JP2004010940A - スパッタリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】防着板からの剥離パーティクルを抑制する機能を備えたマグネトロンスパッタリング装置を提供すること。
【解決手段】スパッタリング装置で、防着板6の内面側のステージ3の近傍側の個所を、チャンバ1の内側に向かって傾斜した構造に形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】スパッタリング装置で、防着板6の内面側のステージ3の近傍側の個所を、チャンバ1の内側に向かって傾斜した構造に形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の基板にスパッタリング処理を施すスパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパッタリング技術は、放電などによりターゲット付近にプラズマを発生させ、このプラズマのイオンをターゲットに衝突させることにより粒子をスパッタさせ、スパッタされた粒子をデバイスの基板に付着させる方法で、基板に薄膜を形成させたり、ターゲットから飛散する粒子を積極的にイオン化し、基板をバイアス電位としてイオンを引き込み、基板のスルーホールの埋め込み等に用いられている。
【0003】
例えば、平板ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリング装置(以下、マグネトロンスパッタリング装置と略す)の成膜室の構成を図3に示した断面図で説明すると、プラズマ処理により成膜される基板42は、平板ターゲット43と対向して配置された電極を兼ねたステージ44の上に載置されている。平板ターゲット43の裏面には磁石45が配置され、磁力線46が形成される。また、平板ターゲット43以外の部分は、アースシールド47が設けられて放電を発生させるようにしている。また、チャンバ41の外部には放電を発生させるために導入するArガス流量を制御するマスフローコントローラ48、バルブ49、チヤンバ41の内部を高真空に排気するためのポンプ51、平板ターゲット43に高電圧を印加するための高圧電源52が設けられている。
【0004】
また、ターゲット材料からスパッタにより飛散した粒子がチヤンバ41の各部に付着しないようにするために防着板53が設けられている。
【0005】
この防着板53は、チャンバの側壁41aに対して離間して略平行に垂直方向に設けられている。また、防着板53は、それ自体に形成されてしまった膜が膜応力や熱応力により剥離するのを防止するために、表面を粗らして引っ掛かりを設ける処理が施されている場合が多く、それらの処理には、GBB(ガラスビーズブラスト)処理、ウエットエッチング処理あるいはAl溶射処理等が用いられている。
【0006】
また、防着板53は、通常、電気的には、接地またはフローティング処理されている。それらは、ターゲットから飛散する粒子を積極的にイオン化し、基板42をバイアス電位としてイオンを引き込みスルーホールの埋め込みをおこなっている。
【0007】
また、特開2000−192223号公報には、防着板の温度上昇の著しい部分に冷却ジャケットを設けた技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなマグネトロンスパッタリング装置では、成膜量が増すにつれ放電中に防着板に付着した膜に、プラズマが晒されることにより、結合力の弱い材料部材が分解されて浮遊し、残った材料も付着膜の層から離脱し、パーティクルが発生する。
【0009】
防着板に堆積した膜の剥離によるパーティクル(剥離パーティクル)対策として、上述のように、防着板表面をブラスト処理やAl溶射処理や防着板自身にエンボス加工したCu板をボンディングする方法や、防着板に冷却ジャケットを設ける等の対策処理が行われている。しかし、それらの処理によっても成膜量が増すにつれて防止することは困難である。
【0010】
その結果、例えば、金属ターゲットで金属配線膜を成膜する場合、デバイスの基板面にパーティクルが堆積すると配線間を導通してしまう配線不良となってしまう問題が発生する。また、ビアホールが形状不良となる問題もある。また、デバイスの基板に形成される薄膜の部分に入り込みピンホールを生じさせる問題もある。
【0011】
これらのパーティクルによる微小欠陥により、半導体や記録媒体等ではそのテバイスの不良を生じさせ、デバイスの生産の歩留まりが低下している。
【0012】
本発明はこれらの事情に基づいてなされたもので、防着板からの剥離パーティクルを抑制する機能を備えたマグネトロンスパッタリング装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、チャンバの内部にターゲットと、該ターゲットと離間して配置された基板を載置するステージと、このステージの近傍から前記ターゲットの近傍までの間の前記チャンバの内壁を保護するようように配置された防着板とを備えたスパッタリング装置において、
前記防着板の内面側の前記ステージの近傍側の個所が、前記チャンバの内側に向かって傾斜して形成されていることを特徴とするスパッタリング装置である。
【0014】
また本発明によれば、前記防着板の前記チャンバの内側に向かって傾斜している傾斜角度は、7度程度であることを特徴とするスパッタリング装置である。
【0015】
また本発明によれば、前記防着板の前記チャンバの内側に向かっての傾斜は、前記ステージの上方から200mm程度の部分から下方の部分であることを特徴とするスパッタリング装置である。
【0016】
また本発明によれば、前記防着板は、電気的には浮遊状態あるいは接地状態であることを特徴とするスパッタリング装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
発明者は、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバの内部に設けた防着板に付着し堆積した被膜につき、この被膜がプラズマに晒らされた場合に、分解されて結合力の弱い部分(剥離パーティクル)が剥離して離脱する現象について解明を進めてきた。その結果、それらの現象は、図1に示した剥離モデルの模式図により説明できるとの知見を得た。
【0019】
すなわち、図1に模式図を示すように、基板(不図示)は順次新しく供給されるが、防着板6は同じものが継続的に使用されるので、順次供給される基板に対して、それぞれにスパッタリングの処理を進めていくに従って、ターゲットから叩き出された物質は、スパッリング空間を飛翔して基板の表面と共に防着板6の表面に付着する。この場合、防着板の表面には、予め防着板6の表面に付着により形成されてしまった膜Fが膜応力や熱応力により剥離するのを防止するために、表面がガラスビーズ等によるブラスト処理による凸状の突起6aが分散して形成されている。また、ある場合は、付着した膜Fと防着板6との熱膨張率の緩和を兼ねて、Al熔射処理により、凸状の突起6aが分散して形成された溶射膜が成膜されている。
【0020】
したがって、防着板6や溶射膜に形成されている突起6aの形状を反映して、付着した膜Fは突起6aの形状に倣って堆積する。この被膜Fは徐々に厚くなって突起6aに倣って高くなっていく。この場合、堆積により成膜された被膜Fの付着力は一定ではなく、突起6aの裏面側6b(突起6aの下側面)が最も不安定な状態で堆積されており、かつ、重力の影響も大きく付着力が弱い。
【0021】
防着板6の表面がプラズマに晒され続けると、成膜Fにより形成された突起も加熱されて熱膨張収縮が繰り返される。突起の高さや内部応力がある臨界点を超えると、突起を形成している微細片(プラズマ粒子)が突起から剥離して離脱する。この微細片の離脱は、突起の先端部に応力集中による剥離と、突起の裏面部の突起の根元部で発生する成膜初期の応力集中による剥離、同じく、突起の裏面部で、付着力が弱いために発生する剥離等により引き起こされていると考えられる。特に、突起の裏面での付着力が弱いために発生する剥離が最も多い。
【0022】
従って、被膜Fによる突起から微細片の離脱を防止するには、突起を形成している被膜での付着力の弱い個所である突起の裏面の表面積をできるだけ小さくすることが好ましいと考え、防着板6の形状を垂直状態から、中央部から下の部分を内側に所定角度を傾斜させて形成し、その効果を確認した。ただし、この場合、防着板6の先端部は、基板の端部のプラズマ状態に悪影響を与えない位置に設定することは当然である。
【0023】
図2は、上述の知見に基づく実施の形態のマグネトロンスパッタリング装置に関する要部の構成を示す構成図である。
【0024】
密閉容器であるチャンバ1の内部に、平板状のターゲット(カソード)2と電極を兼ねたステージ3が対向して配置されている。プラズマ処理により成膜される基板4は、ステージ3の上に載置されている。ターゲット2の裏面には磁力線を形成する磁石5が配置されている。また、チャンバ1の内部は、ターゲット2とステージ3以外の大部分が、側壁1aと離間して設けられているSUS製の防着板6により二重壁状に仕切られている。また、防着板6がターゲット2と対向する位置にはアースシールド6aが設けられている。
【0025】
また、防着板6の内面側(チャンバ1の中心側に対面する面)は、図1で示したように、予め防着板6の表面に付着により形成されてしまった膜Fが、膜応力や熱応力により剥離するのを防止するために、凸状の突起(不図示)が分散して形成されており、また、防着板6は内側面が、チャンバ1の内部の位置に応じて形状が異なって形成されている。
【0026】
チャンバの略中央部以上の位置では、チャンバ1の側壁1aの内側面と略平行に垂直上に形成され、チャンバの略中央部以下の位置ではステージ3の上方まで、チャンバ1の側壁1aと離間する方向に7度程度の傾斜(テーパー角)に形成されている。なお、防着板6の外側面(チャンバ1の側壁1aとの対向面)に関しては内側面と平行に傾斜していても、垂直状に形成(この場合は板圧が異なるようになる)されていてもよい。
【0027】
また、防着板6は電気的には、接地されていても、フローティング(浮遊電位)の状態のいずれでもよい。
【0028】
チャンバ1の外部には放電を発生させるために導入するArガスの流量を制御するマスフローコントローラ7、ガスの導入を遮断するバルブ8、チャンバ1の内部を高真空に排気するためのポンプ9、ターゲット2に高電圧を印加するための高圧電源11が設けられている。
【0029】
また、電気系統の接続については、ターゲット2は接地部との間に直流電源12が接続されている。一方、ステージ3はブロッキングコンデンサ13および高周波電源14を介して接地されている。これにより、基板4に対してセルフバイアスを形成して正イオンを引き込みやすくする制御を行っている。
【0030】
これらの装置構成により、マグネトロンスパッタリング装置では、ターゲット2に印加した負電位により、Ar等の希ガス正イオンはターゲット2に引き込まれ衝突する。この衝突とともにターゲット2の原子がスパッタされて叩き出される。原子状態で飛散する粒子はおおよそコサイン則に従う挙動を行なう。原子状態で飛散する粒子のうち一部は電子等の衝突によりイオン化する。このイオン化したスパッタ粒子とAr等の希ガス正イオン粒子を、基板4に入射する正イオン粒子の方向を制御している。
(実施例1)
図2において、チャンバ1の内部での、ターゲット2とステージ3との間隔が約300mmである場合、防着板6を、ステージ3の表面から上方へ100〜200mm程度の位置からチャンバ1の内側に向かって略7度の傾斜角で傾斜して形成し、半導体デバイス基板4に対してスパッタリング処理を施した。
(実施例2)
図2において、チャンバ1の内部での、ターゲット2とステージ3との間隔が約170mmである場合、防着板6を、ステージ3の表面から上方に約100mm程度の位置からチャンバ1の内側に向かって略7度の傾斜角で傾斜して形成し、半導体デバイス基板4に対してスパッタリング処理を施した。
【0031】
これらの各実施例によるチャンバでデバイスを生産した結果、防着板の交換時期や清掃時期ががそれぞれ延び、また、生産したデバイスの歩留まりを向上させることができた。
【0032】
なお、上述の各実施例では、防着板の傾斜角を略7度の傾斜角としたが、傾斜角はチャンバの構造等により適宜設定することができる。
【0033】
また、本発明のスパッタリング装置は処理対象を半導体デバイスの基板に限定されず、液晶表示基板、CD基板およびDVD基板等に対しても適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、防着板からの剥離パーティクルを抑制する機能を備えたマグネトロンスパッタリング装置が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】防着板に付着した堆積膜の剥離を説明するモデル図。
【図2】本発明のマグネトロンスパッタリング装置に関する要部の構成を示す構成図。
【図3】従来のマグネトロンスパッタリング装置の成膜室の構成を示した断面図。
【符号の説明】
1…チャンバ、2…ターゲット、3…ウエハステージ、4…基板、6…防着板、6a…突起、16…スイッチ、17…直流電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等の基板にスパッタリング処理を施すスパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパッタリング技術は、放電などによりターゲット付近にプラズマを発生させ、このプラズマのイオンをターゲットに衝突させることにより粒子をスパッタさせ、スパッタされた粒子をデバイスの基板に付着させる方法で、基板に薄膜を形成させたり、ターゲットから飛散する粒子を積極的にイオン化し、基板をバイアス電位としてイオンを引き込み、基板のスルーホールの埋め込み等に用いられている。
【0003】
例えば、平板ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリング装置(以下、マグネトロンスパッタリング装置と略す)の成膜室の構成を図3に示した断面図で説明すると、プラズマ処理により成膜される基板42は、平板ターゲット43と対向して配置された電極を兼ねたステージ44の上に載置されている。平板ターゲット43の裏面には磁石45が配置され、磁力線46が形成される。また、平板ターゲット43以外の部分は、アースシールド47が設けられて放電を発生させるようにしている。また、チャンバ41の外部には放電を発生させるために導入するArガス流量を制御するマスフローコントローラ48、バルブ49、チヤンバ41の内部を高真空に排気するためのポンプ51、平板ターゲット43に高電圧を印加するための高圧電源52が設けられている。
【0004】
また、ターゲット材料からスパッタにより飛散した粒子がチヤンバ41の各部に付着しないようにするために防着板53が設けられている。
【0005】
この防着板53は、チャンバの側壁41aに対して離間して略平行に垂直方向に設けられている。また、防着板53は、それ自体に形成されてしまった膜が膜応力や熱応力により剥離するのを防止するために、表面を粗らして引っ掛かりを設ける処理が施されている場合が多く、それらの処理には、GBB(ガラスビーズブラスト)処理、ウエットエッチング処理あるいはAl溶射処理等が用いられている。
【0006】
また、防着板53は、通常、電気的には、接地またはフローティング処理されている。それらは、ターゲットから飛散する粒子を積極的にイオン化し、基板42をバイアス電位としてイオンを引き込みスルーホールの埋め込みをおこなっている。
【0007】
また、特開2000−192223号公報には、防着板の温度上昇の著しい部分に冷却ジャケットを設けた技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなマグネトロンスパッタリング装置では、成膜量が増すにつれ放電中に防着板に付着した膜に、プラズマが晒されることにより、結合力の弱い材料部材が分解されて浮遊し、残った材料も付着膜の層から離脱し、パーティクルが発生する。
【0009】
防着板に堆積した膜の剥離によるパーティクル(剥離パーティクル)対策として、上述のように、防着板表面をブラスト処理やAl溶射処理や防着板自身にエンボス加工したCu板をボンディングする方法や、防着板に冷却ジャケットを設ける等の対策処理が行われている。しかし、それらの処理によっても成膜量が増すにつれて防止することは困難である。
【0010】
その結果、例えば、金属ターゲットで金属配線膜を成膜する場合、デバイスの基板面にパーティクルが堆積すると配線間を導通してしまう配線不良となってしまう問題が発生する。また、ビアホールが形状不良となる問題もある。また、デバイスの基板に形成される薄膜の部分に入り込みピンホールを生じさせる問題もある。
【0011】
これらのパーティクルによる微小欠陥により、半導体や記録媒体等ではそのテバイスの不良を生じさせ、デバイスの生産の歩留まりが低下している。
【0012】
本発明はこれらの事情に基づいてなされたもので、防着板からの剥離パーティクルを抑制する機能を備えたマグネトロンスパッタリング装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、チャンバの内部にターゲットと、該ターゲットと離間して配置された基板を載置するステージと、このステージの近傍から前記ターゲットの近傍までの間の前記チャンバの内壁を保護するようように配置された防着板とを備えたスパッタリング装置において、
前記防着板の内面側の前記ステージの近傍側の個所が、前記チャンバの内側に向かって傾斜して形成されていることを特徴とするスパッタリング装置である。
【0014】
また本発明によれば、前記防着板の前記チャンバの内側に向かって傾斜している傾斜角度は、7度程度であることを特徴とするスパッタリング装置である。
【0015】
また本発明によれば、前記防着板の前記チャンバの内側に向かっての傾斜は、前記ステージの上方から200mm程度の部分から下方の部分であることを特徴とするスパッタリング装置である。
【0016】
また本発明によれば、前記防着板は、電気的には浮遊状態あるいは接地状態であることを特徴とするスパッタリング装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
発明者は、マグネトロンスパッタリング装置のチャンバの内部に設けた防着板に付着し堆積した被膜につき、この被膜がプラズマに晒らされた場合に、分解されて結合力の弱い部分(剥離パーティクル)が剥離して離脱する現象について解明を進めてきた。その結果、それらの現象は、図1に示した剥離モデルの模式図により説明できるとの知見を得た。
【0019】
すなわち、図1に模式図を示すように、基板(不図示)は順次新しく供給されるが、防着板6は同じものが継続的に使用されるので、順次供給される基板に対して、それぞれにスパッタリングの処理を進めていくに従って、ターゲットから叩き出された物質は、スパッリング空間を飛翔して基板の表面と共に防着板6の表面に付着する。この場合、防着板の表面には、予め防着板6の表面に付着により形成されてしまった膜Fが膜応力や熱応力により剥離するのを防止するために、表面がガラスビーズ等によるブラスト処理による凸状の突起6aが分散して形成されている。また、ある場合は、付着した膜Fと防着板6との熱膨張率の緩和を兼ねて、Al熔射処理により、凸状の突起6aが分散して形成された溶射膜が成膜されている。
【0020】
したがって、防着板6や溶射膜に形成されている突起6aの形状を反映して、付着した膜Fは突起6aの形状に倣って堆積する。この被膜Fは徐々に厚くなって突起6aに倣って高くなっていく。この場合、堆積により成膜された被膜Fの付着力は一定ではなく、突起6aの裏面側6b(突起6aの下側面)が最も不安定な状態で堆積されており、かつ、重力の影響も大きく付着力が弱い。
【0021】
防着板6の表面がプラズマに晒され続けると、成膜Fにより形成された突起も加熱されて熱膨張収縮が繰り返される。突起の高さや内部応力がある臨界点を超えると、突起を形成している微細片(プラズマ粒子)が突起から剥離して離脱する。この微細片の離脱は、突起の先端部に応力集中による剥離と、突起の裏面部の突起の根元部で発生する成膜初期の応力集中による剥離、同じく、突起の裏面部で、付着力が弱いために発生する剥離等により引き起こされていると考えられる。特に、突起の裏面での付着力が弱いために発生する剥離が最も多い。
【0022】
従って、被膜Fによる突起から微細片の離脱を防止するには、突起を形成している被膜での付着力の弱い個所である突起の裏面の表面積をできるだけ小さくすることが好ましいと考え、防着板6の形状を垂直状態から、中央部から下の部分を内側に所定角度を傾斜させて形成し、その効果を確認した。ただし、この場合、防着板6の先端部は、基板の端部のプラズマ状態に悪影響を与えない位置に設定することは当然である。
【0023】
図2は、上述の知見に基づく実施の形態のマグネトロンスパッタリング装置に関する要部の構成を示す構成図である。
【0024】
密閉容器であるチャンバ1の内部に、平板状のターゲット(カソード)2と電極を兼ねたステージ3が対向して配置されている。プラズマ処理により成膜される基板4は、ステージ3の上に載置されている。ターゲット2の裏面には磁力線を形成する磁石5が配置されている。また、チャンバ1の内部は、ターゲット2とステージ3以外の大部分が、側壁1aと離間して設けられているSUS製の防着板6により二重壁状に仕切られている。また、防着板6がターゲット2と対向する位置にはアースシールド6aが設けられている。
【0025】
また、防着板6の内面側(チャンバ1の中心側に対面する面)は、図1で示したように、予め防着板6の表面に付着により形成されてしまった膜Fが、膜応力や熱応力により剥離するのを防止するために、凸状の突起(不図示)が分散して形成されており、また、防着板6は内側面が、チャンバ1の内部の位置に応じて形状が異なって形成されている。
【0026】
チャンバの略中央部以上の位置では、チャンバ1の側壁1aの内側面と略平行に垂直上に形成され、チャンバの略中央部以下の位置ではステージ3の上方まで、チャンバ1の側壁1aと離間する方向に7度程度の傾斜(テーパー角)に形成されている。なお、防着板6の外側面(チャンバ1の側壁1aとの対向面)に関しては内側面と平行に傾斜していても、垂直状に形成(この場合は板圧が異なるようになる)されていてもよい。
【0027】
また、防着板6は電気的には、接地されていても、フローティング(浮遊電位)の状態のいずれでもよい。
【0028】
チャンバ1の外部には放電を発生させるために導入するArガスの流量を制御するマスフローコントローラ7、ガスの導入を遮断するバルブ8、チャンバ1の内部を高真空に排気するためのポンプ9、ターゲット2に高電圧を印加するための高圧電源11が設けられている。
【0029】
また、電気系統の接続については、ターゲット2は接地部との間に直流電源12が接続されている。一方、ステージ3はブロッキングコンデンサ13および高周波電源14を介して接地されている。これにより、基板4に対してセルフバイアスを形成して正イオンを引き込みやすくする制御を行っている。
【0030】
これらの装置構成により、マグネトロンスパッタリング装置では、ターゲット2に印加した負電位により、Ar等の希ガス正イオンはターゲット2に引き込まれ衝突する。この衝突とともにターゲット2の原子がスパッタされて叩き出される。原子状態で飛散する粒子はおおよそコサイン則に従う挙動を行なう。原子状態で飛散する粒子のうち一部は電子等の衝突によりイオン化する。このイオン化したスパッタ粒子とAr等の希ガス正イオン粒子を、基板4に入射する正イオン粒子の方向を制御している。
(実施例1)
図2において、チャンバ1の内部での、ターゲット2とステージ3との間隔が約300mmである場合、防着板6を、ステージ3の表面から上方へ100〜200mm程度の位置からチャンバ1の内側に向かって略7度の傾斜角で傾斜して形成し、半導体デバイス基板4に対してスパッタリング処理を施した。
(実施例2)
図2において、チャンバ1の内部での、ターゲット2とステージ3との間隔が約170mmである場合、防着板6を、ステージ3の表面から上方に約100mm程度の位置からチャンバ1の内側に向かって略7度の傾斜角で傾斜して形成し、半導体デバイス基板4に対してスパッタリング処理を施した。
【0031】
これらの各実施例によるチャンバでデバイスを生産した結果、防着板の交換時期や清掃時期ががそれぞれ延び、また、生産したデバイスの歩留まりを向上させることができた。
【0032】
なお、上述の各実施例では、防着板の傾斜角を略7度の傾斜角としたが、傾斜角はチャンバの構造等により適宜設定することができる。
【0033】
また、本発明のスパッタリング装置は処理対象を半導体デバイスの基板に限定されず、液晶表示基板、CD基板およびDVD基板等に対しても適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、防着板からの剥離パーティクルを抑制する機能を備えたマグネトロンスパッタリング装置が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】防着板に付着した堆積膜の剥離を説明するモデル図。
【図2】本発明のマグネトロンスパッタリング装置に関する要部の構成を示す構成図。
【図3】従来のマグネトロンスパッタリング装置の成膜室の構成を示した断面図。
【符号の説明】
1…チャンバ、2…ターゲット、3…ウエハステージ、4…基板、6…防着板、6a…突起、16…スイッチ、17…直流電源
Claims (4)
- チャンバの内部にターゲットと、該ターゲットと離間して配置された基板を載置するステージと、このステージの近傍から前記ターゲットの近傍までの間の前記チャンバの内壁を保護するようように配置された防着板とを備えたスパッタリング装置において、
前記防着板の内面側の前記ステージの近傍側の個所が、前記チャンバの内側に向かって傾斜して形成されていることを特徴とするスパッタリング装置。 - 前記防着板の前記チャンバの内側に向かって傾斜している傾斜角度は、7度程度であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
- 前記防着板の前記チャンバの内側に向かっての傾斜は、前記ステージの上方から200mm程度の部分から下方の部分であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
- 前記防着板は、電気的には浮遊状態あるいは接地状態であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010001565A (ja) * | 2008-05-20 | 2010-01-07 | Canon Anelva Corp | スパッタリング装置、それを用いた太陽電池及び画像表示装置の製造方法 |
JP2010037590A (ja) * | 2008-08-04 | 2010-02-18 | Ulvac Japan Ltd | 真空槽の構成部品の製造方法、該部品の再生方法、基板搬送トレイの製造方法、及び基板搬送トレイの再生方法 |
CN108277465A (zh) * | 2018-01-29 | 2018-07-13 | 京东方科技集团股份有限公司 | 磁控溅射设备及其遮挡板组件 |
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2002
- 2002-06-05 JP JP2002164158A patent/JP2004010940A/ja active Pending
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---|---|---|---|---|
JP2010001565A (ja) * | 2008-05-20 | 2010-01-07 | Canon Anelva Corp | スパッタリング装置、それを用いた太陽電池及び画像表示装置の製造方法 |
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