JP2004009943A - 船舶用プロペラの流体吹出し装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビテーションノイズを確実に抑制でき、船体に振動や騒音を発生させる噴射ノイズを軽減して船体の快適性を高める。
【解決手段】流体吹出し装置が、プロペラ翼に対してキャビテーションノイズの発生状況に基づいて空気の噴射量を調整するコントローラを備える。コントローラは、船舶用プロペラの回転中、各プロペラ翼がキャビテーションノイズの大なる領域Bにあるとき、それぞれのプロペラ翼に対し、空気の噴射量を多くさせ、またプロペラ翼がキャビテーションノイズの小なる領域Sにあるとき、空気の噴射を減少させる。
【選択図】 図4
【解決手段】流体吹出し装置が、プロペラ翼に対してキャビテーションノイズの発生状況に基づいて空気の噴射量を調整するコントローラを備える。コントローラは、船舶用プロペラの回転中、各プロペラ翼がキャビテーションノイズの大なる領域Bにあるとき、それぞれのプロペラ翼に対し、空気の噴射量を多くさせ、またプロペラ翼がキャビテーションノイズの小なる領域Sにあるとき、空気の噴射を減少させる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、船舶用プロペラの流体吹出し装置に係り、特に、船舶用プロペラのプロペラ翼から流体を吹出すのに好適な流体吹出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶にあっては、船舶用プロペラの回転時、プロペラ翼面上にキャビテーションノイズを発生させてしまうことから、このノイズ等を軽減するための流体吹出し装置を設けたものがある。従来の流体吹出し装置は、例えばそれぞれのプロペラ翼面に複数の微小な孔が穿設され、船舶用プロペラの駆動時、図示しない供給手段により、それぞれの孔から空気等の流体をプロペラ翼面に噴出させることで海中に気泡が発生すると、その気泡が、プロペラ翼の回転によって生じるキャビテーションノイズを低減して船体の振動軽減、プロペラ翼から発生する雑音の低減、プロペラ翼面やプロペラ付近の船体の侵食抑制などを行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の流体吹付け装置は、プロペラ翼の回転位置によってはキャビテーションノイズが大なる領域と小なる領域も存在することについて配慮されていない。
例えば、五枚のプロペラ翼を有する船舶用プロペラの場合、図7に示すように、プロペラ翼が回転すると、回転角度に伴ってキャビテーションノイズNが次第に大きくなるものの、そのキャビテーションノイズNがある角度を通過した時点で減少するので、キャビテーションノイズNに大となる領域Bと小となる領域Sとのパターンが存在し、このような現象が船舶用プロペラの回転角度が進むに伴い、各プロペラ翼毎に同様に繰り返されることとなる。
【0004】
従って、キャビテーションノイズNが大なる領域Bのときに空気を噴射させると、キャビテーションノイズの抑制機能を得ることができるものの、小さい領域Sのようにキャビテーションノイズが減少しているときにも、流体を噴射し続けて気泡を発生させておくと、その気泡が逆に噴射ノイズとなってしまい、船体の振動や騒音を誘発して船体の快適性が損なわれるばかりでなく、その分だけ空気の供給が無駄になるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、キャビテーションノイズを確実に抑制することができるのは勿論、船体に振動や騒音を発生させる噴射ノイズを軽減して船体の快適性を高めることができる船舶用プロペラの流体吹出し装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、船舶用プロペラの各プロペラ翼内に流体を供給し、かつ該各プロペラ翼に設けられた吹出し口から、流体を噴出させる流体吹出し装置において、前記船舶用プロペラの回転時、各プロペラ翼に対し、該各プロペラ翼によるキャビテーションノイズの発生状況に基づいて流体の噴射量を調整するコントローラを備えることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、キャビテーションノイズの発生状況に基づいて流体の噴射量を調整するので、キャビテーションノイズが大なる領域のときに、噴射量を多くすることができ、またキャビテーションノイズが小なる領域のときに、噴射量を減少したり噴射停止したりすることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、前記コントローラは、各プロペラ翼毎に計測された前記キャビテーションノイズの発生パターンに同期させて噴射量を調整する手段を有することを特徴とする。
【0009】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、コントローラが、各プロペラ翼毎に計測されたキャビテーションノイズの発生パターンに同期させて噴射量を調整するので、キャビテーションノイズが大なる領域のときに、噴射量を多くしてキャビテーションノイズを抑制することができ、またキャビテーションノイズが小なる領域のときに、噴射量を減少や停止したりして噴射ノイズを軽減することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、前記手段は、前記各プロペラ翼の回転方向におけるキャビテーションノイズの発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、流体を噴射させることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、各プロペラ翼がキャビテーションノイズの発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、流体を噴射させるので、キャビテーションノイズが最も大きい領域のとき、キャビテーションノイズの抑制を良好に行うことができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、前記手段は、各プロペラ翼の回転時、キャビテーションノイズを発生させているプロペラ翼に対し、選択的に流体を供給し、かつ噴射させることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、キャビテーションノイズを発生させているプロペラ翼に、選択的に流体を噴射させるので、キャビテーションノイズの抑制を合理的に行うことができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれかに記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、前記手段は、各プロペラ翼が回転方向における前記発生開始位置から15〜50度の角度に回転しているときに、流体の噴射量を多くする一方、その角度を通過した時点で、流体の噴射量を減少若しくは停止させることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、各プロペラ翼が発生開始位置から15〜50度の角度で回転しているとき、流体の噴射量を多くする一方、その角度を通過した時点で、流体の噴射量を減少若しくは停止させるので、キャビテーションノイズの抑制を確実かつ良好に行うことができると共に、流体の噴射ノイズの軽減をも確実かつ良好に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図4はこの発明の一実施の形態に係る船舶用プロペラの流体吹出し装置を示す図であって、図1は流体吹出し装置を示す概略構成図、図2は船舶用プロペラを示す正面図、図3は同じく船舶用プロペラを示す一部破断した拡大図、図4は各プロペラ翼のキャビテーションノイズと流体吹出し装置における流体噴射との関係を示す説明図ある。
図1及び図2において、符号10は船舶用プロペラである。船舶用プロペラ10は、プロペラハブ12の周囲に、例えば図2のように、五枚からなるプロペラ翼11が等間隔で配設されている。プロペラハブ12は、推力軸13に連結され、駆動源18によって推力軸13が軸線周りに駆動されることで回転する。
【0017】
推力軸13の内部には、図3に示すように各プロペラ翼11の数に応じて流体供給路14が軸方向にそれぞれ設けられ、それぞれの流体供給路14の末端が、各プロペラ翼11に複数穿設された吹出し口15とそれぞれと連絡している。吹出し口15は、プロペラ翼11の背面(上流)、正面(下流)及び先端部に複数形成されており、翼通路16とプロペラハブ12の内部に設けられたハブ通路17とを経て流体供給路14と連絡している。
【0018】
そして、船舶用プロペラ10の駆動時、流体吹出し装置20が、推力軸13の流体供給路14に図1に示す接続部19を介し流体としての空気を供給することで、その空気がプロペラ翼の吹出し口15から噴出し、これによって海中で気泡が発生するようになっている。
【0019】
この実施形態では、流体吹出し装置20が、プロペラ翼11に対しキャビテーションノイズの発生状況に基づいて空気の噴射量を調整するコントローラ21を備えている。即ち、船舶用プロペラ10の回転時、各プロペラ翼11が回転することで図4(a)のようにキャビテーションノイズNA〜NEが順次発生するが、コントローラ21は、そのキャビテーションノイズNA〜NEが大なる領域Bにあるとき、それぞれのプロペラ翼11に対し、同図(b)のように空気の噴射量を多くさせ、またそれぞれのプロペラ翼1がキャビテーションノイズNA〜NEの小なる領域Sにあるとき、空気の噴射を減少させるように調整している。
【0020】
以下に詳細に説明する。なお、説明の都合上、図2において、プロペラ翼の各々には矢印に示す回転方向の順に応じて符号11A〜11Eを付し、また回転したときに図4(a)のように発生するキャビテーションノイズNA〜NEの発生開始位置をXとして表している。図4(a)に示すNA〜NEは、図2におけるプロペラ翼11A〜11Eによるそれぞれのキャビテーションノイズを表している。
【0021】
まず、プロペラ翼11A〜11Eのキャビテーションノイズの発生状況としては、伴流分布、船速、流体温度、プロペラ没水深度、プロペラ回転数、流体の表面張力等によって相違があることから、予め、船舶用プロペラ10の回転状態を図示しない計測器によって観察し、各プロペラ翼11A〜11E毎にキャビテーションノイズNA〜NEの大なる領域Bと小なる領域Sとの発生パターンを計測しておき、その発生パターンを図1に示すコントローラ21にデータとして入力しておく。
【0022】
そして、コントローラ21は、船舶用プロペラ10の回転時、図4(b)に示すように各プロペラ翼11A〜11Eに空気を少なめに供給して噴射させるが、そのとき、一枚目のプロペラ翼11Aが図2に示すキャビテーションノイズの発生開始位置Xを経ることで、図4(a)のように領域Bまで回転してキャビテーションノイズNAが大きくなると、同図(b)に示すように、それまでより多い噴射量で空気を噴出させ、次いで、そのプロペラ翼11AがキャビテーションノイズNAの領域Bを過ぎて小なる領域Sに進むと、それに対する空気の噴射量を再び減少させる。
【0023】
その後、図2に示す次のプロペラ翼11Bがキャビテーションノイズの発生開始位置Xを経て領域Bの角度に至るまで回転することでキャビテーションノイズNBが発生しているとき、そのプロペラ翼11Bに対して空気の噴射量を多くし、プロペラ翼11Bがその領域Bを過ぎると、空気の噴射量を再び減少させ、以下、他のプロペラ翼11C〜11Eについても同様に噴射量を変えることで、それぞれのプロペラ翼11A〜11Eに対しキャビテーションノイズの発生状況に応じて空気の噴射量を調整する。
【0024】
このとき、本例では五枚のプロペラ翼11A〜11Eを用いていることから、コントローラ21は、図4(a)に示すように、キャビテーションノイズNA〜NEの発生角度が約70度で、各キャビテーションノイズNA〜NEにおける領域Bの角度がおよそ15〜50度前後の角度に設定しており、また領域S及びBの境界も適宜選定している。但し、コントローラ21は、空気の噴射によるノイズを可及的に小さくするため、プロペラ翼11A〜11Eにおける吹出し口15の位置及び口径、噴射方向等に基づき、空気の噴射すべき流速及び流量をも制御することが望ましい。
【0025】
従って、コントローラ21は、船舶用プロペラ10の回転時、それぞれのプロペラ翼11A〜11EのキャビテーションノイズNA〜NEの発生パターンに同期させることで、空気の噴射量を調整制御するようになっている。コントローラ21は、図1のように、アキュムレータ23を介して圧縮機22と接続され、蓄圧された圧縮空気を各プロペラ翼11A〜11Eに供給しかつ噴射させるようになっている。
【0026】
この実施形態の流体吹出し装置20は、上記のように構成されているので、いま、航行するため、船体の推力軸13が駆動されると、プロペラハブ12が回転することで船舶用プロペラ10が航行方向に回転する。
この回転時、船舶用プロペラ10の各プロペラ翼11A〜11Eが回転方向における発生開始位置Xを通過する度にキャビテーションノイズNA〜NEが順次発生することとなる。
【0027】
この場合、流体吹出し装置20は、船舶用プロペラ10の回転時、通常では小量の空気を供給して噴射させている。例えば図2に示すように、各プロペラ翼11A〜11Eのうち、プロペラ翼11Aが回転方向において、発生開始位置Xを通過してキャビテーションノイズNAの小なる領域Sまで回転しているときには、コントローラ21が空気の噴射量を少なく制御しているが、その状態からプロペラ翼11AがキャビテーションノイズNAの大なる領域Bまで回転すると、コントローラ21が、空気の噴射量を多くすると共に、その噴射量が領域Bを通過するまで継続され、その後、プロペラ翼11Aが小なる領域Sに戻った入った時点で、空気の噴射量を減少させる。
【0028】
そして、コントローラ21は、プロペラ翼11AがキャビテーションノイズNAの領域を通過した後、次のプロペラ翼11Bが発生開始位置Xを通過し、かつ小さな領域Sから大きな領域Bに入ると、今度はプロペラ翼11Bに多量の空気を供給して噴射させ、かつ該プロペラ翼11Bがそこから小さな領域Sに入ると空気の噴射量を減少させる。このような空気の噴射量は、各プロペラ翼11A〜11Eが小なる領域Sから大なる領域Bを経て再び小なる領域Sに戻る角度まで回転したときに発生するキャビテーションノイズNA〜NE毎に対応させて噴射量を調整することとなる。
【0029】
従って、この実施形態によれば、キャビテーションノイズの大きな領域Bを通過するプロペラ翼11A〜11Eに対応させて空気の噴射量を多くするので、キャビテーションノイズを確実に抑制することができる一方、プロペラ翼11A〜11Eが小さな領域Sを通過しているときに空気の噴射量を減少させることができる。
【0030】
そのため、キャビテーションノイズの領域Sでは空気の噴射量を減少させるので、流体を常に同じ状態で噴射させておく従来技術と比較すると、プロペラ翼11A〜11Eが領域Sを通過しているときの空気の噴射ノイズを軽減することができる結果、船体の振動や騒音が発生するのを抑えることができ、船体の快適性を高めることができるばかりでなく、空気の無駄な噴射をなくすこともできる。
【0031】
しかも、各プロペラ翼11A〜11EのキャビテーションノイズNA〜NEの領域を予め計測しておくことで、キャビテーションノイズの大なる領域Bと小なる領域Sとの発生パターンを把握しておき、吹出し装置10のコントローラが、各プロペラ翼毎に計測されたキャビテーションノイズの発生パターンに対応させて噴射量を調整するので、各プロペラ翼11A〜11E毎に発生するキャビテーションノイズNA〜NEを的確に軽減することができる。
【0032】
また、コントローラ21は、各プロペラ翼11A〜11Eの回転方向における発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、つまりキャビテーションノイズが最も大きな領域Bのときに流体を噴射させるので、キャビテーションノイズの抑制を確実に行うことができる。
そして、コントローラ21は、各プロペラ翼11A〜11Eの回転時、大きなキャビテーションノイズを発生させながら回転しているプロペラ翼にのみ、多量の空気を噴射させるので、キャビテーションノイズの抑制を効率的にかつ有効に行うことができる。
【0033】
図5及び図6は、この発明の第2の実施の形態に係る流体吹出し装置を示している。
上述した実施形態では、全てのプロペラ翼11A〜11Eに空気を常に送り、各プロペラ11A〜11Eがキャビテーションノイズの大なる領域Bを通過するときに空気の噴射量を多くするようにしたが、この実施形態では、キャビテーションノイズが発生する位置を通過するプロペラ翼に対してのみ、選択的に空気を噴射するようにしたものである。
【0034】
例えば、図5のように流体吹出し装置20のコントローラ21の接続部19と、推力軸13の各流体供給路14間に選択供給体24を介設しておく。この選択供給体24は、図6に示すように、推力軸13の流体供給路14と同一円周上に一個の長孔25が設けられてあって、推力軸13及び接続部19間で空気が外部に漏れないように気密保持されて船体側に固定される。
【0035】
そして、推力軸13が駆動されることで船舶用プロペラ10が回転しているとき、推力軸13内の一方の流体供給路14が長孔25の位置と一致すると、コントローラ21によって供給された空気が長孔25及び流体供給路14を経て、長孔25と一致しているプロペラ翼11A〜11Eのいずれか一方にのみ、選択的に供給されて噴射した後、そのプロペラ翼が長孔25を通過した時点で、空気の供給が停止され、次いで他の流体供給路14が長孔25と一致すると、その一致した流体供給路14と連絡しているプロペラ翼のみが空気を噴射させるようになっている。その際、空気の噴射量は前述の実施形態と同様であり、キャビテーションノイズの領域Bにあるときにはコントローラ21によって増やし、また領域Sにあるときには少なくなるように調整される。
【0036】
そのため、長孔25は、選択供給体24の前記流体供給路14と同一円周上において、各プロペラ翼11のキャビテーションノイズの大なる領域Bと小なる領域Sとからなる発生パターンの角度と対応する位置に形成され、キャビテーションノイズを発生させている一方のプロペラ翼だけが、空気が供給されることで噴射するようになっている。なお、図6において、符号26は、駆動源18と推力軸13との連結部が挿通する挿通孔である。
【0037】
従って、この実施形態によれば、キャビテーションノイズを発生させる特定のプロペラ翼だけに対し空気を噴射させると共に、その噴射量を調整するので、基本的には前述した実施形態と同様の効果が得られのに加え、キャビテーションノイズを発生させない他のプロペラ翼に空気を供給しないので、空気の供給量を省力化することができる。
【0038】
なお、図示実施形態では、船舶用プロペラ10が五枚のプロペラ翼11A〜11Eからなる例を示したが、一般に、流体吹出し装置20を備えた船舶用プロペラとしては四枚若しくは五枚からなっている。これらのキャビテーションノイズの発生パターンを計測した結果、キャビテーションノイズの大なる領域が、図4(a)のようにいずれも発生開始位置から15〜50度の角度であることから、その角度の範囲内で空気の噴射量を多くさせ、それ以外のときに空気の噴射量を減少させるようにすれば、上記枚数のいずれのものにも適用することができる。
【0039】
また、プロペラ翼がキャビテーションノイズの大なる領域から外れた時点で、空気の噴射を減少させるようにしたが、噴射を停止させても略同様の作用効果が得られる。いずれにしろ、実機適用の際には、各プロペラ翼毎に模型試験、シミュレーション解析にて吹出し装置性能を確認した上で行えば、上記発明を良好に実現することができる。
【0040】
更に、推力軸13には五枚のプロペラ翼11に対応させて五個の流体供給路14をそれぞれ設けた例を示したが、例えば流体切換弁を有する一個だけの流体供給路を設け、該流体供給路が前記流体切換弁の切換により、各プロペラ翼の回転角度に応じ、キャビテーションノイズを発生しているプロペラ翼と接続するようにこともできるので、図示構成例に限定されるものではない。
そして、キャビテーションノイズをより効果的に低減させるため、流体として空気を用いた例を示したが、これに限らず、水や海水等の液体を吹き出させるようにしても本発明を同様に達成することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、船舶用プロペラの回転時、コントローラが各プロペラ翼に対し、キャビテーションノイズの発生状況に基づいて流体の噴射量を調整するので、キャビテーションノイズが大なる領域では噴射量を増やしてキャビテーションノイズを確実に抑制できるのは勿論、キャビテーションノイズが小なる領域では流体の噴射ノイズを低減することができる結果、船体の振動や騒音を軽減できると共に、それだけ推進効率を向上(約1〜2%)することができ、船体の快適性及び設計改善効果を高めることができる他、キャビテーションノイズの抑制により、船舶の音響観測装置の感度向上に寄与できるなどの効果が得られる。
【0042】
請求項2に係る発明によれば、コントローラが、各プロペラ翼毎に計測されたキャビテーションノイズの発生パターンに同期させて噴射量を調整することで、キャビテーションノイズを抑制することができ、また噴射ノイズを軽減することができる効果が得られる。
【0043】
請求項3に係る発明によれば、各プロペラ翼がキャビテーションノイズの発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、流体を噴射させるので、キャビテーションノイズが最も大きい領域のとき、キャビテーションノイズの抑制を良好に行うことができる効果が得られる。
【0044】
請求項4に係る発明によれば、キャビテーションノイズを発生させているプロペラ翼に、選択的に流体を噴射させるので、キャビテーションノイズの抑制を合理的に行うことができる効果が得られる。
【0045】
請求項5に係る発明は、各プロペラ翼が回転方向において15〜50度の角度で流体の噴射量を多くし、その角度を通過した時点で、流体の噴射量を減少若しくは停止させるので、キャビテーションノイズの抑制を確実かつ良好に行うことができると共に、流体の噴射ノイズの低減をも確実かつ良好に行うことができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る船舶用プロペラの流体吹出し装置を示す概略構成図である。
【図2】船舶用プロペラを示す正面図である。
【図3】同じく船舶用プロペラを示す一部破断した拡大図である。
【図4】各プロペラ翼のキャビテーションノイズと流体吹出し装置における流体噴射との関係を示す説明図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係る船舶用プロペラの流体吹出し装置を示す概略構成図である。
【図6】図5における選択供給体を示す要部の説明図である。
【図7】船舶用プロペラにおける各プロペラ翼のキャビテーションノイズを示す説明図である。
【符号の説明】
10 船舶用プロペラ
11、11A〜11E プロペラ翼
15 吹出し口
20 流体吹出し装置
21 コントローラ
B キャビテーションノイズの大なる領域
S キャビテーションノイズの小なる領域
【発明の属する技術分野】
この発明は、船舶用プロペラの流体吹出し装置に係り、特に、船舶用プロペラのプロペラ翼から流体を吹出すのに好適な流体吹出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶にあっては、船舶用プロペラの回転時、プロペラ翼面上にキャビテーションノイズを発生させてしまうことから、このノイズ等を軽減するための流体吹出し装置を設けたものがある。従来の流体吹出し装置は、例えばそれぞれのプロペラ翼面に複数の微小な孔が穿設され、船舶用プロペラの駆動時、図示しない供給手段により、それぞれの孔から空気等の流体をプロペラ翼面に噴出させることで海中に気泡が発生すると、その気泡が、プロペラ翼の回転によって生じるキャビテーションノイズを低減して船体の振動軽減、プロペラ翼から発生する雑音の低減、プロペラ翼面やプロペラ付近の船体の侵食抑制などを行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の流体吹付け装置は、プロペラ翼の回転位置によってはキャビテーションノイズが大なる領域と小なる領域も存在することについて配慮されていない。
例えば、五枚のプロペラ翼を有する船舶用プロペラの場合、図7に示すように、プロペラ翼が回転すると、回転角度に伴ってキャビテーションノイズNが次第に大きくなるものの、そのキャビテーションノイズNがある角度を通過した時点で減少するので、キャビテーションノイズNに大となる領域Bと小となる領域Sとのパターンが存在し、このような現象が船舶用プロペラの回転角度が進むに伴い、各プロペラ翼毎に同様に繰り返されることとなる。
【0004】
従って、キャビテーションノイズNが大なる領域Bのときに空気を噴射させると、キャビテーションノイズの抑制機能を得ることができるものの、小さい領域Sのようにキャビテーションノイズが減少しているときにも、流体を噴射し続けて気泡を発生させておくと、その気泡が逆に噴射ノイズとなってしまい、船体の振動や騒音を誘発して船体の快適性が損なわれるばかりでなく、その分だけ空気の供給が無駄になるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、キャビテーションノイズを確実に抑制することができるのは勿論、船体に振動や騒音を発生させる噴射ノイズを軽減して船体の快適性を高めることができる船舶用プロペラの流体吹出し装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、船舶用プロペラの各プロペラ翼内に流体を供給し、かつ該各プロペラ翼に設けられた吹出し口から、流体を噴出させる流体吹出し装置において、前記船舶用プロペラの回転時、各プロペラ翼に対し、該各プロペラ翼によるキャビテーションノイズの発生状況に基づいて流体の噴射量を調整するコントローラを備えることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、キャビテーションノイズの発生状況に基づいて流体の噴射量を調整するので、キャビテーションノイズが大なる領域のときに、噴射量を多くすることができ、またキャビテーションノイズが小なる領域のときに、噴射量を減少したり噴射停止したりすることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、前記コントローラは、各プロペラ翼毎に計測された前記キャビテーションノイズの発生パターンに同期させて噴射量を調整する手段を有することを特徴とする。
【0009】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、コントローラが、各プロペラ翼毎に計測されたキャビテーションノイズの発生パターンに同期させて噴射量を調整するので、キャビテーションノイズが大なる領域のときに、噴射量を多くしてキャビテーションノイズを抑制することができ、またキャビテーションノイズが小なる領域のときに、噴射量を減少や停止したりして噴射ノイズを軽減することができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、前記手段は、前記各プロペラ翼の回転方向におけるキャビテーションノイズの発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、流体を噴射させることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、各プロペラ翼がキャビテーションノイズの発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、流体を噴射させるので、キャビテーションノイズが最も大きい領域のとき、キャビテーションノイズの抑制を良好に行うことができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、前記手段は、各プロペラ翼の回転時、キャビテーションノイズを発生させているプロペラ翼に対し、選択的に流体を供給し、かつ噴射させることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、キャビテーションノイズを発生させているプロペラ翼に、選択的に流体を噴射させるので、キャビテーションノイズの抑制を合理的に行うことができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれかに記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、前記手段は、各プロペラ翼が回転方向における前記発生開始位置から15〜50度の角度に回転しているときに、流体の噴射量を多くする一方、その角度を通過した時点で、流体の噴射量を減少若しくは停止させることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る流体吹出し装置によれば、各プロペラ翼が発生開始位置から15〜50度の角度で回転しているとき、流体の噴射量を多くする一方、その角度を通過した時点で、流体の噴射量を減少若しくは停止させるので、キャビテーションノイズの抑制を確実かつ良好に行うことができると共に、流体の噴射ノイズの軽減をも確実かつ良好に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図4はこの発明の一実施の形態に係る船舶用プロペラの流体吹出し装置を示す図であって、図1は流体吹出し装置を示す概略構成図、図2は船舶用プロペラを示す正面図、図3は同じく船舶用プロペラを示す一部破断した拡大図、図4は各プロペラ翼のキャビテーションノイズと流体吹出し装置における流体噴射との関係を示す説明図ある。
図1及び図2において、符号10は船舶用プロペラである。船舶用プロペラ10は、プロペラハブ12の周囲に、例えば図2のように、五枚からなるプロペラ翼11が等間隔で配設されている。プロペラハブ12は、推力軸13に連結され、駆動源18によって推力軸13が軸線周りに駆動されることで回転する。
【0017】
推力軸13の内部には、図3に示すように各プロペラ翼11の数に応じて流体供給路14が軸方向にそれぞれ設けられ、それぞれの流体供給路14の末端が、各プロペラ翼11に複数穿設された吹出し口15とそれぞれと連絡している。吹出し口15は、プロペラ翼11の背面(上流)、正面(下流)及び先端部に複数形成されており、翼通路16とプロペラハブ12の内部に設けられたハブ通路17とを経て流体供給路14と連絡している。
【0018】
そして、船舶用プロペラ10の駆動時、流体吹出し装置20が、推力軸13の流体供給路14に図1に示す接続部19を介し流体としての空気を供給することで、その空気がプロペラ翼の吹出し口15から噴出し、これによって海中で気泡が発生するようになっている。
【0019】
この実施形態では、流体吹出し装置20が、プロペラ翼11に対しキャビテーションノイズの発生状況に基づいて空気の噴射量を調整するコントローラ21を備えている。即ち、船舶用プロペラ10の回転時、各プロペラ翼11が回転することで図4(a)のようにキャビテーションノイズNA〜NEが順次発生するが、コントローラ21は、そのキャビテーションノイズNA〜NEが大なる領域Bにあるとき、それぞれのプロペラ翼11に対し、同図(b)のように空気の噴射量を多くさせ、またそれぞれのプロペラ翼1がキャビテーションノイズNA〜NEの小なる領域Sにあるとき、空気の噴射を減少させるように調整している。
【0020】
以下に詳細に説明する。なお、説明の都合上、図2において、プロペラ翼の各々には矢印に示す回転方向の順に応じて符号11A〜11Eを付し、また回転したときに図4(a)のように発生するキャビテーションノイズNA〜NEの発生開始位置をXとして表している。図4(a)に示すNA〜NEは、図2におけるプロペラ翼11A〜11Eによるそれぞれのキャビテーションノイズを表している。
【0021】
まず、プロペラ翼11A〜11Eのキャビテーションノイズの発生状況としては、伴流分布、船速、流体温度、プロペラ没水深度、プロペラ回転数、流体の表面張力等によって相違があることから、予め、船舶用プロペラ10の回転状態を図示しない計測器によって観察し、各プロペラ翼11A〜11E毎にキャビテーションノイズNA〜NEの大なる領域Bと小なる領域Sとの発生パターンを計測しておき、その発生パターンを図1に示すコントローラ21にデータとして入力しておく。
【0022】
そして、コントローラ21は、船舶用プロペラ10の回転時、図4(b)に示すように各プロペラ翼11A〜11Eに空気を少なめに供給して噴射させるが、そのとき、一枚目のプロペラ翼11Aが図2に示すキャビテーションノイズの発生開始位置Xを経ることで、図4(a)のように領域Bまで回転してキャビテーションノイズNAが大きくなると、同図(b)に示すように、それまでより多い噴射量で空気を噴出させ、次いで、そのプロペラ翼11AがキャビテーションノイズNAの領域Bを過ぎて小なる領域Sに進むと、それに対する空気の噴射量を再び減少させる。
【0023】
その後、図2に示す次のプロペラ翼11Bがキャビテーションノイズの発生開始位置Xを経て領域Bの角度に至るまで回転することでキャビテーションノイズNBが発生しているとき、そのプロペラ翼11Bに対して空気の噴射量を多くし、プロペラ翼11Bがその領域Bを過ぎると、空気の噴射量を再び減少させ、以下、他のプロペラ翼11C〜11Eについても同様に噴射量を変えることで、それぞれのプロペラ翼11A〜11Eに対しキャビテーションノイズの発生状況に応じて空気の噴射量を調整する。
【0024】
このとき、本例では五枚のプロペラ翼11A〜11Eを用いていることから、コントローラ21は、図4(a)に示すように、キャビテーションノイズNA〜NEの発生角度が約70度で、各キャビテーションノイズNA〜NEにおける領域Bの角度がおよそ15〜50度前後の角度に設定しており、また領域S及びBの境界も適宜選定している。但し、コントローラ21は、空気の噴射によるノイズを可及的に小さくするため、プロペラ翼11A〜11Eにおける吹出し口15の位置及び口径、噴射方向等に基づき、空気の噴射すべき流速及び流量をも制御することが望ましい。
【0025】
従って、コントローラ21は、船舶用プロペラ10の回転時、それぞれのプロペラ翼11A〜11EのキャビテーションノイズNA〜NEの発生パターンに同期させることで、空気の噴射量を調整制御するようになっている。コントローラ21は、図1のように、アキュムレータ23を介して圧縮機22と接続され、蓄圧された圧縮空気を各プロペラ翼11A〜11Eに供給しかつ噴射させるようになっている。
【0026】
この実施形態の流体吹出し装置20は、上記のように構成されているので、いま、航行するため、船体の推力軸13が駆動されると、プロペラハブ12が回転することで船舶用プロペラ10が航行方向に回転する。
この回転時、船舶用プロペラ10の各プロペラ翼11A〜11Eが回転方向における発生開始位置Xを通過する度にキャビテーションノイズNA〜NEが順次発生することとなる。
【0027】
この場合、流体吹出し装置20は、船舶用プロペラ10の回転時、通常では小量の空気を供給して噴射させている。例えば図2に示すように、各プロペラ翼11A〜11Eのうち、プロペラ翼11Aが回転方向において、発生開始位置Xを通過してキャビテーションノイズNAの小なる領域Sまで回転しているときには、コントローラ21が空気の噴射量を少なく制御しているが、その状態からプロペラ翼11AがキャビテーションノイズNAの大なる領域Bまで回転すると、コントローラ21が、空気の噴射量を多くすると共に、その噴射量が領域Bを通過するまで継続され、その後、プロペラ翼11Aが小なる領域Sに戻った入った時点で、空気の噴射量を減少させる。
【0028】
そして、コントローラ21は、プロペラ翼11AがキャビテーションノイズNAの領域を通過した後、次のプロペラ翼11Bが発生開始位置Xを通過し、かつ小さな領域Sから大きな領域Bに入ると、今度はプロペラ翼11Bに多量の空気を供給して噴射させ、かつ該プロペラ翼11Bがそこから小さな領域Sに入ると空気の噴射量を減少させる。このような空気の噴射量は、各プロペラ翼11A〜11Eが小なる領域Sから大なる領域Bを経て再び小なる領域Sに戻る角度まで回転したときに発生するキャビテーションノイズNA〜NE毎に対応させて噴射量を調整することとなる。
【0029】
従って、この実施形態によれば、キャビテーションノイズの大きな領域Bを通過するプロペラ翼11A〜11Eに対応させて空気の噴射量を多くするので、キャビテーションノイズを確実に抑制することができる一方、プロペラ翼11A〜11Eが小さな領域Sを通過しているときに空気の噴射量を減少させることができる。
【0030】
そのため、キャビテーションノイズの領域Sでは空気の噴射量を減少させるので、流体を常に同じ状態で噴射させておく従来技術と比較すると、プロペラ翼11A〜11Eが領域Sを通過しているときの空気の噴射ノイズを軽減することができる結果、船体の振動や騒音が発生するのを抑えることができ、船体の快適性を高めることができるばかりでなく、空気の無駄な噴射をなくすこともできる。
【0031】
しかも、各プロペラ翼11A〜11EのキャビテーションノイズNA〜NEの領域を予め計測しておくことで、キャビテーションノイズの大なる領域Bと小なる領域Sとの発生パターンを把握しておき、吹出し装置10のコントローラが、各プロペラ翼毎に計測されたキャビテーションノイズの発生パターンに対応させて噴射量を調整するので、各プロペラ翼11A〜11E毎に発生するキャビテーションノイズNA〜NEを的確に軽減することができる。
【0032】
また、コントローラ21は、各プロペラ翼11A〜11Eの回転方向における発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、つまりキャビテーションノイズが最も大きな領域Bのときに流体を噴射させるので、キャビテーションノイズの抑制を確実に行うことができる。
そして、コントローラ21は、各プロペラ翼11A〜11Eの回転時、大きなキャビテーションノイズを発生させながら回転しているプロペラ翼にのみ、多量の空気を噴射させるので、キャビテーションノイズの抑制を効率的にかつ有効に行うことができる。
【0033】
図5及び図6は、この発明の第2の実施の形態に係る流体吹出し装置を示している。
上述した実施形態では、全てのプロペラ翼11A〜11Eに空気を常に送り、各プロペラ11A〜11Eがキャビテーションノイズの大なる領域Bを通過するときに空気の噴射量を多くするようにしたが、この実施形態では、キャビテーションノイズが発生する位置を通過するプロペラ翼に対してのみ、選択的に空気を噴射するようにしたものである。
【0034】
例えば、図5のように流体吹出し装置20のコントローラ21の接続部19と、推力軸13の各流体供給路14間に選択供給体24を介設しておく。この選択供給体24は、図6に示すように、推力軸13の流体供給路14と同一円周上に一個の長孔25が設けられてあって、推力軸13及び接続部19間で空気が外部に漏れないように気密保持されて船体側に固定される。
【0035】
そして、推力軸13が駆動されることで船舶用プロペラ10が回転しているとき、推力軸13内の一方の流体供給路14が長孔25の位置と一致すると、コントローラ21によって供給された空気が長孔25及び流体供給路14を経て、長孔25と一致しているプロペラ翼11A〜11Eのいずれか一方にのみ、選択的に供給されて噴射した後、そのプロペラ翼が長孔25を通過した時点で、空気の供給が停止され、次いで他の流体供給路14が長孔25と一致すると、その一致した流体供給路14と連絡しているプロペラ翼のみが空気を噴射させるようになっている。その際、空気の噴射量は前述の実施形態と同様であり、キャビテーションノイズの領域Bにあるときにはコントローラ21によって増やし、また領域Sにあるときには少なくなるように調整される。
【0036】
そのため、長孔25は、選択供給体24の前記流体供給路14と同一円周上において、各プロペラ翼11のキャビテーションノイズの大なる領域Bと小なる領域Sとからなる発生パターンの角度と対応する位置に形成され、キャビテーションノイズを発生させている一方のプロペラ翼だけが、空気が供給されることで噴射するようになっている。なお、図6において、符号26は、駆動源18と推力軸13との連結部が挿通する挿通孔である。
【0037】
従って、この実施形態によれば、キャビテーションノイズを発生させる特定のプロペラ翼だけに対し空気を噴射させると共に、その噴射量を調整するので、基本的には前述した実施形態と同様の効果が得られのに加え、キャビテーションノイズを発生させない他のプロペラ翼に空気を供給しないので、空気の供給量を省力化することができる。
【0038】
なお、図示実施形態では、船舶用プロペラ10が五枚のプロペラ翼11A〜11Eからなる例を示したが、一般に、流体吹出し装置20を備えた船舶用プロペラとしては四枚若しくは五枚からなっている。これらのキャビテーションノイズの発生パターンを計測した結果、キャビテーションノイズの大なる領域が、図4(a)のようにいずれも発生開始位置から15〜50度の角度であることから、その角度の範囲内で空気の噴射量を多くさせ、それ以外のときに空気の噴射量を減少させるようにすれば、上記枚数のいずれのものにも適用することができる。
【0039】
また、プロペラ翼がキャビテーションノイズの大なる領域から外れた時点で、空気の噴射を減少させるようにしたが、噴射を停止させても略同様の作用効果が得られる。いずれにしろ、実機適用の際には、各プロペラ翼毎に模型試験、シミュレーション解析にて吹出し装置性能を確認した上で行えば、上記発明を良好に実現することができる。
【0040】
更に、推力軸13には五枚のプロペラ翼11に対応させて五個の流体供給路14をそれぞれ設けた例を示したが、例えば流体切換弁を有する一個だけの流体供給路を設け、該流体供給路が前記流体切換弁の切換により、各プロペラ翼の回転角度に応じ、キャビテーションノイズを発生しているプロペラ翼と接続するようにこともできるので、図示構成例に限定されるものではない。
そして、キャビテーションノイズをより効果的に低減させるため、流体として空気を用いた例を示したが、これに限らず、水や海水等の液体を吹き出させるようにしても本発明を同様に達成することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、船舶用プロペラの回転時、コントローラが各プロペラ翼に対し、キャビテーションノイズの発生状況に基づいて流体の噴射量を調整するので、キャビテーションノイズが大なる領域では噴射量を増やしてキャビテーションノイズを確実に抑制できるのは勿論、キャビテーションノイズが小なる領域では流体の噴射ノイズを低減することができる結果、船体の振動や騒音を軽減できると共に、それだけ推進効率を向上(約1〜2%)することができ、船体の快適性及び設計改善効果を高めることができる他、キャビテーションノイズの抑制により、船舶の音響観測装置の感度向上に寄与できるなどの効果が得られる。
【0042】
請求項2に係る発明によれば、コントローラが、各プロペラ翼毎に計測されたキャビテーションノイズの発生パターンに同期させて噴射量を調整することで、キャビテーションノイズを抑制することができ、また噴射ノイズを軽減することができる効果が得られる。
【0043】
請求項3に係る発明によれば、各プロペラ翼がキャビテーションノイズの発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、流体を噴射させるので、キャビテーションノイズが最も大きい領域のとき、キャビテーションノイズの抑制を良好に行うことができる効果が得られる。
【0044】
請求項4に係る発明によれば、キャビテーションノイズを発生させているプロペラ翼に、選択的に流体を噴射させるので、キャビテーションノイズの抑制を合理的に行うことができる効果が得られる。
【0045】
請求項5に係る発明は、各プロペラ翼が回転方向において15〜50度の角度で流体の噴射量を多くし、その角度を通過した時点で、流体の噴射量を減少若しくは停止させるので、キャビテーションノイズの抑制を確実かつ良好に行うことができると共に、流体の噴射ノイズの低減をも確実かつ良好に行うことができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る船舶用プロペラの流体吹出し装置を示す概略構成図である。
【図2】船舶用プロペラを示す正面図である。
【図3】同じく船舶用プロペラを示す一部破断した拡大図である。
【図4】各プロペラ翼のキャビテーションノイズと流体吹出し装置における流体噴射との関係を示す説明図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態に係る船舶用プロペラの流体吹出し装置を示す概略構成図である。
【図6】図5における選択供給体を示す要部の説明図である。
【図7】船舶用プロペラにおける各プロペラ翼のキャビテーションノイズを示す説明図である。
【符号の説明】
10 船舶用プロペラ
11、11A〜11E プロペラ翼
15 吹出し口
20 流体吹出し装置
21 コントローラ
B キャビテーションノイズの大なる領域
S キャビテーションノイズの小なる領域
Claims (5)
- 船舶用プロペラの各プロペラ翼に流体を供給し、かつ該各プロペラ翼に設けられた吹出し口から、流体を噴出させる流体吹出し装置において、
前記船舶用プロペラの回転時、各プロペラ翼に対し、該各プロペラ翼によるキャビテーションノイズの発生状況に基づいて流体の噴射量を調整するコントローラを備えることを特徴とする船舶用プロペラの流体吹出し装置。 - 請求項1記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、
前記コントローラは、各プロペラ翼毎に計測された前記キャビテーションノイズの発生パターンに同期させて噴射量を調整する手段を有することを特徴とする船舶用プロペラの流体吹出し装置。 - 請求項1又は2記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、
前記手段は、前記各プロペラ翼の回転方向におけるキャビテーションノイズの発生開始位置から15〜50度の角度の領域にあるとき、流体を噴射させることを特徴とする船舶用プロペラの流体吹出し装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、
前記手段は、船舶用プロペラの回転時、キャビテーションノイズを発生させているプロペラ翼に対し、選択的に流体を供給して噴射させることを特徴とする船舶用プロペラの流体吹出し装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載の船舶用プロペラの流体吹出し装置において、
前記手段は、各プロペラ翼が回転方向において前記発生開始位置から15〜50度の角度で回転しているときに、流体の噴射量を多くする一方、その角度を通過した時点で、流体の噴射量を減少若しくは停止させることを特徴とする船舶用プロペラの流体吹出し装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002168602A JP2004009943A (ja) | 2002-06-10 | 2002-06-10 | 船舶用プロペラの流体吹出し装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010188824A (ja) * | 2009-02-17 | 2010-09-02 | Ihi Corp | 船舶推進装置 |
JP2018171939A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 三菱重工業株式会社 | 雑音制御装置、船舶、雑音制御方法及びプログラム |
KR20190140242A (ko) * | 2018-06-11 | 2019-12-19 | 삼성중공업 주식회사 | 추진 장치 및 상기 추진 장치를 구비한 선박 |
CN113650766A (zh) * | 2021-08-27 | 2021-11-16 | 哈尔滨工程大学 | 一种带有桨内冷却空泡抑制装置的螺旋桨 |
-
2002
- 2002-06-10 JP JP2002168602A patent/JP2004009943A/ja not_active Withdrawn
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