JP2004007457A - 通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラム - Google Patents
通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】各基地局は、通信可能な所定のセル内に存在する移動局とデータ通信を行なうセル内リンクと、隣接する基地局とデータ通信を行なう基地局間リンクを備えている。各基地局は、隣接する基地局からユーザ・データを受信したときも、セル内の移動局宛のユーザ・データを受信したときには、宛先の移動局に該ユーザ・データを送信するが、セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したときには前記基地局間リンクを用いて隣接する基地局へ該ユーザ・データを再送する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば無線データの伝送を行なうための通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、通信可能なセルを提供する基地局の介在により移動局間のデータ伝送が行なわれる通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、複数の基地局によるセルを面展開してより広い通信可能範囲を実現する通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに係り、特に、基地局の接続をツリー構造にしたり、複数の基地局を統括する基地局統括局を設けて経路情報を統括的に管理することなく移動局間のデータ伝送の配送を行なう通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムに関する。
【0003】
【従来の技術】
移動体通信は、そもそも電磁波の発見に由来し、その後、船舶・航空機や列車に対する通信の必要性から研究開発が進められてきた。さらに通信する対象が自動車や人なども拡大してきた。伝送データも、電信や電話だけでなく、コンピュータ・データや、画像などのマルチメディア・コンテンツも伝送することができるようになってきた。
【0004】
最近では、製造技術の向上などにより、移動体端末の小型化、低価格化が急速に進んでいる。また、情報通信サービスの拡充などにより、携帯電話のように移動体端末はパーソナライズ化していきている。さらに、通信の自由化や通信料金の引き下げなどにより、ユーザ層がますます拡大してきている。
【0005】
移動体通信は、車載電話や携帯電話などの移動局が最寄りの基地局を見つけて、移動局〜基地局間で電波のやり取りをすることを基本とする。1つの基地局からの電波が届く通信可能範囲のことを、「セル(Cell)」と呼ぶ。セルは、通常、基地局アンテナを中心とした所定半径の円となる。そして、ある一定の場所間隔に基地局を設置して、各基地局が提供する複数のセルを面展開していくことによって、広域的なサービス・エリアが構築される。
【0006】
移動体通信システムがセルを使用しているのは、セル中にしか基地局の電波がと届かないようにすることで、他のセルでも同じ周波数を繰り返して使用して、限られた周波数資源を有効に利用できることや、セルに区切ることにより、通信のための電波出力を小さくして、通常はバッテリ駆動の携帯機として実装される移動体の小型化や省電力化を図ること、などのメリットがあるからである。最近では、携帯電話ユーザ数の増加などにより、ますますセルの小型化が進められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図1には、PDC(Personal Digital Cellular)やGSM(Global System for Mobile Communication)といった既存のセルラ無線通信システムにおける基地局構成を模式的に示している。基地局間の接続はツリー型の構造が一般的であり、同図に示すように、各地に散在して自己セルを管理する基地局と、地域毎の複数の基地局を統括する基地局統括局と、複数の基地局統括局間で交換接続を実現する移動体通信交換局と、遠隔地間の移動体通信交換局を相互接続するコア網からなる。
【0008】
このようなツリー型の基地局構成では、ツリーの分岐点となる各局が各移動局宛の制御データ、ユーザ・データをどのように配送すればよいかという経路情報を管理しているので、基地局間のルーティング制御が容易となる。
【0009】
すなわち、最下層の基地局では、セル内で発生した送信要求に対して、送信先を同じセル内で発見することができたならばセル内で転送を行なうが、送信先を発見できなければ、直近上位の基地局統括局に送信要求を転送する。基地局統括局は、同様に自己の統括範囲内で送信先を発見することができれば統括範囲内で送信要求を完結させるが、送信先を発見できなければさらに上位の移動体通信交換局に送信要求を転送する。そして、移動体通信交換局は、交換局内で送信先を発見できない場合にはコア網経由で他の移動体通信交換局に送信要求を転送する。したがって、ある移動曲からの送信データは、複数の基地局を纏める基地局統括局、あるいは移動体通信交換局を経由して目的地に配送される。
【0010】
例えば、ある移動局1−1から他の移動局1−5へ通信を行う場合を考える。移動局15が基地局1−4のセル内にキャンプしているという情報を基地局統括局1−6が保持することで、基地局1−2からのデータは、基地局統括局1−6並びに基地局1−4を経由して送信先の移動局1−5に配送される。
【0011】
このようなツリー型の基地局構成は、セルラ無線通信システムのような大規模の無線通信システムにおいては適しているが、マイクロセルあるいはピコセルと呼ばれる小規模の無線通信システムには適していない。
【0012】
適していない理由の1つとして、基地局間を有線で接続する必要があり、通信事業者にとっては有線接続(アプローチライン)回線の敷設工事やその維持・管理の負担が非常に大きくなることが挙げられる。また、マイクロセル又はピコセル環境では、周囲の建造物その他によって基地局の電波伝播状況が大きく変動し、このため基地局配置構成をその都度変更する必要があるが、上記のようなツリー型構成ではこの変更に柔軟に対応できないことも理由の1つとして挙げられる。
【0013】
また、ツリーの分岐点となる制御局の負荷が高く、また新規に基地局を追加しようとすると、この基地局の情報を制御局に登録しておく必要があり、簡便に基地局を増設することが困難である。
【0014】
本発明は上述したような技術的課題を鑑みたものであり、その目的は、複数の基地局によるセルを面展開してより広い通信可能範囲を実現することができる、優れた通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、基地局に過大な処理負荷を与えることなくセルにまたがった移動局間の好適なデータ伝送を実現することができる、優れた通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0016】
本発明のさらなる目的は、複数の基地局を統括する基地局統括局を設けて経路情報を統括的に管理することなく移動局間のデータ伝送の配送を行なうことができる、優れた通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0017】
本発明のさらなる目的は、簡便に基地局を増設して通信可能範囲を逐次的に拡張していくことができる、優れた通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、複数の基地局と複数の移動局からなる通信システムであって、
各基地局は、自局セル内に存在する移動局とデータ通信を行なうセル内リンクと、隣接する基地局とデータ通信を行なう基地局間リンクを備えたことを特徴とする通信システムである。ここで、基地局間リンクは、無線あるいは有線接続のいずれであってもよい。
【0019】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0020】
各基地局は、セル内の移動局から同セル内の移動局宛のユーザ・データを受信したときには、宛先の移動局に該ユーザ・データを送信するが、セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したときには前記基地局間リンクを用いて隣接する基地局へ該ユーザ・データを転送する。また、隣接する基地局からユーザ・データを受信したときも、セル内の移動局宛のユーザ・データを受信したときには、宛先の移動局に該ユーザ・データを送信するが、セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したときには前記基地局間リンクを用いて隣接する基地局へ該ユーザ・データを転送する。
【0021】
基地局間無線リンクはブロードキャスト信号のように扱われるので、基地局が転送したユーザ・データは、近隣の各基地局で受信される。そして、このようなユーザ・データの転送を繰り返すことで、移動局から送出されたユーザ・データは、最終的には宛先の移動局を配下に置く基地局にも配送される。そして、宛先となっている当該移動局が自局のセル内に存在していることを検知した基地局は、通常の基地局〜移動局間の無線チャネルを使用してユーザ・データを届けることができる。
【0022】
本発明の第1の側面に係る通信システムによれば、複数の基地局をツリー構造に接続したり、複数の基地局を統括する基地局統括局を設けて経路情報を統括的に管理することなく、移動局間のデータ伝送の配送を行なうことができる。
【0023】
また、本発明の第1の側面に係る通信システムによれば、各基地局は、自局セル内のユーザ・データでない場合には単に近隣の基地局にユーザ・データを転送するという動作を実行するだけでよいので、基地局に過大な処理負荷を与えることなくセルにまたがった移動局間のデータ伝送を実現することができる。
【0024】
また、本発明の第1の側面に係る通信システムによれば、簡便に基地局を増設して通信可能範囲を拡張していくことができる。
【0025】
また、本発明の第2の側面は、複数の基地局セルを面展開して構成される通信環境下で基地局として動作する通信制御装置又は通信制御方法であって、
自セル内に存在する移動局とセル内通信リンクによりデータ通信を行なうセル内通信手段又はステップと、
隣接する基地局と基地局間通信リンクによりデータ通信を行なう基地局間通信手段又はステップと、
前記セル内通信リンクあるいは前記基地局間通信リンクを介してユーザ・データを受信したことに応答して、前記セル内通信手段又はステップあるいは前記基地局間通信手段又はステップを用いて該ユーザ・データを転送するデータ送信制御手段又はステップと、
を具備することを特徴とする通信制御装置又は通信制御方法である。
【0026】
ここで、前記データ送信制御手段又はステップは、自局セル内の移動局宛のユーザ・データを受信したときには、宛先の移動局に該ユーザ・データを送信するが、セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したときには前記基地局間リンクを用いて隣接する基地局へ該ユーザ・データを転送するようにすればよい。
【0027】
本発明の第2の側面が適用された基地局では、基地局間リンクはブロードキャスト信号のように扱われ、基地局間通信手段又はステップにより転送したユーザ・データは、近隣の各基地局で受信される。したがって、各基地局においてユーザ・データの転送を繰り返すことで、あるセルの移動局から送出されたユーザ・データは、最終的には宛先の移動局を配下に置く基地局にも配送される。そして、宛先となっている当該移動局が自局のセル内に存在していることを検知した基地局は、セルない通信手段又はステップによる基地局〜移動局間の通信チャネルを使用してユーザ・データを届けることができる。
【0028】
したがって、本発明の第2の側面が適用された基地局セルを面展開することにより、複数の基地局をツリー構造に接続したり、複数の基地局を統括する基地局統括局を設けて経路情報を統括的に管理することなく、移動局間のデータ伝送の配送を行なうことができる。
【0029】
このような場合、各基地局は、自局セル内のユーザ・データでない場合には単に近隣の基地局にユーザ・データを転送するという動作を実行するだけでよいので、基地局に過大な処理負荷を与えることなくセルにまたがった移動局間のデータ伝送を実現することができる。また、経路情報を統括的に管理していないことから、本発明の第2の側面を適用した基地局を逐次増設することにより、通信可能範囲を簡便に拡張していくことができる。
【0030】
ここで、各基地局が基地局間通信リンクによるユーザ・データの転送を同一タイミングで行なった場合、ある基地局において隣接する複数の基地局から同じユーザ・データが同時に転送され、受信できないという事態が生じる。したがって、前記データ送信制御手段又はステップは、セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したときには、ユーザ・データ受信後ランダム時間が経過した後に隣接する基地局への該ユーザ・データの転送を開始することにより、複数の基地局からの転送データが同時に到達しないように制御するようにしてもよい。
【0031】
基地局間無線リンクはブロードキャスト信号のように扱われる。このような再送を無制限に繰り返すと、基地局に同じユーザ・データが重複して再送されたりするなど、無駄なデータ伝送が行なわれ、通信帯域の浪費や通信負荷の増大を招来してしまう。
【0032】
そこで、基地局となる通信制御装置は、キャッシュ・データを備え、一定期間(キャッシュ・タイマが満了するまでの期間)は同じユーザ・データを重複して再送しないようにして、通信帯域の浪費や通信負荷の増大を防止するようにしてもよい。
【0033】
この場合、ユーザ・データの送信元である移動局は、例えばユーザ・データにはユーザ・データ識別子を付加するようにする。一方、各基地局では、前記データ送信制御手段又はステップは、セル内通信リンクあるいは基地局間通信リンクを介してユーザ・データを受信するとこれに含まれるユーザ・データ識別子をキャッシュに保持しておく。そして、キャッシュされているユーザ・データ識別子を持つユーザ・データを受信したときには、隣接する基地局に転送しないようにすればよい。
【0034】
あるいは、送信元となる移動局がユーザ・データを受信した基地局が何度再送を行うかを表わす最大転送回数を規定して、同じユーザ・データを重複して再送しないようにして、通信帯域の浪費や通信負荷の増大を防止することもできる。この場合、各基地局では、前記データ送信制御手段又はステップは、最大転送回数に到達したユーザ・データを隣接する基地局に転送しないようにすればよい。
【0035】
また、送信元の移動局は、ユーザ・データの送信に失敗した場合にその送信を行なうようにしてもよい。このような場合、ユーザ・データを受信した基地局側ではそれが再送すべき状況(ユーザ・データがキャッシュになく、且つ最大転送回数以内であること)であれば、必ず再送を行なう。ユーザ・データは同心円状に配送されていくので、円の外周部では基地局間の通信トラフィックが増大する危険がある。
【0036】
このため、ユーザ・データ・ヘッダに最大転送回数の他に、現在何度目の再送かを表す再送数を持たせ、ユーザ・データの再送に制限を課するようにしてもよい。例えば、各基地局では、前記データ送信制御手段又はステップは、再送数がある閾値以上である場合には、再送は1未満の確率(言い換えるならば再送を行わない場合もあるということ)で行なうようにする。
【0037】
このようにすれば、基地局間の通信トラフィックの増大を避けることができる。また、閾値及び再送確率として適切な値をとることで、ユーザ・データの消失を防ぐことが可能である。
【0038】
また、例えば低速移動、あるいは固定網相手との通信といった通常の用途においては、宛先である固定網あるいは移動局までユーザ・データグラムが一旦到達できた場合、その配送経路は一定時間有効である場合が多い。このような場合、有効となった配送経路を発信元である移動局に通知することで、不要な基地局間トラフィックを避けることができる。
【0039】
ユーザ・データを受信した各基地局では、前記データ送信制御手段は、ユーザ・データに装置識別子を付加してから隣接する基地局へ転送する。これによって、宛先の移動局にユーザ・データが到達した時点で、配送経路上の各基地局の装置識別子が記述された配送経路情報が作成される。
【0040】
そして、配送経路が確定したユーザ・データを転送するときには、前記データ送信制御手段又はステップは、自装置の装置識別子が含まれているユーザ・データの転送は行なうが、そうでない場合には同ユーザ・データを破棄する。このような配送手順よれば、中継する各基地局は確定された経路に従いユーザ・データの再送を行ない、新たな経路探索は行なわれないので、基地局間ユーザ・データの再送トラフィックの増大を抑えることができる。
【0041】
また、本発明の第3の側面は、複数の基地局セルを面展開して構成される通信環境下で基地局として動作するための通信制御をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
自セル内に存在する移動局とセル内通信リンクによりデータ通信を行なうセル内通信ステップと、
隣接する基地局と基地局間通信リンクによりデータ通信を行なう基地局間通信ステップと、
ユーザ・データを受信したことに応答して、前記セル内通信リンク又は前記基地局間通信リンクを用いた該ユーザ・データの転送を制御するデータ送信制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【0042】
本発明の第3の側面に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータ・システム上で所定の処理を実現するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムを定義したものである。換言すれば、本発明の第3の側面に係るコンピュータ・プログラムをコンピュータ・システムにインストールすることによって、コンピュータ・システム上では協働的作用が発揮され、本発明の第1の側面に係る無線通信制御装置又は無線通信制御方法と同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0045】
図2には、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの構成を模式的に示している。図示の例では、4台の基地局2−2、2−3、2−4、2−5によるセルを面展開して無線通信エリアが構築されている。但し、本発明の要旨はセル数には限定されない。
【0046】
移動局2−1と基地局2−2間は、無線リンク2−6を用いて通信が行なわれる。また、基地局間は、別の無線リンク2−7を用いて通信が行なわれる。基地局間の通信として、無線リンクを使用するため、ある基地局2−3が送信した信号は、(それが受信できる距離にあれば)近隣の複数の基地局2−2、2−4、2−5のいずれも受信することができる。すなわち、基地局間の通信は、すべてブロードキャスト通信として扱うことができる。
【0047】
この場合の無線リンク2−7は複数の基地局で共有することとなる。このため、複数の基地局に対して無線リンク・リソースを多重化する必要がある。多重化の方法としては、符号分割多重(Code Division Multiple Access:CDMA)や時分割多重(Time Division Multiple Access:TDMA)といった方法が考えられる。但し、多重化の方式自体は本発明の要旨に直接関連しない。
【0048】
図示の例では、基地局間では、有線又は無線を問わずツリー構造のような接続関係はない。また、各基地局は互いに対等であり、複数の基地局を統括したりセル間の経路情報を管理する基地局統括局のような装置は存在しない。
【0049】
図3には、本実施形態に係る無線通信システムにおいて、セルをまたいで移動局間でデータ伝送を行なう、すなわち基地局間で配送を行なう様子を模式的に示している。但し、同図に示す例では、移動局3−1から送信したユーザ・データ3−3を、宛先となる移動局3−10に配送する様子を示している。
【0050】
移動局3−1は、当該ユーザ・データ3−3を、無線リンク3−4を介して基地局3−2に送信する。基地局3−2は、受信処理したユーザ・データ3−5をさらに基地局間無線リンク3−6を介して近隣の基地局に再送する。
【0051】
ここで、本処理のことを本明細書中では便宜上「再送」と呼んでいるが、これは通信プロトコルにおける一般的な(通信失敗時の)再送を意味するものではなく、同じ内容のユーザ・データを「フォワード」又は「(繰り返し)転送する」という意味で用いている。各基地局は、経路情報を一切持つことなく、このような再送処理を行なうことができる。
【0052】
基地局間無線リンクはブロードキャスト信号のように扱われるので(前述)、基地局3−2が再送したユーザ・データは、近隣の基地局3−7及び基地局3−8の双方で受信される。
【0053】
このような再送を繰り返すことで、移動局3−1から送出されたユーザ・データ3−3は、最終的には基地局3−9にも配送される。ここで、基地局3−9は、宛先となっている当該移動局が自基地局のセル内に存在していることを検知することができるので、当該ユーザ・データ3−12を基地局〜移動局間の無線チャネル3−11を使用して、移動局3−10にユーザ・データを伝送する。
【0054】
上述したような処理手順により、移動局3−1からのユーザ・データ3−3を、特別な経路制御を行なうことなく、最終的に移動局3−10に配送することが可能となる。
【0055】
図3に示した無線通信システムでは、基地局間は無線リンクを介して通信を行なっているが、勿論、基地局間の接続を有線網に置き換えても同様に本発明の効果を奏することができる。
【0056】
図4には、基地局間が有線網で接続されてなる無線通信システムの構成を模式的に示している。但し、同図に示す実施形態においても、図3に示した場合と同様に、各基地局は互いに対等であり、複数の基地局を統括したりセル間の経路情報を管理する基地局統括局のような装置は存在しない。
【0057】
ここで、移動局4−1から送信されるユーザ・データ4−3を、宛先となる移動局4−10に配送する場合について考えてみる。
【0058】
移動局4−1は、ユーザ・データ4−3を、無線リンク4−4を介して基地局4−2に送信する。基地局4−2は、受信処理したユーザ・データ4−5を、基地局間有線リンク4−6を介して近隣の基地局に再送する。基地局4−2は、経路情報を一切持つことなく、このような再送処理を行なうことができる。
【0059】
基地局4−2は隣接する基地局4−7及び基地局4−8と有線リンクで接続されている。基地局4−2がこれらの隣接基地局にユーザ・データを再送する際に、逐次的に再送するか又は同報的に再送するかは問わない。いずれの場合であっても、隣接基地局に対してユーザ・データの再送が行なわれる。
【0060】
このような再送を繰り返すことで、移動局4−1から送出されたユーザ・データ4−3は、最終的には基地局4−9にも配送される。ここで、基地局4−9は、宛先となっている当該移動局が自基地局のセル内に存在していることを検知することができるので、当該ユーザ・データ4−12を基地局〜移動局間の無線チャネル4−11を使用して、移動局4−10にユーザ・データを伝送する。
【0061】
上述したような処理手順により、移動局4−1からのユーザ・データ4−3を、特別な経路制御を行なうことなく、最終的に移動局4−10に配送することが可能となる。
【0062】
基地局間無線リンクはブロードキャスト信号のように扱われる。したがって、複数の基地局セルと隣接しているような通信環境においては、図3及び図4に示したように各基地局がユーザ・データの再送を繰り返す過程で、ある基地局は、隣接する複数の基地局から同じユーザ・データが到来する可能性がある。例えば図3に示した例では、基地局3−13に対し、基地局3−7及び基地局3−8の双方から、それぞれ基地局間無線リンク3−14及び3−15を介して同じユーザ・データが到達する。
【0063】
ここで、無線多重化の手法にもよるが、同一タイミングで同一周波数の無線通信が発生した場合、基地局3−13は無線リンク3−14及び3−15のいずれも受信できないこととなる。これを回避するため、ユーザ・データを再送する基地局は、ユーザ・データを受信してランダム時間だけ送信待ちをした後、再送を行なうようにする。これによって、複数の基地局からの同時送信を避けることが可能となる。
【0064】
上記の方式では、再送待ち時間はランダム時間としたが、これを基地局識別子から一意に生成される時間とすることも可能であり、この結果、同時送信を確実に回避することができる。例えば、基地局識別子の下位6ビットに対し、ある一定時間を乗じた間隔を再送待ち時間とするなどの処理を行なえばよい。
【0065】
図5には、本実施形態に係る無線通信システムにおいて移動局として動作する無線通信装置の構成を模式的に示している。
【0066】
参照番号1はアンテナを示している。アンテナ1は、アンテナ共用器2を介してRF受信部3及びRF送信部4と接続されている。参照番号5で囲まれた機能モジュールは、アナログ回路により構成されている。
【0067】
アンテナ1で受信された信号は、共用器2を介してRF受信部3に送られてダウンコンバートされ、さらにA/D変換によりディジタル信号に変換され、後続の信号処理部11に送られる。逆に信号処理部11からの送信信号はD/A変換によりアナログ信号に変換され、さらにRF送信部4によりRF信号にアップコンバートされてから、アンテナ共用器2を介してアンテナ1に送られる。
【0068】
信号処理部11は、ベースバンド受信信号を復調及び復号処理するための復調部6及び復号部7と、ベースバンド送信信号を符号化及び変調処理するための符号部9及び変調部8で構成される。そして、これらの機能は、制御部10により適切な変調方式又は適切な符号化方式が選択される。
【0069】
参照番号14で示されるブロックはプロトコル処理部である。このプロトコル処理部14は、プロトコル処理用のプロセッサ12と、該プロセッサ12の実行プログラムを格納したり作業データを一時保存するためのメモリ13で構成される。
【0070】
プロトコル処理部14には、ユーザ・インターフェース処理部15が接続されている。ユーザ・インターフェース部15には、表示装置(ディスプレイ)16などのユーザ出力装置や、キーボードやキーパッドなどのユーザ入力装置17が接続されており、ユーザとの対話処理を行なうことができる。
【0071】
信号処理部11にはダイレクトに音声処理部18が接続され、音声信号をプロトコル処理せず無線送受信する場合がある。音声処理部18には、マイクロフォンなどの音声入力装置19とスピーカなどの音声出力装置20が接続されている。
【0072】
移動局には唯一無二となる端末識別子が割り振られており、これは参照番号21で示される不揮発性メモリに格納されている。
【0073】
図6には、移動局から送出されるユーザ・データのフォーマットを示している。
【0074】
移動局は、基地局にユーザ・データを送信する際に、ユーザ・データ・メッセージ本体(ペイロード)64の前に、発信元移動局識別子61とパケット番号62をヘッダ情報として付加する。
【0075】
発信元移動局識別子61は、移動局に割り当てられた唯一無二の識別子である。また、パケット番号62は、各移動局が発信するパケットに順に割り当てる番号である。パケット番号62として割り当てられるビット数は有限であるため、パケット番号自体は周期的な値となる例えば16ビットをパケット番号に割り当てたとすると、パケット番号は、0,1,2,3...65535,0,1...となる。
【0076】
しかし、後述のキャッシュ満了時間をパケット番号が重複する時間より短くとることで、移動局識別番号61とパケット番号62の組み合わせは,ある時間内で唯一無二とすることができる。この組み合わせで得られる識別子を本実施形態では「ユーザ・データ識別子」と呼ぶ。
【0077】
ヘッダ情報として、このユーザ・データ識別子の他に、「同ユーザ・データを受信した基地局が何度再送を行うか」を表わす最大再送回数63も有している。
【0078】
図7には、移動局が通信動作を行なうための処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0079】
移動局がメッセージ送信要求を行なうときには(ステップS1)、まず、メッセージ応答タイマを設定してから(ステップS2)、現在位置登録している基地局に対してメッセージ送信要求すなわちユーザ・データの送信を行なう(ステップS3)。
【0080】
一方、メッセージ受信通知を受け取ったときには(ステップS4)、メッセージ受信処理を行なった後(ステップS5)、受信したメッセージはステップS3において自ら送信したメッセージに対する応答であるかどうかを判別する(ステップS6)。送信メッセージに対する応答であれば、この時点でメッセージ応答タイマを停止する(ステップS7)。そして、メッセージ受信通知を行なう(ステップS8)。
【0081】
また、メッセージ応答タイマが満了した場合には(ステップS9)、メッセージが宛先に到着しなかったと判断して、最大再送回数を1だけ増分して(ステップS10)、再びメッセージ応答タイマを設定し(ステップS11)、同メッセージを送出する(ステップS12)。
【0082】
図8には、本実施形態に係る無線通信システムにおいて基地局として動作する無線通信装置の構成を模式的に示している。
【0083】
アンテナ31は、アンテナ共用器32を介してRF受信部33及びRF送信部34と接続されている。参照番号35で囲まれた機能モジュールは、アナログ回路により構成されている。
【0084】
アンテナ31で受信された信号は、共用器32を介してRF受信部33に送られてダウンコンバートされ、さらにA/D変換によりディジタル信号に変換され、後続の信号処理部41に送られる。逆に、信号処理部41からの送信信号は、D/A変換によりアナログ信号に変換され、さらにRF送信部34によりRF信号にアップコンバートされてから、アンテナ共用器32を介してアンテナ31に送られる。
【0085】
信号処理部41は、ベースバンド受信信号を復調及び復号処理するための復調部36及び復号部37と、ベースバンド送信信号を符号化及び変調処理するための符号部39及び変調部38で構成される。そして、これらの機能は、制御部40により適切な変調方式又は適切な符号化方式が選択される。
【0086】
プロトコル処理部44は、プロトコル処理用のプロセッサ42と、該プロセッサ42の実行プログラムを格納したり作業データを一時保存するためのメモリ43で構成される。
【0087】
プロトコル処理部44には、ユーザ・インターフェース処理部45が接続されている。ユーザ・インターフェース部45には、表示装置(ディスプレイ)46などのユーザ出力装置や、キーボードやキーパッドなどのユーザ入力装置47が接続されており、ユーザとの対話処理を行なうことができる。
【0088】
基地局には唯一無二となる端末識別子が割り振られており、これは参照番号51で示される不揮発性メモリに格納されている。
【0089】
図9には、本実施形態に係る無線通信システムにおいて基地局として動作するための処理手順をフローチャートの形式で示している。また、図10には、基地局で保持されるキャッシュ・データのフォーマットを示している。
【0090】
基地局は、隣接基地局からの再送メッセージを受信した場合(ステップS21)、メッセージの受信処理(復調、復号など)をした後(ステップS22)、同メッセージのユーザ・メッセージ本体64から宛先を抽出する。
【0091】
次いで、受信したメッセージの宛先が自基地局に接続された移動局、あるいは自基地局に接続された固定網であるかどうかを判別する(ステップS23)。判断結果が肯定的である場合、同メッセージを宛先の移動局に配送して(ステップS30)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0092】
一方、宛先が自基地局に接続された移動局あるいは固定網でない場合、さらに、同じメッセージを既に受信したかどうかを、キャッシュ内を探索することで判断する(ステップS24)。図10に示すように、キャッシュには発信元移動局識別子71とパケット番号72からなるユーザ・データ識別子と、同キャッシュ・データを破棄する時間を示すキャッシュ満了時間73が格納されている。
【0093】
受信したユーザ・データのユーザ・データ識別子がキャッシュ中に存在している場合、当該基地局が既に同ユーザ・データの再送を行ったものと判断して、受信したユーザ・データを破棄して(ステップS29)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0094】
また、ユーザ・データ識別子がキャッシュ中に存在しない場合には、さらにユーザ・データ中の最大再送回数をチェックして(ステップS25)、同ユーザ・データを隣接基地局に再送(配送)するかどうかを判断する。ここで、最大再送回数が0である場合には、同受信ユーザ・データを破棄して(ステップS29)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0095】
最大再送回数が0でない場合には、同ユーザ・データの再送処理を行なう。この場合、まず、受信したユーザ・データの情報をキャッシュ(図10を参照のこと)に保存して(ステップS26)、キャッシュ・タイマを設定する。次いで、ユーザ・データ中の最大再送回数値を1だけ減じた後(ステップS27)、基地局間通信リンクを用いて隣接基地局にユーザ・データを再送する(ステップS28)。
【0096】
このような手順により基地局間リンクを用い、ユーザ・データを適切な伝搬範囲で宛先(移動局又は固定網)に到達させることができる。
【0097】
以上は基地局間でのユーザ・データの配送手順であるが、移動局から最初のユーザ・データを受信した場合の処理(ステップS31)も同様である。この場合、ステップS22と同様に受信処理を行った後(ステップS32)、宛先が自基地局に接続された移動局あるいは固定網であるかどうか判断し、自基地局宛てである場合には配送処理を行なうが、そうでない場合には基地局間リンクを用いた再送処理を行う(同上)。
【0098】
また、キャッシュ・タイマが満了した場合には(ステップS33)、そのタイマを持つ移動局メッセージをキャッシュ(図10を参照のこと)から消去する(ステップS34)。
【0099】
基地局間無線リンクはブロードキャスト信号のように扱われる(前述)。このような再送を無制限に繰り返すと、基地局に同じユーザ・データが重複して再送されたりするなど、無駄なデータ伝送が行なわれ、通信帯域の浪費や通信負荷の増大を招来してしまう。そこで、本実施形態では、各基地局は、図10に示したようなキャッシュ・データを備え、一定期間(キャッシュ・タイマが満了するまでの期間)は同じユーザ・データを重複して再送しないようにして、通信帯域の浪費や通信負荷の増大を防止するようにしている。
【0100】
図11には、基地局は一度受け取ったユーザ・データを再度配送しない、すなわち重複を避けたユーザ・データの配送処理のメカニズムを図解している。
【0101】
移動局8−1が発信したユーザ・データを受信した基地局8−2は、基地局間リンク8−3,8−4,8−5,8−6を用いて隣接する各基地局にユーザ・データを再送する。
【0102】
この再送データを受信した基地局8−7は、同様に隣接基地局に対しユーザ・データの再送を行なう。ここで、基地局8−7から基地局8−11に対する再送は、基地局8−11がまだ同じユーザ・データを受信していないので成功するが、隣接する他の基地局8−2が既に同じユーザ・データを受信しているので、基地局8−2はこれを受信すると破棄する。
【0103】
このようにして、基地局間リンクをユーザ・データの再送により輻輳させることなく、配送することができる。この結果的、発信元の基地局を中心として、同心円を描くようにユーザ・データがほぼ一方向で配送されていくことになる。
【0104】
上述したようなキャッシュ処理を行なうためには、ユーザ・データを既に受信したかどうかを示すキャッシュが必要となる。一方、パケット番号が有限値を取るため、ある一定時間内でキャッシュをクリアする機構が必要となる。
【0105】
キャッシュのクリア処理は、図9に示したフローチャートのステップS33〜S34において、キャッシュ・タイマの満了に応答してそのタイマを持つ移動局メッセージをキャッシュから消去するという処理動作によって実現される。これにより、キャッシュ・メモリの肥大化を抑制することができる。
【0106】
図9に示した配送処理手順では、移動局から発信されたユーザ・データは、宛先が最大再送回数以内にある場合は宛先に到達させることができるが、最大再送回数で到達する先に宛先がある場合にはユーザ・データは到達しない。これに対し、移動局はある一定時間以内に宛先(移動局あるいは固定網)から応答(Acknowledge)が返ってこない場合は最大再送範囲外にあると判断して、ユーザ・データのヘッダに記述されている最大再送回数を1だけ増分してユーザ・データを再送するようにしてもよい。この結果、宛先が最大再送範囲外にあったとしても、移動局からのユーザ・データ再送により所望の宛先に到達させることができる。
【0107】
移動局がこのようなユーザ・データの再送を行なうことにより、ユーザ・データを受信した基地局側では、それが再送すべき状況(ユーザ・データがキャッシュになく、且つ最大再送回数以内であること)であれば、必ず再送を行なう。一方、ユーザ・データは同心円状に配送されていくので(図11を参照のこと)、円の外周部では基地局間の通信トラフィックが増大する危険がある。
【0108】
このため、本実施形態では、ユーザ・データ・ヘッダに最大再送回数の他に、現在何度目の再送かを表す再送数を持たせ、ユーザ・データの再送に制限を課する。例えば、再送数がある閾値以上である場合には、再送は1未満の確率(言い換えるならば再送を行わない場合もあるということ)で行なうようにする。
【0109】
このようにすれば、基地局間の通信トラフィックの増大を避けることができる。また、閾値及び再送確率として適切な値をとることで、ユーザ・データの消失を防ぐことが可能である。
【0110】
図12には、最大再送回数に加えて再送数を含んだユーザ・データのフォーマットを示している。このフォーマットを用いることにより、再送数に応じてユーザ・データの再送に制限を課することで、無線通信システムの通信負荷を軽減することができる。
【0111】
上述したようなユーザ・データの配送手順によれば、基地局をツリー構造に構成したり基地局統括局を設けて経路情報を統括的に管理しなくても、複数のセルをまたいで移動局間のデータ配送を実現することができる。しかしながら、移動局がユーザ・データを発信する度に、毎回配送経路を探索する必要がある。
【0112】
これは、移動局が頻繁にセル間を移動するようなシステムでは有効である。他方、例えば低速移動、あるいは固定網相手との通信といった通常の用途においては、宛先である固定網あるいは移動局までユーザ・データグラムが一旦到達できた場合、その配送経路は一定時間有効である場合が多い。
【0113】
後者の場合、有効となった配送経路を発信元である移動局に通知することで、不要な基地局間トラフィックを避けることができる。以下では、一度確立された配送経路を一定時間有効にして再利用を図る配送手順について説明する。
【0114】
基地局は、移動局と同様に、唯一無二の基地局識別子を持つものとする(図8を参照のこと)。そして、図13に示すようにユーザ・データには、一旦使用された配送経路をトレースバックするために、経路確定識別子や、中継基地局識別子を書き込むフィールドが用意される。以下では、図3に示したような無線通信システムにおいて、移動局3−1から移動局3−10へユーザ・データを配送する場合を考える。
【0115】
発信元の移動局3−1は、図13(A)に示すように、ユーザ・データに経路確定識別子を付加して送出する。ここで、経路確定識別子104は、「経路未確定」を示している。
【0116】
このユーザ・データを中継した各基地局(例えば基地局3−2,3−8)は、ユーザ・データに自基地局識別子を逐次付加していく。そして、最終的に宛先移動局3−10が接続されている基地局3−11にユーザ・データが到達した際には、図13(B)に示すように、ユーザ・データには中継した基地局識別子のリストが生成されている。
【0117】
宛先となる固定網、あるいは移動局が接続されている基地局が同ユーザ・データを受信した際には、逆に送信元である移動局3−1に対し、中継した基地局のリストをトレースバック、すなわち、ユーザ・データとして送信する。このデータを中継する手順は、移動局3−1から移動局3−10への中継と同様の手順となる。
【0118】
基地局リストを受信した移動局3−1側では、次に移動局3−10に対しユーザ・データを送信する際には、そのフォーマットとして図13(B)に示したものを使用する。ここで,経路確定識別子104は「経路確定」を示している。
【0119】
経路確定識別子が「経路確定」であるユーザ・データを受信した基地局では、中継基地局リストに自基地局識別子が含まれているかどうか判断する。そして、含まれている場合には、同ユーザ・データを再送するが、含まれていない場合には同ユーザ・データを破棄する。
【0120】
このような配送手順よれば、中継する各基地局は確定された経路に従いユーザ・データの再送を行ない、新たな経路探索は行なわれないので、基地局間ユーザ・データの再送トラフィックの増大を抑えることができる。
【0121】
図14には、経路のトレースバック機能を備えた基地局の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0122】
基地局は、隣接基地局からの再送メッセージを受信した場合(ステップS41)、メッセージの受信処理(復調、復号など)をした後(ステップS42)、同メッセージのユーザ・メッセージ本体104から宛先を抽出する。
【0123】
次いで、宛先移動局あるいは固定網に対する経路情報が自基地局と接続されているかどうかを判断する(ステップS43)。宛先固定網あるいは移動局が自基地局に接続されている場合には、宛先移動局に送信要求メッセージの転送を行なう(ステップS50)。さらに、経路情報をトレースバックするためのメッセージを作成し(ステップS57)、送信元移動局に対するトレースバックによるメッセージ送信要求を行なう(ステップS58)。トレースバック・メッセージの送信要求は、通常のユーザ・データの再送と同様の処理手順に従って、送信元移動局に届けられる。
【0124】
また、宛先移動局あるいは固定網に対する経路情報が自基地局と接続されていない場合には、ユーザ・データの経路確定識別子が「経路確定」になっているかどうかを判断する(ステップS55)。経路確定である場合には、ユーザ・データ(図13(B)を参照のこと)をチェックして、中継基地局リストに自基地局が含まれているかどうかをさらに判断する(ステップS56)。そして、自基地局が中継基地局リストに含まれていれば隣接基地局へのメッセージ再送を行なうが、同リストに含まれていない場合にはメッセージを破棄して(ステップS49)、本処理ルーチン全体を終了する。メッセージ破棄により、確定した経路以外にはメッセージは再送されないので、無線通信システムにおける無駄なトラフィックの増大を抑制することができる。
【0125】
また、ステップS55において、経路確定識別子が「経路未確定」を示している場合には、次いで、受信したユーザ・データ中のユーザ・データ識別子と同じ識別子がキャッシュ中に存在するかどうか、すなわち同じメッセージを既に受信したかどうかをチェックする(ステップS44)。
【0126】
受信したユーザ・データのユーザ・データ識別子がキャッシュ中に存在している場合には、当該基地局が既に同ユーザ・データの再送を行なったものと判断して、受信したユーザ・データを破棄して(ステップS49)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0127】
また、ユーザ・データ識別子がキャッシュ中に存在しない場合には、さらにユーザ・データ中の最大再送回数をチェックして(ステップS45)、同ユーザ・データを隣接基地局に再送(配送)するかどうかを判断する。ここで、最大再送回数が0である場合には、同受信ユーザ・データを破棄して(ステップS49)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0128】
最大再送回数が0でない場合には、同ユーザ・データの再送処理を行なう。この場合、まず、受信したユーザ・データの情報をキャッシュ(図10を参照のこと)に保存して(ステップS46)、キャッシュ・タイマを設定する。次いで、ユーザ・データ中の最大再送回数値を1だけ減じた後(ステップS47)、基地局間通信リンクを用いて隣接基地局にユーザ・データを再送する(ステップS48)。
【0129】
このような手順により基地局間リンクを用い、ユーザ・データを適切な伝搬範囲で、且つ無駄なメッセージ再送を抑制しながら、宛先(移動局又は固定網)に到達させることができる。
【0130】
以上は基地局間でのユーザ・データの配送手順であるが、移動局から最初のユーザ・データを受信した場合の処理(ステップS51)も同様である。この場合、ステップS22と同様に受信処理を行なった後(ステップS52)、宛先が自基地局に接続された移動局あるいは固定網であるかどうか判断し、自基地局宛てである場合には配送処理を行なうが、そうでない場合には基地局間リンクを用いた再送処理を行なう(同上)。
【0131】
また、キャッシュ・タイマが満了した場合には(ステップS53)、そのタイマを持つ移動局メッセージをキャッシュ(図10を参照のこと)から消去する(ステップS54)。
【0132】
また、図15には、経路のトレースバック機能を備えた移動局の動作手順をフローチャートの形式で示している。
【0133】
移動局がメッセージ送信要求を行なうときには(ステップS61)、まず、宛先移動局あるいは固定網に対する経路情報が既に確定しているかどうかを判断する(ステップS62)。
【0134】
宛先移動局あるいは固定網に対する経路情報が確定している場合には、図13(B)に示した形式でユーザ・データを生成し(ステップS63)、まだ経路情報が確定していない場合には、図13(A)に示した形式でユーザ・データを生成する(ステップS64)。
【0135】
次いで、このユーザ・データを送信する際、宛先からの応答待ちタイマを設定してから(ステップS65)、現在位置登録している基地局に対してメッセージ送信要求すなわちユーザ・データの送信を行ない(ステップS66)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0136】
一方、メッセージ受信通知を受け取ったときには(ステップS67)、メッセージ受信処理を行なった後(ステップS68)、これが経路トレースバック・メッセージであるかどうかをチェックする(ステップS69)。
【0137】
受信したメッセージが経路トレースバック・メッセージである場合には、宛先に対する経路情報を記憶して(ステップS74)、同経路情報の有効期間タイマを設定してから(ステップS75)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0138】
また、受信したメッセージが経路トレースバック・メッセージでない場合には、ステップS66において自ら送信したメッセージに対する応答であるかどうかを判別する(ステップS70)。送信メッセージに対する応答であれば、この時点でメッセージ応答タイマを停止する(ステップS71)。そして、メッセージ受信通知を行ない(ステップS72)、さらに、経路トレースバック送信要求を行なった後(ステップS73)、本処理ルーチン全体を終了する。
【0139】
また、メッセージ応答タイマが満了した場合には(ステップS76)、メッセージが宛先に到着しなかったと判断して、最大再送回数を1だけ増分して(ステップS77)、再びメッセージ応答タイマを設定し(ステップS78)、同メッセージを送出する(ステップS79)。
【0140】
また、経路情報タイマが満了した場合には(ステップS80)、同経路情報は既に古くなったものと判断して、同経路情報を破棄する(ステップS81)。
【0141】
なお、図14〜図15では、基地局間リンクとして図3に示すように無線を使用することを前提としているが、勿論、図4に示したように基地局間リンクを有線網で構成した場合であっても、同様に、経路トレースバック機能を用いたメッセージ配送を実現することができる。
【0142】
上述した通信手順は、図3に示す基地局と移動局から構成されるネットワークにおける動作例である。しかしながら、本発明に係る通信制御方式の適用範囲は、基地局の管理に基づいて動作するネットワークには限定されず、基地局が存在せず移動局同士の直接通信のみによって構成される通信システム(例えば、アドホック通信)に対しても同様に適用可能である。
【0143】
図16には、移動局のみによって構成されるネットワークの様子を模式的に示している。同図に示す例では、移動局16−1が送信したユーザ・データ16−2を、宛先となる移動局16−13に配送する。
【0144】
移動局16−1は、当該ユーザ・データ16−2を、無線リンク16−3を介して移動局16−9に送信する。同ユーザ・データを受信した移動局16−9は、その宛先が自局宛でないため、移動局間の直接リンク16−10を用いて隣接する移動局16−11に転送する。このようなユーザ・データの再送動作を繰り返すことにより、最終的には、宛先移動局16−13にユーザ・データ16−14が配送される。
【0145】
これは、図3における基地局がユーザ・インターフェイス処理部(ディスプレイ、キーボード)及び音声処理部を持ったものと考えても差し支えない。
【0146】
図17には、図16に示したような,移動局同士が直接通信を行なう無線ネットワークにおいて、各移動局が実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。
【0147】
ユーザからの送信すべきメッセージが発生した場合(ステップS91,S92)、相手移動局からの応答時間待ちタイマを設定し(ステップS93)、送信を行なう(ステップS94)。
【0148】
移動局は、隣接する移動局からのメッセージを受信すると(ステップS95)、それが自局宛であるかどうか判別する(ステップS96)。そして、メッセージが自局宛でない場合には、図7に示した形式のキャッシュにユーザ・データ情報を登録し(ステップS100)、隣接移動局宛に同ユーザ・メッセージを再送する。
【0149】
このようなメッセージ中継処理は、図16に示す例では,参照番号16−9や16−11で示される移動局が行なう。
【0150】
一方、受信したメッセージが自局宛である場合には(ステップS97)、自ら送信したメッセージに対する応答であるかどうかをさらに判別する(ステップS105)。であれば、この時点でメッセージ応答タイマを停止する(ステップS71)。応答メッセージではなく、自局宛てのメッセージであれば、この時点でメッセージ応答タイマを停止する(ステップS106)。そして、ユーザに対しメッセージの受信通知を行なう(ステップS107)。
【0151】
また、メッセージ応答タイマが満了した場合には(ステップS108)、メッセージが宛先に到着しなかったと判断して、最大再送回数を1だけ増分して(ステップS109)、再びメッセージ応答タイマを設定し(ステップS110)、同メッセージを送出する(ステップS111)。
【0152】
また、キャッシュ・タイマが満了した場合には(ステップS112)、そのタイマを持つ移動局メッセージをキャッシュ(図10を参照のこと)から消去する(ステップS113)。
【0153】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0154】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、基地局に過大な処理負荷を与えることなくセルにまたがった移動局間のデータ伝送を実現することができる、優れた通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0155】
また、本発明によれば、複数の基地局を統括する基地局統括局を設けて経路情報を統括的に管理することなく移動局間のデータ伝送の配送を好適に行なうことができる、優れた通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【0156】
また、本発明によれば、簡便に基地局を逐次的に増設していくことで通信可能範囲を簡便に拡張していくことができる、優れた通信システム、通信制御装置及び通信制御方法、通信装置及び通信方法、並びにコンピュータ・プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】既存のセルラ無線通信システムにおける基地局構成を模式的に示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの構成を模式的に示した図である。
【図3】基地局間で配送を行なう様子を模式的に示した図である。
【図4】基地局間が有線網で接続されてなる無線通信システムの構成を模式的に示した図である。
【図5】本実施形態に係る無線通信システムにおいて移動局として動作する無線通信装置の構成を模式的に示した図である。
【図6】移動局から送出されるユーザ・データのフォーマットを示した図である。
【図7】移動局が通信動作を行なうための処理手順をフローチャートの形式で示した図である。
【図8】本実施形態に係る無線通信システムにおいて基地局として動作する無線通信装置の構成を模式的に示した図である。
【図9】本実施形態に係る無線通信システムにおいて基地局として動作するための処理手順を示したフローチャートである。
【図10】基地局で保持されるキャッシュ・データのフォーマットを示した図である。
【図11】重複を避けたユーザ・データの配送処理を説明するための図である。
【図12】最大再送回数に加えて再送数を含んだユーザ・データのフォーマットを示した図である。
【図13】配送経路のトレースバック機能を実現するためのユーザ・データのフォーマット例を示した図である。
【図14】経路のトレースバック機能を備えた基地局の動作手順を示したフローチャートである。
【図15】経路のトレースバック機能を備えた移動局の動作手順を示したフローチャートである。
【図16】移動局のみによって構成されるネットワークの様子を模式的に示した図である。
【図17】図16に示したような,移動局同士が直接通信を行なう無線ネットワークにおいて、各移動局が実行する処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1,31…アンテナ
2,32…アンテナ共用器
3,33…RF受信部
4,34…RF送信部
6,36…復調部
7,37…復号部
8,38…変調部
9,39…符号部
10,40…制御部
12,42…プロトコル処理部
13,43…メモリ
15,45…ユーザ・インターフェース処理部
16,46…ユーザ出力部
17,47…ユーザ入力部
18…音声処理部,19…マイク
20…スピーカ
21…移動局識別子,51…基地局識別子
Claims (30)
- 複数の基地局と複数の移動局からなる通信システムであって、
各基地局は、自局セル内に存在する移動局とデータ通信を行なうセル内リンクと、隣接する基地局とデータ通信を行なう基地局間リンクを備え、
セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したことに応答して、前記基地局間リンクを用いて隣接する基地局へ該ユーザ・データを転送する、
を特徴とする通信システム。 - 複数の基地局セルを面展開して構成される通信環境下で基地局として動作する通信制御装置であって、
自セル内に存在する移動局とセル内通信リンクによりデータ通信を行なうセル内通信手段と、
隣接する基地局と基地局間通信リンクによりデータ通信を行なう基地局間通信手段と、
ユーザ・データを受信したことに応答して、前記セル内通信手段又は前記基地局間通信手段を用いて該ユーザ・データを転送するデータ送信制御手段と、
を具備し、
前記データ送信制御手段は、自局セル内の移動局宛のユーザ・データを受信したときには、宛先の移動局に該ユーザ・データを送信するが、セル外の移動局宛のユーザ・データを受信したときには前記基地局間リンクを用いて隣接する基地局へ該ユーザ・データを転送する、
ことを特徴とする通信制御装置。 - 前記データ送信制御手段は、セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したときには、ユーザ・データ受信後ランダム時間が経過した後に隣接する基地局への該ユーザ・データの転送を開始する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。 - 各ユーザ・データにはユーザ・データ識別子が付加されており、
前記データ送信制御手段は、受信したユーザ・データに含まれるユーザ・データ識別子を所定期間保持するとともに、該保持されたユーザ・データ識別子を持つユーザ・データを受信したときには隣接する基地局に転送しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。 - 各ユーザ・データには最大転送回数が規定されており、
前記データ送信制御手段は、最大転送回数に到達したユーザ・データを隣接する基地局に転送しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。 - 再送されたユーザ・データには再送数が記述されており、
前記データ送信制御手段は、再送数に応じて隣接する基地局へのユーザ・データの転送を制限する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。 - 装置識別子をさらに備え、
前記データ送信制御手段は、ユーザ・データに装置識別子を付加してから隣接する基地局へ転送する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。 - 装置識別子をさらに備え、
ユーザ・データには配送経路上の各装置の装置識別子が記述された配送経路情報が含まれており、
前記データ送信制御手段は、配送経路情報に自装置の装置識別子が含まれていない場合には該ユーザ・データを破棄する、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信制御装置。 - 複数の基地局セルを面展開して構成される通信環境下で基地局として動作するための通信制御方法であって、
自セル内に存在する移動局とセル内通信リンクによりデータ通信を行なうセル内通信ステップと、
隣接する基地局と基地局間通信リンクによりデータ通信を行なう基地局間通信ステップと、
ユーザ・データを受信したことに応答して、前記セル内通信リンク又は前記基地局間通信リンクを用いた該ユーザ・データの転送を制御するデータ送信制御ステップと、
を備え、
前記データ送信制御ステップでは、自局セル内の移動局宛のユーザ・データを受信したときには、宛先の移動局に該ユーザ・データを送信するが、セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したときには前記基地局間リンクを用いて隣接する基地局へ該ユーザ・データを転送する、
ことを特徴とする通信制御方法。 - 前記データ送信制御ステップでは、セル外の移動局宛てのユーザ・データを受信したときには、ユーザ・データ受信後ランダム時間が経過した後に隣接する基地局への該ユーザ・データの転送を開始する、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信制御方法。 - 各ユーザ・データにはユーザ・データ識別子が付加されており、
前記データ送信制御ステップでは、受信したユーザ・データに含まれるユーザ・データ識別子を所定期間保持するとともに、該保持されたユーザ・データ識別子を持つユーザ・データを受信したときには隣接する基地局に転送しない、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信制御方法。 - 各ユーザ・データには最大転送回数が規定されており、
前記データ送信制御ステップでは、最大転送回数に到達したユーザ・データを隣接する基地局に転送しない、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信制御方法。 - 再送されたユーザ・データには再送数が記述されており、
前記データ送信制御ステップでは、再送数に応じて隣接する基地局へのユーザ・データの転送を制限する、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信制御方法。 - 前記データ送信制御ステップでは、ユーザ・データに装置識別子を付加してから隣接する基地局へ転送する、
ことを特徴とする請求項9に記載の通信制御方法。 - ユーザ・データには配送経路上の各装置の装置識別子が記述された配送経路情報が含まれており、
前記データ送信制御ステップでは、配送経路情報に自装置の装置識別子が含まれていない場合には該ユーザ・データを破棄する、
ことを特徴とする請求項10に記載の通信制御方法。 - 複数の通信装置で形成される無線アドホック・ネットワークにおいて動作する通信装置であって、
他の通信端末と相互に通信するための通信手段と、
ユーザ・データを受信したことに応答して、前記通信手段を用いて該ユーザ・データを転送するデータ送信制御手段と、
を具備し、
前記データ送信制御手段は、自局宛のユーザ・データを受信したときには受信処理を行ない、自局宛以外のユーザ・データを受信したときには前記通信手段を用いて隣接する通信装置へ該ユーザ・データを転送する、
ことを特徴とする通信装置。 - 最大転送回数を規定してユーザ・データを送出する、
ことを特徴とする請求項16に記載の通信装置。 - 所定時間内に通信相手からユーザ・データの受信確認が到来しなかったことに応答して、最大転送回数を増分してユーザ・データを再送する、
ことを特徴とする請求項17に記載の通信装置。 - 通信相手からのユーザ・データの受信確認から配送経路情報を取得して、同じ通信相手に対して該配送経路情報を付加して次のユーザ・データを送信する、
ことを特徴とする請求項17に記載の通信装置。 - 取得した配送経路情報を所定期間経過後に破棄する、
ことを特徴とする請求項17に記載の通信装置。 - 配送経路情報を含んだユーザ・データを受信したことに応答して、配送経路情報を含んだ受信確認を返信する、
ことを特徴とする請求項17に記載の通信装置。 - 所定時間毎に配送経路情報の有効性を確認するための確認用データグラムを送信し、該データグラムに対する応答が所定時間内に返ってこないことに応答して該配送経路情報を破棄する、
ことを特徴とする請求項17に記載の通信装置。 - 複数の通信装置で形成される無線アドホック・ネットワークにおいて動作する通信方法であって、
他の通信端末と相互に通信するための通信ステップと、
ユーザ・データを受信したことに応答して、前記通信ステップにおいて該ユーザ・データを転送するデータ送信制御ステップと、
を具備し、
前記データ送信制御ステップでは、自局宛のユーザ・データを受信したときには受信処理を行ない、自局宛以外のユーザ・データを受信したときには前記通信手段を用いて隣接する通信装置へ該ユーザ・データを転送する、
ことを特徴とする通信方法。 - 最大転送回数を規定してユーザ・データを送出する、
ことを特徴とする請求項23に記載の通信方法。 - 所定時間内に通信相手からユーザ・データの受信確認が到来しなかったことに応答して、最大転送回数を増分してユーザ・データを再送する、
ことを特徴とする請求項23に記載の通信制御方法。 - 通信相手からのユーザ・データの受信確認から配送経路情報を取得して、同じ通信相手に対して該配送経路情報を付加して次のユーザ・データを送信する、
ことを特徴とする請求項23に記載の通信制御方法。 - 取得した配送経路情報を所定期間経過後に破棄する、
ことを特徴とする請求項23に記載の通信制御方法。 - 配送経路情報を含んだユーザ・データを受信したことに応答して、配送経路情報を含んだ受信確認を返信する、
ことを特徴とする請求項23に記載の通信制御方法。 - 所定時間毎に配送経路情報の有効性を確認するための確認用データグラムを送信し、該データグラムに対する応答が所定時間内に帰ってこないことに応答して該配送経路情報を破棄する、
ことを特徴とする請求項23に記載の通信制御方法。 - 複数の基地局セルを面展開して構成される通信環境下で基地局として動作するための通信制御をコンピュータ・システム上で実行するようにコンピュータ可読形式で記述されたコンピュータ・プログラムであって、
自セル内に存在する移動局とセル内通信リンクによりデータ通信を行なうセル内通信ステップと、
隣接する基地局と基地局間通信リンクによりデータ通信を行なう基地局間通信ステップと、
ユーザ・データを受信したことに応答して、前記セル内通信リンク又は前記基地局間通信リンクを用いた該ユーザ・データの転送を制御するデータ送信制御ステップと、
を具備することを特徴とするコンピュータ・プログラム。
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