JP2004008153A - コンバインの刈取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】左右の可動刃部90A、90Bの相互間での切刃装置29による切断性能の低下や、穀稈の2度刈りを生じさせないように、3条以上の複数条の植立穀稈を同時に刈り取ることを可能となす。
【解決手段】挟持掻込機構27C、28C、103a、103b、103cが左右一対の各可動刃部90A、90Bの機体内方端の切刃b2、b2による植立穀稈の切断開始時及びこの時点以降にこの切断の開始された穀稈の長さ途中を適当強さに挟持した状態となって後方へ掻き込む構成となす。
【選択図】    図14

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀するコンバインの刈取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平6−153646号公報に示されるように、左右向きの1本の固定刃部の上面に左右一対の可動刃部を重合させると共にこれら左右一対の可動刃部を互いに相反する方向へ往復駆動させるものとした刈刃装置を具備しているコンバインの刈取装置は存在している。
この種の刈取装置では左右の可動刃部の左右運動に起因した起振力がバランスするものとなって、左右方向のその振動が抑制され、植立穀稈の高速での刈取が可能となるのである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の刈取装置においては、左右一対の可動刃部の相互間に位置した植立穀稈の切断環境が機構的に不利となるため、該相互間でのその切断性能が低下する傾向がある。
【0004】
特に、刈刃装置が3条以上の複数条の植立穀稈を同時に刈り取る構造のものにおいては、刈刃装置による穀稈切断中の穀稈支持が困難となって、上記傾向が顕著となるほか、上記相互間における穀稈群は刈刃装置により2度刈りされるなどの問題が生じるようになる。
【0005】
本発明は、上記相互間での切断性能の低下や2度刈りを生じさせないように、3条以上の複数条の植立穀稈を同時に刈り取ることを可能としたコンバインの刈取装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、請求項1に記載したように、左右向きの固定刃部の上面に左右一対の可動刃部を重合させると共に、これら左右一対の可動刃部を互いに相反する方向へ往復駆動させて3条以上の複数条の植立穀稈群を同時に切断する刈刃装置と、この刈刃装置で刈取られた刈取穀稈を、外周の凹凸爪による係止搬送により後方特定位置まで掻込むものとした複数のスターホイールと、これらスターホイールの上側に配置され前記刈取穀稈に突起による係止搬送作用を付与するものとした複数の突起付掻込みベルトと、前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルトに前記刈取穀稈を案内し弾圧するものとした複数の弾性案内棒部材とを具備したコンバインの刈取装置において、前記左右一対の各可動刃部の機体内方端の切刃で刈取られる穀稈に対応した前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材が、当該切刃により刈取られた穀稈を適当強さで挟持して後方へ掻込む構成となす。
【0007】
これによれば、前記左右一対の可動刃部の相互間近傍に位置した植立穀稈は前記刈刃装置による切断時及びこの時点以降にも前記挟持掻込機構に支持され得るようになるため、前記刈刃装置はこれら植立穀稈を的確に刈り取ると共に、刈り取られた後の刈取穀稈の落下を阻止して前記刈刃装置による刈取穀稈の2度刈りを阻止する。そして、このことが3条以上の植立穀稈の効率的な同時刈取を可能となす。
【0008】
さらに具体的には、請求項2に記載したように、前記固定刃部が前記刈刃装置の刈巾の全長に及ぶものとなされると共に、前記一対の可動刃部のそれぞれが同一長さとなされていて前記固定刃部の半分長さよりもその往復駆動ストロークと略同一長さだけ短くなされており、且つ、前記固定刃部はこれの左右長さ中央箇所に前記一対の各可動刃部の機体内方端の切刃の共通受刃部として作用する平面視三角状の中央単位固定刃を形成されており、且つ、前記中央単位固定刃で刈取られる穀稈に対応した前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材が、前記中央単位固定刃による穀稈の切断開始時及びこの時点以降に、この切断の開始された穀稈を適当強さで挟持して後方へ掻込むように作用する構成となす。
【0009】
これによれば、前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材などの挟持掻込機構が前記一対の各可動刃部の機体内方端の切刃や前記中央単位固定刃で切断される穀稈の姿勢を適正且つ的確に保持するため、前記左右一対の可動刃部の相互間に位置した植立穀稈の前記刈刃装置による切断性能の低下や、前記刈刃装置による刈取穀稈の2度刈りが確実に阻止されるものとなる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、左右向きの固定刃部の上面に左右一対の可動刃部を重合させると共に、これら左右一対の可動刃部を互いに相反する方向へ往復駆動させて3条以上の複数条の穀稈群を同時に切断するものとした刈刃装置と、刈取穀稈の2条分が移送集束される下部搬送装置に、刈刃装置で刈取られた刈取穀稈を、外周の凹凸爪の係止搬送や、左右で噛み合わされた一対の前記凹凸爪の挟持搬送により、掻込むように作用する複数のスターホイールと、これらスターホイールの上側に配置され且つ前記刈取穀稈に突起による係止搬送作用を付与するものとした複数の突起付掻込みベルトと、前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルトに前記刈取穀稈を案内し弾圧するものとした複数の弾性案内棒部材とを具備したコンバインの刈取装置において、前記左右一対の各可動刃部の機体内方端の切刃で刈取られる穀稈に対応した前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材が、当該切刃による前記穀稈の切断開始時及び、この時点以降にこの切断の開始された穀稈を適当強さで挟持して後方の特定位置まで掻込む構成となす。
これによれば、刈取穀稈の2条分が移送集束される前記下部搬送装置を備えたコンバインの刈取装置において、請求項1に記載した発明と同様の作用が得られるものとなる。
【0011】
この発明は次のように具体化するのがよいのであって、即ち、請求項4に記載したように、前記固定刃部が前記刈刃装置の刈巾の全長に及ぶものとなされると共に、前記一対の可動刃部のそれぞれが同一長さとなされていて前記固定刃部の半分長さよりもその往復駆動ストロークと略同一長さだけ短くなされており、且つ、前記固定刃部は左右長さ中央箇所に前記一対の各可動刃部の機体内方端切刃の共通受刃部として作用する平面視三角状の中央単位固定刃を形成されており、且つ、前記中央単位固定刃を前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材の作用側へ配置した構成となす。
【0012】
これによれば、前記刈刃装置に起因した左右方向の起振力が正確にバランスして前記刈取装置の左右振動が効果的に抑制されるものとなり、また前記中央単位固定刃を前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材の作用側へ配置したため、前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材による効果的な挟持掻込み作用が得られるようになり、従って前記左右一対の可動刃部の相互間近傍に位置した植立穀稈の前記刈刃装置による切断性能の低下や、刈刃装置による刈取穀稈の2度刈りが一層確実に阻止されるものとなる。
【0013】
或いは、請求項5に記載したように、前記固定刃部が前記刈刃装置の刈巾の全長に及ぶものとなされると共に、前記一対の可動刃部のそれぞれが同一長さとなされていて前記固定刃部の半分長さよりもその往復駆動ストロークと略同一長さだけ短くなされており、且つ、前記固定刃部は左右長さ中央箇所に前記一対の各可動刃部の機体内方端切刃の共通受刃部として作用する平面視三角状の中央単位固定刃を形成されており、且つ、前記中央単位固定刃をスターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材の前部作用側へ配置した構成となす。
【0014】
これによれば、前記刈刃装置に起因した左右方向の起振力が正確にバランスして前記刈取装置の左右振動が効果的に抑制されるのであり、また前記中央単位固定刃をスターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材の前部作用側へ配置したため、前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材による効果的な挟持掻込み作用が前記刈刃で刈り取られる穀稈にいち早く付与されるようになり、従って前記左右一対の可動刃部の相互間近傍に位置した植立穀稈についての前記刈刃装置による切断性能の低下や、刈刃装置による刈取穀稈の2度刈りが一層確実に阻止されるものとなる。
【0015】
また請求項4又は5記載の発明は次のように具体化するのがよい。
即ち、請求項6に記載したように、特定の一つの前記スターホイールの凹凸爪の移動軌跡と、特定の一つの前記突起付掻込みベルトの突起の移動軌跡と、前記特定の一つの突起付掻込みベルトの上下近傍に沿わせ且つこの突起付掻込みベルトに前記穀稈群を案内し弾圧するものとした2本からなる前記弾性案内棒部材との3つを、前記中央単位固定刃の直上を通過させるように配置した構成となす。
【0016】
これによれば、前記一つのスターホイール及び前記一つの突起付掻込みベルト及び前記2本の弾性案内棒部材の挟持掻込作用が、前記中央単位固定刃で切断される穀稈に対して効果的に付与されるため、前記左右一対の可動刃部の相互間にある前記中央単位固定刃近傍に位置した植立穀稈の前記刈刃装置による切断性能の低下や、刈刃装置による刈取穀稈の2度刈りがさらに確実に阻止されるものとなる。
【0017】
また請求項7に記載しように、前記特定の一つのスターホイールの凹凸爪の移動軌跡に関連して配置されてこのスターホイールに穀稈群を案内し弾圧するものとした1本からなる前記弾性案内棒部材を、前記中央単位固定刃の直上或いは直近を通過させるように配置した構成となすのがよい。これによれば、前記1本の弾性案内棒部材が、請求項6記載の発明の作用を補強するものとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの正面図であり、図中1は左右走行クローラ2を装設するトラックフレーム、3はトラックフレーム1上に架設する機台、4はフィードチェン5を左側に張架し扱胴6及び処理胴7を内蔵している脱穀部、8は脱穀部4の前方に装備する3条用の刈取装置、9は排藁チェン10の終端を臨ませる排藁処理部、11は脱穀部4からの穀粒を揚穀筒12を介して搬入する穀粒タンク、13は穀粒タンク11の穀粒を搬出する排出オーガ、14は運転席15の前側にステアリングコラム16を介して丸形の走行ハンドル17を装備すると共に運転席15の左側のサイドコラム18に主変速レバー19及び副変速レバー20及び脱穀クラッチレバ−21及び刈取クラッチレバ−22等を配設する運転操作部、23は運転席15の下側に配設するエンジンであり、圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀するように構成している。
【0019】
図4は刈取装置の側面図、図5は刈取装置の平面図、図6は刈取装置前部の拡大平面図、図7は刈取装置の駆動系統図であり、3条用の刈取装置8は、分草板24A、24B、24C、24Dを介して取入れられる3条分の未刈穀稈を引起す刈取条数と同じ数の左右及び中央の3つの引起ケース25A、25B、25Cを前部に後傾姿勢で横に並べて立設させるもので、左引起ケース25Aと中央引起ケース25Cの間に左側1条分の未刈穀稈を取入れ、取入れた左側1条分の未刈穀稈の引起しを左引起ケース24Aから右向きに突出して下から上に移動する引起タイン26Aにより行い、また右引起ケース25Bと中央引起ケース25Cの間に残りの右側2条分の未刈穀稈を取入れ、取入れた右側2条分の未刈穀稈の引起しを右引起ケース25Bから左向きに突出して下から上に移動する引起タイン26Bと中央引起ケース25Cから左向きに突出して下から上に移動する引起タイン26Cにより行うように構成している。
【0020】
また、引起こされた左側1条分の未刈穀稈の稈元側を右斜め後方に掻込む左スターホイル27A及び左掻込み用の突起付きベルト28Aを左引起ケース25Aの下部後方に配設し、また引起こされた右側1条分の未刈穀稈の稈元側を左斜め後方に掻込む右スターホイル27B及び右掻込みの突起付きベルト28Bを右引起ケース25Bの下部後方に配設すると共に、引起こされた中央1条分の未刈穀稈の稈元側を右斜め後方に掻込む中央スターホイル27C及び中央掻込み用の突起付きベルト28Cを中央引起ケース25Cの下部後方に配設し、これら右及び中央のスターホイル27B、27C及び突起付きベルト28B、28Cにより、引起こされた右側2条分の未刈穀稈の稈元側を、右引起ケース25Bと中央引起ケース25C間の導入通路中央後方で掻込み合流させるように構成している。
【0021】
そして、左右及び中央のスターホイル27A、28B、28C及び掻込みベルト28A、28B、28Cにより掻込み時に未刈り穀稈の稈元を3条同時に切断するバリカン型の刈刃装置29を備えると共に、右側2条分の刈稈の稈元側を左斜め後方に搬送する右下部搬送チェン30と、左側1条分の刈稈の稈元側及び穂先側を右斜め後方に搬送し稈元側を右下部搬送チェン30の送り終端部近傍に合流させる左下部搬送チェン31及び左上部搬送タイン32及び左穂先搬送タイン33と、右下部搬送チェン30の送り終端部近傍にて合流する3条分の刈稈の稈元側及び穂先側を脱穀部4のフィードチェン5の送り始端に受継ぎ搬送させる縦搬送チェン34及び上部搬送タイン35を備え、右下部搬送チェン30と縦搬送チェン34を平面視で略一直線状に設けて右引起ケース25Bの下部後方からフィードチェン5の送り始端部に略一直線状の下部搬送経路を形成し、また上部搬送タイン35を右引起ケース25Bの後方にまで延ばし、右引起ケース25Bの後方からフィードチェン5の送り始端部に略一直線状の上部搬送経路を形成し、これら略一直線状の上下搬送経路の途中に、左下部搬送チェン31及び左上部搬送タイン32によって形成されて左引起ケース25Aの後方から右斜め後方に延ばす左側の上下搬送経路の終端部を臨ませ、3条分の刈稈を平面視で大文字のY字ではなく小文字のy字形穀稈搬送経路によって刈取装置8から脱穀部4のフィードチェン5に搬送させて脱穀処理させるように構成している。
【0022】
また、機台3の前端に固設する走行ミッション36と左走行クローラ2との間を通して脱穀部4の前側から前方斜め下方に突出させる刈取主フレームである縦伝動ケース37を備え、縦伝動ケース37の上端部にべベルギアケース38を固設し、べベルギャケース38の左側にチェンケース39を固設し、チェンケース39の左側面下部とべベルギアケース38の右側面から機体左右方向に水平に刈取装置8の上下回動支点である左右刈取入力ケース40A、40Bを同一軸芯上で突出固定し、刈取入力ケース40A、40Bを機台3の前端に立設固定する左右軸受け台41A、41Bに回動自在に支持させる。
【0023】
また、縦伝動ケース37の下端に中間部を一体連結させて刈取装置8の底部で機体左右方向に水平に横架させる横伝動ケース42を備え、機体左右方向に平行な前後バンパフレーム43A、43Bと機体前後方向に平行な左右バンパフレーム44A、44Bとで横伝動ケース42を包囲するような横長な四角枠形状のバンパ45を構成し、平面視でバンパ45の内側に横伝動ケース42を納めるように、横伝動ケース42の真下にバンパ45を一体に取付け、横伝動ケース42の前方に横架される前バンパフレーム43Aを横伝動ケース42及び後バンパフレーム43Bより長尺に形成して4条分の穀稈間隔と略同じ長さを与え、前バンパフレーム43Aを横伝動ケース42より右側に突出させた状態で、横伝動ケース42の前方に前バンパフレーム43Aを横架させる。
【0024】
また、刈取る3条の穀稈条のうち左側の穀稈条とその未刈側(左側)の未刈穀稈条の間を通過させる左外側刈取フレーム45Aと、刈取る3条の穀稈条のうち左側の穀稈条と中央の穀稈条の間を通過させる左内側刈取フレーム45Bと、刈取る3条の穀稈条のうち中央の穀稈条と右側の穀稈条の間を通過させる右内側刈取フレーム45Cと、刈取る3条の穀稈条のうち右側の穀稈条とその既刈側(右側)の既刈穀稈条との間を通過させる右外側刈取フレーム45Dの、4本の刈取フレーム45A、45B、45C、45Dを前バンパフレーム43Aから機体前方に向けて平行に一体延出している。
【0025】
そして、分草板24A、24B、24C、24Dを各刈取フレーム45A、45B、45C、45Dの前端に取付け、左引起ケース25Aの後面下部を左外側刈取フレーム45Aに立設固定する左支持パイプ46Aに支持させ、右引起ケース25Bの後面下部を右外側刈取フレーム45Dに立設固定する左支持パイプ46Bに支持させ、中央引起ケース25Cの後面下部を左内側刈取フレーム45Bに立設固定する左支持パイプ46Cに支持させると共に、横伝動ケース42の左右端部上面から前傾姿勢で上方に一体延出させる左右引起し伝動ケース47A、47Bと横伝動ケース42の略中央部前面側に固設するべベルギアケース48の上面から前傾姿勢で上方に一体延出させる中央引起し伝動ケース47Cを設け、左右及び中央の引起ケース25A、25B、25Cの後面上部を左右及び中央の引起し伝動ケース47A、47B、47Cの上端に固設する左右及び中央のべベルギアケース49A、49B、49Cにそれぞれ支持させ、左右及び中央の3つの引起ケース25A、25B、25Cを刈取装置8の前部に後傾姿勢で横に並べて立設支持している。
【0026】
また、左右及び中央のスターホイル27A、28B、28C及び掻込みベルト28A、28B、28Cと、右下部搬送チェン30と、左下部搬送チェン31及び左上部搬送タイン32及び左穂先搬送タイン33を刈取フレーム45A、45B、45C、45D及び引起し伝動ケース47A、47B、47C等に支持させると共に、刈刃装置29を刈取フレーム45A、45B、45C、45Dの後部下側に横架固定されて前バンパフレーム43の長さと略同じ横幅を有する刈刃台50上に組付けている。
【0027】
そして、縦伝動ケース37と機台3の間に張架する刈取昇降シリンダ51の伸縮動作により、刈取装置8を左右刈取入力ケース40A、40Bを支点に昇降させるように構成している。
【0028】
また、刈取装置8の動力は入力部に直進用HST52Aと旋回用HST52Bを備えた走行ミッション36に設けるPTO軸53から取出すもので、エンジン23の出力軸54から直進用HST52Aの油圧ポンプ軸55にベルト伝動で動力を伝達し、直進用HST52Aの油圧ポンプ軸55から旋回用HST52Bの油圧ポンプ軸56に動力を伝達し、直進用HST52A及び旋回用HST52Bの各油圧モータを適宜駆動させて動力を走行ミッション36に伝達させ、左右走行クローラ2を同一回転方向で同一回転速度で駆動する機体の前後方向直進走行及び左右クローラ2を逆方向に駆動する左又は右旋回及び左右走行クローラ2を同一回転方向で異なる回転速度で駆動する進路修正を行わせるように構成している
【0029】
そして、左右刈取入力ケース40A、40Bに刈取入力軸57を内挿し、右刈取入力ケース40Bの右側端部から突出させる刈取入力軸57に刈取入カプーリ58を設け、走行ミッション36のPTO軸53から刈取入力軸57にベルト伝動で、かつ、そのベルト伝動のテンションローラを刈取クラッチ59として用いて動力を継断自在に伝達している。刈取クラッチ59は刈取クラッチレバー22により入切り操作される。また縦伝動ケース37に縦伝動軸60を内挿すると共に、横伝動ケース42に横伝動軸61を内挿し、刈取入力軸57の中間部から縦伝動軸60の上端にべベルギア伝動で動力を伝達し、縦伝動軸60の下端から横伝動軸61の中間部にべベルギア伝動で動力を伝達している。また左右及び中央の引起し伝動ケース47A、47B、47Cに左右及び中央の引起し伝動軸62A、62B、62Cを内挿し、横伝動軸61の左右端部から左右引起し伝動軸62A、62Bの下端に直接ベベルギア伝動で動力を伝達すると共に、横伝動軸61の中間部からベベルギアを介して前向きに動力を取出す伝動軸63を設け、伝動軸63の前端から中央引起し伝動軸62Cの下端にベベルギア伝動で動力を伝達し、左右及び中央のべベルギアケ−ス49A、49B、49Cから左右及び中央の引起ケース25A、25B、25Cの上部内側に突出させる左右及び中央の引起し駆動軸64A、64B、64Cを設け、左右及び中央の引起し伝動軸62A、62B、62Cの上端から左右及び中央の引起し駆動軸64A、64B、64Cにベベルギア伝動で動力を伝達している。また横伝動軸61中間の入力部と右端部の右引起し伝動軸62Bへの出力部の間の横伝動軸61からベベルギアを介して上向きに動力を取出して右下部搬送チェン30を駆動スプロケット65を介して回転駆動させる右下部搬送駆動軸66を設け、左引起し駆動軸64Aの中間部から同じチェン伝動で、動力を下向きに取出す左下搬送駆動軸68及び動力を上向きに取出す左上搬送駆動軸69を設け、左下搬送駆動軸68の下端に設ける駆動スプロケット70を介して左下部搬送チェン31を回転駆動させ、左上搬送駆動軸69の上部に設ける駆動スプロケット71を介して左上部搬送タイン32を回転駆動させると共に、左上搬送駆動軸69の上端からベベルギアを介してさらに上向きに動力を取出して左穂先搬送タイン33を駆動スプロケット72を介して回転駆動させる左穂先搬送駆動軸73を設けている。尚、左のスターホイル27A及び掻込みベルト28Aは左下部搬送チェン31に連動連結されてこれと一体に回転駆動され、右のスターホイル28B及び掻込みベルト28Bは右下部搬送チェン30に連動連結されてこれと一体に回転駆動され、中央のスターホイル27C及び掻込みベルト28Cは、右のスターホイル28Bに中央のスターホイル27Cが噛合い回転することで回転駆動される。また横伝動ケース42の左右端部前面からは後で説明する刈刃装置29を駆動するための左右刈刃駆動軸である左右クランク軸74A、74Bを内挿する左右刈刃駆動ケース75A、75Bが前向きに一体延出されると共に、横伝動軸61の左右端部から左右クランク軸74A、74Bの後端にべベルギア伝動で動力を伝達している。
【0030】
また、縦搬送チェン34及び上部搬送タイン35は、チェンケース39の左側面上部から左刈取入力ケース40Aと平行に突出固定させる筒軸76の端部に回動自在に嵌合する縦搬送駆動ケース77に後部が支持され、中間部が図示しない扱深調節機構を介して縦伝動ケース37に支持され、刈取装置8と一体に縦搬送チ一エン34及び上部搬送タイン35を左右刈取入力ケース40A、40Bを支点にして昇降させると共に、刈取装置8とは別に縦搬送チェン34及び上部搬送タイン35のみを筒軸76を支点に上下に揺動させる扱深調節動作を行わせるように構成している。筒軸76に横伝動軸78を内挿し、刈取入力軸57の左端部から横伝動軸78の右端部にチェンケース39内のチェン伝動で動力を伝達すると共に、縦搬送駆動ケース77に縦搬送チェン34及び上部搬送タイン35の共通の縦搬送駆動軸79を略上下方向に軸支し、横伝動軸78の左端部から縦搬送駆動軸79の中間部にべベルギア伝動で動力を伝達し、縦搬送駆動軸79の下端に設ける駆動スプロケット80を介して縦搬送チェン34を回転駆動させ、縦搬送駆動軸79の上端に設ける駆動スプロケット81を介して上部搬送タイン35を回転駆動させている。
【0031】
図8は左右及び中央の引起ケースの前方視図であり、各引起ケース25A、25B、25Cは、引起タイン26A、26B、26Cを一定ピッチで起伏自在に取付けるタインチェン82を、引起ケース25A、25B、25Cの内部上側に突出させた引起し駆動軸64A、64B、64Cに嵌合する上部駆動スプロケット83と、引起ケース25A、25B、25Cの内部下側に支軸84aを介して回転自在に軸支する下部従動ローラ84を介して内部に上下方向に張設し、左と中央の引起ケース25A、25Cのタインチェン82を前方視で時計方向に所定速度で回転させ、また右の引起ケース25Bのタインチェン82を前方視で反時計方向に他のタインチェン82と同じ速度で回転させることにより、下部回行部の直前で各引起タイン26A、26B、26Cをタイン起し85に当設させてタインチェン82から略直角に起立させると共に、その起立状態を下部回行部及び上向き直走部を移動する間図示しないタインガイドを介して保持させ、各引起タイン26A、26B、26Cを下部回行部及び上向き直走部で各引起ケース25A、25B、25Cの外部に突出させ、左引起ケース25Aと中央引起ケース25Cの間に取入れる左側1条分の未刈穀稈の引起しを、引起ケース24Aから右向きに突出して下から上に移動する左引起タイン26Aにより行い、右引起ケース25Bと中央引起ケース25Cの間に取入れる右側2条分の未刈穀稈の引起しを、右引起ケース25Bから左向きに突出して下から上に移動する引起タイン26Bと中央引起ケース25Cから左向きに突出して下から上に移動する引起タイン26Cにより行うように構成している。
【0032】
また、タインチェン82のテンションローラ86を、駆動スプロケット83の下向き回転側の横側に、引起し、駆動軸64A、64B、64Cを支点に所定範囲で上下揺動可能で、かつ、図示しないテンションバネカを常時上方に付勢する図示しないテンションアームを介して支持し、テンションローラ86によってタインチェン82の弛みを取るようにしている。
【0033】
そして、右引起ケース25Bの下部従動ローラ84の下向き回転側の横倒にチェン張出し部材であるチェン張出しローラ87を設け、チェン張出しローラ87と下部従動ローラ84の間に左引起タイン26Bを下部回行途中で直線的に横移動させる横移動区間88を形成し、左と中央の引起ケース25A、25Cのタインチェン82を上部一輪下部二輪の三点張りで三角形状に張設するのに対し、右引起ケース25Bのタインチェン82を上部二輪下部二輪の四点張りで四角形状に張設し、最も既刈側の右引起ケース25Bにおける引起タイン26B先端の下部回行半径を引起し作用側と反対側である既刈側に延ばし、左引起タイン26Aの下部回行部における未刈穀稈の掻込み(取込み)作用範囲を引起し作用側と反対側である既刈側に拡張し、最も既刈側の未刈穀稈の引起し不良による刈残しを防止するように構成している。
【0034】
図9は刈刃の部分拡大平面図、図10は刈刃の駆動説明図、図11は刈刃のナイフヘッド部の断面図であり、刈刃装置29は、刈巾のほぼ全巾に相当する長さとなされ4条分の刈幅を有する一枚の固定刃部89と、固定刃部89の上に重ね合わせるように位置され固定刃部89長さの半分よりも特定長さ(各可動刃部90A、90Bの左右往復作動のストロークと略同一長さ)だけ短くなされ略2条分の刈幅を有するものとなされた左右一対の可動刃部90A、90Bからなり、固定刃部89は刈刃台50に多数の単位固定刃91を一定ピッチでリベット止めしてなり、左右の可動刃部90A、90Bは刈刃台50の略半分の横幅を有するナイフバー92と、ナイフバー92の端から端に単位固定刃91と同じピッチでリベット止めする多数の単位可動刃93と、数枚の単位可動刃93と共にナイフバー92にリベット止めするナイフヘッド94からなり、刈刃台50にボルト・ナットで摩擦板及び調整板と共に締付け固定する複数の刃押え95によって、左右の可動刃部90A、90Bを固定刃部89の上面に機体左右方向にのみ往復移動自在に重合支持している。
【0035】
この際、固定刃部89の長さ中央に固定された単位固定刃(以下、「中央単位固定刃」と言う)91aは左右の可動刃部90A、90Bの左右往復移動を確保するため、これ以外の単位固定刃91に較べて底辺の長い三角形となされると共に、当該単位固定刃91aの左右各側縁の切刃a1、a2の、左右向き線に対する傾斜角度は、他の単位固定刃91の左右各側縁の切刃の同傾斜角度よりも小さくなされている。また各可動刃部90A、90Bの最機体内方側に固定された単位可動刃93aはそれ以外の単位可動刃93の三角形を変形させた不等辺三角形となされると共に左右各側縁の切刃b1、b2のうち機体内方側となるものb2の、左右向き線に対する傾斜角度をこれの反対側の切刃b1の同傾斜角度よりも大きくなしたものとなされている。
【0036】
また、横伝動ケース42の左端部前面から左可動刃部90Aを往復駆動させる左刈刃駆動軸である左クランク軸74Aの主軸(ジャーナル)96Aを内挿する左刈刃駆動ケース75Aを前向きに一体延出させると共に、横伝動ケース42の右端部前面から右可動刃部90Bを往復駆動させる左刈刃駆動軸である左クランク軸74Bの主軸(ジャーナル)96Bを内挿する左刈刃駆動ケース75Bを前向きに一体延出させ、また左刈刃駆動ケース75Aの前端から突出させる左クランク軸74Aの主軸96Aの前端に左クランク軸74Aのクランクアーム97Aの基端を嵌合固定し、クランクアーム97Aの先端から主軸96Aと平行に左クランク軸74Aのクランクピン98Aを前方に向けて突出させると共に、右刈刃駆動ケース75Bの前端から突出させる右クランク軸74Bの主軸96Bの前端に右クランク軸74Bのクランクアーム97Bの基端を嵌合固定し、クランクアーム97Bの先端から主軸96Bと平行に右クランク軸74Bのクランクピン98Bを前方に向けて突出させ、また左クランク軸74Aの主軸96Aの後端を横伝動ケース42の左端部内側に臨ませ、横伝動軸61の左端部に左クランク軸74Aの主軸96Aの後端をベベルギア99A、99Bを介して連動連結させると共に、右クランク軸74Bの主軸96Bの後端を横伝動ケース42の右端部内側に臨ませ、横伝動軸61の右端部に右クランク軸74Bの主軸96Bの後端を前記べベルギア99A、99Bと同じ方向で噛合わせるベベルギア100A、100B介して連動連結させ、主軸96A及びクランクアーム97A及びクランクピン98Aからなる左クランク軸74Aと主軸96B及びクランクアーム97B及びクランクピン98Bからなる左クランク軸74Aと同し右クランク軸74Bを同じ一方向に同速度で回転させ、かつ、左クランク軸74Aのクランクピン98Aの回転位置と右クランク軸74Bのクランクピン98Bの回転位置が180度又は略180度異なるように、左右のクランク軸74A、74Bの位相を180度又は略180度異ならせて、同じ一方向に同速度で回転させる。
【0037】
そして、左右の可動刃部90Aのナイフヘッド94後端に開放部を後方に向ける断面コの字形のガイドレール101を左右クランク軸74A、74Bの主軸96A、96Bと直角に立設固定させ、左右のクランク軸74A、74Bの位相を180度又は略180度異ならせた状態で、左クランク軸74Aのクランクピン98Aをベアリング102Aを介して嵌合させると共に、右クランク軸74Bのクランクピン98Bをベアリング102Bを介して嵌合させ、位相を180度又は略180度異ならせて同じ一方向に同速度で回転させる左右のクランク軸74A、74Bにより、左右の可動刃部90A、90Bを相反する方向に往復駆動させ、バリカン型の刈刃29による左右方向の振動と共に、クランク軸74A、74Bと直交する方向の振動も同時に低下させるように構成している。
【0038】
また、横伝動ケース42の左端部前面から左可動刃部90Aを往復駆動させる左刈刃駆動軸である左クランク軸74Aの主軸(ジャーナル)96Aを内挿する左刈刃駆動ケース75Aを前向きに一体延出させると共に、横伝動ケース42の右端部前面から右可動刃部90Bを往復駆動させる左刈刃駆動軸である左クランク軸74Bの主軸(ジャーナル)96Bを内挿する左刈刃駆動ケース75Bを前向きに一体延出させ、左右のクランク軸74A、74B部全体を引起し後の穀稈を掻込む掻込み部材である左右のスターホイル27A、27Bの下方に配設し、左右のクランク軸74A、74B部に刈稈が引っかかる等して搬送性能を低下させるのを防止すると共に、左右のクランク軸74A、74B部に藁屑が付着したり巻付くのを防止するように構成している。
【0039】
図12は刈取装置の弾性案内棒部材などを示す平面図、図13は前記弾性案内棒部材の配置の詳細を示す平面図、図14は刈刃装置の左右方向中央部の前記弾性案内棒部材の配置を示す平面図であり、前記掻込みベルト28A、28B、28Cのそれぞれに対応した上下2本の弾性案内棒部材103a、103bが、各引起ケース25A、25B、25Cの引起タイン26A、26B、26Cの移動軌跡範囲の外側下方箇所となる左内側刈取フレーム45B又は右内側刈取フレーム45Cの前後長さ途中箇所から後方へ延出させ、各引起タイン26A、26B、26Cの対応する1つの引起ケース25A、25B、25Cの上向き直走部の直下へ向かいつつ斜め後方へ向かうものとなされており、また下側の各弾性案内棒部材103aは平面視でその対応する1つの引起ケース25A、25B、25Cの前記上向き直走部のタイン移動軌跡面を横切る方向へ導かれてその対応する1つの掻込みベルト28A、28B、28Cの突起tの移動軌跡面の下側に該移動軌跡面と略平行に位置させ、一方、上側の各弾性案内棒部材103bは平面視でその対応する1つの引起ケース25A、25B、25Cの前記上向き直走部のタイン移動軌跡面を横切る方向へ導かれてその対応する1つの掻込みベルト28A、28B、28Cの突起tの移動軌跡面の上側に略平行に位置させている。
【0040】
また前記2本の弾性案内棒部材103a、103bの下側箇所でこれらの対応した1つの引起ケース25A、25B、25Cの前記上向き直走部のタイン移動軌跡面の外側下方箇所からはその対応する前記下部搬送チェン30又は31用の1本の弾性案内棒部材103cがそのタイン移動軌跡面の内方へ向かいつつ斜め後方へ向かうように延出させてあり、この1本の弾性案内棒部材103cの後部はその対応する1つの引起ケース25A25B、25Cの前記上向き直走部のタイン移動軌跡面の下方でその対応する1つの前記掻込みベルト28A、28B、28Cの突起tの移動軌跡面の下側に位置させると共に前記下部搬送チェン30又は31の移動軌跡面の高さ及び傾きに合致させている。
【0041】
そして、掻込みベルト28A、28B、28C用の上下2本の弾性案内棒部材103a、103bは上側のものの弾性係数が下側のもののそれより大きくなされ、また下部搬送チェン30又は31用の1本の弾性案内棒部材103cの弾性係数は各掻込みベルト28A、28B、28C用の上下2本の弾性案内棒部材103a、103bのそれよりも大きくなされており、上下配置されたこれら3つの弾性案内棒部材103a、103b、103cの後端部は、最下位のもの103c、最上位のもの103b、中央高さのもの103aの順に、その対応する各掻込みベルト28A、28B、28Cの掻込み作用範囲の突起tの先側に近寄るように位置されている。
【0042】
この際、一つの前記スターホイール27Cの凹凸爪の移動軌跡c1と、一つの前記突起付掻込みベルト28Cの突起tの移動軌跡c2と、前記突起付掻込みベルト28Cの上側近傍及び下側近傍に各別に沿わせられていてこの突起付掻込みベルト28Cの前側にある穀稈群を当該掻込みベルト28Cまで案内し当該掻込みベルト28Cに弾圧するものとした2本の弾性案内棒部材103a、103bとが前記単位固定刃91aの直上を通過するように配置されている。
【0043】
また1本の弾性案内棒部材103cは前記単位固定刃91aの直上或いは直近を通過するように配置されると共に1つのスターホイール27Cの凹凸爪の移動軌跡cに関連して配置され、このスターホイール27Cの前側にある穀稈群を当該スターホイール27Cまで案内し当該スターホイール27Cの凹凸爪に弾圧するものCとなされている。
【0044】
次に上記コンバインの使用例について説明する。
圃場において植立穀稈の刈取を開始する際、未刈穀稈群内におけるコンバインによる最初の刈取作業である中割作業を実施する。この場合は、刈取装置8の前方に4条の未刈穀稈が存在した状態となし、左引起ケース25Aと中央引起ケース25Cとの間に最も左側の条の未刈穀稈を取り入れ、また中央引起ケース25Cと右引起ケース25Bとの間にそれ以外の3条の未刈穀稈を取り入れるようにする。
【0045】
この際、中央引起ケース25Cと右引起ケース25Bとの間において、中央引起ケース25Cが刈取装置8前方の4条の未刈穀稈のうち右側から3番目の条の未刈穀稈を引き起こし、また右引起ケース25Bが最も右側の条と、右側から2番目の条の未刈穀稈とを一緒に引き起こすように、機体の位置を調整する。
【0046】
また機体進行方向の右側の畦際の条の未刈穀稈を刈り取る場合においても、右引起ケース25Bをこの未刈穀稈に対し、上記中割作業時のときに機体前方に存在した4条のうち最も右側の条の未刈穀稈に対すると同じ相対位置となすように機体位置を調整する。
【0047】
上記したそれぞれの刈取作業においては、機体前方の4条の未刈穀稈のうち最も右側の条を除いた未刈穀稈のそれぞれの条は、その対応する引起ケース25A、25B、25Cの引起タイン26A、26B、26Cの移動軌跡の正面に位置されるのである。
【0048】
この状態で機体が進行すると、最も右側の条以外の未刈穀稈はその対応する引起ケース25A、25B、25Cの引起タイン26A、26B、26Cの移動軌跡の正面から進入して大きな横方向の分草作用を受けることなく比較的簡易に引き起こされるのであるが、最も右側の条の未刈穀稈は最も右側の分草板24bでその右側の条の未刈穀稈などと分離された後、分草板24Dなどにより徐々に左側へ押され屈曲されるように分草され、その後に右引起ケース25Bの引起タイン26Bにより右側から2番目の条の未刈穀稈と一緒に引き起こされるのである。
【0049】
各引起ケース25A、25B、25Cで引き起こされた未刈穀稈のうち、最も右側の条及び右側から2番目の条のものは右内側刈取フレーム45Cの右側に位置した3本の弾性案内棒部材103a、103b、103cにより、そして右側から3番目の条のものは右内側刈取フレーム45Cと掻込みベルト28Cとの間に位置した3本の弾性案内棒部材103a、103b、103cにより、そして最も左側の条のものは左内側刈取フレーム45Bの左側の3本の弾性案内棒部材103a、103b、103cにより、各掻込みベルト28A、28B、28Cの突起tの移動軌跡範囲内に案内され、ここに達した未刈穀稈は稈元を刈刃装置29で切断されると共に弾性案内棒部材103a、103b、103cと掻込みベルト28A、28B、28Cとに挟持されて斜め後方へ掻き込まれる。
【0050】
この際、最下位の各弾性案内棒部材103cは比較的嵩張る稈元下部を大きな弾性係数による位置規制作用により正確にその対応する掻込みベルト28A、28B、28Cの突起tの移動軌跡範囲を経てその対応する下部搬送チェン30、31へ向けて案内し、また最上位の各弾性案内棒部材103bは穀稈長さ途中を、最下位の弾性案内棒部材103cより小さく中間高さの弾性案内棒部材103aよりも大きいものとなされた弾性係数による位置規制作用によりその対応する掻込みベルト28A、28B、28Cの突起tの移動軌跡範囲内へ案内し、さらに中間高さの各弾性案内棒部材103bは穀稈長さ途中を最下位の弾性案内棒部材103cより小さい弾性係数による位置保持作用によりその対応する掻込みベルト28A、28B、28Cの突起tの移動軌跡範囲内へ案内する。
【0051】
この際、上下配列した3つの弾性案内棒部材103a、103b、103cの弾性係数を相違させたこと、及び、3つの弾性案内棒棒材103a、103b、103cの後部の位置を平面視で相違させたことは、これら3つの弾性案内棒部材103a、103b、103cで案内される穀稈に適当な大きさ及び長さの案内作用を付与すると共にこの穀稈をバランスよく位置保持する上で寄与する。
【0052】
上記中割作業が終了した後は、通常の刈取作業を実施するのであって、即ち、既述のように、刈取装置8の右側を既刈側として刈取装置8の前方に3条の未刈穀稈が存在した状態となし、左引起ケース25Aと中央引起ケース25Cとの間に最も左側の条の未刈穀稈を取り入れ、中央引起ケース25Cと右引起ケース25Bとの間にそれ以外の2条の未刈穀稈を取り入れるようにするのである。
【0053】
次に刈取作業中における刈刃装置29の中央部周辺の作動状況について説明する。
左右の可動刃部90A、90Bの機体内方端の切刃b2、b2の相互間、即ち刈刃装置29の中央単位固定刃91aの正面前方に位置した植立穀稈は刈刃装置29に到達する前に、左内側刈取フレーム45Bと右内側刈取フレーム45Cとの間に位置した3つの弾性案内棒部材103a、103b、103cの前部に到達する。
【0054】
これら3つの弾性案内棒部材103a、103b、103cのうち、1本の弾性案内棒部材103cはこれの前部に達した稈元をスターホイール27C前部の凹凸爪へ近接させるように案内し、また2本の弾性案内棒部材103a、103bはこれらの前部に達した穀稈の長さ途中を突起付掻込みベルト28Cの前部に近接させるように案内する。
【0055】
そして、稈元がスターホイール27C前部に到達したとき、これに関連した1本の弾性案内棒部材103cとスターホイール27Cの凹凸爪とがこの稈元を挟み付け、スターホイール27Cの回転に伴ってこの挟持圧力を増大しつつ斜め後右方へ掻き込むものとなり、また穀稈が突起付掻込みベルト28Cの前面に到達したとき、これに関連した2本の弾性案内棒部材103a、103bと突起付掻込みベルト28Cの突起tとがこの穀稈を挟み付け、突起付掻込みベルト28Cの回転に伴ってこれらによる挟持圧力を増大しつつ斜め後右方へ掻き込むものとなる。
【0056】
このようにスターホイール27Cと、突起付掻込みベルト28Cと、これらに関連した3本の弾性案内棒部材103a、103b、103cとにより挟持されて掻き込まれつつある穀稈の大部分は機体進行によりやがて刈刃装置29の中央箇所に到達して中央単位固定刃91aと左右の可動刃部90A、90Bの機体内方端の切刃b2、b2とでその根部から稈元を切り離される。
【0057】
穀稈は刈刃装置29によるその切断中、上記挟持による位置保持作用により自由変位できないため、刈刃装置29の中央箇所では確実且つ効率的な切断が行われるものとなり、また切断後は左右の可動刃部90A、90Bの相互間をなす中央単位固定刃91a上から直ちに斜め後右方へ掻き込まれるため、刈取直後の穀稈が切断後のその掻込み中に自重により降下して再びその稈元を切断されるという2度切りは生じるものとならない。
こうして斜め後右方へ掻き込まれた穀稈は右下部搬送チェン30に到達し、続いてこれに搬送され、さらに縦搬送チェン34及び上部搬送タイン35に搬送されてフィードチェン5に到達する。
【0058】
【発明の効果】
以上のように構成した本発明によれば、左右一対の可動刃部90A、90Bの相互間に位置した植立穀稈が刈刃装置29による切断開始時及びそれ以降にも挟持掻込機構に挟持されて支持されるようになるため、刈刃装置29の左右の可動刃部90A、90Bの相互間箇所での穀稈群の切断中にこの穀稈群の起立姿勢変化を抑制してこれら植立穀稈を的確且つ効率的に刈り取らせることができると共に、刈り取られた後の刈取穀稈を、挟持掻込機構(スターホイール27A、27B、27C、突起付掻込みベルト28A、28B、28C及び弾性案内棒部材103a、103b、103c)により落下させることなく速やかに刈刃装置29の後側へ掻き込ませることができて刈刃装置29による刈取穀稈の2度刈りを阻止することができのであり、従って3条以上の植立穀稈であってもこれら植立穀稈を高速で同時且つ効率的に刈り取らせることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの平面図
【図3】コンバインの正面図
【図4】刈取装置の側面図
【図5】刈取装置の平面図
【図6】刈取装置前部の拡大平面図
【図7】刈取装置の駆動系統図
【図8】左右及び中央の引起ケースの前方視図
【図9】刈刃の部分拡大平面図
【図10】刈刃の駆動説明図
【図11】刈刃のナイフヘッド部の断面図
【図12】弾性案内棒部材などを示す平面図
【図13】弾性案内棒部材と刈刃装置などの関連を示す平面図
【図14】弾性案内棒部材などの一部を示す平面図
【符号の説明】
8 刈取装置
27A スターホイール
27B スターホイール
27C スターホイール
28A 突起付掻込みベルト
28B 突起付掻込みベルト
28C 突起付掻込みベルト
29 刈刃装置
89 固定刃部
90A 可動刃部
90B 可動刃部
103a 弾性案内棒部材
103b 弾性案内棒部材
103c 弾性案内棒部材
91a 中央単位固定刃
b2 切刃
c1 突起付掻込みベルトの突起の移動軌跡
c2 スターホイールの凹凸爪の移動軌跡
t 突起

Claims (7)

  1. 左右向きの固定刃部の上面に左右一対の可動刃部を重合させると共に、これら左右一対の可動刃部を互いに相反する方向へ往復駆動させて3条以上の複数条の植立穀稈群を同時に切断する刈刃装置と、この刈刃装置で刈取られた刈取穀稈を、外周の凹凸爪による係止搬送により、後方特定位置まで掻込むものとした複数のスターホイールと、これらスターホイールの上側に配置され前記刈取穀稈に突起による係止搬送作用を付与するものとした複数の突起付掻込みベルトと、前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルトに前記刈取穀稈を案内し弾圧するものとした複数の弾性案内棒部材とを具備したコンバインの刈取装置において、前記左右一対の各可動刃部の機体内方端の切刃で刈取られる穀稈に対応した前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材が、当該切刃により刈取られた穀稈を適当強さで挟持して後方へ掻込む構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置。
  2. 前記固定刃部が前記刈刃装置の刈巾の全長に及ぶものとなされると共に、前記一対の可動刃部のそれぞれが同一長さとなされていて前記固定刃部の半分長さよりもその往復駆動ストロークと略同一長さだけ短くなされており、且つ、前記固定刃部はこれの左右長さ中央箇所に前記一対の各可動刃部の機体内方端の切刃の共通受刃部として作用する平面視三角状の中央単位固定刃を形成されており、且つ、前記中央単位固定刃で刈取られる穀稈に対応した前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材が、前記中央単位固定刃による穀稈の切断開始時及びこの時点以降に、この切断の開始された穀稈を適当強さで挟持して後方へ掻込むように作用する構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈取装置。
  3. 左右向きの固定刃部の上面に左右一対の可動刃部を重合させると共に、これら左右一対の可動刃部を互いに相反する方向へ往復駆動させて3条以上の複数条の穀稈群を同時に切断するものとした刈刃装置と、刈取穀稈の2条分が移送集束される下部搬送装置に、刈刃装置で刈取られた刈取穀稈を、外周の凹凸爪の係止搬送や、左右で噛み合わされた一対の前記凹凸爪の挟持搬送により、後方特定位置まで掻込む複数のスターホイールと、これらスターホイールの上側に配置され且つ前記刈取穀稈に突起による係止搬送作用を付与するものとした複数の突起付掻込みベルトと、前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルトに前記刈取穀稈を案内し弾圧するものとした複数の弾性案内棒部材とを具備したコンバインの刈取装置において、前記左右一対の各可動刃部の機体内方端の切刃で刈取られる穀稈に対応した前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材が、当該切刃による前記穀稈の切断開始時及び、この時点以降にこの切断の開始された穀稈を適当強さで挟持して後方の特定位置まで掻込むように作用する構成としたことを特徴とするコンバインの刈取装置。
  4. 前記固定刃部が前記刈刃装置の刈巾の全長に及ぶものとなされると共に、前記一対の可動刃部のそれぞれが同一長さとなされていて前記固定刃部の半分長さよりもその往復駆動ストロークと略同一長さだけ短くなされており、且つ、前記固定刃部は左右長さ中央箇所に前記一対の各可動刃部の機体内方端切刃の共通受刃部として作用する平面視三角状の中央単位固定刃を形成されており、且つ、前記中央単位固定刃を前記スターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材の作用側へ配置したことを特徴とする請求項3記載のコンバインの刈取装置。
  5. 前記固定刃部が前記刈刃装置の刈巾の全長に及ぶものとなされると共に、前記一対の可動刃部のそれぞれが同一長さとなされていて前記固定刃部の半分長さよりもその往復駆動ストロークと略同一長さだけ短くなされており、且つ、前記固定刃部は左右長さ中央箇所に前記一対の各可動刃部の機体内方端切刃の共通受刃部として作用する平面視三角状の中央単位固定刃を形成されており、且つ、前記中央単位固定刃をスターホイール及び前記突起付掻込みベルト及び前記弾性案内棒部材の前部作用側へ配置したことを特徴とする請求項3記載のコンバインの刈取装置。
  6. 特定の一つの前記スターホイールの凹凸爪の移動軌跡と、特定の一つの前記突起付掻込みベルトの突起の移動軌跡と、前記特定の一つの突起付掻込みベルトの上下近傍に沿わせ且つこの突起付掻込みベルトに前記穀稈群を案内し弾圧するものとした2本からなる前記弾性案内棒部材との3つを、前記中央単位固定刃の直上を通過させるように配置したことを特徴とする請求項4又は
    5記載のコンバインの刈取装置。
  7. 前記特定の一つのスターホイールの凹凸爪の移動軌跡に関連して配置されてこのスターホイールに穀稈群を案内し弾圧するものとした1本からなる前記弾性案内棒部材を、前記中央単位固定刃の直上或いは直近を通過させるように配置したことを特徴とする請求項6記載のコンバインの刈取装置。
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