JP2004012707A - オイル塗布ローラ及びオイルの含浸方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軸芯がその表面にオイル流通溝および/または内部にオイル流通路を1系統以上有し、当該各オイル流通溝および各オイル流通路の一端はそれぞれオイル塗布ローラの少なくとも一つの端面に開口し、当該各オイル流通溝の表面およびオイル流通路の少なくとも一つの他端は軸芯の外周表面に開口しているオイル塗布ローラ構造体を作製し、上記の開口を有する少なくとも一方の端面にオイル供給用チャッキング治具を押し当て、オイル供給用チャッキング治具を押し当てない端面の軸芯に開口がある場合にはその端面に端面閉止用チャッキング治具を押し当て、オイルを上記オイル供給用チャッキング治具を介して加圧下に上記のオイル流通溝および/またはオイル流通路に供給してオイル保持層に浸透させて含浸させる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電複写機、電子写真機、プリンタなどに取り付けられている定着装置に使用されるオイル塗布ローラ及びその内部のオイル保持層にオイルを含浸させる方法に関するものであり、さらに詳しくは、その当該オイル保持層にオイルを容易に含浸させることが出来るオイル塗布ローラおよび含浸方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、静電複写機、電子写真機、プリンタなどにおける定着装置の定着ローラには、トナーの付着防止、紙の巻き付き防止、ヒートローラ表面の摩耗防止のために、オイル塗布ローラにより表面に連続的に離型オイルを塗布している。係るオイル塗布ローラは、主要構成要素として軸芯、オイル保持層および表面部の多孔質膜層からなり、当該オイル保持層に塗布すべきオイルを含浸して保持し、当該オイルが表面部の多孔質膜層に浸透し、多孔質膜層表面が定着ローラに接触したとき表面に存在する微少量のオイルを当該定着ローラ表面に転写するローラである。
【0003】
上記のオイル塗布ローラに関して、特開平6−348166号公報には、芯金の周囲に、油透過率が6g/(cm2hr)以上である油透過性シートと油保持率が0.4/cm3以上である油保持シートとの重合層を複数回積層巻回してオイル保持層とし、その上に、表面層として前記の油透過率が15mg/(cm2hr)以下である油透過抑制性シートの層を設けてなる含油層を形成して定着装置用オイル塗布ロール、が開示されている。そして、そのオイル保持層のオイルは、実施例1によれば、上記の塗布ロールをシリコーンオイル中に1ヶ月もの長期間浸漬して含浸されている。
【0004】
また、特開平7−44051号公報には、シャフトの周りに、予め空隙率が高い不織布やフェルトにオイルを含浸したものを平巻きしてオイル保持層を形成し、その外側に常温硬化型のシリコーン樹脂を部分的に塗布した後、ポリテトラフルオロエチレン製微孔膜を平巻きしてジメチルシリコーンオイルを含んだオイル塗布ローラ、が開示されている。
【0005】
また、上記の特開平9−185282号公報に記載のオイル塗布ローラは、参考例によれば、ロール基体の外周にロックウール紙を多数回巻き、さらにその上に皮革様シートを巻いてロール体とし、これをシリコーンオイル中に48時間浸漬放置してオイルを含浸させ、その後、その上に多孔性収縮性筒状フイルムを被覆させてオイル塗布ロールを製造している。
【0006】
以上のように、従来のオイル塗布ローラは、オイル保持層へのオイルの含浸には、長時間〜長期間を要し、あるいは予めオイルを含浸させた不織布やフェルトを巻き付けた後に塗布量制御層を装着するという作業性が悪い工程により製造されている。上記のように長時間〜長期間を要している理由は、緊密に巻かれたオイル保持層へのオイルの浸透が自然な浸透力によるため浸透力が弱く且つ遅いものと推定される。そして、浸透力が弱いため浸透速度が素材の不均一さ及び巻き密度の不均一さなどの影響をより強く受けてオイル保持層への浸透が一様とならないため全体の含浸量を定量的に管理することができないものと考えられる。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、上記の問題点を解消するために為されたものであり、すなわち、本発明の目的は、オイルを高速に且つ定量的に含浸することが出来るオイル塗布ローラおよびオイルの含浸方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的達成のため種々検討を進めた結果、軸芯表面にオイル流通溝または軸芯内部に軸芯表面に開口する流通路を穿設してオイルを加圧下に当該流通溝または流通路から注入し、軸芯がわからオイル保持層に浸透させて含浸させることにより均一に完全にしかも均一に含浸させることが出来ることを見い出し、本発明に達したものである。
【0009】
すなわち、本発明の第1の要旨は、 主要構成要素として軸芯の周りにオイル保持層のみ或いはオイル保持層とその外側に形成される塗布量制御層とを有するオイル塗布ローラにおいて、軸芯がその表面にオイル流通溝および/または内部にオイル流通路を1系統以上有し、当該各オイル流通溝および各オイル流通路の一端はそれぞれオイル塗布ローラの少なくとも一つの端面に開口し、当該各オイル流通溝の表面およびオイル流通路の少なくとも一つの他端は軸芯の外周表面に開口していることを特徴とするオイル塗布ローラ構造体、に存し、
【0010】
そして、第2の要旨は、主要構成要素として軸芯の周りにオイル保持層のみ或いはオイル保持層とその外側に形成される塗布量制御層とを有するオイル塗布ローラにおいて、軸芯がその表面にオイル流通溝および/または内部にオイル流通路を1系統以上有し、当該各オイル流通溝および各オイル流通路の一端はそれぞれオイル塗布ローラの少なくとも一つの端面に開口し、当該各オイル流通溝の表面およびオイル流通路の少なくとも一つの他端は軸芯の外周表面に開口していることを特徴とするオイル塗布ローラ構造体の、上記の開口を有する少なくとも一方の端面にオイル供給用チャッキング治具を押し当て、オイル供給用チャッキング治具を押し当てない端面の軸芯に開口がある場合にはこの端面に端面閉止用チャッキング治具を押し当て、オイルを上記オイル供給用チャッキング治具を介して加圧下に上記のオイル流通溝および/またはオイル流通路に供給してオイル保持層に浸透させて含浸させることを特徴とするオイルの含浸方法、に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のオイル塗布ローラの製造方法およびオイル塗布ローラへのオイルの含浸方法を説明する。本発明のオイル塗布ローラは、主要構成要素として軸芯の周りにオイル保持層およびその外側に塗布量制御層を有し、上記オイル保持層に塗布すべきオイルを含浸して保持し、当該オイルが表面部の塗布量制御層に滲出し、塗布量制御層表面が接触した定着ローラ等にオイルが転写される。
【0012】
上記のオイルは、例えば静電複写機、電子写真機、プリンタなどの定着装置の定着ローラ表面へのトナー付着の防止、紙の巻き付きの防止、ヒートローラ表面の摩耗の防止のために、定着ローラ表面にオイル塗布ローラによって塗布される。係るオイルとしては、離型オイルと呼ばれるものが使用され、通常、離型性、耐熱性などの観点からシリコーンオイルが好適に使用され、具体的にはジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0013】
上記のオイルとしては、使用条件に応じて種々の粘度のものが使用されるが、その内粘度が高いものは前記のオイル保持層に含浸させるのが困難であり、また、塗布時の流動性が劣るため、通常30,000cSt以下のものが使用される。
【0014】
上記の軸芯を構成する素材としては、公知の素材、形状および寸法のものを使用することが出来、例えば、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレススチール、真鍮などが挙げられるが、コスト及び加工性の観点からアルミニウムが好適に使用される。
【0015】
上記の軸芯の太さは、その用途により適宜決定されるが、例えば外径が5〜20mm程度である。そして、その表面にオイル流通溝を有し、および/または、内部にオイル流通路を有する。本発明において上記のオイル流通溝および/またはオイル流通路は、それぞれ内部で連続した部分を1系統と数えたとき、合わせて1系統または2系統以上からなる。
【0016】
上記のオイル流通溝は、各系統の少なくとも一端はオイル塗布ローラの端面において開口し、溝の表面は軸芯の外周表面に開口するように穿設される。その各系統の溝の配置形状は、特に限定されるものではないが、通常軸芯の軸方向に平行に形成され、また、軸芯の外周上に螺旋を描くように形成されていてもよい。さらに、上記の溝は、軸芯表面において分岐していてもよい。
【0017】
また、それらの溝の深さおよび幅は特に限定されないが、オイルが流通できる程度であれば充分であり、例えば深さは1mmで十分であり、深すぎる場合は軸芯の強度が低下する。また、溝の幅は、溝の深さにもよるが、軸芯の表面に紙を巻回したとき溝が紙により実質的に閉塞されない程度とされ、通常2〜3mm程度である。またその溝の断面形状は軸芯の表面に紙を巻回したとき溝が紙により実質的に閉塞されない形状であれば特に限定されず、例えばU字形、V字形が挙げられる。
【0018】
上記の溝の数は1または2以上の系統から成っていてもよく、結果として表面上の溝のラインの数が、通常3〜20、好ましくは5〜15程度である。数が少なすぎる場合は後段で説明するオイル含浸時操作の段階でオイルがオイル保持層に均一に含浸され難い。
【0019】
上記のオイル流通路、即ち流通孔、は軸芯の内部に形成され、1系統であってもよいが複数の系統からなっていてもよい。一つの系統の流通路の少なくとも一端はオイル塗布ローラの端面部において開口している。上記の各流通路系統は軸芯の内部で分岐していてもよい。例えば、中心部の流通路から軸芯の外周表面に向かって半径方向に穿設された複数の分岐流通路が形成されたものであってもよい。
【0020】
また、上記の各流通路(孔)の太さは特に限定されないが、オイルが流通できる程度であれば充分であり、例えば内径は1mmで十分であり、太すぎる場合は軸芯の強度が低下する。またその流通路の断面形状は特に限定されず、例えば円形、楕円形、三角形、四角形、星形、その他任意の形状が挙げられる。
【0021】
そして、上記の各系統の流通路または分岐流通路の少なくとも一つの他端は軸芯の外周表面に連通している。そして、上記の全ての系統により形成される全開口の数は複数であるのが望ましく、軸芯の強度に支障がない範囲で多いほどよく、その結果として軸芯の外周表面に可能な限り平均して配置されるのが好ましい。さらに、上記の開口が別に表面に形成されている流通溝と接続しているのも好ましい。
【0022】
前記のオイル保持層はオイル塗布ローラとして塗布するオイルを含浸して保持する層である。かかるオイル保持層は、通常、多孔質物質により構成される。かかる多孔質物質としては、特に限定されるものではないが、例えば有機繊維または無機繊維の紙、不織布、織布など、オイルの透過性が良いシート状物を巻回したもの、あるいは、多孔質セラミックスまたは発泡プラスチックスなどの多孔質物質が挙げられる。その際、オイル保持層に使用される材料の透気度は、50秒以下、特に20秒以下の物が好ましい。50秒を超える場合は、含浸時の抵抗が大きすぎて通常使用される加圧装置例えばコンプレッサーの加圧上限1.0Pa条件でも含浸が困難となる。
【0023】
上記のオイル保持層の素材として紙、不織布、織布状などシート状のものを軸芯に巻回する場合は、これらの巻き始めの部分を両面テープなどを使用して軸芯に仮固定した後、緩まないように巻回するのが好ましい。上記の巻回により形成されるオイル保持層の厚さは用途により、保持すべきオイルの含浸量に基づき適宜決定されるが、例えば3〜50mm程度である。
【0024】
前記の塗布量制御層はオイル保持層に含浸して保持されているオイルを微少量ずつ適量の塗布量を滲出させるために形成されたものである。係る塗布量制御層としては通常多孔質膜が使用される。
【0025】
上記の多孔質膜の素材としては、通常、多孔質フッ素樹脂膜が使用され、中でもトナー定着部の定着ローラとして使用する場合、トナーに対する離型性が優れたポリテトラフルオロエチレン膜(以下、PTFE多孔質膜という)が好適に使用される。
【0026】
上記の多孔質膜としては、例えば、厚さが15〜130μmであり、直径0.1〜2μmの開孔が多数形成され、表面粗さRaが0.5〜2.0μm、空隙率が60〜90%であり、B型ガーレー式デンソメーターにより測定されるガーレー数としての透気度が3〜1500(秒/100cc)であるものが好適に使用される。
【0027】
上記のオイル保持層と多孔質膜層との間に、希望によりオイル移行層を設けることが出来る。上記のオイル移行層は、上記のオイル保持層からのオイルを塗布量制御層に移行する役割を有する。係るオイル移行層は多層構造であってもよい。
【0028】
上記のオイル移行層を構成する素材としては、多孔性フェルトなどが挙げられ、例えばアラミド繊維などの耐熱性繊維フェルトのものが例示され、中でもニードルパンチ加工などにより面状に成型したものがより好ましい。係るフェルト層は、目付が60〜1000g/m2、好ましくは170〜800g/m2、厚さが0.5〜5.0mm、好ましくは2〜3mmのものが好適に使用される。
【0029】
上記のオイル保持層、オイル移行層および塗布量制御層の相互間の積層に使用する固定方法としては、固定部品を使用する方法、接着剤を用いる方法あるいはそれらを組み合わせた方法が挙げられるが、特にオイル移行層と塗布量制御層との相互間の積層には表面へのオイル滲出量の均一性の観点から、接着剤により接着する方法が好ましい。
【0030】
上記の接着剤による方法としては、接着面を接着剤で完全に被覆させない方法であれば特に制限されないが、その一例として、接着の一方の面にRTVゴム(室温硬化型ゴム)、LTVゴム(低温硬化型ゴム)、紫外線硬化型ゴムなどを主成分とする接着剤を点状、格子状または梨子地状に塗布して部分的に接着させる方法、或いは、シリコーンワニスとシリコーンオイルとを混合した接着剤をオイル移行層と塗布量制御層との何れか一方の面または両面の一部または全面に塗布した後、シリコーンワニスを硬化させる方法が挙げられる。
【0031】
上記のようにして最外層の塗布量制御層が構成されたオイル塗布ローラは、流通溝または流通路からオイルが注入されてオイル保持層に浸透して含浸される。上記の含浸の方法は、例えば、オイル塗布ローラの開口を有するローラの端面の少なくとも一方の端面にオイル供給用チャッキング治具を押し当て、オイル供給用チャッキング治具を押し当てない端面の軸芯に開口がある場合はこの端面に端面閉止用チャッキング治具を押し当て、オイルを上記オイル供給用チャッキング治具を介して加圧下に上記のオイル流通溝および/またはオイル流通路に供給してオイル保持層に浸透させて含浸させる方法が挙げられる。
【0032】
上記のチャッキング治具は、供給されたオイルを上記のローラの軸芯部に注入する凹空間を形成する先端部とこの部分にオイルを供給する供給管部とから成り、上記の先端部は、凹空間の凹部を形成する開口部と、当該開口部をローラの軸芯部の開口部に対面できるように押し当てたときオイルが漏れ出ることが無い様にオイル保持層と液密に接し得る環状突起部から構成される。そして、上記の環状突起部の外周の大きさは、ローラの端面においてローラの塗布量制御層の端と隙間が生じる程度とされ、換言すれば、先端部を押し当てたときその周辺部においてオイル保持層またはオイル移行層の端面の一部が露出する程度の幅とする。なお、上記の供給管部にはオイルの供給を制御する開閉弁を組み込むことが出来る。
【0033】
一方、上記の端面閉止用チャッキング治具は、軸芯部に開口を有する端面であってオイル供給用チャッキング治具を押し当てない場合にオイル開口を封止するために使用するものである。その構造は、上記のオイル供給用チャッキング治具において中央部の供給管がなく閉塞された凹空間のみを具備する構成のものが好適に使用される。勿論、オイル供給用チャッキング治具を押し当てない端面であって開口が無い場合も端面に端面閉止用チャッキング治具を押し当てることもできる。また、上記のオイル供給用チャッキング治具の開閉弁を閉じたものを使用することも出来る。
【0034】
オイルを含浸した上記のオイル塗布ローラは端面が耐油性材料で被包される場合もある。この際、上記の被包部分は、前記のオイル保持層に含浸されたオイルが自重によって液漏れしない場合は、必ずしも液密に封止する必要はない。この様に液密に封止する必要はない場合は、上記耐油性材料として例えば前記の塗布量制御層として使用された多孔質フッ素樹脂膜などの多孔質膜をローラ幅より広いものを使用し、両端にはみ出す耳部分を軸芯方向に折り込んで被包部分とすることもできる。
【0035】
この場合、この折り込み部分を押さえて固定する必要があるが、このためにはプッシュリングと称せられる部品を装着する方法を例示することが出来る。プツシュリングは、バネ質板材から作製され、中心部がバネ質板材の機能により軸芯の支持部に固定され、同様にバネ質板材の機能により上記端面の折り込み部分を押さえ続けることが出来、折り込み部分を押さえた状態で固定することが出来る。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例により図1〜4を利用して更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えないかぎり、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(オイル塗布ローラの作製)
まず、ローラ部11の長さが217mm、外径が12mm、両端の支持部分12を含めた長さ223mmの軸芯のローラ部11の外周表面上且つ軸方向に等間隔に、深さ1mm、幅2mmのU字形溝13を10本設け、そのローラ部の外周表面上に、厚さ300μm、幅217mm、密度が0.2g/m3であるポリエステル不織布を外径が30mmになるように複数回巻回した。その際、軸芯のローラ部11の表面に軸方向に幅5mmの両面接着テープを貼り付けて、上記不織布の巻き始め部分を固定した。
【0037】
上記のポリエステル不織布の外周上に、厚さ2.8mm、幅30mmのアラミド繊維製のフェルトテープをスパイラル状にその端縁を密接して巻回し、さらにPTFEとフェルトの接着は、シリコーンワニスとシリコーンオイルとを混合した接着剤をPTFE膜全面に塗布した後、厚さ80μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製で気孔径が0.2μm、多孔質膜を一重に巻回した後、接着剤を加熱硬化してオイル保持層14、オイル移行層15および塗布量制御層16を有するオイル塗布ローラ構造体を作製した。
【0038】
(オイルの含浸方法)
上記のオイル塗布ローラ構造体の質量を精確に秤量した後、溝13の開口を有する側の端面にはみ出している多孔質PTFE膜部分を拡げて端面のオイル保持層部分を覆うようにオイル供給用チャッキング治具17を押し当て、他の端面には同様にして端面閉止用チャッキング治具18を押し当て、上記のオイル供給用チャッキング治具17に具備されているオイル供給管部18の先端にオイル供給装置の先端を接続して粘度が110cStのジメチルシリコーンオイル80gを計量して0.3MPaの加圧下に溝13に注入し、オイル保持層14に含浸させた。供給に要した時間は約10秒であった。
【0039】
オイルを含浸した上記のオイル塗布ローラ構造体から両治具(17,18)を取り外した後、一方の端面を下にして30分間吊り下げたところ、オイル保持層に含浸されたオイルは全く漏れ落ちる事がなかった。このローラについて正確に秤量した。このローラの外周部の両端部にはみ出している多孔質PTFE膜16−2の部分を軸芯の中心方向に折り込んで各々の端面を被包させた後、両側支持部42にそれぞれプッシュリング17を装着して上記の折り込まれた多孔質PTFE膜16−2部分を押さえ込み、本発明のオイル塗布ローラ40を得た。
【0040】
上記のような方法で80gのオイルを注入して含浸させたオイル塗布ローラ40を50本作製し、それらの質量を正確に秤量し、含浸前の質量およびプッシュリングの質量を差し引いて、各ローラ中に含浸されたオイル部分の質量を求めた結果、その質量の範囲は最大80.4g、最小79.6g、平均79.98gで、標準偏差は僅かに0.16gであつた。
【0041】
比較例1
実施例1において軸芯としてローラ部11の外周表面に溝13を形成しない軸芯を用い、且つ最外層のポリフルオロエチレン多孔質層を形成しなかった他は実施例1と同様にしてローラ構造体を30本作製した。得られたローラ構造体の質量を正確に秤量した後、実施例1で使用した同じオイルを収容したオイルバス内に24時間浸漬してオイル保持層にオイルを含浸させた。オイルバスから取り出して各ローラを30分間空中に吊り下げた後、表面に付着したオイルをティツシュペーパーで拭き取った後、各ローラ中の質量を正確に秤量して、浸漬前の質量との差を含浸されたオイル部分として求めた結果、オイル部分の質量の範囲は最大99.3g、最小92.8g、平均95.54gで、標準偏差は1.68gで、各々のオイル含有量はバラバラであった。
【0042】
【発明の効果】
以上、説明した本発明によれば、本願発明により作製されたオイル塗布ローラは、目標とするオイル含有量を正確に設定できて、ばらつきが少なく、製品の均一性が優れている。そして、更に、オイル塗布ローラを製造する工程の中でオイル保持層へのオイルの含浸に要する工程が時間が極めて短く且つ簡易な製造方法としての効率にも優れており、従って、本発明の工業的価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用した軸芯の外観説明図。
【図2】本発明のオイル塗布ローラの断面構造の説明図。
【図3】本発明のオイル塗布ローラに片側の端面からオイルを注入してオイル保持層に含浸させる場合の説明図。
【図4】本発明のオイル塗布ローラの両側端面を被包する場合の説明図。
【符号の説明】
10 軸芯
11 軸芯のローラ部
12 軸芯の支持部
13 ローラ部外周表面の溝
14 オイル保持層
15 オイル移行層
16 オイル塗布量制御層(PTFE膜)
16−2 ローラ部分からはみ出した耳部分
17−1 オイル注入用チャッキング治具
17−2 端面閉止用チャッキング治具
18 オイル供給管部
19 プッシュリング
20 オイル塗布ローラの断面構造
30 オイルを注入中のオイル塗布ローラ
40 両側端面を被包中のオイル塗布ローラ
Claims (6)
- 主要構成要素として軸芯の周りにオイル保持層のみ或いはオイル保持層とその外側に形成される塗布量制御層とを有するオイル塗布ローラにおいて、軸芯がその表面にオイル流通溝および/または内部にオイル流通路を1系統以上有し、当該各オイル流通溝および各オイル流通路の一端はそれぞれオイル塗布ローラの少なくとも一つの端面に開口し、当該各オイル流通溝の表面およびオイル流通路の少なくとも一つの他端は軸芯の外周表面に開口していることを特徴とするオイル塗布ローラ構造体。
- オイル保持層に使用される材料の透気度が50秒以下であることを特徴とする請求項1に記載のオイル塗布ローラ構造体。
- 主要構成要素として軸芯の周りにオイル保持層のみ或いはオイル保持層とその外側に形成される塗布量制御層とを有するオイル塗布ローラにおいて、軸芯がその表面にオイル流通溝および/または内部にオイル流通路を1系統以上有し、当該各オイル流通溝および各オイル流通路の一端はそれぞれオイル塗布ローラの少なくとも一つの端面に開口し、当該各オイル流通溝の表面およびオイル流通路の少なくとも一つの他端は軸芯の外周表面に開口していることを特徴とするオイル塗布ローラ構造体の、上記の開口を有する少なくとも一方の端面にオイル供給用チャッキング治具を押し当て、オイル供給用チャッキング治具を押し当てない端面の軸芯に開口がある場合にはこの端面に端面閉止用チャッキング治具を押し当て、オイルを上記オイル供給用チャッキング治具を介して加圧下に上記のオイル流通溝および/またはオイル流通路に供給してオイル保持層に浸透させて含浸させることを特徴とするオイルの含浸方法。
- オイル保持層に使用される材料の透気度が50秒以下であることを特徴とする請求項3に記載のオイルの含浸方法。
- 含浸されるオイルの粘度が30,000cSt以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のオイルの含浸方法。
- 請求項1または2に記載したオイル塗布ローラ構造体に、請求項3から5までの何れか1つに記載したオイルの含浸方法によりオイルを含浸したオイル塗布ローラ。
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