JP2003172988A - ハロゲン化銀乳剤の製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法

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JP2003172988A
JP2003172988A JP2002119261A JP2002119261A JP2003172988A JP 2003172988 A JP2003172988 A JP 2003172988A JP 2002119261 A JP2002119261 A JP 2002119261A JP 2002119261 A JP2002119261 A JP 2002119261A JP 2003172988 A JP2003172988 A JP 2003172988A
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emulsion
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Tetsuro Mitsui
哲朗 三ツ井
Shinji Igari
伸治 猪狩
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】厚みのより薄い平板ハロゲン化銀粒子乳剤が高
効率で調製でき、かつ高感度で被りが低い該乳剤の製造
方法を提供する。 【解決手段】 平均円相当径が3.0μm以上で平均厚みが
0.1μm以下である(111)面を主平面とするハロゲン化銀
平板粒子と分散媒とからなるハロゲン化銀乳剤の製造方
法において、該ハロゲン化銀平板粒子の成長の少なくと
も1部が下記(i)および(ii)を満足する条件下で行
われることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (i)該ハロゲン化銀平板粒子の成長を成長が行われる
反応容器の外部に設けた混合器を用いて添加直前調製し
たハロゲン化銀微粒子を反応容器に添加して行う。 (ii)該ハロゲン化銀微粒子の平均円相当径が成長中の
該ハロゲン化銀平板粒子の数平均厚みの40%以上であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀乳剤
の製造方法、特により薄い平板粒子乳剤の製造方法に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】感光素子としてのハロゲン化銀粒子にお
いては、受光面積を大きくすることを目的として平板ハ
ロゲン化銀粒子が広く用いられている。この平板ハロゲ
ン化銀粒子の受光効率を上げるためには、平板粒子の厚
さがより薄いほど好ましい。ハロゲン化銀粒子の調製
は、大きく分けて成長の核となる粒子を形成する核形成
と成長の2つの工程がある。核形成は種々の攪拌装置を
もつ反応容器中に直接水溶性銀溶液やハロゲン化アルカ
リ水溶液を添加する方法が用いられる。核となる粒子の
成長についても広く上記のイオン添加法が行われている
が、この方法では該平板粒子が銀イオンまたはハロゲン
化物イオンの添加口近傍の高飽和領域を通過するため、
平板粒子の厚さが増加する弊害が生じる。この対策とし
て、反応容器とは別の外部混合器中に水溶性銀溶液、ハ
ロゲン化アルカリ水溶液および分散媒水溶液を添加して
調製したハロゲン化銀微粒子を反応容器内に添加してオ
ストワルド熟成により溶解し、該平板粒子を低過飽和状
態で成長させる製造方法がこれまで幾つかの文献に記載
されている。特に、微粒子を連続的に調製して反応容器
中に調製して反応容器に添加する方法として、特公平7
−23218号、特開平10−43570号などが開示
されている。これらの方法では微粒子の調製と添加が連
続的にできるため、微粒子円相当径等の微粒子性能の経
時変化を防止できるが、微粒子サイズと平板厚みの相関
についての記載が明確でなく、平板厚みの増大を生じさ
せる微粒子の小サイス゛領域を削除して、微粒子の平均粒径
を平板厚みの40%以上とした本発明の製造方法とは異な
る。また、特開平8−122953号に、(100)面を主
平面とするハロゲン化銀平板粒子の成長において、粒径
の大きい微粒子を用いることにより平板の異方成長を促
進する方法の記載があるが、全て(100)面を主平面と
する平板についての記述のみで微粒子サイズと平板厚み
の相関も明確でなく、(111)面を主平面とした平板粒
子では数平均円相当径3μm以下数平均厚み0.1μm以下
の大サイズで極めて薄い平板粒子の成長において厚みに
対する微粒子サイズを制御することにより特に薄平板化
の効果があることを明確にした本発明とは異なる。 【0003】一方、ハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀粒
子を製造する量は、攪拌に必要な分散媒を含む水量、水
溶性銀溶液量、ハロゲン化アルカリ水溶液量および添加
剤量の総量が反応容器の最大液量より少なくなるように
設計されている。製造量を増やし生産性を向上する場
合、液量の大部分を占める水溶性銀溶液とハロゲン化ア
ルカリ水溶液の濃度を上げれば1回あたりの製造量を増
やすことができるが、水溶性銀溶液およびハロゲン化物
イオンの濃度は、意図するハロゲン化銀粒子を得るため
に適切に決められているので、これら濃度を上げると、
粒子のサイズ、粒子形および粒子サイズ分布が変化する
だけでなく、被り、感度および階調等の写真性まで悪影
響を与えることになる。これら悪影響をなくすために
は、添加する水溶性銀溶液とハロゲン化アルカリ水溶液
の濃度を変えず添加した水溶液を不要な塩とともに除く
ことが求められる。これらの問題を解決するために、成
長中に脱水および脱塩装置を用いる方法が、米国特許
4,334,012号、同5,242,597号、欧州
特許795455号、同843206号、特開平11−
231449号、同11−237703号、同11−3
52618号、特開2000−56420号、同200
0−56421号、同2000−66320号、同20
01−56518号、同2001−59994号、同2
001−100348号に開示されている。しかしなが
ら、これらの方法は反応容器に直接水溶性銀溶液とハロ
ゲン化アルカリ水溶液を添加しており、平板粒子が厚く
なるので好ましくない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明により、厚みの
より薄い平板ハロゲン化銀粒子乳剤が高効率で調製で
き、かつ高感度で被りが低い乳剤を製造することが可能
となる。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、連続的に調製
し供給する添加直前調製微粒子のサイズを制御し、それ
を用いることにより従来にない厚みのより薄い平板粒子
乳剤の調製を可能にしたものである。さらに限外濾過法
を活用することにより製造スケ−ルでの厚みのより薄い
平板粒子乳剤の調製を可能にしたものである。本発明の
目的は、以下の方法によって達成される。 (1)平均円相当径が3.0μm以上(実用上は、20μm以
下)で平均厚みが0.1 μm以下である(111)面を主平面と
するハロゲン化銀平板粒子と分散媒とからなるハロゲン
化銀乳剤の製造方法において、該ハロゲン化銀平板粒子
の成長の少なくとも一部(一部または全部)が下記
(i)および(ii)を満足する条件下で行われることを
特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (i)該ハロゲン化銀平板粒子の成長を成長が行われる
反応容器の外部に設けた混合器を用いて添加直前調製し
たハロゲン化銀微粒子を反応容器に添加して行う。 (ii)該ハロゲン化銀微粒子の平均円相当径が成長中の
該ハロゲン化銀平板粒子の平均厚みの40%以上である。 (2) 前記の(111)面を主平面とするハロゲン化銀平
板粒子の平均円相当径が4μm以上であることを特徴とす
る(1)に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (3) 前記の(111)面を主平面とするハロゲン化銀平
板粒子の平均円相当径が5μm以上で平均厚みが0.06μm
以下(実用上は、0.001μm以上)であることを特徴と
する(1)に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 【0006】(4) 前記のハロゲン化銀乳剤が、全投
影面積の50%以上が少なくとも1つの頂点部にエピタキ
シャル接合を有する(111)面を主平面とするハロゲン化
銀平板粒子により占められていることを特徴とする
(1)ないし(3)のいずれか1項に記載のハロゲン化
銀乳剤の製造方法。 (5) 該ハロゲン化銀平板粒子がエピタキシャル突起
物を有する塩沃臭化銀平板粒子であり、該ハロゲン化銀
微粒子のハロゲン組成が、沃化銀含量1〜5モル%の沃
臭化銀であることを特徴とする(1)ないし(4)のい
ずれか1項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (6) 前記のハロゲン化銀微粒子の円相当径の変動係
数が30%以内であることを特徴とする(1)ないし
(5)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造
方法。 (7) 前記のハロゲン化銀微粒子の双晶粒子数の比率
が15%以内であることを特徴とする(1)ないし(6)
のいずれか1項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (8) 前記のハロゲン化微粒子の数平均円相当直径が
成長中の該ハロゲン化銀平板粒子の数平均厚みの45%以
上で、かつ該微粒子の双晶粒子数の比率が10%以内であ
ることを特徴とする(1)ないし(7)のいずれか1項
に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (9) 製造工程の少なくとも一部分において限外濾過
を行うことを特徴とする(1)ないし(8)のいずれか
1項に記載のハロゲン化銀乳剤の製造方法。 【0007】 【発明の実施の形態】以下に本発明で製造されるハロゲ
ン化銀写真乳剤について説明する。本発明で平板粒子と
は2つの対向する平行な(111)主表面を有するハロ
ゲン化銀粒子を言う。本発明において用いる平板粒子は
1枚の双晶面あるいは2枚以上の平行な双晶面を有す
る。双晶面とは(111)面の両側ですべての格子点の
イオンが鏡像関係にある場合にこの(111)面のこと
をいう。この平板粒子は、粒子を主表面に対して垂直方
向から見た時、三角形状、六角形状もしくはこれらが丸
みを帯びた円形状をしており、それぞれ互いに平行な外
表面を有している。本発明の乳剤は全粒子の投影面積の
70%以上が最小の長さを有する辺の長さに対する、最
大の長さを有する辺の長さの比が2ないし1である六角
形の平板粒子であることが好ましい。より好ましくは全
粒子の投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の
長さに対する、最大の長さを有する辺の長さの比が2な
いし1である六角形の平板粒子である。さらに好ましく
は全投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の長
さに対する、最大の長さを有する辺の長さの比が1.5
ないし1である平板粒子である。平板粒子の主表面の形
が丸みを帯びた三角形状や六角形状である場合、主表面
の辺の長さは各辺を延長することにより形成される仮想
の三角形や六角形の辺の長さとする。 【0008】本発明の乳剤は単分散性であることが好ま
しい。全ハロゲン化銀粒子の投影面積の円相当径の変動
係数は40%以下であることが好ましく、特に好ましく
は25%以下である。ここで円相当径の変動係数とは個
々のハロゲン化銀粒子の円相当径の分布の標準偏差を平
均円相当径で割った値である。平板粒子の円相当径は、
例えばレプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して
個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径
(円相当径)を求める。エピタキシャル沈着のために厚
みが単純にレプリカの影(シャドー)の長さからは算出
できない場合には、エピタキシャル沈着する前のレプリ
カの影の長さを測定することにより算出できる。もしく
はエピタキシャル沈着後でも平板粒子を塗布した試料を
切断しその断面の電子顕微鏡写真を撮影して容易にもと
めることができる。 【0009】本発明においては好ましくは、全ハロゲン
化銀粒子の平均塩化銀含有率をCLモル%とした場合
に、全投影面積の70%以上が塩化銀含有率が0.7C
Lないし1.3CLの範囲内にあり、特に好ましくは
0.8CLないし1.2CLの範囲内にある。さらに、
好ましくは全ハロゲン化銀粒子の平均沃化銀含有率をI
モル%とした場合に、全投影面積の70%以上が沃化銀
含有率が0.7Iないし1.3Iの範囲内にあり、特に
好ましくは0.8Iないし1.2Iの範囲内にある。各
々の粒子の塩化銀ならびに沃化銀含有率の測定には通
常、EPMA法(Electron Probe Mi
cro Analyzer法)が有効である。乳剤粒子
を互いに接触しないように分散させた試料を作成し、電
子線を放射することにより放射されるX線を分析するこ
とにより、電子線を照射した極微小領域の元素分析を行
うことができる。この時、測定は電子線による試料損傷
を防ぐため低温に冷却して行うことが好ましい。 【0010】本発明のハロゲン化銀平板粒子において
は、平板粒子への溶質供給速度が大きい条件下、または
より低過飽和な条件下で本発明の効果が顕著に発現す
る。すなわち、大きな円相当径で薄い厚みを有する(1
11)面を主平面とする平板粒子においてその効果が顕
著であり、本発明のハロゲン化銀粒子は、数平均円相当
径が3.0μm以上(実用上は、20μm以下)であ
り、好ましくは4.0μm以上、より好ましくは5.0
μm以上である。また、数平均平均厚みは0.1μm以
下(実用上は、0.001μm以上)であり、好ましくは
0.08μm以下であり、より好ましくは0.06μm
以下である。本発明の平板ハロゲン化銀粒子のハロゲン
組成は、沃臭化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀いず
れでも良い。好ましくはエピタキシャル突起物を有する
塩沃臭化銀平板粒子であり、より好ましくはCL含有率が
20%未満のエピタキシャル突起物を有する塩沃臭化銀平
板粒子である。 【0011】本発明の添加直前調製するハロゲン化銀微
粒子について説明する。ここで添加直前調製とは、反応
容器の外部にある混合器中に水溶性銀溶液、ハロゲン化
アルカリ水溶液および分散媒水溶液を添加して好ましく
は反応容器中に添加する10分前以内、より好ましくは
添加する1分前以内、さらに好ましくは添加する10秒
前以内に微粒子を調製することを意味する。平板粒子が
高い異方成長性を維持しつつ成長するためには、成長中
側面方向への成長が充分優先的でありかつ平板粒子内ま
たは平板粒子間で熟成が起こらないような適度な低過飽
和度条件が必要である。微粒子添加法においては、微粒
子サイズが大きいほど平衡溶解度が小さくなるため低過
飽和状態を実現できるが、大きくなりすぎると成長に要
する時間の増大あるいは微粒子間のオストワルド熟成に
よる微粒子の残存が生じ、条件によっては平板粒子内ま
たは平板粒子間で熟成が生じる。よって、適切に小さい
サイズ領域を有しない微粒子を添加する必要があり、さ
らに微粒子の数平均円相当径は、該平板粒子の成長に伴
い変化させる必要がある。本発明の添加直前調製される
ハロゲン化銀微粒子の数平均円相当径は、成長中の平板
粒子の数平均厚みの少なくとも40%以上の値である必要
がある。また、本発明における上記条件下において、微
粒子の円相当径の最も適当な値については微粒子のハロ
ゲン組成、双晶粒子数比率、pH、PAg、温度等により
変化する。特に双晶数比率が小さい場合は、双晶を有す
る微粒子の残存が少なくなるため、より大きな微粒子を
添加することが可能であり、双晶数比率が小さい時に
は、本発明の添加直前調製されるハロゲン化銀微粒子の
数平均円相当径は成長中の平板粒子の数平均厚みの少な
くとも45%以上である事がより好ましい。本発明にお
いて、双晶数比率は15%以下である事が好ましく、1
0%以下である事がより好ましく、5%以下であること
がさらに好ましい。 【0012】ハロゲン化銀微粒子の円相当径は直接法電
子顕微鏡観察から求めることができ、同等の投影面積を
有する円の直径として求める。微粒子であるため熟成な
どによりサイズが大きくなりやすいために、添加される
微粒子の観察は熟成抑制剤または成長抑制剤で粒子変化
を止めた後、観察する。もしくは添加されるハロゲン化
銀微粒子を直ちに電子顕微鏡観察用メッシュ上に乗せ、
直ちに水分を除去して観察する。マイナス100℃以下
の温度で電子顕微鏡観察することによりハロゲン化銀微
粒子観察が容易になる。1000粒子以上について円相
当径を求め、数平均円相当径と円相当径の変動係数を求
めることができる。また、ハロゲン化銀微粒子の双晶粒
子数の比率は、微粒子乳剤を40℃以下、好ましくは3
5℃以下の温度で、新核発生なしに高過飽和条件下で明
確な粒子形状を示す所まで成長させ、該粒子のレプリカ
の透過型電子顕微鏡写真像を観察することにより求める
ことができる。詳細は特開平2−146033号の記載
を参考にする事ができる。 【0013】ハロゲン化銀微粒子のハロゲン組成は、臭
化銀、沃臭化銀、塩化銀、塩臭化銀、沃化銀、塩沃化銀
および塩沃臭化銀から選択されるが、好ましくは沃化銀
含量1〜5モル%の沃臭化銀である。添加微粒子が単分
散であるほど、該平板粒子に対して本発明の効果を発現
させるにより適切なサイズ領域の微粒子をさらに詳細に
設定する事ができる。本発明において、添加直前調製さ
れるハロゲン化銀微粒子の円相当径の変動係数は、好ま
しくは30%以内であり、より好ましくは25%以内で
あり、さらに好ましくは20%以内である。ハロゲン化
銀微粒子が添加直前調製されるということは、基本的に
ハロゲン化銀微粒子の調製と供給は連続的に行われるこ
とになる。本発明の該微粒子を添加直前調製する攪拌混
合器について説明する。本発明の混合器における滞留時
間は、好ましくは0.001〜10秒、より好ましくは
0.001〜3秒、さらに好ましくは0.001〜1秒
である。ここで混合器の混合槽における水溶性銀溶液、
ハロゲン化アルカリ水溶液および分散媒水溶液の滞留時
間は、安定状態でハロゲン化微粒子を調製している条件
下において該微粒子を供給する速度(1秒あたりの容
量)で混合器の液量を割った値を意味する。本発明の混
合器には、水溶性銀溶液、ハロゲン化アルカリ水溶液お
よび分散媒溶液を添加してハロゲン化銀微粒子を調製す
ることができる。このとき、上記3溶液を別々に添加し
ても良いし、分散媒溶液をハロゲン化アルカリ水溶液と
混合して添加してもよい。 【0014】水溶性銀溶液は、硝酸銀水溶液が好ましく
用いられる。ハロゲン化物アルカリ水溶液は、通常、臭
化カリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナト
リウム、沃化カリウム、沃化ナトリウムおよびそれらの
混合物の水溶液が用いられる。 【0015】本発明の混合器に添加する水溶性銀溶液お
よびハロゲン化アルカリ水溶液の濃度は4mol/リットル
以下が好ましく、1mol/リットル以下がさらに好まし
く、0.2mol/リットル以下が最も好ましい。水溶液の
温度は5℃以上75℃以下が好ましい。 【0016】本発明の混合器に使用される分散媒には、
ゼラチンが好ましく用いられる。このときゼラチンは生
成するハロゲン化銀粒子中の双晶発生確率に大きな影響
を与えるため、好ましいゼラチン水溶液濃度は、生成す
る微粒子ハロゲン化銀粒子の使用目的によって異なる。
平板状ハロゲン化銀粒子調製を行う際の核としてハロゲ
ン化銀微粒子を利用する場合、平行二重双晶核が必要な
ため、所望の双晶発生確率が達成されるようにゼラチン
水溶液濃度を調節することが必要である。銀塩水溶液と
ハロゲン化物塩水溶液が混合されたときに銀1gあたり
のゼラチン量が0.03g以上0.4g以下となるよう
にゼラチン濃度を選ぶことが好ましく、0.3g以下に
することがさらに好ましい。また、成長に利用する場合
には、添加したハロゲン化銀粒子が速やかに溶解するこ
とが好ましい。そのため、双晶核が少ない方が好まし
く、ゼラチン水溶液濃度は高い方が好ましい。ゼラチン
水溶液濃度は添加される硝酸銀1gに対して0.2g以
上、1g以下、ゼラチンが添加される濃度にすることが
好ましく、0.3g以上にすることがさらに好ましく、
0.4g以上にすることが最も好ましい。 【0017】本発明の混合器は以下の3種類が好ましく
用いられ、以下にそれぞれ説明する。 (1)密閉型攪拌槽に2本以上の回転軸を用いて攪拌す
る混合器 図2に示したように、反応容器の外に設置された混合器
30に水溶性銀溶液、ハロゲン化アルカリ水溶液及び必
要に応じて分散媒水溶液を各々添加系(供給口)31,
32及び33に導入する。(この際、必要に応じて分散
媒水溶液は、水溶性銀溶液および/またはハロゲン化ア
ルカリ水溶液に混合して添加しても良い)混合器内でこ
れらの溶液を急速且つ強力に混合して、ただちに系(排
出口)34によって反応容器に導入し、反応容器中でハ
ロゲン化銀微粒子を形成する。この際、混合器から排出
された乳剤を一且別の容器にためて、その後反応容器に
添加することもできる。反応容器で微粒子形成を終えた
後、さらに混合器30に、水溶性銀溶液、ハロゲン化ア
ルカリ水溶液及び必要に応じて分散媒水溶液を各々添加
系、31,32及び33に導入する。(この際、必要に
応じて分散媒水溶液は、水溶性銀溶液および/またはハ
ロゲン化アルカリ水溶液に混合して添加しても良い)混
合器内でこれらの溶液を急速且つ強力に混合して、ただ
ちに系34によって連続的に反応容器1に導入し、反応
容器中で均一化させる。 【0018】本発明の混合器の一実施形態を示す。従来
のように攪拌羽根に駆動軸をとりつけ、混合器の外の駆
動機によって攪拌羽根をこの様な高速で回転すると、そ
の混合槽と駆動軸のシールが大変困難になってきた。本
発明においては、下記に示す様に、磁気カップリングで
連結される攪拌羽根と外部磁石による磁気誘導による回
転によって、駆動軸を用いないことによりこの問題を解
決する。図2において、攪拌槽35は、上下方向に中心
軸を向けた攪拌槽本体36と、該攪拌槽本体36の上下
の開口端を塞ぐ槽壁となるシールプレート37とで構成
されている。攪拌槽本体36及びシールプレート37
は、透磁性に優れた非磁性材料で形成されている。攪拌
羽根38、39は、攪拌槽35内の相対向する上下端に
離間して配置されて、互いに逆向きに回転駆動される。
各攪拌羽根38、39は、それぞれの攪拌羽根38、3
9が近接する槽壁(シールプレート37)の外側に配置
された外部磁石40、41と磁気カップリングCを構成
している。即ち、各攪拌羽根38、39は、磁力でそれ
ぞれの外部磁石40、41に連結されており、各外部磁
石40、41を独立したモータ42、43で回転駆動す
ることで、互いに逆向きに回転操作される。 【0019】さらに、図2において該混合器は、攪拌さ
れる水溶性銀溶液、ハロゲン化アルカリ水溶液、必要に
応じて分散媒水溶液を流入させる3つの液供給口31、
32および33と攪拌処理を終えたハロゲン化銀微粒子
乳剤を排出する排出口34とを備えた攪拌槽35と、該
攪拌槽35内で回転駆動されることで該攪拌槽35内の
液体の攪拌状態を制御する攪拌手段である一対の攪拌羽
根38、39とを備えてなる。該混合器28は円筒状の
ものが良く用いられるが、直方体、六角型、その他の種
々の形体が用いられる。さらに該一対の攪拌羽根は攪拌
槽35内の相対向する上下端に離間して配置されて、互
いに逆向きに回転駆動される。この一対の攪拌羽根は図
2では相対する上下方向に配置したが、相対する横方向
でもよく、また斜め方向でもよい。図2では、相対する
位置に一対の二つの攪拌羽根を用いたが、二つ以上の対
をなした、互いに逆向き回転する4個以上の偶数個の攪
拌羽根を用いてもよいし、対をなさない奇数個(1個を
含む)の攪拌羽根を用いることもできる。また対をなし
た互いに逆向き回転する偶数個の攪拌羽根と、奇数個
(1個を含む)の攪拌羽根を併用することによって、さ
らに効率の良い攪拌を実施できる。 【0020】この型の混合器においては、該混合器内で
相対向する攪拌羽根を駆動する際、より高い混合効率を
実現するには、その攪拌羽根を高速で回転する必要があ
る。その回転数は1000rpm以上、好ましくは300
0rpm以上、より好ましくは5000rpm以上である。図
3に、攪拌槽35の下端部に磁気カップリングCの構成
を示す。この一実施形態の磁気カップリングCは、この
磁気カップリングCを構成している各攪拌羽根38、3
9に、図示の様に、N極面とS極面とが回転中心軸線4
4に対して平行でかつ該回転中心軸線44を挟んで重な
る如く配置された両面2極型磁石45を使用している。
外部磁石41は、N極面とS極面とが回転中心軸線44
に直交する平面上で回転中心軸線44に対して対称位置
に並ぶ左右2極型磁石(U字型磁石)46を使用してい
る。この磁気カップリングCにおいて、上記とは逆に、
外部磁石41に両面2極型磁石45を使用して、攪拌羽
根38、39には左右2極型磁石46を使用しても、同
様の作用効果を得ることができる。 【0021】上記の磁気カップリングCでは、外部磁石
41と攪拌羽根38、39との間を結ぶ磁力線Lは、図
4(a)の様になり、例えば左右2極型磁石同志で磁気
カップリングを構成した場合に形成される磁束と比較し
て、磁石相互間を結ぶ磁束の径を倍増できると同時に、
外部磁石41が回転操作された場合に、図4(b)に示
す様に磁束が撓んで磁束の切断を防止する磁束粘性を持
たせる事ができ、カップリングとしての結合強度が大幅
に向上して、モータ42、43に高回転型のモータを使
用することで、攪拌羽根38、39の高速回転を可能に
することができる。 【0022】この型の混合器の攪拌は、一対の攪拌羽根
を同一回転しても逆向きに回転してもよいが、逆向きに
回転することが好ましい。また、回転数は、同じ回転数
で駆動させてもよいし、異なった回転数で駆動させても
よい。この型の混合器には、滞留時間を減少させる目的
で混合器内の容積を下げるために、上記混合器の攪拌槽
を貫通する回転軸をもち、この回転軸周りをシールした
混合器を用いることも好ましい。この場合も、一対の攪
拌羽根を同一回転しても逆向きに回転してもよいが、逆
向きに回転することが好ましい。また、回転数は、同じ
回転数で駆動させてもよいし、異なった回転数で駆動さ
せてもよい。 【0023】この型においては、混合器に保護コロイド
水溶液を添加するが、下記のような添加法が用いられ
る。 a 分散媒水溶液を単独で混合器に注入する。分散媒水
溶液の濃度は0.5%以上、好ましくは1%以上がよ
く、20%以下である。流量については、水溶性銀溶液
とハロゲン化アルカリ水溶液の流量の和の少なくとも2
0%以上300%以下で、好ましくは50%以上200
%以下である。 b ハロゲン化アルカリ水溶液に分散媒水溶液を含有せ
しめる。分散媒の濃度は0.4%以上、好ましくは1%
以上であり、20%以下である。 c 水溶性銀溶液に分散媒を含有せしめる。分散媒の濃
度は0.4%以上、好ましくは1%以上で、20%以下
である。分散媒にゼラチンを用いる場合、銀イオンとゼ
ラチンでゼラチン銀をつくり、光分解及び熱分解して銀
コロイドを生成するため、水溶性銀溶液とゼラチン溶液
は使用直前に添加する方がよい。 上記a〜cの方法は、各々単独で用いてもよいし、それ
ぞれ組合せてもよく、また、三つの方法同時に用いても
よい。 【0024】(2)直線状噴流にして攪拌する混合器 この型の混合器では、水溶性銀溶液、ハロゲン化アルカ
リ水溶液、分散媒水溶液を直線状噴流として添加して混
合し、ハロゲン化銀微粒子を調製することができる。分
散物水溶液は、水溶性銀溶液またはハロゲン化アルカリ
水溶液のいずれか片方に添加してもよいし、3種を別々
に混合してもよい。この型の混合器の噴流として添加さ
れる水溶液の流速は、100m/sec以上であること
が好ましく、250m/sec以上であることがさらに
好ましく、500m/sec以上であることが最も好ま
しい。 【0025】この型の混合器において、溶液を混合する
細管の直径は、直線状噴流添加口の直径の20倍以下で
あることが好ましく、10倍以下であることがさらに好
ましく、7倍以下であることが最も好ましい。溶液を混
合する細管の長さは、その直径の10倍以上であること
が好ましく、50倍以上であることがさらに好ましく、
100倍以上であることが最も好ましい。細管は内部に
窪みを有することができる。添加された溶液が細管内を
流れる際にこの窪みによって流れはより細かな乱流とな
り、混合をより均一化する。高い流速を持つ噴流による
混合を行う場合、混合液の温度が上昇するため、該装置
には冷却器を付属することが好ましい。この型本発明の
混合器において、水溶性銀溶液とハロゲン化アルカリ水
溶液の混合は機械的攪拌を伴わないことが好ましい。機
械的攪拌を伴うと、循環が起こらない混合が困難であ
る。また、滞留時間が0.1秒以下のような短い混合時
間の場合、機械的攪拌では十分な混合を行うことが困難
である。 【0026】この型の混合器において、水溶性銀溶液、
ハロゲン化アルカリ水溶液の両方をそれぞれ直線状噴流
にして混合してもよいし、片方を直線状噴流としてもう
片方をその噴流の負圧を利用して混合してもよい。この
型の要件を満たす混合方法として、BEEINTERN
ATIONAL社製の高圧ホモジェナイザー(DeBE
E2000)を応用して用いることができる。該装置の
デュアルフィード法を用いて、水溶性銀溶液またはハロ
ゲン化アルカリ水溶液の一方を高速噴流とし、もう一方
の液と混合することができる。噴流とする水溶液に高圧
をかけることで高い運動エネルギーを持たせ、二つの液
を極めて短時間に混合することが可能である。また、こ
の方法では添加された液が再び添加口近傍に戻るような
循環が発生せず、さらに、添加液が十分な運動エネルギ
ーを持つために機械的攪拌も不要である。 【0027】(3)層流を利用した混合器 この型の混合器は、層流(laminar flow)を利用した混
合法を用いる。水溶性銀溶液とハロゲン化アルカリ水溶
液を薄い層(lamella)に細分化させ、お互いを広い面
積で接触させる事によって、均一に短時間のうちにイオ
ンの拡散をおこさせることにより、より速く且つより均
一な混合を実現するものである。拡散によるイオンの移
動は濃度の時間的変化で関係づけられるFickの法則に従
い、拡散係数と濃度勾配の積として次式で与えられる。 t 〜 dl2/D ここで、Dは拡散定数、dlは薄層の厚さ、tは混合時間を
表わす。上記式から、混合時間tは薄層の厚さdlの二乗
に比例する為、この層を薄くする事によって非常に効果
的に混合時間を短くする事ができる。 【0028】この型は、IMM(Institute fur Mikrotech
nik Mianz)製のマイクロリアクター(Microreactor)
を用いる事により、期待される効果を実現する事ができ
る。マイクロリアクターの詳細については、“Microrea
ctor”(W.Ehrfeld、V.Hessel、H.Loewe、 1Ed. (2000)
WILEY-VCH)の第3章にその詳細が記載されている。即
ち流体の多層薄膜化(multilamination)とそれに続く
拡散混合にその原理をもつ。水溶性銀溶液およびハロゲ
ン化アルカリ水溶液の流体は、厚みが数十ミクロンオー
ダーの互いに入り込んだスリットを通過することによっ
て、多数の薄膜流体に分けられ、スリットの出口でそれ
らはその進行方向の法線方向で広い面積で接触し、ただ
ちに銀イオン及びハロゲン化物イオンの拡散がはじま
り、短時間のうちに拡散による混合が終了し、同時に起
こったイオン反応によってハロゲン化銀微粒子が形成さ
れる。 【0029】この型の混合器における薄層の厚さは、そ
の進行方向の法線方向で1μm以上500μm以下であ
り、好ましくは1μm以上、100μm以下であり、よ
り好ましくは1μm以上50μm以下である。層流を利
用したこの型における混合時間は、0.5秒未満であり、
好ましくは100ミリ秒未満であり、より好ましくは5
0ミリ秒未満である。 【0030】この型の混合器であるマイクロミキサー
は、等価直径1mm以下の流路(チャンネル)を有する
装置である。本発明でいう等価直径(equivalent diame
ter)は、相当(直)径とも呼ばれ、機械工学の分野で用い
られる用語である。任意断面形状の配管(本発明では流
路)に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の直
径を等価直径といい、A:配管の断面積、p:配管のぬれぶち
長さ(周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管
に適用した場合、この等価直径は円管直径に一致する。
等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あ
るいは熱伝達特性を推定するのに用いられ、現象の空間
的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、一辺a
の正四角形管ではdeq=4a2/4a=a、一辺aの正
三角形管ではdeq=a/、路高さhの平行平板間の流れ
ではdeq=2hとなる(参照:(社)日本機械学会編
「機械工学事典」1997年、丸善(株))。 【0031】この型の混合器の流路は、固体基板上に微
細加工技術により作成される。使用される材料の例をあ
げれば金属、シリコン、テフロン(登録商標)、ガラ
ス、セラミックスまたはプラスチックなどである。耐
熱、耐圧および耐溶剤性が必要な場合、好ましい材料は
金属、シリコン、テフロン、ガラスまたはセラミックス
であるが、特に好ましくは金属である。金属の例を挙げ
れば、ニッケル、アルミ、銀、金、白金、タンタル、ス
テンレス、ハステロイ(Ni−Fe系合金)またはチタ
ンであるが、好ましくは耐腐食性の高いステンレス、ハ
ステロイもしくはチタンである。従来のバッチ式反応装
置では酸性物質などを扱う時に金属(ステンレス等)表
面にガラスライニングした装置が用いられるが、マイク
ロリアクターでも金属表面にガラスコーティングしても
よい。ガラスに限らず目的に応じて、金属の上に別の金
属もしくは他の材料をコーティングしても良いし、金属
以外の材料(例えばセラミック)に金属もしくはガラス
などをコーティングしても良い。 【0032】この型の混合器の流路を作成するための微
細加工技術として代表的なものを挙げれば、X線リソグ
ラフィを用いるLIGA技術、EPON SU-8を用いた高ア
スペクト比フォトリソグラフィ法、マイクロ放電加工法
(μ−EDM)、Deep RIEによるシリコンの高アスペク
ト比加工法、Hot Emboss加工法、光造形法、レーザー加
工法、イオンビーム加工法、およびダイアモンドのよう
な硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイ
クロ切削加工法などがある。これらの技術を単独で用い
ても良いし、組み合わせて用いても良い。好ましい微細
加工技術は、X線リソグラフィを用いるLIGA技術、
EPON SU-8を用いた高アスペクト比フォトリソグラフィ
法、マイクロ放電加工法(μ−EDM)、および機械的
マイクロ切削加工法である。 【0033】この型の混合器であるマイクロミキサーを
組み立てる際、よく接合技術が用いられる。通常の接合
技術は大きく固相接合と液相接合に分けられ、一般的に
用いられている接合方法は、固相接合として圧接や拡散
接合、液相接合として溶接、共晶接合、はんだ付け、接
着等が代表的な接合方法である。更に、組立に際しては
高温加熱による材料の変質や大変形による流路等の微小
構造体の破壊を伴わない寸法精度を保った高度に精密な
接合方法が望ましいが、その技術としてはシリコン直接
接合、陽極接合、表面活性化接合、水素結合を用いた直
接接合、HF水溶液を用いた接合、Au-Si共晶接合、ボイ
ドフリー接着などがある。この型本発明に混合器に用い
られる流路の等価直径は1mm以下であるが、好ましく
は10〜500μmであり、特に好ましくは20〜30
0μmである。また流路の長さには特に制限はないが、
好ましくは1mm〜1000mmであり、特に好ましく
は10mm〜500mmである。この型において用いら
れる流路は一本のみである必要はなく、必要に応じて流
路を何本も並列化し(Numbering-up)、その処理用を増
大させることができる。本発明において反応は、流路の
中を流れながら、すなわちフローで行われる。 【0034】この型の混合器であるマイクロミキサーの
流路は目的に応じて表面処理しても良い。特に水溶液を
操作する場合、ガラスやシリコンへの試料の吸着が問題
になることがあるので表面処理は重要である。マイクロ
サイズの流路内における流体制御では、複雑な製作プロ
セスを要する可動部品を組み込むことなくこれを実現す
ることが望ましい。例えば、流路内に表面処理により親
水性と疎水性の領域を作成し、その境界に働く表面張力
差を利用して流体を操作することが可能になる。 【0035】この型の混合器であるマイクロミキサーの
マイクロサイズの流路中へ試薬やサンプルなどを導入し
て混合するために、流体制御機能が必要である。特に、
微小領域における流体の挙動は、マクロスケールとは異
なる性質を持つため、マイクロスケールに適した制御方
式を考えなければならない。流体制御方式は形態分類す
ると連続流動方式と液滴(液体プラグ)方式があり、駆
動力分類すると電気的駆動方式と圧力駆動方式がある。
これらの方式を以下に詳しく説明する。流体を扱う形態
として、最も広く用いられるのが連続流動方式である。
連続流動式の流体制御では、マイクロリアクターの流路
内は全て流体で満たされ、外部に用意したシリンジポン
プなどの圧力源によって、流体全体を駆動するのが一般
的である。この場合、比較的簡単なセットアップで制御
システムを実現できることが一つの利点であるが、複数
ステップの反応やサンプルの交換を伴うような操作は
困難で、システム構成の自由度が小さいこと、また駆動
媒体が溶液そのものであるため、デッドボリュームが大
きいことなどが難点である。連続流動方式とは異なる方
式として、液滴(液体プラグ)方式がある。この方式で
は、リアクター内部やリアクターに至る流路内で、空気
で仕切られた液滴を動かすものであり、個々の液滴は空
気圧によって駆動される。その際、液滴と流路壁あるい
は液滴同士の間の空気を必要に応じて外部に逃がすよう
なベント構造、及び分岐した流路内の圧力を他の部分と
独立に保つためのバルブ構造などを、リアクターシステ
ム内部に用意する必要がある。また、圧力差を制御して
液滴の操作を行うために、外部に圧力源や切り替えバル
ブからなる圧力制御システムを構築する必要がある。こ
のように液滴方式では、装置構成やリアクターの構造が
やや複雑になるが、複数の液滴を個別に操作して、いく
つかの反応を順次行うなどの多段階の操作が可能で、シ
ステム構成の自由度は大きくなる。 【0036】流体制御を行うための駆動方式として、流
路(チャンネル)両端に高電圧をかけて電気浸透流を発
生させ、これによって流体移動させる電気的駆動方法
と、外部に圧力源を用意して流体に圧力をかけて移動さ
せる圧力駆動方法が一般に広く用いられている。両者の
違いは、たとえば流体の挙動として、流路断面内で流速
プロファイルが電気的駆動方式の場合にはフラットな分
布となるのに対して、圧力駆動方式では双曲線状に、流
路中心部が速くて、壁面部が遅い分布となることが知ら
れており、サンプルプラグなどの形状を保ったまま移動
させるといった目的には、電気的駆動方式の方が適して
いる。電気的駆動方式行う場合には、流路内が流体で満
たされている必要があるため、連続流動方式の形態をと
らざるを得ないが、電気的な制御によって流体の操作を
行うことができるため、例えば連続的に2種類の溶液の
混合比率を変化させることによって、時間的な濃度勾配
をつくるといった比較的複雑な処理も実現されている。
圧力駆動方式の場合には、流体の電気的な性質にかかわ
らず制御可能であること、発熱や電気分解などの副次的
な効果を考慮しなくてよいことなどから、基質に対する
影響がほとんどなく、その適用範囲は広い。その反面、
外部に圧力源を用意しなければならないこと、圧力系の
デッドボリュームの大小に応じて、操作の応答特性が変
化することなど、複雑な処理を自動化する必要がある。
流体制御方法として用いられる方法はその目的によって
適宜選ばれるが、好ましくは連続流動方式の圧力駆動方
式である。 【0037】この型の混合器であるマイクロミキサーの
温度制御は、装置全体を温度制御された容器中に入れる
ことにより制御しても良いし、金属抵抗線や、ポリシリ
コンなどのヒーター構造を装置内に作り込み、加熱につ
いてはこれを使用し、冷却については自然冷却でサーマ
ルサイクルを行ってもよい。温度のセンシングは、金属
抵抗線ではヒーターと同じ抵抗線をもう一つ作り込んで
おき、その抵抗値の変化に基づいて温度検出を行い、ポ
リシリコンについては熱電対を用いて検出を行う。ま
た、ペルチェ素子をリアクターに接触させることによっ
て外部から加熱、冷却を行っても良い。どの方法を用い
るかは用途やリアクター本体の材料などに合わせて選択
される。 【0038】上記3種の混合器の中では、(1)密閉型攪
拌槽に2本以上の回転軸を用いて攪拌する混合器と
(2)直線状噴流にして攪拌する混合器が好ましく、さ
らに好ましくは(2)直線状噴流にして攪拌する混合器
である。 【0039】本発明において使用する限外濾過について
説明する。本発明の限外濾過による脱水および脱塩技術
は、リサーチ・ディスクロージャー、102巻、102
98項および同131巻、13122項に記載されてい
る。また米国特許4,334,012号、同5,16
4,092号、同5,242,597号、欧州特許79
5455号、同843206号、特開平8−27858
0号、特開平11−231449号等に開示されてい
る。 【0040】本発明の限外濾過膜に用いられる膜を容器
に組み込んだ膜モジュールには、管状モジュール、中空
糸モジュール、プリーツモジュール、スパイラルモジュ
ール、平膜モジュール、プレート&フレームモジュール
が用いることができる。この中で、中空糸モジュールお
よび平膜モジュールが好ましく用いられる。本発明の限
外濾過膜は、種々の素材のものを用いることができる。
有用な限外濾過膜の主要な素材は、例えば、ポリアクリ
ロニトリル、ポリスルフォン、ポリイミド、ポリエーテ
ルスルフォン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、酸化アルミニウム
等のセラミック等が好ましく用いられる。本発明の限外
濾過膜の性能を示すものとして、分画分子量がある。分
画分子量は阻止率(供給液の濃度から透過液の濃度の差
を供給液の濃度で割った百分率)90%以上になる分子
量であり、ハロゲン化銀粒子は透過せず、必要としない
塩や分散物は透過する分画分子量が好ましい。また、分
画分子量を小さくすると、限外濾過膜を透過する液の流
量は減少するので、最適な分画分子量を選ぶ必要があ
る。有用な分画分子量は1000〜1000000であ
り、好ましくは3000〜100000である。 【0041】本発明の限外濾過を用いて行うハロゲン化
銀乳剤の脱水脱塩の一例を示す概念図を図1に示す。図
1において、反応容器1の中のハロゲン化銀粒子を含む
反応溶液は攪拌機2で攪拌され、液供給配管9、ポンプ
10および供給バルブ12をとおり限外濾過膜12に送
り込まれる。ハロゲン化銀粒子を含む反応溶液は限外濾
過膜を通して、水や塩等の一部が液透過配管18、透過
バルブ20および透過流量計21を通って排出される。
このとき逆止弁27は閉鎖されている。残りのハロゲン
化銀粒子を含む反応溶液は液還流配管14、還流バルブ
16および還流流量計17をとおり、元の反応容器1に
戻る。反応液が限外濾過膜を通過する前後には圧力計1
2、15および19を備える。また、限外濾過膜に残っ
たハロゲン化銀粒子を反応容器に戻すために、上記限外
濾過を終了した後に透過液の一部を逆洗浄配管24から
逆洗浄用ポンプ25、逆洗浄バルブ26、逆止弁27、
透過バルブ20および液透過配管18を通って限外濾過
モジュールを通り、限外濾過膜に吸着したハロゲン化銀
粒子を液還流配管14、還流バルブ16および還流流量
計17を通してもとの反応容器に戻すことができる。ま
た、逆洗浄用の水溶液は、透過液の代わりに水、透過液
を水で希釈した水溶液またはpBrを調整した水溶液で代
用することもできる。 【0042】本発明の限外濾過による透過液は、還流バ
ルブおよび透過バルブを調整することにより還流および
透過流量を制御することができる。透過流量を増やすた
めには、ポンプの流量を上げること、および還流バルブ
を絞って還流流量を上げ、供給圧力を上げることで調整
することができる。また、透過量を増加させる方法とし
て、限外濾過モジュール2個以上を並列または直列につ
なぐことで膜面積を増やす方法が好ましい。本発明の限
外濾過を用いるときには、反応容器に添加される分散媒
にはゼラチンを好ましく用いることができる。反応容器
に直接添加するゼラチンの分子量は制限が無いが、ゼラ
チン濃度を高くするほど粘度が増し限外濾過の透過流量
は減少するので、ゼラチン濃度を制御する必要がある。
混合器に使用するゼラチンに限外濾過膜を透過する低分
子量ゼラチンを用いると、限外濾過膜を透過させること
ができ、反応容器内のゼラチン濃度を上げないことがで
きる。混合器に使用するゼラチンは、酵素分解などの手
法で低分子量化させ、粘度を低下させることができる。
平均分子量5000以上3万以下であることが好まし
い。また、平板粒子の厚さへの影響はゼラチンの化学修
飾によって様々に変化させることができる。薄い平板状
ハロゲン化銀粒子を得るために、酸化処理、コハク化処
理、トリメリット化処理を好ましく用いることができ
る。 【0043】本発明の限外濾過を微粒子による成長前の
段階で行なうことも好ましく行なわれる。平板粒子形成
には核となる粒子を調製した後反応容器の温度を上げて
熟成する工程があり、この工程を行なうことで、微粒子
成長を行なう平板粒子を形成することができる。本発明
では、この熟成工程中の限外濾過を行ない、脱水および
脱塩を行なうとスケールアップに好ましい。乳剤製造の
スケールアップを考えた場合、核を形成するときの水溶
性銀溶液とハロゲン化アルカリ水溶液の濃度を単に上げ
ると、生成した核の凝集が起こるため、粒子のサイズ分
布を悪化させる。最適な水溶性銀溶液とハロゲン化アル
カリ水溶液の濃度で生成させた後、限外濾過により脱水
および脱塩する方が粒子サイズ分布を悪化させずに多量
の核を形成することができる。本発明においては限外濾
過は上記工程を含めてあらゆる時点で使用することがで
きるが、最も好ましくはハロゲン化銀微粒子の添加中に
限外濾過を行う。ハロゲン化銀微粒子の添加中に限外濾
過を行うとは、添加と並行して限外濾過を行うことを意
味する。この時、ハロゲン化銀微粒子の添加中全時間域
に行っても良いし、部分的に行っても良い。途中、中断
して数回に分けて行っても良い。 【0044】本発明の製造法による乳剤は好ましくは全
投影面積の50%以上が六角形の六つの頂点部の少なく
とも一つの頂点部にエピタキシャル接合を有する平板粒
子である。より好ましくは全投影面積の90%以上が六
角形の六つの頂点部の少なくとも一つの頂点部にエピタ
キシャル接合を有する平板粒子である。ここで頂点部と
は平板粒子を主表面に対して垂直方向から見た時に1つ
の頂点を中心とし、この頂点と、この頂点を構成する2
つの辺とが形成する扇形であって、これら2辺の内、短
い方の辺の長さの1/3を半径とする扇形内の部分を意
味する。平板粒子の主表面の形が丸みを帯びた三角形状
や六角形状である場合、主表面の頂点及び辺は、各辺を
延長することにより形成される仮想の三角形や六角形の
それぞれ頂点及び辺とする。通常は上記のエピタキシャ
ル乳剤以外に平板粒子の主表面もしくは頂点部以外の辺
上にエピタキシャル接合が形成される。本発明の好まし
いエピタキシャル乳剤の判断は以下のようにおこなうこ
とができる。平板粒子のレプリカによる電子顕微鏡写真
から任意に100粒子以上を抽出し、一つ以上の頂点部
にエピタキシャル接合を有する粒子、辺上もしくは主表
面上のみにエピタキシャル接合を有する粒子ならびにエ
ピタキシャル接合を有しない粒子の3つの分類にクラス
分けする。一つ以上の頂点部にエピタキシャル接合を有
する粒子が全投影面積の50%以上あれば本発明の好ま
しいエピタキシャル乳剤に相当する。より好ましくは全
投影面積の90%以上が上記のエピタキシャル粒子であ
る。 【0045】エピタキシャル部は塩化銀または塩臭化銀
または沃塩臭化銀である。好ましくはホスト平板粒子よ
りも塩化銀含有率は1モル%以上高い。より好ましくは
ホスト平板粒子よりも塩化銀含有率は10モル%以上高
い。但し、エピタキシャル部の塩化銀含有率は50モル
%以下が好ましい。エピタキシャル部の臭化銀含有率は
30モル%以上が好ましく、50モル%以上が特に好ま
しい。エピタキシャル部の沃化銀含有率は1モル%以上
20モル%以下が好ましい。エピタキシャル部の銀量は
ホスト平板粒子の銀量の1モル%以上10モル%以下で
あることが好ましく、2モル%以上7モル%以下が更に
好ましい。 【0046】本発明で製造される乳剤は好ましくは全投
影面積の70%以上がエピタキシャル部に少なくとも1
本の転位線を有する平板粒子からなる。好ましくは全投
影面積の80%以上がエピタキシャル部に少なくとも1
本の転位線を有する平板粒子からなる。本発明の乳剤は
より好ましくは全投影面積の70%以上がエピタキシャ
ル部に網目状の転位線を有する平板粒子からなる。最も
好ましくは全投影面積の80%以上がエピタキシャル部
に網目状の転位線を有する平板粒子からなる。ここで網
目状の転位線とは、本数として数えられないような複数
の転位線が網の目のように交錯した転位線である。二つ
以上の頂点部にエピタキシャル接合を有する平板粒子に
おいて、必ずしも各エピタキシャル部に転位線が存在す
る必要はない。少なくとも一つの頂点部に接合したエピ
タキシャル部に1本の転位線、好ましくは網目状の転位
線を含んでいれば本発明の好ましいエピタキシャル乳剤
に相当する。好ましくは頂点部にあるエピタキシャル部
の70%以上が網目状の転位線を含む。 【0047】本発明において、全投影面積の70%以上
がエピタキシャル接合部以外には転位線が存在しないこ
とが好ましい。転位線はエピタキシャル沈着の優先的な
沈着位を提供し本発明のエピタキシャル平板粒子の形成
を阻害する。好ましくは全投影面積の70%以上が転位
線がゼロである。この場合、エピタキシャル沈着した部
位を除く。最も好ましくは全投影面積の90%以上が転
位線がゼロである。平板粒子の転位線は、例えばJ.
F.Hamilton,Phot.Sci.Eng.,
11、57、(1967)やT.Shiozawa,
J.Soc.Phot.Sci.Japan,35、2
13、(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微
鏡を用いた直接的な方法により観察することができる。
すなわち乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力を
かけないよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電
子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷
(プリントアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態
で透過法により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い
程、電子線が透過しにくくなるので高圧型(0.25μ
mの厚さの粒子に対して200kV以上)の電子顕微鏡
を用いた方がより鮮明に観察することができる。このよ
うな方法により得られた粒子の写真より、主表面に対し
て垂直方向から見た場合の各粒子についての転位線の位
置および数を求めることができる。本発明の乳剤は好ま
しくは全投影面積の70%以上、より好ましくは全投影
面積の80%以上が、ホスト平板粒子の頂点部の主表面
上に段丘状にエピタキシャル接合せず、ホスト平板粒子
の側面方向に張り出してエピタキシャル接合する平板粒
子からなる。主表面の頂点からホスト平板粒子の側面方
向に張り出してエピタキシャル接合する平板粒子と、ホ
スト平板粒子の頂点部の主表面上に段丘状にエピタキシ
ャル接合する平板粒子との区別は以下のようにして行
う。 【0048】平板粒子のレプリカ法電子顕微鏡写真から
任意に100粒子以上を抽出し、1粒子あたりのエピタ
キシャル部の総投影面積のうち頂点部と重ならない側面
方向に張り出した部分の面積が60%以上ある粒をホス
ト平板粒子の側面方向に張り出してエピタキシャル接合
する平板粒子と定義する。エピタキシャル沈着後にこの
形状を保つように制御しなければエピタキシャル沈着が
再配列されることにより転位線が消えてしまう。以上の
条件を満足する本発明の好ましいエピタキシャル平板乳
剤は乳剤のpBrを下げることが可能となる。ここでp
Brとは臭素イオン濃度の逆数の対数である。pBrを
3.5以下に下げることが可能となったことにより保存
性を著しく改良することができる。以下に上述した本発
明の好ましいエピタキシャル乳剤の具体的な調製法につ
いてホスト平板粒子の調製とエピタキシャル部の調製の
2つに分けて詳しく説明する。まず本発明のエピタキシ
ャル乳剤の調製に必要なホスト平板粒子について詳述す
る。本発明のホスト平板粒子の粒子内沃化銀の分布につ
いては2重構造以上の多重構造粒子であることが好まし
い。ここで沃化銀の分布について構造をもっているとは
各構造間で沃化銀含量が0.5モル%以上、より好まし
くは1モル%以上異なっていることを意味する。本発明
において、ホスト平板粒子の「最外層」とは、沃化銀の
分布についての多重構造の最も外側にある層状の相をい
う。 【0049】この沃化銀の分布についての構造は、基本
的には粒子の調製工程の処方値から計算により求めるこ
とができる。各構造間での界面では沃化銀含有率の変化
は急激に変化する場合となだらかに変化する場合があり
得る。これらの確認のためには、分析上の測定精度を考
慮する必要があるが、前述した、EPMA法が有効であ
る。同手法により平板粒子を主表面に垂直方向から見た
場合の粒子内沃化銀分布が解析できるが、同試料を固
め、ミクロトームで超薄切片にカットした試料を用いる
ことにより平板粒子の断面の粒子内沃化銀分布も解析す
ることができる。本発明においてホスト平板粒子は最外
層の沃化銀含量が10モル%以上であることが好まし
い。最外層は全銀量に対して20%以下であることが好
ましく、より好ましくは5%以上20%以下であって、
その沃化銀含有量が15モル%以上30モル%以下であ
る。ここで最外層の比率とはホスト平板粒子調製工程に
おける最終粒子を得るのに使用した銀量に対する最外層
の調製に用いた銀量の比率を意味する。沃化銀含有量と
は最外層の調製に用いた銀量に対する最外層の調製に用
いた沃化銀量のモル比率の%を意味し、その分布につい
ては均一でも不均一でも良い。沃化銀含有量の分布が不
均一な場合、沃化銀量は、最外層における平均値であ
る。より好ましくは最外層の比率は全銀量に対して10
%以上15%以下であって、その沃化銀含有量が15モ
ル%以上25モル%以下である。 【0050】本発明においてはホスト平板粒子の対向す
る(111)主表面を連結する側面は全側面の75%以
下が(111)面から構成されていることが特に好まし
い。ここで全側面の75%以下が(111)面から構成
されるとは、全側面の25%よりも高い比率で(11
1)面以外の結晶学的な面が存在するということであ
る。通常その面は(100)面であるとして理解しうる
が、それ以外の面、すなわち(110)面や、より高指
数の面である場合も含みうる。本発明においては全側面
の70%以下が(111)面から構成されていると効果
が顕著である。全側面の75%以下が(111)面から
構成されているか否かは、その平板粒子のシャドーをか
けたカーボンレプリカ法による電子顕微鏡写真から容易
に判断しうる。通常側面の75%以上が(111)面か
ら構成されている場合、6角形平板粒子においては、
(111)主表面に直接連結する6つの側面はたがい違
いに(111)主表面に対して鋭角と、鈍角で接続す
る。一方、全側面の75%以下が(111)面から構成
されている場合、6角形平板粒子においては、(11
1)主表面に直接連結する6つの側面は(111)主表
面に対してすべて鈍角で接続する。シャドーイングを5
0℃以下の角度でかけることにより主表面に対する側面
の鈍角と鋭角の判断ができる。好ましくは30°以下1
0°以上の角度でシャドーイングすることにより鈍角と
鋭角の判断は容易となる。 【0051】さらに、(111)面と(100)面の比
率を求める方法として増感色素の吸着を用いた方法が有
効である。日本化学会誌、1984、6巻、ページ94
2〜947に記載されている手法を用いて(111)面
と(100)面の比率を定量的に求めることができる。
該比率と前述した平板粒子の円相当径と厚みを用いて全
側面における(111)面の比率を計算して求めること
ができる。この場合、平板粒子は該円相当径と厚みを用
いて円柱であると仮定する。この仮定によって総表面積
に対する側面の比率を求めることができる。前述の増感
色素の吸着を用いて求めた(100)面の比率を上記の
側面の比率で割った値に100をかけた値が全側面にお
ける(100)面の比率である。100からその値をひ
けば全側面における(111)面の比率が求まることに
なる。本発明においては全側面における(111)面の
比率が65%以下であると、さらに好ましい。 【0052】本発明においてホスト平板粒子乳剤の全側
面の75%以下を(111)面にする手法について説明
する。最も一般的には、ホスト平板粒子乳剤の側面の
(111)面の比率は平板粒子乳剤の調製時のpBrに
て決定しうる。好ましくは最外層形成に要する銀量の3
0%以上の添加を側面の(111)面の比率が減少、す
なわち側面の(100)面の比率が増加するようなpB
rに設定する。より好ましくは最外層形成に要する銀量
の50%以上の添加を側面の(111)面の比率が減少
するようなpBrに設定する。別の方法として全銀量が
添加された後に、側面の(100)面の比率が増加する
ようなpBrに設定し、熟成をすることによって、その
比率を増加させることも可能である。側面の(100)
面の比率が増加するようなpBrとは、系の温度、p
H、ゼラチン等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲ
ン化銀溶剤の有無、種類、濃度等によりその値は広範に
変化しうる。通常は、好ましくはpBr2.0以上5以
下である。さらに好ましくはpBr2.5以上4.5以
下である。しかしながら、上述したようにこのpBrの
値は例えばハロゲン化銀溶剤等の存在によって容易に変
化しうる。本発明で用いることができるハロゲン化銀溶
剤としては、米国特許第3,271,157号、同第
3,531,286号、同第3,574,628号、特
開昭54−1019号、同54−158917号等に記
載された(a)有機チオエーテル類、特開昭53−82
408号、同55−77737号、同55−2982号
等に記載された(b)チオ尿素誘導体、特開昭53−1
44319号に記載された(c)酸素または硫黄原子と
窒素原子とにはさまれたチオカルボニル基を有するハロ
ゲン化銀溶剤、特開昭54−100717号に記載され
た(d)イミダゾール類、(e)亜硫酸塩、(f)アン
モニア、(g)チオシアネート等があげられる。 【0053】特に好ましい溶剤としては、チオシアネー
ト、アンモニアおよびテトラメチルチオ尿素がある。ま
た用いられる溶剤の量は種類によっても異なるが、例え
ばチオシアネートの場合、好ましい量はハロゲン化銀1
モル当り1×10-4モル以上1×10-2モル以下であ
る。平板粒子乳剤の側面の面指数を変化させる方法とし
て欧州特許第515894A1号等を参考にすることが
できる。また米国特許第5,252,453号等に記載
のポリアルキレンオキサイド化合物を用いることもでき
る。有効な方法として米国特許第4,680,254
号、同第4,680,255号、同第4,680,25
6号ならびに同第4,684,607号等に記載の面指
数改質剤を用いることができる。通常の写真用分光増感
色素も上記と同様な面指数の改質剤として用いることが
できる。本発明において、ホスト平板粒子は転位線を持
たないことが好ましい。以上に詳述した核形成、熟成、
成長工程を組み合わせて用いることにより転位線を消失
させることができる。 【0054】本発明の好ましいエピタキシャル乳剤の調
製に必要なエピタキシャル接合について詳述する。エピ
タキシャル沈着はホスト平板粒子の形成後すぐにおこな
っても良いしホスト平板粒子の形成後、通常の脱塩を行
った後に行っても良い。エピタキシャル沈着前に好まし
くはPAGI法に準じて測定された分子量分布におい
て、分子量約200万以上の高分子量成分が5%以上3
0%以下、かつ分子量約10万以下の低分子量成分が5
5%以下の範囲にあるゼラチンを含有していることが好
ましい。特に好ましくはPAGI法に準じて測定された
分子量分布において、分子量約200万以上の高分子量
成分が5%以上15%以下、かつ分子量約10万以下の
低分子量成分が50%以下の範囲にあるゼラチンを含有
している。高分子量ゼラチンはエピタキシャル接合を行
う時に全ゼラチン量の10質量%以上、好ましくは30
%以上、より好ましくは50%以上含有される。塗布前
までにこのゼラチンを添加しても有効であるが効果は小
さくなる。 【0055】本発明で使用するゼラチンは、下記の各種
修飾処理を施されていても良い。例えば、アミノ基を修
飾したフタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメリ
ットゼラチン、ピロメリットゼラチン、カルボキシル基
を修飾したエステル化ゼラチン、アミド化ゼラチン、イ
ミダゾール基を修飾したホルミル化ゼラチン、メチオニ
ン基を減少させた酸化処理ゼラチンや増加させた還元処
理ゼラチンなどが挙げられる。一方、それ以外の親水性
コロイドも用いることができる。例えば、ゼラチン誘導
体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アル
ブミン、カゼインのような蛋白質;ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫
酸エステル類のようなセルロース誘導体、アルギン酸ソ
ーダ、澱粉誘導体のような糖誘導体;ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N
−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポ
リビニルピラゾールのような単一あるいは共重合体の如
き多種の合成親水性高分子物質を用いることができる。
ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラ
チンやBull.Soc.Sci.Photo.Jap
an.No.16.P30(1966)に記載されたよう
な酵素処理ゼラチンを用いてもよく、また、ゼラチンの
加水分解物や酵素分解物も用いることができる。 【0056】本発明のエピタキシャル乳剤の調製のため
にはpH、pAg、ゼラチン種と濃度、粘度を選択す
る。特にpHは重要であり、好ましくは4以上5.5以
下である。特に好ましくは4.5以上5以下である。こ
のpHに設定することによりエピタキシャル沈着を粒子
間で均一におこなうことができ、本発明の効果が顕著に
なる。 【0057】本発明のエピタキシャル接合の部位指示剤
には増感色素を利用する。用いる色素の量や種類を選択
することによって、エピタキシャルの沈着位置をコント
ロールすることができる。色素は、飽和被覆量の50%
から90%を添加することが好ましい。用いられる色素
には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン
色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色
素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソ
ノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン
色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基性
複素環核としてシアニン色素類に通常利用される核のい
ずれをも適用できる。すなわち、例えば、ピロリン核、
オキサゾリン核、チオゾリン核、ピロール核、オキサゾ
ール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール
核、テトラゾール核、ピリジン核;これらの核に脂環式
炭化水素環が融合した核;及びこれらの核に芳香族炭化
水素環が融合した核、即ち、例えば、インドレニン核、
ベンゾインドレニン核、インドール核、ベンゾオキサド
ール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、
ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイ
ミダゾール核、キノリン核が適用できる。これらの核は
炭素原子上に置換基を有していてもよい。 【0058】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代
表例は米国特許第2,688,545号、同第2,97
7,229号、同第3,397,060号、同第3,5
22,052号、同第3,527,641号、同第3,
617,293号、同第3,628,964号、同第
3,666,480号、同第3,672,898号、同
第3,679,428号、同第3,703,377号、
同第3,769,301号、同第3,814,609
号、同第3,837,862号、同第4,026,70
7号、英国特許第1,344,281号、同第1,50
7,803号、特公昭43−4936号、同53−12
375号、特開昭52−110618号、同52−10
9925号に記載されている。増感色素とともに、それ
自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実質
的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を同
時または別個に添加してもよい。 【0059】増感色素の吸着時にホスト平板粒子の最外
層の極表面層の沃化銀含量を最外層よりもさらに高くし
ておくとエピタキシャル乳剤の調製に好ましい。増感色
素の添加に先立って沃素イオンを添加することが行われ
る。前述したAgI微粒子乳剤を添加してホスト平板粒
子の表面の沃化銀含量を高くすることが好ましく用いら
れる。これにより粒子間の沃化銀含量の分布が均一とな
り増感色素の吸着も均一になる。これにより本発明のエ
ピタキシャル乳剤の調製が可能となる。これら沃素イオ
ンもしくは沃化銀の添加量はホスト平板粒子の銀量で1
モルに対して1×10-4から1×10-2モルの範囲が好
ましく1×10-3から5×10-3モルの範囲が特に好ま
しい。 【0060】エピタキシャル部の形成法はハロゲンイオ
ンを含む溶液とAgNO3を含む溶液の同時添加でも別
々の添加でも良く、ホスト平板粒子よりも粒径の小さな
AgCl微粒子、AgBr微粒子、AgI微粒子の添加、あるいは
それらの混晶粒子の添加等と適宜組み合わせて添加して
形成しても良い。AgNO3溶液を添加する場合は添加
時間は30秒以上10分以内であることが好ましく、1
分以上5分以内が特に好ましい。エピタキシャル乳剤を
形成するためには添加する硝酸銀溶液の濃度は1.5モ
ル/リットル以下の濃度が好ましく特に0.5モル/リ
ットル以下の濃度が好ましい。この時系中の攪拌は効率
良く行う必要があり、系中の粘度は低い方が好ましい。
エピタキシャル部の銀量はホスト平板粒子の銀量の1モ
ル%以上10モル%以下であることが好ましく、2モル
%以上7モル%以下が更に好ましい。少なすぎるとエピ
タキシャル乳剤の調製ができないし、多すぎても不安定
になる。 【0061】エピタキシャル部の形成時のpBrは3.
5以上が好ましく、特に4.0以上が好ましい。温度は
35℃以上45℃以下で行うことが好ましい。このエピ
タキシャル部の形成時に6シアノ金属錯体がドープされ
ているのが好ましい。6シアノ金属錯体のうち、鉄、ル
テニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウ
ム又はクロムを含有するものが好ましい。金属錯体の添
加量は、ハロゲン化銀1モル当たり10-9乃至10-2
ルの範囲であることが好ましく、ハロゲン化銀1モル当
たり10-8乃至10-4モルの範囲であることがさらに好
ましい。金属錯体は、水または有機溶媒に溶かして添加
することができる。有機溶媒は水と混和性を有すること
が好ましい。有機溶媒の例には、アルコール類、エーテ
ル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、及びアミ
ド類が含まれる。 【0062】金属錯体としては、下記式(I)で表され
る6シアノ金属錯体が特に好ましい。6シアノ金属錯体
を使用した乳剤を用いることにより、高感度の感光材料
が得られ、しかも感光材料を長期間保存したときでも被
りの発生を抑制するという効果が得られる。 (I)[M(CN)6n- (式中、Mは鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、
ロジウム、イリジウムまたはクロムであり、nは3また
は4である。)。 【0063】6シアノ金属錯体の具体例を以下に示す。 (I-1) [Fe(CN)64- (I-2) [Fe(CN)63- (I-3) [Ru(CN)64- (I-4) [Os(CN)64- (I-5) [Co(CN)63- (I-6) [Rh(CN)63- (I-7) [Ir(CN)63- (I-8) [Cr(CN)64-。 【0064】6シアノ錯体の対カチオンは、水と混和し
やすく、ハロゲン化銀乳剤の沈殿操作に適合しているイ
オンを用いることが好ましい。対イオンの例には、アル
カリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオ
ン)、アンモニウムイオンおよびアルキルアンモニウム
イオンが含まれる。 【0065】本発明の乳剤はエピタキシャル沈着後に前
述した増感色素および/または後述するかぶり防止剤お
よび/または安定剤を添加することが好ましい。本発明
においてはこの後以降にpBrを下げることが好まし
い。好ましくは40℃でのpBrを3.5以下に下げ
る。より好ましくは本発明の乳剤は40℃でのpBrが
3.0以下であり、特に好ましくは2.5以下である。
pBrの低下はKBr、NaBr等の臭素イオンを添加
することにより基本的に行われる。エピタキシャル沈着
後、通常は水洗を行う。 【0066】水洗の温度は目的に応じて選べるが、5℃
〜50℃の範囲で選ぶことが好ましい。水洗時のpHも目
的に応じて選べるが2〜10の間で選ぶことが好まし
い。さらに好ましくは3〜8の範囲である。水洗時のpA
gも目的に応じて選べるが5〜10の間で選ぶことが好
ましい。水洗の方法としてヌードル水洗法、半透膜を用
いた透析法、遠心分離法、凝析沈降法、イオン交換法の
なかから選んで用いることができる。凝析沈降法の場合
には硫酸塩を用いる方法、有機溶剤を用いる方法、水溶
性ポリマーを用いる方法、ゼラチン誘導体を用いる方法
などから選ぶことができる。 【0067】本発明の乳剤はエピタキシャル沈着後に化
学増感を行うことが好ましい。本発明で好ましく実施し
うる化学増感の一つはカルコゲン増感と貴金属増感の単
独又は組合せであり、ジェームス(T.H.Jame
s)著、ザ・フォトグラフィック・プロセス、第4版、
マクミラン社刊、1977年、(T.H.James、
The Theory of the Photogr
aphic Process,4th ed,Macm
illan,1977)67〜76頁に記載されるよう
に活性ゼラチンを用いて行うことができるし、またリサ
ーチ・ディスクロージャー、120巻、1974年4
月、12008;リサーチ・ディスクロージャー、34
巻、1975年6月、13452、米国特許第2,64
2,361号、同第3,297,446号、同第3,7
72,031号、同第3,857,711、同第3,9
01,714号、同第4,266,018号、および同
第3,904,415号、並びに英国特許第1,31
5,755号に記載されるようにpAg5〜10、pH5〜
8および温度30〜80℃において硫黄、セレン、テル
ル、金、白金、パラジウム、イリジウムまたはこれら増
感剤の複数の組合せとすることができる。貴金属増感に
おいては、金、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金
属塩を用いることができ、中でも特に金増感、パラジウ
ム増感および両者の併用が好ましい。金増感の場合に
は、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオ
ーリチオシアネート、硫化金、金セレナイドのような公
知の化合物を用いることができる。パラジウム化合物は
パラジウム2価塩または4価の塩を意味する。好ましい
パラジウム化合物は、R2PdX6またはR2PdX4で表
わされる。ここでRは水素原子、アルカリ金属原子また
はアンモニウム基を表わす。Xはハロゲン原子を表わし
塩素、臭素または沃素原子を表わす。 【0068】具体的には、K2PdCl4、(NH42
dCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、Li
2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ま
しい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸
塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好まし
い。 【0069】硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化
合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,
711号、同第4,266,018号および同第4,0
54,457号に記載されている硫黄含有化合物を用い
ることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学
増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザ
インデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、
化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大する
ものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤
改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第
3,411,914号、同第3,554,757号、特
開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真
乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。本発
明の乳剤は金増感を併用することが好ましい。金増感剤
の好ましい量としてハロゲン化銀1モル当り1×10-4
〜1×10-7モルであり、さらに好ましいのは1×10
-5〜5×10-7モルである。パラジウム化合物の好まし
い範囲はハロゲン化銀1モル当たり1×10-3から5×
10-7モルである。チオシアン化合物あるいはセレノシ
アン化合物の好ましい範囲はハロゲン化銀1モル当たり
5×10-2から1×10-6モルである。 【0070】本発明において用いるハロゲン化銀粒子に
対して使用する好ましい硫黄増感剤量はハロゲン化銀1
モル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好
ましいのは1×10-5〜5×10-7モルである。 【0071】本発明の乳剤に対して好ましい増感法とし
てセレン増感がある。セレン増感においては、公知の不
安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属
セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチル
セレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケ
トン類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いる
ことができる。セレン増感は硫黄増感あるいは貴金属増
感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好ましい場
合がある。テルル増感においては、不安定テルル化合物
を用い、特開平4−224595号、同4−27134
1号、同4−333043号、同5−303157号、
同6−27573号、同6−175258号、同6−1
80478号、同6−208184号、同6−2081
86号、同6−317867号、同7−140579
号、同7−301879号、同7−301880号など
に記載されている不安定テルル化合物を用いることがで
きる。 【0072】具体的には、ホスフィンテルリド類(例え
ば、ノルマルブチル−ジイソプロピルホスフィンテルリ
ド、トリイソブチルホスフィンテルリド、トリノルマル
ブトキシホスフィンテルリド、トリイソプロピルホスフ
ィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、
ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N
−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビ
ス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)テルリ
ド、ビス(N−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)
テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、テ
ルロ尿素類(例えば、N,N’−ジメチルエチレンテル
ロ尿素)、テルロアミド類、テルロエステル類などを用
いればよい。好ましくはホスフィンテルリド類、ジアシ
ル(ジ)テルリド類である。 【0073】本発明に用いられる写真乳剤には、感光材
料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防
止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の
化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール
類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾー
ル類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミ
ダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプト
チアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカ
プトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール
類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニ
トロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類
(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)、
メルカプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類、例
えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物、ア
ザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラア
ザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3
a,7)テトラアザインデン類)、ペンタアザインデン
類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、
多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許
第3,954,474号、同第3,982,947号、
特公昭52−28660号に記載されたものを用いるこ
とができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−21
2932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤お
よび安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水
洗工程、水洗後の分散時、エピタキシャル形成時、化学
増感前、化学増感中、化学増感後、塗布前のいろいろな
時期に目的に応じて添加することができる。乳剤調製中
に添加して本来のかぶり防止および安定化効果を発現す
る以外に、粒子の晶壁を制御する、粒子サイズを小さく
する、粒子の溶解性を減少させる、化学増感を制御す
る、色素の配列を制御するなど多目的に用いることがで
きる。 【0074】本発明の乳剤調製時、例えば粒子形成時、
エピタキシャル形成時、脱塩工程、化学増感時、塗布前
に金属イオンの塩を存在させることは目的に応じて好ま
しい。粒子にドープする場合には粒子形成時、粒子表面
の修飾あるいは化学増感剤として用いる時は粒子形成
後、化学増感終了前に添加することが好ましい。粒子全
体にドープする場合と粒子のコアー部のみ、あるいはシ
ェル部のみにドープする方法も選べる。例えば、Mg、
Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Y、La、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、R
h、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Au、Cd、H
g、Tl、In、Sn、Pb、Biを用いることができ
る。これらの金属はアンモニウム塩、酢酸塩、硝酸塩、
硫酸塩、燐酸塩、水酸塩あるいは6配位錯塩、4配位錯
塩など粒子形成時に溶解させることができる塩の形であ
れば添加できる。例えば、CdBr2、CdCl2、Cd
(NO3 2、Pb(NO32、Pb(CH3CO
O)2、K3[Fe(CN)6]、(NH4 4[Fe(C
N)6]、K3IrCl6、(NH43RhCl6、K4
u(CN)6があげられる。配位化合物のリガンドとし
てハロ、アコ、シアノ、シアネート、チオシアネート、
ニトロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルのな
かから選ぶことができる。これらは金属化合物を1種類
のみ用いてもよいが2種あるいは3種以上を組み合せて
用いてよい。 【0075】金属化合物は水またはメタノール、アセト
ンのような適当な有機溶媒に溶かして添加するのが好ま
しい。溶液を安定化するためにハロゲン化水素水溶液
(例えば、HCl、HBr)あるいはハロゲン化アルカ
リ(例えば、KCl、NaCl、KBr、NaBr)を
添加する方法を用いることができる。また必要に応じ酸
・アルカリなどを加えてもよい。金属化合物は粒子形成
前の反応容器に添加しても粒子形成の途中で加えること
もできる。また水溶性銀塩(例えば、AgNO3)ある
いはハロゲン化アルカリ水溶液(例えば、NaCl、K
Br、KI)に添加しハロゲン化銀粒子形成中連続して
添加することもできる。さらに水溶性銀塩、ハロゲン化
アルカリとは独立の溶液を用意し粒子形成中の適切な時
期に連続して添加してもよい。さらに種々の添加方法を
組み合せるのも好ましい。 【0076】本発明のハロゲン化銀写真乳剤を粒子形成
中、粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、
あるいは化学増感後に還元増感することは好ましい。こ
こで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤に還元増感剤を
添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰
囲気で成長あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれ
るpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あるいは熟成させる
方法のいずれを選ぶこともできる。また2つ以上の方法
を併用することもできる。 還元増感剤を添加する方法
は還元増感のレベルを微妙に調節できる点で好ましい方
法である。 【0077】還元増感剤としては、例えば、第一錫塩、
アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよびポリア
ミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン
酸、シラン化合物、ボラン化合物が公知である。本発明
において用いる還元増感にはこれら公知の還元増感剤を
選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用
することもできる。還元増感剤としては塩化第一錫、二
酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸
およびその誘導体が好ましい化合物である。還元増感剤
の添加量は乳剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必
要があるが、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-3
ルの範囲が適当である。還元増感剤は、例えば、水ある
いはアルコール類、グリコール類、ケトン類、エステル
類、アミド類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添
加される。あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、
粒子成長の適当な時期に添加する方法が好ましい。また
水溶性銀塩あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性に
あらかじめ還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液
を用いてハロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また
粒子成長に伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添
加しても連続して長時間添加するのも好ましい方法であ
る。 【0078】本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸
化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、
金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する
化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および
化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子
を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここ
で生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化
銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよ
く、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよ
い。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物で
あってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾ
ン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2
・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na42
7・2H22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ペ
ルオキシ酸塩(例えば、K228、K226、K22
8)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[Ti(O
2)C2 4]・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH
・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C242
・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、
クロム酸塩(例えば、K2Cr27 )のような酸素酸
塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、過ハロゲン酸塩
(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属の塩
(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)およびチオ
スルフォン酸塩がある。 【0079】また、有機の酸化剤としては、p−キノン
のようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過
酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−
ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)
が例として挙げられる。本発明において用いる好ましい
酸化剤は、オゾン、過酸化水素およびその付加物、ハロ
ゲン元素、チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン
類の有機酸化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸
化剤を併用するのは好ましい態様である。酸化剤を用い
たのち還元増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者
を同時に共存させる方法のなかから選んで用いることが
できる。これらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程
でも選んで用いることができる。本発明で得られるハロ
ゲン化銀乳剤を用いて製造される感光材料は、支持体上
に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲン化銀
乳剤層を各々少なくとも1層設けられており、青感色性
層、緑感色性層及び赤感色性層のうち、少なくとも1つ
が、感度の互いに異なる2層以上から構成されていれば
よく、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層の層数およ
び層順に特に制限はない。典型的な例としては、支持体
上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複
数のハロゲン化銀乳剤層から成る感色性層を少なくとも
1つ有するハロゲン化銀写真感光材料であり、該感光性
層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を
有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写
真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、
支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性層
の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が
逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が
挾まれたような設置順をもとり得る。 【0080】上記のハロゲン化銀感光性層の間および最
上層、最下層には各層の中間層等の非感光性層を設けて
もよい。該中間層には、特開昭61−43748号、同
59−113438号、同59−113440号、同6
1−20037号、同61−20038号に記載される
ようなカプラー、DIR化合物が含まれていてもよく、
通常用いられるように混色防止剤を含んでいてもよい。
各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層
は、西独特許第1,121,470号あるいは英国特許
第923,045号に記載されるように高感度乳剤層、
低感度乳剤層の2層構成を好ましく用いることができ
る。通常は、支持体に向かって順次感光度が低くなる様
に配列するのが好ましく、また各ハロゲン乳剤層の間に
は非感光性層が設けられていてもよい。また、特開昭5
7−112751号、同62−200350号、同62
−206541号、同62−206543号に記載され
ているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持
体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。 【0081】具体例として支持体から最も遠い側から、
例えば低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層
(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性
層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光
性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/R
H/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/
RHの順等に設置することができる。また特公昭55−
34932号公報に記載されているように、支持体から
最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの
順に配列することもできる。また特開昭56−2573
8号、同62−63936号明細書に記載されているよ
うに、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/R
L/GH/RHの順に設置することもできる。また特公
昭49−15495号に記載されているように上層を最
も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも
低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更
に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に
向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層か
ら構成される配列が挙げられる。このような感光度の異
なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202
464号に記載されているように、同一感色性層中にお
いて支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤
層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。 その他、
高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは
低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層などの順に
配置されていてもよい。 【0082】また、4層以上の場合にも、上記の如く配
列を変えてよい。上記のように、それぞれの感光材料の
目的に応じて種々の層構成、配列を選択することができ
る。本発明に関する感光材料には、前記の種々の添加剤
が用いられるが、それ以外にも目的に応じて種々の添加
剤を用いることができる。 【0083】これらの添加剤は、より詳しくはリサーチ
・ディスクロージャー Item17643(1978
年12月)、同 Item 18716(1979年1
1月)および同 Item 308119(1989年
12月)に記載されており、その該当個所を後掲の表に
まとめて示した。 添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119 1 化学増感剤 23頁 648 頁右欄 996 頁 2 感度上昇剤 同 上 3 分光増感剤、 23〜24頁 648 頁右欄〜 996 右〜998右 強色増感剤 649 頁右欄 4 増 白 剤 24頁 647 頁右欄 998 右 5 かぶり防止剤、 24〜25頁 649 頁右欄 998 右〜1000右 および安定剤 6 光吸収剤、 25〜26頁 649 頁右欄〜 1003左〜1003右 フィルター染料、 650 頁左欄 紫外線吸収剤 7 ステイン防止剤 25頁右欄 650 左〜右欄 1002右 8 色素画像安定剤 25頁 1002右 9 硬 膜 剤 26頁 651 頁左欄 1004右〜1005左 10 バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右 11 可塑剤、潤滑剤 27頁 650 頁右欄 1006左〜1006右 12 塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左 表面活性剤 13 スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左 防 止 剤 14 マット剤 1008左〜1009左。 【0084】また、ホルムアルデヒドガスによる写真性
能の劣化を防止するために、米国特許4,411,98
7号や同第4,435,503号に記載されたホルムア
ルデヒドと反応して、固定化できる化合物を感光材料に
添加することが好ましい。本発明には種々のカラーカプ
ラーを使用することができ、その具体例は前出のリサー
チ・ディスクロージャーNo.17643、VII−C〜
G、および同No.307105、VII−C〜Gに記載さ
れた特許に記載されている。イエローカプラーとして
は、例えば米国特許第3,933,501号、同第4,
022,620号、同第4,326,024号、同第
4,401,752号、同第4,248,961号、特
公昭58−10739号、英国特許第1,425,02
0号、同第1,476,760号、米国特許第3,97
3,968号、同第4,314,023号、同第4,5
11,649号、欧州特許第249,473A号、等に
記載のものが好ましい。 【0085】マゼンタカプラーとしては5−ピラゾロン
系及びピラゾロアゾール系の化合物が好ましく、米国特
許第4,310,619号、同第4,351,897
号、欧州特許第73,636号、米国特許第3,06
1,432号、同第3,725,067号、リサーチ・
ディスクロージャーNo.24220(1984年6
月)、特開昭60−33552号、リサーチ・ディスク
ロージャーNo.24230(1984年6月)、特開昭
60−43659号、同61−72238号、同60−
35730号、同55−118034号、同60−18
5951号、米国特許第4,500,630号、同第
4,540,654号、同第4,556,630号、国
際公開WO88/04795号に記載のものが特に好ま
しい。シアンカプラーとしては、フェノール系及びナフ
トール系カプラーが挙げられ、米国特許第4,052,
212号、同第4,146,396号、同第4,22
8,233号、同第4,296,200号、同第2,3
69,929号、同第2,801,171号、同第2,
772,162号、同第2,895,826号、同第
3,772,002号、同第3,758,308号、同
第4,334,011号、同第4,327,173号、
西独特許公開第3,329,729号、欧州特許第12
1,365A号、同第249,453A号、米国特許第
3,446,622号、同第4,333,999号、同
第4,775,616号、同第4,451,559号、
同第4,427,767号、同第4,690,889
号、同第4,254,212号、同第4,296,19
9号、特開昭61−42658号等に記載のものが好ま
しい。 【0086】ポリマー化された色素形成カプラーの典型
例は、米国特許第3,451,820号、同第4,08
0,211号、同第4,367,282号、同第4,4
09,320号、同第4,576,910号、英国特許
第2,102,137号、欧州特許第341,188A
号に記載されている。発色色素が適度な拡散性を有する
カプラーとしては、米国特許第4,366,237号、
英国特許第2,125,570号、欧州特許第96,5
70号、西独特許(公開)第3,234,533号に記
載のものが好ましい。発色色素の不要吸収を補正するた
めのカラード・カプラーは、リサーチ・ディスクロージ
ャーNo.17643のVII−G項、同No.307105
のVII−G項、米国特許第4,163,670号、特公
昭57−39413号、米国特許第4,004,929
号、同第4,138,258号、英国特許第1,14
6,368号に記載のものが好ましい。また、米国特許
第4,774,181号に記載のカップリング時に放出
された蛍光色素により発色色素の不要吸収を補正するカ
プラーや、米国特許第4,777,120号に記載の現
像主薬と反応して色素を形成しうる色素プレカーサー基
を離脱基として有するカプラーを用いることも好まし
い。 【0087】カップリングに伴って写真的に有用な残基
を放出する化合物もまた本発明で好ましく使用できる。
現像抑制剤を放出するDIRカプラーは、前述のRD1
7643、VII −F項及び同No.307105、VII −
F項に記載された特許、特開昭57−151944号、
同57−154234号、同60−184248号、同
63−37346号、同63−37350号、米国特許
第4,248,962号、同第4,782,012号に
記載されたものが好ましい。現像時に画像状に造核剤も
しくは現像促進剤を放出するカプラーとしては、英国特
許第2,097,140号、同第2,131,188
号、特開昭59−157638号、同59−17084
0号に記載のものが好ましい。また、特開昭60−10
7029号、同60−252340号、特開平1−44
940号、同1−45687号に記載の現像主薬の酸化
体との酸化還元反応により、かぶらせ剤、現像促進剤、
ハロゲン化銀溶剤等を放出する化合物も好ましい。その
他、本発明の感光材料に用いることのできる化合物とし
ては、米国特許第4,130,427号等に記載の競争
カプラー、米国特許第4,283,472号、同第4,
338,393号、同第4,310,618号等に記載
の多当量カプラー、特開昭60−185950号、特開
昭62−24252号等に記載のDIRレドックス化合
物放出カプラー、DIRカプラー放出カプラー、DIR
カプラー放出レドックス化合物もしくはDIRレドック
ス放出レドックス化合物、欧州特許第173,302A
号、同第313,308A号に記載の離脱後復色する色
素を放出するカプラー、RD.No.11449、同24
241、特開昭61−201247号等に記載の漂白促
進剤放出カプラー、米国特許第4,555,477号等
に記載のリガンド放出カプラー、特開昭63−7574
7号に記載のロイコ色素を放出するカプラー、米国特許
第4,774,181号に記載の蛍光色素を放出するカ
プラーが挙げられる。 【0088】本発明に使用するカプラーは、種々の公知
の分散方法により感光材料に導入できる。水中油滴分散
法に用いられる高沸点溶媒の例は、例えば、米国特許第
2,322,027号に記載されている。水中油滴分散
法に用いられる常圧での沸点が175℃以上の高沸点有
機溶剤の具体例としては、フタル酸エステル類(例え
ば、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレー
ト、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレ
ート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)
フタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェ
ニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピ
ル)フタレート);リン酸またはホスホン酸のエステル
類(例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェ
ート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エ
チルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェー
ト、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロプロ
ピルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホ
スホネート);安息香酸エステル類(例えば、2−エチ
ルヘキシルベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−
エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート);アミ
ド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,
N−ジエチルラウリルアミド、N−テトラデシルピロリ
ドン);アルコール類またはフェノール類(例えば、イ
ソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミ
ルフェノール);脂肪族カルボン酸エステル類(例え
ば、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチ
ルアゼレート、グリセロールトリブチレート、イソステ
アリルラクテート、トリオクチルシトレート);アニリ
ン誘導体(例えば、N,N−ジブチル−2−ブトキシ−
5−tert−オクチルアニリン);炭化水素類(例え
ば、パラフィン、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナ
フタレン)を例示することができる。また補助溶剤とし
ては、例えば、沸点が約30℃以上、好ましくは50℃
以上かつ約160℃以下の有機溶剤が使用でき、典型例
としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオ
ン酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、
2−エトキシエチルアセテート、ジメチルホルムアミド
が挙げられる。ラテックス分散法の工程、効果および含
浸用ラテックスの具体例は、例えば、米国特許第4,1
99,363号、西独特許出願(OLS)第2,54
1,274号および、同第2,541,230号に記載
されている。 【0089】本発明のカラー感光材料中には、フェネチ
ルアルコールや特開昭63−257747号、同62−
272248号、および特開平1−80941号に記載
の、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オ
ン、n−ブチル−p−ヒドロキシベンゾエート、フェノ
ール、4−クロル−3,5−ジメチルフェノール、2−
フェノキシエタノール、2−(4−チアゾリル)ベンゾ
イミダゾールのような各種の防腐剤もしくは防黴剤を添
加することが好ましい。本発明は種々の感光材料に適用
することができるが、種々のカラー感光材料に適用する
場合が好ましい。例えば、一般用もしくは映画用のカラ
ーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー
反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムお
よびカラー反転ペーパーを代表例として挙げることがで
きる。本発明は、カラーデュープ用フィルムにも特に好
ましく使用できる。本発明に使用できる適当な支持体
は、例えば、前述のRD.No.17643の28頁、
同No.18716の647頁右欄から648頁左欄、
および同No.307105の879頁に記載されてい
る。 【0090】本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の
全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下である
ことが好ましく、23μm以下がより好ましく、18μ
m以下が更に好ましく、16μm以下が特に好ましい。
また膜膨潤速度T1/2が30秒以下が好ましく、20秒
以下がより好ましい。ここでの膜厚は、25℃相対湿度
55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味する。ま
た、膜膨潤速度T1/2は当該技術分野において公知の手
法に従って測定することができ、例えばエー・グリーン
(A.Green)らによりフォトグラフィック・サイ
エンス・アンド・エンジニアリング(Photogr.
Sci.Eng.)、19巻、2号、124〜129頁
に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用すること
により測定できる。なお、T1/2は発色現像液で30
℃、3分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の9
0%を飽和膜厚とし、飽和膜厚の1/2に到達するまで
の時間と定義する。 【0091】膜膨潤速度T1/2は、バインダーとしての
ゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時
条件を変えることによって調整することができる。本発
明の感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜
厚の総和が2μm〜20μmの親水性コロイド層(バッ
ク層と称す)を設けることが好ましい。このバック層に
は、例えば、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線
吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑
剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが
好ましい。このバック層の膨潤率は150〜500%が
好ましい。本発明に従ったカラー写真感光材料は、前述
のRD.No.17643の28〜29頁、同No.1
8716の651頁左欄〜右欄、および同No.307
105の880〜881頁に記載された通常の方法によ
って現像処理することができる。 【0092】本発明の感光材料の現像処理に用いる発色
現像液は、好ましくは芳香族第一級アミン系発色現像主
薬を主成分とするアルカリ性水溶液である。この発色現
像主薬としては、アミノフェノール系化合物も有用であ
るが、p−フェニレンジアミン系化合物が好ましく使用
され、その代表例としては3−メチル−4−アミノ−
N,Nジエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N
−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリン、3−メ
チル−4−アミノ−N−エチル−N−β−メタンスルホ
ンアミドエチルアニリン、3−メチル−4−アミノ−N
−エチル−β−メトキシエチルアニリン、及びこれらの
硫酸塩、塩酸塩もしくはp−トルエンスルホン酸塩など
が挙げられる。これらの中で、特に、3−メチル−4−
アミノ−N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアニリ
ンの硫酸塩が好ましい。これらの化合物は目的に応じ2
種以上併用することもできる。発色現像液は、例えば、
アルカリ金属の炭酸塩、ホウ酸塩もしくはリン酸塩のよ
うなpH緩衝剤、塩化物塩、臭化物塩、沃化物塩、ベン
ズイミダゾール類、ベンゾチアゾール類もしくはメルカ
プト化合物のような現像抑制剤またはかぶり防止剤を含
むのが一般的である。また必要に応じて、ヒドロキシル
アミン、ジエチルヒドロキシルアミン、亜硫酸塩、N,
N−ビスカルボキシメチルヒドラジンの如きヒドラジン
類、フェニルセミカルバジド類、トリエタノールアミ
ン、カテコールスルホン酸類の如き各種保恒剤;エチレ
ングリコール、ジエチレングリコールのような有機溶
剤;ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、四
級アンモニウム塩、アミン類のような現像促進剤;色素
形成カプラー、競争カプラー、1−フェニル−3−ピラ
ゾリドンのような補助現像主薬;粘性付与剤;アミノポ
リカルボン酸、アミノポリホスホン酸、アルキルホスホ
ン酸、ホスホノカルボン酸に代表されるような各種キレ
ート剤を用いることができる。キレート剤としては、例
えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリル三酢酸、ジエ
チレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジアミン四酢
酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、1−ヒドロキシエ
チリデン−1,1−ジホスホン酸、ニトリロ−N,N,
N−トリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,
N,N,N−テトラメチレンホスホン酸、エチレンジア
ミン−ジ(o−ヒドロキシフェニル酢酸)及びそれらの
塩を代表例として挙げることができる。 【0093】また、反転処理を実施する場合は、通常黒
白現像を行なってから発色現像する。この黒白現像液に
は、例えば、ハイドロキノンのようなジヒドロキシベン
ゼン類、例えば、1−フェニル−3−ピラゾリドンのよ
うな3−ピラゾリドン類、または例えば、N−メチル−
p−アミノフェノールのようなアミノフェノール類の公
知の黒白現像主薬を単独であるいは組み合わせて用いる
ことができる。これらの発色現像液及び黒白現像液のp
Hは、9〜12であることが一般的である。また、これ
らの現像液の補充量は、処理するカラー写真感光材料に
もよるが、一般に感光材料1平方メートル当たり3リッ
トル(以下、リットルを「L」とも表記する。)以下で
あり、補充液中の臭化物イオン濃度を低減させておくこ
とにより500ミリリットル(以下、ミリリットルを
「mL」とも表記する。)以下にすることもできる。補
充量を低減する場合には、処理液の空気との接触面積を
小さくすることによって液の蒸発、空気酸化を防止する
ことが好ましい。 【0094】処理槽での写真処理液と空気との接触面積
は、以下に定義する開口率で表わすことができる。即
ち、 開口率=[処理液と空気との接触面積(cm2)]÷[処理
液の容量(cm3)]。 上記の開口率は0.1以下であることが好ましく、より
好ましくは0.001〜0.05である。このように開
口率を低減させる方法としては、処理槽の写真処理液面
に、例えば浮き蓋のような遮蔽物を設ける方法に加え
て、特開平1−82033号に記載された可動蓋を用い
る方法、特開昭63−216050号に記載されたスリ
ット現像処理方法を挙げることができる。開口率を低減
させることは、発色現像及び黒白現像の両工程のみなら
ず、後続の諸工程、例えば、漂白、漂白定着、定着、水
洗、安定化の全ての工程において適用することが好まし
い。また、現像液中の臭化物イオンの蓄積を抑える手段
を用いることにより、補充量を低減することもできる。 【0095】発色現像処理の時間は通常2〜5分の間で
設定されるが、高温高pHとし、かつ発色現像主薬を高
濃度に使用することにより、更に処理時間の短縮を図る
こともできる。発色現像後の写真乳剤層は通常漂白処理
される。漂白処理は定着処理と同時に行なわれてもよい
し(漂白定着処理)、個別に行なわれてもよい。更に処
理の迅速化を図るため、漂白処理後に漂白定着処理する
処理方法でもよい。さらに、二槽の連続した漂白定着浴
で処理すること、漂白定着処理の前に定着処理するこ
と、又は漂白定着処理後に漂白処理することも目的に応
じ任意に実施できる。漂白剤としては、例えば、鉄(II
I)のような多価金属の化合物、過酸類(特に、過硫酸ソ
ーダは映画用カラーネガフィルムに適する)、キノン
類、ニトロ化合物が用いられる。代表的漂白剤として
は、鉄(III)の有機錯塩、例えば、エチレンジアミン四
酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、シクロヘキサンジ
アミン四酢酸、メチルイミノ二酢酸、1,3−ジアミノ
プロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸の
ようなアミノポリカルボン酸類との錯塩、または、例え
ば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸との錯塩を用いること
ができる。これらのうち、エチレンジアミン四酢酸鉄
(III)錯塩、及び1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄
(III)錯塩をはじめとするアミノポリカルボン酸鉄(II
I)錯塩は、迅速処理と環境汚染防止の観点から好まし
い。さらに、アミノボリカルボン酸鉄(III)錯塩は、漂
白液においても、漂白定着液においても特に有用であ
る。これらのアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩を用い
た漂白液又は漂白定着液のpHは通常4.0〜8である
が、処理の迅速化のためにさらに低いpHで処理するこ
ともできる。 【0096】漂白液、漂白定着液及びそれらの前浴に
は、必要に応じて漂白促進剤を使用することができる。
有用な漂白促進剤の具体例は、次の明細書に記載されて
いる:例えば、米国特許第3,893,858号、西独
特許第1,290,812号、同第2,059,988
号、特開昭53−32736号、同53−57831
号、同53−37418号、同53−72623号、同
53−95630号、同53−95631号、同53−
104232号、同53−124424号、同53−1
41623号、同53−18426号、リサーチ・ディ
スクロージャーNo.17129号(1978号7月)
に記載のメルカプト基またはジスルフィド基を有する化
合物;特開昭51−140129号に記載のチアゾリジ
ン誘導体;特公昭45−8506号、特開昭52−20
832号、同53−32735号、米国特許第3,70
6,561号に記載のチオ尿素誘導体、西独特許第1,
127,715号、特開昭58−16235号に記載の
沃化物塩;西独特許第966,410号、同第2,74
8,430号に記載のポリオキシエチレン化合物類;特
公昭45−8836号に記載のポリアミン化合物;その
他特開昭49−40943号、同49−59644号、
同53−94927号、同54−35727号、同55
−26506号、同58−163940号記載の化合
物;臭化物イオン等が使用できる。なかでも、メルカプ
ト基またはジスルフィド基を有する化合物が促進効果が
大きい観点で好ましく、特に米国特許第3,893,8
58号、西独特許第1,290,812号、特開昭53
−95630号に記載の化合物が好ましい。更に、米国
特許第4,552,884号に記載の化合物も好まし
い。これらの漂白促進剤は感材中に添加してもよい。撮
影用のカラー感光材料を漂白定着するときに、これらの
漂白促進剤は特に有効である。 【0097】漂白液や漂白定着液には上記の化合物の他
に、漂白ステインを防止する目的で有機酸を含有させる
ことが好ましい。特に好ましい有機酸は、酸解離定数
(pKa)が2〜5である化合物で、具体的には、例え
ば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸を挙げること
ができる。定着液や漂白定着液に用いられる定着剤とし
ては、例えば、チオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエー
テル系化合物、チオ尿素類、多量の沃化物塩を挙げるこ
とができる。このなかではチオ硫酸塩の使用が一般的で
あり、特にチオ硫酸アンモニウムが最も広範に使用でき
る。また、チオ硫酸塩と、例えば、チオシアン酸塩、チ
オエーテル系化合物、チオ尿素の併用も好ましい。定着
液や漂白定着液の保恒剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸
塩、カルボニル重亜硫酸付加物あるいは欧州特許第29
4,769A号に記載のスルフィン酸化合物が好まし
い。更に、定着液や漂白定着液には、液の安定化の目的
で、各種アミノポリカルボン酸類や有機ホスホン酸類の
添加が好ましい。 【0098】本発明において、定着液または漂白定着液
には、pH調整のためにpKaが6.0〜9.0の化合
物、好ましくはイミダゾール、1−メチルイミダゾー
ル、1−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール
の如きイミダゾール類を0.1〜10モル/L添加する
ことが好ましい。脱銀工程の時間の合計は、脱銀不良が
生じない範囲で短い方が好ましい。好ましい時間は1分
〜3分、更に好ましくは1分〜2分である。また、処理
温度は25℃〜50℃、好ましくは35℃〜45℃であ
る。好ましい温度範囲においては脱銀速度が向上し、か
つ処理後のステイン発生が有効に防止される。脱銀工程
においては、撹拌ができるだけ強化されていることが好
ましい。撹拌強化の具体的な方法としては、特開昭62
−183460号に記載の感光材料の乳剤面に処理液の
噴流を衝突させる方法や、特開昭62−183461号
に回転手段を用いて撹拌効果を上げる方法が挙げられ
る。更には、液中に設けられたワイパーブレードと乳剤
面を接触させながら感光材料を移動させ、乳剤表面を乱
流化することによってより撹拌効果を向上させる方法
や、処理液全体の循環流量を増加させる方法が挙げられ
る。このような撹拌向上手段は、漂白液、漂白定着液、
定着液のいずれにおいても有効である。撹拌の向上は、
乳剤膜中への漂白剤および、定着剤の供給を速め、結果
として脱銀速度を高めるものと考えられる。また、前記
の撹拌向上手段は漂白促進剤を使用した場合により有効
であり、促進効果を著しく増加させたり、漂白促進剤に
より定着阻害作用を解消させることができる。 【0099】本発明の感光材料の現像に用いられる自動
現像機は、特開昭60−191257号、同60−19
1258号、同60−191259号に記載の感光材料
搬送手段を有していることが好ましい。前記の特開昭6
0−191257号に記載のとおり、このような搬送手
段は前浴から後浴への処理液の持込みを著しく削減で
き、処理液の性能劣化を防止する効果が高い。このよう
な効果は、各工程における処理時間の短縮や処理液補充
量の低減に特に有効である。本発明のハロゲン化銀カラ
ー写真感光材料は、脱銀処理後、水洗及び/又は安定工
程を経るのが一般的である。水洗工程での水洗水量は、
感光材料の特性(例えば、カプラーのような使用素材に
よる)、用途、更には、例えば、水洗水温、水洗タンク
の数(段数)、向流、順流のような補充方式、その他種
々の条件に応じて広範囲に設定し得る。このうち、多段
向流方式における水洗タンク数と水量の関係は、Jou
rnal of the Society of Mo
tion Picture and Televisi
on Engineers 第64巻、P.248〜2
53(1955年5月号)に記載の方法で求めることが
できる。 【0100】前記文献に記載の多段向流方式によれば、
水洗水量を大幅に減少し得るが、タンク内における水の
滞留時間の増加によりバクテリアが繁殖し、生成した浮
遊物が感光材料に付着するというような問題が生じる。
本発明のカラー感光材料の処理おいては、このような問
題の解決策として、特開昭62−288838号に記載
のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる
方法を極めて有効に用いることができる。また、特開昭
57−8542号に記載の、例えば、イソチアゾロン化
合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸
ナトリウムのような塩素系殺菌剤、その他、例えば、ベ
ンゾトリアゾールのような、堀口博著「防菌防黴剤の化
学」(1986年)三共出版、衛生技術会編「微生物の
滅菌、殺菌、防黴技術」(1982年)工業技術会、日
本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」(1986年)に
記載の殺菌剤を用いることもできる。本発明の感光材料
の処理おける水洗水のpHは、4〜9、好ましくは5〜
8である。水洗水温および水洗時間も、例えば感光材料
の特性、用途に応じて種々設定し得るが、一般には、1
5〜45℃で20秒〜10分、好ましくは25〜40℃
で30秒〜5分の範囲が選択される。更に、本発明の感
光材料は、上記水洗に代えて、直接安定液によって処理
することもできる。このような安定化処理においては、
特開昭57−8543号、同58−14834号、同6
0−220345号に記載の公知の方法はすべて用いる
ことができる。 【0101】また、前記水洗処理に続いて、更に安定化
処理する場合もある。その例として、撮影用カラー感光
材料の最終浴として使用される、色素安定化剤と界面活
性剤を含有する安定浴を挙げることができる。色素安定
化剤としては、例えば、ホルマリンやグルタルアルデヒ
ドのようなアルデヒド類、N−メチロール化合物、ヘキ
サメチレンテトラミンあるいはアルデヒド亜硫酸酸付加
物を挙げることができる。この安定浴にも、各種キレー
ト剤や防黴剤を加えることができる。上記水洗及び/又
は安定液の補充に伴うオーバーフロー液は脱銀工程のよ
うな他の工程において再利用することもできる。例えば
自動現像機を用いた処理において、上記の各処理液が蒸
発により濃縮化する場合には、水を加えて濃縮補正する
ことが好ましい。本発明のハロゲン化銀カラー写真感光
材料には、処理の簡略化及び迅速化の目的で発色現像主
薬を内蔵させても良い。内蔵させるためには、発色現像
主薬の各種プレカーサーを用いるのが好ましい。例え
ば、米国特許第3,342,597号記載のインドアニ
リン系化合物、例えば、同第3,342,599号、リ
サーチ・ディスクロージャーNo.14,850及び同
No.15,159に記載のシッフ塩基型化合物、同N
o.13,924に記載のアルドール化合物、米国特許
第3,719,492号に記載の金属塩錯体、特開昭5
3−135628号に記載のウレタン系化合物を挙げる
ことができる。本発明のハロゲン化銀カラー感光材料
は、必要に応じて、発色現像を促進する目的で、各種の
1−フェニル−3−ピラゾリドン類を内蔵しても良い。
典型的な化合物は、例えば、特開昭56−64339
号、同57−144547号、および同58−1154
38号に記載されている。 【0102】本発明における各種処理液は、10℃〜5
0℃において使用される。通常は33℃〜38℃の温度
が標準的であるが、より高温にして処理を促進し処理時
間を短縮したり、逆により低温にして画質の向上や処理
液の安定性の改良を達成することができる。また、本発
明のハロゲン化銀感光材料は、米国特許第4,500,
626号、特開昭60−133449号、同59−21
8443号、同61−238056号、欧州特許第21
0,660A2号などに記載されている熱現像感光材料
にも適用できる。また、本発明のハロゲン化銀カラー写
真感光材料は、特公平2−32615号、実公平3−3
9784号などに記載されているレンズ付きフィルムユ
ニットに適用した場合に、より効果を発現しやすく有効
である。 【0103】 【実施例】以下に実施例をもって本発明を具体的に説明
する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例−1)本発明の乳剤製造方法について詳しく説
明する。 (乳剤aの調製)KBr0.9g、平均分子量2000
0の低分子量酸化処理ゼラチン4.2gを含む水溶液1
192mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO3(1.
0g)水溶液33.4mlとKBr(0.9g)と平均
分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン(0.3
7g)を含む水溶液53.1mlを52秒間に渡り添加
した。75℃昇温後、KBr1.83gを含む水溶液1
8mlを添加した後、平均分子量100000の琥珀化
ゼラチン16gを含む水溶液130mlを添加した後、
カテコ−ルヂスルホン酸ナトリウム塩を12g含む水溶
液200mlを添加した。その後、第1成長としてAg
NO3(136.0g)水溶液854mlと等モルのK
Brと分子量15000の低分子量酸化処理ゼラチン
(81.6g)水溶液(KI3モル%含む)を図2に示
した密閉型攪拌槽の槽壁を貫通する回転軸をもたず、磁
気カップリングで連結される攪拌羽根を逆向きに回転す
る混合器に添加して調製したハロゲン化銀微粒子を連続
的に反応容器に添加した。銀電位はKBr溶液を別途添
加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添
加した微粒子の数平均円相当径は0.019μm,円相
当径の変動係数は35%、双晶粒子数比率は14%であ
った。ここまでの成長によって、平板粒子の平均厚みは
0.047μmとなった。途中で6塩化イリジウムカリ
ウム(0.2mg)を含む水溶液10mlを添加した。
AgNO3 の添加終了時にベンゼンチオスルホン酸ナト
リウム(2mg)を含む水溶液10mlを添加した。そ
の後、液容量が608mlとなるようにかい出しを行っ
た。次に、第2成長としてAgNO3水溶液(82.7
g)689mlと等モル濃度のKBrと分子量1500
0の低分子量酸化処理ゼラチン(49.6g)水溶液
(KI3モル%)を第1成長同様の混合器を用いて調製
し、反応容器に添加した。銀電位はKBr溶液を別途添
加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添
加した微粒子の数平均円相当径は0.025μm,円相
当径の変動係数は31%、双晶粒子数比率は12%であ
った。ここまでの成長によって、平板粒子の平均厚みは
0.061μmとなった。さらに、第3成長としてAg
NO3水溶液(83.0g)519mlと等モル濃度のK
Brと分子量15000の低分子量酸化処理ゼラチン
(49.8g)水溶液(KI3モル%))を第1成長同
様の混合器を用いて調製し、反応容器に添加した。銀電
位はKBr溶液を別途添加して、飽和カロメル電極に対
して0mVに保った。添加した微粒子の数平均円相当径
は0.028μm,円相当径の変動係数は32%、双晶
粒子数比率は15%であった。 【0104】この後、ゼラチン11gを含む水溶液10
0mlを添加した。このゼラチンは牛骨を原料とするア
ルカリ処理オセイン1番抽出ゼラチン(PAGI法によ
り測定された分子量分布は、高分子量成分が2.5%、
低分子量成分が60.0%)を、架橋したゼラチンであ
る。PAGI法により測定された分子量分布は、高分子
量成分が12.4%、低分子量成分が48.3%であ
る。温度を40℃に降温した後、フェノキシエタノ−ル
5.97mlを添加し、さらにKI(0.16g)水溶
液20mlを添加した。増感色素I、II、IIIを69:
30:1のモル比で飽和被覆量の70%の比率で添加し
た。但し増感色素は、特開平11−52507号に記載
の方法で作成した固体微分散物として、使用した。すな
わち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナトリウム
3.2質量部をイオン交換水43質量部に溶解し、増感
色素13質量部を添加し、60℃の条件下でディゾルバ
ー翼を用い2000rpmで20分間分散することによ
り、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシアノルテニ
ウム(II)酸カリウム(2.0mg)を含む水溶液15
mlを添加した後、AgNO3 (7.77g)水溶液1
00mlとKBr(2.85g)とKI(0.54g)
とNaCl(2.35g)を含む水溶液100mlを2
分間に渡ってダブルジェット法で添加した。エピタキシ
ャル部形態安定化剤I(62mg)12mlを添加し
た。その後、通常の水洗を行なった。この時、温度は3
5℃に保った。前述のゼラチン59gを添加した後、4
0℃でPHを6.5に、銀電位をNaCl水溶液を用い
て飽和カロメル電極に対して80mVに調整した。エピ
タキシャル部形態安定化剤兼保存性改良剤II(5mg)
を添加した後、68℃に昇温し、ハロゲン化銀1モルに
対して、チオシアン酸カリウム(0.5×10-4
ル)、塩化金酸(1.1×10-6モル)、チオ硫酸ナト
リウム(0.38×10-5モル)およびN,N−ジメチ
ルセレノ尿素(1.0×10 -6モル)を添加し最適に化
学増感を施した。かぶり防止剤I(6.4×10-4
ル)を添加して化学増感を終了した。 【0105】このようにして調製した本乳剤aは円相当
径の変動係数が27%であり、数平均円相当径4.20
μm、数平均厚み0.067μmの平板粒子であった。
また、全投影面積の90%以上が最小の長さを有する辺
の長さに対する最大の長さを有する辺の長さの比が1.
5以下である六角形平板粒子であり、6つの頂点部全て
にエピタキシャル接合を有していた。低温での透過電子
顕微鏡観察の結果、全投影面積の90%以上の粒子がエ
ピタキシャル部以外の主平面部には転位線を持たず、か
つエピタキシャル部に網目状の転位線を有していた。本
粒子は12モル%の沃化銀を含有する最外層が銀換算で
12%の粒子である。エピタキシャル部は銀換算で4.
5%であり組成はAgBr(52)Cl(40)I
(8)である。また全投影面積の90%以上が平均塩化
銀含有率および平均沃化銀含有率に対して30%以内の
範囲に入っていた。 【0106】 【化1】 【0107】(乳剤bの調製)乳剤aの調製において、
核形成から第三成長までを以下のように変更した以外は
ほぼ同様にして乳剤bを調製した。KBr0.161
g、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン
2.41gを含む水溶液1192mLを35℃に保ち撹
拌した。AgNO3(0.179g)水溶液33.4m
lとKBr(0.161g)と平均分子量20000の
低分子量酸化処理ゼラチン(0.066g)を含む水溶
液53.1mlを52秒間に渡り添加した。75℃昇温
後、KBr0.33gを含む水溶液18mlを添加した
後、平均分子量100000の琥珀化ゼラチン8gを含
む水溶液130mlを添加した後、カテコ−ルヂスルホ
ン酸ナトリウム塩を2.15g含む水溶液200mlを
添加した。その後、第1成長としてAgNO3(24.
34g)水溶液854mlと等モルのKBrと分子量1
5000の低分子量酸化処理ゼラチン(24.34g)
水溶液(KI3モル%含む)を図2に示した密閉型攪拌
槽の槽壁を貫通する回転軸をもたず、磁気カップリング
で連結される攪拌羽根を逆向きに回転する混合器に添加
して調製したハロゲン化銀微粒子を連続的に反応容器に
添加した。銀電位はKBr溶液を別途添加して、飽和カ
ロメル電極に対して0mVに保った。添加した微粒子の
数平均円相当径は0.021μm,円相当径の変動係数
は28%、双晶粒子数比率は9%であった。ここまでの
成長によって、平板粒子の平均厚みは0.044μmと
なった。途中で6塩化イリジウムカリウム(0.04m
g)を含む水溶液10mlを添加した。AgNO3 の添
加終了時にベンゼンチオスルホン酸ナトリウム(0.3
6mg)を含む水溶液10mlを添加した。この第1成
長と並行して限外濾過を行った。限外濾過装置の限外濾
過モジュールは、ポール製平膜セントラメイトのノバシ
リーズ(分画分子量:30000)を用いた。このと
き、還流流量は1l/minであり、供給圧力は0.09MPa、還
流圧力は0.05MPaおよび透過圧力は0MPaであった。この
時点で、液容量が608mlとなった。次に、第2成長
としてAgNO3水溶液(82.7g)689mlと等
モル濃度のKBrと分子量15000の低分子量酸化処
理ゼラチン(82.7g)水溶液(KI3モル%)を第
1成長同様の混合器を用いて調製し、反応容器に添加し
た。銀電位はKBr溶液を別途添加して、飽和カロメル
電極に対して0mVに保った。添加した微粒子の数平均
円相当径は0.026μm,円相当径の変動係数は27
%、双晶粒子数比率は7%であった。ここまでの成長に
よって、平板粒子の平均厚みは0.052μmとなっ
た。さらに、第3成長としてAgNO3水溶液(83.
0g)519mlと等モル濃度のKBrと分子量150
00の低分子量酸化処理ゼラチン(83.0g)水溶液
(KI3モル%))を第1成長同様の混合器を用いて調
製し、反応容器に添加した。銀電位はKBr溶液を別途
添加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。
添加した微粒子の数平均円相当径は0.028μm,円
相当径の変動係数は29%、双晶粒子数比率は7%であ
った。このようにして調製した本乳剤bは円相当径の変
動係数が29%であり、数平均円相当径4.60μm、
数平均厚み0.056μmの平板粒子であった。 【0108】(乳剤cの調製)乳剤aの調製において、
第一成長から第三成長までを以下のように変更した以外
はほぼ同様にして乳剤cを調製した。第1成長としてA
gNO3(136.0g)水溶液854mlと等モルの
KBrと分子量15000の低分子量酸化処理ゼラチン
(136g)水溶液(KI3モル%含む)を図2に示し
た密閉型攪拌槽の槽壁を貫通する回転軸をもたず、磁気
カップリングで連結される攪拌羽根を逆向きに回転する
混合器に添加して調製したハロゲン化銀微粒子を連続的
に反応容器に添加した。銀電位はKBr溶液を別途添加
して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添加
した微粒子の数平均円相当径は0.013μm,円相当
径の変動係数は35%、双晶粒子数比率は15%であっ
た。ここまでの成長によって、平板粒子の平均厚みは
0.053μmとなった。途中で6塩化イリジウムカリ
ウム(0.2mg)を含む水溶液10mlを添加した。
AgNO3 の添加終了時にベンゼンチオスルホン酸ナト
リウム(2mg)を含む水溶液10mlを添加した。そ
の後、液容量が608mlとなるようにかい出しを行っ
た。次に、第2成長としてAgNO3水溶液(82.7
g)689mlと等モル濃度のKBrと分子量1500
0の低分子量酸化処理ゼラチン(49.6g)水溶液
(KI3モル%)を第1成長同様の混合器を用いて調製
し、反応容器に添加した。銀電位はKBr溶液を別途添
加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添
加した微粒子の数平均円相当径は0.013μm,円相
当径の変動係数は32%、双晶粒子数比率は13%であ
った。ここまでの成長によって、平板粒子の平均厚みは
0.070μmとなった。さらに、第3成長としてAg
NO3水溶液(83.0g)519mlと等モル濃度の
KBrと分子量15000の低分子量酸化処理ゼラチン
(83.0g)水溶液(KI3モル%))を第1成長同
様の混合器を用いて調製し、反応容器に添加した。銀電
位はKBr溶液を別途添加して、飽和カロメル電極に対
して0mVに保った。添加した微粒子の数平均円相当径
は0.014μm,円相当径の変動係数は36%、双晶
粒子数比率は15%であった。このようにして調製した
本乳剤cは円相当径の変動係数が25%であり、数平均
円相当径4.0μm、数平均厚み0.1μmの平板粒子
であった。乳剤a、b、cの特性値を表―1に示す。表
−1の結果から明らかなように本発明の製造方法により
大サイズ平板粒子をより薄平板化することが可能となっ
た。 【0109】 【表1】 【0110】下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフ
ィルム支持体に下記表−2に示すような塗布条件で上記
の化学増感を施した乳剤を保護層を設けて塗布し、試料
No.801、802、803を作成した。 表−2 乳剤塗布条件 【0111】 【表2】 【0112】これらの試料を富士フィルム(株)製ゼラ
チンフィルターSC−50と連続ウェッジを通して1/
100秒間露光した。富士写真フィルム(株)製ネガプ
ロセサーFP−350を用い、以下に記載の方法で(液
の累積補充量がその母液タンク容量の3倍になるまで)
処理した。 (処理方法) 工 程 処理時間 処理温度 補充量* 発色現像 3分15秒 38℃ 45mL 漂 白 1分00秒 38℃ 20mL 漂白液オーバーフローは漂白定着 タンクに全量流入 漂白定着 3分15秒 38℃ 30mL 水洗(1) 40秒 35℃ (2) から(1) への向流配管方式 水洗(2) 1分00秒 35℃ 30mL 安 定 40秒 38℃ 20mL 乾 燥 1分15秒 55℃ *補充量は35mm幅1.1m長さ当たり(24Ex.1本相当)。 【0113】次に、処理液の組成を記す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 1.1 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 4.0 4.4 炭酸カリウム 30.0 37.0 臭化カリウム 1.4 0.7 ヨウ化カリウム 1.5mg − ヒドロキシアミン硫酸塩 2.4 2.8 4−[N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ] −2−メチルアニリン硫酸塩 4.5 5.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.10。 (漂白液) タンク液、補充液共通(単位 g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 120.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 10.0 臭化アンモニウム 100.0 硝酸アンモニウム 10.0 漂白促進剤 0.005モル (CH32N-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-N(CH32 ・2HCl アンモニア水(27%) 15.0mL 水を加えて 1.0L pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.3。 【0114】 (漂白定着液) タンク液(g) 補充液(g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 50.0 − エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 20.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(700g/L) 240.0 mL 400.0 mL アンモニア水(27%) 6.0 mL − 水を加えて 1.0 L 1.0 L pH(アンモニア水と酢酸にて調整) 7.2 7.3。 (水洗液) タンク液、補充液共通 水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハ
ース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型ア
ニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充
填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシ
ウムイオン濃度を3mg/L以下に処理し、続いて二塩
化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/Lと硫酸ナト
リウム0.15g/Lを添加した。この液のpHは6.
5〜7.5の範囲にあった。 (安定液) タンク液、補充液共通(単位 g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.2 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5。 処理済みの試料を緑色フィルタ−で濃度測定した。以上
により得られた、かぶりプラス0.2の濃度での感度
値、かぶり値を表−3に示す。 【0115】 【表3】 【0116】表−3の結果から明らかなように、本発明
の製造方法により高感度な乳剤が得られた。 【0117】(実施例−2)多層カラ−写真感光材料に
おいて、本発明の製造方法で製造された乳剤の効果を示
す。以下の製法によりハロゲン化銀乳剤Em−AからE
m−Mを調製した。 (Em−Aの製法)フタル化率97%のフタル化した分
子量15000の低分子量ゼラチン31.7g、KBr
31.7gを含む水溶液42.2Lを35℃に保ち激し
く攪拌した。AgNO3 316.7gを含む水溶液15
83mLとKBr221.5g、分子量15000の低
分子量ゼラチン52.7gを含む水溶液1583mLを
ダブルジェット法で1分間に渡り添加した。添加終了
後、直ちにKBr52.8gを加えて、AgNO3 39
8.2gを含む水溶液2485mLとKBr291.1
gを含む水溶液2581mLをダブルジェット法で2分
間に渡り添加した。添加終了後、直ちにKBr44.8
gを添加した。その後、40℃に昇温し、熟成した。熟
成終了後、フタル化率97%のフタル化した分子量10
0000のゼラチン923gとKBr79.2gを添加
し、AgNO3 5103gを含む水溶液15947mL
とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流
量の1.4倍になるように流量加速して10分間に渡り
添加した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して
−60mVに保った。水洗した後、ゼラチンを加えpH
5.7、pAg8.8、乳剤1kg当たりの銀換算の質
量131.8g、ゼラチン質量64.1gに調整し、種
乳剤とした。フタル化率97%のフタル化ゼラチン46
g、KBr1.7gを含む水溶液1211mLを75℃
に保ち激しく攪拌した。前述した種乳剤を9.9g加え
た後、変成シリコンオイル(日本ユニカ−株式会社製
品、L7602)を0.3g添加した。H2SO4を添加
してpHを5.5に調整した後、AgNO3 7.0gを
含む水溶液67.6mLとKBr水溶液をダブルジェッ
ト法で最終流量が初期流量の5.1倍になるように流量
加速して6分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽和
カロメル電極に対して−20mVに保った。ベンゼンチ
オスルホン酸ナトリウム2mgと二酸化チオ尿素2mg
を添加した後、AgNO3 105.6gを含む水溶液3
28mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量
が初期流量の3.7倍になるように流量加速して56分
間に渡り添加した。この時、0.037μmの粒子サイ
ズのAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が27mol%
になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を
飽和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgN
3 45.6gを含む水溶液121.3mLとKBr水
溶液をダブルジェット法で22分間に渡り添加した。こ
の時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+20mVに
保った。82℃に昇温し、KBrを添加して銀電位を−
80mVに調整した後、前述したAgI微粒子乳剤をK
I質量換算で6.33g添加した。添加終了後、直ち
に、AgNO366.4gを含む水溶液206.2mL
を16分間に渡り添加した。添加初期の5分間はKBr
水溶液で銀電位を−80mVに保った。水洗した後、ゼ
ラチンを添加し40℃でpH5.8、pAg8.7に調
整した。化合物11および12を添加した後、60℃に
昇温した。増感色素11および12を添加した後に、チ
オシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、
N,N−ジメチルセレノウレアを添加し最適に化学増感
した。化学増感終了時に化合物13および化合物14を
添加した。ここで、最適に化学増感するとは、増感色素
ならびに各化合物をハロゲン化銀1molあたり10-1
から10-8molの添加量範囲から選択したことを意味
する。 【0118】 【化2】 【0119】 【化3】 【0120】 【化4】 【0121】 【化5】 【0122】 【化6】 【0123】 【化7】 【0124】(Em−Bの製法)低分子量ゼラチン0.
96g、KBr0.9gを含む水溶液1192mLを4
0℃に保ち、激しく攪拌した。AgNO31.49gを
含む水溶液37.5mLとKBrを1.05g含む水溶
液37.5mLをダブルジェット法で30秒間に渡り添
加した。KBrを1.2g添加した後、75℃に昇温し
熟成した。熟成終了後、アミノ基をトリメリット酸で化
学修飾した分子量100000のトリメリット化ゼラチ
ン、35gを添加し、pHを7に調整した。二酸化チオ
尿素6mgを添加した。AgNO3 29gを含む水溶液
116mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流
量が初期流量の3倍になるように流量加速して添加し
た。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−20
mVに保った。AgNO3 110.2gを含む水溶液4
40.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終
流量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して3
0分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用
したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が15.8mo
l%になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電
位を飽和カロメル電極に対して0mVに保った。 【0125】AgNO324.1gを含む水溶液96.
5mLとKBr水溶液をダブルジェット法で3分間に渡
り添加した。この時、銀電位を0mVに保った。エチル
チオスルホン酸ナトリウム26mgを添加した後、55
℃に降温し、KBr水溶液を添加し銀電位を−90mV
に調整した。前述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算
で8.5g添加した。添加終了後、直ちにAgNO3
7gを含む水溶液228mLを5分間に渡り添加した。
この時、添加終了時の電位が+20mVになるようにK
Br水溶液で調整した。Em−Aとほぼ同様に水洗し、
化学増感した。 (Em−Cの製法)1g当たり35μmolのメチオニ
ンを含有する分子量100000のフタル化率97%の
フタル化ゼラチン1.02g、KBr 0.9gを含む
水溶液1192mLを35℃に保ち、激しく攪拌した。
AgNO34.47gを含む水溶液、42mLとKBr
3.16g含む水溶液、42mLをダブルジェット法
で9秒間に渡り添加した。KBrを2.6g添加した
後、63℃に昇温し、熟成した。熟成終了後、Em−B
の調製で使用した分子量100000のトリメリット化
ゼラチン41.2gとNaCl 18.5gを添加し
た。pHを7.2に調整した後、ジメチルアミンボラン
8mgを添加した。AgNO3 26gを含む水溶液20
3mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が
初期流量の3.8倍になるように添加した。この時、銀
電位を飽和カロメル電極に対して−30mVに保った。 【0126】AgNO3 110.2gを含む水溶液44
0.6mLとKBr水溶液をダブルジェット法で最終流
量が初期流量の5.1倍になるように流量加速して24
分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用し
たAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が2.3mol%
になるように同時に流量加速して添加し、かつ銀電位を
飽和カロメル電極に対して−20mVに保った。1Nの
チオシアン酸カリウム水溶液10.7mLを添加した
後、AgNO3 24.1gを含む水溶液153.5mL
とKBr水溶液をダブルジェット法で2分30秒間に渡
り添加した。この時、銀電位を10mVに保った。KB
r水溶液を添加して銀電位を−70mVに調整した。前
述したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.4g添加
した。添加終了後、直ちにAgNO3 57gを含む水溶
液404mLを45分間に渡り添加した。この時、添加
終了時の電位が−30mVになるようにKBr水溶液で
調整した。Em−Aとほぼ同様に水洗し、化学増感し
た。 【0127】(Em−Dの製法)Em−Cの調製におい
て核形成時のAgNO3添加量を2.3倍に変更した。
そして、最終のAgNO3 57gを含む水溶液404m
Lの添加終了時の電位が+90mVになるようにKBr
水溶液で調整するように変更した。それ以外はEm−C
とほぼ同様にして調製した。 (Em−Eの製法)分子量15000の低分子量ゼラチ
ン0.75g、KBr 0.9g、Em−Aの調製で使
用した変成シリコンオイル0.2gを含む水溶液120
0mLを39℃に保ち、pHを1.8に調整し激しく攪
拌した。AgNO3 0.45gを含む水溶液と1.5m
ol%のKIを含むKBr水溶液をダブルジェット法で
16秒間に渡り添加した。この時、KBrの過剰濃度を
一定に保った。54℃に昇温し熟成した。熟成終了後、
1g当たり35μmolのメチオニンを含有する分子量
100000のフタル化率97%のフタル化ゼラチン2
0gを添加した。pHを5.9に調整した後、KBr
2.9gを添加した。AgNO3 28.8gを含む水溶
液288mLとKBr水溶液をダブルジェット法で53
分間に渡り添加した。この時、Em−Aの調製で使用し
たAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%
になるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル
電極に対して−60mVに保った。KBr2.5gを添
加した後、AgNO3 87.7gを含む水溶液とKBr
水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.
2倍になるように流量加速して63分間に渡り添加し
た。この時、上述のAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率
が10.5mol%になるように同時に流量加速して添
加し、かつ銀電位を−70mVに保った。 【0128】二酸化チオ尿素1mgを添加した後、Ag
NO3 41.8gを含む水溶液132mLとKBr水溶
液をダブルジェット法で25分間に渡り添加した。添加
終了時の電位を+20mVになるようにKBr水溶液の
添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム2
mgを添加した後、pHを7.3に調整した。KBrを
添加して銀電位を−70mVに調整した後、上述のAg
I微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添
加終了後、直ちにAgNO3 66.4gを含む水溶液6
09mLを10分間に渡り添加した。添加初期の6分間
はKBr水溶液で銀電位を−70mVに保った。水洗し
た後、ゼラチンを添加し40℃でpH6.5、pAg
8.2に調整した。化合物11および12を添加した
後、56℃に昇温した。上述したAgI微粒子乳剤を銀
1molに対して0.0004mol添加した後、増感
色素13および14を添加した。チオシアン酸カリウ
ム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチル
セレノウレアを添加し最適に化学増感した。化学増感終
了時に化合物13および14を添加した。 【0129】 【化8】 【0130】 【化9】 【0131】(Em−Fの製法)Em−Eの調製におい
て核形成時のAgNO3 添加量を4.12倍に変更した
以外はEm−Eとほぼ同様にして調製した。但しEm−
Eの増感色素を増感色素12、15、16および17に
変更した。 【0132】 【化10】 【0133】 【化11】【0134】 【化12】 【0135】(Em−Gの製法)分子量15000の低
分子量ゼラチン0.70g、KBr 0.9g、KI
0.175g、Em−Aの調製で使用した変成シリコン
オイル0.2gを含む水溶液1200mLを33℃に保
ち、pHを1.8に調製し激しく攪拌した。AgNO3
1.8gを含む水溶液と3.2mol%のKIを含むK
Br水溶液をダブルジェット法で9秒間に渡り添加し
た。この時、KBrの過剰濃度を一定に保った。62℃
に昇温し熟成した。熟成終了後、1g当たり35μmo
lのメチオニンを含有する分子量100000のアミノ
基をトリメリット酸で化学修飾したトリメリット化ゼラ
チン27.8gを添加した。pHを6.3に調製した
後、KBr2.9gを添加した。AgNO3 27.58
gを含む水溶液270mLとKBr水溶液をダブルジェ
ット法で37分間に渡り添加した。この時、分子量15
000の低分子量ゼラチン水溶液とAgNO3 水溶液と
KI水溶液を特開平10−43570号に記載の磁気カ
ップリング誘導型攪拌機を有する別のチャンバ−内で添
加前直前混合して調製した粒子サイズ0.008μmの
AgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有率が4.1mol%に
なるように同時に添加し、かつ銀電位を飽和カロメル電
極に対して−60mVに保った。 【0136】KBr2.6gを添加した後、AgNO3
87.7gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェッ
ト法で最終流量が初期流量の3.1倍になるように流量
加速して49分間に渡り添加した。この時、上述の添加
前直前混合して調製したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含
有率が7.9mol%になるように同時に流量加速し、
かつ銀電位を−70mVに保った。二酸化チオ尿素、1
mgを添加した後、AgNO3 41.8gを含む水溶液
132mLとKBr水溶液をダブルジェット法で20分
間に渡り添加した。添加終了時の電位を+20mVにな
るようにKBr水溶液の添加を調整した。78℃に昇温
し、pHを9.1に調整した後、KBrを添加して電位
を−60mVにした。Em−Aの調製で使用したAgI
微粒子乳剤をKI質量換算で5.73g添加した。添加
終了後、直ちにAgNO3 66.4gを含む水溶液32
1mLを4分間に渡り添加した。添加初期の2分間はK
Br水溶液で銀電位を−60mVに保った。Em−Fと
ほぼ同様に水洗し、化学増感した。 【0137】(Em−Hの製法)イオン交換した分子量
100000のゼラチン17.8g、KBr6.2g、
KI 0.46gを含む水溶液を45℃に保ち激しく攪
拌した。AgNO3 11.85gを含む水溶液とKBr
を3.8g含む水溶液をダブルジェット法で45秒間に
渡り添加した。63℃に昇温後、イオン交換した分子量
100000のゼラチン24.1gを添加し、熟成し
た。熟成終了後、AgNO3 133.4gを含む水溶液
とKBr水溶液をダブルジェット法で最終流量が初期流
量の2.6倍になるように20分間に渡って添加した。
この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+40mV
に保った。また添加開始10分後にK2IrCl6
0.1mg添加した。NaClを7g添加した後、Ag
NO3 を45.6g含む水溶液とKBr水溶液をダブル
ジェット法で12分間に渡って添加した。この時、銀電
位を+90mVに保った。また添加開始から6分間に渡
って黄血塩を29mg含む水溶液100mLを添加し
た。KBrを14.4g添加した後、Em−Aの調製で
使用したAgI微粒子乳剤をKI質量換算で6.3g添
加した。添加終了後、直ちにAgNO3 42.7gを含
む水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で11分間
に渡り添加した。この時、銀電位を+90mVに保っ
た。Em−Fとほぼ同様に水洗し、化学増感した。 【0138】(Em−Iの製法)Em−Hの調製におい
て核形成時の温度を35℃に変更した以外はほぼ同様に
して調製した。 (Em−Jの製法)フタル化率97%の分子量1000
00のフタル化ゼラチン0.38g、KBr 0.9g
を含む水溶液1200mLを60℃に保ち、pHを2に
調整し激しく攪拌した。AgNO3 1.96gを含む水
溶液とKBr 1.67g、KI0.172gを含む水
溶液をダブルジェット法で30秒間に渡り添加した。熟
成終了後、1g当たり35μmolのメチオニンを含有
する分子量100000のアミノ基をトリメリット酸で
化学修飾したトリメリット化ゼラチン12.8gを添加
した。pHを5.9に調整した後、KBr2.99g、
NaCl 6.2gを添加した。AgNO3 27.3g
を含む水溶液60.7mLとKBr水溶液をダブルジェ
ット法で31分間に渡り添加した。この時、銀電位を飽
和カロメル電極に対して−50mVに保った。AgNO
3 65.6gを含む水溶液とKBr水溶液をダブルジェ
ット法で最終流量が初期流量の2.1倍になるように流
量加速して37分間に渡り添加した。この時、Em−A
の調製で使用したAgI微粒子乳剤をヨウ化銀含有量が
6.5mol%になるように同時に流量加速して添加
し、かつ銀電位を−50mVに保った。 【0139】二酸化チオ尿素1.5mgを添加した後、
AgNO3 41.8gを含む水溶液132mLとKBr
水溶液をダブルジェット法で13分間に渡り添加した。
添加終了時の銀電位を+40mVになるようにKBr水
溶液の添加を調整した。ベンゼンチオスルホン酸ナトリ
ウム2mgを添加した後、KBrを添加して銀電位を−
100mVに調整した。上述のAgI微粒子乳剤をKI
質量換算で6.2g添加した。添加終了後、直ちにAg
NO3 88.5gを含む水溶液300mLを8分間に渡
り添加した。添加終了時の電位が+60mVになるよう
にKBr水溶液の添加で調整した。水洗した後、ゼラチ
ンを添加し40℃でpH6.5、pAg8.2に調整し
た。化合物11および12を添加した後、61℃に昇温
した。増感色素18、19、20および21を添加した
後、K2IrCl6、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、
チオ硫酸ナトリウム、N,N−ジメチルセレノウレアを
添加し最適に化学増感した。化学増感終了時に化合物1
3および14を添加した。 【0140】 【化13】 【0141】 【化14】 【0142】 【化15】 【0143】 【化16】 【0144】(Em−Kの製法)分子量15000の低
分子量ゼラチン4.9g、KBr5.3gを含む水溶液
1200mLを60℃に保ち激しく攪拌した。AgNO
3 8.75gを含む水溶液27mLとKBr6.45g
を含む水溶液36mLを1分間に渡りダブルジェット法
で添加した。75℃に昇温した後、AgNO3 6.9g
を含む水溶液21mLを2分間に渡り添加した。NH4
NO3 26g、1N,NaOH56mLを順次、添加し
た後、熟成した。熟成終了後pHを4.8に調製した。
AgNO3141gを含む水溶液438mLとKBrを
102.6g含む水溶液458mLをダブルジェット法
で最終流量が初期流量の4倍になるように添加した。5
5℃に降温した後、AgNO3 7.1gを含む水溶液2
40mLとKIを6.46g含む水溶液をダブルジェッ
ト法で5分間に渡り添加した。KBrを7.1g添加し
た後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム4mgとK2
IrCl60.05mg添加した。AgNO3 57.2
gを含む水溶液177mLとKBr40.2gを含む水
溶液223mLを8分間に渡ってダブルジェット法で添
加した。Em−Jとほぼ同様に水洗し、化学増感した。 【0145】(Em−Lの製法)Em−Kの調製におい
て核形成時の温度を40℃に変更した以外は、ほぼ同様
にして調製した。 (Em−Mの製法)Em−Jとほぼ同様にして調製し
た。但し化学増感はEm−Fとほぼ同様の方法で行っ
た。Em−AからEm−Mのハロゲン化銀乳剤の特性値
を表−4にまとめて示した。 表−4 【0146】 【表4】 【0147】1)支持体 本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作成し
た。ポリエチレン−2,6−ナフタレートポリマー10
0質量部と紫外線吸収剤としてTinuvin P.3
26(チバ・ガイギーCiba−Geigy社製)2質
量部とを乾燥した後、300℃にて溶融後、T型ダイか
ら押し出し、140℃で3.3倍の縦延伸を行い、続い
て130℃で3.3倍の横延伸を行い、さらに250℃
で6秒間熱固定して厚さ90μmのPEN(ポリエチレ
ンナフタレート)フィルムを得た。なおこのPENフィ
ルムにはブルー染料、マゼンタ染料及びイエロー染料
(公開技法:公技番号94−6023号記載のI−1、
I−4、I−6、I−24、I−26、I−27、II−
5)を適当量添加した。さらに、直径20cmのステン
レス巻き芯に巻き付けて、110℃、48時間の熱履歴
を与え、巻き癖のつきにくい支持体とした。 【0148】2)下塗層の塗設 上記支持体は、その両面にコロナ放電処理、UV放電処
理、さらにグロー放電処理をした後、それぞれの面にゼ
ラチン0.1g/m2 、ソウジウムα−スルホジ−2−
エチルヘキシルサクシネート0.01g/m2 、サリチ
ル酸0.04g/m2 、p−クロロフェノール0.2g
/m2 、(CH2=CHSO2CH2CH2NHCO)2
2 0.012g/m2、ポリアミド−エピクロルヒド
リン重縮合物0.02g/m2 の下塗液を塗布して(1
0cc/m2 、バーコーター使用)、下塗層を延伸時高
温面側に設けた。乾燥は115℃、6分実施した(乾燥
ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115℃となって
いる)。 3)バック層の塗設 下塗後の上記支持体の片方の面にバック層として下記組
成の帯電防止層、磁気記録層さらに滑り層を塗設した。 3−1)帯電防止層の塗設 平均粒径0.005μmの酸化スズ−酸化アンチモン複
合物の比抵抗は5Ω・cmの微粒子粉末の分散物(2次
凝集粒子径約0.08μm)を0.2g/m2、ゼラチ
ン0.05g/m2 、(CH2=CHSO2CH2CH2
HCO)2 CH 2 0.02g/m2 、ポリ(重合度1
0)オキシエチレン−p−ノニルフェノール0.005
g/m2 及びレゾルシンと塗布した。 【0149】3−2)磁気記録層の塗設 3−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキ
シトリメトキシシラン(15質量%)で被覆処理された
コバルト−γ−酸化鉄(比表面積43m2 /g、長軸
0.14μm、単軸0.03μm、飽和磁化89emu
/g、Fe2+/Fe3+=6/94、表面は酸化アルミ酸
化珪素で酸化鉄の2質量%で処理されている)0.06
g/m2 をジアセチルセルロース1.2g/m2 (酸化
鉄の分散はオープンニーダーとサンドミルで実施し
た)、硬化剤としてC25C(CH2 OCONH−C6
3(CH3)NCO)30.3g/m2を、溶媒としてア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンを用い
てバーコーターで塗布し、膜厚1.2μmの磁気記録層
を得た。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と3
−ポリ(重合度15)オキシエチレン−プロピルオキシ
トリメトキシシラン(15質量%)で処理被覆された研
磨剤の酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ10mg
/m2となるように添加した。乾燥は115℃、6分実
施した(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて11
5℃)。X−ライト(ブルーフィルター)での磁気記録
層のDB の色濃度増加分は約0.1、また磁気記録層の
飽和磁化モーメントは4.2emu/g、保磁力7.3
×104 A/m、角形比は65%であった。 【0150】3−3)滑り層の調製 ジアセチルセルロース(25mg/m2)、C613CH
(OH)C1020COOC4081(化合物a,6mg/
2)/C50101O(CH2CH2O)16H(化合物b,
9mg/m2 )混合物を塗布した。なお、この混合物
は、キシレン/プロピレンモノメチルエーテル(1/
1)中で105℃で溶融し、常温のプロピレンモノメチ
ルエーテル(10倍量)に注加分散して作製した後、ア
セトン中で分散物(平均粒径0.01μm)にしてから
添加した。マット剤としてシリカ粒子(0.3μm)と
研磨剤の3−ポリ(重合度15)オキシエチレンプロピ
ルオキシトリメトキシシラン(15質量%)で被覆され
た酸化アルミ(0.15μm)をそれぞれ15mg/m
2 となるように添加した。乾燥は115℃、6分行った
(乾燥ゾーンのローラーや搬送装置はすべて115
℃)。滑り層は、動摩擦係数0.06(5mmφのステ
ンレス硬球、荷重100g、スピード6cm/分)、静
摩擦係数0.07(クリップ法)、また後述する乳剤面
と滑り層の動摩擦係数も0.12と優れた特性であっ
た。 【0151】4)感光層の塗設 次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成
の各層を重層塗布し、カラーネガ感光材料である試料9
01を作成した。 (感光層の組成)各層に使用する素材の主なものは下記
のように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 (具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付
けられ、後ろに化学式が挙げられている) 【0152】各成分に対応する数字は、g/m2単位で
表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については銀換算の
塗布量を示す。 第1層(第1ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.155 0.07μmの表面かぶらせAgBrI(2) 銀 0.01 ゼラチン 0.87 ExC−1 0.002 ExC−3 0.002 Cpd−2 0.001 HBS−1 0.004 HBS−2 0.002。 第2層(第2ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.066 ゼラチン 0.407 ExM−1 0.050 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.074 固体分散染料 ExF−2 0.015 固体分散染料 ExF−3 0.020。 【0153】 第3層(中間層) 0.07μmのAgBrI(2) 0.020 ExC−2 0.022 ポリエチルアクリレートラテックス 0.085 ゼラチン 0.294。 第4層(低感度赤感乳剤層) Em−K 銀 0.323 ExC−1 0.109 ExC−3 0.044 ExC−4 0.072 ExC−5 0.011 ExC−6 0.003 Cpd−2 0.025 Cpd−4 0.025 HBS−1 0.17 ゼラチン 0.80。 【0154】 第5層(中感度赤感乳剤層) Em−L 銀 0.21 Em−J 銀 0.62 ExC−1 0.14 ExC−2 0.026 ExC−3 0.020 ExC−4 0.12 ExC−5 0.016 ExC−6 0.007 Cpd−2 0.036 Cpd−4 0.028 HBS−1 0.16 ゼラチン 1.18。 第6層(高感度赤感乳剤層) 実施例1の乳剤a 銀 1.47 ExC−1 0.18 ExC−3 0.07 ExC−6 0.029 ExC−7 0.010 ExY−5 0.008 Cpd−2 0.046 Cpd−4 0.077 HBS−1 0.25 HBS−2 0.12 ゼラチン 2.12。 【0155】 第7層(中間層) Cpd−1 0.089 固体分散染料ExF−4 0.030 HBS−1 0.050 ポリエチルアクリレートラテックス 0.83 ゼラチン 0.84。 第8層(赤感層へ重層効果を与える層) Em−E 銀 0.560 Cpd−4 0.030 ExM−2 0.096 ExM−3 0.028 ExY−1 0.031 ExG−1 0.006 HBS−1 0.085 HBS−3 0.003 ゼラチン 0.58。 【0156】 第9層(低感度緑感乳剤層) Em−G 銀 0.39 Em−H 銀 0.28 Em−I 銀 0.35 ExM−2 0.36 ExM−3 0.045 ExG−1 0.005 HBS−1 0.28 HBS−3 0.01 HBS−4 0.27 ゼラチン 1.39。 第10層(中感度緑感乳剤層) Em−F 銀 0.20 Em−G 銀 0.25 ExC−6 0.009 ExM−2 0.031 ExM−3 0.029 ExY−1 0.006 ExM−4 0.028 ExG−1 0.005 HBS−1 0.064 HBS−3 2.1×10-3 ゼラチン 0.44。 【0157】 第11層(高感度緑感乳剤層) Em−M 銀 0.99 ExC−6 0.004 ExM−1 0.016 ExM−3 0.036 ExM−4 0.020 ExM−5 0.004 ExY−5 0.003 ExM−2 0.013 ExG−1 0.005 Cpd−4 0.007 HBS−1 0.18 ポリエチルアクリレートラテックス 0.099 ゼラチン 1.11。 第12層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.047 Cpd−1 0.16 油溶性染料ExF−5 0.010 固体分散染料ExF−6 0.010 HBS−1 0.082 ゼラチン 1.057。 【0158】 第13層(低感度青感乳剤層) Em−B 銀 0.18 Em−C 銀 0.20 Em−D 銀 0.07 ExC−1 0.041 ExC−8 0.012 ExY−1 0.035 ExY−2 0.71 ExY−3 0.10 ExY−4 0.005 Cpd−2 0.10 Cpd−3 4.0×10-3 HBS−1 0.24 ゼラチン 1.41。 第14層(高感度青感乳剤層) Em−A 銀 0.75 ExC−1 0.013 ExY−2 0.31 ExY−3 0.05 ExY−6 0.062 Cpd−2 0.075 Cpd−3 1.0×10-3 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.91。 【0159】 第15層(第1保護層) 0.07μmのAgBrI(2) 銀 0.30 UV−1 0.21 UV−2 0.13 UV−3 0.20 UV−4 0.025 F−18 0.009 F−19 0.005 F−20 0.005 HBS−1 0.12 HBS−4 5.0×10-2 ゼラチン 2.3。 第16層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径1.7μm) 5.0×10-2 B−2(直径1.7μm) 0.15 B−3 0.05 S−1 0.20 ゼラチン 0.75。 【0160】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために、W−1ないしW−5、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、
パラジウム塩、イリジウム塩、ルテニウム塩、ロジウム
塩が含有されている。また、第8層の塗布液にハロゲン
化銀1モル当たり8.5×10-3グラム、第11層に
7.9×10-3グラムのカルシウムを硝酸カルシウム水
溶液で添加し、試料を作製した。第6層の実施例1で調
製した乳剤aを乳剤b変更することにより,試料NO.9
02を作成した。第6層の実施例1で調製した乳剤aを
乳剤c変更することにより,試料NO.903を作成し
た。 【0161】有機固体分散染料の分散物の調製 下記、ExF−3を次の方法で分散した。即ち、水2
1.7mL及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエ
トキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3mL並びに5
%水溶液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレン
エーテル(重合度10)0.5gとを700mLのポッ
トミルに入れ、染料ExF−3を5.0gと酸化ジルコ
ニウムビーズ(直径1mm)500mLを添加して内容
物を2時間分散した。この分散には中央工機製のBO型
振動ボールミルを用いた。分散後、内容物を取り出し、
12.5%ゼラチン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過
して除き、染料のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の
平均粒径は0.24μmであった。同様にして、ExF
−4の固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.
45μmであった。ExF−2は欧州特許出願公開(E
P)第549,489A号明細書の実施例1に記載の微
小析出(Microprecipitation)分散
方法により分散した。平均粒径は0.06μmであっ
た。ExF−6の固体分散物を以下の方法で分散した。 【0162】水を18%含むExF−6のウェットケー
キ2800gに4000gの水及びW−2の3%溶液を
376g加えて攪拌し、ExF−6の濃度32%のスラ
リーとした。次にアイメックス(株)製ウルトラビスコ
ミル(UVM−2)に平均粒径0.5mmのジルコニア
ビーズを1700mL充填し、スラリーを通して周速約
10m/sec、吐出量0.5L/minで8時間粉砕
した。平均粒径は0.52μmであった。上記各層の形
成に用いた化合物は、以下に示すとおりである。 【0163】 【化17】【0164】 【化18】【0165】 【化19】【0166】 【化20】【0167】 【化21】【0168】 【化22】【0169】 【化23】【0170】 【化24】 【0171】 【化25】【0172】 【化26】 【0173】 【化27】 【0174】 【化28】【0175】 【化29】【0176】 【化30】【0177】 【化31】【0178】これらの試料を富士フイルム(株)製ゼラ
チンフィルターSC−39(カットオフ波長が390n
mである長波長光透過フィルター)と連続ウェッジを通
して1/100秒間露光した。現像は富士写真フイルム社製
自動現像機FP−360Bを用いて以下により行った。
尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴へ流さず、全て廃
液タンクへ排出する様に改造を行った。このFP−36
0Bは発明協会公開技法94−4992号に記載の蒸発
補正手段を搭載している。処理工程及び処理液組成を以
下に示す。 【0179】 (処理工程) 工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量 発色現像 3分 5秒 37.8 ℃ 20 mL 11.5L 漂 白 50秒 38.0 ℃ 5 mL 5L 定着 (1) 50秒 38.0 ℃ − 5L 定着 (2) 50秒 38.0 ℃ 8 mL 5L 水 洗 30秒 38.0 ℃ 17 mL 3L 安定 (1) 20秒 38.0 ℃ − 3L 安定 (2) 20秒 38.0 ℃ 15 mL 3L 乾 燥 1分30秒 60.0 ℃ *補充量は感光材料35mm幅1.1m当たり(24Ex.1本相当)。 安定液及び定着液は(2)から(1)への向流方式であ
り、水洗水のオーバーフロー液は全て定着浴(2)へ導
入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込み量、漂白液
の定着工程への持ち込み量、及び定着液の水洗工程への
持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m当たりそれぞ
れ2.5mL、2.0mL、2.0mLであった。ま
た、クロスオーバーの時間はいずれも6秒であり、この
時間は前工程の処理時間に包含される。 【0180】上記処理機の開口面積は発色現像液で10
0cm2、漂白液で120cm2、その他の処理液は約1
00cm2であった。以下に処理液の組成を示す。 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 3.0 3.0 カテコール−3,5−ジスルホン酸 ジナトリウム 0.3 0.3 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3 炭酸カリウム 39.0 39.0 ジナトリウム−N,N−ビス(2−スル ホナートエチル)ヒドロキシルアミン 1.5 2.0 臭化カリウム 1.3 0.3 沃化カリウム 1.3mg − 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3, 3a,7−テトラザインデン 0.05 − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3 2−メチル−4−〔N−エチル−N− (β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 アニリン硫酸塩 4.5 6.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.18。 【0181】 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二 鉄アンモニウム一水塩 113 170 臭化アンモニウム 70 105 硝酸アンモニウム 14 21 コハク酸 34 51 マレイン酸 28 42 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水で調整〕 4.6 4.0。 (定着(1)タンク液)上記漂白タンク液と下記定着タ
ンク液の5対95(容量比)混合液(pH6.8)。 (定着(2)) タンク液(g) 補充液(g) チオ硫酸アンモニウム水溶液 240mL 720 mL (750g/L) イミダゾール 7 21 メタンチオスルホン酸アンモニウム 5 15 メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30 エチレンジアミン四酢酸 13 39 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45。 (水洗水) 【0182】水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロ
ームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)
と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同アンバーライ
トIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカ
ルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/L以下
に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム2
0mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/Lを添加し
た。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2 (平均重合度10) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5。 結果を表−5に示す。 【0183】 【表5】 【0184】表−5から明らかなように、本発明の製造
方法で製造された乳剤を用いることにより、かぶりが同
等で、高感度のハロゲン化銀乳剤を調製できることが判
る。 【0185】 【発明の効果】本発明の製造方法により、大サイズ薄平
板粒子において厚みの増加をともなわずに、かぶりが同
等で、高感度のハロゲン化銀乳剤を調製できた。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施形態である装置の概略構成を示す
断面図である。 【図2】本発明の実施形態である混合器の製造工程を示
す概略断面図である。 【図3】本発明の実施形態である混合器の撹拌装置に使
用される磁気カップリングの概略構成を示す斜視図であ
る。 【図4】図3に示した磁気カップリングの作用を示す斜
視図である。 【符号の説明】 1 反応容器 2 攪拌羽根 3 分散媒 4 銀添加配管 5 ハライド添加配管 6 添加薬品配管 7 反応液抜き取り配管 8 反応液抜き取りバルブ 9 液供給配管 10 ポンプ 11 供給バルブ 12 供給圧力計 13 限外濾過膜モジュール 14 液還流配管 15 還流圧力計 16 還流バルブ 17 還流流量計 18 液透過配管 19 透過圧力計 20 透過バルブ 21 透過流量計 22 透過液収納容器 23 透過液 24 逆洗浄配管 25 逆洗浄用ポンプ 26 逆洗浄バルブ 27 逆止弁 28 混合器 30 撹拌装置 31、32、33 液供給口 34 液排出口 35 撹拌槽 36 槽本体 37 シールプレート 38、39 撹拌羽根 40、41 外部磁石 42、43 モーター 44 回転中心軸線 45 両面2極型磁石 46 左右2極型磁石 L 磁力線

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 平均円相当径が3.0μm以上で平均厚みが
    0.1μm以下である(111)面を主平面とするハロゲン化銀
    平板粒子と分散媒とからなるハロゲン化銀乳剤の製造方
    法において、該ハロゲン化銀平板粒子の成長の少なくと
    も一部が下記(i)および(ii)を満足する条件下で行
    われることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。 (i)該ハロゲン化銀平板粒子の成長を成長が行われる
    反応容器の外部に設けた混合器を用いて添加直前調製し
    たハロゲン化銀微粒子を反応容器に添加して行う。 (ii)該ハロゲン化銀微粒子の平均円相当径が成長中の
    該ハロゲン化銀平板粒子の数平均厚みの40%以上であ
    る。
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