JP2004006009A - 情報記憶媒体、情報記録方法、および情報記録再生装置 - Google Patents
情報記憶媒体、情報記録方法、および情報記録再生装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】記録単位間での重なりを防ぎつつ高密度記録を達成する。
【解決手段】所定の記録単位(ECCブロック単位130a、130b)の間に隙間(111b;長さδ)を開けて記録を行う。この隙間(δ)を開けたため、媒体(9)の回転駆動機構(スピンドルモータ)に回転ムラがあっても前後の記録単位間(110a、131b)で重なりが起きず、記録データの破壊(重なりが生じたときに起きる一部の記録マーク破壊)が防止される。
【選択図】 図8
【解決手段】所定の記録単位(ECCブロック単位130a、130b)の間に隙間(111b;長さδ)を開けて記録を行う。この隙間(δ)を開けたため、媒体(9)の回転駆動機構(スピンドルモータ)に回転ムラがあっても前後の記録単位間(110a、131b)で重なりが起きず、記録データの破壊(重なりが生じたときに起きる一部の記録マーク破壊)が防止される。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、集束光(ブルーレーザなど)を用いた情報記録における高密度化技術に関する。とくに、線速度一定(Constant Linear Verocity:CLV)でデジタル情報の記録再生を行う高密度光ディスクに対する情報記録方法の改良に関する。さらには、片面2層以上の多層記録層を持つ記録可能光ディスクにおける層間クロストークの低減技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
集束光を用いて反復記録(反復書き替え)が可能な高密度情報記憶として、DVD−RAMやDVD−RWなどの光ディスクが知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−43569号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
《問題点1》
DVD−RW(書替可能媒体)では、既にデータが記録されている部分に対して一部重ね書きして次のデータを記録するようになっている(Restricted Overwrite)。この場合、既に記録されているデータの一部が破壊されて記録が行われるので、情報記憶媒体に記録された情報の信頼性が著しく低下する。
【0005】
《問題点2》
一方、DVD−RAM(反復記録可能媒体)には、以下のような問題がある:
a)情報記憶媒体上に多数点在するプリピットヘッダの間にデータを記録するため情報の記録効率(記録密度)が低下して大容量化が困難である。
【0006】
b)大容量化のため片面2記録層構造とした場合ではプリピットヘッダによる層間クロストークが発生して再生信号特性が劣化する。すなわち、記録層内では既記録部と未記録部との間で光反射率に差があるため、他の記録層上の記録マーク有無の影響が再生信号に影響を及ぼす層間クロストークが存在し、これが再生信号特性を劣化させる。
【0007】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、記録単位間での重なり(《問題点1》で述べた信頼性の低下をもたらす)を防ぎつつ、高密度記録を達成することである。
【0008】
この発明の他の目的は、片面2層以上の多層記録層を持つ情報記憶媒体における層間クロストーク(《問題点2》で述べた再生信号特性の劣化をもたらす)の影響を抑えることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明では、所定の記録単位(例えば16〜32セクタ/32k〜64kバイトのECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するようにしている。この隙間(δ)を開けたため、媒体の回転駆動機構(スピンドルモータ)に回転ムラがあっても前後の記録単位間で重なりが起きず、(重なりが生じたときに起きる一部の記録マーク破壊による)記録データの破壊が防止され、記録データの高い信頼性を保てるようになる。
【0010】
上記他の目的を達成するために、トラックピッチがPtである螺旋状トラック(112)を持つ片面複数記録層(122、123)型の円盤状媒体(例えば片面2層光ディスク9)を用いるこの発明では、開口数NAの対物レンズ(121)と屈折率がnで厚みがtの中間層(124)とを介して光学的にデータ記録が行なわれる。このデータ記録は、所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)が開くようにして行われる。ここで、D=2ttan{sin−1(NA/n)}としたときに、前記隙間の長さδは、「δ≦π(D+Pt)D/Pt」となるように構成される。
【0011】
あるいは、上記他の目的を達成するために、この発明では、回転中心を持つ円盤状情報記憶媒体(9)上の螺旋状トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録がなされるように構成される。ここで、前記トラック(112)のうち互いに隣接する少なくとも1組の隣接トラックペア(図8の112a、112b)において、この隣接トラックの一方(112a)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(図8のA)と、この隣接トラックの他方(112b)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心に対する角度位置(図8のB)とが異なるように構成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の種々な実施の形態に係る情報記憶媒体、情報記録方法、および情報記録再生装置を説明する。
【0013】
図1は、この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)9へのデータ記録方法の基本概念を説明する図である。この情報記憶媒体(片面2層タイプ)9の構造は、図2に概略的に示されている。
【0014】
図1の情報記憶媒体9が図2(a)に示すような片面2層タイプの場合、媒体9の基板90には、例えば相変化型の第1記録層123が形成され、その上に厚さtで屈折率がnの透明な中間層124が形成され、その上に相変化型の第0記録層122が形成され、さらにその上に(例えば厚さが100μm程度の)透明保護層125が形成される。
【0015】
図1および図2に示す情報記憶媒体9には、螺旋状もしくは同心円状に微細なプリグルーブ(連続溝)が予め凹凸形状で形成されており、それがトラック112を構成している。このトラック112に沿って記録層(図2(a)の122または123)上に記録マーク(図2(b)の127)を形成することで、情報記録が行われる。
【0016】
この実施の形態では、連続して記録マーク127を形成する連続データ記録単位(図1の110a、110b、110c)毎に情報の記録あるいは情報の書き換えを行うことで、記録マーク127の形成を行っている。その際、各連続データ記録単位110a、110b、110c同士の間には、長さがδの隙間111b、111cが開くようになってる。このようにデータ記録単位間に所定の隙間δを設けることが、この実施の形態に係るデータ記録方法の骨子である。
【0017】
図1に示すように各連続データ記録単位110a、110b、110cの間に隙間111b、111cを設けると、これらの隙間(δ)が、円盤状媒体9を回転駆動するスピンドルモータ(後述する図6の204)の回転ムラの影響(ジッタ)を吸収する。すなわち、この隙間(例えば111b)を設けたことにより、情報記録時に回転駆動系の回転ムラにより大きなジッタが生じても、隣接する連続データ記録単位(例えば110aと110b)の間に重なりが生じることが防止され、連続データ記録単位110でのデータの書き換えが安定かつ容易に行えるようになる。これが、データ記録単位間に隙間δを設けるデータ記録方法により得られる大きな特徴となっている。
【0018】
この実施の形態では、隙間111の長さδと連続データ記録単位110の長さLが情報記憶媒体9内の半径位置に依らず常に一定となるCLV(Constant Linear Verocity)記録を採用している。連続データ記録単位110内のデータ構造は、連続データ記録単位110の最初に設けられた記録の同期合わせ用VFO(Variable Frequency Oscillator)領域113と、それに続く記録情報114とで構成されている。
【0019】
なお、図1の記録情報114の内容は、1個のECCブロックそのままのデータ(例えば後述する図4(f)の小ECCブロック8−0と図4(g)の小ECCブロック8−1の両方を組み合わせたデータ)が変調された形で記録される。しかし、この発明の実施における対象内容はそれに限られない。例えば、記録情報114が複数のECCブロックから構成され、もしくは記録情報114が1個のECCブロック内のデータに対する整数分の一のデータから構成されることも、この発明の実施内容に含まれる。あるいは後述する図3に示された物理セクタ情報4の1個分、または複数の物理セクタ情報4から、1個分の記録情報114が構成されても良い。
【0020】
次に、図1の記録方法により、片面2記録層タイプの情報記憶媒体9に対して層間クロストークが大幅に低減することを、図2を用いて説明する。
【0021】
例えば図2(a)に示すように、対物レンズ121(その開口数NAは例えば0.85前後)を介して第1層の記録層123上にレーザ光(その波長λは例えば405nm前後)120を集光させ、第1層の記録層123からの反射光量の変化を検出して第1層の記録層123に記録された情報の再生を行う場合を考える。このときレーザ光120の一部は第0層の記録層122で反射して再び対物レンズ121を通過して検出光に漏れ込む。
【0022】
前述した従来技術の《問題点2》で説明したように、記録層122および123内では既記録部と未記録部との間(記録マーク127の内外)で光反射率に差がある。従って第0層の記録層122が完全に未記録状態で記録マーク127が全く存在しない場合と、第0層の記録層122全面に亘って既にデータが記録され、至る所に記録マーク127が分布する場合とでは第0層の記録層122で反射して検出光に漏れ込む光の量が大幅に変化する。この第0層の記録層122で反射して検出光に漏れ込む光量の変化が第1層の記録層123から反射して情報再生に利用する再生信号に漏れ込み(層間クロストーク)、再生信号特性を劣化させる。
【0023】
いま、図2(a)に示す第1層の記録層123上に集光させるという条件下で、第0層の記録層122上に当たるレーザ光120の直径をDとし、対物レンズ121の開口数(Numerical Apperture)をNAとし、中間層124の屈折率をnとし、中間層124の厚みをtとしてみる。すると、
NA=nsinθ …(1)
D=2ttanθ …(2)
なので、
D=2ttan{sin−1(NA/n)} …(3)
となる。
【0024】
ここで、図2(b)のように、光ディスク9の半径方向(トラック112に対して直角方向)に、互いに隣接する複数の隙間111が一直線に並んだ場合を考える。
【0025】
δ>Dのときは、互いに隣接する複数の隙間111が一直線に並んだ領域にレーザ光120が完全に入ってしまう場合(図示せず)が生じる。このときは直径Dのレーザ光120領域内には記録マーク127が一切含まれない全くの未記録状態(便宜上この状態をαの状態と呼ぶ)になる。
【0026】
また直径Dのレーザ光120が隙間111が一直線に並んだ領域から大きく離れた位置へ移動した場合には、直径Dのレーザ光120領域内全面の至る所が記録マーク127で埋まった状態(この状態をβの状態と呼ぶ)になる。
【0027】
前述したように、記録マーク127の内外で光反射率に差があるため、αの状態とβの状態で第0層の記録層122で反射するレーザ光120の反射光量に大きな開きが生じ、その結果非常に大きな層間クロストークが発生する。
【0028】
それに対して、δ≦Dすなわち
δ≦2ttan{sin−1(NA/n)} …(4)
の状態にすると、図2(b)に示すように、隙間111が一直線に並んだ領域は直径Dのレーザ光120領域内の一部のみに存在するようになるため、隙間111が一直線に並んだ領域をレーザ光120が通過するときの第0層の記録層122で反射するレーザ光120の反射光量の変化量(すなわち層間クロストーク量)が、上述したαの状態とβの状態の間の差よりも小さくなる。
【0029】
このように連続データ記録単位110a、110b、110cの間に隙間111b、111cを配置し、隙間111b、111cの長さδを小さくすることで、片面多層ディスクの再生時における層間クロストーク量を低減させることができる。ここにこの実施の形態の大きな特徴がある。
【0030】
なお、層間クロストーク量低減の効果は、
δ≦D/2 (つまりδ≦ttan{sin−1(NA/n)}) …(5)
のときに顕著に現れる。
【0031】
さらに実験評価した結果、δが取り得る値として
δ≦D/4 (つまりδ≦ttan{sin−1(NA/n)}/2)…(6)
とすることが、再生信号の特性劣化が少ない(層間クロストークの影響が少ない)条件となることが分かった。
【0032】
隙間δの具体例を挙げると、NA=0.85、n=1.57、t=50μmのときには、(4)式から、δ≦64μmとなる。(5)式からはδ≦32μmとなり、(6)式からはδ≦16μmとなる。
【0033】
前述したようにこの発明の実施の形態ではCLV方式でトラックに沿ってデータを記録している。従って情報記憶媒体9の一周の長さが図1でのL+δの長さ(すなわちトラック112に沿った方向で飛び飛びに並ぶ隙間111の物理的周期の長さ)の整数倍からずれている半径位置では、おのずと隣接トラック間で隙間111の位置がずれてくる。
【0034】
それに対して、情報記憶媒体9の一周の長さが図1でのL+δの長さ(隙間111の物理的周期長)の整数倍に一致している半径位置では、隣接トラック間で隙間111が隣りに並び、図2(b)のように隙間領域111が情報記憶媒体9の半径方向に一直線に並ぶ。そこで、このような半径位置では、トラック112に沿った方向での隙間111の物理的周期長を変化させて、隣接トラック間で隙間111が隣りにこないように配置するようにしている。ここにもこの発明の実施の形態の特徴がある。
【0035】
図3は、この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体に記録される物理セクタデータの構成を説明する図である。また図4は、図3の物理セクタデータに対するECCブロックの形成方法を説明する図である。以下、図3および図4を参照しながらこの発明の実施の形態におけるECCブロック内の構造に関する概念説明を行う。
【0036】
連続して転送されるAV情報やストリーム情報は細かく分割され、それぞれパックヘッダを付加したパック構造に変換されて情報記憶媒体(光ディスク)9に記録される。すなわち、図3(a)に示すように、映像情報はビデオパック1−0、1−1、1−2、…、音声情報はオーディオパック2−0、2−1、…の形で、時間軸上で連続的に並べられて、転送される。この1個ずつのビデオパック1−0〜、オーディオパック2−0〜のデータサイズは2048バイトであり、論理セクタ情報サイズと一致している。各ビデオパック1−0〜、オーディオパック2−0〜は、図3(b)に示すように、論理セクタ情報3−1〜3−31のように抽象化されて論理レイヤでは扱われる。(すなわち論理セクタ情報3−1〜3−31の具体的中身の例が各ビデオパック1−0〜、オーディオパック2−0〜になる。)
図3および図4に示した実施の形態では、物理セクタ情報と論理セクタ情報が一致しているので、その情報はそのまま図3(c)に示すように物理セクタ情報4−0〜4−31として扱われる。
【0037】
詳細は後述するが、それぞれの物理セクタ情報4−0〜4−31は、次のように構成される。すなわち、4バイトのPID情報、2バイトのIED情報、10バイトのリザーブ領域(現行DVDでのサイズは6バイト)が先頭に配置され、末尾に4バイトのEDCが配置される(データ0−0−0からデータ0−0−5)。その後、188バイト毎に分割され(データ0−0−0からデータ0−0−5までの各データ)、それぞれ188バイト毎にエラー訂正用のPI(inner−code parity)データ(PI0−0−0からPI0−0−5まで)が付加され、図3(d)または図4(d)のように順次配置される。奇数番目の物理セクタデータ(1番目の物理セクタデータ5−0)内では最後にエラー訂正用のPO(outer−code parity)データ(PO0)が配置されて物理セクタデータ5−0が完成される。
【0038】
この発明の実施の形態は、偶数番目の物理セクタデータ(2番目の物理セクタデータ5−1)内では最後から2番目の列にPOデータ(PO1)が配置され、偶数番目の物理セクタデータの最後にデータ1−1−5とPIデータ(PI1−1−5)が配置される構造を持つところに特徴を持つ。このようにして完成された物理セクタデータ5−0〜5−31は、図3(e)に示すように物理セクタデータ5−0〜5−31の配列順に従って光ディスク(情報記憶媒体9)上に記録される。
【0039】
図4(d)(f)(g)に示すように、1個の物理セクタデータ5−0は同時に2個の異なる小さなECCブロック8−0および8−1内のデータの組み合わせとして構成されている。(この実施の形態では図4(f)(g)に示すECCブロック8−0と8−1の塊(小単位)を小さなECCブロックと呼び、小さなECCブロック8−0と8−1の2個を組み合わせた全体を一般的なECCブロックと呼ぶ。)
すなわち、物理セクタデータ5−0内のデータは200バイト毎に細かく分割され、188バイトのデータ0−0−0とPIデータ0−0−0がECCブロック8−0内の最初の行に配置される。物理セクタデータ5−0内の次に続く188バイトのデータ0−1−0とPIデータ0−1−0は、小さなECCブロック8−1内の最初の行に配置される。さらに、物理セクタデータ5−0内のその次に続く188バイトのデータ0−0−1とPIデータ0−0−1がECCブロック8−0内の2行目に配置される。小さなECCブロック8−1内のPOデータのうち、最初の200バイトが、PO0として小さなECCブロック8−1内の6行目に挿入される。その結果、データ0−0−0からPO0までのデータが物理セクタデータ5−0を構成するようになる。
【0040】
次の物理セクタデータ5−1内の最初のデータ1−0−0とそれに続くPI1−0−0は、図4(f)に示すように、ECCブロック8−0内の7行目に配置される。ECCブロック8−0内のPOデータのうち、最初の200バイトのデータは、PO1としてECCブロック8−0内の12行目に配置される。
【0041】
このように、1行(200バイト)毎のPOデータ(PO0、PO1)が2物理セクタデータ5−0〜5−31毎に等間隔で配置され、その配置位置が、対をなす小さなECCブロック8−0および8−1の間で1物理セクタデータ分ずつずれる。
【0042】
図5は、この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体に記録されるECCブロックの内部構造を説明する図である。図5は、図4(f)(g)に示した小さなECCブロック8−0または8−1内の詳細な構造を例示している。なお、図5において“セクタ”に付いた数字は、データセクタにおける行番号を示す。
【0043】
図5の右側は左右の(200バイト列毎の)2個の小さなECCブロックの組み合わせ状態を示している。各小さなECCブロック内は、188バイト毎にPIが12バイト付加されるとともに、16行分のPOが付加された構造となっている。また、この16行分のPOはそれぞれ1行ずつに分解され、各12行毎に1行ずつインターリーブされて挿入されている。図5の1行200バイト列毎の斜線部が、インターリーブされて挿入されたPOを意味する。
【0044】
1セクタ当たりに割り当てられるユーザ情報サイズは、現行DVDと同様の2048バイトであり、アプリケーションレイヤで認識される論理セクタ情報と同じ内容の情報が個々の物理セクタ情報(メインデータ)として設定される。このメインデータ(物理セクタ情報)の2048バイトに対して、4バイトのデータID情報、2バイトのIED情報、10バイトのリザーブ領域(現行DVDのサイズは6バイト)が先頭に配置され、末尾に4バイトのEDCが配置されて、物理セクタの全データが構成される。
【0045】
1物理セクタデータが2個の小さなECCブロック間にまたがって(すなわち一般的なECCブロック内で)インターリーブされることにより、エラー訂正可能なバーストエラー長を従来のほぼ2倍に向上させている。すなわち1物理セクタデータは188バイトずつに分割され、さらに12バイトのPI(現行のPIサイズは10バイトであり、12バイトに増加させたことで行毎のエラー訂正能力が向上した)を付加させた行毎に交互に左右の異なるECCブロック内に順次配置させる。これも、この実施の形態の特徴の1つである。
【0046】
1物理セクタ内のデータ(データセクタ)は、図5の実施の形態では、それぞれ11行と言う奇数行になっている。ここにも、この実施の形態の特徴がある。このようにデータセクタを奇数行に設定することで、各物理セクタに1行ずつのPO行を挿入したときに合計行数が偶数行となり、PO行を、2個の小さなECCブロック内(すなわち一般的な1個のECCブロック内)に余りを生じさせること無くきちんと組み入れることが可能となる。
【0047】
各物理セクタ毎の先頭位置(図5では左上隅の位置)に必ずPID情報が配置され、かつ効率良くPOをインターリーブ挿入できるように、図5の実施の形態ではPOの挿入位置に工夫がなされている。すなわち、偶数セクタではセクタの最後の行位置にPOが配置されているのに対して、奇数セクタでは最後から2番目の行位置にPOが配置された構造となっている。その結果、各POは同一ECCブロック内に配置されるとともに、全ての物理セクタのデータサイズを一致させることが可能となる。ここにも、この実施の形態の特徴がある。
【0048】
次に図6を参照しながら、この発明の実施の形態に係る情報記録再生装置の構造説明を行う。
【0049】
1.情報記録再生部の機能説明
1−1.情報記録再生部の基本機能
情報記録再生部では、以下の処理が行われる。すなわち、
・情報記憶媒体(光ディスク)9上の所定位置に集光スポットを用いて新規情報の記録あるいは書き換え(情報の消去も含む)を行う;
・情報記憶媒体(光ディスク)9上の所定位置から集光スポットを用いてすでに記録されている情報の再生を行う。
【0050】
1−1−1.情報記録再生部の基本機能達成手段
上記の基本機能を達成する手段として情報記録再生部では、以下の処理が行われる。すなわち、
・情報記憶媒体9上のトラック112に沿って集光スポットをトレース(追従)させる;
・情報記憶媒体9に照射する集光スポットの光量を変化させて情報の記録/再生/消去の切り替えを行う;
・外部から与えられる記録信号dを高密度かつ低エラー率で記録するために最適な信号に変換する。
【0051】
2.機構部分の構造と検出部分の動作
2−1.光学ヘッド202基本構造と信号検出回路
2−1−1.光学ヘッド202による信号検出
光学ヘッド202は、基本的には、光源である半導体レーザ素子(図示せず)と、光検出器と、対物レンズとから構成されている。半導体レーザ素子から発光されたレーザ光は、対物レンズ(図2では121)により情報記憶媒体(光ディスク)9上に集光される。情報記憶媒体(光ディスク)9の光反射膜もしくは光反射性記録膜(図2では122または123)で反射されたレーザ光は、光検出器により光電変換される。光検出器で得られた検出電流は、アンプ213により電流−電圧変換されて検出信号となる。この検出信号は、フォーカス・トラックエラー検出回路217あるいは2値化回路212で処理される。
【0052】
一般的には、光検出器は複数の光検出領域に分割され、各光検出領域に照射される光量変化を個々に検出している。この個々の検出信号に対してフォーカス・トラックエラー検出回路217で和・差の演算を行い、フォーカスずれとトラックずれの検出を行う。このようにして情報記憶媒体(光ディスク)9の光反射膜もしくは光反射性記録膜からの反射光量変化を検出し、情報記憶媒体9上の信号cを再生する。
【0053】
2−1−2.対物レンズアクチュエータ構造
半導体レーザ素子から発光されたレーザ光を情報記憶媒体9上に集光させる対物レンズ(図2では121)は、対物レンズアクチュエータ駆動回路218の出力電流に応じて2軸方向に移動可能な構造になっている。この対物レンズの移動方向は、
・フォーカスずれ補正用に情報記憶媒体9に対する垂直方向に移動し、
・トラックずれ補正用に情報記憶媒体9の半径方向に移動するようになっている。
【0054】
このような対物レンズの移動機構を、対物レンズアクチュエータと呼ぶ。
【0055】
2−2A.情報記憶媒体(光ディスク)の回転制御系(ゾーンCAVの回転制御)
スピンドルモータ204の駆動力によって回転駆動される回転テーブル221上に、情報記憶媒体(光ディスク)9を装着する。情報記憶媒体9の回転数(回転速度)は情報記憶媒体9から得られる再生信号によって検出する。すなわち、アンプ213から出力される検出信号(アナログ信号)は2値化回路212でデジタル信号に変換され、この信号からPLL(Phase Lock Loop)回路211により一定周期信号(基準クロック信号)を発生させる。情報記憶媒体回転速度検出回路214は、この信号を用いて情報記憶媒体9の回転数を検出し、その値を出力する。
【0056】
情報記憶媒体9上で再生あるいは記録/消去する半径位置に対応した情報記憶媒体回転数の対応テーブルは、半導体メモリ219に予め記録されている。再生位置もしくは記録/消去位置が決まると、制御部220は半導体メモリ219の記録情報を参照して情報記憶媒体9の目標回転数を設定し、その値をスピンドルモータ駆動回路215に通知する。
【0057】
スピンドルモータ駆動回路215では、この目標回転数と情報記憶媒体回転速度検出回路214の出力信号(現状での回転数)との差を求め、その結果に応じた駆動電流をスピンドルモータ204に与えてスピンドルモータ204の回転数が一定になるように制御する。情報記憶媒体回転速度検出回路214の出力信号は情報記憶媒体9の回転数に対応した周波数を有するパルス信号で、スピンドルモータ駆動回路215ではこの信号の周波数とパルス位相の両方に対して制御する。
【0058】
2−2B.情報記憶媒体(光ディスク)の回転制御系(CLVの回転制御)
スピンドルモータ204の駆動力によって回転駆動される回転テーブル221上に、情報記憶媒体(光ディスク)9を装着する。情報記憶媒体9の回転数(回転速度)は、情報記憶媒体9上に存在するウオーブルグルーブ領域(図12の143など)から得られる再生信号によって検出する。すなわち、フォーカス・トラックエラー検出回路217から出力される検出信号(アナログ信号)を情報記憶媒体回転速度検出回路214内の図示しない2値化回路でデジタル信号に変換して、一定周期の信号(参照信号)を発生させる。回転速度検出回路214は、この参照信号を用いて情報記憶媒体9の回転数を検出し、その検出値と基準クロック信号との周波数差・位相差に応じた差分信号を出力する。この差分信号出力値に基づいて、スピンドルモータ駆動回路215は、所定の駆動電流をスピンドルモータ204に与えて、線速度が一定(CLV)となるような制御を行う。
【0059】
2−3.光学ヘッド移動機構
情報記憶媒体9の半径方向に光学ヘッド202を移動させるため、光学ヘッド移動機構(送りモータ)203を装備している。
【0060】
3.各制御回路の機能
3−1.集光スポットトレース制御
フォーカスずれ補正あるいはトラックずれ補正を行うため、フォーカス・トラックエラー検出回路217の出力信号(検出信号)に応じて光学ヘッド202内の対物レンズアクチュエータ(図示せず)に駆動電流を供給する回路が設けられている。この回路が、対物レンズアクチュエータ駆動回路218である。この回路218は、対物レンズ移動を高い周波数領域まで高速応答させるため、対物レンズアクチュエータの周波数特性に合わせた特性改善用の位相補償回路を内部に有している。
【0061】
対物レンズアクチュエータ駆動回路218では、制御部220の命令に応じて、以下の処理が行われる。すなわち、
・フォーカス/トラックずれ補正動作(フォーカス/トラックループ)のON/OFF処理;
・情報記憶媒体9の垂直方向(フォーカス方向)へ対物レンズを低速で移動させる処理(フォーカス/トラックループOFF時に実行);
・キックパルスを用いて情報記憶媒体9の半径方向(トラックを横切る方向)にわずかに動かして、集光スポットを隣のトラックへ移動させる処理。
【0062】
4.機構部分の制御系に関する諸動作
4−1.起動制御
情報記憶媒体(光ディスク)9を回転テーブル221上に装着し、起動制御を開始すると、以下の手順に従って処理が行われる。
【0063】
1)制御部220からスピンドルモータ駆動回路215に目標回転数が伝えられ、スピンドルモータ駆動回路215からスピンドルモータ204に駆動電流が供給されて、スピンドルモータ204の回転が開始する。
【0064】
2)同時に、制御部220から送りモータ駆動回路216に対してコマンド(実行命令)が出され、送りモータ駆動回路216から光学ヘッド駆動機構(送りモータ)203に駆動電流が供給されて、光学ヘッド202が情報記憶媒体9の最内周位置に移動する。このとき、光学ヘッド202が、情報記憶媒体9の情報記録領域を越えてさらに内周部にきていることを確認する。
【0065】
3)スピンドルモータ204が目標回転数に到達すると、そのステータス(状況報告)が制御部220に出される。
【0066】
4)制御部220から記録/再生/消去制御波形発生回路206に送られた再生光量信号に合わせて、半導体レーザ駆動回路205から光学ヘッド202内の半導体レーザ素子に電流が供給されて、レーザ発光を開始する。
【0067】
なお、情報記憶媒体(光ディスク)9の種類によって再生時の最適照射光量が異なる。起動時にはそのうちの最も照射光量の低い値に設定する。
【0068】
5)制御部220からのコマンドに従って、光学ヘッド202内の対物レンズ(図2では121)を情報記憶媒体9から最も遠ざけた位置にずらし、対物レンズが情報記憶媒体9にゆっくりと近付くよう、対物レンズアクチュエータ駆動回路218を制御する。
【0069】
6)同時に、フォーカス・トラックエラー検出回路217でフォーカスずれ量をモニタし、焦点が合った位置近傍に対物レンズがきたときにステータスを出して制御部220に通知する。
【0070】
7)制御部220は、その通知を受け取ると、対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してフォーカスループをONにするようコマンドを出す。
【0071】
8)制御部220は、フォーカスループをONにしたまま送りモータ駆動回路216にコマンドを出して、光学ヘッド202をゆっくり情報記憶媒体9の外周部方向へ移動させる。
【0072】
9)同時に、光学ヘッド202からの再生信号をモニタし、光学ヘッド202が情報記憶媒体9上の記録領域に到達したら光学ヘッド202の移動を止め、対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してトラックループをONさせるコマンドを出す。
【0073】
10)情報記憶媒体(光ディスク)9の内周部に記録されている“再生時の最適光量”と“記録/消去時の最適光量”を再生し、その情報が制御部220を経由して半導体メモリ219に記録される。
【0074】
11)さらに、制御部220では、その“再生時の最適光量”に合わせた信号を記録/再生/消去制御波形発生回路206に送り、再生時の半導体レーザ素子の発光量を再設定する。
【0075】
12)情報記憶媒体9に記録されている“記録/消去時の最適光量”に合わせて、記録/消去時の半導体レーザ素子の発光量が設定される。
【0076】
4−2.アクセス制御
4−2−1情報記憶媒体9上のアクセス先情報の再生
情報記憶媒体9上のどの場所にどのような内容の情報が記録されているかについての情報は、情報記憶媒体9の種類により異なり、一般的には、情報記憶媒体9内のディレクトリ管理領域か、ナビゲーションパックなどに記録してある。ここで、ディレクトリ管理領域は、通常は、情報記憶媒体9の内周領域もしくは外周領域にまとまって記録されている。また、ナビゲーションパックは、MPEG2のPS(Program Stream)のデータ構造に準拠したVOBS(Video Object Set)の中に含まれるもので、このパックには、次の映像がどこに記録してあるかの情報が記録されている。
【0077】
特定の情報を再生あるいは記録/消去したい場合には、まず上記の領域内の情報(どこにどのような内容が記録されているかの情報)を再生し、そこで得られた情報からアクセス先を決定する。
【0078】
4−2−2.粗アクセス制御
制御部220では、アクセス先の半径位置を計算で求め、現状の光学ヘッド202位置との間の距離を割り出す。光学ヘッド202移動距離に対して最も短時間で到達できる速度曲線情報が事前に半導体メモリ219内に記録されている。制御部220はその情報を読み取り、その速度曲線に従って以下の方法で光学ヘッド202の移動制御を行う。
【0079】
すなわち、制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してコマンドを出してトラックループをOFFした後、送りモータ駆動回路216を制御して光学ヘッド202の移動を開始させる。集光スポットが情報記憶媒体9上のトラックを横切ると、フォーカス・トラックエラー検出回路217内でトラックエラー検出信号が発生する。このトラックエラー検出信号を用いて情報記憶媒体9に対する集光スポットの相対速度を検出できる。送りモータ駆動回路216では、このフォーカス・トラックエラー検出回路217から得られる集光スポットの相対速度と制御部220から逐一送られる目標速度情報との差を演算し、その結果を光学ヘッド駆動機構(送りモータ)203への駆動電流にフィードバックかけながら光学ヘッド202を移動させる。
【0080】
前記“光学ヘッド移動機構(送りモータ)203”では、図示しないガイドシャフトとブッシュあるいはベアリング間に、常に摩擦力が働いている。光学ヘッド202が高速に移動しているときは動摩擦が働くが、移動開始時と停止直前には光学ヘッド202の移動速度が遅いため静止摩擦が働く。このときには相対的摩擦力が増加しているので、(特に停止直前には)制御部220からのコマンドに応じて光学ヘッド駆動機構(送りモータ)203に供給する電流の増幅率(ゲイン)を増加させる。
【0081】
4−2−3.密アクセス制御
光学ヘッド202が目標位置に到達すると、制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218にコマンドを出して、トラックループをONさせる。集光スポットは情報記憶媒体9上のトラックに沿ってトレースしながらその部分のアドレスもしくはトラック番号を再生する。そこでのアドレスもしくはトラック番号から現在の集光スポット位置を割り出し、到達目標位置からの誤差トラック数を制御部220内で計算し、集光スポットの移動に必要なトラック数を対物レンズアクチュエータ駆動回路218に通知する。対物レンズアクチュエータ駆動回路218内で1組キックパルスを発生させると、対物レンズは情報記憶媒体9の半径方向にわずかに動いて、集光スポットが隣のトラックへ移動する。
【0082】
対物レンズアクチュエータ駆動回路218内では、一時的にトラックループをOFFさせ、制御部220からの情報に合わせた回数のキックパルスを発生させた後、再びトラックループをONさせる。密アクセス終了後、制御部220は集光スポットがトレースしている位置の情報(アドレスもしくはトラック番号)を再生し、目標トラックにアクセスしていることを確認する。
【0083】
4−3.連続記録/再生/消去制御
図6に示すように、フォーカス・トラックエラー検出回路217から出力されるトラックエラー検出信号は、送りモータ駆動回路216に入力されている。上述した“起動制御時”と“アクセス制御時”には、送りモータ駆動回路216内ではトラックエラー検出信号を使用しないように制御部220により制御されている。アクセスにより集光スポットが目標トラックに到達したことを確認した後、制御部220からのコマンドにより、モータ駆動回路216を経由して、トラックエラー検出信号の一部が、光学ヘッド駆動機構(送りモータ)203への駆動電流として供給される。連続に再生もしくは記録/消去処理を行っている期間中、この制御は継続される。
【0084】
なお、情報記憶媒体9の中心位置は、回転テーブル221の中心位置とわずかにずれた偏心を持って装着されている。トラックエラー検出信号の一部を駆動電流として供給すると、偏心に合わせて光学ヘッド202全体が微動する。また長時間連続して再生もしくは記録/消去処理を行うと、集光スポット位置が徐々に外周方向もしくは内周方向に移動する。トラックエラー検出信号の一部を光学ヘッド移動機構(送りモータ)203への駆動電流として供給した場合には、それに合わせて光学ヘッド202が徐々に外周方向もしくは内周方向に移動する。このようにして対物レンズアクチュエータのトラックずれ補正の負担を軽減し、トラックループを安定化できる。
【0085】
4−4.終了制御
一連の処理が完了し、動作を終了させる場合には、以下の手順に従って処理が行われる。すなわち、
1)制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してトラックループをOFFさせるコマンドが出される;
2)制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してフォーカスループをOFFさせるコマンドが出される;
3)制御部220から記録/再生/消去制御波形発生回路206に対して半導体レーザ素子の発光を停止させるコマンドが出される;
4)スピンドルモータ駆動回路215に対して基準回転数として0(ゼロ)を通知する。
【0086】
5.情報記憶媒体への記録信号/再生信号の流れ
5−1.情報記憶媒体9に記録される信号形式
情報記憶媒体9上に記録する信号に対して、
・情報記憶媒体9上の欠陥に起因する記録情報エラーの訂正を可能とする、
・再生信号の直流成分を0にして再生処理回路の簡素化を図る、
・情報記憶媒体9に対してできるだけ高密度に情報を記録する、
との要求を満足するため、図6に示すように、情報記録再生部(物理系ブロック)では、“エラー訂正機能の付加”および“記録情報に対する信号変換(信号の変復調)”を行っている。
【0087】
5−2.記録時の信号の流れ
5−2−1.ECC(Error Correction Code)付加処理
情報記憶媒体9に記録したい情報が、生信号の形で、記録信号dとしてデータ入出力インターフェース部222に入力される。この記録信号dは、そのまま半導体メモリ219に記録され、その後ECCエンコーディング回路208で上述したようにECCの付加処理が実行される。
【0088】
ECCエンコーディング回路208は、内符号PIと外符合POの付加が完了すると、半導体メモリ219から1セクタ分のデータを読み取り、それを変調回路207へ転送する。
【0089】
5−2−2.信号変調
再生信号の直流成分(DSV:Disital Sum Value)を0(ゼロ)に近付け、情報記憶媒体9に対して高密度に情報を記録するため、信号形式の変換である信号変調を変調回路207内で行う。元の信号と変調後の信号との間の関係を示す変換テーブルを変調回路207と復調回路210内部で持っている。ECCエンコーディング回路208から転送された信号を変調方式に従って複数ビット毎に区切り、変換テーブルを参照しながら別の信号(コード)に変換する。
【0090】
例えば変調方式として8/16変調(RLL(2,10)コード)を用いた場合には、変換テーブルが2種類存在し、変調後の直流成分(DSV)が0に近付くように逐一参照用変換テーブルを切り替えている。
【0091】
5−2−3.情報記憶媒体9への記録処理
半導体レーザ駆動回路205が働き、光学ヘッド202から情報記憶媒体9へ情報の記録が行われる。このとき、図1および図2(b)に示すように、トラック112に沿って連続データ記録単位110毎に連続して記録マーク127が形成され、各連続データ記録単位110の間には隙間111が作られる。
【0092】
なお、連続データ記録単位(110、131)は、図8に示されるように、1個のECCブロック(130a)全体、あるいは1個のECCブロック(130b)の整数分の一(例えば図8の133または134)で構成される。ここで、“1個のECCブロックの整数分の一”とは、1個のECCブロック(130b)が複数個の物理セクタ(例えば図8の7−0〜7−31)を含み、このECCブロック内(130b)にある複数物理セクタの整数分の一(7−0〜7−15または7−16〜7−31;ここでは2分の一)が1つの連続データ記録単位(133または134)を構成する場合をいう。
【0093】
5−3.再生時の信号の流れ
5−3−1.2値化・PLL回路
“光学ヘッド202による信号検出”で記述したように、情報記憶媒体(光ディスク)9の光反射膜もしくは光反射性記録膜からの反射光量変化を検出して情報記憶媒体9上の信号を再生する。アンプ213で得られた信号はアナログ波形をしている。2値化回路212では、その信号をコンパレータを用いて“1”と“0”からなる2値のデジタル信号に変換する。
【0094】
ここで得られた再生信号から、PLL回路211により、情報再生時の基準信号を取り出している。PLL回路211は、周波数可変の発振器を内蔵している。その発振器から出力されるパルス信号(基準クロック)と2値化回路212出力信号間の周波数と位相の比較を行い、その結果を発振器出力にフィードバックしている。
【0095】
5−3−2.信号の復調
復調回路210内部には、変調された信号と復調後の信号との間の関係を示す変換テーブル(図示せず)が設けられている。PLL回路211で得られた基準クロックに合わせて、この変換テーブルを参照しながら、変調された信号を元の信号に戻す。戻された(復調された)信号は、半導体メモリ219に記録される。
【0096】
5−3−3.エラー訂正処理
エラー訂正回路209は、半導体メモリ219に保存された信号に対し、内符号PIと外符号POを用いて、エラー箇所を検出し、エラー箇所のポインタフラグを立てる。その後、エラー訂正回路209は、半導体メモリ219から信号を読み出しながら、エラーポインタフラグに合わせて、逐次エラー箇所の信号を訂正し、内符号PIと外符号POをはずしてデータ入出力インターフェース部222へ転送する。ECCエンコーディング回路208から送られてきた信号は、データ入出力インターフェース部222から、再生信号cとして出力される。
【0097】
図6の装置における各処理の制御手順および各処理において用いられるパラメータは、ファームウエアとして、制御部220内の制御プログラム/パラメータROM220bに書き込まれている。制御部220のマイクロプロセシングユニットMPU(図示せず)は、ワークRAM220aをワークエリアに用いながらROM220b内の制御プログラムを実行して、上述した各処理を行うようになっている。
【0098】
次に、図7に示すフローチャートを用いて、図6の装置内で行われるフォーマット処理の手順を説明する。この処理は図6におけるECCエンコーディング回路208内で実行され、制御部220により詳細な制御がなされる。図7は、図3〜図5に示すようなデータ変換処理(フォーマット変換処理)の手順を示している。
【0099】
まず、物理セクタ情報の設定が行われる(ステップST1)。この設定により、物理セクタ情報4−0〜4−31(図3(c))の設定(2048バイト単位のメインデータに分割すること)がなされる。その際、物理セクタ情報4−0〜4−31は、論理セクタ情報3−0〜3−31(図3(b))のサイズに合わせて設定される。つまり、記録するユーザデータは、2048バイト単位で取り扱かわれる。
【0100】
次に、2048バイトのメインデータと16バイトの補助データと4バイトの誤り検出符号(EDC)から、2068バイトのデータセクタが生成される(ステップST2)。ここで、16バイトの補助データは、4バイトのデータIDデータ(PID)、データIDに対する2バイトの誤り検出符号(IED)、および10バイトの予備データ(RSV)から構成されている。
【0101】
なお、上記PIDには、データセクタの識別に用いるセクタ番号や、データセクタの内容の識別に用いるセクタ情報が記録される。また、上記IEDは、PID部分に発生した誤りを検出するために使用される。また、上記RSVは、その他の補助情報(例えば著作権管理情報)の記録などに使用される。また、上記EDCは、2064バイトのメインデータと補助データに発生した誤りを検出するために使用される。そして、上記データセクタは、188列11行に配列される。
【0102】
次に、データセクタのうちメインデータの2048バイトの部分に対して、スクランブルデータの加算が行なわれる(ステップST3)。
【0103】
次に、セクタ番号が偶数か奇数かに応じて、データセクタの行の再配置が行なわれる(ステップST4)。
【0104】
次に、セクタ番号に応じて再配置された連続する32個のデータセクタが縦方向に積み重ねられて、セクタブロックが生成される(ステップST5)。ここで縦方向に積み重ねられたデータセクタは、376列176行に配置される。
【0105】
次に、上記セクタブロックが横方向に2分割されて誤り訂正符号の符号化が行なわれる(ステップST6)。ここで、分割後の188列176行のそれぞれのブロックに対して、列方向の符号化が行なわれ、16行の外符号パリティ(PO)が生成される。この外符号には、RS(192、176、17)のリードソロモン符号が使用される。続いて行方向に内符号の符号化が行なわれ、12列の内符号パリティ(PI)が生成される。この内符号はRS(200、188、13)のリードソロモン符号が使用される。
【0106】
次に、ECCブロックに対して行インターリーブが行なわれ、左右それぞれ16行あるPOが、ブロック内に分散される(ステップST7;図5参照)。ここでは、16×2=32行のPOが1行ずつ各セクタに分配されて行く。そのとき、横方向に2分割された左側のブロックのPO行は5行しかない奇数セクタの最下行の次に、横方向に2分割された右側のブロックのPO行は5行しかない偶数セクタの最下行の次に挿入される。
【0107】
以上の処理を経て、物理セクタデータが完成される(ステップST8)。
【0108】
次に、2行に跨ったジグザグ記録が行なわれる(ステップST9)。
【0109】
次に、変調処理が行われる(ステップST10)。ここで、記録するデータのビット系列をそのまま媒体9に記録したのでは、記録データ系列の特徴と媒体9の記録特性が一致せず、効率よく記録を行うことができないことが考えられる。そこで、媒体9の記録特性に鑑みて所定の変換規則によりデータパターンの変換を行う。変調方式の例としては、1バイトのデータを16ビットのパターンにに変換する8/16変調方式や、1.5バイトのパターンに変換する8/12変調方式、または12ビットのデータを18ビットのパターンに変換する12/18変調方式などがあげられる。いずれの方式も複数の変換テーブルと変換テーブルを選択するための論理回路により構成される。特に1.5バイトのデータに対して変換を行う12/18変調方式では、1カ所の誤りが1.5バイトに拡大する特性を持っているため、ステップST9で行う処理が再生時のエラーを分散させる上で効果的である。
【0110】
以上のステップST1〜ST10の工程を得て、ST9の設定に従ったジグザグ記録が、媒体9に対して行なわれる。この記録において、図1に示すように連続データ記録単位110毎に連続してデータ記録が行われる。その際、各連続データ記録単位110の間には長さδの隙間111ができるように記録が制御される。
【0111】
図8は、この発明の他の実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)へのデータ記録方法を説明する図である。
【0112】
図1における記録情報114の物理的なデータ長さは、図3および図4に示したECCブロックのデータに対する変調後のデータ長さ(図8のECCブロック130aの長さ)に一致することは既に説明した。
【0113】
ここで、情報記憶媒体9の一周の長さがL+δの長さの整数倍に一致している半径位置にきたら、ECCブロック130bを2分割し、ECCブロック130bの前半分のデータ133にVFO領域113bを付加して物理的な長さがJとなる連続データ記録単位131bを、トラック112方向に記録する。
【0114】
このような連続データ記録単位131bの後ろに長さδの隙間111cを開け、その後に、ECCブロック130bの後半分のデータ133にVFO領域113cを付加して物理的な長さがJとなる連続データ記録単位131cを、トラック112方向に記録する。図8から明らかなように“δ+J+δ+J”の長さはL+δの長さと異なるため、この半径位置(図8のトラック112aの半径位置とトラック112bの半径位置)では隣接トラック間(112aと112b)で隙間111が隣りにこないような配置となる。
【0115】
図8では連続データ記録単位131内にECCブロック130bを変調したデータの半分を記録配置したが、この発明の適応範囲はそれに限らず、例えば任意の複数物理セクタデータ分(図8の例では7−0〜7−15と7−16〜7−31)を記録配置したり、複数のECCブロック130をまとめて1個の連続データ記録単位131内に記録配置しても良い。
【0116】
図9は、この発明に係る情報記憶媒体における隙間(グルーブギャップ)δの必要性を説明する図である。
【0117】
まず、δの値が小さすぎるときの問題点を、図9を用いて説明する。図6に示したスピンドルモータ204に回転ムラが全くない場合(理想状態)では、図9(a)に示すように、連続データ記録単位110と隙間111との組は、長さ(L+δ)の変動なしに、トラック112に沿って記録される。しかし、スピンドルモータ204の回転数が(回転ムラにより)局所的に早くなると、連続データ記録単位110aの終了位置が後方にシフトして、隙間111bが狭くなるだけでなく、最悪の場合には、後続する場所に既に記録されている連続データ記録単位110bの先頭まで連続データ記録単位110aの終了位置が入り込み、データの重なり部分116が発生する危険性がある。
【0118】
情報記憶媒体9の記録層122および123の材質に相変化形記録膜を用いた場合には、このデータの重なり部分116は前の連続データ記録単位110aの後方データにより書き重ね(オーバーライト)され、連続データ記録単位110bの最初のデータが破壊される。
【0119】
スピンドルモータ204の回転制御は、図12に示すウォーブルグルーブ143から得られるウォーブル信号を用いて行われる。従って、スピンドルモータ204の回転ムラ量をfで表し、ウォーブルグルーブ143のウォーブル周期をτとすると、スピンドルモータ204の回転ムラによる連続データ記録単位110aの最後のデータのずれ量は、“τf”で与えられる。
【0120】
従って、図9(b)のようなデータの重なりに起因する問題を回避するためには、隙間111の長さδは、
δ≧τf …(7)
に設定する必要がある。
【0121】
スピンドルモータ204の回転ムラ量(モータ204により回転駆動されるテーブル221に実際にセットされた光ディスク9の、偏芯による影響を含めた実質的な回転ムラ量)は、一般に、情報記憶媒体9の偏心量によって左右される。情報記憶媒体9の偏心量が±100μmの場合、この偏芯量に起因する回転ムラ量fは、およそ0.1%程度となる。この場合、(7)式は、
δ≧0.001τ …(8)
となる。
【0122】
上記(7)式あるいは(8)式により隙間δの下限を定めることができ、前述した(4)式、(5)式、あるいは(6)式により隙間δの上限を定めることができる。
【0123】
なお、スピンドルモータ204の(実質的な)回転ムラあるいはその他の要因で、上記(7)式あるいは(8)式により下限が定められた隙間δの値が、前述した(6)式(δ≦D/4あるいはδ≦ttan{sin−1(NA/n)}/2)を満足できない場合も考え得る。このような場合の対策方法を、説明しておく。
【0124】
図2(b)の説明で前述したように、長さδの長い隙間領域111が情報記憶媒体9の半径方向に一直線に並んだ場合に、層間クロストークが生じる。この層間クロストークは、隙間111の長さδが大きい程顕著となる(δ=0ならば隙間111に起因する層間クロストークは生じない)。従って、回転ムラなどの要因で隙間111の長さδを短くできない場合には、隙間111の配置をずらす、すなわち隣接トラック間で隙間111が隣りにこないように配置することで、層間クロストークを低減させる方法が考えられる。このような隙間111の位置ずらしの具体的な方法の1つは、図8を参照して前述した。その他に、隙間111の位置ずらしの具体的な方法としては、図10に示すようなものもある。
【0125】
図10は、図8の応用例(変形例)を示す。図8では、隙間111の物理的周期長さを変化させて隣接トラック間(112aと112b)で隙間111が隣りにこないように配置したが、図10では、巨視的には隙間111の物理的周期長さを変化させず、隣接トラック間(112aと112b)で隙間111が隣りにきそうな場所だけ隙間111の位置をずらすようにしている。
【0126】
図10において、情報記憶媒体9内の多くの場所では、ECCブロック130bを2分割して物理セクタ7−0から7−15までの16セクタをECCブロック130bの前半分のデータ133として連続データ記録単位131bに当てはめ、物理セクタ7−16から7−31までの16セクタをECCブロック130bの後半分のデータ134として連続データ記録単位131cに当てはめている。
【0127】
ただし、このままの配置方法で隣接トラック間で隙間111が隣り(A点位置)にくるときの情報記憶媒体9の半径位置((7)式を満足する半径位置)では、隙間111eの位置をB点位置までずらす。
【0128】
すなわち、この場所(B点位置)では、連続データ記録単位137内にECCブロック130cの前半分のデータ133として物理セクタ8−0から8−14までの15セクタを当てはめる。その結果、連続データ記録単位137の物理的長さが“J”から“J−α”と短くなる。また同時に、連続データ記録単位138内にECCブロック130cの後半分のデータ134として物理セクタ8−15から8−31までの17セクタを当てはめる。その結果、連続データ記録単位132の物理的長さが“J”から“J+α”と長くなる。それにより隙間111eの位置がずれる。
【0129】
このように、連続データ記録単位137、138内に入るセクタ数を隙間111eの前後で変えて(つまり、連続データ記録単位137+138の合計長さは変えないが、連続データ記録単位137の長さと連続データ記録単位138の長さを±α分だけ変えて)隙間111eの位置をA点の隣からB点へずらすことができる。
【0130】
なお、図8の実施の形態では、ECCブロック130に対して1/M分割した後のデータを1個の連続データ記録単位131〜133に当てはめている。図10の実施の形態では、ECCブロック130を2分割(M=2)して当てはめているが、この実施の形態はそれに限られず、Mの値として4、8、16など他の値を用いても良い。
【0131】
ところで、前述した(4)式〜(6)式の条件は、図2(b)に示すように隙間111が半径方向に一直線に並ぶときにのみ成り立つ条件を示している。情報記憶媒体9のトラック112に沿った方向での連続データ記録単位110の物理的長さをLとすると、上記(6)式の条件を満足するのは、整数値Nに対して、
N(L+δ)=2πr0 …(9)
を満足する半径r0の位置を図2(b)のレーザ光120の中心がトレースした場合にのみである。
【0132】
しかし、r≠r0における半径rの位置では、一般に、
N(L+δ)=2πr−ζ …(10)
となるため、図11に例示するように、隙間111の位置が一直線に並ばずに、ずれて行く。
【0133】
図11は、この発明に係る情報記憶媒体における隙間(グルーブギャップ)の最大許容範囲を説明する図である。
【0134】
この発明の一実施の形態では、記録方法としてCLV(Constant Linear Velocity)を採用している。図11において、情報記憶媒体9の半径rの位置での隙間111または115の中心位置を基準に考える。
【0135】
トラックピッチをPtとすると、隣のトラック上での隙間111または115の中心位置のトラックに沿った方向(情報記憶媒体9の円周方向)でのずれ量は
2πPt+ζ …(11)
となる。
【0136】
図11において、半径rのトラックから数えてm番目のトラック位置での隙間111または115の中心位置の、その1個手前のトラック位置での隙間中心位置からのずれ量は、
2πPt・m+ζ …(12)
となる。このため、上記基準位置(半径rの位置での隙間111または115の中心位置)からの合計ずれ量Xは、
X=Σ{2πPt・m+ζ} …(13)
となる。
【0137】
図2(b)の場合と同様に、層間クロストークの影響を及ぼすレーザ光120のスポット直径は、図11においてもDとなる。長さDの間に含まれるトラック数はD/Ptとなるので、(13)式の合計は、m=0からm=D/Ptまでの和を取ることで、
で与えられる。
【0138】
図11において、充分小さな長さδ2の隙間111a〜111fが存在する場合には、層間クロストークの影響は比較的少ないことが予想される。これに対し、充分長い長さδ1の隙間115a〜115fが存在するときには、図11の状態ではレーザ光120内の大部分の面積内に記録マークが存在しないこととなり、層間クロストークが大きく現れる。
【0139】
図11に示すようにレーザ光120内の最も端にくる隙間115aの開始位置Gとレーザ光120内の反対側の端にくる隙間115fの終了位置Hが半径方向に並んだ場合(円周に沿った方向でのGとHの位置がほぼ一致した場合)には明らかに層間クロストークの影響が大きく現れる。この場合には隙間115aの中心位置から開始位置Gまでの距離は隙間115fの中心から終了位置Hまでの距離に等しくδ1/2となる。その結果、このときにはX=δ1となり、(14)式より、
δ1={π(D+Pt)+ζ}D/Pt …(15)
が得られる。
【0140】
従って、図11の状態では層間クロストークの影響が小さくなり得る条件はδ≦δ1となるので、
δ≦{π(D+Pt)+ζ}D/Pt …(16)
となる。
【0141】
情報記憶媒体9のあらゆる半径位置での平均を取ると
ζ=(L+δ)/2≒L/2 …(17)
となるので、(17)式を(16)式に代入すると
δ≦{π(D+Pt)+L/2}D/Pt …(18)
を得る。
【0142】
また最小の状態では、ζ=0として、(16)式から、
δ≦π(D+Pt)D/Pt …(19)
となる。すなわち、隙間の長さδに関する層間クロストーク低減条件として、(19)式を満足する必要がある。
【0143】
図12は、記録開始位置を決める目印が設けられた、この発明のさらに他の実施の形態に係る情報記憶媒体を説明する図である。
【0144】
情報記憶媒体9上に記録された記録開始位置決め用目印141は、図6の光学ヘッド202で再生され、アンプ213を経た後、フォーカス・トラックエラー検出回路217に送られる。フォーカス・トラックエラー検出回路217内では、トラックエラー検出信号の一部として、目印141の有無の検知が行われる。ここで、トラックエラー検出信号の周波数よりも、記録開始位置決め用目印141から得られる検出信号の周波数の方がはるかに高くなっている。このため、両者を周波数分離することで目印141を容易に検知することができる。また、両者の周波数が大きく離れていることから、目印141が存在することによるトラックエラー検出信号への悪影響も低減される。
【0145】
また、記録開始位置決め用目印141部分のウォーブルパターン(2τとτの反復パターン)は目印以外の部分のウォーブルパターン(τのみの反復パターン)と異なる。つまり目印141部分はユニークなウォーブルパターン(一種のアドレス)を持っている。このため、検知された“2τとτの反復パターン”が目印141であるとの判定(特定)を確実に行うことができる。
【0146】
この発明の実施の形態では、CLV方式を用いてデータの記録を行うため、情報記憶媒体9の半径位置により、図11のように隙間111の位置が回転角度方向で異なり、それに対応して回転角度方向での記録開始位置決め用目印141の位置もずれる。この特徴を利用して、回転角度方向での記録開始位置決め用目印141の位置検出のみで、トレースしている場所の半径位置の検出が可能となる。
【0147】
前述した(19)式に従うと、隙間111または115の物理的な長さδ(図11ではδ1またはδ2)は小さくなるように設定する必要がある。この場合、隙間111または115の物理的な長さδが充分小さいため、例えば1個の連続データ記録単位110のみのデータを書き換える場合に、書き換え開始位置に高い精度が要求される。書き換え開始位置精度が低いと1個の連続データ記録単位110のみの書き換え処理時に前後の連続データ記録単位位置を誤って書き重ねする危険性が生じるからである。
【0148】
この高い精度を確保するため、図12の実施の形態では、記録開始位置決め用目印141をウォーブル変調の形で媒体(記録可能光ディスク)9に予め記録するようにしている。ここにこの発明の実施の形態の大きな特徴がある。
【0149】
この記録開始位置決め用目印141には、以下の特徴を持たせている:
(a)トラック112を形成する連続溝形状のプリグルーブを左右に振るウォーブル変調を行う。このとき、左右に振ったプリグルーブの幅は至る所一定に保つ。
【0150】
<aの注記>グルーブの幅は至る所一定なため、記録開始位置決め用目印141上を集光させた再生用レーザ光をトレースさせてもそこからの反射率が一定に保たれる。従って、記録開始位置決め用目印141の上に直接記録マーク127を形成できる。記録開始位置決め用目印141の上に直接記録した記録マーク127からの反射光量変化を用いた信号再生を行っても再生信号に記録開始位置決め用目印141の影響が現れない。
【0151】
(b)記録開始位置決め用目印141内の少なくとも一部に、直前の連続データ記録単位110aに対応した記録マーク127の記録を可能とする。また、記録開始位置決め用目印141全体に渡って記録マーク127を記録することも可能とする。
【0152】
<bの注記>情報記憶媒体9への記録効率向上のためには隙間111bの物理的な長さを極力小さくすることが望ましい。図12に示すように記録開始位置決め用目印141内の少なくとも一部に直前の連続データ記録単位110aに対応した記録マーク127の記録を可能とすることで、記録開始位置決め用目印141の上にも情報記録が可能となり、記録効率を向上させて情報記憶媒体全体の記録容量を上げることができる。
【0153】
(c)ウォーブル変調の巨視的なデューティ比をウォーブルグルーブ領域143と記録開始位置決め用目印141とを一致させる。
【0154】
<cの注記>ウォーブルグルーブ領域143では、正弦波形によりウォーブルの左右の率を常に50%になるようにしている。同様にウォーブル変調による記録開始位置決め用目印141の左右に振る比率を50%に保つ。その結果、記録開始位置決め用目印141位置でのトラックずれ検出信号へのオフセット発生を防止できる。
【0155】
例えば、巨視的に見た場合の記録開始位置決め用目印141の右に振れる期間が左に振れる期間より長いと、トラック112(プリグルーブ)の丁度中央をトレースしていても、プッシュプル法によるトラックずれ信号としてあたかもトラック112に対して若干左をトレースしているように検出されるトラックオフセットが発生してしまう。
【0156】
(d)ウォーブルグルーブ領域143の基準周波数(1/τ:スロット間隔τ/2)を確保したまま、ウォーブル変調により記録開始位置決め用目印141を形成する。
【0157】
<dの注記>図12でのウォーブルグルーブ領域143では、周期τでグルーブをウォーブルさせている。このときのウォーブルの中央位置を跨ぎ、再び中央位置を横切るまでの距離をスロット間隔(一般データにおけるチャネルビット間隔と同等な意味合いを持つ)と呼ぶ。図12のウォーブルグルーブ領域143ではスロット間隔はτ/2となっている。記録時の基準周波数や再生時のPLL(Phase Lock Loop)に用いる基準周波数、またスピンドルモータ204の回転同期制御は、このウォーブルグルーブから検出されるスロット間隔τ/2を基準にPLLを掛けている。従って、仮に記録開始位置決め用目印141内で基準周波数が変化すると、この記録開始位置決め用目印141内でPLLがはずれてしまい、記録/再生処理やスピンドルモータの回転制御が不安定になる。そのため記録開始位置決め用目印141内での基準周波数は1/τとなるように一定に保たせている。
【0158】
図12に示した記録開始位置決め用目印141内のパターンは、周期“2τ”のウォーブルとウォーブルグルーブ領域143内と同様の周期“τ”のウォーブルを交互に4サイクル繰り返している。周期が“2τ”のウォーブル部分ではウォーブルが中心を一度越えてから再び中心を通過するまでの間隔は丁度“τ”となっている。この値はスロット間隔τ/2の丁度2倍に相当しているので、この領域でもスロット間隔τ/2(すなわち基準周波数1/τ)は不変に保たれている。その結果、記録開始位置決め用目印141の内外いずれに関わらず常にPLLが掛かった状態が連続しており、記録/再生処理やスピンドルモータの回転制御が安定に行われる。
【0159】
(e)記録開始位置決め用目印141と連続データ記録単位110bの記録開始位置との間に記録準備領域142を設け、この記録準備領域142を集光スポットが通過する間に情報記録再生装置での記録準備ができるようにする。
【0160】
<eの注記>ウォーブルグルーブから得られるウォーブル変調信号のS/N比は非常に悪く、常に記録開始位置決め用目印141の開始位置を検出する確率が低い。従ってこの発明の実施の形態では、周期が“2τ”のウォーブルと周期が“τ”のウォーブルを交互に4サイクル繰り返すことで、情報記録再生装置は4サイクル中のどこかで記録開始位置決め用目印141を発見できれば良いようにしている。
【0161】
一度記録開始位置決め用目印141内であることを情報記録再生装置が発見できれば、高性能な位置検出回路のゲート(検知窓)を開き、記録開始位置決め用目印141の終了位置を精度良く検出できる。記録準備領域142の物理的長さは予め特定値に設定してあるので、記録開始位置決め用目印141の終了位置を検出すると特定値に設定された記録準備領域142を通過する時間間隔を開けた後に記録処理を開始し、連続データ記録単位110bの先頭位置から記録マーク127を形成する。このように記録開始位置決め用目印141の直後に記録準備領域142を配置することで、記録開始位置決め用目印141の終了位置検出精度を上げることができる。その結果、先頭位置検出精度の低さを許容でき、ウォーブル変調検出回路の低価格化が可能となる。また記録開始位置決め用目印141の終了位置検出精度を上げることにより、従来に比べて連続データ記録単位110bの開始位置精度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0162】
なお、図12の記録準備領域142のグルーブ形状は、ウォーブルグルーブ領域143と全く同じ振幅、同じ周期のウォーブル形状としている。
【0163】
記録開始位置決め用目印141のパターンとして図12に示したように周期2τの単一ウォーブルと周期τの単一ウォーブルを交互に4サイクル繰り返している。しかし記録開始位置決め用目印141では繰り返し回数は4回に限ることはなく、任意の繰り返し回数を選択することができる。また記録開始位置決め用目印141のパターンは図12のパターンに限らず、この発明の範囲(特徴)において上記(a)〜(c)の条件を満足する限りは任意のパターンを設定可能とする。
【0164】
図12に示すように情報記憶媒体9上に予め記録された記録開始位置決め用目印141を利用して情報記憶媒体上9でデータの書き換えおよび/または追記をする方法を、図13を参照しながら説明する。
【0165】
まず、図6の制御部220が、図示しないホストコンピュータから、図12や図1に示される情報記憶媒体9上の何処に情報記録を行うか(つまり記録情報の記録場所)の指示を受ける(ステップST111)。
【0166】
情報記憶媒体9上で記録または書き換えが行なわれる前に、ステップST111で指示を受けた記録場所に基づいて、記録または書き換えが行われる半径位置における回転角度方向での記録開始位置決め用目印141の位置が、事前に予測される(ステップST112)。
【0167】
目印141の位置の予測が済むと、連続記録単位110(または図8の131、あるいは図10の137、138)のデータ(図1の記録情報114、あるいは図8/図10の133、134に相当)が作成される(ステップST113)。こうして作成された連続記録単位110のデータの先頭にVFO領域113が付加される(ステップST114)。
【0168】
続いて、記録開始位置(ステップST112で予測した位置)へのアクセスが行われる(ステップST115)。このアクセス時に、情報記憶媒体9上の予定の角度位置(ステップST112で予測した位置)において記録開始位置決め用目印141のユニークパターン(2τとτの反復パターン)を検出したかどうかを判定する(ステップST116)ことで、予定の半径位置に到達したか、あるいはトレース途中でトラックはずれが生じたか否かをチェックする。もし、ここで予定位置に目印141を検出できない場合(ステップST116ノー)には、予定位置までアクセスできてないか、あるいはトレース中にトラックはずれが起きたと判断し、再度アクセス処理を行う(ステップST115)。
【0169】
前述したように、図12に示した例では記録開始位置決め用目印141として同じパターン(2τとτの反復パターン)が4サイクル繰り返されているので、図6の情報記録再生装置は4サイクル中のどこかで目印141を発見できれば良いようになっている。情報記録再生装置が記録開始位置決め用目印141内であることをが発見すると(ステップST116イエス)、情報記録再生装置内で高性能な位置検出回路(図示せず)のゲート(検知窓)を開き、記録開始位置決め用目印141の終了位置を精度良く検出する準備を始める(ステップST117)。すなわち、記録開始位置決め用目印141のユニークパターンが検出されると(ステップST116イエス)、この目印141のパターン終了点を起点として、そこから記録準備領域142の長さ相当する期間内に、記録準備がなされる(ステップST117)。
【0170】
図12に示すように、記録準備領域142内では周期が“2τ”のウォーブル信号が現れないので、このパターンの変化を利用して記録開始位置決め用目印141と記録準備領域142との間の境界領域を検出することができる。
【0171】
記録開始位置決め用目印141の終了位置(記録準備領域142との間の境界位置)が検出されると、記録準備領域142を通過する所定の時間間隔(記録準備領域142の長さ相当する期間)を開けた後に、連続データ記録単位110の長さ分の連続記録処理が行われる(ステップST118)。
【0172】
記録中(ステップST119ノー)は上記ステップST115〜ST118が反復される。記録すべきデータがなくなれば(ステップST119イエス)、図13の処理が終了する。
【0173】
図14は、この発明の一実施の形態に係る記録方法における隙間δの形成処理を説明するフローチャートである。この記録方法では、螺旋状トラック112に沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながらトラック112に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続的にデータ記録が行なわれる光ディスク9が用いられる。
【0174】
まず、ECCブロック1個分(図4(f)(g))のデータを作成し(ステップST20)、作成したデータに対応する記録マーク127をディスク9のトラック112上に形成する(ステップST21)。
【0175】
記録後のECCブロック(例えば図10の130b)の末尾に隙間δ(例えば図10の111d)を設けてから、次のECCブロック(例えば図10の130c)の先頭を配置する(ステップST22)。そして、次のECCブロック(130c)1個分の記録マーク127をトラック112上に形成する(ステップST23)。以上の操作(ステップST20〜ST23)は、記録中(ステップST24ノー)反復される。
【0176】
図14の処理では、トラック112の進行方向に沿って隣接するECCブロック単位の間に所定の隙間δを開けながら(ステップST22)データ記録を行なう(ステップST23)際に、前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記回転駆動の許容回転ムラ量をfとしたときに、前記間隔δが“δ≧τf”となるように、図6の記録系(202〜208)および回転駆動系(204、214、215)を制御している。
【0177】
さらに、図6の記録系(202〜208)および回転駆動系(204、214、215)は、前述した(4)式〜(6)式の何れかと、(7)式または(8)式と、(19)式のうち、少なくとも1以上が満足されるように制御される。
【0178】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0179】
さらに、上記実施の形態には種々な段階の発明が含まれており、この出願で開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。たとえば、実施の形態に示される全構成要件から1または複数の構成要件が削除されても、この発明の効果あるいはこの発明の実施に伴う効果のうち少なくとも1つが得られるときは、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【0180】
<各実施の形態の要点まとめ>
[基本ポイント]
情報記憶媒体9上のトラック112に沿ってECCブロック単位(記録単位)毎に連続してデータを記録するとともに、トラック112に沿った方向でECCブロックの単位(記録単位)の間に隙間δを開けて記録する(図1、図12など)。
【0181】
[周辺ポイント]
(イ)δの取り得る値の許容最小値を規定する((8)式など);
(ロ)δの取り得る値の許容最大値を規定する((6)式など);
(ハ)δの取り得る値の許容最大値を越える場合には、記録単位の隙間位置を隣接トラック間で互いにずらす(図8、図10など)。
【0182】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、以下の各構成に対応して下記の効果が得られる。すなわち、
<1A>螺旋状トラック(112)に沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続的にデータ記録を行うように構成されるものであって、前記連続的なデータ記録を、前記トラック(112)の進行方向に沿って隣接する前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に所定の隙間δが形成されるように行なうことができ、その際、前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記回転駆動の許容回転ムラ量をfとしたときに、前記所定の間隔δが、「δ≧τf」となるように構成されることを特徴とする情報記憶媒体。
【0183】
<1B>螺旋状トラック(112)に沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続的にデータ記録が行なわれる情報記憶媒体(9)を用いるものであって、前記トラック(112)の進行方向に沿って隣接する前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に所定の隙間δを開けながら(ST22)前記データ記録を行なう(ST23)際に、前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記回転駆動の許容回転ムラ量をfとしたときに、前記間隔δが、「δ≧τf」となるように構成されることを特徴とする情報記録方法。
【0184】
<1C>螺旋状トラック(112)に沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続的にデータ記録が行なわれる情報記憶媒体(9)を用いるものであって、前記情報記憶媒体(9)を回転駆動するスピンドルモータ(204)と、前記スピンドルモータ(204)により回転駆動される前記情報記憶媒体(9)の前記トラック(112)に、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に記録マーク(127)を形成する記録系手段(202〜208)と、前記情報記憶媒体(9)から、前記記録マーク(127)の情報を読み取る再生系手段(202〜203、213〜209)とを備えたものにおいて、前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記スピンドルモータ(204)の許容回転ムラ量をfとしたときに、「δ≧τf」となるような隙間δが、前記トラック(112)に沿った方向で隣接する前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に形成されるように構成したことを特徴とする情報記録再生装置。
【0185】
上記<1A>〜<1C>の構成によれば、所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するため、回転駆動機構(スピンドルモータ)に回転ムラがあっても前後の記録単位間で重なりが起きず、(重なりが生じたときに起きる一部の記録マーク破壊による)記録データの破壊が防止され、記録データの高い信頼性を保てる。また、従来のようなプリピットヘッダがないのでその分大容量化が図れる。
【0186】
<2A>情報記憶媒体(9)上のトラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録できるように構成されたことを特徴とする情報記憶媒体。
【0187】
<2B>情報記憶媒体(9)上のトラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録する(ST22)ように構成されたことを特徴とする情報記録方法。
【0188】
<2C>情報記憶媒体(9)上のトラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するように構成されたことを特徴とする情報記録再生装置。
【0189】
上記<2A>〜<2C>の構成によれば、所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するため、回転駆動機構(スピンドルモータ)に回転ムラがあっても前後の記録単位間で重なりが起きず、(重なりが生じたときに起きる一部の記録マーク破壊による)記録データの破壊が防止され、記録データの高い信頼性を保てる。また、従来のようなプリピットヘッダがないのでその分大容量化が図れる。
【0190】
<3A>前記情報記憶媒体(9)は、トラックピッチがPtである螺旋状トラック(112)を持つ片面複数記録層(122、123)型の円盤状媒体(9)であり、前記データ記録は、前記トラックピッチPtのトラック(112)に対し、開口数NAの対物レンズ(121)と屈折率がnで厚みがtの中間層(124)とを介して光学的に行なわれ、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に存在する前記隙間の長さδが、「δ≦π(D+Pt)D/Pt」(但し、D=2ttan{sin−1(NA/n)})となるように構成されたことを特徴とする情報記憶媒体。
【0191】
<3B>前記情報記憶媒体(9)は、トラックピッチがPtである螺旋状トラック(112)を持つ片面複数記録層(122、123)型の円盤状媒体(9)であり、前記データ記録は、前記トラックピッチPtのトラック(112)に対し、開口数NAの対物レンズ(121)と屈折率がnで厚みがtの中間層(124)とを介して光学的に行なわれ、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に存在する前記隙間の長さδが、「δ≦π(D+Pt)D/Pt」(但し、D=2ttan{sin−1(NA/n)})となるように構成されたことを特徴とする情報記録方法。
【0192】
<3C>前記情報記憶媒体(9)は、トラックピッチがPtである螺旋状トラック(112)を持つ片面複数記録層(122、123)型の円盤状媒体(9)であり、前記データ記録は、前記トラックピッチPtのトラック(112)に対し、開口数NAの対物レンズ(121)と屈折率がnで厚みがtの中間層(124)とを介して光学的に行なわれ、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に存在する前記隙間の長さδが、「δ≦π(D+Pt)D/Pt」(但し、D=2ttan{sin−1(NA/n)})となるように構成されたことを特徴とする情報記録再生装置。
【0193】
上記<3A>〜<3C>の構成によれば、複数記録層に対して片面側から情報読み取り可能な片面2記録層タイプの情報記憶媒体において、既記録部と未記録部との間で光反射率に差が生じても他の記録層上の記録マーク有無の影響による層間クロストークが大幅に低減し、再生信号の高い信頼性を確保できる。
【0194】
<4A>回転中心(10の中央)を持つ円盤状情報記憶媒体(9)上の螺旋状トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録がなされるように構成され、かつ前記トラック(112)のうち互いに隣接する少なくとも1組の隣接トラックペア(112a、112b)において、この隣接トラックの一方(112a)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(A)と、この隣接トラックの他方(112b)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(B)とが異なるように構成されたことを特徴とする情報記憶媒体。
【0195】
<4B>回転中心(10の中央)を持つ円盤状情報記憶媒体(9)上の螺旋状トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するものであって、前記トラック(112)のうち互いに隣接する少なくとも1組の隣接トラックペア(112a、112b)において、この隣接トラックの一方(112a)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(A)と、この隣接トラックの他方(112b)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(B)とが異なるような記録を行うことを特徴とする情報記録方法。
【0196】
上記<4A>、<4B>の構成によれば、複数記録層に対して片面側から情報読み取り可能な片面2記録層タイプの情報記憶媒体において、既記録部と未記録部との間で光反射率に差が生じても他の記録層上の記録マーク有無の影響による層間クロストークが大幅に低減し、再生信号の高い信頼性を確保できる。
【0197】
<5A>トラック(112)の進行方向に沿って隣接する所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に所定の隙間(δ)が形成されるようにして連続的にデータ記録が行われる記録可能情報媒体(9)であって、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に前記連続データ記録を行うための記録開始位置を示す目印(141;τ+2τで所定回数反復するユニークパターン;一種のアドレスパターン)が、前記トラック(112)のウォーブル変調により予め記録されていることを特徴とする情報記憶媒体。
【0198】
上記<5A>の構成によれば、下記(A)〜(C)の効果が得られる:
A)連続してデータを記録するための記録開始位置を示す目印が情報記憶媒体上のトラックに沿って存在するため、その目印を利用して記録開始位置を設定できるから、情報記憶媒体上の記録位置を精度良く決めることができる。
【0199】
B)上記(A)により記録開始位置を精度良く設定できるので隙間領域の長さδを小さくできる。その結果、情報記憶媒体の記録容量(記録効率)が向上する。
【0200】
別の言い方をすると、隙間領域の長さδを小さくすると記録開始位置の精度が悪い場合には連続記録単位毎の書き換え時に書き換えデータの一部が前後の既に記録されたデータ上に重ね書き(既に記録されたデータを破壊)する危険性がある。この危険性を、上記目印の利用により回避できるので、隙間領域の長さδを小さくできるようになる。
【0201】
C)記録開始位置を示す目印がウォーブル変調で予め記録された場合には(従来のプリピットタイプと異なり)この記録開始位置を示す目印の上に記録マークを記録してもこの記録マークの再生信号にウォーブル変調信号の影響が乗らない。従ってこの記録開始位置を示す目印の上に記録マークを記録することにより記録効率を向上させ、情報記憶媒体の記録容量を上げることが可能となる。
【0202】
<6A>上記<5A>の情報記憶媒体を用い、連続してデータを記録するための記録開始位置を示す目印位置を検出した後(ST116イエス)、連続記録を開始するように構成されたことを特徴とする情報記録方法。
【0203】
<6B>上記<5A>の情報記憶媒体を用い、連続してデータを記録するための記録開始位置を示す目印位置を検出した後(ST116イエス)、連続記録を開始するように構成されたことを特徴とする情報記録装置。
【0204】
上記<6A>、<6B>の構成によれば、下記(D)〜(F)の効果が得られる:
D)連続してデータを記録するための記録開始位置を示す目印が情報記憶媒体上のトラックに沿って存在するため、その目印を利用して記録開始位置を設定できるから、情報記憶媒体上の記録位置を精度良く決めることができる。
【0205】
E)上記(D)により記録開始位置を精度良く設定できるので隙間領域の長さδを小さくできる。その結果、情報記憶媒体の記録容量(記録効率)が向上する。
【0206】
別の言い方をすると、隙間領域の長さδを小さくすると記録開始位置の精度が悪い場合には連続記録単位毎の書き換え時に書き換えデータの一部が前後の既に記録されたデータ上に重ね書き(既に記録されたデータを破壊)する危険性がある。この危険性を、上記目印の利用により回避できるので、隙間領域の長さδを小さくできるようになる。
【0207】
F)記録開始位置を示す目印がウォーブル変調で予め記録された場合には(従来のプリピットタイプと異なり)この記録開始位置を示す目印の上に記録マークを記録してもこの記録マークの再生信号にウォーブル変調信号の影響が乗らない。従ってこの記録開始位置を示す目印の上に記録マークを記録することにより記録効率を向上させ、情報記憶媒体の記録容量を上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)へのデータ記録方法を説明する図。
【図2】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体(片面2層タイプ)における層間クロストークについて説明する図。
【図3】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体に記録される物理セクタデータの構成を説明する図。
【図4】図3の物理セクタデータに対するECCブロックの形成方法を説明する図。
【図5】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体に記録されるECCブロックの内部構造を説明する図。
【図6】この発明の一実施の形態に係る情報記録再生装置の構成を説明するブロック図。
【図7】図4のECCブロック構造におけるフォーマット手順を説明するフローチャート図。
【図8】この発明の他の実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)へのデータ記録方法を説明する図。
【図9】この発明に係る情報記憶媒体における隙間(グルーブギャップ)の必要性を説明する図。
【図10】この発明のさらに他の実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)へのデータ記録方法を説明する図。
【図11】この発明に係る情報記憶媒体における隙間(グルーブギャップ)の最大許容範囲を説明する図。
【図12】記録開始位置を決める目印が設けられた、この発明のさらに他の実施の形態に係る情報記憶媒体を説明する図。
【図13】この発明の一実施の形態に係る情報記録再生装置における記録方法または書き替え方法を説明するフローチャート図。
【図14】この発明の一実施の形態に係る記録方法における隙間δの形成処理を説明するフローチャート図。
【符号の説明】
9…情報記憶媒体(高密度記録可能光ディスク);10…センタホール;110…連続データ記録単位;111…隙間(グルーブギャップ);112…トラック;113…VFO領域;114…記録情報;120…レーザ光;121…対物レンズ;122…第0記録層(上側記録層);123…第1記録層(下側記録層);124…中間層;125…透明保護層;127…記録マーク;130…ECCブロック;141…記録開始位置決め用目印;142…記録準備領域;143…ウオーブルグルーブ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、集束光(ブルーレーザなど)を用いた情報記録における高密度化技術に関する。とくに、線速度一定(Constant Linear Verocity:CLV)でデジタル情報の記録再生を行う高密度光ディスクに対する情報記録方法の改良に関する。さらには、片面2層以上の多層記録層を持つ記録可能光ディスクにおける層間クロストークの低減技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
集束光を用いて反復記録(反復書き替え)が可能な高密度情報記憶として、DVD−RAMやDVD−RWなどの光ディスクが知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−43569号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
《問題点1》
DVD−RW(書替可能媒体)では、既にデータが記録されている部分に対して一部重ね書きして次のデータを記録するようになっている(Restricted Overwrite)。この場合、既に記録されているデータの一部が破壊されて記録が行われるので、情報記憶媒体に記録された情報の信頼性が著しく低下する。
【0005】
《問題点2》
一方、DVD−RAM(反復記録可能媒体)には、以下のような問題がある:
a)情報記憶媒体上に多数点在するプリピットヘッダの間にデータを記録するため情報の記録効率(記録密度)が低下して大容量化が困難である。
【0006】
b)大容量化のため片面2記録層構造とした場合ではプリピットヘッダによる層間クロストークが発生して再生信号特性が劣化する。すなわち、記録層内では既記録部と未記録部との間で光反射率に差があるため、他の記録層上の記録マーク有無の影響が再生信号に影響を及ぼす層間クロストークが存在し、これが再生信号特性を劣化させる。
【0007】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、その目的は、記録単位間での重なり(《問題点1》で述べた信頼性の低下をもたらす)を防ぎつつ、高密度記録を達成することである。
【0008】
この発明の他の目的は、片面2層以上の多層記録層を持つ情報記憶媒体における層間クロストーク(《問題点2》で述べた再生信号特性の劣化をもたらす)の影響を抑えることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明では、所定の記録単位(例えば16〜32セクタ/32k〜64kバイトのECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するようにしている。この隙間(δ)を開けたため、媒体の回転駆動機構(スピンドルモータ)に回転ムラがあっても前後の記録単位間で重なりが起きず、(重なりが生じたときに起きる一部の記録マーク破壊による)記録データの破壊が防止され、記録データの高い信頼性を保てるようになる。
【0010】
上記他の目的を達成するために、トラックピッチがPtである螺旋状トラック(112)を持つ片面複数記録層(122、123)型の円盤状媒体(例えば片面2層光ディスク9)を用いるこの発明では、開口数NAの対物レンズ(121)と屈折率がnで厚みがtの中間層(124)とを介して光学的にデータ記録が行なわれる。このデータ記録は、所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)が開くようにして行われる。ここで、D=2ttan{sin−1(NA/n)}としたときに、前記隙間の長さδは、「δ≦π(D+Pt)D/Pt」となるように構成される。
【0011】
あるいは、上記他の目的を達成するために、この発明では、回転中心を持つ円盤状情報記憶媒体(9)上の螺旋状トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録がなされるように構成される。ここで、前記トラック(112)のうち互いに隣接する少なくとも1組の隣接トラックペア(図8の112a、112b)において、この隣接トラックの一方(112a)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(図8のA)と、この隣接トラックの他方(112b)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心に対する角度位置(図8のB)とが異なるように構成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の種々な実施の形態に係る情報記憶媒体、情報記録方法、および情報記録再生装置を説明する。
【0013】
図1は、この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)9へのデータ記録方法の基本概念を説明する図である。この情報記憶媒体(片面2層タイプ)9の構造は、図2に概略的に示されている。
【0014】
図1の情報記憶媒体9が図2(a)に示すような片面2層タイプの場合、媒体9の基板90には、例えば相変化型の第1記録層123が形成され、その上に厚さtで屈折率がnの透明な中間層124が形成され、その上に相変化型の第0記録層122が形成され、さらにその上に(例えば厚さが100μm程度の)透明保護層125が形成される。
【0015】
図1および図2に示す情報記憶媒体9には、螺旋状もしくは同心円状に微細なプリグルーブ(連続溝)が予め凹凸形状で形成されており、それがトラック112を構成している。このトラック112に沿って記録層(図2(a)の122または123)上に記録マーク(図2(b)の127)を形成することで、情報記録が行われる。
【0016】
この実施の形態では、連続して記録マーク127を形成する連続データ記録単位(図1の110a、110b、110c)毎に情報の記録あるいは情報の書き換えを行うことで、記録マーク127の形成を行っている。その際、各連続データ記録単位110a、110b、110c同士の間には、長さがδの隙間111b、111cが開くようになってる。このようにデータ記録単位間に所定の隙間δを設けることが、この実施の形態に係るデータ記録方法の骨子である。
【0017】
図1に示すように各連続データ記録単位110a、110b、110cの間に隙間111b、111cを設けると、これらの隙間(δ)が、円盤状媒体9を回転駆動するスピンドルモータ(後述する図6の204)の回転ムラの影響(ジッタ)を吸収する。すなわち、この隙間(例えば111b)を設けたことにより、情報記録時に回転駆動系の回転ムラにより大きなジッタが生じても、隣接する連続データ記録単位(例えば110aと110b)の間に重なりが生じることが防止され、連続データ記録単位110でのデータの書き換えが安定かつ容易に行えるようになる。これが、データ記録単位間に隙間δを設けるデータ記録方法により得られる大きな特徴となっている。
【0018】
この実施の形態では、隙間111の長さδと連続データ記録単位110の長さLが情報記憶媒体9内の半径位置に依らず常に一定となるCLV(Constant Linear Verocity)記録を採用している。連続データ記録単位110内のデータ構造は、連続データ記録単位110の最初に設けられた記録の同期合わせ用VFO(Variable Frequency Oscillator)領域113と、それに続く記録情報114とで構成されている。
【0019】
なお、図1の記録情報114の内容は、1個のECCブロックそのままのデータ(例えば後述する図4(f)の小ECCブロック8−0と図4(g)の小ECCブロック8−1の両方を組み合わせたデータ)が変調された形で記録される。しかし、この発明の実施における対象内容はそれに限られない。例えば、記録情報114が複数のECCブロックから構成され、もしくは記録情報114が1個のECCブロック内のデータに対する整数分の一のデータから構成されることも、この発明の実施内容に含まれる。あるいは後述する図3に示された物理セクタ情報4の1個分、または複数の物理セクタ情報4から、1個分の記録情報114が構成されても良い。
【0020】
次に、図1の記録方法により、片面2記録層タイプの情報記憶媒体9に対して層間クロストークが大幅に低減することを、図2を用いて説明する。
【0021】
例えば図2(a)に示すように、対物レンズ121(その開口数NAは例えば0.85前後)を介して第1層の記録層123上にレーザ光(その波長λは例えば405nm前後)120を集光させ、第1層の記録層123からの反射光量の変化を検出して第1層の記録層123に記録された情報の再生を行う場合を考える。このときレーザ光120の一部は第0層の記録層122で反射して再び対物レンズ121を通過して検出光に漏れ込む。
【0022】
前述した従来技術の《問題点2》で説明したように、記録層122および123内では既記録部と未記録部との間(記録マーク127の内外)で光反射率に差がある。従って第0層の記録層122が完全に未記録状態で記録マーク127が全く存在しない場合と、第0層の記録層122全面に亘って既にデータが記録され、至る所に記録マーク127が分布する場合とでは第0層の記録層122で反射して検出光に漏れ込む光の量が大幅に変化する。この第0層の記録層122で反射して検出光に漏れ込む光量の変化が第1層の記録層123から反射して情報再生に利用する再生信号に漏れ込み(層間クロストーク)、再生信号特性を劣化させる。
【0023】
いま、図2(a)に示す第1層の記録層123上に集光させるという条件下で、第0層の記録層122上に当たるレーザ光120の直径をDとし、対物レンズ121の開口数(Numerical Apperture)をNAとし、中間層124の屈折率をnとし、中間層124の厚みをtとしてみる。すると、
NA=nsinθ …(1)
D=2ttanθ …(2)
なので、
D=2ttan{sin−1(NA/n)} …(3)
となる。
【0024】
ここで、図2(b)のように、光ディスク9の半径方向(トラック112に対して直角方向)に、互いに隣接する複数の隙間111が一直線に並んだ場合を考える。
【0025】
δ>Dのときは、互いに隣接する複数の隙間111が一直線に並んだ領域にレーザ光120が完全に入ってしまう場合(図示せず)が生じる。このときは直径Dのレーザ光120領域内には記録マーク127が一切含まれない全くの未記録状態(便宜上この状態をαの状態と呼ぶ)になる。
【0026】
また直径Dのレーザ光120が隙間111が一直線に並んだ領域から大きく離れた位置へ移動した場合には、直径Dのレーザ光120領域内全面の至る所が記録マーク127で埋まった状態(この状態をβの状態と呼ぶ)になる。
【0027】
前述したように、記録マーク127の内外で光反射率に差があるため、αの状態とβの状態で第0層の記録層122で反射するレーザ光120の反射光量に大きな開きが生じ、その結果非常に大きな層間クロストークが発生する。
【0028】
それに対して、δ≦Dすなわち
δ≦2ttan{sin−1(NA/n)} …(4)
の状態にすると、図2(b)に示すように、隙間111が一直線に並んだ領域は直径Dのレーザ光120領域内の一部のみに存在するようになるため、隙間111が一直線に並んだ領域をレーザ光120が通過するときの第0層の記録層122で反射するレーザ光120の反射光量の変化量(すなわち層間クロストーク量)が、上述したαの状態とβの状態の間の差よりも小さくなる。
【0029】
このように連続データ記録単位110a、110b、110cの間に隙間111b、111cを配置し、隙間111b、111cの長さδを小さくすることで、片面多層ディスクの再生時における層間クロストーク量を低減させることができる。ここにこの実施の形態の大きな特徴がある。
【0030】
なお、層間クロストーク量低減の効果は、
δ≦D/2 (つまりδ≦ttan{sin−1(NA/n)}) …(5)
のときに顕著に現れる。
【0031】
さらに実験評価した結果、δが取り得る値として
δ≦D/4 (つまりδ≦ttan{sin−1(NA/n)}/2)…(6)
とすることが、再生信号の特性劣化が少ない(層間クロストークの影響が少ない)条件となることが分かった。
【0032】
隙間δの具体例を挙げると、NA=0.85、n=1.57、t=50μmのときには、(4)式から、δ≦64μmとなる。(5)式からはδ≦32μmとなり、(6)式からはδ≦16μmとなる。
【0033】
前述したようにこの発明の実施の形態ではCLV方式でトラックに沿ってデータを記録している。従って情報記憶媒体9の一周の長さが図1でのL+δの長さ(すなわちトラック112に沿った方向で飛び飛びに並ぶ隙間111の物理的周期の長さ)の整数倍からずれている半径位置では、おのずと隣接トラック間で隙間111の位置がずれてくる。
【0034】
それに対して、情報記憶媒体9の一周の長さが図1でのL+δの長さ(隙間111の物理的周期長)の整数倍に一致している半径位置では、隣接トラック間で隙間111が隣りに並び、図2(b)のように隙間領域111が情報記憶媒体9の半径方向に一直線に並ぶ。そこで、このような半径位置では、トラック112に沿った方向での隙間111の物理的周期長を変化させて、隣接トラック間で隙間111が隣りにこないように配置するようにしている。ここにもこの発明の実施の形態の特徴がある。
【0035】
図3は、この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体に記録される物理セクタデータの構成を説明する図である。また図4は、図3の物理セクタデータに対するECCブロックの形成方法を説明する図である。以下、図3および図4を参照しながらこの発明の実施の形態におけるECCブロック内の構造に関する概念説明を行う。
【0036】
連続して転送されるAV情報やストリーム情報は細かく分割され、それぞれパックヘッダを付加したパック構造に変換されて情報記憶媒体(光ディスク)9に記録される。すなわち、図3(a)に示すように、映像情報はビデオパック1−0、1−1、1−2、…、音声情報はオーディオパック2−0、2−1、…の形で、時間軸上で連続的に並べられて、転送される。この1個ずつのビデオパック1−0〜、オーディオパック2−0〜のデータサイズは2048バイトであり、論理セクタ情報サイズと一致している。各ビデオパック1−0〜、オーディオパック2−0〜は、図3(b)に示すように、論理セクタ情報3−1〜3−31のように抽象化されて論理レイヤでは扱われる。(すなわち論理セクタ情報3−1〜3−31の具体的中身の例が各ビデオパック1−0〜、オーディオパック2−0〜になる。)
図3および図4に示した実施の形態では、物理セクタ情報と論理セクタ情報が一致しているので、その情報はそのまま図3(c)に示すように物理セクタ情報4−0〜4−31として扱われる。
【0037】
詳細は後述するが、それぞれの物理セクタ情報4−0〜4−31は、次のように構成される。すなわち、4バイトのPID情報、2バイトのIED情報、10バイトのリザーブ領域(現行DVDでのサイズは6バイト)が先頭に配置され、末尾に4バイトのEDCが配置される(データ0−0−0からデータ0−0−5)。その後、188バイト毎に分割され(データ0−0−0からデータ0−0−5までの各データ)、それぞれ188バイト毎にエラー訂正用のPI(inner−code parity)データ(PI0−0−0からPI0−0−5まで)が付加され、図3(d)または図4(d)のように順次配置される。奇数番目の物理セクタデータ(1番目の物理セクタデータ5−0)内では最後にエラー訂正用のPO(outer−code parity)データ(PO0)が配置されて物理セクタデータ5−0が完成される。
【0038】
この発明の実施の形態は、偶数番目の物理セクタデータ(2番目の物理セクタデータ5−1)内では最後から2番目の列にPOデータ(PO1)が配置され、偶数番目の物理セクタデータの最後にデータ1−1−5とPIデータ(PI1−1−5)が配置される構造を持つところに特徴を持つ。このようにして完成された物理セクタデータ5−0〜5−31は、図3(e)に示すように物理セクタデータ5−0〜5−31の配列順に従って光ディスク(情報記憶媒体9)上に記録される。
【0039】
図4(d)(f)(g)に示すように、1個の物理セクタデータ5−0は同時に2個の異なる小さなECCブロック8−0および8−1内のデータの組み合わせとして構成されている。(この実施の形態では図4(f)(g)に示すECCブロック8−0と8−1の塊(小単位)を小さなECCブロックと呼び、小さなECCブロック8−0と8−1の2個を組み合わせた全体を一般的なECCブロックと呼ぶ。)
すなわち、物理セクタデータ5−0内のデータは200バイト毎に細かく分割され、188バイトのデータ0−0−0とPIデータ0−0−0がECCブロック8−0内の最初の行に配置される。物理セクタデータ5−0内の次に続く188バイトのデータ0−1−0とPIデータ0−1−0は、小さなECCブロック8−1内の最初の行に配置される。さらに、物理セクタデータ5−0内のその次に続く188バイトのデータ0−0−1とPIデータ0−0−1がECCブロック8−0内の2行目に配置される。小さなECCブロック8−1内のPOデータのうち、最初の200バイトが、PO0として小さなECCブロック8−1内の6行目に挿入される。その結果、データ0−0−0からPO0までのデータが物理セクタデータ5−0を構成するようになる。
【0040】
次の物理セクタデータ5−1内の最初のデータ1−0−0とそれに続くPI1−0−0は、図4(f)に示すように、ECCブロック8−0内の7行目に配置される。ECCブロック8−0内のPOデータのうち、最初の200バイトのデータは、PO1としてECCブロック8−0内の12行目に配置される。
【0041】
このように、1行(200バイト)毎のPOデータ(PO0、PO1)が2物理セクタデータ5−0〜5−31毎に等間隔で配置され、その配置位置が、対をなす小さなECCブロック8−0および8−1の間で1物理セクタデータ分ずつずれる。
【0042】
図5は、この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体に記録されるECCブロックの内部構造を説明する図である。図5は、図4(f)(g)に示した小さなECCブロック8−0または8−1内の詳細な構造を例示している。なお、図5において“セクタ”に付いた数字は、データセクタにおける行番号を示す。
【0043】
図5の右側は左右の(200バイト列毎の)2個の小さなECCブロックの組み合わせ状態を示している。各小さなECCブロック内は、188バイト毎にPIが12バイト付加されるとともに、16行分のPOが付加された構造となっている。また、この16行分のPOはそれぞれ1行ずつに分解され、各12行毎に1行ずつインターリーブされて挿入されている。図5の1行200バイト列毎の斜線部が、インターリーブされて挿入されたPOを意味する。
【0044】
1セクタ当たりに割り当てられるユーザ情報サイズは、現行DVDと同様の2048バイトであり、アプリケーションレイヤで認識される論理セクタ情報と同じ内容の情報が個々の物理セクタ情報(メインデータ)として設定される。このメインデータ(物理セクタ情報)の2048バイトに対して、4バイトのデータID情報、2バイトのIED情報、10バイトのリザーブ領域(現行DVDのサイズは6バイト)が先頭に配置され、末尾に4バイトのEDCが配置されて、物理セクタの全データが構成される。
【0045】
1物理セクタデータが2個の小さなECCブロック間にまたがって(すなわち一般的なECCブロック内で)インターリーブされることにより、エラー訂正可能なバーストエラー長を従来のほぼ2倍に向上させている。すなわち1物理セクタデータは188バイトずつに分割され、さらに12バイトのPI(現行のPIサイズは10バイトであり、12バイトに増加させたことで行毎のエラー訂正能力が向上した)を付加させた行毎に交互に左右の異なるECCブロック内に順次配置させる。これも、この実施の形態の特徴の1つである。
【0046】
1物理セクタ内のデータ(データセクタ)は、図5の実施の形態では、それぞれ11行と言う奇数行になっている。ここにも、この実施の形態の特徴がある。このようにデータセクタを奇数行に設定することで、各物理セクタに1行ずつのPO行を挿入したときに合計行数が偶数行となり、PO行を、2個の小さなECCブロック内(すなわち一般的な1個のECCブロック内)に余りを生じさせること無くきちんと組み入れることが可能となる。
【0047】
各物理セクタ毎の先頭位置(図5では左上隅の位置)に必ずPID情報が配置され、かつ効率良くPOをインターリーブ挿入できるように、図5の実施の形態ではPOの挿入位置に工夫がなされている。すなわち、偶数セクタではセクタの最後の行位置にPOが配置されているのに対して、奇数セクタでは最後から2番目の行位置にPOが配置された構造となっている。その結果、各POは同一ECCブロック内に配置されるとともに、全ての物理セクタのデータサイズを一致させることが可能となる。ここにも、この実施の形態の特徴がある。
【0048】
次に図6を参照しながら、この発明の実施の形態に係る情報記録再生装置の構造説明を行う。
【0049】
1.情報記録再生部の機能説明
1−1.情報記録再生部の基本機能
情報記録再生部では、以下の処理が行われる。すなわち、
・情報記憶媒体(光ディスク)9上の所定位置に集光スポットを用いて新規情報の記録あるいは書き換え(情報の消去も含む)を行う;
・情報記憶媒体(光ディスク)9上の所定位置から集光スポットを用いてすでに記録されている情報の再生を行う。
【0050】
1−1−1.情報記録再生部の基本機能達成手段
上記の基本機能を達成する手段として情報記録再生部では、以下の処理が行われる。すなわち、
・情報記憶媒体9上のトラック112に沿って集光スポットをトレース(追従)させる;
・情報記憶媒体9に照射する集光スポットの光量を変化させて情報の記録/再生/消去の切り替えを行う;
・外部から与えられる記録信号dを高密度かつ低エラー率で記録するために最適な信号に変換する。
【0051】
2.機構部分の構造と検出部分の動作
2−1.光学ヘッド202基本構造と信号検出回路
2−1−1.光学ヘッド202による信号検出
光学ヘッド202は、基本的には、光源である半導体レーザ素子(図示せず)と、光検出器と、対物レンズとから構成されている。半導体レーザ素子から発光されたレーザ光は、対物レンズ(図2では121)により情報記憶媒体(光ディスク)9上に集光される。情報記憶媒体(光ディスク)9の光反射膜もしくは光反射性記録膜(図2では122または123)で反射されたレーザ光は、光検出器により光電変換される。光検出器で得られた検出電流は、アンプ213により電流−電圧変換されて検出信号となる。この検出信号は、フォーカス・トラックエラー検出回路217あるいは2値化回路212で処理される。
【0052】
一般的には、光検出器は複数の光検出領域に分割され、各光検出領域に照射される光量変化を個々に検出している。この個々の検出信号に対してフォーカス・トラックエラー検出回路217で和・差の演算を行い、フォーカスずれとトラックずれの検出を行う。このようにして情報記憶媒体(光ディスク)9の光反射膜もしくは光反射性記録膜からの反射光量変化を検出し、情報記憶媒体9上の信号cを再生する。
【0053】
2−1−2.対物レンズアクチュエータ構造
半導体レーザ素子から発光されたレーザ光を情報記憶媒体9上に集光させる対物レンズ(図2では121)は、対物レンズアクチュエータ駆動回路218の出力電流に応じて2軸方向に移動可能な構造になっている。この対物レンズの移動方向は、
・フォーカスずれ補正用に情報記憶媒体9に対する垂直方向に移動し、
・トラックずれ補正用に情報記憶媒体9の半径方向に移動するようになっている。
【0054】
このような対物レンズの移動機構を、対物レンズアクチュエータと呼ぶ。
【0055】
2−2A.情報記憶媒体(光ディスク)の回転制御系(ゾーンCAVの回転制御)
スピンドルモータ204の駆動力によって回転駆動される回転テーブル221上に、情報記憶媒体(光ディスク)9を装着する。情報記憶媒体9の回転数(回転速度)は情報記憶媒体9から得られる再生信号によって検出する。すなわち、アンプ213から出力される検出信号(アナログ信号)は2値化回路212でデジタル信号に変換され、この信号からPLL(Phase Lock Loop)回路211により一定周期信号(基準クロック信号)を発生させる。情報記憶媒体回転速度検出回路214は、この信号を用いて情報記憶媒体9の回転数を検出し、その値を出力する。
【0056】
情報記憶媒体9上で再生あるいは記録/消去する半径位置に対応した情報記憶媒体回転数の対応テーブルは、半導体メモリ219に予め記録されている。再生位置もしくは記録/消去位置が決まると、制御部220は半導体メモリ219の記録情報を参照して情報記憶媒体9の目標回転数を設定し、その値をスピンドルモータ駆動回路215に通知する。
【0057】
スピンドルモータ駆動回路215では、この目標回転数と情報記憶媒体回転速度検出回路214の出力信号(現状での回転数)との差を求め、その結果に応じた駆動電流をスピンドルモータ204に与えてスピンドルモータ204の回転数が一定になるように制御する。情報記憶媒体回転速度検出回路214の出力信号は情報記憶媒体9の回転数に対応した周波数を有するパルス信号で、スピンドルモータ駆動回路215ではこの信号の周波数とパルス位相の両方に対して制御する。
【0058】
2−2B.情報記憶媒体(光ディスク)の回転制御系(CLVの回転制御)
スピンドルモータ204の駆動力によって回転駆動される回転テーブル221上に、情報記憶媒体(光ディスク)9を装着する。情報記憶媒体9の回転数(回転速度)は、情報記憶媒体9上に存在するウオーブルグルーブ領域(図12の143など)から得られる再生信号によって検出する。すなわち、フォーカス・トラックエラー検出回路217から出力される検出信号(アナログ信号)を情報記憶媒体回転速度検出回路214内の図示しない2値化回路でデジタル信号に変換して、一定周期の信号(参照信号)を発生させる。回転速度検出回路214は、この参照信号を用いて情報記憶媒体9の回転数を検出し、その検出値と基準クロック信号との周波数差・位相差に応じた差分信号を出力する。この差分信号出力値に基づいて、スピンドルモータ駆動回路215は、所定の駆動電流をスピンドルモータ204に与えて、線速度が一定(CLV)となるような制御を行う。
【0059】
2−3.光学ヘッド移動機構
情報記憶媒体9の半径方向に光学ヘッド202を移動させるため、光学ヘッド移動機構(送りモータ)203を装備している。
【0060】
3.各制御回路の機能
3−1.集光スポットトレース制御
フォーカスずれ補正あるいはトラックずれ補正を行うため、フォーカス・トラックエラー検出回路217の出力信号(検出信号)に応じて光学ヘッド202内の対物レンズアクチュエータ(図示せず)に駆動電流を供給する回路が設けられている。この回路が、対物レンズアクチュエータ駆動回路218である。この回路218は、対物レンズ移動を高い周波数領域まで高速応答させるため、対物レンズアクチュエータの周波数特性に合わせた特性改善用の位相補償回路を内部に有している。
【0061】
対物レンズアクチュエータ駆動回路218では、制御部220の命令に応じて、以下の処理が行われる。すなわち、
・フォーカス/トラックずれ補正動作(フォーカス/トラックループ)のON/OFF処理;
・情報記憶媒体9の垂直方向(フォーカス方向)へ対物レンズを低速で移動させる処理(フォーカス/トラックループOFF時に実行);
・キックパルスを用いて情報記憶媒体9の半径方向(トラックを横切る方向)にわずかに動かして、集光スポットを隣のトラックへ移動させる処理。
【0062】
4.機構部分の制御系に関する諸動作
4−1.起動制御
情報記憶媒体(光ディスク)9を回転テーブル221上に装着し、起動制御を開始すると、以下の手順に従って処理が行われる。
【0063】
1)制御部220からスピンドルモータ駆動回路215に目標回転数が伝えられ、スピンドルモータ駆動回路215からスピンドルモータ204に駆動電流が供給されて、スピンドルモータ204の回転が開始する。
【0064】
2)同時に、制御部220から送りモータ駆動回路216に対してコマンド(実行命令)が出され、送りモータ駆動回路216から光学ヘッド駆動機構(送りモータ)203に駆動電流が供給されて、光学ヘッド202が情報記憶媒体9の最内周位置に移動する。このとき、光学ヘッド202が、情報記憶媒体9の情報記録領域を越えてさらに内周部にきていることを確認する。
【0065】
3)スピンドルモータ204が目標回転数に到達すると、そのステータス(状況報告)が制御部220に出される。
【0066】
4)制御部220から記録/再生/消去制御波形発生回路206に送られた再生光量信号に合わせて、半導体レーザ駆動回路205から光学ヘッド202内の半導体レーザ素子に電流が供給されて、レーザ発光を開始する。
【0067】
なお、情報記憶媒体(光ディスク)9の種類によって再生時の最適照射光量が異なる。起動時にはそのうちの最も照射光量の低い値に設定する。
【0068】
5)制御部220からのコマンドに従って、光学ヘッド202内の対物レンズ(図2では121)を情報記憶媒体9から最も遠ざけた位置にずらし、対物レンズが情報記憶媒体9にゆっくりと近付くよう、対物レンズアクチュエータ駆動回路218を制御する。
【0069】
6)同時に、フォーカス・トラックエラー検出回路217でフォーカスずれ量をモニタし、焦点が合った位置近傍に対物レンズがきたときにステータスを出して制御部220に通知する。
【0070】
7)制御部220は、その通知を受け取ると、対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してフォーカスループをONにするようコマンドを出す。
【0071】
8)制御部220は、フォーカスループをONにしたまま送りモータ駆動回路216にコマンドを出して、光学ヘッド202をゆっくり情報記憶媒体9の外周部方向へ移動させる。
【0072】
9)同時に、光学ヘッド202からの再生信号をモニタし、光学ヘッド202が情報記憶媒体9上の記録領域に到達したら光学ヘッド202の移動を止め、対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してトラックループをONさせるコマンドを出す。
【0073】
10)情報記憶媒体(光ディスク)9の内周部に記録されている“再生時の最適光量”と“記録/消去時の最適光量”を再生し、その情報が制御部220を経由して半導体メモリ219に記録される。
【0074】
11)さらに、制御部220では、その“再生時の最適光量”に合わせた信号を記録/再生/消去制御波形発生回路206に送り、再生時の半導体レーザ素子の発光量を再設定する。
【0075】
12)情報記憶媒体9に記録されている“記録/消去時の最適光量”に合わせて、記録/消去時の半導体レーザ素子の発光量が設定される。
【0076】
4−2.アクセス制御
4−2−1情報記憶媒体9上のアクセス先情報の再生
情報記憶媒体9上のどの場所にどのような内容の情報が記録されているかについての情報は、情報記憶媒体9の種類により異なり、一般的には、情報記憶媒体9内のディレクトリ管理領域か、ナビゲーションパックなどに記録してある。ここで、ディレクトリ管理領域は、通常は、情報記憶媒体9の内周領域もしくは外周領域にまとまって記録されている。また、ナビゲーションパックは、MPEG2のPS(Program Stream)のデータ構造に準拠したVOBS(Video Object Set)の中に含まれるもので、このパックには、次の映像がどこに記録してあるかの情報が記録されている。
【0077】
特定の情報を再生あるいは記録/消去したい場合には、まず上記の領域内の情報(どこにどのような内容が記録されているかの情報)を再生し、そこで得られた情報からアクセス先を決定する。
【0078】
4−2−2.粗アクセス制御
制御部220では、アクセス先の半径位置を計算で求め、現状の光学ヘッド202位置との間の距離を割り出す。光学ヘッド202移動距離に対して最も短時間で到達できる速度曲線情報が事前に半導体メモリ219内に記録されている。制御部220はその情報を読み取り、その速度曲線に従って以下の方法で光学ヘッド202の移動制御を行う。
【0079】
すなわち、制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してコマンドを出してトラックループをOFFした後、送りモータ駆動回路216を制御して光学ヘッド202の移動を開始させる。集光スポットが情報記憶媒体9上のトラックを横切ると、フォーカス・トラックエラー検出回路217内でトラックエラー検出信号が発生する。このトラックエラー検出信号を用いて情報記憶媒体9に対する集光スポットの相対速度を検出できる。送りモータ駆動回路216では、このフォーカス・トラックエラー検出回路217から得られる集光スポットの相対速度と制御部220から逐一送られる目標速度情報との差を演算し、その結果を光学ヘッド駆動機構(送りモータ)203への駆動電流にフィードバックかけながら光学ヘッド202を移動させる。
【0080】
前記“光学ヘッド移動機構(送りモータ)203”では、図示しないガイドシャフトとブッシュあるいはベアリング間に、常に摩擦力が働いている。光学ヘッド202が高速に移動しているときは動摩擦が働くが、移動開始時と停止直前には光学ヘッド202の移動速度が遅いため静止摩擦が働く。このときには相対的摩擦力が増加しているので、(特に停止直前には)制御部220からのコマンドに応じて光学ヘッド駆動機構(送りモータ)203に供給する電流の増幅率(ゲイン)を増加させる。
【0081】
4−2−3.密アクセス制御
光学ヘッド202が目標位置に到達すると、制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218にコマンドを出して、トラックループをONさせる。集光スポットは情報記憶媒体9上のトラックに沿ってトレースしながらその部分のアドレスもしくはトラック番号を再生する。そこでのアドレスもしくはトラック番号から現在の集光スポット位置を割り出し、到達目標位置からの誤差トラック数を制御部220内で計算し、集光スポットの移動に必要なトラック数を対物レンズアクチュエータ駆動回路218に通知する。対物レンズアクチュエータ駆動回路218内で1組キックパルスを発生させると、対物レンズは情報記憶媒体9の半径方向にわずかに動いて、集光スポットが隣のトラックへ移動する。
【0082】
対物レンズアクチュエータ駆動回路218内では、一時的にトラックループをOFFさせ、制御部220からの情報に合わせた回数のキックパルスを発生させた後、再びトラックループをONさせる。密アクセス終了後、制御部220は集光スポットがトレースしている位置の情報(アドレスもしくはトラック番号)を再生し、目標トラックにアクセスしていることを確認する。
【0083】
4−3.連続記録/再生/消去制御
図6に示すように、フォーカス・トラックエラー検出回路217から出力されるトラックエラー検出信号は、送りモータ駆動回路216に入力されている。上述した“起動制御時”と“アクセス制御時”には、送りモータ駆動回路216内ではトラックエラー検出信号を使用しないように制御部220により制御されている。アクセスにより集光スポットが目標トラックに到達したことを確認した後、制御部220からのコマンドにより、モータ駆動回路216を経由して、トラックエラー検出信号の一部が、光学ヘッド駆動機構(送りモータ)203への駆動電流として供給される。連続に再生もしくは記録/消去処理を行っている期間中、この制御は継続される。
【0084】
なお、情報記憶媒体9の中心位置は、回転テーブル221の中心位置とわずかにずれた偏心を持って装着されている。トラックエラー検出信号の一部を駆動電流として供給すると、偏心に合わせて光学ヘッド202全体が微動する。また長時間連続して再生もしくは記録/消去処理を行うと、集光スポット位置が徐々に外周方向もしくは内周方向に移動する。トラックエラー検出信号の一部を光学ヘッド移動機構(送りモータ)203への駆動電流として供給した場合には、それに合わせて光学ヘッド202が徐々に外周方向もしくは内周方向に移動する。このようにして対物レンズアクチュエータのトラックずれ補正の負担を軽減し、トラックループを安定化できる。
【0085】
4−4.終了制御
一連の処理が完了し、動作を終了させる場合には、以下の手順に従って処理が行われる。すなわち、
1)制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してトラックループをOFFさせるコマンドが出される;
2)制御部220から対物レンズアクチュエータ駆動回路218に対してフォーカスループをOFFさせるコマンドが出される;
3)制御部220から記録/再生/消去制御波形発生回路206に対して半導体レーザ素子の発光を停止させるコマンドが出される;
4)スピンドルモータ駆動回路215に対して基準回転数として0(ゼロ)を通知する。
【0086】
5.情報記憶媒体への記録信号/再生信号の流れ
5−1.情報記憶媒体9に記録される信号形式
情報記憶媒体9上に記録する信号に対して、
・情報記憶媒体9上の欠陥に起因する記録情報エラーの訂正を可能とする、
・再生信号の直流成分を0にして再生処理回路の簡素化を図る、
・情報記憶媒体9に対してできるだけ高密度に情報を記録する、
との要求を満足するため、図6に示すように、情報記録再生部(物理系ブロック)では、“エラー訂正機能の付加”および“記録情報に対する信号変換(信号の変復調)”を行っている。
【0087】
5−2.記録時の信号の流れ
5−2−1.ECC(Error Correction Code)付加処理
情報記憶媒体9に記録したい情報が、生信号の形で、記録信号dとしてデータ入出力インターフェース部222に入力される。この記録信号dは、そのまま半導体メモリ219に記録され、その後ECCエンコーディング回路208で上述したようにECCの付加処理が実行される。
【0088】
ECCエンコーディング回路208は、内符号PIと外符合POの付加が完了すると、半導体メモリ219から1セクタ分のデータを読み取り、それを変調回路207へ転送する。
【0089】
5−2−2.信号変調
再生信号の直流成分(DSV:Disital Sum Value)を0(ゼロ)に近付け、情報記憶媒体9に対して高密度に情報を記録するため、信号形式の変換である信号変調を変調回路207内で行う。元の信号と変調後の信号との間の関係を示す変換テーブルを変調回路207と復調回路210内部で持っている。ECCエンコーディング回路208から転送された信号を変調方式に従って複数ビット毎に区切り、変換テーブルを参照しながら別の信号(コード)に変換する。
【0090】
例えば変調方式として8/16変調(RLL(2,10)コード)を用いた場合には、変換テーブルが2種類存在し、変調後の直流成分(DSV)が0に近付くように逐一参照用変換テーブルを切り替えている。
【0091】
5−2−3.情報記憶媒体9への記録処理
半導体レーザ駆動回路205が働き、光学ヘッド202から情報記憶媒体9へ情報の記録が行われる。このとき、図1および図2(b)に示すように、トラック112に沿って連続データ記録単位110毎に連続して記録マーク127が形成され、各連続データ記録単位110の間には隙間111が作られる。
【0092】
なお、連続データ記録単位(110、131)は、図8に示されるように、1個のECCブロック(130a)全体、あるいは1個のECCブロック(130b)の整数分の一(例えば図8の133または134)で構成される。ここで、“1個のECCブロックの整数分の一”とは、1個のECCブロック(130b)が複数個の物理セクタ(例えば図8の7−0〜7−31)を含み、このECCブロック内(130b)にある複数物理セクタの整数分の一(7−0〜7−15または7−16〜7−31;ここでは2分の一)が1つの連続データ記録単位(133または134)を構成する場合をいう。
【0093】
5−3.再生時の信号の流れ
5−3−1.2値化・PLL回路
“光学ヘッド202による信号検出”で記述したように、情報記憶媒体(光ディスク)9の光反射膜もしくは光反射性記録膜からの反射光量変化を検出して情報記憶媒体9上の信号を再生する。アンプ213で得られた信号はアナログ波形をしている。2値化回路212では、その信号をコンパレータを用いて“1”と“0”からなる2値のデジタル信号に変換する。
【0094】
ここで得られた再生信号から、PLL回路211により、情報再生時の基準信号を取り出している。PLL回路211は、周波数可変の発振器を内蔵している。その発振器から出力されるパルス信号(基準クロック)と2値化回路212出力信号間の周波数と位相の比較を行い、その結果を発振器出力にフィードバックしている。
【0095】
5−3−2.信号の復調
復調回路210内部には、変調された信号と復調後の信号との間の関係を示す変換テーブル(図示せず)が設けられている。PLL回路211で得られた基準クロックに合わせて、この変換テーブルを参照しながら、変調された信号を元の信号に戻す。戻された(復調された)信号は、半導体メモリ219に記録される。
【0096】
5−3−3.エラー訂正処理
エラー訂正回路209は、半導体メモリ219に保存された信号に対し、内符号PIと外符号POを用いて、エラー箇所を検出し、エラー箇所のポインタフラグを立てる。その後、エラー訂正回路209は、半導体メモリ219から信号を読み出しながら、エラーポインタフラグに合わせて、逐次エラー箇所の信号を訂正し、内符号PIと外符号POをはずしてデータ入出力インターフェース部222へ転送する。ECCエンコーディング回路208から送られてきた信号は、データ入出力インターフェース部222から、再生信号cとして出力される。
【0097】
図6の装置における各処理の制御手順および各処理において用いられるパラメータは、ファームウエアとして、制御部220内の制御プログラム/パラメータROM220bに書き込まれている。制御部220のマイクロプロセシングユニットMPU(図示せず)は、ワークRAM220aをワークエリアに用いながらROM220b内の制御プログラムを実行して、上述した各処理を行うようになっている。
【0098】
次に、図7に示すフローチャートを用いて、図6の装置内で行われるフォーマット処理の手順を説明する。この処理は図6におけるECCエンコーディング回路208内で実行され、制御部220により詳細な制御がなされる。図7は、図3〜図5に示すようなデータ変換処理(フォーマット変換処理)の手順を示している。
【0099】
まず、物理セクタ情報の設定が行われる(ステップST1)。この設定により、物理セクタ情報4−0〜4−31(図3(c))の設定(2048バイト単位のメインデータに分割すること)がなされる。その際、物理セクタ情報4−0〜4−31は、論理セクタ情報3−0〜3−31(図3(b))のサイズに合わせて設定される。つまり、記録するユーザデータは、2048バイト単位で取り扱かわれる。
【0100】
次に、2048バイトのメインデータと16バイトの補助データと4バイトの誤り検出符号(EDC)から、2068バイトのデータセクタが生成される(ステップST2)。ここで、16バイトの補助データは、4バイトのデータIDデータ(PID)、データIDに対する2バイトの誤り検出符号(IED)、および10バイトの予備データ(RSV)から構成されている。
【0101】
なお、上記PIDには、データセクタの識別に用いるセクタ番号や、データセクタの内容の識別に用いるセクタ情報が記録される。また、上記IEDは、PID部分に発生した誤りを検出するために使用される。また、上記RSVは、その他の補助情報(例えば著作権管理情報)の記録などに使用される。また、上記EDCは、2064バイトのメインデータと補助データに発生した誤りを検出するために使用される。そして、上記データセクタは、188列11行に配列される。
【0102】
次に、データセクタのうちメインデータの2048バイトの部分に対して、スクランブルデータの加算が行なわれる(ステップST3)。
【0103】
次に、セクタ番号が偶数か奇数かに応じて、データセクタの行の再配置が行なわれる(ステップST4)。
【0104】
次に、セクタ番号に応じて再配置された連続する32個のデータセクタが縦方向に積み重ねられて、セクタブロックが生成される(ステップST5)。ここで縦方向に積み重ねられたデータセクタは、376列176行に配置される。
【0105】
次に、上記セクタブロックが横方向に2分割されて誤り訂正符号の符号化が行なわれる(ステップST6)。ここで、分割後の188列176行のそれぞれのブロックに対して、列方向の符号化が行なわれ、16行の外符号パリティ(PO)が生成される。この外符号には、RS(192、176、17)のリードソロモン符号が使用される。続いて行方向に内符号の符号化が行なわれ、12列の内符号パリティ(PI)が生成される。この内符号はRS(200、188、13)のリードソロモン符号が使用される。
【0106】
次に、ECCブロックに対して行インターリーブが行なわれ、左右それぞれ16行あるPOが、ブロック内に分散される(ステップST7;図5参照)。ここでは、16×2=32行のPOが1行ずつ各セクタに分配されて行く。そのとき、横方向に2分割された左側のブロックのPO行は5行しかない奇数セクタの最下行の次に、横方向に2分割された右側のブロックのPO行は5行しかない偶数セクタの最下行の次に挿入される。
【0107】
以上の処理を経て、物理セクタデータが完成される(ステップST8)。
【0108】
次に、2行に跨ったジグザグ記録が行なわれる(ステップST9)。
【0109】
次に、変調処理が行われる(ステップST10)。ここで、記録するデータのビット系列をそのまま媒体9に記録したのでは、記録データ系列の特徴と媒体9の記録特性が一致せず、効率よく記録を行うことができないことが考えられる。そこで、媒体9の記録特性に鑑みて所定の変換規則によりデータパターンの変換を行う。変調方式の例としては、1バイトのデータを16ビットのパターンにに変換する8/16変調方式や、1.5バイトのパターンに変換する8/12変調方式、または12ビットのデータを18ビットのパターンに変換する12/18変調方式などがあげられる。いずれの方式も複数の変換テーブルと変換テーブルを選択するための論理回路により構成される。特に1.5バイトのデータに対して変換を行う12/18変調方式では、1カ所の誤りが1.5バイトに拡大する特性を持っているため、ステップST9で行う処理が再生時のエラーを分散させる上で効果的である。
【0110】
以上のステップST1〜ST10の工程を得て、ST9の設定に従ったジグザグ記録が、媒体9に対して行なわれる。この記録において、図1に示すように連続データ記録単位110毎に連続してデータ記録が行われる。その際、各連続データ記録単位110の間には長さδの隙間111ができるように記録が制御される。
【0111】
図8は、この発明の他の実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)へのデータ記録方法を説明する図である。
【0112】
図1における記録情報114の物理的なデータ長さは、図3および図4に示したECCブロックのデータに対する変調後のデータ長さ(図8のECCブロック130aの長さ)に一致することは既に説明した。
【0113】
ここで、情報記憶媒体9の一周の長さがL+δの長さの整数倍に一致している半径位置にきたら、ECCブロック130bを2分割し、ECCブロック130bの前半分のデータ133にVFO領域113bを付加して物理的な長さがJとなる連続データ記録単位131bを、トラック112方向に記録する。
【0114】
このような連続データ記録単位131bの後ろに長さδの隙間111cを開け、その後に、ECCブロック130bの後半分のデータ133にVFO領域113cを付加して物理的な長さがJとなる連続データ記録単位131cを、トラック112方向に記録する。図8から明らかなように“δ+J+δ+J”の長さはL+δの長さと異なるため、この半径位置(図8のトラック112aの半径位置とトラック112bの半径位置)では隣接トラック間(112aと112b)で隙間111が隣りにこないような配置となる。
【0115】
図8では連続データ記録単位131内にECCブロック130bを変調したデータの半分を記録配置したが、この発明の適応範囲はそれに限らず、例えば任意の複数物理セクタデータ分(図8の例では7−0〜7−15と7−16〜7−31)を記録配置したり、複数のECCブロック130をまとめて1個の連続データ記録単位131内に記録配置しても良い。
【0116】
図9は、この発明に係る情報記憶媒体における隙間(グルーブギャップ)δの必要性を説明する図である。
【0117】
まず、δの値が小さすぎるときの問題点を、図9を用いて説明する。図6に示したスピンドルモータ204に回転ムラが全くない場合(理想状態)では、図9(a)に示すように、連続データ記録単位110と隙間111との組は、長さ(L+δ)の変動なしに、トラック112に沿って記録される。しかし、スピンドルモータ204の回転数が(回転ムラにより)局所的に早くなると、連続データ記録単位110aの終了位置が後方にシフトして、隙間111bが狭くなるだけでなく、最悪の場合には、後続する場所に既に記録されている連続データ記録単位110bの先頭まで連続データ記録単位110aの終了位置が入り込み、データの重なり部分116が発生する危険性がある。
【0118】
情報記憶媒体9の記録層122および123の材質に相変化形記録膜を用いた場合には、このデータの重なり部分116は前の連続データ記録単位110aの後方データにより書き重ね(オーバーライト)され、連続データ記録単位110bの最初のデータが破壊される。
【0119】
スピンドルモータ204の回転制御は、図12に示すウォーブルグルーブ143から得られるウォーブル信号を用いて行われる。従って、スピンドルモータ204の回転ムラ量をfで表し、ウォーブルグルーブ143のウォーブル周期をτとすると、スピンドルモータ204の回転ムラによる連続データ記録単位110aの最後のデータのずれ量は、“τf”で与えられる。
【0120】
従って、図9(b)のようなデータの重なりに起因する問題を回避するためには、隙間111の長さδは、
δ≧τf …(7)
に設定する必要がある。
【0121】
スピンドルモータ204の回転ムラ量(モータ204により回転駆動されるテーブル221に実際にセットされた光ディスク9の、偏芯による影響を含めた実質的な回転ムラ量)は、一般に、情報記憶媒体9の偏心量によって左右される。情報記憶媒体9の偏心量が±100μmの場合、この偏芯量に起因する回転ムラ量fは、およそ0.1%程度となる。この場合、(7)式は、
δ≧0.001τ …(8)
となる。
【0122】
上記(7)式あるいは(8)式により隙間δの下限を定めることができ、前述した(4)式、(5)式、あるいは(6)式により隙間δの上限を定めることができる。
【0123】
なお、スピンドルモータ204の(実質的な)回転ムラあるいはその他の要因で、上記(7)式あるいは(8)式により下限が定められた隙間δの値が、前述した(6)式(δ≦D/4あるいはδ≦ttan{sin−1(NA/n)}/2)を満足できない場合も考え得る。このような場合の対策方法を、説明しておく。
【0124】
図2(b)の説明で前述したように、長さδの長い隙間領域111が情報記憶媒体9の半径方向に一直線に並んだ場合に、層間クロストークが生じる。この層間クロストークは、隙間111の長さδが大きい程顕著となる(δ=0ならば隙間111に起因する層間クロストークは生じない)。従って、回転ムラなどの要因で隙間111の長さδを短くできない場合には、隙間111の配置をずらす、すなわち隣接トラック間で隙間111が隣りにこないように配置することで、層間クロストークを低減させる方法が考えられる。このような隙間111の位置ずらしの具体的な方法の1つは、図8を参照して前述した。その他に、隙間111の位置ずらしの具体的な方法としては、図10に示すようなものもある。
【0125】
図10は、図8の応用例(変形例)を示す。図8では、隙間111の物理的周期長さを変化させて隣接トラック間(112aと112b)で隙間111が隣りにこないように配置したが、図10では、巨視的には隙間111の物理的周期長さを変化させず、隣接トラック間(112aと112b)で隙間111が隣りにきそうな場所だけ隙間111の位置をずらすようにしている。
【0126】
図10において、情報記憶媒体9内の多くの場所では、ECCブロック130bを2分割して物理セクタ7−0から7−15までの16セクタをECCブロック130bの前半分のデータ133として連続データ記録単位131bに当てはめ、物理セクタ7−16から7−31までの16セクタをECCブロック130bの後半分のデータ134として連続データ記録単位131cに当てはめている。
【0127】
ただし、このままの配置方法で隣接トラック間で隙間111が隣り(A点位置)にくるときの情報記憶媒体9の半径位置((7)式を満足する半径位置)では、隙間111eの位置をB点位置までずらす。
【0128】
すなわち、この場所(B点位置)では、連続データ記録単位137内にECCブロック130cの前半分のデータ133として物理セクタ8−0から8−14までの15セクタを当てはめる。その結果、連続データ記録単位137の物理的長さが“J”から“J−α”と短くなる。また同時に、連続データ記録単位138内にECCブロック130cの後半分のデータ134として物理セクタ8−15から8−31までの17セクタを当てはめる。その結果、連続データ記録単位132の物理的長さが“J”から“J+α”と長くなる。それにより隙間111eの位置がずれる。
【0129】
このように、連続データ記録単位137、138内に入るセクタ数を隙間111eの前後で変えて(つまり、連続データ記録単位137+138の合計長さは変えないが、連続データ記録単位137の長さと連続データ記録単位138の長さを±α分だけ変えて)隙間111eの位置をA点の隣からB点へずらすことができる。
【0130】
なお、図8の実施の形態では、ECCブロック130に対して1/M分割した後のデータを1個の連続データ記録単位131〜133に当てはめている。図10の実施の形態では、ECCブロック130を2分割(M=2)して当てはめているが、この実施の形態はそれに限られず、Mの値として4、8、16など他の値を用いても良い。
【0131】
ところで、前述した(4)式〜(6)式の条件は、図2(b)に示すように隙間111が半径方向に一直線に並ぶときにのみ成り立つ条件を示している。情報記憶媒体9のトラック112に沿った方向での連続データ記録単位110の物理的長さをLとすると、上記(6)式の条件を満足するのは、整数値Nに対して、
N(L+δ)=2πr0 …(9)
を満足する半径r0の位置を図2(b)のレーザ光120の中心がトレースした場合にのみである。
【0132】
しかし、r≠r0における半径rの位置では、一般に、
N(L+δ)=2πr−ζ …(10)
となるため、図11に例示するように、隙間111の位置が一直線に並ばずに、ずれて行く。
【0133】
図11は、この発明に係る情報記憶媒体における隙間(グルーブギャップ)の最大許容範囲を説明する図である。
【0134】
この発明の一実施の形態では、記録方法としてCLV(Constant Linear Velocity)を採用している。図11において、情報記憶媒体9の半径rの位置での隙間111または115の中心位置を基準に考える。
【0135】
トラックピッチをPtとすると、隣のトラック上での隙間111または115の中心位置のトラックに沿った方向(情報記憶媒体9の円周方向)でのずれ量は
2πPt+ζ …(11)
となる。
【0136】
図11において、半径rのトラックから数えてm番目のトラック位置での隙間111または115の中心位置の、その1個手前のトラック位置での隙間中心位置からのずれ量は、
2πPt・m+ζ …(12)
となる。このため、上記基準位置(半径rの位置での隙間111または115の中心位置)からの合計ずれ量Xは、
X=Σ{2πPt・m+ζ} …(13)
となる。
【0137】
図2(b)の場合と同様に、層間クロストークの影響を及ぼすレーザ光120のスポット直径は、図11においてもDとなる。長さDの間に含まれるトラック数はD/Ptとなるので、(13)式の合計は、m=0からm=D/Ptまでの和を取ることで、
で与えられる。
【0138】
図11において、充分小さな長さδ2の隙間111a〜111fが存在する場合には、層間クロストークの影響は比較的少ないことが予想される。これに対し、充分長い長さδ1の隙間115a〜115fが存在するときには、図11の状態ではレーザ光120内の大部分の面積内に記録マークが存在しないこととなり、層間クロストークが大きく現れる。
【0139】
図11に示すようにレーザ光120内の最も端にくる隙間115aの開始位置Gとレーザ光120内の反対側の端にくる隙間115fの終了位置Hが半径方向に並んだ場合(円周に沿った方向でのGとHの位置がほぼ一致した場合)には明らかに層間クロストークの影響が大きく現れる。この場合には隙間115aの中心位置から開始位置Gまでの距離は隙間115fの中心から終了位置Hまでの距離に等しくδ1/2となる。その結果、このときにはX=δ1となり、(14)式より、
δ1={π(D+Pt)+ζ}D/Pt …(15)
が得られる。
【0140】
従って、図11の状態では層間クロストークの影響が小さくなり得る条件はδ≦δ1となるので、
δ≦{π(D+Pt)+ζ}D/Pt …(16)
となる。
【0141】
情報記憶媒体9のあらゆる半径位置での平均を取ると
ζ=(L+δ)/2≒L/2 …(17)
となるので、(17)式を(16)式に代入すると
δ≦{π(D+Pt)+L/2}D/Pt …(18)
を得る。
【0142】
また最小の状態では、ζ=0として、(16)式から、
δ≦π(D+Pt)D/Pt …(19)
となる。すなわち、隙間の長さδに関する層間クロストーク低減条件として、(19)式を満足する必要がある。
【0143】
図12は、記録開始位置を決める目印が設けられた、この発明のさらに他の実施の形態に係る情報記憶媒体を説明する図である。
【0144】
情報記憶媒体9上に記録された記録開始位置決め用目印141は、図6の光学ヘッド202で再生され、アンプ213を経た後、フォーカス・トラックエラー検出回路217に送られる。フォーカス・トラックエラー検出回路217内では、トラックエラー検出信号の一部として、目印141の有無の検知が行われる。ここで、トラックエラー検出信号の周波数よりも、記録開始位置決め用目印141から得られる検出信号の周波数の方がはるかに高くなっている。このため、両者を周波数分離することで目印141を容易に検知することができる。また、両者の周波数が大きく離れていることから、目印141が存在することによるトラックエラー検出信号への悪影響も低減される。
【0145】
また、記録開始位置決め用目印141部分のウォーブルパターン(2τとτの反復パターン)は目印以外の部分のウォーブルパターン(τのみの反復パターン)と異なる。つまり目印141部分はユニークなウォーブルパターン(一種のアドレス)を持っている。このため、検知された“2τとτの反復パターン”が目印141であるとの判定(特定)を確実に行うことができる。
【0146】
この発明の実施の形態では、CLV方式を用いてデータの記録を行うため、情報記憶媒体9の半径位置により、図11のように隙間111の位置が回転角度方向で異なり、それに対応して回転角度方向での記録開始位置決め用目印141の位置もずれる。この特徴を利用して、回転角度方向での記録開始位置決め用目印141の位置検出のみで、トレースしている場所の半径位置の検出が可能となる。
【0147】
前述した(19)式に従うと、隙間111または115の物理的な長さδ(図11ではδ1またはδ2)は小さくなるように設定する必要がある。この場合、隙間111または115の物理的な長さδが充分小さいため、例えば1個の連続データ記録単位110のみのデータを書き換える場合に、書き換え開始位置に高い精度が要求される。書き換え開始位置精度が低いと1個の連続データ記録単位110のみの書き換え処理時に前後の連続データ記録単位位置を誤って書き重ねする危険性が生じるからである。
【0148】
この高い精度を確保するため、図12の実施の形態では、記録開始位置決め用目印141をウォーブル変調の形で媒体(記録可能光ディスク)9に予め記録するようにしている。ここにこの発明の実施の形態の大きな特徴がある。
【0149】
この記録開始位置決め用目印141には、以下の特徴を持たせている:
(a)トラック112を形成する連続溝形状のプリグルーブを左右に振るウォーブル変調を行う。このとき、左右に振ったプリグルーブの幅は至る所一定に保つ。
【0150】
<aの注記>グルーブの幅は至る所一定なため、記録開始位置決め用目印141上を集光させた再生用レーザ光をトレースさせてもそこからの反射率が一定に保たれる。従って、記録開始位置決め用目印141の上に直接記録マーク127を形成できる。記録開始位置決め用目印141の上に直接記録した記録マーク127からの反射光量変化を用いた信号再生を行っても再生信号に記録開始位置決め用目印141の影響が現れない。
【0151】
(b)記録開始位置決め用目印141内の少なくとも一部に、直前の連続データ記録単位110aに対応した記録マーク127の記録を可能とする。また、記録開始位置決め用目印141全体に渡って記録マーク127を記録することも可能とする。
【0152】
<bの注記>情報記憶媒体9への記録効率向上のためには隙間111bの物理的な長さを極力小さくすることが望ましい。図12に示すように記録開始位置決め用目印141内の少なくとも一部に直前の連続データ記録単位110aに対応した記録マーク127の記録を可能とすることで、記録開始位置決め用目印141の上にも情報記録が可能となり、記録効率を向上させて情報記憶媒体全体の記録容量を上げることができる。
【0153】
(c)ウォーブル変調の巨視的なデューティ比をウォーブルグルーブ領域143と記録開始位置決め用目印141とを一致させる。
【0154】
<cの注記>ウォーブルグルーブ領域143では、正弦波形によりウォーブルの左右の率を常に50%になるようにしている。同様にウォーブル変調による記録開始位置決め用目印141の左右に振る比率を50%に保つ。その結果、記録開始位置決め用目印141位置でのトラックずれ検出信号へのオフセット発生を防止できる。
【0155】
例えば、巨視的に見た場合の記録開始位置決め用目印141の右に振れる期間が左に振れる期間より長いと、トラック112(プリグルーブ)の丁度中央をトレースしていても、プッシュプル法によるトラックずれ信号としてあたかもトラック112に対して若干左をトレースしているように検出されるトラックオフセットが発生してしまう。
【0156】
(d)ウォーブルグルーブ領域143の基準周波数(1/τ:スロット間隔τ/2)を確保したまま、ウォーブル変調により記録開始位置決め用目印141を形成する。
【0157】
<dの注記>図12でのウォーブルグルーブ領域143では、周期τでグルーブをウォーブルさせている。このときのウォーブルの中央位置を跨ぎ、再び中央位置を横切るまでの距離をスロット間隔(一般データにおけるチャネルビット間隔と同等な意味合いを持つ)と呼ぶ。図12のウォーブルグルーブ領域143ではスロット間隔はτ/2となっている。記録時の基準周波数や再生時のPLL(Phase Lock Loop)に用いる基準周波数、またスピンドルモータ204の回転同期制御は、このウォーブルグルーブから検出されるスロット間隔τ/2を基準にPLLを掛けている。従って、仮に記録開始位置決め用目印141内で基準周波数が変化すると、この記録開始位置決め用目印141内でPLLがはずれてしまい、記録/再生処理やスピンドルモータの回転制御が不安定になる。そのため記録開始位置決め用目印141内での基準周波数は1/τとなるように一定に保たせている。
【0158】
図12に示した記録開始位置決め用目印141内のパターンは、周期“2τ”のウォーブルとウォーブルグルーブ領域143内と同様の周期“τ”のウォーブルを交互に4サイクル繰り返している。周期が“2τ”のウォーブル部分ではウォーブルが中心を一度越えてから再び中心を通過するまでの間隔は丁度“τ”となっている。この値はスロット間隔τ/2の丁度2倍に相当しているので、この領域でもスロット間隔τ/2(すなわち基準周波数1/τ)は不変に保たれている。その結果、記録開始位置決め用目印141の内外いずれに関わらず常にPLLが掛かった状態が連続しており、記録/再生処理やスピンドルモータの回転制御が安定に行われる。
【0159】
(e)記録開始位置決め用目印141と連続データ記録単位110bの記録開始位置との間に記録準備領域142を設け、この記録準備領域142を集光スポットが通過する間に情報記録再生装置での記録準備ができるようにする。
【0160】
<eの注記>ウォーブルグルーブから得られるウォーブル変調信号のS/N比は非常に悪く、常に記録開始位置決め用目印141の開始位置を検出する確率が低い。従ってこの発明の実施の形態では、周期が“2τ”のウォーブルと周期が“τ”のウォーブルを交互に4サイクル繰り返すことで、情報記録再生装置は4サイクル中のどこかで記録開始位置決め用目印141を発見できれば良いようにしている。
【0161】
一度記録開始位置決め用目印141内であることを情報記録再生装置が発見できれば、高性能な位置検出回路のゲート(検知窓)を開き、記録開始位置決め用目印141の終了位置を精度良く検出できる。記録準備領域142の物理的長さは予め特定値に設定してあるので、記録開始位置決め用目印141の終了位置を検出すると特定値に設定された記録準備領域142を通過する時間間隔を開けた後に記録処理を開始し、連続データ記録単位110bの先頭位置から記録マーク127を形成する。このように記録開始位置決め用目印141の直後に記録準備領域142を配置することで、記録開始位置決め用目印141の終了位置検出精度を上げることができる。その結果、先頭位置検出精度の低さを許容でき、ウォーブル変調検出回路の低価格化が可能となる。また記録開始位置決め用目印141の終了位置検出精度を上げることにより、従来に比べて連続データ記録単位110bの開始位置精度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0162】
なお、図12の記録準備領域142のグルーブ形状は、ウォーブルグルーブ領域143と全く同じ振幅、同じ周期のウォーブル形状としている。
【0163】
記録開始位置決め用目印141のパターンとして図12に示したように周期2τの単一ウォーブルと周期τの単一ウォーブルを交互に4サイクル繰り返している。しかし記録開始位置決め用目印141では繰り返し回数は4回に限ることはなく、任意の繰り返し回数を選択することができる。また記録開始位置決め用目印141のパターンは図12のパターンに限らず、この発明の範囲(特徴)において上記(a)〜(c)の条件を満足する限りは任意のパターンを設定可能とする。
【0164】
図12に示すように情報記憶媒体9上に予め記録された記録開始位置決め用目印141を利用して情報記憶媒体上9でデータの書き換えおよび/または追記をする方法を、図13を参照しながら説明する。
【0165】
まず、図6の制御部220が、図示しないホストコンピュータから、図12や図1に示される情報記憶媒体9上の何処に情報記録を行うか(つまり記録情報の記録場所)の指示を受ける(ステップST111)。
【0166】
情報記憶媒体9上で記録または書き換えが行なわれる前に、ステップST111で指示を受けた記録場所に基づいて、記録または書き換えが行われる半径位置における回転角度方向での記録開始位置決め用目印141の位置が、事前に予測される(ステップST112)。
【0167】
目印141の位置の予測が済むと、連続記録単位110(または図8の131、あるいは図10の137、138)のデータ(図1の記録情報114、あるいは図8/図10の133、134に相当)が作成される(ステップST113)。こうして作成された連続記録単位110のデータの先頭にVFO領域113が付加される(ステップST114)。
【0168】
続いて、記録開始位置(ステップST112で予測した位置)へのアクセスが行われる(ステップST115)。このアクセス時に、情報記憶媒体9上の予定の角度位置(ステップST112で予測した位置)において記録開始位置決め用目印141のユニークパターン(2τとτの反復パターン)を検出したかどうかを判定する(ステップST116)ことで、予定の半径位置に到達したか、あるいはトレース途中でトラックはずれが生じたか否かをチェックする。もし、ここで予定位置に目印141を検出できない場合(ステップST116ノー)には、予定位置までアクセスできてないか、あるいはトレース中にトラックはずれが起きたと判断し、再度アクセス処理を行う(ステップST115)。
【0169】
前述したように、図12に示した例では記録開始位置決め用目印141として同じパターン(2τとτの反復パターン)が4サイクル繰り返されているので、図6の情報記録再生装置は4サイクル中のどこかで目印141を発見できれば良いようになっている。情報記録再生装置が記録開始位置決め用目印141内であることをが発見すると(ステップST116イエス)、情報記録再生装置内で高性能な位置検出回路(図示せず)のゲート(検知窓)を開き、記録開始位置決め用目印141の終了位置を精度良く検出する準備を始める(ステップST117)。すなわち、記録開始位置決め用目印141のユニークパターンが検出されると(ステップST116イエス)、この目印141のパターン終了点を起点として、そこから記録準備領域142の長さ相当する期間内に、記録準備がなされる(ステップST117)。
【0170】
図12に示すように、記録準備領域142内では周期が“2τ”のウォーブル信号が現れないので、このパターンの変化を利用して記録開始位置決め用目印141と記録準備領域142との間の境界領域を検出することができる。
【0171】
記録開始位置決め用目印141の終了位置(記録準備領域142との間の境界位置)が検出されると、記録準備領域142を通過する所定の時間間隔(記録準備領域142の長さ相当する期間)を開けた後に、連続データ記録単位110の長さ分の連続記録処理が行われる(ステップST118)。
【0172】
記録中(ステップST119ノー)は上記ステップST115〜ST118が反復される。記録すべきデータがなくなれば(ステップST119イエス)、図13の処理が終了する。
【0173】
図14は、この発明の一実施の形態に係る記録方法における隙間δの形成処理を説明するフローチャートである。この記録方法では、螺旋状トラック112に沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながらトラック112に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続的にデータ記録が行なわれる光ディスク9が用いられる。
【0174】
まず、ECCブロック1個分(図4(f)(g))のデータを作成し(ステップST20)、作成したデータに対応する記録マーク127をディスク9のトラック112上に形成する(ステップST21)。
【0175】
記録後のECCブロック(例えば図10の130b)の末尾に隙間δ(例えば図10の111d)を設けてから、次のECCブロック(例えば図10の130c)の先頭を配置する(ステップST22)。そして、次のECCブロック(130c)1個分の記録マーク127をトラック112上に形成する(ステップST23)。以上の操作(ステップST20〜ST23)は、記録中(ステップST24ノー)反復される。
【0176】
図14の処理では、トラック112の進行方向に沿って隣接するECCブロック単位の間に所定の隙間δを開けながら(ステップST22)データ記録を行なう(ステップST23)際に、前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記回転駆動の許容回転ムラ量をfとしたときに、前記間隔δが“δ≧τf”となるように、図6の記録系(202〜208)および回転駆動系(204、214、215)を制御している。
【0177】
さらに、図6の記録系(202〜208)および回転駆動系(204、214、215)は、前述した(4)式〜(6)式の何れかと、(7)式または(8)式と、(19)式のうち、少なくとも1以上が満足されるように制御される。
【0178】
なお、この発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0179】
さらに、上記実施の形態には種々な段階の発明が含まれており、この出願で開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。たとえば、実施の形態に示される全構成要件から1または複数の構成要件が削除されても、この発明の効果あるいはこの発明の実施に伴う効果のうち少なくとも1つが得られるときは、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【0180】
<各実施の形態の要点まとめ>
[基本ポイント]
情報記憶媒体9上のトラック112に沿ってECCブロック単位(記録単位)毎に連続してデータを記録するとともに、トラック112に沿った方向でECCブロックの単位(記録単位)の間に隙間δを開けて記録する(図1、図12など)。
【0181】
[周辺ポイント]
(イ)δの取り得る値の許容最小値を規定する((8)式など);
(ロ)δの取り得る値の許容最大値を規定する((6)式など);
(ハ)δの取り得る値の許容最大値を越える場合には、記録単位の隙間位置を隣接トラック間で互いにずらす(図8、図10など)。
【0182】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、以下の各構成に対応して下記の効果が得られる。すなわち、
<1A>螺旋状トラック(112)に沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続的にデータ記録を行うように構成されるものであって、前記連続的なデータ記録を、前記トラック(112)の進行方向に沿って隣接する前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に所定の隙間δが形成されるように行なうことができ、その際、前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記回転駆動の許容回転ムラ量をfとしたときに、前記所定の間隔δが、「δ≧τf」となるように構成されることを特徴とする情報記憶媒体。
【0183】
<1B>螺旋状トラック(112)に沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続的にデータ記録が行なわれる情報記憶媒体(9)を用いるものであって、前記トラック(112)の進行方向に沿って隣接する前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に所定の隙間δを開けながら(ST22)前記データ記録を行なう(ST23)際に、前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記回転駆動の許容回転ムラ量をfとしたときに、前記間隔δが、「δ≧τf」となるように構成されることを特徴とする情報記録方法。
【0184】
<1C>螺旋状トラック(112)に沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続的にデータ記録が行なわれる情報記憶媒体(9)を用いるものであって、前記情報記憶媒体(9)を回転駆動するスピンドルモータ(204)と、前記スピンドルモータ(204)により回転駆動される前記情報記憶媒体(9)の前記トラック(112)に、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に記録マーク(127)を形成する記録系手段(202〜208)と、前記情報記憶媒体(9)から、前記記録マーク(127)の情報を読み取る再生系手段(202〜203、213〜209)とを備えたものにおいて、前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記スピンドルモータ(204)の許容回転ムラ量をfとしたときに、「δ≧τf」となるような隙間δが、前記トラック(112)に沿った方向で隣接する前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に形成されるように構成したことを特徴とする情報記録再生装置。
【0185】
上記<1A>〜<1C>の構成によれば、所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するため、回転駆動機構(スピンドルモータ)に回転ムラがあっても前後の記録単位間で重なりが起きず、(重なりが生じたときに起きる一部の記録マーク破壊による)記録データの破壊が防止され、記録データの高い信頼性を保てる。また、従来のようなプリピットヘッダがないのでその分大容量化が図れる。
【0186】
<2A>情報記憶媒体(9)上のトラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録できるように構成されたことを特徴とする情報記憶媒体。
【0187】
<2B>情報記憶媒体(9)上のトラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録する(ST22)ように構成されたことを特徴とする情報記録方法。
【0188】
<2C>情報記憶媒体(9)上のトラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するように構成されたことを特徴とする情報記録再生装置。
【0189】
上記<2A>〜<2C>の構成によれば、所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するため、回転駆動機構(スピンドルモータ)に回転ムラがあっても前後の記録単位間で重なりが起きず、(重なりが生じたときに起きる一部の記録マーク破壊による)記録データの破壊が防止され、記録データの高い信頼性を保てる。また、従来のようなプリピットヘッダがないのでその分大容量化が図れる。
【0190】
<3A>前記情報記憶媒体(9)は、トラックピッチがPtである螺旋状トラック(112)を持つ片面複数記録層(122、123)型の円盤状媒体(9)であり、前記データ記録は、前記トラックピッチPtのトラック(112)に対し、開口数NAの対物レンズ(121)と屈折率がnで厚みがtの中間層(124)とを介して光学的に行なわれ、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に存在する前記隙間の長さδが、「δ≦π(D+Pt)D/Pt」(但し、D=2ttan{sin−1(NA/n)})となるように構成されたことを特徴とする情報記憶媒体。
【0191】
<3B>前記情報記憶媒体(9)は、トラックピッチがPtである螺旋状トラック(112)を持つ片面複数記録層(122、123)型の円盤状媒体(9)であり、前記データ記録は、前記トラックピッチPtのトラック(112)に対し、開口数NAの対物レンズ(121)と屈折率がnで厚みがtの中間層(124)とを介して光学的に行なわれ、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に存在する前記隙間の長さδが、「δ≦π(D+Pt)D/Pt」(但し、D=2ttan{sin−1(NA/n)})となるように構成されたことを特徴とする情報記録方法。
【0192】
<3C>前記情報記憶媒体(9)は、トラックピッチがPtである螺旋状トラック(112)を持つ片面複数記録層(122、123)型の円盤状媒体(9)であり、前記データ記録は、前記トラックピッチPtのトラック(112)に対し、開口数NAの対物レンズ(121)と屈折率がnで厚みがtの中間層(124)とを介して光学的に行なわれ、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に存在する前記隙間の長さδが、「δ≦π(D+Pt)D/Pt」(但し、D=2ttan{sin−1(NA/n)})となるように構成されたことを特徴とする情報記録再生装置。
【0193】
上記<3A>〜<3C>の構成によれば、複数記録層に対して片面側から情報読み取り可能な片面2記録層タイプの情報記憶媒体において、既記録部と未記録部との間で光反射率に差が生じても他の記録層上の記録マーク有無の影響による層間クロストークが大幅に低減し、再生信号の高い信頼性を確保できる。
【0194】
<4A>回転中心(10の中央)を持つ円盤状情報記憶媒体(9)上の螺旋状トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録がなされるように構成され、かつ前記トラック(112)のうち互いに隣接する少なくとも1組の隣接トラックペア(112a、112b)において、この隣接トラックの一方(112a)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(A)と、この隣接トラックの他方(112b)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(B)とが異なるように構成されたことを特徴とする情報記憶媒体。
【0195】
<4B>回転中心(10の中央)を持つ円盤状情報記憶媒体(9)上の螺旋状トラック(112)に沿って所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に連続してデータ記録を行う際に、前記トラック(112)に沿った方向で前記所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に隙間(δ)を開けて記録するものであって、前記トラック(112)のうち互いに隣接する少なくとも1組の隣接トラックペア(112a、112b)において、この隣接トラックの一方(112a)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(A)と、この隣接トラックの他方(112b)に開けられた前記隙間(δ)の前記回転中心(10の中央)に対する角度位置(B)とが異なるような記録を行うことを特徴とする情報記録方法。
【0196】
上記<4A>、<4B>の構成によれば、複数記録層に対して片面側から情報読み取り可能な片面2記録層タイプの情報記憶媒体において、既記録部と未記録部との間で光反射率に差が生じても他の記録層上の記録マーク有無の影響による層間クロストークが大幅に低減し、再生信号の高い信頼性を確保できる。
【0197】
<5A>トラック(112)の進行方向に沿って隣接する所定の記録単位(ECCブロック単位)の間に所定の隙間(δ)が形成されるようにして連続的にデータ記録が行われる記録可能情報媒体(9)であって、前記所定の記録単位(ECCブロック単位)毎に前記連続データ記録を行うための記録開始位置を示す目印(141;τ+2τで所定回数反復するユニークパターン;一種のアドレスパターン)が、前記トラック(112)のウォーブル変調により予め記録されていることを特徴とする情報記憶媒体。
【0198】
上記<5A>の構成によれば、下記(A)〜(C)の効果が得られる:
A)連続してデータを記録するための記録開始位置を示す目印が情報記憶媒体上のトラックに沿って存在するため、その目印を利用して記録開始位置を設定できるから、情報記憶媒体上の記録位置を精度良く決めることができる。
【0199】
B)上記(A)により記録開始位置を精度良く設定できるので隙間領域の長さδを小さくできる。その結果、情報記憶媒体の記録容量(記録効率)が向上する。
【0200】
別の言い方をすると、隙間領域の長さδを小さくすると記録開始位置の精度が悪い場合には連続記録単位毎の書き換え時に書き換えデータの一部が前後の既に記録されたデータ上に重ね書き(既に記録されたデータを破壊)する危険性がある。この危険性を、上記目印の利用により回避できるので、隙間領域の長さδを小さくできるようになる。
【0201】
C)記録開始位置を示す目印がウォーブル変調で予め記録された場合には(従来のプリピットタイプと異なり)この記録開始位置を示す目印の上に記録マークを記録してもこの記録マークの再生信号にウォーブル変調信号の影響が乗らない。従ってこの記録開始位置を示す目印の上に記録マークを記録することにより記録効率を向上させ、情報記憶媒体の記録容量を上げることが可能となる。
【0202】
<6A>上記<5A>の情報記憶媒体を用い、連続してデータを記録するための記録開始位置を示す目印位置を検出した後(ST116イエス)、連続記録を開始するように構成されたことを特徴とする情報記録方法。
【0203】
<6B>上記<5A>の情報記憶媒体を用い、連続してデータを記録するための記録開始位置を示す目印位置を検出した後(ST116イエス)、連続記録を開始するように構成されたことを特徴とする情報記録装置。
【0204】
上記<6A>、<6B>の構成によれば、下記(D)〜(F)の効果が得られる:
D)連続してデータを記録するための記録開始位置を示す目印が情報記憶媒体上のトラックに沿って存在するため、その目印を利用して記録開始位置を設定できるから、情報記憶媒体上の記録位置を精度良く決めることができる。
【0205】
E)上記(D)により記録開始位置を精度良く設定できるので隙間領域の長さδを小さくできる。その結果、情報記憶媒体の記録容量(記録効率)が向上する。
【0206】
別の言い方をすると、隙間領域の長さδを小さくすると記録開始位置の精度が悪い場合には連続記録単位毎の書き換え時に書き換えデータの一部が前後の既に記録されたデータ上に重ね書き(既に記録されたデータを破壊)する危険性がある。この危険性を、上記目印の利用により回避できるので、隙間領域の長さδを小さくできるようになる。
【0207】
F)記録開始位置を示す目印がウォーブル変調で予め記録された場合には(従来のプリピットタイプと異なり)この記録開始位置を示す目印の上に記録マークを記録してもこの記録マークの再生信号にウォーブル変調信号の影響が乗らない。従ってこの記録開始位置を示す目印の上に記録マークを記録することにより記録効率を向上させ、情報記憶媒体の記録容量を上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)へのデータ記録方法を説明する図。
【図2】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体(片面2層タイプ)における層間クロストークについて説明する図。
【図3】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体に記録される物理セクタデータの構成を説明する図。
【図4】図3の物理セクタデータに対するECCブロックの形成方法を説明する図。
【図5】この発明の一実施の形態に係る情報記憶媒体に記録されるECCブロックの内部構造を説明する図。
【図6】この発明の一実施の形態に係る情報記録再生装置の構成を説明するブロック図。
【図7】図4のECCブロック構造におけるフォーマット手順を説明するフローチャート図。
【図8】この発明の他の実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)へのデータ記録方法を説明する図。
【図9】この発明に係る情報記憶媒体における隙間(グルーブギャップ)の必要性を説明する図。
【図10】この発明のさらに他の実施の形態に係る情報記憶媒体(ブルーレーザを用いた記録可能光ディスク)へのデータ記録方法を説明する図。
【図11】この発明に係る情報記憶媒体における隙間(グルーブギャップ)の最大許容範囲を説明する図。
【図12】記録開始位置を決める目印が設けられた、この発明のさらに他の実施の形態に係る情報記憶媒体を説明する図。
【図13】この発明の一実施の形態に係る情報記録再生装置における記録方法または書き替え方法を説明するフローチャート図。
【図14】この発明の一実施の形態に係る記録方法における隙間δの形成処理を説明するフローチャート図。
【符号の説明】
9…情報記憶媒体(高密度記録可能光ディスク);10…センタホール;110…連続データ記録単位;111…隙間(グルーブギャップ);112…トラック;113…VFO領域;114…記録情報;120…レーザ光;121…対物レンズ;122…第0記録層(上側記録層);123…第1記録層(下側記録層);124…中間層;125…透明保護層;127…記録マーク;130…ECCブロック;141…記録開始位置決め用目印;142…記録準備領域;143…ウオーブルグルーブ。
Claims (3)
- 螺旋状トラックに沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラックに沿って所定の記録単位毎に連続的にデータ記録を行うように構成されるものであって、
前記連続的なデータ記録を、前記トラックの進行方向に沿って隣接する前記所定の記録単位の間に所定の隙間δが形成されるように行なうことができ、その際、
前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記回転駆動の許容回転ムラ量をfとしたときに、前記所定の間隔δが、
δ ≧ τf
となるように構成されることを特徴とする情報記憶媒体。 - 螺旋状トラックに沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラックに沿って所定の記録単位毎に連続的にデータ記録が行なわれる情報記憶媒体を用いるものであって、
前記トラックの進行方向に沿って隣接する前記所定の記録単位の間に所定の隙間δを開けながら前記データ記録を行なう際に、
前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記回転駆動の許容回転ムラ量をfとしたときに、前記間隔δが、
δ ≧ τf
となるように構成されることを特徴とする情報記録方法。 - 螺旋状トラックに沿ったウォーブルグルーブを持ち、回転駆動されながら前記トラックに沿って所定の記録単位毎に連続的にデータ記録が行なわれる情報記憶媒体を用いるものであって、
前記情報記憶媒体を回転駆動するスピンドルモータと、
前記スピンドルモータにより回転駆動される前記情報記憶媒体の前記トラックに、前記所定の記録単位毎に記録マークを形成する記録系手段と、
前記情報記憶媒体から、前記記録マークの情報を読み取る再生系手段とを備えたものにおいて、
前記ウォーブルグルーブのウォーブル周期をτとし、前記スピンドルモータの許容回転ムラ量をfとしたときに、
δ ≧ τf
となるような隙間δが、前記トラックに沿った方向で隣接する前記所定の記録単位の間に形成されるように構成したことを特徴とする情報記録再生装置。
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JP2003178419A JP2004006009A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 情報記憶媒体、情報記録方法、および情報記録再生装置 |
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JP2001143530A Division JP2002342942A (ja) | 2001-05-14 | 2001-05-14 | 情報記憶媒体、情報記録方法、および情報記録再生装置 |
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JP2003178419A Withdrawn JP2004006009A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | 情報記憶媒体、情報記録方法、および情報記録再生装置 |
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- 2003-06-23 JP JP2003178419A patent/JP2004006009A/ja not_active Withdrawn
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