JP2004004435A - ハロゲン化銀乳剤の製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高感度で被りが低いハロゲン化銀乳剤の製造方法を提供する。
【解決手段】ハロゲン化銀粒子と分散媒を含み、核形成、熟成および成長の各工程を経て製造されるハロゲン化銀乳剤の製造方法において、熟成工程に入るときのハロゲン化銀乳剤中の全銀濃度が0.0015質量%から0.015質量%であるハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀乳剤の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、粒子の厚さが薄く、非平行双晶が少なく、高感度で被りの少ない感光性ハロゲン化銀乳剤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高感度のハロゲン化銀写真感光材料を得るためには受光面積の大きい平板状ハロゲン化銀粒子が広く用いられている。この平板状ハロゲン化銀粒子の受光効率を上げるためには、粒子の厚さが薄く主平面の面積が大きいほど好ましい。これら平板状粒子は、増感色素量増やすことによる光吸収率向上による高感化、感度/粒状比の改良、平板粒子の光学的な性質であるシャープネスの向上およびカバリングパワーの向上等の利点があり、有用である。また、平板状ハロゲン化銀乳剤に非平行双晶があると、低感要因になり、感度/粒状比に悪影響があるため減らす必要がある。
【0003】
ハロゲン化銀粒子の調製は、成長の核となる粒子を形成する核形成と成長の核となる平板核のみを残存させる熟成工程と残した平板核が成長する成長工程の3つの工程にわけることができる。ハロゲン化銀平板粒子を薄く調製するためには各工程それぞれ重要であるが、核形成工程はその中で最も重要な工程である。この核形成工程は種々の攪拌装置をもつ反応容器に直接水溶性銀溶液やハロゲン化物水溶液を添加する方法が用いられる。この核形成の条件を変化させることによって、平板粒子の核となる粒子のサイズを小さくして、成長後の粒子を最終的に薄くすることが可能となる。このとき、核となる粒子が小さい程成長後の粒子を薄くすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、粒子厚みが薄く、単分散であり、非平行双晶が少ないハロゲン化銀平板状粒子を調製する手段を提供し、このようなハロゲン化銀粒子を含む高感度で被りが低いハロゲン化銀乳剤の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、以下の方法によって達成される。
【0006】
(1) ハロゲン化銀粒子と分散媒を含み、核形成、熟成および成長の各工程を経て製造されるハロゲン化銀乳剤の製造方法において、熟成工程に入るときのハロゲン化銀乳剤中の全銀濃度が0.0015質量%から0.015質量%であることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。
(2) 前記ハロゲン化銀乳剤の製造中に限外濾過を施すことを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
(3) 前記ハロゲン化銀乳剤の成長工程において、ハロゲン化銀微粒子を添加することによりハロゲン化銀粒子を成長させることを特徴とする(1)または(2)に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
(4) 前記ハロゲン化銀微粒子の平均円相当径が0.001μmから0.05μmであり、かつ該ハロゲン化銀微粒子の円相当径の変動係数が30%以下であることを特徴とする(3)に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
(5) 前記ハロゲン化銀粒子が平板状ハロゲン化銀粒子であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
(6) 前記ハロゲン化銀粒子の平均円相当径が1.5μm以上、平均厚みが0.1μm以下であることを特徴とする請求項(1)〜(5)のいずれかに記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
(7) 前記ハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が少なくとも1つの頂点部にエピタキシャル接合を有することを特徴とする請求項(1)〜(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるハロゲン化銀平板状粒子とは、結晶学的に1枚以上の双晶面が入った粒子であり、この双晶面が粒子の最大面積をもつ面(主平面)に対して平行に存在する粒子を言う。双晶面とは、(111)面の両側で全ての格子点のイオンが鏡像関係にある場合にこの(111)面のことをいう。本発明において好ましい平板状粒子はこの双晶面が1枚または2枚入った粒子である。この平板粒子は、粒子を主平面に対して垂直方向から見た時、三角形状、六角形状あるいはこれらが丸みを帯びた円形状をしており、それぞれに互いに平行な外表面を有している。
【0008】
本発明の乳剤は全粒子の投影面積の70%以上が最小の長さを有する辺の長さに対する、最大の長さを有する辺の長さの比が2ないし1である六角形の平板粒子であることが好ましい。より好ましくは全粒子の投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の長さに対する、最大の長さを有する辺の長さの比が2ないし1である六角形の平板粒子である。さらに好ましくは、全粒子の投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の長さに対する、最大の長さを有する辺の長さの比が1.5ないし1である六角形の平板粒子である。平板粒子の主平面の形が丸みを帯びた参詣上や六角形状である場合、主平面の辺の長さは各辺を延長することにより形成される仮想の三角形や六角形の辺の長さとする。
【0009】
本発明の乳剤は単分散であることが望ましい。全ハロゲン化銀の投影面積における円相当径の変動係数は25%以下であることが好ましく、特に好ましくは20%以下である。ここで、円相当径の変動係数とは個々のハロゲン化銀粒子における円相当径の分布の標準偏差を平均円相当径で割った値である。
【0010】
本発明の粒子直径、粒子厚みの測定は米国特許第4434226号に記載の方法に従って粒子の電子顕微鏡写真より求めることができる。即ち、粒子の厚みの測定は、参照用のラテックスとともに粒子の斜め方向から金属を蒸着し、そのレプリカの影(シャドー)の長さを電子顕微鏡写真上で測定し、ラテックスのシャドーの長さを参照にして計算することにより容易に知ることができる。
【0011】
本発明のハロゲン化銀粒子は電子顕微鏡で観察された粒子の全投影面積の50%以上が平均アスペクト比(粒子の主平面の直径/粒子厚さの比)が3以上、好ましくは10以上300以下、さらに好ましくは、20以上250以下が好ましい。また、粒子の平均厚さは0.1μm以下、より好ましくは0.07μm以下、さらに好ましくは0.05μm以下のハロゲン化銀粒子が好ましい。ここで、平均アスペクト比とは、全平板粒子のアスペクト比を平均することにより得られるが、簡便な方法として、全平板粒子の平均直径と平均厚みとの比として求めることもできる。主平面の平均直径(平均円相当径)は、1.5〜10μmが好ましく、より好ましくは2〜10μmである。
【0012】
エピタキシャル沈着のために厚みが単純にシャドーの長さからは算出できない場合には、エピタキシャル沈着する前のシャドーの長さを測定することにより算出することができる。もしくはエピタキシャル沈着後でも平板粒子を塗布した試料を切断しその断面の電子顕微鏡写真を撮影して容易に求めることができる。
【0013】
本発明においては好ましくは、臭化銀を主成分とするハロゲン化銀である。好ましくは、全ハロゲン化銀粒子の全投影面積の70%以上の粒子が、平均塩化銀含有率が0.7〜1.3モル%の範囲内にあり、特に好ましくは0.8〜1.2モル%の範囲内にある。また、好ましくは、全ハロゲン化銀粒子の全投影面積の70%以上の粒子が、平均沃化銀含有率が0.7〜3.2モル%の範囲内にあり、特に好ましくは0.8〜3.0モル%の範囲内にある。ここの粒子の塩化銀および沃化銀含有率の測定には、通常EPMA法(Electron ProbeMicro Analyzer法)が有効である。乳剤粒子を互いに接触しないよう分散させた試料を作成し、電子線を放射することにより放射されるX線を分析することにより、電子線を照射した極微小領域の元素分析を行なうことができる。このとき、測定は電子線による試料損傷を防ぐため低温に冷却して行なうことが好ましい。
【0014】
本発明の平板状ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成は、沃臭化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀が好ましい。また、本発明の粒子内部に転位線があるものが好ましい。また粒子表面にハロゲン化銀のエピタキシャルが接合している塩沃臭化銀平板粒子が好ましい。
【0015】
本発明のホスト平板粒子の調製は、核形成、熟成および成長の3つの工程からなる。核形成工程では、反応溶液を攪拌するのに十分な量のゼラチン等の保護コロイド、ハロゲン化物等を含有する水溶液に、水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液を添加して、核となるハロゲン化銀粒子を調製する。このとき、添加される水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液は同時に添加されることが好ましい。
【0016】
本発明の水溶性銀溶液は、硝酸銀水溶液が好ましく用いられる。本発明のハロゲン化物数位溶液は、臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、沃化カリウム、沃化ナトリウムおよびそれらの混合物の水溶液が用いられる。
【0017】
本発明では、熟成工程が始まる前までの核形成工程において水溶性銀溶液を添加した後の反応溶液の銀濃度(乳剤中に含まれる全ての銀の濃度)が0.0015〜0.015質量%である。より好ましくは、0.005〜0.013質量%である。核形成時に添加する水溶性銀溶液の濃度は、0.001〜10質量%が好ましく、さらに0.01〜1が好ましい。水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液を添加するときの反応容器の温度は、−2〜40℃が好ましく、0〜10℃がさらに好ましい。ハロゲン化物水溶液の組成は、沃化物が0〜10モル%含まれている沃臭化物であることが好ましく、沃化物が0〜5モル%である沃臭化物であることがさらに好ましく、沃化物が0〜3モル%である沃臭化物であることがさらに好ましい。
【0018】
核形成工程に使用される保護コロイドは、米国特許第4,713,320号および同第4,942,120号に記載のメチオニン含量の少ないゼラチンを用いることが好ましく、低分子量であることがさらに好ましい。また、米国特許第4,914,014号に記載の高pBrで核形成を行なうことも好ましく、具体的にはpBrは2〜7が好ましく、さらに2〜5が好ましい。ここでpBrとは臭素イオン濃度の逆数の対数である。特開平2−222940号に記載の短時間で核形成を行なうことが好ましく、1分以内で行なうことがさらに好ましい。
【0019】
熟成工程においては、米国特許代5,254,453号記載の低濃度のベース存在下でおこなうこと、米国特許代5,013,641号記載の高いpHで行なうことは、本発明の平板粒子乳剤の熟成工程において用いることが可能である。米国特許第5,147,771号、同第5,147,772号、同第5,147,773号、同第5,171,659号、同第5,210,013号ならびに同第5,252,453号に記載のポリアルキレンオキサイド化合物を熟成工程もしくは後の成長工程で添加することが可能である。本発明においては熟成工程は好ましくは50℃以上80℃以下の温度で行なわれる。核形成直後または熟成終了時までに追加のゼラチンが好ましく添加される。特に好ましいゼラチンはアミノ基が95%以上コハク化またはトリメリット化して修飾されたものである。
【0020】
本発明において成長工程は、水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液を直接添加する方法のほかに、ハロゲン化銀微粒子を連続添加する工程があることが好ましい。このハロゲン化銀微粒子は、バッチ式で調製したものや添加する直前に水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液を混合する混合器を用いて調製したものが好ましい。
【0021】
本発明において添加するハロゲン化銀微粒子の平均円相当径は、0.001〜0.1μmが好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.05μmである。ハロゲン化銀微粒子の円相当径は、直接法電子顕微鏡観察から求められることができ、同等の投影面積を有する円の直径として求めることができる。微粒子であるため熟成などによりサイズが大きくなりやすいために、添加される微粒子の観察は熟成抑制剤または成長抑制剤で粒子変化を止めた後観察する。もしくは添加されるハロゲン化微粒子を直ちに電子顕微鏡観察用のメッシュ上に乗せ、直ちに水分を除去して観察する。−10度以下の温度で電子顕微鏡観察することによりハロゲン化銀微粒子観察が容易となる。1000粒子以上について円相当径を求め、数平均円相当径と円相当径の変動係数を求めることができる。ハロゲン化銀微粒子のハロゲン組成は、臭化銀、沃臭化銀、塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀および塩沃臭化銀〜選択されるが、好ましくは沃化銀含量1〜5モル%の沃臭化銀である。
【0022】
本発明のハロゲン化銀微粒子の円相当径の変動係数は、30%以内であり、より好ましくは20%以内であり、さらに好ましくは20%以内である。
【0023】
本発明の限外濾過による脱水および脱塩技術は、リサーチ・ディスクロージャー、102巻、10298項および同131巻、13122項に記載されている。また米国特許4,334,012号、同5,164,092号、同5,242,597号、欧州特許795455号、同843206号、特開平8−278580号、特開平11−231449号等に開示されている。
【0024】
本発明の限外濾過膜に用いられる膜を容器に組み込んだ膜モジュールには、管状モジュール、中空糸モジュール、プリーツモジュール、スパイラルモジュール、平膜モジュール、プレート&フレームモジュールが用いることができる。この中で、中空糸モジュールおよび平膜モジュールが好ましく用いられる。
【0025】
本発明の限外濾過膜は、種々の素材のものを用いることができる。有用な限外濾過膜の主要な素材は、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリスルフォン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、酸化アルミニウム等のセラミック等が好ましく用いられる。
【0026】
本発明の限外濾過膜の性能を示すものとして、分画分子量がある。分画分子量は阻止率(供給液の濃度から透過液の濃度の差を供給液の濃度で割った百分率)90%以上になる分子量であり、ハロゲン化銀粒子は透過せず、必要としない塩や分散物は透過する分画分子量が好ましい。また、分画分子量を小さくすると、限外濾過膜を透過する液の流量は減少するので、最適な分画分子量を選ぶ必要がある。有用な分画分子量は1000〜1000000であり、好ましくは3000〜100000である。
【0027】
本発明の限外濾過を用いて行なうハロゲン化銀乳剤の脱水脱塩の一例を示す概念図を図1に示す。図1において、反応容器1の中のハロゲン化銀粒子を含む反応溶液は攪拌機2で攪拌され、液供給配管9、ポンプ10および供給バルブ12をとおり限外濾過膜12に送り込まれる。ハロゲン化銀粒子を含む反応溶液は限外濾過膜を通して、水や塩等の一部が液透過配管18、透過バルブ20および透過流量計21を通って排出される。このとき逆止弁27は閉鎖されている。残りのハロゲン化銀粒子を含む反応溶液は液還流配管14、還流バルブ16および還流流量計17をとおり、元の反応容器1に戻る。反応液が限外濾過膜を通過する前後には圧力計12、15および19を備える。また、限外濾過膜に残ったハロゲン化銀粒子を反応容器に戻すために、上記限外濾過を終了した後に透過液の一部を逆洗浄配管24から逆洗浄用ポンプ25、逆洗浄バルブ26、逆止弁27、透過バルブ20および液透過配管18を通って限外濾過モジュールを通り、限外濾過膜に吸着したハロゲン化銀粒子を液還流配管14、還流バルブ16および還流流量計17を通してもとの反応容器に戻すことができる。また、逆洗浄用の水溶液は、透過液の代わりに水、透過液を水で希釈した水溶液またはpBrを調整した水溶液で代用することもできる。
【0028】
本発明の限外濾過による透過液は、還流バルブおよび透過バルブを調整することにより還流および透過流量を制御することができる。透過流量を増やすためには、ポンプの流量を上げること、および還流バルブを絞って還流流量を上げ、供給圧力を上げることで調整することができる。また、透過量を増加させる方法として、限外濾過モジュール2個以上を並列または直列につなぐことで膜面積を増やす方法が好ましい。
【0029】
本発明の限外濾過を用いるときには、反応容器に添加される分散媒にはゼラチンを好ましく用いることができる。反応容器に直接添加するゼラチンの分子量は制限が無いが、ゼラチン濃度を高くするほど粘度が増し限外濾過の透過流量は減少するので、ゼラチン濃度を制御する必要がある。
【0030】
混合器に使用するゼラチンに限外濾過膜を透過する低分子量ゼラチンを用いると、限外濾過膜を透過させることができ、反応容器内のゼラチン濃度を上げないことができる。混合器に使用するゼラチンは、酵素分解などの手法で低分子量化させ、粘度を低下させることができる。平均分子量は5000以上3万以下であることが好ましい。また、平板粒子の厚さへの影響はゼラチンの化学修飾によって様々に変化させることができる。薄い平板状ハロゲン化銀粒子を得るために、酸化処理、コハク化処理、トリメリット化処理を好ましく用いることができる。
【0031】
本発明の限外濾過を微粒子による成長前の段階で行なうことも好ましく行なわれる。平板粒子形成には核となる粒子を調製した後反応容器の温度を上げて熟成する工程があり、この工程を行なうことで、微粒子成長を行なう平板粒子を形成することができる。この熟成工程中の限外濾過を行なって脱水および脱塩することがスケールアップに好ましい。核を形成するときの水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液の濃度を単に上げると、生成した核の凝集が起こるため、粒子のサイズ分布を悪化させる。最適な水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液の濃度で生成させた後、限外濾過により脱水および脱塩する方が粒子サイズ分布を悪化させずに多量の核を形成することができる。
【0032】
本発明において、限外濾過は上記工程を含むあらゆる工程で使用することができるが、好ましいのはハロゲン化銀微粒子の添加中に限外濾過を行なうことである。ハロゲン化銀微粒子の添加中に限外濾過を行なうとは、添加と平行して限外濾過を行なうことを意味する。このとき、ハロゲン化銀微粒子の添加中全時間域に行なってもいいし、部分的に行なっても良い。あるいは、中断して数回にわけて行なっても良い。
【0033】
本発明のハロゲン化銀微粒子を調製する方法の一つである混合器について以下に述べる。該混合器の混合槽における水溶性銀溶液、ハロゲン化物水溶液および分散媒水溶液の滞留時間は、安定状態でハロゲン化微粒子を調製している条件下において該微粒子を供給する速度(1秒あたりの容量)で混合器の液量を割った値を意味する。本発明の混合器における滞留時間は、0.0001〜10秒以下、好ましくは0.001〜3秒以下、さらに好ましくは0.001〜0.5秒以下である。
【0034】
該混合器には、水溶性銀溶液、ハロゲン化物水溶液および分散媒溶液を添加してハロゲン化銀微粒子を調製することができる。このとき、上記3溶液を別々に添加してもいいし、分散媒溶液をハロゲン化物水溶液と混合して添加してもよい。
【0035】
該混合器に添加する水溶性銀溶液およびハロゲン化物水溶液の濃度は核となる粒子に用いる場合は4mol/リットル以下が好ましく、1mol/リットル以下がさらに好ましく、0.2mol/リットル以下が最も好ましい。成長に用いる場合には、生産性の観点から高濃度の水溶液を用いることが好ましく、0.5mol/リットル以上4mol/リットル以下が好ましく、1.0mol/リットル以上がさらに好ましい。水溶液の温度は5℃以上75℃以下が好ましい。本発明の方法で得られるハロゲン化銀粒子を核として用いる場合、水溶液の濃度は4mol/リットル以下が好ましく、1mol/リットル以下がさらに好ましく、0.2mol/リットル以下が最も好ましい。成長に用いる場合は、生産性の観点から高濃度の水溶液を用いることが好ましく、その濃度は0.5mol/リットル以上4mol/リットル以下が好ましく、1.0mol/リットル以上がさらに好ましい。添加する水溶性銀溶液、ハロゲン化物水溶液および分散媒水溶液の温度は5℃以上75℃以下が好ましい。
【0036】
本発明の混合器に使用される分散媒には、平均分子量5000以上3万以下のゼラチンが好ましい。このときゼラチンは生成するハロゲン化銀粒子中の双晶発生確率に大きな影響を与えるため、好ましいゼラチン水溶液濃度は、生成する微粒子ハロゲン化銀粒子の使用目的によって異なる。平板状ハロゲン化銀粒子調製を行う際の核としてハロゲン化銀微粒子を利用する場合、平行二重双晶核が必要なため、所望の双晶発生確率が達成されるようにゼラチン水溶液濃度を調節することが必要である。銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液が混合されたときに銀1gあたりのゼラチン量が0.03g以上0.4g以下となるようにゼラチン濃度を選ぶことが好ましく、0.3g以下にすることがさらに好ましい。また、成長に利用する場合には、添加したハロゲン化銀粒子が速やかに溶解することが好ましい。そのため、双晶核が少ない方が好ましく、ゼラチン水溶液濃度は高い方が好ましい。ゼラチン水溶液濃度は添加される硝酸銀1gに対して0.2g以上、1g以下、ゼラチンが添加される濃度にすることが好ましく、0.3g以上にすることがさらに好ましく、0.4g以上にすることが最も好ましい。
【0037】
本発明の好ましい混合器は以下の3種類であり、以下にそれぞれ説明する。
(1)密閉型攪拌槽に2本以上の回転軸を用いて攪拌する混合器
図2に示したように、反応容器の外に設置された混合器10に水溶性銀溶液、ハロゲン化物水溶液及び必要に応じて分散媒水溶液を各々添加系(供給口)11,12及び13に導入する。(この際、必要に応じて分散媒水溶液は、水溶性銀溶液および/またはハロゲン化物水溶液に混合して添加しても良い)混合器内でこれらの溶液を急速且つ強力に混合して、ただちに系(排出口)16によって反応容器に導入し、反応容器中でハロゲン化銀微粒子を形成する。この際、混合器から排出された乳剤を一且別の容器にためて、その後反応容器に添加することもできる。反応容器で微粒子形成を終えた後、さらに混合器10に、水溶性銀溶液、ハロゲン化物水溶液及び必要に応じて分散媒水溶液を各々添加系、11,12及び13に導入する。(この際、必要に応じて分散媒水溶液は、水溶性銀溶液および/またはハロゲン化物水溶液に混合して添加しても良い)混合器内でこれらの溶液を急速且つ強力に混合して、ただちに系16によって連続的に反応容器1に導入し、反応容器中で均一化させる。
【0038】
本発明の混合器の一実施形態を示す。従来のように攪拌羽根に駆動軸をとりつけ、混合器の外の駆動機によって攪拌羽根をこの様な高速で回転すると、その混合槽と駆動軸のシールが大変困難になってきた。本発明においては、下記に示す様に、磁気カップリングで連結される攪拌羽根と外部磁石による磁気誘導による回転によって、駆動軸を用いないことによりこの問題を解決した。図2において、混合器35は、上下方向に中心軸を向けた攪拌槽本体36と、該攪拌槽本体36の上下の開口端を塞ぐ槽壁となるシールプレート37とで構成されている。攪拌槽本体36及びシールプレート37は、透磁性に優れた非磁性材料で形成されている。攪拌羽根38、39は、攪拌槽35内の相対向する上下端に離間して配置されて、互いに逆向きに回転駆動される。各攪拌羽根38、39は、それぞれの攪拌羽根38、39が近接する槽壁(シールプレート37)の外側に配置された外部磁石40、41と磁気カップリングCを構成している。即ち、各攪拌羽根38、39は、磁力でそれぞれの外部磁石40、41に連結されており、各外部磁石40、41を独立したモータ42、43で回転駆動することで、互いに逆向きに回転操作される。
【0039】
さらに、図2において該混合器は、攪拌される水溶性銀溶液、ハロゲン化物水溶液、必要に応じて分散媒水溶液を流入させる3つの液供給口31、32および33と攪拌処理を終えたハロゲン化銀微粒子乳剤を排出する排出口34とを備えた攪拌槽35と、該攪拌槽35内で回転駆動されることで該攪拌槽35内の液体の攪拌状態を制御する攪拌手段である一対の攪拌羽根38、39とを備えてなる。該混合器18は円筒状のものが良く用いられるが、直方体、六角型、その他の種々の形体が用いられる。さらに該一対の攪拌羽根は攪拌槽35内の相対向する上下端に離間して配置されて、互いに逆向きに回転駆動される。この一対の攪拌羽根は図2では相対する上下方向に配置したが、相対する横方向でもよく、また斜め方向でもよい。図2では、相対する位置に一対の二つの攪拌羽根を用いたが、二つ以上の対をなした、互いに逆向き回転する4個以上の偶数個の攪拌羽根を用いてもよいし、対をなさない奇数個(1個を含む)の攪拌羽根を用いることもできる。また対をなした互いに逆向き回転する偶数個の攪拌羽根と、奇数個(1個を含む)の攪拌羽根を併用することによって、さらに効率の良い攪拌を実施できる。
【0040】
本発明の混合器においては、該混合器内で相対向する攪拌羽根を駆動する際、より高い混合効率を実現するには、その攪拌羽根を高速で回転する必要がある。その回転数は1000rpm以上、好ましくは3000rpm以上、より好ましくは5000rpm以上である。
【0041】
図3に、攪拌槽35の下端部に磁気カップリングCの構成を示す。この一実施形態の磁気カップリングCは、この磁気カップリングCを構成している各攪拌羽根38、39に、図示の様に、N極面とS極面とが回転中心軸線44に対して平行でかつ該回転中心軸線44を挟んで重なる如く配置された両面2極型磁石45を使用している。外部磁石41は、N極面とS極面とが回転中心軸線44に直交する平面上で回転中心軸線44に対して対称位置に並ぶ左右2極型磁石(U字型磁石)46を使用している。この磁気カップリングCにおいて、上記とは逆に、外部磁石41に両面2極型磁石45を使用して、攪拌羽根38、39には左右2極型磁石46を使用しても、同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
上記の磁気カップリングCでは、外部磁石41と攪拌羽根38、39との間を結ぶ磁力線Lは、図4(a)の様になり、例えば左右2極型磁石同志で磁気カップリングを構成した場合に形成される磁束と比較して、磁石相互間を結ぶ磁束の径を倍増できると同時に、外部磁石41が回転操作された場合に、図4(b)に示す様に磁束が撓んで磁束の切断を防止する磁束粘性を持たせる事ができ、カップリングとしての結合強度が大幅に向上して、モータ42、43に高回転型のモータを使用することで、攪拌羽根38、39の高速回転を可能にすることができる。
【0043】
本発明の混合器の攪拌は、一対の攪拌羽根を同一回転しても逆向きに回転してもよいが、逆向きに回転することが好ましい。また、回転数は、同じ回転数で駆動させてもよいし、異なった回転数で駆動させてもよい。
【0044】
本発明の混合器には、滞留時間を減少させる目的で混合器内の容積を下げるために、上記混合器の攪拌槽を貫通する回転軸をもち、この回転軸周りをシールした混合器を用いることも好ましい。この場合も、一対の攪拌羽根を同一回転しても逆向きに回転してもよいが、逆向きに回転することが好ましい。また、回転数は、同じ回転数で駆動させてもよいし、異なった回転数で駆動させてもよい。
【0045】
本発明においては、混合器に保護コロイド水溶液を添加するが、下記のような添加法が用いられる。
a 分散媒水溶液を単独で混合器に注入する。分散媒水溶液の濃度は0.5%以上、好ましくは1%以上がよく、20%以下である。流量については、水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液の流量の和の少なくとも20%以上300%以下で、好ましくは50%以上200%以下である。
b ハロゲン化物水溶液に分散媒水溶液を含有せしめる。分散媒の濃度は0.4%以上、好ましくは1%以上であり、20%以下である。
c 水溶性銀溶液に分散媒を含有せしめる。分散媒の濃度は0.4%以上、好ましくは1%以上で、20%以下である。分散媒にゼラチンを用いる場合、銀イオンとゼラチンでゼラチン銀をつくり、光分解及び熱分解して銀コロイドを生成するため、水溶性銀溶液とゼラチン溶液は使用直前に添加する方がよい。
上記a〜cの方法は、各々単独で用いてもよいし、それぞれ組合せてもよく、また、三つの方法同時に用いてもよい。
【0046】
(2)直線状噴流にして攪拌する混合器
本発明の混合器では、水溶性銀溶液、ハロゲン化物水溶液、分散媒水溶液を直線状噴流として添加して混合し、ハロゲン化銀微粒子を調製することができる。分散物水溶液は、水溶性銀溶液またはハロゲン化物水溶液のいずれか片方に添加してもよいし、3種を別々に混合してもよい。
【0047】
本発明の混合器の噴流として添加される水溶液の流速は、100m/sec以上であることが好ましく、250m/sec以上であることがさらに好ましく、500m/sec以上であることが最も好ましい。
【0048】
本発明の混合器において、溶液を混合する細管の直径は、直線状噴流添加口の直径の20倍以下であることが好ましく、10倍以下であることがさらに好ましく、7倍以下であることが最も好ましい。溶液を混合する細管の長さは、その直径の10倍以上であることが好ましく、50倍以上であることがさらに好ましく、100倍以上であることが最も好ましい。細管は内部に窪みを有することができる。添加された溶液が細管内を流れる際にこの窪みによって流れはより細かな乱流となり、混合をより均一化する。高い流速を持つ噴流による混合を行う場合、混合液の温度が上昇するため、該装置には冷却器を付属することが好ましい。
【0049】
本発明の混合器において、水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液の混合は機械的攪拌を伴わないことが好ましい。機械的攪拌を伴うと、循環が起こらない混合が困難である。また、滞留時間が0.1秒以下のような短い混合時間の場合、機械的攪拌では十分な混合を行うことが困難である。
【0050】
本発明の混合器において、水溶性銀溶液、ハロゲン化物水溶液の両方をそれぞれ直線状噴流にして混合してもよいし、片方を直線状噴流としてもう片方をその噴流の負圧を利用して混合してもよい。
【0051】
本発明の要件を満たす混合方法として、BEEINTERNATIONAL社製の高圧ホモジェナイザー(DeBEE2000)を応用して用いることができる。該装置のデュアルフィード法を用いて、水溶性銀溶液またはハロゲン化物水溶液の一方を高速噴流とし、もう一方の液と混合することができる。噴流とする水溶液に高圧をかけることで高い運動エネルギーを持たせ、二つの液を極めて短時間に混合することが可能である。また、この方法では添加された液が再び添加口近傍に戻るような循環が発生せず、さらに、添加液が十分な運動エネルギーを持つために機械的攪拌も不要である。
【0052】
(3)層流を利用した混合器
本発明の混合器は、層流(laminar flow)を利用した混合法である。水溶性銀溶液とハロゲン化物水溶液を薄い層(lamella)に細分化させ、お互いを広い面積で接触させる事によって、均一に短時間のうちにイオンの拡散をおこさせることにより、より速く且つより均一な混合を実現するものである。拡散によるイオンの移動は濃度の時間的変化で関係づけられるFickの法則に従い、拡散係数と濃度勾配の積として次式で与えられる。
t〜 dl/D
ここで、Dは拡散定数、dlは薄層の厚さ、tは混合時間を表わす。
上記式から、混合時間tは薄層の厚さdlの二乗に比例する為、この層を薄くする事によって非常に効果的に混合時間を短くする事ができる。
【0053】
本発明は、IMM(Institute fur Mikrotechnik Mianz)製のマイクロリアクター(Microreactor)を用いる事により、期待される効果を実現する事ができる。マイクロリアクターの詳細については、“Microreactor”(W.Ehrfeld、V.Hessel、H.Loewe、 1Ed. (2000) WILEY−VCH)の第3章にその詳細が記載されている。即ち流体の多層薄膜化(multilamination)とそれに続く拡散混合にその原理をもつ。
【0054】
水溶性銀溶液およびハロゲン化物水溶液の流体は、厚みが数十ミクロンオーダーの互いに入り込んだスリットを通過することによって、多数の薄膜流体に分けられ、スリットの出口でそれらはその進行方向の法線方向で広い面積で接触し、ただちに銀イオン及びハロゲン化物イオンの拡散がはじまり、短時間のうちに拡散による混合が終了し、同時に起こったイオン反応によってハロゲン化銀微粒子が形成される。
【0055】
本発明の混合器における薄層の厚さは、その進行方向の法線方向で1μm以上500μm以下であり、好ましくは1μm以上、100μm以下であり、より好ましくは1μm以上50μm以下である。層流を利用した本発明における混合時間は、0.5秒未満であり、好ましくは100ミリ秒未満であり、より好ましくは50ミリ秒未満である。
【0056】
本発明の混合器であるマイクロミキサーは、等価直径1mm以下の流路(チャンネル)を有する装置である。本発明でいう等価直径(equivalent diameter)は、相当(直)径とも呼ばれ、機械工学の分野で用いられる用語である。任意断面形状の配管(本発明では流路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直径を等価直径といい、 A:配管の断面積、 p:配管のぬれぶち長さ(周長)を用いて、 d eq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺aの正四角形管ではdeq=4a/4a=a、一辺aの正三角形管ではdeq=a/31/2、路高さhの平行平板間の流れではdeq=2hとなる(参照:(社)日本機械学会編「機械工学事典」1997年、丸善(株))。
【0057】
本発明の混合器の流路は、固体基板上に微細加工技術により作成される。使用される材料の例をあげれば金属、シリコン、テフロン、ガラス、セラミックスまたはプラスチックなどである。耐熱、耐圧および耐溶剤性が必要な場合、好ましい材料は金属、シリコン、テフロン、ガラスまたはセラミックスであるが、特に好ましくは金属である。金属の例を挙げれば、ニッケル、アルミ、銀、金、白金、タンタル、ステンレス、ハステロイ(Ni−Fe系合金)またはチタンであるが、好ましくは耐腐食性の高いステンレス、ハステロイもしくはチタンである。従来のバッチ式反応装置では酸性物質などを扱う時に金属(ステンレス等)表面にガラスライニングした装置が用いられるが、マイクロリアクターでも金属表面にガラスコーティングしてもよい。ガラスに限らず目的に応じて、金属の上に別の金属もしくは他の材料をコーティングしても良いし、金属以外の材料(例えばセラミック)に金属もしくはガラスなどをコーティングしても良い。
【0058】
本発明の混合器の流路を作成するための微細加工技術として代表的なものを挙
げれば、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、Deep RIEによるシリコンの高アスペクト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザー加工法、イオンビーム加工法、およびダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法などがある。これらの技術を単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良い。好ましい微細加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、EPON SU−8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、および機械的マイクロ切削加工法である。
【0059】
本発明の混合器であるマイクロミキサーを組み立てる際、よく接合技術が用いられる。通常の接合技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に用いられている接合方法は、固相接合として圧接や拡散接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接着等が代表的な接合方法である。更に、組立に際しては高温加熱による材料の変質や大変形による流路等の微小構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な接合方法が望ましいが、その技術としてはシリコン直接接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直接接合、HF水溶液を用いた接合、Au−Si共晶接合、ボイドフリー接着などがある。
【0060】
本発明に混合器に用いられる流路の等価直径は1mm以下であるが、好ましくは10〜500μmであり、特に好ましくは20〜300μmである。また流路の長さには特に制限はないが、好ましくは1mm〜1000mmであり、特に好ましくは10mm〜500mmである。
【0061】
本発明において用いられる流路は一本のみである必要はなく、必要に応じて流路を何本も並列化し(Numbering−up)、その処理用を増大させることができる。本発明において反応は、流路の中を流れながら、すなわちフローで行われる。
【0062】
本発明の混合器であるマイクロミキサーの流路は目的に応じて表面処理しても良い。特に水溶液を操作する場合、ガラスやシリコンへの試料の吸着が問題になることがあるので表面処理は重要である。マイクロサイズの流路内における流体制御では、複雑な製作プロセスを要する可動部品を組み込むことなくこれを実現することが望ましい。例えば、流路内に表面処理により親水性と疎水性の領域を作成し、その境界に働く表面張力差を利用して流体を操作することが可能になる。
【0063】
本発明の混合器であるマイクロミキサーのマイクロサイズの流路中へ試薬やサンプルなどを導入して混合するために、流体制御機能が必要である。特に、微小領域における流体の挙動は、マクロスケールとは異なる性質を持つため、マイクロスケールに適した制御方式を考えなければならない。流体制御方式は形態分類すると連続流動方式と液滴(液体プラグ)方式があり、駆動力分類すると電気的駆動方式と圧力駆動方式がある。これらの方式を以下に詳しく説明する。流体を扱う形態として、最も広く用いられるのが連続流動方式である。連続流動式の流体制御では、マイクロリアクターの流路内は全て流体で満たされ、外部に用意したシリンジポンプなどの圧力源によって、流体全体を駆動するのが一般的である。この場合、比較的簡単なセットアップで制御システムを実現できることが一つの利点であるが、複数ステップの反応やサンプルの交換を伴うような操作は困難で、システム構成の自由度が小さいこと、また駆動媒体が溶液そのものであるため、デッドボリュームが大きいことなどが難点である。連続流動方式とは異なる方式として、液滴(液体プラグ)方式がある。この方式では、リアクター内部やリアクターに至る流路内で、空気で仕切られた液滴を動かすものであり、個々の液滴は空気圧によって駆動される。その際、液滴と流路壁あるいは液滴同士の間の空気を必要に応じて外部に逃がすようなベント構造、及び分岐した流路内の圧力を他の部分と独立に保つためのバルブ構造などを、リアクターシステム内部に用意する必要がある。また、圧力差を制御して液滴の操作を行うために、外部に圧力源や切り替えバルブからなる圧力制御システムを構築する必要がある。このように液滴方式では、装置構成やリアクターの構造がやや複雑になるが、複数の液滴を個別に操作して、いくつかの反応を順次行うなどの多段階の操作が可能で、システム構成の自由度は大きくなる。
【0064】
流体制御を行うための駆動方式として、流路(チャンネル)両端に高電圧をか
けて電気浸透流を発生させ、これによって流体移動させる電気的駆動方法と、外部に圧力源を用意して流体に圧力をかけて移動させる圧力駆動方法が一般に広く用いられている。両者の違いは、たとえば流体の挙動として、流路断面内で流速プロファイルが電気的駆動方式の場合にはフラットな分布となるのに対して、圧力駆動方式では双曲線状に、流路中心部が速くて、壁面部が遅い分布となることが知られており、サンプルプラグなどの形状を保ったまま移動させるといった目的には、電気的駆動方式の方が適している。電気的駆動方式行う場合には、流路内が流体で満たされている必要があるため、連続流動方式の形態をとらざるを得ないが、電気的な制御によって流体の操作を行うことができるため、例えば連続的に2種類の溶液の混合比率を変化させることによって、時間的な濃度勾配をつくるといった比較的複雑な処理も実現されている。圧力駆動方式の場合には、流体の電気的な性質にかかわらず制御可能であること、発熱や電気分解などの副次的な効果を考慮しなくてよいことなどから、基質に対する影響がほとんどなく、その適用範囲は広い。その反面、外部に圧力源を用意しなければならないこと、圧力系のデッドボリュームの大小に応じて、操作の応答特性が変化することなど、複雑な処理を自動化する必要がある。
【0065】
流体制御方法として用いられる方法はその目的によって適宜選ばれるが、好ましくは連続流動方式の圧力駆動方式である。
【0066】
本発明の混合器であるマイクロミキサーの温度制御は、装置全体を温度制御された容器中に入れることにより制御しても良いし、金属抵抗線や、ポリシリコンなどのヒーター構造を装置内に作り込み、加熱についてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマルサイクルを行ってもよい。温度のセンシングは、金属抵抗線ではヒーターと同じ抵抗線をもう一つ作り込んでおき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行い、ポリシリコンについては熱電対を用いて検出を行う。また、ペルチェ素子をリアクターに接触させることによって外部から加熱、冷却を行っても良い。どの方法を用いるかは用途やリアクター本体の材料などに合わせて選択される。
【0067】
上記3種の混合器の中で、(1)密閉型攪拌槽に2本以上の回転軸を用いて攪拌する混合器と(2)直線状噴流にして攪拌する混合器が好ましい。
【0068】
本発明の製造法による乳剤は好ましくは全投影面積の50%以上が六角形の六
つの頂点部の少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を有する平板粒子である。より好ましくは全投影面積の90%以上が六角形の六つの頂点部の少なくとも一つの頂点部にエピタキシャル接合を有する平板粒子である。ここで頂点部とは、平板粒子を主平面に対して垂直方向から見た時に1つの頂点を中心とし、この頂点と、この頂点を構成する二つの辺とが形成する扇型であって、これら2辺のうち短いほうの辺の長さの1/3を半径とする扇型内の部分を意味する。平板粒子の主平面の形が丸みを帯びた三角形状や六角形状である場合、主平面の頂点および辺は、各辺を延長することにより形成される仮想の三角形や六角形のそれぞれ頂点および辺とする。通常は上記エピタキシャル乳剤以外に平板粒子の主平面もしくは頂点部以外の辺上にエピタキシャル接合が形成される。
【0069】
本発明の好ましいエピタキシャル乳剤の判断は以下のように行なうことができる。平板のレプリカによる電子顕微鏡写真から任意に100粒子以上を抽出し、一つ以上頂点部にエピタキシャル接合を有する粒子、辺上もしくは主平面状のみにエピタキシャル接合を有する粒子ならびにエピタキシャル接合を有しない粒子の3つの分類にクラス分けする。一つ以上の頂点部にエピタキシャル接合を有する粒子が全投影面積の50%以上あれば本発明の好ましいエピタキシャル乳剤に相当する。より好ましくは全投影面積の90%以上が上記エピタキシャル粒子である。
【0070】
エピタキシャル部は塩化銀または塩臭化銀または沃塩臭化銀である。好ましくはホスト平板粒子(エピタキシャル部を接合する前の基板となる粒子)よりも塩化銀含有率は1モル%以上高い。より好ましくは、ホスト平板粒子よりも塩化銀含有率は10モル%以上高い。但し、エピタキシャル部の塩化銀含有率は50モル%以下が好ましい。エピタキシャル部の臭化銀含有率は30モル%以上が好ましく、50モル%以上が特に好ましい。エピタキシャル部の沃化銀含有率は1モル%以上20モル%以下が好ましい。エピタキシャル部の銀量はホスト平板粒子の銀量の1モル%以上10モル%以下であることが好ましく、2モル%以上7モル%以下が更に好ましい。
【0071】
本発明で製造される乳剤は好ましくは全投影面積の70%以上がエピタキシャル部に少なくとも1本の転位線を有する平板粒子からなる。好ましくは全投影面積の80%以上がエピタキシャル部に少なくとも1本転位線を有する平板粒子からなる。本発明の乳剤はより好ましくは全投影面積の70%以上がエピタキシャル部に網目状の転位線を有する平板粒子からなる。最も好ましくは全投影面積の80%以上がエピタキシャル部に網目状の転位線を有する平板粒子からなる。ここで網目状の転位線とは、本数として数え切れないような複数の転位線が網目のように交錯した転位線である。二つ以上の頂点部にエピタキシャル接合を有する平板粒子において、必ずしもエピタキシャル部に転位線が存在する必要はない。少なくとも一つの頂点部に接合したエピタキシャル部に1本の転位線、好ましくは網目状の転位線を含んでいれば本発明の好ましいエピタキシャル乳剤に相当する。好ましくは頂点部にあるエピタキシャル部の70%以上が網目状の転位線を含む。
【0072】
本発明において、全投影面積の70%以上がエピタキシャル接合部以外には転位線が存在しないことが好ましい。転位線はエピタキシャル沈着の優先的な沈着位を提供し本発明のエピタキシャル平板粒子の形成を阻害する。好ましくは全投影面積の70%以上が転位線ゼロである。この場合、エピタキシャル沈着した部位を除く。最も好ましくは全投影面積の90%以上が転位線がゼロである。
平板粒子の転位線は、例えばJ.F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,11巻,57頁(1967)やT.Shiozawa,J.Soc.Phot.Sci.Japan,35巻,213頁(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。すなわち乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけないように注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法により観察を行なう。この時粒子の厚みが厚い程、電子線が透過しにくくなるので高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対して200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察することができる。このような方法により得られた粒子の写真より、主平面に対して垂直方向からみた場合の各粒子についての転位線の位置および数を求めることができる
【0073】
本発明の乳剤は好ましくは全投影面積の70%以上、より好ましくは全投影面積の80%以上が、ホスト平板粒子の頂点部の主平面上に段丘状にエピタキシャル接合ホスト平板の側面方向に張り出してエピタキシャル接合する平板粒子からなる。主計面の頂点からホスト平板粒子の側面方向に張り出してエピタキシャル接合する平板粒子と、ホスト平板粒子の頂点部の主平面上に段丘状にエピタキシャル接合する平板粒子との区別は以下のようにして行なう。平板粒子のレプリカ方電子顕微鏡写真から任意に100粒子以上抽出し、1粒子あたりのエピタキシャル部の総投影面積のうち頂点部と重ならない側面方向に張り出した部分の面積が60%以上ある粒子をホスト平板粒子の側面方向に張り出してエピタキシャル接合する平板粒子と定義する。エピタキシャル沈着後にこの形状を保つように制御しなければエピタキシャル沈着が再配列されることにより転位線が消えてしまう。
【0074】
以上の条件を満足する本発明の好ましいエピタキシャル平板乳剤は乳剤のpBrを下げることが可能となる。pBrを3.5以下に下げることが可能となったことにより保存性を著しく改良することができる。
以下に上述した本発明の好ましいエピタキシャル乳剤の具体的な調製法についてホスト平板粒子の調製とエピタキシャル部の調製の2つに分けて詳しく説明する。
【0075】
まず本発明のエピタキシャル乳剤の調製に必要なホスト平板粒子について述べる。本発明のホスト平板粒子の粒子ない沃化銀の分布については2重構造以上の多重構造粒子であることが好ましい。ここで沃化銀の分布について構造をもっているとは各構造間で沃化銀含量が0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上異なっていることを意味する。本発明において、ホスト平板粒子の「最外層」とは、沃化銀の分布についての多重構造の最も外側にある層状の相をいう。
この沃化銀の分布についての構造は、基本的には粒子の調製工程の処方値から計算により求めることができる。各構造間での界面では沃化銀含有率の変化は急激に変化する場合となだらかに変化する場合があり得る。これらの確認のためには、分析上の測定精度を考慮する必要があるが、前述したEPMA法が有効である。同手法により平板粒子を主平面に垂直方向から見た場合の粒子内沃化銀分布が解析できるが、同試料を固め、ミクロトームで超薄切片にカットした試料を用いることにより平板粒子の断面の粒子内沃化銀分布も解析することができる。
【0076】
本発明においてホスト平板粒子は最外層の沃化銀含量が10モル%以上であることが好ましい。最外層は全銀量に対して20%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以上20%いかであって、その沃化銀含有量が15モル%以上30モル%以下である。ここで最外層の比率とはホスト平板粒子調製工程における最終粒子を得るのに使用した銀量に対する最外層の調製に用いた銀量の比率を意味する。沃化銀含有量とは最外層の調製に用いた銀量に対する最外層の調製に用いた沃化銀量のモル比率の%を意味し、その分布については均一でも不均一でも良い。沃化銀含有量の分布が不均一な場合、沃化銀量は最外層における平均値である。より好ましくは最外層の比率は全銀量に対して10%以上15%以下であって、その沃化銀含有量が15モル%以上25モル%以下である。
【0077】
本発明で用いることができるハロゲン化銀溶剤としては、米国特許第3,271,157号、同第3,531,286号、同第3,574,628号、特開昭54−1019号、同54−158917号等に記載された(a)有機チオエーテル類、特開昭53−82408号、同55−77737号、同55−2982号等に記載された(b)チオ尿素誘導体、特開昭53−144319号に記載された(c)酸素または硫黄原子と窒素原子とにはさまれたチオカルボニル基を有するハロゲン化銀溶剤、特開昭54−100717号に記載された(d)イミダゾール類、(e)亜硫酸塩、(f)アンモニア、(g)チオシアネート等があげられる。
特に好ましい溶剤としては、チオシアネート、アンモニアおよびテトラメチルチオ尿素がある。また用いられる溶剤の量は種類によっても異なるが、例えばチオシアネートの場合、好ましい量はハロゲン化銀1モル当り1×10−4モル以上1×10−2モル以下である。
【0078】
平板粒子乳剤の側面の面指数を変化させる方法として欧州特許第515894A1号等を参考にすることができる。また米国特許第5,252,453号等に記載のポリアルキレンオキサイド化合物を用いることもできる。有効な方法として米国特許第4,680,254号、同第4,680,255号、同第4,680,256号ならびに同第4,684,607号等に記載の面指数改質剤を用いることができる。通常の写真用分光増感色素も上記と同様な面指数の改質剤として用いることができる。
本発明において、ホスト平板粒子は転位線を持たないことが好ましい。以上に詳述した核形成、熟成、成長工程を組み合わせて用いることにより転位線を消失させることができる。
【0079】
本発明の好ましいエピタキシャル乳剤の調製に必要なエピタキシャル接合について詳述する。エピタキシャル沈着はホスト平板粒子の形成後すぐにおこなっても良いしホスト平板粒子の形成後、通常の脱塩を行った後に行っても良い。
エピタキシャル沈着前に好ましくはPAGI法に準じて測定された分子量分布において、分子量約200万以上の高分子量成分が5%以上30%以下、かつ分子量約10万以下の低分子量成分が55%以下の範囲にあるゼラチンを含有していることが好ましい。特に好ましくはPAGI法に準じて測定された分子量分布において、分子量約200万以上の高分子量成分が5%以上15%以下、かつ分子量約10万以下の低分子量成分が50%以下の範囲にあるゼラチンを含有している。高分子量ゼラチンはエピタキシャル接合を行う時に全ゼラチン量の10質量%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上含有される。
塗布前までにこのゼラチンを添加しても有効であるが効果は小さくなる。
【0080】
本発明で使用するゼラチンは、下記の各種修飾処理を施されていても良い。例えば、アミノ基を修飾したフタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメリットゼラチン、ピロメリットゼラチン、カルボキシル基を修飾したエステル化ゼラチン、アミド化ゼラチン、イミダゾール基を修飾したホルミル化ゼラチン、メチオニン基を減少させた酸化処理ゼラチンや増加させた還元処理ゼラチンなどが挙げられる。
一方、それ以外の親水性コロイドも用いることができる。
例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のようなセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Photo.Japan.No.16.P30(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
【0081】
エピタキシャル乳剤の調製のためにはpH、pAg、ゼラチン種と濃度、粘度を選択する。特にpHは重要であり、好ましくは4以上5.5以下である。特に好ましくは4.5以上5以下である。このpHに設定することによりエピタキシャル沈着を粒子間で均一におこなうことができ、本発明の効果が顕著になる。
エピタキシャル接合の部位指示剤には増感色素を利用することが好ましい。用いる色素の量や種類を選択することによって、エピタキシャルの沈着位置をコントロールすることができる。色素は、飽和被覆量の50%から90%を添加することが好ましい。用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピロリン核、オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ち、例えば、インドレニン核、ベンゾインドレニン核、インドール核、ベンゾオキサドール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、キノリン核が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換基を有していてもよい。上記の増感色素は分光増感の目的でも用いることができる。
【0082】
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同第2,977,229号、同第3,397,060号、同第3,522,052号、同第3,527,641号、同第3,617,293号、同第3,628,964号、同第3,666,480号、同第3,672,898号、同第3,679,428号、同第3,703,377号、同第3,769,301号、同第3,814,609号、同第3,837,862号、同第4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同第1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号に記載されている。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を同時または別個に添加してもよい。
増感色素の吸着時にホスト平板粒子の最外層の極表面層の沃化銀含量を最外層よりもさらに高くしておくとエピタキシャル乳剤の調製に好ましい。増感色素の添加に先立って沃素イオンを添加することが行われる。前述したAgI微粒子乳剤を添加してホスト平板粒子の表面の沃化銀含量を高くすることが好ましく用いられる。これにより粒子間の沃化銀含量の分布が均一となり増感色素の吸着も均一になる。これにより本発明のエピタキシャル乳剤の調製が可能となる。これら沃素イオンもしくは沃化銀の添加量はホスト平板粒子の銀量で1モルに対して1×10−4から1×10−2モルの範囲が好ましく1×10−3から5×10−3モルの範囲が特に好ましい。
【0083】
エピタキシャル部の形成法はハロゲンイオンを含む溶液とAgNOを含む溶液の同時添加でも別々の添加でも良く、ホスト平板粒子よりも粒径の小さなAgCl微粒子、AgBr微粒子、AgI微粒子の添加、あるいはそれらの混晶粒子の添加等と適宜組み合わせて添加して形成しても良い。AgNO溶液を添加する場合は添加時間は30秒以上10分以内であることが好ましく、1分以上5分以内が特に好ましい。エピタキシャル乳剤を形成するためには添加する硝酸銀溶液の濃度は1.5モル/リットル以下の濃度が好ましく特に0.5モル/リットル以下の濃度が好ましい。この時系中の攪拌は効率良く行う必要があり、系中の粘度は低い方が好ましい。
エピタキシャル部の銀量はホスト平板粒子の銀量の1モル%以上10モル%以下であることが好ましく、2モル%以上7モル%以下が更に好ましい。少なすぎるとエピタキシャル乳剤の調製ができないし、多すぎても不安定になる。
エピタキシャル部の形成時のpBrは3.5以上が好ましく、特に4.0以上が好ましい。温度は35℃以上45℃以下で行うことが好ましい。このエピタキシャル部の形成時に6シアノ金属錯体がドープされているのが好ましい。
【0084】
6シアノ金属錯体のうち、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム又はクロムを含有するものが好ましい。金属錯体の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10−9乃至10−2モルの範囲であることが好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり10−8乃至10−4モルの範囲であることがさらに好ましい。金属錯体は、水または有機溶媒に溶かして添加することができる。有機溶媒は水と混和性を有することが好ましい。有機溶媒の例には、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、及びアミド類が含まれる。
【0085】
金属錯体としては、下記式(I)で表される6シアノ金属錯体が特に好ましい。6シアノ金属錯体を使用した乳剤を用いることにより、高感度の感光材料が得られ、しかも感光材料を長期間保存したときでも被りの発生を抑制するという効果が得られる。
【0086】
(I)[M(CN)n−
(式中、Mは鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウムまたはクロムであり、nは3または4である。)。
【0087】
6シアノ金属錯体の具体例を以下に示す。
(I−1) [Fe(CN)4−
(I−2) [Fe(CN)3−
(I−3) [Ru(CN)4−
(I−4) [Os(CN)4−
(I−5) [Co(CN)3−
(I−6) [Rh(CN)3−
(I−7) [Ir(CN)3−
(I−8) [Cr(CN)4−
【0088】
6シアノ錯体の対カチオンは、水と混和しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈殿操作に適合しているイオンを用いることが好ましい。対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオン)、アンモニウムイオンおよびアルキルアンモニウムイオンが含まれる。
【0089】
この他にホスト平板粒子内部に周期律表の3族から14族元素の金属を含む配位金属錯体もしくは金属イオンを含有することも好ましい。配位金属錯体または金属イオンとしては族番号を左から1〜18まで表記した周期律表の3族から14族元素から選ぶことができる。好ましい金属としては、周期律表の4、5および6周期元素の金属であり、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、鉛の金属から選ぶことがより好ましい。特に好ましくはイリジウム錯体である。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩などの金属塩として用いることによって金属イオンとして使用することもできるが、6配位錯塩、4配位錯塩などの単核の配位金属錯塩、あるいは複核金属錯塩、多核金属錯塩として用いることにより、配位子あるいは錯塩の構造による性能を引き出すこともできる。好ましい配位子としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンおよび沃化物イオン、酸化物イオン、硫化物イオン、セレン化物イオン、テルル化物イオン、シアン化物イオン、チオシアン化物、セレノシアン化物イオン、テルルシアン化物、シアン酸イオン、窒化物イオン、アジ化物イオン等のアニオン性配位子、水、カルボニル、ニトロシル、チオニトロシル、アンモニア等の中性配位子、米国特許第5,360,712号明細書に開示されている、4,4’ −ビピリジン、ピラジン、チアゾールなどのような炭素−炭素、炭素−水素、または炭素−窒素−水素結合を1つ以上含む有機配位子である。
【0090】
これら金属イオンの具体的な例としては、「コンプリヘンシブ・コーディネーション・ケミストリー(’’Comprehensive Coordination Chemistry’’)」(Pergamon Press(1987))に記載されているものが挙げられる。
【0091】
本発明の配位金属錯体または金属イオンをハロゲン化銀粒子にドープする場合には、ハロゲン化銀粒子形成中に反応溶液中に直接添加するか、またはハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物イオンを含む溶液中あるいはそれ以外の溶液中に添加してから粒子形成反応溶液に添加するのが好ましい。さらに種々の添加方法を組み合わせてもよい。
【0092】
本発明の要件を満足する配位金属錯体または金属イオンは、遷移金属ドーピングに際して、従来から用いられてきたのと同様の銀1モル当たりの濃度で、ハロゲン化銀粒子に含有させることができる。これに関しては、極めて広範囲の濃度が知られており、特開昭51−107129号に開示されている銀1モル当たり10−10モルの低濃度から、米国特許3,687,676号および同3,690,891号各明細書に開示されている銀1モル当たり10−3モルの高濃度の範囲で使用される。有効な濃度は、粒子のハロゲン化物含量、選択される配位金属錯体または金属イオン、その酸化状態、配位子がある場合にはその種類および、所望の写真効果により大きく異なる。
【0093】
また本発明では、ハロゲン化銀粒子中に含有することができる金属錯体としては、イリジウム錯体を併用することも好ましい。このようなイリジウム錯体としては、3価または4価のイリジウム錯体であり、例えば、ヘキサクロロイリジウム(III)錯塩、ヘキサクロロイリジウム(IV)錯塩、ヘキサブロモイリジウム(III)錯塩、ヘキサブロモイリジウム(IV)錯塩、ヘキサヨードイリジウム(III)錯塩、ヘキサヨードイリジウム(IV)錯塩、アクアペンタクロロイリジウム(III)錯塩、アクアペンタクロロイリジウム(IV)錯塩、アクアペンタブロモイリジウム(III)錯塩、アクアペンタブロモイリジウム(IV)錯塩、アクアペンタヨードイリジウム(III)錯塩、アクアペンタヨードイリジウム(IV)錯塩、ジアクアテトラクロロイリジウム(III)錯塩、ジアクアテトラクロロイリジウム(IV)錯塩、ジアクアテトラブロモイリジウム(III)錯塩、ジアクアテトラブロモイリジウム(IV)錯塩、ジアクアテトラヨードイリジウム(III)錯塩、ジアクアテトラヨードイリジウム(IV)錯塩、トリアクアトリクロロイリジウム(III)錯塩、トリアクアトリクロロイリジウム(IV)錯塩、トリアクアトリブロモイリジウム(III)錯塩、トリアクアトリブロモイリジウム(IV)錯塩、トリアクアトリヨードイリジウム(III)錯塩、トリアクアトリヨードイリジウム(IV)錯塩、ヘキサアンミンイリジウム(III)錯塩およびヘキサアンミンイリジウム(IV)錯塩を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0094】
これらイリジウム錯体の添加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10−8モル以上10−3モル以下の範囲が好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり10−5モル以上10−4モル以下がさらに好ましい。
【0095】
ハロゲン化銀乳剤はエピタキシャル沈着後に前述した増感色素および/または後述するかぶり防止剤および/または安定剤を添加することが好ましい。
本発明においてはこの後以降にpBrを下げることが好ましい。好ましくは40℃でのpBrを3.5以下に下げる。より好ましくは、乳剤は40℃でのpBrが3.0以下であり、特に好ましくは2.5以下である。pBrの低下はKBr、NaBr等の臭素イオンを添加することにより基本的に行われる。
エピタキシャル沈着後、通常は水洗を行う。
水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpAgも目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことができる。
【0096】
本発明の乳剤は(好ましくはエピタキシャル沈着後に)化学増感を行うことが好ましい。本発明で好ましく実施しうる化学増感の一つはカルコゲン増感と貴金属増感の単独又は組合せであり、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1977年、(T.H.James、The Theory of the Photographic Process,4th ed,Macmillan,1977)67〜76頁に記載されるように活性ゼラチンを用いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、13452、米国特許第2,642,361号、同第3,297,446号、同第3,772,031号、同第3,857,711、同第3,901,714号、同第4,266,018号、および同第3,904,415号、並びに英国特許第1,315,755号に記載されるようにpAg5〜10、pH5〜8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せとすることができる。
【0097】
貴金属増感においては、金、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることができ、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併用が好ましい。金増感の場合には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドのような公知の化合物を用いることができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、RPdXまたはRPdXで表わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原子を表わす。 具体的には、KPdCl、(NHPdCl、NaPdCl、(NHPdCl、LiPdCl、NaPdClまたはKPdBrが好ましい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好ましい。
【0098】
硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,711号、同第4,266,018号および同第4,054,457号に記載されている硫黄含有化合物を用いることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザインデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大するものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第3,411,914号、同第3,554,757号、特開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
【0099】
本発明の乳剤は金増感を併用することが好ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当り1×10−4〜1×10−7モルであり、さらに好ましいのは1×10−5〜5×10−7モルである。パラジウム化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり1×10−3から5×10−7モルである。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり5×10−2から1×10−6モルである。
本発明において用いるハロゲン化銀粒子に対して使用する好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×10−4〜1×10−7モルであり、さらに好ましいのは1×10−5〜5×10−7モルである。
【0100】
本発明の乳剤に対して好ましい増感法としてセレン増感がある。セレン増感においては、公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケトン類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いることができる。セレン増感は硫黄増感あるいは貴金属増感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好ましい場合がある。
【0101】
テルル増感においては、不安定テルル化合物を用い、特開平4−224595号、同4−271341号、同4−333043号、同5−303157号、同6−27573号、同6−175258号、同6−180478号、同6−208184号、同6−208186号、同6−317867号、同7−140579号、同7−301879号、同7−301880号などに記載されている不安定テルル化合物を用いることができる。
具体的には、ホスフィンテルリド類(例えば、ノルマルブチル−ジイソプロピルホスフィンテルリド、トリイソブチルホスフィンテルリド、トリノルマルブトキシホスフィンテルリド、トリイソプロピルホスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリド、ビス(N−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類(例えば、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿素)、テルロアミド類、テルロエステル類などを用いればよい。好ましくはホスフィンテルリド類、ジアシル(ジ)テルリド類である。
【0102】
本発明に用いられる写真乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類、例えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物、アザインデン類(例えば、トリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン類)のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許第3,954,474号、同第3,982,947号、特公昭52−28660号に記載されたものを用いることができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−212932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤および安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水洗工程、水洗後の分散時、エピタキシャル形成時、化学増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御するなど多目的に用いることができる。
【0103】
本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、エピタキシャル形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ましい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成後、化学増感終了前に添加することが好ましい。粒子全体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシェル部のみにドープする方法も選べる。例えば、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、Hg、Tl、In、Sn、Pb、Biを用いることができる。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であれば添加できる。例えば、CdBr、CdCl、Cd(NO、Pb(NO、Pb(CHCOO)、K[Fe(CN)]、(NH[Fe(CN)]、KIrCl、(NHRhCl、KRu(CN)があげられる。配位化合物のリガンドとしてハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルのなかから選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて用いてよい。
【0104】
金属化合物は水またはメタノール、アセトンのような適当な有機溶媒に溶かして添加するのが好ましい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液(例えば、HCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカリ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を添加する方法を用いることができる。また必要に応じ酸・アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形成前の反応容器に添加しても粒子形成の途中で加えることもできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO)あるいはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、KBr、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続して添加することもできる。さらに水溶性銀塩、ハロゲン化アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な時期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法を組み合せるのも好ましい。
【0105】
本発明のハロゲン化銀写真乳剤を粒子形成中、粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、あるいは化学増感後に還元増感することは好ましい。
ここで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰囲気で成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あるいは熟成させる方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以上の方法を併用することもできる。
【0106】
還元増感剤を添加する方法は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明において用いる還元増感にはこれら公知の還元増感剤を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤としては塩化第一錫、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸およびその誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10−7〜10−3モルの範囲が適当である。
還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の適当な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性銀塩あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらかじめ還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連続して長時間添加するのも好ましい方法である。
【0107】
本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここで生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよく、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよい。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物であってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO・H・3HO、2NaCO・3H、Na・2H、2NaSO・H・2HO)、ペルオキシ酸塩(例えば、K、K、K)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K[Ti(O)C]・3HO、4KSO・Ti(O)OH・SO・2HO、Na[VO(O)(C]・6HO)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO)、クロム酸塩(例えば、KCr)のような酸素酸塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオスルフォン酸塩がある。
【0108】
また、有機の酸化剤としては、p−キノンのようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)が例として挙げられる。
本発明において用いる好ましい酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロゲン元素、チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共存させる方法のなかから選んで用いることができる。これらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで用いることができる。
【0109】
本発明で得られるハロゲン化銀乳剤を用いて製造される感光材料は、支持体上に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀乳剤層を各々少なくとも1層設けられており、青感色性層、緑感色性層及び赤感色性層のうち、少なくとも1つが、感度の互いに異なる2層以上から構成されていればよく、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数および層順に特に制限はない。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感色性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挾まれたような設置順をもとり得る。
上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には各層の中間層等の非感光性層を設けてもよい。
該中間層には、特開昭61−43748号、同59−113438号、同59−113440号、同61−20037号、同61−20038号に記載されるようなカプラー、DIR化合物が含まれていてもよく、通常用いられるように混色防止剤を含んでいてもよい。
【0110】
各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、西独特許第1,121,470号あるいは英国特許第923,045号に記載されるように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層構成を好ましく用いることができる。通常は、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましく、また各ハロゲン乳剤層の間には非感光性層が設けられていてもよい。また、特開昭57−112751号、同62−200350号、同62−206541号、同62−206543号に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
具体例として支持体から最も遠い側から、例えば低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。
また特公昭55−34932号公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738号、同62−63936号明細書に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に設置することもできる。
【0111】
また特公昭49−15495号に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464号に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層などの順に配置されていてもよい。
また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
上記のように、それぞれの感光材料の目的に応じて種々の層構成、配列を選択することができる。
【0112】
本発明に関する感光材料には、前記の種々の添加剤が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種々の添加剤を用いることができる。
これらの添加剤は、より詳しくはリサーチ・ディスクロージャー Item
17643(1978年12月)、同 Item 18716(1979年11月)および同 Item 308119(1989年12月)に記載されており、その該当個所を後掲の表にまとめて示した。
【0113】
Figure 2004004435
【0114】
また、ホルムアルデヒドガスによる写真性能の劣化を防止するために、米国特許4,411,987号や同第4,435,503号に記載されたホルムアルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に添加することが好ましい。
【0115】
本発明には種々のカラーカプラーを使用することができ、その具体例は前出のリサーチ・ディスクロージャーNo.17643、VII−C〜G、および同No.307105、VII−C〜Gに記載された特許に記載されている。
【0116】
イエローカプラーとしては、例えば米国特許第3,933,501号、同第4,022,620号、同第4,326,024号、同第4,401,752号、同第4,248,961号、特公昭58−10739号、英国特許第1,425,020号、同第1,476,760号、米国特許第3,973,968号、同第4,314,023号、同第4,511,649号、欧州特許第249,473A号、等に記載のものが好ましい。
【0117】
マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、米国特許第4,310,619号、同第4,351,897号、欧州特許第73,636号、米国特許第3,061,432号、同第3,725,067号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24220(1984年6月)、特開昭60−33552号、リサーチ・ディスクロージャーNo.24230(1984年6月)、特開昭60−43659号、同61−72238号、同60−35730号、同55−118034号、同60−185951号、米国特許第4,500,630号、同第4,540,654号、同第4,556,630号、国際公開WO88/04795号に記載のものが特に好ましい。
【0118】
シアンカプラーとしては、フェノール系及びナフトール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,052,212号、同第4,146,396号、同第4,228,233号、同第4,296,200号、同第2,369,929号、同第2,801,171号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,772,002号、同第3,758,308号、同第4,334,011号、同第4,327,173号、西独特許公開第3,329,729号、欧州特許第121,365A号、同第249,453A号、米国特許第3,446,622号、同第4,333,999号、同第4,775,616号、同第4,451,559号、同第4,427,767号、同第4,690,889号、同第4,254,212号、同第4,296,199号、特開昭61−42658号等に記載のものが好ましい。
ポリマー化された色素形成カプラーの典型例は、米国特許第3,451,820号、同第4,080,211号、同第4,367,282号、同第4,409,320号、同第4,576,910号、英国特許第2,102,137号、欧州特許第341,188A号に記載されている。
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、米国特許第4,366,237号、英国特許第2,125,570号、欧州特許第96,570号、西独特許(公開)第3,234,533号に記載のものが好ましい。
【0119】
発色色素の不要吸収を補正するためのカラード・カプラーは、リサーチ・ディスクロージャーNo.17643のVII−G項、同No.307105のVII−G項、米国特許第4,163,670号、特公昭57−39413号、米国特許第4,004,929号、同第4,138,258号、英国特許第1,146,368号に記載のものが好ましい。また、米国特許第4,774,181号に記載のカップリング時に放出された蛍光色素により発色色素の不要吸収を補正するカプラーや、米国特許第4,777,120号に記載の現像主薬と反応して色素を形成しうる色素プレカーサー基を離脱基として有するカプラーを用いることも好ましい。
【0120】
カップリングに伴って写真的に有用な残基を放出する化合物もまた本発明で好ましく使用できる。現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のRD17643、VII−F項及び同No.307105、VII−F項に記載された特許、特開昭57−151944号、同57−154234号、同60−184248号、同63−37346号、同63−37350号、米国特許第4,248,962号、同第4,782,012号に記載されたものが好ましい。
【0121】
現像時に画像状に造核剤もしくは現像促進剤を放出するカプラーとしては、英国特許第2,097,140号、同第2,131,188号、特開昭59−157638号、同59−170840号に記載のものが好ましい。また、特開昭60−107029号、同60−252340号、特開平1−44940号、同1−45687号に記載の現像主薬の酸化体との酸化還元反応により、かぶらせ剤、現像促進剤、ハロゲン化銀溶剤等を放出する化合物も好ましい。
【0122】
その他、本発明の感光材料に用いることのできる化合物としては、米国特許第4,130,427号等に記載の競争カプラー、米国特許第4,283,472号、同第4,338,393号、同第4,310,618号等に記載の多当量カプラー、特開昭60−185950号、特開昭62−24252号等に記載のDIRレドックス化合物放出カプラー、DIRカプラー放出カプラー、DIRカプラー放出レドックス化合物もしくはDIRレドックス放出レドックス化合物、欧州特許第173,302A号、同第313,308A号に記載の離脱後復色する色素を放出するカプラー、RD.No.11449、同24241、特開昭61−201247号等に記載の漂白促進剤放出カプラー、米国特許第4,555,477号等に記載のリガンド放出カプラー、特開昭63−75747号に記載のロイコ色素を放出するカプラー、米国特許第4,774,181号に記載の蛍光色素を放出するカプラーが挙げられる。
【0123】
本発明に使用するカプラーは、種々の公知の分散方法により感光材料に導入できる。
水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の例は、例えば、米国特許第2,322,027号に記載されている。
水中油滴分散法に用いられる常圧での沸点が175℃以上の高沸点有機溶剤の具体例としては、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)フタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート);リン酸またはホスホン酸のエステル類(例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロプロピルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスホネート);安息香酸エステル類(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート);アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド、N−テトラデシルピロリドン);アルコール類またはフェノール類(例えば、イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール);脂肪族カルボン酸エステル類(例えば、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルアゼレート、グリセロールトリブチレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート);アニリン誘導体(例えば、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン);炭化水素類(例えば、パラフィン、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン)を例示することができる。また補助溶剤としては、例えば、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃以上かつ約160℃以下の有機溶剤が使用でき、典型例としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルアセテート、ジメチルホルムアミドが挙げられる。
ラテックス分散法の工程、効果および含浸用ラテックスの具体例は、例えば、米国特許第4,199,363号、西独特許出願(OLS)第2,541,274号および、同第2,541,230号に記載されている。
【0124】
カラー感光材料中には、フェネチルアルコールや特開昭63−257747号、同62−272248号、および特開平1−80941号に記載の、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノール、4−クロル−3,5−ジメチルフェノール、2−フェノキシエタノール、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾールのような各種の防腐剤もしくは防黴剤を添加することが好ましい。
【0125】
本発明は種々の感光材料に適用することができるが、種々のカラー感光材料に適用する場合が好ましい。例えば、一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムおよびカラー反転ペーパーを代表例として挙げることができる。本発明は、カラーデュープ用フィルムにも特に好ましく使用できる。
【0126】
本発明に使用できる適当な支持体は、例えば、前述のRD.No.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄、および同No.307105の879頁に記載されている。
【0127】
感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下であることが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μm以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。また膜膨潤速度T1/2が30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。ここでの膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味する。また、膜膨潤速度T1/2は当該技術分野において公知の手法に従って測定することができ、例えばエー・グリーン(A.Green)らによりフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.Sci.Eng.)、19巻、2号、124〜129頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。なお、T1/2は発色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、飽和膜厚の1/2に到達するまでの時間と定義する。
膜膨潤速度T1/2は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。
【0128】
感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜厚の総和が2μm〜20μmの親水性コロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。このバック層には、例えば、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が好ましい。
【0129】
カラー写真感光材料は、前述のRD.No.17643の28〜29頁、同No.18716の651頁左欄〜右欄、および同No.307105の880〜881頁に記載された通常の方法によって現像処理することができる。
本発明の感光材料の現像処理に用いる発色現像液は、好ましくは芳香族第一級アミン系発色現像主薬を主成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現像主薬としては、アミノフェノール系化合物も有用であるが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用され、その代表例としては3−メチル−4−アミノ−N,Nジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−β−メトキシエチルアニリン、及びこれらの硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。これらの中で、特に、3−メチル−4−アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリンの硫酸塩が好ましい。これらの化合物は目的に応じ2種以上併用することもできる。
【0130】
発色現像液は、例えば、アルカリ金属の炭酸塩、ホウ酸塩もしくはリン酸塩のようなpH緩衝剤、塩化物塩、臭化物塩、沃化物塩、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾール類もしくはメルカプト化合物のような現像抑制剤またはかぶり防止剤を含むのが一般的である。また必要に応じて、ヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、N,N−ビスカルボキシメチルヒドラジンの如きヒドラジン類、フェニルセミカルバジド類、トリエタノールアミン、カテコールスルホン酸類の如き各種保恒剤;エチレングリコール、ジエチレングリコールのような有機溶剤;ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、四級アンモニウム塩、アミン類のような現像促進剤;色素形成カプラー、競争カプラー、1−フェニル−3−ピラゾリドンのような補助現像主薬;粘性付与剤;アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、アルキルホスホン酸、ホスホノカルボン酸に代表されるような各種キレート剤を用いることができる。キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリル三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロ−N,N,N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N,N−テトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)及びそれらの塩を代表例として挙げることができる。
【0131】
また、反転処理を実施する場合は、通常黒白現像を行なってから発色現像する。この黒白現像液には、例えば、ハイドロキノンのようなジヒドロキシベンゼン類、例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドンのような3−ピラゾリドン類、または例えば、N−メチル−p−アミノフェノールのようなアミノフェノール類の公知の黒白現像主薬を単独であるいは組み合わせて用いることができる。これらの発色現像液及び黒白現像液のpHは、9〜12であることが一般的である。また、これらの現像液の補充量は、処理するカラー写真感光材料にもよるが、一般に感光材料1平方メートル当たり3リットル(以下、リットルを「L」とも表記する。)以下であり、補充液中の臭化物イオン濃度を低減させておくことにより500ミリリットル(以下、ミリリットルを「mL」とも表記する。)以下にすることもできる。補充量を低減する場合には、処理液の空気との接触面積を小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止することが好ましい。
【0132】
処理槽での写真処理液と空気との接触面積は、以下に定義する開口率で表わすことができる。即ち、
開口率=[処理液と空気との接触面積(cm)]÷[処理液の容量(cm)]。上記の開口率は0.1以下であることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.05である。このように開口率を低減させる方法としては、処理槽の写真処理液面に、例えば浮き蓋のような遮蔽物を設ける方法に加えて、特開平1−82033号に記載された可動蓋を用いる方法、特開昭63−216050号に記載されたスリット現像処理方法を挙げることができる。開口率を低減させることは、発色現像及び黒白現像の両工程のみならず、後続の諸工程、例えば、漂白、漂白定着、定着、水洗、安定化の全ての工程において適用することが好ましい。また、現像液中の臭化物イオンの蓄積を抑える手段を用いることにより、補充量を低減することもできる。
【0133】
発色現像処理の時間は通常2〜5分の間で設定されるが、高温高pHとし、かつ発色現像主薬を高濃度に使用することにより、更に処理時間の短縮を図ることもできる。
発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理される。漂白処理は定着処理と同時に行なわれてもよいし(漂白定着処理)、個別に行なわれてもよい。更に処理の迅速化を図るため、漂白処理後に漂白定着処理する処理方法でもよい。さらに、二槽の連続した漂白定着浴で処理すること、漂白定着処理の前に定着処理すること、又は漂白定着処理後に漂白処理することも目的に応じ任意に実施できる。漂白剤としては、例えば、鉄(III)のような多価金属の化合物、過酸類(特に、過硫酸ソーダは映画用カラーネガフィルムに適する)、キノン類、ニトロ化合物が用いられる。代表的漂白剤としては、鉄(III)の有機錯塩、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸のようなアミノポリカルボン酸類との錯塩、または、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸との錯塩を用いることができる。これらのうち、エチレンジアミン四酢酸鉄(III)錯塩、及び1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)錯塩をはじめとするアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩は、迅速処理と環境汚染防止の観点から好ましい。さらに、アミノボリカルボン酸鉄(III)錯塩は、漂白液においても、漂白定着液においても特に有用である。これらのアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩を用いた漂白液又は漂白定着液のpHは通常4.0〜8であるが、処理の迅速化のためにさらに低いpHで処理することもできる。
【0134】
漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴には、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されている:例えば、米国特許第3,893,858号、西独特許第1,290,812号、同第2,059,988号、特開昭53−32736号、同53−57831号、同53−37418号、同53−72623号、同53−95630号、同53−95631号、同53−104232号、同53−124424号、同53−141623号、同53−18426号、リサーチ・ディスクロージャーNo.17129号(1978号7月)に記載のメルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物;特開昭51−140129号に記載のチアゾリジン誘導体;特公昭45−8506号、特開昭52−20832号、同53−32735号、米国特許第3,706,561号に記載のチオ尿素誘導体、西独特許第1,127,715号、特開昭58−16235号に記載の沃化物塩;西独特許第966,410号、同第2,748,430号に記載のポリオキシエチレン化合物類;特公昭45−8836号に記載のポリアミン化合物;その他特開昭49−40943号、同49−59644号、同53−94927号、同54−35727号、同55−26506号、同58−163940号記載の化合物;臭化物イオン等が使用できる。なかでも、メルカプト基またはジスルフィド基を有する化合物が促進効果が大きい観点で好ましく、特に米国特許第3,893,858号、西独特許第1,290,812号、特開昭53−95630号に記載の化合物が好ましい。更に、米国特許第4,552,884号に記載の化合物も好ましい。これらの漂白促進剤は感材中に添加してもよい。撮影用のカラー感光材料を漂白定着するときに、これらの漂白促進剤は特に有効である。
漂白液や漂白定着液には上記の化合物の他に、漂白ステインを防止する目的で有機酸を含有させることが好ましい。特に好ましい有機酸は、酸解離定数(pKa)が2〜5である化合物で、具体的には、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸を挙げることができる。
【0135】
定着液や漂白定着液に用いられる定着剤としては、例えば、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物塩を挙げることができる。このなかではチオ硫酸塩の使用が一般的であり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用できる。また、チオ硫酸塩と、例えば、チオシアン酸塩、チオエーテル系化合物、チオ尿素の併用も好ましい。定着液や漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、カルボニル重亜硫酸付加物あるいは欧州特許第294,769A号に記載のスルフィン酸化合物が好ましい。更に、定着液や漂白定着液には、液の安定化の目的で、各種アミノポリカルボン酸類や有機ホスホン酸類の添加が好ましい。
定着液または漂白定着液には、pH調整のためにpKaが6.0〜9.0の化合物、好ましくはイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールの如きイミダゾール類を0.1〜10モル/L添加することが好ましい。
【0136】
脱銀工程の時間の合計は、脱銀不良が生じない範囲で短い方が好ましい。好ましい時間は1分〜3分、更に好ましくは1分〜2分である。また、処理温度は25℃〜50℃、好ましくは35℃〜45℃である。好ましい温度範囲においては脱銀速度が向上し、かつ処理後のステイン発生が有効に防止される。
脱銀工程においては、撹拌ができるだけ強化されていることが好ましい。撹拌強化の具体的な方法としては、特開昭62−183460号に記載の感光材料の乳剤面に処理液の噴流を衝突させる方法や、特開昭62−183461号に回転手段を用いて撹拌効果を上げる方法が挙げられる。更には、液中に設けられたワイパーブレードと乳剤面を接触させながら感光材料を移動させ、乳剤表面を乱流化することによってより撹拌効果を向上させる方法や、処理液全体の循環流量を増加させる方法が挙げられる。このような撹拌向上手段は、漂白液、漂白定着液、定着液のいずれにおいても有効である。撹拌の向上は、乳剤膜中への漂白剤および、定着剤の供給を速め、結果として脱銀速度を高めるものと考えられる。また、前記の撹拌向上手段は漂白促進剤を使用した場合により有効であり、促進効果を著しく増加させたり、漂白促進剤により定着阻害作用を解消させることができる。
【0137】
感光材料の現像に用いられる自動現像機は、特開昭60−191257号、同60−191258号、同60−191259号に記載の感光材料搬送手段を有していることが好ましい。前記の特開昭60−191257号に記載のとおり、このような搬送手段は前浴から後浴への処理液の持込みを著しく削減でき、処理液の性能劣化を防止する効果が高い。このような効果は、各工程における処理時間の短縮や処理液補充量の低減に特に有効である。
【0138】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工程を経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、感光材料の特性(例えば、カプラーのような使用素材による)、用途、更には、例えば、水洗水温、水洗タンクの数(段数)、向流、順流のような補充方式、その他種々の条件に応じて広範囲に設定し得る。このうち、多段向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、Journal of the Society of Motion Picture and Television Engineers 第64巻、P.248〜253(1955年5月号)に記載の方法で求めることができる。
【0139】
前記文献に記載の多段向流方式によれば、水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の滞留時間の増加によりバクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着するというような問題が生じる。本発明のカラー感光材料の処理おいては、このような問題の解決策として、特開昭62−288838号に記載のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭57−8542号に記載の、例えば、イソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウムのような塩素系殺菌剤、その他、例えば、ベンゾトリアゾールのような、堀口博著「防菌防黴剤の化学」(1986年)三共出版、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に記載の殺菌剤を用いることもできる。
【0140】
感光材料の処理おける水洗水のpHは、4〜9、好ましくは5〜8である。水洗水温および水洗時間も、例えば感光材料の特性、用途に応じて種々設定し得るが、一般には、15〜45℃で20秒〜10分、好ましくは25〜40℃で30秒〜5分の範囲が選択される。更に、本発明の感光材料は、上記水洗に代えて、直接安定液によって処理することもできる。このような安定化処理においては、特開昭57−8543号、同58−14834号、同60−220345号に記載の公知の方法はすべて用いることができる。
また、前記水洗処理に続いて、更に安定化処理する場合もある。その例として、撮影用カラー感光材料の最終浴として使用される、色素安定化剤と界面活性剤を含有する安定浴を挙げることができる。色素安定化剤としては、例えば、ホルマリンやグルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、N−メチロール化合物、ヘキサメチレンテトラミンあるいはアルデヒド亜硫酸酸付加物を挙げることができる。この安定浴にも、各種キレート剤や防黴剤を加えることができる。
【0141】
上記水洗及び/又は安定液の補充に伴うオーバーフロー液は脱銀工程のような他の工程において再利用することもできる。
例えば自動現像機を用いた処理において、上記の各処理液が蒸発により濃縮化する場合には、水を加えて濃縮補正することが好ましい。
【0142】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料には、処理の簡略化及び迅速化の目的で発色現像主薬を内蔵させても良い。内蔵させるためには、発色現像主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。例えば、米国特許第3,342,597号記載のインドアニリン系化合物、例えば、同第3,342,599号、リサーチ・ディスクロージャーNo.14,850及び同No.15,159に記載のシッフ塩基型化合物、同No.13,924に記載のアルドール化合物、米国特許第3,719,492号に記載の金属塩錯体、特開昭53−135628号に記載のウレタン系化合物を挙げることができる。
ハロゲン化銀カラー感光材料は、必要に応じて、発色現像を促進する目的で、各種の1−フェニル−3−ピラゾリドン類を内蔵しても良い。典型的な化合物は、例えば、特開昭56−64339号、同57−144547号、および同58−115438号に記載されている。
【0143】
各種処理液は、10℃〜50℃において使用される。通常は33℃〜38℃の温度が標準的であるが、より高温にして処理を促進し処理時間を短縮したり、逆により低温にして画質の向上や処理液の安定性の改良を達成することができる。
【0144】
また、ハロゲン化銀感光材料は、米国特許第4,500,626号、特開昭60−133449号、同59−218443号、同61−238056号、欧州特許第210,660A2号などに記載されている熱現像感光材料にも適用できる。
また、ハロゲン化銀カラー写真感光材料は、特公平2−32615号、実公平3−39784号などに記載されているレンズ付きフィルムユニットに適用した場合に、より効果を発現しやすく有効である。
【0145】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定
されるものではない。
【0146】
(実施例1)
(乳剤Aの調製)
臭化カリウム0.064g、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン1.19gを含む水溶液845mLを5℃に保ち攪拌した。硝酸銀(0.36g)水溶液28.7mLと臭化カリウム(0.83g)と平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン(0.136g)を含む水溶液37.7mLを52秒間にわたり添加してハロゲン化銀粒子の核形成を行なった。ここで、熟成工程に入るときの銀濃度が0.025質量%であった。75℃に昇温して熟成し、臭化カリウム0.92gを含む水溶液9mLを添加した後、平均分子量100000の琥珀化ゼラチン8gを含む水溶液65mLを添加した後、カテコールジスルホン酸ナトリウム塩を6g含む水溶液100mLを添加した。その後、第1成長として硝酸銀(12.1g)水溶液427mLと等モル濃度の臭化カリウム水溶液(沃化物3モル%、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン7.6gを含む)を図2に示した密閉型攪拌槽の槽壁を貫通する回転軸をもたず、磁気カップリングで連結される攪拌羽根を逆向きに回転する混合器に添加して調製したハロゲン化銀微粒子を連続的に反応容器に添加した。銀電位は臭化カリウム水溶液を別途添加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添加した微粒子の数平均円相当径は0.015μm、円相当径の変動係数は28%であった。途中で六塩化イリジウム酸カリウム(0.1mg)を含む水溶液5mLを添加した。硝酸銀水溶液の添加終了時にベンゼンチオスルホン酸ナトリウム(1mg)を含む水溶液5mLを添加した。その後、第2成長として硝酸銀(49.0g)水溶液408mLと等モル濃度の臭化カリウム水溶液(沃化物3モル%、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン30.7gを含む)を第1成長と同様の混合器を用いて調製し、反応容器に添加した。銀電位は臭化カリウム水溶液を別途添加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添加した微粒子の数平均円相当径は0.017μm、円相当径の変動係数は36%であった。さらに第3成長を第2成長とまったく同様な条件で添加した。この後、ゼラチン7gを含む水溶液50mLを添加した。このゼラチンは牛骨を原料とするアルカリ処理オセイン1番抽出ゼラチン(PAGI法により測定された分子量分布は、高分子量成分が2.5%、低分子量成分が60.0%)を架橋したゼラチンである。PAGI法により測定された分子量分布は、高分子量成分が12.4%、低分子量成分が48.3%である。温度を40℃に降温した後、フェノキシエタノール3.88mLを添加し、さらに沃化カリウム(0.11g)水溶液10mLを添加した。増感色素I、II、IIIを69:30:1のモル比で飽和被覆量の70%の比率で添加した。但し、増感色素は特開平11−52507号に記載の方法で作成した固体微分散物として使用した。すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部をイオン交換水43質量部に溶解し、増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下でディゾルバー翼を用い2000rpmで20分間分散することにより、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウム(1.3mg)を含む水溶液7.5mLを添加した後、硝酸銀(5.1g)水溶液50mLと臭化カリウム(1.9g)と沃化カリウム(0.35g)と塩化ナトリウム(1.53g)を含む水溶液を50mL2分間にわたってダブルジェット法で添加した。
【0147】
エピタキシャル部形態安定化剤I(40mg)6mLを添加した。その後、通常の水洗を行なった。この時、35℃に保った。前述のゼラチン37.5gを添加した後、40℃でpHを6.5に、銀電位を塩化ナトリウム水溶液を用いて飽和カロメル電極に対して80mVに調整した。エピタキシャル部形態安定化剤II(3mg)を添加した後、68℃に昇温し、ハロゲン化銀1モルに対して、チオシアン酸カリウム(0.7×10−4モル)、塩化金酸(1.4×10−6モル)、チオ硫酸ナトリウム(0.5×10−5モル)およびN,N’−ジメチルセレノ尿素(1.2×10−6モル)を添加し最適に化学増感を施した。被り防止剤I(8.3×10−4モル)を添加して化学増感を終了した。
【0148】
【化1】
Figure 2004004435
【0149】
(乳剤Bの調製)
臭化カリウム0.128g、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン2.38gを含む水溶液1691mLを5℃に保ち攪拌した。硝酸銀(0.71g)水溶液47.4mLと臭化カリウム(1.66g)と平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン(0.272g)を含む水溶液75.3mLを52秒間にわたり添加してハロゲン化銀粒子の核形成を行なった。ここで、熟成工程に入るときの銀濃度が0.025質量%であった。75℃に昇温して熟成し、臭化カリウム1.83gを含む水溶液18mLを添加した後、平均分子量100000の琥珀化ゼラチン16gを含む水溶液130mLを添加した後、カテコールジスルホン酸ナトリウム塩を12g含む水溶液200mLを添加した。この昇温中に限外濾過を行なった。限外濾過装置の限外濾過モジュールは、旭化成製中空糸膜SLP−1053(分画分子量:10000)を用いた。このときの還流流量は、5l/minであり、供給圧力は0.03MPa、還流圧力は0.01MPaおよび透過圧力は0MPaであり、透過流量は40〜60cc/minで行なった。その後、第1成長として硝酸銀(24.2g)水溶液854mLと等モル濃度の臭化カリウム水溶液(沃化物3モル%、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン15.1gを含む)を図2に示した密閉型攪拌槽の槽壁を貫通する回転軸をもたず、磁気カップリングで連結される攪拌羽根を逆向きに回転する混合器に添加して調製したハロゲン化銀微粒子を連続的に反応容器に添加した。銀電位は臭化カリウム水溶液を別途添加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添加した微粒子の数平均円相当径は0.015μm、円相当径の変動係数は28%であった。この第1成長と並行して上記と同様な条件で限外濾過を行なった。途中で六塩化イリジウム酸カリウム(0.2mg)を含む水溶液10mLを添加した。硝酸銀水溶液の添加終了時にベンゼンチオスルホン酸ナトリウム(2mg)を含む水溶液10mLを添加した。その後、第2成長として硝酸銀(98.0g)水溶液816mLと等モル濃度の臭化カリウム水溶液(沃化物3モル%、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン61.3gを含む)を第1成長と同様の混合器を用いて調製し、反応容器に添加した。銀電位は臭化カリウム水溶液を別途添加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添加した微粒子の数平均円相当径は0.017μm、円相当径の変動係数は36%であった。この第2成長と並行して限外濾過を行なった。限外濾過の条件は第1成長と同様に行なった。さらに第3成長を第2成長とまったく同様な条件で添加し、並行して上記と同様な条件で限外濾過を行なった。この時点で液量は3500mLであった。この後、ゼラチン14gを含む水溶液100mLを添加した。このゼラチンは牛骨を原料とするアルカリ処理オセイン1番抽出ゼラチン(PAGI法により測定された分子量分布は、高分子量成分が2.5%、低分子量成分が60.0%)を架橋したゼラチンである。PAGI法により測定された分子量分布は、高分子量成分が12.4%、低分子量成分が48.3%である。温度を40℃に降温した後、フェノキシエタノール7.76mLを添加し、さらに沃化カリウム(0.21g)水溶液20mLを添加した。増感色素I、II、IIIを69:30:1のモル比で飽和被覆量の70%の比率で添加した。但し、増感色素は特開平11−52507号に記載の方法で作成した固体微分散物として使用した。すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナトリウム3.2質量部をイオン交換水43質量部に溶解し、増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下でディゾルバー翼を用い2000rpmで20分間分散することにより、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウム(2.6mg)を含む水溶液15mLを添加した後、硝酸銀(10.1g)水溶液100mLと臭化カリウム(3.7g)と沃化カリウム(0.7g)と塩化ナトリウム(3.06g)を含む水溶液を100mL2分間にわたってダブルジェット法で添加した。
【0150】
エピタキシャル部形態安定化剤I(80mg)12mLを添加した。この時点
での液容量は4180mLである。その後、通常の水洗を行なった。この時、35℃に保った。前述のゼラチン77gを添加した後、40℃でpHを6.5に、銀電位を塩化ナトリウム水溶液を用いて飽和カロメル電極に対して80mVに調整した。エピタキシャル部形態安定化剤II(6mg)を添加した後、68℃に昇温し、ハロゲン化銀1モルに対して、チオシアン酸カリウム(0.7×10−4モル)、塩化金酸(1.4×10−6モル)、チオ硫酸ナトリウム(0.5×10−5モル)およびN,N’−ジメチルセレノ尿素(1.2×10−6モル)を添加し最適に化学増感を施した。被り防止剤I(8.3×10−4モル)を添加して化学増感を終了した。
【0151】
(乳剤Cの調製)
乳剤Aの核形成の硝酸銀量と臭化カリウム量と低分子量酸化処理ゼラチン量をそれぞれ0.178g、0.414g、0.032gにした他は、乳剤Aと同様にして乳剤Cを調製した。このとき、熟成工程に入るときの銀濃度が0.012質量%であった。
【0152】
(乳剤Dの調製)
乳剤Bの核形成の硝酸銀量と臭化カリウム量と低分子量酸化処理ゼラチン量をそれぞれ0.356g、0.828g、0.136gにした他は、乳剤Bと同様にして乳剤Dを調製した。このとき、熟成工程に入るときの銀濃度が0.012質量%であった。
【0153】
(乳剤Eの調製)
乳剤Aの核形成の硝酸銀量と臭化カリウム量と低分子量酸化処理ゼラチン量をそれぞれ0.089g、0.207g、0.016gにした他は、乳剤Aと同様にして乳剤Eを調製した。このとき、熟成工程に入るときの銀濃度が0.0062質量%であった。
【0154】
(乳剤Fの調製)
乳剤Bの核形成の硝酸銀量と臭化カリウム量と低分子量酸化処理ゼラチン量をそれぞれ0.178g、0.414g、0.068gにした他は、乳剤Bと同様にして乳剤Fを調製した。このとき、熟成工程に入るときの銀濃度が0.0062質量%であった。
【0155】
(乳剤Gの調製)
乳剤Aの核形成の硝酸銀量と臭化カリウム量と低分子量酸化処理ゼラチン量をそれぞれ0.044g、0.104g、0.017gにした他は、乳剤Aと同様にして乳剤Gを調製した。このとき、熟成工程に入るときの銀濃度が0.0012質量%であった。
【0156】
(乳剤Hの調製)
乳剤Bの核形成の硝酸銀量と臭化カリウム量と低分子量酸化処理ゼラチン量をそれぞれ0.089g、0.207g、0.016gにした他は、乳剤Bと同様にして乳剤Hを調製した。このとき、熟成工程に入るときの銀濃度が0.0012質量%であった。
【0157】
乳剤A〜Hの粒子サイズに関するデータを表1に示す。ここで、非平行双晶率とは、全ハロゲン化銀粒子数に対する非平行双晶粒子の割合を百分率で示した値である。
【0158】
【表1】
Figure 2004004435
【0159】
表1の結果から明らかなように本発明の熟成工程に入るときの銀濃度の範囲内にあるときは、粒子厚みが薄く単分散であり、非平行双晶が少ない平板粒子乳剤が調製できる。
【0160】
乳剤A〜Hは、全投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の長さに対する最大の長さを有する辺の長さの比が1.5以下である六角形平板粒子であり、6つの頂点部全てにエピタキシャル接合を有していた。低温での透過電子顕微鏡の観察の結果、全投影面積の90%以上の粒子がエピタキシャル部以外の主平面部には転位線を持たず、かつエピタキシャル部の網目状の転位線を有していた。本粒子は12モル%の沃化銀を含有する最外層が銀換算で12%の粒子である。エピタキシャル部は銀換算で4.5%であり組成はAgBr(52)Cl(40)I(8)である。また投影面積の90%以上が平均塩化銀含有率および平均沃化銀含有率に対して30%以内の範囲に入っていた。
【0161】
下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフィルム支持体に下記表2に示す塗布条件で上記化学増感を施した乳剤を保護層を設けて塗布し、試料No.801〜808を作成した。
表2 乳剤塗布条件
【0162】
【表2】
Figure 2004004435
【0163】
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下に14時間放置した。その後、富士フィルム(株)製ゼラチンフィルターSC−50と連続ウェッジを通して1/100秒間露光した。
富士写真フィルム(株)製ネガプロセサーFP−350を用い、以下に記載の方法で(液の累積補充量がその母液タンク容量の3倍になるまで)処理した。
【0164】
Figure 2004004435
【0165】
次に、処理液の組成を記す。
Figure 2004004435
【0166】
Figure 2004004435
【0167】
Figure 2004004435
【0168】
(水洗液) タンク液、補充液共通
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム0.15g/Lを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0169】
Figure 2004004435
処理済みの試料を緑色フィルタ−で濃度測定した。
以上により得られた、かぶりプラス0.2の濃度での感度値、かぶり値を表3に示す。
【0170】
【表3】
Figure 2004004435
【0171】
表3の結果から明らかなように、本発明の製造方法で製造されたハロゲン化銀
乳剤は被りが低く、高感度であることがわかる。
【0172】
(実施例2)
多層カラ−写真感光材料において、本発明の製造方法で製造されたハロゲン化銀乳剤の効果を示す。
以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−AからEm−Mを調製した。
(Em−Aの製法)
フタル化率97%のフタル化した分子量15000の低分子量ゼラチン31.7g、KBr31.7gを含む水溶液42.2Lを35℃に保ち激しく攪拌した。AgNO316.7gを含む水溶液1583mLとKBr221.5g、分子量15000の低分子量ゼラチン52.7gを含む水溶液1583mLをダブルジェット法で1分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBr52.8gを加えて、AgNO398.2gを含む水溶液2485mLとKBr291.1gを含む水溶液2581mLをダブルジェット法で2分間に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBr44.8gを添加した。その後、40℃に昇温し、熟成した。熟成終了後、フタル化率97%のフタル化した分子量100000のゼラチン923gとKBr79.2gを添加し、AgNO5103gを含む水溶液15947mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.4倍になるように流量加速して10分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。水洗した後、ゼラチンを加えpH5.7、pAg8.8、乳剤1kg当たりの銀換算の質量131.8g、ゼラチン質量64.1gに調整し、種乳剤とした。
【0173】
フタル化率97%のフタル化ゼラチン46g、KBr1.7gを含む水溶液1211mLを75℃に保ち激しく攪拌した。前述した種乳剤を9.9g加えた後、変成シリコンオイル(日本ユニカ−株式会社製品、L7602)を0.3g添加した。HSOを添加してpHを5.5に調整した後、AgNO7.0gを含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム2mgと二酸化チオ尿素2mgを添加した後、AgNO105.6gを含む水溶液328mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.7倍になるように流量加速して56分間に渡り添加した。この時、0.037μmの粒子サイズのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が27mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgNO45.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに保った。
【0174】
82℃に昇温し、KBrを添加して銀電位を−80mVに調整した後、前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.33g添加した。添加終了後、直ちに、AgNO66.4gを含む水溶液206.2mLを16分間に渡り添加した。添加初期の5分間はKBr水溶液で銀電位を−80mVに保った。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH5.8、pAg8.7に調整した。化合物11および12を添加した後、60℃に昇温した。増感色素11および12を添加した後に、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および化合物14を添加した。ここで、最適に化学増感するとは、増感色素ならびに各化合物をハロゲン化銀1molあたり10−1から10−8molの添加量範囲から選択したことを意味する。
【0175】
【化2】
Figure 2004004435
【0176】
【化3】
Figure 2004004435
【0177】
【化4】
Figure 2004004435
【0178】
【化5】
Figure 2004004435
【0179】
【化6】
Figure 2004004435
【0180】
【化7】
Figure 2004004435
【0181】
(Em−Bの製法)
低分子量ゼラチン0.96g、KBr0.9gを含む水溶液1192mLを40℃に保ち、激しく攪拌した。AgNO1.49gを含む水溶液37.5mLとKBrを1.05g含む水溶液37.5mLをダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。KBrを1.2g添加した後、75℃に昇温し熟成した。熟成終了後、アミノ基をトリメリット酸で化学修飾した分子量100000のトリメリット化ゼラチン、35gを添加し、pHを7に調整した。二酸化チオ尿素6mgを添加した。AgNO29gを含む水溶液116mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3倍になるように流量加速して添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。AgNO110.2gを含む水溶液440.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して30分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が15.8mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して0mVに保った。
AgNO24.1gを含む水溶液96.5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で3分間に渡り添加した。この時、銀電位を0mVに保った。エチルチオスルホン酸ナトリウム26mgを添加した後、55℃に降温し、KBr水溶液を添加し銀電位を−90mVに調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で8.5g添加した。添加終了後、直ちにAgNO57gを含む水溶液228mLを5分間に渡り添加した。この時、添加終了時の電位が+20mVになるようにKBr水溶液で調整した。Em−Aとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
【0182】
(Em−Cの製法)
1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のフタル化率97%のフタル化ゼラチン1.02g、KBr 0.9gを含む水溶液1192mLを35℃に保ち、激しく攪拌した。AgNO4.47gを含む水溶液、42mLとKBr3.16g含む水溶液、42mLをダブルジェット法で9秒間に渡り添加した。KBrを2.6g添加した後、63℃に昇温し、熟成した。熟成終了後、Em−Bの調製で使用した分子量100000のトリメリット化ゼラチン41.2gとNaCl 18.5gを添加した。pHを7.2に調整した後、ジメチルアミンボラン8mgを添加した。AgNO26gを含む水溶液203mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.8倍になるように添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。
【0183】
AgNO110.2gを含む水溶液440.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して24分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が2.3mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。1Nのチオシアン酸カリウム水溶液10.7mLを添加した後、AgNO24.1gを含む水溶液153.5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で2分30秒間に渡り添加した。この時、銀電位を10mVに保った。KBr水溶液を添加して銀電位を−70mVに調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.4g添加した。添加終了後、直ちにAgNO57gを含む水溶液404mLを45分間に渡り添加した。この時、添加終了時の電位が−30mVになるようにKBr水溶液で調整した。Em−Aとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−Dの製法)
Em−Cの調製において核形成時のAgNO添加量を2.3倍に変更した。そして、最終のAgNO57gを含む水溶液404mLの添加終了時の電位が+90mVになるようにKBr水溶液で調整するように変更した。それ以外はEm−Cとほぼ同様にして調製した。
【0184】
(Em−Eの製法)
分子量15000の低分子量ゼラチン0.75g、KBr 0.9g、Em−Aの調製で使用した変成シリコンオイル0.2gを含む水溶液1200mLを39℃に保ち、pHを1.8に調整し激しく攪拌した。AgNO0.45gを含む水溶液と1.5mol%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法で16秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を一定に保った。54℃に昇温し熟成した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のフタル化率97%のフタル化ゼラチン20gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr2.9gを添加した。AgNO28.8gを含む水溶液288mLとKBr水溶液をダブルジェット法で53分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%になるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。KBr2.5gを添加した後、AgNO87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.2倍になるように流量加速して63分間に渡り添加した。この時、上述のAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が10.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−70mVに保った。
【0185】
二酸化チオ尿素1mgを添加した後、AgNO41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で25分間に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム2mgを添加した後、pHを7.3に調整した。KBrを添加して銀電位を−70mVに調整した後、上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添加終了後、直ちにAgNO66.4gを含む水溶液609mLを10分間に渡り添加した。添加初期の6分間はKBr水溶液で銀電位を−70mVに保った。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5、pAg8.2に調整した。化合物11および12を添加した後、56℃に昇温した。上述したAgI微粒子乳剤を銀1molに対して0.0004mol添加した後、増感色素13および14を添加した。チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および14を添加した。
【0186】
【化8】
Figure 2004004435
【0187】
【化9】
Figure 2004004435
【0188】
(Em−Fの製法)
Em−Eの調製において核形成時のAgNO添加量を4.12倍に変更した以外はEm−Eとほぼ同様にして調製した。但しEm−Eの増感色素を増感色素12、15、16および17に変更した。
【0189】
【化10】
Figure 2004004435
【0190】
【化11】
Figure 2004004435
【0191】
【化12】
Figure 2004004435
【0192】
(Em−Gの製法)
分子量15000の低分子量ゼラチン0.70g、KBr 0.9g、KI
0.175g、Em−Aの調製で使用した変成シリコンオイル0.2gを含む水溶液1200mLを33℃に保ち、pHを1.8に調製し激しく攪拌した。AgNO1.8gを含む水溶液と3.2mol%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法で9秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を一定に保った。62℃に昇温し熟成した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン27.8gを添加した。pHを6.3に調製した後、KBr2.9gを添加した。AgNO27.58gを含む水溶液270mLとKBr水溶液をダブルジェット法で37分間に渡り添加した。この時、分子量15000の低分子量ゼラチン水溶液とAgNO水溶液とKI水溶液を特開平10−43570号に記載の磁気カップリング誘導型攪拌機を有する別のチャンバ−内で添加前直前混合して調製した粒子サイズ0.008μmのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%になるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電極に対して−60mVに保った。
【0193】
KBr2.6gを添加した後、AgNO87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の3.1倍になるように流量加速して49分間に渡り添加した。この時、上述の添加前直前混合して調製したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が7.9mol%になるように同時に流量加速し、かつ銀電位を−70mVに保った。二酸化チオ尿素、1mgを添加した後、AgNO41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で20分間に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。78℃に昇温し、pHを9.1に調整した後、KBrを添加して電位を−60mVにした。Em−Aの調製で使用したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添加終了後、直ちにAgNO66.4gを含む水溶液321mLを4分間に渡り添加した。添加初期の2分間はKBr水溶液で銀電位を−60mVに保った。Em−Fとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−Hの製法)
イオン交換した分子量100000のゼラチン17.8g、KBr6.2g、KI 0.46gを含む水溶液を45℃に保ち激しく攪拌した。AgNO11.85gを含む水溶液とKBrを3.8g含む水溶液をダブルジェット法で45秒間に渡り添加した。63℃に昇温後、イオン交換した分子量100000のゼラチン24.1gを添加し、熟成した。熟成終了後、AgNO133.4gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.6倍になるように20分間に渡って添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+40mVに保った。
【0194】
また添加開始10分後にKIrClを0.1mg添加した。NaClを7g添加した後、AgNOを45.6g含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で12分間に渡って添加した。この時、銀電位を+90mVに保った。また添加開始から6分間に渡って黄血塩を29mg含む水溶液100mLを添加した。KBrを14.4g添加した後、Em−Aの調製で使用したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.3g添加した。添加終了後、直ちにAgNO42.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で11分間に渡り添加した。この時、銀電位を+90mVに保った。Em−Fとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−Iの製法)
Em−Hの調製において核形成時の温度を35℃に変更した以外はほぼ同様にして調製した。
【0195】
(Em−Jの製法)
フタル化率97%の分子量100000のフタル化ゼラチン0.38g、KBr 0.9gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち、pHを2に調整し激しく攪拌した。AgNO1.96gを含む水溶液とKBr 1.67g、KI0.172gを含む水溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。熟成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr2.99g、NaCl 6.2gを添加した。AgNO27.3gを含む水溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジェット法で31分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgNO65.6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の2.1倍になるように流量加速して37分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が6.5mol%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を−50mVに保った。
【0196】
二酸化チオ尿素1.5mgを添加した後、AgNO41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム2mgを添加した後、KBrを添加して銀電位を−100mVに調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.2g添加した。添加終了後、直ちにAgNO88.5gを含む水溶液300mLを8分間に渡り添加した。添加終了時の電位が+60mVになるようにKBr水溶液の添加で調整した。水洗した後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5、pAg8.2に調整した。化合物11および12を添加した後、61℃に昇温した。増感色素18、19、20および21を添加した後、KIrCl、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物13および14を添加した。
【0197】
【化13】
Figure 2004004435
【0198】
【化14】
Figure 2004004435
【0199】
【化15】
Figure 2004004435
【0200】
【化16】
Figure 2004004435
【0201】
(Em−Kの製法)
分子量15000の低分子量ゼラチン4.9g、KBr5.3gを含む水溶液1200mLを60℃に保ち激しく攪拌した。AgNO8.75gを含む水溶液27mLとKBr6.45gを含む水溶液36mLを1分間に渡りダブルジェット法で添加した。75℃に昇温した後、AgNO6.9gを含む水溶液21mLを2分間に渡り添加した。NHNO26g、1N、NaOH56mLを順次、添加した後、熟成した。熟成終了後pHを4.8に調製した。AgNO141gを含む水溶液438mLとKBrを102.6g含む水溶液458mLをダブルジェット法で最終流量が初期流量の4倍になるように添加した。55℃に降温した後、AgNO7.1gを含む水溶液240mLとKIを6.46g含む水溶液をダブルジェット法で5分間に渡り添加した。KBrを7.1g添加した後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム4mgとKIrCl0.05mg添加した。AgNO57.2gを含む水溶液177mLとKBr40.2gを含む水溶液223mLを8分間に渡ってダブルジェット法で添加した。Em−Jとほぼ同様に水洗し、化学増感した。
(Em−Lの製法)
Em−Kの調製において核形成時の温度を40℃に変更した以外は、ほぼ同様にして調製した。
(Em−Mの製法)
Em−Jとほぼ同様にして調製した。但し化学増感はEm−Fとほぼ同様の方法で行った。
Em−AからEm−Mのハロゲン化銀乳剤の特性値を表−4にまとめて示した。
表−4
【0202】
【表4】
Figure 2004004435
【0203】
1)支持体
本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成した。
【0204】
ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー100質量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.326(チバ・ガイギーCiba−Geigy社製)2質量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイから押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行い、続いて130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムを得た。なおこのPENフィルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロー染料(公開技法:公技番号94−6023号記載のI−1、I−4、I−6、I−24、I−26、I−27、II−5)を適当量添加した。さらに、直径20cmのステンレス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間の熱履歴を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。
【0205】
2)下塗層の塗設
上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼラチン0.1g/m、ソウジウムα−スルホジ−2−エチルヘキシルサクシネート0.01g/m、サリチル酸0.04g/m、p−クロロフェノール0.2g/m、(CH=CHSOCHCHNHCO)CH0.012g/m、ポリアミド−エピクロルヒドリン重縮合物0.02g/mの下塗液を塗布して(10cc/m、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高温面側に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃となっている)。
【0206】
3)バック層の塗設
下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。
3−1)帯電防止層の塗設
平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次凝集粒子径約0.08μm)を0.2g/m、ゼラチン0.05g/m、(CH=CHSOCHCHNHCO)CH0.02g/m、ポリ(重合度10)オキシエチレン−p−ノニルフェノール0.005g/m及びレゾルシンと塗布した。
【0207】
3−2)磁気記録層の塗設
3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆処理されたコバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m/g、長軸0.14μm、単軸0.03μm、飽和磁化89emu/g、Fe2+/Fe3+=6/94、表面は酸化アルミ酸化珪素で酸化鉄の2質量%で処理されている)0.06g/mをジアセチルセルロース1.2g/m(酸化鉄の分散はオープンニーダーとサンドミルで実施した)、硬化剤としてCC(CHOCONH−C(CH)NCO)0.3g/mを、溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用いてバーコーターで塗布し、膜厚1.2μmの磁気記録層を得た。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で処理被覆された研磨剤の酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ10mg/mとなるように添加した。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁気記録層のDの色濃度増加分は約0.1、また磁気記録層の飽和磁化モーメントは4.2emu/g、保磁力7.3×10A/m、角形比は65%であった。
【0208】
3−3)滑り層の調製
ジアセチルセルロース(25mg/m)、C13CH(OH)C1020COOC4081(化合物a,6mg/m)/C50101O(CHCHO)16H(化合物b,9mg/m)混合物を塗布した。なお、この混合物は、キシレン/プロピレンモノメチルエーテル(1/1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチルエーテル(10倍量)に注加分散して作製した後、アセトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから添加した。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と研磨剤の3−ポリ(重合度15)オキシエチレンプロピルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆された酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ15mg/mとなるように添加した。乾燥は115℃、6分行った(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃)。滑り層は、動摩擦係数0.06(5mmφのステンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/分)、静摩擦係数0.07(クリップ法)、また後述する乳剤面と滑り層の動摩擦係数も0.12と優れた特性であった。
【0209】
4)感光層の塗設
次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成の各層を重層塗布し、カラーネガ感光材料である試料901を作成した。
(感光層の組成)
各層に使用する素材の主なものは下記のように分類されている;
ExC:シアンカプラー      UV :紫外線吸収剤
ExM:マゼンタカプラー     HBS:高沸点有機溶剤
ExY:イエローカプラー     H  :ゼラチン硬化剤
(具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付けられ、後ろに化学式が挙げられている)
各成分に対応する数字は、g/m単位で表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については銀換算の塗布量を示す。
【0210】
第1層(第1ハレーション防止層)
黒色コロイド銀                銀  0.155
0.07μmの表面かぶらせAgBrI(2)  銀  0.01
ゼラチン                      0.87
ExC−1                     0.002
ExC−3                     0.002
Cpd−2                     0.001
HBS−1                     0.004
HBS−2                     0.002
第2層(第2ハレーション防止層)
黒色コロイド銀                銀  0.066
ゼラチン                      0.407
ExM−1                     0.050
ExF−1                     2.0×10−3
HBS−1                     0.074
固体分散染料 ExF−2              0.015
固体分散染料 ExF−3              0.020
【0211】
第3層(中間層)
0.07μmのAgBrI(2)           0.020
ExC−2                     0.022
ポリエチルアクリレートラテックス          0.085
ゼラチン                      0.294
第4層(低感度赤感乳剤層)
実施例1の乳剤A               銀  0.323
ExC−1                     0.109
ExC−3                     0.044
ExC−4                     0.072
ExC−5                     0.011
ExC−6                     0.003
Cpd−2                     0.025
Cpd−4                     0.025
HBS−1                     0.17
ゼラチン                      0.80
【0212】
第5層(中感度赤感乳剤層)
Em−K                   銀  0.21
Em−L                   銀  0.62
ExC−1                     0.14
ExC−2                     0.026
ExC−3                     0.020
ExC−4                     0.12
ExC−5                     0.016
ExC−6                     0.007
Cpd−2                     0.036
Cpd−4                     0.028
HBS−1                     0.16
ゼラチン                      1.18
第6層(高感度赤感乳剤層)
Em−J                   銀  1.47
ExC−1                     0.18
ExC−3                     0.07
ExC−6                     0.029
ExC−7                     0.010
ExY−5                     0.008
Cpd−2                     0.046
Cpd−4                     0.077
HBS−1                     0.25
HBS−2                     0.12
ゼラチン                      2.12
【0213】
第7層(中間層)
Cpd−1                     0.089
固体分散染料ExF−4               0.030
HBS−1                     0.050
ポリエチルアクリレートラテックス          0.83
ゼラチン                      0.84
第8層(赤感層へ重層効果を与える層)
Em−E                   銀  0.560
Cpd−4                     0.030
ExM−2                     0.096
ExM−3                     0.028
ExY−1                     0.031
ExG−1                     0.006
HBS−1                     0.085
HBS−3                     0.003
ゼラチン                      0.58
【0214】
第9層(低感度緑感乳剤層)
Em−G                   銀  0.39
Em−H                   銀  0.28
Em−I                   銀  0.35
ExM−2                     0.36
ExM−3                     0.045
ExG−1                     0.005
HBS−1                     0.28
HBS−3                     0.01
HBS−4                     0.27
ゼラチン                       1.39
第10層(中感度緑感乳剤層)
Em−F                   銀  0.20
Em−G                   銀  0.25
ExC−6                     0.009
ExM−2                     0.031
ExM−3                     0.029
ExY−1                     0.006
ExM−4                     0.028
ExG−1                     0.005
HBS−1                     0.064
HBS−3                     2.1×10−3
ゼラチン                      0.44
【0215】
第11層(高感度緑感乳剤層)
Em−M                   銀  0.99
ExC−6                     0.004
ExM−1                     0.016
ExM−3                     0.036
ExM−4                     0.020
ExM−5                     0.004
ExY−5                     0.003
ExM−2                     0.013
ExG−1                     0.005
Cpd−4                     0.007
HBS−1                     0.18
ポリエチルアクリレートラテックス          0.099
ゼラチン                      1.11
第12層(イエローフィルター層)
黄色コロイド銀                銀  0.047
Cpd−1                     0.16
油溶性染料ExF−5               0.010
固体分散染料ExF−6               0.010
HBS−1                     0.082
ゼラチン                      1.057
【0216】
第13層(低感度青感乳剤層)
Em−B                   銀  0.18
Em−C                   銀  0.20
Em−D                   銀  0.07
ExC−1                     0.041
ExC−8                     0.012
ExY−1                     0.035
ExY−2                     0.71
ExY−3                     0.10
ExY−4                     0.005
Cpd−2                     0.10
Cpd−3                     4.0×10−3
HBS−1                     0.24
ゼラチン                      1.41
第14層(高感度青感乳剤層)
Em−A                   銀  0.75
ExC−1                     0.013
ExY−2                     0.31
ExY−3                     0.05
ExY−6                     0.062
Cpd−2                     0.075
Cpd−3                     1.0×10−3
HBS−1                     0.10
ゼラチン                      0.91
【0217】
第15層(第1保護層)
0.07μmのAgBrI(2)        銀  0.30
UV−1                      0.21
UV−2                      0.13
UV−3                      0.20
UV−4                      0.025
F−18                      0.009
F−19                      0.005
F−20                      0.005
HBS−1                     0.12
HBS−4                     5.0×10−2
ゼラチン                      2.3
第16層(第2保護層)
H−1                       0.40
B−1(直径1.7μm)              5.0×10−2
B−2(直径1.7μm)              0.15
B−3                       0.05
S−1                       0.20
ゼラチン                      0.75
【0218】
更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくするために、W−1ないしW−5、B−4ないしB−6、F−1ないしF−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、パラジウム塩、イリジウム塩、ルテニウム塩、ロジウム塩が含有されている。また、第8層の塗布液にハロゲン化銀1モル当たり8.5×10−3グラム、第11層に7.9×10−3グラムのカルシウムを硝酸カルシウム水溶液で添加し、試料を作製した。
第4層の実施例1で調製した乳剤Aを乳剤B〜Hに変更することにより試料902から908を作成した。
【0219】
有機固体分散染料の分散物の調製
下記、ExF−3を次の方法で分散した。即ち、水21.7mL及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエトキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3mL並びに5%水溶液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエーテル(重合度10)0.5gとを700mLのポットミルに入れ、染料ExF−3を5.0gと酸化ジルコニウムビーズ(直径1mm)500mLを添加して内容物を2時間分散した。この分散には中央工機製のBO型振動ボールミルを用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除き、染料のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.24μmであった。
同様にして、ExF−4の固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.45μmであった。
ExF−2は欧州特許出願公開(EP)第549,489A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Microprecipitation)分散方法により分散した。平均粒径は0.06μmであった。
【0220】
ExF−6の固体分散物を以下の方法で分散した。
水を18%含むExF−6のウェットケーキ2800gに4000gの水及びW−2の3%溶液を376g加えて攪拌し、ExF−6の濃度32%のスラリーとした。次にアイメックス(株)製ウルトラビスコミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約10m/sec、吐出量0.5L/minで8時間粉砕した。平均粒径は0.52μmであった。
上記各層の形成に用いた化合物は、以下に示すとおりである。
【0221】
【化17】
Figure 2004004435
【0222】
【化18】
Figure 2004004435
【0223】
【化19】
Figure 2004004435
【0224】
【化20】
Figure 2004004435
【0225】
【化21】
Figure 2004004435
【0226】
【化22】
Figure 2004004435
【0227】
【化23】
Figure 2004004435
【0228】
【化24】
Figure 2004004435
【0229】
【化25】
Figure 2004004435
【0230】
【化26】
Figure 2004004435
【0231】
【化27】
Figure 2004004435
【0232】
【化28】
Figure 2004004435
【0233】
【化29】
Figure 2004004435
【0234】
【化30】
Figure 2004004435
【0235】
【化31】
Figure 2004004435
【0236】
これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイルム(株)製ゼラチンフィルターSC−39(カットオフ波長が390nmである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通して1/100秒間露光した。現像は富士写真フイルム社製自動現像機FP−360Bを用いて以下により行った。尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴へ流さず、全て廃液タンクへ排出する様に改造を行った。このFP−360Bは発明協会公開技法94−4992号に記載の蒸発補正手段を搭載している。
【0237】
処理工程及び処理液組成を以下に示す。
Figure 2004004435
*補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当)。
安定液及び定着液は(2)から(1)への向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定着浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、及び定着液の水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m当たりそれぞれ2.5mL、2.0mL、2.0mLであった。また、クロスオーバーの時間はいずれも6秒であり、この時間は前工程の処理時間に包含される。
上記処理機の開口面積は発色現像液で100cm、漂白液で120cm、その他の処理液は約100cmであった。
【0238】
以下に処理液の組成を示す。
Figure 2004004435
【0239】
Figure 2004004435
【0240】
Figure 2004004435
(水洗水)
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/Lを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0241】
Figure 2004004435
【0242】
結果を表5に示す。
【0243】
【表5】
Figure 2004004435
【0244】
表5の結果から明らかなように、本発明の製造方法で製造されたハロゲン化銀
乳剤を用いることにより、被りが低く、高感度である感材を得ることができることがわかる。
【0245】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、粒子厚みが薄く、単分散であり、非平行双晶が少な
く、高感で被りが低い平板状ハロゲン化銀写真乳剤が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態である混合器の製造工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態である混合器の撹拌装置に使用される磁気カップリングの概略構成を示す斜視図である。
【図4】図3に示した磁気カップリングの作用を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 反応容器
2 攪拌羽根
3 分散媒
4 銀添加配管
5 ハライド添加配管
6 添加薬品配管
7 反応液抜き取り配管
8 反応液抜き取りバルブ
9 液供給配管
10 ポンプ
11 供給バルブ
12 供給圧力計
13 限外濾過膜モジュール
14 液還流配管
15 還流圧力計
16 還流バルブ
17 還流流量計
18 液透過配管
19 透過圧力計
20 透過バルブ
21 透過流量計
22 透過液収納容器
23 透過液
24 逆洗浄配管
25 逆洗浄用ポンプ
26 逆洗浄バルブ
27 逆止弁
28 混合器
30 撹拌装置
31、32、33 液供給口
34 液排出口
35 撹拌槽
36 槽本体
37 シールプレート
38、39 撹拌羽根
40、41 外部磁石
42、43 モーター
44 回転中心軸線
45 両面2極型磁石
46 左右2極型磁石
L 磁力線

Claims (2)

  1. ハロゲン化銀粒子と分散媒を含み、核形成、熟成および成長の各工程を経て製造されるハロゲン化銀乳剤の製造方法において、熟成工程に入るときのハロゲン化銀乳剤中の全銀濃度が0.0015質量%から0.015質量%であることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  2. 前記ハロゲン化銀乳剤の製造中に限外濾過を施すことを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113567221A (zh) * 2021-06-22 2021-10-29 青岛大学附属医院 一种医学检测用药品处理装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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