JP2004010411A - 改質器の起動運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃式改質法による改質器の起動を円滑に行って瞬時に水素を製造し、また水素の製造効率を向上させる。
【解決手段】起動用バーナを備え、炭素系燃料と空気を改質器に充填されている改質触媒で改質反応させて改質ガスを製造する改質器の起動時に、起動用バーナで炭素系燃料を燃焼させて改質触媒に導入し、炭素系燃料の燃焼熱を用いて改質触媒を予熱するとともに、炭素系燃料の部分燃焼により瞬時に水素を製造し、また改質器を含む各部の予熱の進行状況に応じて燃料、空気、水を量的に適時適切に導入して水素の製造効率を向上させる。製造水素を燃料電池の燃料として使用して発電する。
【選択図】図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、起動用バーナを有する改質器の起動運転方法に関し、より具体的には、起動用バーナを有し、炭素系燃料と空気、あるいはこれに水蒸気を加えて改質器に充填された改質触媒で改質反応させて改質ガスを製造する内燃式改質法による改質器の起動時の運転方法、および、該改質器にCO変成器、CO除去器、燃料電池を連結した改質器の起動時の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池には、固体高分子型燃料電池(PEFC)やリン酸型燃料電池(PAFC)、あるいは固体電解質型燃料電池といったものが知られている。このうち例えばPEFCは、作動温度が80〜100℃程度という低温で、(1)出力密度が高く、小型化、軽量化が可能である、(2)電解質が腐食性でなく、しかも作動温度が低いため、耐食性の面から電池構成材料の制約がないか少ないので、コスト低減が容易である、(3)常温で起動できるため、起動時間が短い、といった優れた特長を有している。このためPEFCは、以上のような特長を活かして、業務用や産業用ばかりでなく、一般家庭用などへの適用が期待されている。
【0003】
燃料電池の燃料である水素は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、都市ガス、LPガス、天然ガス、その他の炭化水素ガス(2種以上の炭化水素の混合ガスを含む)などの炭素系燃料を部分酸化法(部分燃焼法)や水蒸気改質法、あるいは両者を組み合わせた方法(内燃式改質法)により改質することで得られる。このうち部分酸化法では反応:CH+1/2O→CO+2Hにより水素を生成させるもので、その報告例はなくはないが、その多くは内燃式改質法に関するものである。
【0004】
内燃式改質法は、発熱型の部分酸化反応と吸熱型の水蒸気改質反応を組み合せたもので、原料ガス(炭素系燃料)がメタンの場合の反応は下記式(1)〜(5)により表される。式(1)のような一部のメタンの酸化反応、式(2)のような一部のメタンの部分酸化反応を経て(3)〜(4)の反応が後続し、(2)〜(4)の反応で生成するCOを水蒸気と反応させるシフト反応(5)を経て、最終的にHとCOが生成する。この反応にはPt、Pd、Ni、Ru等の金属触媒、ヘキサアルミネート化合物(特開2000−178006)などが用いられる。
【0005】
【化  1】
Figure 2004010411
【0006】
このうち(1)、(2)、(5)が発熱反応、(3)と(4)が吸熱反応であり、(1)、(2)、(5)で発生する熱は反応(3)と(4)の加熱に用いられる。内燃式改質法では改質器が用いられるが、概略、酸化触媒を配置した部分酸化反応部と改質触媒を配置した水蒸気改質反応部とにより構成され、原料ガスと水と空気(酸素)から水素リッチな改質ガスが得られる。
【0007】
部分酸化反応部では原料ガスが反応(1)、(2)により反応熱(△H)が発生する。その熱により反応(3)〜(4)が進行する。生成ガスは水蒸気改質反応部へ導入され、反応(4)により水素リッチな改質ガスが生成される。ところが、改質ガス中には未反応のメタン、水蒸気〔反応(1)での生成水蒸気や別途導入添加した水蒸気〕、生成炭酸ガスのほか、一酸化炭素(CO)が副生して8〜15%(%は容量%、以下同じ)程度含まれている。
【0008】
図1は、改質器からPEFCに至るまでの態様例、すなわち改質器、CO変成器及びCO除去器を含む改質器系にPEFCを連結した態様例を示す図である。なお、PAFCではCO除去器は必要としない。原料ガスとして都市ガスやLPガスを用いる場合、これらのガスにはメルカプタン類、サルファイド類、あるいはチオフェン類などの付臭剤が添加されている。改質触媒は、これら硫黄化合物により被毒し性能劣化を来たすので、それらの硫黄化合物を除去するために脱硫器へ導入される。次いで、改質器へ導入され、改質器中での改質反応により水素リッチな改質ガスが生成される。
【0009】
改質ガスは、CO変成反応(CO+HO→CO+H)により、副生COを炭酸ガスと水素に変えるためにCO変成器にかけられる。CO変成器では例えば銅ー亜鉛系や白金触媒等のCO変成触媒が用いられるが、その触媒を機能させるには200〜250℃程度の温度が必要である。CO変成反応で必要な水蒸気としては、前記式(1)の酸化反応で生成した水蒸気、もしくはこれと別途導入添加した水蒸気が利用される。
【0010】
こうして、改質器で生成された改質ガス中のCOは、CO変成器により、その濃度1%程度以下まで低下される。ここで、水素をPAFCの燃料として使用する場合、PAFCでの燃料水素中のCOの許容濃度(上限)は1%程度であるので、CO変成器を経た改質ガスはそのままPAFC用の燃料水素として使用することができる。この場合にはPAFCはCO変成器に連結される。
【0011】
一方、PEFCに供給する燃料水素中のCO含有量は100ppm程度(ppmは容量ppm、以下同じ)、その燃料極等の構成材料の如何によっては10ppm程度が限度であり、これを超えると電池性能が著しく劣化するので、燃料水素中のCO成分はPEFCへ導入する前にできる限り除去する必要がある。このため、改質ガスはCO変成器によりCO濃度を1%程度以下まで低下させた後、CO除去器にかけられる。ここで空気、酸素富化空気、酸素等のCO除去用酸化剤ガスが添加され、酸化反応(CO+1/2O→CO)により、COを100ppm程度以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下というように低減させる。CO除去器の作動温度は100〜150℃程度である。こうして製造された水素リッチな改質ガスがPEFCに供給される。
【0012】
内燃式改質法による改質器は、概略、バーナと酸化触媒層を配置した部分酸化部と改質触媒層を配置した改質部とにより構成される。起動時にバーナを点火する。部分酸化部では原料ガスが前記反応(1)により部分的に酸化されて反応熱が発生する。その熱により反応(2)〜(3)が一部進行する。生成ガスは改質部へ導入され、反応(2)〜(3)に加え、反応(4)〜(5)により、水素リッチな改質ガスが生成される。
【0013】
ところで、改質部で改質反応を開始するにはその運転温度に昇温する必要がある。図2はその幾つかの例を示す図である。図2(a)は電気ヒータによる加熱の場合である。しかし、電気ヒータによる加熱では起動に時間がかかるばかりでなく、起動のたびに必要となる電気コスト、設備コストが負担となる。図2(b)はバーナ等の外部加熱器による加熱の場合である。しかしこの場合、外部加熱器を別途必要とするので装置が複雑で大きくなってしまう。
【0014】
図2(c)はパイロットバーナによる加熱の場合である。起動時に、パイロットバーナにより改質触媒を直接加熱し、運転温度に達してから原料ガスと空気を導入し、原料ガスの改質を開始する。ところが、燃焼排ガス中の酸素によりCO変成触媒が酸化してしまうため、燃焼排ガスはCO変成器をバイパスして排出しなければならない。このように、それらのいずれの例でも、加熱手段が別途必要であるばかりか、上記のとおり一長一短があり、満足なものではなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、内燃式改質法による改質器の起動時における以上のような問題点を解決するため、その改質器を現実に作動させて詳しく追求したところ、起動時の操作条件を所定範囲に設定することにより、別途加熱手段を必要とすることなく、その起動を円滑に行えることを見い出した。すなわち、本発明は、内燃式改質法による改質器の起動に際して、その操作条件を所定範囲に設定することにより、その起動を円滑に行えるようにしてなる燃料電池用改質器の起動運転方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、起動用バーナを備え、炭素系燃料と空気を改質器に充填されている改質触媒で改質反応させて改質ガスを製造する改質器の起動時における運転方法であって、その起動時に、起動用バーナで炭素系燃料を完全燃焼させる空気量よりも少ない空気で気相燃焼させ、COと水素が含まれた燃焼排ガスで改質触媒を予熱すると同時に水素を発生させ、予熱の進行に従って水素の製造量(すなわち発電量)を増やしていくことを特徴とする改質器の起動運転方法を提供する。製造水素は燃料電池の燃料として使用して発電する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、起動用バーナ、改質触媒層を備える内燃式改質法による改質器の起動運転方法である。改質器へは炭素系燃料と空気を供給するが、炭素系燃料と空気に加え、水(水蒸気)を導入することもできる。炭素系燃料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、都市ガス、LPガス、天然ガス、その他の炭化水素ガス(2種以上の炭化水素の混合ガスを含む)が用いられる。
【0018】
本発明においては、その起動時に、起動用バーナでの炭素系燃料を完全燃焼させる空気量より少なく設定することが重要である。その空気量としては、好ましくは、空気比λ(=炭素系燃料を完全燃焼させる上で理論的に必要な最小限の空気量に対する実際に供給して乾き空気量の比)を0.8から1.0未満の範囲とする。
【0019】
こうして改質触媒を加熱し、改質触媒の温度上昇にあわせて空気比を0.8以下に徐々に変更する。その下限は、空気比λ=0.1程度である。これにより、改質触媒による部分酸化反応にスムーズに移行させることができる。このように、炭素系燃料と空気の比率を空気が少なくなるように徐々に制御することにより、気相での燃焼から触媒上での部分酸化反応にスムーズに移行させることができる。なお、改質触媒がNi系改質触媒である場合、その温度が400℃以下のときは酸化しにくいので炭素系燃料を空気比1以上で燃焼させることができる。
【0020】
改質触媒の最高温度部位(改質触媒への原料ガスの導入口付近)が触媒の劣化する温度以上にならないように、水蒸気(もしくは水)を導入して燃焼温度を抑制したり、炭素系燃料の空気比をより一層下げるように制御することが好ましい。具体的には空気比を0.1〜0.5の間に制御する。
【0021】
改質器にはCO変成器が連結される。あるいは、さらにCO変成器にはCO除去器が連結される。得られる水素をPAFCの燃料として使用する場合にはCO変成器に続きPAFCが連結され、得られる水素をPEFCの燃料として使用する場合にはCO除去器に続きPEFCが連結される。
【0022】
CO変成器にCO除去器を連結する場合には、CO除去器入口の改質ガス中のCOとCO除去器へ導入する空気のモル比(空気/COモル比)=2.4〜9.5(O/COのモル比=0.5〜2)とするが、運転すなわちプロセスの進行に合わせ、CO除去用空気量を減少させることにより、改質ガス中のCOを確実に数ppm程度まで除去し、且つ、改質ガスの水素の損失を最小に抑えることができる。また、CO変成器が作動する温度に昇温するまでCO変成器の冷却手段(熱交換器)を作動させないようにしたため、起動時間を短縮することができる。本発明は、以上のような一連の操作を行うことにより、起動してから、殆どタイムロス無く改質した燃料を使って燃料電池で発電することができる。
【0023】
上記のように、導入する炭素系燃料に対する空気比を制御することにより、起動直後に、炭素系燃料は1%程度の水素とCOを含む還元ガスになる。このため、改質器内に配置(充填)された酸化触媒、改質触媒及びCO変成器に配置(充填)されたCO変成触媒は酸化されず、活性が低下しない。本発明によれば、改質器の起動を円滑に短時間に行えるので、例えばPEFCで使用するCO濃度10ppm以下の水素リッチな改質ガスをその起動開始から1〜3分経過後に製造し、10分後には定格に対して30%の水素(改質ガス中の水素流量0.3Nm/h)を製造し、40分後には定格である100%の水素(改質ガス中の水素流量1.0Nm/h)を製造することができる。
【0024】
本発明においては、燃料電池に導入した改質ガスのうち、利用されなかった水素は、燃焼して、改質器で使う水蒸気の気化や改質に使用する熱源として使用される場合もある。
【0025】
本発明を実施する上で用いる改質触媒及びCO変成触媒としてはそれら各目的を達成し得る触媒であればいずれも用いることができる。改質触媒としては酸化活性と改質活性の両方を合わせて有する触媒が使用され、その例としてRu系、Pt系、Ni系の触媒が挙げられる。また、酸化活性のあるPd系の酸化触媒と改質活性のあるNi系の改質触媒の二つの触媒を部分酸化改質触媒として使用することもできる。CO変成触媒としては例えばCu−Zn系やPt触媒が用いられる。本発明は、水素を燃料とする燃料電池であるPEFC及びPAFCへ供給する水素製造用の改質器に適用される。
【0026】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもちろんである。本実施例では、概略、図3に示す改質器(起動用バーナ付き改質器)を用いた。これに熱交換器(H.E.)、CO変成器、CO除去器、配管を含めて図4に示すようにセットし、下記ステップS1〜S4に従い起動開始から定常運転に至るまで試験した。
【0027】
図3のとおり、本改質器は、管1〜4の四重の管で構成され、内管1内には酸化触媒(=燃焼触媒)が充填され(酸化反応筒)、内管1とそれを囲んだ管2との間に改質触媒が充填され(改質触媒筒)、管2の外周には間隔(間隙)を置いて管3が配置され、さらに管3の外周には間隔(間隙)を置いて外套4が配置されている。改質ガスが管2と管3の隙間を流通し、原料混合ガス(原料ガス+空気+水蒸気)が管3と外套4の隙間を流通することにより、原料混合ガスを予熱する。外套4の内側には低温の原料混合ガスしか流通しないため、外套4の外周面は低い温度に抑えられ、熱の放散を防ぐことができる。
【0028】
図4中、CO変成器及びCO除去器にはそれらで発生する反応熱を除去するために熱交換器(H.E.)が配置されている。Gは炭素系燃料(以下、原料ガスという)、Aは空気、KはCO除去器に供給する空気、Wは水(純水)であり、B1〜B7は各配管に配置した電磁開閉弁である。原料ガスとして脱硫済みの都市ガス13Aを使用し、酸化触媒としてPt触媒(アルミナにPtを担持した触媒)、改質触媒としてNi系触媒(アルミナにNiを担持した触媒)、CO変成触媒として銅ー亜鉛系触媒、CO除去用触媒としてPt触媒(アルミナにPtを担持した触媒)を用いた。
【0029】
以下において、T2は改質器内の温度、T3はCO変成器内の温度、T4はCO除去器内の温度である。図5〜8は、図4を基本図とし、各ステップに対応する流体の流れを示す図である。これら図中、矢印付きの実線はその方向に流体が流れていることを示し、点線は当該配管中に流体が流れていないことを示している。また、これら図中、図4に記載の弁B1〜B7等の記載は省略している。
【0030】
〈ステップ1:起動1(図5)〉
(1)基本図4において、弁B1、B5を開け、弁B2、B3、B4、B6、B7を閉めた段階である。図5はこの段階を示している。原料ガス(都市ガス13A)と空気を混合し、起動用バーナに供給して気相燃焼させ、改質器を加熱する。燃焼排ガスはバイパス配管で放散するか、別途設けた処理装置で可燃性ガスを処理する。これはCO変成器に燃え残った空気を入れないためである。より具体的には、空気(A)=30NL/min〔1分間当り30リットル(標準状態)、以下、単位「NL/min」について同じ〕、炭素系燃料(G)=3NL/minを導入して改質器バーナを着火して温度を上昇させた。以降、燃焼用空気を空気比λ=0.91に設定して供給した。空気比λ=1より大きいと、燃焼用空気が燃え残り、改質触媒を酸化してしまう。
【0031】
〈ステップS2:起動2(図6)〉
(2)、(1)において、起動初期に生じる燃え残りの多量の酸素が発生しなくなると、次のようなステップに移行する。基本図4において、弁B5を閉じた後、弁B7を開け、純水(W)を改質器に供給し、CO除去器に空気を供給する段階である。図6はこの段階を示している。原料ガスと空気を混合し、起動用バーナで気相燃焼させ、改質器を加熱し、燃料電池に1〜10%の水素を供給し、発電する。CO除去器に空気(K)を供給し、0.1〜1.0%生成するCOを除去する。CO除去用空気とCOとの発熱反応により、CO除去器が発熱することを純水(W)と熱交換することにより抑制する。空気(K)量は0.03NL/min、純水(W)量は12cc/minとする。
【0032】
〈ステップS3:起動3(図7)〉
(3)改質器内の最も温度が高くなる原料入口部の温度(T1)が600℃を超えた時点で、以下のように配管経路を切り換える。基本図4において、弁B4を開け、弁B2を開け、原料ガス(G)と純水(W)と空気(A)をH.E.(熱交換器)を経て改質器に供給し、CO除去器に引続き空気(K)を供給する段階である。図7はこの段階を示している。
▲1▼ 原料ガスと空気は、改質器内の酸化触媒上で触媒燃焼する。このとき空気比をλ=0.8程度とした(より具体的には空気量を30NL/minから27NL/minへ変更した)。
▲2▼ 改質器内の温度が上昇すると過加熱してしまうので、改質器のある一部の温度(入口、中間部、あるいは出口等の温度)の上昇に伴い、空気比を下げて行く。これには、原料ガスを増加させるか、空気(A)を減少させ、空気比λを0.8から0.5程度に下げる。空気比を下げることにより、燃焼温度は下がるため、過加熱を回避することができる。また、反応:CH+1/2O=CO+2Hが促進されるため、生成される水素が徐々に増える。より具体的には、改質器の最も温度の低い出口部の温度(T2)が550℃になるまで、原料ガスの供給量を3〜5.5NL/minに比例するように連続的に増加させ、空気(A)を断続的に23NL/minに変更した。
▲3▼ さらに、純水(W)が導入されることにより、改質器の過加熱を回避することができる。また、改質反応:CH+HO→CO+3Hが促進されるため、生成される水素が徐々に増える。また、水は高温の改質ガスを冷却して、シフト入口温度を適温に保つ。
▲4▼ 上記▲2▼、▲3▼により、生成される水素の増加に対応して、CO濃度も増加する。原料ガス(G)の増加に対応して、CO除去器への空気(K)を増加させることにより、改質ガス中のCOは除去される。
▲5▼ また、CO変成器の一部(入口、中間部、あるいは出口等の温度)が一定の温度に昇温すると、CO変成器での変成反応(CO+HO→CO+H)により、CO濃度は減少するので、CO除去器への空気(K)を減少させて、生成する水素を増やす。
▲6▼ 改質器からの改質ガスの温度は300℃から600℃程度に上昇して行く。CO変成触媒の耐熱温度は300℃以下であるため、配管経路を変更することにより、空気と原料ガス、純水をH.E.(熱交換器)に流通させ、改質ガスを冷却する。CO変成器の入口温度に対応して、純水(W)を増加させる操作を行うことにより、CO変成器に入る改質ガスの温度を抑制することができる。また、CO除去器の反応熱を水で熱交換する経路に変更することで、確実にCOを除去することができる。
【0033】
〈ステップS4:起動4(図8)〉
(4)基本図4において、弁B2を閉じ、弁B3を開ける。その他の弁はステップS3(図7)と同じである。図8はこの段階を示している。CO変成器の一部の温度(入口、中間部、あるいは出口等の温度)が一定値以上になると、以下のように変更する。
▲1▼ 空気(A)によりCO変成器を冷却し、CO変成器を170〜300℃程度に保つ。
▲2▼ 空気(A)がCO変成器の変成反応により予熱されるため、改質器の温度が上昇する。
▲3▼ ▲2▼により、改質温度が十分高く保たれるため、改質器のある一部の温度が一定になるように空気比λを下げる操作を行う。これには、原料ガスを増加するか、もしくは空気(A)を減少させ、空気比λを0.5から0.1程度にする。より具体的には、燃焼空気すなわち空気(A)を19NL/minに変更し、空気比λを0.4から0.3程度まで下げた。この操作は、改質器の一部の温度が一定になるように空気(A)の流量すなわち空気比を変更するものである。なお、改質器の一部の温度が一定になったら、PID制御により一定の空気、原料ガス流量になるように制御を行うことができる。この操作により、改質器の過加熱が防げ、水素の製造量が増える。
【0034】
図9は、以上のステップS1〜S4の時間経過に伴う(すなわち、起動開始時からの経過時間に対応する)改質器温度、CO濃度、水素ガス流量の実測値を示す図である。図9のように、燃料電池で使用する水素(CO<10ppm)を、改質器の起動開始後、1〜3分後に製造し、10分後には定格の約30%の水素(0.3m/h)を製造し、40分後には定格(100%)の水素(1.0m/h)を製造することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、内燃式改質法による改質器の起動に際し、その操作条件を所定範囲に設定することによりその起動を円滑に行うことができる。これにより瞬時に水素を製造して燃料電池での発電が行えるなど各種有用な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】改質器からからPEFCに至るまでの態様例を示す図
【図2】従来の改質部で改質反応を開始するための昇温の態様例を示す図
【図3】実施例で用いた改質器(起動用バーナ付き改質器)を示す図
【図4】実施例で用いた改質器系を示す図
【図5】実施例のステップS1の段階を示す図
【図6】実施例のステップS2の段階を示す図
【図7】実施例のステップS3の段階を示す図
【図8】実施例のステップS4の段階を示す図
【図9】実施例の結果を示す図

Claims (13)

  1. 起動用バーナを備え、炭素系燃料と空気を改質器に充填されている改質触媒で改質反応させて改質ガスを製造する改質器の起動時における運転方法であって、その起動時に、起動用バーナで炭素系燃料を燃焼させて前記改質触媒に導入し、前記炭素系燃料の燃焼熱を用いて改質触媒を予熱することを特徴とする改質器の起動運転方法。
  2. 起動用バーナを備え、炭素系燃料と空気を改質器に充填されている改質触媒で改質反応させて改質ガスを製造する改質器の起動時における運転方法であって、その起動時に、起動用バーナで炭素系燃料を燃焼させて前記改質触媒に導入し、前記炭素系燃料の燃焼熱を用いて前記改質触媒を予熱した後に、前記改質触媒の温度上昇とともに、前記炭素系燃料の空気比を制御することを特徴とする改質器の起動運転方法。
  3. 請求項2に記載の改質器の起動運転方法において、前記空気比を0.1〜0.5の間に制御することを特徴とする改質器の起動運転方法。
  4. 前記起動用バーナにおける炭素系燃料の燃焼を空気比1未満で行わせることを特徴とする請求項2または3に記載の改質器の起動運転方法。
  5. 前記改質触媒の温度が400℃以下のときは前記炭素系燃料を空気比1以上で燃焼させることを特徴とする請求項4に記載の改質器の起動運転方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の改質器の起動運転方法において、炭素系燃料と空気に加え、水蒸気を前記改質触媒に導入することを特徴とする改質器の起動運転方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の改質器の起動運転方法において、改質器にCO変成器が連結されていることを特徴とする改質器の起動運転方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の改質器の起動運転方法において、改質器にCO変成器とCO除去器が連結されていることを特徴とする改質器の起動運転方法。
  9. 請求項8に記載の改質器の起動運転方法において、CO変成器のCO変成触媒の昇温が進むに従ってCO除去器へ供給するCO除去用酸化剤ガスの量を減少させることを特徴とする改質器の起動運転方法。
  10. 請求項8に記載の改質器の起動運転方法において、炭素系燃料の流量の増減に従い、CO除去器へ供給するCO除去用酸化剤ガスの量を増減させることを特徴とする改質器の起動運転方法。
  11. 請求項8に記載の改質器の起動運転方法において、空気比λを下げるに従い、CO除去器へ供給するCO除去用酸化剤ガスの量を増加させ、空気比λを上げるに従い、CO除去器へ供給するCO除去用酸化剤ガスの量を減少させることを特徴とする改質器の起動運転方法。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の改質器の起動運転方法において、CO変成器に充填されたCO変成触媒の活性温度まで昇温が進んだとき、前記CO変成器に備えた冷却装置により前記CO変成器に充填された前記CO変成触媒を活性温度に保持することを特徴とする改質器の起動運転方法。
  13. 請求項8に記載の改質器の起動運転方法において、CO変成器、あるいはCO変成器に続くCO除去器に燃料電池を連結して、改質した改質ガスを燃料として燃料電池で発電することを特徴とする改質器の起動運転方法。
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