JP2004010975A - 被膜の材料選定方法及び被膜 - Google Patents

被膜の材料選定方法及び被膜 Download PDF

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Abstract

【課題】水中で回転する流体機械の回転部材、例えば羽根車の表面を被覆する材料は、耐スラリーエロージョンの他に耐キャビテーションエロージョン性にも優れた材料を用いる必要がある。その合理的な選定方法を提供する。
【解決手段】溶射法を用いて基材表面を被覆する場合に、この材料の選定方法では、耐スラリーエロージョン性のみに影響を与える材料因子と、耐キャビテーションエロージョン性のみに影響を与える材料因子を各々独立して評価して選定する。耐スラリーエロージョン性の評価には被膜表面のセラミックス粒子面積率またはビッカース硬度を用い、耐キャビテーションエロージョン性の評価には被膜表面の単位面積あたりの空孔の周囲長合計または空孔面積率を用いる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐エロージョン被膜及びその材料の選定方法に関し、詳細には、耐スラリーエロージョン性及び耐キャビテーションエロージョン性の両者を有する耐エロージョン被膜の材料を選定する方法及びそのような選定方法により選定された被膜に関し、更にはそのような被膜で被覆された羽根車及びその羽根車を有する流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】
粒状の土砂を含む水等の液体を扱うポンプ、水車等の流体機械では、流体内で動作するランナーすなわち羽根車等の回転部材或いは流体の流路を形成する構成部材には、流体に接する面の摩損を防止するために耐スラリーエロージョン性に優れた材料を用いる必要がある。しかしながら、このような耐スラリーエロージョンに優れた材料は高価であるだけでなく、単独で使用するには他の機械的強度に欠ける問題があり、通常は、性能、コスト、補修等を考慮し、構成部材を構成する基材の表面に硬質の溶射被膜を所望の厚さに溶着させ、そのような基材を摩損から保護している。そしてこのような硬質の溶射被膜の材料としては、セラミックスと金属の複合材料であるサーメット材料が、従来から用いられる場合が多い。
一方、水中で回転する流体機械の回転部材、例えば羽根車では回転によって発生するキャビテーションエロージョンも考慮に入れる必要があり、このような回転部材の表面を被覆する被膜にはキャビテーションエロージョンに耐え得る材料が要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、今まで、このような目的で使用される硬質被膜の材料の選定にあたって、耐スラリーエロージョン性、及び耐キャビテーションエロージョン性について明確な選定基準に従って行われていたとは言い難く、従来からの経験に基づいて材料を選定しているのが現状である。
従来では、一般的に、硬い材料ほど耐スラリーエロージョン性に優れるため、できるだけ多量にセラミックス硬質粒子を含有させることにより、硬さを向上させる方向で材料を開発してきた。しかし、セラミックス硬質粒子の含有量が多くなると、結合剤として作用する金属部分の含有量が少なくなるため、施工性が悪くなり、割れなども発生しやすくなる。しかも、硬質被膜は、材料の種類によってはセラミックス硬質粒子が偏在し、硬さを正確に測定することが困難な場合がある。
【0004】
更に、耐スラリーエロージョン性に影響を及ぼす材料に関する影響因子、および耐キャビテーションエロージョン性に影響を及ぼす材料に関する影響因子について、それらが互いにいかなる関係にあるかが確かめられたことはなく、材料選定試験以外の方法が探られてこなかった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、耐スラリーエロージョン性に影響を及ぼす材料に関する影響因子、及び耐キャビテーションエロージョン性に影響を及ぼす材料に関する影響因子を明らかにして、耐エロージョン性被膜の合理的な材料選定方法を提供することである。
本発明の他の目的は、耐スラリーエロージョン性には被膜表面のセラミックス粒子面積率又はビッカース硬さを用い、また、耐キャビテーションエロージョン性には被膜表面の単位面積当りの空孔の周囲長合計又は空孔面積率を用いて評価する被膜の材料選定方法を提供することである。
本発明の別の目的は、上記のような選定方法によって選定された材料により構成される溶射法用の被膜を提供することである。
本発明の更に別の目的は、上記被膜により被覆された羽根車及びそのような羽根車を有する流体機械を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願の一つの発明は、溶射法を用いて基材表面を被覆するための、セラミックスと金属とを含む被膜の材料を選定する方法において、
耐スラリーエロージョン性のみに影響を与える材料因子と、耐キャビテーションエロージョン性のみに影響を与える材料因子を各々独立して評価して選定することに特徴を有する。
上記発明による被膜の材料選定方法において、耐スラリーエロージョン性には被膜表面のセラミックス粒子面積率を用い、耐キャビテーションエロージョン性には被膜表面の単位面積当りの空孔(平均径1μm以上)の周囲長合計を用いて評価しても、耐スラリーエロージョン性には被膜表面のビッカース硬度を用い、耐キャビテーションエロージョン性には被膜表面の単位面積当りの空孔(平均径1μm以上)の周囲長合計を用いて評価しても、耐スラリーエロージョン性には被膜表面のセラミックス粒子面積率を用い、耐キャビテーションエロージョン性には被膜表面の空孔面積率を用いて評価しても、或いは耐スラリーエロージョン性には被膜表面のビッカース硬度を用い、耐キャビテーションエロージョン性には被膜表面の空孔面積率を用いて評価してもよい。
【0007】
本願の他の発明は、金属炭化物及び金属酸化物の少なくとも1種類を含むセラミックス粒子と、金属とから構成される被膜において、被膜表面のセラミックス粒子面積率が25〜50%であり、かつ被膜表面の単位面積当りの空孔(平均径1μm以上)の周囲長合計が60000μm/mm以下である点に特徴を有する。
本願の別の発明は、金属炭化物及び金属酸化物の少なくとも1種類を含むセラミックス粒子と、金属とから構成される被膜において、被膜表面のビッカース硬度が900kg/mm以上であり、かつ被膜表面の単位面積当りの空孔(平均径1μm以上)の周囲長合計が60000μm/mm以下である点に特徴を有する。
本願の更に別の発明は、金属炭化物及び金属酸化物の少なくとも1種類を含むセラミックス粒子と、金属とから構成される被膜において、被膜表面のセラミックス粒子面積率が25〜50%であり、かつ被膜表面の空孔面積率が3%以下である点に特徴を有する。
本願の更に別の発明は金属炭化物及び金属酸化物の少なくとも1種類を含むセラミックス粒子と、金属とから構成される被膜において、被膜表面のビッカース硬度が900kg/mm以上であり、かつ被膜表面の空孔面積率が3%以下である点に特徴を有する。
【0008】
本願の更に別の発明は、ハブと、前記ハブの周りに円周方向に隔てて取り付けられた複数の翼とを備た羽根車において、
前記羽根車の表面の少なくとも一部が前記請求項6ないし9のいずれかに記載の被膜が溶射法により、被覆されている点に特徴を有する。
本願の更に別の発明による流体機械は、ハブと、前記ハブの周りに円周方向に隔てて取り付けられた複数の翼とを備た羽根車と、
前記羽根車を回転可能に収容する室を画定するケーシングと、
を備え、前記羽根車の表面の少なくとも一部が前記請求項6ないし9のいずれかに記載の被膜が溶射法により、被覆されている点に特徴を有する。
【0009】
【実施例】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
最初に耐スラリーエロージョン性に影響を及ぼす影響因子の評価について説明する。まず、図1[A]に示されるような扇形(半径R=180mm、厚さT=6mm)の平板状の試験片用の基板1を多数作成した。一方、(A)高速フレーム溶射用の材料としては7種類の被膜材料を用意して、それぞれの基板1にはその7種類の被膜材料をそれぞれ別個に溶射し、厚さt=500μmの、下記の表1に示されるA1ないしA7の7種類の組成を有する被膜2aをそれぞれ形成し、試験片3a(図1[B])をつくった。また、(B)フレーム溶射用の材料としては10種類の被膜材料を用意して、それぞれの基板1にはその10種類の被膜をそれぞれ別個に溶射し、厚さt=500μmの、表1に示されるB1ないしB10の10種類の組成を有する被膜2bをそれぞれ形成し、試験片3b(図1[B])をつくった。その後、被膜を加熱処理し、被膜の組織の緻密化を図った。更に、(C)アーク溶射用の材料としては5種類の被膜材料を用意して、それぞれの基板1にはその5種類の被膜材料をそれぞれ別個に溶射し、厚さt=500μmの、表1に示されるC1ないしC5の5種類の組成を有する被膜2cをそれぞれ形成し、試験片3c(図1[B])をつくった。なお、表中で同じ組成であっても、炭化物平均粒径、溶射条件等が異なっており、全て特性の異なる被膜である。また、表中のCrの表記は、Cr、Cr、Cr23、などのクロム炭化物の混合したものを表す。
【0010】
【表1】
Figure 2004010975
【0011】
このようにして被膜が形成された複数(この試験例では22枚)の試験片を、図2に概略図示する試験装置10にそれぞれセットして試験を行った。同図において、11はチャンバ12を画定する試験槽、13は試験槽11内で回転可能に支持されていて、一方の表面(図2では左面)に試験片3a、3b、3cが着脱可能に取り付けられるようになっている回転体、14は回転体13を回転させる電動モータ、15及び16は試験槽11に取り付けられた圧力計及び温度計、17はスラリータンク、18はスラリータンク17内のスラリーを導管19を介してチャンバ12内に送るスラリーポンプ、20は水を導管21を介して導管19内に供給するポンプである。更に、23aないし23eは導管に接続された開閉弁、24は排出管25に接続された開閉弁、26はスラリータンク17内を通って伸び水でスラリータンク内を冷却する熱交換管である。上記試験槽及び/又は回転板の試験片取り付け面は、回転ディスク13が回転しているとき、スラリーが試験片の表面に所望の角度で当たるように作られている。
【0012】
上記構成の試験装置において、回転ディスク14の片面(図2で左面)に試験片3a、3b、3cを取付け、これを試験槽11内のスラリー中に没した状態でモータ14により回転させる方法で実施した。試験槽内の圧力が0.1Mpa、温度が25〜30℃となるように調整した。実験条件は実際の河川濁水の状況に基づき、スラリー衝突速度が55m/sとなるように回転ディスクの回転速度を調節し、スラリー中の土砂濃度1wt.%とした。このような条件の実験を硬質の被膜が形成された上記各試験片につき試験を行い、損耗速度を求めた。その結果をグラフで表せば図3及び図4に示されるようになる。図3は被膜を構成する被膜のセラミックス硬質粒子の面積率と損耗速度との関係を示し、図4は被膜の硬質被膜の硬度と損耗速度との関係を示す。
本実験では硬質粒子であるセラミックス粒子の面積率が5〜50%の範囲で実験を行った。その理由は、面積率が50%を超えた場合には基材に対する被膜の接着力が低下して被膜に亀裂が多発するため、実用上無意味な範囲だからである。
【0013】
図3から明らかなように、セラミックス硬質粒子面積率について着目すると、その値が25〜50%の範囲で、スラリーエロージョンによる損傷速度は小さくなり、ほぼ一定になる。従って、硬質粒子の面積率が好ましくは25%ないし50%の範囲となるように被膜を形成することによって、ポンプ部材の耐スラリーエロージョン性を向上させることができる。更に好ましくは30%ないし40%の範囲となる被膜を形成するとよい。
また、図4から明らかなように、被膜を構成する硬質被膜表面のビッカース硬度(測定荷重500g)について着目すると、その値が900kg/mmより小さいときはビッカース硬度が大きくなるにしたがって損耗速度が減少するが、略900kg/mm超えると損耗速度は略一定になることがわかる。このように、セラミックス硬質粒子面積率と硬質被膜硬度は、それぞれ耐スラリーエロージョン性にのみ影響を及ぼすことがわかる。
【0014】
次に、耐キャビテーションエロージョン性に影響を及ぼす影響因子の評価について説明する。キャビテーションエロージョン試験は「エロージョン・コロージョンと利用技術、発行者:(株)IPC」に記載されている回転円板法に準じて行った。ただし、円板、試験片等の寸法は異なる。
キャビテーションエロージョンについては、図5[A]に示されるような円形(直径D=25mm、厚さT=6mm)の平板状の試験片用の基板1′を多数作成し、前記図1の試験片と同じ種類の被膜材料を使用して同じように溶射し、図5[B]に示されるような、同じ被膜厚さを有する試験片3a′、3b′及び3c′をつくった。そしてそれらの試験片を図6及び図7に示す試験装置10′にセットして行った。同図において、11′はチャンバ12′を画定する試験槽、13′は試験槽11′内で回転可能に支持されていて、一方の表面(図6では左面)に試験片3a、3b、3cが着脱可能に取り付けられるようになっている回転体、14′は回転体13′を回転させる電動モータ、17′は水タンク、18′は水タンク17′内の水を導管19′を介して試験槽11′内に送るポンプ、20′は水を試験槽から水タンク17′戻す導管である。回転体13′には、試験片の取付け位置よりも回転体の回転方向に見て上流側に、所望の大きさ(本実施形態では直径15mm)の円形穴15′(非貫通穴)が形成されている。この穴15′は、回転体が回転するときに回転体表面にキャビテーションを発生させるものである。
【0015】
試験は、回転ディスク13′の片面に前記試験片を取付け、これを水中に没した状態でモータ14′により回転させ、回転体の回転によって発生したキャビテーションが試験片側に向かって流れるようにして行った。試験槽内の水圧は0.1Mpa、水温は15℃に調整した。
【0016】
上記試験により得た結果をグラフで表せば図8及び図9に示されるようになる。図8は単位面積あたりの空孔(平均径1μm以上)の周囲長合計と損耗速度の関係を示し、図9は空孔面積率と損耗速度の関係を示す。単位面積当りの空孔面積率及び周囲長合計は、硬質被膜表面の拡大写真をコンピュータに取り込み、デジタル画像処理を行い求めた。なお、硬質被膜表面の拡大写真をコンピュータに取り込むに先だって、表面を平坦面に沿って研磨して空孔部分(凹み部分)を分かり易くし、空孔の面積は硬質被膜表面の単位面積についてその凹み部分の面積及び凹み部分の周囲長を測定することによって求めた。
図8から明らかなように、硬質被膜表面の単位面積当りの空孔(平均径1μm以上)の周囲長合計増加するにしたがって被膜の損耗速度が増加することが明らかである。本発明では損耗速度が0.5mm/h以内に収まるように選定すると、周囲長合計が60000μm/mm以下となる。また、図9から明らかなように、硬質被膜表面の空孔面積率が増加すると被膜の損耗速度がそれに応じて増加することも明らかである。本発明では、空孔の周囲長合計の場合と同じように損耗速度が0.5mm/h以内に収まるように選定すると、空孔面積率は3%以下となる。このように、単位面積あたりの空孔(平均径1μm以上)の周囲長合計と空孔面積率は、それぞれ耐キャビテーションエロージョン性にのみ影響を及ぼす。なお、損耗速度の上限を0.5mm/hより小さい値(例えば0.2mm/h)にしようとすれば、空孔面積率も小さな値(例えば2%)となる。
【0017】
本発明による被膜で耐スラリーエロージョン化及び耐キャビテーションエロジョン化を図った流体機械用の構成部材の一例としてポンプのランナすなわち羽根車30が図10で断面図で示されている。
図10において、羽根車30は、回転軸を受ける軸穴31が形成されたハブ32と、そのハブ32から半径方向外側に放射上に広がる円板状の主板33と、主板33から軸方向(図2において上下方向)に隔てられた環状の側板34と、主板33と側板34との間において円周方向(軸穴の軸線O−O回りの円周方向)に等間隔に隔てて配置され所望の曲面に沿って湾曲して側板及び主板と一体的に形成された複数の翼35とで構成されていて、主板33、側板34及び翼35により流体の流れる流路36を画定している。流路36の半径方向内側の部分37が入口部となり、半径方向外側の部分38が出口部となる。また、環状の側板34は、円周方向内側の軸方向に伸びる部分34aと、半径方向外側に伸びる部分34bとを有し、軸方向伸長部分34aによって羽根車30の入口39を画定している。このような羽根車30を回転させて流体を送り出す場合、例えば、羽根車を土砂を含む水中で回転させると、水中の土砂の粒子が羽根車30の表面、特に羽根車30内の流路36を画定する主板33の内面41、側板34の内面42及び翼35の両面、すなわち圧力面43、負圧面44に当たってこれを擦り、それらの表面が摩擦により極端に摩耗することになる。
【0018】
そこで、羽根車30の上記流路36を画成する内面41及び42、圧力面43及び負圧面44、入口39の内面45、側板34の外側面46及び主板33の裏面47のうち所望する面に、上記溶射法AないしCのうち適当な溶射法を適宜選んで前述の耐スラリーエロージョン溶射被膜を形成する。この場合、溶射を行う面の条件、溶射法の施工条件等を考慮して一つの羽根車に対して溶射する場所により異なる溶射方法を採用することも可能である。
【0019】
上記のように耐スラリーエロージョン溶射被膜形成された本発明の羽根車30は、水車或いはポンプのような流体機械に使用される。図11において、このような流体機械の一例として立形ポンプ50が断面で示されている。同図において、ポンプ50は、本発明による羽根車30を収容するポンプ室52を画成するケーシング51と、軸線を鉛直にして配置されていて下端に羽根車30が固定された主軸57と、ケーシングの上方に取り付けられたていて主軸57をケーシングに関して回転自在に支持する主軸受け58と、ケーシング51と主軸57との間からの流体の漏れを防止するシール装置59と、を備えている。ケーシング51は管状の支持台60の上に公知の方法で固定されている。ケーシング51は、上側の円盤状の端板53と、渦巻き状の出口室55を画成するケーシング本体54と、管状のカバー56とを備えている。カバー56の下端には筒状の吸出し管61が接続されている。
上記ポンプにおいて、主軸37を回転させることによってその下端に固定された羽根車30を回転させると、流体が吸出し管61内で矢印Xで示されるように羽根車の入口39に吸い込まれ、羽根車30の流路36を通って出口38側から半径方向に押し出され、出口室55内に流入する。出口室内の流体は、図示しない出口から吐き出される。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば次のような効果を奏することが可能である。
(イ)耐スラリーエロージョン性のみ、あるいは耐キャビテーションエロージョン性のみに、影響をおよぼす材料因子を明らかにし、各々の因子に実質的に従属関係がないことを見出したことで、各硬質被膜ごとの試験片などによる評価試験が不要となり、被膜の材料選定に時間とコストの大幅な節約となる。
(ロ)河川水等に代表される、土砂と水が主成分であるスラリーによるエロージョンに対して、硬質被膜の表面の硬質粒子の面積率又はビッカース硬さを所望の範囲にし、かつ被膜表面の単位面積当りの空孔の周囲長合計又は空孔面積率を所望の範囲にすることによって、高い耐スラリーエロージョン性及び耐キャビテーションエロージョン性を有する被膜の被膜を溶射法により容易に形成できる。
(ハ)土砂を含む水を扱う流体機械の構成部材の耐スラリーエロージョン特性及び耐キャビテーションエロージョン特性を向上でき、流体機械の寿命を長くすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】スラリーエロージョン試験用の試験片及び試験片用の基板の斜視図である。
【図2】本実施例で使用する耐スラリーエロージョン性を評価する試験装置の概略構成図である。
【図3】試験結果を示すグラフ図である。
【図4】試験結果を示すグラフ図である。
【図5】キャビテーションエロージョン試験用の試験片及び試験片用の基板の斜視図である。
【図6】本実施例で使用する耐キャビテーションエロージョン性を評価する試験装置の概略構成図である。
【図7】図6に示される装置の回転体の一部分の平面図である。
【図8】試験結果を示すグラフ図である。
【図9】試験結果を示すグラフ図である。
【図10】本発明の被膜が形成される羽根車の一例を示す断面図である。
【図11】図10の羽根車を備えるポンプの断面図である。
【符号の説明】
1、1′ 基板          2a、2b、2c 被膜
2a′、2b′、2c′ 被膜   3a、3b、3c 試験片
3a′、3b′、3c′ 試験片
30 羽根車           32 ハブ
35 翼             50 ポンプ

Claims (7)

  1. 溶射法を用いて基材表面を被覆するための、セラミックスと金属とを含む被膜の材料を選定する方法において、
    耐スラリーエロージョン性のみに影響を与える材料因子と、耐キャビテーションエロージョン性のみに影響を与える材料因子を各々独立して評価して選定することを特徴とする被膜の材料選定方法。
  2. 請求項1に記載の被膜の材料選定方法において、耐スラリーエロージョン性には被膜表面のセラミックス粒子面積率を用い、耐キャビテーションエロージョン性には被膜表面の空孔面積率を用いて評価する被膜の材料選定方法。
  3. 請求項1に記載の被膜の材料選定方法において、耐スラリーエロージョン性には被膜表面のビッカース硬度を用い、耐キャビテーションエロージョン性には被膜表面の空孔面積率を用いて評価する被膜の材料選定方法。
  4. 金属炭化物及び金属酸化物の少なくとも1種類を含むセラミックス粒子と、金属とから構成される被膜において、被膜表面のセラミックス粒子面積率が25〜50%であり、かつ被膜表面の空孔面積率が3%以下であることを特徴とする溶射用被膜。
  5. 金属炭化物及び金属酸化物の少なくとも1種類を含むセラミックス粒子と、金属とから構成される被膜において、被膜表面のビッカース硬度が900kg/mm以上であり、かつ被膜表面の空孔面積率が3%以下であることを特徴とする溶射用被膜。
  6. ハブと、前記ハブの周りに円周方向に隔てて取り付けられた複数の翼とを備た羽根車において、
    前記羽根車の表面の少なくとも一部が前記請求項4又は5に記載の被膜が溶射法により、被覆されていることを特徴とする羽根車。
  7. ハブと、前記ハブの周りに円周方向に隔てて取り付けられた複数の翼とを備た羽根車と、
    前記羽根車を回転可能に収容する室を画定するケーシングと、
    を備え、
    前記羽根車の表面の少なくとも一部が前記請求項4又は5に記載の被膜が溶射法により、被覆されていることを特徴とする流体機械。
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