JP2004092488A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Abstract

【目的】この発明の目的は、筒内混合気の最適な成層化を実現し得て、HCの低減を果たすことにある。
【構成】このため、この発明は、燃料噴射弁とクランク角検出手段と機関回転数検出手段と冷却水温度検出手段とを少なくとも備え、各種検出手段の検出する信号に基づいて算出された燃料噴射量と燃料噴射時期とにより燃料を噴射するように燃料噴射弁を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、内燃機関の1サイクル毎に各気筒に噴射される燃料噴射量を第1の噴射量と第2の噴射量とに分割して設定し、1サイクルの膨張行程から排気行程において第1の噴射量の燃料を噴射するとともに1サイクルの排気行程から吸気行程において第2の噴射量の燃料を噴射するように燃料噴射弁を制御する制御手段を設けたことを特徴とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は内燃機関の燃料噴射制御装置に係り、特に、筒内混合気の最適な成層化を実現し得て、HCの低減を果たし得る内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される内燃機関には、燃料噴射制御装置を設けているものがある。燃料噴射制御装置は、機関回転数や冷却水温度等の機関運転状態を検出する各種検出手段を設け、これら各種検出手段の検出する信号に基づいて燃料噴射量と燃料噴射時期とを算出し、算出された燃料噴射量と燃料噴射時期とにより燃料を噴射するように燃料噴射弁を制御している。
【0003】
この燃料噴射制御装置においては、内燃機関の冷機時にHCを低減するために、混合気のリーン化を実施しているものがある。
【0004】
このような内燃機関の燃料噴射制御装置としては、特開平10−212987号公報、特開2000−54871号公報に開示されるものがある。
【0005】
特開平10−212987号公報に開示されるものは、排気ガス浄化用の触媒が冷機状態のときに、燃料を直接燃焼室に噴射するインジェクタで吸気行程と圧縮行程との分割噴射を行い、燃焼室内の点火プラグ付近に理論空燃比ないしリッチな空燃比の混合気を形成するとともにその周囲にリーンな混合気を形成して燃焼を行わせ、HC、NOxの排出量を低減している。
【0006】
特開2000−54871号公報に開示されるものは、バルブタイミング可変手段と排気干渉手段とを設け、触媒の活性化を要するときに、バルブタイミング可変手段により排気弁の開弁期間を拡大して気筒間のオーバラップを増加させ、各気筒からの排気ガスを排気干渉手段内でより長時間にわたって干渉させ、未燃HCを余剰酸素と反応させて燃焼させるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の燃料噴射制御装置においては、内燃機関の冷機時に、HCを低減するための手法として、混合気のリーン化を実施しているものがある。しかし、単に燃料噴射量を減少させただけでは、アイドルラフ等のドライバビリティの悪化を招く問題がある。
【0008】
また、内燃機関の燃料噴射制御装置には、内燃機関の冷機時にHCを低減するために、図6に示す如く、1サイクルの燃料噴射時期ANGを吸気行程に設定し、筒内混合気の成層化により、ドライバビリティを損なうことなくリーン化を実施するものがある。
【0009】
しかし、この燃料噴射制御装置は、成層化の度合いが強いことから、図7に示す如く、燃料噴射量に対するHC排出量の割合が多くなってしまい、リーン化によるHC低減効果が薄れる不都合がある。また、1気筒につき1サイクルに1回の噴射では、図7に示す如く、燃料噴射時期から見たHC排出量とリーン限界とに相反する関係があったため、燃料噴射時期の最適化によりHC排出量の低減とリーン限界の拡大とを高い次元で両立させることが困難な不都合があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明は、上述の不都合を除去するために、内燃機関の吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記内燃機関のクランク角を検出するクランク角検出手段と、前記内燃機関の機関回転数を検出する機関回転数検出手段と、前記内燃機関の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段とを少なくとも備え、前記各種検出手段の検出する信号に基づいて算出された燃料噴射量と燃料噴射時期とにより燃料を噴射するように前記燃料噴射弁を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記内燃機関の1サイクル毎に各気筒に噴射される燃料噴射量を第1の噴射量と第2の噴射量とに分割して設定し、1サイクルの膨張行程から排気行程において前記第1の噴射量の燃料を噴射するとともに1サイクルの排気行程から吸気行程において前記第2の噴射量の燃料を噴射するように前記燃料噴射弁を制御する制御手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の内燃機関の燃料噴射制御装置は、制御手段によって、内燃機関の1サイクル毎に各気筒に噴射される燃料噴射量を第1の噴射量と第2の噴射量とに分割して設定し、1サイクルの膨張行程から排気行程において第1の噴射量の燃料を噴射するとともに1サイクルの排気行程から吸気行程において第2の噴射量の燃料を噴射するように燃料噴射弁を制御することにより、第1の噴射量の燃料を一旦吸気弁に当てて筒内混合気の均一化を図ることができるとともに、第2の噴射量の燃料を筒内の点火プラグ近傍に集めることができ、過剰な成層化を抑えて、最適な筒内混合気を形成することができる。
【0012】
【実施例】
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。図1〜図3は、この発明の実施例を示すものである。図3において、2は図示しない車両に搭載される内燃機関、4はシリンダブロック、6はシリンダヘッド、8はシリンダ、10はピストン、12はコンロッド、14は燃焼室、16はウォータジャケットである。
【0013】
内燃機関2のシリンダヘッド6には、吸気ポート18及び排気ポート20を形成して設け、吸気ポート18の吸気口22及び排気ポート20の排気口24を夫々開閉する吸気弁26及び排気弁28を設け、点火プラグ30を設けている。点火プラグ30には、シリンダヘッドカバー8に取付けられたイグニションコイル32を接続して設けている。
【0014】
また、シリンダヘッド6には、吸気マニホルド34を連絡して吸気ポート18に連通する吸気通路36を形成して設け、排気マニホルド38を連絡して排気ポート20に連通する排気通路40を形成して設けている。吸気通路36の上流側には、図示しないスロットルバルブが設けられている。
【0015】
この内燃機関2は、吸気マニホルド34に燃料噴射弁42を取付けて設けている。燃料噴射弁42は、吸気ポート18に臨ませるとともに、吸気口22から燃焼室14に指向させて設けている。
【0016】
前記イグニションコイル32と燃料噴射弁42とは、内燃機関2の燃料噴射制御装置44を構成する制御手段46に接続して設けている。制御手段46には、内燃機関2のクランク角を検出するクランク角検出手段たるクランク角センサ48と、内燃機関2の機関回転数を検出する機関回転数検出手段たる機関回転数センサ50と、内燃機関2のウォータジャケット16の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段たる冷却水温度センサ52とを接続して設けている。
【0017】
燃料噴射制御装置44は、制御手段46によって、各種センサ48〜52の検出する信号に基づいて燃料噴射量TIBと燃料噴射時期ANGとを算出し、算出された燃料噴射量TIBと燃料噴射時期ANGとにより燃料を噴射するように、燃料噴射弁42の動作を制御する。
【0018】
この燃料噴射制御装置44は、制御手段46によって、内燃機関2の1サイクル毎に各気筒nのシリンダ8に噴射される燃料噴射量TIBnを第1の噴射量TIBnaと第2の噴射量TIBnbとに分割して設定し、1サイクルの膨張行程から排気行程において第1の噴射量TIBnaの燃料を噴射するとともに1サイクルの排気行程から吸気行程において第2の噴射量TIBnbの燃料を噴射するように、燃料噴射弁42を制御する。
【0019】
前記制御手段46は、燃料噴射量TIBnを第1の噴射量TIBnaと第2の噴射量TIBnbとに分割する割合を、機関回転数neと冷却水温度wtとにより決定する。また、前記制御手段46は、第1の噴射量TIBnaが噴射される第1の燃料噴射時期ANGaと第2の噴射量TIBnbが噴射される第2の燃料噴射時期ANGbとを、機関回転数neと冷却水温度wtとにより決定する。
【0020】
次に、この実施例の作用を説明する。
【0021】
燃料噴射制御装置44は、図1に示す如く、制御手段46によって、内燃機関2の冷機時にプログラムがスタート(100)すると、各気筒nの要求する燃料噴射量(噴射パルス幅)TIBnを算出する(102)。
【0022】
算出された燃料噴射量TIBnから第1、第2の噴射量(噴射パルス幅)TIBna、TIBnbを分割して算出する(104)。第1の噴射量TIBnaは、TIBna=TIBn−TIBnbの式より求められる。第2の噴射量TIBnbは、TIBnb=TIBn*KTIBTW(ne,wt)の式より求められる。KTIBTW(ne,wt)は、第2の噴射量を補正するための第2の噴射量水温補正値であり、機関回転数neと冷却水温度wtとにより決定される。
【0023】
前記(104)において求められた第1、第2の噴射量TIBna、TIBnbを、夫々第1、第2の角度(TIBna→angTIBna、TIBnb→angTIBnb)に変換する(106)。
【0024】
この変換された第1、第2の角度angTIBna、angTIBnbから、第1、第2の燃料噴射開始時期として、基準角からの第1、第2の噴射開始角ANGaST、ANGbSTを算出する(108)。第1の噴射開始角ANGaSTは、ANGaST=ANGa−angTIBnaの式より求められる。第2の噴射開始角ANGbSTは、ANGbST=ANGb−angTIBnbの式より求められる。ANGa、ANGbは、夫々基準角からの第1、第2の噴射終了角である。
【0025】
前記(108)において求められた第1、第2の噴射開始角ANGaST、ANGbSTにしたがって、気筒nの1サイクルの膨張行程から排気行程におけるクランク角ANGaSTにおいて第1の噴射量TIBnaの燃料を噴射するように燃料噴射弁42を制御し(110)、気筒nの1サイクルの排気行程から吸気行程におけるクランク角ANGbSTにおいて第2の噴射量TIBnbの燃料を噴射するように燃料噴射弁42を制御し(112)、エンドとする(ステップ114)。
【0026】
この燃料噴射制御装置44による内燃機関2の第1気筒#1についての燃料噴射制御を説明する。
【0027】
燃料噴射制御装置44は、図2に示す如く、制御手段46によって、制御がスタートすると、内燃機関2の第1気筒#1の要求する燃料噴射量(噴射パルス幅)TIB1を算出し、この燃料噴射量TIB1から第1の噴射量(噴射パルス幅)TIB1aをTIB1a=TIB1−TIB1bの式より求め、第2の噴射量(噴射パルス幅)TIB1bをTIB1b=TIB1*KTIBTW(ne,wt)の式より求める。KTIBTW(ne,wt)は、第2の噴射量水温補正値であり、機関回転数neと冷却水温度wtとにより決定される。
【0028】
燃料噴射量TIB1を分割して求められた第1、第2の噴射量TIBna、TIBnbを夫々第1、第2の角度angTIB1a、angTIB1bに変換し、第1の角度angTIB1aから第1の噴射終了時期ANGaをANGa=TTANGa(ne,wt)の式より求め、第2の角度angTIB1bから第2の噴射終了時期ANGbをANGb=TTANGb(ne,wt)の式より求める。TTANGa(ne,wt)、TTANGb(ne,wt)は、夫々基準角からの第1、第2の噴射終了時期であり、機関回転数neと冷却水温度wtとにより決定される。
【0029】
求められた第1、第2の噴射終了時期ANGa、ANGbにしたがって、第1気筒#1の1サイクルの膨張行程から排気行程におけるクランク角ANGaSTにおいて第1の噴射量TIB1aの燃料を噴射するように燃料噴射弁42を制御し、第1気筒#1の1サイクルの排気行程から吸気行程におけるクランク角ANGbSTにおいて第2の噴射量TIB1bの燃料を噴射するように燃料噴射弁42を制御し、エンドにする。
【0030】
このように、燃料噴射制御装置44は、制御手段46によって、内燃機関2の1サイクル毎に各気筒nのシリンダ12に噴射される燃料噴射量TIBnを第1の噴射量TIBnaと第2の噴射量TIBnbとに分割して設定し、1サイクルの膨張行程から排気行程において第1の噴射量TIBnaの燃料を噴射するとともに1サイクルの排気行程から吸気行程において第2の噴射量TIBnbの燃料を噴射するように、燃料噴射弁42を制御する。
【0031】
これにより、燃料噴射制御装置44は、第1の噴射量TIBnaの燃料を一旦吸気弁26に当てて筒内混合気の均一化を図ることができるとともに、第2の噴射量TIBnbの燃料を筒内の点火プラグ30近傍に集めることができ、過剰な成層化を抑えて、最適な筒内混合気を形成することができる。
【0032】
このため、この燃料噴射制御装置44は、筒内混合気の最適な成層化を実現することができ、内燃機関2の特に冷機時に混合気のリーン化を実施する場合に、HCの低減を果たしつつリーン限界を拡大することができる。
【0033】
また、燃料噴射制御装置44は、燃料噴射量TIB1を第1の噴射量TIBnaと第2の噴射量TIBnbとに分割する割合を機関回転数neと冷却水温度wtとにより決定し、第1の噴射量TIBnaが噴射される第1の燃料噴射時期ANGaと第2の噴射量TIBnbが噴射される第2の燃料噴射時期ANGbとを機関回転数neと冷却水温度wtとにより決定している。
【0034】
このため、この燃料噴射制御装置44は、HCの低減とリーン限界の拡大とを両立させることができる。
【0035】
なお、この発明は、上述実施例に限定されるものではなく、種々応用改変が可能である。例えば、この実施例においては、噴き終わり制御に適用したが、噴き始め制御においても適用が可能である。
【0036】
また、1サイクル毎に各気筒に噴射される第1の噴射量と第2の噴射量とは、図4に示す如く、夫々次第に増大するように複数に分割して噴射することにより、第1の噴射量の燃料によって筒内混合気をリーンからリッチに向かって変化する層状に形成することができるとともに、第2の噴射量の燃料によって筒内の点火プラグ30近傍に集まる混合気をリーンからリッチに向かって変化する層状に形成することができ、これにより、第1の噴射量による混合気と第2の噴射量による混合気とをリーンからリッチに向かって連続して変化する層状に形成することができ、最適な筒内混合気を形成することができるとともに燃焼性を向上することができ、HCの低減を果たしつつリーン限界を拡大することができる。
【0037】
さらに、1サイクルの排気行程から吸気行程において噴射される第2の噴射量は、図5に示す如く、吸気行程初期に開弁動作される吸気弁26の開度割合いに応じて次第に噴射量が増大するように複数に分割して噴射することにより、吸気口22を通過する空気量に対応する量の燃料を供給することができ、点火プラグ30近傍に集まる混合気を均一化することができ、着火性を向上して筒内混合気の燃焼性を向上することができ、HCの低減を果たしつつリーン限界を拡大すことができる。
【0038】
【発明の効果】
このように、この発明の内燃機関の燃料噴射制御装置は、第1の噴射量の燃料を一旦吸気弁に当てて筒内混合気の均一化を図ることができるとともに、第2の噴射量の燃料を筒内の点火プラグ近傍に集めることができ、過剰な成層化を抑えて、最適な筒内混合気を形成することができる。
【0039】
このため、この発明の内燃機関の燃料噴射制御装置は、筒内混合気の最適な成層化を実現することができ、HCの低減を果たしつつリーン限界を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す燃料噴射制御装置のフローチャートである。
【図2】実施例を示す燃料噴射制御装置のタイムチャートである。
【図3】実施例を示す燃料噴射制御装置のシステム構成図である。
【図4】第1の応用例を示す燃料噴射制御装置のタイミングチャートである。
【図5】第2の応用例を示す燃料噴射制御装置のタイミングチャートである。
【図6】従来例を示す燃料噴射制御装置のタイミングチャートである。
【図7】噴射時期から見たHC排出量とリーン限界との関係を示す図である。
【符号の説明】
2 内燃機関
8 シリンダ
14 燃焼室
42 燃料噴射弁
44 燃料噴射制御装置
46 制御手段
48 クランク角センサ
50 機関回転数センサ
52 冷却水温度センサ

Claims (3)

  1. 内燃機関の吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記内燃機関のクランク角を検出するクランク角検出手段と、前記内燃機関の機関回転数を検出する機関回転数検出手段と、前記内燃機関の冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段とを少なくとも備え、前記各種検出手段の検出する信号に基づいて算出された燃料噴射量と燃料噴射時期とにより燃料を噴射するように前記燃料噴射弁を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記内燃機関の1サイクル毎に各気筒に噴射される燃料噴射量を第1の噴射量と第2の噴射量とに分割して設定し、1サイクルの膨張行程から排気行程において前記第1の噴射量の燃料を噴射するとともに1サイクルの排気行程から吸気行程において前記第2の噴射量の燃料を噴射するように前記燃料噴射弁を制御する制御手段を設けたことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記第1の噴射量と前記第2の噴射量とに分割する割合を機関回転数と冷却水温度とにより決定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記第1の噴射量が噴射される第1の燃料噴射時期と前記第2の噴射量が噴射される第2の燃料噴射時期とを機関回転数と冷却水温度とにより決定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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