JP2004006629A - 面実装型コイル部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】面実装型コイル部品10は、巻線が捲回されたドラム型コア12と、このドラム型コア12をその軸回りに包囲する外装コア14とを備えている。ここで、外装コア14は、一対の部分コア15,16に分割されており、各部分コア15,16は、ドラム型コア12との間に所定の間隔であるコアギャップ18を有して配置されている。コアギャップ18は、接着剤Sに粒径の揃った略球状の粒子Gを混練した接着材料Mによってドラム型コア12と各部分コア15,16を接着することで、鍔部12bの円周方向に沿ってほぼ一定の間隔とされている。このように、コアギャップ18は、略球状の粒子Gの粒径により規定される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器の回路基板に面実装する面実装型コイル部品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コイル部品は、携帯電話、ハードディスク装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器の電源回路に必須の電子部品である。なかでも、面実装型のコイル部品は、プリント配線板に低い高さで実装できるメリットがあることから、各種電子機器の小型化が進む昨今、その必要度が向上している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この面実装型コイル部品は、実装されるべきプリント配線板にほぼ垂直に配置され、上下両端に鍔部を有し、胴部にコイル(巻線)が捲回された柱状のドラム型コアと、このドラム型コアの周囲に配設されるリング状の外装コアと、この外装コアの上面に互いに離間して配された一対の端子電極部とを備えている。巻線の両端末は、溶接やハンダ付け等により端子電極部に電気的に接続されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−332425号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の面実装型コイル部品には以下のような問題がある。即ち、従来のリング状の外装コアによると、製品毎において外装コアとドラム型コアとの間隔を所望の値とすることは困難であり、看過できない範囲のコイル特性(例えば、L特性や直流重畳特性等)のバラツキが生じていた。また、従来の面実装型コイル部品は外装コアをドラム型コアに挿入する構成であるため、外装コアの直径は余裕を持って設計せざるを得ず、余裕分だけ面実装型コイル部品が大型化すること、外装コアとドラム型コアとの間隔が過大になること、外装コアに対してドラム型コアが偏って配置される惧れがあること等の不具合があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、小型化を達成すると共に製品毎のコイル特性のバラツキを抑制可能な面実装型コイル部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る面実装型コイル部品は、巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアをその軸周りに包囲する外装コアと、を備える面実装型コイル部品であって、外装コアは、複数の部分コアに分割されており、各部分コアは、ドラム型コアとの間に所定の間隔を有して配置されていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る面実装型コイル部品では、外装コアは分割されているため、各々の部分コアは独立してドラム型コアに配置させることができ、したがって、ドラム型コアと外装コアとの間の隙間を上記所定の間隔に容易に管理することができる。すなわち、上述の余裕分を設ける必要がなくなるため、面実装型コイル部品自体の面積が小さくなり、且つ、当該隙間が部品毎にほぼ一定となり、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0009】
また、上記所定の間隔は、粒径の揃った略球状の粒子により形成されることが好ましい。この場合、各部分コアとドラム型コアとの間の隙間を上記所定の間隔とし得る構成を簡易且つ容易に実現することができる。
【0010】
また、略球状の粒子は、ドラム型コアと各部分コアとを接着する接着剤に多数混練されていることが好ましい。この場合、各部分コアとドラム型コアとの間の隙間に、略球状の粒子を確実且つ容易に位置させることができる。
【0011】
本発明に係る面実装型コイル部品は、巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを包囲するように設けられた外装コアと、を備える面実装型コイル部品であって、外装コアは、複数の部分コアに分割されており、ドラム型コアと各部分コアとは、所定の間隔を有するように、粒径の揃った略球状の粒子を多数混練した接着剤を介して接着されていることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る面実装型コイル部品では、外装コアは分割されているため、各々の部分コアは独立してドラム型コアに配置させることができ、また、略球状の粒子によりドラム型コアと外装コアとの間の隙間を規制することができる。すなわち、上述の余裕分を設ける必要がなくなるため、面実装型コイル部品自体の面積が小さくなり、且つ、略球状の粒子がドラム型コア及び外装コアに当接するため、当該隙間が部品毎にほぼ一定となり、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0013】
また、略球状の粒子は、非磁性材料からなることが好ましい。この場合、略球状の粒子自体がコイル特性に影響を与えないため、部品毎のコイル特性のバラツキを更に抑制することが可能となる。
【0014】
また、ドラム型コアは、巻線が捲回された胴部と、この胴部の両側に設けられた一対の鍔部とを備え、各部分コアは、鍔部の外周面と対向し、当該鍔部の外周面と同等の曲率半径を有する内周面を備えることが好ましい。この場合、ドラム型コアと外装コアとの間の隙間をドラム型コアの周方向に沿ってほぼ一定な間隔とすることができ、部品毎のコイル特性のバラツキを更に抑制することが可能となる。
【0015】
また、各部分コアの間には、互いに接合しないようにギャップ部が形成されていることが好ましい。この場合には、外装コアをドラム型コアに十分に近接して配置することができ、面実装型コイル部品自体の面積をより一層小さくすることが可能となる。
【0016】
また、ドラム型コアは、巻線が捲回された胴部と、胴部の一側に設けられた第1の鍔部と、胴部の他側に設けられ、第1の鍔部よりも大径とされた第2の鍔部と、を含み、各部分コアは、第1の鍔部の外周面との間に所定の間隔を有すると共に、第2の鍔部における第1の鍔部に対向する面との間に所定の間隔を有して配置されていることが好ましい。この場合、第2の鍔部における第1の鍔部に対向する面の裏面側に漏洩する磁束を減少することができる。
【0017】
本発明に係る面実装型コイル部品の製造方法は、巻線が捲回されたドラム型コアと、その軸周りに包囲する外装コアと、を備え、外装コアが複数の部分コアに分割されている面実装型コイル部品の製造方法であって、粒径の揃った略球状の粒子を多数混練した接着剤をドラム型コアの外周面又は複数の部分コアの内周面又はこれらの双方に塗布した後、ドラム型コアの外周面と複数の部分コアの内周面とを対向させて配置し、接着剤を硬化させてドラム型コアと複数の部分コアとを接着する工程を含むことを特徴としている。
【0018】
本発明に係る面実装型コイル部品の製造方法では、外装コアは分割されているため、各々の部分コアは独立してドラム型コアに配置させることができ、また、略球状の粒子によりドラム型コアと外装コアとの間の隙間を規制することができる。すなわち、上述の余裕分を設ける必要がなくなるため、面実装型コイル部品自体の面積が小さくなり、且つ、略球状の粒子がドラム型コア及び外装コアに当接するため、当該隙間が部品毎にほぼ一定となり、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0019】
また、ドラム型コア及び部分コアを磁場内に配置した状態で、ドラム型コアの外周面と部分コアの内周面とを対向させて配置することが好ましい。このように、ドラム型コアと部分コアを磁場内に配置すると、双方間に吸引力が働くこととなる。したがって、部分コアとドラム型コアが引き合い、略球状の粒子が部分コアの内周面及びドラム型コアの外周面に確実に当接することとなる。
【0020】
また、部分コアを内周面が上方に向いた状態で磁場内に配置し、部分コアの内周面上にドラム型コアを載置することによりドラム型コアの外周面と部分コアの内周面とを対向させて配置することが好ましい。この場合、上記吸引力の他に重力が作用することとなり、略球状の粒子が部分コアの内周面及びドラム型コアの外周面により一層確実に当接することとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品及びその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の面実装型コイル部品10を示す斜視図であり、図2(a)〜図2(c)は、それぞれ同コイル部品10の平面図、正面図、側面図である。面実装型コイル部品10は、プリント配線板等にリフローハンダ付け等で面実装された上で、携帯電話、ハードディスク装置、ノート型パーソナルコンピュータ等の電子機器の電源回路に適用され、例えば250kHz〜1MHzのスイッチング周波数で好適に使用されるものである。
【0023】
面実装型コイル部品10は、胴部に巻線11が捲回されたドラム型コア12と、このドラム型コア12をその軸回りに包囲するように設けられた外装コア14とを主として備えている。ドラム型コア12と外装コア14とは、後述する接着材料Mにより接着されている。本例において、巻線11は平角形状のもの(断面が長方形)を使用している。巻線11として丸線タイプのものを用いることもできる。
【0024】
外装コア14は、同一形状の2つの部分コア(第1部分コア15,第2部分コア16)から形成されており、各部分コア15,16は、ドラム型コア12との間にコアギャップ18を介して配置されている。各部分コア15,16には一対の電極25,26が取付けられており、巻線11の両端末11a,11bはそれぞれ電極25,26に継線される。
【0025】
なお、発明を理解し易くするために、図2(a)においては、電極25側は巻線と電極の継線作業を施した状態を示し、電極26側は継線作業を施す前の状態を示している。
【0026】
ドラム型コア12は、例えばNi−Cu−Zn系の磁性材料で形成され、巻線11が捲回された円柱状の胴部12aと、この胴部12aの軸方向両端に設けられた円板状の一対の鍔部12b,12cとから構成されている。円柱状胴部12aの軸中心と円板状鍔部12b,12cの軸中心とは一致している。
【0027】
巻線11は、銅線に絶縁用のウレタン被膜を施したものであり、両先端部においては電極25,26との導通を図るためにウレタン被膜が除去されている。また、本実施形態では、巻線11は、いわゆるクロスワイズ法で胴部12aに巻かれている(後述の図3(a)〜図3(c)を参照)。
【0028】
外装コア14は、ドラム型コア12と同様に、例えばNi−Cu−Zn系の磁性材料で形成することができる。各部分コア15,16は横断面が略V字状であり、その内周面は、コアギャップ18を周方向に沿って一定にするために、ドラム型コア12の外周面に対応させて凹曲面を構成しており、鍔部12b,12cの外周面と同等の曲率半径を有している。
【0029】
ドラム型コア12及び外装コア14間の隙間であるコアギャップ18は、コイル特性を左右するものである。コアギャップ18は、接着剤Sに粒径の揃った略球状の粒子Gを混練した接着材料Mによってドラム型コア12と各部分コア15,16を接着することで、鍔部12b,12cの円周方向に沿ってほぼ一定の間隔(所定の間隔)とされている。すなわち、コアギャップ18は、ドラム型コア12及び外装コア14間に存在する粒子Gの粒径により規定されることとなる。
【0030】
粒子Gは、ほぼ同等の粒径を有する略球状に形成された非磁性材料からなる絶縁物であればよく、ガラスビーズや合成樹脂製ビーズ等を用いることができる。粒子Gの粒径は、面実装型コイル部品10に求められるコイル特性(L特性、直流重畳特性等)に応じて適宜選択される。また、粒子Gの粒径は、市販のガラスビーズを篩にかけたり、平行度の高い2枚の鉄板を略平行に配置したスリット機構等により選別したりして、更に粒径を一定の値に近付けることも可能である。
【0031】
また、接着剤Sは、硬化の際に体積収縮するものが好ましく、例えば、エポキシ系接着剤等を用いることができる。これは、接着剤Sが、硬化する際に体積膨張を伴うと、コアギャップ18が粒子Gの粒径により規定される寸法よりも大きくなってしまう惧れがあるという理由に基づくものである。
【0032】
図2(b)、図2(c)から判るように、部分コア15,16の高さは、ドラム型コア12よりも若干低くなっている。更に、各部分コア15,16は平面視において互いの2つの先端部が対向するようにドラム型コア12の周囲に配されており、各先端部の間には、ギャップ部21,22(図2(a)に破線で示す領域)が形成されている。
【0033】
部分コア15,16は、平面視において外形が矩形状の外装コアを単に対角線に沿って区分けしたのではなく、他方の部分コアに対向するそれぞれの先端部を切り欠き或いは面取りしたような形状に焼結形成されている。そして、部分コア15の面(第1面)SA1と部分コア16の面(第2面)SB1とでギャップ部21が画成され、部分コア15の面(第1面)SA2と部分コア16の面(第2面)SB2とでギャップ部22が画成されている。
【0034】
より詳しくは、部分コア15におけるギャップ部21を画成する面SA1と、部分コア15と隣り合う部分コア16における当該ギャップ部21を画成する面SB1とは、互いの間隔がドラム型コア12の中心から遠ざかるに連れて広がるように形成されている。ギャップ部22側においても、面SA2と面SB2とは同様に外側に向けて広がるように形成されている。
【0035】
つまり、各ギャップ部21,22は、外側に向かうに連れて広がる空間となっている。なお、本実施形態では、上記の面SA1と面SB1とは略垂直の位置関係にあり、同様に面SA2と面SB2も略垂直の位置関係にある。ここで、略垂直とは、両面のなす角度が必ずしも90°である必要は無く、若干のズレがあってもよいことを意味する。ズレの範囲としては、例えば80°〜100°とすることが考えられる。
【0036】
電極25,26は、部分コア15,16におけるギャップ部21,22近傍に取付けられた本体部25a,26aと、この本体部に連設されてギャップ部21,22に位置する帯状の突片(案内片)25b,26bとを有する。本体部25a,26aは、部分コアの外壁に面接触する長方形状の中心部分を有し、該中心部分よりも高さの小さな部分が図2(c)における左右方向に延設されている。
【0037】
そして、その延設された同図右側の部分は面SA1に倣うように屈曲されており、この屈曲部分から上記の突片25b,26bが外方に突出している。更に、図2(b)の図中右側に示すように、電極25,26の底部は内側に折曲げられており、該底部は部分コア底面に形成された段部に収められている。そして、電極25,26は、例えば一液性エポキシ樹脂等の各種接着剤によって部分コアに接着される。このような電極の底部をリフローハンダ付け等を施すことで、プリント配線板に面実装型コイル部品10が実装されることになる。
【0038】
なお、電極25,26はリン青銅で形成されており、部分コアと対面する領域を除いてメッキがされている。メッキ処理は、例えば厚さ0.5μmのNiによる下地メッキを施した上で、厚さ4μmのSn100%のメッキを施すという手法を採ることができる。
【0039】
また、電極25,26の突片25b,26bは、巻線11の継線作業を行う前段階では、図1に二点鎖線で示すように部分コア15の面SA1の略法線方向(X方向)に延伸されている。この状態は、図2(c)からも判る。そして、継線に際しては、巻線の端末11a,11bをそれぞれギャップ部21,22に通し、突片25b,26bをかしめ加工等で電極の本体部25a,26a側に折り曲げ、本体部と突片との間に巻線の端末11a,11bの被膜が除去された部分を挟み込む形になる。
【0040】
なお、突片による挟み込みは仮止めであり、図2(a)のギャップ部21側のようにその上からアーク溶接やレーザビーム溶接、或いはハンダ付け等を施すことで継線作業が完了する。このように突片25b,26bによって仮止めする手法を採ることで、その後のハンダ付け等の作業を容易且つ確実に行うことができる。更に、面実装型コイル部品10をプリント配線板等へ実装する際に、ハンダ付け等の熱で継線箇所に施された溶接部分やハンダが溶融しても、巻線は突片で抑えられているため電極25,26から離隔する断線事態を防止できる。
【0041】
次に、面実装型コイル部品から得られる効果を説明する。上記のように、巻線の端末11a,11bは、部分コア15,16間のギャップ部21,22において、それぞれ電極25,26と接続される。つまり、巻線11は外装コア14の上側を迂回しないため、巻線11が外装コア14に載った分だけコイル部品の背が高くなるという問題は生じず、ほぼ巻線11の厚さ分(更には溶接或いはハンダ付けの隆起分)は低背化を実現できる。また、巻線11と電極25,26との継線作業に際しては、巻線11を外装コア14の肩部で折り曲げる必要は無いため、その作業を容易に行うことができる。
【0042】
また、部分コア15の面SA1と部分コア16の面SB1とは略垂直であり、互いの間隔が外側に向けて徐々に広がるように形成されているため、ギャップ部21は継線作業を行うために充分なスペースとなっている。ギャップ部22についても同様のことが言える。
【0043】
なお、本実施形態では、ギャップ部21,22内において継線しているが、継線は巻線の端末11a,11bをギャップ部21,22から引き出して行う形態にしてもよい。つまり、巻線の端末がギャップ部21,22に通された上で電極に接続されていればよい。この形態を詳しく説明すると、ギャップ部から引き出した巻線を例えば面SA1の外側の辺部で屈曲させ、外装コア14の外周部の領域で電極に接続する。
【0044】
この場合も、巻線11を外装コア14の肩部で折り曲げる必要は無いため、継線作業を容易に行うことができる。もっとも、外装コア14の外周部で継線を行うと、継線に要する電極の突片や溶接の隆起分だけコイル部品10の寸法が大きくなるため、小型化の観点からはギャップ部21,22において巻線と電極とを継線することが好ましい。
【0045】
更に、本実施形態では、図2(b),図2(c)に示すように、巻線の端末11a,11bは、ドラム型コア12の高さ方向(Z方向)に曲げずにギャップ部21,22に通されている。つまり、面実装型コイル部品10を側方から見た場合に、巻線の端末11a,11bは直線状になっている。そして、このような構成にすれば、巻線の胴部12aから外装コア14に向かう線分が折り曲げられた場合に比して、コイル部品10内における巻線の配線パターンが極めて簡潔で、継線作業も容易に行うことができる。
【0046】
しかも、後述するように巻線11はクロスワイズ法でドラム型コア12に捲回されていることから、その幅方向がドラム型コア12の高さ方向に一致している(図3(c)参照)。そして、ギャップ部21,22もドラム型コア12の高さ方向に延びているため、巻線11を捻らずにギャップ部を通すことができ、この観点からも継線作業が容易になっていると言える。
【0047】
また、図1に示すように、部分コア15に取付けられた電極25の突片25bは、ドラム型コア12の高さ方向と直交する方向(X方向)へ延伸させたときに、隣り合う部分コア16に接触しないようになっている。これにより、部分コア16によって突片25bをX方向に延伸させることが阻害されないことから、電極の本体部25aと突片25bの先端部との間隔を充分確保することができ、巻線を電極本体部25aと突片25bとの間に通しやすくなり、継線作業が容易になる。
【0048】
ここで、図2(c)を参照して、電極25,26の突片25b,26bについて詳説する。同図に示すように、電極の突片26bにおける根元部分26c、すなわち本体部26aとの境界付近は、ドラム型コアの高さ方向(Z方向)について、鍔部12cの周囲に位置している(図中、鍔部12cの隠れた部分を破線で示す)。
【0049】
このように、胴部12aの周囲でなく鍔部12cの周囲に突片の根元部分26cを位置させることで、巻線11の端末11bをギャップ部22に通す際に突片26bの存在が妨げになることはなく、継線作業をスムーズに行える。なお、図2(b)に示すように、突片25bについても、同様にその根元部分は胴部12aではなく鍔部12cの周囲に位置している。
【0050】
また、突片25b,26bの長手方向の長さXは、鍔部12bと鍔部12cとの間隔以上となっている。このため、巻線の両端末11a,11bが胴部12aの如何なる高さ位置から引き出されても、突片25b,26bによって抑えることができる。本実施形態ではクロスワイズ法で巻線が捲回され、胴部12aにおいて巻線は2段に積層されており、図2(b)に示すように巻線の一方の端末11aは上側から引き出され、図2(c)に示すように、巻線の他方の端末11bは下側から引き出されている。このように引き出される巻線の高さ位置が両端側で異なる場合でも、突片の長さXを上記のようにすることで、両端末11a,11bを抑えることができる。
【0051】
従って、各端末11a,11bそれぞれ用の電極を用意する必要はなく、一種類の電極で済ませることができるため、生産効率が高まると共にコスト削減を図ることができる。なお、このように一種類の電極で巻線の各端末について共用するための他の方法として、電極の上下両方に突片を設け、各突片の長さの合計を鍔部12b,12c間の長さ以上にすることが挙げられる。
【0052】
特に、上述の面実装型コイル部品10は、巻線が捲回されたドラム型コア12と、このドラム型コア12をその軸回りに包囲する外装コア14とを備えている。ここで、外装コア14は、一対の部分コア15,16に分割されており、各部分コア15,16は、ドラム型コア12との間に所定の間隔であるコアギャップ18を有して配置されていることを特徴とする。
【0053】
外装コア14は一対の部分コア15,16に分割されているため、各々の部分コア15,16は独立してドラム型コア12に近接配置させることができ、したがって、ドラム型コア12と外装コア14(部分コア15,16)との間の隙間、コアギャップ18を所定の間隔に容易に管理することができる。すなわち、ドラム型コア挿入のための外装コア直径の余裕分を設ける必要がなくなり、面実装型コイル部品10自体の平面の面積が小さくすることができる。
【0054】
また、粒子Gがドラム型コア12及び外装コア14(部分コア15,16)に当接するため、コアギャップ18が部品毎にほぼ一定となり、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0055】
この面実装型コイル部品10においては、コアギャップ18が、粒径の揃った略球状の粒子Gにより形成されている。これにより、コアギャップ18を所定の間隔とし得る構成を簡易且つ容易に実現することができる。
【0056】
また、この面実装型コイル部品10においては、粒子Gが、ドラム型コア12と各部分コア15,16とを接着する接着剤Sに多数混練されている。これにより、コアギャップ18に、粒子Gを確実且つ容易に位置させることができる。
【0057】
また、この面実装型コイル部品10において、粒子Gは非磁性材料からなる場合には、粒子G自体がコイル特性に影響を与えないため、部品毎のコイル特性のバラツキを更に抑制することが可能となる。
【0058】
また、この面実装型コイル部品10においては、各部分コア15,16の内周面が、ドラム型コア12の鍔部12b,12cの外周面と同等の曲率半径を有している。これにより、コアギャップ18をドラム型コア12の周方向に沿ってほぼ一定な間隔とすることができ、部品毎のコイル特性のバラツキを更に抑制することが可能となる。
【0059】
また、この面実装型コイル部品10においては、各部分コア15,16の間には、互いに接合しないようにギャップ部21,22が形成されている。これにより、外装コア14(部分コア15,16)をドラム型コア12に十分に近接して配置することができ、面実装型コイル部品10自体の平面の面積をより一層小さくすることが可能となる。
【0060】
次に、図3〜図8を参照して、本実施形態の面実装型コイル部品10の製造方法を説明する。
【0061】
まず、図3(a)に示すようにドラム型コア12の胴部12aにクロスワイズ法によって巻線11を巻き始める。クロスワイズ法とは、1本の巻線をドラム型コアの下側及び上側にそれぞれ反対周りに巻き付けるものである。なお、同図では、上側の鍔部12bを省略している。図3(b)及び図3(c)は、巻線11の捲回を終えた状態を示す。
【0062】
図3(b)に示すように、捲回し終えた後に、巻線11の両端末11a,11bの先端部の絶縁被覆を除去する。また、図3(c)に示すように、クロスワイズ法では、巻線11は2段積層された形になり、巻線の幅方向はドラム型コア12の高さ方向に沿っている。このように積層数を2段に抑えることで、コイル部品10を低背にすることができる。
【0063】
次に、図4に示すように、ドラム型コア12に各部分コア15,16を接着する。接着に際しては、まず、電極が取付けられた部分コア15の内周面に接着材料Mを塗布した上で、ドラム型コア12の外周面と部分コア15の内周面とを対向させて配置し、ドラム型コア12を接着材料Mが塗布された部分に当接させる。その後、ヒートプレス(150℃で約5〜10秒)で接着剤Sを仮硬化させる。次いで、ドラム型コア12と部分コア15を押し付けない圧力フリー状態で、150℃で約30〜60分間加熱し、接着剤Sを本硬化させる。このとき、図5(a)あるいは(b)に示されるように、部分コア15を磁石MGの上に配置した後、ドラム型コア12を部分コア15の上に載せるようにしてもよい。これにより、磁石MGによる吸引力Bによって、ドラム型コア12が部分コア15上に吸い付くこととなる。図5(b)では、部分コア15を内周面が上方に向いた状態で磁石MGの上に配置し、部分コア15の内周面上にドラム型コア12を載置している。なお、図5においては、巻線11の図示を省略している。
【0064】
続いて、部分コア16を同様の手法でドラム型コア12に接着する。この際、巻線の端末11a,11bがそれぞれのギャップ部21,22を通るようにする。
【0065】
なお、接着材料Mは、ドラム型コア12(鍔部12b,12c)の外周面に塗布してもよく、また、部分コア15の内周面及びドラム型コア12の外周面に塗布してもよい。この接着材料Mは、平板上に薄く塗布された接着材料Mを、シリコーンスポンジあるいはシリコーンゴム等を用いて、部分コア15の内周面等に転写することにより塗布するようにしてもよい。
【0066】
次に、図6に示すように、ワイヤフォーミングによって巻線の端末11a,11bを電極の本体部25a,26a側に近付けた後に、突片25b,26bをかしめて巻線を仮止めする。この際、上記のようにギャップ部21,22は継線するのに十分なスペースとなっているため、作業をスムーズに行える。なお、図4に示す状態から突片25b,26bをかしめて、突片に押されることで巻線の端末11a,11bが自然と本体部25a,26a側に案内されるようにしてもよい。このように突片25b,26bを案内片として利用すれば、ワイヤフォーミングの工程を省略することができる。
【0067】
図7に示すように、次いで、突片25b,26bに挟まれた巻線の先端部分をカッター等で切断する。
【0068】
図8に示すように、その後、突片25b,26bを覆うようにアーク溶接やレーザビーム溶接或いはハンダ付け等を施し、巻線11と電極25,26の継線作業が終了する。以上により、本実施形態の面実装型コイル部品10が完成する。
【0069】
上述の面実装型コイル部品10の製造方法は、接着材料Mをドラム型コア12の外周面又は部分コア15,16の内周面又はこれらの双方に塗布した後、ドラム型コア12の外周面と部分コア15,16の内周面とを対向させて配置し、接着剤Sを硬化させてドラム型コア12と部分コア15,16とを接着する工程を含むこととなる。
【0070】
外装コア14は一対の部分コア15,16に分割されているため、各々の部分コア15,16は独立してドラム型コア12に配置させることができ、また、粒子Gによりコアギャップ18を規制することができる。すなわち、ドラム型コア挿入のための外装コア直径の余裕分を設ける必要がなくなり、面実装型コイル部品10自体の平面の面積が小さくすることができる。
【0071】
また、粒子Gがドラム型コア12及び外装コア14(部分コア15,16)に当接するため、コアギャップ18が部品毎にほぼ一定となり、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0072】
この面実装型コイル部品10の製造方法においては、ドラム型コア12及び部分コア15,16を磁場内に配置した状態で、ドラム型コア12の外周面と部分コア15,16の内周面とを対向させて配置している。このように、ドラム型コア12と部分コア15,16を磁場内に配置すると、双方間に吸引力が働くこととなる。したがって、部分コア15,16とドラム型コア12が引き合い、粒子Gが部分コア15,16の内周面及びドラム型コア12の外周面に確実に当接することとなる。
【0073】
また、この面実装型コイル部品10の製造方法においては、部分コア15,16を内周面が上方に向いた状態で磁場内に配置し、部分コア15,16の内周面上にドラム型コア12を載置することによりドラム型コア12の外周面と部分コア15,16の内周面とを対向させて配置している。この場合、上記吸引力の他に重力が作用することとなり、粒子Gが部分コア15,16の内周面及びドラム型コア12の外周面により一層確実に当接することとなる。
【0074】
図9は、上述の面実装型コイル部品10の直流重畳特性を示すグラフである。横軸は電流Idc(A)、縦軸はインダクタンスLs(μH)を示す。外装コアの寸法は3.6mm角であり、高さは1.8mm、内側の直径は1.9mm、巻き数(平角線)は14.5回である。No.1にて使用したガラスビーズの直径は、0.05mm(50μm)である。
No.1:ガラスビーズを用いてコアギャップを形成したもの。
No.2:ガラスビーズを用いないで、コアギャップの最短距離が10〜20μmのもの。
【0075】
以上のデータから、ガラスビーズを用いてコアギャップ18を形成したもの(No.1)は、初期インダクタンスを向上させつつも、0.8Aにおけるインダクタンスを比較的高くすることができ、また、0〜0.8Aにおけるインダクタンスの平坦性も比較的高くすることができる。
【0076】
(第2実施形態)
次に、図10及び図11を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品30の第2実施形態を説明する。図10は、本実施形態のコイル部品の斜視図であり、図11(a)は、コイル部品の平面図であり、図11(b)は、図9(a)のXIb−XIb方向の断面図である。
【0077】
面実装型コイル部品30は、巻線11が捲回されたドラム型コア12と、このドラム型コア12とほぼ一様のコアギャップ18を介して接着された一対の略U字型の部分コア35,36からなる外装コア34とを有している。部分コア35と部分コア36とは、互いに接合しないように対面位置にギャップ部41,42を介してドラム型コア12を側方から包囲している。
【0078】
コアギャップ18は、第1実施形態と同様に、接着材料Mを使用することで、その寸法を周方向にわたってほぼ一定とされている。すなわち、ドラム型コア12と部分コア35,36との間には、図12(b)に示されるように、粒子Gの粒径分だけの幅のコアギャップ18が形成されることとなる。図12(a)は、容器に入った状態での接着材料Mを示している。
【0079】
部分コア35には、部分コア36側に向けて平行に突設された直方体形状の脚部(対向突部)35a,35bが形成されており、該脚部35a,35bには、一対のキャップ状電極45,46が取付けられている。キャップ状電極45,46は、部分コア35に嵌着される本体部45a,46aと、この本体部に連設されてギャップ部41,42に位置する突片(案内片)45b,46bとを備える。
【0080】
電極本体部45a,46aは、各部分コアの脚部35a,35bの外側に位置する四辺形状の中心部と、その上下四隅に形成された帯状の片を折り曲げてなるフック部45h,46hとを備える。キャップ状電極45,46は、ドラム型コア12の高さ方向の上側及び下側に形成されたフック部45h,46hの挟み込みによって、脚部35a,35bに嵌着されている。
【0081】
このようなキャップ状電極45,46を用いることで、部分コアへの電極の取付けが容易で、且つ、不意の脱却を防止することができる。なお、下側のフック部45h,46hを通じて、プリント配線板との導通が図られる。なお、第1実施形態の面実装型コイル部品において、このようなキャップ状電極を適用することもできる。また、キャップ状電極は、本体部の四辺形領域を部分コアの内側に配置し、各フック部を外側に屈曲させて脚部35a,35bに取付けてもよい。
【0082】
突片45b,46bは、第1実施形態と同様に巻線の端末11a,11bを電極本体部との間に挟み込み、固定を補助するためのものである。突片45bは、図中下方に折り曲げて巻線を仮止めするように構成され、これとは反対に、突片46bは、上方に折り曲げて巻線を仮止めするようになっている。
【0083】
図10は、突片で巻線を抑える前の状態を示し、図11は、突片を折り曲げて巻線を仮止めした状態を示す。図11の状態にアーク溶接やハンダ付け等を施すことにより、継線が完了する。
【0084】
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、面実装型コイル部品30自体の平面の面積が小さくすることができると共に、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0085】
また、巻線の端末11a,11bは、部分コア45,46間のギャップ部41,42において、それぞれキャップ状電極45,46と接続される。つまり、巻線11は外装コア34の上側を迂回しないため、ほぼ巻線11の厚さ分(更には溶接或いはハンダ付けの隆起分)は低背化を実現できる。
【0086】
また、巻線11とキャップ状電極45,46の継線作業に際しては、巻線11を外装コア34の肩部で折り曲げる必要は無いため、その作業を容易に行うことができる。しかも、クロスワイズ法を利用して巻線11の幅方向がドラム型コア12の高さ方向に一致しているため、巻線11を捻らずにギャップ部を通すことができ、この観点からも継線作業が極めて容易になっている。
【0087】
(第3実施形態)
次に、図13を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第3実施形態を説明する。図13(a)は、本実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図13(b)は、図13(a)のXIIIb− XIIIb方向の断面図である。
【0088】
本実施形態の面実装型コイル部品50では、外装コア54を構成する部分コア55,56を同一形状のU字型にしている。このため、部分コア55,56間に形成されたギャップ部61とギャップ部62とを結んだ直線状にドラム型コア12の軸中心が位置する配置関係になっている。
【0089】
また、一対の電極65,66は、部分コア55の両脚部に接着剤によって接着されている。電極65,66は、部分コア55に接着される本体部65a,66aと、この本体部に連設された突片65b,66bとからなる。そして、第2実施形態と同様に、巻線の端末11a,11bはギャップ部61,62に通され、突片65b,66bによりギャップ部61,62において仮止めされている。図10の状態から、突片65b,66b付近を覆うようにアーク溶接やハンダ付け等を施すことで、継線が完了する。
【0090】
第1実施形態と同様に、接着材料Mを使用することで、コアギャップ18を州方向にわたってほぼ一定にすることができる。
【0091】
本実施形態においても、面実装型コイル部品50自体の平面の面積が小さくすることができると共に、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0092】
また、上記各実施形態と同様に巻線をギャップ部61,62に通すため、ほぼ巻線の厚さ分の低背化を図れる。更に、外装コアの肩部での折り曲げ作業が不要であることから巻線と電極との継線作業を容易に行える。また、本実施形態では、部分コア55,56を同一形状にしているため、第2実施形態と比較して、一種の部分コアを作製すれば済むという利点がある。
【0093】
(第4実施形態)
次に、図14を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第4実施形態を説明する。図14(a)は、本実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図14(b)は、図14(a)のXIVb− XIVb方向の断面図である。
【0094】
本実施形態では、面実装型コイル部品を平面視して外装コア54の外縁に沿って四角形(図11(a)において破線で示す)を仮想した場合に、部分コア55,56間のギャップ部61,62は対向する2つの頂点付近にそれぞれ位置している。また、部分コア55,56におけるギャップ部61,62を画成する面は、この仮想四角形の対角線l1と平行になっている。つまり、ギャップ部61,62は、ドラム型コア12の半径方向に渡って一定の幅になっている。
【0095】
なお、本例の場合も第1実施形態と同様に、接着材料Mを使用することで、コアギャップ18を周方向に渡ってほぼ一定にすることができる。
【0096】
本実施形態においても、面実装型コイル部品70自体の平面の面積が小さくすることができると共に、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0097】
また、上記各実施形態と同様に巻線をギャップ部61,62に通すため、ほぼ巻線の厚さ分の低背化を図れる。更に、外装コアの肩部での折り曲げ作業が不要であることから巻線と電極との継線作業を容易に行える。但し、ギャップ部61,62が外側に向かって広がる構造としていないため、継線作業の容易性という観点からは、本実施形態よりも第1実施形態の方が優れた構成といえる。
【0098】
(第5実施形態)
次に、図15を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第5実施形態を説明する。図15(a)は、本実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図15(b)は、図15(a)のXVb− XVb方向の断面図である。
【0099】
本実施形態では、外装コア74を構成する各部分コア75,76のいずれについても、他方のコアに向かう脚部の長さが左右(図12(a)では上下)で異なるようにしている。部分コア75では脚部75rが他方の脚部75lよりも長く、部分コア76では脚部76rが他方の脚部76lよりも長くされている。また、部分コア75と部分コア76は、同一の形状になっている。
【0100】
更に、部分コア75の両脚部75r,75lには、一対の電極65,66が取付けられている。電極65,66は第3実施形態と同種の構造をしており、部分コアに接着される本体部65a,66aとこれに連設されてギャップ部61,62に位置する突片65b,66bとを備える。
本実施形態においても、上記各実施形態と同様に巻線をギャップ部61,62に通すため、ほぼ巻線の厚さ分の低背化を図れる。更に、外装コアの肩部での折り曲げ作業が不要であることから巻線と電極との継線作業を容易に行える。
【0101】
なお、本例の場合も第1実施形態と同様に、接着材料を使用することで、コアギャップ18を周方向に渡ってほぼ一定にすることができる。これにより、面実装型コイル部品80自体の平面の面積が小さくすることができると共に、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0102】
(第6実施形態)
次に、図16を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第6実施形態を説明する。
【0103】
本実施形態の面実装型コイル部品90では、ドラム型コア12を包囲する外装コア84は、部分コア85と部分コア86とで構成されている。そして、部分コア85と部分コア86との間には、ギャップ部21が一箇所だけ形成されている。更に、この一つのギャップ部21に巻線の両端末11a,11bを通し、それぞれ電極25,26に接続している。電極としては、例えば第1実施形態のように突片を備えるものを使用できる。
【0104】
このような構成にした場合、突片で巻線を挟む仮固定や、その後のアーク溶接やハンダ付け等の継線作業をギャップ部21の一箇所で集中して行えるため、面実装型コイル部品の製造作業がスムーズになり、生産性の向上にも繋がる。
【0105】
なお、本実施形態では、ギャップ部が一つだけ形成されているが、第1実施形態のようにギャップ部が複数形成されている場合に、そのうちの一つに巻線の両端末を通すようにしてもよい。
【0106】
なお、本例の場合も第1実施形態と同様に、接着材料を使用することで、コアギャップ18を周方向に渡ってほぼ一定にすることができる。これにより、面実装型コイル部品90自体の平面の面積が小さくすることができると共に、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0107】
(第7実施形態)
次に、図17を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第7実施形態を説明する。
【0108】
本実施形態の面実装型コイル部品98では、ドラム型コア12を包囲する外装コア94は、部分コア95、部分コア96、及び部分コア97の3つで構成されている。見方を変えると、図10に示した面実装型コイル部品50における部分コア56を二分したものに相当する。このように外装コアを3分した構造のため、それぞれの部分コア間には、3つのギャップ部91,92,93が形成されている。ギャップ部を複数設ければ、直流重畳特性を良好に、すなわち電流変化に対するインダクタンスの変化が小さくできるという利点がある。
【0109】
また、部分コア95の両脚部には、一対の電極65,66が取付けられている。そして、巻線の両端末11a,11bは、ギャップ部91,92に通されて、各電極65,66に接続されている。
【0110】
このように、外装コアを3分した場合にも、上記各実施形態と同様の効果が得られる。更に、図示は省略するが、外装コアを4つ以上の部分コアで形成する場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0111】
なお、本例の場合も第1実施形態と同様に、接着材料Mを使用することで、コアギャップ18を周方向に渡ってほぼ一定にすることができる。これにより、面実装型コイル部品98自体の平面の面積が小さくすることができると共に、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0112】
(第8実施形態)
次に、図18及び図19を参照して、本発明に係る面実装型コイル部品の第8実施形態を説明する。
【0113】
本実施形態の面実装型コイル部品110では、ドラム型コア12の一方の鍔部12b(第2の鍔部)が、他方の鍔部12c(第1の鍔部)よりも大径とされている。また、各部分コア15,16は、鍔部12cの外周面との間にコアギャップ18を有すると共に、鍔部12bにおける鍔部12cに対向する面との間にコアギャップ18を有して配置されている。
【0114】
なお、本例の場合も第1実施形態と同様に、接着材料Mを使用することで、コアギャップ18を周方向に渡ってほぼ一定にすることができる。これにより、面実装型コイル部品110自体の平面の面積が小さくすることができると共に、部品毎のコイル特性のバラツキを抑制することが可能となる。
【0115】
また、鍔部12bにおける鍔部12cに対向する面と部分コア15,16との間のコアギャップ18が、ドラム型コア12の軸と直交する方向に延びて形成されているので、鍔部12bにおける鍔部12cに対向する面の裏面側に漏洩する磁束を減少することができる。
【0116】
なお、鍔部12bにおける鍔部12cに対向する面と部分コア15,16との間に形成されるコアギャップ18の幅と、鍔部12cの外周面と部分コア15,16との間に形成されるコアギャップ18の幅は、面実装型コイル部品110に求められるコイル特性(L特性、直流重畳特性等)に応じて適宜設定され、必ずしも同じ値である必要はない。
【0117】
(従来例との比較)
本発明の作用効果を検証するために、図20に示す条件で従来例との比較を行った。それぞれの面実装型コイル部品は、縦横4mm、厚さ1.8mmで、インダクタンスが約10μHとなるように設計されている。
【0118】
本発明の実施例に係る面実装型コイル部品(以下、本コイル部品と称する)としては、第3実施形態(図13)を採用している。巻線は、ワイヤサイズ0.1mm×0.4mmの平角線を使用し、その巻数は17.5tsである。このときの直流抵抗は0.076Ωである。また、コアギャップは50μmである。
【0119】
第1の比較例(以下、比較例1と称する)は、ドラム型コアとリング状の外装コアとからなり、これらが互いに接触しない構成のものである。巻線は、ワイヤサイズφ0.13mmの丸線を使用し、その巻数は19.5tsである。このときの直流抵抗は0.145Ωである。
【0120】
第2の比較例(以下、比較例2と称する)は、ドラム型コアとリング状の外装コアとからなり、ドラム型コアの鍔部が外装コアに接合した構成のものである。巻線は、ワイヤサイズφ0.12mmの丸線を使用し、その巻数は17.5tsである。このときの直流抵抗は0.16Ωである。
【0121】
直流重畳特性に対するインダクタンスの変化を示すのが図21である。これによると、本コイル部品は、比較例1より少なく、比較例2と同等の巻数で同等のインダクタンスが確保でき、且つ、両比較例1,2よりも直流重畳特性に優れている。
【0122】
また、本コイル部品においてコアギャップを50μm以下とする場合は、より少ない巻数で同等のインダクタンスを得ることが可能となり、よって、より低直流抵抗の面実装型コイル部品が得られる。一方、コアギャップを50μm以上とする場合は、同等のインダクタンスを有しながら、直流重畳特性の向上が可能となる。
【0123】
なお、本コイル部品においては、平角線を使用することが可能であるため、一般に低直流抵抗化が実現される。
【0124】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、図13(b)に示す形態(第3実施形態)において、部分コアの脚部を、断面が内側(ドラム型コア側)に向けて高さが窄まるようにテーパ状に形成することができる。この際、電極本体部における上下の片を互いに近付くように屈曲させれば、接着剤を使わずに電極を部分コアに嵌め込むことができる。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る面実装型コイル部品及びその製造方法によれば、小型化を達成すると共に製品毎のコイル特性のバラツキを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る面実装型コイル部品の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、第1実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示したコイル部品の正面図であり、図2(c)は、図2(a)に示したコイル部品の側面図である。
【図3】図3(a)は、ドラム型コアに巻線を巻き始める状態を示す図であり、図3(b)及び図3(c)は、巻線の捲回を終えた状態を示す図である。
【図4】面実装型コイル部品の製造の一工程を示し、ドラム型コアと部分コアを接着する状態を示す図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、ドラム型コアと部分コアを接着する状態の一例を示す図である。
【図6】図4に続く工程であり、電極の突片によって巻線を仮止めした状態を示す図である。
【図7】図6に続く工程であり、巻線の先端部を切断した状態を示す図である。
【図8】図7に続く工程であり、電極の突片付近に溶接を施して継線を終えた状態を示す図である。
【図9】上述の面実装型コイルの直流重畳特性を示すグラフである。
【図10】本発明に係る面実装型コイル部品の第2実施形態を示す斜視図である。
【図11】図11(a)は、第2実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図10(b)は、図11(a)に示したコイル部品のXIb−XIb断面図である。
【図12】図12(a)は、接着材料の構成を説明するための概念図であり、図12(b)は、ドラム型コアと部分コアとの接着状態を説明するための概念図である。
【図13】図13(a)は、第3実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図13(b)は、図13(a)に示したコイル部品のXIIIb−XIIIb断面図である。
【図14】図14(a)は、第4実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図14(b)は、図14(a)に示したコイル部品のXIVb−XIVb断面図である。
【図15】図15(a)は、第5実施形態の面実装型コイル部品の平面図であり、図14(b)は、図15(a)に示したコイル部品のXVb−XVb断面図である。
【図16】第6実施形態の面実装型コイル部品の平面図である。
【図17】第7実施形態の面実装型コイル部品の平面図である。
【図18】第8実施形態の面実装型コイル部品の斜視図である。
【図19】第8実施形態の面実装型コイル部品の断面図である。
【図20】本発明の実施例と従来例との構成を説明するための図表である。
【図21】本発明の実施例と従来例とにおける特性の比較を示す図表である。
【符号の説明】
10…面実装型コイル部品、11…巻線、11a,11b…巻線の端末、12…ドラム型コア、12a…胴部、12b,12c…鍔部、14…外装コア、15,16…部分コア、18…コアギャップ、21,22…ギャップ部、25,26…電極、G…粒子、M…接着材料、S…接着剤。
Claims (11)
- 巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアをその軸周りに包囲する外装コアと、を備える面実装型コイル部品であって、
前記外装コアは、複数の部分コアに分割されており、
前記各部分コアは、前記ドラム型コアとの間に所定の間隔を有して配置されていることを特徴とする面実装型コイル部品。 - 前記所定の間隔は、粒径の揃った略球状の粒子により形成されることを特徴とする請求項1に記載の面実装型コイル部品。
- 前記略球状の粒子は、前記ドラム型コアと前記各部分コアとを接着する接着剤に多数混練されていることを特徴とする請求項2に記載の面実装型コイル部品。
- 巻線が捲回されたドラム型コアと、このドラム型コアを包囲するように設けられた外装コアと、を備える面実装型コイル部品であって、
前記外装コアは、複数の部分コアに分割されており、
前記ドラム型コアと前記各部分コアとは、所定の間隔を有するように、粒径の揃った略球状の粒子を多数混練した接着剤を介して接着されていることを特徴とする面実装型コイル部品。 - 前記略球状の粒子は、非磁性材料からなることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の面実装型コイル部品。
- 前記ドラム型コアは、前記巻線が捲回された胴部と、この胴部の両側に設けられた一対の鍔部とを備え、
前記各部分コアは、前記鍔部の外周面と対向し、当該鍔部の外周面と同等の曲率半径を有する内周面を備えることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の面実装型コイル部品。 - 前記各部分コアの間には、互いに接合しないようにギャップ部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の面実装型コイル部品。
- 前記ドラム型コアは、前記巻線が捲回された胴部と、前記胴部の一側に設けられた第1の鍔部と、前記胴部の他側に設けられ、前記第1の鍔部よりも大径とされた第2の鍔部と、を含み、
前記各部分コアは、前記第1の鍔部の外周面との間に前記所定の間隔を有すると共に、前記第2の鍔部における前記第1の鍔部に対向する面との間に所定の間隔を有して配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の面実装型コイル部品。 - 巻線が捲回されたドラム型コアと、その軸周りに包囲する外装コアと、を備え、前記外装コアが複数の部分コアに分割されている面実装型コイル部品の製造方法であって、
粒径の揃った略球状の粒子を多数混練した接着剤を前記ドラム型コアの外周面又は前記複数の部分コアの内周面又はこれらの双方に塗布した後、前記ドラム型コアの外周面と前記複数の部分コアの内周面とを対向させて配置し、前記接着剤を硬化させて前記ドラム型コアと前記複数の部分コアとを接着する工程を含むことを特徴とする面実装型コイル部品の製造方法。 - 前記ドラム型コア及び前記部分コアを磁場内に配置した状態で、前記ドラム型コアの外周面と前記部分コアの内周面とを対向させて配置することを特徴とする請求項9に記載の面実装型コイル部品の製造方法。
- 前記部分コアを前記内周面が上方に向いた状態で前記磁場内に配置し、前記部分コアの内周面上に前記ドラム型コアを載置することにより前記ドラム型コアの外周面と前記部分コアの内周面とを対向させて配置することを特徴とする請求項10に記載の面実装型コイル部品の製造方法。
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