分はダイクロイック膜104D−F’を実質的に全て透過し、P偏光のG光成分とS偏光のR光成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−F’を反射して色合成が達成される。色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0060】
本実施形態のように、複合プリズム14に入射するR光、G光、B光成分のうち、R光成分をP偏光に、B光成分とG光成分とをS偏光とし、第1ダイクロイック膜にS偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在するB光成分反射膜、第2ダイクロイック膜にP偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在するB光成分反射膜を使用することによって、複合プリズムに入射した光の内全ての波長領域に渡って実質的に損失無く色分離、色合成を達成できる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、プリズムに入射した光の全ての波長域に渡って実質的に光の損失なく色分離、検光および色合成が行える複合プリズムを得ることができ、更に、当該複合プリズムを投射型表示装置の色分解光学系、検光光学系、色合成光学系として用いることによって、投射型表示装置の小型化が図れるとともに、光源からの光をR光、G光、B光の全ての波長域について損失なく利用でき、投射像の高輝度化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図2】第1実施形態にて使用する2枚のダイクロイック膜の光学特性図である。
【図3】本発明の実施形態に使用する複合プリズムの斜視構成図である。
【図4】本発明の第2実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図6】第2実施形態にて使用する2枚のダイクロイック膜の光学特性図である。
【図7】本発明の第4実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図8】本発明の第5実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図9】第3実施形態にて使用する2枚のダイクロイック膜の光学特性図
【図10】本発明の第6実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図11】従来の投射型表示装置の構成図である。
【符号の説明】
101 光源
102P、102S 偏光変換装置
103B、103BG、103R 波長選択性位相板
104 複合プリズム
104a、104b、104c、104d プリズム部材
104D−A(A‘)、104D−C(C’)、104D−E(E‘) 第1ダイクロイック膜
104D−B(B‘)、104D−D(D’)、104D−F(F‘) 第2ダイクロイック膜
104P 偏光分離面
105R、105G、105B 反射型ライトバルブ
106 投射レンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源光を色分離し、各色光を反射型ライトバルブに導き、変調、反射させて射出した各色光を検光して色合成する複合プリズム及び、前記プリズムを用いた投射型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の反射型ライトバルブを用いる投射型表示装置として図11に示す構成の投射型表示装置が知られている。光源101から射出された光源光を色分解光学系によって、R(赤)光成分とG(緑)光成分とB(青)光成分の3成分に色分離する。前記色分離光学系はB(青)光反射特性を有するダイクロイックミラー12Bと、R(赤)光とG(緑)光を反射する特性のダイクロイックミラーとをX型に配置したクロスダイクロイックミラー12と、反射折り曲げミラー13、同ミラー14、G光反射ダイクロイックミラー15とから構成される。
【0003】
前記色分離したR光成分、G光成分、B光成分は、各色光毎に配置された偏光ビームスプリッタ16R、16G、16Bに入射し、前記偏光ビームスプリッタの偏光分離面で検光されて、各色光成分ともS偏光光のみが各光成分毎に配置された反射型ライトバルブ17R、17G、17Bに入射して変調作用を受ける。前記変調作用を受けた各色光成分は前記偏光ビームスプリッタに再度入射して、変調光のうちP偏光光のみを透過光として検光し、色合成光を構成するクロスダイクロイックプリズム18に入射する。前記クロスダイクロイックプリズム18に入射した各色光成分は当該クロスダイクロイックプリズム18で色合成され、前記色合成された光が投射レンズ19で投射される。このような装置においては、色分解と色合成がそれぞれ別の光学系で行われ、各色毎に検光用の偏光ビームスプリッタが配置されるので装置が大型化するといった問題があった。
【0004】
また、例えば特開2001−350132の投射型表示装置では、大型化を抑えた反射型の投射型表示装置の構成が開示されている。しかし、この装置では光源からの光のうち、一部の波長域の光が投射像に寄与できず、光源からの光を効率よく投射できないといった問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、入射した光の全ての波長域に渡って実質的に光の損失なく色分離、検光、色合成ができるプリズム及びこれを用いた反射型の投射型表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の様態は、ダイクロイック膜と偏光分離面とを互いに直交するように配置した複合プリズムであって、前記ダイクロイック膜は光学特性の異なる第1ダイクロイック膜と第2ダイクロイック膜とが前記偏光分離面との交差位置を挟んで互いに同一平面を形成するように構成されていることを特徴とする複合プリズムである。
【0007】
本発明の第2の様態は、前記第1ダイクロイック膜は所定の振動方向を有する直線偏光光に対して第1色と第2色との略境界波長にカットオフ波長が存在する反射特性を有し、前記第2ダイクロイック膜は前記所定の振動方向に対して90°回転した振動方向を有する直線偏光光に対して第1色と第2色との境界波長にカットオフ波長が存在する反射特性を有することを特徴とする請求項1に記載の複合プリズムである。
【0008】
本発明の第3の様態は、光源から射出した第1色光、第2色光、第3色光の3色光を含む光を偏光変換装置に入射して所定の直線偏光光に変換し、前記直線偏光光を波長選択性位相板に入射して所定の色光の偏光方向を90°回転し、前記位相板を射出した光を第1ダイクロイック膜に入射して第1色光と、第2色光と第3色光との混合光とに色分離し、前記第1ダイクロイック膜により分離された第1色光を偏光分離面を経て第1色用反射型ライトバルブで第1色光の像情報に基づいて変調し、前記第1ダイクロイック膜により分離された第2色光と第3色光との混合光を偏光分離面に入射して第2色光と第3色光とに色分離し、それぞれ第2色光用反射型ライトバルブ、第3色光用反射型ライトバルブで各色光の像情報に基づいて変調し、前記第1色光用反射型ライトバルブ、前記第2色光用ライトバルブ、第3色光用ライトバルブによって変調された各色光を、前記偏光分離膜に入射して検光し、前記検光された各色光を第2ダイクロイック膜に入射して色合成し、前記色合成光を投射レンズにて投射する構成の投射型表示装置に用いられる複合プリズムであって、前記第1ダイクロイック膜と前記第2ダイクロイック膜と前記偏光分離面とを形成した請求項1、請求項2に記載の複合プリズムである。
【0009】
本発明の第4の様態は、光源と、前記光源から射出したランダム偏光光を単一偏光光に変換する偏光変換装置と、前記単一偏光光のうち、所定の色光成分の偏光方向を変換する波長選択性位相板と、第1色光を入射して第1色の像情報に基づいて変調し、第1色の変調光を射出する第1色光用反射型ライトバルブと、第2色光を入射して第1色の像情報に基づいて変調し、第2色の変調光を射出する第2色光用反射型ライトバルブと、第3色光を入射して第3色の像情報に基づいて変調し、第3色の変調光を射出する第3色光用反射型ライトバルブとの3つのライトバルブと、第1プリズム部材、第2プリズム部材、第3プリズム部材、第4プリズム部材の4つのプリズム部材から構成され、前記第1プリズム部材と前記第2プリズム部材との間に前記第1ダイクロイック膜、前記第3プリズム部材と前記第4プリズム部材との間に前記第2ダイクロイック膜が配置され、前記第1プリズム部材と前記第3プリズム部材との間及び前記第2プリズム部材と前記第4プリズム部材との間に前記偏光分離面が配置された請求項1乃至2に記載の複合プリズムと、前記複合プリズムから射出した前記第1色光、第2色光、第3色光の色合成光を投射する投影光学系とを有し、前記第1ダイクロイック膜は前記複合プリズムの前記第1プリズム部材側から入射した前記波長選択性位相板からの光を第1色光と、第2色光と第3色光との混合光とに色分離し、前記偏光分離面は前記前記第2色光と第3色光との混合光を第2色光と第3色光とに色分離すると共に、前記3つの反射型ライトバルブからの各色光の変調光を検光し、前記第2ダイクロイック膜は前記偏光分離面で検光した第1色光、第2色光、第3色光を色合成し、前記投影光学系は色合成された前記第1色光と第2色光と第3色光との合成光を投射することを特徴とする投射型表示装置である。
【0010】
本発明の第5の様態は、前記第1色光と前記第2色光はP偏光光、前記第3色はS偏光光で前記複合プリズムに入射し、前記第1色光用ライトバルブは前記第4プリズム部材に相対して配置され、前記第3色光用ライトバルブは前記第2プリズムに相対して配置され、前記第2色光はG光であることを特徴とする投射型表示装置である。
【0011】
本発明の第6の様態は、前記第1色光と前記第2色光はS偏光光、前記第3色はP偏光光で前記複合プリズムに入射し、前記第1色光用ライトバルブは前記第1プリズム部材に相対して配置され、前記第3色光用ライトバルブは前記第4プリズムに相対して配置され、前記第2色光はG光であることを特徴とする投射型表示装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1に示す投射型表示装置の構成図は本発明の第1の実施形態を示すものである。ランプと放物面形状の凹面鏡とから構成される光源101は、R(赤)光成分、G(緑)光成分、B(青)光成分を有したランダム偏光光を略平行な光束で射出する。光源101から射出された平行光は偏光変換装置102Pに入射する。偏光変換装置102Pに入射した光は、偏光変換装置102Pによって紙面に対して平行な方向に振動方向を有するP偏光光に変換された後、特定波長光の偏光方向を90°回転する波長選択性位相変換装置103Bに入射する。波長選択性位相変換装置103BはB光成分のみ紙面に対して垂直な方向に振動するS偏光光に変換し、R光成分とG光成分はP偏光光のままで射出する。
【0013】
波長選択性位相変換装置103Bを射出した光は、色分離、偏光分離、検光、色合成を一部品でおこなう複合プリズム104に入射する。複合プリズム104は、断面形状が略同じ直角2等辺三角形の三角プリズム104a、104b、104c、104dの直角頂角部順次合わせて、このときプリズム104aとプリズム104bの間には図2(A)に示すダイクロイック膜104D−Aが、プリズム104cとプリズム104dの間には図2(B)に示すダイクロイック膜104D−Bがそれぞれ形成されている。また、プリズム104bとプリズム104dの間、及びプリズム104aとプリズム104cの間には偏光分離面104Pが形成されている。
【0014】
図2(A)にダイクロイック膜104D−Aの、図2(B)にダイクロイック膜104D−Bの光学特性をそれぞれ示す。いずれも縦軸は反射率を、横軸は波長を示し、特性図中の実線はP偏光光、点線はS偏光光の特性を示している。図2(A)に示すダイクロイック膜104D−Aは、P偏光光のカットオフ波長λRPAがG光とR光の境界波長に存在し、S偏光光のカットオフ波長λRSAはG光波長域の中に存在する。従って、ダイクロイック膜104D−AはP偏光に関して、R光成分を実質的に反射、B光成分とG光成分を実質的に透過する光学特性を有することになる。
他方、図2(B)に示すダイクロイック膜104D−Bは、G光成分とR光成分との境界波長にS偏光のカットオフ波長λRSBが存在し、P偏光のカットオフ波長λRPBはR光波長域の中に存在する。従って、ダイクロイック膜104D−BはS偏光に関して、R光成分を実質的に反射し、G光成分とB光成分とを透過する光学特性を有することになる。
【0015】
また、偏光分離面104Pの光学特性は、入射するR光成分、G光成分、B光成分のいずれの波長の光に対しても、S偏光を反射し、P偏光を実質的に透過する特性を有する。
【0016】
再び図において、複合プリズム104のプリズム104aに入射したP偏光光のR光成分とG光成分、及びS偏光光のB光成分は、前記図2(A)に示した光学特性を有するダイクロイック膜104D−Aに入射し、P偏光のR光成分はダイクロイック膜104D−Aで実質的に全て反射され、S偏光のB光成分とP偏光のG光成分はダイクロイック膜104D−Aを実質的に全て透過する。
P偏光のR光成分は、ダイクロイック膜D−Aで実質的に全て反射された後、偏光分離面104P、プリズム104cを透過して、R光用反射型ライトバルブ105Rに入射する。
【0017】
S偏光のB光成分とP偏光のG光成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−Aを透過した後、偏光分離面104Pに入射する。S偏光のB光成分は偏光分離面104Pで反射されてプリズム104bを射出し、P偏光のG光成分は偏光分離面104P、プリズム104dを透過し、それぞれ対応するB光用反射型ライトバルブ105B、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射する。
【0018】
各色光用の反射型ライトバルブ105R、105G、105Bにそれぞれ入射した光は、像情報に基づく信号によって変調作用を受け、偏光の振動方向が入射光と異なる方向に変換された変調光成分(R光成分とG光成分はS偏光成分、B光成分はP偏光成分)と、非変調光成分(R光成分とG光成分はP偏光成分、B光成分はS偏光成分)の混合光として各々複合プリズム104に再入射する。プリズム104cに入射したR光成分、プリズム104bに入射したB光成分、プリズム104dに入射したG光成分はそれぞれ偏光分離面104Pに再入射し、B光成分はP偏光の変調光が偏光分離面104Pを透過し、R光成分とG光成分はS偏光の変調光が偏光分離面104Pを反射することによって、各々検光される。
【0019】
このようにして検光されたR光成分、G光成分、B光成分は、それぞれダイクロイック膜104D−Bに入射する。ダイクロイック膜104D−Bは図2(B)に示すような光学特性を有するので、S偏光のR光成分が実質的に全て反射され、P偏光のB光成分とP偏光のG光成分とは実質的に全て透過する。従って、R光成分、G光成分、B光成分の3色光の検光光の色合成は全ての波長域で損失なく達成され、色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0020】
上述の様に、本実施例では、複合プリズムに入射させる成分としてS偏光のB光成分、P偏光のR光成分、P偏光光のG光成分の混合光用い、B光成分とG光成分とを透過し、R光成分を反射する第1ダイクロイック膜104D−AにP偏光光がG光とR光の境界波長にカットオフ波長の存在する膜、B光成分とG光成分とを透過し、R光成分を反射する第2ダイクロイック膜104D−BにS偏光光がG光とR光の境界波長にカットオフ波長の存在する膜を使用することによって、全ての波長域で損失のない投射型表示装置の光学系が提供できる。
【0021】
次に、本発明に係る前述の複合プリズム104の詳細な構成について説明する。図3は複合プリズム104の斜視構成図を示したものである。図3に示すように、複合プリズム104を構成する断面形状が略同一の直角2等辺三角形状の4個のプリズム部材のうち、プリズム104aと104cは略同じ高さL1を有し、プリズム104bと104dは高さL2を有している。ここで、高さL1の方が高さL2より大となっており、プリズム104aと104b、プリズム104cと104dとの間には高さ方向に段差が生じている。本実施形態では、コの段差のために、プリズム104aの一斜面に形成したダイクロイック膜104D−A及びプリズム104cの一斜面に形成したダイクロイック膜104D−Bが露出している。
【0022】
複合プリズム104の製作手順を以下に説明する。まず、高さL1の直角2等辺三角形プリズム104a、104c、高さL2の直角2等辺三角形プリズム104b、104dを用意する。次に、プリズム104aの直角を挟む一斜面に図2(A)の特性を有するダイクロイック膜を、プリズム104cの直角を挟む一斜面に図2(B)の特性を有するダイクロイック膜を形成する。
【0023】
次に、ダイクロイック膜104D−Aを形成したプリズム104aの膜形成面とプリズム104bの直角を挟む一斜面とを高さ方向に段差が生じるように、かつ、プリズム104aの膜を形成しない斜面と、プリズム104bの他方の斜面とが一平面を形成する様に接着剤にて接着し、第1接合プリズムを作製する。同様に、ダイクロイック膜104D−Bを形成したプリズム104cの膜形成面とプリズム104dの直角を挟む一斜面とを高さ方向に段差が生じるように、かつ、プリズム104cの膜を形成しない斜面と、プリズム104bの他方の斜面とが一平面を形成する様に接着剤にて接着し、第2接合プリズムを作製する。
【0024】
次に、第1接合プリズムを構成する2個のプリズム部材(104a,104b)の一平面に偏光分離膜を形成する。
【0025】
そして、前記偏光分離膜を形成した第1接合プリズムの偏光分離面104Pと第2接合プリズムを構成する2個のプリズム部材104c、104dの一平面と接着剤にて接合して複合プリズム104を形成する。この接合行程の際には、両接合プリズムの段差部分を基準平面上に配置することによって両ダイクロイック膜の平面性が確保される。
【0026】
本実施形態においては、光源光をP偏光光に変換する偏光変換装置102Pと、B光成分のみをS偏光に変換する波長選択性位相板103Bを用いたが、光源光をS偏光に変換する偏光変換装置と、R光成分及びG光成分をP偏光光に変換する特性を有する波長選択性位相板を用いても同様の偏光状態の光を調整できる。
【0027】
このように本実施形態では、2つのダイクロイック膜と偏光分離面とを互いに直行するように配置し、前記2つのダイクロイック膜に図2(A)の光学特性を有する第1ダイクロイック膜104−Aと、図2(B)の光学特性を有する第2ダイクロイック膜104−Bとを用いた複合プリズムを用いることによって、色分離、各色光の偏光分離、検光、色合成を達成することができる。このため、投射型表示装置が小型化された場合でも、色合成において実質的に損失の発生しない投射光学系が構成でき、投射像の高輝度化ならびに色の高純度化を達成した投射型表示装置を提供できる。
【0028】
なお、本実施形態ではP偏光光のR光成分が複合プリズムに入射するが、波長選択性位相板によってR光成分をS偏光光とし、S偏光光のR光成分複合プリズムに入射してダイクロイック膜104D−Aと偏光分離面104Pとで反射してライトバルブ105Rに入射する構成も考えられる。この場合はR光用反射型ライトバルブ105Rはプリズム104a側に配置され、当該R光用反射型ライトバルブ105Rを射出したR光成分のうちP偏光光のみが偏光分離面104Pを透過することによって検光され、ダイクロイック膜104D−B面でS偏光光であるG光成分の検光光及びP偏光光であるB光成分の検光光と共に色合成される。このような構成にした場合のダイクロイック膜104D−Aとダイクロイック膜104D−Bの光学特性について以下に考察する。ダイクロイック膜104D−Aに図2(A)の光学特性を有する膜を使用した場合、G光成分とB光成分との混合光とR光成分との色分離はR光成分の光に実質的に損失が無いように行うことができる。しかし、R光成分、G光成分、B光成分のそれぞれの検光光をダイクロイック膜104D−Bで行うときに、図2(B)の光学特性を持つダイクロイック膜を使用すると、R光成分のうち短波長側の光λRSB〜λRPB部は当該ダイクロイック膜104D−Bを透過して光路外に廃棄されてしまうため、投射像に寄与できない。また、ダイクロイック膜104D−Bに図2(A)の光学特性を有するものを使用すると、R光成分については実質的に全ての光成分が当該ダイクロイック膜104D−Bを反射し、P偏光光であるB光成分も当該ダイクロイック膜104D−Bを実質的に全て透過するが、S偏光光であるG光成分のうち長波長成分λRSA〜λRPA部は当該ダイクロイック膜104D−Bを反射して光路外に廃棄されてしまうため、投射像に寄与できない。
【0029】
このような光の損失を防ぐため、R光成分をS偏光光としてR光用ライトバルブに入射させる場合、波長選択性位相変換板103BをG光とR光成分をS偏光光に変換する機能を有するものに替えた。この構成について次に説明する。
(第2の実施形態)
図4に本実施形態の装置構成を示す。本実施形態は第1の実施形態と基本構成は同じであるが、波長選択性位相変換板103Bを入射光のうちR成分及びG成分の偏光方向を90°回転する波長選択性位相変換板103RGに置き換え、ダイクロイック膜104D−A’に図2(B)の光学特性を有するものを、ダイクロイック膜104D−B‘に図2(A)の光学特性を有するものを用いている。これらの変更に伴い、R光用ライトバルブ105Rはプリズム104aに相対する位置に、G光用ライトバルブ105Gはプリズム104bに相対する位置に、B光用ライトバルブ105Bはプリズム104dに相対する位置に配置されることになる。
【0030】
波長選択性位相板103Rを射出したP偏光のB光成分と、S偏光のR光成分とG光成分はダイクロイック膜104D−A‘に入射する。ダイクロイック膜104D−A’は図2(B)に示す光学特性を有するので、S偏光のR光成分はダイクロイック膜104D−A’を実質的に全て反射し、S偏光のG光成分とP偏光のB光成分はダイクロイック膜104D−A’を実質的に全て透過する。
【0031】
S偏光であるR光成分は偏光分離面104Pを反射し、ライトバルブ105Rに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。ここで前記変調作用を受けた光のうちP偏光光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−B’に入射する。
【0032】
前記ダイクロイック膜104D−A‘を透過した前記S偏光のG光成分は前記偏光分離面104Pを反射して、ライトバルブ105Gに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。そして、前記変調作用を受けた光のうちP偏光光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−B’に入射する。
【0033】
ダイクロイック膜104D−A‘を透過した前記P偏光のB光成分は前記偏光分離面104Pを透過して、ライトバルブ104Bに入射し、変調作用を受けてプリズム104に再入射する。そして、前記変調作用を受けた光のうちS偏光光成分が前記偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−B’に入射する。
【0034】
図2(A)の光学特性を有するダイクロイック膜104D−B’に入射するB光成分はS偏光光であり、R光成分とG光成分はP偏光光であるので、R光成分は当該ダイクロイック膜104D−B’を実質的に全て反射し、G光成分とR光成分は当該ダイクロイック膜104D−B‘を実質的に全て透過して、色合成が達成される。色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
本実施形態のように、複合プリズム14に入射するR光成分、G光成分、B光成分のうち、B光成分をP偏光光に、R光成分及びG光成分をS偏光光とし、第1ダイクロイック膜にG光成分とR光成分との境界波長にS偏光光のカットオフ波長の存在する光学特性を有する膜、第2ダイクロイック膜にG光成分とR光成分との境界波長にP偏光光のカットオフ波長の存在する光学特性を有する膜を使用することによって、実質的に損失無く色分離、色合成を達成でき、プリズムへの入射光が全波長域に渡って損失なく色分離及び色合成が行える投射型表示装置の構成が可能になる。
(第3の実施形態)
図5には第3実施形態の投射型表示装置の構成図を示す。本実施形態における投射型表示装置の基本的な構成は、B光用ライトバルブ105BとR光用ライトバルブ105Rの位置を交換し、第1ダイクロイック膜に図6(B)の光学特性を有する膜を用い、第2ダイクロイック膜に図6(A)の光学特性を有する膜を用いた以外は、第1の実施形態の構成と同様である。
ダイクロイック膜104D−Cを図6(A)、104D−Dの光学特性を図6(B)に示す。いずれも縦軸は反射率を、横軸は波長を示し、特性図中の実線はP偏光、点線はS偏光の特性を示す。図6(A)では、P偏光のカットオフ波長λBPCはB光とG光の境界波長に存在し、S偏光のカットオフ波長λBSCはG光波長域の中に存在する。従って、ダイクロイック膜104D−Cは、P偏光光に関してはB光成分を実質的に反射、G光とR光成分を実質的に透過する光学特性を有する。図6(B)ではB光とG光の境界波長にS偏光のカットオフ波長λBSDが存在し、P偏光のカットオフ波長λBPDはB光波長域の中に存在する。従ってダイクロイック膜104D−Bは、S偏光光に関してはB光成分を実質的に反射し、G光とR光成分を透過する光学特性を有する。
【0035】
光源101を射出した光は偏光変換装置102Sによって紙面に垂直な振動方向を有するS偏光光に変換された後、波長選択性位相板103BGによってB光成分とG光成分がP偏光光に変換される。ここで、偏光変換装置は光源光をP偏光光に変換し、波長選択性位相板はR光のみをS偏光光に変換する構成を採用してもよいことはいうまでもない。
【0036】
波長選択性位相板103BGを射出したP偏光光のB光成分とG光成分と、S偏光光のR光成分は複合プリズム104に入射し、ダイクロイック膜104D−Cに入射する。ダイクロイック膜104D−CはP偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するので、P偏光光のB光成分は実質的に当該ダイクロイック膜104D−Cで全て反射され、P偏光光のG光成分とS偏光光のR光成分は実質的に全て当該ダイクロイック膜104D−Cを透過する。P偏光光であるB光成分は偏光分離面104Pを透過し、B光用反射型ライトバルブ105Bに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。ここで前記変調作用を受けた光のうちS偏光成分が前記偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−Dに入射する。
【0037】
ダイクロイック膜104D−Cを透過したP偏光光のG光成分は前記偏光分離面104を透過し、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。そして、前記変調作用を受けた光のうちS偏光成分が前記偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−Dに入射する。
【0038】
ダイクロイック膜104D−Cを透過したS偏光光のR光成分は前記偏光分離面104Pを反射して、R光用反射型ライトバルブ104Rに入射し、変調作用を受けてプリズム104に再入射し、前記変調作用を受けた光のうちP偏光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−Dに入射する。
【0039】
ダイクロイック膜104D−DはS偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するので、S偏光光のB光成分はダイクロイック膜104D−Dを実質的に全て反射し、S偏光光のG光成分とP偏光光のR光成分は実質的に全て透過して色合成が達成される。色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0040】
このようにして、本実施例においては複合プリズムにS偏光のR光成分、P偏光のG光、B光成分を入射し、第1ダイクロイック膜にP偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在する膜を用い、第2ダイクロイック膜にS偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在する膜を用いるので、複合プリズムに入射する光のうち全ての波長域に渡って光の損失のない投射型表示装置の光学系を提供できる。
【0041】
本実施形態において、複合プリズムに入射するB光成分をS偏光光とした構成も考えられるが、この場合光の損失は避けられない。すなわち、ダイクロイック膜104D−Cに図6(B)に示す光学特性を有する膜を用いた場合はダイクロイック膜104D−DにS偏光光で入射するB光成分のうち長波長側のλBPD〜λBSD部がダイクロイック膜104D−Dを透過して光路外へ廃棄され、また、当該ダイクロイック膜104D−Cに図6(A)に示す光学特性を有する膜を用いた場合はダイクロイック膜104D−CにS偏光光で入射するG光成分のうち短波長側のλBPC〜λBSC部がダイクロイック膜104D−Cで反射されて光路外へ廃棄され、投射像に寄与できない。
【0042】
このようにB光成分をS偏光としてR光用ライトバルブに入射させた場合には、波長選択性位相変換板103BGをG光成分とB光成分とをS偏光光に変換する機能を有するものに替えることによって、光の損失を回避することができる。以下この構成について説明する。
(第4の実施形態)
図7に本実施例の実施形態の装置構成を示す。本実施形態は第2実施形態と基本的な構成は同様であるが、波長選択性位相変換板103BGの代わりに入射光のうちR成分のみの偏光方向を90°回転する波長選択性位相変換板103Rを用い、ダイクロイック膜104D−C’に図6(B)の光学特性を有するものを用い、ダイクロイック膜104D−D‘に図6(A)の光学特性を有するものうを用いている。これらの変更に伴い、B光用ライトバルブ105Bはプリズム104aに相対する位置に、G光用ライトバルブ105Gはプリズム104bに相対する位置に、R光用ライトバルブ105Rはプリズム104dに相対する位置に配置されることになる。
【0043】
波長選択性位相板103Rを射出したP偏光光のR光成分と、S偏光光のB光成分とG光成分はダイクロイック膜104D−C‘に入射する。ダイクロイック膜104D−C’はS偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するのでS偏光のB光成分は当該ダイクロイック膜104D−A’で実質的に全て反射され、S偏光光のG光成分とP偏光光のR光成分は実質的に全て当該ダイクロイック膜104D−A’を透過する。S偏光光であるG光成分は偏光分離面104Pを反射し、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。ここで前記変調作用を受けた光のうちP偏光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−D’に入射する。
【0044】
ダイクロイック膜104D−C‘を透過した前記R光成分は前記偏光分離面104Pを透過し、R光用反射型ライトバルブ105Rに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。そして、前記変調作用を受けた光のうちS偏光光が偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−B’に入射する。
【0045】
ダイクロイック膜104D−C‘を透過したS偏光光のB光成分は偏光分離面104Pを反射して、B光用反射型ライトバルブ104Bに入射そ、変調作用を受けてプリズム104に再入射する。変調作用を受けた光のうちP偏光成分が前記偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−D’に入射する。
【0046】
ダイクロイック膜104D−D’はP偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長を有するので、P偏光光のB光成分成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−D’を反射し、P偏光光のG光成分とS偏光光のR光成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−D’を透過して色合成が達成される。色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0047】
本実施形態のように、複合プリズム14に入射するR光、G光、B光のうち、R光成分をP偏光光に、B光、G光成分をS偏光光とすることによって複合プリズムに入射した光の全ての波長域に渡って実質的に損失無く色分離、色合成を達成でき、上記記載の効果を奏する投射型表示装置を提供することが可能となる。(第5の実施形態)
図8に第3の実施形態を示す投射型表示装置の構成図を示す。本実施形態では、B光成分とG光成分がP偏光光で、R光成分がS偏光光で複合プリズムに入射する。
【0048】
図8では偏光変換装置102Pで光源光をP偏光光に変換し、波長選択性位相板103RでR光成分のみをS偏光に変換しているが、偏光変換装置によって光源光をS偏光光に変換し、B光成分とG光成分とをP偏光光に変換する構成を採用してもよいことはいうまでもない。
【0049】
図9(A)にダイクロイック膜104D−Eの光学特性、図9(B)にダイクロイック膜104D−Fの光学特性を示す。いずれも縦軸は反射率を、横軸は波長を示し、特性図中の実線はP偏光、点線はS偏光の特性を示している。ダイクロイック膜104D−Eは、P偏光のカットオフ波長λRPEがB光とG光の境界波長に存在し、S偏光のカットオフ波長λRSEはB光波長域の中に存在する。従って、ダイクロイック膜104D−EはP偏光に関して、G光とR光を実質的に全て反射、B光を実質的に全て透過する。ダイクロイック膜104D−Fは、B光とG光の境界波長に実質的にS偏光のカットオフ波長λRSFが存在し、P偏光のカットオフ波長λRPFはG光波長域の中に存在する。従ってダイクロイック膜104D−FはS偏光に関して、G光とR光を実質的に全て反射し、B光を実質的に全て透過する。
複合プリズム104に入射した光はダイクロイック膜104D−Eに入射して、S偏光光のR光成分とP偏光光のG光成分はダイクロイック膜104D−Eを実質的に全て反射し、P偏光光のB光成分はダイクロイック膜104D−Eを実質的に全て透過する。
【0050】
P偏光光のB光成分は偏光分離面104Pを透過して、B光用反射型ライトバルブ105Bに入射し、変調作用を受けてプリズム104に再入射する。そして変調作用を受けた光のうちS偏光成分が偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−Fに入射する。
【0051】
S偏光光のR光成分は偏光分離面104Pを反射し、R光用反射型ライトバルブ105Rに入射し、変調作用を受けてプリズム104Pに再入射する。そして、変調作用を受けた光のうちP偏光成分が偏光分離膜104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−Fに入射する。
【0052】
P偏光光のGこう成分は、偏光分離面104Pを透過し、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射し、変調作用を受けてプリズム104Pに再入射する。そして、変調作用を受けた光のうちS偏光成分が偏光分離膜104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−Fに入射する。
【0053】
ダイクロイック膜104D−Fは、S偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するため、S偏光光のB光成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−Fを透過し、S偏光光のG光成分とP偏光光のR光成分は実質的に全て反射する。従って、R光、G光、B光の色分離及び色合成は、複合プリズムに入射する光の全ての波長域で損失なく達成され、色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0054】
上述の様に本実施例ではS偏光のR光成分、P偏光のG光、B光成分を複合プリズムに入射し、第1ダイクロイック膜にP偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在する膜、第2ダイクロイック膜にS偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフは長の存在する膜を使用することによって、全ての波長域に光の損失のない投射型表示装置の光学系を提供できる。
【0055】
本実施形態も変形としてB光用ライトバルブに入射する光をP偏光でなくS偏光とする構成が考えられる。しかし、この構成においても、ダイクロイック膜104D−Fに図9(A)を使用した場合には、B光の長波長側λBSE〜λBPE部が、また、図9(B)を使用した場合にはG光の短波長側λBSF〜λBPF部が光路外に廃棄されることになって、色合成において光の損失が発生して投射像の輝度が低下するので、投射型表示装置として望ましい形態とはならない。
しかし、B光成分をS偏光としてR光用ライトバルブに入射させた場合には、波長選択性位相変換板103RをG光とB光成分をS偏光光に変換する機能を有するものに替えることによって、光の損失を回避することができる。以下この構成について説明する。
(第6の実施形態)
図10に本実施例の実施形態の装置構成を示す。前実施例の波長選択性位相変換板103Rに、入射光のうちB成分及びG成分の偏光方向を90°回転する波長選択性位相変換板103BGを用い、ダイクロイック膜104D−E’に光学図9(B)の光学特性を有する膜を用い、ダイクロイック膜104D−F‘に図9(A)の光学特性を有する膜を用いた以外、本実施形態は第5実施形態と基本的な構成は同じである。これらの変更に伴い、B光用ライトバルブ105Bはプリズム104bに相対する位置に、G光用ライトバルブ105Gはプリズム104aに相対する位置に、R光用ライトバルブ105Rはプリズム104cに相対する位置に配置されることになる。
【0056】
波長選択性位相板103BGを射出したP偏光のR光成分と、S偏光のB光成分とG光成分はダイクロイック膜104D−E‘に入射する。当該ダイクロイック膜104D−F’はS偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するので、S偏光のB光成分は実質的に全て当該ダイクロイック膜104D−E’を透過し、S偏光のG光成分とP偏光のR光成分は実質的に全て当該ダイクロイック膜104D−E’を反射する。
S偏光光であるB光成分は偏光分離面104Pを反射し、B光用反射型ライトバルブ105Bに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。ここで前記変調作用を受けた光のうちP偏光成分が偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−F’に入射する。
【0057】
ダイクロイック膜104D−E‘を反射したS偏光のG光成分は偏光分離面104Pを反射して、G光用反射型ライトバルブ105Gに入射して変調作用を受け、プリズム104に再入射する。そして、変調作用を受けた光のうちP偏光光が偏光分離面104Pを透過して検光され、ダイクロイック膜104D−F’に入射する。
【0058】
ダイクロイック膜104D−E‘を反射したP偏光のR光成分は偏光分離面104Pを透過して、ライトバルブ104Rに入射し、変調作用を受けてプリズム104に再入射する。前記変調作用を受けた光のうちS偏光成分が前記偏光分離面104Pを反射して検光され、ダイクロイック膜104D−F’に入射する。
【0059】
ダイクロイック膜104D−F’はP偏光光がB光とG光との境界にカットオフ波長を有するので、P偏光のB項成分はダイクロイック膜104D−F’を実質的に全て透過し、P偏光のG光成分とS偏光のR光成分は実質的に全てダイクロイック膜104D−F’を反射して色合成が達成される。色合成された光はプリズム104cを射出して投射レンズ106に入射し、図示しないスクリーン上に投射される。
【0060】
本実施形態のように、複合プリズム14に入射するR光、G光、B光成分のうち、R光成分をP偏光に、B光成分とG光成分とをS偏光とし、第1ダイクロイック膜にS偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在するB光成分反射膜、第2ダイクロイック膜にP偏光光がB光とG光との境界波長にカットオフ波長の存在するB光成分反射膜を使用することによって、複合プリズムに入射した光の内全ての波長領域に渡って実質的に損失無く色分離、色合成を達成できる。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、プリズムに入射した光の全ての波長域に渡って実質的に光の損失なく色分離、検光および色合成が行える複合プリズムを得ることができ、更に、当該複合プリズムを投射型表示装置の色分解光学系、検光光学系、色合成光学系として用いることによって、投射型表示装置の小型化が図れるとともに、光源からの光をR光、G光、B光の全ての波長域について損失なく利用でき、投射像の高輝度化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図2】第1実施形態にて使用する2枚のダイクロイック膜の光学特性図である。
【図3】本発明の実施形態に使用する複合プリズムの斜視構成図である。
【図4】本発明の第2実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図6】第2実施形態にて使用する2枚のダイクロイック膜の光学特性図である。
【図7】本発明の第4実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図8】本発明の第5実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図9】第3実施形態にて使用する2枚のダイクロイック膜の光学特性図
【図10】本発明の第6実施形態の投射型表示装置を説明する構成図である。
【図11】従来の投射型表示装置の構成図である。
【符号の説明】
101 光源
102P、102S 偏光変換装置
103B、103BG、103R 波長選択性位相板
104 複合プリズム
104a、104b、104c、104d プリズム部材
104D−A(A‘)、104D−C(C’)、104D−E(E‘) 第1ダイクロイック膜
104D−B(B‘)、104D−D(D’)、104D−F(F‘) 第2ダイクロイック膜
104P 偏光分離面
105R、105G、105B 反射型ライトバルブ
106 投射レンズ
Claims (6)
- ダイクロイック膜と偏光分離面とを互いに直交するように配置した複合プリズムであって、前記ダイクロイック膜は光学特性の異なる第1ダイクロイック膜と第2ダイクロイック膜とが前記偏光分離面との交差位置を挟んで互いに同一平面を形成するように構成されていることを特徴とする複合プリズム。
- 前記第1ダイクロイック膜は所定の振動方向を有する直線偏光光に対して第1色と第2色との略境界波長にカットオフ波長が存在する反射特性を有し、前記第2ダイクロイック膜は前記所定の振動方向に対して90°回転した振動方向を有する直線偏光光に対して第1色と第2色との境界波長にカットオフ波長が存在する反射特性を有することを特徴とする請求項1に記載の複合プリズム。
- 光源から射出した第1色光、第2色光、第3色光の3色光を含む光を偏光変換装置に入射して所定の直線偏光光に変換し、
前記直線偏光光を波長選択性位相板に入射して所定の色光の偏光方向を90°回転し、
前記位相板を射出した光を第1ダイクロイック膜に入射して第1色光と、第2色光と第3色光との混合光とに色分離し、
前記第1ダイクロイック膜により分離された第1色光を偏光分離面を経て第1色用反射型ライトバルブで第1色光の像情報に基づいて変調し、
前記第1ダイクロイック膜により分離された第2色光と第3色光との混合光を前記偏光分離面に入射して第2色光と第3色光とに色分離し、それぞれ第2色光用反射型ライトバルブ、第3色光用反射型ライトバルブで各色光の像情報に基づいて変調し、
前記第1色光用反射型ライトバルブ、前記第2色光用ライトバルブ、第3色光用ライトバルブによって変調された各色光を、前記偏光分離面に入射して検光し、前記検光された各色光を前記複合プリズムの第2ダイクロイック膜に入射して色合成し、前記色合成光を投射レンズにて投射する構成の投射型表示装置に用いられる複合プリズムであって、前記第1ダイクロイック膜と前記第2ダイクロイック膜と前記偏光分離面とを形成した請求項1、請求項2に記載の複合プリズム。 - 光源と、
前記光源から射出したランダム偏光光を単一偏光光に変換する偏光変換装置と、前記単一偏光光のうち、所定の色光成分の偏光方向を変換する波長選択性位相板と、
第1色光を入射して第1色の像情報に基づいて変調し、第1色の変調光を射出する第1色光用反射型ライトバルブと、
第2色光を入射して第1色の像情報に基づいて変調し、第2色の変調光を射出する第2色光用反射型ライトバルブと、
第3色光を入射して第3色の像情報に基づいて変調し、第3色の変調光を射出する第3色光用反射型ライトバルブとの3つのライトバルブと、
第1プリズム部材、第2プリズム部材、第3プリズム部材、第4プリズム部材の4つのプリズム部材から構成され、前記第1プリズム部材と前記第2プリズム部材との間に前記第1ダイクロイック膜、前記第3プリズム部材と前記第4プリズム部材との間に前記第2ダイクロイック膜が配置され、前記第1プリズム部材と前記第3プリズム部材との間及び前記第2プリズム部材と前記第4プリズム部材との間に前記偏光分離面が配置された請求項1乃至2に記載の複合プリズムと、前記複合プリズムから射出した前記第1色光、第2色光、第3色光の色合成光を投射する投影光学系とを有し、
前記第1ダイクロイック膜は前記複合プリズムの前記第1プリズム部材側から入射した前記波長選択性位相板からの光を第1色光と、第2色光と第3色光との混合光とに色分離し、前記偏光分離面は前記前記第2色光と第3色光との混合光を第2色光と第3色光とに色分離すると共に、前記3つの反射型ライトバルブからの各色光の変調光を検光し、前記第2ダイクロイック膜は前記偏光分離面で検光した第1色光、第2色光、第3色光を色合成し、前記投影光学系は色合成された前記第1色光と第2色光と第3色光との合成光を投射することを特徴とする投射型表示装置。 - 前記第1色光と前記第2色光はP偏光光、前記第3色はS偏光光で前記複合プリズムに入射し、
前記第1色光用ライトバルブは前記第4プリズム部材に相対して配置され、前記第3色光用ライトバルブは前記第2プリズムに相対して配置され、前記第2色光はG光であることを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置。 - 前記第1色光と前記第2色光はS偏光光、前記第3色はP偏光光で前記複合プリズムに入射し、
前記第1色光用ライトバルブは前記第1プリズム部材に相対して配置され、前記第3色光用ライトバルブは前記第4プリズムに相対して配置され、前記第2色光はG光であることを特徴とする請求項4に記載の投射型表示装置。
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