JP2004005672A - タッチパネル及びタッチパネル付表示装置 - Google Patents

タッチパネル及びタッチパネル付表示装置 Download PDF

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Abstract

【目的】透明度が高くて見栄えの良い、製造安定性に優れたタッチパネルを提供する。
【構成】本発明のタッチパネルは、透明基板の透明電極表面上に、導電性微粒子を含んだ高分子層が形成されていることを特徴とする。導電性微粒子は、一次粒径0.1μm以下の酸化スズまたはITOを主成分とする透明性酸化物であり、高分子は熱硬化性ポリシロキサンまたは光硬化性アクリル樹脂である。膜厚は0.05μmから0.3μmが好ましい。また、前記タッチパネルにおいて、透明電極表面の少なくとも一面に、導電性微粒子が分散した重合性モノマーまたはオリゴマー溶液を塗布し、更に加熱、紫外線照射、電子線照射、オゾン曝露いずれかの方法で硬化させ、導電性微粒子を含んだ高分子層を形成することにより製造できる。それにより、優れた減反射効果が得られ透明度が向上する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透明度が高くて見栄えの良い、製造安定性に優れたタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
入力装置に用いられるタッチパネルは、抵抗検出方式、静電容量方式、電磁誘導方式等検出方式に違いがあるものの、一枚以上の透明電極を有する透明基板から構成される構造が一般的である。透明基板としてはガラス板かPET(ポリエチレンテレフタレート)が通常用いられており、透明電極としてはITOや酸化スズが用いられている。透明電極は全面均一の場合もあるし、パターンニングして用いる場合もある。ペン入力面は書き味改善や防眩のため、プラスチックフィルムを張り付けたり、表面に微細な凹凸面を設けた構造を取るようになった。タッチパネルは単体の入力装置としてだけでなく、CRTやLCDと組み合せ、表示画面上で情報操作できる装置としても利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、タッチパネルは一枚以上の透明電極を有する透明基板から構成されているため、透明基板内での光量の減衰がほとんどないものの、特に透明電極と空気界面による表面反射により、10%以上の光量が失われてしまうという課題があった。また、表面反射によりパネルが見づらく、特に表示素子と併用して用いる場合には大きな問題であった。防眩のため、アンチグレアフィルムを張り付けたり、表面に微細な凹凸面を設けた構造を取ると、更に光の全透過量の10%から20%の光量が失われてしまい、表面の乱反射により白ボケして表示画質が低下するという課題があった。
【0004】
減反射コーティングとしては、フッ化マグネシウム等の低屈折率材料を蒸着する方法や、屈折率の異なる材料を多層蒸着する方法が知られ、眼鏡レンズなどで実用化されている。また、屈折率の低い含フッ素高分子を塗布により形成する方法も提示されている。しかし、従来の減反射コーティング材料は絶縁性が高く、特に最も一般的な抵抗検出方式では、電極上に形成されると位置検出できないという致命的な欠陥があった。また密着性や表面硬度にも問題があった。
【0005】
そこで本発明はこのような課題を解決するもので、その目的とするところは、透明度が高くて見栄えの良い、製造安定性に優れたタッチパネルを提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のタッチパネルは第1及び第2の透明電極と、その第1の透明電極に設けられ、導電性微粒子を含有するとともに、空気界面におけるその第1の透明電極による反射を低減する第1の高分子層と、その第2の透明電極に設けられ、導電性微粒子を含有するとともに、空気界面におけるその第2の透明電極による反射を低減する第2の高分子層と、その第1の高分子層とその第2の高分子層との間に設けられたスペーサとを有することを特徴とする。また、本発明のタッチパネル付表示装置は、上記のタッチパネルを用いたことを特徴とする。
【0007】
【作用】
光の反射強度は屈折率差が大きい界面ほど大きくなる。透明電極として通常用いられる酸化スズやITOは、屈折率が1.6から1.7と高く、透明電極と空気との界面での反射が最も大きい。減反射コーティングとして用いるには、コーティング材の屈折率が、基材の屈折率の平方根となるのが理想的である。計算上は屈折率1.30以下が理想であるが、透明電極の屈折率が高いため、コーティング材の屈折率1.55以下であればある程度の効果が得られる。
【0008】
普通に反射防止効果を得るために用いられる膜厚は、(光の波長)÷4÷(膜の屈折率)の奇数倍で求められ、実用的には0.05μm以上0.35μm以下の平均膜厚であり、より好ましくは0.07μm以上0.12μm以下であるため成膜が容易である。導電性を付与するために添加する導電性微粒子が、一次粒径0.1μm以下の酸化スズまたはITOを主成分とする透明性酸化物であり、分散が十分であれば、膜厚が薄いためコート膜の吸収による光の減衰もほとんど無い。
【0009】
重合性モノマーまたはオリゴマー溶液を塗布し、更に加熱、紫外線照射、電子線照射、オゾン曝露いずれかの方法で硬化させ三次元的に架橋させると、薄膜でも十分な膜強度と密着強度が得られる。具体的な材料としては熱硬化性ポリシロキサンまたは光硬化性アクリル樹脂が挙げられる。重合性モノマーまたはオリゴマーを溶かす溶剤は、アルコール系溶媒であり、ガラスや一般的に用いられるフィルム材料の樹脂を犯すことはない。原料段階で三次元的に架橋させてしまうと、溶解しにくくなるため、塗布後に反応させ硬化させなければならない。
【0010】
【実施例】
(実施例1)
メチルセロソルブにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを溶解し触媒量の塩酸を加え、室温で攪拌して加水分解を行なった。そこに平均粒径80Åの酸化スズ微粒子の分散液を混合し、更に過塩素酸マグネシウムを触媒量添加し、十分に攪拌し塗布液とした。塗布液は均質なゾルであり長期保存しても安定で、沈澱はみられなかった。
【0011】
この塗布液をITO付きPETフィルムの透明電極面、及び酸化スズ付きガラス板の透明電極面にロールコート法で塗布し、70℃で乾燥させ、膜厚0.1μmの酸化スズ微粒子を含んだシロキサン高分子層を形成した。膜厚は0.005μm程度の範囲で十分制御できる。顕微鏡観察により形成された薄膜は、非常に緻密かつ均質であることを確認した。酸化スズ微粒子の存在は、肉眼では認められなかった。図1に酸化スズ付きガラス板の、導電性微粒子を含んだ高分子層形成前後の透過率の分光特性を示す。透過率が550nmの波長において、10%以上改善されていることがわかる。また曇度も0.5%以下で、透明感が高かった。
【0012】
このようにして作製した透明基板を用いたタッチパネルの、模式的な断面図を図2に示す。図2において、21はガラス基板、22がPET基板、23と24が透明電極、25がスペーサーである。また、26が前述の方法で形成した酸化スズ微粒子を含んだシロキサン高分子層である。この減反射層は電気導電性を有しており、抵抗検出方式のタッチパネルとして、全く問題なく位置検出することができた。
【0013】
入力面内のむらは全く観察されず、透明感のある見やすいタッチパネルを歩留まり良く、コストもほとんど割高にならず達成できた。表面反射による眩しさはほとんど感じなかった。また、熱、湿度、耐光等の信頼性も十分であった。
【0014】
(実施例2)
ガラス基板の両面にITO電極をパターンニングし、実施例1と同様の塗布液中にこのタッチパネルを完全に浸し、適当な速度で引き上げ150℃で30分間加熱して硬化させ、膜厚0.3μmの酸化スズ微粒子を含んだシロキサン高分子層を形成した。膜厚は0.01μm程度の範囲で十分制御できる。顕微鏡観察および光学的評価により形成された薄膜は、非常に緻密かつ均質であることを確認した。酸化スズ微粒子の存在は、肉眼では認められなかった。この減反射膜の密着性は、碁盤目試験100/100と良好で、耐擦傷性は#0000のスチールウールを1kg/cmの荷重をかけて10往復させても傷が認められなかった。また、アルコール、酸、アルカリ、洗剤の滴下実験において異常は認められなかった。
【0015】
このようにして作製したガラス基板を用いた静電容量方式のタッチパネルの、模式的な断面図を図3に示す。図3において、21はガラス基板、23がITO電極、26が酸化スズ微粒子を含んだシロキサン高分子層からなる減反射層である。静電容量方式のタッチパネルとして、全く問題なく位置検出することができた。また2Hの鉛筆では、表面に傷をつけることができなかった。ペン先にデルリンを用いた専用ペンに対して、使用上問題の無い硬度が得られた。バックライトを有するLCDとタッチパネルを組み合せたところ、表示表面における輝度は、従来の50カンデラから60カンデラに向上した。面内の輝度分布もほとんど観察されず、明るく見栄えの良いパネルを達成できた。
【0016】
このタッチパネルに対し、信頼性試験をおこなった。50℃、90%RHで1000時間の高温高湿試験において、剥がれ、クラック等は発生せず、ヤケも発生しなかった。また−20℃、25℃、60℃の熱衝撃試験においても、異常は認められなかった。20000ラングレイの日光暴露試験においても、異常は認められなかった。
【0017】
(実施例3)
エチルセロソルブに3−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランを溶解し触媒量の塩酸を加え、室温で攪拌して加水分解を行なった。そこに平均粒径200ÅのITO微粒子の分散液を混合し、更にベンゾフェノンを触媒量添加し、十分に攪拌し塗布液とした。塗布液は均質なゾルであり冷暗所で保存すれば安定で、沈澱はみられなかった。
【0018】
イエロールーム内で、この塗布液をITO付きPETフィルムの透明電極面、及び酸化スズ付きガラス板の透明電極面に、ロールコート法で塗布し成膜した。50℃で3時間加熱した後、紫外線を1ジュール照射し、膜厚0.08μmの硬く密着性の高いITO微粒子を含んだアクリルシロキサン高分子層とした。膜厚は0.005μm程度の範囲で十分制御できる。顕微鏡観察により形成された薄膜は、非常に緻密かつ均質であることを確認した。ITO微粒子の存在は、肉眼では認められなかった。この減反射膜の密着性は、碁盤目試験100/100と良好で、耐擦傷性は#0000のスチールウールを1kg/cmの荷重をかけて10往復させても傷が認められなかった。また、アルコール、酸、アルカリ、洗剤の滴下実験において異常は認められなかった。
【0019】
実施例1と同様の構造をもつ抵抗検出方式のタッチパネルを組み立てたところ、タッチパネルとしての全線透過率が、10%以上改善されて89%となった。また曇度も1%以下で、透明感が高かった。反射型のLCDとタッチパネルを組み合せたところ、表示表面における明るさが格段に改善され、見やすく見栄えの良いパネルを達成できた。このLCD付タッチパネルに対し、信頼性試験をおこなった。50℃、90%RHで1000時間の高温高湿試験において、剥がれ、クラック等は発生せず、ヤケも発生しなかった。また−20℃、25℃、60℃の熱衝撃試験においても、異常は認められなかった。20000ラングレイの日光暴露試験においても、異常は認められなかった。
【0020】
(実施例4)
アルコール系溶媒にアクリル系のオリゴマーを溶解し、平均粒径400ÅのITO微粒子の分散液を混合し、十分に攪拌し塗布液とした。塗布液は均質なゾルであり冷暗所で保存すれば安定で、沈澱はみられなかった。
【0021】
イエロールーム内で、この塗布液をITO付きPETフィルムの透明電極面、及び酸化スズ付きガラス板の透明電極面に、ロールコート法で塗布し成膜した。50℃で2時間加熱した後、電子線を200キロボルトの加速電圧で照射して硬化させ、膜厚0.1μmの硬く密着性の高いITO微粒子を含んだアクリル高分子層とした。膜厚は0.005μm程度の範囲で十分制御できる。顕微鏡観察により形成された薄膜は、非常に緻密かつ均質であることを確認した。ITO微粒子の存在は、肉眼では認められなかった。この減反射膜の密着性は、碁盤目試験100/100と良好で、耐擦傷性は#0000のスチールウールを1kg/cmの荷重をかけて10往復させても傷が認められなかった。また、アルコール、酸、アルカリ、洗剤の滴下実験において異常は認められなかった。
【0022】
実施例1と同様の構造をもつ抵抗検出方式のタッチパネルを組み立て、PETフィルム表面に防眩フィルムを貼りつけたところ、タッチパネルとしての全線透過率が改善されて85%となった。また外光の映り込みがなく、見やすく見栄えの良いパネルを達成できた。また、熱、湿度、耐光、耐擦等の信頼性も十分であった。
【0023】
(実施例5)
平均粒径50Åから100Åのアンチモン含有酸化スズ超微粒子が分散している、シロキサン系低分子が溶解したアルコール溶液「透明帯電防止コーティング液P104」(秩父セメント社製)を、酸化スズ付きガラス板の両面にディッピングにより塗布した。引き上げ速度20cm/分で成膜し、80℃で30分間加熱して定着させた。膜厚は0.06μmであったので、更に引き上げ速度20cm/分で重ねて成膜し、160℃で30分間加熱して硬化させた。膜厚は0.12μmとなり、優れた減反射効果を示した。この酸化スズ微粒子を含んだシロキサン高分子層のガラス基板との密着性は、碁盤目試験100/100と良好で、耐擦傷性は#0000のスチールウールを1kg/cmの荷重をかけて10往復させても傷が認められなかった。また、アルコール、酸、アルカリ、洗剤の滴下実験において異常は認められなかった。
【0024】
得られたガラス基板の全線透過率は、88%から93%改善された。また曇度も0.2%であり、透明感が高かった。ITOの透明電極を片面に、裏面に防眩コートを施したPETフィルムを用いて、実施例1と同様の構造をもつ抵抗検出方式のタッチパネルを組み立てたところ、タッチパネルとしての全線透過率が、5%以上改善されて85%となった。また曇度も1%以下で、透明感が高かった。反射型のLCDとタッチパネルを組み合せたところ、表示表面における明るさが格段に改善され、見やすく見栄えの良いパネルを達成できた。このLCD付タッチパネルに対し、信頼性試験をおこなった。50℃、90%RHで1000時間の高温高湿試験において、剥がれ、クラック等は発生せず、ヤケも発生しなかった。また−20℃、25℃、60℃の熱衝撃試験においても、異常は認められなかった。20000ラングレイの日光暴露試験においても、異常は認められなかった。
【0025】
(比較例1)
実施例5と同様に「透明帯電防止コーティング液P104」(秩父セメント社製)を、酸化スズ付きガラス板の両面にディッピングにより塗布した。引き上げ速度10cm/分で成膜し、160℃で30分間加熱して硬化させた。膜厚は0.04μmであり、短波長側ではわずかに減反射効果を示したものの、このガラス基板の全線透過率は、88%のままで変化がなかった。肉眼による観察においても、わずかに色味が変化した程度で、明らかな視認性の向上は認められなかった。
【0026】
(比較例2)
実施例2と同様な方法で両面にITO電極が付いたガラス基板に、膜厚0.3μmの酸化スズ微粒子を含んだシロキサン高分子層を形成した後、もう一度成膜を繰り返し0.6μmの膜厚とした。このガラス基板の全線透過率は僅かに低下し、独特の色がついた干渉縞が観察された。
【0027】
(比較例3)
メチルセロソルブにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを溶解し触媒量の塩酸を加え、室温で攪拌して加水分解を行なった。そこに平均粒径0.12μmのITO微粒子の分散液を混合し、更に過塩素酸マグネシウムを触媒量添加し、十分に攪拌し塗布液とした。塗布液は攪拌後は均質なゾルであったが、1時間後には沈澱がみられた。
【0028】
この攪拌直後の塗布液をITO付きガラス板の透明電極面にロールコート法で塗布し、120℃で乾燥させ、平均膜厚0.12μmのITO微粒子を含んだシロキサン高分子層を形成した。このガラス基板の全線透過率は、88%から80%に低下し、曇度も10%と高かった。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば容易に形成可能かつ、優れた減反射効果のある導電性微粒子を含んだ高分子層を積層した透明電極を提供することによって、透明度が高くて見栄えの良い、製造安定性に優れたタッチパネルを提供することができた。検出精度や、信頼性においても実用にかなうものであった。本発明のタッチパネルは部品構成上は全く従来と変わらないため、本発明の導入により即座に大きな効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における酸化スズ付きガラス板の、反射率の分光特性を示すスペクトル図である。
【図2】本発明の実施例1におけるタッチパネルの概念を模式的に表す断面図である。
【図3】本発明の実施例2におけるタッチパネルの概念を模式的に表す断面図である。
【符号の説明】
11‥‥‥‥酸化スズ付きガラス板の分光特性曲線
12‥‥‥‥導電性微粒子を含んだ高分子層を形成した酸化スズ付きガラス板の
分光特性曲線
21‥‥‥‥ガラス基板
22‥‥‥‥PET基板
23‥‥‥‥酸化スズ電極
24‥‥‥‥ITO電極
25‥‥‥‥スペーサー
26‥‥‥‥導電性微粒子を含んだ高分子層

Claims (2)

  1. 第1の透明電極と、
    第2の透明電極と、
    前記第1の透明電極に設けられ、導電性微粒子を含有するとともに、空気界面における前記第1の透明電極による反射を低減する第1の高分子層と、
    前記第2の透明電極に設けられ、導電性微粒子を含有するとともに、空気界面における前記第2の透明電極による反射を低減する第2の高分子層と、
    前記第1の高分子層と前記第2の高分子層との間に設けられたスペーサとを有するタッチパネル。
  2. 請求項1記載のタッチパネルを用いた、タッチパネル付表示装置。
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