JP2004009147A - スローアウェイチップ及びこれを用いる切削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着座面をなす下面に対向してすくい面をなす上面3と、逃げ面をなす側面とを有するチップ1において、上面3と各側面との交差稜線からなる稜辺は主切刃とし、各主切刃の一方のコーナー近傍部分には第一の副切刃7を、他方のコーナー近傍部分には第二の副切刃8を形成する。これら第一、第二の副切刃7、8には、工具本体に装着した状態において被削材Wの表面に対して鋭角で交差するホーニング面9を設ける。このチップ1を用いる正面フライス(切削工具)を、工具本体に、チップ1の第一、第二の副切刃7、8のホーニング面9が被削材Wの表面に対してホーニング面9が鋭角で交差するようにして装着される構成とする。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被削材において荒切削と仕上げ切削との間の中仕上げ切削に用いられるスローアウェイチップ(以下、チップと称する)及びこれを用いる切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
被削材を加工して仕上げ面を得る場合には、まず荒切削によって被削材を荒削りし、そののちに高精度な仕上げ切削を行うか、また荒切削ののちに荒切削よりも高精度の中仕上げ切削を行ってからより高精度な仕上げ切削を行って仕上げ面を得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アルミ材や鋳物など、内部に気泡等のいわゆる“す“が形成されやすい被削材を加工する場合、仕上げ切削によって得られた仕上げ面に”す“が開口してしまうことがある。この場合には、得られた加工品は不良品となってしまい、歩留まりが悪かった。
【0004】
本発明は、このような背景の下になされたもので、“す”が形成されやすい被削材に良好な仕上げ面を形成することを可能にするチップ及び切削工具を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、以下の構成を採用した。
本発明にかかるチップは、切削工具の工具本体に切刃として装着されて荒切削と仕上げ切削との間の中仕上げ切削に用いられるチップであって、すくい面と逃げ面との交差稜線部が切刃とされ、該切刃には、前記工具本体に装着した状態において被削材の表面に対して鋭角で交差するホーニング面が設けられていることを特徴としている。
【0006】
このように構成されるチップは、切削工具の工具本体に切刃として装着されて、被削材の中仕上げ切削に用いられる。
切刃には、工具本体に装着した状態において被削材の表面に対して鋭角で交差するホーニング面が設けられているので、中仕上げ切削の際には、切刃によって被削材から削り取られた切粉がホーニング面によって被削材の表面に押し付けられたり、被削材の表面を構成する材料自体がホーニング面によって押圧されてならされて、被削材の表面を構成する材料が被削材の表面に開口している“す”の中に押し込まれて、“す”が埋められることとなる。
このように被削材の表面に開口する“す”が埋められるので、仕上げ切削によって“す”が開口していない良好な仕上げ面が得られる。
ここで、被削材がアルミ材等の柔らかくて塑性変形しやすいものである場合には、切刃及びホーニング面から受ける圧力によって被削材の表面が塑性変形させられて“す”の中に押し込まれることで、十分に“す”を埋めることができるので、必ずしも切刃による被削材の切削が行われなくてもよい。
【0007】
ここで、このチップにおいて、ホーニング面と被削材の表面との交差角αが、10°以上30°以下とされていてもよい。
この交差角αが10°よりも小さいと、ホーニング面が被削材の表面を押し付ける圧力が強くなりすぎて、切削工具に加わる背分力が大きくなって切削工具にびびり振動が生じやすくなり、良好な加工精度を得ることができなくなる。
一方、交差角αが30°よりも大きいと、ホーニング面が被削材の表面を押し付ける圧力が小さくなりすぎて、被削材の表面に開口する“す”を十分に埋めることができなくなる。
このため、ホーニング面と被削材の表面との交差角αは、10°以上30°以下とすることが望ましい。
【0008】
また、本発明にかかる切削工具は、工具本体に切刃をなすチップが装着されて、荒切削と仕上げ切削との間の中仕上げ切削に用いられる切削工具であって、前記チップとして、請求項1または2に記載のチップが用いられることを特徴としている。
このように構成される切削工具では、切刃をなすチップが、その切刃に被削材の表面に対して鋭角で交差するホーニング面を有しているので、被削材を切削する際には、ホーニング面に押圧されることによって被削材の表面を構成する材料が被削材の表面に開口している“す”の中に押し込まれて、“す”が埋められることとなる。
【0009】
ここで、この切削工具を、工具本体の周方向に複数のチップが装着され、これら複数のチップとして、請求項1または2に記載のチップに加えて、荒切削に用いられるチップと仕上げ切削に用いられるチップとのうち少なくともいずれか一方が装着されている構成としてもよい。
この場合には、荒切削と中仕上げ切削、または中仕上げ切削と仕上げ切削、もしくは荒切削と中仕上げ切削及び仕上げ切削とを同時に行うことができ、作業能率が向上する。
ここで、荒切削の際には切削工具に振動が生じやすいので、より高精度な仕上げ面を形成したい場合には、荒切削を他の切削とは別に行うことで、振動による加工精度の低下を防止することが好ましい。
【0010】
また、この切削工具においては、工具本体に、チップの切刃の突出量を調整する切刃位置調整機構が設けられていてもよい。
この場合には、被削材の材質や切削条件等に応じて、切刃の突出量を調整することができる。特に、工具本体に、中仕上げ切削に用いるチップに加えて、荒切削や仕上げ切削に用いられるチップも装着する場合には、各切削に要求される切削条件に応じて各チップの切刃の突出量を調整して、“す”の埋め立てを含む各切削を良好に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるチップ及びこれを用いる切削工具の一実施形態について、図1から図8を用いて説明する。ここで、本実施の形態では、本発明にかかる切削工具を正面フライスに適用した例を示す。
図1は、本実施形態にかかるチップの形状を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側断面図、図2は図1に示すチップの要部拡大図、図3は図2のA−A矢視断面図である。
また、図4は本実施形態にかかる正面フライスの形状を示す先端面図、図5は図4に示す正面フライスの一部拡大側面図、図6は図4に示す正面フライスの断面図であって、(a)は図4のB−B矢視断面図、(b)は図4のC−C矢視断面図、(c)は図4のD−D矢視断面図、図7は本実施形態にかかる正面フライスによる切削時の荒刃、中仕上げ刃、仕上げ刃の軌跡を示す図である。図8は本実施形態にかかる正面フライスによる中仕上げ切削及び仕上げ切削の様子を模式的に示す図である。
【0012】
図1から図3に示す本実施の形態によるチップ1は、後述する切削工具の工具本体12に切刃として装着されて荒切削と仕上げ切削との間の中仕上げ切削に用いられる。
チップ1は、略四角形板状とされ、着座面をなす下面2に対向してすくい面をなす上面3が設けられ、逃げ面をなす四つの側面4は下面2から上面3に向けて正角の傾斜角(逃げ角θ)をもって漸次外側に傾斜して設けられていて、ポジチップとされている。本実施の形態では、この逃げ角θを21°としている。さらに、チップ1には、上面3の中央部から下面2を貫通してボルト止め用の挿通孔5が穿孔されている。
【0013】
チップ1の上面3と下面2とは略平行平板状とされ、上面3と各側面4との交差稜線からなる4つの稜辺は主切刃6とされている。そして、各主切刃6において、一方のコーナー近傍部分には、主切刃6に対して傾斜する第一の副切刃7が形成されており、他方のコーナー近傍部分には、第二の副切刃8が形成されている。本実施の形態では、第一の副切刃7の長さL1を、第二の副切刃8の長さL2よりも長くしている。
これら第一、第二の副切刃7、8には、すくい面をなす上面3側に、前記工具本体12に装着した状態において被削材Wの表面に対して鋭角で交差するホーニング面9が設けられている。
【0014】
工具本体12に装着した状態におけるホーニング面9と被削材Wの表面との交差角αは、10°以上30°以下とすることが好ましい。本実施の形態では、チップ1は工具本体12に対してすくい角(軸方向すくい角)が約6°となるように装着されており、ホーニング面9の上面3に対する傾斜角度φは、60°以上90°以下とされている。
また、ホーニング幅Hは、0.1mmとされており、ホーニング9は、上面3、側面4のそれぞれに対して曲率半径Rの曲面で接続されている。本実施の形態では、この曲率半径Rを、0.01mmから0.02mmとしている。
【0015】
本実施の形態によるチップ1は上述のように構成されており、次にこのチップ1が複数枚装着された正面フライス11について図4から図8を用いて説明する。
正面フライス11は、略円盤形状をなす工具本体12を有し、この工具本体12を軸線O周りに工具回転方向Tに回転されつつ軸線Oに直行する方向に送りを与えられて被削材の切削に供されるものである。
この正面フライス11には、切刃として、荒切削に用いられる荒切削チップ1rと、中仕上げ切削に用いられる前記チップ1と、仕上げ切削に用いられる仕上げ切削チップ1fとが装着されるものである。以下では、他のチップと区別するため、本発明にかかるチップ1を、中仕上げ切削チップと称する。
これら荒切削チップ1r、仕上げ切削チップ1fは、概略形状がチップ1と同一の略四角形板状をなしている。
【0016】
工具本体12の先端外周には、工具本体12の先端及び外周に開口する複数のチップポケット13が形成されており、このチップポケット13内において工具回転方向Tを向く内壁面には、前記各チップが装着されるチップ取付座14が設けられている。
本実施の形態では、工具本体12には、チップ取付座14として、荒切削チップ1rが装着される荒切削チップ取付座14aと、中仕上げ切削チップ1が装着される中仕上げ切削チップ取付座14bと、仕上げ切削チップ1fが装着される仕上げ切削チップ取付座14cとが設けられている。ここで、工具本体12においては、その工具回転方向Tに向けて荒切削チップ取付座14a、中仕上げ切削チップ取付座14b、仕上げ切削チップ取付座14cがこの順番に設けられており、これら各チップ取付座の組が、周方向に複数組設けられている。
ここで、図4では、一つのチップ取付座の組において、荒切削チップ取付座14aを複数設け、中仕上げチップ取付座14b及び仕上げチップ取付座14cはそれぞれ一つずつ設けた例を示している。
【0017】
工具本体12において、中仕上げ切削チップ取付座14b、仕上げ切削チップ取付座14cの近傍では、荒切削チップ取付座14aの近傍よりも外径が小さくされている。
また、チップポケット13のうち、中仕上げ切削チップ取付座14bが設けられるチップポケット13bは、荒切削チップ取付座14aが設けられるチップポケット13aよりも工具本体12の軸線O側まで達している。また、仕上げ切削チップ取付座14cが設けられるチップポケット13cは、チップポケット13bよりも軸線O側まで達している。
【0018】
さらに、工具本体12には、各チップの切刃の工具本体12からの突出量を調整する切刃位置調整機構16が設けられている。本実施の形態では、この切刃位置調整機構16によって中仕上げ切削チップ取付座14bに装着される中仕上げ切削チップ1、及び仕上げ切削チップ取付座14cに装着される仕上げ切削チップ1fの、工具先端側への切刃の突出量がそれぞれ調整可能とされている。
【0019】
切刃位置調整機構16は、軸線O方向の中間位置から外周面及び前記チップポケットの工具回転方向Tを向く内壁面を経由して工具本体12の先端面にかけて設けられる第一の溝17と、第一の溝17の底面17aに沿って第一の溝17の延在方向に移動可能とされるチップ保持部材18と、第一の溝17の工具基端側の内壁面17bとチップ保持部材18との間に介装される第一のクサビ部材19と、チップ保持部材18を溝17内で位置決め固定する固定部材20とを有している。ここで、第一の溝17の底面17aは平坦面とされている。
【0020】
チップ保持部材18は、略平板形状の部材であって、工具回転方向Tを向く面に中仕上げ切削チップ取付座14bまたは仕上げ切削チップ取付座14cが形成されている。チップ保持部材18において第一の溝17の底面17aに向く側面18aは、底面17aによって案内される平坦面とされており、また工具基端側を向く端面18bは、第一の溝17の底面に向かうに従って工具本体12の基端側に向かう傾斜面とされている。
【0021】
第一のクサビ部材19は、第一の溝17内にボルト21によって底面17aに向けて移動可能にして装着されるものである。第一のクサビ部材19においてチップ保持部材18の端面18b側を向く側面19aは、底面17aに向かうに従って工具先端側に向かう傾斜面とされており、ボルト21を締めこんで第一のクサビ部材19を底面17aに向けて移動させることで、側面19aによって保持部材18の端面18aが押圧されて保持部材18が工具先端側に向けて移動させられるようになっている。
【0022】
固定部材20は、第一の溝17の中間位置に交差する第二の溝22と、第二の溝22にボルト23によって底面に向けて移動可能にして装着される第二のクサビ部材24とを有している。
第二のクサビ部材24は、第一の溝17側に向く側面24aが第二の溝22の底面に向かうにつれて第一の溝17側に向かう傾斜面とされており、ボルト23を締めこんで第二のクサビ部材24を第二の溝22の底面に向けて移動させることで、側面24aと第一の溝17の工具回転方向Tを向く内壁面17cとの間にチップ保持部材18を挟み込んで固定するようになっている。
【0023】
また、荒切削チップ取付座14aは、工具本体12の軸線O方向の中間位置から外周面及びチップポケット13aの工具回転方向Tを向く内壁面を経由して工具本体12の先端面にかけて設けられる第三の溝26と、第三の溝26内の工具回転方向後方側に、ボルト27によって底面に向けて移動可能にして装着される第三のクサビ部材28とを有している。
第三のクサビ部材28は、その工具回転方向Tを向く側面28aによって荒切削チップ1rの下面2を受けるものであって、ボルト27を締めこむことで、荒切削チップ1rを工具回転方向Tに向けて押圧して、側面28aと第三の溝26の工具回転方向後方を向く内壁面26aとの間に荒切削チップ1rを挟み込んで固定するようになっている。
【0024】
この正面フライス11において、中仕上げ切削チップ1は、図5に示すように、工具本体12の外周方向からみて、軸方向すくい角がわずかにポジとなるようにして工具本体12に装着されており、これによって中仕上げ切削チップ1のホーニング部9と被削材Wの表面との交差角度αは、10°以上30°以下とされている。また、中仕上げ切削チップ1は、径方向すくい角もわずかにポジとされている。
【0025】
この正面フライス11において、荒切削チップ1rは、軸方向すくい角及び径方向すくい角がわずかにポジとなるようにして工具本体12に装着されている。また、仕上げ切削チップ1fは、軸方向すくい角及び径方向すくい角がネガとなるようにして工具本体12に装着されている。
図6に示すように、工具本体12の軸直交断面視において、荒切削チップ1r及び中仕上げ切削チップ1の外周刃の切込み角κは、ともに15°とされており、これらチップは一つのコーナーを挟む第一、第二の副切刃7、8によって被削材Wの表面の切削を行うようになっている。
また、仕上げ切削チップ1fの正面切刃角は0°とされており、工具本体12の軸線Oに平行な主切刃6によって被削材Wの表面をさらうようになっている。
図7に示すように、荒切削チップ1rと中仕上げ切削チップ1の切刃外径はともにD1とされており、仕上げ切削用チップ1fの切刃外径はD1よりも小径のD2とされている。
そして、中仕上げ切削チップ1の切刃は、荒切削チップ1rの切刃に対して工具先端側にd1突出されており、仕上げ切削チップ1fの切刃は、中仕上げ切削チップ1の切刃に対して工具先端側にd2突出されている。すなわち、仕上げ切削チップ1fの切刃は、荒切削チップ1rの切刃に対して工具先端側にd3突出されている。
【0026】
本実施の形態によるチップ1及び正面フライス11は上述のように構成されているから、工具本体12を回転軸線Oを中心に回転させて被削材を切削すれば、工具本体12の先端外周側に突出する荒切削チップ1rの第一、第二の副切刃7、8によって被削材Wに食い付いて、荒切削が行われる。
そして、工具本体12の送りに伴って、荒切削チップ1rによって荒切削された個所が中仕上げ切削チップ1の第一、第二の副切刃7、8によって中仕上げ切削され、さらにこの中仕上げ切削チップ1によって切削された個所が仕上げ切削チップ1fの第一、第二の副切刃7、8によって仕上げ切削されて仕上げ面が得られる。
このように、本実施の形態にかかる正面フライス11では、工具本体12には、荒切削チップ1r、中仕上げ切削チップ1、仕上げ切削チップ1fが設けられているので、荒切削と中仕上げ切削及び仕上げ切削とを同時に行うことができ、作業能率を向上させることができる。
【0027】
そして、中仕上げ切削チップ1の第一、第二の副切刃7、8には、被削材Wの表面に対して鋭角で交差するホーニング面9が設けられているので、被削材Wの表面に“す”Sが開口していても、中仕上げ切削の際に、図8に示すように、これら副切刃によって被削材Wから削り取られた切粉がホーニング面9によって被削材Wの表面に押し付けられたり、被削材Wの表面を構成する材料自体がホーニング面9によって押圧されてならされて、被削材Wの表面を構成する材料が被削材Wの表面に開口している“す”Sの中に押し込まれて、“す”Sが埋められることとなる。ここで、図8では、中仕上げ切削チップ1の第一の副切刃7による被削材の切削の様子を示したが、第二の副切刃8による切削も同様にして行われる。
このように被削材Wの表面に開口する“す”Sが埋められるので、中仕上げ切削に続いて行われる仕上げ切削によって、さらに被削材Wの表面が、“す”S内の材料もろとも薄く削り取られることで、“す”Sが開口していない良好な仕上げ面が得られる。これにより、“す”の形成されやすい材質の被削材Wを加工しても、仕上げ面に“す”Sが開口していることによる不良品の発生を低減して、歩留まりを向上させることができる。
【0028】
ここで、被削材Wがアルミ材等の柔らかくて塑性変形しやすいものである場合には、第一、第二の副切刃7、8及びホーニング面9から受ける圧力によって被削材Wの表面が塑性変形させられて“す”Sの中に押し込まれることで、十分に“す”Sを埋めることができるので、必ずしも中仕上げ切削チップ1の第一、第二の副切刃7、8による被削材Wの切削が行われなくてもよい。
【0029】
また、この中仕上げチップ1において、ホーニング面9と被削材Wの表面との交差角αが、10°よりも小さいと、ホーニング面9が被削材Wの表面を押し付ける圧力が強くなりすぎて、正面フライス11に加わる背分力が大きくなって正面フライス1にびびり振動が生じやすくなり、良好な加工精度を得ることができなくなる。
一方、交差角αが30°よりも大きいと、ホーニング面9が被削材Wの表面を押し付ける圧力が小さくなりすぎて、被削材Wの表面に開口する“す”Sを十分に埋めることができなくなる。
このため、ホーニング面9と被削材Wの表面との交差角αは、10°以上30°以下とすることが望ましい。
【0030】
また、この正面フライス11においては、工具本体12に、中仕上げ切削チップ1及び仕上げ切削チップ1fの切刃の突出量を調整する切刃位置調整機構16が設けられているので、被削材Wの材質や切削条件等に応じて、各チップの切刃の突出量、特に各チップの切刃の突出量の関係を調整することができる。
これにより、各切削に要求される切削条件に応じて各チップの切刃の突出量を調整して、“す”の埋め立てを含む各切削を良好に行うことができる。
ここで、上記実施の形態においては、切刃位置調整機構16を、チップが装着される保持部材18の位置をクサビによって調整する構成としたが、これに限られることなく、他の任意の構成としてもよい。
【0031】
なお、上記実施の形態では、工具本体12に、中仕上げ切削に用いる本発明にかかるチップ1のほかに、荒切削チップ1r及び仕上げ切削チップ1fを装着した例を示したが、これに限られることなく、荒切削チップ1rと仕上げ切削チップ1fのうちの少なくともいずれか一方を別の切削工具に取り付けて、荒切削加工または仕上げ切削加工もしくはこれら両方を、中仕上げ切削加工とは別工程で行うようにしてもよい。
特に、荒切削加工では切削の際に工具本体に振動が生じやすいので、荒切削加工を中仕上げ切削加工とは別工程に行うことで、加工精度をより向上させることができる。
【0032】
また、上記実施の形態では、チップ1を略四角形板状とした例を示したが、これに限られることなく、円板形状、多角形板状その他の形状に形成してもよい。
また、上記実施の形態では、本発明を正面フライスに適用した例を示したが、これに限られることなく、他の切削工具に適用してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるチップ及びこれを用いる切削工具によれば、切刃をなすチップが、その切刃に被削材の表面に対して鋭角で交差するホーニング面を有しており、被削材の表面に“す”が開口していても、被削材を切削する際に、ホーニング面に押圧されることによって被削材の表面を構成する材料が被削材の表面に開口している“す”の中に押し込まれて、“す”が埋められることとなる。
このように被削材の表面に開口する“す”が埋められるので、仕上げ切削によって“す”が開口していない良好な仕上げ面が得られる。
これにより、“す”の形成されやすい材質の被削材を加工しても、仕上げ面に“す”が開口していることによる不良品の発生を低減して、歩留まりを向上させることができる。
【0034】
ここで、この切削工具を、工具本体の周方向に複数のチップが装着され、これら複数のチップとして、本発明にかかるチップに加えて、荒切削に用いられるチップと仕上げ切削に用いられるチップとのうち少なくともいずれか一方が装着されている構成としてもよい。
この場合には、荒切削と中仕上げ切削、または中仕上げ切削と仕上げ切削、もしくは荒切削と中仕上げ切削及び仕上げ切削とを同時に行うことができ、作業能率が向上する。
【0035】
また、この切削工具においては、工具本体に、チップの切刃の突出量を調整する切刃位置調整機構が設けられていてもよい。
この場合には、被削材の材質や切削条件等に応じて、切刃の突出量を調整することができる。特に、工具本体に、中仕上げ切削に用いるチップに加えて、荒切削や仕上げ切削に用いられるチップも装着する場合には、各切削に要求される切削条件に応じて各チップの切刃の突出量を調整して、“す”の埋め立てを含む各切削を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるスローアウェイチップの形状を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側断面図である。
【図2】図1に示すスローアウェイチップの要部拡大図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる正面フライスの形状を示す先端面図である。
【図5】図4に示す正面フライスの一部拡大側面図である。
【図6】図4に示す正面フライスの断面図であって、(a)は図4のB−B矢視断面図、(b)は図4のC−C矢視断面図、(c)は図4のD−D矢視断面図である。
【図7】本実施形態にかかる正面フライスによる切削時の荒刃、中仕上げ刃、仕上げ刃の軌跡を示す図である。
【図8】本実施形態にかかる正面フライスによる中仕上げ切削及び仕上げ切削の様子を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 スローアウェイチップ 1f 仕上げ切削チップ
1r 荒切削チップ 3 上面(すくい面)
4 側面(逃げ面) 6 主切刃
7 第一の副切刃 8 第二の副切刃
9 ホーニング面 11 正面フライス(切削工具)
12 工具本体 16 切刃位置調整機構
W 被削材 α 交差角
Claims (5)
- 切削工具の工具本体に切刃として装着されて荒切削と仕上げ切削との間の中仕上げ切削に用いられるスローアウェイチップであって、
すくい面と逃げ面との交差稜線部が切刃とされ、
該切刃には、前記工具本体に装着した状態において被削材の表面に対して鋭角で交差するホーニング面が設けられていることを特徴とするスローアウェイチップ。 - 前記ホーニング面と前記被削材の表面との交差角αが、10°以上30°以下とされていることを特徴とするスローアウェイチップ。
- 工具本体に切刃をなすスローアウェイチップが装着されて、荒切削と仕上げ切削との間の中仕上げ切削に用いられる切削工具であって、
前記スローアウェイチップとして、請求項1または2に記載のスローアウェイチップが用いられることを特徴とする切削工具。 - 前記工具本体の周方向に複数のスローアウェイチップが装着され、
これら複数のスローアウェイチップとして、請求項1または2に記載のスローアウェイチップに加えて、荒切削に用いられるスローアウェイチップと仕上げ切削に用いられるスローアウェイチップとのうち少なくともいずれか一方が装着されることを特徴とする請求項3記載の切削工具。 - 前記工具本体に、前記スローアウェイチップの切刃の突出量を調整する切刃位置調整機構が設けられていることを特徴とする請求項3または4記載の切削工具。
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