JP2004012512A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、感光体1Kを有し黒トナー像を形成する画像形成ユニット15K、感光体1Y等を有しカラートナー像を形成する画像形成ユニット15Y等を備え、ユニット15K,15Y等で黒画像又はカラー画像を形成し、黒画像形成時のプロセス速度をカラー画像形成時より高速化可能な画像形成装置において、感光体1Kの電位減衰速度が感光体1Y等より大きい。この場合、黒画像形成時のプロセス速度がカラー画像形成時より大きくなっても、特に低温時において黒画像形成時の黒画像の濃度低下を十分に防止可能となる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置及び画像形成方法に係り、より詳しくは、黒画像を形成する時の感光体のプロセス速度を、カラー画像を形成する時のプロセス速度よりも高速にすることが可能な画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィス等において処理されるドキュメントは急速にカラー化が進み、これに伴って、これらのドキュメントを扱う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置も急速にカラー化されてきている。そして、現在これらのカラー機器は、オフィス等における事務処理の高品位化および迅速化に伴って、一層高画質化および高速化されてきている。かかる要求に応え得るカラー機器としては、例えば黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色毎に画像形成ユニットを持ち、各画像形成ユニットで形成された色の異なる画像を、転写材上又は中間転写体上に多重に転写し、カラー画像の形成を行ういわゆるタンデム型のカラー画像形成装置が種々提案されており、実際に商品化されてもいる。
【0003】
上記タンデム型のカラー画像形成装置においては、種々の事情により、カラー画像の形成時は、黒画像の形成時よりも、画像形成ユニットにおけるプロセス速度を遅くせざるを得ない。そのため、カラー画像形成装置は通常、プロセス速度の切替機構を備えており、これによって、黒画像形成時には、そのプロセス速度を、カラー画像の形成時よりも大きくして、黒画像形成時の生産性向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように黒画像形成時のプロセス速度をカラー画像形成時よりも大きくすると、感光体の現像時において、その感光体の露光後表面電位がカラー画像形成時よりも高くなり、得られる黒画像中の黒トナー像の濃度が薄くなる場合があった。この場合、使用頻度の多い常温(20℃から25℃程度)において濃度が最適となるように帯電、露光、現像などのパラメーターを設定することによりこの問題は回避できる。しかし、このような調整をしても低温時(10℃以下)においては、黒画像中の黒トナーの濃度が薄くなる問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、黒画像形成時のプロセス速度をカラー画像形成時のプロセス速度より大きくしても、特に低温下において黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分に小さくできる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点について検討した結果、黒画像形成時のプロセス速度をカラー画像形成時よりも大きくした場合に上記問題点が生じる原因が、複数の電子写真感光体の電位減衰速度が相互に等しいことにあることを見出した。ここで、黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分に小さくするためには、感光体に、電位センサを設けて感光体電位を測定し、測定した電位をもとに帯電電位、現像電位又は露光強度などをフィードバック制御したり、感光体上又は中間転写媒体上のトナー濃度を検出し、検出したトナー濃度をもとに感光体の帯電電位や現像電位などをフィードバック制御することも考えられるが、これでは、高価な制御装置を設置する必要があり、画像形成装置自体のコストが増加する。
【0007】
そこで、本発明は、第1電子写真感光体を有し帯電、露光及び現像により黒トナー像を形成する第1画像形成ユニットと、第2電子写真感光体を有し帯電、露光及び現像によりカラートナー像を形成する複数の第2画像形成ユニットとを備えており、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにより前記黒トナー像のみからなる黒画像又は前記カラートナー像を含むカラー画像を形成すると共に、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにおいて前記黒画像を形成する時のプロセス速度を、前記カラー画像を形成する時のプロセス速度よりも高速にすることが可能である画像形成装置において、前記第1電子写真感光体の電位減衰速度が、前記第2電子写真感光体の電位減衰速度より大きいことを特徴とする。
【0008】
ここで、「感光体の電位減衰速度」とは、10℃において、感光体の表面電位をその感光体の帯電極性に合わせ絶対値400Vに帯電し、半減露光量の2倍以上の露光量にてフラッシュ露光を行った後、感光体の表面電位が絶対値200Vまで減衰するときの表面電位の平均減衰速度〔V/ms〕を言うものとする。
【0009】
この画像形成装置によれば、第1電子写真感光体の電位減衰速度を第2電子写真感光体の電位減衰速度より大きくすることにより、第1電子写真感光体において、表面電位が露光後に短時間で減衰し、現像時において表面電位を十分に低減することが可能となる。従って、第1画像形成ユニット及び第2画像形成ユニットにおいて、黒画像形成時のプロセス速度がカラー画像形成時のプロセス速度より大きくなっても、黒画像の濃度の低下を十分に防止することが可能となり、黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分小さく抑えることができる。なお、この濃度差を十分に小さくするためには、第1電子写真感光体のみならず第2電子写真感光体についても電位減衰速度を大きくすればよいとも考えられるが、この場合、コストアップや他の障害(例えば放電生成物による像流れ、感光層の摩耗率の増加、感光体寿命の低下など)が伴うこととなる。また、フィードバック制御装置が設置されている場合でも、本発明により、低温での感光体の電位上昇が少ないために制御が容易となるため、または、他の変動を制御するための余裕が生じるために好ましい。
【0010】
また本発明は、上記画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法において、前記黒画像を形成する時に、前記第1画像形成ユニット及び前記第2画像形成ユニットにおけるプロセス速度を、前記カラー画像を形成する時のプロセス速度の1.2倍以上にすることを特徴とする。
【0011】
第1電子写真感光体と第2電子写真感光体の電位減衰速度を等しくした場合、前記黒画像形成時のプロセス速度を、前記カラー画像形成時のプロセス速度の1.2倍以上にすると、黒画像中の黒トナー像の濃度低下が顕著に現れるが、上記画像形成方法は、第1電子写真感光体の電位減衰速度を第2電子写真感光体の電位減衰速度より大きくした画像形成装置を用いているので、コストアップや他の障害を伴うことなく、その濃度差を十分に小さく抑えることができる。
【0012】
また本発明は、第1電子写真感光体を有し帯電、露光及び現像により黒トナー像を形成する第1画像形成ユニットと、第2電子写真感光体を有し帯電、露光及び現像によりカラートナー像を形成する複数の第2画像形成ユニットとを備えており、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにより前記黒トナー像のみからなる黒画像又は前記カラートナー像を含むカラー画像を形成すると共に、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにおいて前記黒画像を形成する時のプロセス速度を、前記カラー画像を形成する時のプロセス速度よりも高速にすることが可能である画像形成装置において、前記第1電子写真感光を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする。
【0013】
電位減衰速度は一般に温度依存性を有し温度が高いほど大きくなる。このため、この画像形成装置において、加熱手段により第1電子写真感光体が加熱されると、第1電子写真感光体の電位減衰速度を上昇させることが可能となり、第1電子写真感光体の電位減衰速度を第2電子写真感光体の電位減衰速度より大きくすることが可能となる。このため、第1電子写真感光体において、表面電位が露光後に短時間で減衰し、現像時において表面電位を十分に低減することが可能となる。従って、黒画像形成時のプロセス速度がカラー画像形成時のプロセス速度より大きくなっても、黒画像の濃度の低下を十分に防止することが可能となり、黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分小さく抑えることができる。この濃度低下は、第1電子写真感光体と第2電子写真感光体の電位減衰速度が等しいと、低温下(10℃以下)において顕著に現れるが、本発明の画像形成装置によれば、加熱手段により第1電子写真感光体が加熱され、その電位減衰速度が第2電子写真感光体の電位減衰速度より大きくされるため、低温下においてもその濃度差を十分に小さく抑えることが可能となる。なお、この濃度差を十分に小さくするためには、第1電子写真感光体のみならず第2電子写真感光体についても加熱して電位減衰速度を大きくすればよいとも考えられるが、この場合、コストアップや装置の大型化が伴うこととなる。
【0014】
また本発明は、上記画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法において、前記黒画像を形成する時に、前記加熱手段により前記第1電子写真感光体を加熱し、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにおけるプロセス速度を、前記カラー画像を形成する時のプロセス速度の1.2倍以上にすることを特徴とする。
【0015】
第1電子写真感光体と第2電子写真感光体の電位減衰速度を等しくした場合、黒画像形成時のプロセス速度を、前記カラー画像形成時のプロセス速度の1.2倍以上にすると、黒画像中の黒トナー像の濃度低下が顕著に現れるが、上記画像形成方法は、画像形成装置において加熱手段により第1電子写真感光体が加熱され、その電位減衰速度が第2電子写真感光体の電位減衰速度より大きくされるため、コストアップや装置の大型化を伴うことなく、その濃度差を十分に小さく抑えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(画像形成装置)図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略図であり、いわゆるタンデム型のデジタルカラープリンタの内部構成を示すものである。
【0017】
図1に示すように、画像形成装置20は、黒トナー像を形成する画像形成ユニット(第1画像形成ユニット)15Kと、カラートナー像を形成する3つの画像形成ユニット(第2画像形成ユニット)15Y,15M,15Cとを備えている。画像形成ユニット15Y、15M、15C、15Kは並列に配置されている。画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kによって黒トナーのみからなる黒画像、又はカラートナー像を含むカラー画像が形成されるようになっている。ここで、カラー画像は、少なくともカラートナー像を含むものである。従って、カラー画像は、カラートナー像及び黒トナー像からなっていてもよい。
【0018】
画像形成ユニット15Kは、電子写真感光体(第1電子写真感光体)1Kを有し、電子写真感光体1Kの外周に沿って現像器2K、帯電器3K、クリーニングブレード6K、一次転写ロール4Kが配置されている。一次転写ロール4Kと電子写真感光体1Kとの間には、中間転写体8が配置されている。図1に示す中間転写体8は、エンドレスベルトとなっており、駆動ローラ21、従動ローラ22、テンションローラ23により周回されるようになっている。電子写真感光体1Kの表面上であって現像器2Kと帯電器3Kとの間の部分には、露光装置としてのROS(Raster Output Scanner)7により所望の像露光がなされるようになっている。従って、中間転写体8に黒トナー像を形成する場合には、電子写真感光体1Kが回転され、帯電器3Kにより感光体1Kの表面が帯電され、ROS7により所望の像露光が行われた後、現像器3Kで現像され、一次転写ロール4Kにより電界が印加されて中間転写体8に黒トナー像が転写される。転写後、電子写真感光体1Kの表面に残った黒トナーは、クリーニングブレード6Kにより除去される。
【0019】
画像形成ユニット15Y、15M、15Cは、電子写真感光体及びトナーの種類を除いて、画像形成ユニット15Kとほぼ同様の構成を有しており、それらの動作も画像形成ユニット15Kと同様である。従って、画像形成ユニット15Y、15M、15Cにおいて、画像形成ユニット15Kの帯電器3K、現像器2K、クリーニングブレード6K、一次転写ロール4Kに対応する構成要素については、上記参照符号中のKに代えてそれぞれY,M,Cで表す。
【0020】
また画像形成装置20は、記録媒体としての用紙12を収容する用紙トレイ11と、用紙トレイ11から送り出される用紙12上に、電界の印加によって中間転写体8上のトナー像を転写する二次転写ロール9と、用紙12上に転写されたトナー像を用紙12に定着させる定着器10とを備えている。用紙12は、二次転写ロール9と従動ロール22とにより挟まれるようになっている。従って、二次転写ロール9で用紙12に電界を印加すると、中間転写体8上のトナー像が用紙12上に転写され、転写されたトナー像は、定着器1で定着され、こうして黒画像又はカラー画像が得られることとなる。
【0021】
更に画像形成装置20は、画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kを制御して、それらのプロセス速度を調整する制御装置を備えている。この制御装置は、ROS7に入力される入力画像信号に基づき、形成される画像が黒画像かカラー画像かを判別し、黒画像を形成する場合には、画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kにおけるプロセス速度がカラー画像を形成する場合より大きくなるように制御する。
【0022】
ここで、黒画像形成時の画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kにおけるプロセス速度がカラー画像形成時より大きくされると、電子写真感光体1Y,1M,1C,1Kの電位減衰速度が互いに等しい場合には、感光体の現像時において、その感光体の表面電位がカラー画像形成時よりも高くなり、得られる黒画像の濃度が薄くなる場合がある。このため、カラー画像中の黒トナー像と、黒画像中の黒トナー像とで濃度差が大きくなってしまう。
【0023】
そこで、本実施形態の画像形成装置20においては、電子写真感光体1Kの電位減衰速度が、他の電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度よりも大きくされている。ここで、「感光体の電位減衰速度」とは、既に述べたように、10℃において、感光体の表面電位をその感光体の帯電極性に合わせ絶対値400Vに帯電し、半減露光量の2倍以上の露光量にてフラッシュ露光を行ってから、感光体の表面電位が絶対値200Vまで減衰するときの表面電位の平均減衰速度〔V/s〕を言う。
【0024】
このようにすることによって、電子写真感光体1Kにおいて露光後の表面電位を短時間で十分に減衰させることができ、黒画像形成時の画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kにおけるプロセス速度を、カラー画像形成時のプロセス速度より大きくしても、黒画像の濃度の低下を十分に防止することが可能となり、黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分小さく抑えることができる。
【0025】
この濃度差は、電子写真感光体1Kと電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度が等しいと、低温下(10℃以下)において顕著に現れるが、画像形成装置20によれば、電子写真感光体1Kの電位減衰速度が電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度より大きくなっているため、低温下においてもその濃度差を十分に小さく抑えることが可能となる。なお、この濃度差を十分に小さくするためには、電子写真感光体1Kのみならず電子写真感光体1Y,1M,1Cについても電位減衰速度を大きくすればよいとも考えられるが、この場合、コストアップや他の障害(例えば放電生成物による像流れ、感光層の摩耗率の増加、感光体寿命の低下など)が伴うこととなる。
【0026】
電子写真感光体1Kの電位減衰速度と電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度は、下記式を満足することが好ましい。
【0027】
A/B≧1.5
上記式中、Aは電子写真感光体1Kの電位減衰速度、Bは電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度を表すものである。このようにすることで、黒画像形成時の画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kプロセス速度を、カラー画像形成時のプロセス速度より大きくしても、特に低温下(10℃以下)において黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分小さく抑えることができる。A/Bの下限は、より好ましくは2であり、さらに好ましくは3である。一方、A/Bの上限は、1000である。
【0028】
電子写真感光体1K、1Y,1M,1Cは、導電性支持体上に少なくとも感光層を有している。感光層は、単層構造であってもよいし、電荷発生層と電荷輸送層とに機能分離された積層構造であってもよい。後者の場合、電気的特性(感度、繰り返し安定性)の点で有利である。感光層が上記積層構造である場合、電荷発生層及び電荷輸送層の導電性支持体上への積層順序には特に制限はなく、いずれの層が上層であってもよいが、感度、繰り返し安定性、環境安定性の点からは、電荷輸送層を上層とすることが好ましい。
【0029】
電子写真感光体1Kの電位減衰速度を感光体1Y,1M,1Cより大きくするためには、例えば電子写真感光体1Kの感光層の層厚を、電子写真感光体1Y,1M,1Cの感光層の層厚よりも薄くすればよい。電子写真感光体1Y,1M,1Cに対して感光体1Kの感光層の膜厚は薄ければ薄いほど良く、その比率は好ましくは0.8倍以下であり、より好ましくは0.65倍以下、さらに好ましくは0.5倍以下である。比率が0.8倍を超えると、その効果が充分ではない。
【0030】
また電子写真感光体1Kの電位減衰速度を感光体1Y,1M,1Cより大きくためには、電子写真感光体1Kについて、電子写真感光体1Y,1M,1Cより電荷輸送層中の電荷輸送材料の含有率を多くすることが挙げられる。電子写真感光体1Y,1M,1Cに対して、電子写真感光体1Kの電荷輸送層中の電荷輸送材料の含有率が多ければ多いほど良いが、電荷輸送材料の含有率の比率は、1.1以上が好ましく、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.3以上である。1.1未満では、その効果が充分ではない。また含有率の比率は、通常は3以下であり、好ましくは2以下である。
【0031】
また電子写真感光体1Kの電位減衰速度を感光体1Y,1M,1Cより大きくするためには、電子写真感光体1Kについて、感光層上に表面保護層を設けることが挙げられる。電子写真感光体1Kが表面保護層を有すると、電荷輸送速度と磨耗や傷、放電生成物耐性などの表面に要求される特性とを機能分離設計できることから、感光体1Kの高性能化、低コスト化には有利である。この場合は、電子写真感光体1Y,1M,1Cは表面保護層を有していないことが好ましい。
【0032】
さらに電子写真感光体1Kの電位減衰速度を感光体1Y,1M,1Cより大きくするためには、電子写真感光体1Kについて電荷輸送層の電荷輸送性材料として電荷輸送性高分子を含有させることが挙げられる。この場合は、電子写真感光体1Y,1M,1Cは電荷輸送性材料として電荷輸送性高分子を含有していないことが好ましい。電子写真感光体1Kにおいては、電荷輸送性高分子の含有率は多い方が好ましく、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは100%である。ただし、この含有率は、電荷輸送層中に含まれる絶縁性材料を除いた部分における含有率である。
【0033】
次に、前述した画像形成ユニットを構成する帯電器3Y,3M,3C,3K、中間転写体8の構成について詳細に説明する。
【0034】
帯電器3Y,3M,3C,3Kとしては、公知のコロトロン、スコロトロンによる非接触方式の帯電器や、帯電ロール、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電チューブ等による接触帯電方式の帯電器を採用することができる。
【0035】
接触帯電方式は、感光体の表面に接触させた導電性部材に電圧を印加することにより感光体の表面を帯電させるものである。導電性部材の形状はブラシ状、ブレード状、ピン電極状、あるいはローラ状等何れでもよいが、特にローラ状が好ましい。通常、ローラ状の導電性部材は、外側から順次、抵抗層、これを支持する弾性層及び芯材から構成される。さらに導電性部材は、必要に応じて抵抗層の外側に保護層を有してもよい。
【0036】
芯材の材質は導電性を有するものであればよく、このような材質としては、一般には鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また導電性粒子等が分散された樹脂成形品等を用いることもできる。
【0037】
弾性層の材質は、導電性あるいは半導電性を有するものであり、このような材質としては、一般にゴム材に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが用いられる。ゴム材としては、EPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等が用いられる。導電性粒子あるいは半導電性粒子としてはカーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb2O3、In2O3、ZnO、MgO等の金属酸化物を用いることができ、これらの材料は単独で、あるいは2種以上混合して用いても良い。
【0038】
抵抗層および保護層の材質としては、結着樹脂に導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散してその抵抗率を制御したものが挙げられ、抵抗率は、103〜1014Ωcm、好ましくは105〜1012Ωcm、さらに好ましくは107〜1012Ωcmがよい。
【0039】
上記結着樹脂としてはアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PET等のポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂等が用いられる。
【0040】
上記導電性粒子あるいは半導電性粒子としては弾性層と同様のカーボンブラック、金属、金属酸化物が用いられる。また必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。
【0041】
また抵抗層又は保護層のそれぞれの膜厚は、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、さらに好ましくは0.5〜10μmがよい。
【0042】
上記抵抗層又は保護層を形成する方法としては、例えばブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0043】
ローラ状の導電性部材は、感光体に接触させることにより特に駆動手段を有しなくとも感光体と同じ周速度で回転し、帯電器として機能する。しかし、ローラ状導電性部材に何らかの駆動手段を取り付けることによって、感光体とは異なる周速度で回転させ、帯電させても良い。
【0044】
これらの導電性部材を用いて感光体を帯電させる方法としては、導電性部材に電圧を印加する方法があるが、印加電圧は直流電圧、あるいは直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vが好ましく、特に100〜1500Vが好ましい。交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400〜1800V、好ましくは800〜1600V、さらに好ましくは1200〜1600Vが好ましい。交流電圧の周波数は50〜20,000Hz、好ましくは100〜5,000Hzである。
【0045】
中間転写体8としては、公知の導電性熱可塑性樹脂を用いることができる。このような導電性熱可塑性樹脂としては、例えば導電剤含有のポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンテレフタレート(PAT)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等の導電性熱可塑性樹脂などが挙げられる。これらの中でも、機械強度に優れる点で、導電剤を分散させたポリイミド樹脂を用いるのが好ましい。
【0046】
上記導電剤としては、例えばカーボンブラック、金属酸化物、ポリアニリン等の導電性ポリマーを用いることができる。
【0047】
中間転写体8をベルトとして構成する場合、その厚さは、一般には50〜500μmが好ましく、60〜150μmがより好ましいが、材料の硬度に応じて適宜選択することができる。
【0048】
導電剤を分散させたポリイミド樹脂ベルトは、特開昭63−311263号公報に記載されているように、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の溶液中に導電剤として5〜20重量%のカーボンブラックを分散させ、分散液を金属ドラム上に流延して乾燥した後、ドラムから剥離したフィルムを高温下に延伸してポリイミドフィルムを形成し、更に適当な大きさに切り出してエンドレスベルトとすることにより製造される。
【0049】
上記ポリイミドフィルムの形成は、一般には、導電剤を分散したポリアミド酸溶液の成膜用原液を円筒金型に注入して、例えば100〜200℃に加熱しつつ500〜2000rpmの回転数で円筒金型を回転させながら、遠心成形法によりフィルム状に成膜し、次いで、得られたフィルムを半硬化した状態で脱型して鉄芯に被せ、300℃以上の高温でポリイミド化反応(ポリアミド酸の閉環反応)を進行させて本硬化させることにより行う。またポリイミドフィルムの形成方法としては、成膜原液を金属シート上に均一な厚さに流延して、上記と同様に100〜200℃に加熱して溶媒の大半を除去し、その後300℃以上の高温に段階的に昇温してポリイミドフィルムを形成する方法もある。
【0050】
また中間転写体8は表面層を有していても良い。このような表面層としては、例えばシリコン系ゴム、フッ素系ゴム、ポリウレタン系ゴム等を用いることができる。
【0051】
次に、前述した電子写真感光体1K,1Y,1M,1Cを構成する感光層、下引層、表面保護層及び導電性支持体について詳細に説明する。
【0052】
電子写真感光体は感光層を有するが、この感光層が単層構造である場合には、例えば電荷発生材料、電荷輸送材料又はそれらの両者を含有する結着樹脂の塗膜により形成される。感光層が積層構造である場合には、電荷発生層は、例えば電荷発生材料を含有する結着樹脂の塗膜により形成され、電荷輸送層は、例えば電荷輸送材料を含有する結着樹脂の塗膜により形成される。以下、積層構造の感光層について詳細に説明するが、該積層構造の感光層において用いた結着樹脂等の素材は、前記単層構造の感光層において使用することもできる。
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生材料を真空蒸着により形成するか、有機溶剤及び結着樹脂とともに分散し塗布すること(分散塗布)により形成される。
【0053】
分散塗布により電荷発生層を形成する場合、電荷発生材料を有機溶剤及び結着樹脂、添加剤等とともに分散し、得られた分散液を塗布することにより電荷発生層が形成される。
【0054】
電荷発生材料としては、公知の電荷発生物質なら如何なるものでも使用できる。赤外光用電荷発生材料としては、例えばフタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレーン、ジチオケトピロロピロールが用いられ、可視光用電荷発生材料としては、例えば縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレーン、トリゴナルセレン、色素増感した金属酸化物微粒子等が用いられる。これらの中で、特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生材料として、フタロシアニン系顔料が用いられる。これを用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体が得られる。またフタロシアニン顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった感度が得られる結晶型であるならば、いずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生材料としては、例えばクロロガリウムフタロシアニン、ジクロロススフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
【0055】
上記フタロシアニン系顔料の結晶は、公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラミル、サンドミル、ニーダ等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、更に溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダ等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、更にはこれら数種の溶剤の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系が挙げられる。使用される溶剤は、顔料結晶に対して、1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲で用いる。処理温度は、−20℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは−10〜60℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍用いればよい。また、公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは95〜100%のものが使用され、溶解温度は、−20〜100℃好ましくは−10〜60℃の範囲に設定される。濃硫酸の量は、フタロシアニン顔料結晶の重量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍の範囲に設定される。顔料を析出させるための溶剤としては、水、あるいは水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられる。顔料を析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
【0056】
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独であるいは2種以上混合して用いることができる。これらの中で特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる。
【0057】
また電荷発生材料と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。
【0058】
塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意に選択することができる。例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。
【0059】
これら溶剤は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かすことができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
【0060】
結着樹脂中に電荷発生材料を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。さらに電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0061】
さらに電荷発生材料の分散に際しては、高感度・高安定性の点からは、電荷発生材料の粒子径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
【0062】
さらに電荷発生材料に対しては、電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0063】
さらにこの電荷発生層用塗布液には、電気特性向上、画質向上などのために種々の添加剤を添加することもできる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
【0064】
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
(電荷輸送層)
前記電荷輸送層は、少なくとも電荷輸送材料と結着樹脂とを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
【0065】
上記電荷輸送材料としては、例えば2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4,−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバーゾール等のカルバーゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバーゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、ジフェノキノン化合物等の電子輸送物質、又は以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
上記結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。
【0067】
結着樹脂に対する電荷輸送材料の配合の比が小さすぎると、電荷輸送能力が不十分となるため、残留電位が大きくなることがある一方、電荷輸送材料の配合比が大きくなりすぎると、電荷輸送材料が析出したり、感光層の機械的強度が不十分となることがある。従って、上記電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合の比(電荷輸送材料:結着樹脂)は、10:1〜1:5であることが好ましい。
【0068】
電荷輸送性高分子化合物を含む電荷輸送層としては、ポリビニカルバゾール等の電荷輸送能を有する基を側鎖に含む高分子化合物、特開平5−232727号公報等に開示されているような電荷輸送能を有する基を主鎖に含む高分子化合物、およびポリシラン等をあげることができる。また、電荷輸送性高分子化合物として、電荷輸送性ブロックと絶縁性ブロックよりなるブロック共重合体またはグラフト共重合体を使用することもできる。電荷輸送性高分子化合物が、トリアリールアミン構造を繰り返し単位として含有する場合は、高い電荷輸送能と好ましい機械的特性を有しているので好ましく、また、トリアリールアミン構造が側鎖として主鎖にペンダントされているのではなく、主鎖中に含有されていることがより好ましい。トリアリールアミン構造がペンダントされていると、ペンダント同士が会合し、電荷トラップを形成し電荷輸送性を悪化する場合が多いが、主鎖中に含有されていることでこのような問題を回避できる。さらに、トリアリールアミン構造が下記一般式1または一般式2で表される構造の少なくとも1種を繰り返し単位として含有すると特に好ましい。
【0069】
【化1】
【0070】
(上記式中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基を示し、X1は芳香族環構造を有する2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を示し、X2及びX3はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリーレン基を示し、L1は枝分れもしくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を示し、m及びnは、それぞれ0または1から選ばれる整数を意味する。)
【0071】
【化2】
【0072】
(上記式中、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基を示し、L2は芳香族環構造を有する3価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基を示す。)
上記一般式1中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基から選ばれ、該アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。また、置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0073】
X1は芳香族環構造を有する2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれる。具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、メチレンジフェニル基、シクロヘキシリデンジフェニル基、オキシジフェニル基、チオジフェニル基等、又はこれらのメチル置換体、エチル置換体、メトキシ置換体、若しくはハロゲン置換体等が挙げられ、これらの中でも、電荷輸送性の点からは、特に置換もしくは未置換のビフェニレン基が好ましい。
【0074】
X2及びX3はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリーレン基から選ばれ、具体的には、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基等、又はこれらのメチル置換体、エチル置換体、メトキシ置換体若しくはハロゲン置換体等が挙げられる。
【0075】
L1は、枝分れもしくは環構造を含んでもよい2価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、上記の好ましい特性の少なくとも1つを発揮するかぎり任意であるが、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、シロキサン結合等から選ばれる結合基を含み、且つ炭素数が20以下であるものが好ましい。その具体例としては、以下の(L1−1)〜(L1−8)が挙げられる。
【0076】
【化3】
【0077】
上記一般式2中、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基から選ばれる。該アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられる。また置換基としては、炭素数1〜12個のアルキル基またはアルコキシ基、ジアリールアミノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。L2は芳香族環構造を有する3価の炭化水素基またはヘテロ原子含有炭化水素基から選ばれ、上記の好ましい特性の少なくとも1つを発揮するかぎり任意であるが、炭素数が20以下のものが好ましい。その具体例としては、以下の(L2−1)〜(L2−5)が挙げられる。
【0078】
【化4】
【0079】
また上記一般式1中のL1、または一般式2中のL2がエステル結合を有する場合は、機械的特性に優れ、電荷輸送能に優れるため、特に好ましい。
【0080】
上記電荷輸送層は、例えば上記導電性支持体上に、上記電荷輸送材料と上記結着樹脂とを適当な溶媒中に配合させた塗布液を塗布した後、乾燥して形成される。
【0081】
上記溶媒は、特に制限されず、このような溶媒としては、公知の有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、クロロホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族類等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0082】
また、電荷輸送層は、シリカやPTFEのような微粒子を含有してもよい。更に塗布液には、平滑性向上のためのレベリング剤として、シリコーンオイル等を微量添加することもできる。これらの溶媒は、上記電荷発生層や後述する下引層及び保護層の塗布液にも用いることができる。
【0083】
上記塗布液の塗布方法は、特に制限されず、感光体の形状や用途に応じて、公知の塗布方法から適宜選択することができる。例えば浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布方法が挙げられる。
【0084】
上記塗布液の乾燥方法としては、室温で指触乾燥した後、加熱乾燥する方法が好ましく用いられる。該加熱乾燥の温度としては、30〜200℃が好ましく、また該乾燥の時間としては、5分〜2時間が好ましい。
【0085】
上記電荷輸送層の厚さとしては、一般には、5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。電荷輸送層の厚さが、5μm未満の場合には、リークが起こりやすく、使用時に層の厚さが減少することにより、感光体の寿命が短くなることがある一方、50μmを超える場合には、残留電位が増加し、また電荷輸送層の厚さが不均一となることがある。
【0086】
上記電荷輸送層は、電荷輸送材料と結着樹脂とを含有するが、更に必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、上記電荷発生層の説明において述べた、結着樹脂以外のその他の成分と同様の成分が好適に用いられる。
(下引層1)
上記下引層としては、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物や、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、マンガン又はシリコーン化合物等の有機金属化合物等が挙げられる。これらのうち、シリコーン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、及び有機アルミニウム化合物が好適に挙げられる。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、複数化合物の重縮合物として用いてもよい。更に、これらの化合物の中でも、ジルコニウム又はシリコーンを含有する有機金属化合物を用いた場合には、残留電位を低下させることができるため、環境による電位変化が少なく、繰り返し使用による電位の変化が少ない等、優れた性能を得ることができる。
【0087】
感光体1Kの電気特性の向上や光散乱性の向上等を目的とする場合には、上記下引層中に各種の有機又は無機微粉末を含有させることができる。有機又は無機微粉末としては、特に制限はなく、公知の有機又は無機微粉末から適宜選択して用いることができるが、特に、前記無機微粉末の中では、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料が好ましい。また上記有機微粉末の中では、テフロン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が好ましい。前記有機又は無機微粉末の粒径としては、0.01〜2μmが好ましい。前記無機微粉末の添加量としては、前記下引層の固形分に対して、重量比で10〜80重量%が好ましく、30〜70重量%がより好ましい。
【0088】
前記有機又は無機微粉末を、前記下引層中に分散・含有させるには、前記有機又は無機微粉末を、前記樹脂成分等が溶解された溶液中に添加した後、分散処理して行う。前記分散処理は、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いて行う。
【0089】
前記下引層の厚さとしては、0.1〜10μmが好ましい。前記厚さが0.1μm以下の場合には、前記導電性支持体の隠蔽が不十分となるため、黒点や白点が発生することがある一方、10μmを超える場合には、残留電位が増加することがある。
(下引層2)
また下引層として、結着樹脂中に金属酸化物、カーボンブラックなどの導電性粒子や半導電性粒子を分散した膜も挙げられる。結着樹脂としてはポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などを用いることができる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂など硬化性樹脂が好ましく用いられる。また、金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化すず、酸化タングステン、酸化鉄などが挙げられる。導電性粒子や半導電性粒子は加水分解性有機金属化合物により表面処理を行っても良い。加水分解性有機金属化合物としては例えばジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
【0090】
また下引層は、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を含んでも良い。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾ−ルなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。さらに添加剤として酸化防止剤を含有させることができる。酸化防止剤の具体的な化合物例として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネートなどの有機イオウ系酸化防止剤、トリスノニルフェニルフォスフィートなどの有機燐系酸化防止剤などの公知の酸化防止剤などが挙げられる。
【0091】
金属酸化物微粒子を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。さらにこの下引層形成用の塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
【0092】
また下引層の表面粗さはモアレ像防止のために、使用される露光用レーザ波長λの1/4n(nは上層の屈折率)〜1/2λに調整される。表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子を添加することもできる。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。
【0093】
また下引層は、ビッカース強度が35以上とされていることが好ましい。さらに下引層の厚さは、好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。また下引層の厚さは50μm以下が好ましい。
【0094】
さらに下引層と感光層との間に、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために中間層を設けてもよい。中間層はポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコーン原子などを含有する有機金属化合物などがある。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
【0095】
中でも、ジルコニウムもしくはもしくはシリコーンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
【0096】
中間層は、上層の塗布性改善の他に、電気的なブロキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、中間層を形成する場合には、0.1〜3μmの膜厚範囲に設定することが好ましい。
(表面保護層)
また電子写真感光体1Kにおいては、必要に応じて感光層上に表面保護層を設けることもできる。表面保護層は、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する為に用いられる。表面保護層は、硬化性樹脂、電荷輸送性化合物を含むシロキサン樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜などから成る。
【0097】
硬化性樹脂としては公知の樹脂であれば何でも使用できるが、例えばフェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン樹脂等が挙げられる。
【0098】
電荷輸送性化合物を含むシロキサン樹脂硬化膜の場合、電荷輸送性化合物として公知の材料であればいかなるものでも使用可能であるが、例えば特開平10−95787号公報、特開平10−251277号公報、特開平11−32716号公報、特開平11−38656号公報、特開平11−236391号公報に示された化合物等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0099】
表面保護層が導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜である場合、導電性材料としては、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アンチモンとの固溶体の担体またはこれらの混合物、あるいは単一粒子中にこれらの金属酸化物微粒子を混合したもの、あるいは被覆したものがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
表面保護層に用いる結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が用いられ、これらは必要に応じて架橋して使用することもできる。
【0101】
表面保護層には酸化防止剤を含有させることができる。酸化防止剤の具体的な化合物例として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネートなどの有機イオウ系酸化防止剤、トリスノニルフェニルフォスフィートなどの有機燐系酸化防止剤などの公知の酸化防止剤などが挙げられる。さらに、表面保護層にはシリカやPTFEのような微粒子を含有させることもできる。表面保護層の厚さは1〜20μm、好ましくは1〜10μmが適当である。さらにこの表面保護層を形成する時の保護層用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、できるだけ下層を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
(導電性支持体)
導電性支持体としては、一般に電子写真感光体の導電性支持体として用いられているものであれば特に制限はなく、公知の支持体、例えばアルミニウム、銅、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属類で構成される支持体、蒸着によりアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム、酸化インジウム、酸化錫等の薄膜を設けた紙、プラスチック又はガラス、金属箔をラミネートした支持体、カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉・金属粉・沃化銅等を結着樹脂に分散した塗布液を塗布して導電処理した支持体等の各種の支持体が好適に挙げられる。
【0102】
導電性支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドラム状、シート状、プレート状、パイプ状等が挙げられる。
【0103】
導電性支持体には、必要に応じて、鏡面切削、エッチング処理、陽極酸化処理処理、粗切削処理、センタレス研削処理、サンドブラスト処理、ウエットホーニング処理等の各種の表面処理等を行うことができる。この表面処理によって、支持体表面を粗面化することによりレーザービームのような可干渉光源を用いた場合に発生し得る感光体内での干渉光による木目状の濃度斑を防止することができる。上記表面処理は、導電性支持体として金属製のパイプ基材が用いられる場合に、特に有効である。
(画像形成方法)
次に、前述した画像形成装置20を用いた画像形成方法について説明する。
【0104】
まずROS7に入力画像信号が入力され、制御装置により、この入力画像信号に基づいて、形成されるべき画像が、黒画像かカラー画像かが判別される。そして、カラー画像と判別された場合には、画像形成ユニット15Y,15M,15Cにより中間転写体8にカラートナー像が形成され、画像形成ユニット15Kにより黒トナー像が形成される。例えば黄色のトナー像を中間転写体8に転写する場合には、画像形成ユニット15Yにおいて、感光体1Yを回転させる。これに伴い、帯電器3Yにより電圧が印加されて表面が帯電される。その後、ROS7からのレーザ光5Yにより像露光され潜像が形成され、続いて現像器2Yにより黄色トナーによる像形成が行われる。その後、一次転写ロール4Yにより中間転写体8に電界が印加され、黄色トナー像が中間転写体8上に転写される。
【0105】
中間転写体8上に転写されたカラートナー像及び黒トナー像は、中間転写体8の周回に伴い、ニ次転写ロール9まで運ばれ、二次転写ロール9によって印加される電界により、カラートナー像、黒トナー像が次々と用紙12に多重転写され、カラートナー像及び黒トナー像からなるカラー画像が形成される。このカラー画像は、定着器10により加熱されて定着され、排出される。ここで、カラー画像を形成する場合、感光体1Kが他の感光体1Y,1M,1Cより大きいことにより、特に低温時に黒画像のみ濃度が大きくなる懸念がある。しかし、カラー画像を形成する場合は、プロセス速度が遅いことからその濃度差は許容できるレベルである。
【0106】
一方、制御装置において、形成されるべき画像が黒画像であると判別された場合、制御装置により、画像形成ユニット15K,15Y,15M,15Cにおけるプロセス速度が、カラー画像形成時のプロセス速度より大きくなるように制御される。そして、画像形成ユニット15Kのみにおいて、感光体1Kが、帯電器3Kにより帯電され、ROS7からのレーザ光5Kにて像露光され潜像が形成され、現像器2Kにて黒トナーによる像形成が行われる。その後、一次転写ロール4Kにより中間転写体8に電界が印加され、これにより中間転写体8上に黒トナー像が転写される。その後、中間転写体8の周回に伴い、黒トナー像が二次転写ロール9まで運ばれる。そして、二次転写ロール9により用紙12に電界が印加され、中間転写体8から用紙12上へ黒トナー像が転写される。転写された黒トナー像は、定着器10により加熱されて定着され、黒画像として排出されることとなる。なお、画像形成ユニット15Kが作動している間は、画像形成ユニット15Y,15M,15Cにおいてカラートナー像の形成は行われない。
【0107】
上記のような黒画像の形成は、プロセス速度を、カラー画像形成時のプロセス速度の1.2倍以上にする。
【0108】
電子写真感光体1Kと電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度を等しくした場合、黒画像形成時に、画像形成ユニット15K及び画像形成ユニット15Y,15M,15Cにおけるプロセス速度を、カラー画像形成時のプロセス速度の1.2倍以上にすると、黒画像中の黒トナー像の濃度低下が顕著に現れるため本発明がより有効となる。
【0109】
黒画像形成時のプロセス速度は、好ましくは、カラー画像形成時のプロセス速度の1.5以上であり、より好ましくは2以上である。また黒画像形成時のプロセス速度は通常、カラー画像形成時のプロセス速度の5倍以下、好ましくは3倍以下である。
【0110】
またカラー画像形成時のプロセス速度より高速で黒画像を形成したときに感光体の露光後電位が高くなる問題は、露光から現像までの時間が短いほど顕著となるため本発明がより有効となる。そのため、高速で黒画像を形成した時における感光体の露光から現像までの時間は通常、200m秒以下であり、好ましくは100m秒以下、より好ましくは70m秒以下、さらに好ましくは50m秒以下である。
(第2実施形態)
次に本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置は、電子写真感光体1Kを加熱する加熱手段を備える点で第1実施形態の画像形成装置20と相違する。また本実施形態の画像形成装置は、電子写真感光体1Kの非加熱時において電子写真感光体1Y,1M,1C,1Kの電位減衰速度が互いに等しい点で第1実施形態の画像形成装置20と相違する。
【0111】
電位減衰速度は一般に温度依存性を有し温度が高いほど大きくなる。このため、この画像形成装置において、上記加熱手段により電子写真感光体1Kが加熱されると、電子写真感光体1Kの電位減衰速度のみ上昇させることが可能となり、電子写真感光体1Kの電位減衰速度を電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度より大きくすることが可能となる。このため、電子写真感光体1Kにおいて、表面電位が露光後に短時間で減衰し、現像時において表面電位を十分に低減することが可能となる。従って、黒画像形成時の画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kにおけるプロセス速度がカラー画像形成時のプロセス速度より大きくなっても、黒画像の濃度の低下を十分に防止することが可能となり、黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分小さく抑えることができる。この濃度差は、電子写真感光体1Kと電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度が等しいと、低温下(10℃以下)において顕著に現れるが、本実施形態の画像形成装置によれば、上記加熱手段により電子写真感光体1Kが加熱され、その電位減衰速度が電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度より大きくされるため、低温下においてもその濃度差を十分に小さく抑えることが可能となる。なお、この濃度差を十分に小さくするためには、電子写真感光体1Kのみならず電子写真感光体1Y,1M,1Cについても加熱して電位減衰速度を大きくすればよいとも考えられるが、この場合、コストアップや装置の大型化が伴うこととなる。
【0112】
上記加熱手段としては、公知の手段を挙げることができるが、例えば電気ヒータが挙げられる。電気ヒータは、電子写真感光体1Kの内部に設けることが好ましい。
【0113】
図2(a)は、加熱手段の一例としての電気ヒータを示す概略図、図2(b)は電子写真感光体1Kにフランジを取り付けた状態を示す図である。図2(a)に示すように、電気ヒータ30は、ヒータ線31と、このヒータ線31を埋め込むシート部材32とを備えており、シート部材32は、丸められた状態で感光体1Kの内部に挿入される。ヒータ線31がシート部材32に埋め込まれているため、ヒータ線31を、簡単に感光体1Kの内部に挿入することができる。更に、電子写真感光体1Kの一端にはフランジ33が嵌め込まれている。このフランジ33においては、感光体1Kの回転中心軸線37に対して2つの環状導電性部材33a,33bが同心状に埋め込まれている。電子写真感光体1Kの内側では、ヒータ線31の一端31aが導電性部材33aに接続され、ヒータ線31の他端31bが導電性部材33bに接続されるようになっている。一方、図2(b)に示すように、電子写真感光体1Kの外側では、導電性部材33aに端子35aが接触固定され、導電性部材33bに端子35bが接触固定されている。そして、端子35aと35bとの間に、電源34によって電圧が印加され、これによりヒータ線31に通電が行われるようになっている。
【0114】
ここで、図2(a)に示すように、ヒータ線31にはサーモスタット36が設けられることが好ましい。これにより、感光体1Kの温度が一定に保持され、感光体1Kの電位減衰速度を所望の値に確実に設定することができる。サーモスタット36としては、例えばリレーが用いられる。リレーは、所望の温度に達したときに電流がヒータ線31を流れなくなるようにするものであり、設定しようとする温度に応じて選択される。
(画像形成方法)
次に、本実施形態の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。
【0115】
本実施形態の画像形成方法は、黒画像形成時に、電気ヒータ30により電子写真感光体1Kを加熱する点で、上記画像形成装置20を用いた画像形成方法と相違する。すなわち黒画像形成時の画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kにおけるプロセス速度を、カラー画像形成時のプロセス速度の1.2倍以上にする点、黒画像形成時における感光体1Kの露光から現像までの時間を200m秒以下とする点については、第1実施形態と同様である。
【0116】
感光体1Kの加熱は次のようにして行う。すなわち電源34により端子35a,35b間に電圧を印加し、環状導電性部材33a,33bを介してヒータ線31に通電を行う。これにより、ヒータ線31が発熱して感光体1Kが加熱されることになる。ここで、ヒータ線31にはリレーが設置されているため、ヒータ線31が所望の温度に達した場合には、ヒータ線31に電流が流れなくなり、感光体1Kの加熱が一時的に中断される。こうしてヒータ線31が一定温度に保持される。このとき、この温度は、感光体1Kの電位減衰速度が電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度より大きくなるように選定される。一方、上記温度は、低い方が消費エネルギーを節減できるので、電位減衰速度が確保できる範囲内で低い方がよい。このため、電子写真感光体1Kの温度は、10℃〜50℃の範囲に制御することが好ましく、より好ましくは10℃〜40℃、さらに好ましくは15℃〜25℃の範囲である。
【0117】
本発明は、上記第1及び第2実施形態に限定されない。例えば、第2実施形態の画像形成装置について、電子写真感光体1Kの非加熱時において電子写真感光体1Y,1M,1C,1Kの電位減衰速度が互いに等しいとしたが、必ずしもそのようにする必要は無い。すなわち電子写真感光体1Kの非加熱時において、電子写真感光体1Kの電位減衰速度が他の電子写真感光体1Y,1M,1Cの電位減衰速度より大きくてもよい。
【0118】
また本発明の画像形成装置においては、感光体1Kの表面における露光から現像までの距離を、感光体1Y,1M,1Cの表面における露光から現像までの距離より長くしてもよい。これにより、黒画像形成時の画像形成ユニット15Y,15M,15C,15Kにおけるプロセス速度を、カラー画像形成時のプロセス速度より大きくしても、露光後の表面電位を十分に低下させることができ、低温下(10℃以下)においても黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分小さく抑えることができる。電子写真感光体1Kの表面における露光から現像までの距離を長くするためには、感光体1Kの表面における露光と現像の相対角度を広げればよい。また、感光体1Kの表面における露光と現像の相対角度を変えずに、感光体1Kについてのみその径を大きくしてもよい。また両者を組み合わせても良い。
【0119】
ここで、電子写真感光体1Kにおける電位減衰速度が、電子写真感光体1Y,1M,1Cにおける電位減衰速度より大きいことが好ましい。この場合、感光体1Kにおいて露光から現像までの距離が他の感光体に比べ長いことと、電位減衰速度が他の感光体に比べて長いこととの相乗効果により、高速での黒画像形成時における感光体1Kの露光後電位を現像時までに十分に低下させることができる。
【0120】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
(実施例1)
[黒トナー像形成用の感光体の作製]
長さ404mm、内径φ28mm、外径φ30mmの円筒状のアルミ切削管の表面をホーニング処理により粗面化し、界面活性剤及び純水により洗浄を行い、その水を除去するため135℃で5分間の乾燥を行った。その後、24℃の冷却エアーを10m/secで5分間吹き付け、導電性支持体を作製した。
【0121】
次に、ジルコニウムアルコキシド化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)20重量部およびγーアミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:A1100、日本ユニカー社製)2重量部とポリビニルブチラール樹脂(エスレック BM−S、積水化学(株)製)1.5重量部とn−ブタノール70重量を混合撹拌し、これを下引層形成用の塗布液とした。この塗布液を上記導電性支持体上に塗布し、室温で5分間の風乾を行った後、10分間で50℃に昇温した後、50℃、85%RHの恒温恒湿槽中に入れて20分間加湿硬化促進処理を行い、次いで150℃で10分間熱風乾燥機中で乾燥させて、層厚1μmの下引層を形成した。
【0122】
次に、電荷発生材料としてのクロロガリウムフタロシアニン15重量部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー製)10重量部及びn−ブチルアルコール300重量部からなる混合物を、サンドミルを用いて4時間混合し、分散させた。この液を上記下引層上に浸漬塗布した後、乾燥して層厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0123】
次に、電荷輸送材料としてのN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部と、結着樹脂としてのビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量2万)6重量部を、クロルベンゼン80重量部に加えて溶解した。この溶液を、浸漬塗布装置を用いて、上記電荷発生層上に塗布し、110℃、40分間の乾燥処理を行って、層厚20μmの電荷輸送層を形成した。こうして導電性支持体上に下引層、電荷発生層及び電荷輸送層の3層からなる感光層を有する感光体を作製した。
[カラートナー像形成用感光体の作製]
電荷輸送層の膜厚を30μmとした以外は、上記黒トナー像形成用の感光体と同様にして、カラートナー像形成用感光体を3つ作製した。
<電位減衰速度の計測>
まず10℃の温度下において、スコロトロンを用いて感光体の表面を−400Vに帯電し、波長780nmの露光にて200m秒後の半減露光量の約10倍の露光量にてフラッシュ露光を行い、露光後、感光体の表面電位が−200Vに減衰するまでの時間(以下、「電位半減時間」という)を測定した。このとき、感光体の表面電位は、電位計(Trek社製 Model 344)により測定した。次に、こうして測定された電位半減時間から、以下のようにして感光体の電位減衰速度を算出した。感光体の電位減衰速度=200〔V〕/電位半減時間〔ms〕その結果、黒トナー像形成用の感光体の10℃における電位減衰速度は25V/msであり、カラートナー像形成用感光体の10℃における電位減衰速度は13.3V/msであった。
[画像形成装置の作製]
次に、上記4つの感光体を用いて、画像形成装置として、図1に示すタンデム型のデジタルカラープリンタを作製した。ここで、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニットの各要素の感光体に対する配置は全て同様とし、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニットの感光体の外周面において露光から現像までの距離は14.6mmとした。
<画像評価方法と結果>
上記画像形成装置を用いて、20℃の環境下にて、黒トナーのみよりなる画像濃度10%、30%、50%、100%の階調パッチを含むカラー画像をプリントした。次に、高速モードにて黒トナーのみの画像濃度10%、30%、50%、100%の階調パッチの黒画像をプリントした。こうして、上記カラー画像中の黒トナーのみよりなる階調パッチの画像濃度と濃度が等しくなるように高速モードの露光量を決定した。
【0124】
ここで、カラー画像をプリントする場合には、感光体の表面の線速度(プロセス速度)を104mm/秒で駆動した。感光体の露光から現像までの時間は141m秒とした。また帯電ロールへの印加電圧は、直流電圧(−760V)に交流電圧(819Hz、1.2mA)を重畳させた。
【0125】
また黒画像をプリントする場合には、感光体の表面の線速度(プロセス速度)を194mm/秒とし、カラー画像を出力する場合の感光体の表面の線速度104mm/秒よりも高速で駆動した。感光体の露光から現像までの時間は75m秒とした。また帯電ロールへの印加電圧は、直流電圧(−760V)に交流電圧(1145Hz、1.45mA)を重畳させた。
【0126】
次に、10℃の環境下において、上記と同様にして、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。濃度の測定はX−Rite社製 X−Rite404を使用した。
【0127】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチの濃度は、0.10低かったものの、その低下量は十分に小さかった。
(比較例1)
黒トナー像形成用の感光体を、実施例1のカラートナー像形成用感光体と同じ構成にした以外は、実施例1と同様にして画像形成装置を作製した。
【0128】
この画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして、20℃の環境下における高速モードの露光量を決定した。そして、実施例1と同様にして、10℃の環境下にて、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。
【0129】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチの濃度は、0.2程度低下し、その低下量は、実施例1の場合よりもかなり大きくなることが分かった。
(実施例2)
黒トナー像形成用感光体において実施例1の電荷輸送層の電荷輸送材料及び結着樹脂の重量比率を4/6から4.5/5.5に変更すると共に、黒トナー像形成用感光体における電荷輸送層の層厚を30μmに増加させた以外は実施例1と同様にして画像形成装置を作製した。上記黒トナー像形成用感光体の電位減衰速度は20V/msであった。
【0130】
そして、この画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして、20℃の環境下における高速モードの露光量を決定した。そして、実施例1と同様にして、10℃の環境下にて、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。
【0131】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチの濃度は、0.12低かったものの、その低下量は十分に小さかった。
(実施例3)
黒トナー像形成用感光体を下記のように形成した以外は実施例1と同様にして画像形成装置を作製した。
【0132】
すなわちまず、電荷輸送層における電荷輸送材料及び結着樹脂の重量比率を4/6から4.5/5.5に変更した以外は実施例1の黒トナー像形成用感光体と同様にベース感光体を作製した。
【0133】
次に、下記構造式(1)、(2)で表される化合物それぞれ2部を、イソプロピルアルコール5部、テトラヒドロフラン3部及び蒸留水0.3部からなる混合液に溶解させ、イオン交換樹脂(アンバーリスト15E)0.05部を加え、室温で攪拌することにより24時間加水分解を行った。
【0134】
【化5】
【0135】
次に、加水分解したものからイオン交換樹脂を濾過分離して得られる液体2部に対し、アルミニウムトリスアセチルアセトナートを0.04部加え、コーティング液とした。このコーティング液を上記ベース感光体上に浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、120℃で1時間加熱処理して硬化し、膜厚約3μmの表面保護層を形成して黒トナー像形成用感光体を作製した。この黒トナー像形成用感光体について、実施例1と同様にして電位減衰速度を算出したところ、その電位減衰速度は66.6V/msであった。
【0136】
上記画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして、20℃の環境下における高速モードの露光量を決定した。そして、実施例1と同様にして、10℃の環境下にて、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。
【0137】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとで、濃度は同等であった。
(実施例4)
黒トナー像形成用の感光体の電荷輸送層を、下記のように電荷輸送性高分子材料を用いて形成した以外は実施例1と同様にして画像形成装置を作製した。
【0138】
すなわち下記構造式(3)で示される繰返し単位よりなる分子量8万の高分子電荷輸送材料20重量部をモノクロロベンゼン80重量部に溶解して塗布液を形成し、この塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、135℃において1時間加熱乾燥させて、膜厚30μmの電荷輸送層を形成した。
【0139】
【化6】
【0140】
この電荷輸送層を有する黒トナー像形成用感光体について、実施例1と同様にして電位減衰速度を算出したところ、その電位減衰速度は100V/msであった。
【0141】
上記画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして、20℃の環境下における高速モードの露光量を決定した。そして、実施例1と同様にして、10℃の環境下にて、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。
【0142】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとで、濃度は同等であった。
(実施例5)
黒(K)の画像形成ユニットの感光体への露光の入射位置を変更し、感光体の露光から現像までの距離を14.6mmから19mmへ変更した以外は比較例1と同様にして画像形成装置を作製した。
【0143】
上記画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして、20℃の環境下における高速モードの露光量を決定した。そして、実施例1と同様にして、10℃の環境下にて、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。
【0144】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチの濃度は、0.15だけ低かったものの、その低下量は比較例1の場合よりも十分に小さかった。
(実施例6)
黒(K)の画像形成ユニットの各要素(帯電器、露光部位、現像器、クリーニングブレード、一次転写器)の感光体に対する角度の関係を保ったまま、感光体の導電性支持体の外径を30mmから40mmへ変更した以外は実施例1と同様にして画像形成装置を作製した。
【0145】
上記画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして、20℃の環境下における高速モードの露光量を決定した。そして、実施例1と同様にして、10℃の環境下にて、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。
【0146】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチの濃度は、0.07だけ低かったものの、その低下量は比較例1の場合よりも十分に小さかった。
(比較例2)
黒トナー像形成用感光体を実施例1のカラートナー像形成用感光体と同じにした以外は、実施例6と同様にして画像形成装置を作製した。
【0147】
そして、上記画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして、そして、実施例1と同様にして、10℃の環境下にて、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。
【0148】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチの濃度差は、0.17と実施例1及び実施例6の場合より大きくなることが分かった。
【0149】
(実施例7)
黒トナー形成用感光体の内部に、リレーを有するヒータ線を内蔵したシート部材を丸めて挿入し、環状導電性部材を埋め込んだフランジを通して電流を流すように変更した以外は実施例1と同様にして画像形成装置を作製した。この際の感光体の温度は15℃に保たれるようにリレーを選定した。
【0150】
上記画像形成装置を用いて、実施例1と同様にして、20℃の環境下における高速モードの露光量を決定した。そして、実施例1と同様にして、10℃の環境下にて、高速モードにて黒トナーのみの階調パッチの黒画像をプリントし、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチとの濃度の比較を行った。
【0151】
その結果、20℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチに比較し、10℃の環境下における高速モードの黒トナーのみの階調パッチの濃度は同等であった。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、電子写真感光体において黒画像形成時のプロセス速度をカラー画像形成時より大きくしても、黒画像の濃度低下を十分に防止することが可能となり、黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分に小さく抑えることができ、このことは特に低温時において有効となる。また黒画像中の黒トナー像の濃度低下を十分小さく抑えるべく、複雑且つ高価な制御装置を必要としないため、画像形成装置のコストを十分に低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】
図2(a)は、本発明の画像形成装置の他の実施形態に用いる加熱手段の一例を示す概略図であり、(b)は電子写真感光体にフランジが取り付けられた状態を示す図である。
【符号の説明】
1K…電子写真感光体(第1電子写真感光体)、1Y,1M,1C…電子写真感光体(第2電子写真感光体)、15K…画像形成ユニット(第1画像形成ユニット)、15Y,15M,15C…画像形成ユニット(第2画像形成ユニット)、30…電気ヒータ(加熱手段)、31…ヒータ線(加熱手段)、32…シート部材(加熱手段)、33a,33b…導電性部材(加熱手段)、34…電源(加熱手段)、35a,35b…端子(加熱手段)。
Claims (6)
- 第1電子写真感光体を有し帯電、露光及び現像により黒トナー像を形成する第1画像形成ユニットと、第2電子写真感光体を有し帯電、露光及び現像によりカラートナー像を形成する複数の第2画像形成ユニットとを備えており、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにより前記黒トナー像のみからなる黒画像又は前記カラートナー像を含むカラー画像を形成すると共に、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにおいて前記黒画像を形成する時のプロセス速度を、前記カラー画像を形成する時のプロセス速度よりも高速にすることが可能である画像形成装置において、
前記第1電子写真感光体の電位減衰速度が、前記第2電子写真感光体の電位減衰速度より大きいことを特徴とする画像形成装置。 - 前記第1電子写真感光体の電位減衰速度と前記第2電子写真感光体の電位減衰速度が下記式:
A/B≧1.5
(上記式中、Aは前記第1電子写真感光体の電位減衰速度、Bは前記第2電子写真感光体の電位減衰速度を表す)
を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 請求項1又は2に記載の画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法において、
前記黒画像を形成する時に、前記第1画像形成ユニット及び前記第2画像形成ユニットにおけるプロセス速度を、前記カラー画像を形成する時のプロセス速度の1.2倍以上にすることを特徴とする画像形成方法。 - 第1電子写真感光体を有し帯電、露光及び現像により黒トナー像を形成する第1画像形成ユニットと、第2電子写真感光体を有し帯電、露光及び現像によりカラートナー像を形成する複数の第2画像形成ユニットとを備えており、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにより前記黒トナー像のみからなる黒画像、又は前記カラートナー像を含むカラー画像を形成すると共に、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにおいて前記黒画像を形成する時のプロセス速度を、前記カラー画像を形成する時のプロセス速度よりも高速にすることが可能である画像形成装置において、
前記第1電子写真感光を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項4に記載の画像形成装置を用いて画像を形成する画像形成方法において、
前記黒画像を形成する時に、前記加熱手段により前記第1電子写真感光体を加熱し、前記第1画像形成ユニット及び前記複数の第2画像形成ユニットにおけるプロセス速度を、前記カラー画像を形成する時のプロセス速度の1.2倍以上にすることを特徴とする画像形成方法。 - 前記黒画像を形成する時に、前記第1画像形成ユニット及び前記第2画像形成ユニットにおける露光から現像までの時間を200ms以下とすることを特徴とする請求項3又は5に記載の画像形成方法。
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