JP2004009546A - 転写具の転写部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転写媒体が塗布された基材が送り出される側の面(舌状部1Aの下面)、転写媒体を被転写体に転写した後の基材を巻き取る側の面(舌状部1Aの上面)、の一方面又は両面と、基材の送り出し方向と直交する側壁面1Bと、により形成される角部Cを、曲面又は斜面とした。蛇行や斜行させた際には、基材の幅方向端部が曲面又は斜面に乗り上がることとなり、下折れは確実に防止される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、舌状の転写部における側壁面に基材が当接することによる折れ曲がり、特に下折れを防止してある程度の蛇行や斜行操作が許容可能な転写具の転写部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば液状の修正液に代って、適量を容易に使用できる使い易さなどといった利点から、修正用の白色の転写媒体を紙などの被転写体に転写する転写具が普及している。この種の転写具は、筐体内に送出軸部、巻取軸部を備えると共に、筐体からその先端を突出させて舌状の転写部を備えている。送出軸部は、転写媒体を塗布した長尺帯状の基材をその回転により送り出す。巻取軸部は、被転写体に転写媒体を転写した後の基材をその回転により巻き取る。
【0003】
これら巻取軸部と送出軸部は例えばギヤで噛合しており、基材の送り出しによる送出軸部の回転に伴って巻取軸部も回転する。転写部は、転写媒体を塗布した基材を送出軸部から送り出し、被転写体に転写媒体を転写し、その後該基材を巻取軸部へ送る役割を果たす。
【0004】
この種の転写具は、限られた筐体内の空間にできる限り多くの(長い)基材に転写媒体を塗布することで、長期に亘って使用でき、使用者に割安感を与えることができる。そのために昨今の転写具は、基材の薄膜化を図る傾向にある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したように基材を薄膜化すると強度が低下するために、図6に示す従来の舌状の転写部構造では次の問題が生じる。すなわち、正常に直線状に操作している場合は、図6(a)のように転写部6の舌状板部分6A(以下、舌状部6Aという)における幅方向中央に基材Pが位置するが、転写具を蛇行又は斜行操作した場合、図6(b)(c)に示すように基材Pの幅方向端部が、舌状部6Aにおける側壁面6Bに当接して幅中央方向に折れ曲がることがある。
【0006】
基材Pが側壁面6Bに当接することによる折れ曲がりは、図6(b)に示すように折れ曲がった側が基材Pの上面側に乗り上げる場合(以下、これを上折れという)と、図6(c)に示すように折れ曲がった側が基材Pにおける舌状部6A側に入り込む場合(以下、これを下折れという)、の二種類がある。
【0007】
このうち、図6(b)に示す上折れは使用するうちに折れ曲がりが解消することがあるが、図6(c)に示す下折れは、使用するうちに折れ曲がりを解消することが極めて困難であった。また、仮に使用するうちに下折れが解消できるとしても、その間に転写媒体の異常転写を大量に発生させることとなり、極めて不経済であった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、舌状部の基材が側壁面に当接することによる折れ曲がり、特に下折れを防止してある程度の蛇行や斜行操作が許容可能な転写具の転写部構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、転写媒体が塗布された基材が送り出される側の面(舌状部の下面)、転写媒体を被転写体に転写した後の基材を巻き取る側の面(舌状部の上面)、の一方面又は両面と、基材の送り出し方向と直交する側壁面と、により形成される角部を、曲面又は斜面としたのである。このようにすることで、蛇行や斜行させた際には、基材の幅方向端部が曲面又は斜面に乗り上がることとなり、下折れは確実に防止される。
【0010】
【発明の実施の形態】
従来は、舌状部と側壁面とで構成される角部が直角となっていた。従って蛇行や斜行操作により、舌状部の幅方向端部に基材が移動し、その結果、側壁面に基材の幅方向端部が接触して、幅方向端部が損傷すると共に上折れ又は下折れが生じていた。
【0011】
また、このときに基材の幅方向端部が側壁面に摺接する。そして、この摺接時に、まず幅方向端部が側壁面における基材の送出方向後端部に引っ掛かり、送出方向に走行しようとする基材の全体に対して、基材の幅方向端部が送出方向後方に係留してしまう。従って基材の幅方向端部が損傷する。
【0012】
その後、基材は、舌状部の下面から上面へと送られる。角部に引っ掛かっていた基材の幅方向端部は、このときの引っ掛かり具合によって上折れ又は下折れが発生する。上折れの場合は、若干の使用により、又は使用者が手で直すことにより解消することができる。
【0013】
しかし、下折れの場合は、使用者が手で直すことも、使用によっても解消することが非常に困難である。下折れは、折れ曲がった基材の幅方向端部が、基材の幅方向中央と転写部の上面及び下面との間に入り込んでしまう。そして、基材には送出側と巻取側との間で張力がかかっているから、基材の幅方向端部は、一旦下折れが発生すると完全に折れ曲がってしまい、解消することが非常に困難なのである。
【0014】
こうした従来に対して、本発明は、薄膜で長尺帯状の基材に塗布された転写媒体を被転写体に転写する舌状の転写部を備えた転写具の前記転写部構造であって、転写媒体が塗布された基材が送り出される側の面、転写媒体を被転写体に転写した後の基材を巻き取る側の面、の一方面又は両面と、基材の送り出し方向と直交する側壁面と、により形成される角部を、曲面又は斜面としたのである。
【0015】
このようにすることで、基材は、側壁面に摺接しようとすると、角部の曲面又は斜面に案内されて基材の上面側に折れ曲がろうとし、少なくとも下折れが確実に防止される。もちろん、実質的に基材の幅方向への移動範囲が拡大することになるため、蛇行や斜行による基材幅方向端部の損傷や折れ曲がり自体を抑制することが可能となる。
【0016】
【実施例】
以下に本発明の転写具の転写部構造における実施例と効果について図1〜図5を参照して説明する。図1は本発明の転写具の転写部構造を示す。図2〜図5は、本発明の転写具の転写部構造の他の例を示す。
【0017】
1は、不図示の送出軸部、巻取軸部を備えた転写具の転写部である。なお、転写具1は、送出軸部から転写媒体を塗布した長尺帯状の基材をその回転により送り出し、巻取軸部は、被転写体に転写媒体を転写した後の基材をその回転により巻き取るものである。
【0018】
転写部1は、舌状部1Aが形成された部分が筐体外に突出している。転写部1は、舌状部1Aの下面に送出軸部から送られる転写媒体が塗布された不図示の基材が、舌状部1Aの上面に転写媒体を被転写体に転写した後の基材が、架設される。
【0019】
図1(b)に示すように、舌状部1Aの幅方向両端部には、基材が舌状部1Aから脱線しないようにガイドする側壁面1Bが形成されている。そして、転写部1は、舌状部1Aと側壁面1Bとで形成される角部Cが以下のように、斜面又は曲面とされている。
【0020】
図1は、舌状部1Aの上面と下面の両面の角部Cが、斜面とされた例を示す(図3(a)と重複)。図2(a)は舌状部1Aの上面と下面の角部Cが、図2(b)は舌状部1Aの上面の角部Cが、図2(c)は舌状部1Aの下面の角部Cが、各々曲面とされた例を示す。
【0021】
図3(a)は舌状部1Aの上面と下面の角部Cが、図3(b)は舌状部1Aの上面の角部Cが、図3(c)は舌状部1Aの下面の角部Cが、各々斜面とされた例を示す。
【0022】
図4(a)は角部Cを含む舌状部1Aの上面と下面が、図4(b)は角部Cを含む舌状部1Aの上面が、図4(c)は角部Cを含む舌状部1Aの下面が、各々円弧状(角部Cのみについて見れば曲面)とされた例を示す。
【0023】
図5は、図1〜図4に示した舌状部1Aの厚みが一定となった場合において、舌状部1Aの先端部に向けて角部Cの例えば斜度が小さくなる場合を示す。なお、図5(a)(b)は、図1(a)(b)及び図3(a)に示した舌状部1Aの上面と下面の角部Cが各々斜面とされた状態を一例として示すが、当然に図2(a)(b)(c)、図3(b)(c)、図4(a)(b)(c)においては、各々舌状部1Aの先端部に向けて曲率を小さくして適用する。
【0024】
以下に、本発明の転写具の転写部構造についての効果を確認するために行った実験の結果を記す。
【0025】
実験方法
幅6mmの舌状部1Aの角部Cを、実施例1〜5、及び比較例のように形成して、これら各々についてそれぞれ5個の転写具を蛇行操作して消費開始から消費終了に至るまで使用する。このときに基材の折れ曲がり頻度を検証した。
【0026】
実験条件
基材は、厚みが12μm、材質がPETである。基材の寸法は、幅6mm×送出(巻取)方向の長さ8mである(実施例5についてのみ幅5mmとした)。この基材上に塗布された転写媒体の厚みは、転写媒体自体と、基材と該転写媒体とを貼着しておく粘着層と、の総厚が40μmである。
【0027】
各例の仕様
実施例1:図2(a)に示す構造
角部CはR=0.5mmの曲面
実施例2:図1及び図3(a)に示す構造
角部Cは舌状部1Aの中央部へ0.5mm、側壁面1Bの上方、下方へ各々0.5mm、の位置を結んだ斜面
【0028】
実施例3:図2(c)に示す構造
角部CはR=0.5mmの曲面
実施例4:図2(b)に示す構造
角部CはR=0.5mmの曲面
【0029】
実施例5:図2(a)に示す構造
角部CはR=0.5mmの曲面
幅5mmの基材(転写媒体)を用いた
比較例 :従来の構造
角部は直角
【0030】
以上の結果、実施例1〜実施例5、つまり本発明の転写部1の構造であれば、各実施例において5個の転写具を蛇行操作によって使い切るまでに1度として折れ曲がりは発生しなかった。これに対して比較例、つまり従来の構造では、頻繁に折れ曲がり(上折れ、下折れ)が発生した。この結果、本発明の転写具の転写部構造は、基材の折れ曲がり防止に極めて効果的であることが判明した。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明の転写具の転写部構造は、転写媒体が塗布された基材が送り出される側の面、転写媒体を被転写体に転写した後の基材を巻き取る側の面、の一方面又は両面と、基材の送り出し方向と直交する側壁面と、により形成される角部を、曲面又は斜面としたので、基材が側壁面に摺接しても角部の曲面又は斜面に案内されて基材の上面に折れ曲がろうとし、少なくとも下折れが確実に防止されると共に、基材の幅方向への移動範囲が拡大することになるため、蛇行や斜行による基材幅方向端部の損傷や折れ曲がり自体を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写具の転写部構造を示し、(a)は側面方向から見た図、(b)は(a)の正面方向から見た図、である。
【図2】本発明の転写具の転写部構造の他の例を示し、(a)は舌状部の上下面の角部が曲面とされた図、(b)は舌状部の上面の角部が曲面とされた図、舌状部の下面の角部が曲面とされた図、である。
【図3】本発明の転写具の転写部構造の他の例を示し、(a)は舌状部の上下面の角部が斜面とされた図、(b)は舌状部の上面の角部が斜面とされた図、舌状部の下面の角部が斜面とされた図、である。
【図4】本発明の転写具の転写部構造の他の例を示し、(a)は角部を含む舌状部の上下面が曲面(円弧状)とされた図、(b)は角部を含む舌状部の上面が曲面(円弧状)とされた図、(c)角部を含む舌状部の下面が曲面(円弧状)とされた図、である。
【図5】本発明の転写具の転写部構造の他の例を示し、(a)は側面方向から見た図、(b)は(a)の正面方向から見た図、である。
【図6】従来の転写具の転写部構造を示し、(a)は基材の正常走行状態を、(b)は基材の上折れ状態を、(c)は基材の下折れ状態を、各々示す図である。
【符号の説明】
1 転写部
1A 舌状部
1B 側壁面
C 角部
Claims (1)
- 薄膜で長尺帯状の基材に塗布された転写媒体を被転写体に転写する舌状の転写部を備えた転写具の前記転写部構造であって、転写媒体が塗布された基材が送り出される側の面、転写媒体を被転写体に転写した後の基材を巻き取る側の面、の一方面又は両面と、基材の送り出し方向と直交する側壁面と、により形成される角部を、曲面又は斜面としたことを特徴とする転写具の転写部構造。
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