JP2004012370A - 真空紫外分光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】試料に入射する光の光強度の低下を防止し、また、反射率の測定時に試料の傾斜を不要として試料移動機構を小型化し、真空排気時間に短縮と共に測定時間を短縮し、また、試料面の法線方向の反射率測定を可能とする。
【解決手段】分光素子と、分光素子と試料位置の延長上に配置する第1の光検出器と、分光素子の分光角に連動して移動する第2の光検出器とを備えた構成とすることにより、分光素子の出口スリットの直後に試料及び試料光検出器を配置する構成とする。この構成により、出口スリットから出た光が発散する前に試料や試料光検出器に入射させることで発散光を集光させる集光ミラーが不要とし、ミラーによる光強度の減衰を防ぐ。
【選択図】 図1
【解決手段】分光素子と、分光素子と試料位置の延長上に配置する第1の光検出器と、分光素子の分光角に連動して移動する第2の光検出器とを備えた構成とすることにより、分光素子の出口スリットの直後に試料及び試料光検出器を配置する構成とする。この構成により、出口スリットから出た光が発散する前に試料や試料光検出器に入射させることで発散光を集光させる集光ミラーが不要とし、ミラーによる光強度の減衰を防ぐ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空紫外分光装置に関し、特に分光した光を用いて試料の透過率や反射率を求める装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
分光器により分光した光を試料に照射し、試料の透過光や反射光を検出することにより透過率や反射率を求める分光装置において、紫外領域の透過率や反射率を測定する真空紫外分光装置が知られている。
図7は従来の真空紫外分光装置の光学配置を説明するための概略図であり、図8,9はそれぞれ透過率測定及び反射率測定を説明するための概略図である。
【0003】
図7において、真空紫外分光装置1は、光源(図示していない)からの光を分光して得られる所定波長の光を出射する分光素子102と、試料Sを透過あるいは反射した光を検出する試料光検出器103と、バックグラウンド光の光強度及び光源強度の変化をモニタするためのリファレンス光検出器104と、これらを結んで光路を形成するための入口スリット105,出口スリット106,集光ミラー107(107a,107b),及び分岐ミラー109を備える。なお、出口スリット106の後方には、光を通過あるいは遮光するフィルター108が光路上に出し入れ自在に設けられる。また、集光ミラー107と試料検出器103との間には、試料Sが出し入れ自在、及び角度変更自在とするように配置される。なお、分光素子、スリット、及び駆動機構(図示していない)は分光器を構成する。
【0004】
図8は、従来の真空紫外分光装置1を用いた試料の透過率測定を示している。図8(a)は、光源から入射される光の光強度を測定する状態を示しており、フィルター108及び試料Sを光路上から外し、試料光検出器103、リファレンス光検出器104に入射する光(100%光)を検出する(検出強度をそれぞれIS100,IR100とする)。また、図8(b)は、試料を透過した光の光強度を測定する状態を示しており、フィルター108を光路上から外すと共に試料Sを光路上に配置し、試料Sを透過した光を試料光検出器103と同時にリファレンス光検出器104で検出する(検出強度をそれぞれIS,IRとする)。また、図8(c)は、バックグラウンド光の光強度を測定する状態を示しており、フィルター108を光路上に配置し、試料光検出器103、リファレンス光検出器104で検出する(検出強度をそれぞれIS0,IR0とする)。透過率は、上記各測定で得られた検出強度を用いて、例えば((IS−IS0)/(IR−IR0))/((IS100−IS0)/(IR100−IR0))の式により表すことができる。
【0005】
図9は、従来の真空紫外分光装置1を用いた試料の反射率測定を示している。図9(a)は、図8(a)と同様に、光源から入射される光の光強度を測定する状態を示し、試料光検出器103、リファレンス光検出器104に入射する光(100%光)を検出する(検出強度をそれぞれIS100,IR100とする)。また、図9(b)は、試料で反射した光の光強度を測定する状態を示しており、フィルター108を光路上から外し、試料Sを光路上に配置して所定角度回転させると共に、試料光検出器103を試料Sからの反射光を検出する角度位置となるように回転させ、試料Sで反射した光を試料光検出器103と同時にリファレンス光検出器104で検出する(検出強度をそれぞれIS,IRとする)。また、図9(c)は、図8(c)と同様に、バックグラウンド光の光強度を測定する状態を示している(検出強度をそれぞれIS0,IR0とする)。反射率は、上記各測定で得られた検出強度を用いて、例えば((IS−IS0)/(IR−IR0))/((IS100−IS0)/(IR100−IR0))の式により表すことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の真空紫外分光装置は、透過率測定と透過率測定とでは試料光検出器の位置を変更する構成としており、反射率測定では試料面で反射した反射光を検出するように試料光検出器を回転させている。そのため、分光器の出口スリットと、試料位置及び試料光検出器との間は、少なくとも試料光検出器が移動する分だけ距離を開ける必要がある。一般に、分光器の出口スリットから出た後の光は発散する。そのため、出口スリットと試料位置や試料光検出器との間の距離が長い場合には、発散により集光しなくなる。そこで、従来の真空紫外分光装置は、発散する光を試料面に集光させるために、分光器の出口スリットと試料位置との間に集光ミラーを配置している。
【0007】
通常、光はミラーで反射される際に光量が減衰する。特に、紫外領域等の波長が短い光はミラーによる光量減衰が大きくなるため、試料に入射する光の光強度が低下し測定精度を低下させる要因となるという問題がある。
【0008】
また、光源の光強度の時間変動を補正するために、出口スリットから出た後の光の一部を分岐ミラーで分岐し、この分岐した光をリファレンス光検出器に導いている。そのため、試料に入射する光の光強度が低下し、上記と同様に、測定精度を低下させる要因となるという問題がある。
【0009】
また、従来の真空紫外分光装置により反射率を測定する場合には、入射光に対して試料を傾斜させると共に、試料光検出器を反射光が入射する角度位置まで移動させる必要があるため、試料の傾斜や検出器の移動に時間がかかり、測定時間が長くなるという問題や、また、試料室の空間容積が大きくなるためため真空排気に要する時間が長くなるという問題、また、試料移動機構が大型化するという問題がある。また、このときの反射率測定は、試料面の法線に対して角度を有した反射光を測定しており、法線方向の反射率を求めることができないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、試料に入射する光の光強度の低下を防止することを目的とし、反射率の測定時に試料の傾斜を不要として、試料傾斜に要する時間や試料室内の真空排気時間を短くして測定時間を短縮すること、試料移動機構を小型化することを目的とし、また、試料面の法線方向の反射率測定を可能とすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分光素子の出口スリットの直後に試料位置及び試料光検出器を配置する構成とする。これにより、出口スリットから出た光が発散する前に試料や試料光検出器に入射させて、発散光を集光させる集光ミラーを不要とし、このミラーによる光強度の減衰を防ぐものである。
【0012】
本発明の真空紫外分光装置は、分光素子と、分光素子と試料位置の延長上に配置する第1の光検出器と、分光素子の分光角に連動して移動する第2の光検出器とを備えた構成とする。これにより、分光素子の出口スリットの直後に試料位置及び試料光検出器を配置する構成とすることができる。
【0013】
第1の光検出器は、分光素子で分光した光が直接に入射した入射光の光強度、あるいは試料を透過した透過光の光強度を検出して透過率を測定する。また、第2の光検出器は、分光素子で分光した光を試料面で反射させ、この反射光の光強度を検出して反射率を測定する他、分光素子で分光した光を直接に入射して光源の光強度を検出して入射光の光強度の変動を測定する。
【0014】
本発明は、第1の光検出器を分光素子の出口スリットに対して所定位置に固定し、第2の光検出器を分光素子の分光角に連動して移動する構成とすることにより、透過率や反射率の測定において、試料の照射位置に対して試料光検出器を回転移動させるための距離や構成を不要とすることができる。この配置構成により、分光器の出口スリットの直後に試料及び試料光検出器を配置する構成を可能とすることができる。また、試料室の空間容量を小さくすることができるため、真空排気に要する時間を短縮することができる。
【0015】
また、本発明は、反射率の測定時において、反射光を分光素子で反射させて第2の光検出器で検出する構成とすることにより、試料を傾斜させるための機構が不要となり試料移動機構を小型化することができる他、試料傾斜に要した時間を省くことができ、測定時間を短縮することができる。また、試料に対して法線方向に光を入射させ、法線方向に反射した光を分光素子で反射させて第2の光検出器で検出する構成とすることにより、試料面の法線方向の反射率の測定が可能となる。
【0016】
また、透過率測定において、第2の光検出器は第1の光検出器と異なる次数の同一波長の光を検出し入射光強度を測定する。これによれば、従来のように分岐ミラーにより入射光を分岐していないため、第1の光検出器に進む光の光強度の減衰を防ぐことができる。また、第2の光検出器で検出する光強度は、第1の光検出器が検出する光と同一波長の光であり、試料に入射する光の変動と同じ変動を測定することができる。このとき、第2の光検出器の検出スリットを分光素子の分光角度に連動して分光器のローランド円周上に沿って移動させることにより、測定波長の変更に対応させることができる。
【0017】
また、反射率測定において、第2の光検出器は試料からの反射光を検出する位置に移動する。第2の光検出器が検出する反射光は、何れの次数とすることもでき、例えば、第2の光検出器の検出スリットを出口スリットから見た0次光位置とすることもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の真空紫外分光装置の光学配置を説明するための概略図であり、図2は本発明による検出光を説明するための概略波形図であり、図3は本発明の試料ステージを説明するための概略図であり、図4,5はそれぞれ透過率測定及び反射率測定を説明するための概略図である。
【0019】
図1において、真空紫外分光装置1は、光源(図示していない)からの光を分光し所定波長の光を出射する分光素子2と、試料Sの透過光あるいは直接光を検出する第1の光検出器3と、反射光を検出したりバックグラウンド光の光強度や光源強度の変化をモニタするための第2の光検出器4と、光源からの光を分光素子2に通す入口スリット5と、分光素子2で分光した光を試料S及び第1の光検出器3に通す出口スリット6と、分光素子2で分光された光あるいは反射された光を第2の光検出器4に通す検出器スリット7とを備え、光源(図示していない)と入口スリット5とを結ぶ光路上には、光を通過あるいは遮光するフィルター8を出し入れ自在に設け、出口スリット6と第1の光検出器3との間の光路上には、試料Sを出し入れ自在とする。また、試料Sは、同光路上に配置した試料ステージ10により、複数の試料を交換する他に、遮光を行ったり、無反射試料を配置することができる。
【0020】
この構成によれば、試料Sで反射された反射光は、分光素子2で反射された後に第2の光検出器4で検出されるため、出口スリット6の後方位置に反射光を測定するための構成を設ける必要がなく、出口スリットとの距離を開けることなく直ぐ後方位置に試料Sや第1の光検出器3を配置することができる。これにより、出口スリット6から出た光が散乱する前に入射させることができる。したがって、従来の真空紫外分光装置1のように、集光ミラーを用いて散乱する光を集光する必要がなく、また、試料移動機構が簡素化されることによって測定時間が短縮され、リファレンス光を使って光源強度の時間変動補正を行う必要性が低くなるから、リファレンス光を光検出器に取り込むための分岐ミラーを不要とすることができる。なお、分光素子2は、グレーティングや分光結晶を用いることができ、この分光素子はスリットや駆動機構(図示していない)を共に分光器を構成する。
【0021】
本発明の真空紫外分光装置1は、透過率及び反射率を測定することができる。透過率は、分光素子2で分光した光を試料Sに通し、透過した光の光強度を第1の光検出器3で検出し、この検出強度に基づいて測定する。
【0022】
第2の光検出器4は光源の光強度をモニタするリファレンス光を検出することができる。このとき、第1の光検出器3と第2の光検出器4とは、それぞれ同一波長の異なる次数位置を光を検出することにより、分岐による光量減衰を防ぐことができる。例えば、図2に示すように検出波長を波長λ1としたとき、目的の波長が第1の光検出器3となるように分光素子2の角度を定め、これと異なる次数(例えば、2次光位置)の角度位置となるように第2の光検出器4を配置する。
【0023】
検出波長を変える場合には、分光素子2の分光角度、第2の光検出器4、及び検出スリット7の配置角度を変更する。例えば、図2に示すように検出波長を波長λ2,λ3としたときには、目的の波長が第1の光検出器3となるように分光素子2の角度を定め、これと異なる次数(例えば、2次光位置)の角度位置となるように第2の光検出器4を配置する。
この第2の光検出器4の配置は、分光素子2の分光角度に連動して検出スリット7を分光器のローランド円周上に沿って移動させることで行うことができる。
【0024】
一方、反射率は、分光素子2で分光した光を試料Sに入射させ、試料表面で反射した光の光強度を第2の光検出器4で検出し、この検出強度に基づいて測定する。このとき、反射光を検出する第2の光検出器4は、出口スリット6から出た反射光に対して任意の角度に配置することができるが、全反射である0次光位置の反射光を検出する角度位置に配置することにより、大きな検出強度を得ることができる。
【0025】
図3は、試料ステージ10の一例を説明するための概略図である。試料ステージ10は、軸10oの同一円周上に、試料部10a,遮光部10b,標準試料10c,無反射部10d等の各部分を備え、軸10oを中心にして回転させることにより、何れかの部分が出口スリット6と第1の検出器3を結ぶ光路上に配置する。試料部10aは複数種の試料を配置することができる。
【0026】
これにより、試料部10aを光路上に位置決めしたときには、選択した試料の透過光を検出することができ、遮光部10bを光路上に位置決めしたときには、第1の光検出器3への入射光を遮光することができ、標準試料10cを光路上に位置決めしたときには、反射率測定における相対反射率の基準値となる光強度を求めることができ、無反射部10dを光路上に位置決めしたときには、反射率測定における0%の光強度を求めることができる。
【0027】
試料ステージ10の構成によれば、軸10oを中心とする回転動作のみで行うことができるため、試料交換、遮光状態の測定、標準試料による測定、無反射による測定等の測定モードの切り換えを短時間で行うことができる。これら測定モードの切り換えを短時間で行うことにより、光強度の変動による測定精度の低下を低減することができる。
【0028】
次に、図4を用いて透過率測定について説明する。図4(a)は入射光が全て直接に入射したときの第1,第2の光検出器3,4が検出する光強度(100%光)I100の測定を示し(それぞれ、IA100,IB100とする)、図4(b)は入射光が遮光されたときの第1,第2の光検出器3,4が検出する光強度(0%光)It0の測定を示し(それぞれ、IA0,IB0とする)、図4(c)は試料Sの透過光の第1,第2の光検出器3,4が検出する光強度の測定を示している(それぞれ、IA,IBとする)。なお、光強度Iの添え字A,Bは第1,第2の光検出器3,4を表している。
【0029】
図4(a)の測定において、分光素子2の分光角度を調整し、分光した所望の波長の光の一部(例えば、1次光)を、出口スリット6を通して第1の光検出器3に入射させる。このとき、試料Sは光路上から外した状態とする。これにより、第1の光検出器3は、試料Sに対する入射光の光強度IA100を検出することができる。
【0030】
また、このとき同時に、第2の光検出器4及び検出器スリット7の位置を調整して、同一波長の異なる次数の光を検出する(光強度をIB100とする)。この光は光源の光強度変化を測定するリファレンス光とすることができる。
【0031】
次に、図4(b)の測定において、入口スリット5の前方位置にフィルター8を導入し、第1の光検出器3への光の入射を遮光する。これにより、第1の光検出器3,第2の光検出器4は、試料Sに対するバックグラウンド光の光強度IA0,IB0を検出することができる。リファレンス光による光源強度変化補正を行わない(第2の光検出器4を使用しない)場合、フィルター8に代えて第1の光検出器3の前方位置にフィルター11(図3に示した遮光部分等)を導入することができる。
【0032】
次に、図4(c)の測定において、入口スリット5の前方位置あるいは第1の光検出器3の前方位置に導入したフィルター8,又はフィルター11を外すと共に、第1の光検出器3の前方位置に試料Sを導入し、試料Sを透過した光を第1の光検出器3に入射する。これにより、第1の光検出器3は、試料Sの透過光Itを検出することができる(光強度をIAとする)。このとき、第2の光検出器4は、図4(a)と同様に、透過光と同一波長で異なる次数の光をリファレンス光として検出し、光源の光強度変化を測定する。
【0033】
上記で求めた光強度IA,IB,IA100,IB100,IA0,IB0を用いることにより、バックグラウンド光による補正を行った透過率を例えば、((IA−IA0)/(IB−IB0))/((IA100−IA0)/(IB100−IB0))の式で表すことができる。
【0034】
次に、図5を用いて反射率測定について説明する。以下は、標準試料による反射光の光強度とを比較する相対反射率について示している。図5(a)は標準試料による反射光の光強度Irrの測定を示し、図5(b)は無反射試料による反射光の光強度(0%光)Ir0の測定を示し、図5(c)は試料Sの反射光の光強度Irの測定を示している。なお、光強度Iの添え字rは反射を表している。
【0035】
図5(a)の測定において、分光素子2の分光角度を調整し、分光した所望の波長の光(例えば、1次光)を、出口スリット6と第1の光検出器3との間の光路上に配置した反射率が既知の標準試料12に入射させる。
【0036】
このとき、標準試料12に対して入射方向を法線方向とすることができる。標準試料12に入射した光は試料表面で反射し、分光素子2で所定の反射角で反射する。出口スリット6から見て分光素子2の0次反射方向に検出器スリット及び光検出器4を配置する。これにより、第2の光検出器4は、標準試料12の反射光の光強度Irrを検出することができる。
【0037】
次に、図5(b)の測定において、図5(a)の測定の標準試料12に代えて無反射試料13を配置し、第2の光検出器4により無反射試料12の反射光の光強度Ir0を検出する。この無反射試料による測定で得られる光強度Ir0は、バックグラウンド光の光強度を表している。なお、無反射試料13は、反射面の反射方向を出口スリット6以外の方向とする構成としてもよい。また、無反射試料13を配置する代わりに、反射光が出口スリット6を通過しない方向に、配置した任意の試料の向きを変えるようにしてもよい。
次に、図5(c)の測定において、第1の光検出器3の前方位置に試料Sを導入し、試料Sで反射した光を分光素子2で反射させ、第2の光検出器4に入射させる。これにより、第2の光検出器4は、試料Sの反射光Irを検出することができる。
【0038】
上記で求めた光強度Ir,Irr,It0を用いることにより、標準試料の反射率Rsとすると、バックグラウンド光による補正を行った反射率をRs・(Ir−Ir0)/(Irr−Ir0)の式で表すことができる。
【0039】
また、第2の光検出器4及び検出器スリット7は、図6に示す他の構成例に示すように、複数配置するようにしてもよい。図6では、第2の光検出器4として、4a,4b、4cの3つの光検出器を配置した構成を示しているが、配置する個数は任意とすることができ、ラインセンサを用いた構成にしてもよい。また、スリット5,6の外側に配置してもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の真空の紫外分光装置によれば、試料に入射する光の光強度の低下を防止することができる。また、反射率の測定時に試料の傾斜を不要とすることで試料移動機構を小型化することができる。
【0041】
また、試料の傾斜を不要とすることで試料傾斜に要する時間を短縮することができ、検出器の移動範囲を少なくすることにより試料室内の空間容積を少なくし、試料室内の真空排気時間を短くすることができるため、測定時間を短縮することができる。
【0042】
また、試料面の法線方向の反射率測定を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空紫外分光装置を説明するための概略図である。
【図2】本発明による検出光を説明するための概略波形図である。。
【図3】本発明の試料ステージを説明するための概略図である。
【図4】本発明の真空紫外分光装置透過率測定及び反射率測定を説明するための概略図である。
【図5】本発明の透過率測定を説明するための概略図である。
【図6】本発明の反射率測定を説明するための概略図である。
【図7】従来の真空紫外分光装置の光学配置を説明するための概略図である。
【図8】従来の真空紫外分光装置の透過率測定を説明するための概略図である。
【図9】従来の真空紫外分光装置の反射率測定を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1…真空紫外分光装置、2…分光素子、3…第1の光検出器、4…第2の光検出器、5…入口スリット、6…出口スリット、7…検出器スリット、8…フィルター、9…制御手段、10…試料ステージ、10a…試料部、10b…遮光部、10c…標準試料、10d…無反射部、11…フィルター、12…標準試料、13…無反射部、S…試料。
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空紫外分光装置に関し、特に分光した光を用いて試料の透過率や反射率を求める装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
分光器により分光した光を試料に照射し、試料の透過光や反射光を検出することにより透過率や反射率を求める分光装置において、紫外領域の透過率や反射率を測定する真空紫外分光装置が知られている。
図7は従来の真空紫外分光装置の光学配置を説明するための概略図であり、図8,9はそれぞれ透過率測定及び反射率測定を説明するための概略図である。
【0003】
図7において、真空紫外分光装置1は、光源(図示していない)からの光を分光して得られる所定波長の光を出射する分光素子102と、試料Sを透過あるいは反射した光を検出する試料光検出器103と、バックグラウンド光の光強度及び光源強度の変化をモニタするためのリファレンス光検出器104と、これらを結んで光路を形成するための入口スリット105,出口スリット106,集光ミラー107(107a,107b),及び分岐ミラー109を備える。なお、出口スリット106の後方には、光を通過あるいは遮光するフィルター108が光路上に出し入れ自在に設けられる。また、集光ミラー107と試料検出器103との間には、試料Sが出し入れ自在、及び角度変更自在とするように配置される。なお、分光素子、スリット、及び駆動機構(図示していない)は分光器を構成する。
【0004】
図8は、従来の真空紫外分光装置1を用いた試料の透過率測定を示している。図8(a)は、光源から入射される光の光強度を測定する状態を示しており、フィルター108及び試料Sを光路上から外し、試料光検出器103、リファレンス光検出器104に入射する光(100%光)を検出する(検出強度をそれぞれIS100,IR100とする)。また、図8(b)は、試料を透過した光の光強度を測定する状態を示しており、フィルター108を光路上から外すと共に試料Sを光路上に配置し、試料Sを透過した光を試料光検出器103と同時にリファレンス光検出器104で検出する(検出強度をそれぞれIS,IRとする)。また、図8(c)は、バックグラウンド光の光強度を測定する状態を示しており、フィルター108を光路上に配置し、試料光検出器103、リファレンス光検出器104で検出する(検出強度をそれぞれIS0,IR0とする)。透過率は、上記各測定で得られた検出強度を用いて、例えば((IS−IS0)/(IR−IR0))/((IS100−IS0)/(IR100−IR0))の式により表すことができる。
【0005】
図9は、従来の真空紫外分光装置1を用いた試料の反射率測定を示している。図9(a)は、図8(a)と同様に、光源から入射される光の光強度を測定する状態を示し、試料光検出器103、リファレンス光検出器104に入射する光(100%光)を検出する(検出強度をそれぞれIS100,IR100とする)。また、図9(b)は、試料で反射した光の光強度を測定する状態を示しており、フィルター108を光路上から外し、試料Sを光路上に配置して所定角度回転させると共に、試料光検出器103を試料Sからの反射光を検出する角度位置となるように回転させ、試料Sで反射した光を試料光検出器103と同時にリファレンス光検出器104で検出する(検出強度をそれぞれIS,IRとする)。また、図9(c)は、図8(c)と同様に、バックグラウンド光の光強度を測定する状態を示している(検出強度をそれぞれIS0,IR0とする)。反射率は、上記各測定で得られた検出強度を用いて、例えば((IS−IS0)/(IR−IR0))/((IS100−IS0)/(IR100−IR0))の式により表すことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の真空紫外分光装置は、透過率測定と透過率測定とでは試料光検出器の位置を変更する構成としており、反射率測定では試料面で反射した反射光を検出するように試料光検出器を回転させている。そのため、分光器の出口スリットと、試料位置及び試料光検出器との間は、少なくとも試料光検出器が移動する分だけ距離を開ける必要がある。一般に、分光器の出口スリットから出た後の光は発散する。そのため、出口スリットと試料位置や試料光検出器との間の距離が長い場合には、発散により集光しなくなる。そこで、従来の真空紫外分光装置は、発散する光を試料面に集光させるために、分光器の出口スリットと試料位置との間に集光ミラーを配置している。
【0007】
通常、光はミラーで反射される際に光量が減衰する。特に、紫外領域等の波長が短い光はミラーによる光量減衰が大きくなるため、試料に入射する光の光強度が低下し測定精度を低下させる要因となるという問題がある。
【0008】
また、光源の光強度の時間変動を補正するために、出口スリットから出た後の光の一部を分岐ミラーで分岐し、この分岐した光をリファレンス光検出器に導いている。そのため、試料に入射する光の光強度が低下し、上記と同様に、測定精度を低下させる要因となるという問題がある。
【0009】
また、従来の真空紫外分光装置により反射率を測定する場合には、入射光に対して試料を傾斜させると共に、試料光検出器を反射光が入射する角度位置まで移動させる必要があるため、試料の傾斜や検出器の移動に時間がかかり、測定時間が長くなるという問題や、また、試料室の空間容積が大きくなるためため真空排気に要する時間が長くなるという問題、また、試料移動機構が大型化するという問題がある。また、このときの反射率測定は、試料面の法線に対して角度を有した反射光を測定しており、法線方向の反射率を求めることができないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、試料に入射する光の光強度の低下を防止することを目的とし、反射率の測定時に試料の傾斜を不要として、試料傾斜に要する時間や試料室内の真空排気時間を短くして測定時間を短縮すること、試料移動機構を小型化することを目的とし、また、試料面の法線方向の反射率測定を可能とすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、分光素子の出口スリットの直後に試料位置及び試料光検出器を配置する構成とする。これにより、出口スリットから出た光が発散する前に試料や試料光検出器に入射させて、発散光を集光させる集光ミラーを不要とし、このミラーによる光強度の減衰を防ぐものである。
【0012】
本発明の真空紫外分光装置は、分光素子と、分光素子と試料位置の延長上に配置する第1の光検出器と、分光素子の分光角に連動して移動する第2の光検出器とを備えた構成とする。これにより、分光素子の出口スリットの直後に試料位置及び試料光検出器を配置する構成とすることができる。
【0013】
第1の光検出器は、分光素子で分光した光が直接に入射した入射光の光強度、あるいは試料を透過した透過光の光強度を検出して透過率を測定する。また、第2の光検出器は、分光素子で分光した光を試料面で反射させ、この反射光の光強度を検出して反射率を測定する他、分光素子で分光した光を直接に入射して光源の光強度を検出して入射光の光強度の変動を測定する。
【0014】
本発明は、第1の光検出器を分光素子の出口スリットに対して所定位置に固定し、第2の光検出器を分光素子の分光角に連動して移動する構成とすることにより、透過率や反射率の測定において、試料の照射位置に対して試料光検出器を回転移動させるための距離や構成を不要とすることができる。この配置構成により、分光器の出口スリットの直後に試料及び試料光検出器を配置する構成を可能とすることができる。また、試料室の空間容量を小さくすることができるため、真空排気に要する時間を短縮することができる。
【0015】
また、本発明は、反射率の測定時において、反射光を分光素子で反射させて第2の光検出器で検出する構成とすることにより、試料を傾斜させるための機構が不要となり試料移動機構を小型化することができる他、試料傾斜に要した時間を省くことができ、測定時間を短縮することができる。また、試料に対して法線方向に光を入射させ、法線方向に反射した光を分光素子で反射させて第2の光検出器で検出する構成とすることにより、試料面の法線方向の反射率の測定が可能となる。
【0016】
また、透過率測定において、第2の光検出器は第1の光検出器と異なる次数の同一波長の光を検出し入射光強度を測定する。これによれば、従来のように分岐ミラーにより入射光を分岐していないため、第1の光検出器に進む光の光強度の減衰を防ぐことができる。また、第2の光検出器で検出する光強度は、第1の光検出器が検出する光と同一波長の光であり、試料に入射する光の変動と同じ変動を測定することができる。このとき、第2の光検出器の検出スリットを分光素子の分光角度に連動して分光器のローランド円周上に沿って移動させることにより、測定波長の変更に対応させることができる。
【0017】
また、反射率測定において、第2の光検出器は試料からの反射光を検出する位置に移動する。第2の光検出器が検出する反射光は、何れの次数とすることもでき、例えば、第2の光検出器の検出スリットを出口スリットから見た0次光位置とすることもできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の真空紫外分光装置の光学配置を説明するための概略図であり、図2は本発明による検出光を説明するための概略波形図であり、図3は本発明の試料ステージを説明するための概略図であり、図4,5はそれぞれ透過率測定及び反射率測定を説明するための概略図である。
【0019】
図1において、真空紫外分光装置1は、光源(図示していない)からの光を分光し所定波長の光を出射する分光素子2と、試料Sの透過光あるいは直接光を検出する第1の光検出器3と、反射光を検出したりバックグラウンド光の光強度や光源強度の変化をモニタするための第2の光検出器4と、光源からの光を分光素子2に通す入口スリット5と、分光素子2で分光した光を試料S及び第1の光検出器3に通す出口スリット6と、分光素子2で分光された光あるいは反射された光を第2の光検出器4に通す検出器スリット7とを備え、光源(図示していない)と入口スリット5とを結ぶ光路上には、光を通過あるいは遮光するフィルター8を出し入れ自在に設け、出口スリット6と第1の光検出器3との間の光路上には、試料Sを出し入れ自在とする。また、試料Sは、同光路上に配置した試料ステージ10により、複数の試料を交換する他に、遮光を行ったり、無反射試料を配置することができる。
【0020】
この構成によれば、試料Sで反射された反射光は、分光素子2で反射された後に第2の光検出器4で検出されるため、出口スリット6の後方位置に反射光を測定するための構成を設ける必要がなく、出口スリットとの距離を開けることなく直ぐ後方位置に試料Sや第1の光検出器3を配置することができる。これにより、出口スリット6から出た光が散乱する前に入射させることができる。したがって、従来の真空紫外分光装置1のように、集光ミラーを用いて散乱する光を集光する必要がなく、また、試料移動機構が簡素化されることによって測定時間が短縮され、リファレンス光を使って光源強度の時間変動補正を行う必要性が低くなるから、リファレンス光を光検出器に取り込むための分岐ミラーを不要とすることができる。なお、分光素子2は、グレーティングや分光結晶を用いることができ、この分光素子はスリットや駆動機構(図示していない)を共に分光器を構成する。
【0021】
本発明の真空紫外分光装置1は、透過率及び反射率を測定することができる。透過率は、分光素子2で分光した光を試料Sに通し、透過した光の光強度を第1の光検出器3で検出し、この検出強度に基づいて測定する。
【0022】
第2の光検出器4は光源の光強度をモニタするリファレンス光を検出することができる。このとき、第1の光検出器3と第2の光検出器4とは、それぞれ同一波長の異なる次数位置を光を検出することにより、分岐による光量減衰を防ぐことができる。例えば、図2に示すように検出波長を波長λ1としたとき、目的の波長が第1の光検出器3となるように分光素子2の角度を定め、これと異なる次数(例えば、2次光位置)の角度位置となるように第2の光検出器4を配置する。
【0023】
検出波長を変える場合には、分光素子2の分光角度、第2の光検出器4、及び検出スリット7の配置角度を変更する。例えば、図2に示すように検出波長を波長λ2,λ3としたときには、目的の波長が第1の光検出器3となるように分光素子2の角度を定め、これと異なる次数(例えば、2次光位置)の角度位置となるように第2の光検出器4を配置する。
この第2の光検出器4の配置は、分光素子2の分光角度に連動して検出スリット7を分光器のローランド円周上に沿って移動させることで行うことができる。
【0024】
一方、反射率は、分光素子2で分光した光を試料Sに入射させ、試料表面で反射した光の光強度を第2の光検出器4で検出し、この検出強度に基づいて測定する。このとき、反射光を検出する第2の光検出器4は、出口スリット6から出た反射光に対して任意の角度に配置することができるが、全反射である0次光位置の反射光を検出する角度位置に配置することにより、大きな検出強度を得ることができる。
【0025】
図3は、試料ステージ10の一例を説明するための概略図である。試料ステージ10は、軸10oの同一円周上に、試料部10a,遮光部10b,標準試料10c,無反射部10d等の各部分を備え、軸10oを中心にして回転させることにより、何れかの部分が出口スリット6と第1の検出器3を結ぶ光路上に配置する。試料部10aは複数種の試料を配置することができる。
【0026】
これにより、試料部10aを光路上に位置決めしたときには、選択した試料の透過光を検出することができ、遮光部10bを光路上に位置決めしたときには、第1の光検出器3への入射光を遮光することができ、標準試料10cを光路上に位置決めしたときには、反射率測定における相対反射率の基準値となる光強度を求めることができ、無反射部10dを光路上に位置決めしたときには、反射率測定における0%の光強度を求めることができる。
【0027】
試料ステージ10の構成によれば、軸10oを中心とする回転動作のみで行うことができるため、試料交換、遮光状態の測定、標準試料による測定、無反射による測定等の測定モードの切り換えを短時間で行うことができる。これら測定モードの切り換えを短時間で行うことにより、光強度の変動による測定精度の低下を低減することができる。
【0028】
次に、図4を用いて透過率測定について説明する。図4(a)は入射光が全て直接に入射したときの第1,第2の光検出器3,4が検出する光強度(100%光)I100の測定を示し(それぞれ、IA100,IB100とする)、図4(b)は入射光が遮光されたときの第1,第2の光検出器3,4が検出する光強度(0%光)It0の測定を示し(それぞれ、IA0,IB0とする)、図4(c)は試料Sの透過光の第1,第2の光検出器3,4が検出する光強度の測定を示している(それぞれ、IA,IBとする)。なお、光強度Iの添え字A,Bは第1,第2の光検出器3,4を表している。
【0029】
図4(a)の測定において、分光素子2の分光角度を調整し、分光した所望の波長の光の一部(例えば、1次光)を、出口スリット6を通して第1の光検出器3に入射させる。このとき、試料Sは光路上から外した状態とする。これにより、第1の光検出器3は、試料Sに対する入射光の光強度IA100を検出することができる。
【0030】
また、このとき同時に、第2の光検出器4及び検出器スリット7の位置を調整して、同一波長の異なる次数の光を検出する(光強度をIB100とする)。この光は光源の光強度変化を測定するリファレンス光とすることができる。
【0031】
次に、図4(b)の測定において、入口スリット5の前方位置にフィルター8を導入し、第1の光検出器3への光の入射を遮光する。これにより、第1の光検出器3,第2の光検出器4は、試料Sに対するバックグラウンド光の光強度IA0,IB0を検出することができる。リファレンス光による光源強度変化補正を行わない(第2の光検出器4を使用しない)場合、フィルター8に代えて第1の光検出器3の前方位置にフィルター11(図3に示した遮光部分等)を導入することができる。
【0032】
次に、図4(c)の測定において、入口スリット5の前方位置あるいは第1の光検出器3の前方位置に導入したフィルター8,又はフィルター11を外すと共に、第1の光検出器3の前方位置に試料Sを導入し、試料Sを透過した光を第1の光検出器3に入射する。これにより、第1の光検出器3は、試料Sの透過光Itを検出することができる(光強度をIAとする)。このとき、第2の光検出器4は、図4(a)と同様に、透過光と同一波長で異なる次数の光をリファレンス光として検出し、光源の光強度変化を測定する。
【0033】
上記で求めた光強度IA,IB,IA100,IB100,IA0,IB0を用いることにより、バックグラウンド光による補正を行った透過率を例えば、((IA−IA0)/(IB−IB0))/((IA100−IA0)/(IB100−IB0))の式で表すことができる。
【0034】
次に、図5を用いて反射率測定について説明する。以下は、標準試料による反射光の光強度とを比較する相対反射率について示している。図5(a)は標準試料による反射光の光強度Irrの測定を示し、図5(b)は無反射試料による反射光の光強度(0%光)Ir0の測定を示し、図5(c)は試料Sの反射光の光強度Irの測定を示している。なお、光強度Iの添え字rは反射を表している。
【0035】
図5(a)の測定において、分光素子2の分光角度を調整し、分光した所望の波長の光(例えば、1次光)を、出口スリット6と第1の光検出器3との間の光路上に配置した反射率が既知の標準試料12に入射させる。
【0036】
このとき、標準試料12に対して入射方向を法線方向とすることができる。標準試料12に入射した光は試料表面で反射し、分光素子2で所定の反射角で反射する。出口スリット6から見て分光素子2の0次反射方向に検出器スリット及び光検出器4を配置する。これにより、第2の光検出器4は、標準試料12の反射光の光強度Irrを検出することができる。
【0037】
次に、図5(b)の測定において、図5(a)の測定の標準試料12に代えて無反射試料13を配置し、第2の光検出器4により無反射試料12の反射光の光強度Ir0を検出する。この無反射試料による測定で得られる光強度Ir0は、バックグラウンド光の光強度を表している。なお、無反射試料13は、反射面の反射方向を出口スリット6以外の方向とする構成としてもよい。また、無反射試料13を配置する代わりに、反射光が出口スリット6を通過しない方向に、配置した任意の試料の向きを変えるようにしてもよい。
次に、図5(c)の測定において、第1の光検出器3の前方位置に試料Sを導入し、試料Sで反射した光を分光素子2で反射させ、第2の光検出器4に入射させる。これにより、第2の光検出器4は、試料Sの反射光Irを検出することができる。
【0038】
上記で求めた光強度Ir,Irr,It0を用いることにより、標準試料の反射率Rsとすると、バックグラウンド光による補正を行った反射率をRs・(Ir−Ir0)/(Irr−Ir0)の式で表すことができる。
【0039】
また、第2の光検出器4及び検出器スリット7は、図6に示す他の構成例に示すように、複数配置するようにしてもよい。図6では、第2の光検出器4として、4a,4b、4cの3つの光検出器を配置した構成を示しているが、配置する個数は任意とすることができ、ラインセンサを用いた構成にしてもよい。また、スリット5,6の外側に配置してもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の真空の紫外分光装置によれば、試料に入射する光の光強度の低下を防止することができる。また、反射率の測定時に試料の傾斜を不要とすることで試料移動機構を小型化することができる。
【0041】
また、試料の傾斜を不要とすることで試料傾斜に要する時間を短縮することができ、検出器の移動範囲を少なくすることにより試料室内の空間容積を少なくし、試料室内の真空排気時間を短くすることができるため、測定時間を短縮することができる。
【0042】
また、試料面の法線方向の反射率測定を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空紫外分光装置を説明するための概略図である。
【図2】本発明による検出光を説明するための概略波形図である。。
【図3】本発明の試料ステージを説明するための概略図である。
【図4】本発明の真空紫外分光装置透過率測定及び反射率測定を説明するための概略図である。
【図5】本発明の透過率測定を説明するための概略図である。
【図6】本発明の反射率測定を説明するための概略図である。
【図7】従来の真空紫外分光装置の光学配置を説明するための概略図である。
【図8】従来の真空紫外分光装置の透過率測定を説明するための概略図である。
【図9】従来の真空紫外分光装置の反射率測定を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1…真空紫外分光装置、2…分光素子、3…第1の光検出器、4…第2の光検出器、5…入口スリット、6…出口スリット、7…検出器スリット、8…フィルター、9…制御手段、10…試料ステージ、10a…試料部、10b…遮光部、10c…標準試料、10d…無反射部、11…フィルター、12…標準試料、13…無反射部、S…試料。
Claims (5)
- 分光素子と、
前記分光素子と試料位置を結ぶ延長線上に固定配置する第1の光検出器と、
前記分光素子の分光角度に連動して移動する第2の光検出器とを備え、
前記第1の光検出器の検出出力に基づく試料の透過率、及び/又は、前記第2の光検出器の検出出力に基づく試料の反射率を測定することを特徴とする、真空紫外分光装置。 - 透過率測定において、前記第2の光検出器は第1の光検出器と同一波長で異なる次数の光を検出して、入射光強度を測定することを特徴とする、請求項1に記載の真空紫外分光装置。
- 前記第2の光検出器の検出スリットは、分光器のローランド円周上を分光器の分光角度に連動して移動することを特徴とする、請求項2に記載の真空紫外分光装置。
- 反射率測定において、前記第2の光検出器は試料からの反射光を検出する位置に移動することを特徴とする、請求項1に記載の真空紫外分光装置。
- 前記第2の光検出器の検出スリットは、分光素子と試料位置との間に配置する出口スリットから見た0次光位置に移動することを特徴とする、請求項4に記載の真空紫外分光装置。
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Cited By (2)
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JP2016161455A (ja) * | 2015-03-03 | 2016-09-05 | 株式会社日立ハイテクノロジーズ | 液体クロマトグラフ用遠紫外吸光度検出装置 |
-
2002
- 2002-06-10 JP JP2002168592A patent/JP2004012370A/ja not_active Withdrawn
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