JP2004009818A - 回転体付き車輪 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ディスクホイール部3が、外周部にリム部を形成する両側のホイール板30と、車軸側に設けられて、ホイール板30間に侵入することによりホイール板30を滑動可能に支持するディスク状のセンタホイール部31とで構成されている。各回転体10が、車軸1を中心とする半径方向に対して交差する回転軸線を中心に回転自在にリム部に支持されると共に、各回転体10は、その先端部の直径を基端部の直径よりも小さくして周面により車輪外周円の円弧を形成する形状に形成されている。リム部の裏面、両側のホイール板30及びセンタホイール部31の外周面間には、チューブ35が収納されている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輪の直進方向に対して直交方向へ回転する複数個の非旋回式の回転体が車輪の周囲に転向用に配列されている回転体付き車輪に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の回転体付き車輪として、特開平11−227404号公報には、車輪の外周円に沿った回転軸に直進方向と直角方向に回転するローラ状回転体が配列され、各回転体間に緩衝部材が配置された車輪が開示されている。また、特公平7−12829号公報或は特表平10−500049号公報には、駆動輪を備えることを前提に、多数の紡錘状の回転体が直進方向に対して傾斜して設けられた車輪が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前者の車輪によれば、転向用回転体により、キャスタと異なり旋回することなく、つまり車輪の横幅を広げることなく、横方向へ或はベクトル分力に応じて車輪も回転させつつ斜めに走行することができるが、回転体の直径に対応した幅で隣合う回転体の前後端間に隙間が必然的に生じる。したがって、その隙間に石等が挟まるために緩衝部材を介在させているが、回転体との摩擦抵抗を生じたり、その非回転によりスムーズに回転できない等の点で改良の余地が残される。
【0004】
一方、後者の車輪によれば、同様に斜めの転向用回転体により旋回することなく、横方向或は斜め方向へ走行できるが、回転体の隣合う周面間に隙間を生じ、また段差の乗り越えを配慮して車輪の直径を大きくして各回転体の直進方向の縦幅も相応に広くしようとすると、斜めになった回転体により車輪の横幅、即ち旋回半径が自ずと広がることになる。
【0005】
そこで、本出願人は、特開2002−137602号公報により、車輪の直進方向に対して直交方向へ回転する複数個の回転体が車輪の周囲に配列されると共に、各回転体が、車軸を中心とする半径方向に対して交差する回転軸線を中心に回転自在に支持され、各回転体は、その先端部の直径を基端部の直径よりも小さくして周面により車輪外周円の円弧を形成する形状に形成される回転体付き車輪を提案した。これにより、キャスタのように進行方向へ旋回することを要さずに、車両の進行方向を前後斜めに自在に転向することができるだけでなく、段差を容易に乗り越え得るように車輪の直径を大きくした場合でも各回転体の隙間を互いに干渉しない程度に僅かにすることができる。
【0006】
本発明は、このような全方向走行式の回転体付き車輪の振動を軽減するディスクホイールを備えた回転体付き車輪を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1により、車輪の直進方向に対して直交方向へ回転する複数個の回転体が、車軸を中心部に備えるディスクホイール部のリム部に配列されている回転体付き車輪において、ディスクホイール部が、外周部にリム部を形成する両側のホイール板と、車軸側に設けられて、ホイール板間に侵入することによりホイール板を滑動可能に支持するディスク状のセンタホイール部とで構成され、各回転体が、車軸を中心とする半径方向に対して交差する回転軸線を中心に回転自在にリム部に支持されると共に、前記各回転体は、その先端部の直径を基端部の直径よりも小さくして周面により車輪外周円の円弧を形成する形状に形成され、リム部の裏面、両側のホイール板及びセンタホイール部の外周面間に、弾性体が収納されていることを特徴とする。
【0008】
回転体は、半径方向に対して交差する回転軸線上に回転自在に支持され、直径が基端部から先端部に向けて徐々に小さくなるか、或は一旦大きくなった後に小さくなって周面で車輪外周円を形成する。小さな直径の先端部が大きな直径の基端部に、均一径の場合に較べてより近接可能となる。走行中に回転体付き車輪が段差部等に衝突したり或いは連続する凹凸路を走行する際に、ホイール板は、弾性体の弾性膨縮に応じてセンタホイール部に沿って滑動する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3を基に本発明の実施の形態による電動車椅子の4輪のうち前輪に採用される回転体付き車輪を説明する。電動車椅子は、図3に示すように、後輪5でモータ駆動され、アーム6aの先端部に支持された前輪6の上方に着座部7を備え、その背後にシートバック8が設けられている。前輪6は、道路の歩道車道間等の段差を容易に乗り越え得る程度に大きな直径を有し、中心部に車軸1を備えたディスクホイール部3の外周部に形成されるリム部2に、前輪6の直交方向へ回転する複数個の同一形状の回転体10を配列して構成されている。
【0010】
各回転体10は、アーム6aの先端部に支持された車軸1の回転軸線Oを中心とする半径R1の方向に対してその半径円と同一面状で直交方向からずれた角度で斜めに交差する回転軸線X1を中心に回転自在に支持されている。各回転体10の直径は、半径R1に沿った基端部11から先端部12に向けて連続的に小さく変化し、かつ周面19が前輪6の車輪外周円C1への回転位置でその円弧を形成し、したがって各回転体10は半紡錘形状に形成されている。また、先端部12が隣合う回転体10の基端部11に形成された円錐面状の凹部25の外周側半分に部分的に侵入して、車輪外周円C1に回転した周面19が数mm前後の隙間19aで隣合う回転体10の基端部11に近接し得るようになっている。
【0011】
ディスクホイール部3は、回転軸線Oを中心とする環状の両側のホイール板30と、基端部が車軸1に回転自在に支持された軸受部32として形成されてホイール板30間に侵入するディスク状のセンタホイール部31とより構成される。ホイール板30の外周部には回転軸線Oを中心とする円形の溝部24がそれぞれ形成され、この溝部に軸受アーム20の円弧状基部29が、先方の切欠部29aに部分的に侵入した状態で順にボルト20cで取付けられることにより、リム部2を構成している。
【0012】
両側にフランジ部28を備えた軸受アーム20は、凹部25のリム部2側の周壁25a及びリム部2側の周面19間の隙間に侵入し、さらに先端部12間の隙間に侵入して隣合う回転軸26に対して直交方向へ順に曲げられている。これにより、軸受アーム20の途中位置において回転軸26のフランジ部20a付の基部側端部を回転自在に軸受部21で支持し、先端位置で隣合う回転体10の回転軸26のフランジ部20b付の先端側端部を軸受部22で支持している。
【0013】
軸受アーム20の円周位置に順に配列された基部29で構成されるリム部2の裏面と、センタホイール部31の外周面33と、ホイール板30の側面とにより、弾性体としてチューブ35を収納するチューブ収納部36が構成され、その外側面にエア導入口37が設けられている。これにより、ホイール板30は、チューブ35の弾性膨縮に応じて対してセンタホイール部31の側面に沿って滑動可能になっている。
【0014】
このように構成された前輪6を採用した車椅子の動作は次の通りである。電動車椅子は、回転体10を回転させることなく直進し、後退も可能である。回転体10の全部の周面19は略連続した車輪外周円C1を形成し得、また回転体10の前後端間の隙間はそれぞれの回転動作が干渉しない程度に僅かであるために、その隙間に石等が挟まるのが回避され、スムーズな走行が保証される。
【0015】
斜めに操舵すると、進行力の直交方向に分解されたベクトル分力に応じて、前輪6はその車軸1を中心に回転すると共に、回転体10も回転軸26を中心に回転して車椅子の進行方向は斜めの前進又は後退方向に転向する。その際、回転体10の非旋回により前輪6の横幅を広げることなく斜行する。回転体10の周面19が充分な直径の前輪6の外周に連続するために、路面の段差等を容易に引っ掛かりを生じることなく乗り越えることができる。
【0016】
前輪6が障害物に衝突すると、図1Bに示すように、ホイール板30がチューブ35を弾性膨縮させて斜め上方へ滑動して衝撃が緩和され、同様に凹部に落ちる場合も上方へ変位して衝撃が緩和される。さらに、凹凸の路面を走行する場合もセンタホイール部31を介して車椅子本体へ伝播する振動が緩和され、ゴトゴト音も緩和される。乗り心地或いは走行操作性も改善される。
【0017】
尚、別の実施の形態として、弾性体はチューブに代えて中実体のドーナツ状ゴム、例えばウレタンゴムで構成することもできる。これにより、使用者に適合した硬度に容易に設定可能となり、またパンク、エア抜けを回避して耐久性或いは信頼性を向上させ得る。
【0018】
さらに、リム部は、ホイール板の外周端に、両側のホイール板間を連結する環状プレートを取付けて軸受アームの基部を間隔を置いて配列させる等のその外の構成も種々考えられる。本発明は、電動車椅子に限らず、手押し式の車椅子、その他の車両にも適用可能である。
【0019】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、キャスタのように進行方向へ旋回することを要さずに、車両の進行方向を前後斜め或いは横に自在に転向することができるだけでなく、段差を容易に乗り越え得るように車輪の直径を大きくした場合でも各回転体の隙間を互いに干渉しない程度に僅かにすることができる。リム部を形成するホイール板が滑動可能にディスク状のセンタホイール部に支持されて、その間に弾性体が介在することにより、段差部への衝突時の衝撃或いは凹凸路面の走行時の振動の車軸への伝播が充分緩和される。その際、弾性体は請求項2の発明によりチューブでエアの弾性を与えることができ、また請求項3の発明によりゴムにより、信頼度を上げ、硬度調整も可能にすることができる。
【0020】
請求項4の発明により、各回転体の先端部が相手方の基端部の凹部に侵入することにより、各回転体の隙間を一層小さくすることができ、請求項5の発明によれば前後端の径の差が大きくなり、隙間を小さくするために回転体を互いに接近させ易くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による回転体付き車輪の概略断面図である。
【図2】同回転体付き車輪の一部を断面にした側面図である。
【図3】同回転体付き車輪を採用した電動車椅子の側面図である。
【符号の説明】
1 車軸
2 リム部
3 ディスクホイール部
6 前輪
10 回転体
20 軸受アーム
26 回転体の回転軸
29 軸受アームの基部
30 ホイール板
31 センタホイール部
35 チューブ
Claims (5)
- 車輪の直進方向に対して直交方向へ回転する複数個の回転体が、車軸を中心部に備えるディスクホイール部のリム部に配列されている回転体付き車輪において、
ディスクホイール部が、外周部にリム部を形成する両側のホイール板と、車軸側に設けられて、前記ホイール板間に侵入することにより前記ホイール板を滑動可能に支持するディスク状のセンタホイール部とで構成され、
各回転体が、前記車軸を中心とする半径方向に対して交差する回転軸線を中心に回転自在に前記リム部に支持されると共に、前記各回転体は、その先端部の直径を基端部の直径よりも小さくして周面により、車輪外周円の円弧を形成する形状に形成され、
前記リム部の裏面、両側の前記ホイール板及び前記センタホイール部の外周面間に、弾性体が収納されていることを特徴とする回転体付き車輪。 - 弾性体がチューブであることを特徴とする請求項1記載の回転体付き車輪。
- 弾性体がドーナツ状ゴムの中実体であることを特徴とする請求項1記載の回転体付き車輪。
- 各回転体の先端部が隣合う前記回転体の基端部に近接し得るように、前記各回転体の前記先端部が、隣合う前記回転体の前記基端部に形成された凹部に部分的に侵入していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記載の回転体付き車輪。
- 各回転体が、その直径を基端部から先端部に向けて連続的に小さくする半紡錘形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の回転体付き車輪。
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