JP2004011559A - 燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラムおよび内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関(エンジン)本体の構造に大幅な改造を加えることなく、燃費の低減および排気の浄化をすること。
【解決手段】複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、複数の気筒のうちの、吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を決定し(ステップS101)、噴射する(ステップS102)とともに、第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を決定し(ステップS104)、複数の気筒のうちの、排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射する(ステップS105)。
【選択図】 図10
【解決手段】複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、複数の気筒のうちの、吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を決定し(ステップS101)、噴射する(ステップS102)とともに、第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を決定し(ステップS104)、複数の気筒のうちの、排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射する(ステップS105)。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラム、およびその制御方法を用いたあるいはその制御プログラムが記録された内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、現行のガソリンエンジン(一部ディーゼルエンジンも含む)はコンピュータ(以下、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)という)により、燃料の噴射量、噴射タイミング、点火タイミング、給排気バルブのタイミングなどを制御している。
【0003】
ここで、従来のキャブレター方式がECUに変更された理由として、排気ガス規制をクリアーするために下記の3つの項目を満足させる必要があったと考えられる。
【0004】
(1)空燃比を正確に制御できる(キャブレター方式では、限界がある)。
(2)基本空燃比を随時かつ任意に変更できる(キャブレター方式では、ほぼ不可能である)。
(3)燃料の供給状況に合わせて、最適と思われるタイミングで点火タイミングを、設定できる。
【0005】
この技術が確立するにしたがって、さらに厳しいガス規制と共に燃料消費率の低減も、要求されるようになってきた。このような要求は、今後さらに厳しくなっていくものと推測される。これに対応するために、燃焼室内直接噴射方式(たとえば、三菱自動車のGDIやトヨタ自動車のD−4など)も開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のECUによる制御にあっては、ガス規制をクリアーするという前提の中で、ECUがエンジンを制御するには各種のデータが必要になる。しかし、そのデータは現時点でのデータではなく一つ前のそれである。この場合に問題は特に低回転時(アイドル〜2000rpm)に大きな現象として現れることになる。
【0007】
また、エンジンを制御しているECUはそのときの状況に合わせて、燃料を噴射しているつもりでも、混合気のばらつきにより想定どおりの動力(出力)が取り出せない。それを各種センサーで検出したECUは補正をして噴射量を増加させると、今度は処理に対する結果の遅れから混合気が濃くなりすぎて再度の補正が必要となり、これらに補正を頻繁に繰り返すことになる。この現象をハンチングロスという。燃焼室内直接噴射方式ではないエンジンの場合、インテークマニホールド内の燃料気化不安定による上記ハンチングロスが大きい。この問題も上記同様、低回転時に多く発生する。このハンチングロスが、燃費低減の妨げになっているという問題点があった。
【0008】
図11は、一般的な乗用車のエンジンの性能曲線を示すグラフである。ここで実際に使用されている乗用車の使用状況を分析してみると、
【0009】
0〜 30km : 20%
30〜 60km : 35%
60〜 90km : 30%
90〜120km : 10%
120〜180km : 5%
ただし、上記データは実測値であり使用地域により変動する場合がある。
【0010】
この分析結果から時速90km以下での使用率が80%を超えている。排気量別に分類してみると、
【0011】
500〜1000cc : 3500〜4500rpm
1000〜1500cc : 2500〜3500rpm
1500〜2000cc : 2000〜2500rpm
2000〜2500cc : 1500〜2000rpm
2500〜3000cc : 1500〜2000rpm
【0012】
以上のように、2000cc以上の排気量を持っている乗用車は、2500rpm以下での使用率が80%を超えていることになる。しかし、この領域(700〜2500rpm)は、高回転高出力型のエンジンにとっては燃焼効率が低い回転領域になる。図11からもわかるとおり、このエンジンは一般市販車の中ではかなり低い回転数からトルクを、発生している部類に属するが、2000rpm以下では性能を発揮できていない。
【0013】
高回転高出力型のエンジンは、それなりのインテークマニホールドの容量(直径)を必要とする。しかし、実際に使われているのは実力の1/3程度にしかならない。当然そこを流れる空気は密度も流速も低い状態になる。その空気に燃料を噴射しても均一な混合気にはなりにくい。したがって、インテークマニホールド内に、燃料を噴射していたのでは外的要因(マニホールドの形状を運転状況に合わせてフレキシブルに変更することはできない。)による混合気のばらつきは防げないという問題点があった。
【0014】
さらに、均一な混合気しか燃焼室に供給できないので、これ以上空燃比を低くした混合気を供給しても失火してしまい、運転を続けることができないという問題点があった。
【0015】
この発明は、上述した従来例による課題を解決するため、内燃機関(エンジン)本体の構造に大幅な改造を加えることなく、燃費の低減および排気の浄化を可能にする燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラム、およびその制御方法を用いたあるいはその制御プログラムが記録された内燃機関を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、請求項1に記載の発明において、一つの前記気筒に対して前記吸気弁が複数設けられている場合に、前記吸気弁の少なくとも一つが開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁のすべてが閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0018】
また、請求項3に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0019】
また、請求項4に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0020】
また、請求項5に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記燃料の供給量に対する所定の比率量が、前記燃料の供給量の略3分の1であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項6に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、エンジン回転数に基づいて、前記所定の比率量の燃料の噴射をおこなうことを特徴とする。
【0022】
また、請求項7に記載の発明にかかる燃料供給制御プログラムは、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0023】
また、請求項8に記載の発明にかかる燃料供給制御プログラムは、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0024】
また、請求項9に記載の発明にかかる燃料供給制御プログラムは、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0025】
また、請求項10に記載の発明にかかる内燃機関は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0026】
また、請求項11に記載の発明にかかる内燃機関は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0027】
また、請求項12に記載の発明にかかる内燃機関は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0028】
これらの発明によれば、吸入管(インテークマニホールド)内に、燃料を噴射しても、外的要因を受けない、または影響をできるだけ小さくすることができる。また、失火せずに空燃比をさらに下げることができ、ハンチングロスを抑制することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラムおよび内燃機関の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
(内燃機関の構造)
まず、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関の構造について説明する。図1は、一般的な4ストロークの内燃機関の各行程の状態を示す説明図であり、内燃機関の断面図を示している。図1において、1はシリンダ(気筒)であり、2はピストンであり、3はクランクシャフトであり、4は吸気バルブ(吸気弁)であり、5は排気バルブ(排気弁)であり、6はスパークプラグであり、7は吸入管(インテークマニホールド)である。
【0031】
そして、4ストロークの内燃機関の4つの行程のうちの吸入行程では、吸気弁バルブ4を開き、それにあわせて、ピストン2を下方向へ移動させる。このピストン2の下方向への移動によってインテークマニホールド7から燃料が混合された空気をシリンダ1内に吸入する。つぎに、圧縮行程では、吸気バルブ4を閉じて、ピストン2を上方向へ移動させる。このピストン2の上方向への移動によって、シリンダ1内に吸入した空気を圧縮する。
【0032】
つぎに、爆発行程では、圧縮行程において圧縮された燃料が混合された空気に点火し、その爆発力によってピストン2が下方向へ移動する(押し下げられる)。つぎに、排気行程では、排気バルブ5を開き、それにあわせてピストン2を上方向へ移動させる。このピストン2の上方向への移動によってシリンダ1内の空気をシリンダ1外へ排出する。
【0033】
上記各行程におけるピストン2の上下方向への移動はクランクシャフト3によって交互におこなわれる。このように、4つの行程を繰り返しておこなうことによって内燃機関における回転運動を発生させることができる。
【0034】
つぎに、4気筒の内燃機関を例にして本実施の形態にかかる燃料供給制御方法の概要について説明する。図2は、この発明の本実施の形態にかかる4気筒における各シリンダおよびその周辺の状態を示す説明図であり、内燃機関の断面図を示している。4つのシリンダ(気筒)を並べて、1番シリンダ〜4番シリンダというように、一方から順序を伏した場合に、爆発行程は、「1番シリンダ」→「3番シリンダ」→「4番シリンダ」→「2番シリンダ」の順におこなわれる。
【0035】
したがって、1番シリンダにおいて爆発行程がおこなわれているときは、3番シリンダにおいて、つぎの爆発行程に備えて、シリンダ内の空気を圧縮する圧縮行程がおこなわれている。同様に、4番シリンダにおいて吸入行程がおこなわれ、2番シリンダにおいて排気行程がおこなわれる。
【0036】
上記の各シリンダ(1番シリンダ〜4番シリンダ)の行程の遷移を示したのが図3である。このように4気筒の場合、各シリンダにおいてそれぞれ別の行程がおこなわれている。
【0037】
つぎに、吸気バルブ4の開閉の状態について説明する。図4は、この発明の本実施の形態にかかる4気筒における各シリンダの吸気バルブの開閉の状態を示す説明図である。図4において、各行程(第1行程、第2行程、・・・)は、図3に示した各行程と同じ行程を示している。
【0038】
すなわち、1番シリンダは、第3行程(吸入行程)においてのみ吸気バルブ4を開いており、他の行程においては吸気バルブ4を閉じていることを示している。他のシリンダも同様に、吸入行程においてのみ吸気バルブ4を開いており、他の行程においては吸気バルブ4を閉じていることを示している。
【0039】
そして、燃料は、通常、吸入行程であって吸気バルブ4が開いている間に、後述するインジェクタ8からインテークマニホールド7へ噴射されることによって燃料が供給される。一度に供給(噴射)される燃料の供給量は、後述するECU(エンジン・コントロール・ユニット)9によって制御される。より具体的には、ECU9からインジェクタ8へ燃料供給信号(電流)が流れている間のみ、図示を省略する噴出口を開いて燃料を噴射している。したがって、上記燃料供給信号(電流)を流す時間によって燃料の供給量を制御する。
【0040】
本実施の形態にかかる燃料供給制御方法にあっては、吸入行程における燃料(以下「正規の燃料」という)の供給のほかに、さらに、排気行程において燃料を供給するものである。この燃料を「第2の燃料」とする。図5は、この発明の本実施の形態にかかる4気筒における第2の燃料が供給されるシリンダとその供給量との関係を示す説明図である。
【0041】
図5において、第1行程に着目すると、第1行程にあっては、図3にも示すように、4番シリンダが吸入行程となっており、所定量の燃料(正規の燃料)の供給がおこなわれている。そして、その際2番シリンダは排気行程となっている。この2番シリンダが排気行程であるときに、現在吸入行程となっている4番シリンダに供給される燃料の1/3の燃料(第2の燃料)を2番シリンダのインテークマニホールド7へ噴射する。
【0042】
同様に、第2行程では、排気行程の1番シリンダに、第2行程において吸入行程である2番シリンダに供給される燃料(正規の燃料)の1/3の燃料(第2の燃料)を、第3行程では、排気行程の3番シリンダに、第3行程において吸入行程である1番シリンダに供給される燃料(正規の燃料)の1/3の燃料(第2の燃料)を、第4行程では、排気行程の4番シリンダに、第4行程において吸入行程である3番シリンダに供給される燃料(正規の燃料)の1/3の燃料(第2の燃料)を、それぞれ供給(噴射)する。
【0043】
なお、第2の燃料が、正規の燃料の所定の比率量として1/3であるとしたが、この比率量には限定されない。ただし、出願人は、第2の燃料の供給量として、正規の燃料の1/3付近がもっとも効率的であることを実験によって発見した。また、この比率量は固定としているが、エンジンの回転数などの外的要因に関する情報に基づいて、この比率量を可変にするようにしてもよい。
【0044】
このようにすることで、複数の気筒のうちの、吸入行程をおこなう第1の気筒(第1行程における4番シリンダ)へ通じる吸入管(インテークマニホールド)7内へ燃料を噴射するとともに、第1の気筒(4番シリンダ)へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射された燃料(正規の燃料)の供給量に対する所定の比率量の燃料(第2の燃料)を、複数の気筒のうちの、排気行程がおこなわれている第2の気筒(第1行程おける2番シリンダ)へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射する。
【0045】
あるいは、複数の気筒のうちの任意の気筒(第1行程おける2番シリンダ)が排気行程をおこなう際に、その任意の気筒(2番シリンダ)の直前に排気行程をおこなった気筒(第1行程における4番シリンダ)がつぎの吸入行程(すなわち第1行程における吸入行程)において気筒(4番シリンダ)へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射する燃料(正規の燃料)の供給量に対する所定の比率量の燃料(第2の燃料)を、任意の気筒(2番シリンダ)へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射するといってもよい。
【0046】
したがって、第1行程においては、4番シリンダに供給される上記正規の燃料のほかに、2番シリンダに第2の燃料が供給されることになる。同様に、各行程においては、つねに正規の燃料のほかに第2の燃料が補給されることになる。
【0047】
図6〜図9は、この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の状態を示す説明図であり、内燃機関の断面図を示している。図6においては、排気バルブ5が開いているので、排気行程であることがわかる。したがって、ピストン2は上方向へ移動している途中であることがわかる。その排気行程のタイミングで、インジェクタ8からインテークマニホールド7へ第2の燃料が噴射される。ここで、正規の燃料の空燃比を15:1とすると、第2の燃料の空燃比は、15:1の1/3であるので45:1となる。10は、第2の燃料が噴射されて空気と混合した混合気を示している。
【0048】
この際、吸気バルブ4は閉じた状態であることから、第2の燃料混合気10はインテークマニホールド7に滞留している。この第2の燃料混合気10は、十分薄い混合気(空燃費が45:1)であるので、この状態で着火することはない。
【0049】
また、このシリンダは、排気行程であるので吸気バルブ4は閉まっており、さらに爆発行程後であるので吸気バルブ4周辺は高温になっている。すなわち、空気が流れていないので、インテークマニホールド7内の空気の流速をある程度一定化することができる。さらに、ある程度高温になっている空気中に燃料を噴射するので、低温側で安定する方向に動き、インテークマニホールド7内の空気の温度をある程度一定化することができる。したがって、前記両方の相乗効果で空気と燃料の密度をある程度一定化することができる。
【0050】
これによって、燃焼室内直接噴射方式ではないエンジンの場合、インテークマニホールド7内の燃料気化不安定による、低回転時に多く発生するハンチングロスを低減することができる。
【0051】
つぎに、図7に示すように、吸気バルブ4が開かれると、まず、インテークマニホールド7内の第2の燃料混合気10がシリンダ1内へ流入する。吸入行程が始まった直後は、まだ流速が早くなっておらず比較的ゆっくり送り込まれるので、第2の燃料混合気10はピストン2の上部に層状に滞留することになる。
【0052】
さらに、図8に示すように、ピストン2が下方向へ移動するとともに、インジェクタ8から正規の燃料が噴射される。正規な燃料は、インテークマニホールド7において、空気と混合され、第2の燃料よりも濃い混合気となる。そしてこの混合気がピストンの下方向への移動によってシリンダ1へ吸入される(正規の燃料混合気11)。この際、ピストン2の上部には層状に滞留した第2の燃料混合気10が存在しているため、正規の燃料混合気11はその第2の燃料混合気10のさらに上部に滞留することになる。
【0053】
つぎに、図9に示すように、圧縮行程に移行する。ここで、正規の燃料混合気11と第2の燃料混合気10とは、両者の気体の温度差や燃料の濃さの違いから、両者が十分に混ざり合わない状態で圧縮される。したがって、第2の燃料混合気10が正規の燃料混合気11を圧迫し、実質的にシリンダ容量が狭くなった状態で圧縮がおこなわれるため、圧縮比が高くなりエンジン性能が向上することになる。
【0054】
また、スパークプラグ6を点火することによって爆発する際は、第2の燃料混合気10の燃料も一緒に燃焼するため、実際には、ECU9が算出した燃料量(空燃費15:1)よりも45:1分だけ多い燃料による出力(動力)が生み出される。したがって、そのことをセンサーによって検知し、ECU9は次回に供給する燃料を少なくする制御をおこなう。
【0055】
具体的には、任意の行程における全気筒の燃料供給の総計が「15:1」+「45:1」=「45:4」であったのに対して、実際は「45:3」でよかったので、前回の供給量は約25パーセントだけ多すぎたと判断し、その25パーセントを減少させるように制御する。したがって、「15:1」に対して25パーセント減少させた「15:0.75」、すなわち「20:1」を次回供給することになる。そして、また、「20:1」の1/3の「60:1」を排気行程におけるシリンダに供給する。
【0056】
これを繰り返すことで、ECU9のレスポンスの悪さに起因するハンチングを解消することができる。さらにインテークマニホールド7内に事前噴射することで、燃料の気化ムラによる、燃焼効率の低下を抑制することができる。
【0057】
(燃料供給制御方法の処理の内容)
つぎに、この発明の本実施の形態にかかる燃料供給制御方法の処理の内容について説明する。以下に説明する制御は、具体的にはECU9によっておこなわれる。図10は、この発明の本実施の形態にかかる燃料供給制御方法の処理の内容を示すフローチャートである。
【0058】
図10のフローチャートにおいて、まず、正規の燃料供給量である第1の燃料供給量(a)を決定する(ステップS101)。ここで一般的なECU9が燃料の噴射量を決定するのに必要なデータとして以下のものが挙げられる。
【0059】
(1)エンジン回転数:1番シリンダ(爆発行程)の影響大
(2)スロットル開度:ドライバー等外的影響大
(3)吸入空気質量 :4番シリンダ(吸入行程)の影響大
(4)クランク角度 :部分的な影響は小さい
(5)冷却水温度 :部分的な影響は小さい
(6)排気中酸素濃度:2番シリンダ(排気行程)の影響大
(7)排気温度 :部分的な影響は小さい
【0060】
上記は一般的なECU9が燃料の噴射量を決定するのに必要なデータの内、代表的なものを列記し、その項目について大きく影響を与える行程にある、その時点でのシリンダを特定した。ここで、4番シリンダは吸入行程であるのでここに燃料を噴射する必要がある。それに必要なデータは、2〜3行程前のものになる。そして、決定された燃料供給量(噴射量)(a)を吸入行程のシリンダ(4番シリンダ)へ噴射する(ステップS102)。
【0061】
つぎに、エンジンの回転数に関する情報を取得し、現時点でのエンジンの回転数が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS103)。所定値とは、出願人が実験によって得られた結果から約2000〜3500rpmがもっとも望ましい。ただし、エンジンの性能によってこの値は適宜決めることができる。また、外的要因(気温など)によっても手動または自動で変更するようにしてもよい。
【0062】
ステップS103において、エンジン回転数が所定値よりも大きい場合(ステップS103:No)は、本実施の形態の燃料供給制御をおこなう必要がないので、何もせずにステップS101へ戻る。一方、エンジン回転数が所定値以下の場合(ステップS103:Yes)は、つぎに、第1の燃料供給量(a)に基づいて第2の燃料供給量(b)を決定する(ステップS104)。具体的には、上述のように、(b)=(a)×1/3によって算出することが可能である。そして、決定された燃料供給量(噴射量)(b)を排気行程のシリンダ(2番シリンダ)へ噴射する(ステップS105)。その後、ステップS101へ戻って、ステップS101〜S105までの各処理を繰り返しおこなう。
【0063】
なお、本実施の形態においては、排気行程において第2の燃料を供給(噴射)することについて説明したが、排気行程に限らず、爆発行程あるいは圧縮行程において第2の燃料を供給(噴射)してもよい。また、上記圧縮行程、爆発行程、排気行程の複数の行程にまたがって第2の燃料の供給(噴射)をおこなうようにしてもよい。すなわち、本発明にあっては、吸気バルブ4が開かれた状態において正規の燃料が噴射されるとともに、吸気バルブ4が閉じられた状態において、インテークマニホールド7へ第2の燃料が噴射されればよく、具体的な第2の燃料の噴射タイミングは各エンジンの性能などに基づいて個別に設計すればよい。
【0064】
また、一つの前記気筒に対して前記吸気バルブ4が複数設けられている場合に、吸気バルブ4の少なくとも一つが開いている第1の気筒へ通じるインテークマニホールド7へ燃料を噴射するとともに、第1の気筒へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、吸気バルブ4のすべてが閉じている第2の気筒へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射するようにしてもよい。したがって、一つの気筒に対して吸気弁が複数設けられ、それらの吸気弁の開閉が異なるタイミングでおこなわれる場合であっても、本実施の形態にかかる燃料供給制御方法が適用できる。
【0065】
また、この発明の本実施の形態で説明した燃料供給制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをマイクロコンピュータで実行することによって実現される。このプログラムは、ROMチップなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、マイクロコンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。またこのプログラムは、上記記録媒体を介して、または伝送媒体として、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射するため、いわゆるハンチングロスを減少させ、それによって、内燃機関(エンジン)本体の構造に大幅な改造を加えることなく、燃費の低減および排気の浄化を可能にする燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラム、およびその制御方法を用いたあるいはその制御プログラムが記録された内燃機関が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な4ストロークの内燃機関の各行程の状態を示す説明図である。
【図2】この発明の本実施の形態にかかる4気筒における各シリンダおよびその周辺のの状態を示す説明図である。
【図3】4気筒における各シリンダの行程の遷移を示す説明図である。
【図4】この発明の本実施の形態にかかる4気筒における各シリンダの吸気バルブの開閉の状態を示す説明図である。
【図5】この発明の本実施の形態にかかる4気筒における第2の燃料が供給されるシリンダとその供給量との関係を示す説明図である。
【図6】この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の状態を示す説明図である。
【図7】この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の別の状態を示す説明図である。
【図8】この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の別の状態を示す説明図である。
【図9】この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の別の状態を示す説明図である。
【図10】この発明の本実施の形態にかかる燃料供給制御方法の処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】一般的な乗用車のエンジンの性能曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シリンダ(気筒)
2 ピストン
3 クランクシャフト
4 吸気バルブ(吸気弁)
5 排気バルブ(排気弁)
6 スパークプラグ
7 インテークマニホールド(吸入管)
8 インジェクタ
9 ECU(エンジン・コントロール・ユニット)
10 第2の燃料による混合気
11 正規の燃料による混合気
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラム、およびその制御方法を用いたあるいはその制御プログラムが記録された内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、現行のガソリンエンジン(一部ディーゼルエンジンも含む)はコンピュータ(以下、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)という)により、燃料の噴射量、噴射タイミング、点火タイミング、給排気バルブのタイミングなどを制御している。
【0003】
ここで、従来のキャブレター方式がECUに変更された理由として、排気ガス規制をクリアーするために下記の3つの項目を満足させる必要があったと考えられる。
【0004】
(1)空燃比を正確に制御できる(キャブレター方式では、限界がある)。
(2)基本空燃比を随時かつ任意に変更できる(キャブレター方式では、ほぼ不可能である)。
(3)燃料の供給状況に合わせて、最適と思われるタイミングで点火タイミングを、設定できる。
【0005】
この技術が確立するにしたがって、さらに厳しいガス規制と共に燃料消費率の低減も、要求されるようになってきた。このような要求は、今後さらに厳しくなっていくものと推測される。これに対応するために、燃焼室内直接噴射方式(たとえば、三菱自動車のGDIやトヨタ自動車のD−4など)も開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のECUによる制御にあっては、ガス規制をクリアーするという前提の中で、ECUがエンジンを制御するには各種のデータが必要になる。しかし、そのデータは現時点でのデータではなく一つ前のそれである。この場合に問題は特に低回転時(アイドル〜2000rpm)に大きな現象として現れることになる。
【0007】
また、エンジンを制御しているECUはそのときの状況に合わせて、燃料を噴射しているつもりでも、混合気のばらつきにより想定どおりの動力(出力)が取り出せない。それを各種センサーで検出したECUは補正をして噴射量を増加させると、今度は処理に対する結果の遅れから混合気が濃くなりすぎて再度の補正が必要となり、これらに補正を頻繁に繰り返すことになる。この現象をハンチングロスという。燃焼室内直接噴射方式ではないエンジンの場合、インテークマニホールド内の燃料気化不安定による上記ハンチングロスが大きい。この問題も上記同様、低回転時に多く発生する。このハンチングロスが、燃費低減の妨げになっているという問題点があった。
【0008】
図11は、一般的な乗用車のエンジンの性能曲線を示すグラフである。ここで実際に使用されている乗用車の使用状況を分析してみると、
【0009】
0〜 30km : 20%
30〜 60km : 35%
60〜 90km : 30%
90〜120km : 10%
120〜180km : 5%
ただし、上記データは実測値であり使用地域により変動する場合がある。
【0010】
この分析結果から時速90km以下での使用率が80%を超えている。排気量別に分類してみると、
【0011】
500〜1000cc : 3500〜4500rpm
1000〜1500cc : 2500〜3500rpm
1500〜2000cc : 2000〜2500rpm
2000〜2500cc : 1500〜2000rpm
2500〜3000cc : 1500〜2000rpm
【0012】
以上のように、2000cc以上の排気量を持っている乗用車は、2500rpm以下での使用率が80%を超えていることになる。しかし、この領域(700〜2500rpm)は、高回転高出力型のエンジンにとっては燃焼効率が低い回転領域になる。図11からもわかるとおり、このエンジンは一般市販車の中ではかなり低い回転数からトルクを、発生している部類に属するが、2000rpm以下では性能を発揮できていない。
【0013】
高回転高出力型のエンジンは、それなりのインテークマニホールドの容量(直径)を必要とする。しかし、実際に使われているのは実力の1/3程度にしかならない。当然そこを流れる空気は密度も流速も低い状態になる。その空気に燃料を噴射しても均一な混合気にはなりにくい。したがって、インテークマニホールド内に、燃料を噴射していたのでは外的要因(マニホールドの形状を運転状況に合わせてフレキシブルに変更することはできない。)による混合気のばらつきは防げないという問題点があった。
【0014】
さらに、均一な混合気しか燃焼室に供給できないので、これ以上空燃比を低くした混合気を供給しても失火してしまい、運転を続けることができないという問題点があった。
【0015】
この発明は、上述した従来例による課題を解決するため、内燃機関(エンジン)本体の構造に大幅な改造を加えることなく、燃費の低減および排気の浄化を可能にする燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラム、およびその制御方法を用いたあるいはその制御プログラムが記録された内燃機関を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、請求項1に記載の発明において、一つの前記気筒に対して前記吸気弁が複数設けられている場合に、前記吸気弁の少なくとも一つが開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁のすべてが閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0018】
また、請求項3に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0019】
また、請求項4に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0020】
また、請求項5に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記燃料の供給量に対する所定の比率量が、前記燃料の供給量の略3分の1であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項6に記載の発明にかかる燃料供給制御方法は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、エンジン回転数に基づいて、前記所定の比率量の燃料の噴射をおこなうことを特徴とする。
【0022】
また、請求項7に記載の発明にかかる燃料供給制御プログラムは、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0023】
また、請求項8に記載の発明にかかる燃料供給制御プログラムは、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0024】
また、請求項9に記載の発明にかかる燃料供給制御プログラムは、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0025】
また、請求項10に記載の発明にかかる内燃機関は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0026】
また、請求項11に記載の発明にかかる内燃機関は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0027】
また、請求項12に記載の発明にかかる内燃機関は、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする。
【0028】
これらの発明によれば、吸入管(インテークマニホールド)内に、燃料を噴射しても、外的要因を受けない、または影響をできるだけ小さくすることができる。また、失火せずに空燃比をさらに下げることができ、ハンチングロスを抑制することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラムおよび内燃機関の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
(内燃機関の構造)
まず、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関の構造について説明する。図1は、一般的な4ストロークの内燃機関の各行程の状態を示す説明図であり、内燃機関の断面図を示している。図1において、1はシリンダ(気筒)であり、2はピストンであり、3はクランクシャフトであり、4は吸気バルブ(吸気弁)であり、5は排気バルブ(排気弁)であり、6はスパークプラグであり、7は吸入管(インテークマニホールド)である。
【0031】
そして、4ストロークの内燃機関の4つの行程のうちの吸入行程では、吸気弁バルブ4を開き、それにあわせて、ピストン2を下方向へ移動させる。このピストン2の下方向への移動によってインテークマニホールド7から燃料が混合された空気をシリンダ1内に吸入する。つぎに、圧縮行程では、吸気バルブ4を閉じて、ピストン2を上方向へ移動させる。このピストン2の上方向への移動によって、シリンダ1内に吸入した空気を圧縮する。
【0032】
つぎに、爆発行程では、圧縮行程において圧縮された燃料が混合された空気に点火し、その爆発力によってピストン2が下方向へ移動する(押し下げられる)。つぎに、排気行程では、排気バルブ5を開き、それにあわせてピストン2を上方向へ移動させる。このピストン2の上方向への移動によってシリンダ1内の空気をシリンダ1外へ排出する。
【0033】
上記各行程におけるピストン2の上下方向への移動はクランクシャフト3によって交互におこなわれる。このように、4つの行程を繰り返しておこなうことによって内燃機関における回転運動を発生させることができる。
【0034】
つぎに、4気筒の内燃機関を例にして本実施の形態にかかる燃料供給制御方法の概要について説明する。図2は、この発明の本実施の形態にかかる4気筒における各シリンダおよびその周辺の状態を示す説明図であり、内燃機関の断面図を示している。4つのシリンダ(気筒)を並べて、1番シリンダ〜4番シリンダというように、一方から順序を伏した場合に、爆発行程は、「1番シリンダ」→「3番シリンダ」→「4番シリンダ」→「2番シリンダ」の順におこなわれる。
【0035】
したがって、1番シリンダにおいて爆発行程がおこなわれているときは、3番シリンダにおいて、つぎの爆発行程に備えて、シリンダ内の空気を圧縮する圧縮行程がおこなわれている。同様に、4番シリンダにおいて吸入行程がおこなわれ、2番シリンダにおいて排気行程がおこなわれる。
【0036】
上記の各シリンダ(1番シリンダ〜4番シリンダ)の行程の遷移を示したのが図3である。このように4気筒の場合、各シリンダにおいてそれぞれ別の行程がおこなわれている。
【0037】
つぎに、吸気バルブ4の開閉の状態について説明する。図4は、この発明の本実施の形態にかかる4気筒における各シリンダの吸気バルブの開閉の状態を示す説明図である。図4において、各行程(第1行程、第2行程、・・・)は、図3に示した各行程と同じ行程を示している。
【0038】
すなわち、1番シリンダは、第3行程(吸入行程)においてのみ吸気バルブ4を開いており、他の行程においては吸気バルブ4を閉じていることを示している。他のシリンダも同様に、吸入行程においてのみ吸気バルブ4を開いており、他の行程においては吸気バルブ4を閉じていることを示している。
【0039】
そして、燃料は、通常、吸入行程であって吸気バルブ4が開いている間に、後述するインジェクタ8からインテークマニホールド7へ噴射されることによって燃料が供給される。一度に供給(噴射)される燃料の供給量は、後述するECU(エンジン・コントロール・ユニット)9によって制御される。より具体的には、ECU9からインジェクタ8へ燃料供給信号(電流)が流れている間のみ、図示を省略する噴出口を開いて燃料を噴射している。したがって、上記燃料供給信号(電流)を流す時間によって燃料の供給量を制御する。
【0040】
本実施の形態にかかる燃料供給制御方法にあっては、吸入行程における燃料(以下「正規の燃料」という)の供給のほかに、さらに、排気行程において燃料を供給するものである。この燃料を「第2の燃料」とする。図5は、この発明の本実施の形態にかかる4気筒における第2の燃料が供給されるシリンダとその供給量との関係を示す説明図である。
【0041】
図5において、第1行程に着目すると、第1行程にあっては、図3にも示すように、4番シリンダが吸入行程となっており、所定量の燃料(正規の燃料)の供給がおこなわれている。そして、その際2番シリンダは排気行程となっている。この2番シリンダが排気行程であるときに、現在吸入行程となっている4番シリンダに供給される燃料の1/3の燃料(第2の燃料)を2番シリンダのインテークマニホールド7へ噴射する。
【0042】
同様に、第2行程では、排気行程の1番シリンダに、第2行程において吸入行程である2番シリンダに供給される燃料(正規の燃料)の1/3の燃料(第2の燃料)を、第3行程では、排気行程の3番シリンダに、第3行程において吸入行程である1番シリンダに供給される燃料(正規の燃料)の1/3の燃料(第2の燃料)を、第4行程では、排気行程の4番シリンダに、第4行程において吸入行程である3番シリンダに供給される燃料(正規の燃料)の1/3の燃料(第2の燃料)を、それぞれ供給(噴射)する。
【0043】
なお、第2の燃料が、正規の燃料の所定の比率量として1/3であるとしたが、この比率量には限定されない。ただし、出願人は、第2の燃料の供給量として、正規の燃料の1/3付近がもっとも効率的であることを実験によって発見した。また、この比率量は固定としているが、エンジンの回転数などの外的要因に関する情報に基づいて、この比率量を可変にするようにしてもよい。
【0044】
このようにすることで、複数の気筒のうちの、吸入行程をおこなう第1の気筒(第1行程における4番シリンダ)へ通じる吸入管(インテークマニホールド)7内へ燃料を噴射するとともに、第1の気筒(4番シリンダ)へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射された燃料(正規の燃料)の供給量に対する所定の比率量の燃料(第2の燃料)を、複数の気筒のうちの、排気行程がおこなわれている第2の気筒(第1行程おける2番シリンダ)へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射する。
【0045】
あるいは、複数の気筒のうちの任意の気筒(第1行程おける2番シリンダ)が排気行程をおこなう際に、その任意の気筒(2番シリンダ)の直前に排気行程をおこなった気筒(第1行程における4番シリンダ)がつぎの吸入行程(すなわち第1行程における吸入行程)において気筒(4番シリンダ)へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射する燃料(正規の燃料)の供給量に対する所定の比率量の燃料(第2の燃料)を、任意の気筒(2番シリンダ)へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射するといってもよい。
【0046】
したがって、第1行程においては、4番シリンダに供給される上記正規の燃料のほかに、2番シリンダに第2の燃料が供給されることになる。同様に、各行程においては、つねに正規の燃料のほかに第2の燃料が補給されることになる。
【0047】
図6〜図9は、この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の状態を示す説明図であり、内燃機関の断面図を示している。図6においては、排気バルブ5が開いているので、排気行程であることがわかる。したがって、ピストン2は上方向へ移動している途中であることがわかる。その排気行程のタイミングで、インジェクタ8からインテークマニホールド7へ第2の燃料が噴射される。ここで、正規の燃料の空燃比を15:1とすると、第2の燃料の空燃比は、15:1の1/3であるので45:1となる。10は、第2の燃料が噴射されて空気と混合した混合気を示している。
【0048】
この際、吸気バルブ4は閉じた状態であることから、第2の燃料混合気10はインテークマニホールド7に滞留している。この第2の燃料混合気10は、十分薄い混合気(空燃費が45:1)であるので、この状態で着火することはない。
【0049】
また、このシリンダは、排気行程であるので吸気バルブ4は閉まっており、さらに爆発行程後であるので吸気バルブ4周辺は高温になっている。すなわち、空気が流れていないので、インテークマニホールド7内の空気の流速をある程度一定化することができる。さらに、ある程度高温になっている空気中に燃料を噴射するので、低温側で安定する方向に動き、インテークマニホールド7内の空気の温度をある程度一定化することができる。したがって、前記両方の相乗効果で空気と燃料の密度をある程度一定化することができる。
【0050】
これによって、燃焼室内直接噴射方式ではないエンジンの場合、インテークマニホールド7内の燃料気化不安定による、低回転時に多く発生するハンチングロスを低減することができる。
【0051】
つぎに、図7に示すように、吸気バルブ4が開かれると、まず、インテークマニホールド7内の第2の燃料混合気10がシリンダ1内へ流入する。吸入行程が始まった直後は、まだ流速が早くなっておらず比較的ゆっくり送り込まれるので、第2の燃料混合気10はピストン2の上部に層状に滞留することになる。
【0052】
さらに、図8に示すように、ピストン2が下方向へ移動するとともに、インジェクタ8から正規の燃料が噴射される。正規な燃料は、インテークマニホールド7において、空気と混合され、第2の燃料よりも濃い混合気となる。そしてこの混合気がピストンの下方向への移動によってシリンダ1へ吸入される(正規の燃料混合気11)。この際、ピストン2の上部には層状に滞留した第2の燃料混合気10が存在しているため、正規の燃料混合気11はその第2の燃料混合気10のさらに上部に滞留することになる。
【0053】
つぎに、図9に示すように、圧縮行程に移行する。ここで、正規の燃料混合気11と第2の燃料混合気10とは、両者の気体の温度差や燃料の濃さの違いから、両者が十分に混ざり合わない状態で圧縮される。したがって、第2の燃料混合気10が正規の燃料混合気11を圧迫し、実質的にシリンダ容量が狭くなった状態で圧縮がおこなわれるため、圧縮比が高くなりエンジン性能が向上することになる。
【0054】
また、スパークプラグ6を点火することによって爆発する際は、第2の燃料混合気10の燃料も一緒に燃焼するため、実際には、ECU9が算出した燃料量(空燃費15:1)よりも45:1分だけ多い燃料による出力(動力)が生み出される。したがって、そのことをセンサーによって検知し、ECU9は次回に供給する燃料を少なくする制御をおこなう。
【0055】
具体的には、任意の行程における全気筒の燃料供給の総計が「15:1」+「45:1」=「45:4」であったのに対して、実際は「45:3」でよかったので、前回の供給量は約25パーセントだけ多すぎたと判断し、その25パーセントを減少させるように制御する。したがって、「15:1」に対して25パーセント減少させた「15:0.75」、すなわち「20:1」を次回供給することになる。そして、また、「20:1」の1/3の「60:1」を排気行程におけるシリンダに供給する。
【0056】
これを繰り返すことで、ECU9のレスポンスの悪さに起因するハンチングを解消することができる。さらにインテークマニホールド7内に事前噴射することで、燃料の気化ムラによる、燃焼効率の低下を抑制することができる。
【0057】
(燃料供給制御方法の処理の内容)
つぎに、この発明の本実施の形態にかかる燃料供給制御方法の処理の内容について説明する。以下に説明する制御は、具体的にはECU9によっておこなわれる。図10は、この発明の本実施の形態にかかる燃料供給制御方法の処理の内容を示すフローチャートである。
【0058】
図10のフローチャートにおいて、まず、正規の燃料供給量である第1の燃料供給量(a)を決定する(ステップS101)。ここで一般的なECU9が燃料の噴射量を決定するのに必要なデータとして以下のものが挙げられる。
【0059】
(1)エンジン回転数:1番シリンダ(爆発行程)の影響大
(2)スロットル開度:ドライバー等外的影響大
(3)吸入空気質量 :4番シリンダ(吸入行程)の影響大
(4)クランク角度 :部分的な影響は小さい
(5)冷却水温度 :部分的な影響は小さい
(6)排気中酸素濃度:2番シリンダ(排気行程)の影響大
(7)排気温度 :部分的な影響は小さい
【0060】
上記は一般的なECU9が燃料の噴射量を決定するのに必要なデータの内、代表的なものを列記し、その項目について大きく影響を与える行程にある、その時点でのシリンダを特定した。ここで、4番シリンダは吸入行程であるのでここに燃料を噴射する必要がある。それに必要なデータは、2〜3行程前のものになる。そして、決定された燃料供給量(噴射量)(a)を吸入行程のシリンダ(4番シリンダ)へ噴射する(ステップS102)。
【0061】
つぎに、エンジンの回転数に関する情報を取得し、現時点でのエンジンの回転数が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS103)。所定値とは、出願人が実験によって得られた結果から約2000〜3500rpmがもっとも望ましい。ただし、エンジンの性能によってこの値は適宜決めることができる。また、外的要因(気温など)によっても手動または自動で変更するようにしてもよい。
【0062】
ステップS103において、エンジン回転数が所定値よりも大きい場合(ステップS103:No)は、本実施の形態の燃料供給制御をおこなう必要がないので、何もせずにステップS101へ戻る。一方、エンジン回転数が所定値以下の場合(ステップS103:Yes)は、つぎに、第1の燃料供給量(a)に基づいて第2の燃料供給量(b)を決定する(ステップS104)。具体的には、上述のように、(b)=(a)×1/3によって算出することが可能である。そして、決定された燃料供給量(噴射量)(b)を排気行程のシリンダ(2番シリンダ)へ噴射する(ステップS105)。その後、ステップS101へ戻って、ステップS101〜S105までの各処理を繰り返しおこなう。
【0063】
なお、本実施の形態においては、排気行程において第2の燃料を供給(噴射)することについて説明したが、排気行程に限らず、爆発行程あるいは圧縮行程において第2の燃料を供給(噴射)してもよい。また、上記圧縮行程、爆発行程、排気行程の複数の行程にまたがって第2の燃料の供給(噴射)をおこなうようにしてもよい。すなわち、本発明にあっては、吸気バルブ4が開かれた状態において正規の燃料が噴射されるとともに、吸気バルブ4が閉じられた状態において、インテークマニホールド7へ第2の燃料が噴射されればよく、具体的な第2の燃料の噴射タイミングは各エンジンの性能などに基づいて個別に設計すればよい。
【0064】
また、一つの前記気筒に対して前記吸気バルブ4が複数設けられている場合に、吸気バルブ4の少なくとも一つが開いている第1の気筒へ通じるインテークマニホールド7へ燃料を噴射するとともに、第1の気筒へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、吸気バルブ4のすべてが閉じている第2の気筒へ通じるインテークマニホールド7内へ噴射するようにしてもよい。したがって、一つの気筒に対して吸気弁が複数設けられ、それらの吸気弁の開閉が異なるタイミングでおこなわれる場合であっても、本実施の形態にかかる燃料供給制御方法が適用できる。
【0065】
また、この発明の本実施の形態で説明した燃料供給制御方法は、あらかじめ用意されたプログラムをマイクロコンピュータで実行することによって実現される。このプログラムは、ROMチップなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、マイクロコンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。またこのプログラムは、上記記録媒体を介して、または伝送媒体として、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射するため、いわゆるハンチングロスを減少させ、それによって、内燃機関(エンジン)本体の構造に大幅な改造を加えることなく、燃費の低減および排気の浄化を可能にする燃料供給制御方法、燃料供給制御プログラム、およびその制御方法を用いたあるいはその制御プログラムが記録された内燃機関が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な4ストロークの内燃機関の各行程の状態を示す説明図である。
【図2】この発明の本実施の形態にかかる4気筒における各シリンダおよびその周辺のの状態を示す説明図である。
【図3】4気筒における各シリンダの行程の遷移を示す説明図である。
【図4】この発明の本実施の形態にかかる4気筒における各シリンダの吸気バルブの開閉の状態を示す説明図である。
【図5】この発明の本実施の形態にかかる4気筒における第2の燃料が供給されるシリンダとその供給量との関係を示す説明図である。
【図6】この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の状態を示す説明図である。
【図7】この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の別の状態を示す説明図である。
【図8】この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の別の状態を示す説明図である。
【図9】この発明の本実施の形態にかかる内燃機関における燃料供給の別の状態を示す説明図である。
【図10】この発明の本実施の形態にかかる燃料供給制御方法の処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】一般的な乗用車のエンジンの性能曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シリンダ(気筒)
2 ピストン
3 クランクシャフト
4 吸気バルブ(吸気弁)
5 排気バルブ(排気弁)
6 スパークプラグ
7 インテークマニホールド(吸入管)
8 インジェクタ
9 ECU(エンジン・コントロール・ユニット)
10 第2の燃料による混合気
11 正規の燃料による混合気
Claims (12)
- 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、
前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする燃料供給制御方法。 - 一つの前記気筒に対して前記吸気弁が複数設けられている場合に、前記吸気弁の少なくとも一つが開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁のすべてが閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする請求項1に記載の燃料供給制御方法。
- 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、
前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする燃料供給制御方法。 - 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御方法において、
前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする燃料供給制御方法。 - 前記燃料の供給量に対する所定の比率量は、前記燃料の供給量の略3分の1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の燃料供給制御方法。
- エンジン回転数に基づいて、前記所定の比率量の燃料の噴射をおこなうことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の燃料供給制御方法。
- 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、
前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする燃料供給制御プログラム。 - 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、
前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする燃料供給制御プログラム。 - 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関への燃料供給を制御する燃料供給制御プログラムにおいて、
前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする燃料供給制御プログラム。 - 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、
前記複数の気筒のうちの、吸気弁が開いている第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記吸気弁が閉じている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする内燃機関。 - 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、
前記複数の気筒のうちの、前記吸入行程をおこなう第1の気筒へ通じる吸入管内へ燃料を噴射するとともに、前記第1の気筒へ通じる吸入管内へ噴射された燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記複数の気筒のうちの、前記排気行程がおこなわれている第2の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする内燃機関。 - 複数の気筒が、それぞれ、吸入行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の順で作動する4ストロークの内燃機関において、
前記複数の気筒のうちの任意の気筒が前記排気行程をおこなう際に、当該任意の気筒の直前に前記排気行程をおこなった気筒がつぎの吸入行程において当該気筒へ通じる吸入管内へ噴射する燃料の供給量に対する所定の比率量の燃料を、前記任意の気筒へ通じる吸入管内へ噴射することを特徴とする内燃機関。
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