JP2004010422A - チタニア膜形成用液体、チタニア膜形成法、チタニア膜及びチタニア膜を用いた部材 - Google Patents

チタニア膜形成用液体、チタニア膜形成法、チタニア膜及びチタニア膜を用いた部材 Download PDF

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村上 誠
Yutaka Go
郷 豊
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Abstract

【課題】保存安定性に優れ、中性であるために安全性も高く、低温で優れた特性を有すし、厚塗りしてもタレが発生しないため均一なチタニアの厚膜を形成することができるチタニア膜形成用液体を提供する。
【解決手段】チタン化合物の水溶液と塩基性物質から作製した水酸化チタンゲルに過酸化水素を作用させ合成したチタニアゾル溶液とアルキルシリケート構造を有する化合物及び有機物質を混合してなるチタニア膜形成用液体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン溶液と塩基性溶液から作製した水酸化チタンゲルに過酸化水素水を作用させ合成しさらに特定の有機化合物を含有することを特徴とすることにより調整した酸化チタンを含む液体の製法およびそれらの液体を塗布乾燥あるいは紫外線照射して作製することを特徴とするチタニア膜に関するものである。本発明のチタニア膜は各種材料の保護皮膜、光触媒、紫外線カット皮膜、着色コーティングなどの分野に利用されうる。
【0002】
【従来の技術】
チタニア膜形成方法は、酸化チタン粉体スラリーあるいは塩化チタンや硫酸チタンの水溶液を基体に塗布後焼成する塗布法、金属アルコキシドの加水分解で作製したゾルを基体に塗布後、焼成するゾルゲル法、高真空中で酸化物のターゲットをスパッタリングし基体上に成膜するスパッタ法、有機金属やハロゲン化物を揮発させ電気炉の中で分解して基体上に膜を作製するCVD法、固体粒子を大気中で発生させたプラズマ中で溶融し基体表面にたたきつけるプラズマ溶射法等がある。
【0003】
酸化チタン粉末スラリーの塗布法は簡単ではあるが、緻密で密着性良好な膜は得られ難く、合成温度が一般に高いため基体の種類にかなりの制限がある。塩化チタンや硫酸チタン等の水溶液を塗布する方法は有害なハロゲン化合物を生成し、また、焼成温度も数百度以上を必要し、前記の産業上の利用分野には使用されない。
プラズマ溶射は固体をプラズマ中で溶融し機体表面にたたきつける成膜法で成膜速度は速いが、緻密な膜は得られ難く、均一で密着性に富んだ酸化チタン膜を作製することは出来なかった。
また、スパッタ法やCVD法などは減圧下でなければ良好な膜が得られず、真空排気できる反応容器が必要であり、一般に成膜速度が遅く、緻密な膜を得るためには数百度以上に基体を加熱しなければならない欠点がある。
【0004】
ゾルゲル法で作製された市販のチタニアゾルは塗布や含浸処理が可能で、大面積コーティングが可能で工業的な利点が多いが、チタンテトライソプロポキサイドやテトラブチルチタネイトなどの有機金属を利用して合成しなければならなかったため、原料が高価で、しかも原料が化学的に不安定で温度制御や雰囲気に影響されやすく取り扱い難いという課題があった。また、ゾルゲル法は原料ゾル中に酸や有機物を含むので焼成除去するのに400℃以上の加熱が必要であり、酸に侵されやすい材料には不向きで、低温焼成では多孔質になりやすい。また、ゾルゲル法によって作製したチタニアゾル中には酸やアルカリあるいは有機物が加えられており、被コーティング材の腐食の問題や有機物焼却のための温度(400℃以上)が必要で、加熱焼成中に有害なハロゲン化物や窒素酸化物などが副成する等の欠点があった。
【0005】
これらの欠点を改良するため、例えば特開平9−71418号に提案されるようにそれ自体は光触媒能をもたないアモルファス型チタンゾルを基材に塗布後、加熱処理することにより付着性に優れた緻密なチタニア皮膜を形成する方法が提案されているが、加熱処理が必要であるため使用できる基材、用途は限られている。
また、例えば特開平9−71418号に提案されている比較的低温で加熱処理することにより良好な密着性を有する緻密なチタニア皮膜を形成する方法が提案されているが、この方法でも塗膜形成のためには最低でも100℃程度の加熱が必要であるため使用できる基材、用途は限られている。
【0006】
塗膜形成のための加熱の問題解決のために常温乾燥塗膜に光触媒機能を付与するためチタンゾル溶液を加熱処理してから基材に塗布する方法も、例えば特開平10−67516号に提案されている。しかしながら事前に加熱処理することにより塗布する光触媒は活性であるためそのまま塗布すると基材が有機物である場合はチョーキングの問題が起こる。
また、特開平9−71418号や特開平10−67516で提案されているチタニア膜形成用液体はそれ自体の粘度が非常に低いため、チタニアの厚膜を得るために厚塗すると、タレが起こり均一な厚塗り塗膜が得られないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、保存安定性に優れ、中性であるために安全性も高く、低温で優れた特性を有すし、厚塗りしてもタレが発生しないため均一なチタニアの厚膜を形成することができるチタニア膜形成用液体を提供することにある。
本発明の他の目的は、従来のチタニア膜の形成法では高温加熱することでしか発現しなかったチタニアの有機物分解性、耐汚染性、防曇性、防滴性を低温で乾燥するだけで発現できるようにしたチタニア膜の形成法を提供することにある。本発明の他の目的は、上記の特性に優れたチタニア膜及びこのチタニア膜が設けられた上記の優れた特性を有する部材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような問題に鑑み鋭意研究の結果、それ自体、光触媒能を有しない特定な方法で得られたチタニアゾル溶液にアルキルシリケート構造を有する化合物及び有機物質を添加、混合することにより100℃以上の加熱処理をしなくとも光触媒能を有し、特定の有機物質を添加することにより液粘度を20〜2,000mPa・sに調整することで均一なチタニアの厚膜が形成できることを見いだし、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、チタン化合物の水溶液と塩基性物質から作製した水酸化チタンゾルに過酸化水素を作用させ合成したチタニアゾル溶液とアルキルシリケート構造を有する化合物及び有機物質を混合してなるチタニア膜形成用液体に関する。
また、本発明は、上記のチタニア膜形成用液体を、基材に塗布、又は含浸させ、100℃以下の温度で乾燥して作製することを特徴とするチタニア膜の形成法に関する。
また、本発明は、上記の方法により得られたチタニア膜及びこのチタニア膜が設けられた有機物分解機能、汚れ防止機能、紫外線吸収機能、防曇機能、及び防滴機能から選ばれる何れか一つ又は二つ以上の機能を有する部材に関する。
【0009】
本発明によれば、それ自体光触媒能を有さないアモルファス型酸化チタニアゾル溶液にアルキルシリケート構造を有する化合物及び有機物質を添加、混合し液粘度を50〜2,000mPa・sに調整するすることで容易に厚膜で100℃以上の加熱処理無しに光触媒機能を有する塗膜が得られ、基材の保護、密着性付与のためのプライマー等の前処理が不要な一液型のチタニア膜形成用液体が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
前述のような問題点を解決するために、本発明では以下のような手段によってチタニア膜形成用液体を得た。まず、四塩化チタンなどの塩化チタンや硫酸チタン水溶液とアンモニアや苛性ソーダ等のアルカリ溶液からオルトチタン酸と呼ばれる水酸化チタンゲルを作製した。次いで、水を用いたデカンテーションによって水酸化チタンゲルの沈殿を水洗し、水酸化チタンゲルを分離する。さらに過酸化水素水を作用させ、余分な過酸化水素を分解除去することにより透明粘性液体を得ることができる。この液体は、後述するように、過酸化状態の水酸化チタンを含んでいると考えられ、市販のTiO2ゾルとは本質的に異なるものである。これに有機物質を混合してチタニア膜形成用液体を調整した。チタニア膜形成用液体を基材に塗布又は含浸後、100℃以下、好ましくは10℃〜50℃で、好ましくは30分〜24時間乾燥することにより付着性に優れた緻密なチタニア膜を形成できる。また、1回の塗布で1μm以上のチタニア膜を剥離することなく密着性よく形成できる。
【0011】
チタン原料は安価で取扱が容易な硫酸塩や塩化物、しゅう酸塩等が望ましく、また、水酸化物の沈殿を起こす塩基性物質はアンモニア水、苛性ソーダ等が望ましい。反応によって副成する塩は安定で無害な塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムあるいは塩化アンモニウム等になるような組み合わせが 望ましい。チタン化合物の濃度は特に制限はないが、通常は15〜80重量%水溶液で市販されている水溶液を0.3〜10重量%に希釈した水溶液で反応が行われる。チタン化合物の濃度が0.3重量%未満だと、沈殿の生成に時間がかかる傾向があり、10重量%を越えると、沈殿生成時の温度管理が困難になる傾向がある。沈殿させるpHは好ましくは1〜3、より好ましくは2程度で行い、Fe等の不純物が共沈しないようにすることが望ましい。また、沈殿の生成は5℃〜40℃で1時間〜24時間行う。
【0012】
沈殿した水酸化チタンゲル(オルトチタン酸と呼ばれる場合もある)はOH同志の重合や水素結合によって高分子化したゲル状態にあり、このままではチタニア膜の塗布液としては使用できない。このゲルに過酸化水素水を添加するとOHの一部が過酸化状態になりペルオキソチタン酸イオンとして溶解、あるいは高分子鎖が低分子に分断された一種のゾル状態になり、余分な過酸化水素は水と酸素になって分解し、チタニア膜形成用の粘性液体として使用ができるようになる。このゾルは、チタン以外に酸素と水素しか含まないので、乾燥や焼成によって酸化チタンに変化する場合に水と酸素しか発生しないため、ゾルゲル法や硫酸塩等の熱分解法に必要な炭素成分やハロゲン成分の除去が必要でなく、従来より低温でも比較的密度の高い結晶性のチタニア膜を作製することができる。また、pHは中性なので、使用における人体への影響や基体の腐食などを考慮する必要がない。さらに、過酸化水素はゾル化剤としてだけではなく安定化剤として働き、ゾルの室温域で安定性が極めて高く長期の保存に耐える。
【0013】
過酸化水素としては安全性の点から好ましくは1〜40重量%過酸化水素水が用いられ、その添加量は水酸化チタンゲル固形分に対して重量比で、水酸化チタンゲル/過酸化水素=1/0.7〜1/1.5、好ましくは加えて、好ましくは10℃〜50℃で好ましくは30分〜6時間攪拌させて作用させる。その後、酸化チタンの濃度が0.5〜3重量%になるように蒸留水を加え、チタニアゾルとする。
本発明に用いることの出来るアルキルシリケート構造を有する化合物としてはポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサンが好ましいものとして挙げられる。ポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサンの分子量としては重量平均分子量で100〜10,000が好ましく1,000〜7,000がより好ましい。分子量が100未満のポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサンでは基材との濡れ性が劣る傾向にあり、分子量が10,000をこえるとチタンゾルの安定性に悪影響を与える傾向がある。このようなポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサンは例えば日本ユニカ(株)より商品名FZ−2161、FZ−3751で販売されているものを使用することができる。アルキルシリケート構造を有する化合物の添加量はチタニア膜形成用液体の固形分に対し5〜30重量%であることが好ましい。添加量が5重量%未満だと得られるチタニア膜の光触媒能が劣る傾向にあり、30重量%を超えるとチタニア膜の塗膜耐久性が劣る傾向にある。
【0014】
本発明に用いることのできる有機物質としては、チタニア膜形成用液体の粘性調整の容易さ及び安定性から変性セルロースとポリビニルピロリドンの混合物または変性セルロースとポリアルキレングリコールの混合物が望ましい。変性セルロースの具体例としてはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを好ましいものとして挙げることが出来る。変性セルロースの重量平均分子量としては60万以上であることが好ましく、100万以上であることがより好ましい。重量平均分子量が60万未満だとチタニア膜形成用液体に十分な粘性を与えることができなくなる。ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は1万以上であることが好ましく、90万以上であることがより好ましく、120万以上であることが特に好ましい。分子量が1万未満だと得られるチタニア膜の耐久性が劣る傾向にある。変性セルロースとポリビニルピロリドンの比率としては変性セルロース/ポリビニルピロリドン=30/70〜60/40(重量比)であることが好ましい。ポリビニルピロリドン量が70を超えると得られるチタニア膜の耐水性が劣る傾向があり、40未満ではチタニア形成用液体の粘度が高くなり、液が不均一になる傾向がある。
【0015】
ポリアルキレングリコールとしては得られるチタニア膜形成用液体の安定性の点からポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールの分子量としては193〜985であることが好ましい。ポリエチレングリコールの分子量が193未満だとチタニア膜形成用液体の安定性が劣る傾向にあり、985を超えると得られるチタニア膜の塗膜強度が低下する傾向にある。変性セルロースとポリアルキレングリコールの比率としては変性セルロース/ポリアルキレングリコール=40/60〜70/30(重量比)であることが好ましい。ポリアルキレングリコール量が60を超えると得られるチタニア膜の耐久性が劣る傾向があり30未満ではチタニア形成用液体の粘度が高くなり、液が不均一になる傾向がある。
【0016】
有機物質の添加量はチタニア膜形成用液体の固形分に対し5〜20重量%であることが好ましい。添加量が5重量%未満だとチタニア膜形成用液体に十分な粘性を付与できない傾向があり、20重量%を超えると得られるチタニア膜の光触媒能が劣る傾向にある。
変性セルロース及びポリビニルピロリドンは粉体であるため、そのままチタニア膜形成用液体に添加すると、ままこを生じ均一な溶液が作製できない傾向がある。そのため添加方法としては変性セルロース及びポリビニルピロリドンを公知の方法で予め0.1〜5重量%の水溶液にしてからチタニア膜形成用液体と混合することが好ましい。
【0017】
本発明のチタニア膜形成用液体の粘度としてはB型回転粘度計で測定した20℃での粘度が50〜2000mPa・sであることが好ましく、100〜1500mPa・sであることが特に好ましい。粘度が50mPa・s未満だと粘性が不足するため液を厚塗りするとタレが発生する傾向にある。粘度が2000mPa・sを超えると液の安定性や塗装作業性が低下する傾向にある。
本発明で得られたチタニア膜は塗膜強度を向上する目的で紫外線を照射することもできる。紫外線の照射量としては、2J/cm以上、好ましくは2.2〜100J/cmで十分な塗膜強度を得ることができる。
【0018】
紫外線照射の方法としては、太陽光、蛍光灯、ブラックライト、高圧水銀灯などを用いることができるが短時間で大量の紫外線が照射できること、装置の簡便さの点からブラックライトが好ましい。
本発明のチタニア膜形成用液体には必要に応じて、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン等の水溶性有機溶剤を添加することもできる。
【0019】
本発明のチタニア膜形成用液体には必要に応じて公知の界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、染料、顔料、充填剤等をチタニア膜の特性を損なわない程度に添加することも出来る。
本発明の造膜法に用いられる基材は、特に制限がなく、例えば、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニール等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の有機基材、ガラス、セラミックス、各種金属、およびこれらの複合材などが挙げられる。
本発明による光触媒性部材としては、光触媒能による、水、空気の浄化、防汚、防曇、防露、防滴、防氷結、防着雪、抗菌、防かび、防藻、防臭、異物付着防止機能、紫外線吸収機能、有機物分解機能のいずれかの機能を有することができる全ての部材が挙げられる。
【0020】
具体的な例としては、例えば、道路壁パネル、反射板、交通標識、案内表示板等の各種道路部材、建築用内外装材、車両、船舶、航空機等の内外部材、空調機、清掃機、冷蔵庫、洗濯機等の家電品、浄水器、浄水場処理槽等の水処理施設、板ガラス、硝子繊維、ガラス粉等の各種ガラス、鏡、照明器具、タイル等が挙げられる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に何ら制限されるものではない。なお実施例中、特にことわりのないかぎり、「%」は「重量%」、「部」は「重量部」を示す。
(チタニアゾル溶液合成例1)
原料として四塩化チタン60%溶液5cmを蒸留水で500cmとした溶液に2.5%アンモニア水を滴下し、水酸化チタンを沈殿させた。なお、沈殿の生成はpH2.5、10℃で12時間行った。蒸留水で洗浄後、過酸化水素水30%溶液を10cm加えかき混ぜ、チタンを含む黄色粘稠液体(ゾル溶液)70cmを作製した。その後、酸化チタンの濃度が0.85%になるように蒸留水を加えチタニアゾル溶液を調整した。過酸化水素を加えた直後は酸素が発生し発泡するが、余分な過酸化水素が分解した後は発泡はおさまり、常温常圧下で6ヶ月経っても分離、ゲル化はなかった。pHは6.4で中性であった。
【0022】
(チタニアゾル溶液合成例2)
チタニアゾル溶液合成例1で調整したチタニアゾル溶液を常温で6ヶ月保管しチタニアゾル溶液2とした。
(チタニア膜形成用液体の調整)
(調整例1)
チタニアゾル溶液合成例1で合成したチタニアゾル溶液60gにメトロース90SH−SHV(商品名、信越化学製、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、重量平均分子量200万)の1%水溶液3g、ポリビニルピロリドン(商品名PVP K−120、五協産業製、重量平均分子量120万)の4%水溶液1g及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンFZ−2161(商品名、日本ユニカー製、分子量5,000、シロキサン含有量40%)0.15gを添加し25℃で均一になるまで攪拌した。その後、エタノール15g、イソプロピルアルコール15g及び蒸留水5.1gを添加してチタニア膜形成用液体1を調整した。この溶液の固形分組成はチタニア70%、アルキルシリケート構造を有する化合物20.5%、有機物質9.5%であり、B型回転粘度計で20℃、60回転/分での粘度は180mPa・sであった。溶液は常温常圧下で6ヶ月経っても分離、ゲル化はなかった。pHは6.8で中性であった。
【0023】
(調整例2)
チタニアゾル溶液合成例2で合成したチタニアゾル溶液60gにメトロース90SH−SHV(商品名、信越化学製、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、重量平均分子量200万)の1%水溶液3g、ポリビニルピロリドン(商品名PVP K−120、五協産業製、重量平均分子量120万)の4%水溶液1g及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンFZ−2161(商品名、日本ユニカー製、分子量5,000、シロキサン含有量40%)0.15gを添加し25℃で均一になるまで攪拌した。その後、エタノール15g、イソプロピルアルコール15g及び蒸留水5.1gを添加してチタニア膜形成用液体1を調整した。この溶液の固形分組成はチタニア70%、アルキルシリケート構造を有する化合物20.5%、有機物質9.5%であり、B型回転粘度計で20℃、60回転/分での粘度は130mPa・sであった。溶液は常温常圧下で6ヶ月経っても分離、ゲル化はなかった。pHは6.8で中性であった。
【0024】
(調整例3)
チタニアゾル溶液合成例1で合成したチタニアゾル溶液60gにメトロース90SH−SHV(商品名、信越化学製、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、重量平均分子量200万)の1%水溶液3g、ポリエチレングリコール(商品名PEG400 、日本油脂製、重量平均分子量413)の4%水溶液1g及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンFZ−2161(商品名、日本ユニカー製、分子量5,000、シロキサン含有量40%)0.15gを添加し25℃で均一になるまで攪拌した。その後、エタノール15g、イソプロピルアルコール15g及び蒸留水5.1gを添加してチタニア膜形成用液体1を調整した。この溶液の固形分組成はチタニア70%、アルキルシリケート構造を有する化合物20.5%、有機物質9.5%であり、B型回転粘度計で20℃、60回転/分での粘度は220mPa・sであった。溶液は常温常圧下で6ヶ月経っても分離、ゲル化はなかった。pHは6.8で中性であった。
【0025】
(調整例4)
チタニアゾル溶液合成例2で合成したチタニアゾル溶液60gにメトロース90SH−SHV(商品名、信越化学製、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、重量平均分子量200万)の1%水溶液3g、ポリエチレングリコール(商品名PEG400、日本油脂製、重量平均分子量413)の4%水溶液1g及びポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンFZ−2161(商品名、日本ユニカー製、分子量5,000、シロキサン含有量40%)0.15gを添加し25℃で均一になるまで攪拌した。その後、エタノール15g、イソプロピルアルコール15g及び蒸留水5.1gを添加してチタニア膜形成用液体1を調整した。この溶液の固形分組成はチタニア70%、アルキルシリケート構造を有する化合物20.5%、有機物質9.5%であり、B型回転粘度計で20℃、60回転/分での粘度は150mPa・sであった。溶液は常温常圧下で6ヶ月経っても分離、ゲル化はなかった。pHは6.9で中性であった。
【0026】
(比較調整例1)
チタニアゾル溶液合成例で合成したチタニアゾル溶液60gにポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンFZ−2161(商品名、日本ユニカー製、分子量5,000、シロキサン含有量40%)0.15gを添加し25℃で均一になるまで攪拌した。その後、エタノール15g、ブチルセロソルブ15gを添加してチタニア膜形成用液体3を調整した。この溶液の固形分組成はチタニア77%、アルキルシリケート構造を有する化合物23%であり、B型回転粘度計で20℃、60回転/分での粘度は5mPa・sであった。この溶液は常温常圧下で6ヶ月経っても分離、ゲル化はなかった。pHは6.8で中性であった
【0027】
(比較調整例2)
チタニアゾル溶液合成例で合成したチタニアゾル溶液60gを100℃で24時間加熱処理してチタンゾルの一部を結晶化(アナターゼ型)させた。その後、エタノール15g及びブチルセロソルブ15gを添加してチタニア膜形成用液体4を得た。この溶液の固形分組成はチタニア77%、アルキルシリケート構造を有する化合物23%であり、B型回転粘度計で20℃、60回転/分での粘度は8mPa・sであった。この溶液は常温常圧下で6ヶ月経っても分離、ゲル化はなかった。pHは7.0で中性であった。
【0028】
(チタニア膜の評価)
試験板の作製
試験板作成方法:ヒタロイド3004(商品名、日立化成工業株式会社製、アクリルポリオール、加熱残分50%、水酸基価30(ワニス))100g、CR−95(商品名、石原産業製、チタン白)40g、キシレン10g、ガラスビーズ100gをマヨネーズ瓶にいれ、ペイントシェーカーで90分かけて分散した。分散終了後、生絹で濾過することにより分散液からガラスビーズを分離した。ガラスビーズ分離後、デュラネートTPA−100(商品名、旭化成工業株式会社製、HDIアダクト無黄変型イソシアネート、NCO%=23.1)を分散液100gに対し9.7g添加し十分攪拌して塗料とした。得られた塗料を10cm×10cmに切断した処理鋼板PBN144M(パルテック製)にバーコータ♯40を用いて塗布した。塗布後、20℃で72時間乾燥して試験板とした。
チタニア膜形成試験板の作製
調整例1〜4で得られたチタニア膜形成用液体を塗膜板上にエアーガン(アネスト岩田社製W−80、口径1.5mm、塗布量80g/m)を用いスプレー塗装した。塗装後、試験板を垂直にして20℃で1時間乾燥して得られたチタニア膜形成試験板を実施例1〜4とした。
【0029】
比較調整例1〜2で得られたチタニア膜形成用液体を塗膜板上にエアーガン(アネスト岩田社製W−80、口径1.5mm、塗布量80g/m)を用いスプレー塗装した。塗装後、試験板を垂直にして20℃で1時間乾燥して得られたチタニア膜形成試験板を比較例1〜2とした。
調整例1〜2で得られたチタニア膜形成用液体を10cm×10cmのガラス板上にエアーガン(アネスト岩田社製W−80、口径1.5mm、塗布量80g/m)を用いスプレー塗装した。塗装後、試験板を垂直にして20℃で1時間乾燥して得られたチタニア膜形成試験板を実施例5〜8とした。
比較調整例1〜2で得られたチタニア膜形成用液体を10cm×10cmのガラス板上にエアーガン(アネスト岩田社製W−80、口径1.5mm、塗布量80g/m)を用いスプレー塗装した。塗装後、試験板を垂直にして20℃で1時間乾燥して得られたチタニア膜形成試験板を比較例3〜4とした。
【0030】
(チタニア膜形成用液体の塗装作業性)
塗装作業性確認
実施例1〜4、および比較例1〜4のチタニア膜形成用液体塗布時のタレの有無を目視により確認した。
塗膜膜厚測定
実施例5〜8、および比較例3〜4の塗膜の一部を削り取り、表面粗さ計(小阪研究所製 SE−3400)を用いて塗装部と未塗装部の粗さから膜厚を測定した。
表1、2にその結果を示す。
【0031】
【表1】
Figure 2004010422
【0032】
【表2】
Figure 2004010422
チタニア膜形成用液体に適度な粘性を付与した実施例では通常のスプレ条件で塗装しても塗膜のタレは発生せず、容易にチタニア厚膜が作製できた。これに対し、粘性を付与しない比較例では液を厚塗りしても流れ落ちてしまうためチタニア厚膜は作製できなかった。
【0033】
(チタニア膜の評価)
有機物分解能試験
実施例1〜4および比較例1〜2で得られたちチタニア膜に蒸留水で20倍に希釈した赤インキ(パイロット株式会社製)が1.5gのるようにスプレー塗装し、25℃で1時間乾燥させた。その後、5cmの距離から20Wのブラックライト(松下電工株式会社製、 型番FL20S・SL−B)を照射して、赤インキの色の消失の度合いを目視により確認した。表2にその結果を示す。
【0034】
【表3】
Figure 2004010422
【0035】
(汚れ防止試験)
実施例1〜4および比較例1〜5のチタニア膜形成試験板を平成13年6月から 平成14年3月まで屋外曝露試験を行った。その結果を表3に示す。
【0036】
【表4】
Figure 2004010422
チタニア膜厚の厚い実施例1〜4の方が比較例1〜2よりも塗膜耐久性が優れていた。
【0037】
(防滴性試験)
実施例1〜4および比較例1〜4の試験板のを用い20℃において塗膜表面に蒸留水0.1cmをマイクロシリンジを用いて滴下し協和界面科学(株)製 表面接触角計CA−X型を用い接触角を測定した。表面接触角測定後水滴をガーゼで拭いた後の塗膜表面状態を目視観察した。
その結果を表4に示す。
【0038】
【表5】
Figure 2004010422
【0039】
【発明の効果】
本発明により得られるチタニア膜形成用液体は適度な粘性を有しているため厚塗りしても塗膜のタレが発生しないため、容易にチタニア厚膜が形成可能である上、保存安定性に優れ中性であるため安全性も高い。該チタニア膜形成用液体により得られるチタニア膜は、従来のチタニア膜よりも厚膜であるため有機物分解性、耐汚染性、防曇、防滴性を安定に常温乾燥により発現することができる。また、有機物上に直接塗布してもチョーキング等の問題を起こさない。このため、建築物、自動車、家電、有機塗膜、および加熱が不可能であった熱可塑性樹脂、構築物に使用可能であり、プライマを用いない一液型のチタニア塗膜として極めて有用なものである。

Claims (8)

  1. チタン化合物の水溶液と塩基性物質から作製した水酸化チタンゲルに過酸化水素を作用させ合成したチタニアゾル溶液とアルキルシリケート構造を有する化合物及び有機物質を混合してなるチタニア膜形成用液体。
  2. 有機物質がセルロース又はその変性物とポリアルキレングリコールまたはポリビニルピロリドンとの混合物である請求項1記載のチタニア膜形成用液体。
  3. B型回転粘度計で測定した20℃での粘度が50〜2,000mPa・sである請求項1〜2何れか記載のチタニア膜形成用液体。
  4. 液体中の固形分組成が、チタニアが50〜90重量%、アルキルシリケート構造を有する化合物が5〜30重量%、有機物質が5〜20重量%である請求項1〜3何れかに記載のチタニア膜形成用液体。
  5. 請求項1〜4何れか記載の液体を、基材に塗布あるいは含浸させ、100℃以下の温度で乾燥して作製することを特徴としたチタニア膜の形成法。
  6. 請求項5記載のチタニア膜形成法で得られたチタニア膜に紫外線を照射することを特徴とするチタニア膜の形成法。
  7. 請求項5又は6何れか記載のチタニア膜の形成法により得られたチタニア膜。
  8. 請求項7記載のチタニア膜が設けられた有機物分解機能、汚れ防止機能、紫外線吸収機能、防曇機能、防滴機能から選ばれる何れか一つ又は二つ以上の機能を有する部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101876575B1 (ko) * 2011-02-14 2018-07-09 아이엠이씨 브이제트더블유 전자수송용 산화티타늄층
CN110467860A (zh) * 2018-05-10 2019-11-19 中国涂料株式会社 防污涂料组合物

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